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1973-12-19 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十九日(水曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 太田 一夫君       井原 岸高君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    細田 吉藏君       宮崎 茂一君    金瀬 俊雄君       久保 三郎君    神門至馬夫君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       三浦  久君    石田幸四郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君         海上保安庁長官 佐原  亨君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    岡田 專治君         大蔵省国際金融         局国際収支課長 天野 可人君         大蔵省国際金融         局短期資金課長 大場 智満君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         運輸省港湾局技         術参事官    大久保喜市君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運海運航空港湾及び海上保安に関する  件(石油供給不足に伴う運輸交通対策に関す  る諸問題等)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空日本国有鉄道経営港湾海上保安及び観光に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 なるべく簡明にやりますから……。  最初に、運輸省民鉄関係のことについてお尋ねをいたします。  最初運輸大臣にちょっとお尋ねをいたしたいのでありますが、昨日の所信表明というのは、中心に油がありまして、油危機に対して必要な燃料が確保されるようにつとめる、こうもおっしゃったわけでありますが、それは当然に公共輸送機関使命を全うするという意味におきまして、その大事な燃料だけは確保しようという御趣旨であったと思います。そういう中から、必然的にマイカー規制というのが裏側にあることになるわけなんでありまして、マイカー規制は非常にむずかしいときのうもしばしば言われておりましたのを承りましたし、そのマイカー規制に対して御答弁なさるのが運輸省ではなかった。運輸省のほうからあまりマイカー規制について積極的なお話がなかった。どうもこれは警察庁とか公安委員会とかいうようなぐあいに他省のほうにその任務が預けられてあるような印象を受けたのでありますが、マイカー規制はどうしてもやらなければならない命題でありますし、しかも運輸省任務の中にはマイカー規制について何か書いたのがありましたね。自家用自動車規制というのがあるわけです。ですから、運輸省マイカー規制についてらち外にあるということはないわけなんですが、そのマイカー規制についての御所見をちょっと承りたい。
  4. 徳永正利

    徳永国務大臣 マイカーと一口にいわれておりますけれども、いわゆる白ナンバーの乗用車、その白ナンバーの中にもそれぞれにまた救急車でございますとかいろんなものがあるわけでございますが、私どもがいわゆるマイカーと申しておりますのは通勤あるいはいろんなレジャーその他、そういうものに主として使っているのをつかまえてものを言っているわけでございますけれども、私ども運輸省としましては、ガソリンで走っているのか主体でございまして、ガソリンも全国の国内消費量のほとんど半分に近い、あるいは半分以上のものをそういう人たちが使っている。これを何とか制限をして、その分をできればほかのLPガスとか、精製の過程なり、あるいはいろんなものがあるだろうと思います。また、いままでLPガスを使っておるところをナフサであるとかガソリンであるとか、それが使えるものか使えないものか私はよく存じませんけれども、そういう方向に工業用に回して、そうしてLPガスを確保するとかいろいろな方法があろうと思いまして、そういう面からも、この石油危機を乗り切る面からも、どうしても、いわゆるいわれておるマイカーというものの規制をやらにゃいかぬというのは、私どもの強い念願でございます。  運輸省として、それではこれにどういうところから手がつけられるかということを、いまいろいろなところから研究、検討させて、自粛させるものはまず自粛を呼びかけて、もはや私は自粛の段階の限界にきたと思うんです。自粛は何べんとなく呼びかけておりますけれども、なかなか思うような業績が上がらない。そこで次にどういうような手があるかということでいろいろ組み立ててまいりますと、やはり警察庁の手をわずらわしたり、あるいはまた、締め方ということばはよくないと思いますけれども、いろいろな、油の量を減らすとか、日曜、土曜のスタンドを閉鎖するとか、あるいはまた、高速道路に対する乗り入れを土曜、日曜禁止するとか、いろいろな組み合わせた方法があると思いますけれども、いま運輸省としてすぐ手がかけられるという力と申しますか、きめ手がないところに非常に実ははがゆく思って、各省間の連絡を一生懸命進めておるところでございます。これはもう自粛を呼びかける限界にきていると思います。
  5. 太田一夫

    太田委員 大臣、その御決意でまあ大体わかるような気がしますが、運輸省設置法二十八条というのは、「自家用自動車使用調整に関すること。」というのがあるわけです。あなたのほうが各省関係者に呼びかけて、十分この燃料危機時代にふさわしい調整使用制限方法を講じられることは大事な御使命であろうと思いますので、がんばっていただきたい。  そこで、四十六年度、四十七年度の統計があります。たとえば四十六年度鉄道輸送人員というのは百六十四億九千五百万人、それから四十七年度鉄道輸送人員は百六十七億八千五百万人、こういうことでありまして、その中に国鉄が請け負った輸送人員は、億で申しますと、四十六年度六十六億、四十七年度六十七億、民営鉄道が受け持ちました輸送人員は、四十六年度が九十八億、四十七年度百億、こういうことになっておるのでありまして、この鉄道輸送人員というのは、いろいろなことを申しておりますが、決してその四十六年度か四十七年度に対しても減っておるわけじゃないわけであります。ふえておるわけでありまして、これがマイカー規制によってさらにその使命が大きくなり、輸送人員がふえるということはこれは当然だと思います。  そこで、国鉄のことは昨日ずいぶん議論されまして、そして国鉄当局も年末年始の輸送は引き受けるなどとおっしゃっていらっしゃいましたが、まあすいた電車汽車に乗ってもらえれば引き受けるが、満員の汽車電車では引き受けられないということであろうと思いまして、はたで聞いておりました。  そこで私は、国鉄に比べて輸送人員ですね、人キロではありませんが、人員の頭数では格段に多いその民営鉄道に対する運輸省当局の今後の対処のしかたをお聞きしたいと思う。ところで私は、このことをいま大臣にお答えいただきますと、十五分から開かれる交通安全対策特別委員会であなたが所信表明をなさる御予定だそうでありますから、そこで時間がちょっとおそくなりますので、したがいまして、これは向こうへ行っていらっしゃる間に考えておいていただきたいと思うんです。六十六億に対して九十八億、四十七年度国鉄六十七億に対して百億というこの輸送人員を持つ民鉄に対して、あまり民営鉄道の問題について議論されたことがありませんから、きょうはそれについてひとつ基本を伺いたいと思います。これはちょっと考えてきてください。あと鉄監局長にしばらくサブのやりとりをしておきますから。  そこで、鉄監局長お尋ねしますが、今年度から民鉄では第四次輸送力増強五カ年計画が始まりまして、本年度は初年度のように聞いております。この工事費が七千一百億と聞いておるのでありますが、都心乗り入れとか、踏切等保安改善であるとか、サービス改善とか、あるいはホームの延伸だとか車両増強、まあこのようなことに七千一百億を使うということになっておるのですが、いままで一次、二次、三次と、そういう三カ年計画ないし五カ年計画があって、常にその間に資金の問題についてあなたのほうがいろいろとお考えになったようでありますが、せっかくの開銀融資もほんのわずかしかない。ほとんど自力でやれということになるのですね。自力ということは市中金利にたよるのでありますから、事と次第によっては株の配当よりもそのほうが高いということになるというようなぐあいに資金を全部自分でまかないなさいということについては、私はいささか問題があると思うのですが、そのことについてはどうお考えでございますか。
  6. 秋富公正

    秋富政府委員 先生指摘のとおり、民営鉄道わが国交通機関に占める比率というものはきわめて大きいものでございます。特に大都市におきまして民営鉄道の占めるシェアと申しますものは年々増大してきているわけでございます。また、地方におきましても、何といたしましても、国鉄とともにいわゆる地方にございます中小私鉄、これがになっておる公共的使命というものも大きなものでございます。  大手私鉄につきましては、ただいま御指摘の第四次五カ年計画でございますが、これは実は昨年四十七年にすでに発足いたしておりまして、五十一年までにいたすものでございます。これは先生指摘のとおり、投資総額は約七千百億でございまして、これは輸送力増強、また踏切あるいは立体交差等運転保安工事、それからサービス改善工事というものがそのすべてでございますが、単年度平均千四百二十億というペースでいきまして、五十一年度、いわゆるこの五カ年計画が完成するときには、ラッシュ一時間の混雑率も一八〇%に持っていこうとしたわけでございます。  ちなみに、その前の計画でございますが、第一次の三カ年計画、これが三十六年から三十八年でございますが、この間の毎年の平均投資額は約四百二十三億でございまして、この結果、平均混雑率を二三五%にしたわけでございます。第二次三カ年計画、これは三十九年から四十一年でございまして、その間の平均投資額は四百八十四億でございまして、この結果、四十一年度には平均混雑率は約二三一%にしたわけでございます。また、第三次五カ年計画は四十二年から四十六年でございまして、この間の平均投資額は八百八十七億でございまして、この結果、四十六年には平均混雑率二〇七%というふうに改善いたしてきたわけでございますが、同時に、これは民営鉄道の各社に対しまして、いわば資本費負担増ということを大きく持ってきたことは事実でございまして、たとえて申しますと、四十七年度資本費といいますものは、四十五年度に比べまして約三〇%資本費が増加しているということも事実でございまして、これが会社経費の大きな負担になっておるわけでございます。  これに対しまして、運輸省といたしましてはどういう措置をとってきたかと申しますと、いわゆる長期資金の一部でございますが、開発銀行融資をしておるわけでございます。これは毎年増大してきておりまして、四十七年度では約四百六十億でございますが、本年度からこの開銀金利を、いわゆる造船だとか電力だとか電子工業というようなものとともに、一番有利な一番低利特利に四十八年度からいたしたわけでございまして、これを四十八年度当初におきましては六・五%の金利にしたわけでございます。現在は上がりまして六・七五%になっておりますが、民営鉄道助成につきましてそういう特別の金利をつくって投資負担を幾分でも軽減しようとしたわけでございます。  それからもう一つは、四十七年度から始めたわけでございますが、今後のニュータウンあるいは都心直通乗り入れ工事と申しますのはばく大な経費を要しまして、これをすべて一括して民営鉄道でしますと、この負担がきわめて大きいものでございますので、鉄道建設公団がこれを工事いたしまして、完成いたしました際に二十五カ年均等返還ということでこれを民鉄に払い渡すという制度をつくったわけでございますが、この金利もことしから、五%までの金利政府助成するという方法をとったわけでございます。この措置につきましては、東京以外にさらに来年度は大阪、名古屋というところまで拡大していきたい、かように考えております。
  7. 太田一夫

    太田委員 私は済んだことを聞いておるわけじゃないのです。いよいよ油危機輸送力マイカーによることができないときが来たと思うのです。バスがあるといえばそれだけのことでありますが、大量輸送機関としての鉄道使命というのは大きいんですよ。その中において、いま一番置き去りにされておるのが民営鉄道じゃないかと言っているのです。七千一百億を五カ年計画で出そうというときに、四百億や五百億の開銀融資なんというものはものの数じゃないじゃないか。だから、思い切って低利融資がなされるように、この際さらに努力をされるとか、あるいは公共負担については——定期券基礎運賃の五〇%割引という程度にしておいても公共負担は五百億ないし七百億といわれる。五百億から七百億の公共負担をしいられておる。その上に、税金においては固定資産税が六十億ぐらい、事業税にしても二十数億。こういうものを余分に負担しておるわけでございますから、そういうものを減らして、公共負担に対して見返りを何か考える、税金に対しては公営企業並みに扱う。税金も払え、あれも払え、そうして金はかってに自分のほうで都合しなさいといっておって、なおかつそれだけの大きな、百億からの輸送人員を理想的にさばけといったって、どうしてさばけますか。そうなれば、しょせんは労働者にしわが寄るのでありまして、いま民営鉄道従業員というものは薄給に甘んじておるところの一番代表的な労働者なんですよ。だからそういう点で、公共負担を何とかする、税金を何とかするという対策と同時に、低利融資方法考えておるということがなければならぬと思うのです。そのことを聞いているので、過去のことなんてどうでもいいのです。
  8. 秋富公正

    秋富政府委員 まさにいろいろの助成策をとっていかなければいけないと思っておりまして、今年から開発銀行金利も六・五%、一番いい金利にしたわけでございますが、さらにいま考えておりますことは、この特利対象工事でございますが、たとえて申しますと、複線化工事あるいはその他私鉄輸送力増強のために行なわなければいけません工事につきまして、極力開発銀行融資ワクを拡大するということが一つでございます。  それから第二は、開銀融資の一般の金利は約八%でございますが、これをいま申しました六・五%、最近は六・七五%になっておりますが、この有利な特定工事と申しますか、これの対象を広げていくということを、ただいま強く来年度要求としておるわけでございます。  それから次は、固定資産税その他税制の問題戸つきましても、いろいろと自治省のほうにも御配慮いただいておりまして、現在大体私鉄につきましては四三%減免を受けておるわけでございまして、納付額が御指摘のように六十三億でございますが、さらにこの減免につきまして、各面に当たりましていろいろと話し合いを進めておるところでございます。
  9. 太田一夫

    太田委員 地方税についてお尋ねをいたします。  これは鉄道に関してだけお尋ねしますが、事業税——まあ固定資産税は四三%減免されておるといえばそれでわかるような気がいたしますけれども、こういう時代にありとあらゆる一般的な税金をかけられておる事業体でありますから、さらにその上に固定資産税を免除する、事業税も免除するというようなことにならなければいけないと思うのですが、そういうお考えはあるかどうか。
  10. 川俣芳郎

    川俣説明員 民営鉄軌道事業に対します地方税課税状況でございますが、御案内のとおり事業税につきましては、所得金額の一二%ということで課税をされておるわけでございます。  そのほか、私鉄につきましてどのような軽減措置を現在講じておるかということについて申し上げてみたいと思うのでございますが、まず、県税といたしましては軽油引取税、これは鉄軌道車両使用いたします軽油にかかる軽油引取税でございますが、課税免除になっておりまして、これは国鉄のものを含んだものでございますが、その額が約百二十五億になっておるわけでございます。それから鉄軌道による運送の用に使用いたします電気につきましては、電気ガス税非課税といたしておりまして、これも国鉄分を含めますと三十億でございます。さらには固定資産税でございますけれども、この軽減額が、非課税分、それから課税標準特例分を含めまして四十二億になるわけでございます。  私鉄公共性にかんがみまして、特に固定資産税につきましては、市街地におきますトンネル、踏切道及び踏切保安装置立体交差化施設、地下道、跨線道路橋等非課税とする一方、新規改良のために敷設をいたしました線路設備電路設備等につきましては、取得最初の五年間はその価格の三分の一、さらに次の五年間につきましては価格の三分の二、新造車両につきましては取得後三年間価格の二分の一、自動列車停止装置につきましては取得後五年間価格の二分の一、先ほども申し上げましたように、その強い公共性にかんがみまして、固定資産税におきましても相当の軽減措置を講じてきておるということでございます。先ほど鉄監局長からもお話がございましたけれども、これらを合わせますと、私どもの数字でまいりますと本来軽減措置がなければ負担をしていただかなければならない額の五二%程度軽減をされておるという状況でございます。  それで、今後さらに軽減をすることを考えておらないかということでございますが、実は来年度税制改正につきましても、私鉄国鉄等から始終御要望をいただいておるところでございまして、現在これをどうするかということについては関係省ともいろいろお話し合いを進めておるという状況でございます。
  11. 太田一夫

    太田委員 これは自治省の方だけではありません。国税もありますから総括的になりますけれども、これは運輸省のほうでもよくお聞きをしておいていただきたいと思うのですが、いままで、あれが非課税特例がある、これが特例があるといったところで、そんなことはどうでもいいですよ。それでやっていけるものなら私はけっこうだと言っている。やっていけなくなっておるでしょう。中小私鉄においてはオール赤字でしょう。総体的に鉄軌道の損益は四十七年度二十億。大手でさえも総合鉄軌道四十六年度、四十七年度百八十三億だとか三百四十二億だとか赤字だといって報告しているのだから。とにかくその中でそれを切り抜ける何かといったらば、それはダイヤモンド社だか東洋経済か知りませんが、「会社四季報」みたいなのがある。あれを見れば、みんなこれは不動産でも売ってしのぎをつけなければ配当ができないだろうと書いてある。だから、不動産業とかいう兼業奨励というのがいまのわが国政府民営鉄道に対する指導方針のような気がしてしようがない。鉄軌道だけだったら何ともならないじゃない、最後は合理化合理化を押しつけて、労働者のほうにしわ寄せしておるというようなことじゃりっぱじゃありません。いよいよこれから鉄道の出番ということになっているが、新幹線以来さらに大きくなった。そういうときに、もっとそれを成り立つようにしなければいけないじゃないかということを言っておるわけです。事業税などを取るべきじゃない。なぜ公営企業並みに扱えないのか。そうすることによって社会的な使命を達成するようにしりをたたくということでなければ、本来のあり方ではない、こういうふうに思うわけであります。  時間の関係バス関係に移りますが、バスのほうは、これはもう御承知のとおり、過疎バスということに代表されるように、赤字路線をどうやって維持をさせるかということで、いままで二、三年来運輸省指導方針があったと思うのです。バス事業全業では大体一千億くらいの累積赤字があるのじゃないかといわれておりますが、いまでは岩手県などにおきましては、県南、花巻バス等中心としまして賃金の遅配があらわれておる。そういう中で今度自動車諸税引き上げということがいわれておるでしょう。自動車諸税引き上げというのは、若干ガソリン税が下がったとか重量税バスにはかからないであろうとかいうことがきょうあたりのニュースに出ておりますけれども軽油引取税については一向にこれに載っておらない。ガソリン税が上がれば、軽油引取税もそれはおそらく地方税として上がるにきまっておる。ところが、その軽油引取税というのはなかなかばかにならないのでありまして、私どもこのごろ調べたところによりますと、いま現在二百億近い軽油引取税を払っておるわけでありまして、これがかりに一五%アップになりましたとしましてもたいへんなことでありまして、二百何十億ということになるわけですから、こういうものをまず免除することによって、地方と国とが三分の一だとか四分の一だなんというような集約路線維持補助なんということをしておらなくても十分経営の基盤の改善に役立つわけだ。  そういう点から私は少し運輸省のお考えを聞きたいのですが、このごろの軽油価格ですね。私のニュースですからほんとうかうそかよくわからない点もありますが、ことしの九月のローリー価格というのはリッター二十六円なんです。その中で税金は十五円含んでおった。十月が二十七円になり、十一月も同じ金額でありましたが、十二月になるととたんに三十二円となる。リッター三十二円。それで裸値段というのは幾らくらいかというと十六円くらい。ところが昨年は幾らくらいか。これは七円八十銭。ずいぶん軽油値段というのはリッターで上がっておりますね。昨年七円八十銭の裸値段がことし十六円。しかもこの買い値というのは税を含めて三十二円。こういうふうでありますから、バス路線をこれから休廃止だとかあるいは回数削減だとかいうようなことにならないようにするためには、よほど油を確保することと同時に、経営維持できるような何らかの対策を講じていかなければいけない、こう思うのです。自動車重量税が見送りになったということになるならば——自動車重量税はいままであるやつはしかたがないということになるかもしれませんが、少なくとも軽油引取税バスに関しては絶対に上げさせない、こういう点も御確約できるだろうかどうだろうか、自治省運輸省と両方からお答えいただきたい。
  12. 原田昇左右

    原田政府委員 お説のように、確かに軽油価格が現在の石油不足を反映いたしまして高騰をしていることは事実でございますし、私どもも非常に憂慮しておるところでございます。したがって、これについては極力価格の引き下げあるいは標準価格設定——国民生活安定法が通りますれば、法案が通りましたあとで通産省から強力な標準価格設定その他の措置をとっていただくように私どもとしても強く要望しておるところでございます。  また、軽油引取税道路財源一つとして、地方財源が非常に困っておりますので、引き上げたいというそういう要求政府部内の一部から出ておることも事実でございます。しかしながら、私どもとしては、現在のような異常事態に際しては、少なくとも軽油引取税については、バス、トラック等に対する影響を考えまして、極力最小限に押えてほしい、できればもちろん据え置きが望ましいわけですが、そういう要望を強く出して主張しておるところでございまして、まだ結論が出ておりませんが、そういう線で私どもとしては関係省に強く要望しておるところでございます。
  13. 太田一夫

    太田委員 四十八年度過疎バスの補助の助成金の金額十二億二千八百万円、これぐらいなものは、かりに一五%の軽油税が引き上げられることによって二十七、八億も上がるのですから、補助金だってものの数じゃないです。だから、そのスズメの涙のような補助金で、それで過疎地においても路線維持並びに増強、場合によっては新しく開設しなければいけませんね。これからマイカーをやめろといったら、そこにバス路線を持っていかなければいけませんよ。そんなことができるか。これは抜本的な対策を講じてもらわなければならぬと思います。  それから、これは運輸省全体に当てはまることでありますが、バスだろうが鉄軌道だろうが、ともに税金が公営とアンバランスになってくる。公営と私営とは違う。字が違うといえばそれだけのものですが、市民は一つだ。同じようにおしりをたたくなら、その条件は一つにしてもらって、公正な条件のもとにやってもらわなければならぬと思う。だから、税制につきましては、徹底的に洗い直しをしていただきたいと思うのです。  ついでですから、少し先を急ぎまして、同じ自動車の中でもタクシー関係について一言だけお尋ねしますが、きょうの新聞によりますと四百億のつなぎ融資のようなことをするというのが出ておりますが、これは条件はどういうふうでございますか。わかりましたら。よほど条件がはっきりしないとこれはたいへんです。
  14. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 お答え申し上げます。  これはまだ条件等につきましては今後中小企業庁と具体的に相談をする段階でございまして、きょうの段階は、とにかく最近のタクシーの状況にかんがみまして、いろいろ資金繰り等についても困難をきわめている状況もありますので、とにかく緊急融資の道を開いてもらうべく中小企業庁と折衝を開始した、こういうことでございまして、具体的な中身につきましては、今後できるだけ早く詰めてまいりたいと思います。
  15. 太田一夫

    太田委員 それでは、局長にさらにお尋ねしますが、LPGが窮屈になるというのは、一つ考え方として、私もどうも常識的にそういう気がするのです、LPGの場合は。ガソリン車に転換しようとする動きが出ておるのでありますが、個人タクシーなどガソリン車に転換しようとすると四十万とか五十万——改造しなければなりませんから若干金がかかりますね。そういう改造資金というものを含めて、無利子なら無利子融資、理想は無利子でございますね。それからその返済については、長期分割返済というようなことをお考えになる必要がある。ガソリンならば何とかやれるけれども、いまとりあえず四十万なら四十万の金がないというのがたくさんあるわけですね。それもあわせてお考えいただいて、いまのつなぎ融資は——この前のあれはPCBのときでございましたが、魚屋さんや料理屋さん等に、一般的に行なわれました一店舗五十万円の融資のごとく、寛大なる条件において長期融資するということでなければいけないと思いますね。それをひとつ十分考えてください。  最後に、観光バスの問題について総理府にお尋ねをいたしますが、今後とるべき観光政策というものがこの間国会に報告をされております。これから見れば、言うならば観光基本法の目的であり趣旨である「国民の保健の増進、勤労意欲の増進及び教養の向上とに貢献する」という立場から、観光基本法には、観光旅行の普及発展をはかるということが書いてあるわけですね。二条には、目的にどんな具体的なものがあるかというと、「家族旅行その他健全な国民大衆の観光旅行の容易化を図ること。」ここのところから、ここにたくさんあります旅館とかホテルとか宿舎とか会館とか公園等つくるということのほかに、家族旅行の容易化をはかるという点から、運輸省におきまして観光バスというものに対する一つの育成政策があったのですね。ところがこのごろはい何か観光バスという名前が、観光というのが気に食わないのか、あれは削減する、自粛してもらうということでは、一番最悪の悪人のように取り扱われておる。  私は、戦争中の話じゃないけれども、日本人が歌を歌っちゃいけないとか、歌舞音曲などに親しむのは遊惰な国民だということで、しゃにむに大東亜戦争に引っぱっていったあの時代のことを思い出して、わが国の観光政策は、この非常時になればなるほど、健全な観光政策の発展をはかることによって、国民の中に暗い気持ちがともすれば浸透しようとするのを払拭していかなければならないと思う。観光バスを罪悪視するなんてとんでもない間違い。ただし、健全なということが一つ要りますがね。その点について、総理府と運輸省と両方からお答えいただきたい。
  16. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 私ども運輸省の立場といたしましては、決して観光バスを罪悪視するなりあるいは軽視するということは毛頭でございませんで、むしろ最近のバスによる旅行の実態というものは、国民の非常に健全な、しかもささやかな旅行がバスによって行なわれておるということだろうと思っております。したがいまして、そういうふうな旅行は、できる限り確保できるようにということでございます。ただ、観光バスの中にも、非常にデラックスな車を使ってデラックスな旅行をする目的のバスも、全体の中ではそうたいしてございませんけれども、なきにしもあらずでございます。また、企画の中には非常に長距離の旅行を観光バスで行なうということで、そういうものはあるいは列車に乗って行なうとか、あるいは船で行なうとか、いろいろほかの機関を使う方法もあるのではなかろうか。そういうことで、必要な健全な観光バスのための、特に今度のような油の問題につきましては、必要量は確保する、こういう態度は堅持しておるわけでございます。  特に、最近の問題といたしましては、これは観光とは関係ございませんでしょうけれども、帰省の問題がございまして、帰省客を貸切バス、観光バスで運ぶという問題がございます。これにつきましては、このような油不足のときでございますけれども、現在予定分は全部これを確保するように油の手配もいたして、年末年始について混乱のないように処置いたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  17. 岡田專治

    ○岡田説明員 先生御案内の観光政策審議会を、このような事態の中におきまして十一月三十日に開いたわけでございます。たまたま委員も一新されまして、新しく第六次として発足したわけでございますが、その中でやはり先生のような御観点からの、要するに観光というものにつきまして、いちずにネガチブであるのはおかしいのじゃないかというような御意見も確かに出ております。そして今後の審議会の進め方といたしまして、やはりこういう具体的に起こってまいります問題につきましてやっていかなければいかぬ、こういうようなことが審議会の大勢でございますので、私どもといたしましても、この審議会の今後の審議の推移を尊重いたしまして、その上で適切なる観光施策の推進につとめたい、かように考えておるわけでございます。
  18. 太田一夫

    太田委員 これで終わります。大臣がお帰りになりましたから、最後に総括してお答えいただきたいのですが、私が先ほどから申し上げたのは、民営鉄道の部門におきましては、非常に多くの、百億からの人を運ぶ、その鉄道に対して踏んだりけったりというような扱いでなくして、そしてまた、兼業でもうけよう、もうけようというような、兼業をいたずらに奨励するような方針のみでなくして、税制、財政においてさらに一段と進んだ援助方式をとると同時に、その使命の達成のためには、いま公営企業と同じような立場を与えてほしいということを申し上げたわけです。公営企業と同じように見ることができれば、諸税がはるかに違ってまいりまして、いまのように赤字路線の補助が二千五百八十七万円だなんて、それこそスズメの涙にもならないようなお金ではこれは話にならぬと思うんですよ。そういう事態を克服するためには、これは思い切って、これからの時代輸送使命を全うするためには、われわれもこういう態度をとる、方針をとる、それは公営企業と同じように見るから、税金の面におきましても特典は当然あります、こういうことにひとつお考えいただきたいし、さらにバスの問題につきましては、いよいよマイカーが減ってまいりますと、山間僻地はバス路線増強ないしは新設ということが必要になってきます。そうすれば、さらに赤字はふえるのでありますが、それを克服し得るような何か裏づけを運輸省においてお考えなさるということが必要だと思うのです。そういう意味におきまして、私どもはたとえば軽油引取税などは絶対に上げちゃならない、こんなふうに思いますし、それからもう一つ補完機関であるタクシー等につきましても、つなぎ融資のことをお考えになったことは非常にいいアイデアだと思いますが、さらにガソリン車転換に若干希望がある場合の融資そのつなぎ融資に対する条件の絶対的な優遇ということもお考えいただきたい、こう思うわけであります。民間公共輸送機関に対して、運輸大臣としてさらに一そう今後育成をする方針であるかどうかについて、御決意を聞かせていただきたい。
  19. 徳永正利

    徳永国務大臣 民間の輸送機関が受け持っておる国民大衆の足というのはたいへんなものだと思います。先ほど御指摘にございましたように、私鉄が昨年度百億人運んでおる。国鉄が六十七億人という比率から見ましても、これ一つをとりましても、またそれを補助いたすような関係にございます路線バスその他タクシー等にいたしましても、私企業の役割りというものは実に重大なものがあると思います。当面、この諸情勢の変化に対しますいわゆる緊急的な対策と、それから先生指摘がございましたような、将来そういう重要な国民の足として活躍していただかなければいかぬこれらの方々の長期的な一つ対策と、二つあると思います。  お説のように、当面の問題としましては、これはなかなか、いまの国鉄の法律できまった運賃も半年延ばそうかという時代でございまして、これは非常な決意でいかなければなりません。とは申しますものの、私企業間において旅客を輸送していただいているのですから、これが経営の不如意から安全にまで関連してくるというような事態は、運輸省としては絶対に見のがすことはできません。ですから、当面の問題としましても、両輪をよく見きわめた上で適切な処置をとっていかなければならぬと思いますが、その具体的な問題等につきましては、一つ一つ今後近いうちに問題が出てくると思います。  なお、融資等の問題につきましても、鋭意いまやらしておりますけれども、お説のように、ガソリン車に転換する四十万——たしか私はもう少し安いのではないかと思いますけれども、そういう面もあわせて検討してまいりたいと思います。  なお、僻地のバスの確保、それから離島の連絡船もそういうような範疇に入ると思いますけれども、これらの問題については、いまお説のように、そういう僻地の方々に対して御不便をかけないように、もしそれが非常な運営の不如意によってこれらの方々に不便がかかるということがありますならば、私どもとしましては、国民大衆のための運輸行政でございますから、できるだけの対策を立ててまいる決心でございます。
  20. 太田一夫

    太田委員 終わります。
  21. 三池信

    ○三池委員長 金瀬俊雄君。
  22. 金瀬俊雄

    金瀬委員 質問の時間がたいへん制約されておりますし、また、通産省の方は他の委員会の関係でそちらにいくということでございますので、端的に御質問申し上げますから、なるべく簡潔にお答え願いたいと思います。  最初に油の問題でございますが、現在日本の国の中にある油の量、原油あるいは精製が終わっているもの、合わせて何日分ぐらいストックされておるか、お知らせ願いたいと思います。
  23. 松村克之

    ○松村説明員 日本にあります油は、原油の形でありますものとそれから製品の形であるものと、二つに大別できるわけでございますが、九月末現在で申しまして、原油の形での備蓄が二十八日分、残りが製品または半製品ということでございます。それが十一月の末になりまして、五十九日が五十七日ぐらいに二日分ほど減っているものと考えられます。それで、十二月末の予想をいたしますと、これからあとまた四、五日分合計で減少するのではないか、そういうふうに私どもは推定をいたしております。
  24. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、いま精製分と原油と合わせて日本にあるものは大体何日ぐらいですか、いまの平均で使っていったとすると。
  25. 松村克之

    ○松村説明員 十一月末で五十七日分ぐらいでございます。それから十二月末の推定が五十二、三日分、大体そういう数字でございます。
  26. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私どもの業界の調査によると、現在七十日分あるといわれておりますが、これは間違いですか。これは石連からのはっきりした調査ですが、それは原油と精製分と合わせて現在七十日分あるということですよ。そういうことはありませんか。
  27. 松村克之

    ○松村説明員 私どもが九月の末で五十九日あると申しましたときに、一つの数字として七十九日ということを申し上げてございます。その七十九日と申しますのは、中東からこちらまでの輸送中の原油というものが、あすこからこちらまでの間に二十日ぐらいかかりますので、その分も含めて申し上げて、七十九日という数字も一つ申し上げているわけであります。いま先生の御質問が、国内にある油が幾らかということでございましたので、その二十日というのをはずして御説明したわけでございますが、その二十日を含めますと、現在の十二月末で五十二、三日と申し上げましたが、これが七十二、三日という数字になるわけでござ  います。
  28. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、原油と精製を終わったものと、それから現在タンカーの中にある日本で金を払った油を合わせて七十日分ある、こういうことですね。そうすると、その油は大体平均何ドルぐらいで買った油ですか。それは各会社によって違うと思うけれども、平均何ドルぐらいで買った油ですか。
  29. 松村克之

    ○松村説明員 簡単に申し上げまして、九月の終わりの段階で七十九日分あるということを申し上げたわけでございますが、それが十月の半ばにOPECの値上げがなされたわけでございます。したがいまして、十月の中ごろから入ってきます原油というものが値上がりになっているわけでございますが、そういたしますと、その油は十一月の初旬にはこちらに着くわけでございます。それで、十一月初旬にこちらに着いた油は値上げになっている、こういうふうに考えていただいてけっこうかと思います。
  30. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私が聞いているのは、ストックされている七十日分の油が平均幾らになるかということを聞いているのですよ。どのくらいで買っているか、日本に着いたときの値段幾らぐらいになっているのかということを聞いているわけですよ。
  31. 松村克之

    ○松村説明員 平均の価格を申し上げますと、OAPECと申しますかOPECの原油価格の高騰は、ことしの一月ごろから順次上がっておりまして、六月、七月、八月、九月というふうに順次上がっているわけでございます。  それで、原油の値上げが非常に大きく新聞紙上に出るようになりましたのはことしの初めからでございますが、特に十月十七日以降の石油戦略開始以後さらに値上がりをしたわけでございますけれども、原油値上げはことしの春からずっと続いておりますので、どの段階の油がどれだけ残っているかというのは、ちょっと技術的には申し上げかねるわけでございます。  ただ、参考までに申し上げますと、六月ごろに比べまして現在の価格が約七割から八割値上がりになっているということでございます。
  32. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたの話を聞いていると、これから先、いまある七十日分のストックされている油の標準価格というのは決定できないことになるでしょう。このくらいだということをはっきり言えなければきまらないわけですよ。石油の大もとのあなた方がわからないということになると、じゃ、わかっている人はいないということになる。そうでしょう。私どもが石連で調査したところによると、この油は高いもので平均五ドル、安いもので四ドルで入っているということがはっきりしているわけです、七十日分いまストックされている油の値段が。そうすると、あなたはわからないと言うけれども、私ども石油関係の人に話をして調査をしたらわかったんだが、そういうこともわからないのか。値段がきまらない。それをもう一度。
  33. 松村克之

    ○松村説明員 先生お話は、現在ストックされている油の入手価格幾らであるかというようなお話かと思うのでございますけれども、これはそれぞれの会社によりまして原油の油種も違いますし、入手先も違うわけでございます。また、会社によりまして、七十九日分と申し上げましてもそれよりも多い会社もございますし、少ない会社もあるわけでございます。したがいまして、一がいに現在の在庫されている原油または石油製品の入手価格幾らであるかという御質問については、いまのところ私のほうとしてははっきりした数字を把握していない、こういうことでございます。
  34. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、通産省はいま日本の国にある七十日分の油の値段は全然確実につかんでいない、そう考えて差しつかえないですね。わからないと、そう思っていいんでしょう。いまあなたはわからないという答弁だから。わからないならわからないとはっきり言ってください。
  35. 松村克之

    ○松村説明員 七十日分の油の平均の価格——七十日分といいますか、現在日本にございます入手した原油の平均の価格幾らであるかということを計算いたしますには、いろいろと仮定が必要になってくるわけでございます。と申しますのは、備蓄用の原油で持って、昔からの安いものを持っているところもございますし、あるいは昔からの安い原油を使用して新しく高いものを持っているものもございます。それらによりまして、一がいに計算は非常にむずかしいということでございますので、ちょっといろいろな仮定を立てて計算をしなければ数字は出てこない、こういうことでございます。
  36. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、あなたの答弁を聞いていると、会社によって値段がみな違う、それから備蓄用とそうでないものとによって値段が違う、各種各様の油があるので平均値段は出せないということですね。いまの話を聞くと、七十日分いまある油の値段がわからない、はっきりそう考えてよろしゅうございますね。通産省はわからないんだと、それでいいですな。
  37. 松村克之

    ○松村説明員 たとえば原油の油種によりまして、アラビアンライトが幾らであるとかアラビアンヘビーが幾らである、イラニアンヘビーが幾らであるといったふうに、それぞれ油種によって価格が違います。また、同じ油種のものでございましても、取引先に応じて価格の変化もございます。したがいまして、一律に平均した数字というものを計算することは非常に困難でございますということを申し上げているわけでございます。
  38. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたが値段がわからないということになってくると、これから先交通問題で質問しますが、今度、将来配給されてくる、割り当てられてくる油の値段が全部違うということですよ。日石も出光もエッソもスタンダードも、みんな違う値段で配給してくるということになるんですね。そうすると、価格はばらばらということになりますよ。いま日本の国で使っているのは、この七十日分のストック分を使っているわけですね。そうでしょう。油はその中から順に出ていっているわけでしょう。そうなってくると、この値段がわからなければ、全然日本の国で売られている燃料価格というのはわからないということになるよ。めちゃくちゃだということになる。もっとも、いまはめちゃくちゃだけれども。そう解釈していいのか。将来もそうなっていくというふうに解釈していいのか。
  39. 松村克之

    ○松村説明員 私が申し上げておりますのは、それぞれの油種によりまして……。
  40. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私が聞いているのはそういうことじゃなくて、いまある、ストックされている原油なり精製した油なり、そういうものを平均した値段はどのくらいかということを聞いているのですよ。簡単ですよ。平均した値段幾らか。これは石油連盟じゃ四ドルから五ドルの間だとはっきり言っているんだ。通産省がわからないということはおかしいと思う。
  41. 松村克之

    ○松村説明員 四ドルから五ドルといったような幅を持たせてよろしいのでございますれば、おっしゃるとおりでございます。四ドルから五ドルくらいで入っていたわけでございます。
  42. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いま言ったのは間違いないですね。そうなってくると、いままでの油というのは、産油国から直接買っている油が日本の国では何%くらいありますか。それから、国際資本、メジャーから買っている油は何%くらいか、そのパーセントを言ってみてください。
  43. 松村克之

    ○松村説明員 メジャーから入手しております原油のパーセンテージでございますが、これはいろいろとりようがございますが、一般的には六〇%というふうに御理解いただければよろしいかと思います。それからDD原油でございますが、DD原油の量は、まだ非常に数字も少のうございまして、また、変化するものでございますが、平均して数%と非常に少ない量であるというふうに御理解いただきたいと思います。(金瀬委員「合わせて一〇〇%にならない」と呼ぶ)メジャーのほかに独立系、いわゆるインデペンデントという独立系の会社もございます。それから日本でたとえばアラビア石油でございますとかそういったふうな会社もあるわけでございます。それらを含めて一〇〇%になるわけでございます。
  44. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私ども調査で外国資本、いわゆるメジャーから買っているのが八五%くらい、いわゆるアラビア石油を含めて。それから産油国から買っているのが大体一五%くらいなんです、現在は。そうすると、いま、だんだん買う比率は変わってきて、今度はメジャーがいろいろ株の持ちぐあいとかなんかで変わってきて、メジャーの持ち分が四九%、産油国の持ち分が株の比率で五一%になってくると、日本の国で油を輸入する量が、産油国から買う分とメジャーから買う分と比率は変わってくるということはわかりますか。
  45. 松村克之

    ○松村説明員 先生いまお話しの、メジャーから買う分が八五%というお話でございましたけれども、これはいわゆるアメリカ系のインデペンデントも含めた、つまり外国といいますか、米英系と申しますか、そういった外国糸の石油会社から入手している量ということで石油連盟のほうで説明したのじゃないかと思います。メジャーといいますのは、外国系の中でいわゆる七大会社あるいはといったようなことでございますから、その数字は六〇だということを私は申し上げたわけでございます。  それから、いまお話しのように、今後産油国政府のパーティシペーションといいますか、それが増大いたしまして、そちらのほうからの出る原油の量が増大してくるということは、今後の趨勢としては当然先生お話のとおり増加するものと考えております。
  46. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、産油国から出る油、産油国が売る油が極端に多くなってくるわけですね。そしてメジャーの油が少なくなってくるということになると、どうしても、いまの七十日分のストック分はとにかくとして、これから先入ってくる油というのは、平均どのくらいの価格の油が日本の国に入ってくるというふうに考えていますか。大体このくらいまで上がるだろうと……。わかりますか。
  47. 松村克之

    ○松村説明員 産油国政府のパーティシペーションがふえた場合に、産油国政府としては、自分の持ち分の油というものはふえるわけでございますけれども、これを直接いわゆるダイレクトディール、DDで売る場合と、自分の持ち分をもう一ぺんメジャーなりに売り渡しまして、そちらの販売ルートで売る場合と両方あるわけでございます。それで、現在までは後者の例が多かったわけでございまして、産油国政府の持ち分がふえたからといって、直接その分を産油国政府がDDとして売り出すというケースが比例的にふえるとは必ずしもいえないわけでございますが、そういう場合に、今後の価格動向がどういうふうに上がっていくかという点につきましては、現在のところの価格は四ドルから五ドルというところでございますが、それが、最近の入札状況を見ますと、十五ドルでありますとかあるいは十七ドルであるとかいうような数字も出ております。それから来年の一月以降さらにOAPECとして原油値上げをする考え方があるというようなことは、これは外電等でもしばしば伝えられているところでございます。したがいまして、今後とも原油価格の高騰はあると思いますが、一体どの程度まで上がるかという点については、ちょっと私としてもお答えできないことでございます。
  48. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうなってくると、通産省で価格の決定とかいろいろのことができるのは、その七十日分のストックしてある油であって、これから先入ってくる油については、どのくらいの価格で油が入ってくるということがわからないから、少なくとも来年の三月以降ぐらいになると、油の値段の決定ということはまだわからない、見通しが全くない、そう思って差しつかえございませんか。
  49. 松村克之

    ○松村説明員 十月の中旬から価格の値上げがあったといたしますと、七十九日分というのはもうそろそろ終わるころでございます。したがいまして、一月以降になりますれば、そういうストックの油という観点ではなくて、十月以降の値上がりのことを考えればよろしいのではないかと思うわけでございますが、その場合に、将来どれだけこれが上がっていくかと、将来の価格動向につきましては、中東諸国の動向というものが、近くまた会合等もあるようでございますが、そういうものを見きわめながら検討していくという体制をとらざるを得ないというふうに考えております。
  50. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたの時間があまりないようでございますので、もう一つだけ質問しますが、七十日分というのは、現在七十日分あるということですよ。だから、いまから使い始めても日本の国には七十日分あるということだ、そういうふうに私は解釈していますが、あなたは七十日分がもうだんだん使ってきて何日もないということなんですか。違うでしょう。いまあるのでしょう、七十日分は。
  51. 松村克之

    ○松村説明員 私が申し上げましたのは、在庫品を評価する場合に、その在庫品の評価の基準となる原油の入手価格ということについて考えますれば、十月の中旬以降に入った原油と、十月の中旬からいままで約六十日たっているわけでございますが、今月末で七十五日ぐらいになるわけでございます。したがいまして、明年度以降の、在庫されている原油あるいは製品、半製品というものの入手された原油価格と原油コストということを考える場合には、十月中旬以降値上げされた原油というふうに想定しての計算ということは一応できるのではないかということを申し上げたわけでございます。
  52. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたの言うことを聞いていると、だんだんわからなくなってくるけれども、七十日分の油は四ドルから五ドルで平均買われて、もう日本の国にあるのですよ。あると言ったのだからこれはあるはずですよ。そうすれば、それをならしてくれば、小売りまで行くとどのくらいかかるかということはわかるわけだ。ところが、これから先入ってくる油は、あなたの言うように十七ドルをこした価格がついたのもあるし、十五ドルというようなこともある。だから倍に上がったとすれば十ドルの油が入ってくるということになるわけですよ。三倍に上がったとすれば十五ドルの油が入ってくる、こういうことになるのでしょう。そうすると来年三月ごろの油の値段というのは、二倍になるか三倍になるかわからないということはほんとうなんでしょう。そのことをあなたがはっきり言ってくれればいいのです。来年の三月になれば、いま百円で売られているガソリンが三百円になるかわからないということをはっきりあなたが言ってくれればいい。それともずっと百円で売れるのか、来年三月になって三百円になるのか、あるいは五百円になるのか、十七ドルで来れば日本のガソリンというのは五百円になりますよ。いま九十円から百円近くで売っているガソリンが五百円近くになるわけですよ。そうしたら、いままで出ているようないろいろな法律とか、日本の産業機構とか、いろいろなものが根本から狂ってくる。全部やり直さなければいけないということが来るわけです。よほどの危機感を持たなければできないということになるわけだけれども、その点はどういうことになるか、あなたは担当官だからよく……。三月以降の油はどういうことになるか、それをちょっと言ってみてください。
  53. 松村克之

    ○松村説明員 先生お話しのとおり、七十日分のストックが現在あるわけでございます。したがいまして、その油でもって今後七十日持つということはおっしゃるとおりでございます。それから、三月以降と申しますか、一月のFOBがどれだけ上がるかという点については、非常に見通しをつけにくうございますが、やはり一月分からの値上げをOPEC諸国が計画しているという情報は、相当外電等では流れている模様でございます。その場合に、三月以降それじゃどれだけ上がるのかという御質問かと思いますが、どれだけということをちょっといまここで私としても推定しがたいところでございます。ただ、現在のDD原油で言われている十五ドルあるいは十七ドルという数字が、直接にそういった水準まで一挙に上がるということはないものと考えております。
  54. 金瀬俊雄

    金瀬委員 約束の時間が過ぎましたので、これで通産省への質問は打ち切りますが、いずれにしても、三月以降の日本の国の燃料はどういうふうに値上がるかということは、的確に通産省はつかむ必要があるし、それがつかめなければ、来年度の予算なんというものは組んでみても何にもならない、狂ってきちゃうということになりますね。だからそういうことについて、また来年早々の委員会で質問したいと思いますので、ひとつ価格の点について十分な御検討をお願いします。  それから、大蔵省の方に油の価格のことについて質問申し上げますが、統計によりますと、四十七年度に日本の国に二億四千六百万キロリットルの油が入ったことになっておりますが、間違いございませんか。
  55. 天野可人

    ○天野説明員 四十七年度の輸入実績通関ベースは二億五千七百万キロリットルでございます。
  56. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうするとそれに使ったドルはどのくらいですか。
  57. 天野可人

    ○天野説明員 輸入実績を金額で申しますと四十一億五千五百万ドルでございます。
  58. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それは油を運ぶときの運賃もそれから保険もみんな入ってですか。
  59. 天野可人

    ○天野説明員 入っております。
  60. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、四十八年度に油の入ってくる推定は、いま現在で二億七千万キロリットル以上入ってくるといわれていますね、見通しは間違いございませんか。
  61. 天野可人

    ○天野説明員 四十八年度につきましては、上期が、これは実績でございますが、一億四千五百万、下期につきましては、これは必ずしも政府部内で見通しははっきりきまっているとはいえないと思いますが、最大限で一億三千四百万キロリットルくらいになるのではないかという説が有力でございました。その後いろいろな意見が出ているかと思いますので、きまった数字ではございません。
  62. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうなってきますと、日本の国へ入ってきている油の量は去年から比べると四十八年度は相当ふえているわけですね。その中でドルは四十八年度はどのくらい原油購入についてかかる予定ですか。
  63. 天野可人

    ○天野説明員 これにつきましては、実績の出ております四月−十一月の金額を申し上げます、と、四十億四千九百万ドルとなっております。それで十二月以降は、その数量、単価、いずれにつきましても仮定の計算になるわけでございまして、公式の数字は出ておりません。
  64. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは私の調査した数字ですから間違っておるかもわかりませんが、四十七年度は二億四千六百万キロリットル。あなたはもっとふやして言っていますが、この油を向こうの生産者から日本が買うときは三十二億ドル、一バーレル平均二・九ドルで買っているのです。それから運賃と保険とこっちへ来ての荷役とかなんかに使って、タンクへ入ったときの油の値段がドルに直して五十億ドルになっているのです。その平均でいくと、四十八年度石油のために使うドルがもっと上回っているわけです。そういうことになっています。そして来年のことを考えると——いま日本の手持ちのドルは百三十五億ドルくらいですか。どのくらいですか。
  65. 大場智満

    ○大場説明員 十一月末の外貨準備高は百三十一億九千六百万ドルでございます。
  66. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、これは大蔵省の人に質問ですが、来年日本の国でも平均十五ドルの油を買う、けさの新聞でもそう出ていますね。そうなってくると、かりに十五ドルで買ったとすると、いままでどおり油を使っていれば、日本の国で昭和四十九年度石油のために使わなければならないドルは、同じ量を買うのにどのくらいですか。
  67. 天野可人

    ○天野説明員 同じ量と申しますのは四十八年度のことをおっしゃっているのだと思いますが、私どもがちょっと計算いたしましたのでは、四十七年度に約二億五千七百万キロリットル、約十六億バーレルが入っているわけでございまして、これが一バーレルについて一ドル上がれば十六億ドルの外貨負担というテンポになると思います。そういう意味では非常に重要な問題ではないかと考えております。
  68. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、昭和四十七年度の生活を維持していくその程度油を使うというふうに仮定すれば、いまの手持ちのドルを全部出して石油だけ買ってもまだ足らなくなるわけですね。そうでしょう。十五ドルになったら石油だけで約百五十億ドル以上の外貨が必要になってくるわけです。ところが、いま百三十一億ドルしか手持ちがない。これからも出ていきますね。そうなってくると、たいへんな状態に日本の国がなるということだけは事実ですね。とても油だけ買うわけにいかないでしょう。その中で油をどのくらい輸入する力が日本の国にあるかということが問題になってきますね。いま持っているドルの現況からいって、どのくらい確保できる自信が大蔵省にあるのですか。石油のためにどのくらいまでドルが出せるか、その見通しはどうですか。
  69. 天野可人

    ○天野説明員 非常にむずかしい御質問でございますが、まずDD原油の十五ドルということを非常に心配していらっしゃると思います。私どもも心配なわけでございますが、いままでの状況をちょっと見ますと、これは私どもの数字は通関統計の数字でございまして、石油連盟等の数字と一致するかどうか存じませんが、ごく最近時点、十一月におきましてバーレル当たりの単価は四ドルちょっととなっております。それで大半を占めますのはメジャーの石油であるというようなことでございましたが、こういうものが大体十月以降FOBで三ドル六十五くらいになるというふうにいわれておりました。これはいろいろな油種がありますのでいろいろな数字があるのかもわかりませんが、運賃、保険料が従来五十セントくらいでしたので、それを足しますと、いまのところは大半の油は四ドル十五くらいで入っていると思います。したがいまして、この問題は非常に重要な問題でございますけれども、すべての原油が十五ドルになるというほどの事態が来るのかどうか、その辺ば私どもは推測いたしかねますけれども、その辺どういう仮定をとって計算するかによると思います。従来の感じでいいますと、石油の輸入は通関輸入の大体一五%を占めておりました。日本の輸入全体の七割以上が工業用原材料、それからエネルギー源、食糧というようなものでございましたので、石油の占めるウエートというのは非常に高うございますけれども、これがすべてであるわけではないわけでございます。そういうようなことを考え、また一方ではわが国の外貨準備の状況考え、非常に重要な問題だとは思いますが、現在OPECは御承知のとおり供給面の削減をやっておるわけでございまして、それがまた非常に問題なんですが、単価が上がりましても、供給面の量のほうが伸び悩むということであれば、国際収支の勘定の上では相殺し合う要因になっておるというように考えております。
  70. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたの話ですと、油は四十七年度は平均二・九ドルで買っているのですよ。あなた、ことしは四ドルぐらいだというとわずか一・一ドルの値上がりなんですよね。だけれども、新聞とか何かの報道によると十七・何ドルとか、日本のリビアで買う油も十ドル以上ということははっきりしているでしょう。十五ドルぐらいになるでしょう。インドネシアでも上げると言っているし、全体的に上がるでしょう。業界の人に聞いてみると、はっきり絶対に十ドル以下で入らなくなると言っているのですよ、日本へ着いて。あなたは四ドルと言っているけれども、これは年を越して来年の三月ごろになれば実態はどうだということがわかってくるわけですね。しかし、少なくとも私の言うのとあなたの言うのとの間をとったって大体八ドルぐらいに上がるということになる。そうなってくるとたいへんなドルが必要になってくるわけですね。そうすると、少なくとも石油に使うドルが四〇%なり三五%近く上がってくるわけでしょう。そういうことが日本のいまの経済情勢でできるのかできないのか、そういうことについてあなたの考え方をひとつ。
  71. 天野可人

    ○天野説明員 これは値上がり程度による話、また供給量による話でございまして、そこの程度をきちっと立てませんと何とも言えないことだと思います。私どもとしましては、将来の原油の価格値上がりにつきましては、結局いろいろ計算する場合には通産省のほうの御判断などを重要な参考にして計算せざるを得ませんので、その辺によるかと思います。いずれにしても、この問題は国際収支の上で重大な問題であるということは事実であろうと思います。
  72. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたは価格が上がれば日本で使う量が減ると簡単に言っていますね。上がれば減ると言っているけれども、減らしたら日本の経済がどういうことになるか。そのことについてはどうなんですか。
  73. 天野可人

    ○天野説明員 私が申し上げましたのは、価格が上がると消費が減るという点を中心に申し上げたわけではなくて、原油の供給量について実際問題としてOPEC等が非常に影響力を行使するようになってまいりましたので、そちらの面から無際限な供給が再開される事態を予想していいのかどうか、非常に疑問であるということを申し上げたわけでございます。
  74. 金瀬俊雄

    金瀬委員 通産省も大蔵省も、油の将来の価格とかあるいはどのくらい入ってくるかという量については、まだ的確な予想がつけがたいということだと思いますよ。だからおそらくそのことについてはまだ五里霧中でわからないというのがほんとうじゃないかと思います。だから、正直にわからなければわからないと言ってもらえばいいのですけれども、またこの問題は来年の委員会で質問することにしまして、いま言ったような状況で、油が非常に上がるということは事実でございます。そうした中で、交通機関にはね返ってくるということが十分考えられますが、これから先の交通機関の運賃の体系というのは、来年三月を過ぎて油が上がれば根本的に狂ってくるということだけは事実ですね。それに対する運輸省対策はどうなっているか。
  75. 原田昇左右

    原田政府委員 ただいまのお説のとおり、現在においてもすでに石油の逼迫を反映して末端の入手価格は、ガソリンにいたしましても、軽油にいたしましても、LPGにいたしましても、大幅に値上がりしていることは事実でございます。そこで、特に自動車の関係の運賃につきましては、こういった値段がどうしても影響してくることも事実でございます。たとえば、簡単に申しますと、乗用バスでは大体燃料費の占める比率は六%程度でございますし、またタクシーについては約八%ぐらい、概算でございますが、そんな程度燃料費でございますから、かりにこれがもしLPGが倍近くなれば八%ぐらいな影響ということになりますが、現在のところ末端の入手価格は倍まではいっておりませんけれども、相当影響が出ていることは事実でございます。また燃料の供給が制約されますと、どうしても走行費が単位当たり上がってくるということも見のがせない事実でございます。そこで、こういったものの運賃に対するはね返りという問題が出てまいるわけでございますが、何しろ情勢が現在のような異常な事態でございますので、われわれとしても、今後の落ちつきぐあいあるいは政府全体の物価対策、そういったものを慎重に検討いたしまして、この問題に対処する必要があろうかと思います。
  76. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この問題は、これから先なお大きな問題になってくると思いますので、あとでまた質問することにしまして、時間がなくなりましたので、きわめて簡単に質問申し上げますので、簡単でございますから、そういう考えがあるとかないとかいうことだけお答え願えればよろしゅうございます。読み上げますので関係者の方で答弁を簡単にお願いしたいと思います。  港湾局は、港湾関係の埋立地に燃料、LNG、LPガス、原油、そういうものを貯蔵する埋め立て計画をしたことがあるかどうか。またこれから先、そうしたものを貯蔵するためいろいろなことを推進するために考えたことがあるかどうか、そのことについてお願いします。それから京葉第二シーバースの建設がいま始まろうとしています。始まるについて漁民に対する十分な補償、それから今後の海洋汚染に対する防止対策、そうしたものを十分にやっていただきたい。特にこの問題については明原丸関係の事件がまだ解決しておりませんので、そのことについて石油連盟と港湾局との間で第二シーバースを許可する場合には十分な打ち合せをしてほしい。この点についてはお願いしておきます。  それから海上保安庁でございますが、いま東京亙斯はLNGを東京湾の袖ヶ浦から東京まで、海の中をパイプで輸送しようという計画がございます。そのパイプ計画について安全性については十分確認しているかどうか、あるいは検討したかどうか、そのことについてのお答えを願いたいと思います。  それからこれは港湾関係ですか、スエズ運河のしゅんせつなり工事というのは、この前の中東戦争の直前に日本の業者が行なってこれをやったわけです。今度も日本の埋め立て業者が行ってこの仕事を担当して技術面あるいは経済面いろいろな面で協力するようになると思いますが、そうしたことについて日本の港湾局のほうではどういう指導をして、どういうふうなことで石油危機についてどういう役割を果たそうとしているか、そのことについて考えがあったら聞かしていただきたい。  それから、これは自動車関係の人にちょっと質問いたしますが、私のほうの千葉県にあるある大きな工場で、油危機ということが叫ばれてから、従業員が二千台の車で通っていたのを全部やめさせまして、バス十五台を購入してバスで通わせるということをやって、油の節約とそれから交通事故対策、公害と三つをかねてそういうふうにして、労働組合とも話し合って解決したところがあるのですよ。全国の各大工場で従業員の使っている通勤用の油というのはたいへんなものだと思うのですよ。そういう模範例がありますので、おたくのほうで何かそういうことができれば私はやったほうがいいと思います。  それからもう一つはスポーツカー、これは油をたくさん食うし、こういうのは自家用車をやめる前にやめさせたほうがいいと思うのですよ。それは運輸省の指導で、そういうことができればやめさせたほうがいいと考えております。これは庶民の声としてそういう声がたいへん出ています。  それからもう一つは、これは漁民からの声ですが、漁民の油がないときにレジャー用のモーターボートがどんどん走っている。これはよろしくない。遊ぶ人が油をつかっているのに、魚をとって生産する人が油を使えないというのはおかしいじゃないか、こういう声が相当ある。これはスポーツカーと同じ理屈ですが、そういうものに対してある程度の制約を加える気持があるかどうか。これは運輸省考え方をまず聞きたいと思います。
  77. 大久保喜市

    ○大久保説明員 それでは港湾関係の事項につきまして御説明申し上げます。  いわゆる石油等の備蓄基地のための埋め立てを計画したことがあるかという御質問でございますが、これにつきましては、御承知と思いますが、港湾計画ということになりますと港湾管理者が立てるわけでございますが、ただ数年前に通産省におきまして、いわゆる石油の備蓄ということのためにCTS構想を検討する必要があるのではないかというような動きがございまして、そういうような場合に、はたして全国的にそういうような可能性のあるところ、いわゆる海上交通安全とか地形的な条件、そういうような点から見て可能性のあるところはどういうところがあるであろうかという、非常に初歩的な調査をやったことはございますが、しかしそういうようなことを具体化いたしますことにつきましては、これは地方公共団体、それから地域住民の方々の御同意、そういうようないろいろなもろもろの問題がございますので、そういう具体化の計画ということにつきましては、港湾局といたしましては積極的に計画立案というようなことはいたしておりません。港湾管理者が当時の構想、その後のいろいろな事情を勘案して、そういうことが可能であるかどうかということを個々の港湾において検討している向きは若干あることは承知いたしております。  それから次に、京葉シーバースの問題でございますが、これは先般千葉港の港湾管理者が……(金瀬委員「それは要望ですからいいですよ」と呼ぶ)これにつきましては、港湾管理者をよく指導して万全を期するように努力いたしておるというふうに承知いたしております。  それから、スエズ運河のしゅんせつの問題につきましては、先生の御指摘のように、かつて日本の企業が改修工事をいたしておりまして、それで動乱のために、契約までしてそれが中絶したという経緯がございます。それで、今回三木特使の現地でのいろいろな状況が新聞等で報道されておりますが、詳しい内容につきましてはまだ詳細には存じておりませんが、大体規模といたしましてあのような計画をエジプト側が持っているということ、それに対して非常に日本の協力を希望しているということは承知いたしております。  それで、具体的な技術的援助等につきましては、これは先生指摘のように、いろいろとやはり開発途上国の援助一般的な問題のほかに、油問題もかかえていろいろ国際的な事情もございますので、われわれといたしましても、できる限りにおいて御協力いたしたいということで、関係各省と今後緊密に連絡をとってまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  78. 佐原亨

    ○佐原政府委員 東京亙斯のLNG海底パイプラインの問題でございますが、会社自体の基本的構想はわがほうで聴取しております。いろいろ海上交通安全上の問題がございますので、日本海難防止協会に調査委託をしなさいということで指導いたしまして、目下専門家が集まりまして小委員会で具体的に検討中でございます。いずれその結論が出た上許可申請が出てくるものと思っております。
  79. 原田昇左右

    原田政府委員 お話がございました千葉県の工場の例は非常に模範たる例だと思いますが、私どもとしては、先ほど大臣から御答弁のございましたように、マイカー通勤につきましてはできるだけ代替輸送機関のあるところは自粛してほしい、それからスポースカーその他レジャーのためのドライブ等につきましては、できるだけ自粛してほしいという呼びかけをやっておりますが、さらに自粛の呼びかけについては、総理府あるいは関係省と協議いたしておりまして、もう少し大々的なキャンペーンをやる必要があろうかと思っております。  しかしながら、自粛だけではすでに限界がきておるということも事実でございまして、燃料の節約をはかるためには、できるだけ販売方法規制を通しましてこれを徹底するとか、あるいはもし石油需給適正化法案が通過いたしますれば、その法律に基づきます法的規制等について、目下関係省の間で具体的に検討をいたしておるところでございます。
  80. 金瀬俊雄

    金瀬委員 最後に、運輸大臣に一分質問いたします。  運輸大臣は就任早々千葉県の成田空港に政務次官を派遣して、成田空港の開港の問題などをいろいろ調査されたようですが、私ども地元ではこういう考えが出ていますので、運輸大臣の所見をお伺いしたいと思います。  その第一は、成田開港を急ぐ第一の要件というのは、羽田が非常に過密であるということを前提にしてたいへん急いでいるわけですが、その場合、今度の石油危機によって便数が非常に減ってくるということが一つと、それからもう一つは、ドルの海外への流出を防ぐという意味で旅行が相当制限されるわけです。いま日本の国から海外へ出る人の六割がレジャーじゃないかといわれております。そうなってくると、相当ドルが押えられるということを考える場合、それからまた日航はいま運賃の値上げを申請しているはずですが、その運賃の値上げとかそうしたことを考えると、成田空港をそう急がなくても羽田空港で間に合うのではないかという声が出ていますが、それに対する大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  81. 徳永正利

    徳永国務大臣 いろいろな問題があろうと思いますが、御承知のような今日までのいろいろな道行きを持ってまいりましたし、私はこれは強引にすぐあすにでもけ散らかしていけというような考え方は持っておりませんけれども、一日も早く開港できるような最善の努力を積み重ねていかなければならないと思っております。
  82. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、時間がまいりましたので終わります。
  83. 三池信

    ○三池委員長 三浦久君。
  84. 三浦久

    ○三浦委員 大臣お尋ねをいたしたいと思います。  異常な物価高の中で公共料金の値上げが繰り延べになっていますけれども政府は、国鉄運賃や私鉄運賃の値上げは家計にはほとんど影響がないんだ、こういうことを言って、この前は国鉄運賃の値上げを強行してきたわけですが、今回の措置というのは、いままでのこういう見解が誤りであったということをお認めになった上での措置なのかどうか、この点をまず最初お尋ねをいたしたいと思います。
  85. 徳永正利

    徳永国務大臣 家計に及ぼすいろいろな指数を計算して、いままでの値上げに対しても御協力を得ておったと思いますが、今度の値上げは、それはそれとして異常な物価高に対しまして当面どういうふうな決意をもって当たるかということでございまして、家計ももちろん問題でございます。と同時に、国民に対するいわゆる政治的な姿勢というものをここに打ち立てたわけでございまして、私は、前の考えが誤りであったかどうかということについては、いまここで誤りであったというようにお答え申し上げるわけにはまいらぬと思います。
  86. 三浦久

    ○三浦委員 私鉄運賃の値上げが申請されておりますけれども、この問題について、大臣の答弁はちょっと歯切れが悪いような気がするのです。私どもといたしましては、この際、私鉄運賃の値上げも白紙撤回すべきだ、各社に申請を取り上げさせるべきだというふうに考えておりますけれども、その点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  87. 徳永正利

    徳永国務大臣 私鉄運賃の問題は歯切れが悪いという話でございますが、公共料金を押えるという立場については、お気持ちとしては私はあなたと全く同じでございます。できることならばこれは取り下げるぐらいの措置をとりたいと思っておりますけれども、しかし、いませっかく運輸審議会で、石油の当面した危機あるいは経済情勢等もあわせていろいろ運賃について御審議をいただいている最中でございます。この答申を見まして、私どもといたしましては適切な措置を講じていかなければならぬと思いますが、公共料金を抑制するという基本的な態度は変っておりません。  ただそれならば安全性の問題に関するところまで押えていけるかというと、運輸省の立場としましては、私どもはあくまでも国民大衆の立場でものを考えていかなければならぬと思います。企業の立場じゃなくて、国民大衆の生活に一体どういうふうに問題が関連するかということを十分配慮していかなければならぬことはもう基本だと思いますけれども、さりとて、それでは公共機関である私鉄が安全性も保たれない、そういう状況においてこれを押えていけるかということになりますと、運輸行政を担当しております私としましては、ここに非常に歯切れが悪くなる一つの要因があるわけでございます。
  88. 三浦久

    ○三浦委員 私鉄運賃の値上げをしなければなぜ安全性に影響を及ぼすのか、この点については私は理解できません。大臣の御答弁は、私鉄大手十四社が現在赤字だということを前提にされている議論だと思うのですね。  ちょっとお尋ねしますが、いま大手十四社の昭和四十七年度赤字、これは幾らでしょうか。
  89. 秋富公正

    秋富政府委員 十四社全体で約三百四十二億でございます。
  90. 三浦久

    ○三浦委員 この三百四十二億というのは、私鉄大手十四社が値上げ申請のときに運輸省に申告している額と同じですね。この三百四十二億円の赤字の中に配当金が百十二億円、法人税が五十五億円含まれているというのは事実でしょうか。
  91. 秋富公正

    秋富政府委員 そのとおりでございます。
  92. 三浦久

    ○三浦委員 私鉄企業は鉄道事業部門だけではなくて、不動産事業であるとか、その他の事業をやっておりますね。そして私鉄企業全体として利益が出ている。したがって、その利益を固定資産の比率によって各事業部門ごとに配賦していった、そういう関係になるんでしょう。そうしますと、本来赤字であれば必要がない配当金であるとか法人税というものを鉄道事業部門の赤字の中に含ませるというのはたいへん矛盾していると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  93. 秋富公正

    秋富政府委員 大体、運賃と申しますものは、適正な原価プラス適正な利潤、これを補うように設定されるべきものでございます。ただいま先生の御指摘は、他の部門の利益を鉄道部門が案分して受けておるじゃないかという御指摘であるかと思いますけれども、本来鉄道企業が支払うべき配当金あるいは法人税を鉄道企業の収支に計上いたしまして、そうして元来鉄道企業のあるべき経営状況というものを明確にいたしまして個々に運賃料金を見るというのが、私は鉄道企業を永続して存続さすべきたてまえからいきまして妥当なものであると考えております。
  94. 三浦久

    ○三浦委員 私は、事業報酬がどの程度適正なのかどうか、そういうことを聞いているわけじゃないのですね。いまの鉄監局長の御答弁というのは事業報酬の問題ですよ。いま私がお尋ねしているのは過去の実績に基づく問題でしょう。ですから、過去の実績に基づいて赤字が全体で三百四十二億円だ、そうしてその赤字の中に配当金が百十二億円入って、法人税は五十五億円入れている、こういう計算のしかたはおかしいのではないかということをお聞きしているのです。事業報酬の問題ではないのですから、その点誤解のないように御答弁いただきたいのです。
  95. 秋富公正

    秋富政府委員 私がいま申しましたのは、あるべき姿という意味におきましては、先生の御指摘の事業報酬という問題とも考えられるわけでございます。しかしながら、いわゆる配当でございますが、たとえて申しますと、電気事業でございますと一割、ガス事業でございますと一割から一割二分の配当をしてくるわけでございますが、鉄道部門に対しますいわゆる資金の充当という意味からまいりまして、適正な配当をやっているということはやはり企業の信用性の問題でございます。また、今後増資いたしまして鉄道部門の施設費に充てます場合にも、そのためには適正な配当を行なっていなければできないわけでございます。そういう意味から申しましても、私は、この配当金と申しますものを三百四十二億の中に入れるということはあながち不当じゃないと思っております。
  96. 三浦久

    ○三浦委員 それじゃお尋ねしますけれども、京阪電鉄の鉄道事業部門の配当所要額は十一億三千六百万円になっていますね。しかし、京阪電鉄全体での総配当額というのはそれより少なくて、十億六千万円になっているのです。本来全体の配当額よりも鉄道部門に振り分けられる配当所要額のほうが多いというのはおかしいことだと思うのですが、この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  97. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいまの御指摘の問題でございますが、配当所要額と申しますものは、単に配当金だけではなくて、配当金に加えまして法定準備金、こういったものも含めまして一括して配当所要額、こういうことで計上いたしておりますために、ただいま先生が御指摘のような数字になったわけでございます。
  98. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、それはただ単に京阪電鉄の問題だけじゃなくて、大手十四社全部そういう計算をしているということになりますね。
  99. 秋富公正

    秋富政府委員 そのとおりでございます。
  100. 三浦久

    ○三浦委員 そういう赤字の計算のしかたをしますと、鉄道部門以外の、たとえば自動車部門であるとか、不動産部門であるとか、そういうところで利益をあげればあげるほど、たとえば法定準備金であるとか配当金であるとか、また法人税であるとか、そういうものが経費として鉄道部門にかぶさってくることになりますね。鉄道部門以外の事業でもって利益をあげればあげるほど鉄道事業部門の赤字がふえる、そういう奇妙な結果になってくるのですよ。この点いかがお考えですか。
  101. 秋富公正

    秋富政府委員 私のほうは先生の御趣旨ともちょっと違うかとも思いますが、私ども最初に申し上げましたように、適正な原価プラス適正な利潤というものを補うように設定されるべきものであると考えますので、その際に、適正な原価というときに、いま申しました配当金あるいは法定準備金というものを全然無視いたしましてそして適正な原価というわけにはまいりませんので、そういう意味におきましては、先ほどの先生の事業報酬という問題ともからんでくることではございますけれども、これを一つの実態がいかにあるべきかというときの目安といたしましてこういうふうに処置いたしておるのでございます。
  102. 三浦久

    ○三浦委員 ちょっと質問に対する答弁になっていないのですが、私は過去の赤字を計算する場合に、本来赤字の企業であれば負担すべきではない法人税であるとか、配当金だとか、そういうものまで含めて、鉄道部門がこれだけ赤字だ、赤字だというのは誇大宣伝じゃなかろうか。だから赤字の宣伝をする場合でも、その三百四十二億円の赤字の中から、法人税であるとか配当所要金であるとか、そういうものを差し引いた後を赤字として宣伝すべきなのであって、三百四十二億円全部赤字赤字だというのは誇大宣伝ではないか、こういうことを言いたいわけです。そして、そういうふうに三百四十二億円の中に配当金であるとか利益処分金だとか、こういうものを全部含めますと、鉄道部門以外のところでもってどんどん収益、利益があがっていきますね。そうすると配当が多くなるわけでしょう、全体としては。配当が多くなるし、法定準備金も多くなるし、それから法人税もふえてきますね。それを今度固定資産比率で鉄道部門に割り振ってくるわけですから、そうすれば他事業でもって収益をあげればあげるほど鉄道部門については経費増になって赤字がふえていくじゃないか、矛盾じゃないかということを言っているのですよ。この点どうお考えですか。
  103. 秋富公正

    秋富政府委員 先生の御指摘の点も私十分問題であるということは理解できる点でございます。しかしながら、それでは最初に申しましたように、配当というものは、大体いま私鉄の場合は一割ないし九分でございます。これは御承知のとおり、財源と申しますものは、いわば不動産部門の収益によりまして配当をしているというわけでございまして、しかしながらその増資をいたしまして、その増資の資金と申しますものはやはり鉄道の施設に充てておるわけでございます。それで、その自己資金の調達の場合に一割の配当ないし九分の配当をいたしておりませんと、そういった増資ということもできませんで、また設備資金のための金も調達できない。こういう意味におきまして一割ないし九分のものをやっておるわけでございます。こういったものは、私はやはりいまのあるべき姿あるいは鉄道というものを継続して建設しあるいは運営していく場合に必要な措置であると考えております。
  104. 三浦久

    ○三浦委員 あまりお答えになっていないのですけれども、押し問答してもしようがありませんからこの辺でやめておきますけれども、いまのような赤字の計算をしますと、さっき言ったような矛盾というのは必ず出てくるわけですよ。そして私鉄が三百四十二億円赤字だ、赤字だという。運輸省もそれはそのとおりだといって宣伝する。そうすると、これは運賃値上げの宣伝を運輸省がやってやっているようなものだと私は思うのですね。ですから、もっと厳格に、過去の実績数字なんですから、配当金であるとか法人税であるとか、こういうものは差し引いて純赤字額として宣伝をされるようにしてほしいですね。  次にお尋ねいたしますが、私鉄各社は毎年多額の政治献金を自民党にしていると思いますけれども、昭和四十七年度下期に、自民党に、これは個人を含めてどの程度の政治献金が行なわれているのか、お尋ねいたしたいと思います。
  105. 秋富公正

    秋富政府委員 私のほうも特別にそういった問題について関与する権限もないわけでございますが、いわゆる政治資金規制法によりまして官報に掲載されておるものを私たちは承知いたしております。それによりますと、昭和四十七年におきましては大手十四社におきましては一億二千六百六十万円、こういう数字になっています。
  106. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、その自民党に対する政治献金というのは、経費の中に含まっているのですか。原価の中に含まっているのですか。
  107. 秋富公正

    秋富政府委員 私のほうには、先生もよく御承知の会計規則がございまして、これに基づきまして寄付金等につきましては一般管理費に計上をいたしております。
  108. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、いま自治省に届け出られたものだけで一億二千六百六十万だ、こういいますね。しかし、これは届け出られたものだけですね。受け取った側がこれだけいただきましたよといって申告をしたものだけです。企業全体がどのくらいの政治献金をしているのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  109. 秋富公正

    秋富政府委員 運輸省としましてはこれ以上の点は把握いたしておりません。
  110. 三浦久

    ○三浦委員 運輸省地方鉄道法の第二十三条で各企業を監督するという、そういう権限がございますね。そしていま鉄監局長が言われた地方鉄道業会計規則によりますと、通常、一般管理費の中に交際費であるとか寄付金であるとか会議費であるとか諸会費であるとか——この問題に関係するのは寄付金と諸会費ですね、これは含まれていますね。そして、この地方鉄産業会計規則によりますと、「地方鉄道業者は、別表第一の勘定科目によって会計の整理を行ない、かつ、別表第二によって営業概況書及び財務諸表を作成しなければならない。」こうありますね。そうすれば、各企業がこの地方鉄道業会計規則に基づいて寄付金であるとか諸会費であるとかいうものをちゃんと申告しているわけでしょう。それで地方鉄道法第二十三条によってあなたたちは監督権があるわけでしょう。そうすれば、当然どの程度の寄付が行なわれ、どの程度の諸会費が出されているのかということは知っているはずでありませんか。いかがでしょう。
  111. 秋富公正

    秋富政府委員 この二十三条は一般的な監督規定でございますが、私のほうといたしましては、いろいろと報告もとってはおりますけれども、そういった分野まで私のほうといたしましては把握いたしていないのが実情でございます。
  112. 三浦久

    ○三浦委員 それは私は任務の怠慢だと思うのですよ。それでは、今度値上げの申請が出されて、値上げの後の収支見込みというものが詳細に出されているでしょう。その中にこの寄付金とか諸会費というのはどの程度になっているのですか。
  113. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま手持ちの資料がございませんものですから、ちょっとお答えいたしかねます。
  114. 三浦久

    ○三浦委員 それはおかしいと思う。値上げの申請を認可するか認可しないかは運輸省の権限でしょう。自民党にどの程度の政治献金をやるということがその収支見込みの中に書かれているかどうかということは、当然あなたたちは知らなければならないでしょう。これはかりの話だけれども、かりにたとえば自民党に来年度は百億円政治献金する、こういうふうにきまっていれば、そしてその百億円が赤字の中に含まれているとすれば、それを理由とした運賃の値上げというのは認められない、こういうように当然あなたたちはお考えにならなければいかぬわけで、運賃値上げが必要なのか必要でないか、また上げ幅をどの程度にするか、こういうことを判断するために、どうしても必要な事柄じゃありませんか。それを全然お調べになっていないというのはおかしいじゃありませんか。
  115. 秋富公正

    秋富政府委員 いま先生、自民党と言われましたけれども、私のほうでいま申しました一億二千六百六十万円と申しますのは、別にどの党ということを言っておるわけじゃございませんで、これは政治資金規制法に基づきまして官報に掲載されている総額でございまして、内容は私どもは承知いたしておりません。  それから、今後の問題として、そういった個々の問題について幾ら予定しているというようなことは、私寡聞にして承知いたしておりませんが、企業といたしまして、いろいろの寄付金だとかあるいは会議費だとかいったようなものは、いわば常識の線のものでございますと、これは企業の存続という意味あるいは経営という意味におきましても、やはり社会的存在でございます以上は、私はある程度のものはやむを得ないではないか、かように考えております。
  116. 三浦久

    ○三浦委員 私は、一般的な会費であるとか寄付金であるとかを問題にしているのじゃありませんよ。自民党に対する政治献金を問題にしているのですよ。なぜならば、あなたはいまおっしゃったけれども、原価の中に、自民党に対する政治献金まで含まれているというのでしょう。含まれていると言ったでしょう。そうすれば、運賃の値上げによって、利用者は自民党に対する政治献金まで負担しなければならないということになるじゃありませんか。
  117. 秋富公正

    秋富政府委員 私は、自民党に対する寄付金が原価の中に っているとは申しておりません。
  118. 三浦久

    ○三浦委員 さっき自治省の資料によって、政治献金が一億二千六百六十万円だというお話だったでしょう。この答えは、私が、自由民主党に昭和四十七年下期にどの程度の政治献金をしたのかという問いに対する答えなんですよ。
  119. 秋富公正

    秋富政府委員 あるいはそういう意味では私のお答えが必ずしも正確でなかったと思いますが、私は、政治資金規制法に基づきまして官報に掲載されております昭和四十七年度大手十四社の政治献金総額が一億二千六百六十万円と申しましたわけでございます。
  120. 三浦久

    ○三浦委員 それじゃそのうち自民党には幾らいっているのですか。自民党並びに自民党のいわゆる派閥といわれているところに……。
  121. 秋富公正

    秋富政府委員 私がただいま持っております資料におきましては、そこまで詳細は把握いたしておりません。
  122. 三浦久

    ○三浦委員 しかし、それはおかしいじゃないですか。私たちが、あなたたちにこういう質問をするから調べておいてくださいよと、はっきり言っているはずなんですよ。  私たちの資料によりますと、自由民主党とそれに所属している派閥関係に対する政治献金は、一億一千八百九十七万円です。ですから、さっき鉄監局長が言われた数字とほほ同じなんですよ。そして、これが原価に含まれているということであれば、利用者は、赤字の中にも自民党に対する政治献金が含まれているわけだから、運賃の値上げによって自民党の政治献金までも負担するということになるじゃありませんか。  だから、私が提案したいのは、原価の計算からはそういう自民党に対する政治献金は引くべきだ、控除すべきだ、こういう提案なんですよ。いかがでしょう。
  123. 秋富公正

    秋富政府委員 いま申しましたのは企業全体としての額でございまして、その中で鉄軌道部門にどれだけ、あるいは自動車事業にどれだけとかいうことは明確でございませんで、あるいは不動産事業のほうに案分されているものもあるわけでございます。いわば一般管理費という形で計上されているものでございます。
  124. 三浦久

    ○三浦委員 だから、考え方としてですよ。それじゃ固定資産税の比率でもって案分してもいいですよ。しかし、少なくともいま政権をとっている自由民主党に対する政治献金でしょう。そして、政府が料金の値上げを許可する権限を特っているわけですよ。そういう自由民主党に対する政治献金については、これは原価から差し引くという考え方をお持ちになったらいかがですか、こう聞いているのです。幾ら差し引けということは、これは計算上の問題であるから、それは計算してもらいますけれども、基本的な考え方として、原価から差し引かなければ、利用者は、自民党に対する政治献金まで運賃の値上げによって負担しなければならないということになるじゃないですか。
  125. 秋富公正

    秋富政府委員 そういった問題につきましては、十分私たちといたしましてもさらに検討いたしたいと思います。
  126. 三浦久

    ○三浦委員 検討いたしたいということは控除するということですか。
  127. 秋富公正

    秋富政府委員 最初申し上げましたように、管理費でございますので、これがどういうふうに配分してあるかという問題もあるわけでございます。したがいまして、これにつきましてのいろいろと技術的な問題もあるわけでございますが、そういった方向で検討いたしたいと思います。
  128. 三浦久

    ○三浦委員 大臣お尋ねしたいのですけれども、昭和四十四年に千七百七十二万円自民党に政治献金がいっております。昭和四十五年、これは値上げ申請が出された年ですけれども、一挙にはね上がって、四千五百三十万円の政治献金がいっております。昭和四十六年は五千四百五十万円です。そして四十七年の下期では約一億一千万円ですね。そうしますと、この料金が認可事項であり、そしていま政府は自民党が組織しているわけでス。そうすると、少なくとも国民の疑惑を晴らすという観点から、政府が料金の値上げについての認可権を持っているようなそういう企業からは、少なくともそういう企業だけからでも政治献金はもらわない、そういう姿勢を持つべきではないかと思うのですが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  129. 徳永正利

    徳永国務大臣 これは政府の総理大臣が答弁することが適当かと思いますが、せっかくのお尋ねでございますが、政治をやるからにはお互いいろいろな経費もかかることは御承知のとおりでございます。また、いまの政治資金規正法というものが法律に基づいて運用されておるからには、この範囲内において——いろいろこの政治資金規制法には御議論がございます。いろいろな立場から御議論がございますけれども、やはりこの法律において定められている範囲においてやることは、これは許されておることだと思います。また、会社等におきましていろいろ公明に申告をし、そして政党がそれを受け取る、これを一般に公示するということはとられておる手続きでございますから、これは誤はなかろうと思います。しかし、どの部門からどうしなければならぬということについては、やはりおっしゃるようなことも考えられるだろうと思いますけれども、いま直ちにそれじゃそういうものは全部政党として——政府に金を持ってきたわけじゃございません、政党としてこれを排除しろというお説でございますが、これはもう政府を擁立している自民党だからとかなんとかじゃなくて、これはいかぬということになれば、あらゆる政党が自粛すべきものだと思います。しかし、自民党としてはなおまたいろいろな考えがあろうと思いますが、そういうふうに金のかからない政治をやるということがまず一番大切なことであろうと思います。
  130. 三浦久

    ○三浦委員 もう時間がありませんので結論に入りますけれども、私はいまの大臣の御答弁はたいへん不満であります。いま国民がこれだけ苦しみ抜いている状況の中で、運賃の値上げの問題が論議されているわけでしょう。政府はそれを認可する権限がある。その政府をつくっている自由民主党でしょう。その自由民主党が、自分が認可権を持っている企業から政治献金をもらう、そういうようなことは、私は国民の疑惑を招かないという立場からいっても、もらわないという立場を明瞭にすべきだというふうに思うのです。これは一般の企業と違うわけですから、私はそういう点を強く大臣に要望して質問を終わりたいと思います。
  131. 三池信

    ○三池委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十四分散会