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1973-04-05 第71回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月五日(木曜日)    午前十時五分開会     ————————————— 昭和四十八年四月三日予算委員長において、左の とおり本分科担当委員を指名した。                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 白井  勇君                 西村 尚治君                 山崎 五郎君                 山内 一郎君                 足鹿  覺君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君     —————————————    分科担当委員異動  四月四日     辞任         補欠選任      足鹿  覺君     工藤 良平君      工藤 良平君     川村 清一君      瀬谷 英行君     須原 昭二君      鈴木 一弘君     黒柳  明君  四月五日     辞任         補欠選任      古賀雷四郎君     梶木 又三君      須原 昭二君     小野  明君      川村 清一君     中村 波男君      小野  明君     杉原 一雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         森中 守義君     副主査         山内 一郎君     分科担当委員                 梶木 又三君                 小山邦太郎君                 白井  勇君                 西村 尚治君                 山崎 五郎君                 川村 清一君                 須原 昭二君                 杉原 一雄君                 中村 波男君                 黒柳  明君                 向井 長年君    国務大臣        農 林 大 臣  櫻内 義雄君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       福田 赳夫君    政府委員        総理府人事局長  皆川 迪夫君        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        行政管理庁行政        管理局長     平井 廸郎君        農林政務次官   鈴木 省吾君        農林大臣官房長  三善 信二君        農林大臣官房予        算課長      渡邉 文雄君        農林省農蚕園芸        局長       伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        農林水産技術会        議事務局長    中澤 三郎君        食糧庁長官    中野 和仁君        林野庁長官    福田 省一君        水産庁長官    荒勝  巖君        水産庁次長    安福 数夫君        通商産業省企業        局長       山下 英明君    説明員        文部省初等中等        教育局小学校教        育課長      島田  治君        運輸大臣官房参        事官       佐藤 久衛君        建設省河川局海        岸課長      田原  隆君    参考人        国土緑化推進委        員会理事長   三浦 辰雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和四十八年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————   〔年長者小山邦太郎主査席に着く〕
  2. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 それじゃ、ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたしたいと思います。  本院規則第七十五条によりまして、私が年長のゆえをもって主査及び副主査選任につきその議事を主宰いたします。  これより主査及び副主査選任を行ないますが、選任は投票によらないで主宰者の指名に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 御異議ありませんようですから、しからば御指名申し上げます。  主査森中守義君を、副主査山内一郎君を指名申し上げます。     —————————————   〔森中守義主査席に着く〕
  4. 森中守義

    主査森中守義君) ちょっとごあいさついたします。  ただいま主査選任されました森中でございますが、至って未熟でございますので、この分科会の運営はかかって皆さんの御協力にまたなければなりません。どうぞよろしく御指導をお願いいたします。(拍手)  審査に入ります前に議事の進め方についておはかりいたします。  本分科会は、昭和四十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省運輸省郵政省及び建設省所管審査することになっております。九日の委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本五日農林省、六日運輸省、七日郵政省、九日建設省という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 森中守義

    主査森中守義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 森中守義

    主査森中守義君) 分科会担当委員異動について御報告いたします。本日、古賀雷四郎君が委員辞任され、その補欠として梶木又三君が選任されました。     —————————————
  7. 森中守義

    主査森中守義君) 昭和四十八年度総予算農林省所管を議題といたします。  慣例ではまず政府から説明を求める順序でありますが、これを省略してお手元に配布してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 森中守義

    主査森中守義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  9. 森中守義

    主査森中守義君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本日、昭和四十八年度総予算農林省所管審査のため、国土緑化推進委員会の副理事長三浦辰雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 森中守義

    主査森中守義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 川村清一

    川村清一君 私は農林大臣に水産問題にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。時間がごく限られておりますので、私も簡単、率直にお尋ねしますので、御答弁のほうもぜひ簡明にしていただきたいと、まずお願いを申し上げます。  質問の第一点は、大臣、御承知のように、昭和四十六年の国会海洋水産資源開発促進法という法律ができたわけでございます。この法律に基づきまして都道府県知事沿岸水産資源開発区域というものを指定するということになっておるわけでございますが、現在までにこの都道府県知事指定行政がどのように行なわれておるか、まずお尋ねいたしたいと思います。
  12. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お尋ね沿岸水産資源開発区域指定につきましては、立法趣旨からも早急に指定すべきであると存じまするが、この指定都道府県農林大臣との協議で行なうようになっておると思います。私の聞いておるところでは相当作業は進行しておるのでございまするが、特に、運輸省関係との間で最後詰めがまだできないということから、大事なことではございまするが、正式なまだ指定をみておらないということで、たいへん遺憾に思っておる次第でございますが、詳細は補足説明で申し上げたいと思います。
  13. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま大臣からお話がございましたが、ただいま私たち手元には、この指定のことにつきまして都道府県知事から協議が参っておりまして、これにつきまして非常にただいま急いでおりますが、四道県十三区域につきまして、ただいま正式に文書をもって協議を受けております。  その受けております状況を申し上げますと、県名を申し上げますと、北海道が六件、それから石川県が三件、愛知県が一件、それから熊本県が三件ということで、四道県十三区域指定協議を受けておりまして、これにつきまして、ただいま中央で、私たちのほうで、農林大臣正式承認をするに際しまして、各関係官庁に対しまして協議をいたしておりまして意見を求めておりまして、意見の整い次第近日中に直ちに実行いたしたいと、こういうふうに考えております。
  14. 川村清一

    川村清一君 四十六年に国会にこの法案が提案されまして、国会で審議いたしましたときに、参議院においては、実は私が相当時間をかけてこの法案の審議に当たったわけであります。当時私申し上げましたのは、この法案をここまでまとめるについては、水産庁はなみなみならぬ苦労をしただろう、と申しますのは、これはなかなかむずかとしことがたくさんありまして、各省庁と話し合ってまとめてくる段階において、たいへんな御苦労があっただろうと、しかし、よくもここまでやったと言って、私は高く評価したわけであります。これは沿岸漁業振興上非常に大事な法案でございますので、それに期待をしておったわけであります。ところが一年たって、昨年、昭和四十七年のこの委員会で、昨年この法律をつくったんだが、その後どういうことになっているかと、都道府県知事でどの県がこれを指定したかということを尋ねましたら一県もないということなんです。おととし法律をつくって一年たって去年の春、まだ一県もないというので、ですから私はおこったわけです。この法律を審議させておいてできたと。できたところが一年たって何もないということは何だと、まさにこれは行政の怠慢ではないかと申し上げましたら、当時の水産庁長官は、行政の怠慢と言われてもいたし方ございませんと、しかしなかなかむずかしい問題があるのだと、いま鋭意努力しておるということでございました。  それから一年たって今日なんです。そしてその成果をお尋ねしましたところが、ただいま水産庁長官のおっしゃるように、四道県であります。北海道石川県、愛知県、熊本県。そして件数は北海道において六件、石川県において三件、愛知県一件となっていますが、愛知県——ですから、これはどういうことですか、愛知県全県が指定されたというふうに解釈していいのか、これはあとでまた御説明願います。熊本県は三件でございます。これはどうも納得いかないわけであります。少なくとも構造改善事業指定されておるような地域は全部これに指定されてしかるべきでないかと、当然でないかと、私はかように考えておるわけであります。  一体どうしてこの行政がこのようにおくれておるのか、これは沿岸漁業振興上非常に大事な問題ですよ。たとえば栽培事業を進める上においても、しかも今日、公害が強く叫ばれておる、そうして海が汚染されておるときにおいて、きわめて大事なこれは私は行政になろうと思うわけであります。しかるに、法律ができてから三年目に、まだこんなような状態では、一体、この責任はだれが負わなければならないのか。われわれに何のためにこの法案を審議さしたのか。こんなばかな話ないじゃないですか。昨年は、行政の怠慢でないかと言ったら、行政の怠慢と言われてもいたし方ございませんとおっしゃっておったんです。今日一年たってさらにまだこんなような状態では、納得できないですよ。この責任をどうするんですか。もう少しはっきりお答えいただきたい。どこにそのネックがあってこれが進められないんですか。
  15. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) これにつきましては、御指摘のように多少おくれておりますので、私のほうも非常に各県に督促をいたしております。ただ御存じのように、一たんこういう地域指定が行なわれますと、あとのほかの事業のほうが、新しい計画が出てきたときに非常に取り扱いに困るということもありまして、長期にわたる指定を守るために、県におきましても、ほかの関係事業との間の見込みといいますか、見通しが多少困難なこともあるかと思いまして、そういう形で最終的に知事の名前で出される公文書としてはいろいろ検討されておられますので、おくれておるんではなかろうかと、こういうふうに考えております。また、実際出てまいりました地域指定申請等検討さしていただきましても、今後、その案でさえも、ただいま各省協議いたしておりますけれども、将来船腹が増大する、あるいは港湾がさらに地域拡大するというようなことが、そのどれも計画が確定してない。だから、どっかで見切り発車みたいなことになる部分のあることもあるかと思いまして、そういうことで、各省におかれましてもまだ非常に慎重な検討をされておるようでございますが、おおむね、この件につきましても、相互の間で意見の折衝をほぼ終えまして、近日中にあるいは第一グループといいますか、十三件につきましてはスタートできるんではないかというふうに思っております。  このように、その第一グループでさえも、これほどいろいろ、各県がおつくりになるには相当御苦労があったというふうにわれわれ思っておりまして、なおさら、今後いろんな計画が錯綜する中で、この漁業振興区域指定を、鋭意推進していただくよう、知事協力方お願いいたしたい、こう思っております。
  16. 川村清一

    川村清一君 ですから最初申し上げましたように、昭和四十六年にこの法案国会に提案されたときに、私が冒頭申し上げましたのは、よくもここまで農林省は踏み切ったと言って高く評価したわけですよ。この法案をまとめるまでには、ずいぶん御苦労があったでしょうと。当然、こういうことをやろうとすれば、通産であるとか、あるいは運輸であるとか、建設であるとか、こういう省庁と衝突するわけですよ。ですから、それを押し切ってここまできたことはたいへんだということを私は認めて、高く評価したわけですよ。おわかりになりますね。しかしながらいま、沿岸漁業において、このように資源が枯渇してしまったと。そうしてこの水産行政の方向というものは、とる漁業から育てる漁業へと質的に変わってきておると。栽培漁業をどんどん進めていく上においても、ぜひこれが必要なんだと。ですからここに高く評価すると同時に、私は一日も早くこの行政の推進されることを望んでおったんですよ。ところが、一年たって、去年は皆無、ことしようやく出てきた。出てきたって四道県でしょう。私、北海道をちょっと見ただけで、こんな、北海道の六件なんてこれは問題になりませんよ。あのオホーツク海、日本海、太平洋を持っておる北海道水面が、少なくとも構造改善事業指定されているような地域は、全部これに入ってしかるべきではないかと私は思うわけですよ。ほかの県もそうでしょう。ところが、これがやはり建設とぶつかり、運輸とぶつかり、あるいは通産にぶつかったりして、なかなか各都道府県知事がこれをまとめることができないでいるわけですよ。  そこで大臣に私お尋ねすることは、少なくとも法律案国会に提案されるときには、これは内閣が出すわけですから、閣議での決定を経ているわけですね。そうしますと、当然閣議で決定したということは、農林大臣主管大臣であっても建設大臣運輸大臣もこれに協力しなければならない義務を持っているわけでしょう。私はそういうふうに理解するわけですよ。そうですね。ですから、大臣、このできた法案に対しまして、かりに、じゃましないとは申し上げませんけれども運輸とか建設、この省庁がなかなかいろんな意見があってまとまらない、協力的でないとも言いませんけれども、私、よそ目で見るというと、どうも非協力的なふうにうかがわれてしようがないんでありますが、この閣議決定して出されたものは内閣として私は当然責任があるのではないかと思うんですが、いかがですか。
  17. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいま御指摘の御趣旨は私としてもよくわかるところでございます。せっかくの期待されておるこの開発促進法がこういうような足踏み状態であるということを聞いて、私もまことに残念に思っておるわけでございまするが、先ほどからの長官の御説明でもおわかりいただけるように、これを実行する上に具体的に掌握しなきゃならない諸情勢というものがあるために、立案をまず都道府県にまかしておる、それを受けて協議をする、こういう形でありまするがために、その最初の段階においての各行政機関とのこなれが非常に悪いということを率直に認めなければならない。そしてしかもそれが今度農林省のほうにあがってきておって、さらに最後詰めにまたぞれそれの関係省との間の話し合いが、進行状況が非常におくれておる。まあただこの四道県十三地区でございますか、これについては先ほどから御説明を申し上げたとおりに、近く正式に指定段階に入ると、こう思うのです。これはまあそう私は心配いたさないんでありまするが、ただいまお話構造改善事業をやっておる地区については、これはもう全部取り入れることが、これが法案趣旨からいって当然じゃないかという御指摘については、私は先生の御意見漁業振興の上にごもっともだとこう思っておりますが、その点についてのただいまのところの農林省の方針としては、まあ財政上の問題等もございまするので、当面どれくらいかと、こういうことを省庁に尋ねましたところ、まず三十地区ぐらいのところを早急にやりたい、こういうことで、いまの進行状況からいうと十三というと半分にも満たないと、こういうことでございまするから、これではこの法案趣旨に沿わないのでありまするので、これからも積極的な意欲を持って、せっかくの法案が生きていくようにいたしたいと、こう思います。
  18. 川村清一

    川村清一君 それでは、その協議をしなければならない各省庁、おもな省は何省ですか。
  19. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 一応、海岸にからむ事業が中心でございますので、私たちのほうとしまして、ただいま出てまいりました四道県の分につきましては各省意見を求めておりますが、これは通商産業大臣建設大臣経済企画庁長官環境庁長官科学技術庁長官に対して意見を求めておりまして、さらに運輸大臣に対して別途農林大臣名をもちまして意見を求めている次第でございます。
  20. 川村清一

    川村清一君 海岸地域やあるいは水面を管理しておる省庁もたくさんありますから、そこで都道府県知事がそれを指示する場合には、その省庁の出先と現地においてまず協議しなければならないし、話し合いがなかなかまとまらないままにこの行政がおくれているわけなんです。そこで、関係省庁たくさんありますので全部お尋ねするわけにいきませんけれども、きょうは運輸省建設省に来ていただいているはずですから、その省から出ていらっしゃる代表の方にどういうような御見解を持っていらっしゃるのか、これは沿岸漁業振興の上にきわめて大事な行政になるわけであるが、もっとこれは協力してもらわなければならないと私は漁民にかわってお尋ねするわけなんで、ひとつ運輸建設代表の方から御意見をいただきたいと思います。
  21. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) 運輸省といたしまして、ことしの三月の下旬に入りまして先ほどの十三の海域につきまして農林大臣から協議指定がありましたので、私どもといたしましては、そのそれぞれの海域につきまして港湾整備計画との関係とか、それから海上交通との関係とかというものにつきましていま検討を進めている段階でございますが、極力これらの検討作業を早めまして、先ほど申し上げましたような問題点につきまして水産庁意見調整がつきましたものからできるだけすみやかに指定がなされますように措置いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 田原隆

    説明員田原隆君) ただいまの御質問でございますが、この水産資源開発区域指定目的は非常にりっぱなあれでございまして、よくわかっているつもりでございます。で、私のほうにも二月上旬に四道県十三区域について農林大臣より意見を求められておりますが、ただいまそれらの関係海域につきまして、海岸事業計画と具体的な設備計画との間の調整をはかっておりまして、これができ次第直ちに区域指定できるように実施したい、そういうふうに考えております。
  23. 川村清一

    川村清一君 いずれにいたしましても、運輸とか建設とかその他関係省庁協力をいただかなければ各都道府県知事指定をしようとしたってこれは話がまとまらないわけです。まとまらないままに法律ができて三年もたったけれども、何にも具体的な行政が進められておらないというまことに遺憾なわけであります。ですからこの立法趣旨というものをよくおわかりいただくならば、ぜひ関係省庁協力してもらわなければならないと私は思うわけです。この委員会でそういうお答えがあったので、ぜひその実現のために努力していただきたい。来年のまたこの国会でこんなような状態ならば、私は関係省の各大臣に全部出ていただいて、これは閣議で決定しているこの法案に対して協力しないのは不届きな話でありますから、私はもう厳重に抗議したいと、かように考えておりますから、来年またこんなようなことで私に発言させないように。私はこれ三年間やっているんですね。おととしやって、去年やって、またことしやっているんですから。この法律ができるときから三年間続けてこれを発言しているわけですから、来年また同じような発言をさせないように協力いただきたいし、農林大臣責任を持ってこの行政を強力に推進していただきたい。大臣の決意をお伺いいたしたいと思います。
  24. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) たいへん御注意をいただき、また私として御意見を尊重していかなきゃならない、かように存じたわけでございます。この促進法のおかげをもちまして、もう一つの目的である海洋水産資源開発センター、これを設立さしていただきました。次第に活動さしていただいておるということで非常に喜んでおるわけでございますが、この開発区域指定についてはただいま立法当時からの経緯から御忠告をいただまして、まことに恐縮に思っておりますが、御趣旨を体しまして、これからも積極的にこの法案を生かすように努力をしてまいることを申し上げておきたいと思います。
  25. 川村清一

    川村清一君 質問の第二点といたしまして、日ソ漁業条約に基づく、現在東京で開かれております日ソ漁業委員会経過並びに政府間協定に基づいてモスクワで開かれておりますカニ・ツブ交渉、これらの経過につきまして、ごく簡単にひとつ御報告願いたいと思います。時間がないですから、簡単にお願いします。
  26. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 東京における日ソ漁業委員会、またモスコーにおける政府間における交渉、いずれもきわめて私どもとしては不満足なソ連側の姿勢でございまして、これからの最終段階について各関係の方々の御期待にどのように沿うかということを非常に苦慮いたしておるのであります。御承知のように、昨年はサケ・マスについては三月一日から交渉して四月二十一日に署名をいたしております。またカニ・ツブにつきましては三月一日の交渉で四月十八日の署名ということでございまするから、まあ昨年は非常に進行状況が早かったようでございます。しかし、一昨年はぞれそれ五月七日、五月一日というようなことで、何としても一昨年のような、そういうおくれ方ではいけないということで、いま鋭意努力をしておるわけでございますが、ソ連側の具体的な提案はいつでも日本側としては取るに足らない、いまここで詳しく申し上げる必要性も感じないような、そういういわばきつい姿勢をとっておるということを申し上げておきます。必要に応じて詳しく御説明申し上げさせていただきます。
  27. 川村清一

    川村清一君 この内容は私は新聞で承知するぐらいしかわからないんですが、けさの新聞に出ておりました「漁業規制ソ連が正式案」という、これがサケ・マス交渉のあれですか、この新聞に出ておるとおりでございますか、サケ・マスのほうは。それからカニ・ツブのほうはどうでございますか。長官からひとつ。
  28. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) このけさの新聞に出ております線は、各紙によりまして多少出入りがございますけれども、おおむね妥当な線ではなかろうかと、こういうふうに理解しております。
  29. 川村清一

    川村清一君 妥当な線というのは重大な発言ですが、新聞に出ているこの内容が妥当だと、長官、あなたそうお認めになっているんですか。
  30. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 失礼いたしました。ソ連側の提案を適切に伝えておると、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  31. 川村清一

    川村清一君 あなた、日本の漁業行政の、水産行政の最高責任者ですから、この会議速記録にちゃんとあなたの発言が載っておるんですから、ことばは十分気をつけて発言していただきたいと思います。  カニやツブのほうもかつて新聞に出ておりましたが、それと同じでございますか。
  32. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) カニ・ツブにつきましても私のほうからある程度内報したかっこうになっておりますので、正確に伝えられておるものと期待しております。
  33. 川村清一

    川村清一君 サケ・マスにつきましては、ことしの科学技術小委員会は合意に達したのですか。
  34. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) サケ・マスにつきましての科学技術小委員会といたしましては、当初、当初というか、日ソ漁業交渉が始まりましてから長い間は意見の一致を見るように努力したという形がありまして、非常に長時間、資源評価だけで長時間を要したのでありますが、最近は日ソ両方の見解を併記するということで、それが合意ではございませんが、合同発表というかっこうになっております。  ことしの分につきましては、ベニザケとシロザケにつきましては意見の一致を見ておりません。で、ベニにつきましては、ソ連側は、条約締結以来最低であるという見解を持っておるのに対しまして、日本側は近年の平均的水準とほぼ同程度と、それからシロザケにつきましては、ソ連側は史上最低に近いという評価をいたしておりまして、これに対しまして日本側は、おおむね近年の平均的水準と同じ程度ということで、これは両論併記でございまして、日ソ双方の意見を併記いたしております。マスとギンザケとマスノスケの他の三種につきましては、これは意見の一致を見ておりまして、マスにつきましては、一九七一年の水準とほぼ同程度ということで意見の一致を見ております。その結果、総論といたしましては両論併記になりまして、日本側は前豊漁年たる七一年の水準と同程度という見解を持っておるのに対しまして、ソ連側は前豊漁年たる一九七一年の水準を若干下回る、こういう見解になっております。
  35. 川村清一

    川村清一君 御承知のように、カニ漁業は四月十五日から始まるわけでございますが、サケは四月三十日から始まるわけですね。そこで、カニにつきましてはあともう十日ぐらいで始まってくるわけですが、ことしもまた例年のように漁業の始まる段階になっても両国の合意がならない、そういう結果、北洋に出漁する船団がぞれそれ母港に停泊したまま、ほんとうに両国の話し合いがまとまる日を待っておる、じりじりした気持ちで待っておるというようなことがなされるのじゃないか、かように考えるわけですが、どうです、政府としては、カニについては四月十五日、サケについては四月三十日までまとまる、そういう見込みがございますか、いまの段階で。
  36. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私どもとしては、その時期に間に合うように何としてでもこの交渉を推し進めていかなければならないと、正直に言えば昨年程度のテンポならば、これは漁民のみなさん方にも御了解願える線ではないかと、これ一昨年の場合は、ちょうどことしと同じ豊漁年に当たっておったのでありますが、調べてみると非常にテンポが悪うございます。そこで、私のいま心づもりでは、近くソ連側より相当な責任者が来るように伝えられておりまするので、それが一つの山場ではないかと、また水産庁長官からソ連大使に対して促進方を要請するような方法などとりながら、何としても昨年ぐらいなテンポでこの交渉を取り運ばさせたいということでございますが、先ほど来御説明申し上げておるように、非常に両国の意見の相意というものがはなはだしく懸隔しておるということで、私としてはこれは急ぎ過ぎてもいけないと、こういう感じもしておる次第でございまして、いまのところ非常に残念な交渉経過にある、こういうことを正直に申し上げておきたいと思います。
  37. 川村清一

    川村清一君 ソ連側の提案されてまいりました規制案なるものはけさの新聞に出ておりましたとおりであるとするならば、先ほど大臣がおっしゃったように、とても問題にも何もならない案である。まあ私はさように考えておりますし、この案どおり決定されるということになりますれば、もはや北洋漁業というものは全滅してしまう、壊滅してしまう。かように判断せざるを得ないわけであります。さらに加えてニシン等につきましても一昨年は抱卵ニシンを全面禁止、ことしの案によればさらに索餌ニシンについてもそういう規制を加えてきておる。こういうことでありますればニシン漁業もこれも全滅、こう言って過言でないと思うわけであります。それからカニにつきましてもこれはモスクワでやっておるわけですが、ソ連案によりますれば、これは長い歴史を持っておる日本のカニ漁業というものもこれも全滅というようなことで、これはとうてい問題にならない案だと、かように考えております。  なぜ一体ソ連がこういう案を出してきたかということもまた考えてみなければならないわけであります。資源が非常に減ってきたということになりますればこれもしかたないことでございますけれども、しかしその資源論についても必ずしも漁業交渉の前提として行なわれておりますところの両国の科学技術小委員会においては意見が一致しておらない。日ソ漁業条約目的というものはあくまでも科学的調査資料に基づいて、漁獲量をこれを調整していく。そして漁業が永続的に行なわれることをこれを目的としているわけでございまして、したがって、あくまでも科学的な資源論の上に立ってこれがきまっていかなければならないのですけれども、どうも日ソ漁業というものは過去の歴史が示すように、条約の趣旨である資源論に基づかないで、両国の政治的な、何といいますか、関係においてきめられていくということで、いわゆる条約の趣旨に離れた経緯の中でこれが進められてきておるわけであります。  そうでありますから昨年はと大臣はおっしゃいましたが、昨年は日ソの政治関係が非常によかったんです。春にグロムイコ外務大臣が来朝される、また六月ですか、イシコフ漁業大臣が来日され非常に両国はいい状態にあったわけですね。そこで、ことしはどうかということになりますれば、田中総理がブレジネフ書記長に書簡を送っていいような関係に向いておるようでございますけれども、必ずしもそうでもない側面もあるわけでございまして、両国の政治関係から考えてみますというと、また一つの思惑等もあり、ソ連はこういう案を出してきたとも考えられる点もあるわけであります。一昨年あたりは御承知のように、赤城農林大臣がこのカニ交渉のために訪ソいたしまして、そうしてミコヤン副首相とモスクワで赤城さんが会って話し合ってそうしてカニをきめ、ニシンをきめ、本来ならばサケ・マスについては日ソ漁業委員会できめなければならないのを、日ソ漁業委員会を頭越しにモスクワでもってサケ・マスまできめてきた、こういう経緯等もあったわけです。  したがってことしはなかなかむずかしいんではないかと、私は率直に思うわけであります。あるいは農林大臣が、桜内さんがもうモスクワへ飛んでいかなければならない、こういうような状態も出てくるんでないかと私は判断しておるわけでございますが、農林大臣、こういうような情勢をひとつ考えていただかなければならないわけであります。もしそういう段階にきたならば、あなたはモスクワへ飛んでいって、そしていろいろ話し合う、そういうおつもりがありますかどうか。そんなことを聞くのはちょっと早い段階でございますけれども、一応私は聞いておかなければならない。非常に心配しておるわけですが、いかがでございますか、大臣の率直な御意見を承たっておきいと思うわけであります。
  38. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 川村委員は過去における経緯も非常に詳細に御承知で、るるお話がございまして、その中で最も大事なことは、何といっても両国のサケ、マス、ニシン及びカニ・ツブ等については全く川村委員がおっしゃったとおりに資源問題を根拠としていくべきである、これはもう鉄則だと思うのであります。この資源問題で専門委員会において意見の一致を見ない点が相当あったということはきわめて残念に思うのでありますが、この原則は今後の交渉におきましても必ず貫徹をしていかなきゃならないものである、また日本側としてはこの資源問題に触れて資源枯渇を憂慮いたしまするがゆえに、サケ・マスなどについては共同増殖事業などの提唱も一方にしておるんでありますから、ソ連側もこれに対して積極的な意向を表明すべきだと思いますが、それを等閑視しながら、そして一方的な資源論に固執をして、今回のごとき非常にきびしい制限をソ連側は提唱してきておるということは、全く私の理解に苦しむところであります。またカニ・ツブにつきましてもわれわれは長い歴史の上から公海漁業資源であるという前提に立ち、ソ連は最近になりまして大陸だな資源を持ち出しておるということも、これもわれわれとしては了解のできないところでございます。資源論についても基本的なところで両国の食い違いがあるということは、これはすみやかに打開をして、本質的にはあくまでも資源問題によって漁獲量をきめるべきものであると、このように思います。  したがって、私はこのような前提にありまするので、お話しのように、確かに昨年、一昨年の状況というものに政治的なものが最終的には勘案されておるような、そういう経緯にはなっておりまするけれども、しかしこういうことをいたしていきまするならば、毎年そういうような事態になって、これは私はとらざるところであります。したがいまして、いまお尋ね農林大臣は行くかどうかというようなことについては現在考えておらない。できれば農林大臣などが出ていって解決せずに、本質論で交渉がまとまるようにいたしたいと、こう思います。   〔主査退席、副主査着席〕
  39. 川村清一

    川村清一君 まあそういうようなことで、ひとつこれから先がんばっていただきたいということを強く要望申し上げたいと思うわけであります。と同時に、ソ連側のほうがやはり日本は資源を乱獲しておるということを常に言っておるわけであります。私どもも国益を考えますから、あまりそういうことは言いませんけれども、しろうと目から見るというと乱獲しているんではないかと思われるふしもないわけであります。一方サケ・マスにつきましては資源をふやすためにずいぶん努力しておるわけです。国もたくさんのお金をかけておりまするし、あるいはこの資源に非常に関係の深い都道府県等も相当の財政投資もしておりますし、また北海道等におけるサケ・マス定置をやっている漁業者もやはり自己投資をして資源をふやすことに努力をしておるわけであります。ですから資源をふやすことに努力する片面、今度は資源乱獲というようなことがないように、資源を長く保持するという、そうしてふやすという立場に立って十分水産庁も業界を強く指導してもらいたいということを私は強くいま要望したいわけです。  その意味からいっても、サケ・マス定置漁業について、長官御存じのように、サケ資源というのは四年回帰でございますから、卵からかえった稚魚を放して、それが四年たつと帰ってくる、その帰ってきたのをとるというのがサケ漁業です。そこで、サケ定置漁業者でございますが、これは免許を受けた期間というものが漁業法に基づいて五年間です。五年間たつと更新するということになっておりますね。そうすると、相当投資をして資源をふやした。そうして、その投資が返ってくるのに四年かかるわけですね。そうすると、その期間、五年問に一回しか投じた投資が返ってこないと、こういうような側面があるわけですよ。ですから、業界でもいろいろ陳情されておりますが、私も考えてみてそれが当然だと思うのですが、漁業法を改正して、サケ・マス漁業の免許期間というのは、五年をやはり十年にすべきじゃないか。十年にすれば、この人たちは、もっともっと増殖事業に投資をする、熱心になる、かように考えるわけです。五年間ですと、この次にやると、免許をまた与えられるかどうかわからないものですから。そして投資して稚魚がかえって、放流してやる、帰ってくるのに四年かかるわけですからね。こういう点を考えてみれば、やはり五年を十年にすべきである、漁業法を改正すべきじゃないかと、かように考えますが、そういうような立場に立ってこの漁業法を検討してみるおつもりがないかどうか、ひとつ長官お尋ねしたいと思います。
  40. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) このサケ・マスにつきまして、ただいま御指摘のように、サケ・マスは、マスのように早いもので二年、おそいものでシロあるいはベニの一部につきましては四年ないし六年ぐらいかかってまた生まれた川へ戻ってくるという習性があるわけでございますが、そういった意味で、この定置の五年が少し短か過ぎるのじゃないかという御指摘でございますが、私たちの現在の漁業法のたてまえからいたしますと、おおむねこういった免許可にあたりまして、五年ごとに一斉更新ということで、経済事情あるいは社会事情あるいは漁業事情の変更等、五年ごとにやはり一ぺん見直す必要があるということで、一応たてまえとしては一斉更新という姿勢でございますが、しかし、実際五年目に、じゃ、指定するというか、免許を与えます際に、全然縁もゆかりもない人を免許するということはおよそほとんどありませんで、こういう伝統的な漁業につきましては、おおむね前々からの免許を持っておられる人に優先的に免許可を与えるという制度でただいま更新をしている次第でございます。  しかしながら、現在この漁業法をつくりましてもう二十年近くなりまして、また改正してからも約十年近くなりますので、これにつきまして、いろいろ世間でも、また漁業界の間でも、また政府部内でも、再検討すべき時期が近づいているのじゃないかというふうな意見もございますので、いま直ちに法律を改正しますというわけにはまだまいりませんが、四十八年あるいは四十九年と、この漁業法の再検討についての検討をさしていただきたい。その結果、また結論が出次第、政府としましては国会にお願いすることもあるかとも思いますが、現在におきまして免許制度につきましては、このサケ・マスの五年の定置につきましては、そのほかの沿岸のサケ・マス漁業につきましても、同様に大体五年ごとに免許制でやっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  41. 川村清一

    川村清一君 定置漁業が五年ごとに免許更新されておることは承知しておるわけでございます。漁業立法当時の段階においては、それがいろいろな諸般の事情から、必要であり妥当であり当然であったろうと思うわけであります。しかしサケ・マスというふうに限定して私は申し上げておるのでありまして、サケ・マス漁業日ソ漁業委員会との関係等もあり、非常にソ連側のほうは、資源が減ってきておると、それは日本の乱獲によるものであるということを強く指摘しておるわけであります。そこで一面これは、国も道府県もあるいは漁業者も、相当の財政投資あるいは自己資金投資をして、この資源をふやすために、先ほど申し上げましたように努力しておるわけです。そこで、この増殖事業というものを今後ますます発展さしていかなければならないと私は考えております。そういう意味からいいますと、定置漁業者がせっかく投資をしてこの資源をふやす、しかし   〔副主査退席、主査着席〕 その資源が帰ってくるのに、いまお話があったように、四年から五年かかるわけです。そうすると、その投資した資源が今度帰ってくるのに、一回しかこれは回収されないということになるんですよ。ですから、これはやはり十年くらいにしたほうが増殖事業事業者はもっと熱を入れるし、投資もするし、よくなるのではないかと私はさように考えるわけです。一般にこれは五年更新ということはよく知っているのですよ。その事情も知っているわけです。しかしサケ・マスは、いま申し上げました事情によって、やはりこれは十年にすべきではないか、こういう立場に立って、いま、せいということを申し上げているのではなくて、ひとつ、もう漁業法が制定されましてから相当の年数がたっているわけですから、もう一回この漁業法そのものを洗い直してみる時期ではないかと、かようにも考えるわけです。そういう意味において検討していただきたいということを私は申し上げておるので、その点で検討してみる気があるかどうかお答えをいただきたい。
  42. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 先ほど申し上げましたように、この漁業法につきましての、いま法律を改正するという前提ではございませんが、何らかの形で検討する必要があるのではなかろうかということで、研究的な姿勢にただいま水産庁は入っておりまして、いずれその結論が出るものと思っております。  また、このサケ・マスの定置漁業の免許可の件でございますが、これも五年ごとの更新は、いま御存じのようにそのとおりでございますが、われわれといたしましては、一斉更新という機会がありましても、決してそのためにサケ・マスの定置の免許権を更新に際して取り上げてしまうというふうな姿勢でないということだけは十分に御理解願いたいと思いますが、なお先生御指摘の点につきましては、今後漁業法の検討に際しまして、十分また検討の一つとして検討さしていただきたい、こういうふうに思っております。
  43. 川村清一

    川村清一君 資源問題でもう一点お尋ねしたいんですがね、総漁獲高というものは年々非常にふえていっているわけです。ついに四十六年は九百九十万トンまでいったわけです。四十七年はどのくらいいきますか、もう一千万トンぐらいまでいっているのではないか。この総生産量がこのようにふえていっているその原因を分析してみますというと、最大の理由は、北洋におけるスケソウダラの漁獲、これが約三〇%近く占めておるわけです。昭和四十六年には二百七十万トン、このくらいいっているわけですね。そこで、このスケソウダラでございますが、これは私は北海道だからよくわかっておるんですが、非常にたくさんとれます。これはもう資源の乱獲なんということはないのだと、無尽蔵にとれるのだというようなことを水産試験場の場長なども言ったのを聞いたことがありますが、しかしこのスケソウの資源に対する漁獲努力というものは、われわれしろうとが考えてみても、どうもこれは乱獲でないかと思われるのです。ですからこれはソ連にしてもアメリカにしても、日本のスケソウダラをとることに対しましては驚異の目をもって見ている、アメリカのごときは、ばかげたとり方だとさえ言っているということを新聞等で読んだことがあるわけでありますが、どうですか。水産庁は、このスケソウダラ資源に対して、どういう見解をお持ちになっておられますか。このままこれをとらせていくつもりですか。総漁獲量の三〇%はスケソウダラだから、八百五十万トンだ、九百万トンだ、ついに九百五十万トンを突破したといっても、ふえた原因は何かというとスケソウダラの漁獲がふえているということなんです。昔は、われわれ承知しておるのは、スケソウダラというのは体長がまず四十センチ、五十センチ、これ相当大きかったもんですね。これがいまは小さくなって、まあ三十センチぐらいの体型になってしまっている。したがってタラコのほうも非常に小さくなってきておるわけですね。こういうようなことから考えて、どうも乱獲ではないかと思うんですが、どういう御見解をお持ちですか。
  44. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘のように、スケソウダラにつきまして、戦後あるいは戦前から北洋にはほんとうに無尽蔵にスケソウダラは生産されておるというふうに水産庁も理解し、また業界も見ておったわけでございます。ただ最近、御指摘のようにスケソウダラだけで二百七十万トンをこえる漁獲量が日本側で捕獲するようになりまして、やはり少しとり過ぎではなかろうかという理解を日本側の水産庁の当局も、また科学技術者の間でもそういう見解が出てまいりましたし、また事実、実際に漁場の現場で魚をとっております漁業者の間にも、多少大きなスケソウから中小型に移行してきたということで、やはり少しこの際自粛すべきじゃなかろうかという見解が出てきております。また御存じのように、一時はスケソウダラは利用価値が少なくてきたんですが、最近水産練り製品の原料として、いわゆるかまぼこの原材料としては非常に最適であると、大衆的なかまぼことしては最適であるということになりまして非常に利用価値が高まってきたということで、一斉に日本の漁業関係者がとりに行っておるわけでございますけれども、したがいまして二百七十万トンというような数字が続くならば今後危険性なきにしもあらずという前提に立ちまして、このたびベーリングのほうのスケソウにつきましてはさしあたり漁獲量を自主規制といたしまして百五十万トンという水準で押えたわけでございます。これによりましてベーリング系統のスケソウが、資源状況が今後どのように移行するかということは注意深く見守ってまいりたいと、こう思っております。これに対しまして北洋のいわゆる日本側あるいはソ連側に近い沿岸のスケソウダラにつきましては、現在の時点ではベーリング系統に比べますと資源状況はまだそれほど悪化していないということで、まだ自主規制というところまでいきませんが、われわれといたしましては注意深く現状を見てまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  45. 川村清一

    川村清一君 現在、北洋に出ておる母船式船団あるいはトロール、これはどのくらい出ているんですか、許可しているんですか。それは、資料はありませんか。
  46. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ベーリングのほうに出ております母船式の船団が六隻、それからトロール船団が一応四十二隻ということになっております。が、そのうちスケソウの分は十七隻、さらにこちらの北洋のほうは大体現在トロール船でございますが、オホーツクが大体百八十隻ばかし出ておるわけでございます。
  47. 川村清一

    川村清一君 ただいま長官は百五十万トンに自主規制したいというような御答弁があったわけですが、具体的に百五十万トンに、規制するためには、いまの船団であるとかあるいはトロール、これの隻数を減らすとかという措置が当然なされるわけでしょう。それは現在の隻数のまま百五十万トンに規制するということですか。そうしますと、それをやっている船の採算点が出てくるでしょう。どういうような具体的な方法によって百五十万トンに規制するというお考ええですか。
  48. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ことし初めて北洋というかベーリングのトロールは自主規制をしたわけでございまして、これは水産庁の指導も当然入っておりますが、一応業界内部が自主規制でやりたいと、それで自分たちの間で漁獲量はぞれそれ制限したいということで行なわれておりまして、これにつきましては減船というふうな形にはなりませんで、業界のまさに自主規制ということでそれぞれの間でノルマをというか、漁獲量をつくられて、おそらくこれを守って漁労されるんではないか。この自主規制になった発端というのが、業界のほうにもいやこのままにしておったらたいへんなことになるんかもわからんから、この際漁獲について自分たちの間で守りたいという意味で出てまいりましただけに、非常に簡単というとおかしいのですけれども、早く話がまとまった、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  49. 川村清一

    川村清一君 ちょっと話がわからないんですがね。そうしますと、四十六年で二百七十万トンいっているわけですね。四十七年の資料はわかりませんがね、四十七年は一体スケソウは何万トンいったんですか、それが一点。それからベーリング海だけ自主規制するといっているから、それじゃベーリング海は何トンとれているのかそれが一点と、それから長官そんなことをおっしゃったって、やるほうはこれは趣味でやっているのじゃなくて商売でやっているんですから、ですから、二百七十万トンが百五十万トンに減るということになったらたいへんな減り方なんですよ。百二十万トン減るんですよ。この百二十万トンをお互いに自主規制で減らすなんていう、こんなことできるはずがないじゃないですか。そうすると一船を北洋のベーリング海まで出すとするならば、ばく大な経費がかかっているんですよ。そうすると、その経費を埋めて、さらにもうけるためには当然何万トンとらなければならないという数字が出てくるんですよ。そうしますと、損をしてまであんた自主規制するなんていうばかな話はないんであって、したがって、隻数を減らしてくるその減らした分を今度は出る船がカバーをしていくというんなら話はわかりますけれども、隻数をそのままにしておいて漁獲量を減らすなんて、そんなことはできない相談ですよ。それはそういう説明したってだめですよ。
  50. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 先ほど私の説明が舌足らずであったと思いますが、二百七十万トンぐらい四十六年でとっておるといううち、ベーリングが約百五十万トンでございます。その百五十万トンの水準でこれ以上とることをやめようではないか、これは、ベーリング海の百五十万トンというのはこの二、三年来急ピッチに漁獲量がふえてまいりまして、それこそあれよあれよという間に百五十万トンになったということで、これ以上ほっときますとあるいは二百万トンにいってしまうかもわからないということで、ベーリングの百五十万トンの水準で今後しばらく推移を見よう、海峡異変による資源が多少悪くなっているのか、百五十万トンの漁獲努力によって資源が悪化してきているのか、その辺の帰趨を見るためにさしあたりベーリング海を百五十万トンの線で凍結ということで、オホーツク海の七十五万トンあるいは北海道の五十万トンと、こういった系統につきましては今回は規制というか、自主規制の対象外にいたしておりまして、ベーリングだけの百五十万トン、二百七十万トンのうちベーリング海の百五十万トンの分につきましての自主規制を行なったというふうに御理解願いたいと思います。
  51. 川村清一

    川村清一君 時間がありませんので、これで終わりますが、長官、ベーリング海を百五十万トンに自主規制する、従来百五十万トン、四十六年度に二百七十万トンのうちベーリングが百五十万トンだ、その百五十万トン以上にこれは漁獲努力をしない、そういう意味の自主規制ということになれば、それ以上とらないということだね。そんなら意味わかりました。ベーリングが百五十万トン、その他の地域でまだ漁獲努力を進めていくならば、二百七十万トン以上にこれなりますね、なる見込みがありますね。よそのほうは規制しないんですから。  そこで、私が冒頭申し上げておりますように、スケソウダラはこれはもういま唯一の資源ですよ。大事な資源ですよ。と申しますのは、毎年漁業白書で国会に報告されているものを読みますというと、漁獲高というものはふえていっているんですよ。遂に九百万トンを突破して四十六年度は九百九十万トンまでいった。おそらく四十七年には一千万トンを越えているんではないか。しかしながら、そのふえていっている分は何によってふえているかというと、そのおもなものはスケソウダラなんです。大体三〇%。近くいく。まあ年によってはイカの豊漁によってふえたこともある。あるいはサバの豊漁によってふえたこともありますね。しかし、サバもだめになった、イカもだめになった。そうすると、残された多獲魚というのはいまやスケソウだけですよ。そこで、そのスケソウに対してみな目を向けていっている。そして、その母船やトロールをやっている。それをさらに調べてみますと、何といったってこれは大洋漁業とかあるいは日本水産とかいう大手企業が母船あるいはトロールをやっているわけなんで、結局大手の漁業というものを、まあ水産庁は大いに何といいますか、何隻出したいと、許可をせいということに対しては全部許可をしてやる、船の隻数はふやしてやるといったようなことで漁獲努力をやっぱり援護するような形で水産行政が進められてきておるわけです。そういう結果、いま残された大事な資源であるスケソウダラというものがずうっと減ってきておる。これはもう資源の乱獲でないと言っている人もいるかもしれません。まあしかしソ連はことし言ってきているでしょう。日ソ漁業委員会のいろいろ交渉の魚種の中にスケソウダラも入れようじゃないかと、あるいはサバやカレイも入れようではないかというようなことも言ってきて。おるということを最初新聞等でちょっと拝見したんですが、そういうような傾向になってきておるわけです。アメリカからも、日本はスケソウをとり過ぎておる、こういうような批判を受けておるわけです。  そこで、あまりとり過ぎてはいけないんですよ。もう政府のやっておる水産行政というものは盛んに、とる漁業よりは育てる漁業だなんて言って、いろいろ栽培漁業というようなことを言っておりますけれども、一面もう遠洋漁業等においては乱獲しておる。それが全部国際的に日本の水産というものを強い批判を受けているのが、これが実情でしょう。ことしの秋に海洋法会議が開かれますが、世界の趨勢としましては、領海二百海里というのが非常に強く出てきておるんですよ。この秋の会議では日本は相当窮地に私はおちいるものと考えておるんですよ。低開発国は全部が二百海里ということを言ってますよ。もしも領海が二百海里というようなことになりますれば日本の遠洋漁業は全滅でしょう、これは。なぜ一体世界の国々がこういうことを言っているかというと、この対象国はどこかというとこれは日本ですよ。ですからとり過ぎでなくてもっと資源を大事にするということでこの行政を進めてもらわなければ私はたいへんなことになると、かように考えている。スケソウが一つの例なんです。ですからこの資源をもっと大事にするという立場でこの水産行政を進めてもらいたいということを強く要望しておきたいんですが、これに対する御見解をお伺いして、私に与えられた時間が過ぎましたので、きょうはこの程度で終わらせていただきます。また何か機会があったらまたいろいろな問題についてお尋ねしたい。
  52. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 非常に貴重な御意見でございまして、私も御発言の御趣旨はこれを尊重いたしまして、今後の水産行政の上に反映をさしていきたいと思います。
  53. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま日ソの漁業交渉でタラも議題に上がっているんではなかろうかという御質問でありましたが、これにつきましては冒頭開会の前の新聞記者会見であるいは多少そういう話があったかのように聞いておりますけれども、日ソ委員会ではスケソウダラの規制につきましては何ら議題になっていないことだけは御報告申し上げたいと思います。     —————————————
  54. 森中守義

    主査森中守義君) 分科担当委員異動について御報告いたします。  本日川村清一君が委員辞任され、その補欠として中村波男君が選任されました。     —————————————
  55. 中村波男

    中村波男君 私は国土緑化推進運動の柱ともいうべき全国植樹祭のあり方について若干お尋ねをいたしたいと思うわけであります。  質問を申し上げます前に国土緑化推進委員会の副理事長三浦辰雄さんに参考人として御出席をいただきましてありがとうございました。  質問の第一は、来たる四月八日開催予定の宮崎県小林市夷守台の全国植樹祭はその会場の面積といい、事業費といい、参会者の予定数といい、いまだかつて全国にその例を見ない大規模な大がかりなものだと聞いておりますが、その具体的な内容、予算等について三浦理事長お尋ねをいたしたいと思うわけであります。
  56. 三浦辰雄

    参考人三浦辰雄君) どうも突然の参考人のお呼び出しをいただきましたので、資料整いませんけれども、大体のところを御説明申し上げたいと思います。  これは夷守台は大体の区域面積は一応五十町歩を予定しております。しかしその中でいわゆる緑の創設ということばを使っているようでありますが、それにあてますのは約五ヘクタール、それから従来ありました残存している樹木帯を隔てまして今度は野鳥の森という、今度の植樹祭としては初めての試みでありますが、約三町歩あまり、それからまた残存地帯、保存地帯を隔てまして今度は町村の森という、これまた四ヘクタール程度でございます。合わせまして約十数町歩が今回の一応植樹祭を機会にしての施業対象でございます。すなわち従来の、ここに第二十四回目の植樹祭を宮崎のいまの夷守台で行なわれるのでありますが、従来はいろいろとそれぞれ県のテーマがございました。各県それぞれ最も必要な問題をテーマにいたしまして植樹祭が行なわれてきたんでありますが、植樹だけであったんでありますが、今度の宮崎の場合においては、先ほど申し上げましたように従来のいわゆる緑の創設と申しますか、約五ヘクタールの植林地帯のほかに樹木帯を隔てまして野鳥の森の地域を三ヘクタールあまり、これ初めての試みでございます。また樹木帯を離れて四ヘクタールほどの町村の森、ことにこの町村の森に至りましては初めての企ての中でのものでありますが、各宮崎県の町村に地割りをいたしまして、そして、町村のそれぞれの設計に従いまして、各町村が各独自にその四ヘクタール余りの割り当てられた自分の町村の地域に思い思いの植樹をしていく、こういうことになっているのでございます。  宮崎県といたしましては、この植樹祭を機会にいたしまして、二百万本運動というのを知事の提唱によって先般来行なっております。よく植樹祭などは一日だけのお祭りではないかというような批判をいただくこともないわけではありませんけれども、実はそうではない。私ども国土緑化推進委員会といたしましても、それではならないと存じまして、まず両陛下のお出ましをいただきまして行なうこの植樹祭を最も長く意義あるものにしなければならないということからいたしまして、その県その県に長期の緑化計画というものを立たせて、その立てました緑化計画が納得されました機会におきまして、じゃ、それを候補地にしようということで、候補地の決定というような経過になっておるのであります。宮崎県は、特に黒木知事さんは熱心でありまして、そういった従来の植林だけのほかに、野鳥の森あるいは町村の森というようなものをつくって、残余の地帯というものは保存木地帯といたしまして、一帯の五十ヘクタール、あの宮崎県は非常に植林が進んでおりまして、民有林の七五%というものがすでに植栽を終わっているような関係もありまして、相当盛大にやりたいということと、県といたしましては、そのあと地のあいてる部分、たとえばバスを一応置かなければならぬために設備したような施設の場所等を中心にいたしまして、将来、農山村青年の修養道場あるいは林業家の後継者の育成訓練の場所にしようという、どうせそういうところに施設をするんだからというところを選んで、いまのバスの置き場をつくるということ等を考えました結果、民有林地には必ずしも思うようなところがどうもない。経費を比較的安くしながら、しかも、将来そういった長く修養の道場ともするような場所柄としてはあまりどうもよくない。そこで、まことに変態でございましたけれども、国有林の入り口でございますが、一端を、特別な協議によってそれを借りてそういう施設を計画し、実施して、この来たる日曜日、八日には両陛下のお出ましのもとに植樹祭を行なうというのでございます。  施設あるいは考え方、そういうものの概要は以上のとおりでございます。
  57. 中村波男

    中村波男君 いま概要について御報告いただいたわけでありますが、私、宮崎県から出しております全国植樹祭開催計画をちょっと見ますと、こまかいことでありますが、生産の森が八ヘクタール、郷土の森が二ヘクタール、野鳥の森が二ヘクタール、いま三浦参考人のおっしゃったこととは多少数字の違う面もありますが、それはそれといたしまして、全国植樹祭というのは、二十四回に限って申し上げれば、宮崎県と国土緑化推進委員会とで共催ということになっておりますが、具体的な内容に入りましては、共催団体である国土緑化推進委員会はどのようにその計画に参画をし、また指導的な役割りを果たしていらっしゃるのかどうか。ただ金を補助するというだけで、すべての計画というのは宮崎県にまかせきりで今日まで準備が進んできたのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
  58. 三浦辰雄

    参考人三浦辰雄君) お尋ね国土緑化推進委員会協力をしてやる宮崎県、その宮崎県に計画を全部まかしっきりじゃないかというようなお尋ねでございますけれども、主催県とは、たとえば一月——いろいろと事前に相談はしておりまするが、正式に、国土緑化推進委員会の会長でありまする衆議院議長さん、理事さん、知事あるいはそれを担当する本部、こういう方々が一堂に集まりまして、そうして計画というものをときおり練り、いよいよ日が近づくに従いまして、本年になりましても二回すでに開いてやっているのでありまして、まかしっきりというわけではございませんで、共催でございますので、十分その実施に関しましては、共催の内容を備え得るべく努力はしております。しかし、いま経費の問題がございましたけれども、経費は、共催という名ではあるけれども、必ずしも思うほどのというよりは、ほんのわずかな、共催に値するかしないか、経費面からいえば、まことに疑問なような程度しか出せないというのが実情。そのかわりに、その設計、考え方、そういうものについては十分協力して共催の実をあげてきているというのが、この二十四回のみならず、過去のずっとの例でございます。
  59. 中村波男

    中村波男君 私は、なぜそのことを申し上げたかといいますと、宮崎県の地方労働組合協議会をはじめとするほとんどの労働組合、その他民主団体が、お祭り騒ぎをやめ、自然破壊につながる全国植樹祭の規模縮小を訴えて、相当大きな反対運動をいたしてきていることは御存じだと思うわけです。それだけに、この宮崎県の全国植樹祭というものについて私は幾つかの問題があるように思いますので、あえて予算委員会分科会で取り上げたわけであります。  したがって、ただいまから具体的な内容についてそれぞれお尋ねをいたしてまいりたいと思いますが、会場総面積五十ヘクタール、式典場三ヘクタール、駐車場四ヘクタール、その他としては環境保全林が三十一ヘクタール、植樹地十二ヘクタール、こういう内容のようであります。  そこで、総面積五十ヘクタールは国有地を利用しておるようでありますが、この国有地の利用について、これはどういう契約になっておるか、まず林野庁長官からお尋ねいたします。
  60. 福田省一

    政府委員福田省一君) お尋ねの五十ヘクタールは国有林の貸し付け地になっておりますけれども、調べましたところ、国有林野法第八条の二にございまして、これは公共事業用ということで無償貸し付けというふうにいたしております。
  61. 中村波男

    中村波男君 無償貸し付けであろうと思っておりますが、貸し付け年限というようなものはどういうふうになるのですか。
  62. 福田省一

    政府委員福田省一君) 植樹祭が終わりましたあとで、またそれぞれ更新をする予定にいたしております。
  63. 中村波男

    中村波男君 更新というのは一年更新ですか。
  64. 福田省一

    政府委員福田省一君) この五十ヘクタールの内訳、たとえば式典場でございますが、これは二ヘクタール植栽いたします。それからもう一つ植樹地が、植栽する場所が十二ヘクタールございます。この二つは将来造林地として残るわけでございますので、ただいまの段階では部分林として契約しようという予定で検討いたしておるところでございます。それから駐車場につきましては、これは県の意向としましては、先ほど説明がありましたように、青少年の研修所を設置したいという予定の模様でございますので、それがはっきりいたしました段階で、これも貸し付けというふうにいたしたいということで検討いたしております。
  65. 中村波男

    中村波男君 そうしますと、五十ヘクタールは部分林として式典場、駐車場を除きまして契約をするという、そういう解釈ですか。そういう解釈にとっていいですか。
  66. 福田省一

    政府委員福田省一君) さようでございます。
  67. 中村波男

    中村波男君 そこで式典場、駐車場合わせて七ヘクタールでありますが、これはいわゆる直営造林地であったようでありまして、もちろん山林と原野をブルドーザーで地ならしをやりまして、そして七ヘクタールをつくったということでございますが、このことについて林野庁としてはもちろん御承知だと思いますが、いかがですか。
  68. 福田省一

    政府委員福田省一君) この場所はいわゆる特別経営時代と申しまして、明治から大正にかけまして国で造林した場所でございます。この場所の樹種でございます杉の伐期齢は大体四十五年ぐらいになっておりますが、現在大体六十年ぐらいに成長しておるものでございます。そこで、ここは直営直用事業といたしまして、伐採事業を実行している場所の一つでございます。奥に事業所でございまして、継続してこの造林地を伐採し、造林しているものでございます。この場所につきましては、式典場二ヘクタールと駐車場三ヘクタールというふうに聞いておりますが、ここは全体の中では植栽する場所はいじっておりませんで、そのままの形で造林しますけれども、いま申し上げました式典場、それから駐車場につきましては、特に平たんにいたしまして、あと地は、ここを式典場は造林し、駐車場はいま申し上げたような施設として貸し付けをするという予定にしたものでございます。五十ヘクタールの中の地ならしをしましたのは、ほんの、ごく一部のものでございます。
  69. 中村波男

    中村波男君 宮崎県で批判が強く出ておるのは、「恵まれた自然の保護、豊かな森林の創出」というのが二十四回宮崎全国植樹大会のテーマになっておるわけですね、そのテーマが泣くんじゃないか。七ヘクタールと、さらに私の調べたところによりますと、まあ林道をそのためにつくった、そのことも含まれるわけでありますが、植樹祭の名において自然破壊をやっておるということが問題に一番大きくなっておるようでありますが、このことについてどうお考えですか。
  70. 福田省一

    政府委員福田省一君) ただいま申し上げましたように、ここは小林営林署管内の一部でございますが、いま御指摘の点につきまして林道を舗装するということは、まだ全国的にもまれなケースでございます。ただ、ここの営林署の、ただいま申しました事業所というのは巣の浦事業所と申しまして、宮崎県でも直営直用事業を最も大きく実行しておる事業所でございます。毎年約二万立方メートルの伐採をしておるのでございますが、ここは火山灰の土壌でございまして、相当道がいたみまして、維持費に相当経費をかけておるものでございます。そこで植樹祭を契機にしまして、この場所については、まあ舗装ではございますが、簡易舗装ということに実はしたのでございます。植樹祭が終わればもうすぐにこの道は使わないというものではございませんで、いま申し上げましたように、将来継続して二万立方メートル前後の直営直用の伐採事業を実行し、また、そのあと地を造林するわけでございますので、この林道の簡易舗装については林野庁もこれを認めたものでございます。
  71. 中村波男

    中村波男君 六キロ、営林署で林道の舗装をされた。予算がまあ三千万かかっておるというふうに聞いておりますが、間違いありませんか。
  72. 福田省一

    政府委員福田省一君) 御指摘のように六千二百メートルでございまして、経費は約三千万円でございます。
  73. 中村波男

    中村波男君 最初に三浦参考人お尋ねをしか中で、予算の問題については御説明がなかったわけでありますが、予算について御存じであればこの機会に御説明をいただきたいと思いますが。
  74. 三浦辰雄

    参考人三浦辰雄君) 予算と申しますと、いまの宮崎だけの問題かと思いますが、そこの宮崎のほうは大体直接経費——いまの、たとえば将来使うところの道というものを植樹祭の経費というふうに考えないでいった場合にでも、やっぱり相当かかってくる。しかも、その考え方は、先ほど話が出ました二ヘクタールか三ヘクタールあるんでしょうか、ブルで平らにした場所というものは、これは将来練習場と申しますか、そういう農山村の青年の修練場に使うのだからといえば、これはどっちへ加算していいかどうかという議論もございましょうが、それをひとつまず入れたとしても、私は大体七千万程度でできているのではないかと思っております。  なお、私のほうの予算のほうは、共催ということで四、五年前からわずかずつ出して、最近は、それではいかにもひどい、共催の名にも値しないというような御同情もいただき、御理解もいただきまして、いま予算の御審議をしていただいている中では、約一千万というものを国土緑化推進委員会が国の補助をいただいて出すと、こういうようなことになっております。
  75. 中村波男

    中村波男君 正確な数字の御説明はないわけでありますが、私が調査いたしたのによりまするというと、運営事務費が一億一千五百二十七万二千円、会場及び駐車場造成費が一億三千四百五十五万三千円、道路造成費が三億三千七百五十二万七千円、さらに四十八年度の予算として七千百五十七万六千円ありますが、これの内容が具体的にわかっておりませんから、どこに追加されておるか明らかにすることはできませんけれども、少なくとも、直接的な費用として五億程度の金が使われておるのではないか。そのほかに行幸啓経費として二千九百万円、関連事業としては、学校緑化七百七万八千円、林業試験場整備費が四千三百六十九万九千円、したがって、宮崎県の予算としては約七億三千万ぐらいが全国植樹祭の関連事業費を含めた予算であるわけであります。したがって、今回で二十四回、全国植樹祭が開かれたわけでありますが、全く大がかりな、俗な言い方をすれば、はでな計画である、こういうことがいわれておるわけでありますが、こういうやり方がほんとうに全国植樹祭の目的に沿った計画であり運営であるというふうにお考えになっておるのかどうかを、まず明らかにしていただきたいと思います。
  76. 三浦辰雄

    参考人三浦辰雄君) 御指摘のように、私は、この額そのものが——いま申し上げました中の、たとえば、育種場ができたとか、試験場をこの際にという、多少これを記念し、その林業の振興、発展を期するという意味で、この機会にといったような工事は、私どもといたしましては、緑化の行事のために、つまり植樹祭のためにとは思いませんけれども、御指摘ありますように、だんだんふえてきているじゃないか。最初、山梨県でやりました昭和二十五年、そのときあたりは、参観者は七千名程度でございました。それがだんだんふえまして、一万になり、一万三千になり、一万五千、そうして二万をこえるといったようなことになること自体を、私は嘆かわしいとは必ずしも思いませんけれども、それを一カ所に集めて、そうして行事を行なうとなれば、いわゆる施設費の膨大ということが出ますので、私どもとしては、それはもっと小さくならないのか、むだな経費は絶対に避けるようにしなければならぬじゃないか。たとえば、従来、一時造林をする場所さえも、過去においてはブルドーザー等を用いまして、そうして小さい沢、谷を埋めて平らないわゆるグラウンド的なものをしたこともないではなかった。それはいかぬ、いや、もう実はやっちゃった、やっちゃったのをもとに直すわけにいかないじゃないですかといったようなやりとりもあった経過も経まして、今回はもう植樹祭というものは、いま福田長官が御説明になったように、全然ブルは入れません。大事な植生を保ち、せっかく何千年かかった豊富な植生土壌というものを保ちながら植えるのがほんとうの植樹祭ということで、ようやくなりました。しかし、まだ御指摘のように、少し大規模過ぎるのじゃないかという問題は、私どもとしても反省はしているのです。しかし、なかなかどうも、共催者の相手である私は県のほうに責任を持たせる意味じゃありませんけれども、数が大体こうなっちゃうんだというようなことで、勢いある程度の規模にならざるを得ないというので、国土緑化推進委員会といたしましても、中心になってやってくれている——事実、共催とはいうけれども中心になってあれしてやってくださる県のほうからの御要望、警告ということに対しては、ある程度敬意も払わなければならないというのが率直な私どもの気持ちです。
  77. 中村波男

    中村波男君 私、開催の概要を調べてみたんでありますが、申し上げてみますと、中央招待者が三千名、県内招待者が一万六千五百名、報道関係が五百名。そこで、これだけの多数が植樹祭に参加をするのでありますから、奉仕者として県庁職員が九百五十人、市町村が三百五十人、営林職員が百七十八名、その他青年・婦人団体等から多数の人が参加をする、それから小・中・高校生が三千名、総合計二万三千名がこの植樹祭に、言い方は悪いけれども、動員されるわけであります。したがって、臨時電話の架設が二百七十五台、したがって、全電通からは一日二百三十四人の職員が必要とされるわけであります。  大会運営としては、会場内の奉迎者は全員が日の丸の小旗を使用して、県内外の主要な招待者にはそろいの作業服を県が調製する。会場の面積等は先ほど申し上げましたから申し上げませんけれども、輸送の関係については、中央特別招待者については黒塗りの乗用者四百台を用意する。したがって、市町村から運転手つきで五十台を出してもらう。一般招待者はバス、マイクロバス四百台を充てまして、そのうちのマイクロバス等については市町村から提供させる。したがって、県の予算と別に市町村の負担になる経費というのは、予算書には出てきておりませんけれども、ばく大なものだというふうに私は思うわけであります。したがって、県予算を見ましても、県庁職員の九百六十二名の人件費は一千百六十万円、大体一人一万二千円かかっておるわけでありますが、警察官が七百五十名動員をいたしまして、その予算が七百五十四万円、したがって、市町村職員がかりに一万円といたしましても、人件費だけで三百五十万円が負担をせなければならない、こういう予算的に申し上げましても問題がありはしないか。  そこで大臣にお伺いしたいと思いますが、おそらく大臣は八日に御出席をなさると思うのでありますが、いま三浦参考人も述べておられますように、全国植樹祭がだんだんと大がかりになり、はでになってくる。全く、目的を逸脱したようなはなやかさばかりが表面に出てきた。これは国体でもたびたび問題になってきておりますし、そういうことで、国体を返上しろというような大きな声が県民の中から出てきた県もあるわけでありますが、いまにしてやはり真の植樹祭のあり方というものを検討をして開催要綱をつくって、強力な指導をしていただきませんと、全く一日だけの行事になってしまう、お祭り騒ぎに終わってしまう、私はそのことをおそれて、明々後日行なわれる宮崎植樹祭をきょうここで取り上げてみても、もうあと戻りができないことはわかっておりまするけれども、だんだんとはでになってきたということの実態を、これは農林大臣といたしましても十分認識をしていただいて、今後の大会運営について行政的な指導をされる必要があるんじゃないか、こういう観点で取り上げて御質問を申し上げるわけでありますが、いかがですか。
  78. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 今回の宮崎県の植樹祭についてのただいまいろいろ御質問を通じて、私もその詳細についての認識を深めたわけでございます。第二十四回ということで、本来でありますれば、この二十四回を通じて次第になれて、また植樹祭の本来の趣旨が生かされ強化されていくべきものであると思いまするが、一方におきまして、ただいまお話しのように、国体の場合においても、また、この植樹祭の場合においても次第にはでになってきておるという点につきましては、私どももそういう傾向を否定はできない、この点はやはりこれからの開催の場合によく考えなければならない点ではないか、このように認識をいたします。何ぶんにも、私から言うまでもなく、国土緑化推進委員会と宮崎県の共催でございまして、農林省といたしましては、本年度予算で一千万円の助成金を出すということでございまするので、その間における大所高所からの行政指導について十分でない点があったことはいなめせまんが、何といっても国土緑化推進委員会、宮崎県の主催と、こういうことでありまするので、あまり農林省の中央の介入というのはいかがかと思わざるを得ない点もございますことは御了承いただけると思うのであります。この場合に一番きょうの御指摘で考えさせられましたのは、はたしてこの植樹祭が本来の目的に反するような自然破壊のような事態になっておるかどうかという点につきましては、これは林野庁長官より御説明を申し上げましたように、伐採期にきておる地域を開発して駐車場などをつくったようでございまするし、また、式典場のあとには、これは植栽をしてまいる予定にもなっておるということでございまするから、また、この駐車場のあとなどについては、青少年のための研修施設にしようというようなことで、これからは、総合して判断をする上におきましては、自然破壊ということではない、本来の植樹祭の目的と、また、さらに将来の県の各種施策の上に寄与する面が多々あると、このように判断をいたしたわけであります。  後段でおっしゃいました招待者の数あるいはこれに動員をされる市町村関係者などにつきましては、従来の場合がどの程度であるか私は十分な認識を持っておりませんが、私の島根県の三瓶山におきましても二、三年前に植樹祭を実行いたしました。そのおりのことを考え合わせまして、まあ当時、島根県においても相当規模を大きくやったようでございまして、大体、宮崎県の場合とそう違わなかったのではないかというように思いまするが、これらの点は林野庁長官のほうで用意があればお答えをさせますが、御指摘の、このような行事がはでにならざるよう、本来の趣旨にもとらざるよう、これは当然のことだと存じます。
  79. 中村波男

    中村波男君 大臣は、ブルドーザーで山を押しつぶして会場をつくったのですけれどもあと、木を植えれば自然破壊でないと、このような答弁がありましたが、ましてや植樹祭という行事をやるのに、少なくとも七ヘクタールという土地をつぶして自然を破壊して、そこに会場をつくる。宮崎県としては、ほかに適地がなかったから国有林をお願いして会場を求めたんだということでありますが、もともと、大体いまだかつてないような大がかりなことをやりますから駐車場も広いところが要る、大会場も広く要する、こういうところに根本的には私は問題があると思うのです。それから少なくとも公共団体との契約でありまするけれどもあと地利用は今後検討するんだというようなことで、これをつぶさせるというようなやり方はもってのほかだと思うのです。したがって、駐車場についてはもうコンクリで固めた駐車場のようでありますが、これを青年の研修館か何かつくるということを県会等で知事は述べておるようでありますが、式典場については、これはもう返してもらって、今後は林野庁が管理をすると、こういうふうにはっきりといま言明をされるわけですね。
  80. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私の申し上げたことが徹底していないようでございますが、私の申し上げたのは、式典場、ちょっと数字が違うのでありますが、式典場の二ヘクタール、駐車場の三ヘクタール等の開発をされた地域は伐採期にきておる場所である、このことが一つ。それから式典場については終了後直ちに植栽をするということが一つ。それから駐車場の部分については、これが青少年研修センターになるということで、それらのことを総合的に判断をいたしまするときに、これが直ちに自然破壊であるという判断には立たない。こういう場所を、やはり県は県の将来を考えての意義あるように使うし、また、国としては、貸与したものについて式場などの場合はやむを得ないのでありますから、これは植栽をしていく、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  81. 福田省一

    政府委員福田省一君) 御指摘の点につきましては、お答えいたしましたように、植樹祭のために一応貸し付けしているように報告を受けておりますが、これを返還された際には、あらためて研修施設として期間を定めて契約をする。それから現在、式典に使いました場所は研究さして、これを部分林として新たに契約する、かように考えております。
  82. 中村波男

    中村波男君 文部省の御出席はどうなっておりますか。——文部省にお尋ねをしたいと思うんでありますが、小中高校生を三千名参加させる、しかもコーラス一千人とも千三百人ともいわれておりますが、吹奏楽団が百五十人、しかも自衛隊との合同演奏だということで何回もリハーサルをやったわけです。また宮崎県下の全高校、全中学、全小学校から代表を参加させるわけでありますから、遠隔地は朝の三時ごろ自宅を出なければ会場に参加ができない、だから、そういう無理な参加はやめるべきだ、こういうことを県に申し入れておったようでありますが、県は数を減らすとかあるいは前夜宿泊を考えるとかということを言っておったということを聞いておるわけでありますが、最終的にはどうなったか私はまだ調べておりませんけれども、こういう参加のあり方というものについて、文部省としては適当であるというふうにお考えになっておるのかどうか、まずお尋ねいたしたいと思います。
  83. 島田治

    説明員(島田治君) お答え申し上げます。  私どもいまお聞きしておりますのは学生——児童、生徒の参加数は先生おっしゃったとおりでございますが、まず各学校からの代表の遠隔地の問題につきましては前夜宿泊をするということで扱っているようでございます。  それからコーラス等の問題がございますけれども、全体のこの式典、植樹祭の構成の中で児童、生徒が参加するということでございますので、御存じのように学校教育の教育分野には国語とか算数とかいろいろあるわけでございますが、その他に特別活動という分野がございまして、学校行事の一つとして学校自体で教育課程を編制するということになっております。第一義的には学校の判断し申しますか、適切と認めればそういう学校行事として参加をするということもあり得るわけでございまして、私どもこの植樹祭に児童、生徒が参加するということ自体について、特に具体的に適切でないとかそういうことにはならないんじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  84. 中村波男

    中村波男君 私、限られた資料でありましたけれども、「国土緑化」という国土緑化推進委員会の機関誌をずっと読んでみたんでありますが、四十三年の五月十五日号によりますと、秋田大会の反省会において、青少年の植樹行事参加については秋田県知事の意欲的な計画のもとに、県下小中高等学校生徒代表千六百名による合唱等があり成果をあげた、今後の企画に参考とすべきである、こういう評価を国土緑化推進委員会の理事会で行なっておられるわけですね。したがって、その後、この合唱隊というものがその後の全国植樹祭においてはどこでも編成されて大会を盛り上げた、そういう経過があるようでありますが、私はそのこと自体が悪いというふうに批判をするのではありませんが、限度があると思うんですね。それから、そのためにおそらく当該学校においては練習等が相当時間的にさかれておる、そういう行き過ぎがありはしないのか、こういう点について少なくとも共催団体である国土緑化推進委員会においても一度検討をされるべきではないか。学校については、一つの団体——集団でありますから、いわゆる植林の重要性、そういう問題についてはやはり教育として取り上げることはできるわけでありますし、また取り上げておるわけでありまするから、いたずらに人だけ集めればいいと、悪い言い方をすれば、陛下がおいでになるから奉迎するために日の丸を持って会場に子供を動員するというような、そういう大会のあり方というのは私は考え直すべきではないか、こういうふうに考えるのであります。  まだいろいろ宮崎の全国植林大会について問題があるわけでありますが、時間も参りましたので、最後に総括的に私は意見を申し上げ、御検討をわずらわしたいと思うのでありますが、宮崎においては全国植樹祭記念として、ネクタイピン、ブローチの半強制的な割り当てをいたしておるということも聞いておるわけであります。したがって、県民のいろいろな形における負担というのはばかにならない金額になっておるんじゃないか、こう私は考えざるを得ないわけであります。もちろん植樹祭の必要性について私は否定するものではありません。植樹祭が果たした役割りというものは評価をいたします中でこの問題を取り上げておるわけであります。しかし、宮崎県の場合は県民所得が全国の最下位から二番目だと、こういう中で直接費、間接費を含めて十億円近い金を投じてこの植樹祭をやることについて、やはり県民の中から批判が出てきておると思うのであります。さっき林野庁の長官も、火山灰地帯だから林道に舗装をすることはよいことだ、だからこの機会にやりましたという話でありますが、一度に三千万というような林道に舗装する予算がほかにつけられたことがありますか。植樹祭だからそういう予算を重点的に割り当てをいたされるわけであります。予算のワクは全体できまっておるわけでありまするから、植樹祭のために三千万の予算をさけば、ほかのほうのいわゆる林道費というものが削られるという、こういう結果を生むと思うのであります。したがって、私は、ややもすると日本の行政というものは天皇がおいでになるから道路を直すんだという、こういう姿勢をまず改めなければならぬと思うのであります。ほんとうに国民が天皇をお迎えする気持ちでお迎えをしてこそ天皇がお喜びになるのではないかというふうにも思うのであります。したがって、いみじくも、すでに昭和四十四年でありましたか、昭和四十四年の富山県の国土緑化大会のあとに、国土緑化推進委員会の植樹行事特別委員会において、当時の石井光次郎会長が、毎年行事がはでになってきているが、関係者はつとめてはでにしないよう心がけるべきである、私は、行事に参加するそのことに意義があり、よい記念になるのだと考える、諸君の熟慮をわずらわしたい、まことに私は見識ある発言をすでに、四十四年に石井光次郎会長は行なっておられるというふうに思うわけであります。国土緑化推進委員会、また農林省にいたしましても、わずか一千万円しか金を出しておらぬのだから、また、これは県の行事だから、あまり干渉をすべきでない、その行政姿勢についても理解はできまするけれども、そのことと今日行なわれておる全国植樹祭のあり方については、これは行政官庁として農林省も十分ひとつ私は対処されるべきでなかろうかというふうに考えるわけであります。  以上、いろいろ問題がありまするけれども、時間が参りましたので質問を終わらせていただくのでありますが、最後に、三浦参考人並びに農林大臣から、以上、私が申し上げました点についての御意見なり、お考えなりをお聞かせいただきたいと思います。
  85. 三浦辰雄

    参考人三浦辰雄君) いろいろと貴重な御意見を承りまして、ことに結論の中でお述べになられました石井会長の発言等を引用されての、いわゆるはでになるという問題は、会長以下私どもも十分に考えなければならないし、また、宮崎の知事さんもそういった特別委員会の席上におられて、そういった気持ちであることは間違いないんですけれども、名が全国植樹祭とありますように——私は反抗するという意味じゃない、全国でやるものです、全国を代表しての宮崎、本年度は、という意味もあるもんですから、勢い参加者の要望を入れたある程度の規模にはならざるを得ないのだと、この点はひとつ御了承をお願いしたい。いろいろと御高見につきましては、私どもとしても十分、なお一そう考えなければならないことだとは重々思っております。  ありがとうございました。
  86. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 八日を目睫に控えて、本日、今回の植樹祭についていろいろと解明がされたわけでございます。私としては、現に宮崎県の関係者の方々が、ただいまも三浦さんのおことばがありましたが、全国植樹祭ということで鋭意努力をしておる機会でございまするから、この植樹祭が、本来の意味における植樹祭としての成功を祈るものでございます。  ただ、きょうここで詳細いろいろ御検討をいただきました諸点につきましては、今後の植樹祭をやる上におきまして、関係者がそれぞれよくその意味するところを理解して、これからの植樹祭に万遺漏なきを期すよう、農林省としても御趣旨の線に沿って行政指導に当たりたいと思います。
  87. 森中守義

    主査森中守義君) ちょっと大臣、私からのあれですが、答弁漏れがちょっとあります。質問者のほうから、これからの問題として開催の要綱等つくったらどうだ、こういう実は質問がありましたから、これからの問題ですから、こういうことについてはどういうようにお考えですか。
  88. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) たいへん失礼いたしました。  何か適切な開催要綱ができることは好ましいことと存じまするので、関係者ともよく協議をいたし、御趣旨に沿いたいと思います。
  89. 中村波男

    中村波男君 国土緑化の問題については、以上で質問を終わらせていただいたわけでございます。  三浦参考人にはお忙しいところ、ありがとうございました。  次は、米価のシーズンに入るわけでありますが、新聞でちょっと拝見したように記憶があるのでありますが、大臣は生産者米価を、これだけ諸物価が上がっておる中だから上げざるを得ないだろうというような意味の御発言をなすったように、新聞を見受けたことがありますが、そのことについて、もう少し具体的に大臣のお考えをお聞きしておきたいと思うわけです。
  90. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これは記者会見のおりに、記者の方々の御質問に応じてお答えしたのが、ただいまお話しのように新聞に載ったことを記憶をいたしております。  その際の第一は、一体、米価審議会はいつごろ今度は開かれるかということでございました。これについては、現に予算の審議中でもあり、さらに、国会には衆参に十四、五の法案をお願いをするようにしておるので、事実上、国会中にはなかなかやれないんではないかと、過去の場合を考えて見まするに、五月の下旬から七月ごろまでの間に、そのつど諸事情を勘案しての米価審議会が開かれ、諮問をしておるようだが、ことしの場合は、どうもそのおそいほうの時期にならざるを得ないような気がするということを、まず答えました。  それからその次に、この米価については一体どういうことであるかと。私はもうその前提として、また、締めくくりとして、現在省内においては何らの作業をしておりません、全くの白紙でございますと。ただ、いままでの生産者米価の計算の行き方でいけば、いろいろ上げる要素というものはあると思うけれども、しかし、いまは、省内において全然作業もしておらないことなんで、全く白紙ですと。ちょうどその話の中間のところのことが、これが新聞の報道もまちまちでございましたが、一新聞だけ、生産者米価引き上げかというような見出しになっておりましたが、しかし、内容においては、農相は再度白紙であるということを言ったというふうに締めくくられておったわけでございます。  そういうことで、いま米価審議会をいつやるかということになると、どうもおそい時期である。これから生産者米価をどう考えておるかとお尋ねがあれば、全く白紙でございますと、まあ、この以外には出ないわけでございます。まあ、これはまだ三月の中ごろのことでございましたが、現在でも、その情勢は変わっておりません。
  91. 中村波男

    中村波男君 いまの段階では白紙であるという大臣の慎重な答弁であったんですが、これだけ諸物価、特に農業資材も上がっておる中と、もう一つは、やはり生産意欲が減退をして、米の需給関係も、余剰時代というものから、やはり窮屈に、急速になってきておることを考えますと、私は、生産者米価は上げなければならぬし、上げるべきだと思うのでありますが、もう一度念のために大臣の率直なお考えをお聞きしておきたいと、こう思うわけです。
  92. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 生産者米価の諮問をやる場合の方針というものは、すなわち、生産者米価のきめ方については、基本的には法制上明らかにされておるところでございまして、いま中村委員の、現在置かれておる農村の諸情勢、あるいはは米作についての各種の試算の上において考えなきゃならない点、これらの点は、試算をいたします場合にはおそらくこれは反映をしてくるものと思うのでございます。しかし、いま農林省内でこれというデータを集めて、そして、その試算をするという、そういう段階にも至っておらない、どういうような試算ができるかということの何らの前提もないときに、私がただこの段階で政治的な判断でお答えをすることは、これは軽率のそしりを免れないことになると思いますが、中村委員の御指摘のような諸要素というものを勘案しながら当然今度の試算というものが出てくるものと思います。
  93. 中村波男

    中村波男君 なかなか答弁が慎重で本音をお吐きいただけないわけでありますが、ですから、これ以上質問いたしませんけれども、いま最後に、諸事情を勘案して諮問案をつくるのだと、これで大体農林大臣の腹の中が読めたような気もいたしますので、時間も参りましたから、質問をこれで終わりたいと思います。
  94. 森中守義

    主査森中守義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時三十九分開会
  95. 森中守義

    主査森中守義君) ただいまから予算委員会第三分科会を再開いたします。  分科会担当委員異動について御報告いたします。  本日、須原昭二君が委員辞任され、その補欠として小野明君選任されました。  また、小野明君委員辞任され、その補欠として杉原一雄君が選任されました。     —————————————
  96. 森中守義

    主査森中守義君) 休憩前に引き続き、農林省所管質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  97. 黒柳明

    黒柳明君 私は、あの大手商社のいわゆる買い占め、売り惜しみ、これは大きな社会的問題になっておりますし、国会におきましても立法措置をしようではないか、こういういま最中であります。そこで、私は本分科会で特にその中の大豆の問題だけを中心に扱い、それを農林大臣はじめ当局のお考えをお聞きし、さらにまた、いろいろな調査資料があります、時間の許す限り各品目別にもまた触れさしていただきたいと、こう思います。  とりあえず大豆の問題につきましてお伺いしたいと思いますが、まず初めに大豆の供給の内訳、国産、輸入別に分けまして、四十六年ないし七年、一番最近の年度の内訳、総額をお教えいただきたいと思います。
  98. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 大豆の需給、四十六年度におきましては、供給量の中で期初持ち越しが二十五万三千トン、国産出回り量が五万三千トン、輸入量が三百二十一万二千トン、合計いたしまして三百五十一万八千トンでございます。  また、四十七年の供給量は、期初持ち越しが二十五万一千トン、国産出回りが五万五千トン、輸入量が三百三十九万六千トン、合計いたしまして三百七十万二千トンでございます。
  99. 黒柳明

    黒柳明君 国産が五万、輸入が三百三十九万云々と。その大豆の輸入先の内訳、米国と中国ですか。四十七年度内訳、どのようになってますでしょうか。あるいは四十六年、七年。
  100. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 大豆の輸入先でございますが、四十六年度はアメリカから二百九十三万トン、中国その他から二十八万トン、合計三百二十一万トン。それから四十七年はアメリカから三百十三万トン、中国から二十五万トン、ブラジルから一万トン、合計いたしまして三百三十九万トンでございます。
  101. 黒柳明

    黒柳明君 それから大豆の需要実績ですね。用途別、製油用あるいは食品用。食品用も、みそ、しょうゆ云々ありますが、これ詳しく四十六年度。七年度はありますか。あれば七年度。なければ六年度。
  102. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 四十六年度の大豆の需要実績でございますが、製油用が二百五十二万トン、それから食品用が七十三万トン。その食品用七十三万トンの内訳は、みそ用が十八万トン、しょうゆ用が一万トン、とうふ、油あげ用が三十七万トン、納豆用が七万トン、こおりどうふ用が五万トン、その他、煮豆、きな粉等加えまして五万トン、計七十三万トン。そのほかに飼料用として二万トンございまして、合計で三百二十七万トンでございます。
  103. 黒柳明

    黒柳明君 そこで、このトン当たりの単価ですけれども、米国から輸入したもの、あるいは中国から輸入したもの、それから卸売り価格ですね、それがどのようになっているか。まあ、大蔵省の通関統計が日銀の卸売り物価指数にあらわれた数字でもけっこうですが、お教えいただきたいと思います。
  104. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 御指摘の、大蔵省の通関統計にあらわれました数量で輸入総額を割りました平均単価を申し上げますと四十六年度のアメリカからの輸入につきましては、トン当たりの単価は四万五千七百七十四円、中国からのものは、同じく四万六千四百九十二円、卸売り物価は、日銀の卸売り物価指数でございますが、五万八千三百四十七円でございます。
  105. 黒柳明

    黒柳明君 そこまでは、もう政府のほうの資料で、あります。私のほうの資料と突き合わせたものであって、これはもう統計上の数字であります。問題は何もないわけであります。  そのあと、私はこれから本論に入っていきたいと思うんですが、まず第一に、流通過程——輸入大豆、大多数がアメリカ、中国、若干その他の国もありますが、流通経路について、おわかりでしょうか。どのような流通経路を通って一般消費者にこの大豆は出回ってくるのか。
  106. 池田正範

    政府委員(池田正範君) これはただいま申し上げました需要の中でもおわかりいただけますように、大ざっぱに言って、油をしぼるための製油用のルートと、それから食品用に回される分とございます。製油用のルートは、これは主として大手の輸入商社の手を通じまして、国内の製油業者にじかに売り渡されます。それから食品用につきましては、これは一部が製油業者の手を通じ、また、その他のものにつきましては、国内の卸売り問屋——業者が、あるいは問屋と称する、一次問屋、二次問屋と称する問屋が輸入商社から買い受けまして、これを、それから実需者に流すという形になりますが、ただ、とうふ屋さんのように非常に末端が零細でございますというと、ほとんどその一次、二次の問屋さんの手を通じて買うという形をとらざるを得ませんけれども、みそ業者等になりますというと、これは御承知でございましょうが、主として最近は中国の大豆をよく使っております。したがって、みずからも年に一ぺんぐらいは向こうの、中国に出かけていくといったようなことで、実際は共同購入で、商社の手を通じて買うという形をとっている例があるようでございます。
  107. 黒柳明

    黒柳明君 一般的、常識的な流通経路ですね、小学校の五年生の社会科の本に出ているようなものです。  具体的に、それじゃ三井物産、これのどういう経路を通ってとうふ屋さんの店先に流れ、消費者にいくか、これはわかりますか、三井物産。
  108. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 御指摘の三井物産、これは大豆を扱います輸入商社の中の大手の一つでございますが、この三井物産が、どこと個別にどう取引をし、それがどう流れたかということにつきましては、私どもとしては、個別の追跡は実施をいたしておりません。ただ、私どもとしては、現実に国内に入りましたあと、個別の商社からそれぞれ扱いの実態等を聴取をいたしまして、そうしてその聴取の結果を集計をいたしまして、そうして全体の輸入到着ベースとの差額について積算出をして、これがいわゆる流通段階の在庫であろうという推定をいたしておる次第であります。
  109. 黒柳明

    黒柳明君 要するに、業者サイドの話をまともに受けて推定しているだけだと、こういう結論ですね。政府が前向きに、いまこの物価高というものについて、何とか真剣に取り組んで、その根源というものをせめて除去する、マイナスの点があったら、不備な点があったらと、こういう姿勢ではない。これは通産省の一昨日の問題でも、私指摘したいと思うんですけれども、要するに、流通経路については何にも知らない、調べてない、聴取しているだけだと、こういうことですね。これが第一点。  第二点。いまのこの大豆の需要実績ありますね。このうちの中国産と、米国産の大豆が、どこにどれだけ使われているか、わかりますか。
  110. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 中国産の大豆は、大体二十五万トンから多いときで三十万トンぐらいは従来から輸入をされております。そうしてその大部分は、みそ用に使われておることが多く、とうふ用は大体アメリカ側のIOM大豆、あるいはその他特殊の高たん白大豆等を輸入商社と特約して入れているという実態でございます。
  111. 黒柳明

    黒柳明君 それも通常ですか、それとも、その実態というものを調べたことありますか。通常、中国産大豆は、みそ用、しょうゆ用、納豆に使われているのであって、米国産はとうふに使われているのであろう。これも小学校の社会科に出ています。それとも、その実態というものを——いま、現在、こういう物価高、なかんずくとうふというのは、昨年の冬からことしの春にかけて、政府が相当の放出大豆、むしろ大豆を流してめんどうみたくらいでしょう。これはもう相当の問題になったわけです。どうですか、その辺は常識的にそうであろうというのか、それとも実態を調べたことがありますか、詳しく。
  112. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 先ほど申し上げましたように、具体的に個々の大豆についての追跡をして、それがどこの倉庫にどう、何日間どう滞留し、だれに売られていったかということを調査することは、現行の体制のもとでは必ずしも容易ではない。むしろ新しい立法によって可能になる分野であろうというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、全体の、輸入が大部分でございますから、国内に入ってまいります大豆というものと、それから現実に業者が報告をいたしてまいりましたところの消費の、あるいは貯蔵の実績、貯蓄の実績もというのを差し引きまして、流通段階にとどまっておるものの推計をいたしまして、この前いたしましたような、いわば短期に供給力を特定の実需者につけるという意味で、製油メーカーから相当量の大豆を一定価格で放出するあっせんをするというふうな形で、特定なところが非常にブランクになっておる、特定の実需者のグループ、エリアがブランクになっておるというのを埋めることによって対応できる。現にそのことによりまして、大豆の価格自体も下がってまいっておりますので、私どもとしては、先生いま御指摘のような、個別の大豆についてのあり方の追及のやり方もございましょうが、いままで政府としてやってまいりましたものは、むしろ、端的に実需筋で真空状態にその大豆がなったその地域に対して、中間の問屋を通ぜず、直接手持ちをしておるものからそこへあっせん価格で売り渡させるという方法によって、一応の効果をあげ得たんではないかと考えておる次第でございます。
  113. 黒柳明

    黒柳明君 私、政府が何にもやってないということじゃないです。大豆を放出した。その時点から値段が下がっています。これは間違いありません。しかし、そこはいま問題にする分野と違うんです、私の。そこで、要するに、具体的な流通経路も調べたことない、推定だけだ、商社の話を聞いただけだ。それから実際的な中国産、米国産大豆がどこにどう使われているかということも、これは調べたことない。  もう一つ聞きましょう。先ほど、トン当たりの単価、通関統計あるいは日銀の物価指数でおっしゃいましたけれども、一番問題なのは、これは四十六年じゃないですね、御存じのように。四十七年の暮れから四十八年の春にかけて、冬にかけて、そのときの卸売りの値段は幾らであったかわかりますか。これは四十六年、むしろ安定していたときの値段ですね。
  114. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 急激に上がり始めましたのは、御承知のように、四十七年の暮れからでございますが、それより以前の額を申し上げますというと……。
  115. 黒柳明

    黒柳明君 四十八年。一番最近の、どのくらいだか。一番最近どのくらいだか、トン当たり。
  116. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 一番最近は、トン当たりで換算いたしまして五万六千九百三十八円、これが三月末の価格でございます。
  117. 黒柳明

    黒柳明君 それはどういう計算でしょう。
  118. 池田正範

    政府委員(池田正範君) これはドル換算で、二百六十五円の円換算で算出をしたものでございます。
  119. 黒柳明

    黒柳明君 たとえば米国産、種類、——オハイオ、アイオア、オーデナリー、ホーカイとありますが、これ、トン当たり、四十八年の三月現在幾らでありますか。
  120. 池田正範

    政府委員(池田正範君) だいぶ三月も移動しておりますが……。
  121. 黒柳明

    黒柳明君 一番高いやつ、三月の。
  122. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 三月の一番高いときがトン当たりで十三万円。それから一番最近、先ほど申し上げました五万六千円の時点では十二万円でございまして、十三万円の時点における国内の価格が六万三千八百七十六円。それから最近の十二万円の時点における国内相場価格が五万六千九百三十八円でございます。
  123. 黒柳明

    黒柳明君 米国産のオハイオ、アイオア、オーデナリー、ホーカイ。
  124. 池田正範

    政府委員(池田正範君) これはオハイオ大豆でございます。
  125. 黒柳明

    黒柳明君 それが幾らですか、もう一回。すみません。
  126. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 十二万円に対する国内の相場が五万六千九百三十八円でございます。
  127. 黒柳明

    黒柳明君 オハイオ選別品がトン当たり幾らかということです。
  128. 池田正範

    政府委員(池田正範君) オハイオの選別品が十五日現在で十三万円、それから三十日現在で十二万円。
  129. 黒柳明

    黒柳明君 農林大臣、ここから私、ちょっと一方的になるかわかりません。  こういうことです。要するに、いま三つのことを私お聞きしました。流通経路、これは常識的なものじゃうまくないと思いますよ。これだけ物価問題でがたがた騒がれ、おとうふの問題で現実的に一カ月か二カ月で値段が四十円から七十円になったなんて、また五十円、一番高いのは沖繩、百二十円、もう農林大臣御存じのとおりでしょう。ところが、この常識的な流通経路を幾らつかんだって、実際的にこれがどう流れ、どこで値段が、価格が操作されているのか調べなければ、実際の国民の物価問題について真剣な政府の態度じゃない、私はこう指摘したい。それから大豆の需要実績、これについて——大多数が輸入じゃないですか、アメリカ、中国。どういうふうにどのくらい使われているのか、これは調べる気があれば調べられるということで、私、調べたのがあります。農林大臣局長さん、聞いてください。  こういうことです。この大豆の、特に食用品を問題にしましょう、食用品だけを。みそが十八万トン、しょうゆ一万トン、とうふ、油あげ用が三十七万トン、納豆が七万トン、凍りどうふ用が五万トン、その他が五万トン、計七十三万トン、これについてだけを問題にしてみまして、各所に行きまして聞きますと、まず第一、常識的に、みそ、しょうゆ、納豆は中国産と言われましたね。常識です。ところが、全国味噌工業協同組合連合会、中央区の新川にあります。そこに聞きますと、最近、年間大豆は十八万トン使う——みそですよ。そのうち中国大豆は約十三万トンだというのです、中国大豆。全部みそじゃない、中国産は。アメリカのも使っているということです。いいですか。それから、さらに私は聞きました、連合会の下にあるハナマルキ味噌、このハナマルキ味噌では中国産大豆は全然皆無、九九%は米国産大豆だというのです。一%、若干使うだろうというのです。信州ヤマナガ味噌、中国産が四〇%、米国産六〇%、日本味噌、中国産四〇、米国産六〇、これは何を言うかというと、いわゆる農林省で、こうであろうと業者の報告で推定していますということは、そうじゃない、現実には。みそ、しょうゆ、納豆は中国産であろうというのは、現実そうじゃないということ。連合会に聞いても、十八万トンのうちの十三万くらいは中国、五万くらいアメリカ。しかも、その下部組織のみそ業者に聞きますと、もっとこの%は低くなります、中国産使っているのは。いま言いましたように、ハナマルキはもう一〇〇%に近く米国産です。これがいまの十八万トンの内容。だから多くても十三万トンくらいしか中国産使っていないということなんです。  その次、しょうゆ、これは日本醤油協会、中央区の日本橋の小網町にあります。ここではこの日本醤油協会傘下にある野田キッコーマン、それから銚子、ヒゲタ、ヤマサ、ヒガシマル、丸金等全部米国大豆です。これは中国大豆使っておりません。これが一万トン。これは、ですから、中国大豆じゃないということ。  それから納豆、これは全国納豆協同組合、これはほとんど中国大豆である。しかし、米国産も若干使っていると、こういうことであります。  それからおとうふ屋さん、あと残っているのは——みそ終わりました、しょうゆ終わりました、納豆終わりました、とうふ、油あげ用と凍りどうふであります。これは私ども都内八十二店のおとうふ屋さんに聞きましたら、かつては中国大豆は入っていたことがある、最近はほとんど入っていない、ほとんどアメリカ産大豆である、こういうことです。  農林大臣よろしいでしょうか。そうすると、こういうことです。いまの私たちの各みそ、しょうゆ、おとうふ屋、納豆組合等々に聞きまして、その結果というのはみそ用の十八万トン、多くても中国産は十三万トンです、使われているのは。しょうゆ用の一万トン、これは完全にアメリカ産です。納豆用の七万トン、これは中国産ほとんど、若干アメリカ。まあ七万トン中国でもけっこうです。その他五万トン、これは国内産。そうなりますと、とうふ用に使われている大豆、この中に、先ほど申しました二十六万トンから三十万トンの中国大豆が流れているということしか、想定できません。現にとうふ屋さん八十二店聞いても、中国産かつてありましたが、最近全然きません、全部米国産ですと、こういう調査結果が出ております。ということは、二十六万トンから三十万トン入る中国大豆のうち、多く見積もっても二十万トンぐらい、これはみそ、納豆等で使われている。ところが、あとの六万トン、十万トンはどこへいっちゃったのか。言うまでもありません、おとうふ屋さんにいっている。いくところありません。それじゃ、現実におとうふ屋さんにいっているかというといってない。領収書もあります、ここに。十一月、十二月、一月、二月、三月、米国産、いってないという。じゃ、なぜ農林大臣、六万トンから十万トンの中国産大豆がどこへいっちゃったのか。そこに問題があるんです。そこに大手商社のからくりがあるということですよ。どういうからくりか。もういまの流通経路や値段の問題や何かについては省きまして、写真です、これが。これがその袋です。晴海の埠頭に中国産大豆が入る。いいですか、これ三井物産、米国産用の袋です。よろしいですね。中国船が晴海埠頭に来る。ダンプカーでサイロに入る。サイロに入ったものを袋に詰める。それが出てきたときには——ここに日綿もありますね。日綿の袋。特選米国大豆ニチメンオハイオ選別品。こう変わっちゃう。どうですか、これ。もうこれはだれだっておかしいと思うじゃないですか、農林大臣。どうしてこう変わっちゃう。もともと中国産という袋はない。これもおかしいと思う。公取にあとで聞きたいと思う。どうして中国産の大豆が米国の袋に入っちゃうんですか。それはここにからくりがあるんです。いまおっしゃったように、一番高いオハイオが、この調査は私のほうが安いですね、日綿実業の関連会社の新星実業というところに聞きました。そうしたら、昭和四十八年の三月下旬現在では、いま局長さんがおっしゃった十二万から十三万というオハイオ選別品が十万五千と言っていました、トン当たり。もっと上がっているんです。ですから、アイオアが十万、オーデナリーが九万五千、ホーカイが十二万。ところが、中国産の未選は七万五千です。中国大豆の未選大豆が。船で積んでくる。それをすぐにサイロに入れる。出てきたときにアメリカ産の大豆になってきます。七万五千が十二万、それがおとうふ屋にいく、おとうふ屋では中国は来ていませんよ、アメリカばかりですよ。領収書ありますよ。これは何も私は故意に一部のものを持ってきたわけじゃありません。トン当たり十三万です。このあれは都内某所の何とか田商店です。消してあります。田と繁だけ残してあるんですけれども。何とか田商店ではオハイオより高いのはホーカイですね。オハイオが私の調べでは十万五千です。局長さんは十二万から十三万とおっしゃった。それより高いホーカイは私は十二万、ところが、これは十四、五万になっている。そのホーカイです、全部。トン当たり十二万のとき六十キロ一俵当たり七千。トン当たり十四、五万のとき六十キロ一俵当たり八千九百円。これもずいぶん違いますね、値段が。高いですね。米国産大豆の領収書で、みんな米国産と入っていない。どうですか、中国産大豆。晴海岸壁に消えた中国産大豆六万トン、おかしいじゃないですか。中国産、米国産に変身ですか、いま流に言うと。こういう事実御存じですか。まず、御存じですかと言って答えをもらうほうが無理かと思いますけれども、どうですか、局長さん。
  130. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 先ほど申し上げましたように、個別の大豆の追跡を実施いたしておりませんので、御指摘の点につきましてはつまびらかにいたしませんが、最近、御承知のように去年の九月以降、中国産の大豆が非常に荷おくれが続きまして、一時は平均の契約ベースからいたしますと、四万トン近いおくれを出しておった事実がございます。したがって、先ほど私は、みそ用はほぼ中国産大豆が中心であるというような言い方をいたしましたけれども、そのこと自体は、確かに従来は、中国産を主体にして使っていたと思いますが、最近、特にこの中国大豆のおくれというようなことから、かなり中国の大豆が総体的な価格を上げまして、また、物がないということから、米国の大豆に切りかえるといった事態もあったのではないかと思います。  それから、いま御指摘の麻袋の問題でございますが、これは私は、先生が御調査になったことでありますから、それはそういうことだろうと思いますが、ただ、麻袋自体は何回転もいたすものでございますので、したがって、はたしてその中にあった豆自体が中国産の大豆がすり変わったのかどうか、もし御指摘のようにすり変わったのであるとすれば、これは商業道徳をこえて、詐欺行為に匹敵するものであろうというように考えます。
  131. 黒柳明

    黒柳明君 そこで農林大臣、私は、いまおっしゃったように、これは詐欺行為です。特に問題にしなければならないのは、大豆が、おとうふが安定していた時期は問題にする必要はないと思うんですよ。それはいまおっしゃった常識的観念でいいと思うのです。昨年のここにあります、たとえば、この一つの店です。十一月、十二月、一月、二月の領収書ですよ、同じ大豆ですよ、これはここにいらっしゃる人だって驚くでしょう。六十キロ当たり、一袋。十一月の仕入れが三千八百五十円、十二月が四千三十円、一月が四千四百三十円、二月が七千円になっている。もうわずか一カ月、一カ月でぐんぐん上がっている。そうして、このおとふ屋さんは三千八百五十円のときは四十円、四千三十円のときも四十円、四千四百三十円のときも四十円、七千円になって七十円に上げた、そうして放出大豆があってまた五十円にいまは下げた、こういうことですね。ですからいまの追跡調査、なぜそういうことをやらなければならないのか、問題はいまの時期なんです。常識的な、観念的な、こうなっているであろう、調書を受けました、それだけで物価問題は処理できますか。通産省にもこのあと聞きたいと思います。いろいろのまだまだ資料あります。そんなことをやっている政府・自民党なら、物価問題真剣に取り組んでいると言えますか。いまの法案、私は前向きでけっこうだと思いますよ。ただし、けっこうだという条件、いろいろあります。完ぺきじゃない。これは明らかです。もっともっと強い立法措置を講じなければならない。これも、万人が感ずることです。ただし、一歩前進になることには間違いないでしょうね。だけど、その一歩前進でこの問題が解決できるかというんです。できませんよ、こんな問題は。いまこの場に来て常識を振り回しているような答弁じゃうまくない。現にこういう事実がある。農林大臣にいまこの一部を申し上げました。まず農林大臣の感触、いかがですか。
  132. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) たいへん具体的な御提示であったわけでございまして、私として非常に参考にもなり、また考えさせられもいたしました。ただ、私が農林省責任者として行政指導に当たる上におきましては、この大豆などについての立ち入り等をどこまでやるか。まあ便宜、行政面で御指摘のように、晴海の埠頭まで行って、ちょっといろいろ聞かしてくれということは、もちろんこれはやり得ることではあると思うのです。しかし、それかといって、それじゃどの程度までやり得るかということについては、おのずから限界があると思います。そこで、せっかくのいま具体的な御提示でございます。私どもとしてのでき得る限りのこれからの調査の参考にもいたしたいし、また、今回お願いをしておる立法措置後におきましては、その点やりやすくなるということは御理解がいただけると思うのでございますが、いずれにしても、物価問題の非常にやかましいおりから、御指摘のように、もう一つでき得るならば突っ込んだ具体的な調査の必要があったではないかということは、御指摘によってよく考えさせられます。
  133. 黒柳明

    黒柳明君 まず、この具体的な事後処理ですけれども、これ、どういうふうにされますか。すぐこれについて調査して、それでいま局長がくしくもおっしゃったように、これはもう道義上の問題をこえて詐欺行為です、これは。こういう面まで農林大臣責任を持って——そしてこの物価問題のごく一部です、これは。ごく私の調査資料の中の、きょうのこの発言はわずか一時間の時間ですから、全部おっぴろげるわけにはいきません。そのごく一部です。この一部についてどういう態度をとるかということは、全般にどういう態度をとるかということを国民の前にはっきりすることだと思うのです。どうでしょう。この具体的な問題に対して農林大臣責任のもとでどういう手を打たれるか。
  134. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これは、おのずから国会の問題になったこの段階からは違うと思います。私が大臣として国会でこういうことが取り上げられておる、これについてはどうかということは、十分この調査の上に非常なわれわれとしてまあやりやすいというよりも、やらなければならない事態になってきておると思いまするから、関係局、担当の者をしてさっそくに調査をさせてみたいと思います。
  135. 黒柳明

    黒柳明君 こういうまぎらわしい資料、これは公取にも聞きたいと思いますけれども、中身は中国、表示が米国産。まあ公取に言わせるとこれは不当表示でしょう。不当表示なんという問題ではない。こんなものが不当表示となったら、これはもうたいへんなことです。当然そういう見解と同時に、これは詐欺行為。そういう事実がここで具体的資料で——これはあとでごらんになるなら見てください、全部完ぺきにそろっている。これについてはっきりしたのだから、調査をすると。そして、いまの大手商社の一商社である丸紅が食管法違法であるかどうかということについて、相当メスが入れられつつあります。これを第二弾として、この関係の、これ三井物産だけじゃありませんよ。三井物産、御存じのように、まあこれは冒頭に言うのを忘れましたけれども、三井物産、丸紅飯田、日綿実業、伊藤忠、日商岩井、住友商事、三菱商事等々相当ありますね、いわゆる大手と称するものでも。あとまだまだ相当あります。この大手、問題は私は大手だと思います。これは資金量だって豊富ですし、先般の、一昨日の通産省の調べでもそうでしょう。これに対してやっぱり続々、次は丸紅、次は三井、日綿、次はと、こうどんどん私たちはやります。それに対して政府がこたえてくれなければ、私も限度があります、私たちだって。皆さん方だって一々晴海に行くのはどうかなと。私だって晴海に行くことはやりますよ。そのあとまでどうも手を打てませんよ。  今度は、政府農林大臣指揮をとっていただいて、農林大臣が断固としてこれに対して決意を持って対処していただかなければ、私たちの分野だってできるところとできないところがあります。ひとつこの問題につきましては、いま農林大臣が、いまの時点とは違う、すぐ調査すると、こういうことで私は了解したいと思いますが、ひとつこれは断固たる調査をして全部やってください。これはいま言いましたように、事ここに袋を持ってきたものだけじゃありません。三井であり、日綿のことだけじゃあません。これは日綿実業。三井だけ見せて日綿見せませんと不公平になりますからね。これは日綿です。まだ一ぱいあります。こんなもの一度に持ってきて国会に入ったら、衛視さんにおこられてしまいますよ。そういうことで二つにとめました。こういうわけです。ひとつそういうこととこの問題はまず信頼いたします。  それともう一つ、農林大臣、一昨日通産省で出しました。もうあれは私はどんなものを出したのかと思って、夕刊に大々的に出ました。現物とりました。通産省いらっしゃいますか、通産省。これですね、これ。大手の五大業者がどれだけの過剰資金で何を買って、どこにどういうふうに売って、どれだけもうけたか、これだけですよ。しかも、大手の商社は、いや、これはもうけたんじゃないと言うわけでしょう。経費で使っていると、すぐ反駁食っているでしょう。しかも、失礼な話であります、まことに。副社長さん方と懇談する——懇談はけっこうですよ。何かなれ合いで出したみたいな。通産省が一歩農林省に先んじて、中曽根通産大臣のアイデア勝ちというような気がしますよ。櫻内農林大臣、一歩おくれた。しかし、アイデアであって中身は何にもありません。どこの会社がどこにどれだけのものをストックしているか、どういう流通過程で物価高が操作されているか。何にも出ていないじゃないですか、これに。しかしですね、農林大臣、これでもやっただけ——ましとは言えないけれども通産、農林と比べれば、まずアイデアとして通産一歩先じた。こんなの全然中身ありませんよ。どうですか、農林大臣。  そこへくると、失礼ですけれども農林省は何にもやってないじゃないですか。何にもやらない。いま大豆はあるしね、農林関係の所管のが多いじゃないですか。私があげるまでもありません。木材から牛肉から、それこそあらゆるものですね。綿糸から米から。何やりました、農林省は。これだけ物価問題でがたがた騒がれているときに、何にもやってないじゃないですか。せめて通産省がアイデアでもこういうものを出して、国民の感情というものをひとつちょっとやられたということだけに、何らかの救いもあったような感じします。内容的には全然意味ありません、こんなものは。ただなれ合いだと、私はこう言わざるを得ません。しかし、それすらも農林省はやらないですか。具体的にこの物価高に対してどう、個々の品目に対してどうこれから国民にこたえられる手を打ち、対処していきますか、どうでしょう。
  136. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) たいへん痛いところでございます。しかし、まあ農林省としてのやり得ることについては一応やり、またそれの効果もあがってきておると、私はその効果の度合いは別としてですね、効果はあがってきておると思うのであります。  ただ、いま非常にむずかしいところは、たとえば生糸でいきますと、糸の段階は私らのところですが、織物になりますと、特に織物の段階に来ての投機筋が動いておるということが非常に問題になっておりますが、そこへいくと所管がこう変わると。それから、きょう問題になっておる輸入商社の関係になりますと、輸入商社の段階は、これは通産省のほうに変わりまするので、これは別に責任のがれを言うわけでなく、一応農林省通産省はどこで分岐されておるかという御説明はさせていただきたいと思います。しかしながら、いろいろと御指摘になって、先ほども申し上げましたように、私としても考えさせられる点もあり、国会で正式に問題になった以上は、われわれの立場において、また通産省との協力のもとに、物価対策上もう一つ突っ込んだ調査、あるいは突っ込んだ対策というものを当然しなければならないと思います。
  137. 黒柳明

    黒柳明君 そのむずかしいとおっしゃった点は、それは政府の機構上の問題であって、国民の目から見れば、そんなむずかしいことはいまの重大な経済的な国民に対する圧迫から見れば、そんなの吹きやあ飛ぶようなことですよ。そのために立法処置だって講じているじゃないですか。まああれだけのものが全部マイナスだと、私は言いませんよ。ですけれども、あんなもの出たって一歩も前進になりませんよ。勧告するだけだ、公表するだけだ。まあ痛いでしょう。罰金規定だって全然——まあ罰金なんかたいしたことないでしょうね。立ち入り検査をしてどこに何があるか。まあお米だけですよ、要するに食管法で取り締まれるのは。あとは、あの法律ができたってほとんど野放しの状態じゃないですか。タッチできないところですよ、政府としても。  ですから、ダミーがどのくらいあるか、大手商社のダミーが。どのくらい大手商社からそういうダミーに金が流れているか。流れてどんなものをどこに買って、どこの倉庫にどのくらい物資があるかわかりますか、農林大臣。これを知らなければだめだ。どこの金融会社がどれだけ大手に金を流しているか。そういう金融会社は国民はね、貯金おろせばいい。郵便貯金にそれをやるのです。そんな銀行に預けたその銀行貯金が大手の商社にいった。大手の商社がどんどんダミーに流してそれで物を買い占めている。国民こそいいつらの皮ですよ。銀行預金全部おろしちゃって、国民のための、庶民のための機関である郵便局にみんな出しちゃう、そういう運動だってやらなければだめですよ、これからは。そんな銀行が金を融資する。大手商社はダミーを抱く。ここで買い占めておるその実態、わかっていますか。どのくらい銀行から大手商社に金が流れているか、大手商社がダミーを使ってどのぐらい金を流し、物をどこにどれだけストックしているかわからないでしょう。私たち、いま調べて相当の資料があります。もしこの一点が突破口になれば、私は、大きく、私たちのいまの物価問題経済問題に対して国民のために一歩前進の活路を開き得たと思うんです。  ところが、農林大臣がおっしゃったように、ただ政府の機構上の問題で、通産と農林とここで分かれて、糸の場合は農林で、織物になるとこれは通産ですなんて、こんなことをいまの段階でおっしゃっているような、私、失礼ですけれども大臣のお考えですと非常に心もとない、こういう感じがいたしますよ。いまのこの問題については調査する、断固たる処置をとると。それじゃもう一回繰り返しますが、通産でも曲がりなりにでもちょっとやった。農林は何を具体的にどう手を打つか、もう一回お聞かせ願えますか。この問題を、これはまた国会で言われてからは違うとおっしゃったんですから、きょうから違うと言うのですから、態度が。そうすると、きょうからまたいままでの農林大臣の所管のもとにおけるいろんな問題があります。物価問題にからんだ品目、あるいは全体的な機構とかなんとか、それは考え方が違うとおっしゃった。それじゃ、どうこれから具的体に問題に対して対処するか、構想、アイデア、当然いままで検討されていたのでしょう。そういうものをきょうからまたこういうふうに変えていきたい、こういうものをお聞かせいただきたいと思うんです。
  138. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ちょっと私の申し上げようが悪いので、十分御理解をお願いできなかったと思うんですが、私は、やはり一応行政のたてまえというものは、この場合でも申し上げておく必要があると思って申し上げたわけであります。  それで、これらの物価問題に対しては、黒柳委員も御承知のように、閣議でしばしば取り上げられて問題になっておるわけでございます。その際には、国務大臣として自由に発言をし、その結果が、主たる所管先が責任を持ってやる。その場合、私は、従来の各省との連携、協力の姿勢というものが、これが本日、国会でこういうふうに具体的に問題が取り上げられてきておるということになりますれば、おのずからそこで私ども関係省庁大臣との話し合いも、協力の姿勢も変わってくるわけであります。あるいは通産省や、あるいは国家公安委員長の関係からも、私に対する話もおのずから違うと思うんですね。ですから、いままで以上にきょうのお話を一つの段階といたしまして、また国会で、まあ御批判もございまするが法案もお願いしておって、これはいずれ何とか結論がつくことと思いますから、それらを総合して積極的な姿勢をとりたい、こういう考えでございます。
  139. 黒柳明

    黒柳明君 公取に、来てもらっておりますので、もう公取も当然この問題はお調べいただくかと思うんですが、私が積算しただけでも、まず最低見積もって六万トン、中国大豆どっかへ行くえ不明。それをいま局長おっしゃったように、一番安い、十五、六万じゃなくて、十二万のホーカイで掛けた場合に、二十七億も中国産大豆で、アメリカ産大豆と称して大手商社がもうけているのです。一昨日の九千六百億から比べれば、これは微々たるものかと思いますけれども、ただ一つ大豆だけですからね、この品目は。それでも二十数億、三十億ぐらいのもうけをしている。これは明らかに詐欺行為とともに、公取としてもこの問題はやはり不当表示——不当表示といってもぐっと深いと思うのですけれども、当然公取の問題でもあると思うのですが、その点、公取、いかがでしょう。
  140. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 先ほどからのお話でございますが、中国産大豆が米国産の袋に入って売られている。それで、公取としまして、不当表示かどうかということは、景品表示法の四条一号の問題であるかと思いますけれども、ただこの場合は、いまおっしゃったような場合は事業者を誤認させるおそれはあると存じます。これは、場合によっては詐欺的な行為になるかとも思いますが、問題は、一般消費者を誤認させるかどうかというとろこにあるのじゃないか。四条一号は、品質につきまして競争事業者のもの、あるいは競争関係にあるもの、あるいは実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるためというふうな要件がございまして、本件の場合、一般消費者を誤認させているかどうかというところが景表法違反のポイントじゃないかと思いますが、おそらくその袋のままで直接一般消費者に売られるということは私はないのじゃないかと思いますので、景表法上の問題というのはちょっとなりにくいのではないかというふうに考えております。
  141. 森中守義

    主査森中守義君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  142. 森中守義

    主査森中守義君) 速記を起こして。
  143. 黒柳明

    黒柳明君 先ほど私、申しましたように、むしろ公取の問題というよりも、もっと大きな実際的な刑事事件にも発展する可能性を秘めた問題でありますし、現実にこれで数十億の利益をあげているというようなもし商社の実態が明らかになったら、それこそ国民の間にこの物価問題に対して怒りの声があがって、田中内閣をつぶすぐらいな私は運動も起こさなきゃならぬと思います。この問題につきましては。ですから私は、この農林大臣のいまの御見解というものをもうきびしく肝に銘じて、またそれに対して厳正に断固たる処置を農林大臣はとられるということを、十二分に善意的に了承して、私は今後の政府の、農林大臣の指揮を待つわけです。  それで、もうちょっと時間があります。あと二、三分ありますもので、若干またふえんして、もっとむしろ前に聞くべきことであったでしょうけれども、この中国産あるいはアメリカ産大豆というのは、これは国内においての専門官が選別しますか、国内産と同じように。
  144. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 御指摘のことにつきまてしは、実はきわめて純粋の高度の技術を持っていれば、当然これは品種間のことでございますから、わからないはずはないので、わかるはずでございます。しかし、一般的な取引の形態から見ますと、一々それをこまかく分析してやるわけじゃございません。外形を見て取引をするということになります。したがって、大部分のものについては、実際上の問題としては、相手方に対する商取引慣行上の信用問題といった形で取引されているのが実態でございますが、まあ産地銘柄あるいは品種の銘柄といったようなことから、皮が薄いか厚いか、あるいは中身の充実度はどうか、あるいは質はどうか、水分はどうか、あるいは粒ぞろいはどうか、色沢はどうか、あるいは特に業者間で問題にしておりますのは、俗にいうへそといっておりますが、臍のあり方がどうか、色はどうかといったようなことを大体問題にしてやっておるようでございます。したがって、大ざっぱな分け方は業者間ではわかるようでございますけれども、厳密に一つずつおとりになって、これは何かという形で判別のできない場合がかなりあるだろうというふうに考えます。
  145. 黒柳明

    黒柳明君 そうなんですよ。ここに農林大臣、国内産二つ、ホーカイ、オハイオ、中国産、これを、中国産を農林省の専門官に見したら、アメリカ産だと言うのです。わからないのです。へそというので私もやりました。ところが、中国もアメリカも、みんなへそがあるのですよ。これは人間と同じですね、大豆も。みんなへそがある。これはもう、ですからおとうふ屋さんじゃわからない。私は、もう農林省の専門官ならばわかるだろう、それでおとうふ屋さんで、私、五十年やっているのだからこれはわからないはずはないですよと言ったって、これじゃ全然区分けつきませんよ。へそありますよ、両方、中国もアメリカも。わかりません。私は、五十年大豆のあれでめしを食っているとうふ屋でわからないことはないと言ったって、わかりません、それじゃ。そうでしょう。どう見たってへそはあります。へその黒いのはありますね、ほら。ところが、これがアメリカで来ればわからないというのですよ。そうでしょう。そういうことでありまして、これはついでで申しわけありませんけれども、中国産のものがアメリカ産で来て、そうしてアメリカ産のこの領収書を払ってもわからない。ここにおとうふ屋さんの盲点があるし、中国産はアメリカ産で高いものを買わされている。これもひとつ農林大臣、頭に入れておく大きな要素の一つだと、こう思いますから、ひとつつけ加えてこのことを指摘して、すみません、時間がオーバーしました。  以上でございます。
  146. 森中守義

    主査森中守義君) もう少しいいです。
  147. 黒柳明

    黒柳明君 けっこうです。
  148. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 先ほど申し上げるのを若干差し控えましたが、それは黒柳先生の御指摘の、どこから何がどう入ったかという厳密なことをお話しになりましたので、実はそこまでの調査にはなっておりませんので、差し控えましたが、大豆につきましては、輸入商社から入りました以降の実需者別の段階における調査は、実は実施をいたしております。それからまた、きょうは大豆の問題でございますが、たとえば生糸等につきましては、蚕糸業法に基づきます在庫調査も実施をいたしておりまして、ただ、いまの大豆につきましては、その大豆が現実見分けがつかないということから、輸入されましたあと、その実需者の段階で、これは中国なのか、あるいはアメリカ大豆なのかということを追及することが非常にむずかしいということから、実はやっておったのでございますが、流通在庫については、いま先生御指摘の数字に近い数字を私どもも流通在庫としてあったことを確認いたしております。  それからあと二、三の問題点といたしましては、特におとうふ屋さんとそれから問屋さんとの間の取引につきましては、おおむね——これはみそ屋さんとはちょっと違いますけれども、第三者の委託調査機関、チェック機関、そういうところへものを頼みまして、そうして今度の放出大豆につきましても、その品質を一応荷日ごとにチェックをする。特に中国の大豆につきましては、御承知のように、小さい輸入商社がたくさんの荷口で入ってまいります。したがって、これは大体荷日ごとにチェックをしているのが慣習上の普通の状態でございます。アメリカの場合には、むしろ先ほどのような大商社の継続した品種別のマークを信頼して受け取る。ところが、もし御指摘のように、非常にひどいものを間違えてつかませるというような悪意を持ってやりますというと、当然、水分に転化する水溶性のたん白の含有量が違ってくるはずでございますから、したがって、製品への歩どまりのはね返りがえらく違ってくる。そのために、その商社から二度と買うかという、当然、信用問題にまで発展するというふうなことから、従来は御指摘のような形はままなかった。ただ、先ほど来のああいう異常時においてどういう形が行なわれたか等については、私ども自体、個別の品目の追及をいたしておりませんので、言う資格はございませんけれども、大体、いままでの状態はそういうことでございます。
  149. 黒柳明

    黒柳明君 すみません、最後に一言。  従来と、私は異常時——異常時といったって、そんな異常じゃないと思いますけれども、なぜ八十二軒のおとうふ屋を回ったかということです。五十年これで専門にやってるんだからわかるという方だって識別が不可能なんです。それから、蛋白とか脂肪の分析、これはとうふ屋そんなことはできません。しかも、期間としては三カ月か二カ月ぐらいだったでしょう、あの値上がりでがたがたしたときは。そうでしょう。そうしてさらにその前においても、こういう形でやられて、はたしていまおっしゃったように、中国産は各ブロック別にチェックするけれども、アメリカ産はチェックしない、袋を信用する。ここですよ、問題は。ここにやっぱり公取の問題があらわれてくるんですね。やっぱりラベルのあるものは信用しちゃうんです。まず第一ここが問題です。前はアメリカ産の袋でも、中国ですよという紙が一つ入ってきた場合があるというのです、二、三年前は。こういう形で中国産とわかったんだって。それが入ってこなければわからないというのがとうふ屋さんです。農林大臣、ためしにね、一人でいいですよ、この問題についておとうふ屋さんを歩かしてごらんなさい。晴海埠頭に行ってチェックしてごらんなさいよ、一人でけっこうですから。一日かかればけっこうです。私が言ったこの具体的事実がなるほどということがはっきりわかります。失礼ですけれども、デスクワークで、それで呼んで聴取をなさる、その中でこういう問題を片づけようたって、これは無理なんです。ですから私は先ほどから言っているように、一つ突破口を政府がつくれば、ほかの業者だって何もばかじゃありません、インチキしようと思ってやっているんじゃないですから。物価問題というものは、ある程度波風がだんだんおさまる方向にいくんだと思うんですよ。ですから、ひとつここで具体的な問題提起をしましたですから、局長さんのおっしゃっていることも一分の理があります。けれども、あくまでも常識的な業者の報告だけで、何、悪いことを言うわけない。そんなこと、私、言うまでもないことです。ひとつ一人の係官を現場に派遣してごらんなさい、それが大事です、これからの政治は。それがなければこれからの政治は大衆にアピールされませんし、受けません。だから自民党は負けているんです。あ、すみませんですね。だんだんそういうことになるんです。ひとつ冗談は別にしまして、この問題については、一つ私のできる最後の希望は、一人でけっこうです、一日でけっこうです、現場に人を派遣して、実態というものを耳で目で具体的に調べていただきたい。そうすれば全貌というものははっきりわかる。それだけ一つ希望として述べさしていただきます。すみません、長くなりました。
  150. 森中守義

    主査森中守義君) お答えありますか。
  151. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、本日、こうやって国会で問題として提起されました。私としての最善の努力を払うことを申し上げておきます。
  152. 向井長年

    向井長年君 まず、農林省にお伺いいたしますが、きょうの新聞で拝見いたしましたが、丸紅が、米の買い占め数千トン、食管法違反の容疑、こういうことが出ております。この実態について調査されましたか、食糧庁。
  153. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 食糧庁といたしましては、二月の下旬からモチ米について、それも主として未検査米について、主要な生産県、消費県につきまして倉庫の調査をいたしました。その結果、八十九件、五千八百トンぐらいの在庫があったということが確認されたわけです。その中で、一つの倉庫に非常に大量にあるもの、かつ、実質的に流通過程にあるんじゃないかと思われるものについて三件告発をいたしたわけでございますが、きょうの新聞に出ておりますのは、この数千トンというのは、私たちが調べたのではなくて、これはクエスチョンマークがついておりますから、想像だろうと思いますが、この中で茨城県の分につきましては、現在の所有者は東京都あられ工業協同組合ということになっておりますけれども、その流通過程に商社の介在があったのではないかというふうに思われるわけでございます。
  154. 向井長年

    向井長年君 実はこの買いだめ、売り惜しみ、こういう問題が世間でやかましくいわれましたときに、大体二月の末だったと思いますが、わが党は調査団を派遣をいたしまして、大手商社、丸紅なり、日商岩井、あるいは三井物産、あるいは伊藤忠、こういうところを、実態を聴取しに参ったんですよ。もちろん丸紅にも参りました。私自身も参りました。そういう中で、もちろん穀物をはじめ、木材なり、あるいは糸、その他問題について、われわれは調査権なり、あるいはまた立ち入り権を持っておりませんから、ただ、社長はじめ首脳部、担当から事情を聴取してまいりましたが、これに対しましては、何ら買いだめなり売り惜しみはしてないという実態の報告が各社からされておるわけです。もちろん、これは商社だけではなくて、系列の問屋なり小売りなりありますから、こういうところもあわせて、そういう問題はないかということを、実はわれわれは聞いたわけです。ところが、ありません、こう言う。すべてそういう回答であったはずです。これは行政上、農林省、食糧庁にしても、こういう問題を先に聴取されましたか。私たちはこれはいま考えると、全くだまされたということなんですよ。これが事実であるならだまされたということになるわけです。まことにけしからぬと、こういう感じを持っておるわけです。したがって、行政府である農林省は、そういう実態について聴取され、あるいはまた実態調査されたか、追跡調査といいますか、こういう点を私は聞きたいんです。農林省もだまされておったのか、われわれもだまされておったのか。いま司直の手では食管法いかん、というかっこうで、これはいま摘発、告発しているんですから。こういう点について食糧庁としてはどうですか。
  155. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 普通の商品と違いまして、これは米でございまして、食管法が適用されておるわけです。扱っておる商品がこれはいわばやみでございますから、どうだと聞いたんでは、やっておりますと、なかなかこれ言わないわけでございます。ただわれわれとしましては、昨年の暮れにすでに一度大手商社等を呼びまして、警告をしております。それから二月に入りまして、どうも自由米の、モチ米の値段が二割程度上がっている。これは少しおかしいということでまた全部呼びました。その場合には、商社のほか、卸売り業者、それから実需者全部呼んで、中間段階でため置くな、モチ米は少ないんだから全部早く実需者に渡せという警告をしたわけです。と同時に、各社全部個別に呼びまして、いろいろ実情を聴取したわけでございますが、最初に申し上げましたように、なかなかやみを扱っておるものですから、やあ、やみをやっておりますとはなかなか言わない。といいますのは、商社は酒米、モチ米につきましては、現在、実需者の代行で自主流通米の取り扱いをやっているわけでございます。それを中心にいろいろ聞いたわけでございまするが、どうもその間、いろいろ聞きましても、みずからやっておりますということは言いません。ただ、いろいろなデータから、若干自主流通米からはみ出しておるんじゃないかという感じがしたものですから、先ほど申し上げましたように、これはやはり現物を押えてみなきゃ何ともならぬということで調査を始めたわけでございます。
  156. 向井長年

    向井長年君 私は、この問題は時間がございませんから、あまり深くは言いませんが、わが党の調査団もだまされた、農林省もだまされた、こういうことに解釈しても間違いないですね、言わないのだから。あなたたちは実態を調べようとして聞いたけれども言わないのだから、同じようにだまされておったと。これはおそらく、いまは丸紅が出ておりますが、その他の商社もいろいろあると思います。この問題は、後日の問題として一応事情だけお聞きしただけでございますから、それでけっこうでございます。  そこで、次に私は林野行政について質問いたしたいと思います。特に、きょうは行政管理庁長官もお忙しい中、来ていただきましたので、できるだけ要点を中心にして質問いたしますから、正確な答弁をお願いいたしたいと思います。  いま、林野行政はまことに重要な段階に入っておると思います。これは国土保全、あるいは開発、あるいは水資源の確保、それから自然保護、それから木材生産、そういう中で、特に林業労働者の不足という問題も、いま現実の問題だと思います。こういう中で、農林省は今後国有林、民有林含めて、林野行政をいかにやろうとするのか、かいつまんで答弁願いたい。
  157. 福田省一

    政府委員福田省一君) 御指摘のように、ただいま林野庁の林業行政、特に国有林の件につきましては、いろいろと御指摘をいただいているわけでございます。昨年十二月に、林政審議会から答申をいただきまして、目下、その趣旨を尊重いたしまして、民有林行政、国有林行政含めまして、林政の確立に努力しているところでございますが、その要点を申し上げますと、まず第一点は、従来の森林に対する見方は、木材の生産を主体としたものでございまして、木材の増産ということに対する要請が非常に強かったのでございます。最近は木材の生産のみならず、森林の広域的な機能、要するに、清浄な空気をつくるとか、あるいは水資源を確保するとか、あるいは土砂の流出を防止するとか、そういったような、あるいは保健林としての機能、そういう総合的な、広域的な機能を重視する要望が強まってまいっておりまするので、そういったような要請を受けまして、民有林行政、国有林行政にそれを適用してまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、また、特に国有林につきましては、特別会計制度を適用されておりまして、その合理化をもっと徹底させるようにというふうに、林政審議会からの答申もいただいておりますし、一般の批判も、さようなところにあると思いますので、それらの答申、あるいは世論を尊重いたしまして、特に国有林の合理化については、早期にこの案をつくり上げてまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
  158. 向井長年

    向井長年君 林野行政について、あなたたちみずからこの重大な段階において、先ほど冒頭に申し上げましたね、ああいう形を現実の問題として事業を移していこうと、こういう気持ちじゃなくて、ただ、いま特別会計の赤字がある。この赤字を埋めるためにいかにしようかと、これだけをいま林野行政の中で一番中心に考えて奔走しているんじゃないですか。そういう傾向があまりにも強く出ているのじゃないか。ということは、本来林業の振興、木材生産もあわせ、先ほども申しました水資源も、あるいは自然保護も、こういう問題を考えて、みずからそういう問題に取り組んでおる姿勢がありますか、いま。あれば、何をやっておると言ってください。
  159. 福田省一

    政府委員福田省一君) いま申し上げましたことを、具体的には将来の日本の森林資源をどういう状態に持っていくかということを具体的にしましたのが、森林資源に関する基本計画でございます。また、木林も大事でございます。木材の将来の需給の見通しということも立てまして、二月に閣議決定をしていただいたわけでございます。  なお、四十八年度の予算要求にあたりましては、いま申し上げましたような趣旨によりまして、民有林の補助、あるいは金融その他の政策につきましても、いろいろと改正した点はございますが、特に国有林におきましては、ただいま申し上げました広域的な機能を重視するという意味におきまして、その代表的な治山事業につきましては、大幅に一般会計からの導入をいただいたものでございます。ただ、木材の生産ということももちろん大事でございます。そういう意味におきましても、皆さま方の御批判をいただいておりますので、なお近代的な、合理的な施業方法を確立いたしまして、この批判にこたえてまいりたいと思うことでございますが、特に、その中でも重要なことは、職員あるいは作業員に関する問題でございますので、この点につきましては、よく組合とも話し合いながら妥当な方向を見出してまいりたいと、かように思っておるところでございます。
  160. 向井長年

    向井長年君 先ほど答弁の中にありました林政審の答申ですね、答申というものは、もちろん林業振興もあるにしましても、先ほどお話しあったように、特別会計の赤字を、どうしてこれを今後解消していくか、こういうところにある程度重点を置かれている。これに対して林野庁はそれを受けて、今後対策を持っておると思うんですがね、そういう問題と、これから、先ほど申しました重要な木材生産もあれば、国土保全もあれば、水資源もある、自然保護もある、民有林の問題もある、こういう問題とどうかみ合わしていこうとするのか。非常に私は矛盾があるような感じがするんですよ。この点はどうですか。
  161. 福田省一

    政府委員福田省一君) 御指摘のとおりでございまして、特にこの国有林の事業におきましては、広域的な機能を重視するという面におきましては、原則としましては、私たちは一般会計の援助をお願いしたいと、かように思うわけでございます。生産部門におきましては、こういう企業面におきましてはやはり徹底した合理化を考えていかなきゃならぬと、かように考えております。
  162. 向井長年

    向井長年君 その一般会計と特別会計の問題はあとでまた質問したいと思ったんですが、ただ問題は、私は、福田長官が非常に急いでおるようですから、その問題を先にお伺いしたいと思いますけれども、これは農林大臣も含めまして、どうなんですか、答申の中ではやはり機構の改革、統廃合、あるいはあわせて人員の削減、こういう問題をいま意図しておるんじゃないですか。新聞にはそう書いて出てますよ。私、たくさん持ってますよ、いままでのね。二万何人になるとかね、そういうやつがたくさんある。従来出ておりますが、そういうことをいま答申の中から一つの構想として持っておるのかどうか。これは行管にも大きな関係があるわけですが、そういう点について私は先にこの問題をお伺いしたいと思います。
  163. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この答申は、お話しがありましたが、非常に広範な内容を持っておるように思います。つまり、いま御指摘の国土の保全、自然環境の保護、そういうものまでも含めて今後林業行政がどうあるべきかということについての意見を述べておると、こういうふうに理解をいたしておるわけですが、まあ私は、答申の筋はそういう広範なものと理解し、妥当である、こういうふうに考えておるわけです。ただ、これを実施する具体的な対策になりますと、これは農林省で立案をする、そういうことになりますので、この答申の線に沿って妥当な具体的処置を農林省にとっていただきたい、さように期待をしておる、こういうことでございます。
  164. 向井長年

    向井長年君 福田長官にお伺いしたいんですが、もちろん、農林省で立案されたやつを中心に検討されることと思います。しかしながら、問題はやはり、かかるような今後事業を拡大していかなきゃならぬ、機能を発揮していかなきゃならぬ。御承知のように、先ほど冒頭に申しましたそういう事業、民有林も含めまして、木材の生産もいまうんと窮地におちいっているわけですから、そういう中で事業を拡大しなけりゃならぬという段階において、ただ特別会計赤字に対する一つの対策として人員の削減とか、あるいは機構の改革とかね。これも、機構の改革も前向きの前進ならいいけれども、それを縮小して事業拡大できないような状態をとるとする問題については、これは行管のほうで、農林省で幾ら立案するにいたしましても、あなた自身もそれは相当検討されなきやならぬじゃないかと思います。そういう点、いかがでしょうか。
  165. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これからの林業行政はひとり生産ということばかりじゃいかぬと、生産の面につきましては、むしろ消極的に考えなきゃならぬ面もあるぞということを指摘しておるわけです。しかし、他面、積極的に考えなけりゃならぬ点がある。それは、国土の保全とか自然環境の保護でありますとか、そういう点である、そういうとらえ方をしておるようです。私は、日本経済全体としてもそういう方向に動いておると思うんです。これから生産第一主義、これは見直されなけりゃならぬ。そうして国の経済の発展のエネルギーはどこに求めるかとか、これは生産じゃない、そうじゃなくて、あるいは住宅の建設でありますとか、上水道だ、下水道だ、そういうような角度とか、そういう方向をとろうとしておる。また私は、そういう方向というものは、林業行政につきましても当然とられなけりゃならぬ方向であり、そういう点を指摘しておると、こういうふうに思うわけであります。そういう線に即応して農林省が具体案を作成するということを期待していると、こういうことでございます。
  166. 向井長年

    向井長年君 特にきのうの新聞で林業白書を強調されておりますね。この問題は、やはり木材の世界的な窮乏、これに対してわが国がどう対処するかと、こういう問題についてこういうことが発表されておるのですね。これはあなたたちが発表したのでしょう、内容は。これは先ほど申しますように、一つには生産第一主義でやってはいかぬと言いながらも、国内生産もあわせてやらなけりゃならぬ、環境保全、国土保全の問題もやらなきやならぬと、こういう両道持っておるのですよ。一方においてはこう言われておる、一方においてはこの木材問題を出されているのだね。木材というのは、私が言うまでもなく、きょう言ってあした生産できるものじゃない。したがって、これは国有林だけじゃなくて、民有林も含めての問題だと思いますが、そういう問題とあわせるならば、いま福田長官が言われたように、いま要望されておる問題は、一つは自然の保護問題、国民の環境保全の問題、そうして国土の保全、水資源、こういう問題も推し進めなけりゃならぬ、あわせて生産も、こういう木材生産というものも考えていかなきゃならぬ、この両道がやっぱりあるんですよ。両道があるということは、事業を今後広域的な問題もあわせて拡大していかなきゃならぬということですよ。拡張すべき新規事業をやっていかなきゃならぬというのがいま林野当局の姿勢でなけりゃならぬはずですよ。そういうことであるにもかかわらず、ただ単に特別会計の赤字という問題に頭がきて、答申を受けて、そうして機構の改革だ。私は、少なくとも林野庁は国有林だけの管理じゃないと思う。民有林も含めて、そうしてやはり国土問題ですから、その他の省にまたがる問題たくさんありますから、そういう問題を含めて新規事業を開拓していかなきゃならぬただいま時期にきておると思うのですよ、農林大臣。それに、ただそういう答申は、赤字、これをいかに埋めるかと、こういうことにあまり奔走し過ぎておるような感じを私は持つわけです。この点そうじゃないですか、大臣
  167. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 向井委員のおっしゃるとおりに、これからの新しい時代の新しい要請にこたえていく林野行政でなくてはならないと思うんです。そこで、いま私、聞いておりまして、何か新聞であれがどういうことで書かれたか知りませんが、人員整理等のことについて御懸念をお待ちになっておられるようですが、これはかねて申し上げておりますように、新しい要請にこたえてのこれからの国有林野事業のあり方ということになれば、おのずから機構の改革による人員の配置がえについてはこれは御了承が願えると思うんであります。また、従来の林野事業のやり方が、ただ経理上の赤字対策ということでなくて、今回からは、独立採算でやっておったものを、これを根本的に方針を変えて、一般会計からも見てもらう、あるいは造林などの経費については資金運用部からの借り入れをするというような道を講じたのでありまするから、こういう具体的な施策の転換という面からも御了解が願えると思うんであります。ただ、その御指摘の中で、そういう新しい要請に応じていく林野行政あるいは国有林野事業というものが直ちに規模の拡大につながっていくのかどうかということにつきましては、これはこれからいろいろと検討をするのでございまするから、私は非常に膨大な機構になっていくんだと——そういう御趣旨ではないかもしれませんが、そういう方向ではないんじゃないかと。この国有林野自体も、先ほどから御指摘の自然環境保護とか、水資源の涵養とか、国土の保全から考えていくと、計画としては伐採量などもダウンしていかなけりゃならない、そういう状況にあるわけでございます。この辺は国際的な需給の逼迫との関係でいろいろ御批判もあるところでございまするが、しかし、どうしても伐採は控え目にしていかなきゃならない、そういう状況にあると思いまするから、だから、一がいに国有林野事業全体の規模が非常に大きくなるということではなく、新しい要請に応ずる新しい形態に移っていくということを前提にお考えいただきたいと、こう思います。
  168. 向井長年

    向井長年君 私もそのとおりですよ。同じように考えている。そういうこと考えるから、ただ国有林だけではないと、民有林合わせての林野行政でなけりゃならぬと、そうでしょう。そうなってくると、いま新規事業の問題にいたしましても、伐採そのものもある程度制限しなきゃいかぬでしょう、水資源の確保もありますし、国土保全もありますから。ところが、やはりこれに対しましても木材の窮乏から考えて、やはり計画的に民有林に対する行政指導もやらなきゃならぬ。伐採も、植えつけも、間伐もすべてね。そういう形が林野行政の一環ではないかと、そのためには、いまあまり国有林、国有林と中心になり過ぎているんじゃないかと。ここの中でもそうでしょう。いまどうなんですか。大体二千五百ヘクタールの中で、国有林が大体八百ヘクタールでしょう。したがって、大半はやはり民有林にあるわけですよ。その民有林に対する今後の行政指導、あるいはまた、先ほど申しました目的のためにともに進めなけりゃならぬ。これが大きな私はこれからの問題だと思います。  そういう中で、先ほど申しましたように労働力は不足しているんです、現在。林業労働者は不足しているんでしょう、いま。そういう人たちをいかに確保するか、こういう立場から考えて、ただ問題は林野、そういうことを考えていくならば、そういう人的資源まで確保しなきゃならぬ中で、いま現在林野庁はどうなんですか、あなたのほうで考えているでしょう。一ぺんその構想を出しなさいよ。あなたのところでおそらくこの答申に基づいて今後林野庁をどう運営し、これを統廃合し、あるいは人員をどう持っていくか、一つの構想を持っているでしょう。持っていたら一ぺん発表してください。あるんでしょう、ないんですか。
  169. 福田省一

    政府委員福田省一君) まさに御指摘のとおりでございまして、国有林の労働力と民有林の労働力両方ともに大事でございますが、特に、最近は民有林関係の林業労働力が減少してまいっております、こまかい内容は省略いたしますけれども。したがいまして、この林業労働力の確保の対策としましては、特に流動化の促進であるとか、あるいは通年化を確保するため、あるいは労働環境改善のために、そういったような補助の予算措置も講じておるところでございます。しかし、それだけで私は十分だとは考えていないのでございまして、特に国有林と民有林を一緒にした労働力確保につきましては、ただいま林政審議会の答申をいただきましたけれども、特にこの点は重大でございますので、この林政審議会の中に、労働に関する部会も設けてこれを審議していただくということにしております。この点につきましては、一番大事な点であると考えております。
  170. 向井長年

    向井長年君 現在構想はないの、構想はあるでしょう。
  171. 福田省一

    政府委員福田省一君) 民有林の点につきましては、ただいま申し上げたような施策で、三点申し上げたのでございます。それから国有林の問題につきましては……。
  172. 向井長年

    向井長年君 林野庁内部についての問題、今後の構想は持っておるんでしょう。ないですか。
  173. 福田省一

    政府委員福田省一君) 林野庁の中におきましては、まだはっきりした結論は出しておりません。ただいま申しましたように一番大事な問題でございますので、いろいろの方々の御意見をちょうだいして、民有林の労働力と一緒に合わせまして、どういう方針を持っていくかということを検討していただく予定にしております。
  174. 向井長年

    向井長年君 行管長官ね。どうもぼくはいろいろと情報をキャッチいたしますと、これは大臣も御承知かどうか知りませんが、大体、ただいまの定員が三万八千二百人おるようですね、現在ね。これを十年後においては二万五千三百名にしよう、こういう方向のような構想があるように、私は情報をキャッチしているんですよね。したがって、毎年毎年これを減らしていこうと、そのためには何というのですか、あなたたちのことばで言えば勧奨退職ですか、あるいはその他一般の退職者ですね。そういう形で、あるいはまた各省等への移管問題もありますね。この動く配置、こういう問題等を合わせまして、大体一つの二万五千にしてしまおうと、こういうような情報があると聞いているわけですが、これは事実ですか、これはないんでしょう。
  175. 福田省一

    政府委員福田省一君) ただいま御指摘の点につきましては、それは決定したというものではございませんで……。
  176. 向井長年

    向井長年君 構想と言っているんだ。
  177. 福田省一

    政府委員福田省一君) 林政審議会の答申をいただきまして、いまお話のございましたような、十年後の一つの見通しというものについての試算という形で、一応私どもは持っているものでございます。これは一応、先生からただいま内容についてお話ございましたけれども、将来の、つまり大体十年後でございますけれども、仕事の量に見合った人員というものはどの程度のものであろうかという試算として一応持っておるものでございます。
  178. 向井長年

    向井長年君 だから、そういう試算構想をいま持っておられるということでしょう、私がいま言ったことは。これは行管長官知っているのですか、まだ知らないでしょう。
  179. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 承知いたしません。
  180. 向井長年

    向井長年君 農林大臣、知っておるのですか。
  181. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これは、私に対しては一応のそういう話を聞きました。しかしながら、私がこれからの十年について、具体的なすべての計画等を聞いて、そうして、こういう二万五千三百を予定することが、これが結論的にいいとか悪いとか、私としての意思表示はいたしておりません。
  182. 向井長年

    向井長年君 いま両大臣からもそういうことでまだ決定じゃないし、また林野庁長官も決定じゃない、一つの構想として考えておる、こういうことでしょう。しかし、一般新聞に、削減問題が堂々と各所に出されておるんですよ。したがって、庁内においては非常に動揺している、これは事実ですね。一般の国民も、いまこそ林野行政がもっと積極化してもらわなければ困る、先ほど言った目的のために。こういう気持の中で、何を林野庁は考えておるのだろうという、非常にそれに対する疑惑を持っていますよ。われわれから言いますならば、確かに行管のほうでいろいろと簡素化の問題とか合理化の問題は、役所のほうで検討されるでしょう。されることはいいけれども農林省、林野庁としては、少なくとも新規事業合わせて重要な段階であるから、もちろん合理化もけっこうでしょうけれども、こういう一つの赤字対策に対するものの考え方だけでは、これは林野行政はいかないのじゃないか、こういう感じでございますから、これは行管庁も十分ひとつ頭に置いていてもらいたいと思います。農林大臣だって、まだ一応そういうような構想を聞いておるがという程度ですから、それはまだ実施する段階でもありませんから、これは大臣どうですか、一応の構想としてはあるけれども先ほど言ったもろもろの問題を考えるならば、今後、この問題については再検討しなければならぬ。構想ですから、まだ決定じゃないからいいようなものだけれども、林野庁の一つの構想に対してはあなたはどう考えられますか、今後。
  183. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これは先ほども申し上げましたように、これからの林野行政全般につきまして、現に答申を受け、一応の基本方針を出したという段階でございまして、具体的にそれではどうしていくかということにつきましては、なお検討する余地が十分あるわけでございます。そこで、御指摘の一般退職、勧奨退職等をひっくるめての人員削減の見通しというものにつきましても、一応そういう見通しはあるのかなと、しかし、私自身としてもこれからの林野行政のあり方について、まだ省内においても論議をして、これが最善だという結論を持っておるわけではございませんから、これは参考にしながらいきたい、こう思っております。
  184. 向井長年

    向井長年君 大体、本院におきましては昭和四十六年五月十一日、農水において、あるいは衆議院におきましては四十六年三月二十五日、農水におきまして、林業振興に関する決議をしております。御承知ですね、これは。この内容は「林業労働者の確保を図るため、雇用の安定、他産業従事者と均衡する賃金水準の確保、労働条件の改善、労働基準法及び各種社会保険の適用ならびに労働災害及び職業病の絶滅について特段の措置を講ずること。また、国有林野事業の基幹労働者については、常勤職員の雇用条件との均衡を配慮して処遇の改善に特段の措置を講ずること。」こういう決議を両院でやっているんですよ、昭和四十六年に。この決議にこれは反してきますよ。林野庁長官、少なくとも雇用の安定ということがここに入っているんです、これは常勤も、あるいは現在の職員も合わせまして。そういう中で、しかも林業の振興をはかれと。これは両院の決議なんです、国会の。その決議に反して、先ほど言った、もし削減問題が出てくるとするならば雇用の安定じゃないですよ、これは。それも自然に淘汰されていくというのじゃなくて、計画的に年々これだけを勧奨退職をさす、あるいは一般退職をさすという、こういう状態になってくれば、この決議とは全く逆な面じゃないですか。そうでしょう。  その点について、福田長官は急いでおられますから聞きますが、まずこういうことで、少なくとも今後、そういう問題について、勧奨退職あるいは一般退職にいたしましても、当人の意思に反して、自分が事情があって退職しますというのは別ですけれども、当人の意思に反してこういうことを押しつけるということは断じてやりませんな。行管長官、どうですか。
  185. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 問題は、今後農林省で林業審議会の答申を受けまして、林業の改善をどういうふうにやっていくかということだろうと思います。つまりこの答申は、むやみに木を切るといういままでの考え方について反省を求めておるわけです。同時に、一方において国土保全、自然環境の保護、そういう面に着目すべし、こういうことを求めておる。そうしますと、木を切る人のほうは減っていき、しかし同時に、他方におきまして、新しい国有林の持つ非常に重大な国土に関する諸問題、この仕事はふえていく。その差し引きが一体どういうふうになっていくかと、こういう問題だろうと思います。  いま行政管理庁指導のもとに、三年間で五%、各省庁で定員を削減しようという計画が進められておるわけですが、その線には、この林野庁の定員につきましても乗って実施されておるわけです。その線を越えてするかどうか、こういう問題になりますると、私は、そういう基本的な業務量が一体どういうふうに変化していくんだというところにかかってき、それを見て判断をすべき問題であるというふうに考えます。ただ、これが雇用の不安定を生ずるという状態は、国会の御決議におきまして指摘されておるように、そういうことであってはならぬと思うのです。やはりそういう方向に沿ってどこまでも実施さるべきものである一こういうふうに考えます。
  186. 向井長年

    向井長年君 福田長官は自由民主党の大物であり、次期総理になられる非常な大物でございますから、私は全般に通じなければならぬと思います。そういう立場から、いま答弁されましたけれども、これは非常に相矛盾があるんですよ。おととい出された林業白書では、やはり生産もやらなければならぬと、もちろん国土保全で伐採ばかりやっちゃいかぬということも一つあるけれども、ここでは国内のやはり生産を増大していかなければならぬ。切っちゃいかぬなどと言ったんじゃ生産できませんよ、林ができるだけで、ただ水資源ができるかしらないが、もちろんあわせて生産も計画的にやろうということだと思いますよ。そうでしょう。いま労働力は不足ですよ、全般に。もう民有林含めて絶対に不足だ。こういう中で、生産もやっていかなければならぬということを林業白書で出しておる、あなたのほうから。一方においては、ただ生産主義でやってはいかぬということで他の方面も考えていかなければならぬ、これは調和せにゃいかぬです、どっちもね。  そういう中で、先ほどから言うように、林野行政の人員の削減というものが、安易な形で削減されていくということは、これは非常に問題があると思うのですよ。私たちは、言うならば事業を拡大すべきだと、林野行政は、ただ国有林のみならず、民有林にもっと力を持ちなさい。そして公益的な問題はもっと林野行政の中でやりなさい。たとえば保安林にしても、こういう問題については国は買い上げなさい、買い上げて林野行政の中で保全をしなさい。いま民有林にあるんでしょう。そこまで事業を拡大しなければならぬいま時期が来ておるじゃないかと言っているのですよ。そうなれば人員の確保も当然必要になってくるんじゃないですか。いま林野庁長官が、特に公益的な機能は発揮しなきゃならぬ、それは先ほど言うたように、公益的な保安林、それから自然公園あるいは公共性の高い林野、こういうところは、少なくともいま民有林で持っているやつも、場合によれば国が買い上げて、こちらで管理し運営しなきゃならぬという時期じゃないか。一方においてはそういうことを考えなきゃならぬ時期に、先ほど申しました、ただ勧奨退職だ、あるいは事業所統廃合だ——これはほんとうに行政なっておりませんよ、こんなことでは。これを私は指摘したい。事業拡大ということはそういうことだ。これはもちろん一般会計から来るんでしょう、買い上げの場合は。  したがって、そういう中で、林野行政というものは、一方において現在の民有林の持っておる自然環境保全、あるいは保安林、公共性の強い林野、こういうものは林野庁が保管し、買い上げて、そして運営をはかる、そこに一つ基本がある。一方においては、先ほど言ったように木材の生産、これもあわせてやらなきゃならぬ。生産第一主義でやったらいかぬと言ったって、木材がこれだけ窮乏しているのですから、この生産もやらなければならぬ、民有林を含めて。そして一方においては自然の保護をやらなきゃならぬ、こう全般を考えて、はじめて総合林野じゃありませんか。  総合林野をやろうとせずして、ただ口だけで、答申が出たからさあ赤字を縮小せにゃいかぬ、さあ米の赤字やとか、あるいは国鉄の赤字やとか、三Kとか、四Kといわれているが、これにならって何とか赤字を解消するためには人員の削減をしよう、あるいは営林署なり、営林局の統廃合をやろう、これだけでものを考えておれば林野行政じゃないでしょう。これは行管にもわざわざ来てもらったのは、そういうことも聞いてもらいたい、またあなたに判断していただきたい、そのために長官にわざわざ来ていただいた。もちろん農林大臣はそういうことを考えておられると思います。自民党の政調もやっておられたのだから全般に通じておるから、この点について、私が言ったことがもっともであるのかないのか、こういう点をひとつお聞きいたしたい。
  187. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お話しの御趣旨につきましては、私といたしましてよく理解のできる点がございます。  ただ問題は、具体的な人員整理があるかないかというようなことになってまいりますると、御質問は、省内で一応の素案というようなものがあって、それが新聞等にも報道されておるということから、いろいろ御懸念をお持ちのようでございまするが、それについては、林野行政全般について、新しい時代の要請も取り入れて、これからどうしていくかということを詰めていく段階において、なお研究をする余地があると、こういうことを申し上げておるところでございます。また、民有林を重視しての林野行政をよく考えるようにという御注意については、これはもう十分、私どもとしても考えて処していきたいと思います。
  188. 向井長年

    向井長年君 それからもう一つ、先ほど言われている公益的な問題につきましては、一般会計で今後やっていくべきである、こういう点につきましては、大臣はどう対処されますか。
  189. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これは、今回の予算の場合に、従来の方針を変えたわけでございまして、今後におきましても、その方針を拡充してまいっていきたいと考えております。
  190. 向井長年

    向井長年君 そこで、この問題、先ほどお聞きしましたが、確たる答弁がないんですが、勧奨退職、その他の退職、他省への移管、こういう問題につきましては、少なくとも当人の意見を聴取して、そして当人の了解のもとで、もし少々あるとすれば、そういう形で運営されると思いますが、この点についてどうですか。
  191. 福田省一

    政府委員福田省一君) これは人事に関する非常に大事な問題でございますので、十分本人の意向等も聞きまして対処してまいりたい、かように思っております。  で、要するに、私の考えておりましたことは、赤字を消すのが国営の主目的であるということは、先生御指摘の点につきましては、そうは考えておりません。やはり国営の役割りは何であるかということに基づきまして、それを当然みずからの企業が努力すべきところは企業として努力していく、公益的な面は一般会計にお願いするという立場に立ちまして、それではこの国営というのは、どういうふうな仕事の分野でどういう仕事の量になっていくか、それに見合った人員はどの程度になるのかということを、そういう順序で考えていかなきゃならぬと、かように思っておりますので、それに伴って、すぐまた人を何名やめてもらうとか、簡単に考えておりません。いまお話ししましたような趣旨に沿うて、御本人の意向も十分聞いて対処してまいりたいと、かように思っております。
  192. 向井長年

    向井長年君 そんなことを言うたら、また逆戻りするんだよ。先ほど行管庁長官も、あるいは農林大臣も、一つの大きな今後の取り組み方というのは、基本線は、先ほど言ったことを了解されていると思う、私の言うこともね。そういう中でやっていく、これは新規事業もありますよ、そうでしょう、一般会計で買い上げなさい——新規事業も出てくるのだ。だから、そういうような方向でやっていく中で、しかしながら、まあ退職問題が若干でもあるとするならば、これは本人の意向を聞くのはあたりまえだけれども、聞いて了解の上でやると、それはあなた考えなさいよ。ある程度の年齢に達して勇退し、あるいはやめていく人は、これは現在もあるのですから、これはいいですよ、そういう諸君は、やっぱり本人も了解していくのだから。ところで、ここで、そのために大幅に、あなたはやめなさい、これとこれだけ——言うならば整理ですよ、これは。首切りですよ、これは。そういうことは簡単にやるべきではない。もしそれがあるとするならば、本人が十分了解した上でこれは実施に移すということもあり得る、こういうことならばいいんですよ。  しかし本人には聞くけれども、おまえはもうわからないからこうせいああせいと言って、無理やりに肩たたきか、真綿で首を締めるような形でやめさしていくということは、これは生活権の問題ですからね。そういう問題を、私は、いま勧奨退職なり一般退職という問題については、本人が心から理解して、了解して初めて実施されるということであれば、いいということです。そういうことですか。
  193. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これはもう言うまでもないことでございまして、何らかの強制的手法によってやるようなことは考えておりません。
  194. 向井長年

    向井長年君 これは、ひとつ行管庁長官も頭に置いておいてください。そういうトラブルが起きる可能性がありますから、これは。あなたの構想からいえば、そういうことになる可能性もないとは言えません、ないことを望んでおりますけれども。  そこで、これは最後になるかと思いますけれども、両院の決議にもありましたように、特に常用の職員ですね、常用の定期作業員、これは現在、日給月給ですか、何か給与が、これが問題になっていますね。この常用の作業員、これに対する給与問題はどうなっていますか。行管庁長官は忙しいからけっこうです、どうぞ。
  195. 福田省一

    政府委員福田省一君) 常用作業員の日給制を月給制にしてはどうかという御質問趣旨かと存じますけれども、これは定員内職員ということで、従来、機械作業については繰り入れておりました。これは問題ございませんけれども、やはり一つの制度に関する問題でございますので、関係官庁とも十分協議いたしておりますけれども、なかなか困難な問題であると考えております。
  196. 向井長年

    向井長年君 これは総理府の人事局長ですか、これはどうなんですか、他省にもまたがる問題ですが、この問題については。
  197. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) この問題は、基本的には定員管理なり雇用制度、さらに別個には国有林事業の経営というふうな問題があろうかと思います。  で、ただこの問題だけを取り上げまして、総理府の人事局のほうで特段の措置を講ずる——私のほうで講ずる措置といえば退職金の制度でございますが、そういうものについて直ちにこれを解決するということはなかなか困難でございまして、基本的な問題のからみ合いの中で、なるべく給与につきましても公正妥当なものを求めていきたいというのが、私たちの基本的な考えでございます。
  198. 向井長年

    向井長年君 この基幹産業職員の月給化というものはできないのですか。
  199. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) これは雇用上の問題になりまして、現在のこの雇用の形態でありますと、まあむずかしいのじゃないだろうか。それを改めるためには、また定員化という問題が入ってまいりまして、定員化をするということになりますと、いまの定数管理の問題と、昔から御承知のようないきさつがございまするので、どうも私たちのほうで、一存に判断はできかねるという状況でございます。
  200. 向井長年

    向井長年君 長官、どうなんですか、この取り扱いについてどうなんですか、あなたはこのままでいいのか。
  201. 福田省一

    政府委員福田省一君) 常用作業員と申しますと、特に現場の仕事をやっておる人たちの中心でございますし、続いて定期作業員と申しますのも現場作業員の中心でございます。この人たちが、日々雇用されながら、特に常用作業員につきましては、繰り返し十年以上つとめておるという者は三五%もございます。それぐらいこれは、私たちの仕事をやる上にとっては重要な中心になる基幹の作業員でございまするので、この人たちの処遇が安定し、そして労働条件が改善されることを非常に希望しているわけでございます。ただ、この問題につきましては、林野庁限りで決定でき得ない問題でもございまするので、今後関係官庁とよく相談いたしまして対処してまいりたいと、かように考えております。
  202. 向井長年

    向井長年君 総理府、こういう問題、各省との均衡があると思いますが、これはやはり、少なくとも、必要であれば定員の中へ入れてやっていくということが必要じゃありませんか。そういうことをあなたらは検討されますか。
  203. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 定員化の問題になりますと、行政管理庁のほうの問題でございまして、もちろん、従来から長いいきさつのある問題でございますから、私たちも問題の所在はよく存じておりますけれども、総理府のほうでリードしてものごとを解決するというのはちょっと困難な状況でございます。
  204. 向井長年

    向井長年君 これは統一見解を出したんじゃないですか、前に各省の問題として、どうですか、統一見解は。
  205. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 四十六年の四月に政府としての統一見解も出してございます。その中身は、すでに御案内のように、雇用の実態が常勤の職員に類似をしておる、しかし、これらの基幹的な作業員を制度的に常勤の職員とすることについては、国家公務員の体系にかかわるなかなか困難な問題でもあるので、慎重に検討してまいりたいと、こういう統一見解でございます。
  206. 向井長年

    向井長年君 これは大臣どうなんですか、検討してまいるという統一見解ですけれども、これは本来、そういう形でもっていかなきゃならぬ問題だろうと思うんです。その点について、今後、各省にまたがる問題ですから、農林省としては、そういう形で今後も努力するということをされますか。
  207. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 処遇の安定を期するということは、われわれとして十分考えなきゃならぬことでございますが、先ほど担当者からお答え申し上げておるように、農林省だけの問題でもないということでございます。したがいまして、この機会に申し上げられますことは、私としても関係各省と十分連絡をいたしまして、処遇の安定を期するという立場で意見を述べてまいりたいと思います。
  208. 向井長年

    向井長年君 これはぜひ大臣、この決議がそうなっておるんですよ、両院の決議が。この決議を尊重してやるということですから、もうこれ決議してから二年近くたつんですから、早急にひとつ結論を出すように農林大臣も努力を願いたいし、総理府にも努力をお願いしたい、こう思います。  それともう一点は、定期作業員の帰休ですね、休みがありますな。この間は何も払ってないんでしょう、いまは。少なくともこれは、定期的にそういう時期があるわけでしょう、六カ月なら六カ月問。こういう中においては、少なくともこれは、帰休制度の給与というものを考えなきゃならぬじゃないですか。少なくとも、全部じゃございませんが、何割かは。この点どうなんですか。いまは失業保険に依存しておると思いますが、この点については、もうそれからよそへ行かないんだから、定期的な問題だけですから、その期間だけは。したがって、これは何割かの給与を出していくべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  209. 福田省一

    政府委員福田省一君) 御指摘のように、定期作業員につきましては、失業者の退職手当等が出ております。御質問趣旨は、休業補償制度のことについてかと思います。  この点につきましては、長い間の懸案事項でございまして、実は昨年の林政審議会の答申の中にも、そういった制度については検討するようにというような趣旨がございます。したがいまして、私たちとしましては、十分関係官庁とも連絡をとりまして、努力してまいりたいと、かように考えております。
  210. 向井長年

    向井長年君 時間がまいりましたが——まいりましたというよりか、まだほかにございますが、一応、農林大臣、私が先ほど、情勢とあわせて今後の林野行政について、総合林政という立場で申し上げましたので、そういう点を十分ひとつ含んで、今後林野行政の遂行に当たっていただくことを希望して、また残余の問題につきましては農林水産委員会大臣にもお伺いしたいと思います。これで林野庁は終わります。  そこで、畜産局来ておられますか——次に私は、畜産関係で、特に鶏卵の問題で質問をいたしたいと思います。  いまどうなんですか、卵ですね、鶏卵、これは需給のバランスはとれておるんですか。
  211. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先生御案内のとおり、他の畜産物に比べましては、鶏卵の消費量はアメリカ、イスラエルに次ぎまして、今日のパーヘッドの消費量は世界第三位くらいに到達しております。したがいまして消費量自体の伸び率は高くございませんけれども、一応、年率二ないし三%程度で伸びております。   〔主査退席、梶木又三君着席〕 生産のほうも、先生のほうが御案内かと思いますが、多頭化飼育の伸展によりましてこれに対応しておる。御案内のとおり、季節的なフレによる卵価の高低等がございますが、おおむね需給のバランスがとれて伸びておるというように判断しております。
  212. 向井長年

    向井長年君 価格はどうですか、消費者価格、生産者価格。
  213. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 申し上げますが、卸売り価格等につきましては、御案内のとおり、四十六年から七年にかけて卵価の低迷時代がございましたが、昨年下半期から今日にかけましては、二百十円ないし二十円というような水準を保っておりまして、おおむね生産者サイドからの価格としては、順調な推移を示しておりますし、御案内のとおり、消費者価格も若干高めでございますけれども、各畜産物の中で最も流通マージンの少ないものでございまして、その点では、順調に推移しておるということに判断しております。
  214. 向井長年

    向井長年君 生産は需給バランスがまずとれておる、価格は若干の上がりぎみである。しかし、いま飼料はどんどん上がっているでしょう、えさはこれは上がってきておると思います。どういう現況ですか。
  215. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御案内のとおり、これはるる申し上げませんが、昨年の下半期以降の国際的な飼料穀物原料の需給が窮屈になったり、あるいは価格が高くなりまして、工場建て値段階では一月と三月に相当な値上げが行なわれたわけでございます。この点につきましては、たとえば全農の工場建て値等は八千円台の引き上げがございましたが、これについては、御案内のとおり、二月に飼料緊急対策を講じまして、商系及び農業団体系の価格安定基金で、平均二千円程度の実質補てんをする。あるいは値上がり相当分に対しましては緊急融資を行なう。三月から六月までに対しましては、低利の四分相当額の利子補給を行なう。あるいは需給緩和のために、過剰米及び政府操作麦類等についての緊急放出というようなことによりまして、安定的に推移しておりますが、御案内のとおり、建て値の値上がりが末端——現に養鶏農家等が支払うえさ代に対して響く段階、浸透率についてはまだ若干の期間がございまして、実際の程度については今後の問題かと思いますが、いずれにいたしましても、先生御案内のとおり、養鶏部分は配合飼料依存度が最も高い部分でございますので、この点については価格安定に全力を注いでまいりたいと考えております。
  216. 向井長年

    向井長年君 大体一月から三月までで、約八千五百円程度上がっておりますけれども、四月以降どうなっておりますか、今月以降は、見通し。
  217. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先生の御質問におことばを返すようでございますが、工場建て値の値上げが行なわれ、これに対して、実質的な農家に対する響きを小さくするという意味で、各種の緊急対策を行なっておるところでございますが、四月以降につきましては、なお輸入穀物原料の価格の高騰というものが見通されて、再値上げ的な動きが見られましたので、これにつきましては、二月から三月の動向を注視しておったわけでございますが、為替の変動制に伴うメリット、原料のメリットをできるだけ製品価格に反映させるとか、その他適切な処置によりまして、四月値上げを、全農はじめ関係メーカーについてはこれを押えるようにという指導をしておりまして、まあ関係メーカーのほうでは、政府側の適切な措置に期待して、当面見送っておるというのが現段階でございます。
  218. 向井長年

    向井長年君 大体、需給のバランスがとれるよう、飼料問題についてもそういうてこ入れを今日してきていると、何とか安定の方向をたどるであろうと、こういう答弁ですね。しからば農林省から各企業あてに五%の生産調整を指示されたでしょう。これはどういうことなんですか。
  219. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先生御案内のとおり、需要の伸びが、なお伸びるけれども、その伸びが急速ではないと。一方、供給サイドから見れば多頭飼育が進み、非常に大規模養鶏が進みまして、供給過剰的な要因を多く持っているのが鶏卵の部門でございます。そのためには、昨年からやっぱり生産面においても需要に見合った調整をいたすということで、県と国が一体になりまして、生産調整を行なっておるわけでございます。  で、四十八年度につきましては、先生御指摘のように、一方においてはえさ高があって、えさ高で卵安であっては非常に農家経営に大きい影響を及ぼす。したがって、需要に見合って生産を伸ばしていくということで、特に慎重な配慮をしたわけでございますが、端的に申し上げますと、県段階におきまして、県が積み上げてまいりました数字自体、これはやや過大であったとわれわれは判断したわけでございます。これは現実にひなを導入し、鶏卵を生産するというようなものよりもやや過大であったと、したがって各県と話し合いをいたしまして、五%程度、その県の総集計よりも押えることによりまして、全体としての卵価水準というものをある程度適正な水準で維持し、需要にもこたえるということで措置をとったのがありのままの実情でございます。
  220. 向井長年

    向井長年君 これは、われわれしろうとですが、実際、自由経済社会においては、結局、言うならば需給がアンバランスであれば別ですが、バランスがとれているという中で、なぜ生産調整をしなければならぬか。これは常識論だ。そうでしょう。そこで、もし、それを価格引き上げの問題だと一これはいま物価問題を考えて、いまこの価格も二百二十円近く上がりつつあるというんでしょう。そうすると、これはやっぱり生産者の問題を考えなければならぬと同時に、消費者の問題も考えなければならぬ、われわれはね。  そういう立場で考えるならば、需給のバランスがとれているやつをなぜ五%の生産調整をしなければならぬのか。需給のバランスが、非常に過剰であるというならば、それは若干の調整というものは、米のごとく考えなければならぬ場合がありますよ。しかし、バランスはとれていると、飼料対策もそこそこでもできていると、こういう中で、これは国民はわからぬですよ、私たちわからぬ。消費者の立場から言うならば、自由競争ですから、たくさんものが出れば安くなるんですよ、これは、自然。そうでしょう。生産者に対しては別な形においての、いわゆる優遇といいますか、助成というものは考えられるじゃないかと、こういう感じを私たちはするわけだ。これはどなたでもみな常識だと思うんですよ。それを、バランスとれているのに生産を少なくせいということはどういうことなんだ、これは。
  221. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先ほど申し上げましたように、県の数字が全体の需給のバランスがとれているという数字とはわれわれは思っておりません。これは各県の積み上げの数字でございます。これについては、われわれのところとしても、一方における需要の伸びをにらみ合わせまして、特に、先ほど申し上げましたように、飼料高で卵が安いというような事態で、過去の四十六年、七年当時の百六十何円とか百七十円とか、そういう水準に落ち込むことについてはきわめて慎重な配慮が要るということで、おおむね二百円台の水準で推移すれば、ある程度の値上がりも、これは政府の施策が完全に行なわれました場合においても、相当な今回の値上がりでございますから、農家の経営に対する吸収の配慮は必要である、価格面による。そういうこともございまして、われわれはおおむね五%程度、県のそれぞれおっしゃる数字を減ずることによって、こういうむずかしい段階の鶏卵の需給、生産者の経営の確保、あるいは消費者サイドへの配慮というものを調和できるというふうに判断したわけでございます。
  222. 向井長年

    向井長年君 それは一貫しませんね。なぜですか、それだったらなぜ、毎年毎年液卵に対しての輸入をどんどんやっているでしょう。輸入を増大して生産を減らすというのはどういうことですか。問題は、少なくとも液卵がどんどんふえておる状態であると私は見ておるのだ、いまのところは。そういう中で国内生産を減らして需給をとる、それから輸入はする。こんな一貫しない行政はないですよ。そういう問題とあわせてどういうように答弁しますか。
  223. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 輸入の問題が出ましたが、御案内のとおり、液卵なり、あるいはからつき卵については自由化されております。これについては国内生産をなお伸ばすという立場から慎重な調整が必要であるということから、輸入関係の業界、実需者、輸入商社等で調整協議会を開きまして、国内生産をにらみながら輸入量をきめていくということとともに、先生御案内と思いますが、関税につきましても、特に豪州液卵等の安いものが入るという配慮から、二五%という定率関税に、さらにキロ当たり六十円というのを、昨年関税率を改正いたしまして、国内への悪影響も配慮しながら、数量も国内生産に見合いながら進めていくということでおるわけでございます。  それからもう一つ、私、申しおくれましたが、生産調整の場合に、やや卵価が、比較的昨年下期よりも高かったものでございますので、老鶏の淘汰がおくれていると、その数、新びなを入れる、置きかえていくということでも、生産量については五%程度にはなるのじゃないかという点もございまして、先生御指摘のような数字に相なったというのが実情でございます。
  224. 向井長年

    向井長年君 これは納得できませんよ。これは少なくとも、生産調整と言われるけれども、非常にアンバランスという立場のときにはわかりますよ。大臣、自由経済でしょう、自民党の政府は。自由経済の中で、まず消費者の立場からいうならば、ものが安く買えるということは一番いいのですよ、豊富であって安いことがいいのですよ。それに逆行するようなことを考えることはこれは間違い。そうかといって、生産者の立場を考えなければいかぬ。生産者の立場を考えなければならぬから、御承知のごとく安定基金ができたのでしょう、それで調整するつもりでしょう、これは。卵価安定基金というものをつくってあるはずだ。それに対して生産者に対する助成というものを卵価の動揺の中で考えていくというのが一つの調整じゃないですか。そのためにこの卵価安定基金というものはつくられて、この問題に対する基準も、現在百六十三円でしょう、これは少なくともいまの段階からいえば、二百円にしなければならぬということなんでしょう。そうですよ、もう。それくらいやって初めて生産者は意欲をもってやるのですよ。消費者に直接の問題じゃありませんよ、これはね。そういうところで調整していくことは話がわかるけれども、ただ価格の調整のために五%を減らすのだというものの考え方、あり余っているわけじゃないですよ、いま。もしあり余っているというのだったら、液卵等の輸入をできるだけ調整すべきですよ。非常に本末転倒した行政をやっていると、私はこう見るんだ。そこに、これ常識論ですよ、一般の国民が考えた場合にね。そういうことをあんたたち考えませんか。だから、私ここで言いたいことは、自由経済であるならば、たくさんできるならば安くなる。安くなってものが安く豊富に消費者に売られていく、これが一番正しい自由経済のあり方。しかし、それであるならば生産者は困る。その生産者に対しましては、先ほど言った卵価安定基金というものを拡充して、そしてその人たちの優遇をしていく。意欲を持たさなくちゃいかぬでしょう。それが一つ。  それと、五%端数と言うが、この問題について、鶏卵組織、いわゆる養鶏家のこういう組織はかちっとして、いろいろ統制はとれるでしょう。ところが、一般のアウトサイダーがたくさんおるんですよ。こんなものは自由でしょう。しかも、その人たちはそれで生計立てているわけじゃないんですよ。他の農業をやり、他の方法をやって、若干養鶏もやっているわけだ。それと専業養鶏家というものがあるでしょう。そういうところに手をつけるですよ、あなたたちは。それは、直ちに生計が困るじゃないですか、ここは。この論理をあなたたちどう考えているんだ。どうも私、納得できないんだ、この問題。わかるように答弁してください、一貫した問題。
  225. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先生の御指摘の点はいろいろあるかと思いますが、第一点の、御案内のとおり、全国と全日本の二つの卵価の適用がございまして、これによって卵価の安定をやっておりますが、これは自主的な安定基金で、非常に暴落した場合の下値ささえのものでございます、言うまでもなく。したがいまして、これについては、この基準の算定についても、暴落時を頭に置いて下値ざさえということをやっておるわけでございまして、したがって、これを相当大幅に引き上げるということになりますと、われわれ端的に申し上げますと、相当な生産増加の刺激になり、また卵価の、一昨年から昨年へかけての低水準というような問題が起きるのではないかというふうに実は考えておるわけです。  それからもう一つ、液卵輸入の問題でございますが、実はこれは自由化されておりまして、したがって、その中でも国内生産との調整をできるだけはかるように自主的な輸入数量の調整ということをやっておるわけでございます。で、養鶏のような専業的な農家がたくさんおられる、しかも五千羽以上のような大きな経営というもののシェアがますます高まってくるというような部門におきましては、需要に見合った生産を、一つのターゲットのもとに、自主的に需給を調整して、その望ましい価格を実現していくというのが本来的ではないかというふうに考えておりまして、その場合に、一つの呼び水として生産調整指導を、過去の暴落の苦い経験から、国なり県なり関係団体が話し合って進めておるというのが実情でございます。
  226. 向井長年

    向井長年君 それはあなたの言うことは通りませんよ。これは先般の原料乳あるいは豚肉が上がっておるでしょう、二十円上がったり。これは政府の支持価格ですよ。支持価格というのは昔の公定価格みたいなものですよ。そうでしょう。そういうようにして、こういうものはどんどんと上がっていっておるんですよ。そこで卵価の場合においては、これはやはり百六十三円ということで基準をきめられておったら、生産者みずからは困るんじゃないですか。その補てんはやっぱり基金でしてやらなければいかぬのじゃないですか。その価格の支持というものが百六十三円でいいのかと、これはどんどんと支持価格は上がっている、よそは。これはそれで押えられていると、こういう形で生産者は意欲をもってやれますか。やれないでしょう。その点どうですか。
  227. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  先生のほうがお詳しいかと思いますが、百六十三円なり百六十五円という安定価格は、安定基準価格という下値ささえの価格でございまして、暴落時にこれで基金を補てんをすると、豚肉の場合は事業団が買いに出るというような制度になっております。これの算定のしかたは、過去の生産費の変化率なりあるいは需給係数等を勘案して、平均価格に対して過去の一番落ちたときの価格ですね、これで算定するというような算式になっておるわけでございます。したがって、過去のデータから百六十五円というのが出ておるわけでございまして、これが絶対に動かすべからざるものであるというふうに私どもは申しておるわけではございませんで、最近におけるえさの問題その他、需給関係の変化というものを織り込んで、毎年秋にこれを生産者団体とお話し合いの上で改定していくということでございますので、ただいま先生おっしゃいましたこの保証価格の問題については、最近の諸要素を取り入れて検討していくべきものであるというように考えております。
  228. 向井長年

    向井長年君 それであるならば、これは百六十三円をそういう生産者と話してこれを上げますな。これはみなの要望だと思いますよ。ところがあなたのほうは、なかなかこれを聞こうとしない。前でも百六十五円と言っておった。それを百六十三円に押えたそのままなんですよ。これはどうなんですか。
  229. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 私、先ほど卵価が現在は二百円台の比較的いい水準にあると申し上げましたが、今後、御案内のとおり、やや低落期ですね、不需要期で、しかも非常に産卵率が高まるというような時期ですね、ここにおいて実現される価格で、現実の鶏卵価格等もにらんできめる必要があるというふうに考えておりますが、われわれのほうとしては、いまが絶対であって、合理的な改定をいたさないというような姿勢でおるわけではないことを重ねて申し上げます。
  230. 向井長年

    向井長年君 われわれの立場では、消費者には良質な鶏卵を安く売るという、これが一つ。それから生産者には意欲をもってやれる採算の立つ生産をやらさなきゃならぬ。いまやっぱり何ぼてこ入れ——あんた、何といいますか、古米を配合飼料で出したと言っておられるけれども、結局、飼料の値上がりというものは、これは輸入ですからね、したがって、これは現在膨大なものですよ。そういう中で、生産者はいまやはり相当これに対して苦境におちいっている。そういう中で、五%の端数を減反せよと、こういうことになれば、専業のいわゆる養鶏家は非常に苦境におちいるんじゃないですか。それをやはり意欲をもってやらそうとするならば、一つには、先ほど申しましたように、一つの卵価安定基金という基準価、これを上げてやらなければならぬ。これを上げたからといって、直ちに消費者にそれが影響するわけじゃないんですから、そういう二つの立場を考えて、畜産行政は、あるいはまた卵価問題についてはあっていいんじゃないかと、こういうことなんですよ。これどうですか、農林大臣どうですか、私のいま言っていること。
  231. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 現在の状況からいたしますと、向井委員のおっしゃることは私にも理解ができるんでありますが、この安定基金による価格の決定は毎年秋に行なっておる。そこで局長からも、これを絶対的なものであると言っておるんではないと、こう申し上げておるわけですね。それからもう一つは、これは下値ささえであるという趣旨も申し上げておる。そうしますと、秋にこれをどういうふうにするかというときには、おのずから諸般の情勢を考えて、申請するものはするということになると思います。  しかし、と言って、いまの状況下において一体どうするかということを考えたときに、別に、がんじがらめに絶対的に五%をどうこうと言っておるのではなくて、卵価が暴落してはいけないので、どうもそういう傾向を認めるので、この程度の自粛をしたらどうかという、ほんとうの意味における行政指導的なことを農林省から各県にやったものと思うんです。で、私はまあそれはそれなりに効果を期待しておるわけでございます。  ただ、向井委員のおっしゃるように、他に方法があって、養鶏の皆さん方を保護する、生産費を十分償えるような方途が、いまこの際に直ちにあればけっこうでございますが、どうもこの基金を使うにしては下値ささえだからだめだという状況。まあこういうことでありますから、やむなく今回のような指導をいたしたと私は見ておるわけであります。しかし、おっしゃっておることは、消費者にとっては、もっとどんどん卵を入れて安いほうがよろしい、生産者にはもっと何かくふうせい、そのおっしゃることはよく私にはわかります。
  232. 向井長年

    向井長年君 時間がございませんから多くはのべませんが、やっぱり生産調整というものは、輸入とのかみ合いがあると思うのです。当初この問題を私が取り上げたときにはわずかだったはずですよ。それから輸入は増大しませんということを当時の大臣も明言した。やっぱりそれはだめなのだ。いまの商社と一緒ですよ。自分たちがもうけるために——南のほうの国から入ってくるのでしょう。この輸入は、政府みずからこれはダンピングしている、政府が助成している。それで安く入るのだ、あれは。おそらくそうだ。調査したらそういうことでしょう。したがって、それに依存して、そして国内産を減らさなきゃならぬということは、これは本末転倒である。しかも消費者卵価についても、世界各国一ぺん調べてみなさい。日本は高くないですよ。私は調査しましたよ。アメリカ、日本というようなところは高くないのです。そういう卵価を持っている中で、それ以上質の悪いやつが政府補助の中から安く入ってくれば、それをどんどん液卵として入れて、そして国内を調整していくということは、これは私は消費者の立場あるいは生産者の立場を考えると、必ずしも得策でない。そういう意味から、ひとつ十分検討願いたいこと。  それともう一つは、先ほど言った基金の問題については、十分生産者の意見を聞いて、いずれこれまた私からも意見を述べますけれども、具体的に何ぼにするかということを、ひとつ畜産局のほうでは検討願いたい。これは全部の生産者の要望ですからね。この要望をあんたたちが押えているのだから、その問題をひとつ十分検討されることを期待して、私、質問を終わります。
  233. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 御意見よくわかりました。
  234. 森中守義

    森中守義君 林野庁おりますか。ちょっと時間がおくれておりますので、要約して二、三問お尋ねします。  熊本県の矢部というところに営林署がある。ここの矢部の営林署で、昨年、連続をしてクマザサがたいへんばっこしている。これが立木の成長に妨げになるというわけで、おそらく合理化の一環だと思うのだが、農薬散布を試みた、ヘリコプターでね。ところがその農薬が人畜に対して顕著な被害がある、こういったように住民から意見が出ている。町の議会がこれを議論をして、議会では住民の意思を受けて、この農薬を散布したならば、農産物あるいは河川の水族への影響がある、こういう認定をして反対の決議をした。そこでその決議の上に立って町長はじめ町の執行部と出先の署長との間に、連日のように協議が行なわれた。当初は町の議会の同意を得ないではいたしませんと、散布の実行をしない、こういうことを営林署長は言明したらしい。ところがどういういきさつだったのか、結果的に合意されたものを踏みにじって一方的に農薬を散布した。これが昨年大問題になって、熊本営林局の指示に基づいて出先ではやったと言う、営林局は本庁の指令に基づいたと、こう言う。こういうわけで、いまなおそのしこりが残っていて、いつまた何どき一方的に散布を実施するかわからないという、こういう不安な状態にいまあるようです。  そこで、問題の所在である散布薬がはたして人畜に顕著な被害をもたらすのかどうか、いわゆる公害ですね。こういう農薬あるいは薬物等を使用するという場合、当然厚生省の安全基準があるはずですから、こういうものに照らして、これはやってよろしいとか、よろしくないというような厚生省は判定をつけるはずですよ。そういったようなことを、厚生省との間に林野庁は行なっているかどうか、これが第一点。私の聞いた限りでは、厚生省に対して林野庁は、使用する薬品の安全基準について照会をしていないらしい。それを町の議会が非常に問題にしているのですよ。だから町の議会のほうでも、しかるべき権威ある機関が、この農薬は使ってよろしいという認定を経ているならば何をか言うところはない。けれども、安全だと疎明する内容はないと、こういうのですね。この辺の取り扱いがどうなっているのか、これが第一点。  それと、住民あるいは地方の議会等で、こういうような問題が、同意が与えられない。依然として不安全な認識があるという場合において、一方的に強行するということは、幾ら林野行政といってもこれは許されない。したがって、この種の措置をとる場合には、議会側と了解をつけるという、これから慣行ができ上がっていいと私は思うんだけれども、それをやるかどうか、これが第二点。  それから第三点は、ちょっと午前中に非公式に申し上げておいた薬品の名称。それと、その薬の構成、成分というのかね、どういう要素からその薬品が成り立っているのか。それから製造したメーカーはどこか。購入した単価は幾らなのか。使い始めて以来、年次別に購入した数量、使用した数量、差し引いた在庫量、それからメーカーは、一社あるいは三社あるとするならば、そういうメーカー別にあげてもらいたい。また将来の散布計画がどういったようになっているのか。所定の計画をお持ちであるかどうか。このことをちょっと最初にお尋ねしておきたいと思います。
  235. 福田省一

    政府委員福田省一君) ただいま御指摘の、矢部営林署の問題でございますが、正確な御質問の内容は資料でお答えいたしたいと思いますけれども、突然の御質問でございますので、私いまわかっている範囲内でお答えしたいと思います。  で、薬は塩素酸ソーダでございまして、実はクマザサとかネマガリダケとかいう竹の類は、これはそこを刈り払って木を植えるということは非常にたいへんでございます。で、かまとかのこぎりでやりましても、なかなかこれは困難なものでございます。で、この塩素酸ソーダを使いますというと、これはふしぎに禾本科の植物だけにきく薬でございまして、分解いたしますというと、まあ食塩と同じものになるわけでございます。厚生省のほうとこれを協議いたしまして、ある一定の使用の基準に基づくならば、人には害がないというふうに承認を得ております。一定の基準という内容につきましては、詳しい内容でございますので、あと資料で提出いたします。  それから、このネマガリダケ、あるいはクマザサというふうなものは、いま申しましたように、その薬をまきますというと、一年くらいで変色し、二年か三年で腐ってしまいます。したがいまして、そのあとに木を植栽するとき非常に楽なわけでございます。承知のように、非常に竹の根は張っておりますので、これをもし機械でやりますというと、けがをしたり、なかなかたいへんでございます。そこで、人手が非常に足りない場合に限りましてこの薬を散布しておるわけでございます。  それから特に御指摘のございました、議会等で決議した、あるいは地元に反対があった場合にも強行するのかという御質問でございますけれども、これは林野庁の指導方針といたしまして、これを実行する場合に、必ず地元の関係される人たちの納得を得た上で実行するようにというふうに、はっきり通達を出してございます。もしそういったようなことを強行したとすれば、何かの手違いがあったのかと思いますので、十分この点は調査してみたいと思います。なお、これは一定の基準と申しましても、飲み水であるとか、あるいは畑であるとか、そういう作物をつくっている場所とか、公園とか、あるいは特別保護区であるとかいうふうに、非常に限定しておりまして、そういうところには絶対影響を与えない場所に限り散布するという制限もつけてございます。  それから単価とか、使用量とか、在庫、購入の量はあと資料で御提出いたします。  今後はどうなのかということでございますが、実はいま統計ここにございませんけれども、最近は非常に使用量は減っております。その理由は、非常に地元の人たちの説得が容易でないのでございまして、よくわかっていただきますというと、これらは非常にいいんだということで、だいぶ民間関係でいま使っているところもございますけれども、やはりいま申し上げましたように、十分納得してから使っていただくということを前提にいたしておりますので、その影響もございまして、使用量はだいぶ最近は減っております。現地も私見たことございますけれども、現地の作業員に聞きますと、これは非常に効果があっていいと、自分で刈り払って掘って植えるというのはたいへんなんで、ちょっと一年ぐらい薬を散布したあとにこれを使うと、非常に掘りやすいし、木も植えやすいし、いいんだということを現に聞いたこともございます、これは昨年でございますけれども。ただ、そういうササの類が非常にはびこっておって、それをまいたあとに——天然林に主として使いまして、天然林の中で、ササを枯らして、その天然林が、そこに種が落下して、自然に天然更新ができるというところが非常に効果があるわけでございます。  以上わかっている範囲で御説明申し上げたわけでございます。
  236. 森中守義

    森中守義君 大臣、いま大体、意思としてはわかりましたが、説明のように厚生省も、一定の基準に従えばということのようなので、それが問題だと思うのですね。要するに使用する量にもよるであろう、これが相当量になれば、やはり危険性があるという解釈に私はいま立っています。したがって、全く住民が心配するような危険はないんだということは、いま一定量ということで大体推しはかることができるのですね。これはやはり新たな無害の新薬の開発とか、そういう方向にも並行的に行くべきであろうし、同時にまた議会等に対しては専門家の認識と、そうでない人の認識、だいぶ違いますよ。私もそういう知識を積んでおれば、けしからぬと言うかもわかりません。これは相当長期にも、時間をかけてでも説得するように、理解を得るような努力が必要だと思うのですね。そういう意味で、大臣、あらためて通達を出したと、こう言ったので、いまの事例は通達の前であったかあとであったか、そこまで時間がないから問いませんが、おそらくは通達前であったかもわからない。そういう事例が出たので、通達というかっこうに発展したものと解釈をしておきましょう。  そこで、これからの実施計画等をされる場合には、いかなることがあっても、地方の議会等の同意を得る、協議が成立しなければ実施しない、これだけはひとつ守ってほしいと思うんですね。大臣ひとつその辺どうでしょう、林野庁に特に指示してくれますか。
  237. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) いまの御説明で御理解をちょうだいしたと思いますが、矢部営林署としても、善意に立ってこの農薬散布をやっておると思います。そこで、御心配の一定の基準ということが、どういう範囲か、この辺が問題であると、それは御指摘のとおりで、この辺は厚生省との間でもう一つ詰め協議をしてまいりたいと思います。  なお、地域住民の同意を得てやるようにということは、すでにただいま通達も出しておると、こういうことでございまして、必ず了解を得て実施をするようにいたしたいと思いますが、それよりも根本的なことは、これが心配がないのかどうかというところにあると思いまするので、この辺につきましては、さらに厚生省との間でよく協議をいたし、不安のないという前提に立って散布を、もしやるならばやるということにいたしたいと思います。
  238. 森中守義

    森中守義君 最後にもう一問お尋ねします。  昨年の九州それから西日本一帯の大水害、災害のときに、熊本県の人吉とか天草、それから高知、それから愛知でしたかね、この辺の異常な大災害の一つの要因をなしたものは、異常な雨量ももちろんでしょうが、一つには国有林の乱伐が要因の中に入っていた。私も見に行った。特に人吉をヘリコプターあたりから見ますと、まことに惨たんたるものでしたよ。よって、どうも少し独立採算の実績をあげたい、赤字を解消したい、つまり生産性を高めたいということで、どうも乱伐の傾向があるんじゃないか。ですから、いま本庁のほうで計画をされた計画伐採というものが、少しく過度に過ぎているんじゃないか、災害対策とか国土保全ということに多少薄らぎを持っているんじゃないかという気が私はするんです。そこで、現在のそういう生産計画はもちろんですが、はたして林野行政、林野庁の仕事というものは、特別会計、独立採算でいいのか悪いのか、この辺そろそろ私は見直しの時期に来ていると、こう思うんですが、これについてはどうお考えなのか、これが第一点。  それから林業基本法の中に示されている、つまり政策目標ですね、政策目標を演繹して解釈していくならば、当然生産財としての市場の価格調整あるいは需給調整、こういうところにかなり大きなウエートを持っていると、こう思う。しかし乱伐をやる、異常な生産計画をやる、そのことが市場の供給体制にどういう作用を与えたかということになると、いまのような木材の異常な高騰、むろんこれは二、三日前、通産省の追跡調査の中にも、この品目が対象にあげられているけれども、あまりメリットが出てきていない。そういう意味では、生産計画で伐採をやる、しかし市場における需給調整、価格調整にはあまりたいした効果を与えていないというように私は見ているんですがね。その辺に、一体林野庁としては、市場の生産財の動向、需給調整、価格調整、それと生産計画をどのようににらみをつけているのか。  それといま一つは、どうも現在の農林省設置法の中にいう林野の部門というものは、少し現状に合わないんじゃないですか。ちょっといま、しろうとですけれども、設置法を一べつをしてみると、非常に古い。個々的に林野庁は何をするかという仕事が羅列されていますが、むろん林業基本法ができているから、それによって相当の内容的なものについては理解できますが、肝心な設置法の中の林野庁の業務というものは、大幅な変更の時期が来ている、こう思うんですが、この辺についてはどうお考えですか。これまた、いずれかの機会にお尋ねすることとして、以上のことをお尋ねしておきたいと思う。
  239. 福田省一

    政府委員福田省一君) 昨年、御指摘のように、集中豪雨等によりまして非常な災害を受けたわけでございます。これに対しましては、国有林の伐採が原因であろう、大面積の集中伐採をしたことが原因であろうというふうな御指摘もたびたび受けておるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、従来の国有林の経営の方針につきましては、要するに木材増産ということが主目的でないので、公益性を重視した点を考慮しなきゃならぬということによりまして、新しい施業方針というものを定めたのでございます。その考え方は、大面積の伐採でなくて、相当土地がよくて災害の心配ない場所については、皆伐はいたしますけれども、その限度はせいぜい二十町歩、保安林であったら五町歩ぐらいにずっと限定いたしまして、しかもそれを分散した形で伐採をしていく、その同じ場所には数年戻ってこないということにしたわけです。要するに天然林の中にそういった皆伐をしろ、中腹地帯につきましては択伐を中心として皆伐はしない、上のほうにいったらこれは禁伐にする。そういうふうな新しい施業方針を定めたのでございまして、従来は約二千一百万立方切っておりましたけれども、大体一千六百万立方ぐらいに減らすという方針にしたのでございます。こうしますというと、いま御指摘のように、木材の需給関係に非常な影響を来たすのでございますけれども、国内の資源は一応そういたしまして、現在は、簡単に申し上げますと二十億立方メートルございます。これは五十年先には三十六億、約倍近くふやしたい、こう考えておるわけでございます。と申しますのは、現在、戦後に植えた木がようやく二十数年になりまして、まだあと二十年くらいおきませんというと使えないわけでございます。その間、自給率は将来高めますけれども、つまり現在約五七%の外材の比率になっておりますが、これがもう少しふえまして、昭和六十一年くらいには六四%ぐらいになります。しかし五十年ぐらい先には約四〇%近くに落としていきたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、結局基本法の点についての御指摘がございました、需給関係をどうするのかということでございますが、結論的に申し上げますと、当分の間外材に依存せざるを得ないわけでございます。ところが、最近新聞紙上等にもございますように、アメリカ等におきましてはパクウッド法案というのが提案されましたけれども、日本には木材は輸出するな、あと三年ぐらいストップしろというふうな強い世論さえあるわけでございます。アメリカ自体も木材が不足しまして、やはりまた同じように自然環境を保全しろという声が強いわけでございます。  したがいまして、それをどういう形に将来外材をもってくるかということは非常に大事な点でございますので、たとえばカナダであるとか、あるいはソ連というようなところは資源も相当ございます。それから広葉樹につきましては、南方のインドネシア等に相当資源があるわけでございますが、原木でこれを国内に持ってきて、そして国内で加工してまたそれを売るというふうなことでは、先々外国では承知していただけないという情勢になってまいりました。やはり向こうへ行きましたならば、切ったあとは造林するとか、あるいは切った材料はそこで加工して、製品にして持ってくる。そうしなさいと、日本の林業技術というのは相当進んでいるんだから、そういう点についてはぜひ指導してもらいたいというようなことを、昨年もインドネシアの林野庁長官が参りましてそういう要望を受けております。やはりそういうようなことが、南米その他にもございますので、将来の外材に対する補給は、いま申し上げたような方向でまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、設置法の関係についても御質問ございましたが、先ほどの御質問にありましたように、国有林関係を林野庁がやっているというふうに、実は誤解されているんでございますけれども、林野庁はいま四つの部がございます。林政部と、それから指導部——民有林の指導をやっております。約千百人ぐらいの職員でございます。それから国有林関係は業務部と職員部というのがございます。特に国有林の場合は、現場に営林局なり営林署なり事業所がございまして、職員は三万七千七百人くらいおるわけでございます。民有林のほうは職員は少ないのでございますけれども、四十六都道府県を指導しておりますので、その辺の職員を含めますならばもっと多くなるかと思います。いずれにしましても、この国有林と民有林を含めていろいろと一元化した林野行政をやってまいらなければならないというふうに思いますので、設置法の検討等につきましては、私たちもただいま検討している段階でございます。
  240. 森中守義

    森中守義君 またいずれの機会に聞きますが、結局、需給関係になると、現在では国有林あるいは民有林と合わせた国内の生産状態と外材の輸入状態、これで何とか償いをということなんだけれども、いまの住宅状態からいけば、なかなかこれは簡単にいかない、非常に慎重を要する問題だと思う。同時にまた、計画造林、計画植林、おそらく長期的なものになりましょうけれども、そういうものを込みにして一ぺん青写真をつくってごらんなさい。六百万戸建てるとか、あるいは七百万戸建てるとか、いろいろ政策がありますよ。そういうものに対して、どういう対応策を需給問題としてとれるのか、その辺が整理つかないと、とてもじゃないが持ち家政策などというものは考えられない。そういう意味で、一ぺんひとつ林野庁という立場から、そういう木材の需給状態を当分どう見るか、最低五年くらいの見通しを一ぺん立ててもらいたいと思うのです。これは私の希望ですから、そうしなければならぬということではないけれども、どうですか。
  241. 福田省一

    政府委員福田省一君) いま御指摘の点につきましては、見通しと申しますのは、実は森林資源に関する基本計画、将来の日本の森林をどういうふうな形に持っていくかということと、それから木材の需給に関しましては、木材の需給に関する見通しということで、やはり五十年先の見通しということを、一応決定していただきまして、二月の閣議で決定を見ておるわけでございます。その方針に従いまして、資源の問題につきましては、それぞれ全国森林計画というのが国、民林に通じてございます。民有林なら民有林で計画がございまして、国有林なら国有林であれをつくってございまして、十年間の見通し、その次の段階では五年の見通し、それから毎年、毎年の計画というふうに、実は計画が補正されておるわけでございます。  そのほかにまた、ただいま御指摘ございました住宅の計画もございます、建設省の。先般、住宅局と林野庁との間におきまして協議会を持ちまして、私たちも実は住宅計画をあまり先走ってつくってもらっても供給が対応できないと困るわけでございます、率直に申し上げまして。そこでよく、木材の供給が国内の生産と外材の輸入との両者を見て、住宅用の木材の需要に即応できるかどうかということを十分ひとつ御理解願いたいということで協議会をつくってございます、ことしに入りましてから。それからまた、先ほど申し上げました外材の問題、国内材の問題につきましては、価格それから需給の安定問題につきましては、日本の山林所有者であるとか、あるいは加工の業界の代表であるとか、あるいは流通関係代表であるとか、輸入関係代表であるとか、建設関係代表とか、主婦連の代表の方とか、学識経験者、その他いろいろ十七人の委員にお願いいたしまして、今月中に緊急対策をやり、来月くらいの間には恒久対策というものの御意見をいただきまして、林野庁としての対策を確立したいと、かように考えているところでございます。
  242. 杉原一雄

    杉原一雄君 これで終わるわけですが、たいへんお疲れでしょうが、ひとつ勉強していただきたいと思います。  先ほど向井委員が、朝日新聞のきょうのニュースを中心とした米の買い占め数千トン、この問題を提起したわけですね。この中には茨城の場合、福島の場合、茨城県警と福島県警が一致して丸紅に対して調査、押収、攻撃をかけているということになるわけです。私は、また別にきのうの毎日の切り抜きを実はここに持っておるわけですが、その実態等について食糧庁長官から御報告をいただける限りの御報告をいただきたいということと、もう一つは、そういう現象面を追っかけても、もうすでにあとの祭りの感がいたしますので、一つは、これはあくまで警察のねらいは食管法違反ですから、どう違反しているのか、モチ米ですね、この辺のところを、食管法の何条のどこにどうひっかかるのか、そういうことを明確に法解釈の見解をひとつまず明らかにしてもらいたい、こう思います。
  243. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) まず経過でございますが、食糧庁といたしましては、二月の下旬に、モチ米につきまして、未検査米を中心に約五千五百の倉庫を調査をいたしました。その結果、非常に大量なものということで三件を告発したわけでございますが、食糧庁といたしましては、その倉庫調査のねらいが流通段階に滞留をしておりまして、買い占めなり売り惜しみがあってはいけないということで、食糧庁が調査に入りますと、まあいわばその影響によりまして、実需者の手に渡るというところをねらったわけでございますが、三件告発いたしましたのは、一つの倉庫に大量にありました、しかもそれが実需者の手にあるというふうには一応思われますけれども、問題あるんではないかというものを告発をいたしたわけでございます。   〔主査代理梶木又三君退席、主査着席〕 その際に、われわれとしましては、現在の所有者はだいぶ把握はできるわけですが、それがどういう経路でどういうふうにして入ってきたかということは、なかなかわかりがたいものですから、現在の所有者ということで告発をいたしたわけでございますが、なおその際に、茨城の場合の東京あられのほうにつきましては、どうも前所有者でありますか、あるいは金融面での介入でありましたか、商社が介入をしておるということも、あわせて警察当局には通報をしておいたわけでございます。その後、われわれの承知しているところによりますと、茨城県警、あるいは福島県警が捜査に入っておりまして、その関係者をいま呼んで、順次聞いておるというふうに承知をしております。  それからなお、お尋ねの押収の問題でございますが、これはまだ、私たち具体的には聞いておりませんが、やはり捜査の一環としまして、証拠物件を固めるという意味で、押収があるいはあるのかというふうに思っております。  それから、食管法のどこに違反するのかということでございますが、これは法律で申し上げますれば九条でございます。九条は、「政令ノ定ムル所ニ依リ主要食糧ノ配給、加工、製造、譲渡其ノ他ノ処分、使用、消費、保管及移動ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」ということになっておりまして、数多くの命令が政省令にあるわけでございますが、基本的には、生産者の側から見ますれば、生産者は政府に売る場合、それから自主流通に売り渡す場合、その他若干の場合だけ売れることになっておりまして、それ以外はいけない。今度は、買い受けるほうからいたしますと、政府から買う場合、そのほか自主流通等、特定の場合以外は生産者から買ってはいけないということになっておるわけでございます。それに対しまして、今回の場合、商社でありましても、あるいは自由米業者でありましても、現に集荷の登録も取っておりませんし、それから販売業者としての登録も取っておりませんから、この規定に該当するんではないかと思われるわけでございます。
  244. 杉原一雄

    杉原一雄君 おととい一般質問のときに、農林大臣に食管制度の問題で若干、きわめて簡単な質問をしたわけですが、それは田中総理の食管法の根幹を守るという短い足鹿議員に対する答弁を重ねて御質問した。櫻内農林大臣は、自分の考え方を述べられたわけですが、総理のは何べん速記録を読んでも食管制度の根幹を守ると言っているわけですよ。そうしますと、今度は総理がどうだの農林大臣がどうだのではなくて、食管制度の根幹とは何かと、いま食管法違反の問題で、米の流れがくずれてきたことも、そうした食管法自体に一つの大きな迷いがあるわけでないだろうかと私思いますので、きょうはいま一ぺん食管法の根幹——私たちが理解するような第一条、第二条、第三条の精神、同時に総理なり政府が考えている食管法の根幹というものと、どこでどうそごし、あるいは一致するのかしないのか、きょうは簡単に、ひとつ大臣の見解をもう一度お願いします。おとといのではわかりにくくなりました、ますます。
  245. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 基本的な考えとしては、食管制度の根幹とはその一般的定義としては、国民食糧の確保及び国民経済の安定という大目的に沿うため、必要な政府の食糧管理のあり方をいうものであると、こういうことになっておるのでございます。  まあこのことから、二重価格制であるとか、あるいは政府が全量買い上げなければならぬとかというような説も一部にあることは知っておりまするが、現に行なわれておる政府の管理のしかたというものも、この食管制度の、ただいま申し上げました趣旨に沿っておると、したがって、私はいま何か法律上の改正をするとか、運営面において、研究会のほうでの御検討もありまするが、しかしそれも、この際は考えずに、流通の乱れの見えておるところであるから、しばらく現状のやり方をそのまま持続していくと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  246. 杉原一雄

    杉原一雄君 いまはしなくもおっしゃった二重価格制の問題とか全量買い上げの問題などは、もう過去のものだという受け取り方にもなるような気がいたしますね。そこらあたりが、私らいままで米価決定のあの時点で、常に力説してきたところで、抵抗してきたところですが、次から次へとくずされて、自主流通米とかなんとかというきれいなことばで食管法がざる法になったものですから、いまの場合でも、大量云々という問題がなければ、そんな犯罪視されるようなことでもないんじゃないかというふうに開き直るきらいがあると思うのですね。これは大量にやったから問題になるわけで、いわんやモチ米が足りないという現実的な要求もあったりして、こうした犯罪が起こるんじゃないか。それから、もとをただせば、まあ共犯とまでいかぬけれども政府の食糧管理制度に対する忠実度が非常に足らないのではないか。こういうふうに経過から見て考えられるような気がいたします。それは私の私見ですから。  最後に、中野長官に、モチ米は結局絶対量が足らぬのじゃないか、国内産ではね。そこで農林省から出したのか全農から出したのか知りませんが、委託裁培とかなんとかという方法で、かなり下部に浸透し始めておるわけです。それに対して実情はどうかなどと聞いているいとまはございませんから、その方法について、考え方、見解を若干お聞きしたいと思います。
  247. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 御指摘の、モチ米の契約裁培につきましては、かつてモチ米対策要綱をつくりまして、こういうことをやっておった時代もありますけれども、今回の経験にかんがみまして、やはり正規の流通に乗せるものを、できるだけ量をふやさなければいかぬということになりましたものですから、先般来、国会でも御答弁申し上げておりますように、四十八年産米は契約裁培をやるということにしたわけでございますが、そのやり方といたしましては、実需者とそれから集荷団体とが、モチ米の協議会をつくりまして、そこで実需者側からどれくらいほしいということを申し込むわけでございます。申し込みの際には申し込み保証金を出させる。それを受けます指定法人、これは全農と全集連でございますが、その申し込んだ数量を食糧庁にも報告願うということにまずいたします。それから契約裁培の今度は数量を確定するわけでございますが、その全農及び全集連が、その数量を各県の集荷団体と協議しまして、県別にその数量を確定をする。県の集荷団体は自主流通米のルートに乗せるようにしなければなりませんので、そういうことで契約をする、そして各県では末端のほうへその数量をおろして農家にその数量をつくってもらうというやり方をいたしたいと思っております。その場合、単に口約束ではいけませんので、契約の前渡金の支払いをするということにいたしております。それから値段は、これは非常に米価との関連がございまして、現在、四十八年産の米価がきまりますれば、それが基準になりまして、若干モチ米加算がつくんではないかと思われますが、値段そのものはその段階できめるというようなことであるわけでございまして、こういうことで、先般、食糧庁と農蚕園芸局とで通達をいたしまして、各県知事にも側面からその応援を願うということにいたしておるわけでございます。
  248. 杉原一雄

    杉原一雄君 あとは畜産公害の問題に質問をしぼっていきたいと思います。  私は、あまり畜産には詳しくないわけですが、ただ、私の友人に在日朝鮮公民の方がございまして、私が居住しておる近くに、たんぼの中で、学校の廃校になったものを利用したものだろうと思いますが、大きな建物を建てておったのでありますが、あとで相談がありまして、実はここで豚をやろうと思っておったのだが、地元の町内会から反対があったので、どうしたらいいでしょうかという相談を受けまして、私も実は非常に困ったわけです。で、反対する側は、いまはたんぼの中ですけれども、近く、私の居住地の周辺にどんどん住宅団地が拡大していくものですから、住宅団地がこれから伸びようとするやさきに豚が来ると困ると、まあ率直に言えば、土地の値も値上がりしないと。これを別な表現ですれば、畜産公害のおそれ大と、こうなってくるわけで、私もその朝鮮公民の方に回答を保留しておるわけですが、ちょうど私の隣の、これは一つの町でありますけれども、町の町内会長も相談に実は来ました。私も町内会長をしておりますので、連合自治会の中でこの問題を議論しなければならぬ立場に実はあるわけですが、非常にむずかしい問題だと実は思っております。  こういう点で、これは単に一地域に起こっている現象ではなくって、今後畜産行政を進めていく上において、ますますこれは大きな問題になる。少年のころに、十羽ほど白色レグホーンを家に置いて世話をした経験があるころでは、かえって鶏ふんが畑やたんぼに肥料として還元されて喜ばれておったし、そう鶏が騒がしくて近所から迷惑だという抗議も受けなかったわけですが、いまあえてそれが畜産公害として問題化されてくるところに、今日の畜産の経営のあり方の問題がはっきり出てきていると思います。同時にそのことを解決するためには、日本の農業の構造をどうするかという根本の問題に触れざるを得ないだろうと思うのであります。  でありますから、どんずばり畜産公害の問題について、いろいろ情勢なり見解なり対策をお伺いするつもりでありますけれども、その前に、やはり今日のような畜産公害があちらこちらで大きな地域の問題になっているというものを考える場合に、やはり畜産物の生産の現状とか、先ほど鶏の卵の問題で意見があったように、国民の食生活にどういう必要性があるかということなども根本的にえぐっていかないと、この問題に対して、そういう問題が起こるなら畜産やめようじゃないかと、こういう安易な解決の方法もあるわけですから、そうじゃなくて、向井議員のように、卵は必要なんだと、そんな外国から買わぬでもいいじゃないかというような端的な意見も出てくるわけですから、順序を追うてお尋ねいたしますが、畜産物の生産の状況先ほど鶏について簡単にお伺いいたしましたが、問題をはしょっていけば、とにかく何がどれくらい——いわゆる生産高、それから生産の地域の分布状況、たとえば酪農その他は北海道が多いということだろうと思いますが、同時にそれぞれ発生している地域問題点というようなことなど、午前中わが党の川村氏が質問したと思いますが、川村氏に北海道の酪農状態などを聞きますと、一軒当たり一千万円以上の借金を背負って非常に苦しい経営を続けているという話を実は聞いたのであります。ものの本でも読みました。それも一つの大きな問題であります。そうした問題点を、いわゆる生産高、地域分布の現状と問題点ということで、簡単にはしょって状況報告をお願いします。
  249. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 広範な問題でございますので、要点だけ御説明申し上げまして、御質問等にさらにお答えさせていただきたいと思います。  わが国の畜産につきましては、御案内のとおり、国民所得水準の上昇によりまして、需要のほうが増大してまいりまして、それに対応して生産も順調に伸びてきておるわけでございます。たとえば四十年から四十六年までの伸び率を見ましても、農業全体が一四二・三%の伸び率でございますが、畜産部門におきましては一八九・一%、約九割の伸びを示しておるというようなことに相なっておるわけでございまして、したがって農業総生産に占めます産出構成のウエートにつきましても、四十年は一九・七%でございましたが、四十六年には二六・二%というふうに、その比重を高めておるわけでございまして、先生も御案内と思いますが、一兆一千億の粗生産額を持っておるというような現状でございます。  で、その中で、部門別に申し上げますと、酪農が比重が六・七%、役肉牛が二・七%、豚が七・三%、食鶏が二・四%、鶏卵が七・〇%というような比重を占めていることも御案内かと思うわけでございまして、実金額等については、なお御要求があれば御説明申し上げますが、その点については省略させていただきます。  それから次に、この地域的な分布なり、あるいは畜種部門におけるそれぞれの問題点はいかがかというような御指摘でございますが、まず乳用牛につきましては、先生御案内のとおり、全国百八十万頭の乳用牛がございますが、北海道がその三割を占めておりまして、関東なり東北、九州などの順になっておるわけでございまして、近年におきましては、草資源の恵まれております北海道と九州という遠隔地の伸びが大きいことも御案内のとおりでございます。  それから肉用牛につきましては、全国で肉専用牛及び乳用牡犢等を含めまして百七十五万頭になっておりますが、九州が三八%ということで一番高くなっております。次いでは東北、中国、関東の順となっておりまして、酪農と同様、草資源に恵まれているところが伸びておるということでございます。  次は養豚でございますが、これは全国で七百万頭で、関東、東北、九州、東海ということになっておりますが、これにつきましては、地域の特化ももちろんでございますが、同じ地域でも、比較的農山村地域への伸びが強いというような傾向でございます。  養鶏は、御案内のとおり、一億六千万羽を現在数えておりますが、養鶏地帯でございます東海、関東、九州、さらに中国というような順になっておるわけでございます。  で、先生のお話は、さらにそれぞれの畜種部門が当面している問題について、簡潔に答えろというような問題でございますので、これについて簡単に申し上げてみたいと思いますが、まず酪農につきましては、御案内のとおり、乳牛頭数は四十六年ごろまでは、頭数なり生産量も順調に伸びておりますし、また二月当たりの飼養規模も順調に伸びております。北海道では平均十七頭、内地では六・六頭、約七頭というような規模で、この四、五年間で約二倍近い飼養規模が伸びておるというような段階でございますが、地域の問題といたしましては、いわゆる飲用乳地帯、大都市周辺の飲用乳地帯におきまして、市乳地帯におきましては、都市化の伸展とか、土地条件とか、労働力事情、その他の条件で伸び悩みが目立っている。一方、最近まで遠隔地帯においては、その条件に恵まれて、相当な伸びを示して、端的に北海道等の頭数の増大、飼養規模の増大という点にあらわれておるわけでございますが、これにつきましても、相当多頭化が進んだ結果で、さらにこれについて諸般の設備投資の大きさに伴う——先生平均一千万と申しましたが、私どもの統計では、それは大きな三十頭なり、四十頭経営の例示でございまして、われわれのほうとしての実資料はそれほど大きくなっておりませんが、いずれにしましても、今後の経営拡大にとっては、さらに諸般のてこ入れが要るというふうな段階でございますし、市乳地帯におきましては、飼料の栽培技術面なり、あるいは飼養管理技術について、高い技術を導入した生産性の向上ということが望まれる段階でございます。  それから肉用牛につきましては、御案内のように、役用から肉用への転換というのが三十年代の後半から四十年代にかけて行なわれておるわけでございますが、やはり従来の零細飼養経営という点で、その生産拡大について諸般の問題があったわけでございます。四十年の初めに、絶対頭数の減りかけた時代がございまして、この際に肉牛振興対策等、諸般の処置を講じて、また上向きになったわけでございますけれども、最近非常に牛肉価格の堅調ということがありまして、肥育部門は非常に規模の拡大等が進んでおりますが、繁殖部門——素牛を確保する繁殖部門についての採算性の低位から、この部門の立ちおくれということで、絶対頭数の伸び悩みというような問題がございまして、今後は草資源に恵まれた南九州なり東北、北海道等において、繁殖から肥育への地域としての一貫的な生産体系をどう確立していくかというような課題が、政策の課題となっておることも御案内のとおりでございます。  次に豚でございますが、この点については比較的順調に伸びてまいりまして、肉の総需要量の四割は豚肉の供給によって充足されておるわけでございますが、養豚につきましても、やはり多頭化が非常に進んでおります、肥育部門の。それに対して、繁殖部門の立ちおくれという問題がございまして、最近においては肥育部門の大規模化に対応して、繁殖部門の専門大型化、あるいは繁殖と肥育の一貫経営というような形で、比較的肉高にもかかわらず、供給の伸びが過去よりも鈍いという問題をあれしなければいけませんし、本日、特に先生が問題になさいます公害問題、この問題がこの部門では特に出ておりまして、この問題の解決が今後の養豚経営の経営いかんということになっております。  養鶏につきましては、先ほど向井先生の御質問にございましたように、非常な需要の伸びを示しまして、何といいますか、大ざっぱに申し上げますと、消費量は世界の最高水準ということになっておりまして、パーヘッドと申しますか、一人あたり三百個程度になっておりますし、一方、経営のほうと申しますか、生産のほうでは、庭先養鶏的な零細なものを含めれば、副業的なものを含めれば、非常に戸数はまだ多くございますが、おおむね三千羽、五千羽というような経営、専業的な経営が、全体の頭羽数なり、供給量の半分以上を占めてきているというようなことでございますが、むしろこの点については、先ほどもるる申し上げましたように、やや過剰生産的な傾向を呈するというような事態が、過去において、ここ二、三年来見られまして、需要に見合った生産というものを調整していくという点が問題かと思います。なお、ここにおきましても、先ほど先生が御指摘なさいましたような悪臭問題、その他公害問題に対して、適切に対応していくということが一つの課題になっております。  以上、きわめて粗雑でございますけれども、全般的な御指摘に対しまして、アウトラインをお答え申し上げます。
  250. 杉原一雄

    杉原一雄君 あとの問題にしぼりたいと思いますから急ぎます。  そこで、去年の十月の農産物の需給の展望と生産目標の試案というものがあるわけですから、大体私も承知しておるわけですが、今後の畜産の目標ですね、並びにそれを達成する計画の骨組みと申しますか、簡単にそれをひとつお示しいただきたいと思います。
  251. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 要点だけ申し上げます。  酪農につきましては、今後とも需要の増大が見込まれます。しかも重要な国民の栄養源であることにかんがみ、生産性の向上をはかりつつ、極力国内で自給することを目途に計画を立てておるところでございまして、五十七年の生乳生産量は約八百五十万トンということを目標にいたしております。  次に、牛肉でございますが、牛肉資源が国際的にも、長期的に見て不足傾向にございますので、国内資源の有効利用により生産性を高めつつ、極力国内生産の増大をはかることといたしまして、五十七年の国内生産量は約五十万トンでございます。  次に、豚肉でございますが、規模拡大による生産性の向上が期待されるので、一方、畜産公害の防止に配慮をしながら、五十七年の豚肉生産量は約百八十万トン程度を目標としております。  それから鶏卵でございますが、飼養規模の拡大による生産性の向上が可能でありまして、需要に対応した生産の確保が容易でありますので、国内では自給をはかるということを目標にいたしまして、五十七年の生産量は約二百三十万トン程度といたしております。  それから鶏肉でございますが、大規模化による生産性向上が可能でございまして、需要に対応した生産の確保が容易でございますので、ブロイラーを中心に、五十七年の生産量は約百十万トン程度を目標といたしております。  以上でございます。
  252. 杉原一雄

    杉原一雄君 おしなべて、大臣のただいまの所信は、必要なものは国内で何とか自給するというのが一番中心になっておるようであります。  そうしますと、一番たいへんな努力を必要とするのは豚だろうと思いますね。これは農林省の三月上旬の何か農産物の輸入状況をお調べになったデータの中で、豚の場合、特に前年の三倍にのぼる輸入増だと、こういう数字が出ているわけですから、これはおそらく新聞記者を通じて御発表になった数字ですから間違いないと思いますが、豚の問題は、いま自給化の問題の中で、最大の私、問題点だと、こういうふうに掌握いたしますが、これは局長どうですか、この数字は間違いですか。
  253. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先生おっしゃいましたのは、四十七年度の豚肉の輸入量が大体六万七千トンでございますので、四十六年度は二万七千トンということでございますから、おおよそその数字が基準になり、いま先生が御指摘の数字かと思います。
  254. 杉原一雄

    杉原一雄君 そこで次の段階に入りますが、とりあえずことしの予算も一応目を通したわけですが、ことしそうした畜産振興と申しますか、櫻内農林大臣の最大のねらいである自給率の確保という点で、ことしの行政努力の中で、どういう点で最大の努力をしようとしておいでになるか、ことしの畜産振興の政策、それについて、ちょっと簡単にお願いします。
  255. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  総論的な大所高所の御質問でございますが、要点を申し上げますと、酪農につきましては、御案内のとおり、飼料基盤の整備という点が主体でございまして、この点については、従来の草地開発事業を推し進める。特に、第二次土地改良長期計画におきましては、十年間に約四十万ヘクタールの草地を造成するということで、事業費も第一次計画に比べて、はるかに草地開発のウエートを高めるというような点から進めていきたいという点でございます。  第二点は、特に先生が御懸念なさっております豚については、諸般の問題をかかえるが、しかし食肉に占める地位はますます高くなるというようなこともございまして、昨年来、畜産振興審議会の食肉部会で、昨年秋までに議論をしていただきました点を、四十八年度に予算化をしたわけでございます。第一点は、やはり繁殖経営の立ちおくれが、豚肉の旺盛な需要に対して供給の立ちおくれを見せておるというので、養豚団地形成事業というものを、多数の繁殖経営農家群を核にいたしました養豚団地形成事業というものを新規に行なうことを主体とする。それからもう一つ、豚は、先生御案内のとおり、一代雑種が肥育豚では大部分でございますが、純粋豚が確保できなくて、そのために非常に肉質が落ちたり、繁殖力が落ちているというような、純粋豚確保等の問題ございますので、種豚の繁殖問題について新規の事業を起こしてまいる。それから第三点は、これは公害問題とも関連するわけでございますが、特に公害問題の多い養豚については、あとあとの御質問に答えたらしかるべきかと思いますが、屎尿の分離の簀の子式の高能率の養豚経営の助成とか、そういう点で、まあ何と申しますか、豚については四十八年度予算におきましては、従来酪農、肉牛等についても引き続き重点を示さなければいけませんが、特に養豚については予算の拡充につとめたいというのが実情でございます。
  256. 杉原一雄

    杉原一雄君 四月一日の午前二時の暁の妥結と申しますか、大臣としても非常に頭を痛められたことだと思いますが、畜産物の価格が最終的に決定を見たわけですね。原料乳の保証価格が三円三銭の値上げ、つまり諮問をそのまま実現をしたんだということなど、いろいろ数字があがっているわけですけれども、そのあとで酪農に補助金四十億円出すんだと。こういうことできまったようです。  ただ、その決定に対して、北海道の農協中央会長が所感を述べているわけですね。彼はこう言っているわけですよ。「四十億円の経営改善資金をもらっても、北海道の酪農民はよう使わないだろう。もう規模拡大はコリゴリで、これ以上、機械化、規模拡大しても資金がかさむばかり。こんなときに、乳業界から農林省に乳価値上げをしないで欲しいとの文書が出ている。この際、若者の流出などに何とか歯止めをしたいと、連日上京要請したのに、残念でたまらない」こういう率直な意見を述べているわけです。北海道の早坂という方ですが、農協中央会長の実感ですね。四月一日はエイプリルフールですが、うそじゃないと思いますが、これに対して大臣どう思いますか。
  257. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 当委員会でも御説明を申し上げたところでございますが、加工原料乳の保証価格につきましては、過去にその例を見ない大幅な引き上げの諮問をいたしまして、そしてこれに対して適正な価格でやれと、また総合酪農政策をとれと、それから負債整理や、飼料価格の安定や、その他の建議が行なわれたのでございます。いま北海道代表の方の御見解を述べられましたが、たとえば今回とられた措置の中で、負債整理について百五十億円の用意をいたしまして、これは北海道の酪農の経営者の方に、現在九分程度の利率による負債を背負っておられると思うんであります。それも先生が一千万ぐらいの負債があるというお話しでございますが、もう少し実態は低いものと思います。それを今度、五分、二十年に切りかえるということは、非常に経営の上に寄与するものではないかと。それと緊急政策の四十億円、これは内容については局長から御説明させてよろしいと思いますが、こういう措置をとりながらいくということになりますると、私は、もうこれはかみしめれば味が出てくる施策であると、酪農の前途に光明を見出だすことができる施策であるというふうに理解をし、御不満な御意見もいろいろ承りますけれども、われわれとしては誠意をもって今回の施策をお願いしたと、こういう次第でございます。
  258. 杉原一雄

    杉原一雄君 私は、四十億について、かみしめればしめるほど昔のことを思い出してくるのですね。米価闘争のときに、田中さんが幹事長かなんかであったかと思うのですが、そのときに米価決定にあたって、自民党の皆さん、農村出身議員の皆さんもこぞって反対であるというので、なかなか始末がつかない。その時点でどんぴしゃり五十億出されたことがありますね。そのときのことを実は思い出して、実は四十億についても若干の不安を感じますけれども大臣はヒューマニストですから、間違いのないようにひとつやっていただきたい、こう思います。  御多忙でしょうから最後大臣だけに、はしょってお聞きしますが、きょう朝日新聞に非常に残念な報道が実は載っておるわけです。これもつまりだれがどこでどう言ったかという、その原則にはちょっとそぐわないんですが、見出しはこうなっているのですよ。「原料乳価の不足払い制 廃止含め再検討 農林省 酪農家保護に限界」と、こういう見出しです。でありますから、これは見出しどおりでいいと思います。具体的な計数等もあがっておるわけですけれども、そういう検討に四月一日以後入っているのかどうか。第二の米価になることをおそれるので、農林省では、その方向でいま検討に入ったと、畜産局長、やっているのですか、それ、どうです。
  259. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 私もそういう記事が出ているということを教えられたわけでございますが、本制度の趣旨から申しまして、生産条件が、市乳地帯等、比較的需給の関係等から、原料乳価が有利な地域ではない加工原料乳地帯の再生産を確保し、全体の農家手取り乳価を底上げしていくという制度の趣旨から考えまして、およそ今日、この廃止を直ちに検討するような、われわれは考えも持っておりませんし、具体的に何らそういう検討も始めておらないということをはっきり大臣の前で申し上げます。
  260. 杉原一雄

    杉原一雄君 それで、もう大臣もお帰りのようですから、もう一問大臣にお願いします。  というのは、先ほどおっしゃったように、牛や豚や鶏ということで、精力的に畜産振興の行政を進められるわけですが、それに対して待ったがかかってくるといいますか、困難な問題、壁は、やはり畜産公害の問題だと思います。後ほど局長なり所管の人たちにお伺いしますけれども大臣として畜産公害に対しての基本的な力強い態度はどうあるのか、これをはしょって、大綱だけでけっこうですから、教えていただきたい、こう思います。
  261. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 後ほどこまかく、本年度お願いをしておる畜産経営環境保全関係の補助事業については御説明を申し上げさせますが、何しろ一般的に公害問題ということにつきましては、いまや国民の至上命令であると思うのであります。自然環境を保護し、国土を保全していくということは、行政の衝に当たる者の第一の心組みでなくてはならないと思います。そういう基本的な考えの上に立ちまして、畜産公害についても、またその範疇の外にあるべきものではないと思います。  特に畜産公害の場合は、国民生活に、環境の上から見て非常に嫌悪感を与える点が多いのでございまするし、またそのような実態というものは、個々の動物等のためにも、私は公害を出すような畜産経営というものは、なっておらないと。やはり動物に対しましても、人間と同じような環境のよさを保つということが、畜産公害の場合には大事なのではないかと。篤農家の場合は、牛と寝起きを共にするような状況である。また古くは、鶏の鳴き声に目をさまし、鶏と楽しんで農業経営にいそしむというようなことも考えまするときに、これからの畜産公害については、われわれとして真剣に取り組んでいく必要があると、このように見ておる次第でございます。
  262. 杉原一雄

    杉原一雄君 大臣、どうぞ帰っていいですから。  それでは、畜産公害の問題でございますけれども、一体畜産公害とは、先ほど漫然とそれぞれ触れられておりますけれども、整理して言うならば、いわゆる畜産公害とは、公害基本法の第二条ですか、そのどれとどれに該当するのか、何が畜産公害なんだということをひとつ簡単に。同時に、あわせてその発生の原因、そのことを明らかにしていただきたいと思います。
  263. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 公害基本法をただいま広げておりますのであれでございますが、われわれは畜産経営に基づく悪臭、水質汚濁を畜産公害というふうに理解しております。
  264. 杉原一雄

    杉原一雄君 原因について。
  265. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 失礼しました。  この原因につきましては、諸般の事情があるかと思うわけでございますが、やはり豚、鶏というようなものにつきましては、先ほども先生から御質問がございました際、申し上げましたように、大規模経営と申しますか、多頭飼育が伸展してまいりまして、豚なり鶏等について非常に大きな経営ができる、したがって家畜排せつ物というようなものが非常に多くなりまして、それが悪臭とか水質汚濁の原因になるという点が一つでございますし、それから、養鶏、養豚とは、ややもすれば離れまして、土地還元——ふん尿の土地還元というものとの調和がとれた経営の発展をしないという点がやはり一つの原因かと思うわけでございます。それからもう一つは、これはわれわれ畜産を守る立場から言わしていただけば、従来畜産をやっておった地域が、急速な市街化とか宅地化によりまして、その周辺に人家等が密集してきて、そのために公害問題が非常にシリアスな形であらわれてくるというような問題等、いろいろ要因としては複合しておるというふうに考えるわけでございます。
  266. 杉原一雄

    杉原一雄君 局長、もう一つ。先ほど大臣は、鶏の声で目をさましたと牧歌的な表現をいたしましたけれども、これは豚にしろ牛にしろ鶏にしろ、かなりにぎやかですよ。これは第二条の定義によりますと、騒音に該当するわけです。そこまで考えないかどうか。そういう苦情処理はなかったかどうか、それをお聞きします。
  267. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御指摘のとおりでございまして、公害対策基本法におきましては、水質の汚濁とか、あるいは騒音、悪臭というようなものが畜産公害に該当するというふうに考えますし、確かにわれわれの事例的な調査とか報告でも、騒音的な問題で周辺から非常な苦情が出てきておるというような事例も承知しております。
  268. 杉原一雄

    杉原一雄君 そこで、最後の対策の問題ですね、かなりこれは技術とか、あるいは地域開発の問題とも、いろいろ関連してくるわけですから、これはひとつ、今後の畜産行政を進める場合、あるいはまた、私たち地域に帰ってそうした苦情を直接受けるわけです。今度は被害者の側から受けるわけですし、一面また、どんどんやってもらいたいという期待もあるわけですから、そこら辺、私たち板ばさみになることがありますので、この点、明快な方針なりを出していただくと、われわれもそうした問題の解決にみずから世話役もできるんじゃないかというふうに……。先ほど問題提起をしたように、わずかの四、五十頭の豚の問題でさえ、地域の人はそれを認めてくれないわけです。対策の問題について明確な一つの、技術的な議論もありましょう、あるいは先ほどちょっとお話のあった豚の集団飼育をしていくという問題もありますし、そういう実験も全国的には幾つかあるはずでありますが、まず対策について、いま申し上げたように、地域分断の問題とか、あるいは特にふん尿などのごときは、これは一つの施設、技術の問題ですから、これはそういう形で問題の解決の方法もあるだろうし、いろいろ農林省は専門的に御苦労なさっているだろうと思うから、それを項目別に明確にお示しいただき、あわせてことしは予算の面でどういう配慮をしているのだと、何か配慮しておると思うのです。ここに持っておるのは非常に簡単でわかりにくいんですが、そういうこともあわせてここで御披露いただければ非常に私はありがたい、こう思います。
  269. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、畜産公害問題については、試験研究から始まる多面的な角度からの施策を思い切って進めませんと、この問題の進展に対応できないというのが実情でございます。これにつきましては技術会議等の関係者もおられますが、技術開発について早急に行なう、これは四十三年から技術会議におきまして一定のプロジェクトをもって進めたわけでございますが、たとえば豚なら豚については五百頭以上の経済性を持った浄化処理技術というのが確立されたわけですが、さらに小規模の、それ以下の頭数のものについて施設の投資額と効率というようなものから、その点経済性を持った処理技術と施設というような問題についての開発等、これは一例でございますが、早急に急がれておりますので、四十八年度からは農林水産技術会議の部門におきまして一億四千七百万円の大規模な大型研究で早急に事態の立ちおくれに対応したいという点でございます。  それから一つは技術の展示、普及によりましてこれに対応するということで、実験事業的にやっておるわけでございますが、先ほども申し上げましたが、やはり基本的には耕地に還元するという方式をできるだけとるべきだという点で、ふん尿についての液肥を耕地に還元する事業を行なっておるわけでございます。これは国の予算の名前でややかたいことばではございますが、たとえば広域厩肥利用促進事業というような事業は、畜産農家と畑作農家をシステム化して結びつけて、そしてそこにできるふん尿を畑作の農家、野菜なりその他そういう畑作プロパーの農家に対して還元するという結びつけの事業を行なうというのが第一点でございます。ただし、必ずしもそういう土地還元が得られない場所についてはどうするかという問題がございますので、これを施設によって浄化処理するというようなことが必要になってまいりますので、これについては液肥で処分するとか、あるいは浄化槽をつくって浄化処理するというような家畜汚水の処理の施設についてパイロット的、モデル的な助成事業を行なっております。それからまた、特に悪臭の防止について問題がございますので、これを乾燥するとか焼却するというような技術なり施設を普及するという点で、本年度新規にこの悪臭防止対策事業という助成事業を開始いたしております。  このような技術の普及、展示、しかもその施設をモデル的に助成するというような形でこの公害に対応する農家の対応に対してこれを援助するという考え方をひとつ進めておるわけでございますが、もう一つ先ほどの先生のおっしゃった地域住民との調和というような問題とも関連するわけでございますが、現在畜産経営環境の保全のために総合指導事業というものを県を通じて行ないまして、地域協議会等で関係畜産農家とかあるいは町村とか農協とかあるいは県の畜産とか家畜保険衛生所というようなものが集まりまして協議会を開いて、それぞれの畜産農家について懇切な点検をして、そして原因なり地域住民への問題の派生が起きているものについてはどう防止するか、あるいは起こりそうなものについて事前にこれをあれするというようなチェックをして対応するというような総合指導事業を実は始めておりまして、まだ開始後早々でございますので、必ずしも末端へも十分に生かされておりませんけれども、それらのことを通じて事前に火の用心と申しますか、そういうようなかっこうで個々の農家への対応をいたしたいということです。  それからもう一つは、環境整備についての基本的な対策という問題といたしましては、畜産公害問題が起こりました際、市街化の進展の激しい地域についてその問題が起きましたので、四十五年から畜産団地形成事業と申しまして、養豚、養鶏農家が市街地から農山村等問題の起きない地帯に移転する事業、これを公共事業として現在進めておるわけでございます。これについても四十八年度も引き続いて行なうというわけでございますが、さらにそれだけでは不十分であるということで、本年度、やはり将来もその地域が畜産の主産地である、しかも公害の問題について対処する必要がある地域につきましては、経営と公害防止と一体化した県営の公共事業を行なうということにいたしまして、たとえば集落内で適当なところに集団的に畜舎を移転してその周辺を環境保全林をつくるとか、あるいは液肥、ふん尿等の集中処理の施設をそれに設置するとか、要するに部落ぐるみの環境保全事業を行なう。これは実行上なかなかむずかしい問題だと思いますけれども、県営の公共事業として本年度から新規に取り上げるということにしたわけでございます。  それからもう一つは融資面でございますが、融資面につきましては、農業近代化資金等におきましても個々の農家が農協の金から先生御案内の利子補給を受けてこの環境保全事業を行なうことも可能ですが、特に四十八年度で御審議をいただいております予算においては、農林漁業金融公庫の主務大臣指定施設資金の中に畜産環境保全資金というものを設けまして、ここの資金では一般に六分五厘でございますが、特にこの施設については据え置き期間中四分五厘、それからその後は五分というような一般の金利よりさらに引き下げて低利の融資を行なうというようなことで、個々の農家が積極的に対応なさる場合においても資金面でこれを裏づけたいというふうにしたわけでございまして、きわめて説明が不十分でございますが、われわれといたしましては四十八年度の畜産予算の編成の際には、なお結果が不十分であるというおしかりを受けるかもしれませんが、この畜産公審問題については予算の重点として計上さしていただいておるというような経緯に相なっております。
  270. 杉原一雄

    杉原一雄君 とにかくいまの政府が出している去年の十月の目標によって自給率を一〇〇%というところまで畜産行政を振興していくならば、少なくとも一億トンくらいのふん尿が日本じゅうはんらんするだろうというのが学者の想定であります。ただ、それを今度はいまおっしゃったようないろいろな方法で処理をする。その中で一番大切なのは自然に耕作へ還元するというようなことなどもあるわけですが、その主張もそれでけっこうだと思うけれども、その主張をしながら一方ではどこかに傾いていく、いわゆる耕地との間がだんだん離れていくということもあるのですね。それは交通がこういう状況の時代ですから問題はなさそうだけれども、しかしなかなかそのことも容易なことではないだろう。いわんや悪臭の問題等につきましても、乾燥するあるいは焼く、そのことがまたにおいを発生するということで自治体の首長の諸君は、たとえばじんあいの焼却場をつくるということだけでも非常に頭を痛めている実例をぼくはよく知っております。でありますから、そうした行政を進める場合でも、いま地域協議会という話もありましたが、そうした点など十二分に活用して、それは単に一方的に農政の側面だけで解決できるものではありませんから、総合的に社会、経済体制等を総合して問題の処理に当たっていかなければならないわけですから、そういう点で進める上においてはかなりの問題、困難な点もあるだろう。幸い技術関係の専門家もおいでになりますから十二分に技術の万全を期しながらその問題、畜産公害を発生しない、しかもわれわれには多様的な食糧ですか、そういうものを保障されるようなことができますように御努力を実はいただきたいと思っているところであります。私の質問はこれで終わります。——いまの質問で大体おしなべて出てきていると思いますね。なお特に話があったらひとつ聞かしてください。
  271. 中澤三郎

    政府委員(中澤三郎君) ただいま畜産公害の防止につきましては畜産局長が御説明したとおりでございますが、私たち試験研究に従事する者といたしましても、環境を守るという立場だけでなくて、畜産経営の将来がこの問題によって左右されるというようなことにもなりかねない事態でございますので、できるだけ早く実際の畜産経営に役立つような試験研究の成果をあげたいと関係者をあげて努力しているところでございます。
  272. 森中守義

    主査森中守義君) 以上をもちまして農林省所管に関する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会