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1973-04-10 第71回国会 参議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十日(火曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員異動  四月九日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     山田  勇君  四月十日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     小林  武君      工藤 良平君     羽生 三七君      宮之原貞光君     足鹿  覺君      辻  一彦君     前川  旦君      西村 関一君     安永 英雄君      須原 昭二君     上田  哲君      藤原 房雄君     宮崎 正義君      三木 忠雄君     中尾 辰義君      高山 恒雄君     木島 則夫君      萩原幽香子君     向井 長年君      星野  力君     岩間 正男君      加藤  進君     渡辺  武君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大竹平八郎君     理 事                 上田  稔君                 佐藤  隆君                 高橋 邦雄君                 西村 尚治君                 米田 正文君                 森中 守義君                 横川 正市君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君     委 員                 小笠 公韶君                 梶木 又三君                 川上 為治君                 木村 睦男君                 楠  正俊君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 塩見 俊二君                 白井  勇君                 竹内 藤男君                 玉置 和郎君                 中村 禎二君                 長屋  茂君                 林田悠紀夫君                 細川 護煕君                 山崎 五郎君                 山内 一郎君                 吉武 恵市君                 上田  哲君                 川村 清一君                 小林  武君                 瀬谷 英行君                 田中寿美子君                 羽生 三七君                 前川  旦君                 安永 英雄君                 中尾 辰義君                 三木 忠雄君                 宮崎 正義君                 矢追 秀彦君                 木島 則夫君                 岩間 正男君                 渡辺  武君                 山田  勇君    国務大臣        内閣総理大臣   田中 角榮君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        法 務 大 臣  田中伊三次君        外 務 大 臣  大平 正芳君        大 蔵 大 臣  愛知 揆一君        文 部 大 臣  奥野 誠亮君        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君        農 林 大 臣  櫻内 義雄君        通商産業大臣   中曽根康弘君        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君        郵 政 大 臣  久野 忠治君        労 働 大 臣  加藤常太郎君        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (近畿圏整備長        官)        (中部圏開発整        備長官)        (首都圏整備委        員会委員長)   金丸  信君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      江崎 真澄君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 二階堂 進君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       坪川 信三君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       福田 赳夫君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  増原 恵吉君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       小坂善太郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       前田佳都男君    政府委員        内閣審議官    粟屋 敏信君        内閣法制局長官  吉國 一郎君        内閣法制局第一        部長       角田礼次郎君        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        管理局長     茨木  広君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        人事院事務総局        職員局長     中村  博君        総理府人事局長  皆川 迪夫君        総理府統計局長  加藤 泰守君        宮内庁次長    瓜生 順良君        皇室経済主管   野本 松彦君        行政管理庁行政        管理局長     平井 廸郎君        行政管理庁行政        監察局長     大田 宗利君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        田代 一正君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       高瀬 忠雄君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛庁装備局長  山口 衛一君        防衛施設庁長官  高松 敬治君        防衛施設庁総務        部長       河路  康君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        防衛施設庁労務        部長       松崎鎮一郎君        経済企画庁長官        官房長      高橋 英明君        経済企画庁調整        局長       新田 庚一君        経済企画庁国民        生活局長     小島 英敏君        科学技術庁研究        調整局長     千葉  博君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        外務省アジア局        長        吉田 健三君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        外務省欧亜局長  大和田 渉君        外務省経済協力        局長       御巫 清尚君        外務省条約局長  高島 益郎君        大蔵大臣官房審        議官       大倉 眞隆君        大蔵省主計局長  相澤 英之君        大蔵省関税局長  大蔵 公雄君        大蔵省理財局長  橋口  收君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        大蔵省国際金融        局長       林  大造君        文部省大学学術        局長       木田  宏君        厚生省公衆衛生        局長       加倉井駿一君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        厚生省医務局長  滝沢  正君        厚生省年金局長  横田 陽吉君        厚生省援護局長  高木  玄君        社会保険庁医療        保険部長     江間 時彦君        農林大臣官房長  三善 信二君        農林大臣官房予        算課長      渡邊 文雄君        農林省農蚕園芸        局長       伊藤 俊三君        農林省畜産局長  大河原太一郎君        林野庁長官   福田 省一君        通商産業省貿易        振興局長     増田  実君        通商産業省企業        局長       山下 英明君        通商産業省重工        業局長      山形 栄治君        通商産業省化学        工業局長     齋藤 太一君        中小企業庁長官  荘   清君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省港湾局長  岡部  保君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  住田 正二君        運輸省航空局長  内村 信行君        運輸省航空局技        術部長      金井  洋君        労働省労政局長  石黒 拓爾君        労働省労働基準        局長       渡邊 健二君        労働省職業安定        局長       道正 邦彦君        労働省職業訓練        局長       遠藤 政夫君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省河川局長  松村 賢吉君         —————        会計検査院長   白木 康進君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        大蔵大臣官房審        議官       森谷  要君        通商産業省繊維        雑貨局繊維雑貨        政策課長     半沢 治雄君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君    参考人        日本銀行総裁   佐々木 直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和四十八年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  委員異動に伴い、理事が三名欠員になっておりますので、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に、横川正市君、鈴木一弘君、向井長年君を指名いたします。     —————————————
  4. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 昭和四十八年度一般会計予算  昭和四十八年度特別会計予算  昭和四十八年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  これより締めくくり総括質疑に入ります。森中君。
  5. 森中守義

    森中守義君 会期末が五月の二十日であります。これから先の国会政府としてはどういうことで国会の運営を——会期末が五月二十日、これから先、どういうことで国会に臨んでおいでになろうとするのか、まず、そのことをお尋ねします。
  6. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 特別国会会期百五十日でございますが、予算編成等の都合もございましたし、また、例年の長い歴史的な事情もございまして、召集から再開までは一ヵ月間自然休会であったわけでございますので、その間の会期実質四ヵ月ということになるわけでございます。四ヵ月でございますが、その間約二ヵ月は衆議院及び参議院予算委員会が開かれておりますので、各閣僚は常任委員会出席ができないような状態であることは御承知のとおりでございます。そうすると、実質的法案審議の時間ということは、夜でもやっていただくということになれば別でございますが、しかし、それはいまの状態で、なかなかそういうことも、異例な事情でなければお願いをできないということでございますので、そうすれば、四ヵ月のうち残り二ヵ月間という計算になるわけでございますが、まあ、御審議過程において政府の不手ぎわその他もございまして、今日すでにもう四月も半ばを迎えんとしておるわけでございまして、残り考えると一ヵ月半ということでございます。この間に土曜も日曜日も祭日もございますし、法律案は百二十本以上御審議をいただくわけでございますし、その上なお議員提出法律案もございますので、そういうことになりますと、まあ計算をすると非常に短い時間が残るわけでございます。しかし、まあ国会でひとつこれから十分御審議——十分にかつ効率的な御審議をいただけるように、政府も御審議最大協力をしてまいらなければならないと、こう考えておるわけでございます。まあ、そういう意味で、いま残る時間というものは短いことではございますが、しかし、法律案に対しては、予算委員会でも包括的な御質問にお答えをしておるわけでございますし、また、予備審査等も行なわれておる面もございますし、これから残す会期内で、ぜひひとつ効率的な御審議お願いしたいと、こういう考え方政府の基本的な姿勢でございます。
  7. 森中守義

    森中守義君 先週の土曜日に、どこかゴルフ場おいでになって、そこで九十日間の延長考えると、こういうことを何か言われたように新聞に出ている。むろん再々延長という線でありますけれども、しかし、総理みずからが三ヵ月間の延長をやるという、こういう口火を切られたことは非常に重要なんです。そういう必要があるのか、あるいは、そういう九十日間延ばそうという意図は何なのか、もう少し具体的に。
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、会期延長に対して発言はしておりません。九十日などということも発言をしておりません。これは、そういう報道があるとすれば、どういうところから出たのかわかりませんが、九十日などということを言っておりません。いまの考え方は、会期中に最大の御審議をいただきたいということが真意でございまして、会期延長の必要があれば、その時点において国会の御議決を願うということでございます。
  9. 森中守義

    森中守義君 そういたしますと、新聞誤報であって、九十日間はあり得ない、こういったように認識をしていてよろしいですね。
  10. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは全く国会の御審議状態によるわけでございますし、政府は、御審議お願いしておる法律案は所定の期間内に御審議をいただきたい、こういう考えでおるわけでございますから、これは最終段階において、両院状態十分しんしゃくをしながら、また必要があればお願いにあがるということでございます。特にまだ大半の法律案衆議院にあるわけでございまして、二院制状態から考えますと、衆議院で必要とした審議期間というものを参議院が御要請になるということは当然のことでございますし、そういう意味で、衆議院がいかにして参議院法律を送っていただくかということにもかかっておるわけでございまして、いま会期四十日余を残す現在、政府会期延長云々考えておらぬわけでございますし、政府も一年のうちにやはり五ヵ月、六ヵ月、七ヵ月というような、これは臨時国会を合わせるとそういう状態でございまして、これはできるだけ効率的な御審議お願いしたいということが本心でございますので、会期末の状態で御判断をいただくということでございまして、政府予断をしておりません。
  11. 森中守義

    森中守義君 まあ、それは誤報ということですから、あり得ないと私は認識しておきましょう。  そこで、その問題に関連しまして、いまの国鉄及び健保、これよりもっと重要なものがあるというようなことが同じ記事の中に出ているんですが、これも事実無根ですか。法案として。
  12. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国鉄健保などというよりも、より重要なというようなことが話し合われたことはないと思います。重要法案としてこれからまだ出すものはあるのかということでございますから、重要法案としては、両院において強い要請を受けておる政治資金規正法を含めた、衆参両院定数増等も含めた選挙法の改正が考えられる。参議院選挙は、もうすでにあと一年有半しかないわけでございますから、この国会で御審議をいただかなければ、現行法でやるということになるわけでございます。現行法でやるということになれば、政治資金規正法も、うらはらの問題でありますから、これはまた一年延びるということに自動的になるわけでございますし、また、参議院制度に手をつけるということになれば、これはもう衆議院制度というものと当然同一のものでございますので、そういう問題もございますと。こういう話は、雑談の間でございますから、そうして、いままで出してはおるけれども審議はしていただけませんけれども、出入国管理法なども非常な重要な法案である、こういうことを述べたように記憶しております。しかし、これはもうゴルフが終わってからの、ほんとう雑談でございますから、まあ雑談の中で述べたことが報道されて、御質問をいただいて、すなおにその間の事情を申し述べるということで御理解いただきたい。
  13. 森中守義

    森中守義君 まあ、ゴルフ会談というのは意外に本物が出るものでしてね。そういたしますと、まあ入管法はこれはいいですよ、こんなよけいなものは出さなくてもいい。けれども、政治資金規正法及び定数是正というものはお出しになるものと考えていいですか。
  14. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはもう衆参両院で、また本会議でも御質問をいただいておるわけでございますし、これは何回も、もう答申をいただいておりまして、私はこの席から、いままで、自民党内閣は一貫して続いておるわけでございますし、政府審議会答申をいただき、調査会答申をいただいたことは、一再ならずいただいておるわけでございますから、これらはすべて勉強をして、可及的すみやかに成案を得て国会の御審議を得たいと思いますと、こう公式の席上で述べておるのでございますから、これはできるだけすみやかに成案を得て、御審議をいただきたいという考えでございます。
  15. 森中守義

    森中守義君 それから、先般でしたか、政府与党連絡首脳会議かなにかで、七十日もしくは六十日という話が出たようですね。で、その中で、強行採決も辞さないというようなことが、これも新聞報道で出ておりますが、九十日はもうわかりました。しかし、六十日もしくは七十日というのはお考えになっているのかどうか。それと、これは総理でなくて、自民党総裁としまして、どうしても法案審議、ことに国鉄健保が意のごとく審議が先にいかないというような場合には、強行採決をやってもよろしいという、そういう姿勢であるかどうか。
  16. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 六十日、七十日というような数字を出しての話はなかったと思います。法案審議を急いでもらわなければならぬと、そのためには自民党全員出席をするようにしなければ誠意が示されないと、こういうことで、自民党も、会期余すところ幾ばくもないので、精力的に審議に参加されたい、こういうような話があったと思います。これはもう例会でございまして、一週間に一ぺんずつ、党三役、党七役等、官房長官も含めて諸般の話し合いをするということでございまして、これは六十日とか五十日とか、そんな話は出ておりません。これは明確に申し上げておきます。  それから、強行採決しよう、そういう不穏当な話もございません。これはもう、そんなことが考えられるわけはございません。あの会期の中で十分御審議をいただく、これはもう強行採決というようなことを考えてもおりませんし、そこらは国民の皆さんの国会でございますし、国会法衆参両院規則があるわけでございますから、強行採決などということは、これは物理的な強行採決意味するわけでございましょうが、これはもう強行採決などということは考えておりません。これはまた、強行採決をやらなきゃならないような状態が来るとも思っておりません。これはもう審議を、まだまだその前に、これはいろんな事情もあって定例日などをおつくりになっておるようでございますが、これは毎日御審議をいただくということもございますし、まだまだほんとうにお互いに手を尽くして、国民のために審議をいただくのでございますから、審議過程において予断をして強行採決をやるなどということは考えておりません。これはもう明確に申し上げておきますから、ひとつ御理解をいただきたい。これはそのかわり、強行採決などということが起こらないように、両院でもひとつ十分御審議をいただきたいということでございまして、いまから強行採決をするなどということは全く考えておりません。
  17. 森中守義

    森中守義君 まあ、意味合いはわかりますがね。いまの段階での答弁という理解のしかたが私はいいと思うので、そうでなくて、いよいよある時期にきて、どうしても事志と合わないという場合にはどうされるのか。そのときのことまでも包括的に強行採決はしないんだと、こういうふうに理解しておってよろしいですか。
  18. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは、強行採決ということ自体が、まだ私は理解をしないわけであります。多数決でやるということが強行採決と言われるのか、自民党だけで他の会派が参加しないことが強行採決と言われるのか、法律の条文には強行採決などということばがないことは、これはもう御承知のとおりでございます。やれば多数採決ということになるわけでございますが、これはまあ自民党だけでもってやるから強行採決ということになると思いますが、これはまあそういう問題で、自民党の中にも、じゃ自民党が三つか四つに割れていれば強行採決にならないのかというような、過去にいろいろ議論がございました。ございましたが、そうではなく、強行採決というものがやっぱり憲法や国会法衆参両院規則というものの精神に反するようなものであるかどうかというところに、強行採決というものの解釈があるわけでございますし、この最終判断というのは国民が直接なすわけでございます。そういう意味で、非難を受けたり、民主政治そのものの根底をゆるがすような、また乱るような、そういう審議も、そういう採決も行なってはならないというぐらいに私は考えておるわけでございまして、どうもその程度、そういうことは、これは十分ひとつ過去の歴史にも徴して御理解を賜わりたい。いまはもうそういうことは全く考えておりませんということで、ひとつ御理解を賜わりたい。
  19. 森中守義

    森中守義君 田中内閣ができ上がって十ヵ月、この間に、当初の六〇%以上の支持率というものは、おそらく半分、あるいはそれ以下に下がっていると思う。国民はおこっておりますよ。この十カ月間を顧みて、じくじたるものが私はあると思う。一体十ヵ月間の反省をどういうようになさっておりますか。
  20. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 政治は国民のためにあるのでございまして、われわれも国民の支持と理解を得るためにその責めを果たさなければならないということで、支持率が下がっておるとすれば、それは大いに国民の鞭撻として、国民各位の支持が得られるように責任を果たしてまいらなければならない、こう考えるわけでございます。提出した法律案がどうも実行できないというようなことになれば、支持率はもっと下がると思います。やはりそういう意味で責任を果たすということに私はウエートがあるのだと思います。支持率というもの、特定な調査を行なっておるわけでございますし、またその後行なわれた地方選挙に勝っておりますからなどということは私は申し上げる気はさらさらございません。さらさらございませんが、少なくとも数字というものには、これは間違いのない絶対値でございますから、数字は国民の鞭撻であるということで、謙虚にこの数字を直視して、支持率が上がるように、支持率が上がるということは、内閣の姿勢に関して国民が支持と理解を与えておるということにほかならないわけでございますから、せいぜい勉強してまいりたい、こう考えます。
  21. 森中守義

    森中守義君 たしか、二月の十七日だったかと思うのですが、戸川猪佐武という人が、週刊読売かなんかで、田中内閣は短命内閣で一年しかもたないのだと、こういうのがありましたが、お読みになりましたか。
  22. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 読んでおりません。
  23. 森中守義

    森中守義君 これは有名な評論家のあれですからね。ぜひお読みになるようにおすすめしたい。いいことを言っておりますよ。  そこで、大体、政策に行き詰まり、支持率が急激に低下をしておる、そういうことを何かの方法で浮揚させたいということで、夏の訪問外交というものが言われておるようですが、この関連はどうなんですか。
  24. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 支持率を上げる、また、局面の展開のために外国訪問をすると、こんなことは全く考えておりません。国会においては、国会開会中でも外交は重要だから、国益を守るためには愛知大蔵大臣の外国出張をなさい、こう衆議院で強く求められたようなこともございますし、二十数ヵ国から正式な要請を受けております。その中には十回以上正式な要請を受けている国もございます。ソ連などはもう十回に近いと思います。そういう状態でございますから、国益のために訪問をすることが必要とすればこれは伺おうということでございまして、いまの重要な責任の地位にあって、一身の毀誉褒賄などは問題としておりません。
  25. 森中守義

    森中守義君 その浮揚策の一つに天皇の訪米などをお考えになっているとは思いませんけれども、かなりこの問題が最近騒がれておりますが、天皇の訪米についてはどういうことなんですか。
  26. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) アメリカ政府から、両陛下の御訪米ということで正式な御招待がありますことは事実でございます。また、こちらからも、サンクレメンテ会談以来、時期があったら大統領も日本を訪問されたいということは述べております。しかし、あくまでも皇室の御都合によることでございまするので、これらの問題に対しては皇室の御判断によることでございまして、政府が政治的に発言をするというようなことは、現在までもありませんし、過去でも、すべてが皇室の御都合で御判断を願っておるということでございます。
  27. 森中守義

    森中守義君 外務大臣。
  28. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) ただいま総理がお答えになりましたとおり私も心得ております。
  29. 森中守義

    森中守義君 これは、私がとった情報では、天皇の訪米をすすめているのは実は牛場大使であって、ニクソンのほうで招こうとするものではないというわけで、出発点にかなり大きな相違があるようですが、真相をもう少し詳しくお尋ねしておきたい。外務大臣。
  30. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) そういうことは、私は全然伺っておりません。
  31. 森中守義

    森中守義君 宮内庁の長官にお尋ねしますが、いま、宮中の御都合を伺ってという話が総理からありましたが、宮中では、そういう相談をお受けになっておりますか。
  32. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮内庁長官が、いま行幸のお供で留守中でございますので、私から申しますが、この問題については慎重に検討すべきものということで、内々のお話は聞いておりますが、慎重に検討するということでございます。
  33. 森中守義

    森中守義君 宮内庁のある侍従、特にこれは名前を申し上げるわけにはまいりませんが、寄せられたお話では、宮内庁では迷惑をしている、そういうことは困るというような趣旨のことが伝えられておりますが、宮内庁の見解はどうですか。
  34. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) いまのお話の点は私は聞いておりませんが、これは要するに、まあ諸般の情勢を十分考えていくべきことであるということで、それによって、誤りがないようにこの結論を考えなきゃいけないということでございまするから、そういう意味で御了解願いたいと思います。
  35. 森中守義

    森中守義君 宮内庁に重ねてお尋ねしますがね、時期が時期だけに、政治的なもの、つまり天皇の国事行為ということは伴わないんだと、こういうように、もし政府が言うにしても、今日の情勢からして、客観情勢というものはどうしても日米の今日の関係からいけばそういうものはあり得ない、こう私は思うんですが、どういうお考えでしょう。
  36. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これらにつきましては、先ほど申しましたように、諸般の情勢を十分考えていくという中にそういうことも含まれてまいりまするが、これは検討していくべきことというのでございまして、まだはっきりした結論は出ておりません。
  37. 森中守義

    森中守義君 大蔵大臣、今度の予算、宮中予算の中にこういう経費は計上されておりません、款項目のいずれにも。もしおいでになるような場合には、予算上の措置はどうなりますか。
  38. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 四十八年度予算には計上しておりませんから、もし必要の場合におきましては、予備費支出その他の方法が考えられると思います。これは仮定の問題でございますが。
  39. 森中守義

    森中守義君 総理、天皇は何といっても象徴ですからね、国民の完全な合意が得られなければ、客観情勢がどうこうということとは別にしても、こういうことを宮中に進言すること自体があんまり当を得ない。むしろ、かようなことは宮内庁に一任したほうがいいんじゃないですか、外務大臣がしきりにおすすめになっているように聞いておりますけれどもね。御両所からひとつお答えいただきたい。
  40. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私は、本件で宮内庁と接触を持ったことはございません。お断わりいたしておきますけれども、ただいまの日米関係、確かに御指摘のようにいろいろ問題があることは事実でございます。しかし、問題が多いということは、日米関係の濃密さが生んだことでございまして、それ自体、決して憂うべきことではないと思っておるのでございまして、双方の理解を深めまして、問題を解決してまいることは不可能ではないと考えておるわけでございまして、こういう日米関係に、いやしくもお上を利用するとか云々、そういうようなことは、もう釐毫も考えていないわけでございます。
  41. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほども述べましたとおり、御訪米の問題は、皇室の御判断に全くまつわけでございまして、政府は、これに対して意見を差しはさむ、要請をするというような考えは持っておりません。
  42. 森中守義

    森中守義君 いま外相は、日米の濃密さのあらわれであろうということですが、もしソビエトあるいは中国からも同様なお招きがあった場合にはどうされますか。
  43. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) まだそういうお話を承っていないわけでございます。すべての判断総理からお話がございましたとおり、皇室の御判断を尊重して処置しなければならぬと思います。
  44. 森中守義

    森中守義君 三極のバランス外交を展開するということですからね、濃密の差においては他の二国もあまり変わりないと。そうなりますと、目下のところはそういうことないでしょうが、まあ、あるかないか知りませんけれどもね、アメリカが一極で濃密さがあるからおいでになるようにすすめるということであれば、ソビエト及び中国に対しても、そういうことは当然検討されておいてもいいのじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  45. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 日米間の濃密の度合いというのは、一例を貿易にとりましても、往復百四十億ドルにのぼっておるわけでございまして、中国あるいはソ連の場合は十億ドルをこえた程度のものでございまして、濃密さの度合いは明らかに顕著な差があるわけでございます。で、この濃密さが日米間の経済関係の緊張を生んでおるわけでございまして、それが、いうところの日米経済関係の緊張ということで話題を呼んでおるわけでございますが、私は、こういう問題があることは、決して日米間にとりまして不幸なことではないと思っておるわけでございまして、どの国との間におきましても、もうそういう濃密な関係がございますれば問題があるのは当然のことでありまして、ないほうがおかしいわけでございます。で、そのことと、それから陛下の訪米問題などというものは、全然これは別の次元の問題であると心得ておるわけでございます。で、あなたのおっしゃるように、他の国々から御要請があった場合につきましても、そういう高い次元に立ちまして皇室の御判断を基礎に処置すべきものと私は思います。
  46. 森中守義

    森中守義君 基礎にして判断をしたいという、とですが、先ほど総理は、すべて宮中におまかせをしたい、判断にまかしたい、こういうことですが、だいぶ違うじゃないですか。宮中のどう判断されるかを基礎にして、さらに外相が判断をするというならば、かなり外務省は積極的だということになりますが、どうです。だいぶ意味合いが違う。
  47. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 全く同じなのでございます。これは、おいでになるかならないかの採否の御決定は皇室によって御判断をいただく、皇室で御判断をいただいた結果、外国においでになられるということになれば、政府は諸般の手続を行なわなければならぬわけでございますし、諸般の準備も行なわなければならぬわけでございます。そういう、政府が外交上、行政上行なわなければならないことは御決定に基づいて行ないますと、こう申し上げておるのでございまして、御訪問をなされるかなされないかという事実に対しては、あくまでも皇室の御判断によるものでございますと、政府は意見を述べたり、要請はいたしませんということでございますから、これは何も食い違いはないわけでございまして、あるとすれば、少しこまかく申し述べなかったということでございまして、政府は、政府のなさなければならない責任が生じたら、その部面に対して御判断に基づいて責任を果たしますということでございますから、これは、御決定はあくまで皇室の御決定であると、こういうことでございます。
  48. 森中守義

    森中守義君 宮内庁、いま総理からお答えがありましたので、あとは宮内庁の御判断によるわけですが、政府のほうでは、とかくのことは申し上げるような意思はないのだと、宮内庁及び天皇御自身の御意思に基づくと、こういうことなので、その点ひとつ、いき違いがあってはいけませんから、おりから非常に微妙なときですので、よほど慎重に御検討なさるのが適当だと思うんですが、もう一回、政府はそういう意思を表明されましたから、どうなさるのか、お答えいただきたい。
  49. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮内庁は皇室に関する国家事務を担当するというところでございます。そういう立場で慎重にこの問題を検討したいと思っております。
  50. 森中守義

    森中守義君 安保運用協議会のことでお尋ねいたしますが、十七日にその会合があるようですね。これに対して、政府が臨む基本的な姿勢及び具体的に何を協議しようとするのか、その構想をお示しいただきたい。
  51. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 安保運用協議会は、ことしの一月、日米間で合意してつくり上げられた随時協議の機関でございます。で、つくりまして以来、まだ会合を持っていませんで、今月の十七日初会合を持とうといたしております。で、この会合におきましては、まず、この運用協議会の今後の運営について協議をしてみたいと考えております。それから、安保条約の運営全体につきまして隔意のない意見の交換を遂げること、あわせて、いま問題になっておりまする沖繩、本土を通じましての基地の整理統合等について、どのような取り組み方をしてまいるか、そういう最初の打ち合わせをやってみたいと考えております。
  52. 森中守義

    森中守義君 新聞では、アメリカは一時積極的に基地を返そうという動きがあったようですが、まあ、それが最近は現状凍結と、こういった方向に流れが変わってきたように伝えられておりますが、この事実はどうなんですか。ことに沖繩の状態についてはどうですか。
  53. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) そういうことは聞いておりません。私が承知いたしておりますのは、再三の日米首脳会談におきましても、また、ことしの一月二十三日の安保協議委員会におきましても、基地の整理統合という問題につきましては、今後、日米間の協議を通じてこれを推進していこうということにおいて基本的な合意を見ているわけでございまして、この合意を踏まえた上で、これから仕事に取りかかっていこうといたしておるわけでございまして、御指摘のような、アメリカの態度に変化があったというように私は承知いたしておりません。
  54. 森中守義

    森中守義君 ちょっと、この問題に直接のかかわりはありませんけれども、せんだってから問題になっていた三十八億の使途がどうもわからない。この問題は紛糾を続けたままですけれども、総理、どうですか、飛行機の給油装置、F4の。これは前回からずっと議論をここで展開されましたが、不必要なものである、装置の必要がない、こういうことに私どもは判断をするんですが、どうお考えですか。
  55. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 空中給油装置の問題については、もうずっと御審議をいただいておるわけでございますが、防衛庁当局の発言によれば、空中給油は考えてはいないが、地上における二点給油をやることによって、飛行機の地上における帯地時間が非常に短くなるので、その意味では給油装置が必要であると、こう述べておりますとおりでございまして、効率的に少ない機数で目的を達成するためには、これは国民の生命財産を守る国防という重大な問題でございますので、給油装置があることが望ましいと、必要であるという考え方を堅持しておるわけでございます。
  56. 上田哲

    上田哲君 関連。  冒頭に委員長お願いしておきますが、この問題は経過があることでありますので、関連質問をひとつ、一問に限らずお願いいたします。  総理のただいまの御発言には、私は基本的な認識と反省が欠けていると思います。これまでの予算委員会審議の中で、幾つかの問題が明らかになってきております。  特に重要なことは、第一に、ファントムの空中給油装置の問題が、この三月二十二日の予算委員会で取り上げられるまで、自衛隊は、ただの一度も空中給油装置の地上給油を行なっていないのであります。これが第一の事実であります。  第二に、それにもかかわらず、防衛庁は、空中給油装置を地上給油に現に使っていると答弁して、国会の質疑を切り抜けようという方針をとりました。久保防衛局長は、議事録にも明らかなように、再度にわたって、自衛隊でやっているのかという質問に対して、やっていると答え、さらに、一点給油ならば八分だが、空中給油装置を使えば四分という虚偽の答弁を行なったのであります。  第三に、しかも、三月三十日、百里基地を視察した予算委員六名に対して、あたかも日常的にこの地上給油が行なわれているかのごとく作業を行なって見せました。自衛隊が二点給油の実測をしたのは、このときと、二十二日の質問の翌日、衆議院の楢崎議員らが現地を視察したときの、たった二回だけで、いずれもこの委員会の質問以降行なった二回にすぎないのであります。  第四に、これらのうち二点給油作業の実測も、防衛庁が事態を糊塗するために、空中給油装置用のアダプターを、地上給油するためのアダプターを、急いで三菱重工の小牧工場から借りてきて行なったものでありまして、これらの相次ぐ国会に対する擬装工作は絶対に許せないと私どもは考えます。  第五に、さらに久保防衛局長は、四月三日の予算委員会でこの擬装が明らかになりますと、自衛隊ではやっていなかったが、三菱重工のデータを借りて答弁したのだと釈明をいたしました。その後調査したところ、三菱重工でもこの実測をしたことは全くなく、データもないことが明らかとなりました。  したがって、第六に、つまり、国会答弁の骨子となっておりました八分・四分というのは全く架空の数字であって、このことは防衛庁も認めました。また、その後の調査をいたしてみまするに、諸外国の文献等に徴しましても、このような都合のよい数字はありません。まさに、これらはすべて国会答弁用のでたらめであった以外の何ものでもありません。  第七に、政府は、これらの問題を糊塗するために、空中給油装置を改造する——この場合には、設計変更等を含めて経費がかさむという答弁をしておられたのでありますが、これも、防衛庁自身によるその後の計算によりまして、取りはずしたほうがかえって安くなることが明らかになっております。大まかな点を並べてみましても、このような答弁が相次いだのであります。  これらを要するに、私は、このようにして再三にわたり故意の欺罔、瞞着、ときには挑発的な政府答弁というようなあり方は、そもそも政府国会に対する答弁姿勢の基本的な態度に問題があるのではないか。少なくとも、このような答弁をする政府責任者は国会答弁の適格を疑わしむるものではないのか、この点を総理は明らかにしていただきたいことが一つ。  第二に、これらの答弁は、単に国会に対する許せないごまかしだけではなくて、防衛問題について、特に防衛問題について政府がたびたび答弁をせられておりますように、シビリアンコントロールは自由な国会審議、監視のもとにさらす、このあり方を根底的に危うくするものである。防衛問題に対するシビリアンコントロールを根底的に危うくするものであるということを率直にお認めになり、反省を明らかにされることが第二点であろうと思います。  第三に、この経過を振り返ってみますときに、ここまで巧みに虚偽の構成をされる。わざわざ百里基地に出向いても、ストップウォッチまで渡されて、これでごらんくださいと見せられるようなことになっておりまするならば、普通の場合なら簡単にだまされてしまいます、このような場合には、通常の手段ではこのうそを見抜くことがむずかしいことを考えますと、このような状態国会答弁のあり方、防衛問題に対する政府のあり方というものは、将来を考えると、まことにりつ然としなければなりません。一台のアダプターを写真にとり、そのことを追跡調査することによって、ようやくこれらの虚偽が明らかになったということを考えてみるときに、このような事態は今後とも起こり得ないとは断じて言えないと思います。政府は、このような問題、特に防衛問題等について国会審議を自由に、適正に行なうために、今後どのような姿勢をとることを保障とせられるか。  以上三点について、まず明確に総理の反省をお聞かせいただきたいと思います。
  57. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いま御指摘になりましたとおり、政府委員が答えました中で、二点給油と一点給油との間の時間差に関して、あたかも防衛庁で実験をし、実施をしておるがごとき前提で御答弁を申し上げたことははなはだ遺憾でございまして、これが答弁者に対しては厳重に注意をいたしましたし、また、防衛庁長官に対しても厳重な注意を促しておいたわけでございます。  これはただ、虚偽の発言を行ない、国会を軽視したものであるという御指摘でございますが、そのような考え方に立ったものでなかったと、結果的にはたいへん御迷惑をかけたということは、これは申し上げますが、意思の問題として、確認をせずして答弁を申し上げた軽率のそしりは免れないということに対して厳重に注意をしたわけでございますが、しかし、この問題は私も、重要な問題でございますので、十分その事実をただしたのでございますが、マクダネル・ダグラス社の一九六一年の技術資料の推定値ということで八分と四分というラウンド数字で申し上げたわけでございますが、それが三月三十日に初めて実施を行なったということでございまして、数値は八分と四分が、六分と三分か、六分五十秒と三分五十秒ということでありまして、まあ大体二対一ということでございましたが、これはもう初めからすぐわかることでございますから、すぐわかることを初めから国会をごまかそうとか、そういう考えに出ずるものでないということは、もうこれはひとつ、すなおに御理解を賜わりたいと思いますし、そういう意味で、資料に基づく数値がそのまま実施をされ、検討をされたものであるがごとき発言になったということに対しては、これはもう結果論であっても、はなはだ遺憾でございますから、以後このようなことのないように十分注意をいたします。事情はひとつ、久保防衛局長も、もう長いこと国会政府委員として出席をし、御質問にお答えをしたり、資料を提供したりしておる責任者でございますから、過去の長い経緯や実績に徴して、彼が国会を軽視するような人でないということは、ひとつぜひ御理解を賜わりたいと、こう思うわけでございます。  それから第二の問題は、かかることが間々行なわれるということになったならば、これはもう文民統制という国会の大きな権能に支障が出たのではないかという御指摘でございますが、それが間々行なわれれば、ほんとうにこれは申しわけないことでございまして、このようなことは再びあってはならないわけでございまして、いやしくも国会でこのような事実を答弁する場合には、確認をしてからでなければ、どこで、いつということでなければ、みだりに答弁すべきものでないということは、これはもう厳に私も申しつけておるわけでございますが、しかしながら、国会最大の文民統制の実をあげる機関であるということは、国会が国権の最高機関であるということを考えれば当特のことでございまして、このようなおしかりを受けたり、御指摘を受けたり、また、いろいろ御質問を賜わったりしておるということによって、だんだんと機構も整備し、正されてまいるわけでございますから、そういう意味では、この久保君の発言そのものが、国会審議権や国会の文民統制という一番大きな権利や任務を制約するものではないわけでございまして、ここでもう厳重に注意もしましたし、以後は絶対に一度でもこのような間違いのないように全力をあげて勉強いたしますと、慎重を期しますと、こう私が述べること自体が国会の文民統制の実があがっておるわけでございますから、そういう意味では、ひとつ十分おしかりを賜わることはよく理解できて、こちらも戒心はいたしますが、その間の事情はひとつぜひ御理解を賜わりたいと、こう思うわけでございます。  なお第三点に、このような情勢というものに対して一体将来どうするかということでございますから、これはもう十分確認をいたしまして、事実に基づく——やっぱり予断とか予想とか、そうであったと思いますというような、事、防衛に関しての問題に関しては、やはり明確に事実に基づいた答弁を申し上げたり、まあ予想の数字も出せということもあるわけでございます。しかし事実を必要とする、事実に基づくデータを国会で御説明をしたり提出をする場合には、真に確認をいたしまして、今度のような問題を一切起こさないように努力をいたしますので、ひとつ御理解を賜わりたい、こう思います。
  58. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 簡潔に願います。
  59. 上田哲

    上田哲君 私は、ただいまのその総理の御発言を聞いて、疑いをさらに深くしたのであります。ことばだけの問題ではなくて、事実関係をさらに私は糊塗して御答弁なさるような仕組みが防衛庁側から総理の手元に伝えられたとしか考えようがありません。私が申し上げていることは——繰り返しませんが、数値の問題だけではないのであります。自衛隊で再三にわたって確認したにもかかわらず、地上給油を空中給油装置に向かってしていないという事実、このことはどこかからデータを借りてきたとか借りてこないとかいうこととは違うのでありまして、このことは、私は、何回にもわたって虚偽の答弁が繰り返されたということに徴して、計画的であったと思わざるを得ません。  特に、ただいま総理の御発言になった御説明の中で、私は絶対許さないことがある。これは実は自衛隊ではやってなかったけれども、マクダネル社一九六一年の調査にあったなどというのは、自衛隊の官僚が、その点については知識のない総理に向かってこのようなデータをもって説明せよと与えた、非常に欺瞞するものとして、私は許さない。一九六一年のマクダネル社——それぐらいのことは私のほうにも調査してあります。まさに十二年前のデータであります。しかもこれはF4Eなどという飛行機はその当時ありません。F4Eファントムの実測ではないのです、それは。F4HであってF4Eファントムではありません。しかもここには明確に、八分・四分ではなくて、十一分・五分台、五三・五%の数字があります。機種も違う、数字も違う、八分・四分が虚偽架空のものであるということを私どもが追及をしてきたのは、それぐらいのデータは、十年や十五年前のことは諸外国のデータについても十分調査がついている。この段階に至って防衛庁は、その点について知識の十分でない総理にこのようなデータを与えてさらに国会を瞞着しようとするのか。  私はそういう説明ということが——総理は再三にわたって、国会からしかられる、それがシビリアンコントロールの保証ではないかといま言われたけれども、答弁するのにさらに実質的でない偽りのデータをもって、これでしかられていると言われるのでは、国会のシビリアンコントロールはどこに行くのでありますか。これは私は与党野党の問題ではないと思う。私たち全体が、国会全体がまたしても黙れと言われるような時代をおそれなければならないのが共通の任務であると考えるのです。  その立場からすれば、一回二回、二転三転をした防衛庁側の制服組やせびろのシビリアンの答弁も、伝え聞くところによると、制服側の突き上げによって思いどおりの答弁ができなかったというふうにすらこれは風聞しております。そのような事態が国会をおおうような暗い時代が来てはならないと思うから、私たちは国会の権威をかけて皆さんに追及をしておるのに、このようなでたらめな数値をもってさらにわれわれの追及をかわそうとするようなことは、私は断じて、国会の権威をかけて、してはならぬと思います。これはひとつ総理、しっかり御答弁をいただきたい。  関連でありますからたくさんはできないので、私は次の問題に移りますが、問題はいまのような——(「長いな」と呼ぶ者あり)何をおっしゃる。総理答弁が間違っているからその点を追及したんじゃありませんか。国会の問題ですよ、これは。そこで私がお伺いしたいのは、単に申しわけなかったということばの問題ではないのです。この空中給油問題をこのように取り上げているのは、私が従来から申し上げているように、政府の説明のように、四次防が単なる三次防の兵器更新の、装備更新の延長にすぎないという言い方はいかぬのだ、明らかに四次防は三次防とは違う質的変換を遂げているのだ、それは近代戦遂行能力というものを具備しているということを立証しようとする趣旨にほかなりませんが、それをさらに収縮的に言うならば、空軍の一般的にいう近代戦略であるCAP体制に向かってわが航空自衛隊もいま四次防をもって移行しようとしているのだということを、この空中給油装置をもって立証していると私は思うからであります。そのために、このファントムという四次防の主力戦闘機であるものの主要装備の一つである空中給油装置を取り上げたのでありまして、その立場で言うならば、これは少なくとも政府の説明されているところから言っても、専守防衛のワクをはみ出すではないか、これは政府もお認めになる。  第二に、四十八年度からこの百二十八機の本格的な生産配備体制に入るのだから、ほんとう政府の専守防衛を、ここで少なくとも政府の専守防衛を守られるのであるならば、いまにしてこのファントムの空中給油問題をきちっとしておかなければならないのだということを申し上げているんです。  したがって、しっかり御確認をいただきたいことは、第一に、空中給油を空で——空で行なうから空中給油と言うんですが、空中給油を空で行なうことは、政府の主張としても専守防衛にもとることとしてこれをとらないという御答弁をしっかり確認をしていただきたいことが一つ。  第二に、政府の御答弁としての将来とも空中給油機を持たないということも確認をしていただきたいことが二つ。  第三に、一般的にはその方向をたどっていると御答弁をされた、一般的には戦闘空中パトロール体制を空中給油体制は指向するものである、しかし航空自衛隊はそのようなCAP体制はとらないのであるということを確認をしていただきたいことが三点。  これを確認されるならば、第四に、それならば、これを取りはずすためには金がかかるということはひっくり返ったのでありますから、取りはずしたほうが安くなるのでありますから、それから、取りはずしても性能に変化がないということも確認されたのでありますから、このような虚偽の答弁を繰り返さないということの保証のためにも、そのような確認の上に立って、第四に、ファントム百二十八機に対して空中給油機をはずされるということを確認をしていただきたい。で、もしそれにもかかわらずこれを取りはずすことができないというのでありますならば、これまでのさまざまな虚偽の御答弁というのは単に情報の取り違えなどというものではなくて、どんなにごまかしても、空中給油装置を残しておきたいという底意があると論断しなければならないことになります。そういう立場を払拭されて、国民の真の理解をその部分だけでも得るためにも、この際、以上の確認に立って、空中給油装置を取りはずすということをここで明確に御答弁をしていただくことが、先ほどの遺憾の意を表明されたことの当然な帰結であると思います。その御結論が出ない場合には、もう一問だけ保留いたしまして、御答弁をお願いします。
  60. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 第一点、空中給油はいたしません。  第二点、空中給油機は保持しません。  第三点、空中給油に対する演習、訓練その他もいたしません。  第四点、これは空中給油はしないけれども、二点給油のために空中給油の給油口は必要であるということは述べておるわけでございますから、これはせんじ詰めれば、空中給油をしないで地上において二点給油ができるということが技術的に解決できれば、あなたの御発言の趣旨に沿うわけでございます。これは、私は技術屋でございませんから、これは技術的に十分検討をいたしたい、こう思います。
  61. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 森中君。森中君。
  62. 上田哲

    上田哲君 もう一問だけ。全然答弁にならぬ。
  63. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 上田君、ごく簡潔にね、あんまり長いから。
  64. 上田哲

    上田哲君 総理ね(「議事進行」と呼ぶ者あり)何をおっしゃる。何が議事進行だ。議事進行なら総理が明確に答弁されるべきじゃないか。(「答弁漏れだ」「関連が長い」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  65. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御静粛に、御静粛に願います。
  66. 上田哲

    上田哲君 総理、それでは全く御答弁にならぬのです。空中給油装置については空中給油を空で使ってはいかぬということははっきり御確認になっておられる。それならば、空中給油装置を、たとえば空中給油機を買わずとも空中給油装置は空で使えるんです。KC価があれば直ちに使えるんです。日韓米合同訓練ということもあるんですから、そのことが現実の問題になってくるんですから、その懸念を消すことができない。うそをつかない国会ならともかく、うそをついていることが重なっている以上、またしても最後の一つのうそがつかれぬという保証がないということを心配しなければならない事態だから、私は、その限りでは総理が言われる二点給油が、これは百歩譲ったとしても、二点給油の受給口を地上給油にしか使えないように改造されるということを少なくとも最低限具体的に、時期と内容を明確にしていただかなければならぬと思うんです。そのような抽象的な御答弁でこれまでの経過を取りつくろうことはできません。現に、四月四日の予算委員会で、防衛庁長官は、この背中の受給口を地上給油用に改造できるものならばやりたいと言っておられる。しかも、金はそのほうが安くつくということも明らかになっておる。とすれば、少なくとも最低限——私たちはそれは賛成ではありませんが、少なくとも最低限、国民の疑惑にこたえるためにも、その分だけは直ちにおやりになることが正しい。私は、少なくともこの二点給油か一点給油かを、いまきめるときではないかと質問したところが、防衛庁長官は、にもかかわらず、二点給油だけは守りたいということをおっしゃった。しかるならば、二点給油か一点給油かの実験は、しばらく、四十九年に政府がアダプターを十分に購入するまではできない。つまり、一年有半はその実験は十分にできないのです。とすれば、一年有半は、いま総理が言われるような改造をするという保証はないことになります。その間に残っている八十四機のファントムの発注は全部行なわれてしまいます。ということは、またしても既成事実をつくることによって国会答弁の真実を失うという、実質を失うということになるのであって、私が先ほど第三点に質問した今後の保証はどこにいくのかということが裏切られることになります。そこで、はっきりしていただきたい。総理が言われることは……。
  67. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 上田君、簡潔に願います。
  68. 上田哲

    上田哲君 もう一言。  総理が言われることは、少なくとも空中給油装置を地上給油しかできないような、たとえば雌型を変えるというようなことを具体的に直ちになすって、少なくとも、いま出ている発注の終わったものと、これから発注する八十四機まで含めて、百二十八機について、経費も安くなるのでありますから、その分だけを直ちに改造するということを御確認になるのでありますか。もし、そのことが御確認にならないのであれば、私は、国民を愚弄し、国会を瞞着したものとして、このような答弁については絶対承服しないことを明らかにします。
  69. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 私から申し上げて、あと総理にお答えを願いたいと思います。  二点給油の問題につきましては、ただいま総理からもお答えをいたしましたが、この前の上田委員の御質問に対しまして、初めからの経緯はありまするが、最後に、この空中給油はやらないのだと、やらなくていいんだと、しかし、二点給油はやらしていただきたいと私どもが言ったのに対して、それであれば、空中給油はできない、地上給油だけできるようにするかという御質問でありましたから、簡単にそういうことができるようであるならば、改造することに、そういう装置をつけることにやぶさかでないと申し上げた、いまおっしゃったとおりであります。これにつきましては、その後検討をいたしておりまするが、いま、金も安くなるとおっしゃったのは、これは、その空中給油装置を全部取りはずす場合が金が安くなるのでございます。それで、地上給油はできるようにしておかなければなりません。そのための改造をやらなければならぬわけでございます。で、新しいものは、まあそういうふうにつくるということで、この計算を一応いたさせておるわけでございまするが、まだ、しかとしたもので申し上げるところまでに至っておりませんが、大体において若干プラス、よけい要る、これはしかし、まあ数千万円程度であるということはわかり、そうして、まあ簡単にできればという中にはその経費の問題を含めたつもりであったのですが、比較的複雑でなく改造が……。
  70. 上田哲

    上田哲君 百二十八機。
  71. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 百二十八機です。
  72. 上田哲

    上田哲君 百二十八機ですよ、全部。
  73. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) いやいや、そのよけいかかる金がです、百二十八機そういうふうにすると、これからの分は安くなります。いままでのものを改造するのに金がかかる。そのプラスマイナスで数千万程度、それがまだはっきりした数字を申し上げるまでに至っていないのでございます。したがいまして、その点をさらに前向きに詰めまして、申し上げたように、経費もあまりかからず、複雑でないということであれば改造いたしますということを申し上げたわけでございます。
  74. 上田哲

    上田哲君 すぐ計算できるじゃないですか。
  75. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) その方向でいたしておるということでございます。
  76. 上田哲

    上田哲君 方向じゃだめです。予算がきまっちゃうじゃないですか。(「了解了解」と呼ぶ者あり)そんなことで納得できない。予算審議できない。
  77. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 空中給油はしない、給油機は持たない、訓練もしない、こう言っておるのですから、あと残るものは、その飛行機についておる空中給油可能な装置の問題だけになるわけでございます。これは、空中給油はしないけれども地上給油の用には供する必要がありますと、こう言っておるのですから、これは改造したほうが安いのか、また取りはずしたほうが合理的なのかは別にしまして、これは技術的に検討すればいいんですが、空中給油ができなくて地上給油はできるという装置にすればいいわけであります。
  78. 上田哲

    上田哲君 最低限そう言っているのです。
  79. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ですから、空中給油が不可能であって……。
  80. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御静粛に願います。
  81. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 地上給油の用に供せられるようにいたすべく……。
  82. 上田哲

    上田哲君 すぐやりますか。
  83. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いたします。
  84. 上田哲

    上田哲君 直ちにやりますか。
  85. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いたします。いたします。
  86. 上田哲

    上田哲君 一年後にならないですか。(「了解了解」と呼ぶ者あり)
  87. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) なりません。
  88. 上田哲

    上田哲君 いまやるわけですか。
  89. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いまやっているものからそうすればいいんですから、空中給油はできないように。地上給油の用には供されるが空中給油の機能は使えないというようにはいたします。
  90. 上田哲

    上田哲君 百二十八機ですよ。
  91. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) はい。
  92. 森中守義

    森中守義君 いまの装置の問題は、総理の答弁で、また後日これは議論も出てくるでしょう。後日議論も出ましょうからね、いまの装置の問題。  そこで、いま一つ残るのは、答弁ですよ。大臣は防衛庁長官に厳重に注意をした。長官は久保局長に厳重に注意した。これでは国会としてはおさまりません。もう総理も言われているように、明らかにその分をわきまえず、しかも一転、二転、三転というように、繰り返し虚偽の答弁をしたということは、ただ釈明陳謝ということで済む問題じゃない。私は、あくまでも国会の権威を守っていくために、しかも上田質問に対する答弁者の姿勢というものは、国会の構成員の一人であるということを忘れている。野党だからこの程度でいいという意図的、計略的な答弁です。私は、厳重注意などという処分ではおさまらない。この際、国家公務員法、あるいは人事院規則、当然こういう拘束を受ける立場にある。どういう処分をするのか具体的に返答願いたい。もしそのこといかんでは、謹告罪、偽証罪、告発の用意があります。
  93. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 久保防衛局長に対しましては、二重に厳重注意を行なっておるわけでございます。これは防衛庁長官をして注意をせしめただけではなく、私が本日の国会に先立って、きのう官邸に久保君を呼んで厳重に注意をいたしたわけでございますから、これはひとつこれで御理解をいただきたい。しかも、その結果、私のほうでも誠意をもって、これからは国会の御審議に御協力をするようにいたしますし、確認をしないようなことをみだりに国会発言をするようなことはいたしません、こう述べておるわけでございますし、また、いまの上田質問に対しましても、相当な決断をもって決意を披瀝しておるわけでございますから、それだけ国会の権威は高くなっておるわけでございます。それにちゃんと答えているわけですから、これはまあ公務員法その他ということよりも、久保君の長い政府委員としての実績に徴していただければ、久保君がそんな国会をごまかそうとか、悪意に出たものでないことは、これはもう十分御理解いただけると思うわけでございますから、この問題はここでひとつ、以上のことで御理解を得たいと、真にそう考えております。
  94. 森中守義

    森中守義君 それは、もし総理と私どもの立場が変わっていたらどうなりますか。
  95. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私も野党のことはございましたが、やっぱり、こういう事態があった場合には、まあ相当政府を追及したけれども、最後は許してやるということでございます。(笑声)
  96. 森中守義

    森中守義君 いま総理の立場にあるからそういうことが言えるのであって、ほかへ行ったら私よりもっとひどいだろうと思う。そこで、これは単なる情状論や立場上の問題で片づくものじゃありませんよ。お互いに長い間ここにおりまして、かつてこういう例はないんです。速断をしたとか、不用意であったということは、それはあります。けれども、今度の場合には、悪意ではなかったにしても、意図的であり、計略的ですよ。それも、国会と行政府という関係、しかも一番重大なシビリアンコントロールという問題からとらえていくならば、そう簡単に片づく問題ではない。承服できません。もう一回御返答いただきたい。
  97. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、きのう久保君自身を呼んで厳重に注意した中で、久保君も長いこと政府委員として実績もあげておりますし、自分が知識が多いということで、いろいろ世の中に書物も公刊したり、講演等もいたしておるわけでございますが、やっぱり国会において発言をする場合と、みずからの責任で世に明らかにするような書物の数字とは、これはおのずから異なるのだと、だからそういう意味で、国会に対しては、やはり新しい数字を述べるときには必ず確認をしてから答えるべきである。だから、長いことの間に、書物などでもって公表しておる数字が、そのままにとっさに説明の中に入るということも、私たちも間々あるわけでございますが、そういうことは、いやしくも政府委員としては、非常に質問者に迷惑もかけるから、そういう意味では、責任ある政府委員という立場を考えたら、特に確認をすべきであると、こう述べておるわけでございます。久保君が意図的に国会を瞞着したりというために、これは申し上げたものでないということは、これは彼の過去における実績に徴していただければよく理解をいただけると思うわけでございます。長いこと政府委員として答弁にあたっておるわけでございますので、まあ過去の実績に徴して、厳重にしかりおくということで御海容賜わりたい、こう考えます。
  98. 森中守義

    森中守義君 先ほど上田君からも指摘しましたように、総理が一番最初に言われたところにも間違いがある。十二年前の外国の何かを引用して、こういうように外国はなっているんだから八分・四分というのはあたりまえじゃないかというような言い方、まさに、使われていないもの、十年以上前のものをここにまた持ち出してきたというのは、だれが持ち出してきたんですか。あなた自身が勉強したんですか。誤っておりますよ。その点のいきさつはどうなんですか。
  99. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは一九六一年マクダネル・ダグラス社の技術資料から——これは速記録を見ていただければ、私読んだんですから、このとおりなっております。六一年の技術資料からの推定値でございましてと、部隊では三月二十二日及び三月三十日に二点給油のテストを行なったわけでございますし、また、三十日に上田議員ほかお立ち会いいただいたときも、上田さんがはかられたのは一点給油で六分五十七秒、二点給油三分五十秒と、こういう数字が出ておりますが、計器ではかっておったものは七分三十一秒、三分四十二秒、まあ近似値が出ておるわけであります。これはやはり四対二、二対一ということでございまして、これはこの数字が逆転しておればたいへんでございますが、そうではないんです。ですから、現実問題としては二対一であるということにウエートを置かれたということでございましたが、いやしくも国会における答弁でありますから、何月何日どこでアダプターを取りつけてはかった場合の数値は左のとおりでございますと、こう答えべきのところを、そういう答えをしなかったということが間違っておったわけですが、結果的には二対一であるということは、これは実験の結果、もう明らかなとおりでございます。そういう意味で、この七分三十一秒、三分四十二秒を八対四、こういうふうに資料に基づいてお答えをした、この資料がなければ八対四ということは言えなかったわけであります。彼も、実際に一ぺんもやったこともないし、確認もしたことのないものを述べたわけでございますから、どこかに文献があった、しかも、それは相当権威のある文献であったことは間違いない、その文献は何だと、こう言ったら、先ほど申し上げたように、ダグラス社の一九六一年の技術資料からの推定数値でございましてラウンドナンバーで八対四、八分と四分と述べたのでございます。こういうことでございますので、これは確認をしないでやったというところだけが問題でございますから、これからは絶対に確認をしないものは数字を述べてはならない、こういう強き……。
  100. 上田哲

    上田哲君 うそですよ。
  101. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) うそじゃないです、これは。うそというのではなくて、これは国会でうそということになるとたいへんだ、うそじゃないんです。これはうそじゃなくて、ラウンドナンバーでもって述べたということでございまして、これはもう、しかも問題は、こういう問題には前提条件が、虚偽とかそういう意思のもとにやったか、意思なき行為であるかということが問題でございますから、全く意思なき行為でございまして、そこでもって、こんな問題になると思えば、数字なんか述べるわけはないんですが、そこが、やっぱり確認をしなかったのを、あたかも確認したようにおとりになれるような答弁をしたという一点が非常に申しわけないことでありますから、これはひとつ私も数字を述べますが、これはもう確認をしてから述べるようにいたします。どうかこういう意味で、ぜひひとつごかんべんのほど、お願いしておきます。
  102. 森中守義

    森中守義君 いまのことを、来ているようだから、もう少し技術的なことを詳しく説明さしてください、防衛局長から。だめだ、それじゃ。承知できない。
  103. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 私が間違いました背景をお聞きいただければ御理解いただけると思いますが、私が知っておりましたこの二点給油の場合の分数は、いま総理がお話しになりましたように、六一年のマクダネル・ド社の数字であります。これは大ざっぱに言えば七分と十三分、厳密に言えば六分五十四秒と十三分六秒であったわけであります。私が知っておりましたのはこの分数でありまして、二点給油の問題が出るということで部下に聞いてみましたところが、八分と四分であるという話であります。したがって、私の知っておる数字と違いますので、どうして違うのかということを聞きましたところが、担当の部員もわかりませんで、空幕の人たちを呼んで聞いておりました。そこで、私がもう国会に行く直前でありましたので、すぐそばに行って聞いてみましたところが、それは実測に基づくものである、八分・四分は間違いはないということであります。したがって、その実測ということを聞いたままでここへ飛び込んだわけでありまして、そうお答えしたわけでありますが、ところが、あとで聞いてみると、実測というのは八分のほう、つまり一点給油のほうは、これはF4を昨年から展開しておりまするので、そして実際にやっておったわけでありますが、四分のほうは三月に実測の予定と、あとで見ると、資料にはそう書いてありました。私はそれを見ませんし、説明を聞かなかったので、全部を実測と、私はそこで勘違いをしたということであります。  なお、そこで、このF4Hの数字がどうしていまの八分・四分になったか、つまり四分という推定値が出たかということでありますが、いま申し上げたように、八分というのは昨年の十二月以来の実測値である。四分と空幕のほうで推定しましたのは、このF4Hの場合にマクダネル・ド社で実測をした場合に、二点給油は一点給油の場合の、これは実測値では、〇・五三五、厳密に申せば。それから計算値では〇・五一であるということであります。しかも、このF4HとF4Eがどういうふうに違うかと申しますると、給油口、つまり油を入れるパイプの大きさが、F4Hの場合には、地上給油の場合が一分間二百五十ガロン、それから空中給油の場合は二百三十八ガロン。これに対しましてF4Eのほうは、地上用ノズルで三百五十ガロン。つまり約百ガロン多い。それから空中給油の場合には六百ガロン。前には二百三十八ガロン、F4Hと申しましたから。これはだいぶ大きいということになります。したがって、このパイプの大きさから言えば、F4Hの場合よりもF4Eのほうが、二点給油にした場合には相当程度効率が高いわけであります。ですから、実測値の〇・五三よりも、〇・五一の計算値よりももっと効率がよくなるはずであります。ただし、ここで制約がありますのは、地上給油用のパイプの大きさ、つまり給油車のほうの制約がありまして、これは現在自衛隊で持っているのは三百五十カロンしかない。いま空中給油のほうは六百ガロンの容量があると申しましたけれども、三百五十ガロンで、そこで制約されるわけであります。六百ガロンにすればもっと能率があがるわけでありますが、かりに三百五十ガロンにしましても、F4Hの場合は二百五十あるいは二百三十八ということですから、こちらのほうがよけい入ると。ですから、二点給油にしました場合に、F4Hのときには〇・五三あるいは〇・五一というようなものがあったけれども、こちらのほうはもう少し効率が高いはずだと。しかも、ガソリンの容量というのは、F4Hの場合に、飛行機全体で千九百五十七ガロン、これは増槽タンクは別でありますが、F4EJの場合は千九百十五ガロン、約四十ガロンF4Eのほうは少ないという見地もあります。そういうことから彼此総合しまして、F4Eが約半分というのはしかるべき推定であるというのが空幕の判断でありました。したがって、八分を基準にして約半分というのはそう違った数字ではないはずだということで内局のほうに説明があった。で、あと二十二日及び三十日の実測の場合にもそれは裏づけられた、こういうことであります。
  104. 森中守義

    森中守義君 いまの件は非常に問題ですよ。  そこで、さっき申し上げたように、このことはまた内閣委員会での議論もありましょうから、そこに譲るとしましても、もう一回総理、確認しておきます。  注意とか厳重注意などということでは終わるような性質のものではない。私は、国会の権威権威としきりに言いますけれども、ほんとうにその気になるならば、与党野党の立場を越えて、厳重に処分に値する。意図的でないと言われるけれども、まさに意図的である、計略的ですよ。それをどうするのかということ。  いま一つは、百二十八機をあくまでも改造する、こういう約束ができるかどうか。つまり、取りはずしということで私は主張しておりますが、総理は改造だと、こう言われる。どっちなんですか。あくまでもこれは取りはずしてもらいたい。必要ありませんよ。
  105. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 久保君の発言に対しましては、意図的なものでなかった、ただ慎重を欠いたということでございまして、これは御理解を賜わりたい。厳重に注意をしたのでございまして、政府委員に厳重に注意をし、私が公の席上で頭を下げておるわけでございまして、以後注意をいたしますだけじゃないんです。ごかんべん願いんいただけるわけですから。(笑声)それはそんな簡単に私も考えているわけじゃありません。ですから、まず第一点の問題は、ここでひとつぜひ御理解をいただきたいということでございます。  それから第二点目の問題は、空中給油をしないということでございますし、給油機も持たないということでございますから、また訓練もしないということでありますが、二点給油は必要であるということで、二点給油はできるようにしなければならない。しかし、空中給油はできないようにすればいいのでございまして、空中給油はできないようにいたしますと。できないようにすれば、ちゃんと目的は達するわけでございますから、これは技術家の意見も聞かずして大いに決断をしておるわけでございますから、これはひとつ目的を達した、そういうことで御理解いただきたい。これはあとは、取りはずしがいいのか、私のほうでは技術屋でございませんし、わからないわけです、現実問題として。ですから、少なくとも国会に対する責任は、空中給油ができないようにするということだけは明らかになったわけでございまして、その問題に対しては、ひとつそれで御理解いただきたい。
  106. 森中守義

    森中守義君 いま総理が言われるように、よくわからぬから、はずすかどうかというのはこれからのことだということに私は受け取る。したがって、はずすかどうかを検討するということで理解しておっていいですか。
  107. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 空中給油ができなくなって地上給油はできるということで御理解をいただきたい。
  108. 森中守義

    森中守義君 いまの件は私はその必要がない、あくまでもはずすべきだということで、総理も専門家でないからということですから、検討されるものだと理解しておきます。  次に安保協議の問題ですが、これは、シビリアンコントロールがしきりにやかましく言われるときに、統幕議長が運用協の中に入っておる。大体、運用協というものはシビリアンレベルの協議なのか、あるいは制服を入れたものか。私の理解では、あくまでもこれはシビリアンレベルにおける協議でなければならぬ、こう思うんですが、どうなんですか。
  109. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 従来、安保協議委員会の場合におきましても、統幕議長をオブザーバーとして出席をわずらわしております。今度、運用協議会を当方の申し出でつくりましたのでございますが、安保条約の適切な運営をはかっていく上におきまして、軍事知識を十分備えた人に仲間に入っていただくことは私は大切であると判断いたしました。また同時に、安保条約なるものを、運営を末端にまで十分徹底浸透さしていく上におきまして、日米両軍の責任者が入っておりますことは、それだけ有益なことでございますので、私はこの統幕議長の参加を求めたことは間違いでないと判断いたしております。
  110. 森中守義

    森中守義君 外務審議官、アメリカ局長、施設庁長官、防衛局長、こう四名の者が出るんでしょう。これで十分こと足りるんじゃないですか。私どもが見ますと、わざわざこれに統幕議長が出る、しかもアメリカ側から米軍司令官と参謀長が出るということになりますと、きわめてこれは軍事優先の可能性が強い。戦略、戦術的な論議がこの中にかわされるというような理解しか出てきませんよ。そういう意味で、シビリアンレベルの協議なのか、あるいは軍事問題を中心にやるものなのか、どうしても割り切れない。だから、インガソル大使と外務大臣がおきめになったそもそもの根拠がわからない。もう少し詳しく説明してください。
  111. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いま申し上げたとおりの趣旨でお願いをしたわけでございまして、戦略的な討議をやろうなんという魂胆は毛頭ございません。
  112. 森中守義

    森中守義君 総理、日米関係のこの種協議は、もうずいぶんたくさんできておりますね。しかし、運用協という、少なくとも地位協定に関する問題が中心のはずですから、何もこれは制服が出ていかなければできないという筋のものじゃないと思う。まさに、シビリアンコントロールがここでも崩壊のきざしを見せている、私はこう思う。で、そういう意味で、これははずしたらどうですか。総理は、どういうレベルの協議というものが一番正当であるかというお考えはお持ちになっておりますか。
  113. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、外務大臣が述べたとおり、統幕議長が参加しても、それなりのメリットはあるんだというふうに理解をしています。これはやはり最終的決定は代表者が行なうわけでございますから、代表者は制服ではないわけでございますから、これはもう当然、最高の決定はシビリアンで行なうわけでございます。ただ、基地の整理統合とかというものが、二段がまえで話をするときにはなかなか時間がかかるのであります。そして、話では、日本側の要請を聞いてまいりましょうと、しかし軍は軍でいろいろな都合もあると思いますので、これは軍の意向も聞いていずれ対案を提出いたしますということで、なかなか時間がかかったり、その間にそごがあったりするわけでございますが、両方から専門家、制服が出ておれば、少なくとも整理統合するという大きな方針、日本側の——まあ、大体日本側から申し出るわけでございますが、その熱意というものは軍側も理解をするわけでございますし、そして、いろいろなことを——軍人というのはこれは技術屋でございますから、いろいろなことがあると思います。そういう場合、こちらの専門家も、それはこうしてもできるじゃないですかと、技術的にも解決できるじゃないですかという問題がすぐそこで討議ができるわけであって、私は、二段がまえでやることはなかなか意思の疎通が欠けるので、これらの問題をよく合理的に効率的に結論を出したいというためにつくられた機関でありますから、これは制服の数が多いんだと、多数決でやるようなものでもありませんし、そういう意味では、統幕議長や専門家が両側から入っているということは、結果的には効率的な運営になるというふうな判断をしておるわけでありまして、これをはずさなければならないということの必要性は、私自身としては考えておらないわけであります。
  114. 森中守義

    森中守義君 外務大臣は、いままでオブザーバーで出ておった、それを正式なメンバーに直したんだと、こういうことなんですね。何も、オブザーバーで出ておったならば——別段むずかしい外交上の取りきめをするわけないでしょうが。むしろ、地位協定をどういったように運用するかという問題であれば、わざわざ正規なメンバーにする必要はない。むろん、これは二国間の取りきめというぎょうぎょうしいものではないはずですから、少なくとも、制服が入ってきますと、やはり国民は誤解を持ちますよ。そうじゃないんだと言ってみましても、制服が入っておれば、どうも軍事優先的じゃないかと、こう誤解が生ずる。その誤解を生まないためにも、在来のように、オブザーバーに置きかえるという、そういうほうが、より理屈に合ったやり方じゃないですか。修正しませんか。
  115. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 戦略、戦術をやるのは、別にやるところはあるわけでありまして、ここで戦略、戦術をやるわけではないんです。ですから、基地の問題とか、日米間の地位協定の問題でうまく結論を出したい、合理的な結論を出したいというためにつくられたものであるということは、これは御理解いただけると思うんです。そうすれば、直接関係があって、直接利害関係のあるものが一番その異議の申し立てをやるわけですから、そういう連中を入れておくということがいいだろうという趣旨に基づいて、両国が合意をしてこのメンバーがきまったわけでありますから、ここで大きな弊害があるというなら別でございますが、そうでなく、この運営がすなおに行なわれ、合意に達することにも効率的であるという認定のもとに、両国が合意をしてこの機関ができ、制服の一人ずつが正式メンバーになったと。これを、こちらから申し述べて、オブザーバーにしなければならない、オブザーバーにしてくださいということまで、その必要はないんじゃないですか。これはもうすなおに私はそう考えているんですが……。
  116. 森中守義

    森中守義君 オブザーバーであったのを正規なメンバーにする必要もないじゃないですか、わざわざ。
  117. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) メンバーにすることによって、責任を感じ、やっぱり返さなけりゃいかぬなあということになれば、ここにメリットがあるわけであります。これは、ほんとうに、正式なメンバーでない場合に、やっぱりしゃべることも、発言も控えるし、そしてやはり二重の、というような感じになると私は思うんです。これはやっぱり、正式な委員会のメンバーということと、委員会外ということになれば、おのずから発言にも、また義務的な面からおいても、ウエートは違うとも思えるわけでございまして、これはほかのものにはみな入っておるわけでございますから、これを必ずしもオブザーバーにしなければならないと。これは、両国側の合意に達したものでありますから、それは日本の中で単独につくられているものなら、それはもう、御指摘があれば、改良したり修正したりすることは事実簡単でございますが、まだできたばかりのものでございますし、二国間協議の場としてつくられたものであるから、これはこのままお認めいただくということが私は非常にいいと思います。
  118. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) ちょっと補足して御了解を得ておきたいんですけれども、この安保運用協議会というのは、決定機関じゃないわけでございます。最高の協議機関は、安保協議委員会という私どもがやっておる日米委員会があるわけでございまして、日米間には随時協議してまいるということになっておりまして、その随時協議の場を一つつくったというにすぎないわけでございまして、この機関自体が決定権を持つというようなことになりますと、あなたの御指摘のように、メンバーについて十分の吟味が必要だと思うんでございますけれども、この機関は、随時協議をもっと充実していく、活発なものにしようと、そして安保条約の運営をもっと円滑にやってまいるということのために資する目的でございまして、私は、当初これをつくることを考えた場合に、野党からも歓迎を受けるんじゃないかと思っておったんです。ところが、たいへん制服の参加ということに対して問題になったので、私も実はちょっとがく然といたしたわけでございますが、別に戦略的討議をやろうなんというものでは決してないわけでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  119. 森中守義

    森中守義君 十七日のこの協議会で、那覇空港のP3がいま一種類おりますね。こういうものの取り扱いは、当然討議の対象になるんでしょうね。
  120. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 当面、日米間で基地整理の問題で頭を出してきているのが、関東平野計画と、それから那覇空港の完全返還計画でございまして、そのほかに第二次、第三次と、次々と考えてまいらにゃいかぬと思っておるわけでございます。したがって、そういう全体の、沖繩本土を含めましての基地の整理縮小という問題に、どのように取り組んでいくかの全体的な運び方について、十七日は初会合を催したいと考えておるわけでございまして、したがいまして、当然沖繩のいま問題になっている計画につきましても、どのような取り組み方をしてまいるかということは協議の対象になると考えております。
  121. 森中守義

    森中守義君 この前から、那覇の場合には管制権の問題でも非常に大事な問題が議論された。同時にP3がいる。これは一体どういうかっこうに将来決着をつけるんですか。当時政府は、少なくとも返還協定のこれは目玉である、こう言われておる。しかも海洋博は近づいておる。どうにもなりませんよ。どうするつもりですか。
  122. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 那覇空港を完全に返還させるということは、確かに御指摘のように目玉案件であると承知いたしておるわけでございます。したがって、あすこにP3ばかりでなく、いろいろの軍の施設がございますが、これをあそこから移転しなければならないわけでございまして、その実行をこれから日米間で具体的に協議を進めてまいるつもりでございます。  それから、航空管制の問題につきましては、すでに管制権は日本政府に移ったわけでございます。ただ、実態の問題といたしまして、まだ完全に日本側の手に掌握できたという状態でないことは、せんだっての当委員会の御討議を通じても明らかでございまして、運輸当局といたしましては、アメリカ側と要員の養成計画についてこまかく打ち合わせを技術的に遂げてまいったわけでございますけれども、あなたがおっしゃるように、これ、急いでまいらなければなりませんので、私どものほうといたしましては、日米合同委員会の場にこれを移しまして、対米折衝を急いでいきたいと思っておりまして、なるべく早く日本側の手に完全に移るような体制をつくっていかなければならないと考えております。
  123. 森中守義

    森中守義君 外務大臣、少し手間がかかり過ぎますね。それは一月二十三日の安保協議委員会で日米の合意に達しておる。ところが、予算上は、四十七年に移転の費用を三十八億つけているじゃないですか。そこで何にもやらない、進展はない。しかして、四十八年に繰り越し明許、依然として三十八億出ている。これは一体どういうことなんですか。しかも、三十八億の積算の根拠は明らかでない。いわんや、社会党の調査団による現地の状況把握というものは、嘉手納も普天間も、いずれの司令官も知らない、こう言っておりますよ。どうしていままでやってきたんですか。いまから合同委員会にかけるんだというようなことでは、これは返還協定の趣旨にもとるし、ひいては沖繩九十八万住民の政府に対する信頼にもかかわる。もう少し具体的にお話し願いたい。
  124. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) P3の那覇空港からの移転に伴いまする予算措置でございますけれども、四十七年度予算におきましては三十八億円を計上していただきまして、この当時におきましては、P3を那覇空港から普天間へ移すと、こういう前提で積算が行なわれたわけでございます。しかしながら、その後P3の普天間への移転ということにつきまして種々問題がございまして、この点につきまして日米間でいろんな折衝を重ねました結果、一月二十三日の十四回日米協議委員会におきまして、P3を那覇空港から嘉手納へ移転するということにつきまして、原則的な合意ができたわけでございます。  そこで、これの移転に伴いまする計画、具体的に申しますと、P3を嘉手納へ動かす作業、並びにそれに関連いたしまして普天間の飛行場を整備する作業、これに要しまする予算措置につきましては、米側ともいろんな打ち合わせを遂げてまいったわけでございまするけれども、四十八年度予算におきましては、嘉手納の整備、普天間の整備、これを両方含めまして、四十七年度に計上されました三十八億円を繰り越しということにつきまして、財政当局のほうの御了承を得ておるわけでございまするけれども、具体的に嘉手納並びに普天間におきまする作業をどう確定するかということにつきましては、今後、日米間で細目調整を行なった上できめると、こういうことになっているわけでございます。  で、先週、社会党の調査団が嘉手納並びに普天間へ視察におもむかれまして、現地の司令官からいろんな説明を求めようとされたに対しまして、現地の司令官は、この問題につきましては中央において具体的な計画立案が行なわれている状況であって、現地におきましてはまだ具体的なことを申し上げ得る段階にないと、こういうことを言いたかったんであるというふうに私ども承知いたしております。したがいまして、一月二十三日の基本的な合意を受けまして、日米間でなるべく早く具体的な作業の内容を固めてまいりたいと、こういう状況であるわけでございます。
  125. 上田哲

    上田哲君 委員長
  126. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 上田君、たびたびだからひとつ簡潔に………。(「関係ない」と呼ぶ者あり)いや、関係ないことだって、きょうは総括の締めくくりで、あとの党の人の代表もあるから、だから一点は許しますから、ひとつ簡潔にお願いをします。
  127. 上田哲

    上田哲君 私どもは社会党調査団として、正規の外交ルートを踏んで、先般、嘉手納及び普天間基地の調査をいたしました。アメリカ局長が言われましたように、まさしく、現地におきましては、両基地とも、米軍司令官から意外な説明を受けてまいりました。私どもは、この調査に先立って、現地の防衛施設局の説明を聴取したんでありますが、防衛施設局の事前の説明では、このP3の那覇から嘉手納への移転、及び付属設備の普天間での整備については、米軍当局から十分な説明があるはずである、こういうことを受けまして現地に入ったわけであります。ところが、簡単に申し上げれば、嘉手納基地の司令官からは、全くそのような計画はない、またそのような計画は新聞で聞いている程度である、少なくともこのような問題が煮詰まる場合には、両国政府間において発表をしてもらうのが筋であるという、結論的にいえばそういう答えでありました。さらに、普天間基地に行ってみましたところが、さらに問題は明白になりました。御承知のように、嘉手納基地は米第五空軍麾下の空軍基地であります。司令官は大佐であります。普天間基地は海兵隊基地でありまして、極東の最大拠点司令部でありますが、したがって、責任者は少将、二つ星であります。で、この責任者の言明によれば、全くノープランであるというのであります。ノープランということばをはっきり使うのであります。政府の説明によれば、嘉手納にP3は移転をする、そして、普天間基地にはその付属設備を整えるということでありまして、その具体的な説明としては、普天間基地滑走路は二千八百メートルでありますが、この二千八百メートルの滑走路がでこぼこになっておって、飛行機の発着に不適当であるので、この滑走路を補修あるいは拡大をする、そして隊舎等を増強をするという説明でありますけれども、現地司令官に確認をいたしましたところ、現に飛行機は飛んでおる、これ以上直ちに補修の必要はないということを胸を張って答え、P3の移転については全くノープランであり、当基地にP3が来ることもないし、そのための補修の必要もないということをはっきり言明をいたしております。  こういうようなことになってまいりますと、事柄は、四十八年度予算計上分ではなくて、四十七年度予算計上分であるのが繰り越しであるということを考えてみますと、全く両国政府間に、現地を含めて話し合いが進んでいない。元来予算の計上は、現地からの積算の根拠をもってトータルすべきものであると思いますけれども、全く積算の根拠がないことはかく明確である上に、しかも、両国政府間においてそのような交渉がないということになると、三十八億円はつかみ金以外の何ものでない。本時点においても明細を全く持たない。疑わしきは、沖繩返還についての内交渉の中で、両国政府に、つか金として、つまりリベラルな使途ということで合意された、大まかな、内容のない金である。このような疑いを持たなければなりません。そうでないというならば、どのような積算の根拠があるのか。あるいは、どのような——いまアメリカ局長は、打ち合わせを続けているということばでありましたが、どのような具体的な打ち合わせを続けておられるのかを明確にしていただきたいことが一点。  もう一点は、このような根拠では、元来那覇空港からいわゆる玉つき移転と言われました普天間、そしていまは嘉手納と言っておりますけれども、根本的に、いま外務大臣も言われたように、那覇空港の完全返還、すなわちP3の完全撤去ということは、元来両国政府間において完全な合意に達していない。少なくともP3の移転計画というのは具体的に存在していないというふうに、結局して言えば考えざるを得ません。もし、そうでないと言うのならば、那覇空港におけるP3、外務大臣の言われるような、目玉である那覇空港におけるP3の撤去は、いつ撤去されることを保障し得るのか、このことを明確にしていただきたい。以上のことがない限り、三十八億円の使用については全くめどを持たないものでありますから、今回もまた予算中に凍結をするのが当然の予算措置であるというふうに考えます。  つけ足して申し上げたいのは、嘉手納における航空センターの問題であります。航空センターの視察も行ないましたけれども、このような状況では、先般の予算委員会の御答弁にもかかわらず、四十九年五月十五日に航空路及び進入管制の引き移しが行なわれる可能性は全くゼロと私どもは確信をしなければなりませんです。先般の御答弁におけるような、合同委員会にのぼせてこの問題の結論を出すと言われたわけでありますが、いつの合同委員会にのせて、どのような結論を行ない、五月十五日ということを明確に中に繰り入れられることを考慮されておられるのかどうか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  128. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 社会党の調査団の現地視察につきましては、御要請に接しまして、在日米軍のほうへこれを取り継ぎまして、在日米軍は、P3等の嘉手納移転に関する日米両国政府の合意を受けて、その全体的な実施計画を目下立案中の段階であって、したがいまして、具体的な建設場所の点を含めて、細目は今後の調整に待つべきものであるから、いまの段階で、現地でP3移転関係の説明を行ない得る状況にはありません、しかしながら、調査団の御視察は、一般的視察ということで歓迎いたしますということを日本側に伝えてまいりまして、現地部隊にもこの旨を指示したということを言ってまいってきております。したがいまして、その現地の司令官といたしましては、中央のこういう指示に基づきまして、このP3の移転の問題につきましては、現地の部隊として、これについて具体的なことを申し上げる立場にない、あるいはその権限を持っておらない、こういう態度で応対をされたものではないかというふうに承知いたしておりますけれども、いずれにしましても、現地のほうで視察団の御納得のいくような説明ができなかったという点につきましては、残念なことに思っているわけでございます。  それからP3の移転計画そのものにつきましては、一月二十三日の日米協議委員会のあとで発表されました共同発表文にございまするように、「双方は、日本政府によってとられる措置をまって那覇空港を日本に完全返還することに原則的に合意した。」ということでございまして、これは日米間のきわめて厳粛な合意であるわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、この原則的合意に基づきまして、細目の調整を急いでいる状況でございまするけれども、この予算的措置につきましては、四十七年度予算におきましては、当時P3を普天間に移転する、こういう前提でありましたものですから、普天間移転に要する費用として二十六億円強、それから嘉手納飛行場の整備に関係する費用といたしまして十億円強、若干の事務費を含めまして、合計三十八億円という予算をお願いしたわけでございます。四十八年度におきましては、この四十七年度からの繰り越しをもとに、計画の内容を固めるわけでございまするけれども、この三十八億円の四十八年度の事業内容につきましては、後ほど施設庁のほうから御答弁いただきたいと考えております。  したがいまして、P3の那覇空港からの移転の問題につきましては、原則的な合意は厳としてあるわけでございまして、この合意に基づいて細目の調整を極力急ぎたい。したがいまして、嘉手納の受け入れ体制、並びに関連いたしまする普天間の整備、これが完了した段階におきまして、P3は那覇から移転することになるわけでございますけれども、この具体的な時期についてはまだ申し上げ得る段階に至っておりません。したがいまして、政府といたしましては、なるべく早くこの作業を急ぎたいと、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、航空管制の問題につきまして御指摘がございましたけれども、この問題につきましても、先般この当委員会において政府側が御答弁いたしましたように、昨年五月の日米合同委員会におきまして、復帰後の沖繩の航空管制に関する合意ができているわけでございまして、この合意に基づきまして、日本側の管制要員の整備その他、受け入れ体制の整備を急いで、この合意に従う措置をとりたいということを考えているわけでございます。先般、当委員会におきまして、米側との引き継ぎに関する管制要員の整備上若干問題がある、したがってこれを解決しろと、こういう御指摘がございまして、政府といたしましては、合同委員会にこれをかけまして、この問題の円滑な処理をはかりたいと考えているわけでございまするけれども、まず、外務省といたしましては、運輸省とも密接な連絡協議を行ないまして、その上で、日本側の体制を固めた上で、合同委員会でこの問題を取り上げたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  129. 前川旦

    前川旦君 関連。  いまの答弁で、四十七年度の計画では——これは外務大臣と大蔵大臣にお伺いしますが、四十七年度のときには、那覇空港のP3を普天間へ持っていく、したがって普天間のものを岩国へ移す、次いで岩国のものを三沢へ移す、つまり、玉つきということであったと思います。そのとおりでありました。それに伴って、いまの説明では、普天間に二十六億、嘉手納に付属設備として十億という予算を四十七年度に組んだ。ところが、普天間へ持っていくということは計画変更になった。つまり、玉つきの計画は変わったわけであります。にもかかわらず、四十七年度の予算をそのまま繰り越してあるのは一体どういうわけなのか。しかも、普天間では、われわれの調査では、はっきり司令官が答えているのは、いまの滑走路でもP3は離着陸できます、四発の給油機KC130も離着陸できます、ファントムが来たら離着陸できますか、ファントムでも離着陸できます。そして、現実にわれわれは滑走路を見ました。外務省の説明では、滑走路がでこぼこだから修理するとのことでありますが、滑走路にでこぼこはわれわれの目では見えませんでした。現実に飛行機が発着をしておりました。したがって、普天間の二十六億、これがどうしてことしも繰り越されなければいけないのか。本筋から言うと、何をどこにつくってどういう施設をつくるのかということは、まず調査費をつけて調査をして、積算をして、それから予算を組むのが当然ではありませんか。繰り越しではなくて、これは初めから削っておいて、もしかりに積算ができた段階で予備費から支出する、これならまだ筋が通ると思いますが、そのまま持ってきて繰り越して、しかも積算の基礎が明確でないものを認めろというのは納得できないことなんで、その点についてのはっきりした御答弁をいただきたいと思います。
  130. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問の、P3を那覇空港から普天間に、それから岩国、三沢を通じての玉つき移転計画が変わったという御指摘は、そのとおりでございます。日本側の要請に対しまして、最終的にはアメリカも同意を見てそういう変更を見たことは御指摘のとおりでございます。  それから第二点の、普天間の改良整備の問題でございますが、現地の米軍出局者がどのように説明したか、これは私はいろいろ批判は差し控えたいと思いますけれども、一月二十三日の安保協議委員会できまったことは、私どもは日米間の基本的合意として非常に尊重いたしておりまするし、そういうラインで国会でも御説明申し上げておるのでございます。P3を那覇から嘉手納に移転して、那覇空港を完全返還することの一環として普天間飛行場の改良整備を行なうことに合意を見ておるわけでございます。で、普天間の滑走路整備、かさ上げして補強するということは、P3だけを対象とするものではないのであります。すなわち、那覇空港の完全返還に伴い、沖繩における米軍への提供飛行場は嘉手納と普天間になりますが、一般に飛行場につきましては、何らかの事情でその使用に問題が生じた場合に備えて、代替飛行場を持つ必要がございます。普天間の滑走路整備もこのために行なわれるものでございます。現在は、嘉手納と那覇が相互代替性を持っておりますが、普天間の滑走路の状況から見まして、那覇空港返還後は、現在のままでは代替飛行場たり得ないと判断いたしまして、普天間の滑走路の整備をやろうといたしておるわけでございます。  それから第三点でございますが、三十八億の繰り越しをお願いしたわけでございますが、これは前川さんも御指摘のとおり、計画がきまりまして本格的に予算をお願いする、あるいは予備金支出をお願いするということが本筋であろうと私は思います。ただ、四十七年度に計上いたしました三十八億円がございますので、これをとりあえず四十八年度に繰り越しをお願いいたしまして、先ほど政府委員が御説明申し上げましたように、細目の調整を急ぎまして、それから支出の手順を整えたいと思っておるわけでございまして、いいかげんに予算を処理しようなんということは毛頭考えていないわけでございます。
  131. 上田哲

    上田哲君 那覇からの撤去はいつになるのです  か。
  132. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) それから那覇空港の返還はいつかということでございますが、私どもとしては、いま細目をきめて、嘉手納あるいは普天間における施設を、どういう規模のものをどこにどういう予算で充当してやってまいるかということをきめた上で工事をやり、それが完成しなければならぬわけでございますので、いま的確にその期日を自信を持って国会で表明するだけの自信はないわけでございます。けれども、沖繩海洋博が御承知の明後年の三月に始まると承っておるわけでございますので、その時点をめどといたしまして、なるべくそれに間に合わすように、全体の工事を完了するように持っていきたいと、いま心組んでおるわけでございまして、精一ぱいその目標に合うように努力をいたしたいと考えております。
  133. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 外務大脳から詳細な御説明がありましたから、私からは特に申し上げることもないと思いますが、前川委員から予算の編成に触れてのお尋ねがございましたから、その点について申し上げますと、四十七年度のP3の移転計画については、先ほどアメリカ局長から答弁がありましたような内訳、さらにこまかい内訳もございますけれども、当時それで積算をいたしたわけでございます。ところが、四十七年度中には実行ができそうもなくなった、しかし同時に、ことしの一月二十三日の安保協議委員会で原則的な同意ができた。内容が変わりますけれども、このP3の移転は施設運営等関連諸費という項目でございますから、目は提供施設等整備費という目であって、いずれも繰り越し明許ができる項目でございます。したがって、これをその規定によりまして繰り越し使用を認めることにいたしました。その繰り越しいたします内容についての経費の内訳等についても、防衛施設庁等において大体の概数を持っておられるわけでありますが、これらの経費につきましては、御承知のように財政法によりまして、実行の場合に、経費支出のときにあらためて大蔵大臣の承認を要しますから、その内容が、細目が決定した場合に、その実行の条件その他見通し等をあらためて踏まえまして、この繰り越し明許をいたしました経費の内訳を大蔵省としては承認をする手続をさらに残してあるわけでございます。この内容等につきましては、したがって、実行計画がきまって、所轄の長から大蔵省に参りますまでは未定でございますし、そうして承認をいたしましてから支出が実行される、こういうことになるわけであります。なお、繰り越し明許につきましては、先ほど申しましたように、項目が明らかに明許の対象になっておりますし、さらに内容はP3の移転ということに相なっておりますから、繰り越しを認めたこと、そして実態的には一月二十三日の安保協議委員会というものがございますから、何ら手続として誤っているところはない、適法であると考えております。
  134. 前川旦

    前川旦君 先ほどの外務大臣の御答弁でありますが、代替飛行場が要るのだ、これは常識だ、こういうお話でありました。しかし、御承知のように嘉手納は空軍の基地であります。普天間は海兵隊の基地であります。そのことがありますから、普天間の司令官に聞きました。空軍が海軍の飛行場、海兵隊が空軍の飛行場を使用するという例がたくさんありますかと。すると、首を横に振って、きわめてまれであるという司令官のお答えがありました。緊急のような事態が起これば別であります。一般的に言って、空軍の飛行機が、あるいは海軍の飛行機が、管轄の違うところを代替として使うということはないと思います。したがいまして、P3が嘉手納へ行く、そのために押し出される空軍の飛行機が代替として海兵隊の普天間を使うということはまれである、ほとんどない、こう思います。でありますから、この点、私は疑問を持つわけです。  第二番目には、普天間の司令官に対していろいろ問いただしましたところが、この司令官は、基地を維持するためには定期的な修理も必要である、補修も必要である、そういう予算についてはワシントンに請求をしてあります、こういうことでありました。先ほど言いましたように、特にあらためてはノー・プランだ、一般的な補修費等については要求をしてありますと、こういうことでありました。ということは、従来、地位協定によって維持管理費あるいは修理費等はアメリカが持っていたはずであります。一般的な修理費、補修費、維持費までも、今度は拡大解釈して支払いをする意図があるのではないかとわれわれは感じました。  第三に、ただいま大蔵大臣の御答弁のとおり、手続的には問題がないかもしれません。しかし、立法府という立場から言うと問題があると思うんです。なるほど行政府という立場からは、手続が間違いなければ、内容が変わっても去年の予算をそのまま盛り込む、そういうことがあるかもしれません。しかし、それを審議するのは立法府のわれわれです。審議する上には、どこに何を建ててどれだけ金が要るんだという積算を明らかにしなければ、予算の当否を審議することはできません。これは大前提です。したがって、私は、事務的な手続のことではなくて政治的な見地から、こういう予算の組み方は納得できない。少なくとも予算の審議段階で積算の根拠というものを明らかにすべきではないか。内容が同じであって、その年にできなかって繰り越す、明許繰り越し、これはわかります。計画ががらっと変わってなお同じ予算を組むということは、手続上の問題ではなくて、われわれ政治的な、立法府の立場としては、まことに不可解であると思います。この点についての再度の御答弁をお願いいたします。
  135. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 第一点で、普天間の飛行場の整備改良の問題は、先ほどの御答弁で申し上げましたとおり、P3の移転だけの問題ではない、代替飛行場的性格もあわせて考慮したものであるということを申し上げたわけでございまして、まれにしか使うことがないという御指摘でございますけれども、私どもの理解といたしましては、普天間の飛行場の滑走路のかさ上げ工事というものをそういう立場から必要であると判断いたしておるわけでございます。  それから第二の、通常の維持補修ということではなくて、かさ上げの改良工事でございまして、前川さん御指摘のとおり、通常の維持補修というようなことにつきまして、日本政府が、日本側で負担するというつもりはございません。
  136. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、このP3の移設工事につきましては、財政法四十三条の繰り越し事由に該当するわけでございます。しかも、実態的にP3移設のためという事項を限定しているわけであります。それから四十七年度に計上しました三十七億七千六百万円の範囲内で実施する事業の見込み、これが関係省庁の間でほぼ明らかになる、こういう段階要請があり、申請があれば、財政法の規定によって繰り越し明許の承認をするというのは、先ほど申しましたように適法でもございますし、また、P3というものの移転ということは国民的な要望でもございますから、私は、政治的に見ましても何ら問題にされるところはないと、かように確信をいたしております。さらに、先ほどこれも申しましたように、実行の場合には、あらためて承認の手続、合意が要ると。そのときに、内容が非常にきちっと明確になることに相なります。
  137. 森中守義

    森中守義君 原則的な合意に達したのが一月の二十三日。そこで三十八億の四十七年度予算の概計の請求はおそらく四十六年の夏場のころだと思う。かなりズレがあるんですね。ですから、これは極端な言い方をすると、合意に達していないのに四十七年度に三十八億予算をつけたということになると、まさに、これは予算の先取りということになりゃしませんか。その辺がわからない。むしろ、原則的な合意に達した、それから予算化と、こういう順序にいくべきじゃないですか。どうなんですか。
  138. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは先ほど内容も御説明したように、四十七年度の予算を編成しますときには、その移転計画が、原則的ではなくって、ほぼ確定しておったわけでございます。それがその後実際上移転ができないというようないろいろの事情、これも詳しく御承知と思いますけれども、いろいろの事情があってこれができなかったと。そこで、P3の移転はわがほうとしてはどうしても早くやりたいことであると。そこで、四十七年度中ではありますが、四十八年の一月の二十三日にあらためて原則的な合意ができたわけでございますから、これを繰り越し明許をいたしまして、一日もすみやかに移転が実行できることを期待するのは、私は、財政当局としても当然の処置であった、かように考えるわけでございますが、その後の事情等については、これは外務省や防衛施設庁から御説明のとおりの事情でございまして、私どもとしては一日もすみやかにこの金が使われて、P3の移転が促進されることを現在もひたすら望んでいるような状況でございます。
  139. 森中守義

    森中守義君 施設庁、外務大臣両方だ。このズレが問題だ。
  140. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 先ほど来御説明がございましたように、四十七年度予算においてはP3のための駐機場あるいは格納庫というものを、普天間のKC130が従来使用していたものを使うと、こういう計画で組んだわけでございます。しかし、ことしの一月の安保協議委員会における決定によりましてこの方針が変わりましたのでP3を嘉手納に移すというためには、そこに駐機場、格納庫が現存していない、そういうことで、その使用、それについての交渉をいままでやってまいったわけでございます。一月二十三日以降、米側の計画内容につきましては、事務レベルにおいても  いろいろ協議してまいりました。それからまた、米側からもP3にかかる移設計画の大部分については、現在まで具体的な提案の内容がなされております。三月二十六日の施設特別委員会で一応の米側の案が出ております。われわれは、この中から、技術的な観点から、あるいはその要求が正当であるかどうかというふうな点をいろいろ検討いたしまして、そうして本年度における計画としては三十八億円ということで、四十八年度に実施するものとしてその三十八億円の繰り越し手続を三月三十一日にとったところでございます。それから、先ほどから御質問のありました普天間の滑走路については、これ使えるではないかというお話でございますが、昨年、普天間にP3を持っていくという際以来、私どものほうでは技術者をかなり派遣してこれについても調べております。で、現実は、やはり現有の滑走路では北側、たとえば千メートルの地点、あるいは南側から四百メートルの地点というふうなところには基層——一番下になる層ですけれども、それを除去して改修を必要とするというところがございます。それから、その他の地点にも数十ヵ所の破損個所がある。また実測に基づいて検討いたしますと、縦あるいは横の実測をやりますと、どうしてもそこにでこぼこがありまして、そこのレベリングを要するという個所が三十数ヵ所ある。それから、そういうことで現実に雨が降りますと、相当大きな水たまりも出てまいります。そこで、基層の一部改修、それからレベリング、それから前面のオーバレイの工事というものが必要であるというふうに従来からこれは検討を、昨年以来ずっと検討をしておったところでございます。普天間の司令官がP3も着けると、あるいはF4も着けるというふうな話があったそうでございますけれども、おそらく現在の状態においても、応急的に着陸するということはそれは可能であろうかと思います。ただ、いまのまま放置しておけば、これは相当にいたみが激しい。で、根本的な改修を必要とするという事実は、これは間違いのないところであると思います。
  141. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 四十七年度の計上のお金を四十八年度に繰り越しをお願いいたしましたことでございますが、確かに、御指摘のように計画が変わったことはそのとおりでございます。ただ、私ども、だから別な予算要求としてやるべきか、繰り越しに明許をお願いするか。繰り越し明許という道が適法に開かれておりまする場合、そういう手続によりましてお願いすることも差しつかえなかろうと判断いたしまして、繰り越し明許をお願いいたしたわけでございます。
  142. 上田哲

    上田哲君 委員長、関連。
  143. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ごく簡単にしてくださいよ。もうたびたびだからね。
  144. 上田哲

    上田哲君 テーマが違う。
  145. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) いやいや、他のあれもあるから。
  146. 上田哲

    上田哲君 大事なことだからね。
  147. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) それはよくわかっている。わかっているから、最大限、私は許可をするんです。
  148. 上田哲

    上田哲君 いままでの御答弁を伺っておりますと、全くの矛盾が出てまいります。P3は使える、使えないという議論がありましたけれども、現地の司令官ははっきり使えると言明しているんです。現地の司令官というのは航空責任者ですよ。その責任者が、使えるか、使えないかということを判断するのではありませんか。これが明確に使えると言っていることを、あなた方が使えないという断定はどこから出てきますか。  それから、実はその滑走路の実地検査については過去二年間に五回やっているんですよ。過去二年間に五回やっているんです。過去二年間の五回のデータによって、基地司令官はそういう大勢判断を持っている。そうでないと言うなら、その具体的なデータをお出しになったらいい。全然説明がないじゃありませんか。そういうことの上に立って基地司令官が使えると言っておるんです。現に飛行機が発着をしている。念のために、P3はほんとうに使えますかということをわれわれははっきり——子供ではありません——確認をいたしました。P3は十分使えると言っております。あなたがいまおっしゃった、でこぼこがあって、水がたまるというのは、現地に行っておられぬでしょう。誘導路ですよ、横についている誘導路。こんなものは二十数億円も金がかかるものじゃありません。誘導路と滑走路の区別もわからぬようなことを言っては困るのであります。滑走路は明らかに、P3なんというのはすぐ短い滑走路で十分入る。飛ぶこともできる。ファントムすら十分飛べますということをはっきり言っている。この滑走路について、そういう事実誤認の説明ははなはだ間違いだと私は思います。  さらに、大きな間違いは、P3は普天間には来ないんですよ。いいですか。あなた方の説明も、普天間には、初めは来る予定だったが、それはやめて、管轄が違う、嘉手納のほうは空軍。しかし、マリーンなんですよ。普天間はマリーンだからそこには来ない。空軍司令官にも確認したけれども、管轄上の問題からいってP3が来ることはないと言っておりますし、これまでの政府説明でも、普天間に金を使うというのは、普天間にP3が来るのではなくて、来るのは嘉手納に来るのであって、普天間にはその補助施設をつくるのだと言っているのです。その部分が全然違う。こういうでたらめな説明をしてもらっては困る。しかも、そういう細目の説明がないから、このような予算計上、繰り越しはおかしいではないかという再三の質問に対して十分な説明はありませんが、これまでの話では、いささかも日米政府間でそういう細目についての積み上げがなかったと言った。ところが、ただいまは三月二十六日には細目が提示されていたと言う。それならば、それを直ちにお出しなさい。根本的にこれはいままでのと答弁が食い違う。うそばかりついているではありませんか。  さらに大きなうそは、われわれがこれまでの沖繩特別委員会で了知してまいりましたのは、那覇空港の完全返還というのはいろいろな問題があって、相手もあることだから、軍事基地を全部撤去しろとは言えないけれども、那覇空港だけは目玉の民間航空用としてはっきり確保したいのだから、これは沖繩返還協定の精神においてもP3は撤去するということを約束された。それがいつになるか、いまもってわからぬというのはどういうことですか。わからなければ、沖繩返還協定正文の解釈に従って、日本国の主権においてもっと堂堂と相手方に対して要求をすべきではありませんか。外務大臣の御答弁では、海洋博ごろまでにはということは、一体われわれに対して十分な一貫した説明と言うべきでありますか。前外務大臣もそこにおられる。これまでの私たちへの説明には明らかに、那覇返還というものが、P3の撤去というものがそんなにおくれるという説明は露ほどもありませんでした。このようなズレというものが、一体国会に対して許されるでありましょうか。この辺のところをしっかり明らかにされる——私はこれは沖繩返還協定の精神に違反することだと思いますけれども、これはことばのやりとりにすぎないとするならば、一体、ほんとうにこうした返還を直ちにいつするのかということを、どのようなこれからの交渉を続けて一日も早くするのかということを、明確にこれまでの御答弁を訂正の上、明らかにするべきだと思います。  以上三点。
  149. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) P3の那覇からの移転につきまして、四十七年度におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、普天間にP3を移転させるということで米側と話をしておったわけでございまするけれども、諸般の事情によりましてこれが実現不可能になりましたという状況のもとに、想を新たにいたしまして、P3を嘉手納へ動かすということについて合意を見たわけでございます。  その場合に、普天間につきましては、ただいま御指摘がございましたように、まさにP3は普天間に行くことではないわけでございまして、したがいまして普天間は、先ほど外務大臣の御答弁がございましたように、沖繩における米軍の提供施設の一つとして、嘉手納の飛行場の代替予備飛行場としての機能を果たすことになるわけでございまして、それに必要な滑走路の整備その他が行なわれることになるわけでございます。  一方、また従来普天間にありまする海兵隊所属のヘリコプター部隊が、現在那覇空港にございまする那覇の海軍航空施設において整備、維持されてまいってきておりますけれども、P3が那覇から移転され、那覇空港が完全に日本側に返還されました暁におきましては、この施設がなくなりますので、それのための代替施設を普天間に建設するという必要が出てくるわけでございます。  なお、四十七年度予算におきまして二十六億円強を普天間というふうに予定しておったわけでございまするけれども、四十八年度におきましてはこの計画が全然根本的に大幅に変わってくるわけでございまして、したがいまして、先ほど施設庁長官が御答弁いたしましたように、四十七年度予算を四十八年度予算に繰り越しをするためには大蔵大臣の明許を必要といたしますので、それに必要な限度におきまして、米側と調整をいたしました結果、四十八年度に繰り越しのための明許をいただいたと、こういうかっこうになるわけでございます。
  150. 森中守義

    森中守義君 これは、どう聞いてみても納得できません。状況が変わった。四十七年における三十八億は、移転計画の変更によって当然三十八億の根拠に狂いを生じた。ですから、こんなことをいつまでやってもしようがないから、休みの時間によく整理をして、もう一回やり直しましょう。
  151. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩      —————・—————    午後一時四十七分開会
  152. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  この際、政府側から発言を求められております。これを許します。大平外務大臣。
  153. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 先ほど御質疑がございました、P3移転に伴う所要経費の件につきまして御答弁申し上げます。  那覇のP3の移転が普天間から嘉手納に変更されたことに伴い、所要経費は当初計画の三十八億円をかなり上回ることとなるが、この三十八億円はP3等の那覇からの撤去費であり、P3等の撤去という同じ目的に使用するのであるから、これを昭和四十八年度に繰り越した次第であります。  政府は、右の繰り越しを行なうにあたり、この三十八億円をもって四十八年度に実施すべき事業の大筋について、事務的に米側と調整を行ないました。現在の予定としては、三十八億円のうち、約三億円をもって普天間の滑走路整備を行ない、約三十五億円をもって嘉手納の代替施設の建設を行なう考えでありますが、その個別の内容、建設場所等は、今後の細目調整を経て確定するものであります。     —————————————
  154. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 休憩前に引き続き、森中君の質疑を続行いたします。森中君。
  155. 森中守義

    森中守義君 ちょっと大臣、いま聞き漏らしましたが、三億の普天間の滑走路、これはわかる。あと三十五億はどこに使うというのですか、もうちょっとこまかく。
  156. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 現在の予定といたしましては、三十八億円のうち、約三億円をもって普天間の滑走路整備を行ない、残りの約三十五億円をもって嘉手納の代替施設の建設を行なう考えでありますが、その個別の内容、建設場所等は、今後の細目調整を経て確定するものであります。
  157. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、当初計画が変更されたわけですから、三十八億は当然当初計画の所定の計算に基づいた三十八億、だいぶ内容変わっているわけですな。だから、計画変更に伴った積算というものが伴ってこなくちゃいけない。それが新しくつくらないで、三十八億を三億と三十五億に割り振るという、それだけでは承知できませんね。新計画に伴う内容をお示しいただきたい。
  158. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 四十七年度予算におきまして、三十八億円のP3等の那覇撤去費が予算に計上されておったわけでございますけれども、同じP3等の撤去という目的に使用するものでありますので、四十八年度予算にこれを繰り越しという手続をとったわけであります。
  159. 森中守義

    森中守義君 アメリカ局長ちょっときてください。同じことを何回も聞かしちゃ困るよ。だめですよ、それじゃ。大臣わかっているでしょう、私の言う意味は。答えにならない。
  160. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 先ほどの私の御答弁で申し上げましたとおり、P3の嘉手納移転に伴う一連の経費といたしましては、三十八億円をかなり上回ることが予想されますということを申し上げたわけでございまして……。
  161. 森中守義

    森中守義君 その内容を教えてくれというのですよ。
  162. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) そのうち三十八億円を繰り越し明許をお願いいたしたわけでございまして、その三十八億円について、三億円と三十五億円ということの区分で大筋の相談を、繰り越し明許をお願いする前に米側と打ち合わせいたしたわけでございますが、しかし、これもこれからの実施細目というものを詰めてかからなければならないということを、その上で確定数字をはじき出さなければならないということを申し上げておるわけでございます。残り、それではどれだけ上回るのかということにつきましては、いま私ども自信を持った数字はないわけでございまして、今後の米側との折衝を通じまして詰めてかからなければなりませんけれども、予想といたしましては、三十八億円をかなり上回るのではないかというように考えております。
  163. 森中守義

    森中守義君 現地の施設局長では、いま言われたように三十八億では足りないとこう言っておる。大体その辺の一応の下地はできていると思うのです。ですから、どのくらい上回るのか。そしてまた、上回るということが確定的であれば、一応三十八億しかないわけだから、言いかえるならば四十八年度は三十八億分しか仕事ができない、四十八年度中に決着つけようとしても。結果的には、足りなければ四十八年度一ぱいには完全に返ってこないと、こういうこと、にもなりはしませんか。
  164. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 四十七年度予算におきまする三十八億円の中の約二十六億円が、普天間の飛行場の整備関連費でございました。この際におきましては、P3を那覇空港から普天間に動かすという計画の前提といたしまして、普天間の飛行場に現にありまするたとえば格納庫等は、既設のものを使用するという前提でこの計画が組まれておったわけでございます。しかしながら、今回日米間で原則的な合意をみましたP3の嘉手納移転という新しい計画のもとにおきましては、嘉手納に新しく格納庫その他のP3の駐機に伴いまする施設の整備等がございますので、その関連におきまして、四十八年度に繰り越しの関連におきまして日米間で事務的な詰めを行ないまして、大筋につきまして、ただいま御説明ございましたように、嘉手納関係は三十五億円という数字を一応予定しているわけでございます。したがいまして、普天間に当初予定されました移転先が嘉手納に変更になったのに伴いまして、嘉手納の工事量は、四十七年度予算におきまして想定していたよりはかなり上回ることになることが確実でございまして、その意味におきまして、先ほど外務大臣から、P3等の撤去に伴いまする費用は三十八億円を上回ることになるであろう。しかしながら、四十八年度に関する限りにおきましては、事務量の都合その他から考えまして、三十八億円という四十七年度からの繰り越しによりましてこの工事を実施すると、こういうことを予定しているわけでございます。
  165. 森中守義

    森中守義君 事実関係において、その普天間から嘉手納に変わったんだから、普天間に予定したものを嘉手納にしなければならぬ、これはわかりますよ。しかし、その内容が、三十八億という大ワクにとらわれ過ぎて、内容が示されないのではこれは意味がない。もう少し、三十五億というものはただつまみ金三十五億というのじゃないんでしょうから、根拠をはっきりしなさいよ。だめですよ、こんなものでは。しかも、いまから細目調整できめるというんでは話にならない。
  166. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 嘉手納飛行場の関連といたしまして、約三十五億円の内訳は、管理施設の新築に要しまする費用が二億五千万円、駐機場の新設に要しまする費用として計画しておりますのが十三億三千万円、格納庫の新築に要しまするのが七億六千万円、付帯施設九億六千万円、その他一億七千万円、合計三十四億七千万、約三十五億円と、こういう内訳でございます。
  167. 森中守義

    森中守義君 どのくらい足りない……。
  168. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 嘉手納につきましては、四十八年度に実施すべき工事の内容について、大筋を三十五億円というふうに予定しているわけでございまするけれども、今後嘉手納に関しまして三十五億、普天間について三億をどの程度上回るかということにつきましては、かなり上回るということが考えられまするけれども、現在その具体的な数字を持ち合わせておりませんで、今後日米間で細目を固めまして、その上で数字を詰めてまいると、こういうことになるわけでございます。
  169. 森中守義

    森中守義君 そうすると、四十八年度中に移転がはっきりするということになれば、三十八億の範囲の内でしか仕事ができない。したがって四十九年度でないと完全に那覇から立ちのかない、こういうことになりますか。
  170. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 四十八年度に予算の措置をいたしておりますのが、繰り越しによりまして三十八億円でございまするが、先ほど来御説明申し上げておりますように、工事量といたしましては三十八億円をかなり上回る。したがいまして、残りの分は四十九年度ということを当然考えなくちゃいけないわけでございます。したがいまして、四十八年度中にP3が那覇空港から移転するということは、工事の内容から見て無理であるということでございます。
  171. 森中守義

    森中守義君 それではっきりしました。  そこで、もう一つ、これに関連した問題ですが、普天間の滑走路は補修の必要がないという話があった。そこに三億入れるということは、地位協定の二十四条に関してこれは日本側が負担すべきものですか。私は地位協定の二十四条からいけば米側負担だと、こう思う。補修でしょう、これは。その辺はっきりさしてもらいましょう。
  172. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 社会党の調査団が現地へおいでになりました際に、普天間の基地の司令官がどういう説明をいたしたのかということに  つきまして、私ども承知いたしておりませんけれども、先ほど米側が五回調査したというふうに私拝聴いたしましたけれども、私ども承知しておりますところでは、施設庁が昨年の三月以来ことしの三月にかけまして合計五回滑走路の実情につきまして現地調査を行なっております。で、施設庁自体といたしましては、五回にわたる現地調査の結果、滑走路について補強の必要を認める、こういう判断をしているわけでございます。  地位協定との関係につきましては、先般来政府が申し上げておりますように、地位協定二十四条二項の規定に基づきまして、日本側がこの経費を負担することは何ら地位協定上問題はない、こういう立場をとっているわけでございます。
  173. 森中守義

    森中守義君 どういう意味で。
  174. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 地位協定二十四条の解釈といたしまして、二十四条一項によりますと、米側が負担すべきものは、日本側が負担するもの以外、通常の維持に必要な経費ということになっておりまして、二十四条二項の規定に基づきまして、日本側は米軍に対しまして施設区域を新規に提供する、あるいは追加の提供を行なう、追加の提供に準ずる補修、改修、こういうことを行ない得る。こういう規定でございますので、それに基づきまして普天間の滑走路の整備工事を日本側の経費の負担において行なうことは、地位協定上は問題はない、こういう立場をとっておるわけでございます。
  175. 上田哲

    上田哲君 関連。
  176. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 委員長から申し上げますが、議事進行の責任者として申し上げますが、先ほどの関連で時間が往復六十一分とっているんですよ、六十一分……。
  177. 上田哲

    上田哲君 大事なことなんですから……。
  178. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 大問題だから認めているんです。そうでなけりゃ、委員長は議事の責任者です。とても責任持てません。ですから、その程度にしてくれませんか。じゃ、ほんとに簡単に願いますよ。
  179. 上田哲

    上田哲君 四十八年度中に那覇空港から返還がないという御答弁は、それからもう一つ、上回るとする、すると言われること、これはたいへんないままでの説明と矛盾するわけです。那覇空港は、外務大臣も言われたように、那覇空港の完全返還、P3の撤去ということは、これは返還の目玉だと言っておるわけです。そういう説明を聞いてきました。これが四十八年度中には返されない、これはこれまでの説明が根本的に矛盾する責任問題だと私は思うんです。  そこで、根本的に私が伺いたいのは、上回るという問題が一つ。これは先ほど伺おうと思ったんでありますが、沖繩の施設局は明らかに、三十八億円ではとうていとまりませんよ、これは上回りますよということを現地で言っております。それじゃ三十八億というのがどれぐらい上回るのかということはさっぱりわからぬ。なぜわからぬかと言えば、アメリカさんから言ってくるのがどれぐらい言ってくるかわからぬからだということなんです。つまり、われわれの国の税金を払う、それがアメリカさんの言いなりになっているという実態が、はしなくもここにあらわれている。積算根拠がない。すべて積算というたてまえの上に立ってトータル要求は出ていないということがきわめて明らかになっている。明細な、いままで私たち国会は、税金をもって支出するこういう費目についての審議もできなければ承認も与えることができない。一体、これはだれが要求して、どういう形でこういうワク組みがきまっていくのかということを、あらためてひとつ承らなきゃならぬわけです。  その中で言えば、先ほど嘉手納のたとえば駐機場の対策が必要だというふうな御説明がありました。駐機場には、具体的に伺うが、土手をもう一つつくるということが入りますか。土手をもう一つつくるということが入りますか。これは非常に具体的な問題ですが、私は二回目の質問が許されないと思うから、結論のほうを先に申し上げておくけれども、駐機場もたいへんな騒音問題があります。この駐機場のたいへんな騒音問題も、もしこのP3移転ということにかまけて対策の中に含まれるのであれば、これは明らかに二十四条違反ということになっていきます。こういう問題を、もし違うと言うならば、それは含まない、それでは一体嘉手納の補修費というのはどういうものなのかということを具体的にもっと明確に示してもらわなければ、これは具体的な支出の審議にはなりません。  もう一つは、普天間の滑走路ということが三億円の支出だという御説明でありました。ところが、根本的な問題は、何べんも申し上げなければならぬのは、普天間にはP3は行かないのです。皆さんのほうも、P3は普天間には行かない、初めはP3は普天間だったのを嘉手納に移したとおっしゃている。ことばを正確に使ってほしいが、補助飛行場などということをアメリカ局長はさっきちょっと言われたが、補助飛行場では絶対ない。補助施設ということを今日まで説明されておられるはずです。補助施設ということになればP3は来ない。これは向こうの米軍司令官の軍事上のコメントと一致しています。マリーンのところに航空隊は来ないのだということで嘉手納に行ったのだという説明が、米軍で明らかに与えられたことと符合するように、明らかにこれはP3は普天間には行かぬのです。普天間にやることは補助施設、滑走路は補助施設には入りません。この三億円の金を使って普天間の滑走路を直そうということになると、これはつまりP3の移転とは関係なく、一般的な普天間の軍事施設の強化拡充ということに金を使うということになって、明白に地位協定二十四条違反ということになります。そうでないと言うならば、もっと明細にデータを出さなければいけないのであって、このようなずさんな計画、しかも、がぼっとふえるが、どれだけふえるかは向こうの言いなりだからわからぬというようなことであってみれば、実はP3は、四十八年はおろか、未来永劫とは言いませんけれども、かなり長期にわたって帰るということは保証しがたいし、そもそも沖繩返還協定の中で、P3が帰るということをほんとうに私たちが確認することができたのかどうかにも疑いを持たざるを得ないということになる。こればひとつ、これまでの御答弁との関連において根本的に、P3ではなくて、リベラルな使途ということの中で、アメリカに向って金をつかみ金でやる、そして、そのための名目として、日本政府側が要求していた、要求の引き去ったP3というちょうちんを名目につけた。こういうことにしかならないという論理になるので、そうでないと言うならば、その辺の明細をきちっと、いま三点にわたって申し上げたので、二回は立てないから三点についてひとつ答弁漏れのないように、ひとつ御答弁をいただきたい。答弁漏れがあったらまた伺います。
  180. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 嘉手納におきまする工事の内容につきましては、先ほど滑走路、格納庫その他のことを項目を申し上げましたけれども、この作業、事業の内容は今後の確定に待つわけでございまして、さればこそ今回の繰り越しにあたりましては、その大筋につきましては話し合いを持ち、今後細目調整を急ぎたい、こういうふうに考えているわけでございます。その繰り越しに関しまする法律的な関係につきまして、先ほど大蔵大臣から御答弁がございまして、政府といたしましては法律的な要件に従いまして、四十七年度に計上されておりました経費を四十八年度に繰り越すという措置をとった次第でございます。  それから、P3が今後普天間の飛行場を使用しないということは、御指摘のとおりでございまして、P3は嘉手納へ移転するということについて原則的な合意ができているわけでございます。そこで普天間の飛行場につきましては、先ほども御答弁申し上げておると存じまするけれども、従来は那覇空港と普天間と嘉手納と三つ米側に飛行場を提供いたしておりまして、P3がいずれ移転いたしまして、那覇空港が完全に返還される状況におきまして、米側に対する提供飛行場は嘉手納と普天間とこの二つになります。そこで、嘉手納との代替、予備飛行場という関係におきまして普天間が使われることになるわけでございまするが、そのための滑走路の整備ということを今回日米間で話し合っているわけでございます。  他方、P3につきましては、P3の移転撤去に関連いたしましては、現在普天間にありまする海兵隊のヘリコプター部隊が、那覇空港にありまするP3の部隊の航空施設を使いまして整備維持されておりまするけれども、那覇空港が完全返還され、P3が那覇から嘉手納に移転いたしました段階におきまして、右の整備維持のための設備がなくなるので、これを普天間に代替施設として建設すると、こういうことを考えているわけでございます。
  181. 森中守義

    森中守義君 総理、これで非常にはっきりしましたのは、四十八年度中には那覇空港からP3は撤去しないと。はっきりしました。そうなりますと、返還協定の審議の際に言われた政府の約束と根本的に違ってくる。どうしますか。——総理総理総理だよ。
  182. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 沖繩返還にあたりまして、那覇空港の完全返還が目玉案件であるということは御案内のとおりであります。で、そのラインに沿いまして沖繩空港の完全返還という原則は日米間で合意を見ているわけでございまして、その合意の上に立ちまして、具体的な用意がいま進められておるわけでございます。したがって、完全返還をする原則的な合意と、それからその事実上の完成という間に御指摘のように時間的な落差があるわけでございますが、これは仕事をやってまいる上におきましてやむを得ない時間的経過でございますので、その点は御了承いただきたいと思うんでございます。  で、私どもはつかみ金でいいかげんな仕事をしようとは思っていないわけでございまして、厳格に予算の執行に当たりたいと考えております。と同時に、できるだけ早く名実ともに沖繩・那覇空港の完全返還ということを実現いたしたいために鋭意努力をいたしておるわけでございますので、その辺の事情につきましては、私どもに御信頼をいただきたいと思うのであります。
  183. 森中守義

    森中守義君 信頼できませんよ。三十八億を四十七年度の予算につけた、その時点では原則的な合意がなかった。しかも、原則的な合意というのはことしの一月二十三日。あまりにも長過ぎる。よって、そのことが四十八年中には撤去できない。四十九年度にずれ込む。しかも三十八億じゃ金が足りない。こういう状態じゃないですか。だから、返還協定の際における目玉だと言ったあの約束は守られていないじゃないか。その責任を政府はどうするんだと、こう言っている。これは総理、どうしますか。外務大臣じゃだめです、総理ですよ、それは。
  184. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私から前座をそれじゃお答えいたします。(笑声)  あなたが御指摘のとおり、P3の移転先につきまして計画が変わったわけでございまして、そのためにたいへん時間的な経過を見たこと。たいへん遺憾に思いますけれども、これは森中さんにも御理解いただきたいんでございますけれども、この変更は、日米間で合意いたしましたラインを変更いたしましたのは日本側の事情でございまして、日本側があとでアメリカ側にそういう難題を申し入れて、アメリカもしぶしぶまあこれに合意をしていただいたわけなんです。したがって、この点はアメリカ側がそういう無理難題を吹っかけておるわけでは決してないわけでございまして、日本側の事情でこういうことに延びたわけでございます。  で、一月二十三日にようやくこれが本ぎまりいたしたわけでございますので、そのあたりはまず御了解いただきたいと思いますが、同時に、しかし、変更は見ましたけれども、予算の支出の目的といたしましては、P3の移転に関連した事業費でございますので、これは四十八年度に繰り越し明許をお願いいたしましても適法な措置であるとわれわれは判断したわけでございますので、そういう道が閉ざされておるのにかかからずそれをやったわけでは決してないんでありまして、あなたが御指摘のように、別の予算を要求するという道も確かにあるわけでございますけれども、繰り越し明許という合法的な道が開かれておるわけでございますので、その方法を選択さしていただいたまでのことでございまして、他意はないわけでございます。
  185. 森中守義

    森中守義君 総理の真打ちが残っているんだよ。
  186. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まず日本人としては、一番望ましいことは、沖繩の那覇空港が完全に返還をされるということであります。それにはアメリカの協力を得なければならぬということであります。  第一の目的は、とにかく原則的には返そうということになったわけですから、国益は守られておるわけでございます。  第二は、完全返還するにはこれを岩国に移そうと、岩国にあるものは三沢へ移そうということになったわけですから、これはやむを得ないことであります。大きな目的を達成するためには向こうが岩国に移すと言うんですから、それは移さなければ全面返還にならぬわけですから。ところが、考えてみたら、第二の段階では岩国に来られちゃ困るから別なところをひとつ考えてくれと、こういうことで、いま嘉手納へ移すということになったわけでありますから、これは岩国と三沢へ持ってくるよりも、国民感情の上からおいても、これはいずれにしても嘉手納へ移ってもらったほうが早いと、こう思っておったわけですし、だから第二段の段階においても、国益は守られる方向に進んでおったわけでございます。  いま外務大臣が述べたとおり、そういう変更がありましたので、時間的には移転先が今度違ってくるわけですから、いろいろ提供施設の内容も違ってくるということで、その間の事情を詰めるには幾ばくかの時間を要したということで、正式な決定はことしの一月ということになったわけでございます。初めは三十八億でもって移転できると思っておりましたが、移転先が違ってまいりましたから、いずれにしても再計算をしなければならないということでございまして、再計算をしなければならぬけれども、一日も早く那覇空港を返還してもらわなければならないという所期の目的を達成するためには、四十七年度に計上して御審議をいただいたものが三十八億ありましたから、これを適法に繰り越し明許で次年度に繰り越して、まずこの問題で工事を進めるということでございます。あとは、もう嘉手納に最終的に要求してくるもの、日本が提供しなきゃならないものというのは、これから詰めていまおる段階でございますから、これは詰めて四十八年度に補正予算としてお願いをするようになるのか、また予備費でもって支弁ができるような軽量なもので済むのか。四十九年度ということが一番国会に対しては正しいやり方だと思います。四十九年度の予算として計上して、議決を経て執行するということは正しいことだと思います。そうなると、残るものは何かというと、一日も早く、できるならば、もう海洋博も間近にきておるのであるから、四十八年度中に那覇空港が完ぺきな姿で返ることが望ましいということに対して、四十九年度にまたがるということになるわけでございます。この一点だけが完ぺきでないということになるわけでございますから、これはこれから年度間において日米間で詰まって、そしてその数字が明らかになって、工事の施工能力から考えてみても、四十八年度でできるという見通しがもしつけば、これは補正の時期にでも、臨時国会でもあればその時期にお願いをするということもあり得ることでございます。しかし、どうしても時間がかかって四十九年度になるということになれば、当初できるだけ早くと言っておったわけでありますから、まあその件に対してだけは四十八年度中に返るということができないことははなはだ遺憾でございますと、こう述べざるを得ないわけでございます。  しかし、もう一つあるのは、五十年度に予定しておるところの沖繩万博までにはどんなことがあっても那覇空港の完全な返還を求めて、使用でき、万博に支障のないようにしなければならないという問題が残っておると思います。
  187. 森中守義

    森中守義君 総理、一説には、五十年にはとてもむずかしいであろう、万博までに返ってこないという説もあるんです。もし返ってこない場合はどうしますか、責任とりますか。
  188. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは責任とるとかとらぬとかという問題じゃないんです。そんなことになると、全然もう返ってくるまでは話ができませんということになっちゃうんです。それはそんなことじゃなく、政府はどういう姿勢を持ってやっているのかと言うから、一日も早くやるように全力をあげておりますと言うんですが、それは日本と、相手のある話でございますから、山口県へ持ってこられては困るんだということはこっちが言っていくわけですから、それは普天間へ持っていけば普天間の地元が騒ぎますから、騒ぐところへ持っていっちゃいかぬと、これはもうあたりまえのことであります。そうすると、一番合理的なところはどこかというのは、これは嘉手納へ持っていくんですから、ですから相手のある話を両方が話し合いをしながら、円満に、しかも合理的に効率的にやろうというんですから、ですからそれがこういう見込みで、こういうことを理想と考えながらやっておりますがと、こう言って、相手のあることをしょっちゅう責任をとっておったら、これはもう国会では何も申し上げられません。それは何も申し上げられません。それはできてから申し上げますということになるのであって、それは責任問題とは全然別な問題だと思います。
  189. 森中守義

    森中守義君 えらいまた変な話ですな。それはやったやったと言いながら、返還協定の約束はどうだったんだ。さっき私が言うように、一月の二十三日原則的な合意となる、この間何をやったんですか。国内の事情だと言われるけれども、承知できませんよ。まあしかし、それは四十九年度でと、こういうことをさっき言われたから、一応そうしておきましょう。ただ問題は、積算の根拠が正確でない、これは事実ですね。そこでもう少し、こういう不確定な要素のもとの予算じゃこれは困る。ですから、ある程度できてもおるようですが、正確な積算の根拠をできるだけ早く出してもらいたい。同時に、その間は三十八億の予算の執行は凍結、こういうことが私は筋だと思うんですが、どうですか。
  190. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 筋ばかりではいかないんです。これはそうしなければ、あなたがいま言われたように、一日も早く返還できないんです。ですから、国会審議のために必要な書類というものは、これは積算ができれば直ちに提出をするということ、これは当然なことであります。しかし、こういうものは少なくとも単年度でもって全部できるという工事であっても、実際は国会の議決を経ても、これが支出を行なう場合には再び比較設計をつくったり、いろんなことをするわけでありまして、国会でもって成立したものは全部使っていいというんじゃありません。これは比較設計もするし、もっといい方法があれば、国損を来たさないように、効率的なものをつくって支出をするわけでございまして、不適確な支出をすれば、会計検査院から批難を受けるわけでございますから、制度上はちゃんと完ぺきになっておるわけでございます。ですから、年度でもって長くかかる鉄道の隧道工事などに対しては、みんな概算で、今年度はここだけ行なうつもりでございますということで、実際湧水の問題があったり、いろんな問題で行なえなかったり、用地が解決しなくて行なえないために後年度に繰り越しているというのは、これはこの種の事業は全部そういう制度の中でやっておるわけでございます。ただ、この問題は一つは、途中、中で計画が変更されましたので、総体をつかむことができない、向こう側からまだ要請が出てきておりませんから、これから詰めなければならないということでありますので、全部をお示しすることはできませんから。これは全部お示しできるときには直ちに提出をいたし、御説明申し上げます、しかし、いまの三十八億円を上回ることは事実でございますと、こう事実を述べておるわけであります。ですから、三十八億円の内訳に対しては、三億円と五億円に分けてこういうことをやるつもりでございますということを述べておるのであって、それが全部きまらないうちには執行できないということになれば、これは四十八年度の下期までは全部がきまらないかもわかりません。そういうことになれば、ますます四十九年度にも返ってこないということになりますから、そこらは、この目的が達成をされるために支出されるわけでありますし、国会では決算委員会もちゃんとあるわけでありまして、その支出の不当性がもしあれば指摘をされる、行政責任が追及されるように、ちゃんと制度があるわけでございますので、これは全部がきまらない、全部の計画を提出しないうちは予算執行をとめなさいという趣旨のものではないと、こう理解しております。
  191. 森中守義

    森中守義君 総理、これだけはお認めになるでしょうね。要するに、国会の予算の審議権に対して、十二分な材料の提供がなかった。明許繰り越しになったのだからこれは使えるのだというような発想は、私は審議権に対する行政府考えが間違っている。明許繰り越しになっても、計画変更になったのだから、かくかくの理由で三十八億が必要なら必要だという、そういう材料をなぜ提供しないんですか。それを提供しないで、三十八億使うのに何が悪いという、そういう話はないでしょう。どうですか。
  192. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 何が悪いと言っておるんじゃありません。これはやっぱり制度があるんですから、適法な処理を行なったもので、適法な目的を達成するための事業費であるということでございますから、これは支出をして、適法な処理をしたものは適法に支出をすることは支障ないということは私もそう考えております。そうでなければ、ダムの工事などで、国会でもって審議をしていただいておりますが、ダムを途中、中から設計変更しなければならない場合があります。そして工事費が倍かかることもあります。しかし、それはその目的達成のために必要なものでありますから、既定予算は支出ができるようになっております。そしてその超過分に対しては、これはもう当然審議を受けなければ、予算が成立しなければ超過分に対しての支出はできないことになっております。それが適法に支出されたかされないかということは、決算制度の中でもって国会で再び御審議をいただくということになっておりますから、結局、あなたが述べられる中の一点は、適法であっても、われわれが審議をするんだから、するときに対しては審議に必要な、審議を促進せしめるような完ぺきな資料を提供すべきであるし、説明が必要である。それはよく理解できます。しかし、この件に関しては、途中、中でもって移転先を変えたり、しかも日本政府の意向で変えてもらったり、こうして変えますということは国会で何べんも述べておるわけですから、その事情はよくおわかりになっておるはずです。そして日本が出せと言っても、アメリカ側も、内部の調整をしたりいろいろな事情があって、今日までそれをお示しできるような的確な資料を把握することができないという事情でございますから、その間の立場もひとつ御理解を賜わりたい。そうすれば、結局あなたは、まあ適法にして、繰り越し明許で四十八年に繰り越してきてるんだから、これは国会で述べたように、使途を明らかにして合理的に使え、そしてそれも四十九年度以降三十八億を上回るものの内訳ができる前に、すみやかに、できたらこれを提出をすべし、こういうことはよく理解できますが、これはひとつそういうことで御理解をいただきたい。これは私たちもできるものを隠しておるのじゃありませんから。一月ようやく正規に調印をするということでございまして、現在、いま内容に対して折衝中であるということが——まあ三億円に対してはこれは申し上げましたからもういいんですが、三十五億円の内訳そのものに対しては、ほんとうに明確になっておりません。これはもういまお答えできる程度のことがあれば、それでよければそれは答えさせますが、それ以上のことはこれは相手との問題でございますから、これはひとつ提出ができる事態までお待ちいただきたい。そうすれば、もうこちらは、提出できる事態になれば遅滞なく提出をいたします。これは明確にいたしております。
  193. 上田哲

    上田哲君 P3との関係がわからないのですよ、P3との関係が。P3との関係がないかということを言っているのですよ。
  194. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) やっぱり三十五億の内訳をここで明確に申し上げるような状態にないということのようでございます。
  195. 森中守義

    森中守義君 それと、普天間にはP3が行かないんだから……。
  196. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 行かないんです。
  197. 森中守義

    森中守義君 その関係がどうなんだ。それもはっきりしてください。行かないのに、なぜ滑走路を拡張するのだという……。
  198. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、P3は普天間へ参りません。そこで、普天間の滑走路の整備ということを申し上げておりますのは、滑走路の中で水がたまって云云という補修ではございませんで、普天間の飛行場を嘉手納の飛行場の代替、予備飛行場として使用するにあたって必要なかっこうにするために滑走路の整備補強を行なう、こういうことでございます。  もう一つのP3の関連は、先ほども御答弁申し上げました普天間におりまする海兵隊のヘリコプター部隊の補修、維持、これに必要な施設を提供してやる、こういうかっこうになるわけでございます。
  199. 森中守義

    森中守義君 この問題は、まだずいぶんたくさんの疑問があります。釈然としないまま、はなはだ遺憾ですけれども、あまりこれだけに時間をとるわけにいきませんから、先にいきましょう。  運賃及び財政法の関係ですが、まずその最初に承っておきたいのは、最近、しきりに国鉄総裁の更迭の話が出ているようです。これは一体どういうことですか。経過をひとつ話してください。
  200. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 全くまだ考えておりません。
  201. 森中守義

    森中守義君 これは新聞も、単に一社に限らないで、ほとんど各紙が一斉に伝えている。しかも総理が廣瀬何某と会見をされたような記事も出ているのですが、まさか、これはしかし新聞がこういうことまで誤報だということはないでしょうな、どうですか。
  202. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 廣瀬真一君は同郷でございまして、これは参議院選挙に出まして、落選をしたわけでございます。今度参議院の候補者をきめなきゃならないような段階でございましたので、御本人は立つとは思いませんが、やっぱり一ぺん公認をした人でございますから、一応やっぱり渡りを——渡りをつけるということばはよくありませんから、これはひとつ取り消しますが、今度君を公認にできないぞと、二人のところに二人もう現役議員があるんだから了解してくれと、こういう話をしたのが事実なんで、廣瀬君を、新聞に書いてあるような国鉄の総裁、副総裁にしようなどという考えは全くありません。現実がこれを証明します。
  203. 森中守義

    森中守義君 公認できないから国鉄総裁に回そうということでもないんですか。
  204. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 全くありません。そういうことを混淆するような政治姿勢でないことは、多年友情関係にあるあなたがよく理解するところだと思います。
  205. 森中守義

    森中守義君 そこでもう一つ、あまりいい質問じゃないかもわかりませんが、人のことで承っておきたい。これも新聞等では、日本航空の社長が更迭するか再任かということで、たいへん興味深く見守っているようですが、これについてはどうでしょう。
  206. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まだ全く人選もしておりませんし、運輸大臣からの相談もありません。
  207. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 日航の人事につきましては、先般もあるいはこの委員会でもお答えしたかもしれませんが、御承知のように、日航は無事故で来ましたけれども、長い間無事故で来ましたが、昨年は事故が頻発いたしました。そこで、いろいろ人事についても取りざたされておりますけれども、私は、この日航の人事につきましては、まずああいう事故を起こしたあとでありますから、国民が非常に航空機に対して不安を持っております。その不安を一掃するために、ゆるぎのない運航安全体制をつくってもらうのが先決であるということを考えておるのでありまして、いまその運航安全体制をつくるべく、懸命に努力をしている最中でございます。したがいまして、現在のところ、人事については白紙でございまして、もう少したちますと、来月の末には株主総会がございまして、人事をどうするかという問題を考えなければなりませんが、まだ時間がございます。ゆっくりこれは慎重に考えたいと思いますが、現在のところはまだ白紙の状態でございます。
  208. 森中守義

    森中守義君 いま言われるように、安全運航中心と、これはまた当然なことですね。ところがこれは、ちょっとあとで読んでいただきたいのですが、安全運航は表向き、実際の内情としてはかなり混乱が生じている。安全運航じゃなくて、内部問題のほうがいま先行しているというような報道がずいぶん多い。ちょっと総理、これをごらんになってください。——そこで、そういうような状態で、大株主である、つまり四六%のシェアを持っている政府が、このまま放置しておいていいかどうか。だから、重大事故の責任並びに内部体制、こういうものから判断してどうお考えですか。
  209. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 日航の内部にもいろいろ意見があることは私も承知しておりますが、しかし、事故発生当時においては、それが何か火をふき出したような感じであったように思いますが、現在におきましては、われわれの指導によりまして、何をおいてもとにかく国民が安心できるような運航の安全体制を確立してもらいたい、それが先決ですということを申しました。これにつきましては、運輸大臣といたしまして、日航に対して、これまでどんな安全体制をとってきたか、今後はどういう安全体制をとろうとしているのかというふうなことにつきまして具体的な意見を出してほしいということを申しまして、日航からはそれにつきまして具体的な答申をしてきたのであります。それに基づきまして、私どもはさらに細目を検討いたしまして、今後このような安全体制をとってほしい、これを約束できますねということで、日航とはその点について非常にはっきりとした、何といいますか、申し合わせもできておりまして、それに対する日航の決心もできておるわけでございます。  そういうわけでございますから、現在のところはいろいろ取りざたされますけれども、実態は、私の承知しておる範囲では、日航は安全体制確立のために全社をあげましていま努力している最中だと、そういうふうに私は観念をしておるのであります。
  210. 森中守義

    森中守義君 総理、いまお読みになっておりますが、その事実確認という意味もありますが、少くともこういうことが取りざたされているということは、安全運航の次元とはちょっと違う。無関心ではおれませんね。ですから、こういうことに対してどういう措置をおとりになりますか。少なくとも事実であったらどうされますか。
  211. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほども述べましたし、まだ運輸大臣からも相談を受けておりませんが、日航の持つ重要性、人命尊重、そのためには社内の融和、また社内が一致結束をして重要な任務を果たせるような体制をしがなければならないということは言うをまたないわけでありまして、人命尊重、安全運航という実があがるように、細心の調査の上判断をしたいと、こう考えます。
  212. 森中守義

    森中守義君 昨年の再建二法審議の経過を政府はどういうように理解をされているのか。
  213. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国鉄ですか。
  214. 森中守義

    森中守義君 国鉄の問題。そこで、財政援助を相当増額をした、これでいいじゃないかというおつもりでもないでしょうけれども、昨年の両院審議を通じて、たくさんの問題が提起されておる。にもかかわらず、結果的に出てきたのは、昨年と同様、旅客で二二%、貨物で二五%、この姿勢が私にはわからない。昨年提起された問題に対してどういう認識を持っておるのか、受けとめているのか、もう少し内容に吟味を加えたものを、もし出すとするならば出すべきでなかったかと、こう思うのですが、どうですか。
  215. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国会審議を十分尊重して今度の案を作成をしたつもりでございます。これは一つには、昨年上げていただかなければ十年間では再建をしないということでございまして、一年延びたんだから、その上げ率というものは引き上げなければならぬと、こういう有力な意見が存在したわけでございますが、昨年でさえも引き上げ率は高いと言われた経緯もありますから、一年たっても昨年の案を提出をすることは、それだけ下げたことになるわけでございます、現実問題としては。ですから、そういう意味で、昨年以上、一年分を上のせすべきではない、こういう判断をしたわけでございます。  第二は、昨年の案では国の負担が軽過ぎた、国はもっと出すべきであるということでございますから、これは国民の税金を投資するわけでございますので、それはなかなか決心をするにはたいへんなやはり勇気が必要でございます。しかも、まだ社会保障やその他いろいろな支出の要請もある中で、国鉄の重要性に対して判断をしなければならなかったわけでございますから、その面に対しては、国会の御審議の重点である、国がもっと負担すべきである、これは国が全額出せと、こう言われても、なかなかそれはそうできるわけではございませんので、そういう意味から、三公社五現業、そういう状態と比べても、なるほど政府国鉄に対しては今度は思い切って援助をすることに踏み切ったわいと評価をいただけるような考え方で、十年間四兆六千億という大幅な投資を考えたわけでございますので、私は国会審議過程を反映せしめておるものだと、こう理解をいたしております。
  216. 森中守義

    森中守義君 国鉄総裁と運輸大臣から、かりに再建が実現したと仮定した場合、四十七年から五十七年に移行する累積赤字、長期債務、五十七年度単年度における収支状態、こういうものをこまかく数字でお示しいただきたい。
  217. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 数字については国鉄または政府委員から御答弁をさせます。  先ほど総理が言われましたように、これは国鉄の財政再建臨時措置法にもその方針がうたってあるわけですが、単年度ではこれはなかなかできませんので、十年間の長期の期間内に国鉄の財政を再建いたしまして、一方、国鉄の本来持っておる機能を回復さして、それで国民経済にも国民生活にもよい影響のあるようにということをねらって計算をしておるのでございます。そういうわけでございますから、十年間で、最終年度におきましては三千億余りの黒字になるというのがねらいでございまして、それまでには累積債務、累積の赤字もふえるでございましょうし、長期債務もふえると思います。それはしかし、そういうふうに十年の間いろいろ努力をいたしまして、政府も援助をして、そこで初めて黒字に転じまして、それ以後、累積赤字も解消できるであろうし、たまった長債務のほうもだんだんに解消できるという財政期再建のめど、したがって国鉄の機能の回復ということをこれは期待できるということで、十ヵ年間の長期の計画を立てたのでございます。  数字につきましては、国鉄または政府委員から御答弁をさせます。
  218. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 再建期間の十年間の全体の数字を申し上げますと、これは私どものほうの試算でございます。昭和五十七年度末のこの十年間における長期債務の残高が、こまかい数字は省略いたしますが、十兆九千八百億、約十一兆でございます。それから四十八年度から五十七年度に至ります累積赤字が一兆四千四百億でございます。  そして、御質問の五十七年度単年度におきます収支は、これはごく総体の数字だけ申しますと、収入が五兆二千三百億、支出が四兆二千八百億、それに償却費を計上いたしますと、最後に償却後の損益が約三千八百億の黒というのが昭和五十七年度におきます単年度の収支の計画でございます。あくまでもこれは私の試算でございますが。
  219. 森中守義

    森中守義君 この再建計画からいけば、四回値上げするということだけはこれは非常に確実。ただし他の再建計画は、おそらく数年を出ずしてまた破綻をするというそういう見方を私はしている。そうなれば、結果的に計画の途中においてまたやり直しということになる予測が出てくるんです、が、どうですか、総理
  220. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現在は四十四年から五十三年まで再建計画があるわけでございます。それは工事費補助金は千億円であります。再建債の利子補給も千億円であって、合計二千億であります。これを、この前廃案になったのは、千億が六千六百億に、それから千億が三千四百億に、ゼロが六百億に、すなわち二千億が二兆五百億円でございました。これでは少ないと、こういう御指摘がございましたから、それにこたえて今度は六千六百億円の工事費補助金を一兆五千二百億円に、それから三千四百億円を五千三百億円にということで、三兆六千二百億円にしたわけでございます。鉄道建設公団に一兆円ございますから、先ほど申し上げたように三兆六千億、ラウンドで申し上げたわけですが、こまかく言うと三兆六千二百億円と、こういうことになるわけでございますが、そのほかに財投が九兆三千億というものがございます。  そういうことでございますが、これで国鉄というのはほんとうにうまくいくのか、また変わるのじゃないかという心配、これは私も、この財政再建計画をきめるときには、そういう心配を十分いたしました。いたしましたが、今度の数字というものは、これは比較的に正確なものとして受けとれる、国会にも十分御納得のいけるような御説明ができるということを考えましてのは、これは率直に、いままでは議論しなかったわけでございますが、国鉄には国鉄として、戦時中に軍需輸送でもって非常に水ぶくれをした輸送体制があったわけでありまして、その人員、大陸やそれから朝鮮半島、台湾等から帰ってきた人を全部国鉄の中に収容したわけであります。ですから、ある意味においては、国鉄は相当な負担をしておったと思います。これは事実だと思います。それで、同時に国鉄というものは、他に政策を行なわないで、トラックと貨物を競争さしたりということが考えられて、そのままやってまいりました。これは先進工業国でやっているように、鉄道の使命というものをはっきりした場合には、近距離はトラック、中距離は鉄道、長距離は内航海運といういうふうに分けて、誘導政策をとればいいわけであります。そういう意味で、自動車トン税というものが新たに設けられたわけでございますが、これはこの計画には入っておりませんけれども、四十九年年度以降は、当然、そういう制度、誘導政策を含めたある意味においては禁止税制もあわせ採用されなければならないということでいま検討を進めておるわけでございますから、そういうものからずっと推しはかってまいりますときには、今度は十年間には人件費の負担も軽くなってまいりますし、それから機械化も行なわれてまいりますし、それから自動車と近距離や中距離を貨物で競争しなければならないということにはならなくなりますし、また、遠距離逓減というものが今度は遠距離でもって合わないものは全部船に移すような誘導政策があわせてとられますので、今度のこの計画はこれはこのまま進めることができる。しかし、ある時期において、これをもっと大きくしたい、鉄道に負荷される責任というものはもっと道路よりも鉄道にウエートを置かなきゃいかぬのだという社会的要請は出てくる可能性があると思います。そういう場合は、国会でまた御審議をいただいて、その場合は政府がもっと負担をするというような方向でいかなきゃならない問題でありますから、道路をつくって輸送しているものを鉄道に負荷すれば、道路に出しておる金は鉄道に出さなきゃいかぬということはこれは自動的に考えられることでございます。だから、そういう意味でこの計画は私は完遂できるという見通しに立っておるわけでございます。
  221. 森中守義

    森中守義君 これは、四十四年の際に持てると言い切ったものが、たった三年間で崩壊してしまった、こういう実績を持っている。ですから、私は、今回示されたのは、運賃改定の合法化、理屈づけをするために再建案が出された、まあいわば予測図であり予想図だと、こういう認識を持っている。いま総理の言われるように、なし遂げる、遂げられるんだということでなくて、くずれかかった場合には、閣議了解としていわれているこれから先の一五%が三回、それから五十七年度の一〇%、こういう率の改正をするか、あるいはもう一回改定期を追加するか、そういう方法もあるいは政府としては計算の中にあるのじゃないか、こう思うのですが、どうなんですか。
  222. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そういう御心配がございましたら、ここでもって明確に申し上げておいて、これは修正案をつくってもう四回分一ぺんに法律をきめてもらってもけっこうです。そうして、一番最後に、この法律は十年後まで改定することはできない、こういう禁止条項を入れて、そういうのは先進国にありますから、これは国会の意思をどんなに多数になっても無視することはできません。これはもうどうにもならないことでございまして、そうしていただければそれは絶対にそうです。そうして、鉄道が使命を果たせない場合には、必要な場合には財政を繰り入れるということにも原則的に確定するわけでありますから、もし、もう一回間に入れて、運賃値上げ、大衆の負担増になるのじゃないかというおそれがあるなら、それは審議過程で修正案をお出しになって、この率を一ぺんにきめて、この法律は十年間改定することはできないということで通していただけたら、私は、ここで提案者を代表しまして、けっこうでございますと明確に申し上げます。違背はいたしません。これは、国鉄運賃は、昭和十一年を一として、二六九であることは、御承知のとおりでございます。消費者物価は五〇四であります。はがきは、私も郵政大臣の経験者でございますが、六百六十七倍になっているわけです。こんなに上げているから郵政のほうには一般会計を入れないで済むんだなという数字がよくわかるんですが、はがきは六百六十七倍にもなっているんです。そういうことで、国鉄運賃は二百六十九倍で押えておるというところに大体に問題があるんです。しかし、いま御指摘になったように、御提示をしてあるものにもう一ぺん付加して上げるということは絶対いたしませんと、こう申し上げてもけっこうです。これは申し上げます。ですから、これが通していただけないなら、国鉄が人命を乗せて毎日走っておるのですから、災害が起こってからではどうにもならない、責任をとったでは済まないのでありますから、そういう意味で人命尊重の意味でも今度は、ぜひお願いいたしたいと、こう申し上げておるわけです。
  223. 森中守義

    森中守義君 よって立つ論拠が全然違うわけでして、それはそんなことを言われても乗れる相談じゃない。ただ、そういう懸念が十分ある、政府原案から見た場合ですね。それと、私は、あくまでも運賃改定が中心であって、再建案というものはそれを合理化するための言いわけじゃないのか。したがって、おそらく再建案はできないでしょう。そういう見通しはない。何年たたずしてくずれますよ。その際にそういう懸念があるからどうですかと、こう聞いているので、しかも、それは、四十四年の確実な実績がありますからね。もう早く言うなら、これ以上国民に負担をかけられてはかないませんから、念のために聞いている。だから、再建策なれりという自信があるのか。閣議了解によると、改定のこの四回の率で、間違いなく、さっき総裁が示したような、つまり、累積赤字の問題にしても十年後はやっていけるという自信があるか、こう聞いている。
  224. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国鉄がいまよりもはるかによくなって公共的使命を果たしていけるという自信はあります。ただ、私は、ここでこまかい再建策の内容の数字をいま持っておりませんが、それで合理化を進めるということになって合理化も進むようになっております。この中で運賃改定というものをのんでいただけるなら——これは合理化というものはそんなにうまく進まない場合もあります、さっきの嘉手納の問題と同じことで。それは、合理化というものは、機械化を行なうとかそういうものは合理的にできても、人員がそのとおり整理できるかどうか、社会情勢の変化もあります。私は、そういう理由、国会でもって御納得がいただけるような理由によって数字が多少違うことはあると思いますよ。あると思いますが、大本においては違わない。これは国鉄が社会的使命を果たすということに対しては遺憾なくその使命を果たせるような生き返った新しい国鉄、信頼される国鉄、強化される国鉄というものに必ずなり得る、こういう自信を持っております。
  225. 森中守義

    森中守義君 しかし、そういうことを言われましても、一体いままで政府国鉄は何をやってきたのか、これが問題なんですよ。累積赤字がだんだんかさんでくる。そうすると、また運賃改定だ、こういうパターンをずっと繰り返しているのですね。そこで、問題になるのは、現代の交通体制に対して国鉄の収支改善をどうしたらいいのか、どうすべきかという具体的なことをやっていないじゃないですか。やってきたという実績を示してもらいましょう。これはひとつ関係の国鉄総裁を含めて全部お答えいただきたい。
  226. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まあ私が代表して……。
  227. 森中守義

    森中守義君 いや、代表じゃだめだ。当事者がいるんだから。まあ総理総理でいいじゃないですか。(笑声)
  228. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 総理には締めくくりをやっていただきたいと思います。  運輸大臣として御答弁いたしますが、率直に申しますと、今日まで国鉄昭和三十九年以来赤字を続けてきたのであります。したがいまして、その本来果たすべき役割りというものを十二分に果たし得なかったことは事実だろうと思います。この点はわれわれも大いに責任を感じております。それではいけませんので、何といってもやはり日本の交通体系における中核的な機関でございますから、どうしてもこれを強化して、そして本来の使命達成にもっと努力させなければならぬということで今度の再建案も出ているわけでございます。単なる赤字解消というだけでなしに、それと同時に、国鉄の本来の使命を達成できるような基盤をつくってやろうということがねらいでございます。  今日までの経過を振り返ってみますと、そういう中で大都市に人口が集中してまいりまして、この通学通勤輸送などに対しましては非常に経費がかかります。しかし、それはどうしてもやらなければならぬということで、国鉄の輸送というものはどうもいままで旅客に集中しがちであったことは事実でございます。そこで、国鉄の財政から言いますと、一方ではそういう方針をとらざるを得ないと同時に、道路輸送といいますか、貨物の輸送が自動車に依存する度合いが多くなってきたことも事実でございまして、それに対抗するような改善は国鉄としてなかなかできなかったということは、これは言えると思います。そういう状態でありますから、財政状態がますます悪くなったということが言えるのでありまして、今度の改善案に対しましては、いままでは十分ではありませんでしたが、そういう点も含めて、旅客につきましては、国鉄本来の使命であります長距離の旅客輸送にはあるいは都市間の中長距離の旅客輸送には新幹線を利用してもらう、在来線につきましても都市間の輸送に大いに力を入れてもらおう、それから貨物に関しましては、非常に短いところはこれはトラック輸送に依存しがちでございますけれども、中距離、長距離の貨物輸送というものは国鉄をもっと利用しやすいような体制をつくって荷主に利用してもらおうというようなことを、これはまあほんとうに大ざっぱなことでありますけれども、そういう種類のことを考え合わせまして、国鉄の財政再建をいたしますと同時に、国鉄が現在の総合交通体系の中において本来果たすべき役割りを十分果たして、国民に対してもサービスをすると同時に、国鉄の財政の再建にも役立てようというようなことをねらって具体的な計画を進めておるわけでございまして、いままでは十分ではありませんでしたが、今度の四十八年度計画をごらんいただきますとわかりますように、そういう方面については特に政府の補助も厚くしておりますし、それから国鉄自身の計画につきましても具体的に相当進んだものが見られるのでありまして、さっき総理がおっしゃいましたように、こういうふうにして体制を整備して十年間お互いに苦労してまいりました場合には、十年間の間に最後には黒字に転じて それから国鉄の財政の再建もでき、本来の国鉄の機能が発揮できるような体質の改善ができる、こういうふうな確信のもとに今度の提案をしておる次第でございます。
  229. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昭和三十九年に赤字に転落いたしまして以来、約十年でございます。この間、私も責任者としてずっとやってまいりましたが、やはり私ども一番政府お願いをしてまいったのは、専売とかあるいは電電と違って、完全な競争場裏にさらされているということが第一でございまして、しからば、ほかの交通機関ともう少し対等な競争ができるようにしてほしい。いま国鉄に残されているのは、いわゆる十九世紀的な国鉄独占時代のいろいろな制約がたくさん残っております。私はあえて運賃がそうだとは申しませんが、運賃が財政法できまっているということは、これは実に営業としてはほとんど考えられない問題でございますが、運賃の問題に限らず、いろいろな政府からの援助等につきましても、飛行機、船、自動車と比較いたしますと、これは格段の相違があるという意味で、他力本願のように聞こえるかもしれませんが、私どもといたしましては、部内的には全力をあげて努力するけれども、やはり客観的に非常な競争場裏にある以上、それにふさわしいあるいはそれにマッチしたような地盤をつくっていただきたいということを十年間お願いしてまいりましたが、今度非常に御理解のある態度で、相当な前進をしていただいたというふうに私は思っておりますが、これからますます競争は激しくなってくると思いますが、その中で私どもは十九世紀のからをしょいながら二十一世紀にはどうやって歩いていくかということは、やはりいままでの歩き方よりさらにきびしく激しく歩かなければならないと思っている次第でございます。
  230. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 鉄道を再建しなければならないということと、もう一つは、やっぱり鉄道というものを再建しないと日本自体がまいってしまうという大混乱問題が起こるわけでございます。これは私の列島改造論の中で一つの指数をとって、一〇%経済ということの成長で三百四兆円経済の場合の指数を提示をしてありますが、しかし、それでもっていくと、もうたいへんなことになりますが、一〇%でなく八%ないし八・五%にしても、二百五十兆円をこすわけでございます。二百五十兆円をこすと、昭和六十年展望でもって日本の貨物量そのものだけでもいまちょっと計算してみたのですが、一兆一千億トンキロぐらい、一兆はどうしてもこすわけでございます。そうすると、いまの四〇%シェアの海運を五〇%シェアにふやしても、残りは五千億トンキロないし五千五百億トンキロになります。いまの鉄道の貨物の輸送の総量は六百億トンキロでございますから、ラウンドやっぱり四千七、八百億から五千億キロぐらいのものを何とかして陸上輸送しなければならないようになるわけでございます。これはまあ試算数字でございますから、少しは誤差がございますが、大体この数字は間違いないと思うのです。そうしますと、これをトラックでもってやるとすると、いまの十九兆五千億五ヵ年計画が倍々と伸びていっても、二千三百万台から二千五百万台ぐらいのトラックが必要ということになりまして、これはとてもできるものではありません。これは乗用車の三分の二ぐらいの運行停止ということをやってもなかなか路面は確保できないし、大体六十年度における運転手、交通労働者は、三百五十万人ぐらいしかないわけでございますから、それはもう運転手が全然ないわけであります。ですから、そういうことで、先進工業国は、近距離は貨物トラック、中距離は鉄道、長距離は船というので、貨物トラックには日本の十倍近い税金をかけておると、こういう誘導政策、禁止政策をやっているわけでございます。そういうことでもって考えてみますと、鉄道が負わなければならない貨物輸送量というもの、それから国内でもって移動する人口がふえてまいりますので、それを考えると、鉄道の社会的な使命というものはいまの鉄道の比ではないということでございまして、これからもほとんどの幹線はすべて近距離通勤と貨物輸送に充てなければならないというような状態でございまして、ある一部はもう新幹線も場合によっては貨物を輸送しなければならないと、そういうことで、青函隧道などもそういう計画も立てておるわけでございますから、これはどうしても再建政策をやらなきゃいかんのだということでございまして、この運賃の値上げというものは最低限に押えながら、あとはやはり国が負担を増していくということでひとつこの計画はどうしても完成をさせなきゃならない、こういう考え方を前提にいたしております。
  231. 森中守義

    森中守義君 いま非常に注目すべき御発言がありましたね。磯崎総裁、内部努力には限界がある、十年間努力してみてきたけれども、もうどうにもならんのだ。それじゃ、どうするのか。内部努力の限界をこえているというならば、国に対して何を求めますか、その内容をひとつお示しいただきたい。
  232. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) もちろん、内部努力と申しましても、いろいろございます。たとえば、節約のような、これはまあ当然でございますが、紙・鉛筆類の節約から、動力費の節約まで、いろいろございますが、こういうこまかいことは一応別といたしまして、あるいは人を減らすこと等もいろいろございます。しかし、これらは、あくまでも、先ほどちょっと総理もおっしゃいましたが、ただ手ぶらで人を減らすということはできませんで、やはり必ず何か投資をして近代化する、そしてその結果、人が浮いてくるというふうなことになってまいりますので、必ず新しい投資を伴うわけでございます。したがって、私どもといたしましては、そういう内部努力の裏側としての投資の問題、あるいは通勤輸送のようなもう商売にならない純粋公共的な道路投資と同じような意味の投資等、いろいろな投資がございますが、その中でもほんとうに利子の払えないような投資については、ぜひ政府からほとんど無利子に近い金を貸してほしい、あるいは政府に出資をしてほしいということを数年来強くお願いしてまいりました。また、かりに利子の払える仕事でございましても、利子を払えるまでには相当期間がかかるという意味で、なるべく利子の安い、低利の金を貸していただきたい。たとえば、最近、東京駅の前にできましたあの地下駅は、実に十年かかっております。また、最近できました武蔵野線も、やはり十年かかっております。結局、十年間は全く収入を生むことがなくて利子だけ払う、これではやってまいれませんので、何とか今後の投資については政府が相当大幅に出資してくださることと、それからなるべく利子の安い金を貸していただきたいということで、今度は投資と利子補給と合わせますと大体三分に近いお金になってまいります。これは相当低利であるというふうに考えられます。それからもう一つ、過去のいままでの投資に対する利子、これが年間約二千億ぐらいございますが、この利子負担も相当大きいものでございます。したがって、過去の利子負担についても、何らかの形、何らかの意味で利子補給をしていただきたいということをお願いいたしまして、これはもう今回若干やっていただくようになったことでございます。まあ突き詰めて申しますれば、政府の出資と、それから低利の金の融資ということに集約できるかというふうに存じます。
  233. 森中守義

    森中守義君 運輸大臣、先ほどの御指摘の中で、今回は違う、いままでは十分でなかったと、こういう御発言でしたがね、その辺のいきさつをもう少し詳しく説明してください。私は、もともと収支改善には全然手を打たなかった、在来のパターンを繰り返しただけだと、こういう指摘をしている。それを実はお認めになったようなかっこうですから、いままで政府は一体何を努力してきたのか。国鉄は何を努力してきたのか。努力がなかった、今度は違うという御発言ですから、比べて少し内容を御説明願いたい。
  234. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先ほど総理からもちょっと御発言がありましたが、現在でも国鉄の財政再建の計画は進捗しておるのでありますが、それと比べますと、今度の計画は非常に趣が違いますということを申し上げておるわけでございます。  先ほど来、総理からも国鉄総裁からもるる御説明申し上げましたように、今度の再建計画はいままでのそういった、何といいますか、意のようにならなかった、意のとおりに、予期のとおりにいかなかったという点を十分に反省をいたしまして、これならば国鉄の財政は十年間には再建できるであろうということを具体的に計画いたしまして、それを今度の四十八年度予算では初年度として持っておるのでありまして、ただ、これはお尋ねがなかった点に触れるようでありますけれども、前回の、昨年のこの問題についての御審議の際に、衆議院はとにかく慎重審議の上議了していただいたのですが、その際に各党の議員から非常にたくさんの御意見が出たのです。そんなことをしてはこれは再建にならないぞ、こういうふうにしなきゃいかぬじゃないかというような御意見が方々から出たことは事実でございまして、今度の立案にあたりましては、そういう点は可能な限り最大限に取り入れておるのでございます。  例を申し上げましょう。たとえば、この前の再建案では根本的に閣議の了解というものをしませんでした。これは自民党の党内だけできめた一つの案でございました。それが骨子になっておりました。今度は、政府全体が責任を持つという意味で一応閣議了解の形をとりまして、関係各省ともこの国鉄の再建案に対しましては、それぞれの立場で責任を持っていただくようにいたしました。いずれこれは、もしこの法律案が予定どおりに通していただきました場合には、あらためて法律によって案をつくりまして、閣議決定をしていただくという段取りになります。政府の意思がこれで非常にはっきりしていると思います。  それから、さっき国鉄の総裁が申しましたように、非常に累積の債務が大きなものがありまして、それの利子の支払いにも困っておるという状況でありましたが、それに対しまして、今度は利子を払うための再建債というものを発行いたしまして、その利子を補給するということにいたしました。   〔委員長退席、理事米田正文君着席〕 金利負担を最大限にするというようなことにいたしております。これは昨年度と非常に違ったところであります。  それから工事費の負担でありますとか、さっき国鉄総裁言いましたように、金利についても全般としましては三%、政府出資と合わせますと実質三%というぐらいに非常な低金利の金利負担というような措置をとっております。  そういった点につきまして、数々、これは衆議院における各委員の御審議の結果を見まして、十分にわれわれも反省をいたしまして、それの取り入れられるものはほとんどすべてその方針を取り入れまして、今度の再建案をつくっておるのでございまして、その点におきましては、これは衆議院審議会議録でもごらんくださいますとよくわかるのですけれども、大体各党の委員の方々が建設的に、こうしないと再建はできないのじゃないかと言われるような点は大体今度の案で取り入れておるのでございまして、でありますから、いろいろこまかい点については御疑念も出るかもしれませんが、大体の大きな方針としましては、いま申し上げたようなことで、衆議院審議段階における各委員の意見も十二分に取り入れ、それにわれわれの、政府としての再建に対する希望、総合交通体系の中における国鉄の果たすべき役割り、そういったものを勘案いたしましてつくったものでございますから、総理もおっしゃいましたように、今度の案では、これはお認め願えれば、十年後には国鉄は財政再建をして、国鉄本来の機能が回復できるという確信を持って提案をしておるということを御了承いただきたいと思います。
  235. 森中守義

    森中守義君 総理、先ほどの国鉄総裁のお話しをもう少し集約すれば、かなり現行の制度上にいろんな制約がある。いつか、当事者能力がないのだ、こういう意見等も出たように、かなり制約がある。こういう制約を制度的に改善していこうというお考えはありませんか。
  236. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは制約は二つございまして、一つは労使の問題、これは予算でお願いしておりますから、この国会でもってきまった予算というものを適当に流用するわけにはまいりません。これは国会で御審議いただいた国鉄予算でございますから、その中でやらなきゃいかぬということはもう当然でございます。  それからもう一つは、兼業を許すかどうかでありますが、これは兼業はあまり国鉄には許したくありません。私は、国鉄が兼業などをやっておって、目が届かないということでもって人命の損傷でも起こったらたいへんなのであって、これは国鉄本来の仕事に専念すべきである。私はそういう考えでございまして、あと残るものは、政府ができるだけ援助するということだと思います。
  237. 森中守義

    森中守義君 その辺についてはまたいずれの機会もありましょうから、もうちょっと詰めたいと思うのですが、これはやっぱりものの考えとしまして、公社とは一体何なのか、制度上のいろんな制約というものはできるだけ薄めていく、こういう方向を私はとらなきゃいかぬ、こう思うんですが、こういう発想についてはどうなんですか。
  238. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはもう私が言うまでもなく、逓信省から郵政は現業になったわけでございますし、電電公社は電気通信省から公社になったわけでございますし、鉄道は鉄道省から日本国有鉄道公社になったわけでございますから、それは弾力運用ができなければならないということは当然でありますが、しかし、公社法に定めるものであって国会の議決を経ておるものでありますから、民間のように弾力条項の名においてあらゆる自由を与えるというわけにはまいりません。おのずから限度があることは当然でございます。それはもう国会審議お願いした予算を的確に使わなけりゃならないと同じことでございまして、これはおのずから限度がある。しかし、いまの国鉄を鉄道省に戻そうというのじゃありませんから、民営にしてもいいという議論はあっても、これは鉄道省にしようというわけにはまいりません。民有にすればどうするかと言えば、これは料金でみんなまかなうことということになるわけでございますから、やっぱりいまの制度が一番いいんだと。いまの制度であるならば、法律があり、準拠法があり、国会の御審議を得るので、おのずから制約はある。ですから、マイナスな制約面があるなら、これはひとつできるだけ国会でもお認めいただいて、弾力的にものをやれるようにすることは望ましいことでございまして、がんじがらめにしようというのじゃありません。ありませんが、私企業と同律に論じられるものではないということだけは、これはもう事実でございます。ただ、金を今度よけい出しましたから公社法を強くしよう、政府色を強くしようというような考えは全くありません。金は出しても口は出さない、こういうことでございます。
  239. 森中守義

    森中守義君 金をよけい出したといっても、そんなものは話にならない。  運輸大臣、いま総理から一応制度上の問題については検討しようという、きわめて抽象的なお話があったのですが、具体的にそういう総理の答弁を受けて、一ぺん検討する考えはありませんか。
  240. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) ただいまの制度がいわゆる公共企業体でございまして、国鉄のやっております仕事が非常に公共性の強いものであると同時に、監督官庁と違いまして企業をやっておりますから、企業性を持っておるのです。でございますから、いまの制度はそういうところから生まれたのだと思いますけれども、いま総理のお話のように、根本的に将来にわたって国鉄がその機能を発揮させるのにはどうしたらいいかというようなことにつきましては、謙虚に反省をして検討をすることにはやぶさかではございません。
  241. 森中守義

    森中守義君 磯崎総裁、四十六年度の貨物収入、旅客収入、ちょっと数字を示してみてください。
  242. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 四十六年度の収入でございますね。貨物収入が二千四百六十七億、旅客収入のうち新幹線収入が千九百八十八億、在来線の旅客収入が六千五百八十億、以上でございます。
  243. 森中守義

    森中守義君 収支決算。
  244. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 決算を申しますと、新幹線は収入の千九百八十八億に対しまして原価九百億、千八十八億の利益を出しております。それから、在来線の旅客輸送、これは六千五百八十億の収入に対しまして原価が七千六百五十八億、千七十八億の赤でございます。貨物が二千四百六十七億の収入に対しまして四千六百二十億で、二千百五十三億の赤でございます。この原価につきましては、この委員会でも何べんも申し上げましたようにいろいろ前提がございますが、一応前提をはずしまして結果の数字だけ申し上げます。
  245. 森中守義

    森中守義君 いま総理お聞きのように、旅客と貨物にたいへんな相違があるんですね。これはどうなんでしょうね、私もあまり国鉄の経理状態、組織的にはよくわかりませんが、貨物と旅客を別個に経理をする。そこでおおむね旅客については概算十億ぐらいの黒字のようです。貨物の負担が非常に重すぎる。しかしこれは公共負担ということが国鉄でもかなりの重荷になっておりますから、経理を分離をして、貨物については先ほど金を出した出したと言われるけれども、十ヵ年間でしめて一兆五千億でしょう。こういうことのほかに貨物の赤字に対して、公共負担をしておるわけですから、何かのかっこうでこれを見ていくという方法はとれませんか。
  246. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 特別の農産物とか生活必需物資とかいうものに対しては、これは特別割引をしておるわけでございますし、それから長距離定期にもしておるわけでございます。しかし、貨物全体に対して、赤字だからこれに対して何らかのということも一つの考え方でございますが、ほかのほうではそうやっておらないんです、外国は。これは先ほど申し上げましたように、西ドイツのように、貨物には高いとん税を取っておって中距離ということは行けばいようにしておるわけでございます。そうすれば当然鉄道に荷物が移ってくるということでございまして、また長距離は鉄道よりも——石炭を北海道から鹿児島まで運ぶということがいかに非能率的はものであるかということはわかるわけでございます。二本のレールの上を走るわけでありますから、それは船のほうが安いことはもう言うまでもありません。ですから、このごろコンテナや何か、みな船で運ぶわけでございますし、そういう意味で誘導政策なり禁止政策をあわせ行なうというほうが、交通の調整、総合交通の上では重要であるし、先進国はみなそういう制度をとっておって、貨物に対して直接補助をしておるという制度はとっておらないわけであります。とるとすると、その貨物だけに一般会計から入れろということになると、今度は問題が起こってくるわけです、旅客優先ではなく貨物優先にしなさいということで。  ——いや、そうなんです。現在非常に旅客優先にしておりまして、トラックは高いけれども、トラックはとにかくその日のうちに店先まで着く。そして非常に運賃は高いけれども、帰りには契約書に判こももらってくるし手形も持ってくるということをやるわけであります。ところが鉄道は旅客優先でございますから、冬などになると六ヵ月間、五ヵ月間というものは貨物は側線に入れたまま大雪のときは全部旅客だけを通すわけでありますから、非常に不定期になるんです。不定期になるから鉄道の貨物利用ということがどんどん減ってくるわけであります。ですから、これはそういう意味で複線化をはかるとか、貨物がトラックと同じような利便を提供するような状態でないと、赤字に対して全部国が負担をするということは、これはまあ区分経理をして一般会計から入れるには計算はしやすいことでございますが、それは一律にそういうことはやれないということでございます。  これからはよくなります。これからは、トラックはストライキやっておりますから、あれでまた運賃が上がるわけでございますし、運賃だけでなく月給が上がりますから、一人で十トンか二十トンのとにかく車を運行できるもう限界に来ているわけでございます。労働者がいないんですから。労働者がありません。ですから、そういう意味でこれはもう陸送トラックはうんと上がってくるという情勢にありますし、とん税も引き上げられるという情勢にあるので、私は鉄道の貨物とのバランスは早晩とれるものだと、これは正確な計算はしておりませんが、大体そういう感じでございます。
  247. 森中守義

    森中守義君 いまのことについて、運輸大臣及び国鉄総裁もこれは無関心でおれない問題だと思う。いま総理は現状固定、貨物の部門は。で、だめだとこう言われるんだが、現状固定ではなくて、それが実はむしろ重要だと思うんです。計画等がいまのような点に目が向けられていくなら、もっと変わったものに発展すると思うんですよ。ですからそういう意味でもう一回ひとつ、総理も何かものを言おうということのようですが、運輸大臣も総裁も見解を述べてもらいたい。
  248. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ちょっと付言いたしますが、貨物に対しては直接補助をする、スライドするというような考えを持っておりませんが、いま申し上げたように貨物が速く適確に送れるようになるということになるためには、線増を行なわなきゃならなくなります。そういう建設費の補助、建設費に見返りにしてそれに合うように出資を行なうということは、今度の再建計画の中で採用しております。
  249. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先ほど申し上げましたように、貨物部門の施設の整備が非常におくれておる。そういうわけで、全体としましては旅客に対するよりも貨物に対する収入というものは減りまして、相対的には貨物のほうが赤字であるということを言われておりますが、これは今度の再建計画では、貨物の運送ということについて非常に大きな役割りを期待いたしておりまして、設備の拡充改善というものを大いにやるつもりでございますから、総理の言われましたように、貨物部門の収入がもっとふえてくるということは、これは期待ができるのでございます。森中先生さっき言われたように、私は総合交通体系の中で、本来ならば運輸省が大部分それを主管しておるのですから、望ましい各交通機関の輸送分野というものは、なるべくきめられたらきめようという努力をしておりますけれども、しかし、これはこの荷物は何キロあるから鉄道で運べとか、トラックで運べというわけにいきません。やはりその間に各機関の特性がありますから、それに応じまして自然に望ましき輸送分野というのかきまってきているわけですが、われわれとしては一つの理想を持ちまして、それに応じていろんな施設なりいろんな政策なりというものを、そういう望ましい姿に近づけるような努力を絶えずしなければならぬというようなことを続けますことによりまして、いまの国鉄の貨物輸送の分野における働きというものをもっと高めることができるのじゃないかということを考えておるのであります。
  250. 森中守義

    森中守義君 会計の分離、経理の分離については。運輸大臣。
  251. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほどの経理の分離の問題でございますが、私ども勉強しておりますには、もし分離するならば新幹線と在来線と分離する。いわゆる輸送のシステムが全然違うわけでございます。たとえば、新幹線と申しますのは東京−大阪の間に駅が十しかないということで、いわゆる十九世紀の鉄道と全く性格が違った鉄道であるという意味で、今後の新幹線の発展等を考えますために、新幹線と在来線とを別会計にする。すなわち、新幹線と在来線はほとんど共用するものはございません。駅の設備を一部共用しているだけで、あとは車から線路から全部別でございますが、在来線は、御承知のとおり同じ線路の上を旅客が走り、貨物が走り、あるいは同じ機関車を両方で使うというふうなことでございまして、非常に経理の分離がむずかしい。その意味で、私どももし経理を分離するならば、新幹線を今後分離して、たとえばこれが六千キロ、七千キロというふうになった際に、一体、新幹線としてどうなるんだということは、在来線と別に考える必要があるというふうに考えます。  それから在来線の中の貨物と旅客の問題でございますが、先ほど総理もおっしゃいましたとおり、確かに貨物につきましては、今度の再建計画の中で相当思い切った投資をいたしまして、そして新しいものの流動、いわゆる最近の物流に合ったような輸送をしない限り、やはりだめになってしまうと思います。その意味で斬新の物資流動に合うような、しかも市町村内の物流と貨物輸送を合わせるというふうな考え方で、オン・レールだけの貨物輸送でない、ドア・ツー・ドアの、あるいは市場から市場への物流と鉄道輸送を合わせるという感覚で今後の投資をしていけば、私はやはり総理のおっしゃったとおり、貨物ももっともっとふえてくる。過去十年間、国鉄の貨物は一トンもふえておりません。約二億トンになったきりでございます。しかし石炭の穴を雑貨で埋めておりますが、総体として日本の経済がこれほど伸びておりますのに、鉄道貨物の数量がふえないということはいろんな原因があると思います。大体原因もわかっておりますので、その点を今後十分検討して、投資してまいりたいというふうに思っております。
  252. 森中守義

    森中守義君 貨物と旅客の経理区分、それに対して在来線と新幹線の区分という、かなり具体的な問題になっておりますが、これはひとつ、さっき総理が言われたようなことでおおむね了承いたしますが、改善策をもう少し幅を広げる、中身を詰めてやっていかないと、私はこれはほんとは再建にならぬ、こう思うのですが、やってみるお考えありませんか。
  253. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国鉄再建策の中で当然、合理化やいま指摘されたような問題も検討を進めていく課題であります。
  254. 森中守義

    森中守義君 それから今回の再建策の中に、十年間に十一万人の人員削減というのが出ておりますね。これは実際問題として実現の可能性があると見ておりますか。どうですか。
  255. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 十一万人の中にはすでに四十四年から減らしました約二万五千を含んでおりますので、実際は約八万五千でございます。今後の近代化合理化、先ほど申しましたとおり金の裏づけのある、投資の裏づけのある近代化合理化によりまして、おおむね今後八万五千の合理化はやっていけると、こまかい点はあえて省略いたしますけれども、そういう自信のもとにやってまいりますし、また現実に非常に高年齢でございますので、実際のやめていく職員の数は大体年間一万人以上になっていくというふうに思います。
  256. 森中守義

    森中守義君 これはなかなか、総裁の言われるように単純な算術計算ではいきませんね。ある意味では、再建策が崩壊するのはむしろこの辺にあるのではないか、こういう気がするんですがね。だから、十一万人がもう実際は八万五千だと、こう言われるけれども、むしろこの点については削除すべきだと私は思うんですが、どうですか。
  257. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは確かに、定年が来た人が全部やめていって新しい人を入れなければ、算術的には十分できるわけですが、人の断層ができるわけでございますから、そうはいかぬわけです。これは一万人やめても、何千人かは必ず入れなければいかぬということであります。  私がさっき申し上げたのは、人員整理等の問題に関して計画どおりいかない場合は、その面に対してだけはこれは計画にそごを来たすかもわかりませんが、その他は十分計画どおりいくと思いますと、こう答えているのはそこをさしているわけでございまして、強制退職を行なうというような考えでこの合理化を考えておるわけじゃないわけでありますから、これはすなおに、合理的な整理が進むというふうにお考えいただければいいと思います。
  258. 森中守義

    森中守義君 そうすると総理、きわめて弾力性を持ち、そのことが予定どおりいかない場合には政府のほうであとのめんどうを見る、こういうことですね。
  259. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 大騒動を起こしてまで人員整備を行なう、一挙に行なうというようなことは考えておりません。これはもう定年が来て、−定年を延長してまでということはございませんが、いずれにしても年間一万人程度の自然退職というものが計算をされるわけでありますから、そういう中で円滑な円満な合理化が行なわれるということを前提にしております。
  260. 森中守義

    森中守義君 それならば、いわば期待目標的なものだから、再建計画の中から除いたらどうですか。
  261. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 八万五千人減るという事実を計算しないと、御納得がいくような再建計画の数字にならぬわけでございまして、これはもうちゃんと現実が一万人ずつ減るのでございますから、それを計算して人件費はこう合理化されます、こういうことを言っているのでございまして、これを除いたらおかしな再建計画になってしまうということでございまして、それは国政審議のためにも除けない、こういうことでございます。
  262. 森中守義

    森中守義君 それは、国政審議はそんなことはちっともかまわない。除いたほうがかえっていい。反対ですよ、それは。  そこで、十ヵ年間の間に政府が与えようとする援助の総額、並びに四回にわたる値上げの額、つまりどのくらいの国民の負担をねらっているのか、ちょっと数字でお示しいただきたい。
  263. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 十ヵ年間の運賃の増収額と申しますか、増加額は、最後の年を一〇%にいたします。そして約八兆でございます。運賃が大体二・二倍くらいになる計算でございます。
  264. 森中守義

    森中守義君 政府の援助額は。
  265. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 政府の援助は、先ほど総理がおっしゃいましたけれども、いろいろな計算のしかたがございますが、一応三兆六千二百億、財投を除きまして三兆六千二百億。そこに鉄建公団に約一兆お出しになります。これはすぐそのまま私のほうに利子償却費になってはね返ってまいります。それを入れますと、約四兆をちょっとこした金額になります。
  266. 森中守義

    森中守義君 四兆六千二百億ということですか。
  267. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いや四兆六千には——そうでございますね、政府出資でございますから、一応四兆六千二百億というふうに計算してもいいと思う次第でございます。
  268. 森中守義

    森中守義君 これは磯崎さんがよく言われる三方一両損になりませんね。どうですか、総理、もう少し思い切って出してみたら。四回の値上げを一回くらいにしなさいよ。どうですか。
  269. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この四回というのは、これは鉄道の職員だってとても七%くらいでは済まぬわけであります。運賃は七%ないし七・五%くらいで計算をしていくと七、八年で倍になるわけでありますから、十年間で二・二倍というのでありますから、これはもうほんとうに郵便貯金の金利にちょっとプラス・アルファを加えたぐらいの計算でございます。ですから、人件費は相当ふえるわけでございますし、やはりこの負担は私はそんなに、先ほど申し上げたように二百六十倍という昭和十一年対比の数字から見ましても、これが十年後に鉄道運賃が二倍になっても、他の物価や他の公共料金の指数から比べてみると、それでも非常に低い。これは半分くらいだと思います。  私はそういう意味で、この運賃値上げというものはこれはやはり絶対的なものだろう。それで、それに付加するに、もっと政府がやらなければならない面があったらどうするかという問題だと思うのです。事故が一つ起これば安全運行の面に対してはもっともっと施設を要求されますから、そういう場合には第二段、第三段ということが、それはやはりその事態においては考えられるわけでございまして、先ほど申し上げたのは、運賃は四回、いま提示をしておるもの以外は出しません、これは私は申し上げられますと。そのかわりに、政府が負担しなきゃならぬものがあったならば、それはひとつ負担という道をあけて置かなきゃいかぬということに対しては、それはもうそうでなければいかぬと、こう思っておりますから、運賃はもう最低限に押えているわけでございますので、いままで上げなきゃならないものを、はがきが六百六倍になっているのを、二百六十倍に押えて鉄道を運行してきたというところに問題があるんです。
  270. 森中守義

    森中守義君 はがきは安かったんです。
  271. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いや、はがきだけじゃないんです。タクシー料金なんかを見るともうたいへんなものでありますから、これは公共料金全部並べて質疑に答えられるように準備をいたしておりますから、それは申し上げますが、だからその意味で、審議過程でいろいろまた御注意があれば、政府側としてはまた将来の問題として一国民の生命財産を守るために努力をいたしますということで、ひとつ……。この上運賃を削るということになっちゃ、これはもう根底から再建計画がくずれるということになりますので、そこはひとつ動かさないでお考えいただきたい。
  272. 森中守義

    森中守義君 いかにも総理のお話しを聞いていますと、運賃は安過ぎた、こういうことのようですが、ちなみに磯崎総裁、東京−新大阪、それから東京−博多、東京−札幌、これが十年後に現在の料金とどういったように差がついてくるか、ちょっとそれ試算をして、できたら示してください。
  273. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いろいろの制度もございますので、一応制度をいまのままとして値上げ率だけで計算をいたしますと、東京−新大阪、現在特急料金を入れまして四千百三十円、それが五十七年度八千七百円、二・一倍でございます。東京−博多が六千二百六十円、これは「ひかり」から特急乗り継ぎの計算をいたしておりますが、これが一万三千八百円で二・二倍でございます。それから東京−熊本、これがやはり「ひかり」、特急の乗り継ぎで現在六千五百円、それが一万四千三百円で、これも二・二倍でございます。最後に東京−札幌、これは一応船の乗り継ぎでもって計算いたしますと、現在が五千三百十円、それが一万一千五百円で、これもやはり二・二倍ということでございます。制度は一応現在の制度そのままということで計算いたしました。
  274. 森中守義

    森中守義君 これは総理の言われるようにはがきと比べて悪いけれども、もともとはがきも安過ぎた。それを基礎にしてこういう数字が出てくるんですね。これは安い安いと言って、このくらいの負担はあたりまえじゃないかという、そういう感覚に立てますか。
  275. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは現在の状態における計算でございますから、これが十年後に負担増を行なわないで済むということであれば、調整の余地はあると思います。しかし鉄道運賃というのは、これはあなたもよく理解いただけると思うのでございますが、熊本から東京まで三等の鈍行で幾らかかったかということを、私もこの間計算してみました。私は昭和九年の三月の二十五日に、柏崎から上野まで信越回りで来たわけでございますが、十一時間かかって、当時の金で三円九十銭でございました。米の値段にすると三斗五升であります。現在の価格は、それからその後国民所得が幾らに上がっておるのかということを考えてみますと、新幹線で通勤をしても、私たちが昭和九年から十一年に、東京の省線でもって三カ月三円七十銭の通勤パスを買って通学をしたときのことを考えてみても、負担は非常に軽くなっておる。これは事実でございます。  だから国民所得がうんと上がっておって、国民所得や生計費支出に対する運賃というものの比率ということを考え計算をしなければならないのでありまして、私は、いまの数字と比較をするということよりも、十年後に一五%ずつの国民所得、月給やそういうものがどうなるのかということになりますと、そうすると、じゃ収入の上がらない者はどうするか、それは社会保障の対象にし、無料パスを提供するというような社会制度でもって吸収すべきであって、私は鉄道運賃というものは、いま札幌から東京まで直通で来る人の九九%は何を使っておるかというと、飛行機を使っておるのであります。だから、いま比較をするとすれば、飛行機と新幹線を比較しなきゃならないということであって、単にいまの数字が二・二倍になるということで論じられない問題だと思います。
  276. 森中守義

    森中守義君 これは果てしなく議論は続きますけれども、いままでの答弁の限りにおいては、まことに好ましくない法案です。よって、国会の運営をきわめてスムーズに進めて百数十件の案件を議了したいと思うならば、すみやかに撤回すべきだと思うが、どうですか。
  277. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ここまで考えてお出しをしたことでございますので、撤回をしたら国鉄そのものが再建できなくなる。再建できなくなるどころじゃなくて、国民の生命と財産を預かっておる、財産のほうはいいんですが、生命のほうはたいへんなことであります。これはもう補償して済むものじゃありません。だから、そういう立場から考えまして、政府といたしましては、生命を守るためにと、こういうことで思い切った税金負担を考えたわけでありますから、御理解のほどを切に願います。
  278. 森中守義

    森中守義君 次に、総理外遊の問題ですが、ソビエトにおいでになることがいよいよ本ぎまりになったようですけれども、そのように受け取ってよろしいのですか。また、そのねらいは何ですか。
  279. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まだ確定はいたしておりません。おりませんが、国会の見通しもございますし、また先方の都合もあると思いますので、近く外務大臣と相談をしたいと、こう思っております。
  280. 森中守義

    森中守義君 当然、懸案の領土問題というのがモスコー訪問については大きな課題だと思うんですが、この点についてはどうお考えになりますか。
  281. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは、日ソが話し合いをするときの問題としては、領土問題を除いてはもうありません。話は、領土問題は当然議題の最重要のものであると、こう考えます。
  282. 森中守義

    森中守義君 おそらく今回のソビエト訪問で、共同宣言から平和条約の締結へということが既定の事実化された認識になっている。そこで領土問題が片づくのか片づかないのかということも、条約締結に非常に重要なかね合いがあると思うのですが、もし領土問題が話がつかない場合、領土抜きででも平和条約をお結びになりますか。
  283. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 日ソ平和条約は領土問題が前提でございまして、領土問題未解決のままで平和条約を締結することはできません。しかし、この日ソの交渉は、これは去年から外務大臣ベースでやっておるのでございまして、私はそういう交渉ということよりも、もし訪ソをする機会がありとせば、これは両国の意思の疎通をはかり、親善友好関係の拡大ということを目的にいたしておりまして、当然話には出ると思いますが、平和条約交渉そのものは外務大臣ベースのものであると、こう理解をしております。
  284. 森中守義

    森中守義君 外務大臣。
  285. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) たびたび本委員会でも御報告申し上げておりますとおり、日ソ両国とも平和条約を締結しようということで合意を見ておるわけでございまして、すでに昨年の秋、第一回の交渉を始めておるわけでございます。ことし引き続き第二回の交渉をやることにこれまた合意をいたしておるわけでございますので、私どもといたしましては、しんぼう強く交渉を続けてまいりたいと考えております。
  286. 森中守義

    森中守義君 こういうお尋ねはあまり適切な質問でないようにも思いますが、もし話し合いの中で、非常に仮定の問題でむずかしい判断を要しますけれどもね、いま中ソの関係がかなりとがり切った状態にある。そこで、もしソビエトが反中国の姿勢を強めて、反中ブロックに入れ、それなら領土を返してやろうと、こういうような話が出た場合にどうされますか。
  287. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そんなことは出ないと思います。それはもう大国ソ連がそんなことを言うはずはありませんし、日本は御承知のとおり、体制が変わっても近隣諸国と友好関係を結んで友好の実をあげたいというのが外交の大本でありますから、これはもう米国とも中国ともソ連ともみな仲よくしていきたい、こういうことでありますので、そんなことはもう言うはずはないし、そういうことを考えておりません。
  288. 森中守義

    森中守義君 この前「読売」の記者が中国の廖承志さん、この要人と会った際に、チュメニの油田開発には非常に関心を持っている、もし田中総理の訪ソによってそのことが話がまとまったという場合には、重大な関心を払うんだという趣旨のことを言っておりますね。これは離婚以上の問題だという、まことに注目すべき発言があった。ついては、シベリア開発、チュメニ油田の問題等についてはどう考えますか。
  289. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 中国のそういうふうなふうなお話は私はつまびらかにしておりません。しかし、シベリア開発が日本のためにもソ連のためにも必要であると、また、未利用資源の活用という面で人類のためにも幸いをもたらすものであるということは、私たちはそう考えております。石油というのは、八五年を展望するときにはアメリカでさえも最大の輸入国になるということでございますし、日本が当初予定しておったような七億キロないし七億五千万キロリットルというものを五億キロリットルないし五億五千万キロリットルに下げても、これはその九九%いま輸入をしておるわけでございますから、輸入先の多様化をはからなければならないということは、これは事実でございます。ですから日本も、チュメニ油田とか、それからヤクートの天然ガスの問題とか、炭田開発の問題とか、いろんな問題がございますが、こういう問題にやはり参加していくということが必要であるという考え方に立っております。これはもう日本だけではなく、これからは、大きなプロジェクトというものは世界各国が協力し合いながらやるということでございますので、いまチュメニ油田に対しては民間の使節団、調査団がレポートを出しておりますので、私が訪ソするまでもなく、話がまとまればこの問題には参加をするという気持ちでいまおるわけでございます。
  290. 森中守義

    森中守義君 外務大臣、中国関係どうですか。
  291. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 何事をやるにも内外の理解を得てやってまいるように努力するのがわれわれの任務だと思うわけでございまして、いま御指摘の問題につきましても、そういう内外の理解が得られるような方向にやるといたしましても、政府は努力してまいるつもりでございます。
  292. 森中守義

    森中守義君 いや、もうちょっと具体的にいま私は廖承志さんの話を出しましたからね、一言で言うならば、中国との調整は必要ではないかと、そういう意味で言っているんですよ。
  293. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) だから、私は、内外の理解を得るように努力しなければならぬと考えておりますとお答え申し上げたわけです。
  294. 森中守義

    森中守義君 そうなりますと、通産大臣、田中親書に対する返信が届いてすぐ財界が出かけて行きましたね。どうも間髪を入れず、という感じですが、いま外務大臣も調整が必要であろうという趣旨のお答えなんですが、少し早過ぎやしませんか。
  295. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あれはことしの正月ごろから大体先遣隊といいますか、そういう意味で派遣が予定されておった人が行ったわけでございます。
  296. 森中守義

    森中守義君 これは非常にこれからの日ソ、日中間に大きな問題になっていく可能性を持っていると私は思う。ですから、少なくともこういう国際間、しかも多国間に微妙なものについては、あまり財界が先ばしりをしないで、きちんと調整をとるところはとる、こういうような姿勢が望ましいと思う。そこで、最近バランス外交、三極外交といわれておりますが、この三極を等距離の状態にきちんと置けるという自信がありますか。
  297. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 三大国ばかりでなく、いずれの国とも親交を重ねて友好関係と信頼関係を固めてまいらなければならぬわけでございますが、日本とそれぞれの国との間には個性的な関係がそれぞれあるわけでございまして、均一な関係が期待されるわけじゃ決してないわけでございまして、それぞれのケースに応じてわれわれは最善を尽くしていくつもりでございます。あなたの言われる等距離外交というのがどういうことを意味するのかちょっと理解しかねますけれども、それぞれの国、三大国とそれぞれ友好親善関係を保っていくということを意味するのであれば、私は賛成でございます。しかし、三大国それぞれとちょうど判で押したように均等の関係を持てといっても、それは実際上不可能ではないかと考えております。
  298. 森中守義

    森中守義君 中国との共同声明、これはすでに両院でも支持決議をしておるんですがね、この共同声明を踏まえて、具体的にどういう日中の関係を発展をさせていきますか。少なくとも数ヵ月たった今日あまり見るべき進展がない、こういうふうに見ておるんですがね、どうなんですか。
  299. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 本委員会におきましても御説明申し上げましたとおり、まず共同声明の第一の任務は、日中間における暗い過去を一切清算するということでございまして、これからの日中関係は、将来に向かって、その声明に盛られた精神を踏まえてつくり上げていくという決意を双方表明いたしたわけでございます。で、その後一向に、そこにうたわれてある実務協定の締結その他進んでいないじゃないかという意味合いの御質問でございますが、私はそう思っておりません。長きにわたって将来実効ある間柄をつくり上げてまいる上におきましては、双方十分の理解がなければならぬわけでございまして、中国は意外に日本を知りません。日本もまた同様でございます。したがって、双方が十分、双方の制度、慣行、考え方、そういったものについて十分の理解を持つ必要がまずあるわけでございまして、去年の十一月、政府局長レベルで編成いたしましたミッションを先方に送って、先方の政府とそういった問題について隔意のない意見の交換を行なったわけでございまして、このことは先方も非常に多といたしておりまするし、日本側も大いに裨益するところがあったと判断いたしておるわけでございまして、そういう理解の上に立ちまして、これからの実務協定を実のあるものにしたいと鋭意努力をいたしておるわけでございまして、決して事態が停止しているわけではないのでございまして、着実に私は進展を見ておると判断いたしております。
  300. 森中守義

    森中守義君 少しこの声明で理解のできない点がありますが、五項はどういりたように理解すべきですか。つまり、請求を放棄すると言っておりますね。請求の行為の放棄なのか、あるいは権利の放棄なのか、どういったように解釈すべきですか。
  301. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 先方がわが国に対しましての賠償請求を放棄することを宣言したわけでございまして、そこに書いてあるとおりでございます。
  302. 森中守義

    森中守義君 だから、書いてあるとおりがわからぬ。権利の放棄か、行為の放棄か。
  303. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 賠償請求権とは書いていないと私は承知しております。
  304. 森中守義

    森中守義君 ですからね、権利というのが抜けているということは、権利は留保されている、行為は放棄された。まあ、その辺のちょっと理解がどうしても私はしにくいんですがね、もう少し丁寧に教えてください。
  305. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) この声明の発出をもちまして日中間の過去の一切の過去は清算されたということは先ほど私から申し上げたわけでございます。そのあたりから御理解をいただきたいと思います。
  306. 森中守義

    森中守義君 いいでしょう。まあ、非常にデリケートな問題ですから、まあ、いいでしょう。しかし、問題残りますね。  それで、もう一つ言われながら理解できないのは、台湾の関係を過渡的なもの、経過的なものとして日台関係の存続を認めるという、まあ、そういう暗黙の了解があったようによくいわれる。そういうことがあったのかないのか。あったとすれば、経過的、過渡的なものとしての限界はどの程度のことを言うのか、その辺をちょっと教えてください。
  307. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 日本と台湾との間には過去において各般にわたる関係が外交関係も含めてあったわけでございます。現に外交関係はございませんけれども、彼我の間には各般にわたる濃密な関係がございまして、将来もまたそうであろうと予想されるのであります。日中共同声明の段階におきまして、経過的、過渡的に台湾の問題を考えたということではございませんで、こういう実体関係は、外交関係が正常化の結果維持できなくなりましたけれども、実務関係はできるだけ維持してまいりたいという希望をわれわれは表明いたしたわけでございまして、それに対しまして先方は理解を示したというのが現実でございます。
  308. 森中守義

    森中守義君 首脳部レベルの希望表明、理解したという、これが実際の実務協定になるとなかなかむずかしいですね。ことに実務協定、いずれもが早急に締結をさるべき筋のものだと思うんですが、中でも航空協定は急がねばならぬ。ところが、この航空協定はいまの理解、希望の表明、その限界というものをはっきりしないところに問題があるように聞いている。まあ、ついては、航空協定の問題がだいぶ議論されてきましたが、これからどういうようにそういう重要な問題を吹き抜けていこうとされるのか、もう少し具体的にいまの問題をお答え願いたい。
  309. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 日本と台湾との間におきましては、政府間で約束ごとはできない立場にあることは御案内のとおりでございます。で、日本政府といたしましてはこの実務関係が維持されることを希望しておる、先方は理解を示しておるということを申し上げたんでございますが、一体どこが限界かという御質問でございますが、新しい日中関係というものを、日中の信頼関係というものをそこなわない範囲というように私は考えておるわけでございます。それは航空協定ばかりでございませんで、実務関係の維持全体につきましてそういう考え方で対処していきたいと考えております。
  310. 森中守義

    森中守義君 ですから大臣、航空協定はそういうものの考え方でやっていけますか。
  311. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) それ以外にやり方がないわけでございます。
  312. 森中守義

    森中守義君 まあ外務大臣は、それ以外にやり方ないと言われる。  運輸大臣、三月の二十日の記者会見で、予備交渉的な代表の意見を基礎にして現状変更しなければとてもだめだろうと、同時に、台湾派の説得に少し意欲を燃やしたいという趣旨の談話を発表されたようですが、この意味はどういうことですか。
  313. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) そういう趣旨のことを言ったことは記憶しておりませんが、私が申し上げましたのも、外務大臣が言われましたように、日中関係の正常な関係をそこなわない範囲において現実的な問題として処理をしていきたいと思います、ということを申し上げた次第でございます。現実的な問題として処理をしていかなければならないということを言ったわけです。
  314. 森中守義

    森中守義君 現実的なものの中身がわからない。
  315. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 詳しく申しますと、いま日台間には大体月に二万人ぐらいの人の往来がございます。これはやっぱり自然の流れでございまして、外務大臣の言われたのもそういうことをさして言っておられると思いますが、そういう現実の状態を踏まえて、それをもとにしまして現実的な解決をしていくように努力をしたいということを言っておるわけです。
  316. 森中守義

    森中守義君 これは総理ですね、いま両大臣のお話を聞いて、やっぱりすっきりしないんですよ。ですからね、はっきりと台湾問題が処理できなければ日中航空問題は決着つかない。これは私の考える第一点。それならば、そのベースにのせておやりになるか。さもなければ、かつて韓国とやっていたような、つまり商務協定的なもので進めていけるのか。ただし、それは相手がそれを承知するかどうか。まあ、いろいろ方法があると思う。で、そういうことを真剣に閣内で議論されているかどうか。どういうお考えですか。
  317. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いまだ閣内で御相談するどころではないんでございまして、外務省と運輸省の事務当局の間で判断の材料になるべき技術的な資料を収集解明中でございまして、まだ私のレベルまで上がってきていない段階でございまして、しばらく——いまの段階でこれ以上国会で申し上げる材料もありませんし、また時期でもないと私は存じます。
  318. 森中守義

    森中守義君 まあ、どうも現状での判断が非常にむずかしいように受け取るんですがね、まあ本来ならば、こういうものはもうきちんと一番最初に話をつくべきものだと思うんですけれどもね。いつの時点をそれならとらえて決着をつけようという考えですか。
  319. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) できるだけ早く日中航空協定というのは仕上げなければならぬと私は考えておるわけでございまして、鋭意勉強中でございます。
  320. 森中守義

    森中守義君 これは外務大臣、非常にその二国間の微妙な問題ですからね、あまりまあ深追いもできないようにも思うんですけれども、しかし、答弁の中で、検討する材料がない、勉強中だと、この答弁はいただけませんね。すでにもう両国から協定の原案を出し合っているじゃないですか、予備交渉のために代表を出しているじゃないですか。これが何よりの材料でしょう。それでなおかつ、材料がないとか勉強中という話は承知できませんね。もう少し内容言いなさいよ。だめですよ、そういうことでは。
  321. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 仰せのように双方の航空協定の文案は交換をいたしまして検討をし、双方が突き合わせたわけでございまして、その文案の詰め自体には、この委員会を通じまして御報告申し上げたとおり、私はやっかいな問題はないと判断いたしております。それは仰せのとおりでございます。その附属書は航空路にからまる問題でござまして、日本の空もなかなか混雑をいたしておるわけでございまして、どのような姿で落ちつけてまいりますか、問題は十分具体的な技術的な検討を遂げなければならぬ筋合いのものであろうと思うのでございまして、そういう面につきまして事務当局に命じてあるわけでござまして、いま相当勉強を続けておる最中でございます。
  322. 森中守義

    森中守義君 まあ、いまのお答えからいくと、非常に気になる台湾問題という、これが障害じゃない、障壁じゃないんだと、技術的なものだという説明ですが、そのとおりに受け取っていいですか。
  323. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 平たく申しますと、中国と日本との航空協定でございますから、中国機が日本の空港に離着陸をするわけでございます。台湾との間の航空路も、御案内のように、いま現に日本の空港を利用して離着陸が行なわれておるわけでございまして、日本のそれぞれの空港の事情、航空会社の事情、その他いろいろ検討を十分遂げた上で、先ほど私が申しましたように、これは十分そごなく動き得るところの協定をつくらにゃいかぬわけでございますから、技術的な検討を十二分に遂げた上で判定をしていかなけりゃならぬ問題だと心得ておるわけでございまして、そのあたりの事情は十分御了解ををいただきたいと思います。
  324. 森中守義

    森中守義君 いや、だから台湾問題は大きな障害ではないのかと、これはどうだと、それが一番問題です。
  325. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) その問題につきましては、私が先ほども申し上げておりますとおり、実務関係は、外交関係が維持できなくなりましたけれども、ありますと、現にあるし、将来もあるでしょうと、したがって、これをできるだけ維持してまいりたいというのがわれわれの希望でございます。それに対して先方は一応理解を示されておるというのが偽らないいまの実情でございます。航空協定そのものには台湾のことは一言も書かれないわけでございまして、事実上の民間の関係が行なわれるわけでございます。そういう事情のところへ今度は中国のほうからの飛行機も入ってくるわけでございますので、われわれは実務関係をできるだけ維持したいという希望を持っておる。しかし、新しい日中関係の開設に沿って航空路も当然これは開設してまいらなければなりませんで、それらの関係が円満にまいりますように、実効があがるように考えてまいるのが当然なわれわれの任務でございまするし、私はそれは不可能なことではないと考えております。
  326. 森中守義

    森中守義君 ちょっとお話の中から感じますわけですがね、大体協定の方式は政府間協定ですか、民間協定ですか、どちらをお考えになっている。
  327. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 政府間協定でございます。
  328. 森中守義

    森中守義君 もう一回だめ押ししますが、いままでのお話からいけば、希望を表明した、理解をした、したがって航空問題等については台湾のことについては何にも言っていない、よって障害はない、ただ技術的なことだと、こういうように理解していいのですね。はっきりしてくださいよ。
  329. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 日本と台湾との間には政府政府との間の関係はないわけでございます。それはおわかりいただけると思うのでございまして、現に台湾の航空機が日本に入ったり、日本の航空機が台湾に飛んだりいたしておりますけれども、これは政府間の約束事でやっておる仕事ではなくて、民間レベルの話し合いでやっておることでございます。したがいまして、今度つくろうとしている日中間の航空協定には台湾関係は一言も入らぬわけでございます。政府政府との間のことでございますので、それは入らぬわけでございまして、現在やっておる事実上の関係を今後も続けてまいりたいという希望をわれわれは持っておるわけでございます。ただし、これは日中間の国交、信頼関係というようなものをそこなわないようにやってまいらなけりゃならぬ私は責任があるわけでございますので、そういうことをそこねない範囲内におきまして、この希望を引き続き実現したいものだと考えておるわけでございまして、これまでは少なくとも中国側は理解を示していただいておったと私は理解いたしておるんでございまして、今後も中国側が理解していただくことを私は希望いたしておるわけでございます。
  330. 森中守義

    森中守義君 この国際航空というのは、まさに国家の象徴ですからね。その締結される協定文あるいは交換公文等があるにしても、なるほど、その文言には、そういうのは出てこないでしょうけれども、なかなかこれは、いま申し上げるような趣旨からいくならば、台湾問題を避けて通るわけにはいかぬ、私はそう思う。ぎりぎりの場合、総理、どうですか、台湾問題は除外して日中の航空協定を結ぶという原則に立たないと解決しないと思うんですが、お考えはどうですか、総理
  331. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 精一ぱい勉強しておる最中でございまして、できるだけ御心配いただかないようにやってみたいつもりでございます。
  332. 森中守義

    森中守義君 総理の決断ですよ、これは。どうですか、片づかない、それでは。
  333. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 航空協定は日中間で片づくという考えであります。それは日中の国交正常化ができたのでございますし、それはいろいろなことをしなけりゃできないということを言っておりましたが、できました。航空協定を早くやりましょう、引き続いて実務協定をやりましょうと。そして、可能な限りお互いが早く日中間で平和条約も結びましょうと。こういう基本的な姿勢を確認しておるのでございますから、私は、日中の航空協定は必ずできるという考え方を前提にしております。
  334. 森中守義

    森中守義君 台湾問題をふん切りつけなきゃだめだというその決断、どうですか、答えがない。ただ、もうやれるやれると言うんではやれないんだから。言いなさいよ、そこで。それ言わなきゃ話になりませんよ。これ、勉強マニアじゃなくて、総理の決意はどうですか、決断は。
  335. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 台湾との関係につきましては、先ほどるる御説明申し上げたような、われわれは希望を持っておるわけでございまして、このことを何とか総理の御心配をいただかなくても実現したいものと、いませっかく勉強中でございますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  336. 森中守義

    森中守義君 先ほど総理から平和友好条約の話が出ましたがね、これはいつごろの予定ですか。この前、衆議院で、外務大臣は五年以内なんてずいぶんのんびりした話をされたようですけれども、どういうことですか。
  337. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) これまた、本委員会で何回も御同様申し上げたのでございまして、共同声明におきまして日中両国は平和友好条約の締結の交渉をしようということに合意いたしております。しからば、いつごろからそれを始めるかということについてはいまだ相談はいたしていないのであります。また、どういう内容を盛り込むべきかということについてもまだ相談をいたしていないのであります。双方の大使の交換も終えたわけでございますから、これから双方の都合のいい時期に始めて一向差しつかえない問題と私は考えております。衆議院におきまして、五年以内にはやるのかというような御質問がございましたから、おそらくそういうことになるでございましょうと答えたまででございまして、時期につきまして、双方でいつごろから始めるということを、まあ合意してないんだけれども、これから外交ルートで相談して、双方が都合がいい時期に始めたらいい問題だと私は心得ております。
  338. 森中守義

    森中守義君 総理、共同声明はですね、むろん国会の批准を求めた、与えたというものじゃない。しかし、両院の決議というのは、あくまでも平和友好条約の締結を急げと、これを前提にしている。したがって、共同声明が両国首脳によって合意に達したわけですから、それに何の疑念を持ちませんけれども、やはり両院の支持決議というものが平和友好条約の締結を前提とし、また、声明の基本原則というものはその一つの指標にしているわけですからね。そういうことからいけば、日ソの平和条約の締結もむろん促進すべき、実現すべきですが、日中の条約についてもできるだけすみやかに具体的な交渉に入るべきだ、こう思うのですが、どうですか。
  339. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 両院の決議の趣旨はよく心得た上で、これからの外交ルートを通じまして先方との相談をしていきたいと思います。
  340. 森中守義

    森中守義君 いつごろになりますか。
  341. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いつごろというめどをいま持っていないわけでございますけれども、御案内のように、日中双方の暗黙の理解は、現に航空にいたしましても、漁業にいたしましても、貿易にいたしましても、政府間の実務協定を急ぎたいという願望は両方とも合致しているわけでございまして、それを急ごうという趣旨は両方ともあるわけでございまして、平和友好条約につきまして直ちにやろうというような打ち合わせはまだいたしておりませんけれども、せっかくの御指摘でございまするし、両院の御決議の趣旨がそうでございます以上、私どもとして、いつまでもだらだらしておるつもりはないのでございまして、先ほど申しましたように、大使の交換も終わったわけでございますので、双方の政府の間で、できるだけ早く都合のいい時期を選びたいと考えております。
  342. 森中守義

    森中守義君 もうこれは、その障害になる何ものもありませんしね、すでに日本政府でも外交日程のワクの中に入れていいんじゃないですか。たとえば、四十八年度中とかあるいは四十九年度中とか、もう、そういうある程度の作業日程が組めると思うんですが、どうなんですか。それもいけませんか。
  343. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 外交の仕事は相手国との関係でございますので、こちら側だけでひとり相撲をとるわけにもまいりません。だた、あなたが言われたように両院の決議もございますし、私どもといたしましてはそういうことを体して、今後の外交ルートを通じての相談に日本側といたしましては乗せてまいるつもりです。
  344. 森中守義

    森中守義君 具体的な機会があると思うのですね。廖承志代表が近く見える、あるいは総理が周総理に招待状を出された。そういう具体的な機会をつかむという方法は考えられませんか。
  345. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 事はいやしくも条約のことでございまして、双方いろいろな用意があるわけでございまして、どういう内容を盛り込んでいくかということにつきまして事務的な検討は前前からいたしておりまするけれども、だんだんとこれをかためていかなければいかぬと思いまして、卒然とやって締結に踏み切る、そういうわけのものではないと思うのでございまして、そのあたりのことはまあ外交当局におまかせをいただきたいと思います。
  346. 森中守義

    森中守義君 どうもくどいようですがね、作文をそういう機会にやれと言うんじゃないんですよ。要するに、両首脳が会われるわけだから、そういう機会に、これでひとつ条約をやろうじゃないかという、そういう政治的な最高のレベルで話はできないのか。そのチャンスは廖承志代表が見えるとき、あるいは周総理総理の招待を受けて見えるとき、そういう機会はありはしないかと、こう言っているんですが、そういう意味ですよ。
  347. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 共同声明にすでに平和友好条約の締結の交渉を始めようということを最高首脳で約束をいたしておるわけでございまして、内外に宣明いたしておるわけでございますから、あとそれをどのように外交ルートに乗せてまいるかということにつきましては、外交当局にひとつおまかせをいただきたいと思います。ただ、あなたが御指摘のように、両院の御決議の趣旨は十分体しておるつもりでございます。
  348. 森中守義

    森中守義君 総理、どうですか、そういう機会とらえるということは。
  349. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いま外務大臣から述べたとおり、両国の基本的態度はもうきまっておるわけであります。政府も、両院決議に沿って、また決議がなくとも、こういうことは、いいことは早くやるべきでございますから、これはそういう姿勢であることは事実でございます。ただ、相手の事情もございますし、これはこちらからだけ言ってもできるわけではないわけでございます。ようやく大使の交換ができたわけでございますので、これは外交ルートの上で、どういう陣容でいつから始めましょうという問題、これから日中間の一番の外交課題になるわけでありますから、それはもう当然話が出ておるわけでございますし、また、いろんな首脳部の往来の過程においてもそういう話が出るということは、これはもう当然の議題で——議題というか、話題であるということでございますが、こちらだけでもってどうこうということじゃなく、やっぱり機の熟するのを待たなきゃいけません。こっちも勉強しておる、できるだけ早い機会にやりたいと、こういうことであります。
  350. 森中守義

    森中守義君 いまの二つの機会では、話を出しませんか。
  351. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 自然にそういう問題も議題になるかもしれませんが、これは、いますぐ出すか出さないかということ、まだ外務大臣とも話しておりませんし、いずれまた、廖承志さんがおいでになる場合に、何と何をしゃべるかというような問題は相談をしますから、よくひとつ外務省の意向も聞いてみたいと思います。
  352. 森中守義

    森中守義君 最近、朝鮮民主主義人民共和国との外交の樹立がだいぶテンポが早まってきたようです。おそらくは秋の国連総会でこのことが大きな問題になるだろうという観測が強いんですけれども、日本政府としてはどうなさるつもりですか。
  353. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 秋の国連総会に備えまして、朝鮮問題をめぐって各国の情報を収集する一方、私どもとしてもどういう態度でこれに対処すべきか検討中でございまして、いまの段階で、この秋の国連総会における対策を国会で申し上げるまでにまだ意見がまとまっていないわけでございます。
  354. 森中守義

    森中守義君 これは言うまでもなく、中国の国連復帰をめぐる——長い間ずいぶん日本はいろんなことをしてきた、国内でも、あるいは国際的にもいろんな批判を受けておりますが、まさかこういうことをもう一回朝鮮との間におやりになる考えはないでしょうね。
  355. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 朝鮮半島の問題は、日本にとりまして非常に大事な問題でございまして、これにどう対処するかは私どもの外交にとりまして非常に大切な課題であると心得ております。したがって、十分の検討を遂げて慎重に対処したいと考えておるわけでございまして、軽率に処置して内外の信用を失うというようなことにはならないように気をつけなければいかぬと思っております。
  356. 森中守義

    森中守義君 その前に、少しいろんなルートを通じた接触はしませんか。
  357. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 北朝鮮との接触の問題は、これはまた本委員会におきましても申し上げているとおりでございまして、せっかく南北の話し合いが行なわれておるわけでございますので、それをじゃましないようにしなければならない、また、日本のやることによって新しい問題を生むようなことがあってもいけないわけでございますので、南北対話の進展ぶりを見ながら用心深く対処いたしたいということは、すでに申し上げてあるとおりでございます。で、現在のところ、スポーツとか学術とか、あるいは文化とか、あるいは経済というような領域におきまして接触が漸次拡大を見ておるわけでございますが、政治的な接触を持つというところまでまだふん切りがついていないことも、かねがね申し上げておるとおりでございまして、そういったことをいまやるということにつきましては、まだそういう意思を持っていないわけでございます。
  358. 森中守義

    森中守義君 総理、よく経済大国ということを言われますがね、一体、経済大国という意味合い、内容はどういうものですか。国民は自分の生活の体験を通しまして、富が偏在している、何が経済大国だ、こういうことがしきりに国民の中で言われている。少し具体的に御説明願いたい。
  359. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 経済大国と言われるのは、このごろ外人が来ますと、日本は経済大国になりましたからと、経済大国日本はと、こういうことをまくらに使いますから、経済大国であるという感じは持っておるわけでございます。経済大国というのは比較論でございまして、結局、国民総生産が自由世界において第二位であるということになれば、もうこれは百四十も国があるわけでございますから、比較して経済大国であると言わざるを得ないわけでございます。軍備を持っておらぬという憲法を持つわけで、国際紛争を軍の力で解決しないということでございますから、これはそう意味で軍事大国でないということであるから、これは経済大岡であると言うのはぴったりしているとは思います。それで、貿易上の問題でも、各国から指摘を受けるように、輸入を拡大しなければならないと、貿易収支の改善をはからなければならないという国際収支対策を強く要請されておるのでございますから、そういう意味で、経済大国という一つの評価というものは、これは当たっておると思います。あなたがいま御指摘になったように、経済大国であるか——国民の社会資本の蓄積比率とか社会情勢とかというものは、これは経済大国であるか。先進工業国に比しては蓄積率が低いので、特にアメリカと比べては低いのでということは、これは現象でございまして、これは政策によって解決をする問題であり、経済大国という評価はあながち当たらないものではないと、こう理解しております。
  360. 森中守義

    森中守義君 大蔵大臣、ODAを、昨年GNPの〇・七%を七五年までに達成しようという目標を設定しましたね。これに対して日本政府はどういう態度をとっていますか。
  361. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ODAについては、日本政府としては〇・七%の目標をできるだけ達成するように努力を傾倒いたしましょうというのが昨年のUNCTAD会議でも表明いたしました日本政府の態度でございますが、日本政府としては、同時に、いつまで、たとえば七五年までというような年度の約束はしておりませんことは御承知のとおりでございます。
  362. 森中守義

    森中守義君 DAC十六ヵ国のODAは大体平均何%になりますか。同時に日本は何%ですか。
  363. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 日本は一昨年の実績は〇・二三%、それから昨年の実績が、残念でありますけれども〇・二三%をちょっと下回るのではないか。これは実績の集計がまだできておりません。予算のときには〇・二六以上の予算ということで見込んでおったわけですけれども、実績はやや〇・二三%を下回ることになりはしないか。それから四十八年度の予算の見込みとしては〇・二七ぐらいを見込んでおりますが、これは見込みでございますから、ODAの実績がどういうことになりますか、政府としてはできるだけ努力をいたしたいと考えております。この程度では、西欧諸国から比べますとかなり下回っているということは否定できない事実でございます。
  364. 森中守義

    森中守義君 DAC十六ヵ国平均、出ているでしょう、金額が。
  365. 林大造

    政府委員(林大造君) お答え申し上げます。  一九七一年のDAC加盟諸国の政府開発援助、いわゆるODAのGNPに対する比率の平均は〇・三五%でございます。
  366. 森中守義

    森中守義君 昨年の十月二十日にこの問題の閣僚協議会が開かれて、一定の方針がきまっておりますね。この方針を踏まえて、約束はしていないけれども〇・七%に近づけるという、そういう意思の統一は行なわれているようですね。具体的にどう進めてまいりますか。
  367. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これはいわゆる意図の表明というようなものであって、その意図の表明を日本としてやりますことについては、政府の方針として確認をしているわけであります。ただ、御案内のように、GNPの伸び方が非常に急速でございますし、たとえば四十八年度でいえば百八兆円以上を予想されているわけです。百兆円としても〇・七%なら七千億円ということになりまして、非常にこれは巨額なものでありますので、日本の立場としてはこういうODA、すなわち政府の援助というものを多額にすることは、南北問題というような大きな政治経済の目標から申しましてもぜひ到達したい目標でもありますし、また経済的にいいましても、日本は資源の乏しい国でありますから、日本の国益からいいましても、ODAを拡充するということは長期的に見て非常に日本の国益に通ずると、われわれはこういうふうに考えておりますから、そこで予算の編成にあたりましても、政府の援助というものについてはできるだけこれを積極的に考えてまいりたいと思いまして、いま申しましたような四十八年度におきましても、前の年よりは相当大きな程度ということで、漸次この度合いをできるだけすみやかに上げていきたいと、まあこう考えておりますけれども、いま申しましたように、なかなか大きな額になりますから、具体的なプロジェクトあるいは政府援助の方法その他においても、実行上のなかなかのむずかしさもあるということが実情でございます。
  368. 森中守義

    森中守義君 全体として、かなり海外協力あるいは援助ということで高率を示しております、GNPの比率において。しかし純粋なODAというものは、いま言われたように〇・二三%、おそらく四十八年でその程度にとどまるでしょうね。そうなると、七五年に〇・七%まで行こうといういわゆる要請目標というものにはるかに届きませんね。その場合に、各国から日本はどういう立場に立たされますか。もう少し推進閣僚会議の決定というものは具体的でなくちゃいかぬ、そう思うのですが、これからの構想はどうお考えです。
  369. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは七五年とかあるいは七〇年代とか、目標の年次を設定して意図表明をしているわけではございません。それから、先ほどもお尋ねがあって、十六ヵ国の平均が〇・三五%というようなことでございますから、各国ともに先進国はこの努力を続けるでございましょうけれども、それらと見合って、少なくともDAC諸国というようなところは追い越す程度に、一年でもすみやかにいきたいものであるというふうに考えて、これからもいろいろ努力を新たにしなければなるまいと思います。同時に、経済協力全体から申しますと、別の目標でありますGNPに対しての一%、これはもうほぼ到達しているわけでございます。それから実額から言いましても、現在ではアメリカの次であると思います。ですから今後の日本の立場としては、経済協力のほうもこれをさらにふやしていく努力をすると同時に、政府の直接援助というものを、先ほどから申しておりますように、できるだけ増額していくために新たなる努力が必要と考えております。ただ七五年に〇・何%になるか、見通しはいまから申し上げるべくもありませんけれども、その額がある程度低いからといい、あるいは〇・七%の意図表明をしているからといって、それに急速に、たとえば七五年度に、近づいていなかったからといって、それで日本が大いに非難攻撃を受けるということは私はないと思いますけれども、他国からの非難攻撃というようなこととは別に、日本としては自主的にこの率を上げていくということが、私はもう絶対に一つの国家目標でなければならない、こういうふうに考える次第であります。
  370. 森中守義

    森中守義君 時間が非常に少なくなりましたので、途中多少はしょりますが、昨年の暮れでしたか、外務省の中で、つまり協力あるいは援助に対して三理念五原則というようなものが出たようで、出たというのがいわゆる話としてある。しかし、これは非常に正確な原則じゃありませんね。ところが中国では援助七原則というのがある。それから、将来はおそらく日中共同で、東南アジア等には共同の援助行為というものが考えられる。もちろん国内における資金需要あるいは政策上の問題、国民感情、こういうかなり競合したものがあります。そういう際に、ODAの国際的な責務を果たさなくちゃいかぬ。国内との調整もとらにゃいかぬ。ところが、いま行なわれている援助あるいは協力というものには全く国民に合意を求めていない、何としてもこれは原則をつくらにゃいかぬと、こう思うのですが、どうお考えになりますか。
  371. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 原則と申しましても、もちろん、その原則的なことは必要だろうと思いますけれども、これは政府におきましても、累次、海外援助に対する考え方というものはまとめられておると思います。で、たとえば援助いたしましても、政府の面接援助の比率を高めること、あるいはひもつきをやらないこと、あるいはできるだけ、二国間援助ももちろん適当であるけれども、マルチの、たとえば国際機関に対する出資、あるいは多国間の集団的の援助といいますか、そういうところにも重点を置くべきであるといったような、基本的な考え方のもとに随時適切な方針というものはきめて、そしてそれを国際会議その他、随時打ち出しておるというのが実情であると思います。
  372. 森中守義

    森中守義君 この原則は、もう少し深い議論が必要ですけれども、ODAの場合に、援助条件というのがきちんと整理されておりますね。こういうものは、せめて最低守っていく、こういう姿勢が必要だと思う。と、いま大蔵大臣が言われるひもつき援助というものは、実は私もだいぶ詳しい資料を持っている。たとえば期限が十八年であってみたり二十年であってみたり、ODAが要請している援助条件とは、むろん利息の点を見てもかなり違っていますね。そういうところに海外の非難が集まっている。特に韓国の金大中という指導者がおりますね。この人あたりの、こういう問題に対する論評というのは非常にきびしいですよ。そこで、最低要請されている援助条件というものは守っていくという、この程度の考えは持てませんか。
  373. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたような、随時適切な政府の方針をきめているというのは、そういう点も含んでいるわけでございまして、従来は、たとえば日本の場合は、直接援助の項の中に入れて、多国間の統計その他であらわれているものの中には、たとえば賠償というような特殊なものがございます。これは漸次減ってきたわけです、日本の場合は。しかしそれと同時に、先ほど申し上げましたが、いろいろの、政府直接援助でなくて、経済協力その他もたくさんございますが、それらを通じて、金利の条件、それから期間の条件、その他いろいろございます。それから先ほど申しましたひもつき排除の問題もございます。それらの点について総じて申しますと、最近における日本の態度というものは、そういう点で若干まだ条件等について、他国と比べまして、多少きびしいものもございますけれども、漸次、大体世界的な水準に私は、近づきつつあると思います。それから中には、これはまあどういうふうに考えていいかわかりませんけれども、国によりましては、無利子あるいは無期限というような、そういうふうなやり方のものもございますから、そういうものに比べると日本の場合は、一見すると、この援助に対して消極的なようなふうにも見えますが、そういったようなことは、別の面から見れば、これは非常に政治的な意図を持つものであるというふうに解せられる部面もあるかと思いますけれども、そういう点は総合いたしまして、日本としては、やはり南北問題あるいは開発途上国に対する、これほどの経済力を備えてきた日本としては、相当の国際的責任を感じながら、またひいて日本の国益にも通ずる問題でございますから、できるだけ積極的にやるということを、自主的に大いにやってまいるべきものではなかろうかと思います。いわゆるアンタイイングの問題などは、私の承知しておるところでは、西欧諸国よりも日本の態度のほうがこのごろでは一段と進んでいるように見受けるわけでございまして、なお、これらの点については、一そうの努力をしていくべきである、まあこういうふうに考えております。
  374. 森中守義

    森中守義君 総理、いまお聞きのとおりに、ひもつきというの、か非常に多い。特にベトナムには、七年据え賢き、十八年、年三%。これは援助条件に対して著しい高利を取っていますよ。非常に利息が高い。大体ODAのもとで金もうけをするとか、市場の開拓をやるとか、貿易の拡大をはかるというのは、いわゆるひもつきなどはこれは援助にはならない。しかも先ほど申し上げたように、国民が、国内でこんなに困っているのに、何で外国にそんなことをしなければならぬのだという、こういう実は素朴な意見は決して少なくないと思う。ですから、まず援助条件はきちんと守っていく。国民の感情に不出に非難が起こらないように、ちゃんと合意を求めるために、援助の原則というものは、ぴしっとつくる必要があると思うんですよ。それが一つもない。まあその辺に大きな問題がありますので、国際協力基金並びに輸出入銀行、こういうもののあり方なども含め、一ぺんひとつ洗い画してみる必要がありはしませんか。原則をつくるべきだと思うが、どうですか。
  375. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 各国の事情等も十分調べながら勉強してまいるわけでございますが、なかなか基準はつくれないのです。この基準というのをつくって、画一、一律にはいかないのです。いままでそれは……。
  376. 森中守義

    森中守義君 よそにできて、できないことはないじゃないか。
  377. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いや、こういうことなんです。これは援助には二つありまして、一つはひもつけという開発援助ということです。あとはひもつけでないということであります。ひもつけと俗にいわれるものは、もうアメリカの次は日本でございまして、GNPの一%以上いっている、これは文句ないのです。ただ二、三年来DACの平均数字〇・二三%が長く続いておったわけですが、そのときは、日本は、政府ベースの援助は〇・三二%の平均に対して〇・二三%であったわけでありまして、〇・一%くらい少なかったわけであります。これはどういうことかと思って調べてみたところ、これは一つには、総額は多くないにもかかわらず、政府ベースのものだけ、なぜ多いのかということで調べてみると、かつての植民地関係にあったというようなところで、そういうところに対しては、民生安定とかそういうものに対しては、政府ベースの援助が非常に大きいのです。そういうものが一つあったのです。もう一つは、アメリカなどの援助は軍事援助がありましたので、軍事援助に引き続いて後方の民生安定ということでもって援助がなされたというようなものもあったわけです。ですから、日本もこれから政府ベースの援助をふやしていくためには、ベトナムの経済復興等から本格的になってくると思います。これは全く国連を通ずるにしても、また適当な復興会議を通ずるにしても、これはひもつけでないもののほうが非常に大きくなりますから、日本のウエートは急速にあがってくると思います。現実的な問題としては、世銀に出資をしたり、第二世銀に出資をしたり、アジア開発銀行に出資をしたりということでありましたが、世銀は年間の四分の一は日本が提供しておるわけであります。世銀から第二世銀、第二世銀は五十年無利息ということでありますから、これは急にかなっておるわけであります。まあいままでの中で一番これから見込みのあるというようなものは、これはアジア開発銀行に対する出資が非常に大きいということで、ベトナム復興などを中心にして急激に伸びていくというふうに理解をいただいていいと思うんです。いままでは、国際機関の中では持ち株比率というのは非常にうるさくて、急速に経済が伸びてきた日本が、出資の比率を大きくしようとしても、なかなか受け入れられないということもあったわけでございますが、今度は日本に対する要請、特にひもつけでない政府ベースの援助に対しては、日本に対する要請が強くなってまいりましたので、これはやはり十分実行し、急速にふえていけると思います。だから、海外経済協力基金の中で、ほんとうにゼロから、いわゆる利息のない、ゼロから何%までというようなワクをつくって、そうして相手国の出方や、そういった事情をしんしゃくしながら安い金とあわせて使える。ちょうど世銀の金と第二世銀の金とを一緒に合わせると五・七五%とゼロですから、半分になって三%台になるというような長い歴史がございますが、そういうことを日本の機構の中でも十分やっぱり調整できるようにしなければならないだろう。これは画一、一律的な基準というのはなかなかむずかしいのであって、場合によっては、ゼロでもいいんだと、利息なしでもいいんだというような制度の問題は、当然勉強していかなければならぬ問題だと思います。いろんな問題、各国の例もありますから、勉強いたします。
  378. 森中守義

    森中守義君 検討されるということで、次に移りますが、今度の通貨問題等から、日本の経済事情、産業政策等が、ことほどさように注目されている。ついては、そういうことから、国内に週休二日制を採用したらどうだ。こういうことが急激に高まっておりますが、この際、たとえば金融機関あるいは公務員、こういうものにまず手始めにやってみたらどうだ、こういう意見が決して少なくない。よって銀行法の改正、あるいは公務員法、あるいは労働基準法、こういうものの改正はお考えになりませんか。
  379. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 週休二日制は推進をいたしておるわけでございます。一番初め週休二日ということになっているのは、基幹産業などでは隔週休んでおるようでございます。それから、外為市場は土曜日というのを今度開かないようになりました。また、証券取引所も土曜日を開かないようにしようと、また、大銀行や都市銀行も開かないようにしようということに、だんだんなっておるようでありますが、法律を改正するということに対しては、まだ少し勉強しなければならぬところがあります。これは、公務員から一番先にやればいいんだといわれておる面も、私も承知しておりますが、公務員をやる場合、学校の先生をどうするのかという問題もありますし、それには法律をもっと整理しなければいかぬという問題もあります。これは週休二日制をやって、人間をうんとふやさなければいかぬということになったら、いま若年労働力がない現状から、なかなかむずかしいということで、やっぱりもう少し検討してまいらなきゃいかぬ。だから、国会もひとつ週休二日にやったらどうだ、勉強するんだというような御議論もありますから、やっぱりそういう官庁をまずやる場合に、どの程度代替の人員が要るのか、どの程度事業竜をしばれるのか、これは縦割り行政というものをやっぱり多少整理をしていかなければならぬという問題もありますので、やっぱり勉強課題として瞬間はもう少しかかる、こう思っております。しかし、いつまでもかかる問題ではなく、どんどんと基幹産業などではやっておりますから、中小企業や零細企業にやっぱり及ばなければいかぬ。格差がうんとつきますから、零細企業や中小企業には若年労働者が全然就職しないということになったら、えらいことになりますから、そういう問題等も十分ならしていくようなことも勉強していきたいと、こう思います。
  380. 森中守義

    森中守義君 労働大臣は。
  381. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) 週休二日制については、総理からお答えがありましたから、軍覆いたしますけれども、総理の御答弁のとおりでございます。  基準法の改正の問題は、時間の短縮の問題、また、いろいろな衛生法の問題、あらゆる問題が最近どうだと、二十五年前にきめた基準法でありますから、改正したらどうかというような意見をだいぶん聞いております。これはいろいろ隠れみのとか、延ばすという方向でなく、学識経験者を集めまして、研究会をつくりまして、目下検討中でありますので、各方面の意見を踏まえてこれに対しまして慎重に対処する方針であります。
  382. 森中守義

    森中守義君 最後にひとつ問題提起をしなければなりませんが、憲法九十一条並びに財政法四十六条を受けて、予算の途中の報告を規定している。ところが、いままで出されてきた報告では、使用状況、それから国庫の状況、これ二つなんです。しかも著しくこれは時期がおくれる。予算の審議の際には、かなり膨大な資料等々が出されているんですけれども、あとはもうどうということはありません。これでは何のために予算を審議し、中間でどういったものに予算の執行が行なわれているのか、かいもく見当がつかない。私ども、予算の審議を、だてや、おろそかにやっているわけではない。予算の執行状況等については、厳重に監査をしなければならぬし、誤りなきを期さなければならない。これでいいのかどうなのか。これはひとつこういうものでなくて、新たな角度から、四半期ごとに、憲法と財政法四十六条が規定するとおりに守ってもらいたい。これはひとつ総理と、大蔵大臣、それと行管の長官も行政監察という立場から、これでいいのか、御所見をお願いしておきたい。
  383. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 従来からいろいろくふうをいたしまして、財政の収支の状況、その他について的確な資料を、特に国会に対しまして提出をしたり、ごらんをいただいたりすることについては、従来もいろいろ考えてまいりましたが、ただいま御指摘もございましたので、なお一そう注意をいたしまして、的確な資料等が十分に用意され、ごらんいただけるようにすることに一段と努力をいたしたいと思っております。
  384. 森中守義

    森中守義君 改善策を考えなさい。だめですよ、こんなものでは。
  385. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 行政管理庁におきましては、行政各省、各庁につきまして、その行政運営の状況について監察し、調査をいたしております。非常にむずかしいのは、いま問題になっております対外経済協力、これは事、海外に関するものですから、ただいまの行政管理庁の機構ですと、なかなか手が回りかねますが、しかし、それでも努力してみたい。こういうので、ただいま対外経済協力の技術協力部面を中心といたしまして調査をいたしております。調査の結果、改革を要するというような点が発見されますならば、行政勧告という処置をとりたい、かように考えております。
  386. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 憲法及び財政法の規定に明文があるわけでございますから、予算執行の状況、また国庫の収支状況等、国会を通じて国民皆さんに報告をしなければならない義務があるわけでございまして、御指摘の面に対しては十分検討をいたして、適切な処置をとりたい、こう考えます。
  387. 森中守義

    森中守義君 改善しますね。
  388. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) はい。
  389. 米田正文

    理事(米田正文君) これにて森中君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  390. 米田正文

    理事(米田正文君) 上田稔君。(拍手)
  391. 上田稔

    上田稔君 私は、昭和四十八年度予算の審議の取りまとめにあたりまして、補足的に総理並びに関係大臣の御意見をお伺いを申し上げるとともに、若干の提案を申し上げたいと存ずる次第であります。  まず物価問題について御質問を申し上げたいと思うんであります。物価が上がる、物価が上がると、私たち庶民が目の値を変えて、まあ言っておるわけでございますが、庶民にとりまして、一番耐えられないのは、日銭を切らなければならないもの、すなわち生鮮食料品でございます。ホウレンソウ、白菜、大根、レタス、タマネギ、あるいはまた牛肉、だとか、豚肉、くだもの、こういったものが急激に値上がりをするということであります。また、生産者である百姓の方々は、どうもお上の指導は当てにならない、大根をつくれつくれといわれて、つくってみたら、もう肥料にしかならないんだと、こういうような陰口をたたいておられます。考えてみますと、野菜の単価というものは生産費、労力費、もっと砕いて言いますと、生産滝費と、輸送費と、仕訳費とか、マージンとか、そういったものからなるんでありましょうけれども、もっと大きく考えますと、急激な変化というものがある場合におきましては、需要と供給の関係から起こってくるんではないかと思うのであります。まあ最近の価格の変動というもの、大きな変動というものは、やっぱり需要と供給だと、こういうことになりますんですが、さて需要の調査でございますが、生鮮食料品の需要の調査というものは、どういうふうにおやりになっておるのか、これは総理府では、何か家計調査ということをおやりになっており、また農林省におきましては、中央卸売り市場の関係からお調べになっておると、こういうことでございますが、お尋ねを申し上げます。
  392. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) お話しのように、大衆生活にとりまして、生鮮食料品の価格の大きな変動というものは、これはたいへん関係がある、またいろいろと心配をしなきゃならない点だと思います。現在、たとえば野菜で申し上げますと、指定野菜の生産と、指定消費地域に対する出荷というものを、これをうまく組み合わせてやっておると、この指定生産地は現在六百九十五を指定しております。それから主要都市消費地のほうは、十一、指定しております。その間を、うまく計画的に流通を考えておるわけでございまして、その点から申しまするならば、季節的な関係を別にいたしますれば、需要と供給の関係というものは相当考慮をいたしてやってきておるつもりでございます。  それからまた、この指定生産地における生産の状況などにつきましては、五年ぐらいの相当長期の見通しに立ちまして、計画を作成しておるわけでございます。そういうことでありまするから、本来でありますれば、そう生活に影響する大きな問題が起こらないはずでございまするが、何ぶんにも天候に支配されるところが多いのでございまして、ことしのように暖冬であると、こういうと、冬場のものが計画どおりに出荷されずに早く出てしまう。早く出てしまった結果が、今度夏の初めに出るものとの間のギャップが出て、そこで御迷惑をかけるというようなことがございまするが、できる限り、そのような問題を起こさないように努力をしておるという次第でございます。  もう一言、くだもののほうを申し上げますると、くだもののほうは、くだもの別に、一人の平均の消費量というものを考えております。そして、その消費量に見合うところの計画的な生産をやるように、つとめて心がけておるわけでございますが、これもミカンのように、まあ好天気に恵まれて豊作であったというようなことで、狂いが出るというような問題もあるわけでございますが、でき得る限り、そのようなことのないようにつとめておるわけでございます。
  393. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 総理府が行なっている家計調査は、支出を中心にしてやっておりまして、農林漁家を除く二人以上の世帯を対象とし、しかも料理飲食店あるいは下宿屋等を除いて、それらを除いた対象で支出調査を行なっているような次第でございます。
  394. 上田稔

    上田稔君 総理府の御調査は、個人の家計をお調べになって、そして二人以上のところでございますけれども、料理屋だとか外食をするところとか、まあそういったものをお除きになっている。そうすると、東京なら東京の全体の野菜の、生鮮食料品の量というものは、まあおつかみになれないというのが実態でないかと思う。  また、農林省のほうでは、いま需要の調査というものをどういうふうにおやりになっているかということをお聞きしたんですが、まあ農林省にお聞きをいたしますと、中央卸売り市場の動きというものを中心にお調べになっておるように聞いておるのでございますが、どうも中央卸売り市場というところは、なかなかいろいろな荷が一ぺんに入って、また出ていくというようなことが間々ありますし、また、中央卸売り市場の隣に、縁故市場といいますか、トラック一台持ってきて、そしてその荷をばばっと売りさばくというような、こういうものがあります。したがいまして、東京なら東京の消費量というものが、ほんとうにきめこまかく調べられないんじゃなかろうかと思うのでございます。  こういうようなことでございますと、推計をお立てになる上において非常に私は誤りができるんじゃなかろうか。しかも、この生鮮食料品、まあ日常の私たちが食べるものの、食事の何といいますか、種類というものがだんだん、だんだん戦後変遷をしてきております。特に、大都市においては、これはもう米に代替されて、いろんな生鮮食料品、そういったものをとる、肉類をとる。こういったものに変わってきて、パンに変わってきておる。ところが、いなかのほうにおきましては、まだそういうような状態になってない。むしろまだ米を中心にして、野菜とか肉というものは副食物として考えておる。まあこういうことでございまして、しかしながら、いなかのほうの都市もやはり東京と似てきて、だんだん、だんだんとそういうふうに変わってきておる。   〔理事米田正文君退席、委員長着席〕 それに従って、日本全体の食料事情といいますか、生鮮食料品の使用量というものが変わってくる、変わっていっている。まあこれが私はほんとうじゃなかろうかと思うんでございます。で、そういうことを調べるためには、もっと私はきめこまかい調査をおやりになる必要があるんじゃなかろうか。特にいままで、農林省は生産のほうだけをお考えになって、需要のほうはあまり取り上げておられなかった。こういうことではやっぱりいけないんで、需要というものをもっとしっかりつかんでもらいたい。予算にも、うんとその需要の調査というものに金をかけておやりになっていただきたい。そしてその需要に応ずる出荷というものを、あるいは生産というものをやっていただきたい。こういうふうにお願いをしたいのでございます。どうかよろしくお願いをいたします。  次に、農林省のほうは主産地というものをいまおつくりになっておるというお話が出ております。で、この主産地の量というのは、——五年前ぐらいからおきめになったようでございますけれども、この消費地の需要に対して、まあ五〇%かそこらのものしかまだ主産地でできるものはまかなえないと、こういうふうに聞いておるのでございますが、それはどうでございましょう。
  395. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 需要の調査について、先ほどの御意見はそのように十分心がけてまいりたいと思います。  それから指定野菜の生産の量、これは野菜生産地から指定消費地域に対する入荷量のシェアを調べてみますると、現在は約六〇%でございます。お話のように、これはもう少し引き上げていく必要があると思います。そこで、昭和五十一年を目標に、約七五%にするように指定産地もふやしてまいりたい。先ほども申し上げましたが、現在六百九十五の産地でございますが、ことし五十産地を追加をいたすわけでございますが、この施策は年々拡充をしてまいる考えでございます。
  396. 上田稔

    上田稔君 野菜というものは、実は二〇%か三〇%多ければこれは非常に値下がりをする、暴落をする、ところが二、三〇%少ないと今度は非常な暴騰をする、こういうような性格があるわけでございます。したがいまして、主産地というのを私はもっとふやすべきではなかろうか。というのは、その主産地以外のものというのは、やはりいろんなお手当てがしてもらえない。生産地でつくった場合には、もし値下がりした場合には、これは大蔵省のほうから、このごろはお米並みに考えてもらって、農林省を通じて出していただく、こういうことになるものですから、やっぱり主産地でつくるということになると安定をしてくる、こういうことでございますから、私は主産地というものをもっと計画的に数多くつくっていただくということが、やはりこの生鮮食料品の安定ということに非常に役立つんじゃなかろうかと思うのでございますが、まあこういう意味におきまして、七五%を目標にしておられるというのですが、それは九〇%ぐらいなものを目標にしてお進みをいただいて、そうして、二、三〇%の差で暴落したり暴騰したりするのですから、これをぜひともひとつお救いを願いたいと思うんです。特に庶民にとりましては、副食物がこのごろは主食よりもよけいに金がかかるんです。日銭を出すうちで、庶民一人が一日に一升はなかなかいま食えないんです。一升でしたら二、三百円で済むのですけれども、野菜はやっぱり三百円も四百円も買っているわけです。そういうものですから、野菜の比重というのは非常に大都市でも大きい。またいなかの都市におきましても、これからは大きなファクターになってくるわけでございますから、こういう点をぜひお考えをいただいて、力を入れていただきたいと存じます。  次に、木材と鉄鋼、セメント。最近、木材、鉄鋼、セメントという建設資材が非常に値上がりをいたしておるのでございます。また、最近におきましては、建築材料であるトタン板だとか、流し台、また建築金物あるいは照明器具、灯油、瓦、こういったものが一斉に、何というのですか値上がりというか、もう物がなくなってしまいまして、大工さんも、あるいはまた建築をやろうとするときでも、もう中に備えつけるものがなくなってきてどうにもしょうがないということでお手上げだと、こういうような状態が続いております。こういうような建築材料の不足というものは、やはり初めに言いました木材、鉄鋼、セメント、こういうものが元凶であると思うのでございますが、その原因につきましては担当者のほうでいろいろとお調べになっている、そう思いますのですけれども、その原因の中の一つとしては、やはり私は需要の見通しの暗さといいますか、見通しの甘さというか、そういったものから起こってきておるのが一つの原因じゃなかろうかと思うのでございます。たとえば木材に例をとってみますと、これは非常に去年の四月ごろ安かった。そういうことから、これはどうしても農林省としてはある程度やらなければいけない、何とかして値上げをもうちょっと考えないと、木材業者があっぷあっぷすると、こういうようなことから、少し制限をされた。ところが七月、八月、九月になってきたら全国的に災害がばあっと起こった。そしてまた九月ごろになりますと、これはどうしても経済の関係で大型補正予算を考えなくちゃいけないと、こういったようなことがあったわけでございますけれども、こういう需要が片っ方ではあっとふえるわけですけれども、その需要の全体の量というものを、このごろは想定をするところが非常になくなってきた。昔は安本の中の一部分でたしかそういう日本の国全体の需要というものを考えておったのでございますけれども、このごろはそういうようなものがない。しかもその需要というものは各省別に出てくる。したがって、縦割り行政でありますから、なかなか横の省のお使いになる量というものがわからない、その省の関係する民間の使用量というものがわからない、こういうような状態でありますので、私はどこかでそういう量というものを調べるところが必要じゃなかろうかと思うのでございますが、総理の御意見をお伺いをいたしたい。
  397. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 今度経済企画庁の物価局が設置をされれば、物価局でいろんな問題に対して——需給の見込みや輸入の状況、それから備蓄の状態等々こまかく国民に情報を提供するようにいたしたいということで、いま機構の整備をいたしておるわけでございます。まあそうなれば、現実問題としては相当な効果をあげ得ると思います。なぜかというと、木材も入っておるんです。入っておるんですが、どうも値上がりする、値上がりすると言っておると、やっぱり売り惜しみになるということもありますし、今度ひとつ、法律もいま御審議いただいておりますから、現地調査をやりまして、どこには何がありますということも国民に徹底させるわけでございますし、まあ率直に言って、住宅ローンが思ったよりも急激に出たというものもございます。それから暖冬であったので、十二月の末から三月末まではほとんど太平洋岸以外は工事が中止になるものが、継続して工事が行なわれて、年度内にみな工事が完工するという意味で、セメント、木材、鉄鋼、その他いろんな問題に影響したわけでございますが、ここに数字を持っておりますが、ほんとうに十分あるのです。セメントもあるし、木材もあるし、鉄鋼もあるし、あるのですが、なぜこんなことになったか。セメント一点だけ申し上げると、セメントが上がっているというのは、総量の二〇%が袋物です。その三%が店頭売りなんです。その三%が千円だとこう言っているのですから、これは四月中に三百円に下げなさいと。下げなければ公共事業をとにかく繰り延べしますよと。こういうことで十分下がるものが下がらないというところに問題があるわけですから、これは政府も、御指摘のようなことに対して十分配慮いたします。
  398. 上田稔

    上田稔君 需要については、私は何か全体的にいままで調査が抜けているように思うのでございます。この点をひとつぜひともお考えをいただきたいと存じます。  次に、公設市場についてお尋ねをしたいのですが、関西では公設市場がありまして、小売り価格の標準を日々一般の庶民に示しておるというのが実態でございます。関東では特定の店を指定して小売り価格の標準を示しておったようでありますけれども、いまはやめておる、都が標準価格を単に文書で示しておるというのが実態であるようです。どちらがうまく運営をされておるのかということをちょっと農林大臣にお尋ねをしたいのですが。
  399. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 公設市場の実態は、これは関西のほうが非常にまさっておるということば認めざるを得ないんであります。東京の場合は、戦後の公設市場が少しずつ全国的にふえていく傾向の中に、東京では、用地の確保とか、あるいは周辺の小売り商との調整とか、消費者の購買行動などから、伸び悩んでまいったのであります。しかしながら、ただいまお示しのように、公設市場そのものの消費者に対する非常な大きな効果もあるのでございまするので、現在東京におきましては、総合食料品小売りセンターを、これを住宅団地等小売り施設の不便なところを中心として、計画的に設置することを進めてまいりたいということでございます。なお、大規模なものも計画をしたいということで、その調査費を計上したわけでございますが、東京は現在総数で十六ヵ所、補助対象のものが七ヵ所、大阪のほうは総数で四十二ヵ所、補助対象のものが九ヵ所ということで、相当の差がございます。
  400. 上田稔

    上田稔君 御説明にもありましたように、私は公設市場が非常にいいのではなかろうかと思うんです。というのは、公設市場におきましては、もう一般の方々がその市場へ行って、目で物を見て、その値段を知ることができるわけです。この標準価格を示しておるというのは、これはもう単にどんな品物で、どんな量で、はっきり目で見ないもんだからわからない。まあこういうものではやっぱりいけないんで、いま農林省のほうではやはり総合食料品小売りセンターですか、そういったようなものをお考えになっておられるようでございますが、こういうものをどんどん私はふやしていただきたいと思うのでございます。  ところで、非常にこの生鮮食料品が暴騰をするということがよくあるのでございますけれども、こういう際には、知事さんというのはあまり責任がないのでございますか。私は、物価の専門家であると言っておられる方が、どうも物価は国の政府の責任だと言っておられるのですけれども、私は、こういう物がなくなったときというものは、やはり生産地に出ていってお願いをするというようなことも知事さんの責任じゃなかろうかと思うのでございますけれども、どうもそういうことをおやりになったというお話もあんまり聞きませんし、こういうことは、やはり知事さんというものは最高責任者として、都民のあるいは県民の代表者でありますから、そういったようなところまできめこまかくおやりになるのがほんとうだと思うのですが、しかし、これはそう言ったっていろいろな関係もあるでしょうから、そういう場合には国がそういう場をおつくりになるというような御指導をされるということが必要じゃないかと思うのでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  401. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) お話のように、東京の場合など、大衆生活に非常に生鮮食料品の問題、大きな影響があるのでございまするから、われわれのほうも、つとめて、東京都とは言いながらも、行政指導の機能を十分発揮すべきだと思うのでありまするが、現在は、どちらかと言えば、その辺の意思の疎通と申しましょうか、連絡の点においては十分でないということは認めざるを得ないわけでございます。ただ、私もつとめて、大切なことでありまするから、築地の市場、神田の市場あるいは木場を視察をいたしまして、どこに欠陥があるのかというようなことについても勉強をさせていただいておりまするけれども、何ぶんにも東京のこの多くの人口を対象とする——あるいは東京のみならず、関東一円にまで及ぶんですね。この築地の市場、神田市場の対象地域というものは、局限された、まあ旧十五区といいますか、そういうような小さい範囲じゃないんですね。これは木材の場合でも、これはもう関東一円だということでございまして、したがって非常に機能が膨大過ぎておるわけでございます。これをもう少し目の届くような、効果のあがるようなふうなくふうをこらす必要があるんではないかと、私もそういう点を認めておる一人でございまするが、何ぶんにも簡単にその事の運ばないというところから、遺憾な点がございまするが、御意見を尊重して今後努力してまいりたいと思います。
  402. 上田稔

    上田稔君 オリンピックのときにたしか水不足が東京に起こりました。そのときには、東京都の知事さんはもう水源県へ頭を下げて、ぼろくそに言われながらともかくお回りになって、非常に私は感激をしたのでございますが、まあやはりそういうような機会をおつくりになっていただくということが必要じゃなかろうかと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。  それから第三番目に、次に建設物価の値上がりに対しまして、また、資材の不足で工事ができないという建設業の実態でございます。こういうことに対しまして、これはひとつぜひとも建設大臣にあとのめんどうを見ていただきたい、あるいはまた農林大臣、運輸大臣にあとのめんどうを見ていただきたいと思うんですが、いろいろなことがございますけれども、とにかく工期が三月三十一日ときめられておったんですけれども、会計検査院のほうでこれはまあおしかりを受けるんじゃなかろうかと思いますけれども、これはどうしても天災以上の、そういうような事態でございますんで、これをぜひとも御相談をいただきまして、あるいはこれは繰り延べということにおそらくなっておるんじゃないかと思いますが、そうしてまた、物価が非常に上がってきておりますので、上がった物価に、今度は新しい年度においては新しくしていかないと、これはとても仕事がやれないというのが実態でございます。この点をひとつどういうふうにお考えになっているか、お願いを申し上げたいと存じます。
  403. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 物価が、ことに建設材料の上がっておるということは御指摘のとおりでございますが、それで建設省といたしましては、繰り延べということをいたしまして、会計検査院にもお願いをして、しかし、緊急の災害、治山等についてのものは、これはやってもらわなくちゃならないということでございますが、繰り延べたものにつきましては過怠金を取らないということで、会計検査院の了解もとったわけでございます。三十万の業者がいる中で、九分九厘までが中小企業であるということでございますから、先般地方建設局長会議がありましたときに、私は強く、建設業者は中小企業も立つようにやってもらいたいということで要請もいたしておりますし、なお、単価の問題につきましては、四十八年度につきましては当然予算の中に上げてあるわけでございます。
  404. 上田稔

    上田稔君 建設省直接のものばかりでなくて、先ほど申しましたように、農林、運輸、また府県の仕事、市の仕事、こういったものも同じような状態でございますので、この点をひとつ十分に御配慮をいただきたいと存じます。  で、次に、もう時間がありませんのですが、土地問題についてちょっとお願いをしたいと思うのです。  最近値上がりを騒がれております土地問題を分けてみますと、二つに分けられるんじゃないか。  一つは、別荘地であるとか、あるいはレクリエーションのための土地、そういうものが、山林地帯が値上がりをしておる。もう一つは、都市周辺の住宅地が値上がりをしておる。この二つに分けられるのじゃないかと思うのでございます。後者は都市住民にとりまして最も関心のあるものでございまして、これに対して総理は、市街化区域内農地の宅地並み課税問題を取り上げていただいたのでございますが、住宅に悩む、宅地に悩む都市住民にとりましては天の声かと受け取られるのでございますが、この宅地並み課税につきまして、総理のお考えをお聞かせをいただきたいと存じます。
  405. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 市街化区域内の宅地並み課税というのは、もう法律を制定していただいておるわけでございます。昨年の四月一日から実行するわけでございましたが、一年間勉強しようということで、暫定的に延ばしたわけでございますが、もう今年の四月一日からこの法律は生きておるわけでございます。しかし、この法律にはA、B、C農地がございまして、C農地等はほんとうに宅地化されるということの前提条件がまだそろっておらないという状態もございます。このままでもって宅地化を強行していくとスプロール化が行なわれて、後の都市計画に支障を来たすというような面もございます。同時に、都市の宅地の不足ということはたいへんな問題でありますので、宅地の供給を促進しなければならない。もう一つは税の不均衡の問題があるわけでございます。隣はもうすでに道路も下水もすべてが整備をされており、水道管もガス管もみな入っておるにもかかわらず、農地なるがゆえに非常に低い税であるということで、都民や市民の非常に反発を買っているわけでございます。私のところへいろんな陳情が参いりますが、その中に、私も家を持っております、狭いながらも楽しい家を持っております、私は公団住宅に入っております、をしのぐに足るというものではない、りっぱなものです、しかしどうも会社への行き帰りに車の外をバスの窓から見ておると、こんなに苦しんでおるにもかかわらず、こんなに町のまん中に農地がある、こういうものに対して施策を行なえないという政治に対して腹立たしさを感ずる、こういうのが非常に数が多いのであります。私はそういうやっぱり事態に対処して、現に法律ができておるのでありますから、それを修正をしなければならないというなら、やっぱり最小限実情に合うものにしなければならないということでございました。なぜ一体このようなことになったのかというのは、税だけでこの問題を解決しようといったところに問題があると思いまして、今度はその農地が宅地化されるように、税制、金融いろいろな問題で、特別臨時措置法を抱き合わせて提案をしておるわけでございます。そうして、それが宅地化となり都民や市民に提供されるように、うらはらの、たての両面をそろえた法律案を提案したわけでございますが、四月の二十日になるともう徴税令書を発行しなければならぬわけでございます。そういう意味で、この御審議両院とも、ぜひひとつ急いでいただきたいということを考えておるわけでございますし、しかも宅地が一番不足をしておる三大都市圏のA、B農地に限っておるというのでございますから、もうこれが通していただけないような状態で地価を下げろと言っても、これは処置なしということになるわけでございまして、これは、ぜひ御協力のほどを切にお願いいたします。
  406. 上田稔

    上田稔君 この際にひとつお願いをしておかなければいけないのですが、四十四年のときにたしか土地税制の措置によりまして、土地所有者から土地の放出はあったのですけれども、実需者、ほんとうに必要だという人に渡ったのは少量で、残りは大企業のほうへ大部分は行ったというような例が思い浮べられるのでございます。今度の場合も、あるいは民間業者にばかりまかせるのではなくて、私は、国または公共団体が積極的にお動きになって、やっぱりこういうものに対する購入ができるような予算措置であるとか、あるいはそういうような制度というようなものをつくって、そうして、そういうことをおやりになっていただく必要があるのではないか。  それからもう一つ、現在、大都市の周辺の土地の状態を見ますと、いまの区域の中の県市というものは、やはり何といいますか、財政的にそんなに余裕がない。したがって、市街化整備というものが十分にやれるだけ豊かでない。したがって、どう言いますか、いろんな公共施設、たとえば学校、公園あるいは道路、下水、こういったような費用を全部寄付金、開発するときには寄付金を取るものですから、それが全部単価にかかってくるわけです。  それからまた、ひどい話になりますと、排水路の改修費まで負担をかけてくる。そうすると、これは何億という金がかかってくる。それが単価にはね返ってくるわけでございます。したがって、こういうようなことでございますと、宅地の費用が非常に上がってくる、こういうことが宅地をつくる人にかからないような、やはり私は片方で公共事業というものをお考えをいただきたい。そうして、その安い、所得に見合った単価で買えるような制度を、ひとつこれもお考えをいただきたいと思うのでございます。  さらにお聞きをしたいのでございますけれども、どうも私に与えられた時間は……
  407. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それについて答えます。
  408. 上田稔

    上田稔君 ちょっと最後まで言わしていただきます。(笑声)  時間がありませんので、この辺で質問を終わらしていただきますのですが、田中総理はコンピューターつきブルドーザーとして国民に大きな期待をされておるのでございます。コンピューターもブルドーザーも給油をしなければ、手入れをしなければよき案が、よき計画が、快適な工事ができないのでございます。この予算審議が終わったなら、給油をして、手入れをして、名案を出して、名計画を樹立していただいて、決断と実行をもって国民の期待に大きくこたえていただきたいことをお願いを申し上げて、私の締めくくり総括質問を終わらしていただきます。(拍手)
  409. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 体調はしごく快調でございますから、これからはひとつおほめにあずかるような施策をどんどんと進めてまいりたい、こう考えます。  いま御指摘になられた宅地並みの課税問題に関連してでございますが、今度宅地化されるように、また宅地化されただけであたためられないで、住宅が提供されるように諸般の措置をしております。それで、これが宅地に売られた場合の税制上の問題とか金融上の問題はもちろんでございますが、貸し家をつくる場合も、それから個人が住宅をつくる場合も、住宅金融公庫から長期低利の融資を行なうようにしております。そうして、一定年限に建てない場合には公的な団体において代執行を行なわせるような、そういう措置も考えておりますので、まあ、ほぼ完ぺきに近い措置法を提案しておるということでございます。  それからもう一つは、実際に宅地が提供されないということは、あなたが御指摘になったように、宅地に対しては、大規模の宅地を提供しようといって、宅地を持っておるにもかかわらず、とにかく土どめをしなさい、道路をつくりなさい、下水をつくりなさい、電話や水の引き込み料を負担しなさい。そこまではいいと思うのですが、学校をつくりなさい、郵便局をつくりなさいといえば、安い価格で提供できるはずがない。これは全く供給を抑制しておるわけであります。こういう状態で、安い価格で提供できるわけありません。私はその意味で、きのう建設省に指示をいたしました。これは準拠法をつくりなさい。土地に関しては全面積の四〇%を道路として公共の用に提供せしめる、条件はそれだけである。あとは、当然、下水とか水道とか学校とかというものは公共負担でなすべきであります。そういうものに対してメスを入れなかったということは、政府も幾ばくか怠慢のそしりを免れないかもしれません。これは府県にまかしておける問題じゃありません。先ほどあなたも言いましたが、国は全国の需給調整とか輸入問題とか、いろんなことをやらなければいかぬし、法制整備をしなければならぬ責任は政府にありますが、東京都の野菜の問題は東京都知事が主体になってやるべきでございますし、大阪府の問題は大阪府知事がやるべきなんです。米のないときには安井知事は新潟県までわらじをはいて来たわけでありますから、そして、国が負担しなければならぬ補助金に対しては国に要請をすべきであります。私は、そういう意味で、実際において公共負担が多いからといって、それはすべて最終的需要者であるサラリーマンに転嫁をされるという子供の算術のようなことにメスを入れないで現状のままに放置をしておったことは、これは宅地供給の抑制をやっておったわけでございますから、地価は暴騰するにきまっております。だからそういうものに対して、できればこの国会に、公共負担と、それからデベロッパーの負担ということを明確に区分をすべしという指示をきのう行なったわけであります。民間デベロッパーがやらない場合には、国や地方公共団体がやらなきゃならぬわけですから、税金をもとにしてやらなきゃならぬということを考えてみれば、民間が持てるものを放出するには明らかに区分をするということが政治の責任であるということで、旨玉をいたしました。
  410. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これにて上田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  411. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 横川正市君(拍手)
  412. 横川正市

    横川正市君 大蔵大臣に通告をしておりませんでしたが、きょうの報道を見ますと、今夜アメリカの議会へ新通商法案が提出をされるという報道があるわけです。この中身は、いろいろ項目は盛られておりますけれども、「不当な輸入制限を実施している国に対抗するための輸入制限手段」とか、あるいは「国際収支対策としての輸入課徴企や輸入数量制限の権限などが盛り込まれる見通し」と、こういうふうになっておるわけです。さきのパリ会議、二十ヵ国蔵相会議等に出向かれたときに、大蔵大臣はアメリカの関係者との間にそれぞれ通貨問題でお話をされたと思うんでありますけれども、もちろんこのインフレ問題とか多国籍問題とか、アメリカ自体が処理しなければならない問題、同時に日本が急速に処理しなければならない問題等あるわけですけれども、この新通商法案の中には課徴金等などを盛り込まれるというふうに報道されております。で、そういうような関係者との会合の中に、何らかの形で、このことは日本で受けとめ方としてはどう受けとめてこられたか、まずそれをお聞かせいただきたいと思います。
  413. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいまお尋ねの新通商法案がどういう形でアメリカ政府から国会に提案されたか、まだレイテストの情報は私見ておりませんので、的確なお答えはできないかと思いますけれども、内容的な御質疑にお答えをいたしますと、大体こういうふうに私は観測いたしております。通貨会議等におきましても、アメリカとしては国際通貨の安定について積極的な責任を持って対処しなければならないという態度は私は見受けられ、しかもそれがコミュニケ等においても表現されていることはかねがね御報告申し上げたとおりでございます。同時に、各国とも国際収支の改善、インフレ対策についてそれぞれ努力を新たにしようということがまた合意されているわけでございまして、この点は、インフレ対策という点はコミュニケの表面にもはっきり出ておりますが、当然、その中には国際収支改善ということにも努力しようということは含まれている。そこで、アメリカとしては国際収支の改善ということにアメリカ自身としても非常な関心を深くしておりますから、通商法案というものも、アメリカ政府としても、アメリカの問題としてもいろいろと検討をしておったわけでございます。イースター前に法案ができ上がって国会に提出されるであろうということは、私もさように観察してまいりました。  それから、内容について私、まだその最終のものを見ておりませんからさだかでございませんが、ただいまお話のような状況であれば、アメリカ政府として、輸出入の制限措置等について政府に授権をしてもらいたいということをかねて考えておったようでございますから、どういう措置をとるかということは別のこととして、とにかくそうした措置をとることについて、一々立法によらないで行政府にその権限をなるべく広く与えてもらいたいという趣旨が盛り込まれてあって、その中にいま御指摘のような点がどのように盛られておりますか、これは検討してみなければいけないと思います。  それから、日本だけでなく関係国に対してどういう措置がとられるであろうかということについては、いまその法案が出たからといって、直ちに授権されて、直ちに具体的な措置に移るとは私は考えておりません。  それから、先般当委員会で申し上げましたように、大切なことは日米の関係であるということがしばしば要路のアメリカ側の人からも指摘されておりましたので、私の観察としては、日本の国民の感情をさかなでするようなことはなかなかやれないところであろう、やりたくはないと、こういう気持ちがアメリカ政府には私はかなり濃厚であろうと、こういうふうに観察をいたします。  それに対して、日本といたしましても、かねがね円対策と呼ばれているようなものが累次決定されておりますので、日本の国益としても、かねがね申しておりますような日米間の国際収支の黒字が依然として累増するというようなことはできるだけ抑制するように、適切な措置を講じてまいるべきであると、そのことが結果において日米間をよくすることであり、またアメリカとして対日感情をさかなでするようなことをしないということに通ずると、まあ私は大ざっぱでございますが、こういう観察をいたしております。
  414. 横川正市

    横川正市君 通産大臣にお聞きいたしますけれども、私はやはり相当きびしい日本への対応策、アメリカの日本に対する対応策という形のものがあらわれてくるだろう、こういう予見をされた意味のことを通産大臣がそれぞれの議会の委員会等で発言をいたしておるわけですが、その中でハートケ議員の法案準備の中に、一応欧米での貿易ブロックをつくろうと、こういう考え方が発表されまして、新しい、何といいますか、カナダ及びECのそれぞれと米国との間で完全自由な貿易ブロックを結成する趣旨の意味のことが出されておるわけでありますけれども、これに対して通産大臣としては、まあおそらく発表された直後ですから、すぐ反応を示すほどの意見が聞かれないかもわかりませんが、さっきからの大体アメリカの日本に対する対応策をほぼ予見しておった立場で、こういう法案の出ることに対してどうお考えになるか。それから同時に大蔵大臣、この法案は予見されておったでしょうか。いま準備中ということですが、私は、貿易ブロックというのがアメリカとECとの間で持たれるという場合に、日本は一体どういう地位に置かれるのだろうかという疑問を持っておるわけなんですが、ひとつお答えいただきたいと思いますが。
  415. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 新通商法案につきましては、大体のその意図している輪郭について、この間ピーターソン特使が来ましたときにわれわれは聞いておりまして、日本側としての意見も言っておきました。われわれとしては、ガットの精神に基づいて自由・無差別という原則をあくまで貫いてほしい、特に日本に対して差別を行なうというような措置がとられることには絶対反対である、そういう申し入れをしておきました。  第二に、経済ブロックに関する情報でございますが、私はその可能性は少ないのではないかと思います。アメリカ側もそういう地域的ブロックをつくることについては批判的です。ECがそういう地域的ブロックをつくることに対して、アメリカはこれに対して反対の見解を持っておるのでありまして、アメリカ自体が政府の国策としてそういうことに打って出る可能性は私は少ないのではないかと思いますし、もしそういう動きがあるとすれば、われわれとしてはそれは適当でない。そういうやり方で世界じゅうが動き出すと、一九三〇年代にオタワ会議でイギリスが綿製品の制限を始めてから、世界じゅうがブロック化して、遂に経済が逼塞して第二次世界大戦に突入した、ああいう人間がおかした過失を再びおかす危険性の端緒になる、そういう考えを持って、われわれはそういう考えには反対したいと思います。
  416. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 第一は、法案を予見していたかというお話でございましたが、これは相当広範囲に通商政策について政府が自由に活動できるような授権を含む広範な法律案でありそうであるということの予見は持っておりました。  それから第一の御質問の、ECのブロック化ということは、ただいま通産大臣が話された観察と全く同一でございまして、むしろ逆に、アメリカ政府としてはそういうことを避けて、やはり自由貿易主義ということが基本であるということは強調をしておるところでございますから、積極的にブロック化、特にECとの間に云々ということは、私はアメリカ政府の方針としてそういうふうに固まっているというようなことはなく、むしろ逆の方向ではなかろうかと、かように観察いたします。
  417. 横川正市

    横川正市君 国益に関係する問題で、通貨論議のときにはずいぶんいろいろと努力をされましたが、日本の歩く道が孤立化しないかという非常な心配を持ったことは御案内のとおりですから、その点十分ひとつ対応策を考えながら、最善の道を選んでいただくようにお願いしたいと思います。  それから、先般羽生委員質問で、当時まだ第二外為の構想にとどまっておりました。そして、内容についてはさらに検討いたさねばならない課題が幾つかあったわけですが、その中の、外為会計から第二外為へ外貨を移しかえる、その移す方法その他については具体的な検討結果というものが出たのでしょうか。
  418. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先般、羽生委員の御質疑に対してお答えしたとおりでございまして、いろいろと検討いたしております。ことに日本の、官民のと申しましょうか、外貨資産の内容というものが、日本の場合においては、外貨準備にもうほとんど集中しておるといういまかっこうでございますから、そういう点から言いましても、対外民間投資というようなことも同時に非常に積極的に考えていかなければならない。したがって、いわゆる第二外為構想よりももっと広い範囲で考えなければならない。まだ、羽生委員のお尋ねにお答えをしたときから日にちも浅いものでございますから、非常にむずかしい問題であり、技術的な点もあり、同時にまた、現行の制度でも、もっと活用し得る方法もあるというようなことで、いま鋭意勉強中でございまして、まだその内容等についてある程度具体的に御披露申し上げるところまで中間的にも結論がまだ出ておりませんので、御了解いただきたいと思います。
  419. 横川正市

    横川正市君 報道でもって承知する範囲内では、実は私どもも的確にその内容を知ることができませんから、大蔵大臣がいま検討されていることをそのまま私どもも正直に受け取っていいのだろうと思いますけれども、たとえば第二外為をつくるその内容とか資金の調達とか、そういった点についてはなお検討する余地があると思いますけれども、まあため込んだ外貨というものをどういう形で扱われるかというのには、私どもは根本的な思想というのは一致しているものだと思うのです。いままでのような状態から、やはり構造的にもそれから内容的にも転換をしなきゃいけないわけですから、その転換した施策を実行するに足るだけの裏づけを、私どもはやはり政策として必要だと、こう考えておるわけです。そういう考え方の上に立って、この第二外為構想というものは、内容的にはむずかしい点もあろうと思いますけれども、必要だと考える点で、どういうような運用のしかたをされようと概括的にお考えになっているか。その問題で、たとえば構想としてそれ自体が野放しで経済援助の方向に持っていくということも、これはまあもちろん行なわれないでしょうしですね。それでその結果から、たとえば経済的な悪名を持たされるようなことは行なわないとか、あるいは資源の略奪をするんではないかというような意味のそのそれぞれ指摘事項についても警戒をされるだろう、こういうふうにも考えるわけであります。さらに、この会計はいままでは大体政府考え方で運用されておるわけですけれども、この会計は国会審議あるいは承認とか、そういう意味合いのものに該当するような運用のしかたをするのかどうかですね、こういう点では、構想としてはどうお考えになっておられるんでしょうか。
  420. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 中身の問題としては、基本的にこれは国民の蓄積したものでありますから、国民的に還元されるような使い方でなければならない。で、先般の羽生委員からも御指摘がございましたように、これがいわゆる大企業とかあるいは一面に偏した使い方がされるようなことがあっては、かえって逆な効果になるではないか。その点はまさに政府としても非常にその点は重要な問題であるということを考えておるわけでございます。  それから同時に、いま御指摘ありましたようなまた別の意味のエコノミックアニマルが世界的に登場したというような形は、これは厳に慎しむべきものであるということでございます。  それから、技術的な問題としましては、やはり第二外為構想というふうに言われ出しましたのは、一つには円資金をどういうふうに裏づけするか。あるいはいままでの外為、あるいはいままでの予算のつくり方から申せば、必ずそれに見合う円の予算を御審議をいただいていたわけです。そのほかの方法が、ずばりと外貨で使うという方法も考えられないであろうかというようなことを常識的に考え出した向きもあるものでありますから、第二外為というようなことばがそういう沿革から出てきたものだと思いますが、いずれにいたしましても、この構想の組み立て方によりましては当然立法事項である、国会の議決を必要とする、かように考えるわけでございます、仕組みといたしましては。で、そうした場合に、内容的にどういうところまで御審議をいただくべきかというような点が、いろいろまたその内容のつくり方によって変わってくるかと思いますけれども、そういう点もなかなかこれはむずかしいことでございまして、これらの点は、先ほど申しましたように、いましばらく検討に時間をかしていただきたいと思っておる点でございます。
  421. 横川正市

    横川正市君 これは予算の最終段階ですから、私どもとしてこの点についての要望を強く申し上げておきたいと思いますのは、やはりつくられたものそれ自体が、いま大蔵大臣の言われるように、ため込んだ側へ大きく貢献する内容のものであるということを、これはもう念頭に置いて、それでこの内容について検討いただくようにお願いをいたしたいと思うわけでございます。  そこで、いま上田さんもちょっと物価の問題で触れたのですが、私は、少しとっぴかもわかりませんが、最近のいろいろな課題の中で、適正価格というのと暴利というのと、それから投機とかということばが使われるわけなんでありますけれども、一向に適正価格か、あるいは暴利なのか、あるいは高騰している内容というものはどうなのかについて、的確に、何といいますか、基準みたいなものが私はないんじゃないか。理屈では、たとえば、先ほど農林大臣は消費に適合しただけの安定価格で物を供給するように努力をいたしておりますと言いますけれども、その努力の裏づけになる安定した品物の流通というやつが現実の生活の中には反映してこないわけですね。そういう現実から見て、一体暴利というのは、一つの価格に対してどの程度上がったらこれは暴利というのか。実は非常にこれは卑近な例なんですが、私、先般あるデパートへ三月の二十七日の日に行きましたら、ある価格が特価で三万五千円という符牒がついておったんです。それで、これはいいから少し金が入ったら買おうかなあと思っておりまして、それで、今度は四月の二日の日に同じデパートへ行って同じ品物を見ましたら、今度は看板が超特価になっているわけですよ。その超特価の値段が四万二千三百円になっておるわけなんです。一体、これは商業道徳で表現したらいいのか、あるいは暴利で表現したらいいのか、ちょっとその判断がつかないわけで、まずこの点で担当大臣から、一体暴利とはどれぐらいのことを、上がったことを言うのかですね。それから、もう一つは、物が上がってきたから何とかしてやろうということでのここの論議では、いろいろなアイデアもそれから答えも出るわけですけれども、一向に値段が下がらない、で、だんだん上がっていくという、こういう現状に対して、何が欠けておるのかですね。  この二つの面を、ひとつ的確にお答えをいただきたいと思うんですが。
  422. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) たとえば一般通念で申しまして、どこかで災害がある、で、非常に需給関係が逼迫した、そこで需要者側の足元につけ込んで巨利を縛するというのは、これはまさに暴利だと思うんだございます。いまお話しのように、一体どこからが暴利であるかということは、これはもう社会通念上、いま申し上げたような非常に消費者が困るということを見越して私腹を肥やすということが暴利ではないかというふうに思っておるわけでございます。ただ、物統令等では、何人も暴利となるべき価格を設定し、あるいは暴利をむさぼったという場合には十万円以下あるいは十年以下の懲役ということをきめておるんでございまして、ああいう価格統制のきく物についてはこの暴利という判断がございますけれども、一般の需給関係を反映しての対価、経済行為に対する対価という点では、いわゆる暴利という観念が明確に価格上なっていないんでございます。そこで、先般来、国会に提案いたしておりまする、売り惜しみ、買いだめというその行為によって一般の公衆に迷惑をかけたというものについては、これを社会的に制裁を加えるという考え方をわれわれとっておるわけでございまして、価格面から申しまして、これからこれが暴利だということになると、やはり物価統制のような考え方が基礎になければならないというふうに思っておる次第でございます。
  423. 横川正市

    横川正市君 私はやはり一つの基準みたいなものがおおよその形でできてくるのが、これが適正価格と表現される価格だろうと思うんですよ。いま長官の言われるような、流通が突然天災等で阻止されて、そして需給がバランスをくずしてしまって急激に物価が上がった。これはまあ暴利、これはもちろんそうだと思うんですけれども、私は、常識的に言えば、適正価格というものがあって、その適正価格に著しく上昇する価格でやられた場合には、これは暴利と判断していいんじゃないか、そういう基準がない限り、私は物価対策その他というものが適切に行なわれないんじゃないか。ですから、もう少し適切に物価対策を行なうとすれば、そういう一つの基準みたいなものをやはり一つ常識として、モラルとして持つ必要があるんじゃないかと、こう思うんですが、どうでしょうかね。
  424. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 政府の経済見通しでは、成長率が一〇・七である、それから消費者物価が五・五、卸売り物価が二・〇、こういうことを言っているわけでございまして、これはひとつそういうところに持っていけば、わが国の経済がノーマルな成長をし、しかも国民生活というものが安定するという基本があるわけでございます。ですから、そこへもっていくことに不都合なような経済行為というものはやはりディスオーダーであるということは言えると思うのでございます。しかしそれに対して罰則をもって臨むかどうかということになると、これは自由主義経済の基本に触れる問題でございますので、そういうことは考えてないわけでございますけれども、やはりそういうふうに持っていくためには、私どもとしては、供給を増していくとか、あるいは情報の不足によって供給があるのにないような錯覚を起こして、そこから不当に価格が上がっていくとか、あるいは全体の過剰流動性があるためにそういう経済現象が起きているという、そのもとのほうからこれを押え込んでいこう、こう考えておるわけでございまして、まあしかし横川委員のおっしゃいますことは私にもよく理解できるわけなんでございまして、そういう点も勘案しながらこの非常なアブノーマルな経済状況というものを何とかして正常化するように努力したいと考えておるわけでございます。
  425. 横川正市

    横川正市君 そこで、そういう状態をノーマルな状態に、いわゆる常識的な問題に持ち込んでいく、そういう力といいますか、これは行政上の指導の力というか、あるいは政治の力といいますか、そういったものは、いま、そうすると欠如していると判断いたしますか。それともあるのだけれども、なかなかうまく適合しないというふうにお考えでしょうか。
  426. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 政治的な力も行政的な力もあると思うのでございますが、ただ、いまの経済状況は、先ほどもちょっと触れましたように、非常に不景気からの立ち上がりが猛烈である。たとえば有効求人倍率というのを統計にとっておりますが、これが一・六七なんです。これはこの制度始まって以来の最高でございます。それから百貨店でも、いま百貨店のお話がございましたが、ここの売り上げがいま二二・七というので、これもたいへんに多いわけですし、日銀券の発行残高、これまた二七・九でございましたか、七でございましたか、とにかく二七%台、これは大体日銀券の発行残高というのは一七・八%というふうに私ども思っておるわけでございます。これは非常に大きいわけです。そこで、全体の景気というものは非常にあると、そこで一方仮需要というものが出てくる。これをひとつ断ち切ることができれば、私はずっと鎮静化していくと思うのでございます。何か全体に景気が非常にいいんで先行き物は上がる、いま買っとけば損はしないと、そういうふうな気分がございまして、これを遮断することができればいい。もうそれがだんだん、この三月がもう頂上で、いろいろ皆さん国会でもたいへん有効な論議をしていただきましたおかげで、私はその峠は越えたと思うのでございます。あっちこっち行ってみましても、たとえば商品市場を見ましても、羊毛も続落しておりますし、繊維類もみんな下がっておるわけでございまして、まあこの状況を追い打ちしていって、トレースしていって、そしてまあ四月は、なかなか、入学どきで買い物も盛んに行なわれる時期でございますけれども、これを何とか押え込んで、五月、そして六月には下がっていく、そして秋口にはずうっと物価が下がっていくという状況は私はつくり得ると、こう思っておるのです。(笑声)これは笑っちゃいけませんで、そういうことを笑っておればこれができなくなる。それはまあ結局政治の問題であり、また行政の問題でもあると思いますけれども、私は秋口は下がっていくと思いますね。今日のこの三月の異常な状況が続いたら、それはもうたいへんなことなんで、まさにインフレになってしまう。  で、もう一つの問題は、この海外の輸入商品を安く入れるということでございまして、これは為替が、円が上がっておるという関係からいえば、干がっていいわけでございますが、海外の物価そのものが上がっておるということで、これもなかなか入ってきたものがどんどん安くなるということはございませんわけでございますけれども、まあ極力、安いものもあるわけでございますから、それが消費者に直接潤いまするように、私どもとして努力してまいりたいと考えております。  要するに、私は、いまを峠にしたい、峠になりつつある。これをして押え込んで、だんだん高原的な状況から下降をさしていく、またさせなきゃいけないし、これはできるというふうに私は信じておるわけでございます、またそれなりの努力はするつもりでございます。
  427. 横川正市

    横川正市君 一つの適正価格の例で、これは農林大臣に——先般乳価の決定をいたしましたね。二百CCで三十二円というのが市価相場です。これは生産者の価格は十三円九十八銭、メーカーの手取りが六円七銭、小売りの販売手数料が十一円九十五銭で計三十二円、こういうふうにきめられているのですが、この価格はバランスのとれた、いわゆる適正価格というふうにお考えでしょうか。
  428. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 資料で検討してみまして、私は生産者の今回の取り分十三円九十八銭のものが三十二円と、いまお示しでございましたが、この値上げは四円の値上げ幅であったと思うのです。その場合の乳業者あるいは牛乳の小売り店の取り分の関係、これは乳業者が一円九銭、小売り店は一円三十五銭になっておるわけでございます。三十二円の価格で合計されたものが幾らかといえば、乳業者は六円七銭、小売り店は十一円九十五銭とこういうことになっておりますが、この小売り店の十一円九十五銭を検討してみますると、牛乳販売店の四十四年、四十五年、四十六年の経営状況がここにございますが、四十六年で申し上げますると、一本あたりの経費が九円ということに出ております。これは六大都市平均で二十一本から三千本規模の販売店のことでございまするが、九円と出ております。そうすると、これは四十七年、四十八年ときて、小売り店の三十二円の中の取り分が十一円九十五銭でございまするから、この四十六年の一本あたりの経費九円と比較してみて、私はこれはそう不当のものではないんではないかと見るのであります。ことに牛乳販売店の場合は個々の家まで届けるわけです。だから、そのための人件費というものは、私はこの四十六年から見れば相当上がっておるんではないかと、こう思います。それからメーカーのところの六円七銭のところは、過去の処理経費の引き上げの推移とか、あるいは最近の人件費等の諸経費の上昇傾向から見て、これは採算限界を大きく上回っておるとは言い切れない価格、取り分ではないかと、こういうふうに検討しております。
  429. 横川正市

    横川正市君 そういうふうに説明されると、メーカー六円七銭の中には、これは輸送費、いわゆる持ってきた輸送と持っていく輸送と、二つ入っているわけですね、往復。それから牛乳の販売店に、夏になりますと冷凍装置をつけたメーカーからの名前入りの冷蔵庫がいくわけです。そういういろんなものを入れて六円七銭ということになるんではないかと私は思うんです。それならば小売りの十一円九十五銭というのは、もしも店頭へ取りに行ったら九円引いてくれると、牛乳一本の価格ですね、二百CCで。いわゆる配達料というのを引いて売ってくれるという、そういうシステムになっているんならば、これは適正価格かどうかということを飲む人はすぐ判断できるわけだ。ところが、いろいろなものをどう見たって、家へ持ってこようが持ってこまいが三十二円というのは、きめられているということは少し不合理じゃないか。実は牛乳をとって例に出したのは、たまたま最も親しんでいるから出したので、これはすべての消費物資の価格の中にある、全部の価格のシステムだろうと思うんですよ。私は、こういうことが野放しにされているところに価格はどういうふうに変わってきているかといいますと、ものがたくさんあるのにものが上がっていくという、そういうインフレ状態を収束させられない結果になってきているんじゃないか、こう思うのですが、この点は、ぜひひとつ考えて、知恵を出していただきたいと思うのです。いま政治にも力があるし、行政にも力があるというのですから——実は私はきょうは、行政に力がないというのなら総理大臣にもっと指揮権みたいなものを持っていただいて、そうしていま何といいますか、過剰流動性、流動性ということばに酔ってしまってさっぱり物価対策があらわれてこない。そのものをもう少し規制したらどうかという考え方を持っておるわけですけれども、指揮権を持たせると、またこれ乱暴に振り回されるとたいへんですから、そこまでは言いませんが、やはり行政能力があるのならばその段階で適正価格、いわゆる常識的な価格でものごとが売ったり買ったりできる、ちゃんとした姿勢をつくってもらうことが必要なんじゃないか、こう思うのです。これは時間があれですから次のやつに移るために要望いたしておきます。  あとは、たとえば備蓄公団の問題とか、ジェトロの改正の問題とか、いろいろありますね。知恵はあるのだけれども、さて実施がずっとおくれてしまって、いま答弁の形式から言えば、たとえば小坂企画庁長官は、五月か六月あるいは十月になったら非常にノーマルな価格ができますよと言う。そうすると中曽根大臣は、備蓄公団いつつくるわけですか、これは。そうすると、適正価格になってから備蓄公団をつくってしまうというように、ものの考え方というのはすぐ即応的に出てこないで、非常に峠を越してすそになってから何か出てくるような状態になりがちですから、この点は注意をして政治と行政能力を発揮していただきたい、こう思うのです。  それから同時に、行政関係の能力の問題で私はこういう点もひとつ総理大臣に提案をしたいのですが、たとえば、防衛庁の四十代でやめられる人が第二の職場を求める、これはしかたないじゃないか、これは私もそう、しかたないと思うんですね。しかし、実際に警察官とか、防衛庁の職員とかが、体力上どうしてもマキシマムになって、それでいまの職場にいないが、第二の職場を求めて転換をするという年齢制限があるということは、これは私もやむを得ないことだと思うんですけれども、一般の役所の関係ですね。たとえば、次官のやめる平均年齢を五十歳前後と見ますか。そうすると、就職してから二十数年という間、まあ事務官から入って、そうして責任ある地位について、やめるのはおそらく四、五年だと思うんですよ。だから、次官になって二年、長くて三年、早いのは一年、これは行政のほんとうの能力を発揮する時期に、実は第二の人生に転換をされる。で、第二の人生というその職場が人材を必要としないというわけじゃありませんけれども、それはもう少し年齢が越えて、たとえば次官の退官年齢というのを、五十七、八歳、あるいは六十歳というふうにしてからでも、なおかつ平均寿命はいま七十歳近くなっているわけですから、十分その第二の職場で働くことができる。同時に、行政の能力を発揮して充実した仕事をしてもらうということには、これはもう一番あぶらの乗り切ったところなわけですね。ですから、私ば定年を延ばしなさいと、その必要があると思うんですけれども、これは総理大臣はどうでしょうか。ぜひ、やるんだったらば、二年とか三年、ひとつ時間をおいて、だんだん延ばしながら、その定年を延ばしていったらどうかと思うんですけれども。
  430. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 定年の延長、これは役所だけではなく、すべての定年延長ということをやっぱり考えなきゃいかぬと思っております。一番いま問題なのは、義務教育の先生等ですね。これはもう非常に困っておるわけです。校長として長いこと教職にあたった人が、第二の人生を求める。これ、なかなかいなかでは求められないんです。適職がないわけです。東京へ来て修養しておると、こういうことでいい教育者ができるわけはないんです。ですから、今度の一〇%の手当の引き上げということと同時に、やっぱり定年制の問題を真剣に考えようと。昔は、師範学校を出るような人たちは、みな有産者が多かったわけでありますし、そして郷里へ帰りまして、十分面目も保ちながら、また村の指導者になっておったわけですが、このごろはみんな子供を大学にやる。長男だけやるというわけにいきません。そうすると、ちょうど定年ごろには、その下がまだ二人か三人、学校に残っておるということで、再就職をせざるを得ないんです。ですから、そういう意味で、やはり定年問題は真剣に考えなければならない。しかし定年問題ということ、ただすべてを定年ということになると、間引きができないということになると、これもまたたいへんな問題があるので、実情というものを十分考えながら、定年制の延長ということも考えなきゃいかぬと思うんです。  いまの次官は、いま御指摘になったように、五十から五十四、五歳です。十六年卒業だと五十五歳でございますから、だから、十六年組というのが、十六年入所というのが五十五歳でありますから、二十年、二十一年の次官というと、まだ二十年か二十一年の次官が一番早いわけですから、まあ五十歳か五十五歳、これはみな三十年たってから退官するわけです。もう少し前は、昔は、二十年でもう出たわけですから、いま中途はんぱなんです、あなたが指摘されるように。二十年で出ればまだものになるでしょうが、どうも五十五歳になってからということになると、これはもうどうしても政府機関にでも行く以外にないわけであります。ですから、定年延長というものを十分考えなきゃいかぬと思うんですが、ここで私一言だけ、あなたですから申し上げておきたいのは、これはやはり行政の効率化とか、責任の所在を明らかにするには、やっぱり課長とか、課長補佐とか、局長とか、私は必要だと思うんです。ところが、日本の局というのはみんなピラミッド型で、局長一人つくると、車一台与えるのはいいのですが、全部下までピラミッド型にならなければいかぬということで非常にめんどうだと思うんです。これは西ドイツが二百名の定員で住宅省をつくったのですから。私は、いまの自治省が日本では唯一のそういう省でございますが、これはやっぱりもっと官庁機構の合理化ということを行ないながら定年の延長をやるということになれば、行政の責任というものはいまよりももっとすばらしいものになる。これはもう行政管理庁のほうでも十分勉強していただきますし、政府全体としても勉強いたしてまいりたいと、こう考えます。
  431. 横川正市

    横川正市君 きょうは、通産大臣とかそれから三人ぐらいの大臣に、次官の定年を五十八から六十にしたらあなたの官庁では何か問題が起こりますかということを検討してもらって、返事をもらうことにしてあったのですけれども、時間がないので、総理大臣が全体を答弁していただきましたから、これはぜひ実施していただくようにお約束をいただきたいと思うんです。それで、実施するためのいろんな支障が出てきたら、それを解決する能力を大臣は発揮していただきたいと思う。  そこでもう一つは、私はこれはひが目じゃないんですけれども……。
  432. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ちょっと。公式の席でございますから、またあやまるようになると悪いので申し上げておきますが、いま定年制はないわけでございますが、現実的には定年制が勧奨退職ということであるわけですから、そういうことをひとつ申し上げておきます。これは言わずもがなでございますが……。
  433. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 横川君、お含み願います。
  434. 横川正市

    横川正市君 私は、もう一つは、やはり司法関係はある程度一つの体制というのが整っていると思うのですよ。それから立法府も。これはあるお役人さんは、十七世紀とか十八世紀とか言った人もおりますけれども、まあまあその一つの体をなしていると思うのですね。ただ、行政がやはりいろんな意味でこの二つの関係よりかやや見劣りするのは、もう少しはっきりとした自分保障をしておく必要があると。単に給与上とか、国会の最高権力者に対して弱いとか、そういったことをひが目で言うわけじゃありませんけれども、もっとやはり身分というのをぴちっとして、そして、その自分のやったことには責任をとって一歩も退かない、首などにならないと、こういう体制をとっておくことが、三権分立の中のそれぞれの分野の責任を果たすものだと思うのです。それを固めていく必要がやはりあると思うのです。同時に、そこまでいくのになかなか時間がかかるが、ここだけはひとつ総理大臣検討していただきたいのですが、予算は一ころから見れば五倍、六倍とふえておりますね。会計検査院の能力というのを見ますと、その当時から比べると、ほとんどその現状維持で来ているわけですよ。それで私は、予算と人がないからやれませんよという逃げ口上で大切なことがおろそかにされるということは、これはもういかぬと思うので、いろいろ申し上げたいことばありますけれども、会計検査院を特別職にしたらどうか。もちろん、それに伴って予算その他が伴うわけですが、そういう措置をぜひやるように、前向きで検討してもらいたいと思いますが、どうでしょう。
  435. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 会計検査院の重要性は、もう申すまでもないことでございますが、現実は非常にじみな仕事でございますので、会計検査院というものに比較的志望者がないということで、これは人員確保に困っております。これはあなたがいま指摘されたように、特別職にしたらどうかという問題もありますが、これは警察官のような処遇をするということも一つの考え方でありますが、私は、現時点においてすぐ会計検査院を特別職にするということは解決の道にはならないということで、現実問題としてこれはなかなかむずかしい仕事でありますし、まあ具体的問題についていろいろ意見を徴しておるのでございますが、国税庁の職員で非常に優秀な人たちが地方に出ていくわけです。そういうことで、まあ国税庁の係長以上とか、能力は十分あります。それから大蔵省にもそういう人たちは非常に多いわけであります。そういう意味で会計や経理というものが十分知悉しておるという知識を必要としますから、そういう人の中でもって人事交流ができないかと。それでまあ、そういうものをまず第一段に考えようということで、会計検査院の強化ということに対しては全く同感でございます。
  436. 横川正市

    横川正市君 まあ、いまの問題でも幾つかのこまかな問題を提起いたしますと、一ぱいあるわけです。ですから、きょうはそれを申し上げません。検討していただく段階で、目的はいまのいろんな、その構造的な一つの体質を、これをチェックするのは会計検査院だけですから、そういう意味では検査院の強化をしていただくように、お願いをいたしたいと思います。  それから次は、いま当面差し迫って、この間は連休法案が通ったわけですね。で、国民に全部レジャーで遊べというわけじゃありませんけれども、まあ世界の趨勢で、大体週休二日制というのが、これはもう常識になってきているわけですが、日本の場合の各官庁でですね、私はこの間、郵政の各局に週休二日制をやるプランを書いてみたらどうかと言ったんですが、いまのままじゃ書けないんですよ。やはりこれはもう、相当の本腰入れてですね、その対応策をとっていかないと、いまのままのお役人さんに自分の所管の中で週休二日をやりなさいと言っても、これはやれない。それからもう一つは、民間企業も同じ状態だと思うんですね。ナショナルとか、ああいうところはもうすでに実施しておりますが、系列的に小さな企業は、これはまあできないわけです。ですから、これをやるための政府の心がまえ、これをまずひとつお聞かせしていただいて、それから、そのあと個々にひとつお聞きいたしていきたいと思います。
  437. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) お答えいたします。  週休二日制の問題は、労働省でもこれはもう目玉商品でありまして、民間のほうは、よそよりは実績がだいぶ推進いたしております。ただ問題は、公務員、官公庁でありますが、これは先ほどの答弁でも総理が答えたように、やはりこれは同じ勤労者でありますので、この点も考えなくちゃならぬのでありますが、やはり民間の部門のこれが実施の状況を勘案して、公務員は国民の奉仕者でありますので、その情勢を勘案して今後これが実施に、具体化に移りたいと思います。そういう意味で閣内でも関係閣僚の懇談会を開いて、いろいろな、銀行の場合には銀行法を改正するとか、いろいろな問題もありますので、ばらばらでなく統一した方向で検討中であります。
  438. 横川正市

    横川正市君 通産大臣、この週休二日制の余暇産業のミニマム作成というのは、これはどういう構想なんですか。見出し見て、内容ちょっと見たのですが、ちょっと理解ができない点がありますから。
  439. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 通産省は週休二日制を推進しておるものでございます。  それから、それにつれて余暇をどういうふうに活用したらいいか、また、それが産業面とどういうふうにかかわってくるかということで、余暇のセンターをつくりまして、前通産事務次官が理事長になりまして、役所とも緊密な連絡で研究をやっているわけでございます。それで、いま横川委員おっしゃいましたように、週休二日制をつくる前提としてのいろいろな検討が要るわけです。一体、余暇というものがいまの日本にあってどういう機能を発揮するか、また、余暇を活用するためにはどういう資金的な背景も必要であるか、いろいろな面が必要でございますので、その検討をやっているというわけであります。
  440. 横川正市

    横川正市君 総理大臣、この「物価対策を需要抑制だけに限るな」という社説の中に、総理大臣が個人消費について抑制をする必要があるという意見を申し述べたということになっておるわけですが、これはどういう理由でしょうか。私はこう思うのですね。家とか土地とかほしいが、そこまではいかないが、まあ車ならば何とかなるから車にという車族ができる。ところが、車まで行き着かない者は日常の消費で幾らか慰めてるということで、究極のところへ行かない中途はんぱというものがいまの消費の中に一つの流動性みたいなものを持っているんだろうと思うんですよ。ですからこれを、たとえば資金的にいえば目的を達せられるようなかっこうのもの、それは一例をいいますと、たとえば役所で夫婦共かせぎの者は、奥さんの給料の七割くらいを投入すると土地と家というものをローンでもって買う能力を持つんです。ですから、いまの給料というのが本人の給料プラスアルファ——七割くらいいきますと究極の目的を達せられるような状態ができるわけです。ですから、これはまあ大蔵大臣に、たとえば個人の持っている土地五十坪とか七十坪とかいうような坪とか、あるいは平均的な建坪二十五坪というようなものにこれは課税をしないという、その方針を出すと。そういうことである程度の資金の蓄積が可能な状態にしておいて、中途はんぱでない目的を持たせるというような施策があってしかるべきだと思うんですけれども、この点はどうでしょうか。まあひとつ大臣、総理大臣とお答えいただきたい。
  441. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) その問題はいつも出るのでございますし、今度の宅地並み課税の特例にもそういう、それに近い思想まで路み切っております。しかし、権衡を失するという問題が常に出てくるわけです。二十五坪というものであるなら、これは住宅を供給するためにはどうしてもそういう優遇措置をやらなきゃいかないんですが、そうすれば二十五坪以下自分でつくったものに対して全部免税すべきであります。そうならなきゃ不公平であります。あたりまえのことであります。ですから、その政策が非常にむずかしいんです。ですから、これは諸外国の例を見ますと、借家とか労働者住宅とか低家賃住宅に対してそうしておるわけです。ですから、個人の所有にかかる財産権に対して特例を設けておらないんです。これはイタリアが労働者住宅をつくったときには国有地を無償で提供する、生保、損保の剰余金は労働者住宅以外に使ってはならない、また、かわりに企業を保護するために固定資産税は二十五年間免税する、これは非常にその意味では正確なわけであります。いまニューヨークのマンハッタンの首の部分の改造をやっておりますが、これは不良街区の指定はシティがやります。そうして、その一時立ちのき先は公営住宅を提供するわけであります。で、公営住宅に居ついてもよし、そうして、改造後のところに帰ってきてもよろしいという条件のもとにやるわけでありまして、そうして、その土地は、土地等取りこわしの費用は、連邦政府が三分の二とか、それからシティが三分の一とかということでやって、日本ではその価格を全部安くすると会計検査院に指摘されるわけですが、そうじゃないのです。これは国やシティがやると非常に金がよけいかかりますから、この価格を最終的な家賃から逆算をしてきて、価格でもって何分の一かという安い価格で民間デベロッパーに提供いたします。そうして、規格の建物を建てさせる。家賃は低家賃で水準はおさまると、こういうことになっているわけです。ですから、そういう職住の近接という政策を進める過程において、これは自然移転をするときには子供が二人のときと五人のときと違うわけでありますから、そういう政策を前提としてのことでなくて、個人住宅にすべてやるということになると、恩恵を受けない人はどうするかという問題が起こってくるので、そういう問題をいま裁量しまして、可及的すみやかにいわゆる都市の住宅不足に対してはどう対処するかという、ばらばらな問題を、ひとつ国土総合開発法案を出しておりますから、そういう面に対してすべてのひとつ調整を行ないたい、こう考えております。
  442. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 御案内のように、現在も持ち家住宅取得の場合の経費と申しますか、それらについて税額控除を三年間にわたってやっておるというようなこともやりまして、相当の成果はあがっているように思いますけれども、全部が全額、二十五坪なり五十坪全部家ぐるみ税をかけないということは、ちょっと、ただいま総理も言われましたように、権衡の問題その他であると思いますが、今後ともその持ち家住宅の拡充については、税の面でも、あるいは住宅ローンというような金融の面でも、いろいろの角度からお世話をしていくべきであるし、また、それらの点については、相当今回の予算あるいは金融政策の上でも考えているところでございます。
  443. 横川正市

    横川正市君 先般の参議院の総括で上田委員から質問をいたしました北富士の入り会い権問題ですが、これは、青森県の屏風山の入り会い権については最高裁の判決が出て、それは尊重するということになっているわけです。北富士の問題は、四月の三日に使用転換されて、あすからか、それが実行に移るそうですが、当時約束をされておりました入り会い組合の人たちとは、詳細な何といいますか、話し合いをやらないで、紛争は紛争のままで、いわば返還協定の発効を見る、そういう不幸な事態になっているようなんです。私は、立場を違えますから、根本問題についてここで掘り下げようとは思いませんが、ここの場所で約束をされたと思われるものについて不履行なことをやられることは、これは非常に困るわけですね。そういうことは政治不信につながるわけですから、幾らか使用その他を延ばしても、いろいろ話し合いをしたその上で実施をする、こういう、約束事は約束事で守るという姿勢をとるべきだと思うんです。この点で、この北富士問題がどうしてこういう話し合いをせずに実施に移されたのか。これからもその点について十分ひとつ現場の人たちの納得のいくような努力をするのかどうか、このことだけを一つ質問いたしておきます。
  444. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 北富士の問題につきましては、地元の富士吉田市、山中湖村、忍野村、それから北富士演習場対策協議会というふうなところとは十分に協議いたしました。それから、入り会い組合が九つあるわけでございますが、そのうち八つまでは大体話し合いがそこでついたわけでございます。一つの旧忍草村入会組合というこの組合とは十分に話し合いがつかなかったことは、御指摘のように事実でございますけれども、これにつきましても、ぎりぎりの時間まで演対協を通じ、今後の林雑補償のあり方も含めまして、いろいろ協議をしたところでございます。それで、私どもとしては、全部について御同意をいただくわけにいかなかったことは非常に残念でございますけれども、その点につきましては、大部分のところとは協議ができたというのが実情でございます。
  445. 横川正市

    横川正市君 私は、先般も言いましたように、国民とのコンセンサスがなくて防衛庁の存在理由というものはないわけですから、多数決でものごとをきめられて防衛が完全に全うできるなどということはないので、この点を、実施する側が十分心がまえとして持っておらなければ、国損、国費のむだ使いになると思うのですよ。だから、そういう努力をしていただきたいと思うのです。  それからもう一つは、この立川、これは防衛施設庁ですか、やはり。立川の市で先般いろいろ問題がありましたが、それとは別個に、基地を利用して市民祭を実施しよう、こういうことで基地使用願いというのを市、長から出しましたところが、米軍のほうからいろいろな条件をつけてきているわけですね。私は、これはどうもふに落ちかねることなんですが、たとえば市役所とか観光協会とか、商店連合会とか商工会議所、これくらいは一応理解できますか、警察、消防署、自衛隊、青年商工会議所、こういう人たちと話し合って協賛ができなければ貸すわけにはいかぬという、司令官からの返事が、トーマス・ベビビーノというのですか、空軍中佐から来ているわけなんですけれども、これは、基地を貸す貸さないに司令官から市の側へ条件を付すということもおかしいし、その条件の中に個々の固有名詞を使ってくるということは、非常におかしいことをやっているもんだと思うのですが、実際上、こういう事実について防衛庁では御案内でしょうか。それとも、何らかの形でこの問題を早期に解決をして、市民側が要望する市民祭の会場として基地を使わせてもらいたい、このことの要望にこたえられるようなあっせんをしていただけますか。  同時に、もうこの立川の基地というのは、既成事実としては返還をされて、立川市の便宜に供与しようという意思表示を防衛庁はしているわけですね、三年なら三年の後ですか、五年の後に。そういう基地で、事実上米軍が使っておらないということも事実なんですから、この点も踏まえて解決をするように努力をしていただきたいと思いますが、この点をお聞きして私の質問を終わります。
  446. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) いま御指摘の点は、今度の五月二十七日に実施予定の大立川祭り、市民祭、これに米軍の基地を借用を申し入れたところが、米軍の司令官から、四ヵ条ばかりの条件と申しますか、そういうことについて回答が来た。で、いまこれをどうするかということで問題になっているわけであります。  これは従来から立川市と米軍との共催という形でずっとやってまいっておりました。ところが、昨年、立川市が米軍との共催という条件に難色を示して、ついにこれが実施ができなかったという経過がございます。本年についても立川市から、市長から申し入れましたところが、その日、基地を貸すことについては異存はないけれども、四つばかりございますが、突き詰めて言いますと、結局、米軍が日米親善のために立川市と共催でやるということでやってくれないかと、米軍としては、目的はあくまでも相互の友好関係の増進だと、それで立川市民と立川基地軍人及び家族との間の相互理解をより深めるためにお貸しするのだと、そういうことで、いまそれを申し入れているわけでございます。私どももそれを聞いておりまして、まあ何とか話のまとまるように東京施設局あたりが少し話をあっせんしてみたらどうかと、こういうふうに思っております。最近の状況から見て、不測の事態ができるということも多少米軍としては考えてはいるようでございます。  それから、立川基地はもう使ってないという御指摘がございましたけれども、使ってないのは飛行場の滑走路の地域でございまして、西地区にも束地区にも米軍はおります。そういう状態でございますので、まあ現在まだ米軍の管理下にある、こういう形になっておりますので、この辺はひとつ何とかお互いに話し合いのつかないことではないと思いますので、私どもとしてもひとつあっせんをしてみたいと思っております。
  447. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これにて横川君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  448. 大竹平八郎

  449. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最初に、外務大臣はあしたおられないそうでございますからお伺いしたいのですが、六日に二十トン、そうしてなお九日に五十トン、汁七十トンの弾薬が池子の弾薬庫へ大量に職人をされておりますが、これについての報告をひとつお願いしたいと思います。
  450. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) その事実は聞いておりまして、池子弾薬庫というのは、地位協定第二条第一項(a)の施設でございまして、米軍が右施設を使用することは自由であるたてまえになっております。米軍が今回のごとく、米軍所有の輸送車で弾薬を輸送する場合、公共の安全を確保するため日米合同委員会の合意に基づきまして、米軍が順守すべき一定の手続が定められておりますが、今般の弾薬輸送にあたりましても、その手続を踏んでおるわけでございまして、手続上手落ちはないのであります。しかし、御指摘のように、今回の弾薬輸送につきましては、これが突然再開されたことでもございまするし、地元の方々が不安を抱くことには十分理解できますので、政府としては、米側より弾薬輸送を再開するに至った事情等を目下聴取中でございます。
  451. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、当委員会での質問の際に、わが党の矢追委員から、池子の弾薬庫から川上の弾薬庫へということになっております。そういうのに、どうして搬入されたのか。非常にそれはふしぎに思うわけなんでありますが、その点はどうでございましょう。
  452. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) この前御説明申し上げましたが、池子弾薬庫は海軍の管理する弾薬庫でございます。従来、前は米陸軍が管理する弾薬庫でございましたが、それが海軍が管理する弾薬庫になった。そこで陸軍は、そこの池子の施設の一部を陸軍の川上弾薬庫に移したと、こういう経緯でございます。
  453. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、外務大臣、問い合わせ中というのですが、大体その意図については何にも連絡なかったわけですか、どういう意図なのか。
  454. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 与党並びに野党の先生方からも御注意がございまして、外務省といたしましては詳細にアメリカ側に事情を究明中でございます。ただいまの段階で、私はまだ詳しい情報を手元に持っておりません。
  455. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 では次に、中国との遺骨の引き取りの問題でありますが、政府が、厚生省、外務省に早期実行するように指示をされております。それについて、その方法あるいは日程、随行人員、あるいは諸行事、こういうことについてはどのようにきめておられるか、言っていただきたいと思います。
  456. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) お答えを申し上げますが、中国紅十字会が保管いたしておりまする日本人の遺骨は八百九十九柱でございます。なお、政府が伝通院に保管方を依頼しておりまする中国人の遺骨が十一柱でございます。そこで、日本人の返骨の引き取りと中国人遺骨の送還につきましては、できるだけ早く実施するという方針をきめて、すでに中国側とも話し合いを始めておりますが、国内にありましては外務省、それから私どものほうの厚生省、日赤、日中友好協会、そういう関係団体とどういう方法でそれを実現するか、目下相談をいたしておりますが、大体時期的には、今月末から五月の上旬にかけてこれを実行いたしたいと考えております。官房長官からのお話もございましたので、航空機を利用いたしましてこれが実現をはかるということで、四月末から五月上旬までということで、目下、相談をしておる次第でございます。
  457. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはそういうふうに特別機を仕立てて引き取りに参る。向こうへ着きまして、天汁で引き取って直ちに引き返すのか、それとも、現在日本にある中国人の遺骨十一体、それを引き渡す際に慰霊祭を向こうでやったほうがいいのか、やるような計画はないのか、その辺のところ。その場合には、当然二、三日は逗留しなければならないだろうと思うのでありますけれども、どういうふうになっているか、その一画を厚相に聞きたい。
  458. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) その計画につきましては、具体的にはまだ決定をいたしておりません。一往復でするか、二往復にするか、一往復ではちょっと無理だろうといったふうなことでいまお話し合いをいたしております。遺族の方々とも相談いたしまして、具体的な計画をできるだけ早くきめるようにいたしたい、かように考えております。
  459. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 慰霊祭の件はどうなんですか。
  460. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) そういう問題も含めて目下相談中でございます。
  461. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま一つは、フィリピンのルソン島でのサンバレス山糸ビナツボ山ですか、ここから——本日私は会ったわけです、遺骨収集をして帰ってきた方に。先月の二十三日マニラから帰ってきております。この方々の声では、政府は一度しか行っていない、何としても行ってはしい、われわれの民間だけの力ではとうてい取り切れないほどあるということを言われているわけであります。その点、いかがお考えですか。
  462. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) ルソン局におきまする遺骨収集につきましては、今日まで民間の方々にも非常に御協力をいただいております。政府としても、今日まで、出向きまして遺骨の収集に努力をいたしてまいりましたが、ルソン島全部でございますと、まだ一万七千二百柱きり収骨ができてないわけでございます。そこで、本年度の計画におきましては、遺骨収集にできるだけ力をいたそうということにいたしてございまして、ルソン島にも遺骨収集につきましては大体四千二百万円ほどの金を出しまして、大体、ことしの秋ごろ実施いたしたいと考えております。  で、なお、この遺骨収集につきましては、冒頭に申し上げましたが、民間の方々の非常な御協力お願いしなければならないと考えておりますので、民間の方々の御協力もいただいて、秋ごろ実施をいたしてまいりたいと、かように考えておる次第でございまして、目下、計画を相談中でございます。
  463. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、総理大臣、パラオ島のときはだいぶぐあいの悪いことがございました。パラオ島の遺骨収集の場合は現地に不信を抱かせるようなことがあったということを聞いております。そういうことがあってはならないし、といって、数多く眠っている遺骨は収集しなければなりません。それはもう政府としても積極的に取り組んでほしいと思うわけですけれども、その点のお考えを伺いたいと思います。
  464. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) もうすでに戦後災い年月がたっておるのでございますので、遺骨収集を急がなければならないということは、予算編成のときから強く指示をしておるわけでございます。で、遺骨収集ということで過去に御指摘のようなことがございました。請負制度のような感じで、人の墓まで掘ってくるというような、非常に悲惨な、日本人として恥ずかしいような問題もございましたので、やはり民間の協力が絶対必要であります。また、親とか親類縁者とか友人とか、そういう方々の情熱や愛情というものが必要でございますが、やはり政府側がついていくとか、そういうことでないと、えらい現地にマイナスを起こすというような問題もあります。そういうことに対しては慎重な配慮を続けてまいりたいと、こう考えます。
  465. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあ、いまの問題、これは積極的にお願いをいたしたいと思います。  次に、特に繊維問題の中で毛糸の製品の問題、価格の問題、こういう問題について伺いたいんですが、現在、セーターなどのようなニット製品、あるいはメリヤス製品を製造しているところの現状、これは非常に毛糸の価格が上昇してきております。この点、実態をどういうふうに掌握をなさっておりますか。
  466. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一時、八百円程度のものが三千円を突破いたしましたが、しかし、最近は大体在庫の状況がわかってまいりまして、年間二百五十万俵ぐらい消費する輸入のものが、ことしは二百八十万俵以上入っておる。そういうことで、商品相場においては反落に転じてストップ安になりまして、二千五百円程度にいま落ちてきております。この状況が続いていけば、次第に鎮静してくるものと思われます。
  467. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 はっきり申し上げて、二次製品の加工業者は、二千六百円で買っているのもあれば、あるいは千七百円程度で買っているのもおります。そのために非常に高い糸を買わなきゃならないわけです。この糸が上がった原因というのは、一体何に原因があるのですか。
  468. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 毛糸価格上昇の基本的原因は、価格の約七〇%を占める原毛の大幅値上げによるものと思われますが、これを助長したものとして、金融緩和を背景とする商品取引所における一部の過当投機等もあると思われます。  それから、原毛価格の上昇は、また一面、世界的な天然繊維の見直しによる需要の増大、それから豪州産毛糸が大幅に減少したこと——約一〇%生産減がありました。こういう国際的な要因にもよるところがあるので、そのために上がった部面もございます。
  469. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 原毛価格のことをいま言われたのですけれども、それは、通産省が本委員会に出した資料、これを見ておりますと、四十六年一月で一キロ当たり百四十八セントのものが、四十七年一月は百五十一セント、これはあまり変わらない。ほとんど変わらないのが、四十七年二月に百七十七セント、そうして十月以降三百五十二セント、ことしの三月十五日には五吾八十五セントというふうに、こう上がっているわけです。それ以後まだ上がっておりますか。
  470. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 三月二十七日に五百九十五セントを記録しましたが、その後二十九日には五百五十五セント、四月三日には四百四十五セント、四月五日には三百八十セントまで急落に転じました。
  471. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この原因ですが、日本の商社が現地でもって商社同士で落札をするために値をあおっていると、こういうことがいわれているのです、が、どうなんでしょうか。
  472. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一部そういうところもあるのではないかと思われますが、ソ連その低かが買い付けに転じてまいりまして、そういう思惑も入ってきたのではないかと思われます。
  473. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは日本の商社同士の争いが激しいので、ほかの各国の商社は手を引くような相場にまでなったということが伝えられているわけです。また、そういうことがテレビでも報道されております。その点の準備はなさっておられませんか。
  474. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういう傾向もあったと思います。しかし、私が聞いた話では、国際的な供給量の不足のために、日本が買い出動したあとソ連等がまた買い出動に出て、ソ連等が日本よりも高い値のものを買わされた、そういうことも聞いております。しかし、最近の情勢は情報を得ておりません。
  475. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 豪毛の買い付け高と通関高、これは通産省と大蔵省と両方から、ここのところの約一年間ぐらい、言っていただきたいと思うのですが。
  476. 半沢治雄

    説明員(半沢治雄君) お答えいたします。  四十七年はおおむね二十万俵前後で賢い進みまして、四十七年合計二百四十四万俵でございます。なお、四十八年一、二月で五十一万俵買い付けております。
  477. 森谷要

    説明員(森谷要君) お答えいたします。  最近の通関実績でございますが、四十七年の九月に二万九千八百五十一トンでございました。これは金額にいたしまして三千九百八十一万七千ドルでございます。それが、ごく最近の四十八年の二月でございますが、通関のトン数で二万五千六百八十九トン、金額にいたしまして五千五百十一万九千ドルということになっております。
  478. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 通関高は、昨年一年間は何方俵になっておるのですか。
  479. 半沢治雄

    説明員(半沢治雄君) 輸入通関で申しますと、二百八十二万六千俵でございます。
  480. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 昨年一年の賢い付けが二百四十四万俵で通関高が二百八十二万俵と、四十万俵も多く入っている原因は何にあるのですか。
  481. 半沢治雄

    説明員(半沢治雄君) 先ほどお尋ねの買い付け商はオーストラリア——豪毛でございまして、これが二百四十四万俵でございます。通関高は全世界からの通関量でございます。
  482. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 豪毛の通関高を最初質問したんですよ。
  483. 森谷要

    説明員(森谷要君) 四十七年の通関高でございますが、俵数では、数字は現在手持ちしておりませんが、トン数で申し上げます。四十七年は三十万四百六十四トンでございます。なお四十六年は二十六万三千九十一トンでございます。
  484. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあ通算で換算すると、通関高が二百二十二万俵、買い付け高が二百四十四万俵ということで、大体二十万俵程度の差があるわけです。二ヵ月ぐらいずれてきたとしても、やはり二十万俵ぐらいの差があると思うのです。特に十月、十一月は二十八万俵、二十五万俵というものが賢い付けられていながら、入ってきているのは、月をずらしてみても十九万俵程度しか入っておりません。どうしてこうなっているのか、豪州でもって在庫をさせているのではないかという疑いがあるのですが、その点はいかがでございますか。
  485. 半沢治雄

    説明員(半沢治雄君) 一つは、買い付けから通関までのタイムギャップがございますのと、もう一つは、通常一ヵ月程度の在庫は通常の在庫として手持ちしているようでございます。
  486. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 通関ギャップを見越して私は言ったんです。それでもまだ二十万俵以上ということになると、ちょっと大きいんではないかということが考えられるわけです。特に、二ヵ月で五十何万俵貰い付けて三十万俵しか入ってないんです。これはちょっと考えものじゃないかと思うんですが、その点の掌握は、はっきりできないでしょうか。
  487. 半沢治雄

    説明員(半沢治雄君) 買い付け量につきまして、現地在庫の掌握は、遺憾ながらできておりません。また、非常に困難かと思っております。
  488. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、通産大臣、その点に一つあるんではないですか。非常に業者のほうで疑問に思っております。毛糸が入手困難と業者が思っているのは、原毛での豪州での買い付けそのままの在庫があるんではないかという、疑いの声が非常に強いわけです。何らかの方法で調べる必要があると思うんですが、御意見を伺いたいと思うんです。
  489. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは、やはり商社の協力を求めて、買い付け業者に対していろいろ調査をする、そういうこと以外にちょっとできないと思いますが、必要あらば、そういうふうに協力を求めて実行してみたいと思います。
  490. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま一つ、あぶらつきの羊毛、これは日本に入ってきてからのものでありますが、その在庫高はどういうふうに移り変わってきているか。特に、紡績の会社にあるもの、及び商社にあるものと、その在庫局の推移を伺いたいと思うんですが。
  491. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 本年一月末のあぶらつき羊毛の国内在庫は二万九千三百八十トンでございます。これらのうち、紡績業者の在庫は全体の八四%、二万四千六百六十四トン。商社在庫は全体の一〇%、二千九百七十五トンであると考えられます。
  492. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは例年の例月に比べてどのぐらいの差がございますか。
  493. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昨月一月に比して紡績業者の在庫は五八%増し、両社在庫は約二・五倍となっております。
  494. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはやはり、価上がり待ちをしているという、値上げの原因にもなっているんじゃないかと思うんですが、なぜ、こんなに多く在庫しなければならないか、その理由は何でしょう。
  495. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昨年が不況であることによって、本年の在庫が相対的に大きく見えるということと、それから商社は取引量に比して在庫量そのものが小さいので変動幅が非常に大きくなりやすい、統計が在荷主義であって、必ずしも商社の所有でないものもあることが考えられる。そういう点からいいまして、必ずしも商社の買い占めと断ずることはむずかしいと考えられます。
  496. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは梳毛の紡績業者、いわゆる糸を紡ぐところで、昨年より五割以上のあぶらのついた羊毛をかかえている。商社が二・五倍の羊毛をかかえている。当然、買い占めと同じ効果をあらわしてきて糸が高くなってくる、こういうことになるんではないかと思うんですが、そういう影響はないんですか。
  497. 半沢治雄

    説明員(半沢治雄君) 原毛から梳毛を、毛糸をつくるわけでございますが、毛糸の生産状況を見ますと、四十七年は前年に比べまして一〇・八%の増加になっております。同じく輸入を見ますと八八%の増加になってございます。他方、需要を見ますと、内需の需要増加が一四%程度、これを実数で見てみますと、ほぼ需給は均衡しておるわけでございまして、原毛から梳毛につくります際に、それが不足するという事態はないと考えておるわけでございます。
  498. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは不足するわけがないですよ、昨年より五割以上かかえていれば。その論議は別にしまして、もう一つは、いわゆる梳毛糸というのですか、毛糸でありますが、その期初めというのですか、その在庫が、これは本年の一月で二万一千九百三十一トン。例年とほとんど変わっていない。  ところが、このように例年と変わらないだけの在庫がありながら、しかも生産もほとんど変わりがありません、例年と。しかし、二次製品を加工するところでは、その毛糸の入手が非常に困難で、先ほど申し上げたように一キロ八百円のものが一キロ千七百円とか、二千六百円という糸を買わねばならない。しかも、お金を出しておかなければ、あるいは押えておかなければ工場を動かすことができなくなるというような状態にまでなっておりますが、これは供給が間に合わない原因なのか。一体系になってからどこへいっているんでしょうか。その点はいかがでございましょうか。統計の上からだけではわからない。
  499. 半沢治雄

    説明員(半沢治雄君) つくられました毛糸は、それぞれ需要先に引き渡すわけでございますが、引き渡しの状況を見ておりますと、自家消費あるいは賃機、市販用その他を含めまして十四万六千トンの梳毛糸が引き渡されておりまして、前年に比べましてやはり八・七%と、引き渡し量も前年よりかなりふえておるわけでございます。
  500. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ただ引き渡し量がふえていると言っても、実際は、大臣、業者は買えないのですよ。だから高い糸を買わなければならないのです。それが製品にはね返ってこないということはないわけですから、上がれば当然製品は三倍ぐらいの、セーターでも何でも値段をつけなければならなくなるわけです。これではもうたいへんな脅威になると思うのです。紡績の生産があまり変わらない。そういうことから足らないのか。供給不足という面は何かということなんです。いまのでは、足りていると言うけれども、現実には業者には糸がないわけです。この点はどういうふうにお考えでございましょうか。
  501. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 二次加工品について状況を見ますと、四十八年一月末は、前年同期と比べてみますと、軽紡績業者が八四・八%、軽織物業者が八九・三%、メリヤス業者が二一〇・八%、織り糸の卸商が一七・四%、手編み糸の卸商が一〇〇・六%。こういう状況を見ますと、実際は卸商とか、そのほかにかなりの在庫がある。そして織物をやっているところに八〇%、八四%とかいう程度でありますから、在庫が少し不足している。これは数字でも目に見えてきております。このように在庫を増加させるということは、毛糸メーカーに対して実需を上回る需要を引き起こして、現品高、現品不足の原因ともなっております。  しかし、一たび暴落等の事態に至ったときには、在庫価値の下落を招いて中小企業は損失をこうむるおそれがある。そういう状況でありますので、これを平準化する必要があると、そういうふうに感じます。
  502. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 平準化の方法はあとで伺いますが、今回のことで、二次加工メーカーが原糸が買い付けられない。糸が買い付けられないということで、倒産状態や倒産になっておるのが出ております。そういうことを聞くのでありますけれども、その辺の状況はおつかみでございましょうか。あったら知らしていただきたい。
  503. 半沢治雄

    説明員(半沢治雄君) 代表的な二次加工メーカーでございます既製服あるいはメリヤスについて、私ども倒産の状況等を調べておりますと、四十七年は既製服の場合七十七件、約三十七億。四十六年の九十件、六十億に比べましてかなり減っております。なお、本年に入りましても一、二、三月を通じまして二十二件程度でございまして、これも昨年の同期よりも減っておるわけでございます。メリヤスの縫製業界におきましても、ほぼ同様の傾向にございまして、ただいまのところ、原料高あるいは原糸不足のために倒産に追い込まれたという事態はあまり聞いておらぬつもりでございます。
  504. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、大臣、よく聞いてほしいんですが、一方で、先ほど申し上げたように、糸を買っておかなければ操業はできなくなるわけです。そこで、いま大臣の答弁にありましたように、原料高の商品安、そういうかっこうにならざるを得ない。高い糸を使って高い値段で売るといっても、消費者がついてくるとは限らないわけです。そうすると、問屋から必ず返品されてくる、こういうことになります。返品されて、今度の交渉は値引きにするか投げ売りにするしかない。糸でもって返すわけには、染めてしまったり織ってしまったものは、どうにもならないわけですね、そういうことがある。いまそれだけじゃないんです。工賃が四十七年に三千円から三千五百円の日当だったものが四千円から五千円にはね上がってきている。染め代が二割から三割昨年の春から上がっていますよ。それからダンボールの箱が、百六十円ぐらいのものが二百二十円になって四割高。ビニールの袋もない。ミシンの糸もなけりゃ貝のボタンもない。こういうようなことで、状況としては最終的には、問屋のほうに押しつけるわけにもいかない、糸を紡いでいるほうに、紡績のほうに押しつけるわけにいかない、結局、中小企業の二次製品加工業者というのが倒産せざるを得ない状況に追い込まれていくんじゃないか、こういう状況にあるんですけれども、その点、実情をどう見て、どうなさろうとされていらっしゃるのか。
  505. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 通産省に来ておりまする報告によりますと、倒産状況は例年程度の数字でございまして、まだ特に著しく大きくなっているという状況は来ておりません。しかし、いずれにせよ、実情を詳細に調査いたしまして、幕舎の調整とか、行政指導でできるだけのことをやっていきたいと思います。
  506. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 需給の調整というけれども、一方で高く糸を仕入れてしまっているんです。で、もうすでに五月、六月、七月と、あるいは九月ぐらいまでの糸を買ってあれば、その製品ができてくるわけです。高い糸で買っているのが、今度は安い製品で売らなければならないということになるわけです。いま出ていないけれども、これから先、これは目に見えてくるような感じがする。その行政指導というのは、どういうふうにおやりになる予定ですか。
  507. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 金融その他の措置によって、ささえられるように、あんばいしてやりたいと思います。
  508. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、総理大臣、こういうような問題ですね、契約した糸でさえも、安いときに契約した糸でさえも、その日になると商社のほうからキャンセルしてくれてもけっこうだから買わないでくれというふうに言われるわけです。こういう状況で、これは繊維に限らず、いろいろなところにあるだろうと思うんです。私は毛だけを調べたので、こういうことがわかってきたんでありますけれども、こういう谷間に入っていく中小企業の問題、これは非常に大きな問題だと思うんですが、どういうふうにお考えでございましょうか。
  509. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御指摘の話はよくわかりますが、商行為全部きめこまかく手が届くわけはありません。しかし、いま御指摘のあるようなものについては、中小零細企業に影響が起こらないように、できるだけ通産省が努力をして、業者の指導を行なうということをやってまいりたいと、こう思います。
  510. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 原毛の場合も豪州にどうもあるような感じがします。また原毛で入ってきたあぶらつきの羊毛も、紡績メーカーのところや商社に昨年より多い。また糸にひいたものも、同じように、毛糸が商社とかそういうところに多い。こういうことで、実際の製造しているところに非常に高い値段で入ってきて、事実はふだんのときの三倍、四倍という値段になっているというこの実情、これはほんとうに、おざなりでなく考えてもらわなければいかぬと思うんです。  それはそれだけにしておきますが、先ほどいろいろ金融の問題等のことを言っておられましたので、その点について伺いたいんですが、輸出関連中小企業緊急融資制度要綱、これが三月十六日付で中小企業庁から出ております。この中小企業金融の実態を見ると、融資限度が二千万円、そうして特利——特別の利子ですね、その限度が五百万円で、それをこえた分については、その半分までが特利の六・二%で見ると、しかし、その限度は一千万円であると、こういうふうにあるわけです。これは少し特利が低過ぎるんではないか、特に特利の限度が低過ぎるんではないかと、こういうふうに思うわけですが、その点はどうでございましょうか。
  511. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 特利の適用限度は、これを前回と比較してごらんいただくとよろしいかと思いますが、前回は三百万円までが全額の特利で、これをこえる貸し付けの三百万円超の部分はその二分の一、合計で特利部分の限度が千万円までと、こうなっておりましたが、今回はその三百万円までというのを、五百万円まで全額特利にしまして、これをこえる貸し付けの五百万円超の部分はその二分の一、合計で特利部分の限度を千万円までといたしました。  これは、特に小規模企業の金利負担の軽減を重点的に配慮した趣旨でございますし、貸し付け金額が千五百万円の場合で三分の二、それから最高限の二千万円のもので二分の一と、特利の割合は額が多くなりますと逓減いたします。しかし、優遇はそれだけ受け得るわけでありますし、前回の実績等から見ても、この程度が私は適切なところではなかろうかと、こう考えておる次第でございます。  それからなお、ついでに申し上げますが、前回のドルショックのときの平均の貸し付け額が、国民公庫では二百二十四万円、中小公庫が千百二十七万円、商工中金が千百二十二万円。それから前回の年六分五厘が今回年六分二厘と、こうなっておりますことは御承知のとおりと思います。
  512. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 実際は、窓口やなにかでは、何番の抵当でもけっこうですと、こう言いながら、中金では根抵当をつけなければいけないということが言われるんですね。この点は御承知でしょうか。
  513. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 根抵当については、取引が反復して行なわれる、そういうことが予想される融資先につきまして、相手方が希望する場合に限って、これによることとしておりますので、これを強制するというようなことはないと私は承知いたしております。
  514. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大蔵大臣、そうおっしゃるんですけれどもね、強制じゃないと言うんですが、実際中金のほうからつけろと言われるわけですよ。何番でもいいという説明はありながら、現実の場合になるとつけろと言われる。御希望すればというんじゃなくて、御希望させられちゃうんです。そういう感じがあるんです。十分それは指導してほしいと思うんですが、どうですか。
  515. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、私としては、さように承知いたしておりますが、なお御指摘のようなことがあれば十分注意をいたしておきたいと思います。
  516. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この問題で県の保証協会が保証をつけている。そういう場合に、第三者の保証と社長個人の保証をつけなければいけないと中小企業金融公庫で言うわけです。それを求めてくるわけです。昔のように百万程度借りるならば第三者保証もあるでしょう。五百万、一千万ということになれば、第三者が保証すれば、自分が倒産しなきゃならぬ、家屋敷も手放さなきゃならない場合も考えなきゃなりません。保証する者がなくなってくるわけです。県の保証協会で保証しているのに、さらにそれを、第三者保証とか社長個人の保証をどうして求めるのかということが非常にふしぎでならないんですが、いかがですか。
  517. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 保証人というのは、原則として代表者の個人保証を徴しておるわけですけれども、他の債権の保全と競合するというような関連におきましては、免除することもできることになっておりますが、私もこまかい実情は十分つまびらかでございませんから、場合によったら政府委員から御説明いたさせます。
  518. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 政府委員からひとつ聞きたい。
  519. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 信用保証協会の保証がある場合でございましても、その企業が一般法人の経営責任を明らかにするという意味で保証をとっておるというのが原則でございまして、その場合には、その企業の代表者またはこれにかわるべき第三者という扱いをいたしております。もちろん、その場合に、ほかにかわるべき担保がございますれば、そういう場合の社長の保証は要らないわけでございますが、一般の原則としては、さように扱っておる。ただ、特に中小企業庁あるいは大蔵省から公庫のほうにも通達をいたしまして、保証の実情あるいは担保のとり方については、できるだけ過当なことにならないように、現状に合うように、実情に合わせるようにという指導をいたしておりますので、実情によって多少変わるかと思いますが、一般の扱いはさようになっております。
  520. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現実としては、ちゃんと社長個人と第三者、こういうふうに言われるんですよ、だから困るんです。そういうことが現実問題として浮かび上がってきている。ですから、結局、優良な中小企業、優等生の中小企業しか救われないという現状になってくるわけですよ。これは非常に困るわけです、ここのところは。しかも、信用保証協会の保証料でも五百万以上だと一・三%ぐらいの金利を取られてくるわけですから、そういう点から見て、やはり業界としては特利を五%ぐらいにしろ、普通の金利が八分三厘ぐらいにいっておりますから、五分ぐらいでなければ、結局、特利をつけてもらっても何の役にも立たないということになりかねないわけです。この点は六分二厘になっていますけれども、ぜひそれを下げていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでございますか。
  521. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、六分二厘というところに特利を出しておりますし、前回に比べましても、金利の点としてはこの程度のところがぎりぎりのところではないかと思います。
  522. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 通産大臣、優等生だけを保護しているという感覚をわれわれは受けてしかたがないんですが、その点、いかがお考えですか、担当大臣として。
  523. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 特に優等生というわけでもないでしょうが、銀行や金融当局には金融当局の一定の基準があるものですから、それで一応一律にやっておるのだろうと思っています。しかし、われわれのほうでは、三月の閣議決定以来、担保物件の評価については、今度の円対策の場合には、前よりもっと弾力的に扱ってやるように、中小企業も抵当物件がなくなってきつつある情勢であるから、特に配慮するようにという指示を特別にいたしてあります。
  524. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、総理大臣、いかがお考えですか。私はもうこういうようなきびしい条件にしますと、結局優等生の中小企業しか借りられなくなってくるんです。やはり中金等はリスクを考えてやらなくちゃいけない。危険負担というものを覚悟した上でめんどうを見なければ、中小企業への手当てということはできない、こういうように思うんですけれども、そういう基本的な考え方はいかがでございましょうか。
  525. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 中小企業、零細企業対策に対しては確かに御指摘のような面もございますが、これは別ワクで中小企業の無担保、無保証という制度もつくってあるわけでございます。こういうものは、地域ぐるみの場合は、自治省とも相談をしながら、町が議会の議決を経て保証するという形式をとっているものもあります。で組合全体でもって保証しようというものもございます。だから、何らかそういう便法を講ずることによって考えなければならないと、こう思います。まあ組合とかそういうことをやっておりますと、どうしても協業化をやったり、それから転廃業をやったりする場合には非常に有利にやれるわけでございますから、そういう面もひとつ考究していかなければならぬと思います。石炭に対してはかけ目を大きく見てやるとか、いろんなことをやったわけでありますから、こういう緊急の事態に対してはやはりいろいろな新しい問題として解決方法を考えていくべきだろうと考えますから、これは通産省、また大蔵省その他と十分相談をしてみたいと思います。
  526. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 日銀総裁は明日御用があるそうですから、きょうお聞きしますが、各銀行に対して四月−六月までの貸し付け窓口の規制ワクを通告なさっておりますね。そうして相互銀行には初めて規制を加えたということでありますが、これはどういう方針でどういう内容なのか、それを伺いたいのです。
  527. 佐々木直

    参考人(佐々木直君) この四月−六月、四十八年の第一四半期につきまして、相互銀行と信用金庫に対しまして貸し出しの増加額について相談を始めましたことは事実でございます。相互銀行につきましては、総体の中で日本銀行と取引のあります先六十八行につきまして相談をいたしております。それから信用金庫のほうはまだ話が始まったばかりでございますが、われわれのいまの考え方といたしましては、四百八十金庫ございますので、その中のごくわずか十数行ぐらいをいま頭に置いて相談をいたしたいとこういうふうに思っております。  なぜ相互銀行と信用金庫に対してこういうことを始めたかと申し上げますと、第一は、最近、相互銀行、信用金庫の資金量が逐次増大しておりまして、総体の金融機関の中におけるウエートが上がってきております。したがって、その取引先もだんだん大きなところに少しずつ移っている傾向がございます。一方、御承知のように、最近、都市銀行を中心といたしまして金融引き締めを強めておりまして、都市銀行に対しましては、四−六の貸し出し増加額は昨年の増加額のマイナス一六%ということで話をしております。したがいまして、最近の実情といたしましては、都市銀行から締め出されたものが地方銀行、相互銀行、信用金庫のほうに融資を依頼に行っておる傾向がございます。また、実質を見ましても、ことしに入りましてから——昨年の暮れからでございますが、ことしに入りまして、特に相互銀行、信用金庫の貸し出しの増加率がだいぶ上がってきております。こういうことを考えますと、都市銀行を中心とした引き締めではございますが、ほかをそのままにしておきますと、しり抜けになるおそれがある。こういうことで今度のような措置を始めた次第でございます。
  528. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 心配されるのは、中小企業向けの融資の多い相互銀行あるいは信用金庫、そういうものに対しての規制措置をするということが中小企業育成ということをはばむことになるのではないか。ほんとうは、過剰流動性を抑制するための金融引き締めなら——そういう中小企業のほうへは融資をしなさいといういま動きがあるわけです。そのときに、そちらを締めるということは矛盾しているのではないかと考えられますが、その点はいかがですか。
  529. 佐々木直

    参考人(佐々木直君) 引き締めを都市銀行を中心にやるべきだということはわれわれの方針でございまして、ことしの一月に預金準備率を引き上げましたときには、特に預金の一兆円以上に一段階つくりまして、一兆円以上を高くいたしました。それからまた、第二回目の預金準備率の引き上げのときには、相互銀行と信用金庫は増加のワク外にいたしまして、増加いたしません。今度始めました相互銀行、信用金庫に対する窓口規制も、都市銀行はマイナス一六ということを言いましたけれども、相互銀行に対しましては増加額を大体去年と同じぐらいのほどにしてもらえないか、そういう程度でございまして、しかも、それぞれ相互銀行とか信用金庫には、これは地方銀行もそうでございますが、地方的な特殊な事情がございます。そういう点はそれぞれ実情に合わして考えていくようにわれわれとしても配慮をいたしておる次第でございます。  それからまた、今般の円の切り上げから受けます影響につきましては、われわれのほうの支店におきまして特別にいろいろの窓口との関係を持っておりまして、それぞれの実情に合った融資をするようにということで手配をいたしておるような実情でございまして、金額的に去年よりさらにたくさん貸すということでは、いまの物価高を押えるのに金融の面から十分でないと考えます。したがって、相互銀行、信用金庫に対しましてもいまの金融引き締めの方針に協調していただくことはお願いしておりますが、いまのように、都市銀行との間にははっきりした区別をつくってやっておる次第でございます。
  530. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その場合、大体、相互銀行の場合、資金需要に対して規制ワクが昨年の増加分ぐらいの増加ということでいったとき、どのぐらいワクを、需要をしぼったことになってまいりますか。
  531. 佐々木直

    参考人(佐々木直君) 金融機関の資金需要量と申しますか、取引先からの資金需要の額というのは、どこでつかまえるかで非常に金額が違います。各第一線の支店でいろいろ窓口で話をしておるものを総計いたしますと、いつの場合も非常に大きな金額になるのでございますが、いまの最後の段階で、各銀行の本店とわれわれとが話し合いをしますところでは、いまのところ、大体、昨年と同じレベルということで話がついておりますが、いまのところ、実質上、もう少したたないと全部の数字がまとまりませんが、昨年の同期よりも少し増加額は上回ることになって落ちつくのではないか。いまそういうことの話し合いの最中でございます。
  532. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今回の一連の商社の買い占めとか、そういうような事件が物価高騰を招いている。これは商社の行き過ぎを押えるための金融引き締めが今回のほんとうのねらいだろうと思うのです。そういうことになると、銀行の融資対象別にこれは押えなければならないわけで、一律に、特に中小企業関係をやっているような信用金庫、相互銀行の窓口を締めるというやり方はおかしいのではないか。融資対象別の規制というものを考えるのがほんとうじゃないかというふうに思うのですが、その点はいかがでございますか。
  533. 佐々木直

    参考人(佐々木直君) 都市銀行に対しましては、すでに商社それから不動産業者、こういうものに対する貸し出しについて、総額とは別に、また具体的な指導をしておるのでございます。  それから、最近また商社のほうでは、そういうふうに都市銀行で締め出されておるものでございますから、これが相互銀行、信用金庫に行っているという例もぼつぼつ聞いております。したがいまして、私どものほうとしましては、相互銀行、信用金庫に対しましては、都市銀行に対してこういうようなことを——商社、不動産業者、そういうものに対する貸し出しについて指導しておるんだから、その精神で相互銀行、信用金庫もやってほしい、こういうことをお話ししておる次第でございます。
  534. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、総理大臣、金融が詰まることを見越して、金融引き締めになると、まず銀行筋では中小企業向けの融資、住宅ローン、庶民ローン、いわゆるクレジット融資というものがまっ先に貸し出し制限の対象にされるというのが通例です、いままで。そうなると、この分野が福祉型の社会をつくっていく、福祉型経済という場合に最も大事な部門です。その部門の金融が引き締まるというかっこうになるわけです。このところに一番金融をつけてあげるのが大事なのに、いまの行き方でいくと、私は逆になってくるんじゃないか、福祉型経済の逆方向ということになってくるんではないかということを非常に感じるわけです。一つには、これは大蔵大臣からも答弁いただきたいんですが、銀行局長の通達で、都市銀行に住宅ローンを確保せいというのが出ました。庶民ローンというものが引き締められてしまうんです。非常にそういう点が考えられるわけなんです。  そこで、総理大臣にお伺いしたいのは、政治の責任として、いままでと変わりないような金融の引き締めはおかしいんじゃないか、やり方を変えていくべきじゃないかということを私は申し上げたいんです。福祉型経済をつくっていくような金融引き締めをしなきゃいけない。いままでと同じであれば、やはり弱者だけが被害を受けることになる。その点の基本的考えをまず……。
  535. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 実情を申し上げたいと思うんですが、たびたび当委員会で申し上げておりますように、その点が今回のまさに非常に大切なところでございます。ですから、先ほど日銀総裁からもお話があったように、対象別、企業別というか、これが例の大商社に対する手形の買い入れ限度設定というようなことをやって、窓口規制を対象別に非常にきびしくやっているということであり、それから預金準備率の引き上げ等につきましても、中小金融機関はまずこれを除き、またそれにかぶせる場合にも適切なかぶせ方をするということでやっておるわけでございますが、たとえば、こうした一月以降の全体的な引き締め下におきましても、地方銀行関係なども、都市銀行におきまする場合に比較して、中小企業向けの貸し出しの状況は、たとえば先々月、二月の状況でも五四・八%増加をしているというような状況であります。それから最近の住宅ローンの状況でも、三月末の計数は現在集計が行なわれておりませんけれども、主要数行を取りまとめたところによりますと、一月から三月の住宅ローンの貸し出しの増加額は、前期の昨年十月−十二月の三ヵ月の増加額を若干ながら上回っておると、こういうふうな、実績の上においても私どもの考え方が数字の上にあらわれているというような状況になっております。なお、今後ともこの点は十分気をつけてまいるつもりであります。
  536. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いま大蔵大臣から詳細に述べましたが、大手業社、商社等に対しては、一ヵ月、二ヵ月前から引き締めを行なっておりながら、中小三機関に対しては二千億余の追加融資をしておる、これが政治の基本的な姿勢を端的にあらわすものでございます。  現実問題としては、日銀の対象にしておらなかった信金、相銀、それから大きな組合、信用組合等が少し貸し過ぎたという面もあったわけです、一時。おととし、去年はあったわけです。ですからそういう面で、農協資金もそうです、系統資金もそうですが、そういう批判はありましたが、しかし一時の平価調整の直後から今日まで、中小企業や零細企業、特に平価調整でもって影響を受ける面に対しては、引き締めというようなことではなく、少なくとも政府融資を追加するという姿勢をずっととってきたわけでございまして、いまも日銀総裁も大蔵大臣も述べましたとおり、中小企業や零細企業に対しては非常に配慮をしておるわけであります。  また、住宅ローンに対しても、木材の値上がりやいろいろな問題に対して、金融機関が住宅ローンを急速に貸し増しをしたということは、四十六年から四十七年度の数字を見れば明らかであります。しかし、この住宅ローンに対しては金利をなるべく引き上げないように、また住宅ローンの分野を急速に落とすというようなことのないように、ということは、新聞にも報道されておりますように、政府も輸出を内需に転換しなければならない、福祉経済の初年度であるという考え方で配慮をいたしておるわけでございます。  でありますので、適切に選別融資を行ない、必要なるところには出し、そして過剰流動性といわれるようなものは適切に吸い上げたい、締めたいと、非常にむずかしいことでありますが、しかし、この問題は十分実効をあげてまいらなければならない、こう考えておるわけでございます。
  537. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大蔵大臣の答弁でもわかるんですが、もうちょっと、先ほども私が申し上げたような中小企業金融公庫ですね、中金の運用なども、窓口へ行くと、ここで宣伝しているのとはずいぶん違ってくるわけですよ。そういうところのきめのこまかいことをひとつ入れてほしいと思うのですが、その辺いかがでございますか。
  538. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これもまさにごもっともなところでございまして、いろいろ御心配を伺って私も御同様な心配をいたしますので、われわれの気持ちがほんとうの末端の窓口に十分通ずるように、十分注意してまいりたいと思います。  なお、先ほど地方銀行の五四%云々という数字で私が増加と申しましたのは間違いで、これは中小向けのシェアでございます、貸し出しの中の。これが比重としては非常に大きく響いておることを実績の一例として申し上げた次第であります。
  539. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 鈴木君の残余の質疑は明日行なうことにいたしたいと存じます。  次回は明日午前十時三十分開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時二分散会