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1974-03-05 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月五日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 太田 一夫君    理事 兒玉 末男君 理事 三浦  久君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    宮崎 茂一君       綿貫 民輔君    金瀬 俊雄君       神門至馬夫君    斉藤 正男君       坂本 恭一君    土井たか子君       梅田  勝君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省航空局長 寺井 久美君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君  委員外出席者         環境庁企画調整         局企画調整課長 青木 英世君         環境庁大気保全         局特殊公害課長 鈴木 善晴君         運輸省航空局監         理部監督課長  山本  長君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         運輸省航空局飛         行場部騒音対策         課長      棚橋  泰君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   久保 三郎君     土井たか子君   斉藤 正男君     岡田 春夫君 同日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     斉藤 正男君   土井たか子君     久保 三郎君     ————————————— 三月一日  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障  害の防止等に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出、第七十一回国会閣法第七一号)  船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律  案(内閣提出第二八号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。石田幸四郎君。
  3. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 大阪国際空港公害訴訟判決に対するいろいろな評価があるわけでございますけれども、まず運輸大臣に基本的にお伺いをいたします。  この公害訴訟判決に対していろいろな角度からの考え方があると思うのですが、判決の結果は結果といたしまして、私ども運輸委員会として現場をいろいろ視察をいたしたのでございますけれども、たいへんに被害のひどいところは一分半ないし二分間隔ぐらいで大型ジェットが飛び立って、そのジェット騒音におけるいろいろな被害意識というものは、いわゆる地元人たちに言わせますと、受忍限度を越えておる、こういうようなところがらこの公害裁判が起こったわけでございます。  大臣現場状況についてはいろいろ御存じであろうと思うのでございますが、そういう現場における現実と裁判の結果というものは、いわゆる公共性という問題もからんで、必ずしも現場の希望とは一致しなかったと思うのでございますけれども、そのギャップについて運輸大臣はどのようにお感じになっていらっしゃるか、まず基本的にその問題からお伺いをいたしたいと思います。
  4. 徳永正利

    徳永国務大臣 周辺皆さん方が、いろいろな面で騒音公害に悩まされていらっしゃる、また御迷惑をかけていることは、私も現場をよく承知しております。それにつきまして、判決判決といたしまして、運輸行政の面からそういう問題を少しでも軽減していく、取り除いていく、こういうことに全力をあげていかなければならないと思います。  なお、この判決を契機といたしまして、騒音公害というものを、ただ需要の面からのみこれに対処してはいけないんだということを、さらに明確に肝に銘じておるわけでございますが、これから先のこの騒音削減のために、いろいろ今日までも御説明申し上げてきておりますけれども一つ減便、もう一つ減便するために代替機関をどういうふうに振り向けるか、いわゆる新幹線にどういうふうに振り向けるか、あるいはまた、地元住民皆さん方の御理解をいただいて、その上でエアバスを使って減便をさらに大幅に具体的なものにしていくか、こういう点等についていま検討を命じておるところでございますし、今後も地域住民皆さん方のそういった要望にこたえていくつもりでございます。
  5. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 具体的な対策というのは、これから順次検討して進めていくんであろうと思いますけれども、あの大阪国際空港におきますところの騒音被害が著しく増加をしたのは万博以降である、こういうふうな話がございますし、現にデータもそういう実態を示しているわけでございますけれども、このいわゆる経済優先の今日の社会環境からいって、航空機の増便という問題は、これは日本的に拡大をされることは当然でありまして、また世界的にもそういう要請というものが、増加することはあってもなかなか衰えることはなかろう、こういうふうに考えられるわけでございます。  まあ、航空機を利用しての経済性というものは、われわれの日常生活にとっては非常に大きな利便を与えるわけでございますから、どうしても人間心理状態としては、簡便にそういうものを利用したい、そういうような方向へ流れていくのがいわゆる人間欲望の本性ではなかろうか、こういうふうに私は思うわけでございます。  しかし、それを野方図に認めておったのでは、今回のような問題が起きてくるわけでございます。今後、運輸省といたしましては、そういう人間の基本的な環境権を守るという、裁判の結果では環境権が明確には認められておりませんけれども、しかし、大きな被害を与えることは認めておるわけでございますから、そういうような人間のいわゆる生活環境を擁護するという方向と、それから日本的、世界的、いわゆる全社会的な要請で起こってくる航空機増加の問題、こういう問題をどこで整理をするかということが、今後の基本的な大きな問題になってくると思うのです。そういった意味で、大臣はそこら辺のところをどう整理して今後の運輸行政を進めようとしていかれるのか、この点について若干お伺いしたいと思います。
  6. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように、まず航空機は安全でなければならぬ、これが欠除しておりましたら、これはもうたいへんなことでございます。その上で需要をどういうふうに、地域住民皆さん方に御迷惑のかからぬような範囲でこの調和をはかっていくか、この辺がいろいろ議論され、むずかしいところでございますけれども、基本的には、やはりただいま航空審議会におはかりしてやがて結論をちょうだいできると思いますが、新空港の建設がやはり根本的な解決の道だと思うわけでございます。しかし、これはそう一ぺんに、言うべくしていくわけじゃございませんから、多少の年月がかかります。したがいまして、その間におきましては、ただもう、めちゃくちゃに便数を減らせばそれでいいじゃないかというのではなくて、便数ももちろん減らしていかなければなりませんし、先ほど申しましたような、いわゆる音源対策一つ一つきめこまかにつぶしていきまして、その騒音を取り除いていく、こういう方向でございますが、その辺の調和を、実は代替機関問題等もからめましてはかっていかなければならない。では具体的にいつから何便どうするんだというようなことになりますと、先ほど申し上げましたように検討さしている最中でございますし、航空会社に対しましても、いろいろ調整を命じているところでございます。
  7. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 なおその問題についてお伺いをしたいのでございますけれども、いわゆる大阪国際空港というのは都市型の空港でございますので、確かに大臣がおっしゃったように、新空港を新たにつくることがあの周辺騒音公害をなくす基本的な問題であろうことはわれわれも異論がないのでございますけれども先ほど来申し上げておりますように、人間欲望というのは際限がないわけでございまして、そのもとから起こってくる需要というものをある程度基本的に押えるという線が、どうしてもこれからの航空行政の中には出てくるであろう、こういうふうに思うわけでございます。  現に、大阪国際空港にいたしましても、十年前あるいは十五年前でございますと、あの周辺にはそれほどの人口の過密は見られなかったわけでございますけれども、いわゆる交通機関の発達とともにあの国際空港近辺が非常に便利になって、そうしてそこへ、少々の騒音があっても土地を購入して住宅を建てるというような経過を見てみますと、たとえば、私は名古屋でございますけれども名古屋空港というのは御存じのとおり小牧にございますけれども、これもだんだん過密化方向へ歩んでいるわけでございますが、そういうようなことが随所に出てくるであろう。東京におきましてもそういうような航空騒音についてはかなりのアピールもあるようでございます。したがって、そういう人間欲望から生まれてくる需要をどこでチェックをしていくかということが、確かにそれは音源対策、いろいろな問題はからんでくると思いますけれども、しかしいままでの科学技術の進歩の状況からいって、急速にこの問題が解決される、ここ二、三年で音源対策が完全にめどがつくというふうにはなかなかまいらぬのでございます。あるいはまた、将来そういうような方向が出てくるといたしましても、あるいはエアバス導入するといたしましても、この欲望際限なく拡大をされれば、やはりまたエアバスの回数がどんどんふえてくるということで、そういう危険性、あるいはまた騒音問題、先ほどエアバス騒音がどのくらい出るかというデータも見ましたけれども、そう大きな違いはないわけでございますので、そういうふうに考えてみますと、今後そういうふくれ上がってくる需要をどういうふうにリードしていくか、この基本的な線を明確にしていかないと、航空行政の将来はないのではないかと思うのです。そこら辺、どういうふうにお考えになりましょうか。
  8. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま大阪空港中心お話だと承っておりますが、大阪空港につきましては、過去二年間もう便数はふやしておらない、そのまま押えているのだそうでございます。また最近も、油の事情航空会社減便いたしまして、三月多少油の余裕も出てきたからということでございましたけれども、私どもとしましては、大阪特殊事情考えて中止しておりました飛行を、三月待てといって待たしておるわけでございます。そういうようなことで、特別な配慮をしつつ、そういう特殊な問題をかかえております大阪空港に対しては、非常にその点がむずかしい問題でございます。しかしながら、おっしゃいますように、大型機導入した、また需要がふえた、また便数をふやすというようなことは、ただいまのところ考えておりません。また、御理解をいただいて、もしも大型機が就航できるようになりましたならば、もうたびたび申し上げておるように、減便することには努力を続けてまいるつもりでございます。しかし航空全体といたしましては、まだいまから新しい空港、あるいは辺地離島等に対するいろいろな航空対策というものがあろうと思います。そういう面につきましては、今後はいままでの苦い経験を十分反省し、基礎といたしまして対策を立ててまいらなければならないと思います。昨日熊本県知事に会いまして、熊本県知事の申しますには、大体この辺は騒音の問題になるであろうというところは県有地として全部県で買い上げた。したがってその中では建築も県の許可がない限り、県有地でございますからできないわけでございますが、そういうようなこと等も一つ模範——模範といってはおかしいですが、一つの例だと思います。今後はそういうようなものをあわせ考えて、離島辺地航空対策等にも取り組んでまいらなければならぬと思います。  大阪現状は特殊的なもので、これには特別な対策を立てるということでただいま御審議をお願いしておりますが、これで全きとは私は思いません。いままで各委員からいろいろ御指摘がございましたように、これで全部が解決するとはとうてい思いません。今後こういうものをさらに資金の面におきましても、あるいはいろいろな施策の面におきましても、拡張し改善してまいりまして、新空港ができる間におきまして住民皆さん方の御迷惑を少しでも除いていかなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
  9. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 もう一点、基本的な問題として大臣に見解を求めたいのでございます。  いわゆる行政の立場として、日本の国民全般に対して、人間らしい生活を守りつつ進歩発展していくための責任を持っていらっしゃるわけでございますけれども、同時にこれは非常に人道的な問題であるわけですね。したがって、大臣といたしましても、大阪国際空港周辺住民方々のことを考えた場合、あそこに住んでいらっしゃるお年寄りにしても、あるいは子供さん方にいたしましても、一番端的な例は、いわゆるわが子のごとく考えていけば、どうしてもこれは何か早急に対策を立てねばならぬということになろうかと思うのです。そういうようないろいろな住民苦情について、大臣はどのように認識をしていらっしゃるのか。また、それらの方々苦情を何回もお聞きになっていらっしゃると思うのでございます。やはり人間の受け取る感覚というのは各人によって違うわけでございますけれども、まずわれわれは認識を深めるところから始まっていかなければならない、こういうふうに思うわけです。ひとつそういった意味におきまして、大臣住民方々のいろいろな訴えをお聞きになってどう感じていらっしゃるか、まずこの点をお伺いいたしたいと思います。
  10. 徳永正利

    徳永国務大臣 住民皆さん方の非常な悲痛な訴えというものは、私も胸に迫るものがございます。したがいまして、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、それを少しでも軽減するように、一歩でも二歩でも前進するように今後行政の面で努力を重ねてまいらなければならない、かように決心をいたしておる次第でございます。
  11. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 私の質問は、非常にお答えにくい抽象的な問題でございまして恐縮でございますが、そこまで大臣住民被害意識というものを受けとめられ、それを改善するための決意を示していらっしゃるわけでございます。そしてさらに、この大阪国際空港騒音問題を解決するためには、減便あるいは輸送代替機関、あるいはエアバス導入等いろいろな現実的な対策、それから整備機構を通してのそういう地域住民に対する対策、いろいろこれからやろうとしていらっしゃるわけでございますが、特に減便代替機関エアバス、こういうような問題については、やはり早い機会にそういうような方向を何とか導き出したいということを明確になさることが、今回の公害裁判を起こした人たちの苦痛にこたえる行政姿勢であろうかと私は思うのでございます。したがって、そういうようなことを一体いつごろまでに結論を出されるのか、こういったことが私は非常に大事じゃないかと思います。この点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  12. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  大阪空港中心といたします減便につきましては、エアバス導入ということによって減便をすることが非常に効果的でございますので、地元方々に対しまして、エアバス導入によって東京大阪間の便数を二分の一程度にするということでいまお話し合いをしておる段階でございます。  ただいま先生指摘のように、いつごろまでにそのめどがつくかということにつきましては、われわれとしては地元方々の御理解を得なければならない、御理解を得る努力を十分させていただきまして、できるだけ早い時期にこれを実現させていきたいというふうに考えております。
  13. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 そういうできるだけ早くというようなことは、それは新聞等でも何回も拝見をいたしておるわけでございます。いわゆる公害裁判一つの判定が出た結果において、それだけまた住民方々は、今回の裁判についてもいろいろな不満を持っておられるわけです。したがって、先ほど来申し上げているように、そういった人たち不満を解消しなければ、そういう苦情に対して前向きの姿勢で明確な取り組み方をしなければ、さらに問題がこじれて、感情的なもつれも生まれてきて、かえっていま計画していらっしゃるエアバス導入によるところの二分の一程度減便という問題だって、だんだん問題がこじれてくればくるほどやりにくくなるのではないかと思う。  そういうことで、運輸行政担当者として、いつごろまでにそういうようなめどをつけるのか、あるいは住民理解が得られればいつごろまでにはそれを明確にしたいんだ、それまでに住民との話し合いをするんだとか、こういうスケジュール話し合いをしていくんだとか、そういう日程に従ったスケジュールというものを明確にしなければ、かえって住民感情というものは、皆さんが期待していらっしゃるのと逆の方向拡大するおそれがあまりにも多く感じられますので、私はあえて申し上げておるのでございます。可及的すみやかにというのははなはだ政治的な答弁でございまして、それではいかぬと思うのですよ。そういう意味でお伺いしておるわけであります。
  14. 寺井久美

    寺井政府委員 先生の御指摘まことに私どもごもっともと存じます。私どもといたしましては、できれば四月中にエアバス導入をはかりたいということで計画を進めております。しかし、先ほども申し上げましたように、地元方々の御理解をいただくのが先決問題でございますので、これを積極的に進めなければならない。はっきり期限を明示いたしますということは、また場合によりますと見切り発車につながるというおそれもございますし、私どもといたしましては十分意を尽くして話し合いを続けたいというふうに考えております。ただ、ただいま御指摘のように、どのくらいにめどを置いておるのかという点につきましては、できれば四月中に実現したいというふうに考えております。
  15. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 一応了解をいたしました。  さらに、代替機関の問題につきましては、これは運輸大臣も当委員会で言明していらっしゃるわけですし、三木環境庁長官においてもそのようなお話があるわけでございますが、現実問題として、そうしますと東京大阪間のいわゆるジェット機によりますところの輸送をある程度減らすということになりますと、これは大ざっぱでけっこうでございますけれども、どの程度めどをつけていらっしゃるわけですか、人数の点、あるいはやり方の点、あるいは時期的な問題、三点含めてひとつお願いいたします。
  16. 寺井久美

    寺井政府委員 人数その他については、非常に大ざっぱなことでございますが、まず先ほど大臣が御答弁申し上げましたけれども東京大阪便数はここ数年来固定いたしておりますので、・輸送力といたしましてはそれほど増加いたしておりません。非常に乗りにくい状態になっております。そこで、さらにこれから減便をするということによりまして輸送力が大幅に減少するということでは、やや混乱が起きるのではないかというおそれもございます。したがいまして、エアバスの一機について非常に輸送力が多うございますから、このエアバス輸送力増減便とを大体相殺いたしまして、現状よりはやや輸送力が減るかもしれませんが、大体現状程度輸送力東京大阪間については確保していきたい、このように考えております。
  17. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 そうしますと、いま航空局長のおっしゃった話でございますと、新幹線による代替機関ということの発言は全然なかったわけでございますが、しかし新聞で散見するところによりますれば、そういうような構想もあるやに、これは私確認したわけじゃない、初めて確認するわけでございますので、もう少しそこら辺のところを明確に、やるのかやらないのか、やるとすればどの程度の規模を考えておるのか、おっしゃっていただきたい。
  18. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと説明不足で申しわけございませんでした。輸送力に対しまして需要のほうが非常に多い状態になっておりますので、現状を維持したままで航空輸送力をおきますと、そのあふれたお客というものは新幹線に転移せざるを得ない、こういう状態でございますので、何列車分に当たるかというこまかい計算はいたしておりませんけれども、大体東京大阪間の一日の航空機座席数というのは約一万でございまして、それ以上の需要に対しましては、これは新幹線で運んでいただくよりしかたがないというふうに相なるかと思います。
  19. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 そうすると、新幹線説というのは、従来、今日でもいわゆるあふれている分を運ぶんであって、現在の一万座席を減らしてまでも新幹線による代替輸送をするという意味ではないということのようでございますね。そう確認してよろしゅうございますか。
  20. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のように、近い将来すぐそういうことになるということではございませんで、輸送需要というものは年々ふえております。したがいまして、その需要は当然新幹線代替輸送をしていただかなければならない。先ほど来御指摘のありましたように、便利な輸送機関を使いたいという欲望とのバランスという面からいきますと、やはりその辺はがまんしていただいて、鉄道で旅をしていただく、こういう結果になりますので、長い目で見ますと、相当量新幹線に転移するという結果に相なると思います。
  21. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 その問題だけをやっているわけにまいりませんので、そこら辺でピリオドを打つとしまして、減便をはかってそういった騒音を大幅に減らしたい、そのためにはエアバス導入が不可決であるという今日の運輸省姿勢であろうかと思うのでございますけれども、時あしくもああいうエアバスの大きな事故が報道されましたので、これに対して非常な新たなる不安が、大阪空港周辺住民の中に起こってきたことは否定できない事実であろうと思うわけでございます。一体、エアバス導入計画はどうなっておるのか、それから、特にエアバス導入計画についてはどういうふうに機器の購入計画を立てているのか。あるいは機種が、三つの機種選定するようにいままでのデータの中からでは伺っておるわけでございますけれども、その選定基準はどういうふうにされるのか、この問題についてお伺いをいたしたいと思います。
  22. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  エアバス購入計画につきましては、四十九年度用のエアバスといたしまして、日本航空ではボーイングの747SRを五機、全日空ではロッキードの一〇一一型機を六機発注いたしておりまして、すでに受領いたしましたものを含めて、本年六月末までにすべて就航する体制になっております。なお、五十年度用機材といたしましては、日本航空が二機、全日空が四機を発注しております。  この機材選定につきましては、これは私どもといたしましては、航空会社が一義的に決定をすべきであるということで、この選定基準その他につきましては航空会社決定をいたしております。
  23. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 そうしますと、日航、全日空等におきまして購入計画を立てたものの、いわゆる最終的な航空局としてのいろいろなし——テストパイロット等を使ってやるんだと思うのですけれども、そこら辺の、試験飛行の最終的な確認はいつごろまでに行なわれることになりますか。
  24. 寺井久美

    寺井政府委員 新機種を購入いたします場合に、滞空性の問題とか安全性の問題につきましては、航空局として一つのきまった手続で検査をしておりますので、この点につきましては技術部長のほうからお答えさしていただきたいと思います。
  25. 中曽敬

    ○中曽政府委員 いまの局長の御説明を補足さしていただきますが、就航にあたりましては、そういったパイロットの養成、それからこれは整備関係になりますが、整備員の養成、そういったもろもろの要員の養成をやらなきゃなりませんけれども、さしあたり御質問のパイロットの問題につきまして申し上げますならば、パイロットにつきましては、大体アメリカで所要の訓練をやりまして、そして私どもの審査を受けまして、そして路線に就航できる、そういう資格を取得するわけでございます。われわれといたしましては、質、量ともに十分安全な運航ができるように、そういったパイロットの訓練につきましては万全の配慮を払いましてやっておる次第でございます。
  26. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 万全な配慮をして一生懸命やっておるということでございますけれども、その就航が本年六月というふうにいま航空局長がおっしゃったわけでしょう。もういまの時点でそういうような体制は完備しているのか、あるいはいつごろまでに完備させるということでそういうスケジュールを立てているのか、そういった点を伺っておるわけです。
  27. 中曽敬

    ○中曽政府委員 機種がきまりましたのが四十七年の十月かと記憶いたします。したがいまして、かなりのリードタイムをとりまして、航空会社としてもこういった訓練の問題につきましてはやっておるわけでございます。われわれといたしましても、航空会社から逐一報告を受けまして、訓練計画が十分余裕のあるものであるかというふうなこと、あるいはどういう質のパイロットをあてがうのかというようなことにつきまして、十分審査をしつつ行政指導をしてまいっておりまして、今回の就航にあたりましては全然問題がないというふうに、私どもとしましては判断しておる次第でございます。
  28. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 それでは、そちらのほうでは問題ない、そういうふうなことをおっしゃっているようでございますが、いままでの新機種採用にあたってのいろいろなパイロット等の訓練もありましょうし、そういうものがどのようなスケジュールで確認をされたのか、そういった問題についての資料をひとつ出して報告をしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。  では、次の問題に移ります。  航空局長さん並びに大臣に聞いていただきたいのでございますけれども、このエアバスと在来機との騒音等の比較が航空局から資料として出されております。確かに、この資料によりますれば、特にDC8等と比較しますと、騒音が多い場合にはこれは二十ホンぐらい違うというような報告書になっておるわけでございまして、その面は多少進歩しておるように思います。また、結果的には減便されるわけでございますから、これが就航いたしますればかなり騒音関係が緩和されることは言うまでもないわけでございますけれども、しかし、その中で特に私のほうが気にしておりましたのは、それだけ機種が大型になるわけでございますから、排気ガスの問題がどうなるか、こういう問題が非常に実は心配であったわけでございます。  航空局からこういう資料をいただきました。それによりますれば、エアバスの場合、ボーイング747SR型、これでいきますと、離陸推力が八十二トン、在来機のDC8で三十二トン、こういうふうになっておりまして、エアバスの燃焼ガス量は在来機の燃焼ガス量の約一・六倍である、また、そのときのエアバスの離陸推力は在来機の離陸推力の約二・六倍になる、こういうことが報告書の中にあらわれておるわけなんです。いわゆる離陸時に在来機のDC8なんかの約二・一六倍ということになりますと、今度はたいへんな排気ガスの問題が出てくるわけでございますが、この問題についてはどう考えていらっしゃるか。これはこの前も御指摘申し上げましたように、いわゆるジェット燃料比というのは原油の一〇%に当たるわけでございますので、その便数が減ったからといって、二・六倍もの離陸推力が出て、そのときにおける燃焼ガス量というのは非常に大きい一・六倍、そういうようなことになりますれば、エアバスによって便を軽減したといっても、かえって今度はそういう排気ガス量というものが在来とほぼ同じくらい、あるいはそれ以上ふえるかもしれない。そして、エアバスによって一応便数は軽減されますけれども、その後の社会情勢によってはまた幾らかずつふえてくるかもしれない。そうすると今度は、排気ガスの問題で非常に話題がまた大きくなって、反対運動も当然激しくなるだろう、住民サイドの被害が大きくなるんじゃないか、こういう心配がありますけれども、いかがでしょうか。
  29. 中曽敬

    ○中曽政府委員 せんだってのこの委員会でも御説明申し上げたのでございますけれども先生がおっしゃいますように、ボーイング747SRと、それからダグラスDC8−61型の推力を比較いたしますと、最大出力でございますが、八十二トン三十二トン、この倍率は二・六倍、エアバスのほうが二・六倍大きいわけでございます。ところが、これをいわゆる燃料消費量からはかりまして、大体燃料消費量に総燃焼排出ガス量というものは比例するものであるというふうに考えますと、一秒間にエアバスが約八キログラム、DC8が五キログラムの燃料消費をいたします。したがいまして、これに比例して燃焼ガスが排出されるというふうに考えますならば一・六倍であるということでございます。したがいまして、出力は二・六倍であるけれども、排出燃料ガス量は一・六倍にとどまるということでございます。  さらに今度は、汚染物質の量というふうなことからこれを見てみますならば、一応汚染物質というものが一酸化炭素、そして窒素酸化物、それから炭化水素というふうに考えまして、これらの合計をとって比較いたしますと、標準サイクルという一つのサイクルがございますが、このサイクルについて申し上げますならば、約三十分間の一サイクルにおきまして、ボーイング747SRは約百五十キログラムそれからダグラスDC8は約百八十キログラム、したがいまして、この数字から比較します限りは、大きいボーイング747のほうがダグラスDC8に比べまして汚染物質の合計量はむしろ少なくなっておるということでございます。さらにこれを一客席当たりの排出ガスの合計量というもので比較してみますと、747SRは〇・三キログラム、それからダグラスDC8は〇・七五キログラムというふうになりまして、むしろ客席当たりにいたしますとさらに町SRのほうが半分以下になるというふうな結果が出ておりまして、先ほどの説明にございましたように、一応減便という効果、さらにこういった客席当たりの汚染物質の量が少なくなるというふうなことを考えますならば、むしろ現状よりかよくなるのではなかろうかというふうなことが、この数字から推測されるわけでございます。
  30. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 この汚染物質の排出量の計算は、どういうようなやり方によって行なわれたのか。一サイクル当たりエアバスの場合は百五十キログラム、在来機の場合には百八十キログラム、ここら辺の数値がどのようにして出てきたか、これもあとで資料で御説明いただきます。  ただ大臣、私はいまの説明にたいへん不満なんでございますけれども先ほど来申し上げましたように、需要というものが拡大されればやはりエアバスもふえるわけですよ。ところが、先ほど来PRの一つの大きな根拠になっておるのは、いわゆるお客の数、一座席当たりについてボーイング747のほうがうんと少ないのだ、DC8に比べると半分以下であるというような論理で、これを地元へ持っていって説明しょうと思ってもそれは無理ですよ。そういうようなPRのしかたというものは、私に言わせるならば、はなはだ不遜なPRの姿勢であって、これはまずいのじゃないですか。現実はそうでしょう。だけれども便数だってふえてくる可能性だってあるのですし、現実にエアバスの場合は、燃焼ガス量は一・六倍になるわけですからね。そういうような数値がありながら、いや、一客席当たりに換算すれば少なくなるのですよというような言い方は、私は住民をまるめようというような姿勢が感ぜられてならぬわけなんです。そこら辺どうでしょう、こういうようなPRのしかたはまずいのじゃないですか。
  31. 徳永正利

    徳永国務大臣 お説のように、いま地元でどういう説明をしているか私よく存じませんけれども、そういうようなこまかい一座席当たりでというような排気ガスの計算までしているかどうか存じませんが、お説のように、住民にこういうことを訴えたってなかなか通じにくいと思います。まあ、ここの委員会の席でございますから、こまかいデータをあげて説明したんだろうと思いますが、御指摘のような点は十分考えていかなければならないと思います。
  32. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 最後に、今回のエアバスの事故についてまだ原因の究明が明確でないわけでございますけれども、原因がわかりましたならば十分な御検討を願いたいというふうに申し上げておきます。  そして、さらに今度は、いま問題になっております整備機構の問題に入りたいと思うのでございますが、この整備機構について私は非常な疑点を持っておりますのは、確かに大阪国際空港につきましては、地元方々も、基本的に新空港をつくって現在の空港を廃止するんだという立場に立つならば、整備機構についてはやってもらいたいというような意見もかなりの層にわたってあるようでございます。しかし、これからそういう形で各空港ごとに整備機構をつくって整備をしていくというようなことを考えますれば、いろいろな空港考えられるのでございましょうけれども、日本の各空港についてこれを全部——全部といっても関係のないところもありましょう。騒音にはそう大きな被害はないというところもあると思うのでございますけれども、一体、こういった整備機構スタイルというものを将来この大阪国際空港以外にどういうところに当てはめていこうと考えていらっしゃるのか、全部にそれを考えていらっしゃるのか、まずその点から伺います。
  33. 寺井久美

    寺井政府委員 整備機構につきましては、当面非常に騒音が問題になっております大阪の伊丹空港周辺考えて法案の改正をお願いしているわけでございますが、将来このシステムをどういうふうに拡張していくかという点につきましては、まず特定空港の中でも特に空港周辺が都市化するおそれのあるというところであって、府県知事がこういう整備機構をつくってやろうという御意思のあるところについて適用して、こういう機構で騒音対策を実施していきたい、こういうことでございまして、いまどこどこの空港にこれをやっていくという具体的なものは手元にございません。ただ将来の問題として、こういう可能性を考え、またそうしていったほうがいいだろうということでございますので、まず現在の特定空港の中から始めていく、こういう結果になろうかと思います。
  34. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 それではもう一つ、基本的な問題をお伺いをするわけでございますが、いわゆる第二次空港整備五カ年計画というものがいま進んでおるわけでございます。新聞によりますれば、第三次空港整備五カ年計画というものの骨子がまとまった、こういうようなことが報道されておるわけでございますが、この点については、明確に計画の骨子は固まったのでございましょうか。
  35. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のように、一部新聞に第三次空港整備五カ年計画について報道された事実がございます。しかしながら現在、私どもはこの準備の作業をいたしております段階でございまして、この骨子がきまったという段階までまだ到達いたしておりません。
  36. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 骨子がきまってないところをそういうような言い方をするのはまずいかもしれませんけれども、いわゆる利用者負担をふやそうというような考え方がこの第三次計画の中に盛り込まれるようなニュアンスの報道がなされておるわけでございます。同時にまた、いわゆる騒音料という問題がしばしばこれも所聞紙上話題になっておるわけでございますけれども、こういうような利用者負担という問題については、今後どういう形にしようと考えていらっしゃるのか、この点の構想があればお伺いしたいと思います。
  37. 寺井久美

    寺井政府委員 この第三次空港整備五カ年計画につきましては、空港そのものが地域社会と調和をとらなければならないし、また騒音対策の面でも十分な手を打っていかなければならないということで、相当膨大な財源が必要というふうに考えられております。  そこで、ただいま先生指摘のように、私どもといたしましては、原因者負担という方向でこの財源を生み出すべきであろうということで、内々検討をいたしておりますが、具体的にどういうふうなかっこうでこの負担をしていただくか。たとえば、おことばにもありましたように、騒音料というようなかっこうで取るにいたしましても、その騒音料というのはどういうふうにかけていくのかというような技術的な問題については、まだ検討中でございまして、一つ方向というところまでもまだいっておりません。ただ、原因者負担という考え方を貫いていこうという点だけは方向として方向づけられているかと存じますが、その徴収の具体的な方法等につきましては、まだ今後検討をして十分詰めていかなければならない、こういうふうに考えております。
  38. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 一月四日の新聞記事によりますれば、日航から配当金を徴収して騒音対策に活用したいというようなことが、いわゆる騒音対策の一環としてやろうじゃないかというような大臣お話が一時出たわけでございます。ところが、御存じのとおり年八%以下の配当ならば政府に配当しなくてもいいというようなことで、かなり収益がよくても八%以上にならないように押えていくような感じもあるわけですね。しかし、そういうような態度は、私ははなはだけしからぬと思うのでございますけれども、確かに日航それ自体は収益性が非常にいいわけでございますし、やはりこういった政府投資をしている会社でございますので、それだけの配当はきちんと受け取れるように行政指導をして、そういうものを騒音対策費のほうに回したほうがいいんじゃないか、こういうふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  39. 徳永正利

    徳永国務大臣 実は、それは私、正式な談話で発表したわけでもないわけでございますが、ボーナスなんかもたいへん景気のいいボーナスを出したという話も聞いておりますし、好調な業績をあげているということで、株主とすれば一言あってしかるべきじゃないかというようなところから、私、銭金の勘定のことはよくわかりませんけれども、そういう考えを一時持ったことがございます。まあ将来とも好調を続けていきますならば、どういうふうな形で配当をもらってどこにつぎ込むかというようなこともひとつ検討してみたいと思っておりますが、推移を見て結論を出したいと思っております。
  40. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 私はもう一つ基本的な問題で大臣にお願いをしたいのでございますが、大阪空港周辺に起こっているいろいろな苦情ですね。その中にはいろいろな形のものがあると思います。こういう問題について、運輸省として総括的にそういうような実態調査をなさって確実な資料を持っていらっしゃるかどうか。たとえば義務教育におきますところのいわゆる学童教育の騒音対策として、いろいろな窓ワク等あるいは建築物そのものの防音対策をしたようでございますけれども、今度はそれによって副次的ないろいろな被害もまた出てきているわけでございます。これは私たち委員会大阪へ視察に参りましたときに、いろいろな実態を訴えられたわけでございますけれども、そういった問題だけでは事は片づかないので非常に困っておるというような状況でございます。そういうようないろいろな被害の実態について、かなり幅広い実態掌握が必要なんではないか。それに対するきめこまかい対策を立てないと、地元のそういう不満を受けとめることはできないと思うのですけれども、そういう幡広い実態調査というようなものはいまどの程度行なわれているか、もしそれが不十分であるとすれば、将来ひとつしっかり掌握してもらいたい、こういう意味で御質問をいたします。
  41. 寺井久美

    寺井政府委員 航空局といたしましては、地元の十一市協の幹事会というものが定期的に開催されておりまして、ここへ常時参加させていただいて、この十一市協を通じまして地元のいろいろな苦情なり希望なりを現在までのところ承っております。  ただ、先生指摘のように、こういう場で十分とれるかという問題がございます。多少の落ちばある可能性もございますけれども、現在までのところこういう組織を通じて地元との連絡を緊密にいたしております。ただ今後ともこれは十分強化をしていかなければならないというふうに考えておりますので、さらにはこの連絡会なり幹事会を強化するなり、あるいは別の組織と一緒にするなり、今後の連絡体制については十分検討を進めさせていただきたいと思います。
  42. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 運輸省としては、そういう被害の実態についての確たる資料はございますか。
  43. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 お答えいたします。  被害の資料というのはいろいろあるわけでございますけれども、実は先ほど局長が申し上げましたように、地元からのいろいろな資料の御提供もいただいております。それから、私ども空港事務所に騒音調査室というそのための組織がございまして、そこで地元からの御意見、御苦情というのを整理いたしまして、月報等の形で中央に報告をする、こういう形になっております。
  44. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 これは航空局のほうに申し上げますが、そういった月報等の形で報告していらっしゃるそうでございますけれども、もし許すならば、そういった被害の実態調査、運輸省でどの程度つかんでいるか一ぺん見せてもらいたい、こう思うのです。また、それに対するきめこまかい対策を私のほうでも要求をしたいと思いますので、ぜひお願いいたします。  時間もあと二、三分になってきましたので、運輸大臣に特にお願いをするわけでありますが、やはり航空騒音、こういう裁判問題にまでなっておるわけでございますけれども、その被害を受けるのは個々の人間であり、また一つ一つの家庭であるというふうに、そういった家庭単位の考え方をしていかなければならないと思うのです。この整備機構の一環としては、ひどいところにおいては各戸の防音工事もやるんだ、こういうふうになっております。そのパーセント云々の問題については何回も議論がなされましたから私はいたしませんけれども、やはり人間の生きていく権利というものは基本的にあるわけでございまして、それを侵害しているというふうにいたしますれば、やはりそれを基本的に回復してあげなければ、一部を防音対策をやって、たとえば家族四人の場合、子供の勉強部屋も必要でございましょうし、あるいは夫婦の寝室も必要でありましょう。あるいは老人夫婦というような場合もありますから、そういう各家庭の状況に対応したものを多少金がかかってもやるんだ、こういうような方向でいかなければいけないと思うのです。  いまの原案でいきますと、一戸一室の防音対策、そういうようなことになっているのでございますけれども、これはかなり被害の意識を強く持っていらっしゃる人だと思うのでございますけれども、まるで密室に閉じ込めるのかというような反発も逆にいま起きておるわけでございますね。だから、一つの世帯単位の考え方をすべきではないか、あの問題はもう少し基本的に拡大できないかということでございますけれども、いかがでしょうか。
  45. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまの御指摘はごもっともな御指摘だと思います。私もこれを一室で全きなどということは考えておりません。まさに発足しょうとしているところでございますから、いろいろないままで組み立て方に困難な面もあるし、また不備な面もたくさんあるだろうと思います。しかし、今後におきましては、さらに予算の裏づけをとって、お説のような方向努力をしてまいるというととをここでお約束したいと思います。
  46. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 ではこれで終わりにいたしますが、いわゆる十カ年計画計画を進めていくわけでございますけれども、予算総額を見ましても相当大きな額にはなっております。しかし短時日の解決というものを地元のほうでは強く要望いたしておるわけでございますので、どうかひとつ、来年度の予算編成においては、運輸省としてはこの大阪国際空港周辺の整備に重点を置くんだということを腹におさめて、一日も早く住民のそういった被害を救済する政治姿勢を示していただきたい。これだけお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  47. 三池信

    ○三池委員長 坂本恭一君。
  48. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 エアバス問題がいまもいろいろお話がございましたけれども、いよいよ三月十日からですか、あるいは国内、札幌−福岡線では四月一日からということが、きょう地下鉄に乗ってきましたが、全日空の広告に出ておりました。そういうような状況の中で、一昨日悲惨な事故がございました。非常に前途暗たんたるものを私は感ぜざるを得ないわけですけれども、この事故について、けさの新聞報道等によりましても、旅行代理店、業者を通じた乗客の場合には、いろいろな便宜がはかられて、一般乗客についてはちょっとその辺の粗漏があるのではないかということも報道されておりました。その関係も含めて大臣の感想をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  49. 徳永正利

    徳永国務大臣 昨日のエアバスの事件につきましては、私、心から三百四十五名のおなくなりになった皆さま方に哀悼の誠をささげたいと思います。  なお、日本人が四十九名、一名はまだ確認されていないそうでございますけれども、乗客があったということで、私、実はまだ原因が明確になっておりませんから、その点を触れるわけにはまいりませんけれども、日本でもエアバス、これは俗名だそうでございますけれども機種はもちろん違うようでございます。こういう事件があったということで、しかも大阪皆さん方には、このエアバス導入により大幅な削減、もちろん他の面における削減も考えておりますけれども、そういうようなことを呼びかけている最中でもあり、御理解をいただくようにお願いしている最中でもございますので、実はたいへん大きな打撃と申しますかショックを受けたわけでございます。  これの原因が明確になり、なおまた現在も、東京−沖繩間は四十七年から現に飛んでいるわけでございますから、そういうような点等考え合わせ、また新しい導入につきましては、航空当局に命じまして納得のいく安全度についての検査、それから試験、そういうものを繰り返して確信のあるところでこれの運航をはからなければならぬというようなこと等々を考え合わせまして、この事故を一つの契機として、さらに飛行機の安全対策について進めていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  50. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 先ほど私が申し上げた、これはおそらく外務省の所管だろうと思いますけれども運輸省として一般乗客等について、日本航空が何らかの便宜をはかるというようなことも書かれておりますけれども、その関係について運輸省としては指示なり指導なりをやっているのかどうか、その辺をちょっとお聞かせいただきたい。
  51. 徳永正利

    徳永国務大臣 その詳細については、私のほうから指示をいたしておりません。
  52. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 九九・九九%とか、あるいはシックス・ナインですか九九・九九九九%の安全性の確率があるということがいわれていますけれども、やはり十万分の一の危険性の確率が出てくるわけです。その辺が特に、いま大臣もおっしゃったような、大阪のような空港でああいう事故が起きたらとんでもないことが−これからエアバスがどんどんふえていったら、その確率というのは、回数が多くなれば確率は上がってくるわけです。ですから、十万分の一だろうと一万分の一だろうと、やはりそれだけの危険性というものを常に念頭に置かなければいけないんじゃないかというふうに思うわけです。ですからその辺についての、運輸省の安全性は全く間違いないという決意のほどはわかりますけれども、その辺までについての運輸省の安全性の確認、そういう点について、今後どうやっていくのかという、概括的でけっこうですけれどもお聞きをしておきたいと思います。
  53. 中曽敬

    ○中曽政府委員 今回日本で日本航空全日空導入いたしますこのエアバスは、パリで落ちましたエアバスと違うわけでございますが、ただ同じ型のエアバス日本航空が二、三年先に導入することを計画しておるという話がございますけれども、一応今回の導入計画にのっておりますエアバスは、ボーイング747SRとロッキード一〇一一でございますが、これらにつきましては、いずれもメーカーが非常に過去の製造経験の蓄積を踏まえまして開発いたしました最新の機材でございますし、そしてまた、機体が大きくなっておりますので、各種の安全装置を搭載するのに十分なスペースがあるというふうなこともございまして、操縦系統とか機体構造とかそういった重要部分につきましては、異常が生じましても他の部材が働くとか、あるいは予備システムが働きまして安全を保つことができますいわゆるフェール・セーフ・システムというシステムが各所に採用されているわけでございます。さらに慣性航法装置とかあるいは高度警報装置とか、自動航行装置とかいいますような新規の技術が取り入れられておりまして、在来機種に比べますと、一段と安全性が高まっておるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。  そして、ただいま先生お話ございました、われわれとしてはどういうふうな方向でもってこの安全性を確認するのかというお話でございますが、われわれの手続といたしましてやります措置は次のような措置があるわけでございます。  まず第一に、いずれもこの導入されます飛行機は、米国でつくられる飛行機でございますが、米国のそういう製造工場へわれわれのほうの検査官を派遣いたしまして、そして実際に設計審査をやります。と同時に、設計審査が終わりましたら、実機一機ごとにいわゆる耐空性の検査というのをやります。  それから第二に、運航方法、整備方法につきましての技術上の基準を各航空会社につくらせます。これは運航規程、整備規程といわれるものでございますが、そういうふうな規程をつくらせまして、これをわれわれのほうで逐一詳細にわたって審査をするという手続をやるわけでございます。これは大臣の認可事項となっております。  第三に、運航、整備従事者の訓練及び資格取得等、つまり養成につきまして、質量ともに十分であるかどうかというふうなことを審査いたします。  第四に、エアバスの就航にあたりましては、航空法上の事業計画変更認可という手続が必要でございますが、これにつきましても、安全にかかわりますところの路線ごとの設備あるいは人員配置等、そういったものがどういうふうになっているかといったことにつきましての計画の内容を逐一審査をすることにしております。  第五に、運航を開始いたします前に、運航管理及び整備関係の施設等につきまして、われわれのほうで実地に検査をいたしまして当、不当を審査するというふうな手続を進めることになっておりまして、現に、目前に導入を控えましてわれわれのほうはこういった作業を進めている最中でございます。
  54. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 この問題にあまり時間をとるわけにもいきませんけれども先ほどもちょっとお話がありました大阪空港への乗り入れ計画ですね、その辺の具体的な話をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  55. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  エアバス大阪空港導入につきましては、先ほどもお答え申し上げましたけれども、できれば四月中に実現したいということで、地元の御理解を得るべくいま話し合いを進めておる段階でございます。ただ、四月と申しましても、一度にたくさん投入するわけにはまいりませんので、四月から順次ということになろうかと思います。
  56. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 先ほどお話にもありましたけれども地元の承諾が得られたら就航する、運輸省としてはその承諾が得られるとお考えになっているのか、そしてそれがいつごろの予定なのか、その辺のことをちょっとお聞かせください。
  57. 寺井久美

    寺井政府委員 私どもといたしましては、地元の御理解を得る必要があり、このためにいま努力を続けておるわけでございまして、それがいつごろまでにということにつきましては、確たる見通しがいまのところまだございません。ただ、申し上げましたように、できれば四月中に実現したいということで努力をしている段階でございます。
  58. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 承諾がない限りは乗り入れをしないということでございますから、それはぜひ守っていただきたいというふうに思います。  次に、先ほど石田委員の質問の中にもありましたけれども、先月の二十七日に大阪空港騒音問題の判決が出されました。弁護士という立場から見ても非常に私は残念に思いますけれども、まあ判決判決としてという大臣の御発言もあります。私の感想でいえば、形式的には原告が勝訴したけれども、実質的には負けてしまったというふうに思います。  判決の中でいろいろな問題点が指摘をされておりますから、これから御質問申し上げたいと思いますけれども判決判決として、行政の面でやるべきことはどんどんやっていくというお話がございましたけれども、もう一度その辺の御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  59. 徳永正利

    徳永国務大臣 私の、判決判決としてというのが非常にいい意味理解されて受け取られておる方と、逆に非常に何か不遜なことを言うというふうに受け取られておる方と二つあるようでございまして、私、非常に残念でございますが、私が申し上げたのは、判決は厳粛に判決として受けとめなければならない。しかしそれはそれとして、航空行政の責任者としては、現に住民皆さん方が、いろいろな面で御迷惑をかけ苦悩があるわけでございますから、これを取り除くために全力をあげてやらなければならぬ、それがためにはどういうような方法があるかということで、今日まで音源対策でございますとか、あるいは満足ではございませんけれども、この法律案が御可決いただきましたならば、そういうような周辺対策を進めていきたい、なおまた、新空港の建設につきましても、できる限り運輸省としても努力、促進をはかっていきたい、こういうことを総合的に申し上げておるわけでございまして、気持ちといたしましては、前々から言っておりますように、運輸行政というのはやはり国民の生活を守るというのが基本にならなければならぬ、どういうふうに運輸行政の面からそれを守っていくか、これにはいろいろなむずかしい調和の問題とかいろいろな根源があるわけでございますけれども、そういうようなものを考えあわせまして、今後も一段と努力をこれを契機にやっていきたい、こういう決意でございます。
  60. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 これまでも各委員からこの点についての御質疑があったと思いますけれども運輸大臣はまだお認めになっていないいわゆる大阪空港が欠陥空港かどうかということでございますけれども、その点はいままで運輸大臣が種々申し述べておるところと変わらないわけですか。
  61. 徳永正利

    徳永国務大臣 私は、騒音の面等においては明らかに大阪はそういう欠陥を持った空港である、こういうふうに認めております。
  62. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 この判決の直後に、三木環境庁長官が談話を出しておられますね。中身は、新空港が完成しても、大阪空港の環境基準が達成されなければいまの空港の廃止も考えるという趣旨の御発言があったと思います。この点について、運輸大臣としてはどういうふうにお考えになっていますか。
  63. 徳永正利

    徳永国務大臣 昨年航空局長の通達でも申し上げているわけでございますが、ちょっと表現は違いますけれども、新しい空港ができても環境基準に合わないとかいうようないろいろな問題が出てくる場合には、この空港を廃止をも考えてひとつ検討したい、こういうことで、考えは全く同じでございます。
  64. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 ところで、この判決によりますと、差し止め請求については、国から見れば一部敗訴になるわけですね。九時から七時までの請求が、十時から七時までということで敗訴だというふうに一いままで行政としてやってきた点が認められているわけですけれども法律的にいえば敗訴ではなかろうか。それと、いわゆる過去の損害賠償の支払いについて、ランクを分けられましたけれども、一応原告の請求が認められた、こういう敗訴をした分について国として不服だということで控訴をする御意思なのかどうか、その辺のことをちょっとお聞きしたいと思います。
  65. 徳永正利

    徳永国務大臣 そういうような点も含めまして、ただいま関係各省庁間で検討をしておる最中でございます。
  66. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 大臣のお考えとしてはいかがですか。
  67. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、法律家でないものですから、いろいろなこまかい検討をしたわけではございません。まだ法務省当局なんかからもいろいろ説明を受けておりませんけれども、近い時期にそういうようなものも十分聞きまして、また相談をしてきめたいということで、私の判決に対してのいまの考えは、ちょっとごかんべんをいただきたいと思います。
  68. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 私は控訴をしないようにお願いをしておきたいというふうに思います。  この判決の中で、いわゆる騒音については環境基準をはかるに上回っておるという認定がなされた、また振動についても三十ないし四十ガルという認定で、これは無視できないという表現で認められておる、排気ガス、ばい煙については、航空機だけではなくて、ほかの要素も加わっているのではないか、今後の調査研究を待つべきだ。私どもに言わせれば、これはまさに審理不尽だというふうに思うのですけれども航空機の排気ガス、ばい煙、そういうものが判決が認定しているような、ほかの要素も加わっているというような認定のしかた、これを運輸省としてはどういうふうにお考えになっているのか、因果関係がないとお考えになっているのか、あるとお考えになっているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  69. 寺井久美

    寺井政府委員 判決とは直接関係がございませんけれども、環境庁の調査によりましても、排気ガスについてはどうも因果関係がはっきりしないというか、むしろ通常の自動車の排気ガス等に比べてはるかに影響が少ないという報告を出しております。私どもとしては、因果関係がはっきりいたしておりませんし、特に排気ガスに関連いたしまして勝部地区の鼻出血の問題がございます。こういう点につきましては、やはり原因がどうであるか、因果関係があるのかないのかということは、もう少し調査を進める必要があるというふうに考えておりまして、環境庁とも協議いたしまして調査を開始したいというふうに考えております。
  70. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 過去の損害賠償について、たしか三人は請求を棄却されました。そのほか四ランクだったかに分けてそれぞれの金額を認定しております。原告団の主張というのは、いわば最低一律五十万という形で請求をされたというふうに私は思いますけれども裁判所としてはいわば最高五十万、若干上にいっておりますけれども、そういうような形での判決になっている。それにしても総額一億円をこす金額になっているわけであります。これがおそらく公害等調整委員会でもすでに一万四千人以上の人が調停申し立てを出しておるわけであります。おそらく水俣病の際の公調委のやり方といいますか、あれから見ても、判決に従ったあれが出てくるのではないかということが予想されるわけです。そうなりますと、金額はまたかなり膨大な額になっていくのではなかろうかというふうに思うわけですけれども、その辺について運輸省としては、判決の額からそれなりの、それぞれの公調委あるいは訴訟も調停も申し立てていない一般の地域の住民方々に対する補償、そういうようなものをお考えになっているのかどうか、さらには、そういう金額について算出をしているのかどうか、そういう作業をしているのかどうか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  71. 寺井久美

    寺井政府委員 この判決がまだ確定いたしておりませんので、その訴外の人たちあるいは調停を申し立てをしている方々に対してどうするかということについては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。私どもは事務的には一応試算をいたしております。
  72. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その試算をされた金額を教えてください。
  73. 寺井久美

    寺井政府委員 事務当局でいろいろ計算をしておるようでございますが、確定的な金額がまだ出ておらないということでございます。この点は御答弁御容赦お願いいたします。
  74. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 試算をされているというのか、まだ結論が出ていないという趣旨なのか、試算自体をやっていないのかわかりませんけれども、おそらく運輸省としては試算は当然やるだろうと私は思うのです。ですから、できるだけ早く、訴訟をやった原告についての金額はわかっていますけれども、公調委の場合、あるいは訴訟も調停も申し立てていない人たちに対する分についても試算をしていただいて、その資料を出していただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。
  75. 徳永正利

    徳永国務大臣 判決に関係した問題につきましては、いろんな面でいま先生指摘のようないろんな関係の趣もあろうと思います。しかし、私どもとしましては、そういうものも含めて、いまこの判決をどういうふうに受けとめるかということで、先ほども申し上げましたように、政府部内で協議をしておるわけでございまして、その結論が出ますまでしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  76. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その結論が出るまで、というのはどの時点をさすわけですか。
  77. 徳永正利

    徳永国務大臣 判決のほうは、私が御説明申し上げるまでもなく、政府はどういう態度をとるかということだと思いますし、それから調停のほうは、やはり調停が出てみないといろんな計算のしようもないだろうと思うわけでございます。でございますから、そういうような面をいろいろ振り分けてものを考えなければなりませんし、そういう面でいろいろ検討をさしておる段階だ、まだ結論が出ておらない、こういうことでございます。
  78. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そうすると、計算関係は出していただけなければこちらで計算する以外にないわけですけれども、おそらく計算はされるだろうと思うので、された段階でぜひ出していただきたい、要望をしておきます。  一億以上の金額がすでに仮執行で支払われたという、ふうに思いますけれども、この判決の中でも、不法行為責任という項の中で、航空機騒音被害航空会社に責任があることは言うまでもないが、国にもあるという認定のしかたをしている。そうなると、国としてはそれぞれ大阪空港を利用している航空会社に対して求償をするお考えがあるのかどうか、その辺はいかがでございますか。
  79. 徳永正利

    徳永国務大臣 非常に法律的になってまいりましたので、お答えしにくくて恐縮でございますが、そういうものも含めていま検討中ということでございます。御了承いただきたいと思います。
  80. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 いわば国と航空会社のいわゆる共同不法行為ですね。四日市の公害判決にあったのと同じような形になると思うのです。ですから、当然国は、支払いをすれば航空会社等に対して求償権を持つことは当然のことです。それをやらないということは、航空会社に非常に不当な利益を与える結果になるんじゃないかと思うわけです。ですから、検討中だということはわかりますけれども、ぜひとも航空会社に求償するような形で、そういう方向運輸省としてはやっていただきたい。やるべきだと私は思いますけれども、その辺はいかがですか。
  81. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げましたように、その問題も検討中でございます。先生の御意見も確かに私は一つ考え方であろうかと存じますので、そういうことも含めまして検討さしていただきたいと思います。
  82. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 公害に関しては、いわゆる原因者負担の原則というのがほぼ確立をしていると思います。そして、これまでの四つの公害の判決でも、そういう形で処理をされてきているわけです。原因者負担の原則を貫くためにも、ぜひともこの点はお願いをしておきたいというふうに思います。  それから、判決の中で将来の請求についでは棄却をしております。その棄却した理由は、これは判決要旨ですけれども、被告は空港周辺住民日常生活上の障害を軽減するため近く移転補償区域の拡大等の対策を構ずる予定で、一部はすでに予算措置を講じ、深夜郵便機全廃、騒音量制限等の措置も期待し得ないわけではない、こういう期待ができないわけではないから、いわばその条件が確定していないから将来の請求は棄却するという論法でいっているわけですね。いわば国に対して、要するに行政に対して司法が期待をしておるわけです。この点について、ここの判決にあげてあるだけではなくて、ほかにも期待されている部分がたくさんあろうかと思う。その辺を、概括的でけっこうですから、これを読んでどういうことをやっていかなければいけないのか、やっていくべきなのかということを、運輸省でお考えになっている点を聞かせていただきたいと思います。
  83. 寺井久美

    寺井政府委員 この騒音対策というものを進めていかなければならないということでございまして、騒音対策の方法といたしまして、大きく分けて音源対策周辺対策と二つあろうかと思います。  音源対策のほうにつきましては、航空機のエンジンの騒音そのものを低騒音化していく、そういう技術が開発されたものから採用して、できるだけ個々の航空機騒音の低いものを使用していく。それからまた、先ほど来御討議願っておりますように、総就航機数を制限して騒音量を減らしていくという方向でそういう努力もしなければならない。また同時に、飛行方法の改善等によりまして音の影響を少なくするという技術的な方法も開発されつつございますので、こうしたものを将来採用していくというようなことによりまして音源対策のほうを進めていく。また、これと並行いたしまして、空港周辺の立地対策と申しますか、再開発を行ないまして、非常に音の影響の多い空港に近い地域につきましては、できる限りこれを公園等の緑地化をしていき、その外周部につきましてはあまり音に影響のないような倉庫などのものに利用していく、こういうことで、現在多数居住されておりますが、こういう方の中で移転を御希望になる方につきましては積極的に移転を促進してまいりたい。また、そこへ引き続き住まわれる方につきましては、これは少なくとも防音工事等の手だてを講じまして、音の被害をできるだけ少なくしていきたい。概括的に申し上げますと、こういうような方向で将来騒音対策を進めたいというふうに考えております。
  84. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 たしか前回の委員会でも問題になったと思うのですけれども、いまお話のあった中の一つですが、特に判決では棄却をされた九時から十時の分について、日本航空あるいは全日空、それぞれ便数を減らすという方向で検討されるような報道もなされております。その減便の内容がどういうものなのか、その辺を説明していただきたいと思います。
  85. 徳永正利

    徳永国務大臣 エアバスとは別に減便ということは考えていかなければならぬと私は思っております。それは朝七時から全部の時間帯において十分検討していかなければならぬと思いますが、いまここでそれでは何時帯を何便というほど、まだ厳格な詰めができているわけでもございませんし、どのくらい減らせるかということにつきましても、いままでの予約、需要等ともよく見きわめた上で、航空会社とも相談の上決定していかなければならぬことだと思います。  九時以後どうなっているかということでございますが、九時以後につきましては、いま航空会社で四月から、まだ具体的にどの便をどうというようなことではございませんけれども、検討は始めておるようでございます。いまどの便をどうというような、まだお答えをする段階にはいってないようでございますが、減便と申しますか、その離発着の削減と申しますか、そういうものについて具体的な話に入っておるようでございます。
  86. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 七時から夜の十時まではいわゆる離発着が許されるということになっているわけですけれども、それを総合的にやられる、その便をどうするかという減便方向でものを考える、これはたいへんけっこうなことだと思います。しかし、判決で棄却をされた九時から十時まで、これが非常に地域の住民方々にとって貴重な時間だというふうに思うわけですし、当然、その原告者の訴訟における請求もそうであったわけです。ただ、九時から十時までについて、委員会の中身は私知りませんけれども、三月一日付の新聞によると、日本航空あるいは全日空は、かなり具体的な削減の措置をとるような形で発表がされておるわけです。この辺はどうなんですか。
  87. 寺井久美

    寺井政府委員 現在の段階を申し上げますと、四月のダイヤ調整というものをやっておりまして、新聞に報道されておりますように、日本航空もできるだけ九時の時間帯を避けたいということで検討をしておるようでございますが、要するに四月のダイヤをどうするかということをいま関係航空会社間で詰めております。その結果、何便離発着が減らせるかということはまだきまっておりませんけれども日本航空としてはできるだけ減らしたいということで詰めているようでございます。
  88. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 日本航空のほうではそういう形でやられる、運輸省のほうとしては、その辺のことを日本航空なり全日空に対して指導というか要請というか、そういうような形での動きというものはないんでしょうか。
  89. 寺井久美

    寺井政府委員 私どもといたしましては、まず全体の減便考えるべきであって、九時−十時の時間帯だけをねらい撃ちにして減らすということではなかろう。つまり九時−十時の間を減らしましても、これが七時−八時という時間帯に非常にずれ込んできてふえるということでは、むしろ地元方々騒音に対する御要望には必ずしも合わないんではないかというふうに考えておりまして、むしろ全体として減らすのが第一義的であろう。しかし、この裁判でも問題になりましたように、九時−十時に非常に御関心がある。また事実一家団らんのときであって、貴重な時間だという御意見も十分尊重しなければなりませんし、できる限りにおいて九時−十時を減らすことはもちろん賛成でございますが、ただ積極的に九時−十時を減らせというような指示はいたしておりません。
  90. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そういう地域の住民方々の要望がわかっておられて何もしないというのは、まさに怠慢じゃないか。いま改正案が出ていますこの法律の三条によってでも、やろうと思えばできることではないかというふうに思うのですが、そういう御意思は運輸省のほうには全然ないということですか。
  91. 寺井久美

    寺井政府委員 私どもといたしましては、地元方々の御迷惑と同時に、やはり利用者の便利ということ、両方のバランスを考えなければならないと考えております。そして、先生指摘のように、九時−十時の問題につきましては、特に命令は出しておりませんけれども、技術的に可能であれば減らせるようにというような検討はさしておりますので、結果的には何便か減るという状態になるというふうに考えております。
  92. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その点についても、やはり運輸省が率先してやるべきではなかろうかと私は思いますし、できるだけそういう方向でやっていただきたいと思います。  先ほど石田委員が申しておりましたけれども新聞報道によると、第三次空港整備五カ年計画ですか、「骨子固まる」という表題で報道がなされておる。先ほどお答えを聞きましたからあれですが、現在その作業を進めておられることは間違いのないことだろうと思いますし、それがいつごろでき上がって、いつごろ運輸審議会にかけるというようなスケジュールがもしわかっておれば知らせていただきたいと思います。
  93. 寺井久美

    寺井政府委員 まだスケジュールは具体的には決定いたしておりませんが、おおよその見当といたしまして、七月末くらいまでに審議会の御答申がいただけるように準備をしたいと考えております。
  94. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 先ほどその損害賠償の試算云々というのをお聞きしたのですけれども、これもまさにこれにからまってくるのじゃなかろうかと思うのです。この新聞報道によりますと、総事業費一兆円というようなことが書かれています。もしそういう損害賠償云々というようなものを含めていくと、おそらくこういう金額ではとうてい間に合わなくなってくるのじゃないかというふうに思うので、その辺のこともできれば念頭に置いてそういう案をつくっていただきたいというふうに思う。そういう意味でも試算はぜひとも必要になってくるだろうというふうに思うので、できるだけそういう方向でやっていただきたいというふうに思いますけれども、その点についていかがですか。
  95. 寺井久美

    寺井政府委員 先ほども申し上げましたけれども、この第三次空港整備五カ年計画の柱になりますものが一環境基準に適合する空港にするということでございまして、その意味で相当膨大な経費がかかるというふうに考えております。新聞に出ております数字等につきましては、私つまびらかでございませんけれども、いろいろの計算をやっておりますが、まだ具体的に積み上げるというところまでまいりません。非常に大ざっぱなマクロ的な考え方の段階でございまして、ただいま先生指摘のような具体的な問題につきましては、まだ検討の段階に入っておりません。
  96. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 法案の中身についてちょっとお尋ねをしたいと思うわけですが、連合審査会でもほかの委員の方から御質疑があったと思いますが、いわゆる評議員会、これは十名によって構成されるわけですけれども、その評議員会の構成メンバーは、いわゆる出資をした地方公共団体の職員、さらには学識経験者ですか、そういうような者十名で構成をするというふうになっていますね。その学識経験者というのはどういう人を考えておられるのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたい。
  97. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 御指摘の四十一条の評議員は、条文に書いてございますとおり、空港の設置者、それから出資をした公共団体の職員、それと学識経験者、こういうことになっております。学識経験者につきましては、せんだってもお答え申し上げておりますように、出資をしない関係地方公共団体の方々、そのほか騒音防止について特段に知識等をお持ちの方を予定をいたしております。
  98. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その出資をしない地方公共団体の職員、たとえば大阪でいうと、いま騒音問題で関係をする市というのは十一市ありますね。その全部の市が、もちろん府県も入るでしょうけれども、出資をした場合に十名をこえるわけですね。それと、かりに出資をしないものがあって、どうしてもこれは入れなければいけないという場合でも、その十名をこえるという形があり得るのじゃなかろうかと思うわけです。評議員会の規定でいくと、四十条の二項では「十人以内で組織する。」というふうに書かれております。その辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  99. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 大阪につきまして申し上げますと、先生指摘のように、ただいま十一市協というのがございまして、十一の市によって組織されておりますが、この法律で予定をいたしましております周辺整備その他につきましては、大体五市程度がその区域の中に入るかと存じております。どの方になっていただくか、ないしはその中で代表の方に入っていただくか、そこら辺についてはまだ十分決定をいたしておりませんけれども、必要があればそれらの方々をできる限り評議員に加えるということは考えなければいけないと思っております。
  100. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その地方公共団体の職員というのは市長を意味するのですか、それともそれ以外の地方公共団体の職員も含める意味ですか。
  101. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 市長もその中には入ると思いますけれども、必ずしも市長さんのみということではないというふうに解しております。
  102. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 このいわゆる役員ですね、機構の役員の規定をずっと見ていくと、要するに全部運輸大臣がきめるというような形ですね。理事理事長が選ぶということですけれども、いわば上からどんどんいく。普通の法人ならば、いわゆる発起人がおそらく評議員会になっていくんだろうと思いますけれども、その評議員会の中で理事を選ぶ、その理事の中から理事長を選んでいくというのが、いわゆる法人の普通の形ではないかというふうに思うのですけれども、こういうふうにやらなければいけない理由というのはどこにあるのですか。
  103. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生指摘のように、この法人はいわゆる認可法人と呼ばれている性格のものでございます。設立については、おっしゃいますように発起人の設立でございますが、設立して認可をされた後の形は、出資は国、地方公共団体という形でございまして、いわゆる公社、公団、事業団というものの性格に非常に類似をしてくるわけでございます。そういうような関係から、理事の任命その他につきましては、国ないしは地方公共団体の業務を代行する者という形でございますので、そういう意味の公社的性格を持つ他のものと同じように、運輸大臣の任命ないしは監督規定というものが置かれておるわけでございます。これはこの法人以外の他の認可法人についても大体同様の規定になっております。
  104. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その辺のこまかい議論をやっていると幾ら時間があっても足りませんのでやめますけれども、いわゆる認可法人で、いわば公法人だろうと思うのですね。職員の身分はどうなるのですか、特に分限関係、罰則関係ですね。
  105. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 機構に公務員が出向するような場合には一応辞表を出して行くことになっておりますから、そういう意味では一般公務員とは身分か切れるわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、この機構が行ないます業務は非常に公的な性格を持っておりますので、たとえば刑法というようなものの適用については、「法令により公務に従事する職員とみなす。」という規定を置きまして担保するという形になっております。
  106. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そうすると、いわゆる労働基本権については労働三法が適用になるのですか、ならないのですか。
  107. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先ほど申し上げましたように、公務員が出向します場合には一たん公務員の地位を失いますので、これについては労働関係の諸法規が適用になる、かように解しております。
  108. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 それから第三種区域に緑地帯あるいは緩衝地帯というものが設けられるということが書かれているわけですけれども、緑地帯というのは大体わかるのです。緩衝地帯にはどういうものをお考えになっているのですか。
  109. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 ここで申しております緑地帯というのは、緑をはやして都市の中に緑の地帯をつくるということでいわれておる緑地帯でございますが、緩衝地帯というのは必ずしもそういう性格を持たなくてもいいので、まあ非常に極端な話をすれば単なる空地でもいいわけでございますが、できる限りは、都市全体の感覚からいって、空港周辺には緑の地域が多いのがいいであろうということで、緑地帯というのを例示に使っております。その他どんなものが考えられるかということにつきましては、たとえば公園とかそういうようなものも可能かと思っております。
  110. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 公園とかなんとかということで緑地帯類似のものになるのですか、それとも何かそこに建造物を持ってくるとか、そういうようなお考えがあるのかどうか、いかがでございますか。
  111. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 どういうものを置いたらいいかということにつきましては、その空港ごとによっていろいろ事情が違うと思います。若干都市から離れておりますような空港では、単なる空地とかそういうものでいいと思いますけれども、たとえば大阪のように都市周辺にあるところについては、土地が非常に貴重でございますから、たとえば児童公園とかそういうような種類の施設を置くということも考えられるかと思いますが、詳細については、周辺整備計画という中で、府県知事の御意向を十分生かして御相談をしてやっていくということになっております。
  112. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 大体時間になりそうですのでなにですが、原告の皆さん方裁判の中で、この改正について、現行法も含めて、特に最終準備書面の中で指摘をしております。概括的に言うと、一つは、公害発生源対策がないじゃないかということ、二つ目には、損害賠償制度がないじゃないか、三番目には、原因者負担がない、四番目には、住民参加の保証がない、端的に言うとこの四つにまとめることができると思うのです。私もまさにそのとおりだろうというふうに思うわけですけれども、こういう批判に謙虚に耳を傾けていただいて、今後の騒音公害について、運輸省皆さん方が真摯な態度でやっていっていただきたいということを要望いたしまして、私は質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  113. 三池信

    ○三池委員長 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いまします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後一時三十七分開議
  114. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。
  115. 土井たか子

    ○土井委員 運輸大臣も十分に御承知のとおりで、二月二十七日に大阪地方裁判所で大阪国際空港のあの騒音の訴訟に対する判決が出されまして、それからあと引き起こった問題についてまずお尋ねをしたいわけでございます。  被害者、原告の方々東京の日航、全日空の本社に来られまして、そしていろいろ社長と面談をされました結果、そこで具体的にきまったことが実はございます。これはもう御承知だと思いますが、大阪空港を発着する便のうち、あの裁判の過程でも原告が請求をいたしてまいりました夜九時から十時までの時間帯について、これを考慮して九時以降の発着便を取りやめるという日本航空の社長の発言でございます。中身は、飛行スケジュールの変更をいたしまして、国際線については四月一日から、国内線もできるだけ早く実施したい考えであるということが、その席上明らかにされているわけです。ここでまず、もう住民方々はその答えを持ってお帰りになっているわけで、これは紳士協定、紳士約束でございますから、約束は必ず守られるものといういまはお考えであるわけですが、ただ素朴な住民感情からいたしますと、判決があって、判決を受けて日航や全日空の社長と会見をした席上でこういうことが具体化された。社長は、あくまでも裁判とは無関係にという前置きがあったけれども、一応こういう措置を講ずることができた。そういうことからしますと、裁判とは無関係にという前提でひとつお聞きをいただきたいと思うのですが、運輸省とされては、日航や全日空に対して便数削減の上で、特に夜間飛行というものに重点を置いて、裁判はあくまで九時から十時の間の差し止め請求というのが一つのポイントであったわけですから、どういうふうに住民方々被害を受けていらっしゃるかというのもそれから推しはかるとわかろうと思うのです。したがいまして、この夜間飛行の禁止を含めて、やはり便数削限という行政指導がなされてしかるべきでなかったかという素朴な住民感情も片やあるわけなんですね。これに対しまして運輸大臣はどのようにお考えでいらっしゃるか。中には、運輸省というのはどうも航空会社のあと追い行政をやっているんじゃないかということばすら聞かれるわけでありますから、ひとつこれに対してのお答えをまずちょうだいしたいと思います。
  116. 徳永正利

    徳永国務大臣 大阪空港騒音問題につきましては、かねがね御指摘のとおりでございまして、私どもも、この騒音をいかに減少させて住民皆さん方の声にこたえるかということに苦慮いたしておるわけでございますが、日航の社長がもしそういうことを言ったとするならば、これは非常にけっこうなことで、そういうふうにありたいものだと思います。  なお、私どもとしましては、それ以前から、いかに便数の削減をやるかというようなことも実はいろいろな点から検討をしておるわけでございます。午前も御答弁申し上げましたように、二年前から大阪空港の発着回数を押えておるわけでございまして、この二年間における需要の伸びというものは相当ありますけれども、しかしそういう面から、需要の伸びは別にしまして押えてきたわけでございますし、また昨年暮れからの石油危機、石油問題に端を発しましたいろいろな石油削減の点から、日航も全日空便数を減らしております。それも石油の状況の緩和とともに前の便数に返したいという希望がありましたけれども、それも私のほうでは、これを一応待てということで待たしております。  そのほか、できることならば総体的な便数の削減もやりたいということで、いままで繰り返し御説明申し上げているような対策なり御相談を、地元方々ともやっているわけでございます。必ずしもあと追いあと追いというわけではございませんが、九時以後の便につきましては、実はその代替便という新幹線が八時何ぼでたしかなくなるはずでございます、東京に来られる人の……(土井委員「新大阪で八時三十分」と呼ぶ)八時三十分でなくなるということで、そういうふうなものも含めまして利用者の方々がどのくらいの需要が、それももちろん押えていかなければなりませんけれども、そういうようなものもあわせて実はいま検討させておるわけでございます。したがいまして、日航が皆さん方の前で公約いたしたとするならば、これは利用者の皆さん方の御不便はともかくとして、私は騒音対策上はたいへんけっこうなことだと思います。そういういろんな問題が出てくる可能性はあると思いますけれども、私どもとしましては、いま申し上げたようなことを総合的に進めていっているわけでございます。
  117. 土井たか子

    ○土井委員 運輸大臣の御努力のほどがよくわかるわけですが、わかるがゆえにさらにこの点についてひとつはっきり確かめておきたいことがございます。それは、先日の日本航空あるいは全日空の社長と会見の席で社長が公にされた中身をよく検討してみますと、九時以降の発着はやめるということでありますけれども、いま国内線についてだけ申し上げますと、九時三十五分に東京から着く便、九時二十五分に福岡から着く便、九時三十分に東京に向けて出発する便、さらに九時五分に福岡に向けて出発する便、この四便がございます。この四便を九時から十時の間、発着陸させないということになると、いずれかそれ以前の時間帯に食い込ませていかなければならない。減便ということをおっしゃっていませんから、四便を九時以前の時間に食い込ますということに当面はなるであろうというふうに考えられるわけです、社長の御発言の中身からしますと。ところが運輸省はずっと、いま大臣の御発言の中にもございましたとおりで、減便に対しての御努力を詰めてこられた。先日もこの委員会の席で斉藤委員が質問された中に、間引き減便でなければ困る、時間を圧縮した削減というのはやはり騒音対策にはならないというふうな御質問がありまして、それに大臣が、全くそのとおりだというお答えもございました。この九時以後の発着陸をやめるということが、九時以前に食い込むということになってまいりますと、これはやはり先日の大臣の御発言からするとどうも思わしくない結果にもなりかねません。そこで、こういうことに対して運輸省はどういうふうに日航や全日空と連絡をとって善後策を講ずるおつもりでいらっしゃるかということもひとつお聞かせいただきたいのです。
  118. 寺井久美

    寺井政府委員 減便につきましては、ただいま先生指摘のとおり、私どもといたしましても、全体の減便が必要である、これがまず基本的にあるべきだということでございまして、特に現在検討いたしておりますのは、東京大阪間の便数をどの程度減らせるかということでございまして、これは低騒音大型機導入に伴いまして減便することが非常に効果的にできるということで大体東京大阪間の便数を半分程度に圧縮することができるだろうということで現在検討いたしております。
  119. 土井たか子

    ○土井委員 だいぶ問題に対しての答弁がすりかえ答弁になったんですがね、いまのは。半分くらいに圧縮できるとおっしゃっているのは、いまの機種と違うような機種を入れることによっての半減でございまして、いま私はその問題は何らまだ言ってないのです。全然その問題は言ってない。現用機についての問題をいま問題にしているわけです。だから、やがて乗り入れが可能であるかどうかということが未知数のこの問題を取り上げて私はまだ質問させていただいておりません。したがいまして、そういう意味でのお答えをちょうだいしたいのです。
  120. 寺井久美

    寺井政府委員 現在使用いたしております現用機でどの程度減便できるかということにつきましては、ただいま先生御引用の日本航空の社長の発言もございますけれども、具体的にどの程度減便できるかということはなかなかむずかしい問題でございまして、それほど大きな効果は期待できない。ただ、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、すでに数便減便いたしております。これを将来とも継続をするということで現在やっておりますし、そのほか九時以降の、ただいま御指摘便数の中から間引けるものがあるかどうかという点については、現在ダイヤ調整の段階で日本航空全日空の両社が検討しておるというふうに了解しております。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 これは、そうしますと、九時以後に発着陸をしていた四便について、九時以前に食い込ませることを極力押えるという意味を込めて減便を現に航空会社と連絡をとり合いながら考慮中であるという御答弁と理解していいですね。
  122. 寺井久美

    寺井政府委員 九時以降の便を九時以前にという、そこのところでございますが、九時以前の八時台ということに直接なりますかどうですかは、これは別の問題でございまして、一日のうちでやり繰りということになるかと思います。
  123. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。いまの御答弁で大体私の言っている趣旨にかなうような御答弁をいただけたものというふうに理解いたします。ひとつその点で、これはやはり御努力の歩をゆるめないで、いま住民が望んでいるのは何といってもあの空港についての音源対策、これがもう抜本対策でございますから、そういうことで周辺整備の問題も非常に大事で、これはなおざりにすべき問題でなかろうと思いますけれども、何といっても基本の音源対策についてしっかりやっていただきますように、重ねて申し上げておきたいと思うのです。  さて、先ほどもう大型機導入の問題が局長の御答弁の中からはしなくも出たのですが、私は大型機の問題について少しお尋ねをしておきたいのです。  豊中市の企画部長あて、運輸省航空局飛行場部騒音対策課長さんからの大型機導入について「空港周辺住民理解がない場合は行なわない」という、この方針をあらためて確認した書面をお送りになった。その写しを私いまここに持ってまいりたわけですが、このことについては大臣は確認をしていただいておりますね。
  124. 徳永正利

    徳永国務大臣 確認をいたしております。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 この書面の中身はまだ現に有効であるというふうに理解いたしておいてようございますか。
  126. 寺井久美

    寺井政府委員 エアバス導入に関連いたしました文書でございますが、このエアバス導入につきましては、地元の御理解を得てやるというこの文書の精神は変わっておりませんし、現在でも有効でございます。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 いまいろいろな宣伝機関、マスコミュニケーションを通じまして、日本の幹線にエアバスが就航するということが日夜いろいろ聞かされるわけでありますが、昨年末、これは騒音対策ということとは全く別に、燃料の見通しが立たないということ、それからもう一つは、輸銀の四十九年度の融資ワクを減らして総需要を押えるという意味から、すでに日航や全日空やそれから東亜国内航空の三社に対して、外国に発注をしている中身をもう一度再吟味をして購入についての半減を指示された運輸省行政指導があったやにお伺いするわけですが、これは事実でございますか。
  128. 寺井久美

    寺井政府委員 購入の半減というと、必ずしも半減ということではございませんけれども、油の需給の見通し等も関連がございますので、購入計画について検討するように命じたことは事実でございます。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 いま日航、全日空が発注をし、すでに納金をして、そして現に受け取った機数がどれだけあるか、それから、注文はしているけれどもまだ納金済みでないという分がどの程度あるか、それからさらに、発注予定がどの程度あるか、それがわかりましたらひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  130. 寺井久美

    寺井政府委員 現在すでに入手しております機数等につきまして、担当課長のほうからお答えさせます。
  131. 山本長

    ○山本説明員 お答え申し上げます。  大型機導入に関しまして、航空会社が国内に入れることを計画しておりますのは、日本航空がいわゆるジャンボのSRというものでございますが、これを五機、これは本年の三月末までに入ってくる予定でございます。それから全日空がロッキードの一〇一一という飛行機を四十九年度中に六機入れる計画でございますが、これが一部入ってきておりますが、六月末ごろまでに六機がそろう計画でございます。それから、その後の計画につきましては、これは五十年度に就航をさせることを予定しているものでございますけれども日本航空が同じくジャンボのSRを二機、それから全日空はロッキードの一〇一一というのを六機予定しておりまして、これはすでに発注しております。これは五十年度の当初ごろに入ってまいります。そういう計画でございます。
  132. 土井たか子

    ○土井委員 けさニュースで報じられたところによりますと、メジャーから二五%原油の削減が日本に通告されたということになっております。これまたたいへん大きなことだと思うのです。先の見通しもはっきりしないということも伝えられております。そういう点からしますと、いま日航や全日航が発注をし、すでに注文に従って購入済みの機数をお知らせいただいたわけでありますが、これから発注をするという予定あるいは計画にのっている中身について、昨年末は、先ほどのお答えどおり、運輸省からは燃料の見通しが立たないことや総需要の抑制という点で、この購入に対しての手控えを行政指導されたわけでありますから、今回もこういうふうな状況になってまいりますと、何だか大型機の購入について考え直さなければならない点があるように思われるのですが、この点は運輸省としてはどのようにお考えでいらっしゃるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  133. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいまの御質問でございますが、油の関係で申しますと、大型機、現在計画いたしておりますジャンボのSRあるいはロッキードの一〇一一という機材は、現用機よりも、輸送人員で比べますと、単位当たりの消費量が少なくて済む、つまり油の消費量の絶対数が、同じ数の旅客を輸送する場合には現用機よりも少なくて済むという利点がございまして、油の面で現在使っております機材よりも不利であるということではございません。  それから、昨年末検討を命じました一つの趣旨は、確かに油の見通しということに重大な問題もございましたけれども、同時に、油のコストアップにはね返る外貨事情の関係等もございまして、余裕機材について特に検討を要請したわけでございます。
  134. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、いまのお答えからすれば、現に石油事情がどう変わろうと、いま現に計画中の大型化については、そのまま進めるという御方針に変わりはないということでございますね。
  135. 寺井久美

    寺井政府委員 石油事情がどう変わろうとということでございますが、当面昨年末に考えられたような重大なというか、石油が非常に不足するという状態に比べますと、当面かなり見通しが量の面で明るくなってまいっておりまして、油の節約という点におきましても、現用機よりも有効なこういう機材を現在の計画どおり一応購入をしていくという方針といいますか、そういうことが適当であろうというように思います。
  136. 土井たか子

    ○土井委員 たいへん強腰でありますから、後にその方針が変更するようなことでもあれば、私はまた強くその原因を追及しますよ、たいへん強腰だから。  さて、いま運輸省は、その大型機導入して大型化を進めるということに対して、再三再四この委員会で質問を繰り返し、申される御答弁としては、騒音対策ということが正面切って出されているわけです。  運輸省としては、これは特に騒音問題でひどい被害を受けている大阪空港について、大型機の乗り入れということに対していまお考えになっている中身はやはり騒音対策だろう、まずはこういうふうに理解するわけです。そう理解しますと、周辺住民方々に対して、実は大型機を乗り入れるとこれだけ騒音が減りますよ、現にこれだけ便数も少なくなりますよという具体的中身をもっていろいろお問いかけをなさることが必要だと思うのです。いま私は、自分がその近辺に住んでいるからというので言うのじゃありませんけれども、その努力がなかなか足りないように思われてならない。現地の方々はこのエアバスに対してかなりの不安がございます。騒音だけの問題じゃございません。振動の問題もございますし、風圧ということもございます。また昨日は、フランスのオルリー空港の近辺で大惨事が起こるということでもございます。大量にお客さんを乗せまして大型機か墜落したときの惨事というのは、もう私たちの想像を絶するものだろうというふうに考えるわけです。そういうことからしますと、あの周辺住民方々が、いままでの騒音に今度はプラスアルファ、そのアルファ分の中身は非常に大きなアルファでありますが、これを覚悟してかからなければならないという気持ちにかられて、とてもとてもいまのままなら大型機導入に対して賛成なさらないのは、私は率直な住民感情だと思うのですよ。これをやわらげて、実はこうなんだということをほんとうに説得性をきかせる、いろいろ問いかけをなさることのためには、いま一つ努力が必要だと思うのですが、これに対していまどういう御用意があるか、聞いてみたい気がします。いかがですか。
  137. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 大型機の長所についてもっと十分地元住民に情報を流して説得をしろという先生の御質問でございますが、私どももまさにそのとおりに考えております。大型機の長所というものを十分地元方々にPRして知っていただかなければならない、かように思っております。その意味で、実は大型機の乗り入れ方針を示しましたのは先月でございますけれども、十一市協にとりあえず大型機の乗り入れについての方針というものを御説明をいたしました。その後、これは本日は単なる提案でございます、これについて御賛同いただきますためには、十分繰り返し繰り返し地元に御説明をいたします、ということをお約束申し上げております。その第一歩といたしまして、十一市協の幹事会のほうに大型機の性能データをお示しいたしまして、第一回の説明を行なっております。その後、御承知のように裁判判決等がございまして、私どものほうから再度御説明を申し上げようということでございましたが、判決の前後は待ってほしいというお話がございまして今日に至っておりますが、できるだけ早い時期から十分に、先生のおっしゃるように、振動、風圧その他のデータを全部お示しいたしまして、十分地元に御説明をして納得していただこうというふうに計画をいたしております。
  138. 土井たか子

    ○土井委員 巷間伝えられるところによりますと、四月一日ということが当初の予定であった。それがどうも無理なようだ。次に出ておりますのが六月くらいというふうな声でございます。いま運輸省としては、そういう説得を積み重ねられて、一体、できたらいつくらいの時期に大阪空港にこのエアバス乗り入れを実施したいとお考えでいらっしゃるか、その線を少し出してくださいませんか。
  139. 寺井久美

    寺井政府委員 私どもとしては、一応事務的にはできれば四月中に実現をしたいというふうに考えております。ただ、先生指摘のように、地元の御理解を得るための努力がまだ不十分であるということでございまして、これから鋭意その努力を続けていく所存でございます。
  140. 土井たか子

    ○土井委員 できれば四月中にとおっしゃるわけでありますし、おそらくダイヤは一カ月先に組むはずでございますので、大型化を進め、いまのエアバス導入大阪空港にやった場合には、便数は時間帯別にしてこういうぐあいになりますというふうな資料がお手持ちの中にあるだろうと思いますか。あったらそれを資料として提供してくださるように委員長にこの席で要求をいたします。
  141. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 局長が前にお答え申し上げておりますように、当面大型機につきましては東京大阪線に集中投入をいたしまして、そしてその便数を半減したい、かように思っております。その際には、御承知のように東京大阪日本航空全日空両方で運航いたしておりますが、乗り継ぎ便の関係、その他時間帯の関係等もございますので、これを両方半分にしてしまいますと利用者の利便を非常にそこなうということも考えられますので、できる限り両方の飛行機に共通に利用者がお乗りになれるような制度をやりたいということで、いま両社と航空局との間で打ち合せをいたしております。その結果によりまして、大型機を入れました場合には東京大阪便がどういうダイヤになるかという具体的な中身が詰まるというふうに思っております。  それから、導入決定いたしましてから、先ほど申し上げましたような東京大阪線に集中投入をいたしまして、半減するまでの間には若干時間がかかると思います。当初は二便、そういうふうな導入のしかたで若干時間をかけて、いま申し上げましたような形のダイヤに変わっていくというふうに思っております。その間につきましてダイヤその他が詰まり次第、資料としてお示しをいたしたい、かように思っております。
  142. 土井たか子

    ○土井委員 それは近々のことでしょうね。話としては全日空、日航と、それぞれいまの切りかえがきくようなシステムを新たに今度お考えになるわけですから、その辺の作業もおありになると思いますけれども、それはでき次第ひとつ提示されるように再度要求をします。ようございますか。
  143. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 土井委員に申し上げますが、先ほどの資料提出については、後刻理事会にはかりまして御返事いたしたいと思います。
  144. 土井たか子

    ○土井委員 それで大型機の問題について、これは素朴な意見としてこういうことがあるわけです。いまそれぞれ現用機、DC8は二百三十人乗り、これが日航の例をとりますと、747SRに切りかえられた場合四百六十人乗り、これがやがて就航するはずになるDC10についていうと三百八十人、そういうものですね。全日空の場合には、いま747で百七十七人、これがロッキードL一〇一一になると三百三十人というぐあいになるわけですから、一時に大量の乗客を運ぶことになると経費は安上がりということになってまいります。そうでしょう。経費は安上がりでございますね。特に人件費や燃料費というふうなことを考えていくと、端的にそれは出てくると思うのです。このダイレクト・オペレーション・コース、DOCからすると安上がりであるということになってくると、いま日航などは現にたいへんにもうけているということが一応いえる。これは昨年度の年末のボーナス支給額などを見ましてもはっきりわかっているわけでありまして、四十七年度の下期が、ボーナス支給額総額六十九億であったのが、一年たった四十八年度の下期には百二十六億という二倍強にふくれ上がっているということ、中身を少しいろんな企業で働いていらっしゃる方の横の相対的な比較において見てみた場合に、これはもうたいへんに日航の場合はボーナス額が高いというのが出てくるわけであります。たとえば鉄関係、平均年間を通じて大体五十二万くらいであります。化繊企業に働いていらっしゃる方々は、年間じゃなく半期に三十万程度であります。電力関係同じく半期で三十万、弱電機、家電の花形といってよろしいかと思いますが、三菱電機関係なんかについていうと、これは年間を通じまして約四十五万。日航の場合は、年間じゃございません、半期で九十二万です。倍ですね。あるいは三倍に近いようなボーナス支給額が現に日航の社員についてはあるわけであります。  そこで運輸大臣、大きいことはいいことだ、もうかることはいいことだ、これはコーマーシャルの中ではけっこうでありますけれども、現にこの飛行機が飛び、飛行機を飛ばせることによって経営をはかっております日航の、あるいは全日空航空機が飛ぶその下には、この騒音、振動等々に悩んでいる被害者が現にいるわけですね。もう大臣もよく御承知のとおりで、いままで企業の中で公害企業と名ざされた企業が、世の批判じゃない非難を浴びた原因はどこにあるかというと、この公害防止に対して投資をしなかったということであります。公害防止に対してお金をかけてこなかったということであります。発生源者負担の原則というものが、もういまこれは世界の常識でありますけれども、そういう点から考えましても、今回のここで御審議中の法案の中身に、発生源者負担の原則というのがどのように生かされるかという問題は、やはりここで繰り返し繰り返し御質問の中にも出てきた問題でしょう。いま運輸省がこの発生源に対して、音源に対して、どのようにこれから対策を講じていかなければならないかという基本線は、もう言うまでもなく環境庁が出されたあの環境基準に従ってお考えになるということであります。  この環境基準というものは、公害対策基本法という法律に即応してこれはつくられたということになっておりますね。いまその公害対策基本法の中で、特に二十二条という個所を見ますと、「事業者は、その事業活動による公害を防止するために国又は地方公共団体が実施する事業について、当該事業に要する費用の全部又は一部を負担するものとする。」とございます。こういう趣旨からいたしましても、また、現にこの環境基準のもとにある、公害対策基本法がかつて昭和四十五年の暮れの公害国会と呼ばれたあの国会の中で問題になった一番のポイントはどこにあったかということを、ひとつこの節考えてみる場合にも、それは申し上げるまでもございません、一条の二項で、経済の発展との調和を保ちつつ公害を除去する、というところが問題だったわけであります。経済の発展というものを至上命題として、それとの調和を保ちつつ公害を除去では、公害対策にならない。人命優先だ、健康保全優先だ、環境保全が優先するのだという基本姿勢を持たないと、実は公害対策は十分に取り組めないということがあのときの大きな課題で、一条二項のあの条文が削除されるようになったわけですね。  そういう点から考えましても、今回のこの法案の中で、発生源者負担の原則、PPPの原則というのがどのように生かされるのか。これは端的に申し上げますと、騒音を出している、空港を管理しているこの航空会社と国が寄って、全額負担をして、発生源対策騒音対策に対してはこれを十分にまかなっていくべきではないかという声が、もうあっちにもこっちにもあるわけであります。  これは、いま私が申し上げましたような経過からいたしましても、当然のことだと思うわけでありますが、ひとつ運輸大臣は、このPPPの原則からいたしまして、またあの空港に対して管理なさる運輸省とされまして、どのようにお考えになっていらっしゃるかという点をお伺いしたいのです。
  145. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のように、PPPの原則といいますか、原因者負担の原則というものは、今後の騒音対策等にも十分生かされていかなければいけないというふうに考えております。したがいまして、われわれが今後計画いたします空港整備その他の問題につきましても、やはりこの原因者負担の原則で経費を負担させるような方向でいかざるを得ないというふうに考えております。
  146. 土井たか子

    ○土井委員 いかざるを得ないという御発言は、どうも不穏当なようなんですね。当然のことでございますよ、これは。至って当然しごく。いかざるを得ないというふうな御発言からすると、どうもその点は十分に取り組みが進むのかどうかという点に対して、一まつの不安を感じます。  運輸大臣、これに対しての裏づけというものがなければ困ると思うのです。現に、これはそういうふうに鋭意努力をいたしますとか、十分に検討を重ねまして何とか対策を講じたいと思います、というふうな国会での質問に対する御答弁の繰り返しでは、そのことに対する裏づけにはまだまだならないわけでありまして、法制度上はっきりした、こういう裏づけでこの問題に対して臨みますということが何かなければ、客観的にこれに対して押していく場合に押しがきかないと思うのですよ。運輸大臣は、この問題に対してどういうお考えを現にお持ちでいらっしゃるか、率直な御意見をひとつ。
  147. 徳永正利

    徳永国務大臣 新五カ年計画に対しましては、原因者負担の原則に立ってその処置をとります。それから、それがどういう形がいいかということについては、これは検討を要する問題であろうと思います。  それから、先ほど指摘があったように、いままでちいっともうけ過ぎておる、だからボーナスでもいいじゃないかという御指摘でございます。そのとおりだと思います。そういう点につきましても、いま大阪空港で現に問題になっておりますいろいろなことがありますが、航空会社とも相談いたしまして、老人対策でございますとか、あるいはまたいろいろなそういう面の対策のために、地元の市長会等とも十分御相談いたしまして、金を出させてその対策を進めていきたい、かように考えております。
  148. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、最後に、もう時間でありますから一言だけお伺いしておきたいのは、いまの大臣の御発言をずっと具体的に推し進めてまいりますと、現に日本航空株式会社法という法律がございますね。あの中では、もうけが八%以下である限りは、株主である国に対してこれは当然の配当を支払わなくてよいということになっておりますでしょう。あの問題も含めて、この日本航空株式会社法という法律に対する手直しでございますね、改正問題も含めてお考えであるというふうに理解してようございますか。
  149. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいまの日本航空法の改正を含めてという御質問でございますけれども、八分の配当までは国の配当を免除してありますその基本的な考え方は、国際競争力をつけて企業基盤をしっかりしなければならぬ、そのために国は株主としての配当を八分までは遠慮をする、こういうことでできておりまして、日本航空が今後ずっと現在のような経営基盤を維持できるということであれば、先生指摘のような点も当然考えなければいけないと思いますが、現状では、将来にわたって安定的な経営ができるということが必ずしも確実でございませんし、今後の推移をよく見守った上で検討すべき問題ではないかというふうに考えております。
  150. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁を聞いておりますと、もう一問言わざるを得なくなってまいりました。それは、今後の経営の中身がどうであるかというその都合によって考えるという御答弁でございましょう。騒音対策の問題はその都合を待っていられないのですよ。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕 会社の経営がどうあろうと、現実その被害に苦しんでいるところの住民に対する対策をなおざりにするわけにいかないわけであります。したがいまして、そういう意味で私は質問を申し上げているわけですから、ひとつそれにかみ合うところの御答弁をいただかないと、これは御答弁にならないんです。そのこともひとつ含めて。  それからさらに、これは日航法ももちろんのことでありますが、それ以外に、大臣の御発言の中身は、別の新たな単独立法というものを用意する必要があるということをお考えであるか、それとも現行法の中身を行政指導で、通達あるいは場合によったら省令なども考える用意がおありになる場合もあろうかと思いますが、それでやっていけるとお考えになっていらっしゃるか、ひとつ大まかなところでけっこうでありますから、その辺もあわせてお答えいただきます。
  151. 徳永正利

    徳永国務大臣 私が申し上げた点にふえんいたしますと、その中身についてはまだ新しい法律をつくるとかあるいは省令をどうこうとかいうところまで考えておりませんが、その原則については、先ほど申し上げたとおりに貫いてまいるつもりでございます。
  152. 土井たか子

    ○土井委員 あと局長御答弁をひとつ。
  153. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のように、騒音対策といいますか、その方面の原因者負担ということで、具体的にどういう徴収のしかたをするかという点については、大臣も御答弁になりましたように、別途検討を進める、こういうことでございまして、私が御答弁申し上げましたのは、日航法の改正によって八分までの配当の免除をどうするかという点につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、やはり経営基盤というものをよく見なければいけない、こういうことでありまして、騒音の問題とは一応切り離して御答弁申し上げたわけであります。
  154. 土井たか子

    ○土井委員 大臣、そうしますと、これで私は終わりますけれども、いまの審議中のこの法案の中に、できたらその問題は具体的な明文の規定として織り込むことが私は望ましいと考えている一人なんであります。しかし、いまのこの法案の中で、そのことが不幸にして実現し得なかった場合、何らかの新たな法上の措置を講ずる必要があるというふうに御認識になっているかどうかです。つまり、新たな単独立法を用意するとか、現行法についての中身を、その方向に従って具体的にしていくことのために新たな省令を設けるとか、さらには環境庁との連絡もあるでありましょうから、政令を用意するとか、さらには行政通達等々の措置を講じて具体的にしていくとか、その辺の御答弁を——先ほどは御答弁いただきましたけれども、たいへんばく然とした抽象的な御決意のほどをお聞かせいただいたわけでありますから、具体的にお答えを聞かしていただいて、私の質問は終わりにしたいと思います。
  155. 徳永正利

    徳永国務大臣 現行法の範囲内でできるようでございますが、その法律の条文等について政府委員から説明させます。
  156. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生の御質問は、航空会社に負担をさせるということを新たに法律をつくるか、またはそんなような形で明らかにするべきではないか、かようなことと存じますが、現在の騒音防止法の四条に、航空機の離陸または着陸のために使用するものは、その費用を負担するなどにより、ともに周辺騒音防止につとめなければならないということで、原因者は負担を行なうんだという原則については、法文の中で原則論は明らかになっております。問題はその運用の問題だろうかと存じます。大臣がお答え申し上げました、法律がいいのか政令がいいのかというのは、その負担をさせる場合の負担の方法については目下検討中ということでございまして、原則論は、先生のおっしゃるとおりのことだと存じます。
  157. 土井たか子

    ○土井委員 どうもいまの御答弁を承っていると、もう一言言わざるを得ないんですが、いま現にその中身は、着陸料とか燃料税とか等々の問題で私は具体的にされている中身だろうと思うのです。それ以外に、何らかの形において企業者負担ということを具体化する新設の制度を設けられるかどうかという問題が一つですよ。  たとえば、一つの具体例を示しましょう。それについてイエスノーも込めて、ひとつ御答弁いただきたいと思うのですが、大阪空港というのは他の空港事情が違います。どこの空港でも騒音のない空港はないわけですが、特にあそこは民家が隣接いたしておりまして、この騒音被害というものは、日本全国津々浦々というよりも、全世界に対して有名な空港と申し上げても過言でないと思うのです。したがいまして、あの空港から離陸をするお客あるいは着陸をするお客については、特に騒音に対して負担をしなければならないという意味で、騒音料というものをあの空港を利用する人たちに対して問題にしていくということも、一つの案としてあるように聞いておりますが、そういうことも含めてひとつ御答弁をいただきたい。
  158. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 私がお答え申し上げましたのは、航空会社に負担をさせるという原則については、現在の法文でも明らかでございます。たとえば騒音料というやり方がいいのか、それともそのほかのやり方がいいのか、先生の御例示のような方法がいいのかという中身の具体化については、大臣が申し上げましたように、ただいま検討中でございまして、手段についてはいろいろ検討中でございますと、こういうふうにお答え申し上げたわけであります。
  159. 土井たか子

    ○土井委員 検討中検討中では困りますね。  それでは大臣に一言いただいて、もう私終わりにいたします。
  160. 徳永正利

    徳永国務大臣 たとえば、いま非常に具体的な例をお出しになりましたけれども、これがただ大阪だけを対象にしたものかどうか。いま全国で六十くらい飛行場がございますけれども、百点満点のとれる飛行場というのは三、四カ所しかないわけでございまして、そういうような他の飛行場等について、一体乗降客に対する騒音料というもの、これは仮の名前でございますが、そういうようなものも含めていま検討しておる、こういうことでございまして、この問題は前向きに検討を進めて実現いたしたい、かように考えております。
  161. 土井たか子

    ○土井委員 これで終わります。どうもありがとうございました。
  162. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 三浦久君。
  163. 三浦久

    ○三浦委員 まず最初に、前回木下議員が質問をいたしました民間家屋の防音工事についての助成の問題についてお尋ねしますが、七五%については国が補助をする、あとの二五%についてはどういうふうにするつもりなのか、御答弁いただきたいと思います。
  164. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  残りの二五%の大部分につきましては、地方公共団体から御援助いただきたいというふうにお願いをして、現在いろいろ話し合いを進めております。
  165. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、地方公共団体に御援助願うというのですが、たとえば二五%について地方公共団体が全額見た場合、そのあとで国が地方公共団体に、その見た分については全額何らかの方法で見るかどうかですね。その点をお尋ねいたします。
  166. 寺井久美

    寺井政府委員 さらにその先の負担の方法でございますが、これにつきましては、現在の空港整備五カ年計画の改定を考えておりまして、この三次の空港整備計画の中で、何らかの形で国が地方公共団体にその補てんをするということをいま検討いたしておりまして、財政当局ともいろいろお話し合いを詰めております。その結果は多少先になると思いますが、一応そういう線でいま検討中でございます。
  167. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると 自治体が負担した分については一〇〇%補てんをするというふうに承ってよろしいわけですか。
  168. 寺井久美

    寺井政府委員 そういうラインで財政当局と目下折衝中でございます。
  169. 三浦久

    ○三浦委員 自治体に迷惑をかけるということはあまりいいことじゃないと思うのです。いま附帯決議が折衝されておりますけれども、その案の中にもそういう問題が出てきておりますので、なるべく自治体には負担をかけないという方向でやっていただきたいと思うのです。  次に、大臣に聞きますが、この便数削減の問題なんですね。いままでずっと御論議があったわけでありますけれども、この音源対策についての有効な手段というのはなかなかないわけです。そうすると、最も有効なのは時間規制の問題と、あとは便数削減ということになるだろうと思うんですね。御承知のとおりにああいう判決が出まして、現在の状態のままで飛行機を飛ばすということそれ自体が損害賠償の対象になるということですから、これは違法行為だということなんですね。そうすると、やはり国としても何らかこの時間制限の問題、また便数削減の問題について考慮せざるを得ないというところにきていると思うのです。  判決直後に運輸大臣は、参議院の公害対策特別委員会で答弁されております。ところがどうもあまりはっきりしないんですね。運輸大臣の答弁は、エアバスの就航によって便数を半減したい、こう言っておられるわけなんです。ところが環境庁長官三木さんは、そうじゃなくて、新幹線の、代替輸送機関ですね、これを利用して航空需要を減らす、そうして便数を削減したい、こういうふうに言っているわけですね。これは基本的には両大臣の言っていることは違うと思うんですよ。運輸大臣のほうは、輸送需要はそのままにしておいて、エアバスを入れてそして削減する、三木長官のほうは、新幹線にそれを振り分けて航空需要を減らして便数を減らす、こういう考え方だと思うんですね。で、大臣のお考えですが、三木さんのお考えに同調するという気持ちはありませんか。
  170. 徳永正利

    徳永国務大臣 私は裁判の前から、何とか削減をする、それとエアバスを入れて削減する、こう二通り方法があるわけでございまして、両方の面を考えたいということを申しておったわけでございまして、私、公害対策委員会であとのほうしか言っていないということはないと思いますけれども、もしもそうであったとするならば、総体を含めて、全部を含めて、やはり音源対策というのは、大阪の場合は便数の削減よりほかに——一番的確な方法は便数の削減、その次が低騒音ということで、エアバスを入れれば音も下がるし便数も削減できるということで、これは両方ともいいと思いますけれども、いま地元の御理解を、一生懸命に努力中でございますが、そういうようなものを含めてやるということでございまして、三木さんの考えと大きく変わっているところはございません。
  171. 三浦久

    ○三浦委員 環境庁にお尋ねしますが、三木長官め考え方というのは、エアバスを入れないで新幹線によって航空需要を抑制し、そして減便をする、こういう考えに承ってよろしいのですか。
  172. 鈴木善晴

    ○鈴木説明員 三木長官のお考えは、エアバスを必ずしも否定しているということではないと思います。三木長官としましては、大阪空港周辺騒音問題がたいへん深刻な条件であるので、できる限り便数の削減をやりたい、特に東京大阪間については大幅な便数の削減をやりたいということでございまして、その際にどういう機種を入れるかということについては、特にこれでなければいけないというふうなお考えではないと思っております。  先ほど運輸省のほうから御説明がありましたように、エアバスという飛行機につきましては、一機ごとの飛行機の音が現用のジェット機よりも相当低いということがございますので、エアバスを入れて便数を減らせば、一機ごとの音も減るし便数も減るということで、現用機種減便よりは、音の面だけ考えればより有効であるということは否定できないと思います。ただ地元住民方々が、エアバスについてはたいへん危険感といいますか、不安感というか、そういうものを深刻にお感じになっているということもこれまた事実でございますので、万一といいますか、かりにエアバス導入するというような場合には、運輸省から十分地元の方とお話し合いをなさって、住民の方が納得された上で導入されるということがやはり望ましいのではないかというふうに考えております。
  173. 三浦久

    ○三浦委員 私はこの法案の審議を通じて、黒田大阪府知事、参考人として来られました。それから各地方自治体の首長さんたちがお見えになりまして、結局エアバス導入するのじゃなくて、無条件に東京大阪については便数を減らしてくれ、こういう強い要望をされているわけですね。これもまた多くの住民の気持ちじゃないかと思うのです。であるとすれば、私はエアバスを入れないで、まず思い切って減便をしてみるということが局面を打開していく唯一の道ではないかというふうに思うんですが、この点について、大臣どう思われますか。
  174. 徳永正利

    徳永国務大臣 私も原則論を言いますと、そういうような誠意を示した上でやるべきだ、地元の方も納得される方向に御理解いただけるのではないかと思うわけでございます。ただ、いま非常に歯切れの悪いことをちょうちょう言っておりますのは、何ぶんにも需要が一カ月前からほとんど満ぱいというような状況下にあるわけでございまして、これを思い切って、それじゃ一発でばっさりいけというわけには、実はそこに問題があるわけでございまして、そういうものをにらみ合わせつつ、なるたけ地元の方の御迷惑のかからぬような減便減便というとすぐエアバスが出てきますが、削減にひとつ努力したい、こう考えておる次第でございます。
  175. 三浦久

    ○三浦委員 いま大臣が言われましたように、まず国が、運輸省当局が住民に対して誠意を見せるということ、このことは非常に大事なことだと思うんですね。住民はどういう不安を持っているかというと、たとえばエアバスを入れて便数が削減されても、航空需要がふえてくればすぐまたエアバスをどんどん増発していってしまうのではないか、こういう不安を持っていると思います。いままでもずっと大型ジェット機がどんどん導入される。そして便数が減るのじゃなくて、逆にどんどんジェット機が大型化していくに従ってまた便数がふえてきた、そういう経緯があるわけですね。ですから、減らしたものがまたふえるのじゃなかろうか、こういう心配を持っているんですよ。現実的にもそういうことがあっているんですよ。たとえば「日本航空(株)東京−沖繩線の便数推移」という資料をいただいておりますけれども、これは昭和四十七年の四月、五月と、これはボーイングを運航しておったんですね、これは九〇三便ですけれども。四十七年の八月に三百八十四席のボーイングをを入れているわけですね。入れて、確かに四十七年の八月と四十七年の十二月については九〇五便を削減しています。ところが四十八年の四月になると、削減した九〇五便を、今度は前よりももっと大きな飛行機であるDC8、これは二百三十三席あるわけですが、これを入れているわけです。これは航空需要がふえたという理由だろうと思うんですがね。その辺ちょっと御説明いただきたいと思います。
  176. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま先生指摘の747投入後、また復活したということは、747投入当時はそれで間に合った需要でございましたが、その翌年、さらに沖繩−本土間の輸送需要がふえた、それに見合わせるためにDC8を投入したというのは事実でございます。
  177. 三浦久

    ○三浦委員 そうでしょう。ですから今度は、この九百三便に四十八年の十月にはエアバスを入れているのですね。ところが、全然便数は減らしてないのです。ですから、一たん減らしても、航空需要がふえたということでまたふやされてしまうというおそれというもの、不安というものを、非常に大きく住民方々は持っていらっしゃるのですね。特に航空会社がいろいろな宣伝をしているわけです。航空会社のほうは、いわゆる大量輸送ができるからだ、便数を減らさないで大量輸送ができるからこのエアバスを就航させるんだ、こういうことを繰り返し繰り返し宣伝しているわけですね。決して大臣の答弁のように、住民被害を軽減するためにエアバスを入れるんだというようなことは一言も言っていないわけですよ。たとえば二、三日前に買ったサンデー毎日の三月十日号なんですけれども、ここに日本航空エアバスの宣伝があります。これは「年ごとに需要のふえている国内線。そうしたお容さまのご要望に応えて登場するのが日航ジャンボ・エアバスです。」「まさに大量輸送時代の要請に応える理想の旅客機」だ、こういうようなことになっているのですね。  そうすると、輸送需要をまかなうためにこれを入れるんだということが、片一方ではどんどん宣伝されていますね。たとえば、こういう雑誌類の宣伝だけじゃなくて、テレビでもやる、またFM放送なんかでもやっているのですね。毎日夜の十二時からやっていますよ。たとえば町SRは便数をふやさず輸送力を増強するのに最適の機種です、というようなコマーシャルをどんどん流しているわけです。そうすると、住民というのはどうしても、一たん減らすとは言うけれども、また減らしたあとふえるんじゃないか、こういう不安を強く強く持つだろうと思うのですね。ですから私は、まず思い切って無条件に削減してしまう、そして政府が誠意を見せた後に、今度は住民の代表と一生懸命話し合うということが大事だと思うのですね。いまいろいろな科学的なデータをもって航空局の方たちが幾ら説得しても、大体信頼関係がもうないのですから、信頼関係がもう切れちゃっているのですから、なかなか言うことを聞かない、お互いの理解が浸透しないということになるだろうと思うのですね。ですから私は、まず思い切って便数を削減する、それから話し合いを始めるということを提案したいと思うのですが、いかがでしょう。
  178. 徳永正利

    徳永国務大臣 先ほど来お答え申し上げているように、やはり誠意を示さなければならぬ。その誠意とは何かといいますと、やはり目に見えたものでなければ、はだに触れたものでなければならないだろうと思います。そういう意味におきまして、この削減問題につきましては、いま検討を命じておりますけれども需要の混乱を来たさない範囲内においてどのくらいの程度のものでやれるかということについて決断をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  179. 三浦久

    ○三浦委員 しかし、大臣のような考え方にいつまでも固執していますと、私はこれは行く行くは見切り発車というような事態にならざるを得ないようになるんじゃないかと思うのですね。大臣も政治家でありますから、その点はひとつ決断をもって住民との話し合いの場をつくるようにしてほしいと私は思うのです。  次に、米国の飛行機の問題なんですけれども、日本国とアメリカ合衆国との間の民間航空輸送協定というものをいただいておるのです。そしてまた、アメリカと日本との相互乗り入れの便数の資料もいただいております。ところが、日本航空はアメリカに対して五十三便しか行ってないんですね。ところがアメリカの飛行機は百六便来ているんです。ちょうど倍ですね。これはことしの二月二十七日の調べということになっておりますけれども、これはきわめて不平等だというふうに思うんですがね。この点、どうしてこうなっているのか、大臣、御説明いただきたいのです。少なくとも日本航空が五十三便しか行ってないのだから、アメリカも五十三便にカットすれば、それだけ騒音が少なくて済むようになるのじゃないかと思うのです。この点、御意見を聞かしていただきたい。
  180. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  日米の航空協定におきましては、輸送力条項というのが十二条にございますが、この十二条によりますと、需要に見合った適当な輸送力を供給するべきだ、こういう趣旨になっております。それで現在、日本とアメリカの取りきめといいますか、実際にやっておりますやり方、これは、通常われわれ事後審査と言っておりますが、企業が適当と思う便数をまず運航いたしまして、それが不当に供給過多になったという場合には、両政府が協議をして減らせる、こういう仕組みになっておるわけです。  そこで、先生指摘のように、アメリカのほうが非常にたくさんいま日本に飛んできておりますが、これはその面から取り上げますと、非常に不平等といいますか、不均衡である。しかしながら、日本側にもその力があればそれだけの便数が飛んでいけるということになっておりまして、協定上は一応バランスがとれております。  ただ、実行上便数が非常にアンバランスになっております。これが騒音対策に役に立たないではないかという御指摘、まことにごもっともだと思いますが、この日米間の取りきめにおきましては、その便数を一方的に切るというわけにはまいらないわけでございます。ただ、大阪等につきましては、現在騒音問題で非常に便数を制限いたしておりますので、事情を説明いたしまして、現状よりふやさないようにという申し入れをし、かつ東京におきましては、これは主として安全の面でございますが、これも増便できない状態にあるということで、現在向こうの増便希望を断わっております。ただ、これは協定上の権利として断わっておるわけではなくて、あくまで話し合いでそういう処置をしておる次第であります。
  181. 三浦久

    ○三浦委員 協定があるからやむを得ないのだ、こういうお話なんですね。それからまた、アメリカが百六便入れているので日本も百六便まで入れる権利があるから不平等じゃないのだ。しかしそれは形式的な議論ですね。形式的な平等ということであって、実質的には不平等なんですよ。というのは、日本航空はそれだけの力がないわけでしょう。それなのに、なぜそういうことが最初からわかっていながら、この協定の第四条によりますと、「権利を許与された締約国が特定路線について一又は二以上の航空企業を指定すること。」となっていますね。アメリカの場合には、そういう力を持った企業が幾つもあるからたくさんの航空会社を指定することができるわけでしょう。ところが、日本の場合には一社だけですね。日本航空だけでしょう。そうすると、そもそももうこの第四条の規定自体が実質的には不平等なものだということがいえると思うのですね。それから第十二条の問題もそうですね。需要が適正であればそれは拒否できないということになっていますけれども、これはまあ運びたい人は運べということですよ。これじゃやはり、いま騒音公害ということから航空輸送を何とか抑制していこう、そういう方針とはまっこうから反する規定だと思うのです。ですから、そういう意味では第四条と第十二条をやはり改定をする、そのぐらいの民族の誇り、意気込みと気概というものが私はあってもいいと思うのですけれども、その点いかがですか。
  182. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘の第四条、これは指定航空企業を一また二以上指定することができるということで、これは当然日本側もそういうことができるわけでございます。また、この二国間の航空協定の一つのパターンといたしまして、日本が結んでおります各国との航空協定におきましても、一、二の例外を除きまして全部この複数指定が可能なようになっております。これは騒音問題ということとは切り離しまして、協定の一つあり方の問題であろうかと思いますが、やはり民間航空の発達、発展という観点からいたしまして、各国とも大体こういう取りきめ方をする慣例になっておるわけでございます。  輸送力条項につきましても、これはいろいろ問題があることは事実でございまして、私どもも両国の権益ができるだけバランスするようにということで努力を続けておりますし、日米間におきましては、先生指摘のように、便数に非常に格差があるのも事実でございます。それからまた、こういう公害問題等の観点から、将来ある程度この便数を制限していかざるを得ないというような事態に相なるかと思いますが、それはやはり空港サイドの面から調整をせざるを得ないのではないか。もちろんこの航空協定の本協定そのものはなかなか改定がむずかしゅうございますが、航空当局間の話し合いというのは、大体年に一度程度行なわれておりまして、両国の事情をお互いに理解して、お互いに迷惑をかけないように、その範囲内で民間航空の発展をはかっていこうというのが、アメリカのみならず各国の航空当局の考え方でございまして、その辺、意思の疎通をはかるように今後ともつとめていきたいというふうに思っております。
  183. 三浦久

    ○三浦委員 アメリカとの間にだけこういうアンバランスがあるのですよ。たとえばイギリス、フランス、イタリア、こういうところはほぼ同数ですね。ですから、私はこういう事実を見て、日本の対米従属というのがほんとうにこんなこまかいところにまで及んでいるんだなとびっくりしたわけなんです。私はそういう意味で、いま航空行政当局がいろいろ努力されていると言われておりますけれども、だれがどう見たってこれは不平等条約ですから、これを改善する方向でひとつ努力をしていただくようにお願いをしておきたいと思うのです。それがまた一つのある意味での騒音対策にもなっていくわけですから。  次に、私は公害防止事業の原因者負担の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  環境庁にお尋ねをいたしますけれども、飛行場騒音による公害防止対策事業、これは公害対策基本法の第二十二条の汚染者負担の原則の適用があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  184. 青木英世

    ○青木説明員 お答え申し上げます。  公害対策基本法二十二条は、国なりあるいは地方公共団体が公害防止の工事をいたします際に、その公害の原因をなくしております事業者から、その公害の程度に応じまして費用を徴収する、こういうことが書かれておるわけでございます。  そこで、いまお尋ねの件でございますが、理論的には適用があると思いますが、現在実際に行なわれておりますのは、国の飛行場あるいは地方公共団体の飛行場にいたしましても、その事業者自身が行なうということでやっておりますので、理論的には二十二条の適用があると思いますが、現実の事業はそういう考え方ではなしに行なわれている、このように理解しております。
  185. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、いまの環境庁のお話では、いわゆる公害を発生させている飛行場の設置管理者としての国が公害防止事業をやっているんだから、公害対策基本法第二十二条の適用はないのだ、こういうことですか。
  186. 青木英世

    ○青木説明員 ちょっとお答えが違ったかもしれませんが、二十二条によりまして、実はその適用する場合の法律といたしまして公害防止事業費事業者負担法という法律がございまして、その法律の適用は現在いたしておらない、こういうことでございまして、(三浦委員「聞いたことに答えなさい」と呼ぶ)実質的に汚染者負担の原則というものは貫かれるべきである、このように考えております。
  187. 三浦久

    ○三浦委員 だから端的に聞いているのですよ。公害対策基本法第二十二条の適用は受けるのですか、受けないのですか。
  188. 青木英世

    ○青木説明員 はっきり申し上げますと、現在行なわれているものは受けておりません。
  189. 三浦久

    ○三浦委員 現在行なっているものは受けていないというのはどういう意味ですか、ちょっとお尋ねいたします。
  190. 青木英世

    ○青木説明員 先ほどから申し上げておりますように、飛行場の設置者としてのいわば事業者としての国がやっておる、こういう意味で二十二条そのものの適用はないのだ、現在適用してやっておるものではない、このように申し上げておるわけでございます。
  191. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、事業者としての国ではなくて、一般行政主体としての国または地方公共団体が公害防止事業をやる場合には適用があるわけですね。
  192. 青木英世

    ○青木説明員 御指摘のとおりでございます。
  193. 三浦久

    ○三浦委員 運輸省伺いますが、運輸省としては、やはり第二十二条の適用は、現在やっている公害防止対策事業には適用にならないとお考えですか。
  194. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 現在国が行なっております事業は、飛行場の設置者として行なっているというふうに考えておりますので、環境庁の御答弁のとおりでございます。
  195. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、あなたのほうで汚染者に対してその原因の度合いに応じて公害対策費用を負担をさせるという、そういう原則は貫かなければならないと思っていますか。
  196. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、PPPの原則というのは当然貫いていくべきだとかように考えております。
  197. 三浦久

    ○三浦委員 それでは、いままでずっと行なってきた騒音防止対策事業費のうちで、大体国と航空会社がどの程度の割合で負担をすることが正しいというふうに思っていらっしゃいますか。
  198. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 ただいままで行なってまいりました対策は、すべて空港整備特別会計から支弁をいたしておりますが、御承知のように空港整備特別会計にはいろいろな費目がございまして、その中で公害対策、いわゆる騒音対策に使っている部分は、どの財源からどういうふうにまかなわれてきているかは必ずしも明確ではございません。ただ空港整備特別会計というものの経費は、通行税による負担部分も入れますとほぼ八〇%程度が原因者負担ということになっておりますので、その意味では、特に騒音防止対策については、ほとんど原因者負担で行なってきたというふうに考えております。
  199. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、八〇%の割合で負担をさせるのが正しいんだ、適当なんだというふうに考えておられるわけですか。
  200. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 私が申し上げましたのは、空港整備特別会計の八〇%が原因者負担になっておるということでございまして、そのうち騒音対策費用がどの費目からどうなっているかというのは必ずしも明確に結びついておりません。しかし、空港整備特別会計には、たとえば新空港公団に対する出資とか、離島辺地に対する輸送に関する経費の負担とか、そういう本来一般会計で負担すべき負担がかなり入っておりますので、そういうものを差し引きますと、従来までの騒音防止対策として行なってきたものは、実質的にはほとんど全額原因者負担で行なってきた、かように考えております。
  201. 三浦久

    ○三浦委員 私が聞いているのは、いままでどうだったとか、空港整備特別会計の財源の内訳がどうなっておるかということではないのですよ。少なくともPPPの原則は貫かなければならないとあなたたちは考えておるわけでしょう、昭和四十二年以降ずっと、この法律ができてから、そうであれば、国が設置者として何ぼ負担しなければならない、それから、それを利用する航空会社がどの程度負担しなければならないのかという一応の目安があって、それに近づくようにいろいろと対策を講じていくのがあたりまえのことでしょう。入ってきたものが八〇%航空会社の負担でありますとか、そんなことは結果なのであって、行政の目安をどこに置いておるかということを聞いておるのですよ。
  202. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 いささか私のお答え申し上げましたことが先生の御質問にぴたりしなかったようでございますけれども先生の御質問が、いままでどういう原則できたというふうに考えておるかという御質問でございましたので、それについては特に原則というものは明確ではございませんけれども、かくかくであったというふうに考えておるというふうにお答えを申し上げたわけです。なお……。
  203. 三浦久

    ○三浦委員 そんなこと言わなかったよ。あとのほうだけしか言わないじゃないか。いままでは特に原則がなかったということは一言も言っていない。
  204. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 いや、先ほど申し上げましたように、空港整備特別会計という費目というのが、どの費目がどこに支弁されたということが明確ではありませんので、どういう原則できたかということは必ずしも明らかではございませんが、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、ほぼ一〇〇%は原因者負担でやってきたというふうに考えておる、かように申し上げたのであります。
  205. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、幾ら汚染者である航空会社に負担させるのが適当かというようなことは全く考えていないということですか。それとも、いまあなたがほぼ一〇〇%負担をさせてきたと言っている、さっきは八〇%と言った。だいぶ違ってきておりますけれども、どこに行政の目安を置いてPPPの原則を貫こうとしてきたのかということなんですよ。いままでそのことをまだきめていないのですか。全然考えてもいなかったのですか。どうですか。
  206. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 いささか誤解があるようでございますので、八〇%と申し上げましたのは、空港整備全体の八〇%が原因者負担で行なわれてきたということを申し上げたのでございます。それから、そのうち騒音対策費がどれだけ原因者負担で行なわれてきたかということについては、結果的にほぼ一〇〇%原因者負担で行なわれてきた、かように考えているというように申し上げたのであります。
  207. 三浦久

    ○三浦委員 そんな都合のいい解釈はない、そんなことをやったら、そのほかの空港整備の金は全然出していないということになるのだ。金に色はつけていないのですから、そんな理屈は成り立たないですよ。あなたたちがどの程度汚染者に負担をさせなければならないのかということを全然考えてきていないというのはおかしいと思うのです。それから、空港整備特別会計、その財源が航空会社のものが八〇%だと言いました。それだから、公害対策費用については、ほとんど全部まかなっていることになるだろう、こういうお話ですが、ではその財源というのは一体何と何ですか。
  208. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 どうも、私のお答えがまずいせいか、先生に十分御理解いただけませんが、先ほどの八〇%、二〇%の話のときには、申し上げましたのは、空港整備特別会計の財源は、八〇%が何らかの形での原因者負担になっておる。しかし、空港整備特別会計の中には、新空港公団に対する出資とか離島のように元来一般会計からの繰り入れでまかなうべき性格のものがかなり入っておりますから、そういうものを除きますと、騒音対策費に回る金は結果的にほとんど一〇〇%原因者負担であった、かような意味に御説明を申し上げたわけでございます。  それから財源でございますけれども先ほど申し上げましたように、通行税からの繰り入れ分も含めますと八〇%というふうに申し上げましたが一残りは何かと申しますと、航空機が支払います着陸料、航行援助施設利用料、それから航空機燃料税、その他空港の諸施設の経費、それらで構成されております。
  209. 三浦久

    ○三浦委員 あなた、通行税というのはだれが払うものですか、ちょっと聞きます。
  210. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 通行税はもちろん乗客が払うものでございます。そういう誤解を招くおそれがあると思いましたので、通行税見合い分を含めますとと、特に念を押して申し上げましたのはそういうわけでございます。
  211. 三浦久

    ○三浦委員 だからそんなのはごまかしじゃないか。航空会社が通行税を払っているんじゃないのですよ。乗客が払っているんですよ。そんなものを含めて八〇%だの一〇〇%だのということ自体がおかしいと思うのです。通行税は航空会社が払っているものではないでしょう。だから、当然原因者負担の中からは控除しなければならないものじゃないのですか。
  212. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 通行税以外の部分でも、結果的には運賃にかかっておるわけで、利用者が負担しているわけでございます。そういう意味で、広い意味で原因者負担と申し上げまして、そのために通行税見合い分も含めますと、こういうふうに注釈を最初からおつけ申し上げておるのはそういうわけでございまして、誤解がございましたら、通行税部分を引きますと約六〇%程度だというふうに申し上げます。
  213. 三浦久

    ○三浦委員 通行税が広い意味で利用者負担だなんてとんでもない話ですよ。利用者が騒音をふりまいているのじゃないですよ。航空会社がふりまいでいるのですよ。そんなでたらめな答弁じゃいかぬですよ。それから、空港使用料も利用者負担の一部を構成しているんだと言っているけれども空港使用料というのは、もともと膨大な設備投資をかけてきた空港を使用する対価です。こんなものを払っているからといって、原因者負担の原則か貫かれているんだなどということは全く言えないですよ。航空機燃料税だって目的税じゃないですね。一般財源ですよ。ですから、税金を払っているから、また空港使用の対価を払っているから、だからおれは公害については原因者負担をやっているのだというような考え方は、現在の原因者負担という考え方とは全く違うということを私は申し上げたいのです。  それで、判決の話に戻りますけれども判決で慰謝料の支払いを命じてますね。これは一体だれが払うのですか。航空会社にも払わせるのですか、どうなんです。
  214. 寺井久美

    寺井政府委員 判決が確定いたしておりませんので、どういうかっこうにするかということについて、御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、判決が確定次第、どういう形でそれを支払うか、あるいは支払わないかという点は決定できると思っております。
  215. 三浦久

    ○三浦委員 これはもし国会が全額払ったということになると、これもまたPPPの原則に反するのです。あなたたちの考え方は、いやそれは通行税を払っているから、航空機燃料税を払っているからというようなことを言うけれども、慰謝料まではまさか含まれてはいないでしょう。国が全額払ってしまえば一こういう航空機燃料税とか空港使用料とかの中にも慰謝料分まで含めて取っておったということにならざるを得ないですね。そんなばかなことは考えられませんよ。そうすれば、当然航空会社にも負担をさせるというのが筋ですね。そんなことは検討しなくてもわかることだと思うのです。  いままで国のとってきた公害防止対策の施策についてお尋ねいたしますけれども、公害対策基本法第四条に「国は、国民の健康を保護し、及び生活環境を保全する使命を有することにかんがみ、公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」こう書いていますね。これに基づいていろいろ騒音対策を講じられてきたと思うのですが、どんなものがありますか、ちょっと述べてください。
  216. 寺井久美

    寺井政府委員 現在まで国としてとってまいりました騒音対策を簡単に御紹介申し上げますと、まず発生源対策といたしましては、東京大阪空港について深夜便の発着を禁止いたしました。東京については、三十八年の四月に、午後十一時から翌朝の七時まで原則としてジェット機の発着を禁止し、大阪につきましては、四十年の十一月、午後十一時から翌朝七時まで同様に原則としてジェット機の発着を禁止しております。さらに大阪空港につきましては、B滑走路の供用に際しまして、時間帯に分けまして、ある測定点におけるホン数を規定いたしました。たとえば午前の六時半から七時までは百ホンをこえてはいけない、あるいは午後の十時半から翌朝の六時三十分までは七十五ホンをこえてはいけない、こういうことで騒音規制を行なってまいりました。また四十六年の勧告に基づきまして、東京大阪空港につきましてはこの時間制限を強化いたしまして、午後の十時から十一時までと午前六時から七時までの間の発着は、東京につきましては海上を利用する、エンジンテスト等につきましても所定の場所で行なうように指導いたしました。大阪につきましては、従来の発着禁止時間帯をさらに強化いたしまして、郵便機と緊急やむを得ない場合を除きまして午後の十時から翌朝の七時まで離発着を禁止いたしました。さらに、四十七年の四月以降、東京及び大阪におきまして全体の発着規制を行なってまいっております。  それから周辺対策と申しますか、対症的な対策といたしましては、学校、病院等の防音工事の助成あるいは共同利用施設の補助、それから移転補償等の手当てなどをいたしまして今日に及んでおります。民家の防音工事につきましては、現在御審議中の法案が成立次第実行したい。また音源対策等につきましても、低騒音大型機を使用する、あるいは減音エンジンの開発ができておりますものにつきましては、低騒音のエンジンにかえるというようなことを来年度から実施していこうと思っております。
  217. 三浦久

    ○三浦委員 局長にお尋ねしますけれども、いままでいろいろやってきた航空騒音を防止するための事業ですね。いわゆる整備特別会計でやってきたやつです。これは空港の設置管理者としてやっているのですか、それとも、そうじゃなくて運輸行政をつかさどる国としてやっているのですか、運輸大臣としてやっているのですか、どっちですか。
  218. 寺井久美

    寺井政府委員 主として設置管理者の立場から現在までの騒音対策を実施いたしております。
  219. 三浦久

    ○三浦委員 空港整備特別会計法を見ますと、ここには何も公害防止対策事業なんというのは書いてないのですね。おそらく空港の「設置、改良、災害復旧及び維持その他の管理に関する事業」というものの中に入るのではないかと思うのですが、いかがですか。
  220. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のとおりでございます。
  221. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、この空港整備特別会計法第一条によりますと、「空港整備事業一空港整備法第二条第一項に規定する空港その他の飛行場で公共の用に供されるもの」こうなっておりますね。そうすると、これは第一種、第二種、第三種空港全部含まるわけですね。いわゆる国が設置管理者である一種空港、二種空港だけじゃなくて、三種空港まで含めた空港整備事業なんですね。そうすると、設置管理者としてやっているのではなくて、運輸大臣としてやっているのだというふうにいわなければならないと思うのです。いわゆる行政主体としての国が空港整備事業の一環として公害対策事業をやっているのだというふうに理解しなければおかしいと思うのですね。あなたはさっき設置管理義務者として公害対策事業をやっているのだ、こうおっしゃいましたけれども、そうじゃなくて空港整備事業の一環なんです。空港整備事業というものは一種、二種、三種全部やっている。三種というのは地方公共団体が設置管理者でしょう。そうすると、空港整備事業の一環としてやっている公害対策事業というのも、設置管理者としてやっているのではない、行政主体である国としてやっているのだということがいえると思うのですね。この点いかがですか。
  222. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生の御指摘のように、一条の条文には、いま先生がお読み上げになったようなふうに書いてございますが、よく読みますと、この「規定する空港その他の飛行場で公共の用に供されるもの」ということは、二条一項と読んでおりますのはその飛行場にかかるわけでございまして、「設置、改良、災害復旧及び維持その他の管理に関する事業並びに当該事業についての国の出資金、負担金その他の経費の交付で運輸大臣が行なうもの」こういうものがございまして、三種空港まで含めて引いておりますのは、この負担金というようなものの部分が出てまいるからこれを引いておるわけだというふうに考えております。
  223. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、あなたの意見では、空港整備事業というのは第三種空港は対象にしていないということなんですか。
  224. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 いま申し上げましたように、「負担金その他」ということで、空港整備関係の地方公共団体の設置する部分について負担をいたしております。その分はそこで読むのだというふうに考えております。
  225. 三浦久

    ○三浦委員 ちょっと環境庁にお尋ねいたします。  先ほど寺井局長がいろいろ国のやった騒音防止対策として防音工事の補助の問題とか共同利用施設の補助の問題をあげられましたけれども、これらは地方公共団体が行なう事業なんですね。そうすると、これらについては公害対策基本法第二十二条、それから公害防止事業費事業者負担法の適用があると思うのですけれども、その点いかがでしょう。
  226. 青木英世

    ○青木説明員 お答え申し上げます。  地方公共団体が事業主としてのいわば第三種空港の設置管理者の立場で行なっておる限りは、先ほど国の場合に申し上げたと全く同じことでございます。
  227. 三浦久

    ○三浦委員 そんな前提をつける必要はないのだな。いま寺井局長が言われた騒音防止工事とか共同利用施設の補助というのは、これは国が飛行場の設置管理義務者としてやっているわけです。自治体はただ単に被害者なんですよ。地方自治体が事業者じゃないのです。第一種空港、第二種空港です。この場合は公害対策基本法第二十二条、それからさっきの費用負担法の適用がありますかと聞いているのです。
  228. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 私のほうからお答えしたほうがいいかと存じますが、現在国が設置者として助成をいたしております……
  229. 三浦久

    ○三浦委員 質問が、たとえば運輸省の内部でなら、それは大臣と言って政府委員がやってもいいけれども、環境庁に聞いているのに運輸省が出てくることはないんじゃないですか。これは全然違う。あなたに聞きたいときは——もう一回聞くからちょっと下がっててくださいよ。それはあまり出しゃばり過ぎというものです。
  230. 青木英世

    ○青木説明員 私、実は空港整備の具体的な補助の状況等について詳しく存じておりませんので、その面についてお答えいただいたあとで、私から見解を申し上げさしていただきます。
  231. 三浦久

    ○三浦委員 環境庁の方にお尋ねしますが、空港騒音防止法の第五条に「特定飛行場の設置者は、地方公共団体その他の者が当該飛行場の周辺における航空機騒音により生ずる障害を防止し、又は軽減するため、次の施設について必要な工事を行なうときは、その者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の全部又は一部を補助するものとする。」こうなっているわけです。そうすると、ここで書かれている地方公共団体というのは特定飛行場の設置者じゃないのです。お答えいただきたいと思います。
  232. 青木英世

    ○青木説明員 ただいま第五条についての御指摘があったわけでございますが、ここでは学校教育法とかあるいは医療法に規定しております病院とか、こういう施設を対象としておるわけでございますが、これらの学校、たとえば学校教育法によります義務教育の諸学校、あるいは病院にいたしましても、これが地方公共団体が管理しておるような施設でございますので、それに対する補助というかっこうでこの規定は出てきている、このように私ども解釈いたしております。
  233. 三浦久

    ○三浦委員 何かわけのわからない答弁なんですが、これは地方公共団体がかりに小学校、中学校に防音工事をやりますね、これは公害防止対策事業じゃないのですか。
  234. 青木英世

    ○青木説明員 広い意味の公害対策事業に含まれると考えております。
  235. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、この地方公共団体が行なう防音工事については、公害防止事業費事業者負担法の適用があるんじゃありませんか。いかかですか。
  236. 青木英世

    ○青木説明員 先ほどから申し上げておりますように、事業者としての立場でやっておりますので……(三浦委員「事業としてじゃないじゃないか。公害事業ですよ。公害事業の主体が地方自治体なんですよ。あなた、この事業者というのは汚染源者のことをいっているのですよ」と呼ぶ)いま申し上げましたのは学校とかあるいは病院とか、そういうような施設につきましてはそれぞれ地方公共団体が管理いたしておりますので、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  237. 三浦久

    ○三浦委員 だからどうしたの。——答えてくださいよ。費用負担法の適用があるのですかないのですかと聞いているのです。
  238. 青木英世

    ○青木説明員 ないと解釈いたしております。
  239. 三浦久

    ○三浦委員 そんな乱暴な解釈がありますか。あなた、ちょっとでたらめだね。繰り返し言うけれども、第二十二条の「事業者は、その事業活動による公害を防止するために国又は地方公共団体が実施する事業について、当該事業に要する費用の全部又は一部を負担するものとする。」というこの「事業者」というのは、事業をやって公害を発生している事業者をいうのですよ。そうでしょう。学校を経営しているからその事業者はこの事業者なのだから、その事業者がやっている事業だからこの費用負担法の適用がないのだなんというのは乱暴じゃないですか、あなた。さっきあなたは、国の場合にはかろうじて汚染をたれ流している空港の設置管理者としてやっているのだから、犯人が自分でやるのだから費用負担の原則は適用がないのだ、こういう話だと思うのですけれども、地方公共団体が防音工事をやるのが何がここにいう事業者ですか。むしろ公害防止事業の主体でこそあれ、公害を発生させている事業の主体じゃないでしょう。そんなでたらめな逃げの答弁、ごまかしの答弁じゃだめですよ。何とかして現状を糊塗しょうと思って……。
  240. 青木英世

    ○青木説明員 実は公害防止事業費事業者負担法の適用があるかないかということで、私、先ほど多少間違った答弁をいたしましたので……。適用されることはできるというように考えております。  ただ、公害防止事業費事業者負担法第二条第二項で「この法律において「公害防止事業」とは、次に掲げる事業であって、事業者の事業活動による公害を防止するために公害対策基本法第二十二条第一項の規定により事業者にその費用の全部又は一部を負担させるものとして国又は地方公共団体が実施するものをいう。」ということでございますので、理論的には適用ございますが、現実には、ここで「負担させるものとして」ということで現実の運用としてはこの法律に基づく負担は適用させないでやっておる、こういうことでございます。
  241. 三浦久

    ○三浦委員 それにあなたたちがかってにそうしているだけじゃない。現実にやっていることがみんな正しいわけじゃないのですよ。公害対策基本法第二十二条に「事業者は、負担するものとする。」と書いてあるでしょう。そうすると、これはPPPの原則でもって費用を負担しなければならないということですよ。そしてその費用を負担する場合の適用事業であるとか、どういう公害防止対策事業に費用を負担させるかという問題とか、どういう方法で事業者から徴収するとか、そういう問題については別に法律で定めるということになっておるわけでしょう。そうすると、その規定を受けてこの費用負担法というものができているわけだから、とらなければならない。そして、とらなければならない公害防止事業はこういうものですよと、ここに二条でもって五つの公害防止事業が列挙されている。そしてこの二条二項五号を受けて政令ができておるでしょう。そしてその政令によれば、いわゆる住宅地域からの移転補償の問題それから小学校、中学校、病院、そういうものに対する移転補償の問題、それからそういう小学校、中学校等に対する防音工事、こういうものもみんな費用負担法の対象になっているじゃないですか。それを負担させないことにかってにしちゃっていいんですか。おかしな話じゃないですか。
  242. 青木英世

    ○青木説明員 それは先ほど先生も御指摘ありましたように、学校とかあるいは病院につきましては別に国でそういう補助の規定を設けておりますので、この規定を活用することによって実態的には解決がはかられておる、このように私ども考えておる次第でございます。  それから先ほどの、それ以外前段出ておりましたいろいろな騒音防止工事等につきましても、現在御審議をいただいております法律におきましてそういう補助の規定がございますので、そういうような規定を活用することによりまして、実態上は解決されているのじゃないか、このように私ども考えておる次第でございます。
  243. 三浦久

    ○三浦委員 そんなことを聞いているのじゃないですよ。あなたの答弁だと、何か公害対策基本法とその二十二条を受けた費用負担法というものが一般法であって、そしてこの騒音防止法は特別法だ、そんなふうに言いたいんだろうと思うんだけれども、そういう考え方なんですか。だから特別法のほうが優先して一般法は排除しているんだ、こういう意味なんですか。それをちょっとはっきりさしてください。
  244. 青木英世

    ○青木説明員 厳密な意味で一般法と特別法ということではないと思うんです。と申しますのは、公害防止事業費事業者負担法は、くどいようになりますけれども、国なりあるいは地方公共団体がそういう一般行政という立場でやっておるものだ、それから先ほど法律は、設置者としての側面をとらえて言っておりますので、それが必ずしも同じ次元でございませんので、先生の御指摘にあったように、一般法か特別法かと言われますと、多少そこはニュアンスが違うのじゃないか、このように私は解しております。
  245. 三浦久

    ○三浦委員 そうしたらあなた、二十二条に基づいて費用負担法ができ、その費用負担法の適用を受けることになっているわけでしょう。たとえば防音工事なら防音工事について。それならなぜそれを適用しないことが正しいんですか。
  246. 青木英世

    ○青木説明員 私は最初から申し上げましたように、適用しないことが正しいということは全然申し上げておりませんので、一番先に申し上げましたように、公害対策基本法の二十二条というのは、理論的には適用の範囲になるんだろうというように解しているわけなんです。(三浦委員「ごまかしちゃいかぬよ。あなたはっきりさっき、国が設置管理義務者としてやる公害防止対策事業については二十二条の適用はありませんとはっきり言っておるんだよ」と呼ぶ)適用はしておりませんと言っておるわけです。一番最初に申し上げましたように、二十二条の適用は理論的にございます。ただ、現実にやられております防音工事等は、こういう基本法ではなくて別のことでやられております、こういうように申し上げたわけであります。
  247. 三浦久

    ○三浦委員 もう一回お尋ねしますけれども、そうすると、理論的には公害対策基本法第二十二条の適用はあるということですか。そして費用負担法の規定の適用もそれなのにあるというわけですか。ちょっとそれを……。それは国が飛行場の設置管理者として行なう防止事業についてもですよ。
  248. 青木英世

    ○青木説明員 くどいように申し上げておりますが、国あるいは地方公共団体が一般行政の立場としてやる場合には適用はあり得る。そこで本件につきましても、いわばそういう一般行政の国あるいは地方公共団体という立場に立ちまして、別個の事業主体の国から金をとって事業をする、こういう考え方は成り立ち得る、このように申しておる次第でございます。
  249. 三浦久

    ○三浦委員 そうしたら、たとえば地方公共団体が防音工事事業をやる場合に、それは適用があるじゃありませんか。事業費用負担法の適用があるんでしょう。どうなんですか。何かわけのわからぬ答弁ばかりしておるな。
  250. 青木英世

    ○青木説明員 理論的に適用させることができます。
  251. 三浦久

    ○三浦委員 適用しなければならないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  252. 青木英世

    ○青木説明員 そこは先ほど読みましたように、公害防止事業費事業者負担法の第二条の第二項によりまして、「負担させるものとして」ということでございますので、別にそういう法律の補助等の規定によって実効が期せられる場合には、必ずしもそれを適用しないからといって違法な状況である、このように私ども考えておりません。
  253. 三浦久

    ○三浦委員 これはもう全くすりかえの議論で、だれが見たって第二十二条では、「費用を負担させなければならないようになっておるし、それを受けた費用負担法も、そういう事業については取らなければならないということを前提にした上で行なわれておるのですよ。それをあなたは、かってにこういう「一部を負担させるものとして国又は地方公共団体が実施するものをいう。」ここに新たな法的効果を持たせておるけれども、これはただ二十二条を受けて書かれてあるものであって、これ自身に新たな法律的な効果を付与しているものではないのですよ。それをあなたは、何とかしてこれを適用しなければならないという理屈を排除しようということでそういう詭弁を使っておる。全くけしからぬと思うのですよ。大体それだったら あなたPPPの原則はどこにいっちゃうのですか。それでPPPの原則に基づいて事業者から金を取る場合に、適正に取らなければいかぬでしょう。その公害発生に寄与したその寄与率というのですか、寄与率に応じて結局取らなければいかぬでしょう。多く取られたら企業は困るのです。企業の味方じゃありませんけれどもね。少なく取ればまた国の責務に違反するでしょう。だからちゃんと費用負担法では、審議会を設けて、そこで費用負担計画をつくり、そしてそれを公表し、徴収することにしているわけでしょう。そういう一連の手続を経た後にしか取れないようになっておるのですよ。それをこんなものはどうでもいいんだ、ほかに実質的なPPPの原則がある程度満たされていればそれでいいのだという解釈は、全く法の精神を逸脱したやり方だと思いますよ。そうすると、いまあなたの立場からいっても、わかったことは、適用させることができるという話でしたね。そうすると、なぜ運輸省はこれを適用しないのですか。
  254. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先ほど環境庁のほうから御説明がございましたように、実質的な意味で他の法律等で負担をしておる場合には、法律上の適用はあったとしても、事実上その負担行為は行なわれておりますから、この法律を適用する必要がないという解釈で、この法律が制定されるときに、航空機騒音防止法がございますので、これのほうには航空機騒音防止法の体系でやるということでずっとやってきておるというふうに考えております。
  255. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、公害対策基本法二十二条と事業費負担法というのは任意法規だということですか。守っても守らなくてもいい任意法規だということですか。強制力がないものだということなんですか。
  256. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 公害対策基本法の解釈につきましては、むしろ環境庁のほうが御専門かと思いますけれども、二十二条は費用を負担させるんだという原則でございまして、その原則については、負担をしておるわけでございますから、その点では別に任意法規だというふうには考えていないわけでございます。
  257. 三浦久

    ○三浦委員 もう答弁をはぐらかして、二十二条のほうだけ言って、費用負担法のほうは全然あなた言ってないね。それで実質的に航空会社に費用負担させておるということをさっき言いましたね七しかし、実際にわれわれが調べてみると、年度によって違いますけれども、公害対策費の約二〇%から二七、八%ぐらいまでですね、その程度しか公害対策の費用を航空会社が負担していないということになるのですよ。かりにそうだとすれば、それはPPPの原則からいって妥当だと思われますか、どうですか。
  258. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 何%になっておるかということの計算方法につきましては、先生と私のほうの考えが若干違うかとも思いますけれども、原則としてはPPPの原則というものは一〇〇%負担させていくという方向だと思います。
  259. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、三〇%程度の費用負担ではPPPの原則というものは満たされていないんだというふうにお考えになっていらっしゃるということですね。  もう時間がありませんから私はこれで質問をやめますけれども、しかし現実にこういう費用負担法という法律があって、これを適用すれば、ちゃんとそういう審議会を開いて費用負担計画をつくり、だれが見ても妥当だと思われるような原因者負担というのが行なわれるようになっているのですよ。それをあえて法の趣旨に違反して、そして空港整備事業として特会でやっているということは、私はほんとうの意味での公害対策にはならないんじゃないかと思う。むしろこれだけ大きな被害を受けていれば、空港整備事業の一環としてやるということではなくて、むしろ新たに公害防止対策事業というものをちゃんと起こして、そしてこの費用負担法を適用して厳正に航空会社に負担をさせるべきが至当だ。特にこれからの公害対策費用というのは膨大なものです。一兆円以上でしょう。ある新聞には二兆円もかかる、三兆円もかかるなんと書いています。こういうものを空港整備特別会計から支出していくというのは、私は本来のあるべき姿でないと思う。また、公害防止対策というものを軽視した考え方だと思うのです。そういう意味で、私は抜本的に公害防止事業というものを独立させて、運輸省航空機騒音対策に取り組むように強く要望をして、この点についての大臣の意見を聞いて質問をやめたいと思います。
  260. 徳永正利

    徳永国務大臣 航空機騒音をはじめ公害対策につきましては、ひとりこの機構の問題ばかりではなくて、運輸省としましては、今後五カ年計画をきちっと策定いたしまして、その中に見るべき経費等を明確にいたしまして、また御審議をわずらわすこともあるかと思いますけれども、今後そういう対策につきましては、先生指摘の点を十分踏まえまして努力してまいりたいと思います。
  261. 三浦久

    ○三浦委員 終わります。
  262. 三池信

    ○三池委員長 河村勝君。
  263. 河村勝

    ○河村委員 先般この法案について質問をいたしましたときに問題の点が残りましたので、審議の終わりにあたりまして、その点だけ確認をさしていただきたいと思います。  先般私が申し上げたことは、この航空機騒音障害を防止するために一番有効な手段として、機数の制限、それから機種の制限、こういうものがあることは御承知のとおりであります。ところが今度の改正案で見ますると、第三条によって航空機が離着陸する際の経路、それから時間、その他その周辺における航空機の航行の方法については指定をして押えることができるけれども、機数、機種については明文がない。そこでせっかく法案を改正する際であるから、この機数、機種を制限できるように法文に明確に書いたらどうだ、こういう質問をしたわけであります。ところが、それに対しまして、行政指導によってできるからいいんだという返事があったり、あるいは現在の法律の運用あるいは改正航空法の運用によってできるというようないろんな返事がありまして、結局明確を欠いておりました。そこで、私もその後検討いたしましたが、その結果どうやらやり得る方法もありそうに思うので、その点、この際明確に確認をしたいと思います。  そこで、現在継続審議になっております航空法があるわけでありまして、これはまだここで審議か済んでおりませんので成立はしておりませんが、早晩成立するものだと思います。この第一条に今度新しく挿入された条文といたしまして従来の航空法の場合には「(この法律の目的)」というところに、「航空機の航行の安全を図るための方法を定め、及び航空機を運航して営む事業の秩序を確立し、もって航空の発達を図ること」というような規定になっておりまして、こういう騒音防止にそぐうようなものではありませんでした。しかし、たまたま騒音証明書制度を導入する関係だろうと思いますけれども、幸いにして目的の中に「航空機の航行の安全」だけではなくて「航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るため」という項目が入って、航空法の目的が広くなっております。  そうなりますると、従来の法律の百十二条で事業改善命令というものが出せることに相なっておりますが、そこには、一体どういう場合にその事業改善命令ができるかというところに、「公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、当該定期航空運送事業者に対し、左の各号に掲げる事項を命ずることができる。」ということで、その中に「事業計画を変更すること。」こういうのがあるわけですね。航空法の第一条の目的で航空機騒音防止ということがはっきり明文に書かれましたのでありますから、百十二条の「公共の福祉を阻害している事実があると認めるとき」というのは、当然航空機騒音によって障害が起こった場合には、この改善命令を発動できるというふうに解釈ができる、そう考えますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  264. 徳永正利

    徳永国務大臣 この問題につきましては、この前の委員会におきまして先生からいろいろ御指摘をいただき、またいろいろと行ったり来たりの答弁をしてまことに申しわけございませんでしたが、この際明確にいたしておきたいと思います。  騒音対策上、空港に発着する航空機の機数とか機種を制限することは、ただいま御指摘がございましたように、航空法第百十二条の規定によりまして航空運送事業者に命令することができるというふうに考えております。特に、現在国会に提案中の同法の改正案は、その目的を改正いたしまして、「航空機の航行に起因する障害の防止を図る」ことか加えられることとなっておりますので、この改正案が御審議の結果成立さしていただきました場合には、その点がより一そう明確になってくると考えております。これら航空法の規定と航空機騒音防止法の規定とをあわせて運用することによりまして、御指摘空港便数、機数、それから航行方法などの制限を効果的に行なっていきたい、かように考えております。
  265. 河村勝

    ○河村委員 大臣は先のことまで御答弁いただいて、大体それでよろしいわけであるけれども、そうしますと、その改善命令を出す対象である「事業計画」には、施行規則の二百十条の中で、そこには「使用航空機の総数並びに各航空機の型式及び登録記号」それから「運航回数及び発着日時」こういうものが事業計画の中に入っている。したがって、この改善命令によって機数、機種ともに「事業計画」の中に含まれているわけでありますから、この改善命令の対象になり得る、そういうことですね。
  266. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  267. 河村勝

    ○河村委員 質問を終わります。
  268. 三池信

    ○三池委員長 兒玉末男君。
  269. 兒玉末男

    ○兒玉委員 すでに、いま同僚議員がやりましてほとんど余すところがないわけでございますけれども、いままでの論議の中でどうしても聞いておきたい、こういう点にしぼって若干御質問したいと存じます。  まず、大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、すでに専門の弁護士である坂本さんなり皆さん等が話されたわけですけれども、第一点は、今回の大阪の地裁判決の中で、特に責任という分野におきまして、こういうふうな裁判所側のいわゆる結論が出ているかと思っております。それは、責任の点において、国は空港の設置管理者として航空機騒音が第三者に損害を与えないよう管理する義務があり、国家賠償法による責任が生じる、こういうことが明確にうたわれているわけであります。  このような前提に立ちます場合に、特に今度の裁判では、二百六十四人の原告でありますが、これに対する一応裁判所側の費用だけでも、国が負うべき金額は約一億五千万円。さらに聞くところによりますと、この周辺でいわゆる公害調停委員会に対しまして一万五千人余の人がこのような同じ事由で調停申請している。おそらくこれに対するところの結論はこの裁判判決と同様の拘束を持つ、こういうふうに聞いておるわけですが、それは一体どうなっておるのか。  それから同じように、私も現地調査をしましたが、このような状況下において、いまだに騒音に対する多くの不満と、さらに今後、問題が提起され、あるいは調停委員会における申請が通った場合は、この十数万の人たちも同様な問題を提起するであろうということが私は十分予想されるわけでございますが、その時点に至りますならば、これに要する費用というものはおそらくばく大な金額に達することが想像されます。先般坂本委員からも質問があったと思うのですが、このような問題について、先般の裁判判決との関連において、運輸省当局としては、一体どの程度の規模においてあるいはこれに対応しようとされているのか、第一点としてお伺いしたいと思います。
  270. 徳永正利

    徳永国務大臣 判決の骨子にございますように、きびしい私に対する責任を問われております。私は、判決は厳粛にこれを受けとめておるつもりでございます。  なお、先ほど来、他の御質問にも申し上げておりますように、この裁判の確定につきましては、いま関係者といろいろ協議をしているところでございますから、この点についてはしばらくその結論をごかんべんいただきたいと存じます。しかしながら、行政的な責任は私は免れるものではないと思います。そういう点につきまして、現地の皆さま方の苦痛、苦悩というものは、私もよくわかっているつもりでございます。これの軽減のために今後いろいろ努力をしてまいることはたびたび決意を表明しているところでございますが、それと同時に、調停の問題につきましては、これは調停委員会結論を見た上でまた対処してまいらなければならないと思う次第でございます。
  271. 兒玉末男

    ○兒玉委員 もし調停委員会が、この一万五千人の申請者に対してその申請を認めるとなった場合に、大体どの程度を国が補償する義務が生じるのか、それからまた、先ほど触れましたように、地域のこれに類似する十数万の人たちがいるということが新聞報道あるいは現地における事情調査からも把握できるわけですが、これは当然今後の周辺整備における一環として航空当局としては把握しておかなければいけない問題でありますが、これについてはどういうふうな対策と見解を持っているか、当局の見解を承りたいと思います。
  272. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま先生指摘の調停関係につきましては、まだ十分把握をいたしておらないので、まことに申しわけないと思っていますが、いずれにいたしましても、直接調停をなさっている方々以外に同様な方が非常にたくさんおられるはずなので、この辺も今後の対策の中で十分考慮して考えていかなければいけない、こういうふうに考えております。
  273. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの答弁は非常に消極的な答弁であり、今度の裁判にしましても、四年近い長い論争の経過というものから踏まえていきますならば、いま少し運輸省当局としては、やはり内容等についても、将来の展望についても、もう少し具体的な構想というものがあってしかるべきじゃないかと私は思います。そのことなくしては、この法律が通りましても、私は飛行場周辺の整備関係の問題もなかなか進行しないのじゃないか、こういうふうな判断をいたすわけですが、いかがでございますか。
  274. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生いま御指摘のございました調停は、現在私どもの手元に通知書が参っておりますのだけで、第一次から第四次まででございまして、新聞情報等によれば、第五次、第六次という調停が出ておるというふうに聞いております。したがいまして、その数も万を数えておりますし、調停を出されていらっしゃる方々の地域、騒音の影響度その他、ないしは入居された日時等について必ずしも一律ではございませんで、いろいろ千差万別でございまして、そういう意味で、いま局長が申し上げましたように、調停全部を通じまして、これについてどう対処するというのは、いまの段階ではなかなかお答えにくいと、かように申し上げたわけでございます。
  275. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは今後の運輸行政の中においてもきわめて重大な問題でありますので、大臣としてはしっかり腹に据えて対処していただきたいということを要望して、次の議題に入りたいと思います。  これもすでに大かたの皆さん方から質問がありましたが、きのうの新聞報道によるトルコ航空エアバスの事件に関連して、大臣はこの判決の直後の記者会見で、今後の航空騒音あるいは東京——大阪間あるいは福岡、こういうような主要地域においては、いわゆる便数を減らすという一つ対策としてエアバスの取り入れが必要だ、こういう旨の発言をされておるわけでありますが、これらの点については、今回の事故にかんがみましても、四百数十名の生命が一ぺんに失われる、まして日本等の場合は、非常に都市が集中している周辺に飛行場がある、このような事故が発生した場合には、単に乗客だけの損害でなくして、地域住民への被害ということも十分予想しなくてはいけないわけですが、今後このようなエアバスの国内導入ということについてはどのような予定があり、またその構想は一体どういうふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
  276. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように、エアバスは多人数が乗る飛行機でございますし、一たび事故が起きますと大きな被害が出てくるわけでございます。なお、御指摘のように、飛行機に乗っておる者ばかりでなくて、密集地帯にでももしも万々が一こういう事件があったとしたならばたいへんなことだということは、全く同じ気持ちでございます。  そこで、何はともあれ、この対策は二つの面から、やはり片一方だけということではなくて、まず飛行機の安全ということについては万全を尽くしていかなければならぬと思います。十万分の一というようなことがいわれておりますけれども、十万分の一だったら、十万機飛んだら一つ落ちるという計算だろうと思います。そういうようなことじゃなくて、これを無限にいくだけの努力を続けていかなければなりませんし、それがためには、監督しております私どもとしては、いやが上にも試験なりあるいは調整なりあるいは検査なりというものを、日常、いまでもやっておりますけれども、さらに怠らぬように続けてまいらなければなりません。それから現に日本の空をエアバスと称するのがたくさん飛んでおるわけでございます。外国の飛行機もそうですし、日本の飛行機も四十七年の暮れから東京——沖繩間を現にいまずっと飛びつつあるわけでございます。そういうようなこと等も考え合わせまして、この安全をはかると同時に、このエアバスというのは、ただ入れものが大きくなったというだけではなくて、安全度を増したということが一つの条件になっておるわけでございます。そうして騒音も少ない、大量にも運べる、この三つが一つのセットになって導入に決意し、現に飛ばしておるわけでございますけれども、そういう面につきましては御指摘の点は十分配慮の上に配慮し、また積み重ねの上に積み重ねて万全を期していくつもりでございます。  なお、エアバス導入につきましては、特に大阪空港等につきましては、先生先ほど来いろいろお話がございましたように、地元皆さん方の御理解を得なければなりませんので、この点につきましては鋭意私ども努力をいたしまして、特につい一昨日のフランスにおける事故等をも考え合わせますと、いろいろな面で御不満な点があるだろうと思いますが、機種が違うことや、あるいはその他できるだけの安心をしていただくような、また安心できるような体制をつくり上げて、導入に踏み切るつもりでございます。
  277. 兒玉末男

    ○兒玉委員 では環境庁長官がお見えでございますから、時間の関係上、長官のほうにお伺いいたしたいと思います。  第一点は、すでに長官も御承知のように、去る二月二十七日に、特に大阪地域の住民二百六十四名が飛行場騒音に悩む、いわゆる生活権確保の問題として、また人道上の問題としても、長年の戦いに一つのピリオドを打ったわけでございますけれども、その結果は、一部には前進があるけれども、大半は公共性という名のもとに生活環境権というものが非常に後退した形の結論が出されております。今後さらに問題は残るわけでございますが、その中に、特に長官は、今後の騒音関係については、すでに昨年の十二月二十七日に現環境庁長官名でこのような基準が告示されておりますが、この判決との関係におきまして、特に大阪空港のこの例は、今後、現在全国各地に予想される航空を含めた騒音公害、そういうことに対するきわめて重大な意義を持つものでありますが、まず騒音公害に対する特に環境庁長官としての立場からの見解を承りたいと思います。
  278. 三木武夫

    三木国務大臣 最近騒音の公害に対する非常な国民的な苦情といいますか、そういうものが各地において非常に広範な地域で述べられておるわけでありますが、やはり環境の静けさを求めるということは当然のことであるわけでありますから、われわれ環境行政を進めていく上においても、静穏な環境を確保するために努力しなければならぬことは当然でございます。ことに飛行機がジェットエンジンにかわってから、騒音の問題というのは各地において問題を引き起こしておりますが、ことに大阪国際空港においては、飛行場の立地条件が非常に世界的にも悪い条件のもとにあるわけでありますから、騒音被害というものが一番甚大であるわけでございます。そういう点で、環境庁としても環境基準というものを制定をしたわけで、それも不可能をしいるわけにはいかない。しかし、航空機のエンジンの改良ということは、世界的にも騒音問題がやかましくなっておりますから、非常に力を入れておるわけでありまして、問題はパリ郊外で起こしましたけれどもエアバスどもそういう見地から開発された一つの新しい機種であることは明らかであります。しかし今後は、いろいろなエンジンの改良で、たとえば飛行機でも垂直な離着陸というような飛行機も検討されておりますから、今後時間をかせば、環境庁が制定をいたしました環境基準は達成されるものである。こういう見通しのもとに、五年間で八十五ホンというか、WECPNLの国際的な基準によって八五、十年までの問に七五、十年をこえてできるだけすみやかに七〇という、これは相当にきびしいもので、いまの状態のもとにおいてはどの飛行場もこれを満足するところはありません。しかし、技術の改良、あるいはまた一方においては、飛行場の立地的な条件の整備、こういうこともあわせて、これくらいの目標を達成しなければ、一般の国民が要望しておるところの静かな環境というものは確保できないということで、ああいう環境基準を打ち出したわけでございますが、これはぜひとも達成をしなければならぬということで、可能性も、全然不可能なことをいうのでなくて、努力をすれば——達成されなければならぬということで、こういう基準を制定し、われわれとしては実現をぜひともはかっていきたいという所存でございます。
  279. 兒玉末男

    ○兒玉委員 長官の前向きの姿勢に敬意を表するわけでございますが、第二点は、特に一番問題となりました、いわゆる地域住民はどうしても夜間の静かな時間というのは九時から必要だ。ところが判決内容を見ましても、この点でああでもない、いろいろごちゃごちゃ書いてありますけれども、この重大な九時から十時、一時間の時間帯がきわめて重大なポイントになりながらこれが認められなかった。特に私は、環境庁長官としては、この点に最も力点を置いて、今後の行政指導面においても積極的な住民の意向に沿う対策をとるべきだと思う。そういう点から、特にこれに関連しまして、いわゆる騒音の基準がどうしても達成されない場合は、飛行場の廃止も含めて根本的に検討するということが第一点。第二点は、現在の空港の発着便数を極力減らすとともに、特に東一下大阪間のジェット便の大幅減少を行なうよう関係省庁と具体的に検討したい、長官はこういうようなきわめて注目すべき発言をされておるわけですが、これについてはいまどういうふうに具体的な対策をとっておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  280. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、これからの空港の建設にあたっては、こういう一つの、再び大阪空港のような轍を踏むことなく、やはり飛行場としての敷地は十分とらなければいかぬ。いま世界の空港でも千ヘクタール以下の飛行場というのはほとんどないわけです。三百ヘクタールぐらいしかないわけですから。そうして敷地が少ないということは人家が周辺にあるということでありますから、そういうことで大阪でも関西新空港というものがいま審議会でいろいろ検討されておるのですが、私は必要だと思います。  その場合には、このような伊丹飛行場のような轍を踏むことなく、騒音ということを頭に入れて、静かな環境を求めるという国民の要望は次第に強くなる一方ですから、そういうことを入れまして新空港というものをつくるべきであると思いますが、それができても、なおかつ伊丹の国際空港が環境基準を達成できないというときには、飛行場は廃止するぐらいの覚悟でいかなければならぬというふうに考えるわけでございます。しかし、大阪に国際空港は要らぬという説には私はくみせないのです。これは、地元の人においても、東京に次ぐ大阪というところに全然国際空港は要らないということが地域住民の声だとは私は思わない。どうしても国際空港は要る、要るとしたならば、できるだけ早く新空港をつくって、そしてああいう環境条件の悪い飛行場というものは廃止も含めて再検討すべきである。それまでの間は、いま言ったような、できるだけ騒音からくる被害を少なくするような処置を講じなければならぬ。それには運輸省運輸大臣にもなるべくジェット機の便数を減らしてもらいたい。それは大阪——東京間には新幹線という代替の輸送機関もあるわけですから、そういうことで思い切って減らしてもらいたい。そして日本航空ども自発的に、いまお話のあった九時から十時までの間は便数を減らすということを発表もしておりますから、全体の計画の中で、なるべく夜間の回数は減らすというような配慮をされることが、地元の要望にこたえる道だと思いますので、そういう点で便数もできるだけ減らすというような処置をすることと、一方においては、空港周辺の環境の整備といいますか、今度は特殊法人の第三セクターなどもできるわけですから、やはり滑走路の直下であるような家はできるだけ移転を勧誘すべきである。そして移転が一番好ましいわけでありますけれども、それは必ずしも強制するわけにはいかぬわけですから、防音の装置、これもいままでは公共機関だけであったのが、民間にも防音の装置ができるように事業として補助できることになっておりますから、そういうことで新空港ができるまでの過渡期というものは、できるだけ騒音被害を低減するような方法でいくことが最も現実的だと考えておる次第でございます。
  281. 兒玉末男

    ○兒玉委員 第三点としまして、現在大阪の一番侵入路のその高い真下に、実は豊中市でございますけれども、長官の言った中で住宅制限等のこともこの際積極的に進めるということを言われているわけですが、現にここに問題が発生している中にいわゆるアパートの建設が進められているわけです。こういう点等についても私は非常に奇異の感を抱いたわけですが、このような現実的な地域内における建設等については当然制限すべきじゃないか、このような点についても長官として特にそういう見解を述べておられるが、どういうふうにお考えなのか伺いたい。
  282. 三木武夫

    三木国務大臣 この判決がおりまして、さっそく翌々日に騒音対策ということについて関係の閣僚会議を開いたわけであります。われわれも、判決のいかんにかかわらず騒音対策は進めなければならぬと考えておったやさきでもありますので、これを契機にして騒音対策というのは積極的に進めていこう、これは閣議でもそういう申し合わせになりまして関係の閣僚会議を開いたわけです。そのときに、いま兒玉委員の御指摘のように、もう八五のWECPNLの基準をこえるようなところに三万八千人も住んでおられるわけですから、そこへまた次々に新しい建築が行なわれるということになれば徹底的な騒音対策というのはすぐにはなかなかとりにくいわけですから、そういうことで何か建築の制限というものもあっていいのではないかというようなことが話題になりまして、これは建設省においても検討をしようということになっておるわけでございます。そういう周辺に対する土地利用、建築の制限ということも考えることがかえって地域住民のために親切な道ではないかということで、関係閣僚会議におきましても、これは建設省において研究をしようということになっておりますから一建設省としても十分な検討を加えて結論が出るものであると期待をいたしておる次第でございます。
  283. 兒玉末男

    ○兒玉委員 あと二、三点まとめて質問したいと思います。  第一点は、特に長官が、この際重要都市間の航行制限のかわりとして、交通総合体系を検討するということに対する見解、それから現在すでに、単に大阪空港だけじゃなくして全国、たとえば旭川とか、あるいは九州の宮崎とか福岡とか、こういうふうに地域住民の飛行機騒音に対する問題提起だけでも約十四カ所、これは自衛隊のジェット機の問題も含めてでございますが、特にこの航空騒音に対する住民の運動が展開されておる。これらについても私は、やはり十二月二十七日のこの基準というものを早急に徹底されて、住民生活環境が守られるということが絶対優先すべきだ、このような十四カ所の問題を中心とする今後の騒音公害対策、並びに現在のこの基準の達成期限というものが五年ないし十年、長官、これでは住民はとてもたまったものではない。であるから、この達成期限の短縮について、もう少し積極的な取り組みが必要ではないか。それから、現在各飛行場地帯に設置されておりますところの騒音対策委員会というメンバーに残念ながら環境庁の関係機関が参加していない。これはきわめて重大な手落ちではないかと考えるわけでございますが、このような騒音対策委員会には、当然環境庁関係が機関として参加をすべきじゃないか、この点について長官の見解を承ります。
  284. 三木武夫

    三木国務大臣 第一点の御質問は、総合交通体系というものを政府はつくったわけでございます。数年前であります。その中には、騒音ということがこんなに今日のごとく大きな社会問題化してないときでありましたから、騒音というものも頭に入れて交通体系というものをいま見直しをやっているわけであります。経済社会発展計画の中で交通体系というもののいま見直しをしておる。もう一ぺん騒音問題というものを、考えなかったわけじゃないけれども、今日のごとく大きな社会問題になってなかったですから、騒音対策ということが大きなウエートが置かれていなかったので、見直しをしてもらいたい。経済企画庁もこの問題については、言われるとおり、騒音問題というものが大きなウエートを置いてなかったことは事実だから、見直しをするということで、これは検討をすることになっております。  第二の点でありますが、これは環境基準というものは、私はこれを後退する考えはないので、予定どおりこの環境基準というものは守ってもらわなければ困るわけであります。しかし、これをさらにもっと強化せよということについては自信がない。なぜかといったら、飛行機のエンジンというものの相当な改良がなければ、いま最後には七 ○の基準にしようというんですから、とてもいまの飛行場では、そんな飛行機のもとにおいてはそういう基準は達成できませんから、技術の改良等もにらみ合わせて、これは画期的ないろいろな開発ができましたならば、この基準というのをもっと早めて達成するということも、それはそういう場合も起こるかもしれませんが、現状において、これをさらに環境基準というものをきびしくして、しかも期間を短くしてするということは、不可能なことを環境基準として設定しますことは、実行不可能になるわけですから、かえって環境基準制定の一つの信用を維持する道ではないと思いますので、現在のところは、このきめられた環境基準というものを励行するために全力をあげてもらうことが現実的だと考えておるのでございます。  第三点については、環境庁は地方において出先機関を持っておりませんから、騒音対策委員会に環境庁は参加をしておりませんが、地方の公共団体を通じてこれは緊密な連絡があるわけですから、地方公共団体を通じて環境庁の意図も伝え、また地元住民の意向も反映をして、地方公共団体との間の緊密な連絡によって、兒玉委員の御指摘のような欠陥を補っていきたいと考えておる次第でございます。
  285. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、最後に要望だけ長官に申し上げておきます。  特に今回の大阪地裁の判決に見られますように、地域住民の血の叫びというものが、ああいう形で環境権というものが後退していった形のあり方では、とうていこれからの拡大される航空機の発達の時代において耐えがたい苦痛であろう、そういう立場から、今後の対策については、十分ひとつ積極的な姿勢で、住民サイドに立った対策を検討されるように強く要望して、私の長官への質問を終わります。  続いて運輸大臣にお伺いをいたします。  運輸大臣にさらにお伺いしたいことは、先般のエアバスの事故に関連し、特に空のいわゆる安全航行ということは絶対的な至上命令であるわけですが、やはり航行の安全管理ということは、航空管制に携わる保安要員の機構の充実ということがきわめて重大な要素だと私は思うわけです。四十九年度の予算編成の過程を見ておりますと、特にこの航空管制要員というものが当初予定の半分程度しか定員が予算化されていない、こういうように判断するわけですが、一体、航空管制に対するこのような点について、どういうようにしてこのように大幅に当初の要求が削減されているのか。現在のこの程度で十分な航空管制が可能なのかどうか。しかも今回は、沖繩の復帰に伴いまして、かなり守備範囲が広くなったと思うわけでありますし、加えて日中航空協定という点等から考えましても、私は航空管制の重要性ということはますます比重が高まることが十分予想されている問題であるが、これについての見解を承りたい。
  286. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように、航空管制が航空の安全に与える役割りというものはきわめて大きいものがございます。今日までもいろいろな点で御指摘を受けておるとおりでございます。この航空管制官の増員につきまして、昨年度も要求をしたわけでございますが一私どもが予定した人員よりも削減されたわけでございますけれども、その間におきまして、できる限りの人員の配置を再編成しまして、その怠りのないようにやっていきたいと思いますが、詳細につきましては、政府委員からお答えさせます。
  287. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいまの兒玉先生の御質問に対して、大臣の御答弁を少々補足させていただきます。  先生指摘のように、管制官の定員要求は、四十九年度は二百二十六名いたしまして百八名の増員が認められることになっております。四十七年度以来大体の傾向といたしまして、要求に対しまして約半数程度の増員を認められてきております。この四十九年度の増員の内容といたしては、レーダー化等の施設増に伴う要員、管制情報処理システム要員などのほかに、ダブルウオッチ体制を強化するための要員十名が含まれております。さらに、管制官の訓練を行なうためのポジション外の定員、これが五十名認められまして、訓練のための教官も三名認められております。私どもとしては、管制官の定員、先生指摘のように非常に重要な仕事でございますので、できるだけ余裕のある定員をとりたいということで数年来努力を続けてきておるわけでございますが、今回の四十九年度の増員につきまして、必ずしも十分とは申せませんけれども、現実の運営上安全確保のために特段の支障はないというふうに考えております。
  288. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に伺いたいのは、これもいままで若干触れておったかと思うのですが、まだこれからの第三機構によっていわゆる施設を充実する場合、先ごろの裁判に見られる損害補償等含めて相当ばく大な財政を必要とするわけでございますが、少なくともいままでの四つの公害裁判によっても、いわゆる発生者負担、汚染源者負担ということの原則に立っていろいろ検討されているわけですが、これまでの報道等を見ますと、いわゆる新しい財源措置としての料金対策ということ等も一部報道されたことがあります。たとえば大型による場合は東京——大阪間の料金を倍にするというふうなこと、あるいは新幹線等の場合では一人千円でございますか、そういうふうなことが一つの例として提起されておるようでございますが、本法の制定に関連して、このようないわゆる料金等の制度の改革といいますか、そういうことはどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  289. 徳永正利

    徳永国務大臣 第三次空港整備五カ年計画におきましては、御指摘のようにばく大な経費がかかると思います。そういう点に対しましては、いま御指摘のように、名前はともかくといたしまして、そういったようなかりに騒音料というようなもの、これを料金にするのか、あるいは別建てにするのか、いろいろまた検討してまいらなければならぬだろうと思いますが、そういうようなことの検討を命じて、ただいま検討している最中でございます。
  290. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先ほど環境庁長官からもお伺いしたわけですが、何といいましても、今後の航空行政の中で騒音ということに対する住民の反発が一番強いわけでございますが、それにはやはり航空機自体の改良あるいは絶対的な便数の削減、このことがきわめて重要であります。しかしながら、相対的に、大阪空港の例をとりましても、回数は減っても飛行機を利用する客は減らないという一つの非常にむずかしい問題が提起をされているわけでございますが、特にこのような航空機の利用事情という面と騒音対策という点からは、これは相対立する関係になるわけであります。そういたします場合に、騒音対策を最も重視するならば、このような航空機利用の増大に伴う対応策を当然考えなくてはいけない、いわゆる代替輸送ということを考えなくてはいけない。長官にお伺いしました例の総合的な交通体制ということをこの際真剣に考えていかなければ、今後の根本的な解決はなかなかできないと思うわけですが、このようないわゆる代替輸送対策、そして騒音と飛行機の需要に対するところの対策、この点についての見解をお伺いしたいと思います。
  291. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように、需要の充足と公害の問題は二律相反するものでございます。この点につきまして、需要はもう一カ月前の予約で一ぱいだというような状況下にあるわけでありますけれども、私どもはやはり総合的な立場から、新幹線という代替機関を持っておるわけでございますから、そういうようなものも十分考慮に入れまして、総合的な騒音対策に真剣に取り組んでいくつもりでございます。
  292. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま大臣の答弁で、特に新幹線等の対策ということが言われたわけでございますが、これにいたしましても、現在名古屋大阪、神戸あるいは福岡、こういうところで特に新幹線公害の問題が提起をされておるわけでありまして、この問題についても、この際根本的な対策考えながらいかないと、やはり飛行場のそれと同じように住民の抵抗が起こってくるであろう。そういう点から、特に新幹線等に対しましても、対応する対策を十分ひとつ慎重に立てていただきたいということを要望として申し上げておきたいのであります。  次にお伺いをしたいことは、当面の緊急な課題であります大阪空港の問題は、聞くところによりますと相当多数の民家を移転させなければいけない。そうした場合に、移転先の用地確保ということがきわめて問題解決のポイントになるんじゃないかと私は思うのですが、この代替地の確保等について、現在どういうふうな対策と見通しを持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  293. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のように、適当な代替地がないために移転補償の実務がなかなか進まなかったというのは事実でございまして、このため、現在地方公共団体を通じましていろいろ適地をさがしていただいております。当面二、三の適地のめどがついておりますので、本機構が発足いたしましたら、早速その代替地の造成等にかかれるものというふうに考えております。
  294. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、この機構の問題でございますが、これの出資金というのは一体どういうふうな方向で使われるのか、その使途について。  第二点は、現在予定されている五千億程度の資金ではとても困難であるということを、きのうでしたか三浦委員も聞かれたようですが、一兆円ないし一兆円以上の資金規模でこの機構が運営されるということがいわれておるわけでございますけれども、今後、たとえば資本金等の増資あるいはこのような機構の運営、こういったこと等はどういうふうになっているのか、お伺いいたします。
  295. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 お答えします。  周辺整備機構の出資金は、一応一般管理費をまかなうための基金的なものということで考えております。それから将来の問題でございますけれども先生指摘のように、事業規模が非常に増大をいたしまして、一般管理費の関係から増資が必要である、資本金をふやす必要があるということも起こり得る。その場合にはふやさざるを得ないと思っておりますが、現在のところそこまでは考えておりません。
  296. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これはこの前同僚の神門委員からも質問があって、私も十分な見解を聞かなかったわけでございますが、この機構を構成する職員でございます。これはどういう層から構成をするのか。同時にまた、国及び地方公共団体の職員が当然この機構に入るものと考えるわけでございますが、賃金その他のいろいろな給与関係、退職年金等、そのような身分と雇用条件等は一体どういうふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
  297. 隅健三

    ○隅説明員 本機構の職員は大体百名程度を予定いたしております。先生のおっしゃいますように、当然地方公共団体からの御出向をいただかなければなりません。そのほか国からの出向あるいは新規採用ということが考えられるかと思います。  なお、地方公務員からお見えになりました方の給与水準でございますが、これは阪神外貿埠頭公団あるいは京浜外貿埠頭公団で地方公共団体からお見えになった方の例もございまして、これにならいまして御本人に不利にならないような給与水準を考えたいというふうに考えております。
  298. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私はあと二、三点にしぼって質問したいと思うのですが、特にこの前の現地調査における現地の市長の意見並びに参考人の重要な意見として聞きのがすことのできない問題として、これは特に大臣にお伺いしたいわけですが、大阪空港についてはすでに欠陥空港である、そのために伊丹市長さんを含め、とにかく撤去を前提として周辺整備事業を行なうことには賛成である、こういうきわめて注目すべき発言をしておられるわけでありまして、現地の各地区におきましても、少々の金をもらうとかあるいは防音装置をしてもらうとか、そういうことよりも、まず撤去が前提である、その上で過渡的な周辺整備に対してはわれわれも賛成をするという意見が圧倒的だったと思うのでして、本法制定にあたりまして、きわめて重大な意義を持つものと思うのですが、これについて特に大臣の御所見を承りたいと思います。
  299. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまの御意見、確かに私も拝聴しております。新空港をただいま審議会で御審議いただいておるわけでございますが、これの御答申をちょうだいしまして、なるたけこれの建設の促進に努力いたしますと同時に、その時点で、先ほど環境庁長官お話がございましたように、廃止をも含めて、まあプロペラ機で——どこに今度できるかということはまだ確定しておりませんから、いろいろな不便な面も出てくる可能性もあるわけでございますが、プロペラ機等で国内を飛ぶ飛行機ならばここに置いておいてくれてもいいじゃないかというような、地方から要望が出ないとも限らないと思うわけでございます。でございますから、その時点でそういうようなものも含めてひとつ検討させていただく。もちろん環境基準に合わなければ、私どもは廃止も含めてこの問題に取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  300. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今回のこの法案の改正を転機としまして、現在鹿児島あるいは成田あるいは宮崎それから四国ですか高知、こういうふうに問題を提起されておりますが、やはり地域住民のコンセンサス、同意ということが、今後飛行場の拡張なり大型機導入ということについては不可欠の条件ではないか、私はこういうふうに感じますので、これらの点については十分な配慮が必要であろうと思うのですが、大臣の御所見を承りたい。  もう一つついでに御質問いたします。今度深刻に考えましたことは、飛行場周辺で、特に豊中市等に行った場合に、この騒音によって多くの住民の子供さんたちが、因果関係はまだ明確に解明されないけれども、このために鼻血を出していた、あるいはそのために人間としての機能が非常に行なわれないというふうな公害病といいますか、こういうふうなかわいそうな人たちが相当数おる、同時にまた、毎日の騒音に悩んでいる。ですから、この際われわれは、やはりこのような点については積極的な救援の措置を差し伸べるべきだ。  この資料によりますと、こういうことが載っております。財団法人航空公害防止協会というのが「昭和四十三年八月、日本船舶振興会からの三億円を基金として設立され、その事業として航空公害実態調査、航空公害調査研究センターの設置運営、機器整備の実施、航空公害防止思想の宣伝等を行ってきたが、航空機騒音防止対策としては、防音林、遮蔽林、植林、防音堤の造成、」こういうことがなされるように載っておりますが、残念ながらこのような騒音公害に基づくところの医療関係の項目というのがないようであります。この点から判断をいたしますならば、やはりこの際、医療関係ということもこの航空公害防止協会の一環として考えるべきだ。同時に、この基金については、船舶振興会からだけ出されておるようでございますが、先般、大阪空港に参りました場合に、非常に巨大な空港ビルというのができております。この空港ビルを利用する乗客ということを考えた場合に、これによって生ずる収益というものは一体どうなっておるのかということで、この空港ビルの営業報告書というものを実はけさいただきました。これを見てみますと、すでに四十一年から設立しておりまするが、五期目から約五千万の黒字の収益をあげております。そうして、さらに六期目の四十六年からは約一億五千万、そして昭和四十七年七期目には二億六千万の当期利益をあげております。これは当然航空機を利用する客あるいは送迎のお客、そういう当然飛行場を利用する立場からのビルの収益というものはばく大なものであり、しかも創設してすでに六期目から一昨年は八分の配当であり、去年は一割の配当をしておるようであります。  そういうような点から考えますならば、先ほど申し上げましたように、このような地域のあのようなかわいそうな住民の少なくとも病気治療、医療対策の基金として、こういう航空ビル等が相当の利益金をあげている以上は、この機関からも当然幾分かの基金を供出をして、そういう対策を検討すべきだと思うのでありますが、その二点について見解を承りたい。
  301. 徳永正利

    徳永国務大臣 第一点につきましては、大阪ばかりではなくて他の空港においてもいろいろな騒音問題あるいは公害問題について今後いろいろな問題があるじゃないか、地域住民の意見を十分配慮し聞いた上で、間違いのない進め方をやれという御指摘でございますが、全く私もそのとおりだと思います。今後の空港問題でございますとか、こういう新幹線問題でございますとか、先ほど新幹線代替機関と言って、非常にこう胸を張りましたけれども、その新幹線がいままさに問題を起こしまして、もう御指摘を受けているとおりで、対策をいま急遽講じつつある最中でございますが、そういうような問題につきましては、地域住民皆さん方の御協力、御納得を得て、そういうことを問題のないような取り組み方をしてまいりたいと思います。  それから、老人であるとか、あるいは因果関係が不明だとかいっておるけれども、病人に対する救援措置をとれというお話でございますが、全くそのとおりだと思います。これは国あるいは地方公共団体が直接やれる面もあろうかと思いますが、よくこの十一の市当局の皆さま方と相談いたしまして、その医療対策に対しまして十分な配慮と対策を講じていきたいと思います。その際に、空港ビルの御指摘がございましたが、空港ビルにつきましても、実は内々の御相談を始めている次第でございますし、また航空会社等におきましても十分な応分の拠出を願いまして、できる限りの対策を今後講じてまいりたい、かように考える次第でございます。
  302. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間が参りましたから、最後に質問したいことは、このような騒音対策に対する先ほどの意見もありましたが、財源負担について、特に地方自治体も四分の一でございますか負担をするようになっておるが、私はやはり発生源者負担、この原則に立つならば、地方自治体の負担はこれはなくするということが最も望むべき姿じゃないのか、その点についての見解。  さらに第二点は、いわゆる第三セクターという機構をつくって、そうしてこの騒音対策を含めた周辺整備を行なうわけでございますが、やはり最終的な責任というものは当然国が負うべきである、この点について、ともすれば第三機構に対して責任を転嫁することのないように十分ひとつ配慮すべきだと私は思うのですが、この二点について、責任の問題、それから地方自治体の財源負担は極力避けるべきだという見解について、大臣の御所見を最後に承りたいと思います。
  303. 徳永正利

    徳永国務大臣 地方自治体の財源負担の問題につきましては、さなきだに枯渇しております地方自治体の財政でございます。今後十分財政当局とも相談いたしまして、負担のかからないような努力をして、予算措置をとるように努力をしてまいりたいと思います。  それから、第三セクターの機構の実施にあたって、とかく地元地元といって責任を転嫁することのないように、国で責任をもってやれという御趣旨でございますが、全くそのとおりだと心得まして、十分地域住民あるいは地方団体の御意見は拝聴いたさなければならないと思います。思いますけれども、責任はあくまでも国が持ちまして、とるべき責任はとっていかなければならぬと思います。運営にあたりましては、評議員会その他のそれぞれの機関がございますから、それぞれの機関を通じまして、十分御趣旨が徹底するような運営をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  304. 三池信

    ○三池委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  305. 三池信

    ○三池委員長 次に、船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。徳永運輸大臣。     —————————————
  306. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいま議題となりました船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  木船に関する保険は、昭和二十五年の船主相互保険組合法に基づいて設立された二つの木船相互保険組合が主として行なってきておりますが、近年、木船の減少とともに両組合に対する保険の加入隻数も減少しております。このような傾向がそのまま推移すれば、両組合の木船保険事業が保険事業の規模として適当でなくなるおそれがあり、組合員に対する保険サービスの維持も困難となると思われます。したがいまして、保険集団の規模の拡大をはかるため、組合の保険対象に小型の鋼船を加えるとともに、組合の合併の道を開くことによりその基盤強化をはかることが必要であると考えられます。一方、国による木船再保険制度は、両組合の発足初期において、その保険能力の支援をはかることを目的として昭和二十八年に創設されたものでありますが、その後、木船の事故率は比較的低く、両組合合計の純保険収支は黒字を続けてまいりました。この結果両組合の異常危険準備金は約二億七千万円に達し、今後万一異常事態が発生してもこれにより対処し得るものと判断されます。したがいまして、国の再保険制度は十分にその使命を果たし終えたと考えられますので、これを廃止するとともに、約一億四千万円の木船再保険特別会計の積立金を組合に交付することにより、組合の保険能力の一そうの強化をはかろうとするものであります。  次に、改正案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、船主相互保険組合法の一部を改正いたしまして、「木船相互保険組合」を「小型船相互保険組合」に改め、その保険事業の対象に総トン数三百トン未満の小型鋼船を加えるとともに、新たに組合の合併の規定を設けることといたしております。  第二に、木船再保険法及び木船再保険特別会計法を廃止するとともに、木船再保険特別会計の積立金を同会計廃止の際、組合に交付する旨の規定を置くことといたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  307. 三池信

    ○三池委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  次回は、明六日午前十時から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会