○久保(三)委員
海運というか、外航は、いま発展途上国が中心になって、UNCTADで
海運憲章の問題も問題にはなっておりますが、この問題はあとから申し上げます。そういうものもありますが、もともと外航は国際的なんですね。だから、そこの問題と
日本列島の中の交通や運輸とを同じように考えてはいけないし、また考えるべきではないのです。たとえば、
日本の中の過疎地における過疎交通をどうするかという場合に、
運輸省は路線バスに対して何がしかの
助成をして運行を確保する、
国民の足を確保する、これは必要なことですね。いまお話が出ました
安定輸送というのはどういうことなのか。いつでも好きなときに
輸送が果たし得られればいいということですね、
安定輸送というのは。安定して
輸送できるこの
安定輸送というのは、
日本の船であるから、あるいは
日本の船社が持っている船であるから
安定輸送ができるかというと、海洋の自由の原則からいけば、しかも私企業であって資本主義体制の中に息をついている
海運企業であれば、運賃の高いところに船は流れていく、運賃の安いところから船は引き揚げるということですよ。それが
日本のものであろうが
外国のものであろうが、高いところにそういう
輸送というのはついていくかっこうでしょう。そういうものがある限りは、それを否定しない限りは、
日本の
計画造船で
安定輸送ができるとは考えられない。全部
計画造船でやれば別ですよ。それでぎっちり縛るということになれば別でありますが、そうでない限りはできないですね。しかもいま問題は、
安定輸送じゃなくて、そういう物資を安定して確保できるかどうかの問題になってきている。そうでしょう。そういうことを考えれば、
安定輸送というものをあまり強調し過ぎると問題が解決できないかもしらぬという心配がある。それが証拠に、
日本の中核六社もそれぞれ海外にぺ−パーカンパニーか何かわかりませんが、最近流行の多国籍企業というか、そういうことになってきて、中核六社だけで
外国に商社を持っているのが四十七社あるのだ。みな
海運会社だ。四十七社持っている。昭和
海運がないだけであとはみな持っているわけです。この四十七社を持ってやっているということと、もう一つは、さっき言った
仕組み船あるいは便宜置籍船——便宜置籍船も、先ほど来御説明があったように、
かなりふえているわけです。あるいは海外売船ということでやっているわけです。そうなると、
計画造船を中心にした
海運政策というのは、はたしてどこへ行くのだろうかという気持ちが私
どもはするわけなんです。これが全部いいということではありませんよ。ありませんが、どこに行くのだろうかという気持ちがする。そういう問題に対して明確に
政府がお答えいただけるかどうか、私
どもは疑問に思っているのです。
それから、発展途上国のいわゆるUNCTADにおけるところの主張も、これも無理からぬ点が数々あると思うのですね。わが
日本国としては、UNCTADにおいて、どういう代表が行ってどういう発言をしているのか知りませんけれ
ども、こういう問題に対していかなる方針をもって代表はやっておるのかどうか、そういうものをひっくるめて今後の
海運政策というのは考えるべきだし、
日本の国内における
産業構造も変えなくちゃいかぬというのが大方の意見ですね。固定はまだしないようでありますが、大方の意見です。そうすれば、よってもって
貿易構造も変わってくる。
貿易構造も、そればかりじゃなくて、たとえばソ連、中国との
貿易も従来にましてふえてくるというかっこうですよ。そういう中で、いままでどおりの
計画造船を中心にした
海運政策でやっていけるのかどうかという問題がある、
意味があるかどうかという問題がある。
それからもう一つは、船員
局長もおられますが、大体船員局のこの船員需給
計画なんというものは、見通しというのは、
計画造配の数ができてからこれに合わせて策定しているようですね。それでいいんだろうかということ。なるほど
計画造船だけに合わせればいいかもしれないが、片方では便宜置籍船なり売船というのがどんどん
仕組み船で行っているわけです。そうなると、これは船員の需給
計画などは、いままでのような、極端なことを言いますれば、
海運政策にはちっとものっていないということです。のっていないから、よって持っている養成
計画は軌道に乗っていない。だから、せっかく海技大学で再訓練しようといっても、人が集まらぬということ、あるいは海員学校には入ってこないということなんですね。そういうものについてひとつこれは
海運局長、本来ならば大臣だろうけれ
ども、大臣おられないし、まず専門家の
海運局長、それから船員
局長、それから
船舶局長、そういう方から一言ずつでいいから、どういう考えをしているのか、お聞きしたい。
その前に、時間がなくてせっかく呼んで帰られても困るから、文部省おいでになっていますか。あなたは、もちろん文部省だから御存じないかもしれませんが、海員学校といって中学卒業で二年課程の船員を養成する学校が御承知のとおり
運輸省の中にあるわけですね。これは二年でありますから高校卒業の資格はもちろんありませんし、これは文部省の認可校でありませんからないんですね、各種学校になっているのか知りませんが。そこで、これらの人たちが海員学校を卒業して上の学校へ行こうとすれば、上の学校はみんな文部省です。商船専門学校というか、高等専門学校というか、そういうのは五年課程のものがあるが、これも中間から入れるような仕組みにはなっていない。商船大学はもちろんのこと、これは入る資格はないということなんですね。そういう矛盾があるから、一つには魅力がないから入ってこない。これはやはり魅力を持たせた学校にすることが一つだろうと思うのです。
それから、二年というのは非常にはんぱだと思うのですね。職業訓練校だと私は思うのです。学校じゃない。だから私は、少なくとも最近における教育の問題からいっても、中途はんぱな二年のような、高校にあらずして中学卒業者を入れるというような学校があってはいけないと思うのです。この際は、船員
局長の意見もあとから聞きますが、二年課程じゃなくて、必要あれば三年課程にして、高校卒業と同じような資格を与えることが一番いいのではないかというふうに思うのです。
そういうことに対して文部省はどんなふうにしたらいいか、もちろん二年で高校卒業の資格が与えられるくふうがあればこれはけっこうなんでありますが、与えられないとすればどうするか、いかがですか。