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1973-04-04 第71回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月四日(水曜日)    午前十時十八分開会     —————————————    委員の異動  四月三日     辞任       補欠選任      木島 則夫君     中村 利次君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大竹平八郎君     理 事                 上田  稔君                 佐藤  隆君                 高橋 邦雄君                 西村 尚治君                 米田 正文君                 森中 守義君                 横川 正市君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君     委 員                 小笠 公韶君                 梶木 又三君                 川上 為治君                 木村 睦男君                 楠  正俊君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 白井  勇君                 竹内 藤男君                 玉置 和郎君                 徳永 正利君                 中村 禎二君                 長屋  茂君                 林田悠紀夫君                 細川 護煕君                 山崎 五郎君                 山内 一郎君                 吉武 恵市君                 上田  哲君                 川村 清一君                 小林  武君                 杉原 一雄君                 瀬谷 英行君                 田中寿美子君                 羽生 三七君                 安永 英雄君                 阿部 憲一君                 塩出 啓典君                 矢追 秀彦君                 中村 利次君                 加藤  進君                 塚田 大願君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        外 務 大 臣  大平 正芳君        大 蔵 大 臣  愛知 揆一君        文 部 大 臣  奥野 誠亮君        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君        農 林 大 臣  櫻内 義雄君        通商産業大臣   中曽根康弘君        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君        郵 政 大 臣  久野 忠治君        労 働 大 臣  加藤常太郎君        建 設 大 臣  金丸  信君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    江崎 真澄君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       二階堂 進君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)             (沖繩開発庁長        官)       坪川 信三君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  増原 恵吉君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       小坂善太郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       前田佳都男君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   亘理  彰君        国防会議事務局        長        内海  倫君        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        警察庁刑事局保        安部長      斎藤 一郎君        防衛庁参事官   大西誠一郎君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        田代 一正君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       高瀬 忠雄君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛庁装備局長  山口 衛一君        防衛施設庁長官  高松 敬治君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  仁君        科学技術庁長官        官房長      進   淳君        科学技術庁原子        力局長      成田 壽治君        環境庁大気保全        局長       山形 操六君        沖繩開発庁総務        局長       岡田 純夫君        沖繩開発庁振興        局長       渥美 謙二君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        外務省条約局長  高島 益郎君        大蔵大臣官房審        議官       大倉 眞隆君        大蔵省主計局長  相澤 英之君        大蔵省理財局次長 小幡 琢也君        大蔵省国際金融        局長       林  大造君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        厚生省公衆衛生        局長       加倉井駿一君        厚生省医務局長  滝沢  正君        厚生省社会局長  加藤 威二君        厚生省保険局長  北川 力夫君        厚生省年金局長  横田 陽吉君        農林大臣官房長  三善 信二君        農林省構造改善        局長       小沼  勇君        農林省農蚕園芸        局長       伊藤 俊三君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        通商産業省企業        局参事官     三枝 英夫君        通商産業省公害        保安局長     青木 慎三君        通商産業省鉱山        石炭局長     外山  弘君        通商産業省公益        事業局長     井上  保君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省航空局長  内村 信行君        運輸省航空局技        術部長      金井  洋君        労働省労政局長  石黒 拓爾君        労働省労働基準        局長       渡邊 健二君        労働省職業安定        局長       道正 邦彦君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省道路局長  菊池 三男君        自治省財政局長  鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君     —————————————        会計検査院長   白木 康進君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        運輸省航空局管        制保安部長    松本  操君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十八年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十八年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算  昭和四十八年度特別会計予算  昭和四十八年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  増原防衛庁長官より発言を求められております。これを許します。増原防衛庁長官
  3. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 去る三月二十二日の当委員会における久保防衛局長F4EJ空中給油装置に関する答弁におきまして、実際に行なっていない空中給油装置を使っての地上給油自衛隊が行なっているかのごとく答弁いたしましたことは、事実に反する説明であり、国会に対して失礼でありましたので、深くおわびを申します。  また、給油時間については、実測に基づかないものを説明したものでありますので、これを取り消させていただきます。  なお、昨日の当委員会において、三菱重工において右の地上給油時間を実測したと申し上げたのでありまするが、同社において空中給油装置から地上給油はしておりまするが、時間の計測をしたことはないとのことでありまするので、訂正をさせていただきます。
  4. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 前回に引き続き、質疑を続行いたします。上田哲君。
  5. 上田哲

    上田哲君 きのうの防衛庁の御答弁の中にも、またうそがありました。調べてみましたら、三菱数字を使ったと言われるのですが、三菱では実測をしていない。つまり、八分・四分という従来の説明を撤回されることですね。
  6. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) いま長官からおわび申し上げましたように、二十二日におきまして八分…四分と申し上げましたことを取り消させていただきます。
  7. 上田哲

    上田哲君 官房長官防衛庁は、空中給油装置地上給油に使っているという説明をしてまいりました。私は何べんか、使っているんだなと言ったのに対して、使っているという答弁でありました。ところが、実際には自衛隊ではそれをやっていなかった。これが第一の詭弁であります。  八分・四分という架空の数字をもって国会説明した、これも第二の詭弁であります。  さらに、現地を視察した各党六名の予算委員に対して、いかにも常時地上給油をしているように見せかけたということも第三の詭弁であります。  昨日の答弁で、三菱数字を使ったと言ったわけでありますが、これも実際には三菱ではその数字は持っていなかった。こういう形で国会答弁を行なう。政府が従来答弁されておりますように、シビリアンコントロール国会の監視にさらすことであるという趣旨と全くこれは背反すると思います。国会に対する重要な、これは軽視であり、シビリアンコントロールの喪失である。政府としてはいかにお考えですか。
  8. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) この給油装置の問題をめぐって、先日来からの議論、特に昨日の議論を聞いておりまして、私も少しどうかなという気持ちを持ちながら聞いておったわけでございまするが、きょう防衛庁長官から一いや、率直に、私もそういう印象を受けました。きょう防衛庁長官から遺憾の意の表明がございましたが、こういう問題は、先日も総理が申し上げましたとおり、国会の場を通じて国民にいろいろ説明をしておるわけでございますから、国民が納得するような説明をいたすべきが当然だと思っております。ただいま御指摘のとおり、こういう問題はシビリアンコントロール、しかも国会審議がこのシビリアンコントロールの最も適切な場であるということは、しばしば政府も申し上げたとおりでございまして、私は、かような見地から申しましても、やはり国民が納得するような説明をするのが当然だと、総理も申したとおりでございます。
  9. 上田哲

    上田哲君 このようなことについて、防衛庁長官、どのような責任を感じられますか。
  10. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) この点については、いま、おわびを申し上げ、訂正をさしていただいたのでございまして、私ども説明が、実測をしていない段階において、実測をしておるという前提で御答弁を申し上げたことは、まことに申しわけないという次第でございます。
  11. 上田哲

    上田哲君 責任ですよ。
  12. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) さよう、こういうことを申し上げました当人を、きつく厳戒を加えたという次第でございます。
  13. 森中守義

    森中守義君 関連。  防衛庁長官、先ほどのお読みになったので一応形としては私どももいいように思う。ただ、問題は、答弁に意図的なものがあったのか、あるいはそういう深いことを検討しないで答弁したのか、その辺の背景が実ははっきりされていません。そこをもう少し聞きたい。
  14. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 私が間違いました理由を申し上げますると、従来、米軍F4につきまして、給油時間が……。
  15. 上田哲

    上田哲君 意図的かどうかというのに、あなたは関係ないですよ。防衛庁長官でいいんですよ。あなたがそういう、よけいお話しになり過ぎるからいかぬのです。
  16. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 知っておりましたけれども、それを早急に聞いてきました場合に、実測時間と、つい聞いたわけでありまするけれども、それは説明の不十分と、私の聞き方の不十分でありました。したがって、私は、一点給油だけが実測値であるにもかかわらず、一点も二点も、両方を実測値であると誤解した点が基本的な間違いであったと認めます。
  17. 森中守義

    森中守義君 官房長官、これはまた総括に入りまして総理からきちんと答弁をもらいたいと思いますがね。問題は、いま長官のお読みになったものと、防衛局長のいまの答弁、少なくとも、国会に対する答弁というものが、こういういいかげんなものであっていいのかどうか。決して、在来、政府答弁が全部そうであったとは言いませんけれども、よほど質疑者のほうでも慎重にものごとを見詰めていかないと、はしなくも防衛庁のこの実例が示すように、政府答弁のすべてが、そういうように疑った気持ちで私どもが聞かざるを得ない。非常に遺憾ですよ。よって、内閣一体のものとして、いずれかの機会に総理答弁をもらいますけれども、いま、防衛局長答弁されたことでは承知できない。国会答弁というものを、そんなふうに簡単に言われたのでは、おさまりつきませんよ。これはひとつ、官房長官内閣を代表される人ですから、特に私は注文をつけておきたいと思う。どうですか。
  18. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 国会審議を通じて政府答弁することは、正確を期さなければならないことは当然だと思っております。先ほどから、防衛庁長官も本席において遺憾の意を表明されたことでもございますが、いずれまた、総括のときに総理に対してもお尋ねになるということでございますが、先ほど私が申し述べましたとおり、国民の納得のいくような説明を、私は国会においてなさるべきが至当であると考えております。
  19. 上田哲

    上田哲君 なお、若干、詰めておきます。  問題のアダプターは、どこから、どういう経路購入し、価格は幾らですか。
  20. 山口衛一

    政府委員山口衛一君) お答えいたします。  ただいま先生の御指摘アダプターでございますが、これは、昨日、先生質問の中にありましたように、三菱重工から貸与を受けているものでございまして、防衛庁購入したものではございません。それで価格は、私のほうで買ったものでございませんので明確でございませんが、調べてみますと、これは昭和四十六年に三菱重工パーカー・ハニフィンという会社からマクダネル・ダグラスが買ったものを、それをさらに購入いたしまして、価格は約二千ドルというように聞いております。
  21. 上田哲

    上田哲君 パーカー・ハニフィンというのは、本来は三菱バイキングから買っていたわけですけれどもバイキングが倒産してしまった、そしてパーカーのほうにいったと、こういう複雑な経路をたどっていますね。
  22. 山口衛一

    政府委員山口衛一君) お答えいたします。  御指摘のとおり、パーカー・ハニフィンというのは現在のアダプターを製作している会社でございまして、先生いま御指摘のとおり、以前、昭和四十五年度に防衛庁が二台の予算要求をいたしまして、買う予定でありました会社バイキングというアメリカ会社でございましたが、防衛庁としましては、四十五年度の予算に基づきまして競争入札をしましたところ、日本にありますある米系合弁企業がこれを落札いたしまして、その会社が米国から仕入れようとしましたところが、それから数ヵ月してそのバイキングが倒産したというような事情があったそうでございます。したがいまして、現在私は明確でございませんが、アメリカにおきましてはバイキングという会社はすでに倒産しておりまして、現在のところ、これをつくっておりますのがパーカー・ハニフィンであります。  いまのアダプターでございますが、御承知のとおり、これはテクニカルオーダー上は試験給油ノズルという形のものでございまして、通常給油ノズルではないそうでございます。あくまで試験用のものでございまして、そのような形でパーカー・ハニフィンが現在つくっておるという経緯だと存じております。
  23. 上田哲

    上田哲君 これはライセンスがあって、かってにつくるわけにいかない。三菱に二台しかない。防衛庁はまだ持っていない。四十八年度で一台しか購入予定がないわけですね。
  24. 山口衛一

    政府委員山口衛一君) 四十八年度で一台の予算要求を現在しております。持っておりません。
  25. 上田哲

    上田哲君 地上給油なんかやっているはずがないことはこれで明らかなんですが、あわてて三菱から借りてきて国会議員の前でそれを見せた。問題は、一台しかないということでは、実際にはこれから先も、一台購入したとしても、地上給油に使うことはほとんどないのではありませんか。
  26. 山口衛一

    政府委員山口衛一君) ただいま私、先ほどの御質問に対しまして御答弁いたしましたとおり、これは試験給油ノズルでございまして、現在のところ、三月末現在におきまして、防衛庁は十機のF4を持っております。これから四十八年度になりますと、約毎月二機ずつの予定購入予定されておりますが、したがいまして、現在のところ百里の基地にはございますが、まだ作戦部隊編成というところまでは至っておりませんで、四十九年度にこの部隊編成があるように聞いておりまして、この段階におきまして、まだそれほど多くの試験的なものを買うことが適当であるかどうかという問題がありまして、現在一台ということに考えております。
  27. 上田哲

    上田哲君 そうしますと、地上給油空中給油装置を使うんだということは、まだ全く結論の出そうもないことですね。
  28. 山口衛一

    政府委員山口衛一君) 空中給油装置受け口というのは、御承知のとおり雌型でございまして、現在の地上給油に使っております通常ノズルは全くはまりませんので、この試験給油ノズルしか全くはまりません。しかも、それが買ったものがまだ三菱のものでもございますし、自衛隊といたしましては、実際にやったのがわずかに二回ぐらいの実績しかございませんので、それがはたしてそのパーカー・ハニフィンノズルが適当であるかどうかという点は、今後買いますものによりまして、みずから十分な試験調査というものをいたしませんと、それを大量に買うというところまではまだ結論が出ないというふうに考えております。
  29. 上田哲

    上田哲君 そうすると、地上給油にこれを使うのだということは先走った結論なので、訂正されますか。
  30. 山口衛一

    政府委員山口衛一君) 繰り返すようでございますが、自衛隊空中給油機がございませんし、またその訓練構想もございません関係からいいまして、現在買う予定であります試験給油ノズルは、あくまでも空中給油装置を使いまして地上給油をやるという前提で、実はこのノズルを買うという形で予算要求をしております。そのように考えております。
  31. 上田哲

    上田哲君 地上給油用空中給油装置を使うのだという結論はまだ出てないわけでしょう。そして今後直ちにそれが出るということを、実験もしないうちに結論を出すということはまだ早いわけですね。
  32. 山口衛一

    政府委員山口衛一君) 現在のところ、空中給油装置地上給油に使うという前提——考え方は現在ございますが、このノズルがはたしてそこに十分に活用されて、うまくはまりまして実際に使えるのかどうかというところまでは、まだ二回の実績でございますので、そこの結論は出ておりません。
  33. 上田哲

    上田哲君 つまり、結論は先走っているということなんです。これは問題なわけです。  それから、私たちの主張である、これを全部取りはずせと、取りはずす場合には経費はどうなりますか。
  34. 山口衛一

    政府委員山口衛一君) お答えいたします。  先月の二十二日の上田先生の御要求によりまして、当委員会に対しまして資料を提出さしていただきました。その資料の中に、私どもは2としまして「F4EJ空中給油装置を除去するための経費」といたしまして、経費総額マイナス五千万円と、マイナスという意味予算がそれだけ要らなくなるという意味でございます。これは百二十八機分という総体の割り掛けをして計算しておりますが、その場合に、一機当たり平均経費は約マイナス四十万円、一機につき四十万円要らなくなるという計算を出しております。  簡単に御説明いたしますと、この場合には、すでに第一次、第二次と二つの契約を四十四年度と四十六年度にすでに実施をしております。第一次契約三十四機、第二次契約四十八機と、合計八十二機に関しましてはすでに契約を実施しておりまして、この空中給油装置というものも当然に四十六年度におきまして相手方と契約を完了いたしまして、したがいまして、この分につきましては、空中給油装置が入ったままのものが実は現在製作されておるわけでございます。そういたしますと、その八十二機分につきましては、入ってきたものが要らなくなる、つまりそれを除去するという一つの操作がございます。それからもう一つは、上にあげぶたがございますが、このあげぶたを締めてしまう。それからその受け口を開閉いたしますための油圧系統装置がございます。この油圧系統装置を全部排除いたしまして、それに基づきます配線その他の設計などの変更をいたします。それから、先生この前御提示になりました、コックピットにあります、操従席にありますライトとかボタンというものがございますが、その系統装置を全部除去いたします。そういう八十二機分につきまして除去する費用という点と、もう一つは、今後契約いたします、たとえば四十八年度に現在予定しております二十四機でございますが、この分につきましても、やはりそのような付加的な経費は要ります。このような要ります経費を総計いたしますと、私ども計算では、百二十八機というものを仮定いたしますと全部で約二千万というお金がかかります。そのかわり、今後購入する予定になります二十四機プラスアルファー、現在二十二機程度と考えていますが、この四十六機につきましては、入ってきます空中給油装置そのものが要らなくなるわけでございます。この装置は大体一台約百五十万円程度と現在計算しております。したがいまして、その要らなくなる経費を合計いたしますと、四十六機分で約七千万円程度要らなくなります。したがいまして、付加される経費二千万円と不要になる経費七千万円というものを足し算引き算をいたしますと、五千万円というのが実は要らなくなる費用というふうに考えております。  以上がこの計算の根拠でございます。
  35. 上田哲

    上田哲君 こうなると、これはたいへん重大ではありませんか。いままで政府答弁では、空中給油装置を取りはずすとよけい金がかかる、設計変更にもライセンス上の問題があると言われていた。しかし、取りはずしたほうが安くなる。これはたいへんな詭弁ではありませんか。
  36. 山口衛一

    政府委員山口衛一君) お答えいたします。  先般の御説明の中に、明確な、どのくらいかかるという費用計算が、突然の実は御要求でございまして、まだ詰めておりませんで、私どもはこのようなかなり新しい高度のシステムを持った飛行機というものは、そのような大きい変更をいたしますと、機体のバランスその他からいいまして、大きい設計変更が要るのではないかという不安を持っておりまして、したがいまして、設計変更の費用等がまず考えられてきたわけでございます。しかしながら、それを明細に実は詰めてみまして、そういたしますと、いまのような計算になったということでございまして、前回におきまして、その設計変更ということは考えられますけれども、その費用がプラスになるかマイナスになるかということにつきましては、必ずしも明確には実はお答えしておらなかったというふうに記憶しております。
  37. 上田哲

    上田哲君 計算が途中だったということは認めます。しかし、問題は、計算ができていないにもかかわらず、あのときは総理答弁も含めてですが、取りはずすとよけい金がかかるのでということでありました。こういう答弁はやはり取り消されなければならぬと思うんですが。
  38. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 取りはずしに金がかかるということは政府委員のほうで申し上げたように思いまするが、その場合、頭から、要らなくなる分のことについては言及いたしませんで、トータルとしてどうなるというふうなことは、そのとき実は計算もまだ十分してないので申し上げなかったので、取りはずしには金がかかりますということで、全体として経費が増高するというふうに私どもが申し上げたようになっておるとすれば、それはたいへんことばが足りない、間違いでございまして、事実はいま装備局長から申し上げたようなとおりでございます。
  39. 上田哲

    上田哲君 会計検査院、性能が変わらなくって経費が減るということならば、問題ないですな。
  40. 白木康進

    会計検査院長(白木康進君) 前回も申し上げましたとおり、私どものほうで、防衛庁当局では空中給油をしないというたてまえでございますのに、空中給油装置のついた航空機が購入されておって、しかも空中給油装置の関連部品も購入されておると、こういうことは調達方針として首尾一貫しない点があるのではないかということで検討中に、本委員会においてこの問題が取り上げられたわけでございます。ただいま御質問の点、それから防衛庁当局の政府委員の御説明も伺いまして、まあ私どもがいままで事務当局から聞いておりました点よりも、若干詳細な点が私自身わかってきたような気がいたしますけれども、補足して申し上げますと、私どものほうでは、空中給油機具がなくて、しかも空中給油をしないというたてまえであるのに、空中給油装置のついた航空機を買う必要があったかどうか、それについては、先ほどもちょっと当局から御答弁がございましたように、まだ具体的な検討の結果ではございませんけれども、設計変更その他による経費の逆の増高も考えられると。だから、軽々にそれを取りはずして買ったほうが得であるかどうかということは、まだはっきり言えないというような説明があったように——これは検査の途中の説明でございますけれども——いうようなことを聞いております。それから部品についても、これも先般来御審議のとおり、地上給油というようなことも考えておるというような説明も私どもの調査官は聴取しておりまして、もしそういうことに活用されるならば、それは私どもとしては、実際にそういうことならば、それはまたそういう立場で検討しようということでいままで来ておるわけでございます。  重ねて申し上げますが、本委員会において審議の結果明らかになりました点は、今後われわれの処理の上で十分参考にさせていただいて処理をしたいと考えております。
  41. 上田哲

    上田哲君 それにもかかわらず、さらに空中給油装置を残すということになると、疑念がさらに深まるんですが、問題のもう一つは、さきに政府から、再三、F4Eの空中給油の運用研究を行なわないという答弁がございました。実際には航空自衛官が米軍機に乗って空中給油の試乗をしておるではありませんか。
  42. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 私どもが空幕に確かめたところでは、そういう事実はないそうであります。
  43. 上田哲

    上田哲君 三沢でやっていますよ。
  44. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 少なくとも私が空幕に確かめたところでは、空幕ではそういう事実はないというふうに申しております。(「三沢でやっているというんだよ。確かめてみたらばどうなんだ、一回。」と呼ぶ者あり)あらゆる方面から確認したわけではございませんので、あらためてもう一度手を尽くして確認をしてみます。
  45. 上田哲

    上田哲君 名前をあげてもいいのですけれどもね。アメリカの飛行機に乗って、そして空中給油の試乗をしているのですよ。それを知らないと言う。シビリアンコントロールはないじゃないですか。だから空幕長権限でやれる問題があると言っているのですよ。どうですか、防衛庁長官シビリアンコントロールがないじゃないですか。
  46. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) いま防衛局長が申しましたように、私もその事実は承知をしておらぬし、空幕で確かめたところ、そういうことはないといういまの防衛局長の報告をいま受けておる、まだ段階でございます。その点は十分取り調べましてお答えをさせていただきたいと思います。
  47. 上田哲

    上田哲君 数々の疑念が多いわけです。  これは官房長官にもう一ぺんお伺いしますが、実際には地上給油に使うことはほとんどないのです、アダプターも、この状況では。また第二に、取りはずしても性能に変化はないということは御答弁がさきにありました。第三に、しかも取りはずしたほうが安くつくということが明らかになっています。また、空中給油装置地上給油に使うのだと強調されるけれども自衛隊でもメーカーでも、全く実測をした数値というのはどこにもないのです。アメリカで六〇年代の初めにちょっと書いてあるだけです。にもかかわらず、これを取りはずさずに使うのだと言っている。しかも第五に、国会にうそまでついてこの装置を残すということになると、これは実は地上給油用ではなくて、空中給油用の受油口を残しておくことをねらっている、つまりファントムの足を長くする、あるいは戦闘空中パトロール体制に入る、こういう疑念を消しようがないではありませんか。明らかにこれは除去すべきだと思うのです。
  48. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 二十三日までにはわが国においても実測がなかったということは、いまおわびをして申し上げたとおりでございます。二十三日、三十日には実測があったわけでございます。アメリカにおいて実際にいわゆる空中給油口を地上において使うということはないのは、アメリカは空中給油をやるたてまえでおりまするので、地上給油に空中給油口を使う必要がないということであろうと……。
  49. 上田哲

    上田哲君 それは二点給油です。
  50. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 二点給油——これはアメリカのほうは、地上給油口で給油をして飛び立って、途中でなくなった場合には空中給油をやるという設備なり訓練なりができておる。そういうたてまえであるので、空中給油口を地上給油には使わない。私どものほうでは、いままでの御質問に対して申し上げたように、やはり地上にある時間をできるだけ短くするということは相当重要なことでありまするので、その点を考えまして、もともと空中給油口のついておるファントムでありまするので、これをそのままの形で使いたいということにしたわけでございまして、実際に、たいへんおくればせでありましたが、二十三日なり三十日なりに実験をしたところでは、おおよそ申し上げたような八分・四分、大体それに近いものが出ておる。これはやはり実際の場合には爆弾その他の積み込みなり、増槽のタンク等の時間等を考え合わせて、この二点給油というものがどうものをいうかということでございまするが、そういうものを考え合わせまして、四分・八分という差がやはりものをいうというふうに……。
  51. 上田哲

    上田哲君 その数字は取り消したんです。八分・四分というのはさっき正式に取り消してるんですよ。
  52. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) これは二十二日に申し上げたところを、まだ実験もしてないのに実験したかのごとく申し上げたことを……。
  53. 上田哲

    上田哲君 いや、その次は三分五十秒と六分五十五秒ですよ。八分一四分という数字はないんです。
  54. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 四分ではございませんが、だから、申し上げたように、似たような数字が出ておると申し上げたのでございます。三分…四分とは申し上げないわけでございます。これは上田委員もお立ち会いでストップウオッチでおはかりになったということでありますので…−。
  55. 上田哲

    上田哲君 その話は全部でたらめだというのです。そこは水かけ論になるからやめましょうと言ってるんです。
  56. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) はい。その点はそれは水かけ論で、おやめを願うと私のほうはたいへんけっこうでございます。
  57. 上田哲

    上田哲君 ですから、その程度のデータで、二点給油をどうしてもやるということを結論を出すのはまだ早いと言うのです。
  58. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 毎々申し上げておりまするように、われわれとしてはいわゆる二点給油をやりたいということでいままでまいっておりまするが、お話のとおり、実験をやりましたのも、二十三日、三十日とまだ二回でございます。アダプターを使っておる。これも、実際にはやはり空中給油口にふさわしいノズルを使って、これだと、もうアダプターを使うよりはずっと時間も短く簡単にいきますわけで、それでなければならぬわけでございます。このノズルの研究等もまだこれからでございます。そういうことで、何と言いまするか、二点給油を実行するという最後決定、そういう意味の決定は、ノズルの研究等を終えました段階ではっきり決定するということにいたしたいと思います。
  59. 上田哲

    上田哲君 確認しますが、二点給油をやろうというときには、かってにやらないで、ちゃんと御報告もいただかなきゃならぬが、私は二点給油の必要はないと思うんです。これはひとつ、官房長官、大事なことは、まだファントムの数は多くはない。しかし、四十八年度から実際の配備につく。百二十八機というのはたいへんなことです。しかも空中給油装置をやるということは、隣国に非常に大きな脅威を与える、専守防衛の域を越える、その懸念があるわけです。これに対して十分な歯どめをしなければならぬということは、御同意をいただけるところです。とすれば、私は百歩を譲ってもいい。どうしても平行線をたどりっぱなしになって、水かけ論になったんでは意味がないんです。私どもの原則は反対だけれども、百歩譲っても、少なくとも二点給油の——認めませんけれども、その場合でも、最低限これを地上給油用にしか使えないというような構造上の問題、たとえば雌型でしか受け口がないとか、あるいはこれを封印するとか、最小限の隣国に対する説明力を十分に持つような措置をすべきだと思うんですが、これはまず防衛庁長官どうですか。
  60. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 技術的な点、ちょっと私からはいまお答えをよういたしませんが、私どもは空中給油に使おうという意思は全然持っておりませんので、空中給油はできないような形に簡単にできるということでありますれば、その点はそういう装置を取りつけるのに決してやぶさかでございません。
  61. 上田哲

    上田哲君 大いにたくさんの疑念が残ります。この問題は、私はこのままでは了承できませんので、官房長官、先ほどのお話のように、総理の御結論、御見解をきちっと承るということを留保したいと思いますが、ただいま防衛庁長官の言われたように、十分に隣国に疑念を持たせないような処置をしっかりとるという点を含めて、御見解を承っておきたい。
  62. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) よく承りました。
  63. 上田哲

    上田哲君 問題を変えまして、沖繩の空について伺います。  沖繩返還協定によって、沖繩の空の管制が四十九年五月十五日から日本側に返される、こういう政府答弁は今日も変わりませんか、外務大臣。
  64. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 変わっておりません。
  65. 上田哲

    上田哲君 それは現在嘉手納にある米軍管制部、つまり沖繩センターを那覇に引き継ぐという意味ですね。
  66. 内村信行

    政府委員(内村信行君) そのとおりでございます。
  67. 上田哲

    上田哲君 それはどのような段階の日米間の約束によりますか。
  68. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 日米合同委員会でございます。
  69. 上田哲

    上田哲君 外務大臣、それでよろしいですか。
  70. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 昨年五月十五日の円米合同委員会におきまして、復帰後の沖繩での航空管制について日米間の合意ができてございます。これに基づきまして、沖繩における航空管制について米側との調整が行なわれたわけでございます。
  71. 上田哲

    上田哲君 ところが、そうならないんです。中年の五月十五日の午前零時に日本に返ってくるべき沖繩の空は、そういうふうになりません。日本の空に返ってこないという重大な疑念があります。  まず、四十七年十月十三日、日米合同委員会航空分科会での日本側の米国側への提案の内容を説明してください。
  72. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 管制保安部長が参っておりますので、そのほうから説明をさせたいと思います。
  73. 松本操

    説明員(松本操君) お答え申し上げます。  四十七年五月十五日の日米合同委員会において承認されました内容、その後に出されました航空分科会の覚え書きという形で出ておりますが、その中に、日本政府は、航空路監視用レーダー装置を有する日本政府の航空路管制施設の設置、所要の職員の配置及び訓練並びに所定の手続等、要するに必要な準備を終えた後に、昭和四十九年五月十五日よりおそくない時期に、沖繩FIR、飛行情報区における航空路管制業務をわがほうが提供すると、こういうふうなことになっております。
  74. 上田哲

    上田哲君 十月十三日ですよ。
  75. 松本操

    説明員(松本操君) 十月十三日の分科会のわがほうの提案というものについては、申しわけございませんが、ちょっと私いま手元に資料を持っておりませんので。
  76. 上田哲

    上田哲君 それ持ってなければ困るじゃないですか。議論できない。
  77. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 要点はわからないかな、要点は。
  78. 内村信行

    政府委員(内村信行君) たいへん申しわけございませんが、ただいまの点、手元に資料を持ち合わせませんので、後ほど提出さしていただきたいと思います。
  79. 上田哲

    上田哲君 資料持ってなくても、中身はわかりますか。おおよそでもわかれば、ぼくが持っているから説明してあげますよ。
  80. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 質疑者は持っているそうだから。要点だけをおっしゃい。できるだけ議事進行に協力してくれなきゃだめだよ、政府は。
  81. 内村信行

    政府委員(内村信行君) ただいまちょっと私のところに、手元にございませんので、要旨わかりかねます。要旨ちょっといまわかっておりません。
  82. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) じゃ教えてもらいなさい。
  83. 上田哲

    上田哲君 七二年十月十三日、第五空軍において開かれております日米合同委員会の航空分科会で、米国側はジェームズ・P・デービス大佐、日本側は浜田幸晴主席代表。ここで日本政府は、米国側に対して返還に伴う習熟計画というのを提出しているわけですけれども、大要三点でありまして、第一番は、米空軍規定により、沖繩センター——これは沖繩管制部ですね、沖繩センター業務を独立して行なわせるための資格を与えられる日本側管制官は五名のみとする。第二に、この五名の有資格管制官のうち、二名が沖繩センターに教官としてとどまり、十名の追加される管制官の訓練に当たる。三番に、ただし、いかなる場合も五名以上の日本側管制官を沖繩センターに配置することはしないと、こういうことです。
  84. 内村信行

    政府委員(内村信行君) そのこと、私聞いております。
  85. 上田哲

    上田哲君 それでは続いて、四十八年一月二十九日、嘉手納のフォーレスト・E・ベーカー大佐から那覇空港長の佐藤亮吾さんへの文書の内容。
  86. 内村信行

    政府委員(内村信行君) たいへん申しわけございませんが、その文書の内容も、いま私存じておりません。
  87. 松本操

    説明員(松本操君) お答えいたします。  私、日付をよく記憶しておりませんでしたので、いまの上田先生の御質問にたいへん御無礼いたしましたが、いまお示しいただきましたものは、那覇におきまして私どもの代表と米側の代表との間に、先生がいま指摘しておられます、沖繩におけるACC引き継ぎに関するわがほう管制官の訓練教育に関して行なっております議論のために、米側が案として出してまいったものでございまして、これはあくまで米側の案というふうに私ども承知しておるものでございます。
  88. 上田哲

    上田哲君 そんなことを聞いているのではないですよ。いいですか。さっき私が読み上げたのは、日本側が出したやつですね。十月十三日出したのは日本側が出したやつですね。それはアメリカ側が出したやつだというんですね。だから、あとのほうはいいですよ。前のほうは日本側の出したやつですね。
  89. 松本操

    説明員(松本操君) なお、最初に御質問のございました十月十三日の手紙でございますが、内容でございますが、これは日本側の提案ということよりも、むしろ日本側としての一応の案、たたき台を出したというふうに御理解いただいてけっこうかと思います。
  90. 上田哲

    上田哲君 つまり、簡単に言いますと、米軍の嘉手納にある沖繩センターに、米軍のレーダー通信機を自由に使用する、そうしてまた、航空機への管制指示をすることのできる日本側の管制官は五名しかはいれない、こういうことなんです、簡単に言えば。そういうことでいいですね。
  91. 内村信行

    政府委員(内村信行君) そのとおりでございます。
  92. 上田哲

    上田哲君 これは非常に説明で、ことばで言っていると時間ばかり食いますので、へたくそですけれども書いてまいりました。ちょっと見てもらいたいのだけれども、ああいうぐあいに、四十九年五月十五日に向かって、嘉手納の沖繩センターとの関係は、人数はああいう形になっていく、いいですね。それを見ながら答えてくれればいいですから。いいですか。そうしますと、アメリカのいる沖繩センターには日本の管制官は常時何人いることになりますか。
  93. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 五名でございます。
  94. 上田哲

    上田哲君 引き継ぎのためには、日本側管制官は何人必要ですか。
  95. 内村信行

    政府委員(内村信行君) レーダー管制官として、できれば三十名と思っております。
  96. 上田哲

    上田哲君 アメリカは何人いますか。
  97. 内村信行

    政府委員(内村信行君) おおむねその程度だと思います、アメリカも。
  98. 上田哲

    上田哲君 アメリカは五十名おります。わかりませんか。
  99. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 私は三十名程度と聞いておりましたが、なお調査いたします。
  100. 上田哲

    上田哲君 アメリカは戦時編成で五十名なんですよ。これはハードスケジュールなんです。レーダーが南北に向いておりますから、それを五交替でやっていきますと、最低三十という数字ですね。ですから、普通の勤務でいきますと、七十人はないと、この嘉手納の沖繩センターは日本には引き継げないんですよ。これは認めますか。
  101. 内村信行

    政府委員(内村信行君) レーダー管制官とマニュアル管制官を含めまして七十名と考えております。
  102. 上田哲

    上田哲君 ところが五名しか行けないということでは、これはこまかく見ていただくと、どうしたって半年かかるわけですから、そうしますと、どう考えても、四十九年五月十五日には実務上引き継げないということにならざるを得ない。お認めになりますか。
  103. 内村信行

    政府委員(内村信行君) おっしゃるとおり、実はレーダー管制官の教育、これについてはアメリカとは再三再四折衝を重ねておる問題でございますが、いま御指摘のように、アメリカ側は一時に五名しか入れないということを申しております。そこで、第一次の者はすでにもう済みまして、間もなくこれがレーティングを取得できる。それから第二陣は間もなく送り込む。第三陣は十月に送り込むということで、大体十五名というものは沖繩におけるレーダー管制が可能になるというふうに思っております。そこで、あとの十六名というものが問題になりますので、その十六名をアメリカのほうに派遣いたしまして、FAAのほうでレーダー管制の教育をやってもらうというふうないま予定をいたしておりまして、その交渉のために本日私どもの職員をやらしております。ただ問題は、それがかりにできたといたしましても、管制というものは現地において習熟するというふうな問題がございますので、そういったものにつきまても、さらに現場の習熟というものをやる必要がございます。それにつきましては、さらに、そこに詳しいことが書いてございますけれども、その段階において、さらにこちらの教育人員を多く送り込めるようにというふうなことを折衝したいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  104. 上田哲

    上田哲君 その数字を申し入れたのはやっと二月ですよね。で、アメリカはオーケーと言ってきましたか。
  105. 内村信行

    政府委員(内村信行君) まだはっきりオーケーとは言っておりません。これは再三再四、那覇の現場において申し入れ、あるいはこちらで、いまおります松本管制保安部長が直接府中のほうに申し入れ、再々やっております。その結果、現段階においては嘉手納における容量、あるいはアメリカの訓練計画、そういったもののために五名しかできないけれども、あと四、五ヵ月たった段階で、つまり、九月ごろの段階においてもう一回客観的な情勢を洗おうではないか。それで予定どおりの五月十五日に引き継げるというふうなことが確実になれば、それによってアメリカのほうの訓練のほうもスローダウンするとか、そういうふうなことも考えられないものではないんではないか。これははっきりした約束じゃございません。しかし、そういうふうな言い方をしておりますので、そういうふうな線に沿って極力こちらとしては努力いたしまして、アメリカの方面に、各方面からアメリカと折衝いたしまして、私どもの訓練が十分に行なわれるように期待したい、こういうふうに考えております。
  106. 上田哲

    上田哲君 一月二十九日のべーカーの書簡は、そういうものはだめだよということを、簡単に言えば言ってきているのですよ。お読みになればわかる。御存じのとおりでしょう。そうですね。
  107. 松本操

    説明員(松本操君) 一月二十九日にべーカーが出してまいりましたものは、先ほど御説明申し上げましたように、米側の案でございます。それに対しまして、私どもは、これは現地レベルで議論をしておったのではよろしくないということから、在日米軍と私どものほうとの直接交渉というのを並行して行なうことにいたしました。で、ただいま局長からも御説明申し上げましたように、私のスタッフ及び私自身も在日米空軍のほうに出向いてまいりまして、この点についていろいろと議論を重ねたわけでございます。現在まだ最終的な訓練協定の合意というところには到達しておりませんけれども、米側の基本的な考え方としては、日本政府が来年の五月十五日に引き継ぐためには相当の訓練をする必要があることは十分に理解する、現時点において嘉手納の管制部、セラップと呼ばれておりますが、管制部の中において訓練を行ない得る人数には遺憾ながら限りがあるので、さしあたっては五名ということで了解をしてほしい、しかしながら、今後のわがほうの管制官の教育の程度及び米側における管制官の教育の程度等をも勘案し、数カ月たった後にはあらためてその点について詳細な議論を詰めるようにいたしたい、こういうことで現時点では了解をしておる段階でございます。
  108. 上田哲

    上田哲君 たいへんきれいな説明ですけれども、全然そうじゃない。これは運輸大臣、いいですか。沖繩センターというものの位置づけというのは、どのくらいのウェートだかおわかりになりますか、日本の空で。
  109. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 専門的なことはわかりませんけれども、大体運輸大臣として把握し得る程度の知識は持っておるつもりでございます。各方面とのちょうどその接触点に当たっておりまして、非常に重要な航空路管制であるということは了承しておるのであります。
  110. 上田哲

    上田哲君 日本の航空管制部は札幌、東京、福岡、三つしがなかった。それに沖繩が加わって、この四つの管制部で日本の空を全部取り締まろうというのですから、取り仕切ろうというのですから、これはたいへんなことですね。それはおわかりですね。
  111. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) その点は承知しております。
  112. 上田哲

    上田哲君 ところが、いま米軍が嘉手納でACCを持っている。そうすると、日本の管制官がぽんと入って引き継ぐことはできないのです。これは資格認定がありまして、米軍のレーダー機器を使うためには、一定の期間、米軍のあのACCに入って訓練を受けて、米軍から認定をしてもらわないと、あの機具は引き継げないのです。おわかりですね。
  113. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 専門的にはわかりませんが、大体その方向は了解しております。
  114. 上田哲

    上田哲君 そのためには、最低三十名は要るということは明らかになった。ところが、大臣、これ見てください。五名しかだめだと言っている。日本は十五名何とかしてくれないかということを二月にやっと言ったところが、向こうからはだめだと言っている。五名三名、五名二名で、下がっているのですよ。五名入れて三名落とす、五名入れて二名落とす。常時五名しかないのです。この状態でずっといきますと、訓練期間が半年かかる。そうして向こうから資格をもらわないとはいれない。そうすると、実質問題としては引き継げないことになりますね。
  115. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) その管制官の訓練の問題につきましては、私は大体の報告を聞いておりますけれども、日米間で、来年の五月に航空路管制を日本に引き継ぐという、そういうふうな原則的な合意ができておるんですから、その合意に基づいてそれが実施できるような体制をつくるために、いまおっしゃったような点は具体的には合意がなかなかできない。日本側の要求に対しまして、非常にアメリカ側はまあいわば渋いかっこうでやっておるということは事実のようですが、そういう状態の中にあって、やはり基本的には両国の間でそういう原則的な合意ができておるんですから、それを両国間でさらに誠実にその合意を実現するための方法といたしまして、単に現地だけではなしに、さっき私のほうの局長やら部長が御説明いたしましたように、一部分を他の方法によって訓練をしたり、場合によりましてアメリカに派遣をしようというようなことにつきましても、できるだけ向こうの、アメリカ側の関係の機関と打ち合わせいたしまして、何とかして来年の五月には引き継ぎができるような体制をつくろうというので、まあ運輸省といたしましては努力を続けておるということでございます。  なお、これに関しましては、これは運輸省は、そういう技術的なものでありますから、航空分科会というようなもので折衝に当たっておりますけれども、根本的には、そういった両国間の合意ができたのは日米合同委員会でございますから、外務省当局との相談協議によりまして、それが完全に実行されないということになりますと、これは外務省当局と一緒になりまして、対米のさらに誠意のある交渉を続けなきゃならぬ、こう思っておるわけですが、いまのところまだ進行の途中にありまして、おっしゃるように、私はよくわかりませんが、来年の五月にはもう引き継ぎができないんだという結論を出すことができるかどうか、これは私はまだよくわからないのですがね。その五月に引き継ぎができるように、運輸省としましてはいま事務当局で最大限の努力を払っておるという状況でございまして、今後もこの努力は続けるつもりでございます。
  116. 上田哲

    上田哲君 大臣、このままの状態でいったら引き継げなくなるということは明らかですね。
  117. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いまのまんまの状態でございますと、関係の専門家が言っておりますところは、完全な引き継ぎはむずかしいであろうと、こういう結論のようです。いまお示しになったような、こういった事情をどういうふうにしてこれを打開していくかということが今後の問題でございます。
  118. 上田哲

    上田哲君 このままでいったらだめなわけですね。そこでしようがないから、嘉手納ではやらしてくれないから、米国へ派遣するとおっしゃる。これもだめなんですよ。米国へ派遣したんじゃ、山も違う、地形も違うから、レーダーの全然実習にならないので、だから、半年嘉手納に行ってないと使えないですよ。ほかはだめなんです。これははっきりしているんです。だから、その方法は使えないのであって、これじゃだめなんです。五月十五日に日本の空に返ってこないんですよ。これひとつ開発庁長官、どうですか。いいですか、そういうことで。
  119. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 私も、上田先生の御指摘、よくわかるつもりでございます。そこで、おっしゃるようにまず問題が二つばかりある。一つは嘉手納における習熟の問題、嘉手納の現在のアメリカのセンターに入り込んで、そこでもって技量を習熟することがこれが一つございます。それからもう一つの問題は、実は今度私ども日本側で完全な管制をやる場合には、新しく庁舎も建てまして、それから管制機器その他も全部新しくいたします。そういったものは、いま嘉手納にあるものとは違ったタイプのものが出てくると思います。したがいまして、それに習熟するということはもう一つの問題があるわけでございます。両方を一ぺんにやっていかなきゃいかぬということが問題でございますが、ただいま先生指摘のように、ともかくどっちにしても、コントロールというものは特定の地域においてのコントロールでございますから、一般的にレーダーコントロールができればどこでもできるというわけにはまいりません。したがいまして、嘉手納に入ってできるのが十五名、これは先ほど御指摘のとおりですが、そのほか十六名というもの……。
  120. 上田哲

    上田哲君 十五名はオーケーになってない。
  121. 内村信行

    政府委員(内村信行君) いや、十五名はオーケーしているわけです、一ぺんにではございませんけれども、五名ずつ、五名ずつ、五名ずつで。そこであと問題は一いまの十五名につきましては五名ずつ、五名ずつ、五名ずつでございますから、その技量保持という問題があるわけです。それからもう一つは、先ほど大臣からも申し上げました、アメリカヘもっていく十六名というものにつきましては、一般的なレーダーコントロールの知識は持って帰ってまいりますけれども、あるいは技量は持って帰ってまいりますけれども、嘉手納におけるいわゆるポリッシュアップと申しますか、特定の地区におけるコントロールの習熟、こういう問題がもう一つあるわけです。それをどういうふうにするか。それとあわせて、新しいコントロール、私どもでつくる場所におけるコントロールをどう習熟するか、この二つの問題をどう考えるかというふうなことが問題でございまして、そのためには、やはりもう少し嘉手納の中にはいれる人数というものをふやしてもらわないといけないというふうなところから……。
  122. 上田哲

    上田哲君 そこがポイントですよ。
  123. 内村信行

    政府委員(内村信行君) はい。その辺につきまして十分米側とも折衝してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  124. 上田哲

    上田哲君 そんな外側の話じゃだめですよ。嘉手納に入らなきゃだめだというのはもう明らかなんです。しかも嘉手納では、たとえばベトナムの空爆が激しいときには、中にいた管制官は外へほうり出されちゃった。中へはいれないのですよ。この実態、御存じですか。
  125. 内村信行

    政府委員(内村信行君) その話は私は聞いておりませんでした。
  126. 上田哲

    上田哲君 中に入れてもらわなきゃ全然できない。しかも中に十分はいれない。よろしいですか、運輸大臣。これでこのまま五月十五日にいったら返らないですよ。返らないことになるとどういうことになるか。日本の飛行機が那覇へ行きます。わが国の国土である那覇へ行きます。いま民間機が、JALが飛んでますね。今日もそうだし、これから先も、返ってこない限り、全部嘉手納の米軍の管制塔の指示でなければ着陸できないんですよ。御存じですか、大臣。
  127. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) そういう結果になるだろうと思います。ですから、あなたのおっしゃっているのも私の考えているのも同じことなんですけれども、日米間の合意が原則的にできておりますから、それを誠意をもって実行してくれるように、われわれも今後日米間において交渉を行なうと同時に、現地におきましても、そういう管制管の訓練に対しまして適切な方法を講じてもらいたいということで、米軍側と極力努力をして強く折衝をするというのが、今日のわれわれに残された方向じゃないかと思っておりまして、そういう方向でいま関係者も努力をしている最中でございます。
  128. 上田哲

    上田哲君 関係者が努力をしているとおっしゃるんだが、実は努力のしようがないようになっているところがあるんですよ。そこから先が問題なんです。また同じような話になるかもしれない。  念のために伺っておきます。航空管制というものには三つありますが、どういう管制がありますか。
  129. 内村信行

    政府委員(内村信行君) まず一つは、センターでやります航空路管制、それから飛行場の周辺でもだいぶ遠くから行ないます進入管制、それから飛行場管制及び着陸誘導管制でございます。
  130. 上田哲

    上田哲君 航空路管制と進入管制は嘉手納がやっていますね。那覇空港が持っておるのは飛行場管制だけですから、半径九キロしかきかないわけです。いまのところ全部米軍がやっている一そのとおりいっちゃうわけですね。そうすると、順番に聞きますよ。飛行場管制はそれでよろしい。航空路管制というのは日米間の中で可能性がありますね。五月十五日と書いてありますね。それはどこに書いてありますか。
  131. 内村信行

    政府委員(内村信行君) これは昭和四十七年五月十五日付の日米合同委員会の承認になるものでございます。
  132. 上田哲

    上田哲君 航空路管制はそういうふうに書いてあるんですよ。ところが、問題の着陸離陸の進入管制は日付が書いてないんです、これ。先ほど来、五月十五日返還とあります、話ができております、日米合同委員会であります、航空分科会であります、日米間で一生懸命話をしております、外務省に至っては、出先ではいけないから中でやっておりますと言っております。中でやっているというのはこのことです。沖繩返還協定を受けた五月十五日の、これはマル秘文書になっておりますけれども、この中には航空路管制は五月十五日と書いてある。ところが、進入管制については日付が書いてないんです。原文読んでみてください。出せますか、出せませんか。それはかまいませんが、いいですか、進入管制については日付が入ってないというのはどういうわけですか。
  133. 内村信行

    政府委員(内村信行君) ただいま原文を持っておりませんけれども先生がおっしゃるように、進入管制については日付が入っておりません。その理由は、今後進入管制をやるまでには、なお航空路管制をやり、さらにそれから先に進入管制の問題が生じますけれども、それまでに、要員その他につきましてさしあたり見通しがつかなかったもので、そこには書いてないわけでございますが、これもできるだけ早く要員その他を整え次第引き継ぎたいというふうに私どもは思っております。
  134. 上田哲

    上田哲君 外務大臣に伺いたいんです。これは進入管制ですね、離着陸の管制権と、それから航空路管制というものとを分けて、日付がちゃんと別になっておる。離着陸のほうには日付が書いてないんです。これはどういう意味でしょう。
  135. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) ただいま御議論いただいております三つの管制の中の進入管制につきましては、沖繩の特殊事情、すなわち嘉手納、普天間、それから那覇、この三つの飛行場がございますので、これを一体的にとらえ、あるいは管制するという必要がございますので、その技術的な理由によりまして、具体的な日取りが明記されてなかったというふうに承知いたしております。
  136. 上田哲

    上田哲君 そんなのは通りませんよ。明らかに五月十五日と書くべきじゃないですか。そうでたければ沖繩返還協定に疑問があるじゃないですか。返ってこないということじゃないですか。そんなばかな協定がありますか。
  137. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど来、運輸省御当局のほうから、管制業務を引き継ぐにあたっての技術的な受け入れの用意ということについて御説明があったわけでございますけれども、その管制業務引き継ぎたのめの技術的な能力、この問題があるわけでございまして、その観点から話がおくれているというふうに私ども承知いたしております。
  138. 上田哲

    上田哲君 技術的な能力をつけようと思っても、アメリカが中に入れてくれないんじゃないですか。アメリカが中に入れてくれないで、許可もくれないで、それで日付は書いてない。それを日本側が要求しない。日付を書かせようとしない。それはおくれてもいいということじゃないですか。実際問題として、運輸大臣が認められたように、これでは返ってこないという実態がここにあるんではないですか。それは詭弁ですよ。——いや、運輸省じゃなくて、ぼくは外務省に聞きたいんだ。技術的な問題は、アメリカが許さないんじゃないですか。
  139. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 従来、この管制業務の引き継ぎというきわめて専門的、技術的な問題につきまして、運輸省が直接米側と交渉に当たってきておられるわけでございますけれども、その関連におきまして、私どものところには、まだ直接この問題について米側と折衝という要請を受けておりませんので、従来は運輸省が鋭意米側と技術的、専門的な見地から折衝を進めておられるというふうに、一般的に承知いたしております。しかしながら……。
  140. 上田哲

    上田哲君 話が逆だよ。先に書いてある、先に。技術的な問題だからおくれているんじゃなくて、先にこの日米合同委員会の合意書の中で、離着陸の問題については日付は書いてないんですよ。しかも嘉手納、普天間、那覇の三つの空港の離着陸管制について「単一の施設が実施すべきである」ということまで、しっかり「相互に同意する」と書いてある上に、「したがって合衆国政府は、日本政府がこれら飛行場に対するレーダー進入管制業務を行なうことができるまでの暫定期間、これらの飛行場に対する進入管制業務を実施するものとする」と書いてあるということは、一方で、日本側の管制官を入れないでおいて、米軍が嘉手納、普天間を手放さない限り、那覇を含めて沖繩の空の管制はいつまでも米軍でやってください、こういうことじゃないですか。  初めからこれは五月十五日に返らないことをきめてあると理解するよりしょうがないじゃないですか。
  141. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) したがいまして、先ほど来運輸省当局からるる御説明があるとおりに、米側と技術的、専門的な見地から折衝が重ねられてきているわけでございますけれども、残念ながら、従来日本側の希望どおりの米側の反応がないという状況でございまして、この問題については、運輸省は、先ほど来御答弁がありますように、引き続いて鋭意折衝というお考えでございますし、また、合同委員会で管制業務に関する基本的な合意ができている問題でございますから、合同委員会として、適当な状況においては、この問題がうまく動きません状況におきまして、話し合いが当然行なわれるというふうに考えているわけでございます。
  142. 上田哲

    上田哲君 運輸大臣、四十八年の二月にこちら側から、三十人なければどうしてもできないということを向こうに申し入れた、ところが三十人オーケーとは言ってきてない。外務省の解釈では、三十人入れてくれればこれは返るという話だというふうに無理やりに解釈をしている。じゃ、どうしても三十人を夏までに入れなかったら五月十五日までに返ってきませんよ。それ、やりますか。——いや、これは大臣じゃなきゃだめだ。決意の問題だ。やれるかどうかという問題、条約上の問題なんだ。
  143. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、私のほうとしては、アメリカ側に対しまして、既定の方針で来年の五月に返ってくるために必要な準備措置として、いまおっしゃった三十人の問題も、これは極力それを実現するように努力をいたします。
  144. 上田哲

    上田哲君 運輸大臣、極力じゃないんですよ。できるのがあたりまえなんだ。沖繩返還協定はそういうものなんですよ。そうでしょう。それを極力なんて言うのは困る。必ずやるんでなかったら、これは条約はおかしいことになる。もとへ戻りますよ、これは。
  145. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 必ずやるというつもりで交渉をいたしておるのでありますが、これにつきましては、気宇本的には、先ほど外務省からも、私もお答えいたしましたように、日米合同委員会の決定がもとになっておりますから、この点につきましては、われわれも外務省とよく相談をいたしまして、一応きめた——一応じゃありません、日米間できめたこの方向でその結果が生まれるように努力をしなければならぬということは、これは当然のことでございますから、これは必ずやるとかやらぬとかということよりも、もう方針がきまっておるということでございますから、その実が結ぶように、具体的な交渉を進めていくというのが今日の段階でございますから、それに対しまして全力をあげて交渉をいたします。
  146. 上田哲

    上田哲君 外務大臣、沖繩返還協定に基づいて沖繩センターが五月十五日に返ってくるということは当然なことであって、返ってこなければこれは条約違反ですね。主権の侵害ですね。
  147. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 日米間で合意ができているわけでございますので、その実行の問題であろうと思います。したがって、それが実現するように双方とも努力する責任があると思います。
  148. 上田哲

    上田哲君 もし、できなかったら条約違反ですね。
  149. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 条約違反と直ちに結論づけることにつきましては、沖繩協定全体を吟味してみなければならぬと思うのでありますが、先ほど申しましたように、日米双方とも合意の線でその実現をはかる義務はあるわけでございますので、鋭意その方向で努力しなければならぬと思います。
  150. 上田哲

    上田哲君 条約違反であるんですか、ないんですか。いや、外務大臣の努力を聞いているのじゃなくて、条約違反かどうかと言っているんです。
  151. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 昨年五月十五日の日米合同委員会におきまして、航空管制につきましては、「沖繩における航空交通管制組織を運用管理する権限は日本政府に帰属」ということが原則的に合意されているわけでございますから、その限りにおきまして、航空管制組織の運用管理に関する権限については何の疑いもないわけでございますけれども、現実に航空安全の確保という見地から、航空管制がきわめて重要であるという見地に基づきまして、これを具体的に、いかに円滑に、またしかも安全に日本側に移管させるかということが問題になるわけでございまして、いま御指摘の進入管制につきましては、管制要員の確保というふうなきわめて重要な問題ができ上がるまでは、暫定的に米側がその進入管制業務を実施するということになっているわけでございまして、日本側といたしましては、いかにしてその必要な管制要員の確保をはかり、航空安全の確保をはかるかというところに最も主眼があるわけでございまして……。
  152. 上田哲

    上田哲君 条約違反かどうかということを聞いているんです。
  153. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 直ちに条約違反というものではございません。
  154. 上田哲

    上田哲君 なぜですか。五月十五日に返らなければ条約違反じゃないですか。
  155. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 五月十五日に沖繩は復帰してまいりましたし、航空管制組織の権限は日本側に帰属ということについても、原則的な合意が確立されているわけでございまして、その限りについて何の問題はないわけでございますけれども、実際の航空管制につきまして、日本側の体制が整わない間におきまして、暫定的に管制業務を米側に委任しているわけであります。
  156. 上田哲

    上田哲君 あんた、たいへんなことを言っているんですよ。安全のためにとおっしゃるが、あなたは米軍の管制にまかしておいたほうが安全だと考えているのか、日本の管制官を入れたほうが安全だと考えているのか、どっちなんですか。
  157. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 日本側が早く管制要員を整備して、日本側があらゆる管制を全部できるようになることが望ましいことはもちろんでございます。しかしながら、現実の問題といたしまして、先ほど来政府側が答弁いたしておりますように、管制要員の訓練、確保、これについて若干の時間を要していると、こういう問題でございます。
  158. 上田哲

    上田哲君 だから、それは日米合同委員会の中で日付を書いてないから強く言えないんではないですかと言っているんですよ。初めから合意されているんでしょう、これは。この条約の関係をはっきりしてくださいよ。条約違反じゃないなら、合同委員会のこの決定というのが条約違反のことをきめているんだ。これで抜け道をつくっているんじゃないですか。
  159. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 政府答弁してください。
  160. 上田哲

    上田哲君 委員長米軍がもともとこれは返す気がないんですよ。そのために進入管制と航空路管制を区別してここへ持ってきているんですよ。条約違反の問題、安全の問題全部まとめてください、はっきり。
  161. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 条約問題については、外務省当局から御説明があると思いますけれども、私のほうから実態の問題を御説明いたします。私どもの考え方は……。
  162. 上田哲

    上田哲君 実態はいいです。統一してくれなければだめだ。あなたのほうが要求している、それを全然まとまらないからだめなんだという、こんなイタチごっこではどこを突いていったらいいんですか。だめですよ、そんなことじゃ。
  163. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 条約のほうは外務省にまかせます。
  164. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 政府委員、急いで統一見解を出してください。  本日は本委員会で議決をいたしておりますとおり、一般質問終了の日でございますから、議事進行に御協力願います。
  165. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 条約の関係につきましては、先ほど私、御答弁申し上げましたとおりでございまして、進入管制業務の日本側への移管がおくれているということをもって直ちに条約違反ということにはならないわけでございまして、日本側といたしましては、航空当局で先ほど来御答弁申し上げておりますように、すみやかに航空管制要員の確保ということが最大の目標であり、それをもとに米側との話し合いを進める、それを目的として米側との話を進めるということになるわけでございまして、航空当局は、先ほど来米側との折衝の状況をるる御説明いただいておるわけでございまして、私どもも必要な状況におきまして全面的にこれを応援いたしたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  166. 森中守義

    森中守義君 関連。  これはね、委員長、いままで私どもがずっと聞いていましてね、どうしても釈然としませんよ。いいですか、外務大臣、運輸省のほうでは引き継ぎを受けるためにあらゆる努力をしてきたと、こう言っている。ところが、もともと日付が入っていない。言ってしまえば、合同委員会でどういう約束事であったのか、表向きは出ているけれども米軍の意向としては、初めから日本側に引き渡そうという意思がない。努力しても、その結果が五月の十四日を日限として返そうという意思それ自体ないじゃないですか。運輸大臣どうですか、幾ら努力しても五月十四日に日本の管制下に置かれるような可能性が出てきますか。出てこないですよ、これは。だから質問者は五月十四日、日限に返ってこなければ条約違反になるのじゃないかと、こう言っておる。同じようなことを何回やってみても、いたずらに時間の空費です。だからこのあたりで、一体合同委員会ではどういうことが正確に約束づけられているのか、またこれから努力をしてみて、現実的に返ってくる可能性があるのかないのか、この答えを出さなければ意味ありませんよ。委員長、そういう意味で、もうしばらく休んででもこれは統一見解を出させなさいよ。だめですよ、これでは。
  167. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) いま委員長は催促をしております。
  168. 森中守義

    森中守義君 出ないじゃないか、答えが。外務省は運輸省に責任があるというようなことを言ったり、話にならないよ、それでは。努力したってそんな努力のかいないじゃないですか、アメリカは返しゃしないのだよ。返す意思のないものを幾ら言ってみても同じだ。
  169. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) お待たせいたしましたが、いま外務大臣ともよく相談いたしましたが、結局、日米合同委員会で基本的な合意があって、それから来年の五月何日ということがきまってきておるわけですね。ですから……。
  170. 上田哲

    上田哲君 それは本協定ですね、本協定。
  171. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) だから問題は、省としましては、航空というような非常に専門的な問題ですから、分科会をこしらえて具体的に今日まで折衝してきたわけですが、御指摘のように、どうも現地軍との準備についての交渉がうまくいかないのです、今日まで。これでは、このまま放置いたしますと、おっしゃるような結果が出てくるおそれもある。で、いま外務大臣とも相談いたしましたが、われわれのほうからも外務省を通じまして日米合同委員会のほうにこの問題を提起します。そして合同委員会でそういう基本的な合意があったのだから、それを実現するためにこういうふうな障害がある、これを合同委員会としてもう少し高い視野から、この合意が実現されるような方向で合同委員会で具体的にこれをきめるようにしてもらいたいということで、合同委員会にこれを上げて、至急にこの問題についての検討をしてもらおう、こういうことをしようじゃないかということにいま話し合いをいたしましたので、日米合同委員会のその問題についての交渉の結果をもう少しお待ちをいただきたいと思います。
  172. 上田哲

    上田哲君 そうしますと、五月十五日に沖繩センター返還ということは沖繩返還協定、本協定の精神ですね。外務省から聞きたい。
  173. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩返還協定そのもものには、具体的に航空管制の問題についての規定はございませんけれども、沖繩が昨年の五月十五日をもって日本側に返還されたという協定上の約束に基づきまして、沖繩における航空管制の問題について、日米間の整合をはかるという見地から日米合同委員会の合意ができておるわけでございまして、それに基づいて日米間の航空管制の移管について合意、話し合い、そういうものが行なわれたし、また行なわれてきていると、こういう関係に御理解いただきたいと思います。
  174. 上田哲

    上田哲君 よくわかりませんが、沖繩センターの五月十五日返還が本協定の精神であるならば、合同委員会に戻すということは、合同委員会で、この三条三項に、進入管制についても五月十五日という日付を入れるということですね、航空路管制には日付が入っているのだから。離着陸だけは絶対離さないというのはおかしいのだ。(「統一見解にならぬじゃないか、何を両大臣協議したのだ」と呼ぶ者あり)
  175. 上田哲

    上田哲君 委員長、やっぱりちゃんとやってくださいよ。
  176. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 昨年五月十五日の日米合同委員会におきまする航空管制に関する合意の内容は、大きく言って四つございます。第一点は、「沖繩における航空交通管制組織を運用管理する権限は日本政府に帰属する。」、第二点は、「日本政府は那覇空港の航空交通管制業務及び沖繩飛行情報区における航空通信業務などを行なう。」、第三点は、「米国政府は、日本政府が復帰後二年以内に航空交通管制業務を引継ぐまでの間、暫定的にその運用を実施する。」、第四点が、「那覇空港の進入管制業務は航空交通の安全を図るため、技術上の考慮から暫定的に米側が実施する。」、これが合意でございまして、この合意に反するようなことを米側が考えておるというようなことは毛頭ないというふうに考えております。
  177. 上田哲

    上田哲君 あなたの説明では、沖繩の離着陸に関しては米軍の管制のもとに入れるということがきまっていたということになるじゃありませんか。これは本協定の精神にもとるじゃないですか。どっちですか。本協定の精神を続けていくというのだったら、日付を入れるべきじゃないですか。完全に矛盾ですよ。
  178. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) かりに、沖繩におきます航空交通管制組織運用管理の権限が日本側に帰属しないということになりますと、これはまさに沖繩返還協定の趣旨そのものに反するということは言い得るかと思いますけれども、その点については、日本政府に帰属ということについてはっきりした合意があるわけでございまして、その限りにおいて、沖繩協定あるいは条約に違反ということにはならないというふうに考えているわけであります。
  179. 上田哲

    上田哲君 たいへんな見解が出ました。それでいいですか。帰属しているけれども返ってこないでいいんですね。それが統一見解ならたいへんなことになりますよ。沖繩協定は一体何ですか、これは。
  180. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 権限は日本側に帰属したわけでございますけれども、技術的な理由によりまして、事実上管制が行ない得ない状況が今日あるわけでございまして、そこで管制要員の整備、確保ということを急いでおる、こういうわけなんでございます。
  181. 上田哲

    上田哲君 帰属しても返ってこないということを実はこの合同委員会はきめたということになるのですね。それでいいんですね。そうでないというなら、技術の理由にするなら、技術問題として早急に三十人をすぐ入れるということを合意させることができるのですね。どっちですか。はっきりしなきゃ、全然これは協定違反じゃないですか、合同委員会のは。
  182. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 権限が日本側に帰属したということをもって直ちに日本側が管制業務を引き継ぐということは、技術的な理由によって非常に混乱を来たしますので、その混乱を防ぎ、航空交通の安全を確保するという見地から、管制要員の整備までは米側に業務をゆだねているわけでございます。したがいまして、その米側にゆだねている状況をなるべく早く解消いたしますためには、航空管制要員の整備という問題が出てまいりますが、その入れる問題につきまして、従来運輸省が米側と折衝している過程におきまして、物理的な状況その他の米側の事情によって、日本側が希望するような条件を今日まで米側がまだ合意していない、受けておらないという状況があるわけでございまして、先ほど運輸大臣の御答弁がございましたのは、そういう状況に照らしまして、従来航空分科会において米側と折衝しておったけれども、その折衝が必ずしも日本側の希望するような十分な進展を見ていない状況において、先ほど運輸大臣は、今回合同委員会に上げて米側とさらにこの話を詰めたい、こういう御答弁でございまして、私どもは合同委員会日本側の当事者といたしまして、この問題を運輸省と十分協議を進めながら米側と話を進めてまいりたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  183. 上田哲

    上田哲君 アメリカ側がやろうと思えばいまから間に合うんですよ。そのためには、運輸省が言っているとおりの数を入れればいいんですよ。アメリカがオーケーと言いさえすればいいんですよ。アメリカがオーケーと言わないのは、この条項があるから言わないのだ。それを詰めたいというならば、日付を入れろと言っているんですよ、なぜ入れないんですか。日付が入れられなければ、何とか約束をとっていらっしゃい。
  184. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 運輸省と米側との技術的、専門的な話し合いの内容について、私ども今日まで詳しくは承知しておりませんけれども、いずれにしましても、米側においてこの管制所における物理的なスペースの関係その他で、日本側があるいは運輸省が従来希望いたしましたとおりにうんと言わなかったという状況があるようでございまして、そこの状況を詳細運輸省と相談いたした上で、米側とこの問題を話し合ってみたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  185. 上田哲

    上田哲君 アメリカ側は五月の十五日に返すと言っていないんですよ。はっきりしてください、それを。
  186. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど合同委員会の合意の内容を私御説明いたしましたけれども、「復帰後二年以内に航空交通管制業務を引継ぐまでの間、暫定的にその運用を実施」というのが一つございますし、「那覇空港の進入管制業務は航空交通の安全を図るため、技術上の考慮から暫定的に米側が実施」、こういう合意があるわけでございまして、この合意に照らしまして、今後日米合同委員会におきましてさらに具体的に米側と話を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  187. 上田哲

    上田哲君 水かけ論でどうしようもないですね。  外務大臣、運輸大臣、具体的に聞きます。  外務大臣は、五月十五日までにアメリカ側が必ずこの進入管制を返すということを約束させなければ責任をとりますか。  運輸大臣は、三十名を直ちに入れるということをはっきり約束させなければ責任をとりますか。  いずれも沖繩本協定に関する違反問題として、国会に対する責任としてお約束をいただきたい。
  188. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いま御提起されている問題につきましては、航空当局とアメリカ側との間で技術的な見地から折衝が続けられてまいったのでございますが、お聞き取りいただきましたように、これまでのアメリカの反応は、日本側が希望したようなテンポにおいていっていないということであるようでございます。さればこそ、上田委員からもそういう問題が提起されたものと私は理解するのでございます。しかし、先ほど政府委員からも御説明申し上げましたとおり、この問題は航空分科会のほうでやられておったようでございまして、問題がそういうことでございますならば、合同委員会のレベルで取り上げて、その実現を期するように努力するのが当面のわれわれの責任であろうと思うのでございまして、運輸省とよく協議の上、合同委員会の場においてこの問題を取り上げさしていただきたいと思うのでございまして、当面それに全力をあげさしていただきたいと思います。
  189. 上田哲

    上田哲君 できなかったらどうすると言っているんです、約束が取りつけられなかったら。
  190. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) まずその努力をさしていただきたいと思います。
  191. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) ただいま外務大臣が述べられたと同じ考えでございまして、私のほうは多少専門的な問題を持っておりますから、その実態を日米合同委員会でよく理解をさして、日来両国でそういう基本的な合意を見ておるわけですから、それを誠意をもって実行するようにということを合同委員会におきましても主張してもらえるように、十分に、これはわれわれも技術的な方面からの主張をしなければならぬと思っております。その点につきましては、外務大臣が言われましたように、その三十名の問題も含めまして、それはもちろん……。
  192. 上田哲

    上田哲君 ぼくが聞いているのは三十名のことですよ。
  193. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 三十名の問題も含めまして、最大限の努力をして、日米間の合意を得るように努力をいたしますということでございます。
  194. 上田哲

    上田哲君 最大限の努力じゃないんです。大臣、あなた主務大臣だからはっきりしてください。三十人入らなければ、さっきあなたがお認めになったように返ってこないのです。だから外務省があなたのほうに責任をなすりつけて、統一見解にならないのだけれども、向こうが入れてくれないから、入れてくれないからと言っているわけですよ。だから、政府の統一見解なら、三十人がほんとうに、早急に嘉手納センターに入れられるかどうかをはっきりしてください。
  195. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 三十名の問題も一含めまして、先ほど外務大臣も言われましたとおりに、われわれも同じ気持ちでありますから、日米合同委員会において最大限の努力をいたしますということで御了承いただきたい。
  196. 上田哲

    上田哲君 できなかったらどうするんですかと聞いているんです。
  197. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) できなかったらという、そういうことの結果にならないように最大限の努力をいたします。
  198. 上田哲

    上田哲君 沖繩の空は返ってこないという状態、たいへんなんです。  お待たせをいたしましたけれども、開発庁長官、それから自治大臣、沖繩の空を早く返したいということについて、御見解をいただきたい。
  199. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 沖繩県民にとっても、また本土の日本にとっても非常に重大なことでございますので、外務大臣と運輸大臣の全幅の御努力を深く期待申しておるような次第であります。
  200. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) ただいま坪川総務長官からお答えいたしましたと全く同感でございます。
  201. 上田哲

    上田哲君 私は、実務的にも、条約的にも、嘉手納の沖繩センターは五月十五日までに返ってこない状態にあると思います。これは米軍の北爆の状態の実例などをとってみましても、明らかに米軍はこの嘉手納センターを返しません。この返さないというたてまえの中で幾つかのこういうアグリーメントが取りかわされていて、日本側も何回かの申し入れはしていますけれども、全く受けつけられていない。常時五名の体制がこのまま継続するのです。この状態の中で沖繩の空は返ってこないということになると、日本の飛行機はすべて那覇空港に入っても、嘉手納の米軍の管制によってでなければ着陸ができない。わずかに九キロの範囲しか日本側の管制権は及ばないのですから、二分たって飛び上がって、もし米軍基地からおりろと言われたらおりなければならない。こういう状態になるのは、いま福岡へ行くJALが横田と岩国のラプコンの指令によって大局回りをしなければならなくなるという状態、国民にはほとんど知らされていませんけれども、あれは米軍基地のラプコンのために、あの横田、岩国の上を福岡へ行くにも飛べないのです。また、嘉手納のセンターがあるために、いま那覇へ飛行機が入りますときに、運輸大臣も御存じでしょうけれども、中に入るときの進入経路は非常に低空で入ります。
  202. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 上田君、時間が経過いたしました。
  203. 上田哲

    上田哲君 これは嘉手納空港の軍用機と立体交差をしているからです。こういう危険な状態。私は、このほか、たとえば不定期の定期便として飛んでいる、認可が去年の八月からなくなってしまって飛んでいる南西航空の問題、石垣島へ行くときには、一時間飛びますと電波が切れてめくら飛行になって、遭難態勢になっていても手がつけられない。一体日本政府責任を負うのか、米軍責任をとらなければならないのか、あるいはFIRの問題、沖繩防空識別圏の問題、いろいろお尋ねしたいと思いますが、後に譲りますが、とにかくこうした問題は沖繩返還協定の本協定に基づいて、さかのぼって、私は、明らかに合同委員会の決定というのは本協定の精神に反していると思います。そうした問題を、いまお約束になったように、きちんとひとつ合同委員会に上げていただいて、少なくとも五月十五日までに日本の空に返ってくるようにぜひ御努力をいただくことを強調し、最後にその御答弁を、御決意をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  204. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 御提起になりました問題は、合同委員会の場で鋭意検討をいたしまして、われわれが希望する方向に問題の解決ができますように、最大限の努力をいたします。
  205. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これにて上田君の質疑は終了いたしました。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時八分開会
  206. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を続行いたします。中村利次君。
  207. 中村利次

    中村利次君 エネルギー問題は、これは環境、公害等を含めて、いまたいへんな危機だと思いますけれども、石油、電力、また、ある意味では石炭もこれはたいへんな重要な問題をかかえているわけでありますが、まず石油の危機について、通産大臣は石油問題に対してこれをどうとらえ、あるいはどういう見通しをお持ちか、お伺いします。
  208. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昭和四十六年におけるわが国の石油消費は約二・一億キロリッターで、世界の合計は約二十八億キロリッターでございます。昭和六十年におけるわが国の石油消費は、四十五年七月の総合エネルギー調査会の推定では六・八ないし七・五億キロリッターでありまして、その後経済情勢の変化を織り込んでも、六ないし七億キロリッターの石油消費が予想されております。他方、昭和六十年における世界の石油需要は、おおむね六十億キロリッター前後と見込まれており、四十六年に比べて二倍以上の生産が必要となる予想であります。これを実現するためには巨額の開発投資その他の努力が要請されます。しかし、産油国あるいは石油関係各業者、消費国の国際的協力のもとにもし開発が進められるならば、その実現は一応可能であると考えられます。  わが国としては、なかなか困難な事情が前途に予想されておりますが、まず、石油の入手につきましては国際協調、国際協力を第一にして行なう、それからできるだけ東西南北、世界の各地から多元的な供給を受けるようにする、それから原子力やあるいはそのほかのエネルギーの開発も合わせて、国内総合エネルギー量をふやしていくという政策をとる。そういうようなさまざまな政策を組み合わせまして、このエネルギー問題の解決に邁進していきたいと思っております。
  209. 中村利次

    中村利次君 これは大体昭和六十年の見通し等も大臣から答弁があったわけでありますけれども、私は、これは確かに産油国と国際石油資本の関係その他いろいろのことが国際的にはございましょうけれども、わが国自体の、そういう国際環境の中で日本がたいへんな事態になってきておるということは、やはりこれはいつも言われますように生産第一主義の産業構造、特にたいへんにエネルギー多消費型の産業構造を政策的につくり上げてきたというところにその根本原因があると思うんですね。ですから、そういう点、どういうぐあいにお考えになるのか。これはもう、たとえば過去十年余りの間に石油化学がどれほどの伸びを示したのか、それから、そういう生産第一主義の政策が、消費は美徳なりという、まあ消費文明、物質文明びらん期をつくって、これが環境を破壊し、公害につながり、いまではどうにもならなくなった、その一環として石油そのものの危機が国際環境等も含めて非常に深刻になってきたと思うんですが、いかがでしょうか。
  210. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 確かに、いままでわれわれの産業の構造的基礎が資源多消費型という形であったことは否定できないと思います。これは、わが国が海洋に面していて、そうして船舶の輸送が非常に簡便で、港湾の建設が非常にうまくいったという地理的条件に見合わして、そういう重化学工業型の産業政策を進めたのであると思いますが、しかし、今日の時点になってみますと、おっしゃるような弊害が非常に見られてきたわけであります。でありまするから、産業構造審議会におきましてもそういう基本姿勢の転換を要請されまして、今度は知識集約型にもう一段階上昇していくという目標をつくったわけでございます。それで、コンピューターそのほかを使った情報産業等を中心にする知識集約型の方向に国の基本構造を向けていくように努力を開始したというのが現状で、この方向へわれわれはさらに推進してまいりたいと考えます。
  211. 中村利次

    中村利次君 その産業構造の改革につきましては、後ほどまた具体的にお伺いをしたいと思いますけれども、そういう方向でありますならば、少なくとも、田中首相がさきに提唱されました日本列島改造論の中で、これは鉄鋼生産それから原油の輸入量等々が載っておりますけれども、いま通産大臣からお答えになった六億ないし六億五千万キロリッターを大幅に上回る七億五千万キロリッターと想定されていますね。これはいまの御答弁にまさに逆行するものでありましてね、そうなりますと、田中首相そのものはまことに現状認識を欠いた、気楽な姿勢で日本の施政をあずかっておるということになるわけでありますけれども、ここら辺はいかがでしょう。
  212. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 日本列島改造論というのは、御承知のように、田中総理が個人としての私見を非常に雄大な将来の日本の発展の展望に立って述べられたものでございまして、構想そのものについては非常にけっこうだと思いますけれども、その数字というものは、そうした個人の問題でございまするので、詰めてまいりますと、いまおっしゃるような点がないとは言えませんわけでございます。同じ田中総理のもとに、この内閣でつくりました経済社会基本計画においては、選択可能なバランスとして大体五億キロリッターということを言っておるわけでございます。これが公人としての田中総理の見解で、個人として言われたときには、そういう推算の手足がなかったので、大体七億五千万キロリッターであろうかということがあったかもしれませんが、現在の田中総理の構想というものは、いま私の申し上げたことになるわけでございます。
  213. 中村利次

    中村利次君 これは個人でやっても一つ人間でありますから、公人になれば——それも野にあるときの発言ならともかく、やはりこれは政権を争おうという立場で発表されたわけでありますから、国民は個人と公人の区別はなかなかつけがたいと思いますけれども、しかし、いまの長官のお答えですと、田中首相が提起された日本列島論そのものは、これはまことにずさんなものであったと、こう認定してよろしいと思いますけれども、それでよければ、あえて私はこれは追及する意思は全くございません。しかし、いまのお答えの中で六十年、五億キロリッターというお答えでしたが、通産大臣のと食い違っていますが、その点はいかがですか。田中内閣として六十年想定は五億キロリッターとおっしゃった。通産大臣は六億ないし六億五千万ですか、というお答えでしたが、その食い違いはいかがですか。
  214. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) ちょっといまの数字の問題についてお答え申し上げます。  経済基本計画は五十二年度が目標年度でございまして、五十二年度についての数字は出しておりますが、長期の展望もこの中に一応作業としてはいたしました。その作業はコスモというモデルを使っての計算でございますが、その中の一つの試算の数字をいま長官が申されたわけでございまして、これはあくまでまだ試算の段階でございます。展望としてそういう型も考えられるということでございまして、確定的な数字だというふうにはおとり願わないようにお願いいたします。
  215. 中村利次

    中村利次君 いや、展望であろうと確定であろうと、同じ田中内閣の中で経済企画庁と通産省が、それもちっとやそっとの違いではない、たいへんに大違いな数字をおのおの持っておるということはどういうわけですか、これは。
  216. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) 通産大臣からのお答えがございましたのは、四十五年七月の産構審の答申でございまして、こういった経済基本計画等の数字も踏まえまして、これからわれわれもエネルギーの需要についてさらに詰めた数字を出していく、当然通産省とも御相談をすると、こういうことにしたいと思っております。
  217. 中村利次

    中村利次君 これは、私は確認をしておきたいのですがね。国会答弁用として、産構審の答申でございまして……、何であろうとも、少なくとも責任のある大臣が答弁される以上は、これは委員長ひとつ、大臣の責任において答弁されるわけですから、過程なんか私は問うているんじゃないのです。
  218. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 局長が申しましたように、この計画をつくりました時点が違うわけでございまして、四十五年の時点に立って考えますと、六億ないし六億五千という数字が出ましたけれども、その後公害の問題が非常に大きな問題になってきた。それからこの公害を発生させないようないろんな技術の進歩、そういうものも考慮に入れながら考え、しかも、原油供給国の事情等も勘案してみると、選択可能なバランスとしては五億キロリッター程度ではなかろうかと、こういうことでございまして、これは四十七年の末の見通しでございます。計画の時点が違うわけで、この二年間の間に、その後産油国の情勢、またそれを消費し得るわが国の情勢、そういうものについての見解が変わってきている、こういうことに御理解を願っておきたいと思います。
  219. 中村利次

    中村利次君 私は現在ただいまの時点で質問をしているのです。過去のそういう博物館にでもほこりをかぶって置かなければならない資料でお答えをいただいたんでは、はなはだ迷惑でございますから、そんなもので時間をとっておるのはこれはもったいないのですから次に移りますけれども、このテヘラン・トリポリ協定、それからジュネーブ協定、リアド協定等、いまとにかく産油国と国際石油資本との力の関係というのがたいへんに変化をしてきておりますけれども、こういうことから原油の価格がどういうぐあいになっていくのか。大体これはこういう協定等から見通していくと、相当の予測がつくと思いますけれども、いかがですか。
  220. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは通産大臣にお答えいただくほうが筋でございますが、私どもこの計画をつくったりする者の立場から見ております数字は、大体現在一キロリッター当たり二十ドルでございますが、これが三十五ないし四十ドルぐらいになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  221. 中村利次

    中村利次君 それはだいじょうぶですか、そういう見通しは。企画庁長官
  222. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) ただいまの御答弁がありました数字も、これは試算としてやったものでございまして、これには当然前提を置いてこういう数字を出したわけでございます。御承知のように、傾向的にはだいぶ上がる傾向でございますが、私どものほうのこのモデルに入れる計算として、こういった数字が出しておるわけでございます。
  223. 中村利次

    中村利次君 困りますよ、それは。そういうどうも先行き手直しをしなきゃならないような想定をされるから、すべてが狂っちゃって、国民は迷惑するのですよ。これは原油の価格についてはメジャーズ間、あるいは石油のエコノミスト間でも、大体昭和八十年ごろはバーレル当たり最低五ドルという、これはいまの二倍半、あるいはそれ以上、こういう見通しを立てておるようですが、これはそれじゃ間違いということですか。一倍半か二倍ぐらいに想定されているということは。
  224. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) テヘラン協定あるいはジュネーブ協定等の協定もできまして、テヘラン協定によりますと、一九七五年までの期間について、毎年原油価格を二・五%プラス五セント・パー・バーレル引き上げるということをきめております。それからジュネーブ協定によりますと、ドルの値段の下がった分だけを油の値段を上げるように、そういうような通貨調整についても一定の方式でドルの減価補償に見合う原油の公示価格引き上げをきめております。こういうような様相から見ますと、やはり石油価格は今後上昇していくと考えなければなりません。それがどの程度になるかということは、まだここではっきりいまバーベル五ドルというような数字を申し上げるわけにまいりませんが、一部の業者の間では、いまおっしゃったような線がささやかれている向きもなくはございません。政府として、幾らになるということはたいへん大きな問題で、ここで明言はできませんが、かなり上昇していく時代に入る。したがって、石油の取り扱いについてももっと資源的手当てと同時に、消費についてみんなが大事にしなければならぬときがきたと、そういうように感じております。
  225. 中村利次

    中村利次君 消費について、資源を大事にしようというのはまことにけっこうな話ですけれども、これは私はやはり一九八〇年といいますと、もうたった七年の期間ですよ。少なくとも時の政府国民の利益を背負っているわけですから、どうも見通しを非常に甘いあるいは、ずさんな見通しで今後の計画をお立てになるという点については、大きなこれは疑問があると思う。  かりに、その五ドルとしましても、相当これは値上がりするというのが世界の常識ですけれども、その場合、かりに六億キロリッターあるいは六億五千万キロリッターと想定しましてもね、大体原油に支払うドルが幾らぐらいになるのか、これは私は二百億ドル前後にならざるを得ないと思うんですね。その場合の国際収支については、これは大蔵大臣、経済企画庁長官、どういうぐあいにお考えになりますか。
  226. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 日本の石油の消費が非常に多い。そして、今後も多くなる見通しでございますから、国際収支の面でこの長期的にどのくらいになるであろうかということは、私といたしましても大きな関心を持っております。前提となる見通しについて、いまいろいろ御指摘がございまして、的確に長期的にどれだけになるかということは、価格の面でもそれから数量の面でも、はっきりと具体的な数字をあげて申し上げるような段階ではございませんけれども、とにかくこれが相当な額になるということは御指摘のとおりでございます。  そこで、その場合に日本の国際収支がどうなるかということでございますが、現状から考えてみまして、その程度の輸入あるいは支払い額になりましても、それがそのまま赤字として国際収支上の負担になるというようなことにはならないようにやっていかなければならない。これが日本の経済の成長のために必要なものであるならば、そのために国際収支上に大きな影を落とさないようにしなければならないというのが、国際収支上の対策でなければならないと思います。まあ現状においては、御案内のようにドルの蓄積も率直に言えば多過ぎるくらいございますから、現状においては心配ございませんが、今後の計画におきましても、そういう点は十分頭に置いて考えていかなければならない。これが数字的にこうなればこうということを申し上げれば、御納得がいただけると思いますけれども数字的には現在のところでは、いま両大臣から御答弁を申し上げておるような状況でございますから、これを確たる国際収支上の問題として、こうなった場合はこうなるということまでは申し上げられませんけれども、十分にこの点の動向はわれわれのほうといたしましても勘定に入れるというか、頭に入れて計画をしていきたいと、こう考えております。
  227. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) アメリカのある専門家が参りまして、私と話しましたときに、彼はその専門的な調査の結果として、一九八〇年ぐらいになると、アメリカの石油に対する支払いが二百億ドルから二百五十億ドルぐらいにのぼる。日本はその場合に百五十億ドルから二百億ドルぐらいにのぼるかもしれぬと。ECが同じく二百億ドルぐらいになるでしょうと。これは年間の支払いの話です。そういうような数字アメリカのある専門家が述べておりました。それを考えてみても、相当な支払いが出てきて、アメリカ日本、EC、ともに石油の支払いの面から外貨事情というものにかなりの圧力がくる、そういう感じがしておるのであります。
  228. 中村利次

    中村利次君 その反面、これは産油国の得るドルなんというものはばく大なものだということがいわれていますね。産油国全体では一千億ドルをこえるであろうとか、サウジアラビアだけで、これは何ですか、あそこの石油相が今後十年間に六百五十億から七百億ドル、開発に幾ら使ってみたって三百億から四百億ドルぐらい残る。こういうのが国際通貨に与える影響をどう想定されるのか。これはもう目先の問題ですけれども、いかがでしょう。
  229. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございまして、今日でも国際通貨不安の問題に関連して、たとえばユーロダラーの問題とか、あるいは多国籍企業の持つ資金であるとかいうことが、現にもう当面している問題がございまして、これに対しましては、先般当委員会でも御論議がありましたように、単なるパリ会議とかなんとかいうような構成だけではなくて、世界全体の国々の協力を得て国際通貨の確立をはからなければならない、あるいは広く各国、IMF参加国が、たとえば公的準備金を放出するというようなことについてはこれは厳に慎むということをお互いに約束し合うとかいうようなことが出ておりますのは、その点に触れている問題でございます。  それから、同時に、これはお尋ねの範囲をちょっと越えておるかもしれませんけれども、現状においては、たとえば貿易上は日本アメリカに対して非常な黒字でございますが、しかし、多国籍企業の関係などを考えてみると、日本が輸入しておる産油国の石油の企業の形態というようなことを考え合わせてみますと、日本は非常なそれらの国からは輸入超過になっておる。で、これをマルチの関係でとってみれば、全体がほぼバランスがとれるではないかというような見方もできるわけでございまして、そういうような点を、やはり国際通貨問題を確立する上において、あるいは多国間の国際収支を調整する上において、非常に大きな因子、ファクターとして考えの中に入れ、具体的な政策をとっていかなければならない。したがいまして、今後国際通貨制度の確立の問題に向かいましても、こういった当面し、あるいは近い将来に起こることが必至であるところの各国と石油産出国との間の関係というようなことは、まあ十分に問題にし、あるいは注目して、これを多数国間の間で、何と申しますか、適切な対策について相互の理解と協力を求めていかなければならないということは当然取り上げていかなければならない問題である、こういうふうに考えております。
  230. 中村利次

    中村利次君 これは問題があり過ぎるぐらいあると思いますけれども、次に、チュメニ油田の共同開発について。これは通産大臣は、国益のためにはやはり共同開発をするという方向で答弁されたようでありますけれども、まあ外交上——外務大臣はお見えにならないんですか。
  231. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 外務大臣、要求ありましたか。要求ないんでございましょう。
  232. 中村利次

    中村利次君 そうですか。
  233. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 書いてないですね。
  234. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) シベリア開発の同軸につきましては、外務省とも……
  235. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ちょっと答弁をお聞きください。
  236. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いいですか。——外務省ともよく連絡しておりまして、外務大臣と私の間でも意見の一致を見て政策を進めておるところでございます。私がこの間答弁申し上げたのは、外務省と意見の一致したところで申し上げております。すなわち、日本の将来のエネルギーの需給関係を考えてみますと、先ほど申し上げたように、国際協力及び多元的な供給源を獲得する、そういうような方式でやっていく必要があり、シベリア開発についてもそういう観点から前向きに進めよう。しかし、それには、日本の国情として自由経済をもってやっている国でございますから、これを引き取る民間側のものとソ連との間で取引条件について完全な合理的な合意が成立しなければいかぬ。そういう合意が成立して政府レベルに上がってくれば、この問題については前向きに対処すると、そういう基本的な考え方において、通産省、外務省一致しているところでございます。
  237. 中村利次

    中村利次君 次に、これは最も深刻な電力危機について質問をします。  電源立地の問題が四十五年以降これは目立って困難かつ深刻になってまいりまして、いまもうこれはお先まっ暗だという状態だと思うのです。四十七年度の電源開発の計画と、それから電調審で認可されたもの、また実際に着工したもの、こういうものとの関連をお答え願います。
  238. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 四十七年度においては、当初予定約千二百万キロワットの開発計画に対しまして三百八十万キロワットが決定されたのにすぎません。そのうちでも二〇%が年度内に着工されたにとどまっております。それで電力の需要は毎年一〇%程度の伸びで伸びておりまして、最大需要電力は、昭和四十六年度においては八月に五千四百四十万キロワットでございましたが、五十一年度にはそれが九千五百二十二万キロワットになるものと予想されます。すなわち一・八倍になる予定です。他方、供給について見ますと、いまお答え申し上げましたような事情で、非常に需給がタイトになってまいります。この情勢で将来の情勢を見ますと、現在稼働中の電源と電源開発調整審議会で決定を見ている電源によって将来の供給力を想定してみましても、供給予備率は五十一年度には二・一%に低下いたします。適正予備率は八ないし一〇%というところでございますから、近い将来に深刻な電力危機が懸念されている状態であります。
  239. 中村利次

    中村利次君 これはデータのとり方によっていろいろと違ってくると思いますけれども、私が少なくとも承知をしておるところは、いま通産大臣がお答えいただいたものよりももっと深刻で、現在の設備及び着工しておるその設備をもってすると、五十一年度には予備率はまさにこれは赤字になるという計算が出るのですね。まあ八%から一〇%の予備率がなければ正常な供給ができないといわれている電力が、ゼロでもいいです、二%でも、あるいはそれがマイナス以下に下がった場合どういう状態になるか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  240. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはそういうことがないようにわれわれ政策を進めてまいりたいと思いますが、やはり一部の制限、前にありましたように、停電とかあるいは産業用電力を一部カットするとか、あるいは不必要な向きについては自粛を願うとか、そういう節約のことをやらざるを得ぬのではないかと思います。
  241. 中村利次

    中村利次君 いやいや、これは大臣ね、何とかそうならないようにとおっしゃっても、現在ただいま、去年の夏には通産省がもう関西ではその規制をおやりになったでしょう。現在の全国平均の予備率は六—七%あるのですよ。六%台あるはずです。それが六%台の予備率で、なおかつ部分的には、もう需要規制をしなければならないという実態ですから、これは、それが二%になり、ゼロになり、ゼロ以下になったらどういう事態になるのか、そういうことの認識が甘いと、これは何とかしなければならぬ、何とかしなければならないということで終わりだと思うんですが、私はこれは正しく認識されるべきだと思いますので、大臣がどういう御認識をお持ちか、伺います。
  242. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中村委員の認識と同じです。去年は確かに、関西電力において発電機の事故が起こりまして、故障等もありまして、そのために電力制限をせざるを得ぬという態勢を大阪通産局を中心にして用意いたしたことは事実です。しかし、幸いに切り抜けることができました。しかし、いつああいう事態が起こらないとも言えないような電力需給関係にいま動きつつあります。ところがいろいろ住民の皆さんが、公害問題その他の関係もありまして、着工に賛成していただけないわけなんです。それで、これをどういうふうに打開したらいいものか。やっぱり公害に対する対策をきちっとやって、そして低公害の燃料を供給してやって、住民の皆さんに安心して電力開発に協力していただけるような態勢をつくることがまず第一だ、そのためには、一面においてはそういう公害防除の科学技術関係の施設をもっと開発をスピードアップしなければならぬ、もう一面においては、低硫黄原油等の供給も考えなければならぬ、そういう面でいろいろ努力しておるのでございますが、やはり電力の需要量の伸びのほうが実は非常に激しいわけなんでございます。それで、まことに頭の痛い状態で、これを憂えておるのであります。まあしかし、いま申し上げたような方向で、いろいろな面の打開をはかっていこうと思っております。
  243. 中村利次

    中村利次君 これは、私は非常に悪い事態からすると、五十二年にはマイナス五%近い予備率が赤字になる。こうなったらこれはもう社会大混乱を起こすことになるわけです。ところが、そういう非常に、いま電力はたいへんな危機だという認識が全く、政府にもない。政府にないわけでありますから、これは産業界にもなければ国民層にもそういう認識はない。何とか努力して、何とか切り抜けていこうという、そういう姿勢では、これはまともな認識はできっこないと思うんですね。ですからそういう意味で、私は重ねて、四十七年度の着工、あるいは電調審の認可等についてもお伺いしましたが、四十八年度はどうなっておるのか、そういうものの積み重ねが、四十六年、四十七年度が五十年、五十一年、五十二年の電力の供給力につながるわけでありますから、三年、五年先のことになってくるんです。ですから四十八年度はどういう実態にあるのか、お伺いします。
  244. 向井長年

    ○向井長年君 ちょっとそれに関連して。  その答弁の前に、関連して申し上げますが、おそらく通産当局は電調審の決定を促進する意味で努力されておると思います。しかし、これは通産だけではできないんですよ。きょうは農林大臣が来ておりませんが、やはり農林省に関係あり、自治省に関係あり、あるいは各省にまたがるもろもろの地域の問題があるはずですよ。したがって、いま中村委員が言われたように、いま電力が不足した場合どうなるか。いま現に不足の状況が出てきておる。電調審の決定が進まない。先ほど言われた公害の問題から地域立地問題で進まない。こういう状況の中で、政府自体各省がその危機感を持ってそれに当たっておるのかどうか、ここに私は問題があると思うんですよ。通産当局は、電調審の計画はわかる、しかしこの計画は計画だけであって実施に移ってないということですよね、毎年毎年おくれてしまって。事実できない。で、ただ電調審で通ったら、それで事業者が努力すりゃいいんだと、こういう感じがいまあるんじゃないかと思います。なるほど事業者は努力しているかもしらぬが、各省にまたがるもろもろの問題、たとえば漁業問題もありましょう。あるいはまた公害問題題あり、その他自治省、地方自治に対する指導の問題、もろもろの問題があるわけですから、これに対してどういう……、建設省もありますよ、金丸建設大臣。そういう問題をどういうようにして通産省と横の連携をとって、努力を今日までしてきておるか、こういう問題もあわせて私は聞きたい。
  245. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 向井君に申し上げますが、あれですか、通産大臣のほか、だれ——建設、自治。
  246. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府といたしましては、各省ともそういう認識を大体持っていてくれております。それで、今回は長い間懸案でありました水力電源地帯の周辺整備に関する法案、それから原子力並びに火力発電の施設周辺整備法、これらについても建設省、自治省、農林省、各省の協力を得まして、ようやく日の目を見まして、議会に提案するところまで至りました。これらもやはり各省が電力問題、エネルギー問題について非常に目を開いてわれわれに協力していただいた結果でございますが、この程度で済まされるものではないと私は認識しております。で、この法案を通して、そしてさらに次の段階のことも考えておかなければならない。  先ほど中村委員の御質問のときに自治大臣と話をしておりましたのは、実はその件で、発電地帯に対する固定資産税の問題を、その地元に潤すようによけい固定資産税を払ってもらうという話な実は交渉して話しておったところなんです。今度は固定資産税の問題は入れることができなかったのです。しかし電力会社から金を出さして、それに見合う分として、その法律で地元に金を出してもらうと、そういうことにいたしましたけれども、これではまだ弱いものですから、やはり制度的にある何%のお金を払う、基地交付金というのはあるわけでございますから、その考えはどうかと、いま自治大臣と話していたところなのでございます。  それで、四十八年度以降の需給関係を見ますと、中央電力協議会の試算によりますと、四十八年度においては、供給力が六千九百六十万キロワット、需要が六千五百五十万キロワット、予備率が六・三%、四十九年が、供給力が七千七百九十七万キロワット、需要が七千三百十四万キロワット、予備率六・六%、五十・一年になりますと、供給力が九千十二万キロワット、需要が九千二十九万キロワット、予備率がマイナスの〇・二%に下がる。五十二年になると、それがマイナスの四・七%に下がる。これが中央電力協議会の試算でございます。いまの需要の伸びでいくと、こういう方向にいく可能性はかなりございます。その辺の対策をわれわれ至急講じなければならぬと考えているところであります。
  247. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 電力の問題につきましては、閣議で通産大臣から非常に危機感を訴えられまして、私も通産大臣の意を体しまして本省に帰りまして、道路局といろいろ話し、あるいは公園関係とも話しましたが、なかなかむずかしい問題だったわけでございますが、市町村道につきましては二分の一から四分の三にかさ上げする、なお公園につきましては三分の一から十分の四にかさ上げするということで、通産省の合意を得たわけでございます。
  248. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 自治省といたしましては、これらに一体どう対策するのか、通産省の御要望の線に沿って、いま建設省などとも合議をいたしまして、道路であるとか、いろんな地元の周辺整備のための事業のかさ上げを努力してまいったわけでございます。で、この電源開発は、御承知のように普通の会社と違いまして、下請企業というものは要りません。またそれを誘致したことによって地元の人がたいへん働く場所を得るというていのものでもないわけでありまして、やや先ほど通産大臣が指摘をされた基地に似たような、あまり地元に誘致してもメリットがないというきわめて不合理な点がありまするので、今後とも、私どももきめこまかに対策をしてまいりたいと思っております。さっき通産大臣が言われましたのは、固定資産税の収入を基準財政収入額に七五%と、こう認めるものを何か措置できないかという御要請が通産省側からあったわけでありまするが、そういう固定資産税を根本からなぶることをいたしまするというと、これは個々の固定資産税にも影響いたしまするし、これはもう地方交付税交付金の根本にかかわるものでございまするから、私ども自治省の考え方としては、それはなぶらないが、先ほど申し上げたように、個々の周辺整備の事業についてかさ上げをすることのほうが望ましいという点で合意をしたわけでございます。  それからもう一点は、固定資産税、これは発電所の場合、固定資産税の減免措置をとっております。これについて関連市町村からは、この減免措置十年間を何とかやめることはできないのかという強い要請があることは、これはもう中村委員も御承知のとおりだと思います。ところが、これは非常に発電所建設に経費がかかりまするので、電気料金というものの平衡性を保つ上からいいますると、まあ最初の五年間、次の五年間と二度に区別をして、固定資産税の減免措置もまた電気料金の安定という面からいうとやむを得ないのではないかというふうに考えております。特にこの減免によって一般消費者にはね返りがあるなどということになれば、物価問題とのかね合いで大きな問題にもなるわけですから、まだ結論には至っておりませんが、しかし、メリットがない発電所ということで、こんなに電力が不足しておるにもかかわらず、地元ではとかくの議論が絶えず、思うように発電所建設が進まないというこの場面を、先ほどの周辺整備法だけで十分などとは私どもも思っておりませんので、十分関係省庁とも連絡をしまして、こういった問題についてはよくよくひとつ検討をいたしまして、一つずつ解決をしてまいりたいと考えております。
  249. 中村利次

    中村利次君 これはおっしゃるとおりですね。環境整備法、これは即効的な役割りは私は果たせないと思うんです。中身についてはこれは法案が提出されてから十分の議論になるんでしょうけれども、いまは、自治大臣がおっしゃったように、周辺整備のかさ上げだけで解決しないものがいま一ぱいあるんです。これは通産省あるいは科学技術庁等で招集をされた主管課長会議等々でも一ぱい出ていますよね。これは後ほど私は具体的な内容についても質問をしたいと思っておりますけれども、いまおっしゃるようなそいつをひとつうんと踏み出した対策というものがありませんと、これは何回言っても同じですけれども、予備率ゼロになるとか、通産大臣からも五十二年はマイナス四・七、これは予備率四・七なんということは考えられない事態です。社会大混乱が起きることはもう全くこれは絶対間違いのないところでありますけれども、こういう深刻な電力不足について、通産省ではもうそれを予見されて、五十年以降に大口電力の規制を中心とした対応策を検討されておるということが言われておりますが、そのとおりですか。
  250. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 制限的意味における対応策というものは別に考えておりませんが、ともかくいまのような浪費をまず第一に何とかみんなでなくすように努力してもらう、そういう面と、それから地元の皆さん方に発電所設置について賛成してもらえるようなメリットを与えるということをもっと推進するということと、それから、その一つとして公害防除について燃料手当てその他もやっていく、そういういろいろな組み合わせでともかく進めていこうと思っているわけであります。
  251. 中村利次

    中村利次君 これは即効薬として役に立つのはいろいろありますけれども、それは今後の問題ですよね。これからの建設にどう生かしていくか。ところが実際に四十七年、四十八年はもうどうにもならないくらいおくれているわけですから、この取り返しはできないわけですね。ですからその場合、需要の規制をしなきゃならなくなった場合に、これは一般家庭をなさるのか大口をなさるのか、どういうところを対象にして。私は今明年、もう関西あたりでは規制の必要が現実に出てくると思う。どういうぐあいにお考えですか。
  252. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 不幸にしてそういう事態が万一起きた場合には、電気事業法第二十七条というのがございまして、需給調整を行なう必要がある場合、特にその不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼして公共の利益を阻害するおそれがあると認めるときには、使用を制限し、または新規の電力の受電を制限することができる、こういうことがございまして、関西の昨年の場合は、これを発動してやらざるを得ぬのではないかというので、万一の場合に備えてそういう用意もさせました。しかし、まあ発動しないで済んだわけでございます。  しかし、将来のことを考えてみますと、そういうことがなきにしもあらずであります。しかし、まあそれを起こさないようにやることがわれわれ政治家のつとめでございますから、ともかくあらゆる手を使って、その事態を回避しようとしておりますが、一番手っとり早いのは、むだな電力づかいをやめてもらうという点がかなりあります。寝るときにみんな昔は電気を消して寝たものですけれども、近ごろの若い新婚夫婦なんかは電気をそう消さないで寝たり、テレビをつけっぱなしでやったり、テレビの電力需要量というのは非常に大きいのです。それから、夏、非常に電気量が多くなる。八月が一番ピークになってきておる。これはやっぱりルームクーラーとかそのほかのものが出てきて、昔は冬が多かったのが近ごろは夏が多いという現象が出てまいりました。テレビとか三種の神器による電力需要というのはばかにできない。昔の大口産業電力よりも需給の度合いというのは強くなってきております。そういう面から、家庭にも呼びかけまして、そういうふうに実は持っていこうと思いまして、私、通産当局に資源エネルギー白書を出そうじゃないかと、それで現状はこうで、政府としてはこういうことを一生懸命やっておるけれども、とても手の及ばぬところもあるので、国民の皆さま方に御協力を願うように事態を解明して、知っていただく、そういうことを実はやろうと思って、作業をやらしておるところでございます。
  253. 中村利次

    中村利次君 おっしゃるとおりですね。これはやはり資源を大事にするという運動は、国民運動まで起こさなければいけないのです。ところが、きわめて遺憾なことには、やはり消費は美徳なりという、そういう消費哲学をつくり上げたのは、やはり生産第一主義のいままでの政府の政策であったというところに、私はいまの政府のやはり非常に深刻なジレンマがあると思うのですよ。いま御指摘になったクーラーでも、いま普及率一三%だそうですけれども、これで四百四十万キロワットくらい食うんですか、これは普及はどんどんどんどんふえていく傾向にあります。ことしなんかもっとふえるでしょう。これはえらいことですよね。ところが、こいつをとめた場合にはやはりたいへんでしょう。社会問題になりはしませんか。ですから、そういう意味から、これは先ほど答弁がございましたから、ついでに私は各大臣にお伺いをしておきたいのですが、この環境整備をやる場合、予算は通産省でとるのか、あるいはどこでとるのか、これは即効薬はありませんけれども一つのやはり将来に向かって、いろいろ法案が提出されて、議論をされて、どういうぐあいになりますか、成立すれば一つのてこ入れにはなると思う、中野は問題はあっても。その場合ですね、現状みたいに建設省は建設省、いや、おれのところは国土総合開発でこれは手一ぱいだとか、あるいは予算は建設省が持つのか、総括して持つのか。建設省がはたしてそれに対してほんとうに一〇〇%やってくれるのかどうか。厚生省の関係はどうか。あるいは文部省はどうか。自治省はどうか。これはいままでの実際の具体例が、発電所の建設をするということになると、学校の補修費、道路の建設費、当然地方公共団体、国がやらなきゃならないことをやらされてきておるんです。この周辺整備法がそういうものに火をつけて、かえって逆の意味で立地問題の解決に大きな支障を与えるのではないかというおそれすらあるぐらい、各省庁の姿勢次第ではこれは相当問題がある。だから、たとえば文部省は、それは小学校や幼稚園なんかは地方自治体が建てる、国がそういう補助をする、当然であるというものを当然として実行されるのか。建設省はそういう国家的、国民的要請に備える姿勢があるのかどうか。厚生省はどうか。そういう点、ひとつ関係各大臣から、自治大臣もぜひお願いします。
  254. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 道路、公園の予算は建設省でございまして、しかし、予算は一括でなくても、建設省は、必ず先ほど申し上げましたことにつきましては実行をいたします。
  255. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 漁港であるとか港湾であるとか道路であるとか、すべて地元負担につきましては起債の要請が私どものほうにもあると思いまするが、こういう場合のは最も優先的に考慮するように、これは十分指図します。これは重要なことだと思っております。
  256. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 厚生省所管では、水道等の補助率の問題等があるわけでございますが、その他社会福祉の充実等もありますので、そういう方面に努力いたします。
  257. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 法に基づく整備計画の中に取り上げられる問題でございますので、幼稚園にいたしましても、公立学校にいたしましても、計画の中に上がってまいりまする以上は、優先的に国庫補助対象に取り上げていかなければならない、かように考えているわけであります。
  258. 中村利次

    中村利次君 いや、たとえば小学校、幼稚園、これは地方公共団体が当然市町村立なんかやりますね。当然やるべきである。それは、文部省もそういう指導をするのが正しいんですよ。ところが、そういうのを、発電所をつくるといったらひとつ学校もこういうふうに直してくれとか、そういうのがいままでずっとあったんです。これが正しいのかどうか。そういうのをどういうぐあいに明確にされるのか、どうか。
  259. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) この法律の中には、特に学校ということでは取り上げていないようでございます。ただ、大団地を造成するというような場合には人口は非常にふえてくる。したがって、公立幼稚園なり学校なりの用地を確保してもらいたいということは、話し合いの中に入ってくるわけでございますけれども、今度のような場合にはそういうことは考えておりませんし、またそうすべきじゃなくて、自発的な協力要請、協力希望があるなら格別でございますけれども、当然これは公費で負担すべきものでございますし、また国庫補助対象でもございますし、地方債対象でもございますので、そういう形において、積極的に建設に地方公共団体が責任を持つ、国がそれに協力するという姿勢で臨むべきだと考えております。
  260. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 電源の周辺地域整備に一つの例をとりますと、今度法律案の御審議を願うわけでございますが、まず第一に制度の問題として、それらの関係の地域の、たとえば道路にいたしましても公園にしても、あるいは漁港とか港湾とかいろいろございますが、それの地方負担になる分についての国の負担率、これを相当引き上げることにいたしたわけでございます。そういう制度の上でまず第一に大蔵省としては協力をいたすわけでございます。これは制度として国庫の補助率を引き上げる、かさ上げをやるわけでございますから、これは大蔵省として財源的なおせわをすることは当然でございます。  それから、これは他の例になりますが、たとえば国土総合開発については、今度国総法ができますれば、関係の各省の予算の概算要求のときに、国土総合開発庁がまず調整をする。そうして、それをさらに大蔵省として査定をするということになりますから、予算編成のときに、相当十分に各省間の協調関係というのが確立されるわけでございます。さらに予算を実行するときに、もう一度念を入れて連絡調整をすることになっておるわけでございます。  こういう点については、先般本会議でも御質問いただいて、そういうことは屋上屋を架するおそれがあるのではないか、こういう御質疑がございましたが、それはそうではなくて、いま御指摘があったような点についての各省庁の連絡をよくし、一斉に同じ目的に向かって事業がやれるようにということのためにこれは必要であり、また同時に、国庫大臣としての大蔵大臣の権限を、これは何といいますか、これを阻害するものではないということを本会議でも御説明いたしたわけでございますが、そういうわけで、制度の上において、あるいは予算の上において、あるいはその実行の面において、この種の問題については従来から格段と、一斉に斉合性のある予算の執行ができるようにいたしたつもりでございます。
  261. 向井長年

    ○向井長年君 関連。
  262. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 向井君、簡潔に願います。
  263. 向井長年

    ○向井長年君 いま、大蔵大臣初め各大臣が、予算化の問題で、それぞれこの法案を順奉したいと、こういうことですが、これはまだ、この法案についてはまだまだ十分検討を要すると思いますが、何はともあれ、そういう整備の問題については地方公共団体、いわゆる知事にそういう草案を出さそうということに、おそらくなっているでしょう。そういう場合に、実際、本来の県自体のあらゆる事業があるわけですね。たとえば建設省にしましても。そうしますと、やはり知事というのは中央政府に対しては今日まで非常に弱い。したがって、あらゆる助成を行なわなければならぬ、あるいはまた事業費をもらわなければならぬ、こういう立場から強いことをよう言わない。そうすると、そういう問題はほどほどにしておいて、それを出す。それを予算化する。ところが、あと足らない問題については事業者に負担してもらおうではないか、こういう問題が必ず起きてくる。私はそういう筋だと思う。決して事業者の肩を持つわけではございません。少なくとも、早くこの立地条件を入れて建設しなければならぬ、そうして料金にはできるだけはね返らさぬようにしなければならぬ、こういう立場を考えるならば、そう簡単なものではないと思いますよ。いま大蔵大臣が言われた屋上屋という問題も必ず出てくる。  こういう問題について、私はいずれ総括質問の中でも総理を初め質問したいと思っておりますが、何はともあれ、政府自体が、この電力の危機をいかに救うか、この危機感というものが、ただ発電所を建設する地点の問題だけではなくて、国民の世論化するという、国民が一日も早く理解して、電力を開発してもらわなければならぬ、こういう気持ちの方向をまず持たなければならぬ。そういう中から、私は先ほど言った問題を、これはいい問題はいい、あるいは悪い問題は悪いというかっこうで料理をしていかなければならぬのじゃないか、こういう感じがいたします。この点について通産大臣、どう考えられますか。
  264. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御指摘のように、やはり一番大事なことは、国民全体の皆さまに、いかに電力があるいはエネルギーが危機的状態にあるかということを知っていただきまして、この問題を政府あるいは国会だけでなくして全国民が考えて、国民的スケールで解決策を推進していきませんと、長期的な解決策にはならない危険性があると思います。そういう意味におきまして、私は資源エネルギー白書というようなものからスタートして、相当なキャンペーンもやり、また、いままでのような法案だけでとても足りるものではございませんから、もっと深みのある、強い長いやり方を実はこの法案を通したあとでまた考えて、前進しようと思っておるところなのでございます。しかし、きょう、こういう御指摘をいただきましたので、これは政府としても、全体としてもう一回この問題を取り上げていただきまして、本腰を入れてとりかかるような体制をつくっていきたいと、そう思います。
  265. 中村利次

    中村利次君 これは、立地難の原因は、いろいろいままで別の面からの御答弁を伺ってまいりましたけれども、何といってもこれは火力は公害、大気汚染ですね、それから環境問題、原子力の問題は安全性、それから環境というのが、これがやはり国民なり地域住民の皆さん方にどのように理解されているのか、また理解されるのか。それに対して、やはりこれは業界にも責任があり、政府にももちろん責任がある。住民に不信感を与えるような、不安を与え不信感を与えるようなことを、やってきたというのが言い過ぎならば、実際に不安があり不信感があるわけでありますから、そういうところにメスを入れるかどうかが、これはえらい大きな問題だと思うんですね。そういう意味から、たとえば火力の大気汚染、硫黄酸化物の問題は、たとえばナフサをたくとか、あるいはLS原油のなまだきをするとか、これはもう、一ぺんに大気汚染、公害の問題が解決をするほどの絶対効果のあるものですね。しかし、こういう点についてやはり行政的に、いろんな価格政策あるいは石油政策との関連でなかなかできにくいというところに、やればできることをなぜやらないんだという不信感、不満につながっていると思うんですよ。特にナフサなんかは、国際的な需給見通しからいきますと、少なくとも火力発電所が必要とする五、六年分ぐらいの量は輸入できるという状態にあるにもかかわらず、そういうことがなされないという点については、これはいかがですか。
  266. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ナフサの問題あるいは原油なまだきという問題は、昨年四日市の公害の判決がありまして、それで至急にこれは手当てをしなきゃならぬとコンビナートの総点検をやりましたが、そのときの対策として特に強く打ち出した一つの面でもございます。ただ、値が高いという点が難点でもありますことと、もう一つは、石油資源というものの全面的活用という面において、ナフサを使ってしまうということが、ほかの資源、重油とか軽油とかガソリンとかそういうものが出なくなる。そういうような面の問題も実はありまして、資源全体の活用という面において、これは石油業界の今後の需給関係も考えなければならぬという面があるわけでございます。  しかし、去年のコンビナート調査で大気汚染の激しいところには、まずなまだきあるいはナフサの割り当て量をふやしまして、そしてローサルファの原油も配給をふやしまして、とりあえずその対策を講じたわけであります。そして逐年その量を増加していきながら公害を防除していこうという政策に入ったわけです。ことしもそういう意味で割り当てを考えて実行してまいります。これは低硫黄原油の入手に応じましてその領域を広めていこうと。ですから、低硫黄原油を思い切って各地から入手するということが非常に大事でございますので、アラビア及びシベリア、あらゆる面にかけていま努力しているというのが現状でございます。
  267. 中村利次

    中村利次君 四十八年度の原油のなまだきについて石油審の決定がなされておりますね。これは、いまふやすようにという御答弁ございましたけれども、非常に少ないのです。伸び率は四十七年度を大きく下回っています。それから業界の要求に対して達成率は七〇%にすぎません。これが現状ですね。こういうものに対してどうお考えになるのか。  それから、これには弾力条項がついておりますけれども、弾力条項はどういうときに発動されるのか、その点をお聞きします。
  268. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いまの具体的な点は、局長が来ておりますから局長答弁させます。
  269. 井上保

    政府委員(井上保君) 石油のなまだきの問題でございますが、一般に公害問題につきましては、単にローサルファ燃料だけではなくて、排煙脱硫であるとか、あるいはその他ガス化脱硫であるとか、あるいは直脱であるとか、いろいろな方法を講じまして、全体的にサルファ分を下げていきたい、こういう計画を持っております。  それで来年度の計画でございますが、来年度は一応先生指摘のとおり、二千三百五十万キロリッターの原油なまだきをやりたいということでございまして、これはさっき申し上げましたような、たとえばナフサを二百二十数万トンたきたいとか、LNGを幾ら入れるとかいうような問題と、それからどういうように排煙脱硫装置をつけていくかという問題とからめまして、目的のサルファに対しますサルファバランス計算をいたしましたところ、大体二千二百万トンでサルファバランスがとれるという計算になりまして、ただ、ローカル需給をとります必要上、製品の偏在という問題もありますので、関係の局ともよく打ち合わせまして、一応二千三百五十万トンというものを決定したわけでございますが、ただローカルバランスの問題もございますし、その他非常に特殊な発電所で特に低サルファの燃料を要求されるという問題があったり、いろいろな問題の発生することを予想いたしまして、実体的に発電所の運転にそごを来たさないように、事態に応じましてこれを増量することも考えられるというような弾力条項をつけたわけでございます。
  270. 中村利次

    中村利次君 ナフサはどうですか。
  271. 井上保

    政府委員(井上保君) ナフサにつきましては、さっき申し上げましたように、大臣からも御答弁ございましたように、いろいろな石油化学の問題その他がございますので、電力としてのサルファターゲットを達成するために必要なものを、いろいろな方式で確保したいという一環としてナフサを考えておりまして、そういう関係で一応来年度は二百二十数万トンという数字を計上いたしておるわけでございます。
  272. 中村利次

    中村利次君 これはやはり納得できないのですよ、それでは。根本解決にならないです。立地問題が行き詰まって行き詰ってどうしようもない。これはサルファの比率だとか何とか、それは観念的にそういうものをはじけば何でも出ますけれども、立地問題を解決するためにはどうすればいいかをいま議論しておるのでありますから、これば全然問題になりませんし、あれですね、問題になった地点があれば弾力条項を適用して、そこにはLSのなまだきをやるんだということでしたら、それじゃ国民がほんとうに困っても、健康をむしばまれていても、問題にならなければほうっておくのか。そういう行政姿勢が今日の不信感を生んでいるのではないですか。
  273. 井上保

    政府委員(井上保君) 各火力発電所のサルファターゲットにつきましては、これはそれぞれその地域の特性に応じまして、あるいは〇・二のものをたくとか、あるいは〇・三のものをたくとか、あるいはそれよりも高いものをたくとか、環境基準あるいはK値基準等によりまして、それぞれ発電所ごとに検討いたしております。したがいまして、たとえば東京湾周辺ですと非常に低いものをたいておるとか、あるいは場合によりますと、あるところではそれより高いものをたいておっても環境基準の数分の一あるいは数十分の一にしか達しないとか、いろいろな環境の問題もございまして、そういう点で適正な燃料をたくようにいたしておるわけでございます。
  274. 中村利次

    中村利次君 時間がありませんから。やはりもっと危機感を持って、国民の電力、これは事業者の電力ではありませんよ、そういうものをいかに確保するかということでおやり願いませんと……。私は、これは機会あるごとにこの問題は取り上げてみたいと思うのです。  環境庁長官がお疲れのようでありますから先にお伺いしますけれども、公害審による新基準値が、新聞報道によりますと、今月の末か来月の上旬あたりに答申をされると伝えられています。これは相当きびしいものになるということで歓迎をされておるようでありますが、これが答申されましたら、答申に沿って改定をされるお考えがあるかどうか、伺います。
  275. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) お説のように、中公審の専門部会で、二十四時間平均値〇・〇四PPM、一時間平均値〇・一PPMと、こういう答申が、これが専門部会から大気汚染部会に出されておるわけですが、これは部会におきまして正式にきめれば、私のほうに答申があるわけでございますから、そういう線に沿うて環境基準をきめたい。相当なきびしい基準でありますから、そのきびしい基準に従って、あるいは原油の問題も、あるいはまた硫黄酸化物の規制の問題も、各事業所においてその環境基準を守るような努力をすることが大気汚染防止のために必要である、こう考えておるのでございます。
  276. 中村利次

    中村利次君 これは答申が出されれば、それに沿った改定を行なう意思があるということでございますね。
  277. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) そういう考えでございます。硫黄酸化物については相当やっぱり強化したいと思います。
  278. 中村利次

    中村利次君 これはそうなりますと、いままでのお答えのようなことではどうにもなりませんよ。ひとつ通産大臣、もっと、より深刻になっていただきまして、善処方を私は特に要望をしておきたいと思うんです。  同時に、そういう低硫黄燃料の問題にあわせて、これはいま御答弁の中で出ましたけれども、低硫黄化の措置、これは何といっても日本の油が中東依存に八〇%をたよる限り、もう一%以上が八〇%あるわけですからね。八六%たよっているのですか、八〇%は一%以上。そのうちの二〇%の原油は、二%以上の高硫黄分ですからね。この脱硫技術をどう開発するか、こういうことがえらい重大な問題になるのですけれども、何といってもいま非常におくれていますガス化脱硫技術、これはお答えがありました。工業技術院の大型プロジェクトをもっともっと拡大をして、石油業界、電力業界にも協力をさせて、そして実証規模のプラント開発に、もう積極的に今日ただいま取り組むおつもりがあるかどうか。
  279. 井上保

    政府委員(井上保君) いま工業技術院で、いわゆる中型プロジェクトとして宇部興産等と協力いたしまして技術開発をいたしております。大体モデルプラント的なものはほぼ完成に近いところに達しておるというふうに聞いております。その他、各電力会社におきましては、それぞれリファイナリーと協力いたしまして、非常に強力に推進をいたしておる、こういうことでございます。まだ少し時間がかかると思いますが、早急に研究が完成するようにプッシュいたしたいと、こういうふうに思っております。
  280. 中村利次

    中村利次君 早急に検討じゃなくて、これは直ちに、実施をしなければ時期を失します。通産大臣、どうですか、これはやらないと間に合わないです。
  281. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 脱硫装置の開発の問題は非常に焦眉の点でございまして、これは大いに時期を促進したいと考えております。
  282. 中村利次

    中村利次君 あと水力の再開発、まだまだこれは少なくとも政府が本腰を入れれば、用水を含めて相当の開発は私は不可能ではないと思うんです。理論的にいえば、一億キロワットぐらいの開発は、これはもう可能であるといわれているようであります。あるいは地震国であり火山国の日本の地熱発電、これは自民党の部会あたりでは話題にはなっているそうですけれども、イタリアだけでなくて、アメリカなんかでもこれはたいへんに大規模な開発を進めているところですから、こういう問題、いろいろ聞きたいことがまだ一ぱいあるのですが、時間がなくなってしまいまして。  原子力の問題ですね、これもたいへんに重大な問題です。この第三の火は原子力、特に高速増殖炉の開発によって、エネルギー問題は相当変わっていくということが国際常識ですけれども、原子力の関係では、先ほどちょっと触れましたが、関係市町村の協議会だとか、あるいは通産省、科技庁で招集された担当課長、主務課長ですかの会議だとか、いろんなところでいろんな提言をしておりますけれども、それをどういうぐあいに受けとめられて、どういうぐあいに消化されるおつもりか、お伺いします。
  283. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) 先刻来、中村委員の電力危機についての御質問、私も拝聴いたしておりまして全く同感でございます。問題はこの原子力の問題でございまするが、原子力問題につきましてはいろんな意見が出ております。いずれにいたしましても、原子力発電の立地を円滑にするためには、先ほど通産大臣から御答弁のございました、先般閣議決定いたしました電源周辺地帯整備法、この法律を何といたしましても通していただいて、やはり地元にメリットを与える、別にこれは原子力の安全性とすりかえる意味じゃございません、そういうことも必要でございます。  また、公聴会ということがよく言われております。ただこの公聴会につきましては、先生も御承知のとおり、原子力発電の立地につきましては、電源開発促進法によりまして、電源開発基本計画をきめる場合にこれが立地の場所がきまるわけでございます。そのときには地元の関係知事の意見を聞くということに相なっております。また科学技術庁といたしましても、地方公共団体に連絡をしていろいろ説明等をいたしております。しかし、それ以外にやはり地元の意見を聞くためには公聴会という制度が必要じゃないかという御意見がございますので、この点を原子力委員会におきましても検討いたしております。そうして遠からず、この公聴会というものをどういうふうにやるか、どういう場合あるいはどういう方法ということを決定をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  284. 中村利次

    中村利次君 これはどうも私の質問に対するお答えになっていないのですがね。
  285. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昨年七月、原子力関係各都道府県との連絡を密にするために、通産省と科学技術庁で共同主催で主管課長会議を開催いたしました。その際の御要望は、まず安全性の確保、環境の保全に万全を期するということ、それから電源立地の地方公共団体に対する税制、財政上の特別措置を講ずること、それから中央、地方の連絡体制を強化する、こういう御要望がございました。それから発電所設置の市町村の協議会による御要望も、大体こういう似たような要望がございました。  それらの問題点につきましては、ただいま申し上げましたような特別立法、それによる財政上の措置、税制上の措置等についても、いろいろ今回やったところでございます。それから放射能監視対策、温排水対策についても、四十八年度において予算的にも強化をいたしました。それから税制、財政上の特別措置については、事業税の配分について電源立地県に有利となるように今回は改正をいたしました。  そのほかの点につきましても、従来都道府県と通産省並びに科学技術庁との連絡を緊密にしてやっていくと、そういうことにいたした次第でございます。
  286. 中村利次

    中村利次君 科学技術庁長官にお伺いいたしますけれども、二月の二十八日、参議院の科技特で科学技術庁長官が所信表明をおやりになって、その中では、遠心分離法による濃縮技術の開発、同じ委員会で、官房長は、ガス拡散法によるものにも予算をつけておると。あっちにもこっちにもですね。それからこれは再処理問題でも言えるんです。原研と動燃がやっていて、動燃はフランスの技術を導入して、すでに工場を建設しておる。こういうつじつまが合わない行政というのは、これはどうなんですか。
  287. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) ウラン濃縮の問題でございますが、先般、私、科技特で御説明いたしましたが、ウラン濃縮技術につきましては、原子力委員会におきまして研究開発の第一段階を原子力特定研究として指定いたしました。昭和四十五年から四十七年までの間にこれについての研究をいたしまして、遠心分離法につきましては動燃事業団、ガス拡散法につきましては原子力研究所、理化学研究所によりまして研究開発を推進してまいりました。そうして、四十八年以降の開発計画といたしまして、遠心分離法につきましては六十年までにわが国で国際競争力のあるウラン濃縮工場を稼働させるという目標で四十八年度からこの開発に着手をいたしまして、予算といたしまして五十二億の予算をこれに計上いたしたわけでございます。そうして、ガス拡散法につきましては、原子力研究所を中心といたしまして——先生承知のように、国際濃縮計画というのがございますが、この国際濃縮計画というのは、ガス拡散法による計画でございまするので、この計画に参加する場合は、やはり当方としましてもガス拡散法についての十分の研究とか知識がなくちゃいけませんので、その意味においてガス拡散法の勉強は原子力研究所を中心としていたしておる、そういう二本立てになっておる次第でございます。
  288. 中村利次

    中村利次君 これは、私は、やはり国費のむだづかいと思われるようなことはなるべくおやめいただきたいと思います。もうはっきり、濃縮技術についても、あるいは再処理方法についても、一つ目標を定めたら、それで行くべきですよ。  まだ私は一ぱい重大な問題が残っておりますけれども、残念ながら時間がなくなってしまいましたから、いずれまた後の機会にこれは質問をさしていただきます。  次に、スト規制法について、労働大臣は御迷惑でしょうけれども、これは、いま、情勢が、去年の国会でも取り上げましたが、去年の国会とは比較にならないほど情勢が変わっています。まず、公制審で、公務員のスト権——公僕であってスト権はないんだといわれる公務員のスト権が審議されておるという事実、それから電力、石炭に対するこれは争議権の規制でありますけれども、この石炭はもうすでに対象からまるっきりはずれる状態にある。そういうたいへんに条件が変わった今日ただいま、どういうぐあいにお考えか、伺います。
  289. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) お尋ねの主眼が、こっちかあっちかと、ちょっとお聞き取りにくかったのでありますが、中村委員の御質問は電力のスト権の問題と思いますが、御承知のように、いままで電気のスト権の問題は、明白に争議行為の規制法に違反した事実は認められません。さような意味で、いろいろな事情もほんとうに変わってきておりますし、関係組合に対しましても心から敬意を表しておるのでありますが、しかし、いまいろいろ通産大臣なり皆さん方が質疑をかわされた中に、電気の重要性、国民経済、国民生活に関する関係はもうだんだんと強くなってきておりまして、もうここらで認めてもどうだという御意見もありますが、これは労使に対する関係よりは、御承知のように、先ほど意見があったように、国民的背景、国民のため、万一電力がストに入ったということを仮定いたしますと、混乱、そして不安、動揺、これはもう昔日の比でありません。さような意味で、かような点から、まだスト権のあれを廃止することができないという特殊な事情がありますので、この点についてはわれわれも慎重に真剣に検討いたしております。またあとで御質問がありましたら、またお答えいたします。
  290. 中村利次

    中村利次君 これは検討は何回もお約束をいただいておる。私が言っているのは、条件が変わったじゃないですかと言っているんですよ。これは公務員はなぜスト権がないんだろう。スト権がないからこそ、第三者機関としての人事院があって、賃金、労働条件等々は国会政府に勧告をして、これはもう全部それを尊重するようになっておるんです。ところが、電力、石炭は、本来なら、これはスト権は当然一〇〇%あるべきものを、公共の福祉ということでこれは制限されている、規制されているんです。いわゆる規制されているものを除けば、これは裸みたいなものですよ、実情は。  それから大臣は、電気の特性とおっしゃるけれども、電気労働者のストライキの実態を御存じにならない。これは労調法で十日間の予告期間があるんです、ストライキをかりにやる場合は。緊急調整五十日間があるんですよ。それからこれは法解釈ですけれども、長期かつえらい国民生活に重大な影響を及ぼすと見られた場合には、予告期間中でも五十日間の緊急調整発動ができるのかできないのか、法解釈はまだきまっていないでしょう。そんなものをこれはだめなんだときめつけるのがそもそもおかしい。だから、条件はそういうぐあいに変わってきておりますし、石炭なんかまるっきり要らぬでしょう。そういう時点でどうなさるのかと聞いているんですよ。
  291. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) 第三十五条の二の問題も十分承知いたしております。十日の予告期間もありますが、しからば伝家の宝刀をすぐに抜けるかというと、これもなかなかむずかしゅうございますし、これはまあ情勢が変わったと言うが、また重要な情勢も変わっておりますし、いろいろ最近の労働状態のあり方、国民がいろいろの問題に対して不安を来たしておりますので、いま労働省内部でいろいろ検討いたしておりますから、外国の事情その他を。そういう関係で、いまさっそくスト権の規制の廃止というところまでは、これは国民的立場に立って考えたときに、もう申し上げかねる点でありますけれども、やはり、電気がとまったということを考えると、病院なりその他にもうあらゆるものに影響いたしますから、国民に対する不安感への保証というような意味で、労使の立場から考えると私は無理からぬと思いますので、どうかしばらくの猶予を願いたいと思います。
  292. 中村利次

    中村利次君 撤廃するかどうかを検討しておると。どういう検討をされておるんですか。
  293. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 中村君、時間が参りました。一問で……。
  294. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) お答えいたします。  いろいろ労働省内部で検討して、これに対する対策、外国のいろいろな事例も調査いたしておりますし、この間、この点だろうと思います、中村議員のお尋ねは。そうしたら、ひとつ何とか考えたらどうか、公制審があるんだから、この問題もひとつ、先般衆議院の予算委員会でも出たのでありますが、総理大臣の諮問機関をつくれと、こういうような御意見があったのでありますが、そのときに、私は、これは私が少しやわらかく言ったのでありますが、そうしたら、すぐにつくれと、こう言って、私は反対いたしました。しかし、次の段階は労働省でも考えております。そういう意味で、もうきょうはさらっと申しますが、審議会とかいうような御意見があるところまでは固まっておりません。いま、研究会というか、労働省の大臣の諮問機関というか、研究してもらう機関というか、研究会か審議会をつくって次の段階を検討するように検討いたしております。
  295. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ごく簡潔に一問。
  296. 中村利次

    中村利次君 それじゃ、最後に。  これは、大臣、よく聞いてくださいよ、聞き違いがないように。そうしますと、総理大臣の諮問機関とかなんとか、そういうものじゃなくて、公制審議会で公務員の基本権の問題でどういう答えが出るかわかりませんが、公務員の労働基本権の問題ですらいま審議中である、公制審で。電力、石炭という民間を切り捨てごめんにしたままでおくわけにはいかぬですよ。いきません。いきませんから、したがって、労働大臣の相談相手として、いろいろな人、あるいはいろいろな場で、あるいは特定の場でもけっこう、そういうものでいろいろ審議をしてみると、そういうことを考えておるというぐあいに受け取ってよろしいですか。
  297. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) なかなか微妙な点でありますが、次の段階も内部で考えておることは間違いありません。さような意味で、審議会なら審議会をあわせてひとつこれをつくるということをいま検討いたしております。
  298. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これにて中村君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  299. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 加藤進君。(拍手)
  300. 加藤進

    加藤進君 厚生大臣にお尋ねします。  厚生省は、いま、社会福祉長期計画というものを立案中だと聞いておりますが、この計画によりますと、国民は五年、十年後にどんな社会保障を国から受けることができるのでしょうか。
  301. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 先般できました経済社会基本計画によりますと、四十八年度から五十二年度までの五年間に、振替所得六%を八・八%という振替所得に拡大しようと、こういう計画になっております。その計画に基づきまして、厚生省におきましては、五カ年間の長期社会保障計画をつくる。その計画の内容は、一番大きな問題は、何といっても年金問題でございましょう。それから最近問題になっておりまする医療問題、社会福祉の問題、まあこの三つの部門に分かれまして五カ年の長期計画を策定したいといま準備をいたしておるところでございますが、この計画ができますと、社会保障給付費が国民所得に対する比率は、現在四十七年度末あたりが七%程度でありましょうが、国民所得に対する社会保障給付費は一〇%というふうなことになります。そしてまた、しかし、私どもは、一応この一〇%というのが企画庁の一応の原案でございますが、厚生省としてはこれで満足するものではないという意味合いにおいて、一一%程度に持っていくように努力をしたい、こういう考えでございますが、そうした五カ年計画の長期計画を踏まえて、さらにその後の五年計画ということになりますと、十年後でございますが、社会保障給付費が国民所得に対する比率は一〇%、さらにそれ以上になるということになりますと、西欧先進諸国並みに非常に近づいてくる、こういうことになるわけでございますので、まず、さしあたりとしては、経済社会基本計画に基づく五カ年計画の策定を急いでやりたいと、こんなふうに考えておるところでございます。
  302. 加藤進

    加藤進君 未来をバラ色に描くということは、そうむずかしいことではないんです。いま、国民は、そういう未来の夢よりも、当面、ぜひ政府にやってほしいという非常に切実な要求を持っています。たとえば、厚生省は、乳幼児の医療費無料化をいつ実現される気なんでしょうか。
  303. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) もちろんそういう長期計画は立てておりますが、現実的な国民の要望というものも十分踏まえながらいろいろな問題に努力をいたしておるわけでございますが、いまお尋ねの乳幼児の医療無料化というお尋ねでございますが、これにつきましては、小児医療の立場からいうていろいろやっぱり問題があるようでございます。ただにさえすればいいんだというものではあるまいと。乳児の医療というものは、母親の愛情というものが基本じゃないか、健康指導というのが基本じゃないかと。ただ医療ということによって薬を与えるというようなことだけに終始いたしますと、小児医療にとって薬をたくさん与えるということはあまり適当でないと、こういう意見もございます。そこで、そういう問題は将来十分考えなくちゃなりませんが、さしあたりといたしまして、四十八年度におきましては、乳児医療につきまして、保健指導、これは従来はある程度の所得制限をいたしておりまして、全国の乳児全部が無料の検診を受けるということはなかったのでございますが、四十八年度からは、年二回、保健所であろうが、どこの医療機関であろうが、年二回健康相談、検診を受けるということに四十八年度の予算でいたしたわけでございまして、そういう方面から努力をしてまいりたいと考えております。乳児の医療無料化という問題につきましては、もう少しこれは先を研究しなければなるまい、こういうふうに考えておるところでございます。
  304. 加藤進

    加藤進君 すると、乳幼児の医療無料化は今後の検討課題、ことしはともかく検診だけは二回やる、こういうことですね。これはおそらく国民の中から非常に期待はずれだという感で受け取られる答弁だと思います。  それでは、聞きますけれども、身体障害者の医療を公費で無料にしてほしいという切実な要求があります。この点についてはどうでしょうか。
  305. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 身体障害者につきましても、いろいろな体系があるわけでございますが、皆さんも御承知のように、重度心身障害児などは、全員収容いたしましてめんどうを見ようと、こういうふうなこともいたしておるわけでございまして、その身体障害者の程度なりいろいろな問題によってこういう問題は考えるべきであろう、こういうふうに考えておりまして、身体障害者なるがゆえにすべて国家で無料で医療を行なうという段階までは至っていない、こういうふうに考えておるものでございまして、社会的要請に応じて必要なものは無料で行なうという考え方でございます。要するに、医療の基本は保険体系というものを中心とするものでございまして、国家賠償的なものはもちろん無料にいたします。それからまた、法定伝染病のような社会不安を来たすようなものは無料にするとか、こういうわけで社会的な要請ということにいたしたいと考えておりますが、なお、今回国会に提案いたしておりまする健康保険法の改正によりますと、高額医療というようなことをいたしまして、三万円以上の自己負担分については償還しましょうと、こういうこともいたしておりますので、医療につきましての経済負担というものはこの健康保険法が成立いたしますれば非常に緩和すると、こういうことを私ははっきり申し上げることができると思います。
  306. 加藤進

    加藤進君 乳幼児の無料化もまだ検討の段階で実施には向いていない。身体障害者の医療の公費負担もまだ考えていない。  そこで、もう一つ聞きますけれども、原爆被爆者の医療費の全額国庫負担の要求がきわめて強く出ていますが、この点について厚生大臣はどうでしょうか。
  307. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 原爆被爆者につきましては、いわゆる認定患者その他等ございますが、相当の部分は全額公費で見ておりますし、さらにまた、自己負担分は公費でめんどうを見ると、こういうふうな制度もいたしておるような次第でございます。
  308. 加藤進

    加藤進君 にもかかわらず、原爆被爆者の方たちにはぜひ全部を国庫負担で見てほしいと、こういう強い要求国会にもあるいは政府にも出されておることは、御承知のとおりだと思います。しかし、いまの答弁によりますと、私が以上あげた三つの問題について国民は切実に求めているにかかわらず、そのような無料化と公費負担はやる気はないと、一言で言えばそういう冷たい回答が出てきたわけです。まことに残念でしようがない。  そこで、では、五年、十年の長期計画が実施された場合、国民の負担は一体どういうふうになるのか。軽くなるのかどうか。これは、税負担もありましょうが、保険料の負担についても御答弁を願いたいと思います。
  309. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 私どもは、先ほどの医療の無料化ということについては、要するに、家賠償的な性質のもの、あるいは社会不安を来たすようなもの、さらにまた、そのときそのときの社会の要請に応じて無料化というものを進めております。すなわち、御承知の昨年度においてことしの一月からは七十歳以上の御老人の無料化をやるとか、あるいは四十八年度において六十五歳以上の寝たきり老人については無料化をやる、こういつたふうな社会保障のそういうふうな社会的要請に基づいてそういう方面に前進をしておるわけでございます。問題は、医療という問題については、これは社会保険というものが基礎であるということは全般的な私は原則だと思います。そういうふうな原則の上に立って、それぞれ必要な社会的な要請に基づく無料化を行なっていく。しかし、乳児医療のように無料化というわけにはすぐまいらぬ。むしろそれが医療の上からいって危険ではないかというお医者さんがおるわけでありますから、それが一歩前進として無料の検診をやろうと、こういうわけでございますから、その点は十分御理解をいただきたいと思います。  いまお尋ねの点でございますが、この五カ年計画によって振替所得が六%から八・八%に上がることによって社会保障の内容が充実してまいります。そうなってまいりますれば、国民の方々に社会保障についての負担というものはある程度お願いしなければならない。社会保障の充実に従って保険の負担をお願いしなくちゃならぬ、これは私はやむを得ないことだと思います。振替所得において二・八%ふえますが、社会保険における負担は二・二%きり国民所得に対してふえておりません。そして、その負担を全部合計いたしましても、数字等もございますが、諸外国に比べれば社会負担というものはよその国よりは低い、五年後においても低いということを申し上げることができるわけでございます。
  310. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、五年たっても十年たっても、依然として国民は、今日と同様に、みずからの負担で福祉をあがなわなくてはならぬ、こういうことになってくるわけですね。これがいわゆる政府の福祉優先の政治の実態なんでしょうか。  ここで私は一つ厚生大臣にお聞き願いたいのは、ここに請願書があります。いま非常に不可解な税金が身体障害者にかけられています。これは京都府をはじめとする各地の肢体障害者からの請願書でありますけれども、これは身体障害者の使用する自動車の重量税を撤廃してほしいという内容です。身体障害者で肢体に欠陥のある方たちですから、車は実はわれわれのなま身の足同然だと思います。この足にまで税金をかける、これはまことに残酷きわまるものじゃないでしょうか。こんな税金をなぜ早く撤廃するような措置がとれないのか、この点を、厚生大臣、ひとつしっかりお答え願いたいと思います。
  311. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 身体障害者の方々の気持ちと申しますか、そういう面の福祉の面からいえば、私は十分理解できる問題だと思いますが、重量税というものができた趣旨、すなわち、重量税によって道路の改良をやる、建設をやるといったふうな重量税をつくった趣旨からいうて、身体障害者なるがゆえにその自動車は税金を取らぬでいいということになるかどうか、その辺、私は、ちょっと疑問があると思いますが、福祉の面だけ考えてみれば、私は望ましいことであるということは厚生大臣として言えると思いますが、税金の趣旨からいうてどうであろうかという疑問もあるということを私は率直に申し上げておきたいと思います。
  312. 加藤進

    加藤進君 その点、大蔵大臣はどんなふうにお考えでしょうか。
  313. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 身体障害者のことを考えますと、自動車は、お話しのように、足と同様に見なければならないと、全く御同感でございます。そこで、これはまあ御承知のことと思いますから簡単に申し上げますけれども、身体障害者にかかる自動車につきましては免税措置を広範に行なっておるわけでございまして、物品税はそういう趣旨から全部免税をいたしております。それから自動車税、軽自動車税、自動車取得税、これはまあ地方税でございますけれども、これもみずから運転する自動車はもちろんでありますし、身体障害者の通院、通学等のために身体障害者と生計を一にする者が運転する自動車についても免税をいたしております。  ところで、自動車重量税は、いま厚生大臣も触れられましたけれども、御承知と思いますけれども、これは陸運事務所で車検をいたしますが、その際に課税されるものでありまして、これを運転する、あるいは使用する人とか、あるいはその特殊な目的について税金を免除したり課税したりするという性質のものではございませんで、車そのものと申しますか、それに着目して取られておるものでございますし、それからその収入は、車が多くの人たちにいろいろな面でまあ迷惑をかけておると申しますか、多くの費用もかかるような点もございまして、それに充当するという目的でかけられているものでもあると、こういう税のほうから見ての特殊な車それ自体に対するものでもありますし、車検のときに徴収するものでもございますから、そういう点からいって、税制の面からいって、身体障害者の立場を考え、厚生大臣の言われたような立場からすれば、免税することが望ましいということはよく理解できますけれども、こういう事情でございますから、重量税の免税ということは遺憾ながら現在政府としては考えられないわけでございます。
  314. 加藤進

    加藤進君 いま障害者で自動車を使用しておられる方は約十万人です。軽自動車を使う場合に、自動車重量税は一カ年幾らになりますか。五千円ですよ。ちょっと計算してごらんなさい、五億円で足りるんです。高額になるなどとおっしゃいますけれども、これは認識不足ですよ。五億円出せないのですか、五億円が。このことをもう一度お尋ねしたいと思います。  同時に、厚生大臣、厚生大臣には、昭和四十一年に身体障害者福祉審議会から答申が出ているはずです。この答申にどう書いてありますか、将来は軽自動車程度のことは公費で差し上げなければならぬと書いてあるでしょう。公費で差し上げるというのです、自動車そっくりですよ。これにいまささやかに要求されておるのは、少なくとも税金だけはやめてほしいというんです。もう一度答弁してください。
  315. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) いま申し上げましたように、他の自動車に関する税は身体障害者からは免税をいたしておりますし、また、身体障害者にかかわる他の家族の方にも免税をしておるということには、われわれの配慮が具体的にあらわれているところでございます。重量税のほうは、この歳入によって道路の維持補修とか、それから車自体が道路を痛める、多くの人々にも迷惑がかからないようにという、より広い範囲の社会的な目的のためにということでつくられた税金でありますのと、それから、いま申しましたように、車それ自体についての税金であって、車検の際に徴収をするということになっておる。徴税上の問題等から申しましても、これを除外するということは、税というものの目的からいい、設立された趣旨からいって、これだけは何とも税制の面からは、なかなかむずかしい問題であるというのが、率直なところ、われわれの考え方でございます。したがいまして、身体障害者については、税の上でも、他の面で、こういうふうなことを及ぶ限りにおいてやっておりますということを御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  316. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 重量税につきましては、ただいま大蔵大臣から申し上げましたように、事柄からいって、もうちょっとむずかしそうな、私、実は感じがしているんです。しかし、私は、身体障害者という立場から申しますと、これはもう非常に理解はしておるんですが、そのほかの点については、税の減免等についてできるだけの努力はいたしておりますが、これについてはどうであろうかなあという感じを持っております。しかし、それはそれとして、そのほかの問題につきましても、身体障害者基本法に定めるように、その他の面において、できるだけの努力を今後とも続けてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  317. 加藤進

    加藤進君 障害者は、おそらく五億円程度のことで、これも政府からあたたかい措置がとってもらえぬかと、こう見ておられると思いますよ。  そこで、運輸大臣にお聞きいたします。身体障害者は、国鉄あるいは私鉄の運賃の割引が一般的に行なわれております。ところが、その中でも呼吸器だとか、心臓、じん臓という内部身体障害者に対してはこの恩典がないです、優遇措置がないです。これは一体どういうことですか。こういう差別を一日も早く撤廃してほしいと願っておられるわけでございますけれども、その点の措置はいかがでしょうか。
  318. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いまの身体障害者に対する運賃割引は、御承知のように、いろいろ沿革がございますが、運賃法によりましてきめられておるところによっていたしておるわけでございます。その中には、いまお話しのような内部疾患のある方は入っていないことは事実でございます。これは、申すまでもありませんが、そういった方々に対しましても、あたたかい手を差し伸べるということは、ある面からいうと必要であるということはよく理解ができます。ただ、いまのように、いまの運賃法に書いてありますように、これを、国鉄の非常に財政の苦しい中で、国鉄自身の負担でこれをやれというふうになりますと、これはたいした金額ではないにいたしましても、非常に困難な点があると思います。  それから、私鉄のほうの関係は、これは法律にも何もないんです。ないんですが、実際われわれの行政指導によりまして、ほぼ運賃については国鉄と同じような割引をしているというのが実態でございまして、これについても、やはり私鉄でございまして、これらがどんどんそういったものがふえていくということになりますと、私鉄もいま、御承知のように相当な赤字を出して経営しておりますから、これはよほど慎重に考えないと実行できないということでございますから、私どもとしましては、その点は今後関係省庁とよく打ち合わせをいたしまして、御趣意に沿えるかどうか、なるべくなら、そういう趣意に沿って措置ができるように考慮したいと思っております。  ただ、申し上げておきたいのは、そういう身体障害者、これは内部疾患者だけじゃございませんが、身体障害者が交通機関を利用される場合に、いまのたとえば、改札口の問題であるとか、あるいは階段の問題であるとか、いろいろございまして、設備の関係から非常に利用しにくいという面が多々あるのです。これは、運賃問題とは離れまして、これは国鉄や私鉄等に話をいたしまして、身体障害者も便利に利用できるという、これは盲人の関係もありますし、手足の不自由な方もありますし、いろんな方もありますが、設備方面においてはそういう措置を講じさせておるということを御理解をいただきたいと思います。
  319. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、設備についても、優遇措置についても前向きに検討する、こう理解していいわけですね。国鉄のほうの御意見はどうでしょうか。
  320. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私ども、実は身体障害者の方に対しては、一つの理想図と申しますか、一つの考え方を持っております。それは、たとえ目の悪い方でも、つえをたよりにされれば電車に乗って仕事ができるというふうに、ぜひしてあげたい、また、たとえ重度の身体障害者でありましても、車いすに乗って旅行のできるようにしてあげたいというのが、実は私ども一つの、理想にては低過ぎますけれども、考え方として持っておりまして、最近やっと、そちらのほうに私ども目が向くようになりまして、目の悪い方々に対しましては全国一斉というわけにはまいりませんので、モテル駅をつくりまして——たとえば東京で申しますれば高田馬場、目白、あの付近に非常に目の悪い方々の設備がいろいろございます。学校その他ございますので、それらの駅につきましては、町と共同いたしまして、駅から学校まで無事に行ける、また駅の中でもずっと、つえをさぐって行けば行けるように、ある敷き物がございます、それをずっと敷いてしまう、あるいはホームの一定以上前に出ないものをつくるとか、そういう設備面で危険のないように駅を利用していただくということを、全国一斉にはまいりませんので、モデル駅をつくりまして、いま着々とやっておるところでございます。また、重度の、いわゆる車いすの方々につきましても、すでに仙台あるいは岡山、それから最近、上野というところに改札口をうんと幅を広くいたしまして、車いすのままに改札口を通れる、また、ホームに上がるのには階段は上がれませんので、うちの荷物用のエレベーターを使っていただく、それから一番問題は客車に入ることでございますが、最近の客車は、出入り口の幅を——車いすの幅というものはこれは国際規格がございますので、その国際規格の車いすならば車ごと出入り口に入れるというふうな幅にいま考えておりまして、これからのつくる新幹線の車にはそのまま入れるようになりますし、また、いまの急行用の電車にはそのまま入れるというふうにいたしております。それがある新聞に出ましたら、ある身体障害者の方から非常にあたたかいお手紙をいただきまして、まあ、生まれて初めて旅行ができるなんていうお手紙をいただきましたけれども、あるいは便所の問題、いろいろございます。そういうことにつきまして、できるだけ輸送の面で、さっき申しましたような一つの形まで持っていきたいという具体的な気持ちを持っておりますが、ただ、運賃の問題は、これはやはり私のほうで負担するよりも、全般の問題としてひとつ政府でお考え願いたいというふうに思っている次第でございますが、あらゆる設備の面では私は全力をあげて、そういうほうに進んでまいりたいというふうに思っております。
  321. 加藤進

    加藤進君 問題はきわめて緊急な問題ですから、ぜひひとつ積極的に善処をお願いしたいと思います。  そこで、いま国民は、いつでも、どこでも、安心してよい医療を受けたい、これがもう全国民の切実な願いだと思うんです。そのために保険にも入っておられるわけでありますが、こういうよい医療を保障するという責任は、あげて私は国にあると思いますけれども、厚生大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  322. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) すべての国民がいかなる場所にあっても充実した医療を受けられるようにつとめることは、厚生省、政府のつとめであると考えております。
  323. 加藤進

    加藤進君 その立場から、私は医療問題について、特に緊急に解決しなくてはならぬ問題を取り上げて質問したいと思います。  第一に、いま国民の健康状態はどうなっているんでしょうか。十年前に比べて健康状態は良好なほうに向かっているのか、それとも悪化の状況に至っているのか、この点、ちょっと御説明願いたいと思います。
  324. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) お答えいたしますと、国民全般的な栄養、健康というものは、私は全般的にいえばよくなっていると思います。しかしながら、たとえば、国民健康調査等による有病率などになりますと、十年間に相当ふえております。しかし、これは健康が悪くなったからというだけではないのでありまして、疾病に対する意識の向上、できるだけ早く軽い病気であってもお医者さんに相談をしようという回数が多くなり、さらにまた老人医療と、こういうふうなことが原因していると思いますが、この国民健康調査によりまする有病率というものは——有病率といいますか、健康相談に行くという回数は、十年間に大体倍近くになっておるということは申し上げることができます。   〔委員長退帯、理事西村尚治君着席〕
  325. 加藤進

    加藤進君 有病率は、いま言われたように、この十年間に倍以上です。倍近くじゃなしに、以上です。そして、しかも、国民の十人に一人は病人か、あるいはけが人になっているという現状です。だれしも健康でありたいと思っているのに、現実にはこんなに病人がふえている。これは一体どこに病気の激増する原因があるんでしょうか。
  326. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 国民健康調査による十年間のデータによりますと、千人当たり五十三・七から千人当たり百十・三と、こういうふうにふえておるわけでございますが、これは全部が全部病気で、病気が多くなったというものではない。それはあくまでも、自分の健康、なるべく早く見つけて、早くなおそうという、こういうふうな疾病に対する国民の意識が向上した、これがやっぱり一番の中心であろうと、こういうふうに考えております。で、こういうふうな数字が多くなる原.因でございますが、こういうふうな数字がはっきり出てまいりますのも、まあ、いろいろな疾病治療に対するいろんな施設が整備されてくるということも原因でありましょう。しかしまた現在、現実的には、公害病の問題、あるいは労働災害の問題、交通災害、こういうふうな事故が非常に多くなってきているということは、これは疾病が増加している大きな原因であろうと思います。
  327. 加藤進

    加藤進君 公害病患者はどうして発生しているのか。交通事故の死傷者はどうして昭和三十八年に比べて昭和四十六年には三倍にもなっているのか。労働災害、職業病患者は昭和四十六年に至りましては約三十七万になっている。精神病の措置患者は、昭和三十六年に比べて昭和四十七年には約七倍に増大している。いまあげたこれらの病気は、明らかに個人の責任でも家族の責任でも何でもないと思うんですよ。全部これは生活環境の悪化がその原因じゃないでしょうか。そうでしょう。で、特に私は注意を喚起したいのは、公害病患者です。子供が非常に多いということです。森永の砒素ミルク事件や、あるいは母乳からPCBが大量に検出される、何の罪もない、汚れのない子供たちに病気が大きく広がっている。これについては、もう当然のことながら、政府はその責任を痛感しなくてはならぬと思います。今日までの政府の高度成長政策、その結果に基づく環境の破壊が、まさにこのような社会的な病気を発生させる根源ではなかったか、この点について重ねて厚生大臣の見解をお尋ねします。
  328. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 公害病等につきましては、経済成長政策ということから公害防除施設が十分でなかったというふうなことやら、あるいは経済の発展に伴い大気が濁ってくるとか、あるいはまた、そういうふうな生活環境の変化、そういうことが非常に大きな問題でもありましょう。職業病等についても同じように、労働環境の悪化、そういう問題もありましょう。精神病が非常にふえてきていることも、そうした現在のいらいらした社会生活環境、これも私は一つの大きな原因であったと思います。交通事故なども非常にふえておる。これもまあ、そうした社会的な事情によるものであると私も考えておるわけでございまして、私どもは、こういうふうなことを頭に描きながら、できるだけの対策を実施していく。特に公害については公害防除施設を整備していくとかというふうなこと。労働関係においては労働環境をよくしていくとか、こういうふうな努力をしていくべきものであろう、かように考えておる次第でございます。
  329. 加藤進

    加藤進君 ともかく、こうした国民の異常な健康の破壊、病人の激増ということについて政府はどうしても緊急に責任ある対策をとらなくてはならぬと思うのです。  そこで私は、具体的に問題を聞きますけれども、精神病院です。いま精神病院には老人があふれています。引き取り手のない老人が、精神病でもないのに精神病院に入れられています。で、病院はそのためにあふれているんです。とりわけ、私立の精神病院では、十分な検査もしないで、このような老人が入院させられています。おそらく今後も老人の入院はふえるでしょう。こういう状態の精神病院に対して政府は一体何をやっておられるのでしょうか。どのような措置をとって対処しておられるのでしょうか。
  330. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 精神病院につきましては、実は、この十年間に十一万ベッドが二十五万というふうに非常に激増をしております。で、これは個所数で申しますと、国公立の精神病院の数よりも私立の、民間の精神病院の施設が非常にふえておる、こういうことであるわけでございますが、基本的には、精神病院というのはやっぱり基本的人権等の問題もございますので、私はむしろ、やっぱり国公立を中心にしていくべきではないだろうか、こういうふうに考えております。  それから、老人の方々が多いということでございますが、精神病でない方を入れるということは私はあるまいと思うのでございますが、最近、老人性痴呆症と申しますか、そういう精神病も相当ふえておりますので、そういう方々が入っているというものも相当あるのではないだろうか、かように考えておる次第でございます。しかし、精神病というのは非常にお気の毒なあれでございますので、まあ、現在のところは私立が非常に多いのでございますが、私はやっぱり根本的には国公立を中心とした病院の整備をはかる、こういうふうにすべきであろう、こういう方面に今後とも努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  331. 加藤進

    加藤進君 だから、私の聞きたいのは、こういう精神病院の現状に対して国はどれだけの実効ある措置をとっておられるのか、これが聞きたいのです。  そこで、政府は、こういう精神病院の中でどれだけを国立としてつくっておられるでしょうか。私立との割合は一体どうなっているのでしょうか。
  332. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 病院数の、施設の数で申しますと、四十七年度で国公立が二百七十、私立におきましては千百三十三ということになっております。国立のものは、御承知のように、療養所等に併設もいたしておりますが、府県立、市町村立病院につきましては、それぞれの自治体が一般会計において融資その他をめんどうをみておりますし、民間施設におきましては、医療金融公庫等々において資金の融資をいたしておるわけでございまして、四十八年度におきましても、精神病院の施設整備のためには、それぞれ必要な補助金等も交付いたしておるような次第でございます。
  333. 加藤進

    加藤進君 数字で明らかなように、ほとんど精神病院では、全部といっていいほど私立に依存している。国はほとんどやってないといっても言い過ぎじゃないほどの数じゃないでしょうか。こういうことで責任ある医療の措置をとったとは言えないと思うんです。これは精神病院だけではなくて、国立病院全体の比率が、今日、私立病院と比べて非常に少なくなっている。こういう現状が今日進行しているんじゃないでしょうか。私は、いま厚生大臣が言われたから、あえてもう一度重ねてただしますけれども、国公立の医療機関を充実させようと努力しておられるというけれども、一体どういう計画をいま具体的に持っておられるのでしょうか。
  334. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 私どもといたしましては、全国的な病院の数から申しますと、昭和三十七年から四十六年度までの間の病床数が、大体、病院なら七十五万病床から百八万、民間の診療所は十八万から二十五万、こういうふうに病床としてはふえておるわけでございます。私どもとしては、国のほうは国立病院あるいは療養所等の整備をいたしておるわけでございますが、府県、市町村においても、それぞれの県なり市町村の自主的な財源による補助、あるいは融資、それから民間においては、医療金融公庫からその金を融資していただく、こういうふうなやり方で進んでおるわけでございます。なお、国立病院等につきましては、整備五カ年計画というものをつくっておるわけでございまして、着々として病床の整備にあたっておる次第でございます。必要な数字が必要でございますれば、医務局長から答弁いたさせます。
  335. 加藤進

    加藤進君 私の手元にある数字によりますと、国公立病院の比率は、昭和三十八年では私立に対して四四・八%、ほとんど半数です。ところが、これが昭和四十五年に至りますと、三四・二%に減ります。それで、私立がふえる、こういう状態が、現状として動いていると思うんです。これについて、私は、特に厚生大臣が努力を払うと言われるなら、公的な医療機関をふやし、充実させる、こういうことに大いに努力を払ってもらいたい。このことをまず要望しておきます。  次に、無医地区がいま全国的に一体どれだけの数になっているのか、この点をお聞きいたします。
  336. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 無医地区は二千四百七十三の数字に及んでおります。
  337. 加藤進

    加藤進君 全国にわたって二千四百七十三、こういうたくさんな無医地区があるということをわれわれは頭に置かなくてはならぬと思うんです。この無医地区の人たちだって、住民は健康保険に入っています。そうでしょう。入っていて、しかも医療機関は何にもない。何にも医療が受けられない。病人が出たらどうするのか、こういうことについて、政府は、無医地区を解消するための対策がなければならぬと思いますけれども、それはどんなふうに立てておられるのでしょうか。
  338. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 無医地区二千四百七十三、離島等を含めてでございますが。全部一人ずつのお医者さんを現実に行っていただくということは困難だと私は思います。そこで、私どもは、今日までそうした無医地区につきましては、できるだけ直近、一番近いところの病院、診療所に運んでいくための患者の輸送車、こういうふうなものをできるだけ差し上げるようにいたしたい、こういうふうに考えておりますし、さらにまた、保健婦を常駐させるという制度、あるいは保健所が、日にちをきめまして巡回指導をする等、いろいろなやり方を今日までいたしておるわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたような社会保障長期計画、五カ年計画の中で、この無医地区について各町村ごとに、国立病院のお医者さんを派遣するというやり方を選んでもらいたいという地域もありましょう。あるいはまた、近所の町から、三十分か一時間の間にお医者さんが来てもらえるというならば、医師会の協力を得て、それを派遣するというやり方もありましょう。あるいは保健所のほうから来てもらうというやり方もありましょう。各町村によってその具体的な事情が違いますので、この二千四百七十三という無医地区について、具体的に医師との連携措置というものを、三十分や一時間の間に何とかなるという連携措置を、ひとつ具体的に町村ごとにきめていくと、こういうやり方をいたしたいと考えておりまして、この八月くらいまでに町村ごとの具体案を確立させる、こういうふうな計画的な措置を講じてまいりたい。こんなふうに、いま考えておるところでございます。
  339. 加藤進

    加藤進君 私のところに全国町村長大会の決議というものがあります。これは自治大臣にも関係があるんです。この中でいろいろやってほしいことが出ています。しかし、特にその中で、何とか無医地区に医者と看護婦を派遣してほしい、しかし、手当を自治体が持つということはなかなかむずかしい、そこで、国で特別の手当を出して、無医地区に医師、看護婦を派遣するような制度を確立してほしい、こういう要望がございますが、この点について厚生大臣に、まずそのような要望に  ついては、こたえますと言っていただけるかどうか。また、これに対して自治大臣はどう思っておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
  340. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 無医地区の医療対策の  一環として、いま申し上げましたような派遣の問題、お医者さんをそちらに派遣するというやり方、それからそちらの地域からお医者さんのほうに一時間くらいの間に行けるようにするとか、いろいろな措置があるわけでございましょうが、そういうふうな派遣制度を含めまして具体的に検討をいたし、それが実現をはかるようにいたしたい、こんなふうに考えております。
  341. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) ただいま厚生大臣からも答弁がありましたが、これはやはり私どもとしても、この問題につきましては特に重要に考えておりまして、辺地債であるとか、あるいは僻地に対する地方交付税を特に考慮するとか、そういう面で勘案をいたしておりまするが、やはり医師の絶対量が確保できないという状況にかんがみまして、いささか手間どるそしりは免れませんが、御承知のように、自治医科大学を創設いたしまして、この僻地にでも、みずからが進んで赴任をしようという医師の養成を目下いたしておるというわけでありまするが、今後も財政措置として、これらの問題解決のためには十分手厚くいたしてまいりたいと考えております。
  342. 加藤進

    加藤進君 厚生大臣、いろいろな手だてをとらなくてはならぬと思うんです。それからまた、自治大臣の言われるように、病院をつくるということも当然必要でしょう。しかし、いまもう猶予ならぬ事態に来ておる。いま病気になっている子供をどうするかという問題になっています。  そこで、この大会決議のいっておるのは、とりあえず、すぐ近くの都市には、お医者さんがあり診療機関がある、ここからひとつ一週間に一回でもいい、送ってもらえぬか、送ってもらうための手だてを国でとってもらえぬか、こういう、きわめてささやかといわれるような要求だと思うんです。これは実行してもらえますね、そういう要求として。
  343. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 無医地区におきましては、いまお話しのような例でございますと、医師会の協力を得て派遣しよう、あるいは国立病院から派遣しよう、いろいろ私は各町村ごとに具体的な計画ができていると思うんですが、できてない地域があるといけませんので、そういう問題については、八月末までに全部各町村ごとにそういう計画を立てさせようと、こういうわけでございまして、そういう方向に努力をいたす考えでございます。
  344. 加藤進

    加藤進君 一言、特に注意をしておきますけれども、これは、国の特別の手当を出して制度化してほしいという要求ですから、その点について、もう一度お答えいただきたいと思います。
  345. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) こういう制度、派遣制度、その他の制度につきまして、国が全部持つがいいか、この辺は私は問題があると思います。それぞれやっぱり地方自治体の責任という問題があるわけですから、そういう問題と十分にらみ合わせながら、国が補助金を出すというやり方もあります。僻村に対する診療所の設置につきましては、国が補助金を出しております。それから、患者輸送車についても国が補助金を出しております。そういうわけですから、全額国が持つというような考え方はちょっとむずかしいと思いますが、国が補助金を出すとか、あるいは市町村が出すとか、あるいは国が融資をするとか、いろんなそういうふうな財政的な措置を講じながら、具体的な方式を具体的につくっていくと、こういうやり方にいたしたいと思います。しかし、いずれにせよ、何らか、そういう具体的な方式はきめるべきである、かよに考えております。
  346. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは、僻地の病院等を含めての話でありまするが、地方交付税、それから辺地債、過疎債、こういったものでめんどうを見ておりまするが、ちょうど昭和四十七年は、地方交付税において、その対策費は八十四億円、僻地診療施設等に対する地方債、これは四十六年度には二億円見ておるわけでございまして、政府としてできるだけのことはしておるわけでありまするが、今後もこれを一そう厚くしていきたいという方向で検討してまいります。
  347. 加藤進

    加藤進君 とにかく、医師、看護婦がなければ病人は救われませんから、しかも、きょうでなくては、あすでは手おくれという事態ですから、この点を十分認識していただきまして、自治大臣も、ひとつ大いに厚生大臣をバックアップしてもらいたいと思います。  で、もう一つ、過疎地に、あるいは僻地、離島に、十分生活の保障も与えられなくして、なおかつ、住民の健康を守るために献身的に働いておられる医療機関の方たちがいらっしゃいます。こういう医療機関を守っていくために、ぜひともいま必要なことは、特別の奨励金というようなものを出していかなくてはならぬと私は思うのでございますけれども、その点、厚生大臣及び自治大臣はどうお考えになりましょうか。
  348. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) こういうところに働いておられる方々に対しましては、就学奨励金制度というふうなものを設けたらどうだろうというふうな、いろいろな案があるわけでございまして、私どももできるだけ、こういう僻地に看護婦さんやお医者さん方が——まあ全部が行くということは私はむずかしいと思います。実際、お医者さんも人手が足りないんですから、と思いますが。しかし、何かしら、そういうふうな前途に明るい希望を持つような方式を考えていかなければならぬと、こういうふうに考えております。
  349. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 先ほど申し上げましたように、自治医科大学によって、まずそういう義侠的な勇気のある医師を養成する。これはもう、そういう目的でやっているんですから。そういうことが、やはり根本の解決につながるものであるというわけで、私どもは、将来に非常な期待を寄せております。また、地方財政計画上は、今度の新しい年度では、六億程度計画に入れておるわけでございます。
  350. 加藤進

    加藤進君 そのことは、すでに御答弁をいただいたことの繰り返しだと思いますが、特にここで私の言いたいのは、そういう診療機関で働いておられる方たち、あるいは診療施設に対して、いま国が何らかの形で資金の援助を行なうと、こういう措置をとってもらえないかどうか、この点、もう一度お答え願いたいと思います。
  351. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) いろいろな診療所につきましては、国のほうから補助金も出しておりますし、そういう市町村が診療所をつくろうというときには、いわゆる国民年金等の還元融資ということで起債の援助もいたしておるわけでございます。そういう御希望がある町村につきましては、そういうふうな融資の道を開いてもおりますし、補助金も出しておりますし、患者輸送車をほしいという町村には患者輸送車も差し上げる、こういうふうにいたしておるわけでございます。
  352. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは、先ほどからもう申し上げておりまするので、繰り返しになりまするが、地方交付税とか、過疎債とか、辺地債とか、そういうものによってめんどうを見る、こういうことでございます。
  353. 加藤進

    加藤進君 いま、どこの病院でも、あきベッド、それから病棟の閉鎖というような状態があらわれています。病人は町にあふれ、国にあふれているのに、せっかくの病院は、病棟の閉鎖やあきベッドが存在する。こんなことが現実の医療の状況として出てきておりますけれども、まさにこれは、ベッドあれども医療なし、こういわれるような深刻な状況だと思います。  なぜこういうことが起こるのか。これについて、こういう病棟閉鎖やあきベッドの点は、すべての病院のおしなべての共通の理由として、一体何があるのか、この点を厚生大臣にお伺いしたいと思います。
  354. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 病院ができましてもベッドがあいている、これにつきましては、それぞれの病院ごとにいろいろな特殊な事情はございますが、共通的に言えることは、看護婦さんが不足をしておる、これがやっぱり一番大きな原因だろうと思っております。幸いに、三月がいろんな養成所の卒業期でございますから、養成所を卒業されました方々が四月になりますと、そういう病院等に入りますから、多少は楽になるかと思いますけれども、看護婦不足という問題は十分慎重に考えてあげなければならぬ問題であると、こういうふうに考えております。
  355. 加藤進

    加藤進君 それでは、厚生省はそのためにどういう対策を立てておられましょうか。
  356. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 看護婦さんは、現在大体全国で三十二万程度働いておるわけでございますが、正看、准看合わせまして、実は養成所に毎年入ります数が四、五万おるわけでございます。ところが、こうした方々が病院、診療所に入るわけでございますが、結婚その他によってやめる方がある、相当多い。こういうことで、絶対数がなかなか思うように——年々はふえておるんです、年々はふえておりますが、その五万、養成所に入るのは五万で、ふえるはずなのに、そうはふえない。こういう姿でございますが、これには私はいろいろ理由があると思います。看護婦さんに対する社会的評価が低いんではないかという問題もありましょう。さらにまた、待遇がどうであろうか、こういう問題があります。それから、特に最近やかましくいわれておりますのは、ニッパチ勤務体制と申しまして、二人で一と月八日程度勤務、こういう労働条件の問題があるわけでございます、夜勤の問題があります。  そこで、実は先般、特にこの夜勤の問題から看護婦さんがやめるのが多いんではないかといったふうな空気が出てまいりましたので、四十八年度の予算において、いままで低かった夜勤一日の手当を、三百五十円であったと思いますが、それを千円に引き上げる、こういうやり方に国公立についてはいたしました。で、おそらくこの方式というものは、その他の病院にもそういうふうになっていくことを期待もいたしております。  しかし、こういうふうな一応夜勤手当については思い切った措置を講じましたが、それと同時に、女性の他の職業と比較して、はたしていまの給与体系がこれで十分か。これは私はやっぱり問題だと思うんです。先般来人事院にも、ことし人事院においていろんな勧告を出されるならば、やっぱり看護婦さんについても、他の女性の職業と比較してこれでいいのかということで、もっと給与改善をやるべきではなかろうかということで、実はお願いもしておるわけでございまして、人事院から思い切った給与改善の方策が勧告せられることを、私は厚生大臣としても希望をいたしておるわけでございます。そして、できるだけ看護婦さんの待遇をよくし、社会的評価をよくする、これが一番でございましょう。と同時に、一番悩んでおりますのは、結婚してやめられた方々がやっぱり——三十万おるんですね、現在。それは潜在看護婦さんと言っておりますが、この方々の、多少なりパートでもいいから、お手伝いできるような体制ができぬだろうかということを実は考えておるわけでございまして、これがためには、子供さんをかかえたそういう方々でございますから、保育施設を、大きな病院には施設を整備してあげるとか、あるいは、夜間についてはそういう方々についての子供さんを預かる夜間保育所をつくってあげる必要があるんではないか、こういうことの必要性も痛感もしておりますが、そういう問題については、やっぱり当面できるだけのことは急いでやりますが、先ほども申し上げましたが、長期五カ年計画の中で、看護婦養成問題が深刻な問題ですから、年次別に、いま申し上げたような具体的な措置もあわせて検討して進めてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  357. 加藤進

    加藤進君 厚生大臣はきのうの新聞をお読みになったと思いますけれども、ある新聞にこういう投書が載っています。それは「拝啓厚生大臣様。」という投書です。御存じですか。——ちょっと読ましていただきます。「拝啓厚生大臣様。私は子女二人を看護婦に教育し、社会にご用だてしている父であります。ところが、看護婦の充足は、なかなか理想に達せず、残念でなりません。まず、なぜ看護婦は集まらないか、そして離合集散するか、体験に基づいて申し上げましょう。」、こう言ってるんですよ。いまのあなたの問題です。「第一に夜勤です。公立でも月に十—十五回の夜勤です。」、これは全廃はできないにしても、何とか半分にならぬでしょうか、こう言っています。こうすれば、ともかく食いとめるめどが立つ、こう言っているんですけれども、その点はどうでしょうか。
  358. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほども申し上げましたように、二人で組んで一カ月八日、ニッパチ体制というんですが、八日勤務ですね、夜勤は。これをやっぱり基準として考えていくべきだと考えております。いま十−十一日というふうになっておりますが、夜勤は一カ月に八日と、こういう勤務条件を基準とした長期計画を立てていくべきである、こういうことに私は考えております。
  359. 加藤進

    加藤進君 じゃ、そのためにどういう具体的な措置をとっておられるんでしょうか。
  360. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) その措置のために、先ほどもちょっと申し上げましたが、看護婦さんの正看あるいは准看護婦さんの養成施設を多くする、養成数を多くするというふうなことで養成に力を入れ、さらにまた潜在的な看護婦さんがお手伝いできるような保育施設をつくるとか、そういう施設をやるべきであろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。夜勤手当の増額は思い切っていたしましたから、今度はニッパチ体制という勤務体制に即した看護婦の養成に力を入れなければならぬ、さらにまた潜在看護婦さんを引き出すやり方に力を入れなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  361. 加藤進

    加藤進君 ニッパチ体制を全面的に実施していこうとしても、必要なのは看護婦さんの絶対数ですね。となると、いまからでもおそくはない、看護婦養成にもっともっと政府は力を入れなくちゃならぬ、こういうことだと思います。  そこで、私はこの問題について提案いたしますけれども、国立病院には高校卒の三年制の短期大学をもっとふやすべきだと思いますけれども、その点の計画はどうでしょうか。
  362. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 看護婦の養成には、コースとして、大きく学校教育的なコースと、それから病院に付属するコースがございますが、国立病院の関係では多く付属の養成所でございまして、これは各種学校でございます。したがいまして、先生お尋ねのいわゆる学校の形でやる文部省所管に属する看護婦養成は、確かにわが国についてはまだ不十分でございます。看護関係者も強くこれを要望いたしておりますので、われわれ各種学校を担当する厚生省と、学校教育の関係の文部省と、これは両方協力しまして看護婦の養成には努力しなければならない、こういうふうに考えております。
  363. 加藤進

    加藤進君 ぜひお願いしたいんです。  で、次にお聞きしたいのは、政府は、民間でも看護婦の養成所がいろいろありますけれども、これに一体どのような援助を与えておられるでしょうか。
  364. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 民間の医師会その他がつくっておりまする養成所に対しましては、経常費につきまして国が適当な補助をいたしておりましたが、四十八年度におきましては、運営費につきましては二分の一の経常費の補助をいたしておる次第でございます。
  365. 加藤進

    加藤進君 私の手元の資料によりますと、三年制の民間看護婦養成所に対しては四十八年度は一カ所に四百六万円、二年制については三百十八万円、准看護婦につきましては二百万円、こういう数字が出ておりますけれども、これは、そのとおりで、事実でしょうか。
  366. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 数字はそのとおりでございますが、実は、この所要経費の対象になりますものを、生徒経費とそれから講師謝金等の基礎的にどこの養成所でも必要と思われる基本の項目を取り上げまして、それの百分の五十が対象になっております。そうして二分の一の補助でございますから、おっしゃったとおり、三年コースで四百万ということでございますが、実態としては、各養成施設ごとにそれぞれまた所要の経費のかかり方に違いがございまして、この点が、偶々の養成所ごとの必要経費と補助額とを比較しますと、多少御不満があるようでございますが、今後、この点はできるだけ努力して改善いたしたいと考えております。
  367. 加藤進

    加藤進君 ある民間養成所の実態を申し上げますと、生徒数八十名、年間経費は千七百万円、これに対する収入はどうかというと、授業料が五百万円、そして国庫運営費は二百万円、あと病院負担一千万円。この病院負担一千万円というのはどういうことでしょうか。御承知のように、これは病院からの持ち出しです。これは患者持ちですよ。患者の費用です。患者の費用で看護婦を養成しているんです。こういう状態が民間にあるんです。原因はどこでしょうか。これは病院に対する国庫運営費が足らぬということでしょう。あえて私は申し上げたいのは、医療は公共性を持っていますから、私立の養成所に対しても養成経費の大部分を国が負担すべきだ、負担するような抜本的な努力を払うべきだ、国庫補助額をぜひ大幅にふやしてほしいと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
  368. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほどもお答え申し上げましたように、民間の養成施設に対する経常費の補助を四十八年度においては二分の一というふうに上げたわけでございますが、今後とも、やっぱり看護婦さんの養成の必要性にかんがみまして、この補助につきましては引き上げ方について努力をいたす考えでございます。
  369. 加藤進

    加藤進君 ぜひ抜本的な努力をお願いしたいと思います。  そこで、もう一つの問題は、とにかく待遇の改善という問題でございますから、この点について一言聞きますけれども、厚生大臣は、今度は大幅な引き上げに努力すると先ほどもおっしゃいました。大臣はどの程度の引き上げを来年度は考えておられるのか。これは、教員の皆さんに対しても一〇%の引き上げで人材を確保するというようなことまで今日行なわれている状況でございますから、さぞかし大幅な引き上げを考えておられると思いますけれども、具体的にお示し願いたいと思います。
  370. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 御承知のように、給与の改善につきましては人事院の勧告を待って処理することを基本といたしておりますので、人事院に対しましても、よその女子の職業と均衡をとりながら、なお、かつまた、国民医療上不安を来たさないように給与の改善方をお願いしたいということでお願いをいたしておるわけでございます。
  371. 加藤進

    加藤進君 もう少し具体的にお答え願えないと議論になりませんね、これは。その程度なら、すでに五年前から人事院に対して、あなた自身あるいはあなたの先輩の厚生大臣がしょっちゅうお願いしているはずなんです。だから、もう少し強く、何%ぜひやってほしいというくらいのことを人事院総裁要求しなければ、人事院総裁だって、ちょっと答えにくいじゃないですか。  ちょっと、人事院総裁、お願いします。
  372. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ただいま厚生大臣からお話がありましたとおり、また加藤委員からのお話がありましたように、もう歴代厚生大臣、非常に御熱心に勧告につきましては御要望があります。私どもは、そういう御要望があったから引き上げるというふうな気持ちではなしに、御要望があろうとなかろうと、看護婦さんたちの責任の重さ、それから人材確保の面から考えて、従来——まあ、ちょっと過去のことを申し上げて恐縮でありますけれども、私どもの意気込みとしては、通常の場合であれば、民間調査を十分やりまして、そして民間給与との比較をとりながら給与の引き上げをやっておりますけれども、看護婦さんに対しましては、完全にその例外をとっておりまして、実は民間の看護婦さんよりも国立の病院の看護婦さんのほうが先導する先行型の形をとっております。現在でも、たとえば短大卒の看護婦さんの初任給の場合を比べてみますというと、行政部内の行政職に比べてさらに一〇%増しというようなことで、われわれとしては、相当できるだけの措置をとっておるわけでございまして、したがいまして、また一方においては、民間の病院のほうから、みな看護婦さんを国のほうへ引きさらってしまうというような声さえ聞かれるくらいに努力はしておるわけであります。今後も、しかし、その努力は続けていかなければならないと思っております。  もう一つは、給与ばかりの問題ではないと私ども思うんです。先ほどもお話に出ましたように、ニッパチ体制というようなことばがありましたけれども、これは実は火元は、私のほうがその火元なんでございまして、ぜひそのニッパチの理想を達成したいということで、厚生省とも常にタイアップして、現在がどうなっているかということを、アフターケアではございますけれども、病院にそのつどわれわれの職員が回っては実績を見ておるというぐらいの心組みでやっておりますので、ことしの勧告においても相当のことをしたいという心組みでおります。
  373. 加藤進

    加藤進君 大いに期待しておりますから、ひとつやってください。  続いて、先ほどの訴えでございますけれども、こう書いてあります。「第三に結婚後も勤務出来るよう、分べん、長期休養、幼児保育、結婚後の夜勤廃止などを法的に明文化してほしい」と、こういうのでございますけれども、特にその中で強く要求されておる問題は、子持ちの看護婦さんに対して保育所をぜひつくってほしい、ふやしてほしい、既婚者用の住宅を建設してほしい、こういう強い要求があることは御存じのとおりでございますが、この点について、どのように考えておられましょうか。
  374. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) たくさんの看護婦さんを擁しておる国立の病院等におきましては、現在でも保育所をつくっておるわけでございますが、国立だけではなしに、民間につきましても保育施設を併設する、病院に併設しておく。特に、私としては、潜在的な看護婦さんにお手伝いをいただくためには、どうしても夜間の保育施設をつくらにゃならぬ。いまだかって、まだ日本にはございませんが、やっぱりこれが相当大きな役割りを果たすんじゃないかということを考えてもおりますので、先ほども申し述べました五カ年計画の中にそういう計画も盛り込みまして、来年度以降においてそういう方面の施設をつくっていくという方面に努力をいたしてまいりたい、こんなふうに考えております。
  375. 加藤進

    加藤進君 続いて、次の問題に移りますけれども、いま病院に入ろうとしても入れないような苦しみが起こっています。「〃法外な〃差額ベッド」の横行です。これは三月二十四日のある新聞に出ていました。東京のさる病院に入院した子供の救急患者が、母親に病院からは何の説明もなしに三日間で二万七千円を取られた。全部差額ベッド代でありまます。こういう記事が載っています。このために詐欺の疑いという問題まで発生しているのです。これはこの病院だけの問題じゃないと思います。  また、長期の入院患者の中にはこういう方がいます。二十二歳の女性は、あの膠原病という難病にかかって四十三年から毎年四カ月は入院を繰り返しています。この人は四十七年八月から十一月までに二人部屋を一日五千五百円で借りています。四カ月で、なんと約六十六万の差額ベッド代であります。こうして、発病以来この方は実に二千万円の差額ベッド代を支払っておるんです。これが今日国民皆保険といわれるような日本において起こっているということをわれわれは忘れてならぬと思います。  保険は一体何の役に立っているのでしょうか。こういう人は——この人だけの例外ではありません。ほとんどの国民は、保険をかけても、いざ病気になればまた大枚の現金を積まなくてはならぬ。金の切れ目が命の切れ目だとも言っておりますよ、いま。こういう状態です。政府は一体こういう差額ベッドについてどのような措置をとり、指導をしておられるか、このことをお聞きいたします。
  376. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) こういう特別室料と申しますか、差額ベッド、こういう問題につきましては、私どもは好ましいとも必ずしも考えてはおりませんが、これはやっぱり患者さんの希望もあるわけでございます。患者さんの希望として私は個室に入れていただきたいと、こういう希望もあるわけでございますから、むげにこれを全部廃止するということは、私は困難であろうとは思いますが、本人の希望しないにもかかわらずそういう部屋に入れて特別の室料、部屋料を取る、これは厳に戒むべきことであろうと、こういうふうに考えております。  そこで、一応の基準といたしましては、大体全ベッド数の五分の一ないし四分の一程度にとどめることが望ましいというふうに通達をいたしておりますし、特にまた、公的医療機関につきましては、こういう差額ベッドの特別室料を取るということにつきましては、よほど細心の注意を払うようにというふうな通達を出し、指導をいたしておりますが、いずれにいたしましても、本人が希望しないにもかかわらずそういうところに入れて差額ベッドの料金を取る、これは厳に戒めなければならぬ、こういうことで指導をいたしておるわけでございます。
  377. 加藤進

    加藤進君 実例を申しますと、広島の三原日赤、それから富山の日赤、これは一〇〇%差額です。全部差額ベッドです。こんなところへ入れますか、勤労者は。こういう状態があります。だから私は、あえて全部やめろとあなたに要求しているわけじゃないのです。特殊な場合を除いては原則としてやめるような措置をとるべきだ、指導をやるべきだ、努力をすべきだと、こういうことを要求しておりますが、大臣もその点については意見が一致していますね。
  378. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 全ベッドにつきまして差額、こういう特別室料を取る、私も聞いてびっくりいたしたような次第でございますが、さようなことは厳に戒むべきことは当然だと思います。いま申し上げましたように、本人の希望なしで入れてはならぬというふうなこととか、数につきましても五分の一、四分の一にとどめたい、とどめてもらいたいということを希望しておるわけですから、私も今後そういうふうな趣旨をさらに徹底させるように努力をいたしたいと思います。
  379. 加藤進

    加藤進君 それは、大臣、通達だけでできる問題でしょうか。通達でできるような内容のものでしょうか。私はもっと深刻だと思いますけれども、その点の認識はどうでしょうか。
  380. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) まあ、これにはいろいろな理由があると思います。たとえば、病院の経営の問題でございますから、診療報酬の問題とか、いろいろな問題が私はあると、それは承知いたしております。
  381. 加藤進

    加藤進君 国公立については以上のような点で積極的な措置を進めていただきたい。同時に、私立病院については、差額ベッドをつくらなくても済むような措置を国はとらなくてはならぬと思います。放任しておいてはならぬと思うのですけれども、その点で、私立病院に対して国の責任をもって診療報酬の引き上げを行なうような措置をとるべきだと思いますけれども、その点を大臣にお聞きいたします。
  382. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 御承知のように、診療報酬の改定は厚生大臣が職権をもってきめるという仕組みにはなっておりません。御承知のように、中医協におきましての御意見というものをもとにして厚生大臣が告示するという仕組みでございまして、私がとやかくのことを申し上げると、かえって混乱をするということでございます。今日、中医協において診療報酬の適正化について論議が行なわれていることを承知いたしておりますので、そうした中で、すみやかにいろいろな意見をまとめて出していただくことを私は期待をしておるということだけにとどめさしていただきたいと思います。
  383. 加藤進

    加藤進君 ともかく、このような状態の一番もとになるのは、公立であれ、私立であれ、診療報酬にあると、こういう認識では一致したと思うのですね。そこで、この診療報酬の問題についてでございますけれども昭和四十七年の厚生白書によりますと、医療経営についてこういうふうに書いています。四十七年に診療報酬を上げたので、四十七年度以降は経営は好転するであろうと。この見通しのように、今日医療経営は好転しておるんでしょうか。
  384. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) その白書において、そういうことをしるされておるようでございますが、やはり最近においては、診療報酬が相当やっぱり上昇いたしております。これにはいろんな原因があると思います。たとえば、老人医療無料化といったふうなことも、最近やるようになりましたし、そういうことになりますと受診率がふえていく、まあさまざまな、そういう要因で、最近においては診療報酬もふえておりますけれども、同時に、病院の経営も、人件費等の上昇に伴いまして、相当苦しいということを訴えられておるわけでございまして、私のところにも、診療報酬の改定を何とか急いでやってくれというふうな要望も来ておりますから、相当苦しい状況にあると私は推測をいたしております。
  385. 加藤進

    加藤進君 自治大臣に聞きますけれども、自治体病院の経営状況はどうでしょうか。
  386. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 現在、昭和四十六年度末の統計がここにございまするが、七百四事業、九百四十病院というわけです。全事業の六九・四%に当たる四百八十九事業、全病院の六七・三%に当たりまする六百三十三病院において純損失を生じておるようなわけでございます。その額は二百十三億円、また全体の七二・五%に当たる五百十一事業がいわゆる累積の欠損金を持っております。その額は五百三十六億円となっております。不良債務につきましては、全体の五八・九%に当たる四百十五事業が不良債務額を持っておる。その額は三百九十九億円というような次第でございまして、だんだんこのように悪化しておりますることは、いかにも残念に私どもも思っております。その原因は、これは先ほど来議論になっておりまするやはり社会保険診療報酬の問題、それから自治体病院の場合は、配置の問題がありますね。患者がオーバーラップする、隣の市と隣の市が競合するといったような問題も確かにこれはあると思います。それから医師など、いわゆる看護婦を含む、これも先ほどの議論の問題、それから最後には、やはり経営の合理化、やはり三三%程度の黒字病院がある。これはまあいろいろ条件的に恵まれた、地理的な条件とか、いろいろありましょう。ありましょうが、やはりこの合理化についても十分考えてもらわなければならぬというふうに思っております。  まあそんなことで、ついでに御答弁申し上げますると、自治省におきましては、病院の建設改良費、それから先ほどから議論になりました僻地の医療対策費、それから特殊病院の増高経費、こういったものについては、一般会計から繰り入れするということも認めておるようなわけでございます。しかし、なかなか現実はますます経営内容が悪化しておるという実情でありまするので、今後自治省としては、厚生省をはじめ、大蔵省等々、関係省庁と十分協議をいたしまして、この抜本的な対策を立てていかなければならないというふうに考えております。
  387. 加藤進

    加藤進君 日赤の経営について厚生大臣のほうからお聞きいたしたいと思います。
  388. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 日赤につきましても、なかなかやっぱり経営が困難でございまして、累積赤字が四十七年度の見込みとして考えられますのは四十八億、五十億近い累積赤字が見られるわけでございます。そこで、こういうふうな赤字が出ました日赤の大きな原因には、まあいろいろな理由があると思いますが、採算の合わない医療を日赤としてはやらざるを得ない。ガンとか、救急医療だとか、そういうふうな、あるいは僻地医療の問題に協力するとか、こういうふうなことが一つの原因でもありましょう。しかし、多くの原因は、やっぱり人件費の増高、こういうふうなことであろうと考えております。そこで、こういうふうな赤字でございますので、こうした日赤、済生会といったのは、公的病院——公立ではありませんで、公的病院と言っておりますが、公的病院には、国の援助が、補助がありませんものでしたから、四十八年度から初めて公的病院に対する援助を行なおうということにして実施することにいたしておるわけでございますが、こういうふうな赤字になっておる大きな原因は、不採算医療ということと、人件費の増高、こういうのが中心だと考えております。
  389. 加藤進

    加藤進君 代表的な病院である自治体病院で、経営が六七・二%の赤字、日赤では約八割に近い、こういうことになりますと、いろいろな原因が積み重なってはおるでしょうけれども、一番根本に何があるかということをはっきり突き詰めなくてはならぬ、こう思います。その意味では、単にこれは経営努力が足らないなどということでも私はないと思うし、同時に、人件費が上がったからと言われるけれども、人件費というのは、そもそも医療労働者あるいは医療関係者の人件費は非常に低いのですから、これを上げなければ今後も維持できない。こういう問題も先ほど提起したわけでございますから、その点では、私は、何をおいても診療報酬の問題に最後的なメスを入れなければ、この根本問題は解決できないと、こう思いますけれども、その基本点はいかがでしょうか。
  390. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) こういうふうな赤字を出すような病院経営、これに対しましては、国としてもできるだけの補助なり起債なり、できるだけの援助を期待しておるわけでございますが、やっぱり何と申しましても、最近における診療報酬の適正化ということが非常に大きな問題だろうと実は私も考えております。どの程度診療報酬を適正にするかという内容は別として、そうだと思います。そこで、そういう適正化をやるにあたって、実は私どもも一番悩んでおるのは、診療報酬と直接関係はないとおっしゃればそれまででしょうが、健康保険財政が非常に赤字であるということは、私は、やっぱり相当考えておかなければならぬ問題だと思うのです。政管健保においてはすでに三千億の赤字をかかえておる、こういう状況でございます。そういう状況の中でどうやって診療報酬の適正化をはかっていくか、これは非常に私はむずかしい問題だと思うのです。そういう意味において、幸いに今年度の国会には健康保険法の改正をいたしまして、三千億の赤字はたな上げにしましょう、さらに財政が苦しいのだから一千億の国の負担はいたしましょう、こういうこともいたしたわけでございますから、それとこれとは直接関係ないとおっしゃれば別でございますが、どうかそういう意味においてでも、健康保険法の成立に御協力を願いたい。こんなふうに私は率直に考えておる次第でございます。
  391. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 私ども自治体病院を担当するたてまえから言いましても、この診療報酬の是正はすみやかになされなければならぬと思っております。四十八年度では五百五億の財政措置をしておりまするが、この報酬是正がなされない限り、依然としてこの赤字は続くので、ぜひすみやかにこの是正を要望するものでございます。
  392. 加藤進

    加藤進君 いま健康保険の問題に触れられましたけれども、私は、これはちょっと質問からは蛇足だと思いますが、一体診療報酬の問題がどれだけ矛盾に満ちた、どれだけ不合理きわまるものかということの、いい実例を一つここで紹介します。  これは一般の病院ですけれども、三食つきで、医師、看護婦つき一日千五百円から二千円程度、これでは採算をとれというほうがむしろ無理じゃないでしょうか。このことを容認しておられる国、政府から言うなら、無理は承知で独算制を押しつけている。そのために、病院はいやおうなく差額ベッドを設けなくてはならぬというところへ追い込まれる。こういうのが、まさに差額ベッドを今日一般的に広げている原因じゃないでしょうか。いわば、政府がこういう差額ベッドそのものをも奨励しておるというような立場に立っているという点を、私ははっきり認識してもらわなくてはならぬと思います。その意味では、先ほども申しましたけれども、看護婦の不足についても、差額ベッドが存在するということを解決するためにも、政府がどうしても診療報酬について、これを低く押えるようなことをやめて、大幅にこの診療報酬を引き上げるということ、独立採算制を国公立の病院ではとることをやめて、国の大幅な補助を実行していく、国の補助を大幅にふやす。こういうこと以外に根本的な解決は私はないと思いますけれども、その点について厚生大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  393. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 国公立病院は必ずしも独立採算制ではないのでございまして、必要なものにつきましては、一般会計において、国においても、府県市町村においても、それぞれ必要な措置は見ておるわけでございます。そこで、何もかもこういうふうな問題を解決するのは診療報酬の改定だと、まあ必ずしもそこに全部が全部結びつくとは思いませんが、現在の段階において診療報酬の適正化ということが非常に大きな役割りを果たすであろうということは、これは、当然であります。しかし、それは厚生大臣が言う前に、中医協において慎重に審議をしていただかなければなりませんし、厚生省の側においては、健康保険その他の財政が健全であるかないか、これも十分考えておかなけりゃならぬ問題だと。そういうことと相まって診療報酬の改定が適正に行なわれることを望んでおる、こういう次第でございます。
  394. 加藤進

    加藤進君 私があえてこの点をさらに強調するのは、いま国民が広範な病気におかされている。その病気におかされておる病人が、保険に入っておっても、なおかつ病気をなおしてもらうような診療機関にも行けない。こういう状態を根本的に直していかなくてはならぬ。差額ベッドに行くというような方たちはきわめて一部です。こういう状態を根本的に改めて、診療について、国が国民の病気に責任を持つ、こういう体制をしっかり確立せなくてはならぬ。そのためにいま重要な問題は、国公立病院の——先ほど独立採算制ではないとおっしゃいましたけれども、これについての国の補助はきわめて微弱です。結局のところ、独立採算的な経営でなくてはやっていけないような状況に国は追い込んでいます。したがって、この独立採算制をできるだけやめて、国の補助を大幅にふやし、国の責任で診療報酬の適正化をはかる、こういうはっきりとした立場に立っていただかなければ、このような医療の荒廃を防ぐ道はない。私はこう考えますけれども、その点の基本認識について、もう一度厚生大臣の見解を承りたいと思います。
  395. 西村尚治

    ○理事(西村尚治君) 加藤君、時間がなくなりました。よろしゅうございますね。
  396. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 国民医療の基本は、すべての国民があまねく充実した医療を受けられるようにするということが基本であります。したがいまして、私どもは、今後長期五カ年計画において、医療施設の整備、看護婦その他の医療従事者の養成、そういう方面に全力を尽くしてまいりたいと考えておりますが、同時に、病院経営につきましては診療報酬の適正化が必要であることはもとよりでございます。しかし、それと同時に、相並んで大事なことは、それぞれの保険財政が健全であるということが最も大事な基礎であるわけでございまして、そういう問題と総合的に検討しながらその改善につとめて、国民医療の完ぺきを期するように今後とも一そう努力いたす考えでございます。
  397. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) ちょっと、念のために私のほうからも申し上げておきますが、先ほどから差額徴収ベッドの問題が非常にここで話題になっておりますが、幸い、自治体病院の場合は、先ほど厚生大臣が申しました、五分の一、せいぜい四分の一以下に押えたい、この線に沿いまして、自治体病院の性格から申しまして二〇・六%と、この程度で押えられておるわけであります。病人の感情からいいますならば、なるべくいい病室に入りたいというわけですが、自治体病院の性格からいうと、御指摘のような点があまり顕著である、さっき例に出されました日赤などの実態を、私は、守備範囲以外ですから知りませんが、しかし、そういうことはきわめて遺憾きわまることでありまして、自治体病院においては、今後も十分ひとつそういう点には留意をしてまいりたいというふうに思います。  それからいまの、公営企業という性格を去ってはどうかという点につきましては、いまでも非採算性の高い部門については、先ほどから申し上げておりまするように、それぞれ県を通じ、あるいは市町村病院ならば、直接、特別交付税というような形で助成をしておるわけでありまして、今後もこの問題についてはなお根本的に検討を加えてまいりたいというふうに考えております。
  398. 加藤進

    加藤進君 最後に一つ
  399. 西村尚治

    ○理事(西村尚治君) 時間が過ぎております。——じゃ、ひとつ簡潔に願いますよ。
  400. 加藤進

    加藤進君 国の国民医療を真剣に守っていくために第一にやらなくてはならぬことは、国あるいは公立の医療機関の抜本的な充実をはかるということ、このことが第一。第二には、現状でも私的な医療機関に依存する度合いが非常に強いという点から申しまして、私的医療機関に対しても十分な国の補助制度を拡充していく、こういうことがぜひとも必要だと思いますけれども、最後にその点をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  401. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 診療機関は、国公立、私立、お互いに相排撃することなく、お互いに協力し合って、そして国民医療の万全を期すべきであるわけでございます。そういう観点から、私的医療機関につきましても、それぞれ必要な助成の道を講じてもおりますし、今後とも講じてまいる考えでございます。
  402. 西村尚治

    ○理事(西村尚治君) これにて加藤君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  403. 西村尚治

    ○理事(西村尚治君) 喜屋武眞榮君。(拍手)
  404. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、最初に、暫定予算のときに大蔵大臣に質問しておりますので、その関連がありますので、それをひとつ大臣にお聞きします。  例の与儀のガソリンタンクのあとを、与儀小学校の分離学校の敷地に充てるということで、無償譲渡を要望した。この要望に対して、政令を改正をしてそれに充てると、こうおっしゃったんですが、政令はいつ改正なさる予定なんですか。
  405. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 前回にお答えいたしましたように、与儀のガソリンタンクのあと地を小学校のための用途に供するということについては、私はその方針を決定いたしております。   〔理事西村尚治君退席、委員長着席〕 それからその次に、これを有償か無償かという問題については、たとえば、無償にする、あるいは破格の価額で払い下げるというようなことになりますと、政令の改正が要るのではないかと思いますが、政令の改正につきましては、なるべくすみやかに行ないたいと思いますけれども、これは、価額の問題その他で沖繩県側とも十分御相談をしなければなりませんので、その御相談が煮詰まれば、政令の改正が、要不要の問題を含めまして、決着するわけでございますから、なるべくすみやかに決着をつけたいと、かように考えております。
  406. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 教育のことは一日もゆるがせにできませんので、その政令改正を一日も早く運んでもらいたいと強く要望申し上げておきます。それに対して、いつごろということは、めどはつきませんか。
  407. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは、前回申し上げましたように、私といたしましては、小学校に用途を決定するということについては私も決断をいたしたわけでございます。したがいまして、自余の措置は、もう文字どおり、できる限りすみやかにいたしたいと考えております。
  408. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、海洋博について、通産大臣は先日の答弁で、海洋博を成功させると、こうおっしゃったわけです。成功させる自信がありますか。
  409. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 沖繩県民の皆さんの御協力及び本土の官民をあげての協力によりまして、ぜひとも成功させたいと念願しておりますが、いろいろいま障害がありますけれども、これを克服して成功させる決心であります。
  410. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いろいろ障害があるとおっしゃったんですが、どんな障害がありますか。
  411. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近におきまする物資不足及び沖繩における物価上昇等という問題がございましたり、あるいはまた、不発弾の処理の問題とか、次々に問題が起こってきております。
  412. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いろいろな障害というのは、いまおっしゃっただけでなくして、もっと根の深い、底の深いものが横たわっておる。そういった中から、海洋博はもう返上したほうがよくないかという声があることも御承知かと思います。また、延期をしたほうがいいという声もあるということも御承知かと思います。そのことについてはいかがですか。
  413. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 承知しておりますが、坪川総務長官、開発庁長官が行かれて帰ってきた報告を聞いてみますと、それは少数意見であると、そういうことで、大部分の県民は海洋博は成功裏に開催され、終わることを熱望しているということでありました。
  414. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 成功させるためには、その要因が、条件が具備しておらなければいけない、こう思います。ところが、おっしゃるとおりに、デメリットの面もあるわけです。そのデメリットの面が予想以上に連鎖反応的に、こう、広がりつつあるという、このことを正しく見つめてもらって、それをどのように克服していくかという、このことに目をそらしたんじゃ、これはいくら成功する、成功するとおっしゃっても、成功は期待できません。  そこで、お聞きしますが、労働力、建築資材、これに対する実態はどのように把握しておられるか。
  415. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 労務及び建設資材対策ということだそうでございますが、労務の問題及び建設資材の問題は、実は、いま申し上げた障害の一つになっておるわけでございます。  建設資材の中で一番困っている問題がセメントでございますが、労務の問題につきましては、労働大臣あるいは開発庁長官から御答弁申し上げると思いますが、セメントの問題について、まず申し上げてみますと、大体沖繩県からの要請として、四月分として一万五千トンの御要請がございます。そのうち、緊急度の高い需要として約八千三百トンと見込まれております。そこで、この緊急度の高い八千三百トンについて、いま至急手当する必要があるという考えに立っておりますが、琉球セメントのサイロに余裕があるので、当省の要請に基づいて日本セメントが中心となって台湾等からの、ばらものセメントの緊急輸入の検討をいま行なっております。また、六月には、三菱セメントが現地に建設中であるセメントサイロが完成する予定で、受け入れ能力も増加しますので、今後逐次必要なセメント量は確保されるものと思われます。  沖繩のセメントの事情を見ますと、日本セメントと小野田セメントと琉球セメントの三社で供給しておりまして、そのために、日本セメントの分は金城キク商会、小野田セメントの分は沖繩セメント工業が代行し、担当してやっておるようです。それで、これをいまのような供給を確保するためには、やはり配船の問題がございます。それから配船に伴う現物の供給という問題がございます。それで、四月における総需要量は、全部で九万トンの由でありますが、供給量は、従来の能力から見まして六万八百トンであると見込んでいます。二万九千二百トンの差がありますが、その中で、いま申し上げた緊急度の高いものを手当てすると、こういうことで、いま努力しているところでございます。
  416. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 開発庁長官にお聞きします。  この具体的な調査につきましては、かねがね申し入れてありますが、それが現段階で総合的にその実態調査がどのように把握されておるか。いま通産大臣からも一部承りましたが、全体的にその調査の実態がいまどこまで進んでおるか、それをお知らせ願いたいと思います。
  417. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 先ほどから担当大臣の中曽根通産大臣も仰せになっておりますごとく、ぜひともこの海洋博は、沖繩開発の上においても大切であり、また沖繩の将来の跳躍台としても非常に重要なことでありますので、政府といたしましては、担当大臣の中曽根通産大臣を中心といたしまして、全力をあげて計画的に進めてまいりたいという方針は微動もいたしておりません。したがいまして、いま御指摘になりました資材、労務の問題、これが一番重要な課題でもございますので、過般沖繩の現地にまいりましたときも、私は各官署、いわゆる沖繩県及び開発庁及び海洋博事務当局、それら一体の会合を持ちまして、いろいろの点から問題点を解明いたすとともに、あくまでも、これを推進する場合には現地のいわゆる零細産業にしわ寄せをしないという方針を基本にきめまして、そして資材等につきましても一つのリストをつくりまして、そしてそれを計画的に月次的な一つの進み方をきめまして、そのリストに基づいて、資材がどう、労務がどうというふうなことを、官庁のいわゆる本部でありますところの物価部会あるいは施設部会、また現地にもこれと並行して施設部会あるいは物価部会をやりまして、総合的に縦横の調整をはかりながら、それらのなにを資材の確保に、労務の確保に当たらしめてまいりたいという一つの具体的な月次計画で、また業界のほうも一つのリストをつくってもらいまして、そして一括に購入をどうすべきであるか、また、それの需給をどうすべきかというように、官庁のほうも、また業界のほうも、そうした方針を具体的にとりまして、そしてそれを推し進めてまいるという、細部にわたる打ち合わせもいたしておりますので、必ずや、そうした点にだんだんと実績があげられてくるものと深く期待をいたしておる次第であります。
  418. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 労働大臣に。労働力の確保については、どういう具体案を持っておられますか。
  419. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) 大阪博の経験を生かしまして、どうしても今度労働力は三万ぐらい不足すると思いますが、これに対しましては、大阪の例にならいまして各県別に送出計画を立てて、そうして労働力の確保に万全の策を講じておると、こう思います。それについては、やっぱり何と言っても、地元の勤労者、これを先に主体にいたしまして、不足分を各県から送出をすると、こういうような計画で進んでおります。特に技能労働者がどうしても不足いたしますので、これは下部機構を動員いたしまして、これに対して送出するように対処いたしております。
  420. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま大阪万博方式とおっしゃいましたが、具体案を持っておられますか。
  421. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) 具体案は、御承知のように、やはり不足いたしますので、開発庁が中心となって、どの面はどの方面にどれだけ不足すると、こういうような計画をいま集計中でありますので、この集計に基づいて、まあ遠方よりは近い県から、できるだけ早くこの勤労者を確保するように計画をいま進めております。
  422. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その件で、国外からの導入も考えておられますか。
  423. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) この問題は、いろいろ議論が出ておるのでありますが、台湾の方を連れてきたほうがいいことでないかとか、朝鮮の関係とかいう話が出ておりますが、これの基本計画、先般閣議でもこれが決定いたしたのでありますが、外国人の労働者は、これは雇用しないという原則のもとに進んでおります。
  424. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 県内の産業からの労働力の転用、これにつきましては、中小零細企業の求人難の現状、それから農業人口の流出が起こらないように十分に地元産業、中小企業の立場を配慮してもらわなければ、それこそたいへんなことになりますが、その点の御配慮はどうですか。
  425. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) この点も、これは大問題になる傾向が——これはもう地元の議員でありますから十分御存じと思いますが、どうしても一定期間に工事をやろうと、こういたしますと、賃金の問題なり雇用の関係なりが相当従来の沖繩の雇用条件と変動を来たすと、こういう関係で、地元の農業なり、零細企業なり、地元のいろいろな産業に影響を及ぼすということも、これは考慮されます。それに対しましては、やはり、かような影響がないように関係省庁とも連絡をとりまして——これは申し上げにくいんでありますが、多少の影響は出るかもしらないけれども、地元のいろいろな問題に悪影響がないように、開発庁が中心となってこれが対策を講じております。
  426. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その件で、本土からの業者がだいぶ進出しておる、その調査も、この前要求してありますが、その進出業者が現地で労務を吸収するために、ますます混乱を起こしておるわけなんですね。それで、この労務協定、それから企業関係でスカウトするために賃金をはね上げておる、そういった賃金協定、このことが大事であると思いますが、これに対する御見解はいかがですか。
  427. 加藤常太郎

    国務大臣加藤常太郎君) お答えいたしますが、これはなかなか労働行政の、賃金行政の関係から言いましても、やはり賃金問題は労使が話し合って原則的にきめると、そしてこれが下降する場合には最低賃金とか、いろいろなもので労働省は指導できますが、両方が、労使が話し合った場合に、そこへ、よくなるほうに対して労働省がこれをどうするというようなことは、賃金の決定の原則からいって、労働省が立ち入るということは、これはちょっとむずかしい点があるんでありますが、しかし、あまりこれが地元の従来の労使関係、賃金の関係を混乱する、こういうことはこれまた悪影響があります。それがひいては地元産業を放てきするとか、いろいろな弊害があっても困りますから、やはり企業に対して元請とか孫請とか、そういうものに対して、あまり地場産業なり地場賃金を撹乱せぬようにお願いすると、そして開発庁のほうからもさような対策を講じるということで、その協定賃金というところまでも労働省がこれを指導するということは、ちょっと無理な点があります。  万博の場合にもいろいろなことを仄聞いたしましたが、まあ、当然の良心に従って善処すると、こういう方向に最終的にはいったような情勢でありますので、この点は関係省庁と連絡をとって、やはり建設関係の傘下のものは建設傘下の方にあまりにも無理をして、あとで沖繩の方が困ったら困る、また、通産省なら通産省からいろいろそれを御指導願うと、こういうような方向で善処いたしたいと思います。
  428. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 建設大臣の立場からの、いまの海洋万博を成功させるための資材調達、確保に対する具体的な御計画がありましたら、伺いたい。
  429. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 先ほど通産大臣、総理長官等からお話もあったわけでございますが、いま需給度の高い骨材だとか生コンだとか、そういうものにつきましては、いわゆる現地において事業の拡張整備を行なうというようなことにいたしてまいりたい。なお、鉄鋼、セメントというようなものに対しては本土から持っていかなくちゃならぬということですから、その持っていくためには埠頭を大きくしなくちゃならないというようなことで、そのほうにも考えを持っていかなくちゃならぬというようなこともし、また、この発注を一度にどっと出すということでなくて、平均してこれを発注していくというようなことも考えなくちゃならない。なお、工業化したプレハブということも考えて、これに対処してまいりたい、こんなように考えておるわけでございます。
  430. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 運輸省、運輸大臣に、港湾の整備……。
  431. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ちょっと待ってください。
  432. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 運輸省いませんか。港湾の整備と非常に重大な関係がありますので、開発庁長官にお聞きしますが、国体、海洋博、それから振興開発事業との関連において、港湾業務が非常に麻痺寸前にあるという実情から、那覇軍港の一部開放、それからハンビー飛行場の近くの発電船のあとの開放、これを利用されることに対して、どうですか。
  433. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 先般現地に参りまして痛感いたしましたことは、開発計画を推し進める場合にも、また、海洋博を成功裏に推し進める場合にも、非常に私は、運航問題、いわゆる港湾及びそうしたものを含めましてのモノレールとか、あるいは桟橋関係、いろいろと問題点が多くあると思っております。帰りまして運輸大臣にも、とくとお願いはいたしておりますけれども、具体的な細部にわたるところの問題につきましては、それぞれ運輸省のほうで具体的な政策をお持ちになっている様子でございますので、そうした港湾あるいは技術的な桟橋の問題、そうした点については私がみずから答えるだけの、まだなにを持っておりませんし、これは適当でもないと、こう考えておりますので、まことに恐縮でございますが、お許しをいただけますならば別な機会にひとつ——運輸大臣を中心として、私は沖繩を思う意味において、また海洋博を成功せしめたい意味において、ひとつ適当なときに御指摘を……。私のほうからは十分申し上げておりますので、御満足の、また納得のいく方法をおとりいただくことがかえっていいんじゃないかと、こう思うんでございますが、いかがでございましょう。どうかひとつお願いします。
  434. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が入れかわり立ちかわりお尋ねしますのは、結局、海洋博は担当は通産大臣になっておるんですが、みんなが主体的に受けとめて、一緒になってもらわなければ、ばらばらの形ではこれが足の引っぱり合いにしかならぬと、こういう懸念を持つがゆえに、ひとつ総力を結集して、その万全を期して、成功を期していただかなければいけない、こういうことなんですが、通産大臣、いかがですか。
  435. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、内閣におきます対策本部を中心にいたしまして、私が中心になりまして各省の御協力を得て緊密な連絡でやっております。各省とも、沖繩の海洋博を成功させるために非常な熱意と真心を持ってやってぐれておる状態でございます。
  436. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 非常に大事な問題でございます。私も、例の海洋博の本部に近い、中心になるでありましょう運天港でございますか、あそこにも行ってまいりまして、このたび資材等の運搬があの港が中心になっておることを現地で見、また、運輸省のほうもこれに重点を置いての運天港の港湾修復などに具体的な方策も持っていただいておることを非常に私は喜んでおったわけでございます。あるいは渡久地港あるいは那覇港、この三つが非常に重要な港として、運航あるいは沖繩開発の上においての港湾開発、整備の上においては非常に重要な問題でございますので、私といたしましても、そうした観点から各省庁との調整をはかってまいりたいと、こう思っておりますから、御了解願いたいと思います。
  437. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 関連して、不発弾の処理についてお尋ねします。  海洋博の主会場であります本部半島沖に、海底に一ぱい未処理の不発弾がころがっておると、このことが発覚いたしておりますが、一体これは、だれがどのように処理すべきものであるか、その処理の主体はどこなのか、お聞きしたい。
  438. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) お答えをいたします。  通産大臣のほうから、海洋博協会側が専門の民間企業等に依頼をして捜索をし——捜索は民間企業等に、専門の企業等に依頼をして捜索をしてもらう、その結果発見をされました不発弾は自衛隊が処理をしてもらいたいということで、これを引き受けまして、こういうふうにして発見をされました不発弾処理は自衛隊が行なう、不発弾は自衛隊が集めまして原則として所定の海域に投棄をする、海洋投棄を原則としますが、種類、態様によって、船舶輸送ができないようなもの、これは、信管を除去してない迫撃砲弾であるとか、地雷、手りゅう弾、ロケット弾、また腐蝕のはなはだしい弾丸などは、これは不発弾処理場で陸上処理を行なわなければならないということで、陸上処理を行なうことにいたしております。
  439. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの海中のはよくわかりましたが、今度は陸地に、宅地造成の作業があちらこちらでありますが、その中から五十ポンド以下のもの、あるいは五十ポンド以上、続々とそれがいま出ておる、この実情を見ても、沖繩はまだ戦後は終わっていないという実感が読めるわけですが、五十ポンド以下のものは読谷の村の処理場で処理することになっておるようです。ところが、五十ポンド以上はそこでは許さない、こういうことで、五十ポンド以上のものも九十以上、いま集めたのがごろごろしておるということを聞いておりますが、これは現地米軍も処理してくれない、一体これはだれが処理すべきものであるか、外務大臣、いかがですか。
  440. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 御承知のように、読谷では五十ポンド以下のものを米軍が処理をしているわけで、その以前の段階では陸上自衛隊が整理をしておるわけでありますが、それ以上のものにつきましては、現在は処理されておりません。したがいまして、それらのもの及び今後発見されまする大型のものについては陸上自衛隊において集積をいたします。そして、原則としては海上自衛隊においてこれを海中投棄をするという方向でまいりたい。ただし、ここで問題がありまするのは、陸上自衛隊が集積するその場所について現在沖繩県側と協議をしておりまするところでありまして、集積場そのものの獲得が、現在懸案と申しますか、問題になっておるところであります。
  441. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは早急に処理してもらうように強く要望しておきます。  次に、沖繩の基地の縮小、撤去について外務大臣に尋ねます。  沖繩復帰にあたっての政府の公約は、核抜き・本土並みであったことは申し上げるまでもありません。核抜き・本土並みは一体どういうことなのか、お尋ねしたい。
  442. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩復帰にあたりまして、核抜き・本土並みというのが大きな項目であったわけでございまするけれども、核の問題につきましては、日本側のきわめて強い関心に基づきまして米側と折衝いたしました結果、累次いろんな形での確約が得られておりまするけれども、最後的には、復帰の段階におきましてロジャーズ国務長官から当時の福田外務大臣にあてまして、核抜きが約束どおり実行されたという趣旨の書簡を受け取っておりまして、核抜きに関しては、返還交渉当時以来非常に大きな問題でありましたけれども、核抜きということが実施を見たということが言えるかと存じます。  また、もう一つの問題でございまする本土並みという問題につきましては、沖繩復帰後におきましては、沖繩に対しまして本土と同様に、安保条約並びに関連の取りきめがそのまま適用されておりますので、この面におきましても本土並みという内容が確保されていると、こういうふうに考えております。
  443. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 なるほど、ことばのあやではそうかもしれませんが、事実はそれに反する節があるということを私は指摘いたしたいと思います。  去る十一月三十日に、二日間にわたって毎日新聞社と協力して沖繩の琉球新報社で行ないました世論調査の結果からしても、「核と毒ガスについて、核が撤去されたとは思わない」——八六%、「毒ガスが全部撤去されたとは思わない」——八七%、こういった世論調査の結果が出ております。また、沖繩県民のほとんどは核も毒ガスも撤去されたとは思っておらない、こういうこと。さらに、このことは国会の中でもずっと論議されてきておることであります。しかし私は、きょうはその核論争には触れるつもりはございません。  そこでお聞きします。本土の米軍基地の総面積は幾らか、沖繩の米軍基地の総面積は幾らか、お聞きしたい。
  444. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 三月三十一日現在で申し上げます。  旧本土の米軍の使用しております総面積は二億六千四百八十三万平方メートル、それから沖繩につきましては二億八千四百三十三万平方メートルでございます。
  445. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 続いて、それでは、本土の米軍基地の占める比率は幾らか、沖繩の米軍基地の占める比率は幾らか。
  446. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 本土におきましては〇・〇八%、沖繩は一二%でございます。
  447. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もっと詳しく言ってください。コンマ以下まで言ってください。
  448. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 三月末現在で計算いたしておりますので、比率のこまかい数字まで実はまだ出しておりませんが、いまほど申しましたように、本土におきましては〇・〇八%、沖繩が一二%、若干端数があるかと思いますが、そういう数字でございます。
  449. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは、沖繩は本土の比率の何倍占めていますか。
  450. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 百四十倍でございます。
  451. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの比率はまことに怪しいのじゃないかと、こう思っているのですが、それはここでは問題にしたくありませんので……。  それじゃ聞きます。去る一月二十三日の日米安保協議委員会で合意した返還面積は、本土が幾らか、沖繩が幾らか、お聞きしたい。
  452. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 関東平野計画というかっこうで本土の施設区域が返還になりましたのは二千二百十九万平方メートル、沖繩関係につきましては総面積四百四十一万九千平方メートルでございます。
  453. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、その率は、沖繩は約五分の一ということですね。
  454. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩関係分、本土の約五分の一でございます。
  455. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、本土並みということからしますと、これは矛盾するのじゃありませんか。
  456. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 復帰前から、沖繩におきまする米軍の基地の面積が沖繩全体の面積に比べまして非常に多くの分を占めておるということは、私どももよく承知いたしております。先般来、在日米軍基地の整理統合という計画につきまして、米側と具体的な折衝を進めてまいりまして、一月二十三日の十四回安保協議委員会におきまして、いわゆる関東平野計画というものと沖繩関係の施設区域の返還計画について合意を見たわけでございまするけれども、この施設区域の返還は、あくまでもこれをもっておしまいという計画ではございませんで、これを第一次といたしまして、引き続き第二次、第三次というふうな整理統合の話し合いを進めてまいるつもりでございまして、したがいまして、今後の米側との折衝におきましては、当然のことながら、沖繩にありまする米軍の施設区域の整理統合に大きな努力を払ってまいりたいというのが政府の考え方でございます。
  457. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私がこのように次々と尋ねますのも、本土並みということが実にわれわれ県民の側の立場からしますというと、また、国民の側の立場からしますというと、まことに単なることばのあやにすぎないという、その事実に反するということ。で、本土より沖繩基地を強化せねばならない理由は一体何なのか。自衛隊の沖繩配備が基地強化につながるということは、これは否定することのできない事実である。しかし、私は、きょう、いまここでこの問題を論議するつもりはありません。ただ申し上げたいことは、言いたいことは、沖繩がこれ以上基地の犠牲をしいられることは断じて許されないということなんです。  そこで、大平外務大臣にお聞きしたい。沖繩の米軍基地を撤廃しなければいけないという理由は、どうお考えですか。
  458. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 第一に、沖繩の長きにわたる安定と繁栄を考えていく場合、いまのような基地経済の状況から終局的には脱却をはかりまして、平和な沖繩の建設を目ざさなけりゃならぬということは、沖繩県民ばかりでなく、全国民の願望であると思います。そういうラインに沿いまして、さしあたって、沖繩の振興開発計画というものが当面考えられておるわけでございますが、これを推進するにあたりましても、その前途に、はだかっておりまする存在は、何としても膨大な基地であろうと思うのであります。また、再来年の海洋博の準備をやること自体につきましても、基地との関連を無視してスムーズな準備ができるはずのものではないと思うのでありまして、われわれといたしましては、すでに、いまあなたが御指摘になりましたように、本土との比較におきまして圧倒的な比重を持った、基地の重荷を背負っておる沖繩に対しまして、今後のわれわれの基地の整理縮小という政策の推進にあたりまして、どうしても力点を沖繩に置くべきであると、また置かなければならぬのではないかと考えております。
  459. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、このように考えます。  沖繩の基地を縮小撤廃しなければいけない理由の一つは、反戦平和の立場、第二は、沖繩の振興開発計画を遂行していくためにも、どうしても基地の撤廃縮小に突き当たらなければいけない。第三には、人道的立場から許されないということなんです。  そこで、開発庁長官、先般、担当長官として沖繩に行かれたのですが、何を見、何を感じてこられたか、お聞きしたい。
  460. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 帰りまして閣議にも報告いたしたのでございますが、基地の整理縮小というものがいかに必要であるかということを強く感じてまいりました。
  461. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、特に人道的立場から、北谷村の基地の縮小撤廃について具体的にこれから尋ねます。  北谷村の軍用地解放については、大臣も先般、代表が見えて陳情を受けたはずであります。あの実態、それから特殊事情、この実態と特殊事情をどうとらえておられますか、お聞きしたい。
  462. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 北谷村区域におきましては、施設区域が占める面積が同村の総面積の過半数を占めておりまして、地元の行政事務、教育、地域経済の開発等に重大な影響をもたらしておりますことは事実でございまするし、先般来地元関係者からも詳しく御陳情を承ったところでございます。政府としては、これらの事情を十分念頭に置いて、今後の施策を進めなければならぬと考えております。
  463. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま大まかにおっしゃいましたが、くどいようですが、その実態は、基地の面積が村の六五・二六%を占めておる。解放を要求しておるのが二丁二六%、その解放が実現したとしても、なお四四%依然として基地が残るということなんです。その特殊事情として、私はあえて人道的立場と申し上げましたのは、復帰後今日までがまんしてきた、がまんさせられてきたというこの特殊事情が、いわゆる平地に道路、復帰後国道五十八号線をはさんで、その両横が基地に接収されておる。そうして、山間僻地に村民が、一万一千有余の村民がひしめいておる。さらに、その村の通路が一カ所しかない。袋の底に追い込められたかっこうである。  さらに、教育の場である学校、しかも、義務教育を対象とするその学校敷地が自分の村につくれないでコザ市に学校敷地を持っておる。それから、一部の村の子供たちはお隣の嘉手納村の学校に預けておる。こういった異常な状態が一体日本のどこの県にあるかということなんです。こういう特殊事情、私が最優先しなければいけないという、このことを強く強調するわけなんです。大臣、この特殊事情をさらに再確認してもらって、これを優先的に——この村の道路行政、教育行政、村づくりの上から、かたいかたい壁にぶつかっておるというこの実情をさらに確認してもらって、優先的に解放してやるという意思がありますかどうか。
  464. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 御提示の事情につきましては仰せのとおりでございまして、私どももそれを十分念頭に置きまして、先ほどもお答え申し上げましたとおり、今後の施策に生かしていかなければならぬと考えております。
  465. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それではさらに、その解放を要求しておる中に、安保条約に照らしても、地位協定に照らしても、どうもふに落ちない怪しい場所があるということを私は問題にしたい。  それは、米軍基地内の車販売所であります。そのことをめぐって、まずお尋ねしたいことは、安保条約第六条と地位協定第三条の内容を明らかにしてもらいたい。
  466. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 日米安保条約第六条によりますと、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」とありまして、これに基づきまして地位協定ができているわけでございまするけれども、地位協定の第三条の第一項には「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」云々、こういう規定があるわけでございます。
  467. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、三月七日の沖特委でもこの問題を一応尋ねたんですが、そのときに、これは問題がある、調査をするということだったんですが、その調査の結果はどうなったか、明らかにしてもらいたい。
  468. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先般御指摘がありましたキャンプ桑江内におきまする自動車の販売の問題につきまして調べました結果は、次のとおりりでございます。  キャンプ桑江の中で自動車販売を行なっておりますのはコーラル・アイル・モーターズという会社でございまするが、このコーラル・アイル・モーターズはフォード系の代理店で、陸軍及び空軍のPXの委託を受けてキャンプ桑江内のPXに展示場並びに事務所等を設けているものであります。これらキャンプ桑江内の事務所におきましては、地位協定に該当するもののみ、すなわち米軍人、軍属並びにその家族、これのみを対象に米本国で引き渡す新車の販売契約業務に従事して知り、このキャンプ内に現に展示されておりまする新車は見本である、これら代理店のPXを通じて施設区域内で行なっておる自動車販売の活動は、いま申し上げましたように、地位協定に該当するもののみを対象とする自動車の予約販売契約の締結でありまして、PXの委託を受けて行なっているものでありますが、こういう形式における基地内における営業は、いわゆる特免業者という形で各種日本人業者にも認められているところでありまして、地位協定上特に問題があるとは考えて宏らないわけであります。
  469. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは重ねて聞きますが、矛の販売者は免税かどうか、それから、その地元自治体へ税金を納めておるかどうか、その実情はどうなっておるか、お聞きしたい。
  470. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) ただいま御説明いたしましたコーラル・アイル・モーターズ・カンパニーが現実に税金を納めているかどうかにつきましては、現在、実態を調査中でございまするけれども日本の税法上、課税されるべき所得を現に得ているという場合には当然課税されるべきものであると、こういうふうに考えております。
  471. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その調査の結果は、まだはっきりしないというんですね。
  472. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 現在、調査中でございます。
  473. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 問題は、その販売所が沖繩内では販売しないで、そこでは予約をして、そして現品はその軍人、軍属から注文を受けたら、米国に帰ってから受け取るシステムになっておるようですね。どうですか。
  474. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 展示場に新車の見本を展示いたしまして、将来、米本土へ帰って新車を購入する希望を有しておりまする地位協定該当者に対しまして、新車の予約販売事務を扱っているものであります。
  475. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 で、問題は、その軍人、軍属への福利厚生施設や物品の提供に便宜がはかられておったとしても、それはあくまでも日本国内で生活をしておるという、その限定においてそれが適用されるべきものだと、こう思う。また、特免業の範囲も、私はそのように限定さるべきはずだと思いますが、どうですか。
  476. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 特免業者の範囲あるいは仕事の内容、これは多岐にわたっておりまするけれども、現に地位協定の該当者として施設区域内の施設を使っておりまする米側の軍人、軍属並びにその家族に対しまして、当該の会社がPXの委託を受けまして施設区域内の施設を使いまして新車の予約販売をいたしているということでございまして、その限りにおきまして、地位協定上、特にこれを問題とするには当たらないというのが私どもの考えでございます。
  477. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうもその辺に、結局、この法はどこの側に立って解釈するのかというところに姿勢の問題が問われなければいかぬと思うのですが、一体、車を取り次ぎ販売する商行為まで地位協定は認めておるのかどうか。また、何でも販売できるという、こういう解釈に立つべきであるのか、そこにはおのずと限界がなければいかぬと思うのです。いかがです。
  478. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 地位協定の第十五条にはPXに関する規定がございまして、合衆国の軍当局が公認し、かつ、規制するPXその他の施設が施設区域を使うことができると、こういうふうに規定されているわけでございまして、キャンプ桑江内の当該自動車販売の委託事務は、十五条に該当いたしまする米軍のPXの委託を受けて、先ほど来御説明しているような事務をとっているものである、こういうふうに御承知願いたいのであります。
  479. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 こういう実情ですよ。やたらにこうして広々と平地にとって、村民は僻地に押し込めて、こうして二十数年も苦悩さしてきた。一方では、このような状況で車販売店を広々とっておるということも、これは人道上も許せないことなんですが、ここに問題があると言いますのは、昭和二十九年一年二十日の行政処分取り消し請求事件、いわゆる安保の行政協定に——地位協定じゃなくして、行政協定に基、ついた中で起こった事件ですが、その判決にこういうことがある。「重ねていうが、軍人にも娯楽乃至慰安は必要である。そして合衆国の軍隊の駐留を許容する以上、その娯楽乃至慰安の施設を好意的に供与することは、日本政府の措置として望ましいことである。しかし、それはどこまでも、合衆国に対する日本国の対外的責任の問題に属する。このことのために、日本国内において、特別措置法をその目的を逸脱して適用し、日本国民のぎせいにおいて強制的な使用を甘受させることを正当化することばできない。日本政府としては、よろしく、日本国民との間の自由にして任意な契約によって、右の対外的責任を果すべきである。」という判決が出ております。この例からしましても、私は、道義的、人道的立場からもこれは問題がある、このように解するが、いかがですか。
  480. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど私は、コーラル・アイル・モーターズがキャンプ桑江内の施設を使って新車の委託展示を行ない、これに基づいて米軍の地位協定該当者のみを対象として、新車の予約販売事務を扱っていることは、地位協定に関する限り特に問題とすることはないと、こういうふうに御答弁申し上げました。しかしながら、先ほど来外務大臣が御答弁申し上げておりますように、北谷村の村民の方々のいろいろな御事情につきましては、私どもも先般来、具体的、直接お話を伺っておりますので、これからの問題といたしまして、施設区域の整理統合の際に、十分念頭に置いてまいりたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  481. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この問題につきましては、また後日論議するといたしまして、同じ北谷村内にあるキャンプ・ズケラン内の射撃訓練場の問題、これがまた問題であります。この米軍が、日本国内で軍事演習、訓練を行なう場合、どのような安全注意義務が課せられておるか、公安委員長にお尋ねしたい。
  482. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) いま御指摘の、基地内における射撃場——射撃演習場ですね、その安全については、これは安保条約に基づく地位協定によって貸与しておる基地内のことでございまするから、直接いま、私ども公安委員会が関与するところではございません。しかし、射撃のときには数日前に告示をし、見張り所があって見張りをして、危険を防止しておるというふうに聞いております。
  483. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 地位協定に基づくとおっしゃいましても、第三条の三項と十六条にちゃんと明記されておるはずです。それに基づいて行なわれないことは、私は大いに警戒を要する、こういうことで、これを問題にしておるわけですが、民間の場合、指定射撃場の設置基準及び訓練の規制措置は、一体どうなっておりますか。
  484. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 銃砲で射撃を行なういわゆる射撃場につきましては、銃砲刀剣類所持等取締法第九条の二、これに規定をされております。これは事務的に及びますが、ここに資料がありまするから、時間の節約上、私から申し上げます。  都道府県の公安委員会は、射撃を行なう施設のうち、その位置及び構造設備がその射撃を行なう銃砲の種類ごとに総理府令で定める基準に適合しておるか、また、その施設を管理する者及びその管理の方法が適合するもの、という基準で、申請があれば指定することになっております。  で、公安委員会が指定するための基準は、射撃に伴う危害を防止するための総理府令、これは指定射撃場の指定に関する総理府令、こうなっておりまするが、それに基づきまして、まず位置に関する基準、構造設備の基準、管理者の基準、管理方法の基準が定められております。で、これらの基準に合致しておりまする場合は指定することとなっており、基準に適合しなくなった場合、これは指定を解除すると。なお、射撃場の位置につきましては、危害予防及び周囲の静穏を保持するために、射撃場の種類によっては、学校、病院、人家から一定の距離をとる、また相当危険区域の敷地を保持していなければならないと、こういうことに規定をいたしております。
  485. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま述べられた点からしましても、一つには安全考慮の義務、二つは国内法の尊重、こういう立場からも危険きわまりないものであるということは、この射撃場は、国道五十八号線からこの射台がわずか四十メートルしか離れていない。射撃場の両側は簡単に盛り土がしてあるだけで露天なんです。しかも、その流れだまが来て、二、三年前に一人死者が出たという危険きわまりないものである、こういう実情。これは通るたびごとに、見ておってはらはらするわけなんです。しかも、もう五十八号線の目抜きの通りのすぐ近くであります。国体も迫った、海洋博も迫ったと、まさにメインストリートである。そのような情勢、状況の中でありますので、どうぞ、これを早急に撤去させる、このことを、ひとつ外務大臣、申し入れてもらいたいんですが、いかがですか。
  486. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いま御指摘の射撃場は、小銃等の小火器用のものであると承知しております。  御指摘のように、道路沿いに設けられておりますけれども、射撃の方向は海のほうにとってあり、流弾または跳弾の保安のための水域が扇形に設定されておると聞いております。また、使用時間を定めて、射場を使用する場合、事前に現地の米軍から那覇防衛施設局に通報が行なわれ、同局から地元関係者に通知しており、米軍は一定の場所に危険を示す赤色の標識を立てて、やぐらの上から歩哨が立って見張るという保安対策を講じておると承っております。  本射場につきましては、北谷村全体の米軍施設の検討の一環として検討してまいるべきものと思うんでありまして、これだけをいま取りはずして、返還の要求ということが、公共の安全の上からいって直ちにやるかと問われるならば、公共の安全につきましては、いま申しましたとおり、妥当な配慮が行なわれておるので、特に問題はないと思いますけれども、先ほどもるる申し上げましたとおり、北谷村という特異な環境全体が問題なんでございまして、この全体の米軍施設の整理縮小という検討問題の一環として検討さしていただきたいと思います。
  487. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま一括して検討されると、前向きの御発言がございましたが、さらに時期的にどうですか。この四月に持たれる安保条約運用協議会の中へそれを持ち込んでいただいて、そして、その次の日米安保協議委員会では間違いなく提案すると、こういう確約ができませんか。
  488. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 一応、四月十七日、安保運用協議会というものを持って、これの運営のやり方——議題をどうするか、運営のしかたをどうするか、それから今後の仕事の段取りにつきまして相談をいたしたいと思っておるわけでございます。したがって、この段階で具体的な個所に触れ得るかというと、まだそこまでいかぬと思いますけれども、るる御指摘がございましたとおり、沖繩の基地の問題、とりわけ北谷村の場合、これは私どももよく承知いたしておりますので、特に力点を置いて考えてまいらなけりゃならないものであると心得て、そういった日米協議に臨んでまいりたいと思います。
  489. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣、念を押すようですが、追い詰められた沖繩の立場からしますと、もう一刻も猶予できない。同情するとか、よく理解しておるとか、こういうことはよく聞きますけれども、前向きで、いま即戦即決でやらなければならない幾多の問題が沖繩には続出しておる。そのようなことに対しても、一般論で片づけられますと、もはや私は、国には政治はない、政府には外交はない、こう断じたくなるのでありますが、いかがですか。
  490. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) そう気の早いことをおっしゃっていただきたくないんでございます。私どもは軽々しい約束はしてはいかぬと思うのでございまして、鋭意検討いたしまして、実現をしたいために申し上げておるわけでございまして、いま北谷村の方々に淡い期待を持たせるなんということは、私は決していいことではないと思うんでございまして、いましばらく、私どものやり方につきまして時間をかしていただきたいと思います。
  491. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 淡い期待じゃなく、ほんとうに前向きで、事実を示していただきたい。強く要望します。  さらに同じく、北谷村に、砂辺の区の移転要求問題がいま持ち上がっておる。これは防衛施設庁長官ですか、あるいは外務大臣ですか、この北谷村砂辺区民と、嘉手納基地からの危険、防音対策についての話し合いがなされておるということを聞いておりますが、その話し合いの内容を知らしてもらいたい。
  492. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 砂辺の問題でございますが、これは事実はこういうことでございます。  砂辺地区の代表から、那覇の防衛施設局に対して、学習等共同施設の建設助成について要望がございました。ところが、北谷村のほうで御希望になっている建設予定地が、嘉手納飛行場の進入転移表面下五百メートルから一千メートル付近の地域にあるということでございましたので、どうせ  つくるならば、そういう進入表面下でないほうがいいのではなかろうか、ほかに適当な土地はないのだろうかと、こういうことでお話を申し上げた。そのときに、ちょうど進入転移表面下の地区というものは、周辺整備法五条によって移転希望者に対しては移転補償、あるいは用地買い上げを行なうことができるという、そういう地域になってくる、こういうことを御説明いたしましたところが、砂辺の地区の代表者から、それは初耳だから関係住民によく説明してほしいと、こういうお話がございました。それで、三月の二十日に、砂辺の公民館におきまして、関係者約二十名に対して、この周辺整備法五条の問題について説明をいたした。ところが、これがちょっと取り違えられまして、いかにもこの五百メートルから千メートルの地域というものは強制的に立ちのかされるんだというふうに受け取られた、誤り伝えられたというのが実際でございます。  で、御承知のように、この集団移転の問題につきましては、これはあくまで希望者に対して、そういう御希望があった場合に、移転希望があった方に対して移転補償あるいは用地の買い上げを行なうという趣旨のものでございまして、これは決して強制的に立ちのかせる云々という話ではございません。
  493. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 まあ自発的に移転するものは別といたしまして、居残りたいという者が多数のように聞いておりますが、その居残る者に対してはどういう処置をなさるおつもりですか。
  494. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) そこに残られる方々に対しては、これは周辺整備法によります防音工事あるいはその他の周辺対策というものを、周辺整備事業というものを実施して、できるだけその障害の軽減につとめてまいると、こういうことに相なろうかと思います。で、今度も、個人防音につきまして法の改正をお願いしているわけでございますけれども、そういう趣旨のものでございます。
  495. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、念を押すようでありますが、立ちのかせることが目的じゃないんですね。
  496. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 強制的に立ちのかす、そういう種類のものではございません。
  497. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは、よくその地元民の意思を尊重して、どんなことがあっても強制的な立ちのきの形でこれが行なわれるということは、これは基地の拡張にしかなりませんので、これをひとつ強く、その点を警戒しておきます。よろしいですね、いかがですか。
  498. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 従来からも、御趣旨のように指導してまいっております。
  499. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは、時間も参りましたので、最後に文部大臣にお尋ねします。文部大臣にお聞きしますが、復帰に伴って、沖繩の教育、政治、経済、全般に大きな変動を来たしておるわけですが、特に教育面から、沖繩に関する文部省の教育指導がどのように変わってきたか、それを承りたいと思います。
  500. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 教育の内容につきましては、復帰前から、本土の要領に基づいて、沖繩において立法措置も講じていただいてまいってきておるわけでございます。現在は、いろいろな施設につきまして、さらに一そう本土並みに持っていく。それにつきましては、本土におきまする国の援助よりも沖繩につきましては特に高めるという方向で努力をしているわけでございます。  一例を公立文教施設について申し上げますと、沖繩の学校施設の基準面積に対しまする達成率が、復帰時で本土は八九・七%に対しまして六五%、屋内運動場が、本土は七三・三%に対しまして二四・三%ということでございますので、五カ年間で本土水準まで引き上げたい。そういうことで、国の負担率も、特に小中学校につきましては十分の九という高率負担にしているわけでございまして、さらに本年度におきましては、前年度の四〇%増しで三十九億円を計上しているわけでございます。残りの地元負担につきましても、地方債で七五%は充足する。その地方債につきましても、元利償還金の六〇%は地方交付税法でめんどうを見ていくという仕組みをとっているわけでございます。その他の施設につきましては、プールの問題にしましても、あるいは環境衛生施設の問題にしましても、本土よりも特に率を高めているわけでございます。  なお、具体的な問題につきまして何かございましたら、お答えさしていただきます。
  501. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 教育指導上の面から、何か措置をとられましたでしょうか。
  502. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 特に、そういう意味におきましては、資質の向上ということで、教職員の研修の充実をはかるということにおきまして、復帰前に引き続いて沖繩の教員や指導主事の本土の研修の受け入れ、さらにまた、沖繩におきまする教員研修への講師の派遣など、教職員の資質と指導力の向上につとめているわけでございます。また、学習指導上の諸問題について研究を進めるための、研究指定校の設置、沖繩における各種講習会の実施など、教育水準の向上にもいろいろと注意を払っているところでございます。今後、さらにこれらの施策を進めまして、沖繩における児童生徒の学力向上のため、指導、援助を積極的に推進していきたいと、かように考えておるところでございます。
  503. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私がそれを聞きますのは、復帰前と復帰後とは沖繩の情勢が現地の沖繩自体においても非常に変わっておる。さらに本土の底辺の広がりの中で沖繩がクローズアップされた。本土の教育の中でも大きな変化が来たわけであります。そういうときに、文部指導行政の立場から、何かこうきめこまかい配慮が、現地沖繩に対しても、あるいは本土に対しても、本土の各学校に対しても、あるいは教育機関に対しても何か手が打たれてしかるべきだと思うんですが、そういうことはいままで何もなしておられませんか。
  504. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 変革期における教育のあり力につきまして特に困難な問題がございますし、日本全体がそうでございますが、特に沖繩にそういう切実な問題がたくさんあろうかと思います。そういうことで、先ほど申し上げましたようなことを従来からやっているわけでございますけれども、これをさらに積極的に進めていかなきゃならないと思います。同時に、何といいましても教員の資質を向上させる、これが根本的なものだと思うものでございますから、今回、沖繩だけというわけじゃございませんけれども、特に処遇の点について抜本的な改善をはかりたい、そういう意味予算措置もさしていただきましたし、またそういう意味の、一般の公務員よりも教員は優遇されなきゃならないという趣旨の立法も国会に提案さしていただいているところでございます。  なお、具体的にお気づきになります点お教えをいただきながら、積極的に沖繩の問題については努力を尽くさしていただきたいと、かように考えます。
  505. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ具体的に申し上げまするが、実は、復帰前は、沖繩の子供たちが使っておった地図、掛け図、教科書の中では沖繩が差別されておった、いろいろな形で。それが復帰の時点でそのまま持ち込まれたわけなんです。そのことがまず重大な問題の一つであるということですね。教科書、地図からも意図的に削除されたり、それから間違いだらけが教科書の中にもあったり、このことが、復帰はしたけれども、そのまま放置されておったんじゃこれはたいへんなことになるわけなんです。そのことに対して検討されたかどうかをお聞きしたい。
  506. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 私は具体的には承知しておりませんでしたけれども、事務当局は理解しておるんじゃないかと思います。またそういう意味におきましては、義務教育諸学校の教材の整備を新しい角度からしていかなきゃならないんじゃないか、かように考えるわけでございます。同時にまた、この教材の整備におきましても、特に五十一年度までの五カ年間は充実するという意味で、国庫負担率につきまして、本土の場合は二分の一国庫負担でございますけれども、沖繩の場合には四分の三負担ということにしているわけでございます。こういう教材整備の充実等も通じまして、いま御指摘になりましたようなものの改善がはかられますように留意していきたい、かように考えるわけでございまして、御指摘いただきましたので、私も注意してまいりたいと思います。
  507. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 財政負担のことにつきましては、それは徐々にならしておられることもよく理解しております。問題は、毎日毎日の教壇実践の中で教えら託ていく教材、その教材の中で沖繩が差別されている。地図の上では、最近は、沖繩側からの強い要望もありまして色別はないと思うんです。ところが社会科の教科書の中で、一例を言いますと、全然沖繩が触れられておらない。触れられておっても一、二行申しわけ的にある、こういう状態なんですね。そういう状態で、本土の各学校でもそれを教えられておるわけなんです。このことがまず改められなければいけない。このことを私は具体的に申し上げるわけですが、どうですか。
  508. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 沖繩復帰後の教科書の検定につきましては、沖繩がそういう地位において本土の教科書において取り上げられていると思いますし、また沖繩だけが別な教科書じゃなくて、日本全体に通じます教科書の検定、検定された教科書を使うということになっていることは申し上げるまでもないわけでございます。もう一ぺん、教科書の検定の際にどういう留意をしているか、抜かりはないと思うんでございますけれども、いまおっしゃることでございますので、あるいは不十分な面もあるかもしれません。さらに教科書検定のあり方として、沖繩の問題が十分に取り上げられているかどうか、また差別的な扱いになっているような面が残っているかどうかよく調べていきたい。そしてそういうことのないように万全を期していきたいと、かように考えます。
  509. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が聞くところによりますと、四十七学年度は文部省とされては何ら各学校に手を打ってないが、復帰後、教科書出版のもとであるところの各会社が自主的に内容改訂についてのパンフレットを各都道府県教育委員、各学校、各学級あてに送付しておると、こういうことを聞いておりますが、御存じですか。
  510. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 私は承知しておりませんでした。教科書検定の際には、沖繩復帰というような場合には、こういうような点は留意すべきだと、また事実の間違いはこういう点は正すべきだということは、参考にすでに示しておるようでございます。復帰時にどういうことを示したか承知しておりませんけれども、教科書出版社がいまお話しのようなことをしたのは私承知しておりませんので、調べさしていただきたいと思います。
  511. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうですか。
  512. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 初中局長が参っておりますので、そちらからお答えいたします。
  513. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 御案内のとおり、沖繩の教育につきましては、これは復帰前から日本の本土の教育にならってやるんだと、教育だけは日本の教育をしたいというふうな強い希望がございまして教育が行なわれてきたということは、先生も御案内のとおりでございます。復帰の時点におきまして、実は、小学校が四十六年度、それから中学校が四十七年度に新しい教科書ができましたために、その内容につきまして間に合わない部分がございまして、その点につきましては、先ほど先生からも御指摘がございましたように、教科書会社のほうから訂正をいたしましたものが各学校に配付をされたと、そういう事実はございます。今後改訂をいたします場合には、そういう点を十分考えまして、私どもも検定を進めたいというふうに考えておるわけでございます。
  514. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、その改訂の時期までは何もなさらないということなんですか。
  515. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) もちろん会社のほうから正誤の申し出がございました場合には——教科書の内容を改めるという正誤でございますね、それがございました場合には、私どものほうはそれを受け付けて、中身を訂正したいというふうに考えておるわけでございます。
  516. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この沖繩の取り扱いにつきましては、非常に復帰前いろんな形で差別されてきておる事実があるわけなんですね、その教材の内容の上からも、取り扱いの上からも。それを復帰の時点で、沖繩だけの問題でなく、そのまま全国の児童生徒の中でまた沖繩が教えられておる、こういうことを思いますときに、これは実に重大な問題である。こういうわけで私は、あえて根掘り葉掘り、この沖繩の問題は重大な問題である、こういうことを思うがゆえに、教科書改訂はあと二、三年後ですけれども、それまでに打つべき暫定的な措置を誤りのないように、機を逸せずに手を打ってもらいたい、こういうことを強く要望し、最後に大臣に申し上げたい。  大臣、復帰前の日本の教育界の底辺、沖繩を教える教師は偏向教師である……
  517. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 喜屋武君、時間が一分経過しましたから……。
  518. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 沖繩を教えることは偏向教育である、こういう受けとめ方で、沖繩に対しては黙して語らず、沖繩から来た教師たちが本土の学校に行くと、そこの教育委員やあるいはPTAの方は沖繩の先生方と話し合ってはいけない、こういう事実がある。また沖繩と……
  519. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 喜屋武君、簡潔に願います。
  520. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 はい。  時間が参りましたので、私は最後に申し上げたいことは、こういう暗い日本の教育をだれがそうさしたかということをつくづく思いますときに、大臣、対話なき社会は暗黒であるといいますが、日教組と胸襟を開いて対話をしていくという、この姿勢がありませんかどうか。
  521. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 私は、常々、教育の基本は教師にあると、こう考えておりますだけに、先生方と文部省ともに力を合わせていかなければならない、こうも思っておるわけであります。したがってまた先生方の多くの団体とも積極的に話し合っていく、力を合わせ合っていく、そういうあり方をぜひ確立していきたいものだと、かように存じておるわけであります。
  522. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これにて喜屋武君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  523. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) この際、齋藤厚生大臣から発言を求められております。これを許します。齋藤厚生大臣。
  524. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 昨日、上田議員より、天然痘発生に伴い、第三次感染防止のために、特に逓信病院職員について防疫体制を強化するようにとの御意見もあり、さらに本日、同病院の医師、看護婦につき、なお通常勤務を続けておる旨の指摘もありましたので、郵政当局とも相談の結果、東京逓信病院職員で患者に接触した者五十二名については、直ちに通常勤務をはずし、十四日まで自宅において待機し、なおまた、右職員中、濃厚に接触したと思われる十五名については、同病院内またはしかるべき場所に待機するよう、東京都衛生局を通じ、指示することにいたしました。     —————————————
  525. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 以上をもちまして、一般質疑は全部終了いたしました。  明五日から九日までの四日間、分科会の審査を行ないます。  次回は公報をもってお知せいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十三分散会