○
内田政府委員 第一点の
造船用の鋼材の問題でございますけれ
ども、これは
先生御
承知のように、大手
造船業というのは鉄鋼メーカーと長期的な契約を結びまして、ある
程度安定した
価格で入手しておるわけでございますけれ
ども、中小
造船は間に二次とか三次の販売店等が入っておりまして、そういう場合が非常に多うございますので、値上がりとかそういうようなことに対しまして非常に敏感な
状況にあるわけでございます。私
どもといたしましては、昨年夏やはり鋼材の
価格の高騰がありまして、一時は二倍近くの値上がりを見たわけでございますが、そのため中小
造船業が大手と同じように、長期予約による購入とか、あるいは昨年と同じような鋼材のあっせん相談所等の利用ということが行なわれ、今回もそのような希望を出しておるわけでございます。私
どもといたしましては、鋼材の
価格そのものの凍結という問題につきまして、従来から通産省とも話し合っておるわけでございますけれ
ども、今後とも政府全体の物価抑制策の一環として、通産省にこの鋼材の
価格抑制ということを強く要望していく所存でございます。
それからもう
一つは、現在、従来からわれわれがやっております中小
造船対策といたしまして構造改善というのがございますが、その一環といたしまして、そういう鋼材を
中心とします資材の共同購入の推進であるとか、あるいは地区にそれぞれ小型
船舶工業会等がございますので、そこを窓口として一括購入をはかるというような指導を行なっておりますし、今後もそういう点を推進していきたいというふうに考えております。
それから、関連工業製品の問題でございますけれ
ども、御
承知のように
造船関連工業につきましては、
船価の四〇%ぐらいが
造船関連工業でございまして、またそれが大部分が中小企業でございます。で、政府系の中小向けの金融機関としまして中小企業金融公庫あるいは商工組合中央金庫等がございますが、これらと
日本開発銀行の設備資金あるいは運転資金の融資あっせんを行なって、従来から舶用機器の供給あるいは
価格の安定をはかってきておるわけでございますけれ
ども、特に最近の資材の
価格の高騰、それから場合によっては入手困難というようなことが間々あるわけでございます。そういう面につきまして、特に主要材料につきましては、先ほどの鋼材と同じように、
価格抑制あるいは入手確保について、所管の通産省等にお願いをしているという実情でございます。
なお、今後の問題でございますけれ
ども、特に需給不足ぎみである一部の資材については、いわゆる海外から調達するということも考えていいのではないかということにつきまして検討しているという実情にございます。
それから第三点の中小
造船業の
輸出の問題でございますけれ
ども、これは
先生御
承知のように、基本的には、中小の船というのは、それぞれの仕向け国が自国で
建造するというようなことがございまして、大きい船のように活発に入り込むというのは非常にむずかしい面もあるわけでございますけれ
ども、いま
先生御指摘のように、安定操業という面から見れば、やはりある
程度の
輸出船というのは確保する必要がある。そういう
意味で御
承知の
日本中型
造船工業会等を指導いたしまして、毎年東南アジアであるとか、あるいはアフリカ、中南米等に企業の代表等を編成いたしまして、海外の市場調査あるいはPR等をやっておるわけでございます。
なお、法制的なあるいは税制的な措置といたしましては、資本金十億以下の中小企業の海外市場開拓の助成措置といたしまして、租税特別措置法によりまして海外市場開拓準備金制度が認められております。この制度を今後とも活用させるようにしてまいりたいということでございます。
それから、いわゆる下請関係あるいは大手企業との系列の問題でございますが、特に最近中小
造船業が
船舶の大型化等によりまして、
造船所自体あるいは船の構造が変化してまいっております。そういう
意味で中小
造船業といえ
ども、大型船
建造を目ざして施設の
整備をはかりつつある実情でございます。その場合に、
建造技術等については改善を要するような余地が非常にございますので、これにつきましては優秀な
技術を持っておる大手
造船所の
技術等の指導をさせるようにしておるわけでございます。
なお、
造船業は、御
承知のように二百数種の関連産業をかかえておる
一つの総合産業でございますので、特に下請の問題が重要になるわけでございますが、これは
先生御指摘のように、下請企業につきましては、経営とか
技術とかいろんな面で向上をはからせる必要があることは申すまでもございません。
そこで、われわれの法制的な問題としましては、
昭和四十六年に
造船業を下請中小企業振興法の指定業種に指定する一方、下請企業の全国組織といたしまして社団法人である
日本造船協力者団体連合会というものを設立されまして、そして発注の分野であるとか、発注の方法であるとか、あるいは単価決定等のいろいろな取引条件の改善とか、あるいは親企業と適正なルールを締結させるというような面で指導しているという実情でございます。
それから、その次の中小
造船業の体質強化、改善等につきましては、御
承知のように総トン数三千トン未満の
造船業というのは
昭和三十四年から中小型鋼
造船業合理化臨時措置法というのがございまして、近代化を実施してまいったのでございますが、さらに四十一年度から四十七年度企業近代化
促進法の指定業種といたしまして合理化を行なってきたわけでございます。しかし、中小
造船業というのは、最近の
経済動向とかあるいは
技術革新とか労働力とかいろんな問題をかかえておりますので、昨年七月に、いま申しました中小企業近代化
促進法の政令を
改正いたしまして、その中小
造船業の範囲を一万総トン未満の船を製造、または修理する企業ということに中小
造船業を定めまして、特定業種に指定したわけでございます。こういう特定業種に指定されますと、集約とか業務提携とか構造改善事業を実施する企業に対しましては、中小企業金融公庫の構造改善融資制度による設備資金とか、あるいは運転資金の融資、あるいは中小企業振興事業用資金の優先使用等金融面でいろいろ助成を行なうということができますし、またさらに二分の一の割り増し償却制度等税制面での優遇措置も設けられておるという実情でございます。
なお、この中小
造船業の構造改善
計画につきましては、私
ども先ほど
お話のありました社団法人である
日本中型
造船工業会とそれから地区の社団法人小型
船舶工業会を
計画の作成主体とさせまして、いろいろ準備を進めております。現在、千三百社のうち約七百社が参加して、明年度から五カ年
計画で実施するということになっております。