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渡辺武君 全国税労働組合にも会って実態を知りたいとおっしゃってられますので、非常にけっこうなことだと私は思います。ぜひ、その方向を進めていただきたいと思う。
しかし、きょう私はここで、私が全国税労働組合を通じて調査した若干の実例を持っております。で、大臣にぜひこれを聞いていただいて、そうして今後の国税庁の人事行政を改めていただきたいと思います。
時間がないので、はしょり、はしょり申しますけれ
ども、たとえば関東信越国税局管内の実例であります。これは
昭和四十七年の四月現在で私が調査したものです。しかし、その後一年ばかりたっておりますけれ
ども、基本的傾向は変わっていないという組合の確認を得て、きょう申し上げるわけです。この国税局管内で第十五期生、つまり
昭和三十年に職場に入った人
たち、この人
たちが二十九名おります。この二十九名の中で、専門官、係長、つまり四等級七号俸以上になっている人
たち、これが九名おりますけれ
ども、この九名は全部第二組合員であります。で、それ以下の主任クラスになりますと、四等級九号俸、四等級七号俸、四等級六号俸、この人
たちが二十名おります。特に四等級六号俸は、御
承知のように平職であります。これが五名おります。この五名のうちの二名が全国税労働組合、つまり第一組合の組合員であります。
あとの三名は、前に全国税労働組合に加盟していた人、これが一人。それからどちらの組合にも加盟していない人が二人あります。この事実は、同じ時期に就職して、そうして第一組合員と、かつて第一組合に入っていた人と、どちらの組合にも入っていない人
たち、この人
たちだけが平職にいまだに置かれておる。そうして第二組合に入っている人
たちだけが、すでに専門官、係長に昇進しているということをはっきりと物語っております。同じく
昭和三十一年に職場に就職した十六期生、この
方々は二十二名おります。この二十二名のうちで専門官、主任クラス、このうちの専門官は三名。そうして主任の中でも四等級六号俸になっている人
たちが十名おります。ところが、それ以下の四等級五号俸、これが四名のうち二名は全国税の組合員であります。それから五等級八号俸一名、これは全国税の労働組合員であります。それ以下の平職、つまり五等級の八号俸、九号俸、四名おりますけれ
ども、その全員が全国税労働組合員であります。このことも、全国税労働組合員が同期に入った第二組合員の人
たちと比べてみると、非常に低い地位しか置かれていないということをはっきりと物語っております。
また十七期生、
昭和三十二年に就職した人
たちにでありますけれ
ども、十八名のうち平職は三名であります。そのうちの二名は全国税労働組合員、それから主任クラスの中の一番最下級の四等級四号俸一名、これも全国税労働組合員であります。そうして、それ以上に昇進した人
たちの中には、全国税労働組合員は、ただの一人もおりません。
さらにまた十八期生、
昭和三十三年に就職した人
たちであります。二十四名おりますけれ
ども、そのうち平職になおとどまっている人は五名おって、その五名は全部、全国税労働組合員であります。役付になった人
たちは一人も全国税労働組合員からは出ておりません。これが関東信越国税局管内の実態であります。関東信越国税局だけがこういうことかというとそうじゃありません。
たとえば仙台国税局管内の実例をなお申し上げてみたいと思います。
先ほど申し上げましたような、
昭和三十年に就職した十五期生、これは総数で四十六名おります。そのうち依然として平職にとどまっている二名は、全部全国税労働組合員であります。それから主任のうちでも、一番最下位の五等級九号俸、この一名も全国税労働組合員であります。それ以上に昇進をした人
たち、これは四十三名おりますけれ
ども、その四十三名全員は第二組合、東北国税労組の組合員であります。ここにも組合で差別されているという実態が明々白々とあらわれているのであります。
第十六期生を例にとりますと、四十一名のうちで五等級、これにとどまっている五名全員が全国税労働組合員であります。四等級主任二十五名おりますけれ
ども、そのうち一名は全国税労働組合員、
あとはすべて第二組合の組合員、全部全国税労働組合員よりも一級、二級、三級も早く昇進しているという状態であります。同じ仙台国税局管内の十七期生、三十一名おりますけれ
ども、そのうち主任の最下級になっている者が五名おって、そのうちの四名は全国税労働組合員、
あとの一名は、これはどちらの労働組合にも加盟していない人
たちであります。四等級五号俸以上の専門官、主任になっている二十六名、これは全部第二組合の組合員であります。十八期生十九名のうち六人がいまだに平職であります。この六名は全部全国税労働組合員であって、それ以上に昇進している人
たちは、全部第二組合の組合員であります。
私は
二つの国税局の事実を調べていま大臣に申し上げております。
なお、一、
二つけ加えておきますと、東京の国税局、第十七期生総数六十一名のうち専門官、係長は五十五名、残り六名が平職でありますが、この全部が全国税組合員であります。仙台のこの税務講習所、十九期生で東京国税局管内に勤務している十九名のうち、十三名は専門官になっている。残りの六名が平でありますけれ
ども、その平の全員は、全国税労働組合員であります。
大阪国税局管内で申しますと第十一期生、
昭和二十六年に就職した人
たち、もう二十年以上の年月がたっているわけです。総数三十九名のうち専門官三十四名、平五名、その五名が全部全国税労働組合員であります。
全国税の労働組合は、ことしに入って、なお若干の具体例をつけ加えまして、ILOに提訴しております。これは日本の行政
機関がきわ立った反動的な性格を持っているものだということを、全世界に示したものだと、まことに恥ずべき状態だと私は思います。
大蔵省はこのような不当な差別の人事を率直に認めて、根本的に改めるべきだというふうに思いますけれ
ども、大臣どのようにお考えでしょうか。