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鈴木強君 先に建設
局長から、下請の実態をよくつかんでおらないから、今後はその実態をつかむというお話がありましたから、公社のほうとしても気にかかっておったことだと私は思うのですね。現実に元請から下請、さらにその下請の中にももっと下まで下請をするところもあるのではないかと思うのですが、われわれも日本の建設業界全体、これは
電電公社だけでなくて、全体の建設業界に対していろいろと検討もしてみました。たとえば白ナンバーのダンプが走っております。これは法的にはいけない。しかし、この白ダンプを退治しますと工事ができないという現状なんですね。ですから、やむを得ず何かのアウトサイダーに入っている人を、
一つの協同組合といいますか、協業組合といいますか、そういうものをつくって行政的に
指導をしているという、こういう情けない状態がいまの建設業界です。
ですから、私は
電電公社だけをここできびしく指弾しようと思いませんよ。思いませんけれ
ども、本来、この仕事は
電電公社が責任を持ってやる仕事でしょう。できないから、二五%以外の七五%は下請に出していく。したがって、下請が
電電公社にかわって仕事をするわけですから、その責任はすべて公社にあるんですよ。そうでしょう。ですから、できるだけこの下請の実態というものをつかんでもらわなければいけないと思うんです。東北や北海道のほうへ行きまして、出かせぎの人に聞いてみると、
東京へ行って土木工事に従事していると言うんですよ。はあそうかな、わが電電のほうにも来ているかなと思ってさがすと、やはりいますね、出かせぎの人たちが。そういう人たちは、農閑期を利用して出てくるわけですな、雪の中では何もできないから。ですから、建設工事に対して何も知識がないんですよ。穴を掘れと言えば穴を掘るし、そこにもぐっていけと言えばもぐっていくわけだ。そこにガスがあってぶっ倒れるか何かよくわからぬ。そうかと思うと、探知機でもあって、ガスがそこにたまっているかたまっていないのか——安全対策も、十分に知識がないから、めくらヘビでもってあぶないんだ、これは。そういうことが少なくとも現実に下請の中にあるとすれば、これはやはり十分に公社の仕事を適切にやれるような基礎知識ぐらいはちゃんと持ってもらわなければ困るわけですね。災害が起きたって、一体だれがこれ責任を負いますか。そういうことまでやはり問題が波及するわけでしてね。だから、私は、もう少し下請の実態を把握すべきですよ、これは。そうしておかなければ話にならんですよ、実際問題として。
そういうわけですから、先に調べてないと言うものだから、これは話のしようがないんですが、それじゃいけませんじゃないですかね。私は、総裁にも逓信
委員会の場所でも何回か、工事がどんどんとふえてますから、この工事をやはり一面完全に実施していかなければならない責務があるわけですから、そのためには、工事の発注についてもできるだけ平準化して、あるところは遊んでおって、あるところは一生懸命やっているとか、あるときにはばっと仕事がきて、あるときは手待ちが、手あきがあるとかいうようなことでなくて、平準化をしてやっていただきたい、そして、業界の体質についても、思い切って再編をするところは再編をしていただいて、そして工事を完遂できるだけの工事
体制というものを、業界の
体制をつくってほしいということを申し上げて、確かにかなりやっていただきました、これも。それにもかかわらず、まだこういう状態があるということは、少しわれわれから見ると、積滞解消、これは
一つの金科玉条として果たさなければならない公社の使命でありますから、われわれは早く積滞をなくせ、こう言っておりますから、したがって、三十万なり四十万の加入電話だけとってみても
相当工事量がふえている。ですから、その工事が増大するのに対して、工事
体制がついていけないような状態もまだ残念ながらあるんじゃないかと思うんですね。
そのためにはかなり無理をして下請へ、また下請におろすというようなことになってしまって、いろんな傷害事件が起きたり、あるいは第三者が
電電公社の工事のいろんな手違いから事故を起こしたりするようなこともあるわけです。これは、まあせんだっても銀座を通っていた人が、建築中の足場かなんかがこわれて、その下敷きになって死んだのもあります。だけれ
ども、こういうことは本来あってはいけないことであって、工事には安全対策が絶対必要ですから、そういう安全対策というものに対してもっと思い切った手当てをする、同時に、もっと基本の問題は、下請に出さなければならぬ実情はこれは認めます、私も。認めますけれ
ども、できるだけ下請におろさないということで、元請かせいぜいその下請ぐらいで食いとめていく。その下までやるなんということは、これはちょっと不自然です。ですから、そういうためには下請の業者は一体どれだけの力を持っているのか、公社の規格その他に合わして法定上間違いなくやれる体質があるかどうか、そこまでやっぱり公社がはっきり確認しておきませんといろんな問題が起きてくると思いますので、もう少しひとつその点は心して御検討いただきたいと思います。