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政府委員(
大河原太一郎君) お答え申し上げます。
先生御
指摘のとおり、畜産公害問題については、試験研究から始まる多面的な角度からの施策を思い切って進めませんと、この問題の進展に対応できないというのが実情でございます。これにつきましては技術
会議等の
関係者もおられますが、技術開発について早急に行なう、これは四十三年から技術
会議におきまして一定のプロジェクトをもって進めたわけでございますが、たとえば豚なら豚については五百頭以上の経済性を持った浄化処理技術というのが確立されたわけですが、さらに小規模の、それ以下の頭数のものについて施設の投資額と効率というようなものから、その点経済性を持った処理技術と施設というような問題についての開発等、これは一例でございますが、早急に急がれておりますので、四十八年度からは
農林水産技術会議の部門におきまして一億四千七百万円の大規模な大型研究で早急に事態の立ちおくれに対応したいという点でございます。
それから一つは技術の展示、普及によりましてこれに対応するということで、実験
事業的にやっておるわけでございますが、
先ほども申し上げましたが、やはり基本的には耕地に還元するという方式をできるだけとるべきだという点で、ふん尿についての液肥を耕地に還元する
事業を行なっておるわけでございます。これは国の
予算の名前でややかたいことばではございますが、たとえば広域厩肥利用促進
事業というような
事業は、畜産農家と畑作農家をシステム化して結びつけて、そしてそこにできるふん尿を畑作の農家、野菜なりその他そういう畑作プロパーの農家に対して還元するという結びつけの
事業を行なうというのが第一点でございます。ただし、必ずしもそういう土地還元が得られない場所についてはどうするかという問題がございますので、これを施設によって浄化処理するというようなことが必要になってまいりますので、これについては液肥で処分するとか、あるいは浄化槽をつくって浄化処理するというような家畜汚水の処理の施設についてパイロット的、モデル的な助成
事業を行なっております。それからまた、特に悪臭の防止について問題がございますので、これを乾燥するとか焼却するというような技術なり施設を普及するという点で、本年度新規にこの悪臭防止対策
事業という助成
事業を開始いたしております。
このような技術の普及、展示、しかもその施設をモデル的に助成するというような形でこの公害に対応する農家の対応に対してこれを援助するという考え方をひとつ進めておるわけでございますが、もう一つ
先ほどの先生のおっしゃった
地域住民との調和というような問題とも関連するわけでございますが、現在畜産経営環境の保全のために総合指導
事業というものを県を通じて行ないまして、
地域の
協議会等で
関係畜産農家とかあるいは町村とか農協とかあるいは県の畜産とか家畜保険衛生所というようなものが集まりまして
協議会を開いて、それぞれの畜産農家について懇切な点検をして、そして原因なり
地域住民への問題の派生が起きているものについてはどう防止するか、あるいは起こりそうなものについて事前にこれをあれするというようなチェックをして対応するというような総合指導
事業を実は始めておりまして、まだ開始後早々でございますので、必ずしも末端へも十分に生かされておりませんけれ
ども、それらのことを通じて事前に火の用心と申しますか、そういうようなかっこうで個々の農家への対応をいたしたいということです。
それからもう一つは、環境整備についての基本的な対策という問題といたしましては、畜産公害問題が起こりました際、市街化の進展の激しい
地域についてその問題が起きましたので、四十五年から畜産団地形成
事業と申しまして、養豚、養鶏農家が市街地から農山村等問題の起きない地帯に移転する
事業、これを公共
事業として現在進めておるわけでございます。これについても四十八年度も引き続いて行なうというわけでございますが、さらにそれだけでは不十分であるということで、本年度、やはり将来もその
地域が畜産の主産地である、しかも公害の問題について対処する必要がある
地域につきましては、経営と公害防止と一体化した県営の公共
事業を行なうということにいたしまして、たとえば集落内で適当なところに集団的に畜舎を移転してその周辺を環境保全林をつくるとか、あるいは液肥、ふん尿等の集中処理の施設をそれに設置するとか、要するに部落ぐるみの環境保全
事業を行なう。これは実行上なかなかむずかしい問題だと思いますけれ
ども、県営の公共
事業として本年度から新規に取り上げるということにしたわけでございます。
それからもう一つは融資面でございますが、融資面につきましては、農業近代化資金等におきましても個々の農家が農協の金から先生御案内の利子補給を受けてこの環境保全
事業を行なうことも可能ですが、特に四十八年度で御審議をいただいております
予算においては、農林
漁業金融公庫の主務
大臣指定施設資金の中に畜産環境保全資金というものを設けまして、ここの資金では一般に六分五厘でございますが、特にこの施設については据え置き期間中四分五厘、それからその後は五分というような一般の金利よりさらに引き下げて低利の融資を行なうというようなことで、個々の農家が積極的に対応なさる場合においても資金面でこれを裏づけたいというふうにしたわけでございまして、きわめて
説明が不十分でございますが、われわれといたしましては四十八年度の畜産
予算の編成の際には、なお結果が不十分であるというおしかりを受けるかもしれませんが、この畜産公審問題については
予算の重点として計上さしていただいておるというような経緯に相なっております。