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田中寿美子君 私、最初にお礼を言わなきゃいけないと思うのですけれ
ども、たいへん
国会図書館のお世話になっております。特に立法考査局の皆さん方には非常にめんどうなことをいろいろお願いして、また、お教えもいただいておりますし、それからその上、個人的にも自分の研究したいことでずいぶん文献をお借りしたり、まあ
国会議員であることの特権のようなものだなと思いながらいつもたいへん利用さしていただいております。
私、今回、あらためて
国会図書館というものを
考えてみまして、いろいろと認識を新たにしたわけなんです。最初は、
国会図書館そのものの
あり方についてお尋ねさしていただいて、後半は
国会図書館に働いている女子
職員の問題についてお尋ねさしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
私、初めて国立
国会図書館法というのを読みまして、前文にすばらしいことが書いてあるんですね。まことに遠大な理想が掲げてあると思います。「国立
国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。」と、もうたいへんすばらしい前文がありまして、なるほどそれだけのものであるならば、これはほんとうに日本
国民全体の財産として十分に使わなければならないものだというふうに思いました。そういう
観点から
考えますと、図書館というもの全体をもっと見直さなきゃいけない、公立図書館というものをですね。いま、私
どもは、政治経済の面で福祉型に切りかえよというようなことを
要求しているのですけれ
ども、そういう社会においての文化、民主主義、あるいは福祉、広い
意味では福祉にも図書館というものの果たす
役割りというのは大きなものがあるというふうに思っているわけなんです。それほど図書館の
重要性というものを感じますと同時に、
〔副
主査退席、
主査着席〕
それならば、そういう図書館の
運営のしかたというのには、相当の理想とそれからシステムがなければならないのではないかと、こういうふうに
考えるわけです。
多少私自身の経験から申しまして、たとえば私は一九五四年から五五年にかけてアメリカに行っておったわけなんですが、初めハーバード大学のインターナショナル・サマーセミナーに行ったのですけれ
ども、あそこの図書館というものはまことに大学の中でも最も重要な部署を与えられておって、すばらしいものであって、ちょうど米軍の日本占領政策について私はリポートしなければなりませんでしたので、そこの図書館に入りましたら、あらゆるものがありました。
それからそのあとで私はブリンマー大学の大学院に特別研究生で入っておったわけなんですけれ
ども、そこでも図書館というものが非常に重要視されておりますのと同時に、学生がみんな自分の教科書を買うのじゃないんですね。ほとんど図書館を利用して、図書館の中にちゃんと自分の机と書棚が与えられて、そして借り出した図書はそこにちゃんと自分のものとして一定の期間置いて、だれからもそこから取っていかれないで勉強に使うことができるものですから、日本人のように個人が蔵書するというくせがあんまりなくて、教科書は全部買わなければならないというようなことがないのを、日本の習慣になれている私にはふしぎなくらいに思われたわけなんですが、それだけ図書館というものの果たす
役割りが重要視されているというふうに思ったわけです。
それからニューヨーク市の市立図書館、これもたいへんすばらしい図書館なんですけれ
ども、ここなんかでも、私はアメリカインデアンの研究をしておりました、民俗学をやっておりますものですから。その貴重な文献のあるところは別室でちゃんときめて、一定の期間いつ行っても読めるようにさしてもらって、図書館の
運営というものがたいへんよくできていることと、それからもう
一つは、中央から離れた場所の大学におりましても、特に読みたいと思う本をお願いしますと、その図書館になければ、付近の大学にもみんな連絡してくれるし、その他の公立の図書館に連絡して、そして図書をちゃんと何日か目に借り出してきてくれる、こういうシステムになっていて、ほんとうにいいなと思ったのですが、こういうことも、ヨーロッパなんかに行きましても、地方都市での図書館の果たす
役割りというものは非常に大きく見られている。また、図書館の位置づけというものが日本では非常に足りないのではないか。こういうことも、日本のいまのGNP第一主義ということを問題にしますが、ストックの所得が非常に足りないという問題の中の
一つじゃないか。これも
国民の持つストックの財産であるというふうに思うのです。
そういう点からしますと、国立
国会図書館というのはすばらしい目標を掲げて設立されたものでございますから、図書館というものの
あり方についての位置づけですね、そういうことについて館長御自身もお
考えになったことがあるか、あるいはそういうことについてどういうお
考えを持っていらっしゃるか、初めに聞かしていただきたいと思います。