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政府委員(山口衛一君) 午前中、
小林先生の御質問に対しまして、たまたま資料を持ち合わせませんで、御審議を中断いたしまして申しわけございませんでした。
先生の御質疑に対しましてお答え申し上げますが、先般の御質疑は、装備の生産及び開発に関する基本方針及び防衛産業の整備方針及び研究開発の振興方針につきまして、その方針の趣旨に沿って説明をせよという御質疑かと解釈いたしまして、それに基づきまして御説明を申し上げたいと思います。
最初に、装備の生産開発に関する基本方針についてでございますが、これは防衛生産及び研究開発に関しまして、両者に通じます基本的、
一般的な方針をここに出したものでございまして、特にこの方針に基づきまして、現実の政策は御
承知のとおり、各防衛力の整備
計画及び年度ごとの業務
計画及び予算に基づきまして、具体的な
計画実施をいたしておるわけでございます。
この方針の中で、二、三、要点がございますので申し上げますが、第一の生産体制の整備につきましては、わが国の工業力が漸次増大してまいるに従いまして、この工業力を
中心として、これをバックに防衛力に必要な装備を充実させたいというきわめて基本的な方針でございます。
その次に、自主的な開発、国産を推進するとございますが、この点につきましては午前中御説明申し上げましたとおり、それ以前の、四十二年度以前の段階におきまして、わが国の装備の大半がおもにアメリカからの供与品、貸与品によって占められておった
関係から、これがこれから徐々に脱却いたしまして、ようやくわが国の技術水準及び工業力によりまして、自前の防衛装備ができるようになったというような背景に基づきまして、当然に自国の国情に適しましたものを整えるべきであるという方針を出したものでございます。
第三の点は、わが国には、戦前と違いまして現在国に兵器廠というようなものは所有しておりませんので、研究及び開発あるいは生産はどうしても民間企業というものを
中心とせざるを得ないということでございまして、民間企業の開発力、技術力を活用するということでございます。
第四には、この生産開発を長期的な観点から効率的、安定的かつ経済的にこれを実施してまいりたいという方針を出した次第でございまして、これは当然にその背後には競争原理を導入しまして、適正な競争の上に立った適正な価格によりまして調達をするという原則を述べたものでございます。これが、あとの二つの方針の上に立ちますきわめて基本的な
一般的な方針と
考えております。
その次に、防衛産業の整備方針でございますが、これは産業政策的な企業の整備方針というようなものでは、実は決してございませんで、防衛庁が装備の調達をするに際しまして、企業と接触をするに際しての整備方針というふうに
考えてつくられたものでございます。
この中で、基本的な点は三つばかりございまして、第一に、競争原理を導入するということを第一にうたい上げております。これはやはり限られた予算の中で最も効率的な装備を調整するという点からいいますと、どうしても競争原理というものを強く導入しなければならないという点が
一つございます。
その次に、またこれとやや相反する実情でございまするが、たとえば航空機、武器等は、御
承知のように、航空機製造事業法あるいは武器等製造法によります制約が法律上ございます。それからまた、技術的な技術提携、外国企業との技術提携というような面からの制約もございます。そのような点から、どうしても企業がいわゆる
一般競争入札という形をとりにくい場合がございまして、そこには今度は企業の数が限定されてくるというような特殊性がございます。したがいまして、この競争原理の導入と企業少数化というものをどのようにバランスをとっていくかというような方針を実はここに出したわけでございます。
第二の点は、適正価格による調達という点でございまして、これは私
どもが予算の
範囲をできるだけ少なくいたしまして、その中で最も効率的な調達をしようという方針を強く打ち出そうという趣旨でございます。
その次に、
規模の点がございますが、これは私
どもは一朝有事の際といいますか、有事の際を予定して、いわゆる備蓄型の生産体制をとろうという趣旨ではございませんので、そのような、ただ生産能力を拡大するということではなくて、適正なリードタイムというものを
考えまして、工業力を顕在化できる場合には顕在化し得るような技能水準を維持しておくというような趣旨でここに出したわけでございます。
第四は、武器の輸出でございますが、御
承知のとおり、武器輸出三原則に従いまして、わが国としましては、現状のところは武器輸出は
考えられないところでございます。
第五は、秘密保持の問題でございますが、これは企業におきます、企業間のいろいろとライセンス生産でありますとか、このような秘密保持の原則を出したものでございます。
その次が、防御生産基盤の確立とありますが、これは集中化をできるだけ防ごうと、特定企業への集中化を防ごうということで、防衛生産が
一般的に広い
範囲でその基盤から調達できるような基礎をつくっていきたいという趣旨を出したものでございます。
最後に、自国産業による開発、生産という点がございます。この点は、ここに最後に掲げてありますとおり、「今後の装備の開発及び生産は、原則として自国産業に限定するものとする。」というふうに書いてございまして、これは何かこう字面からいいますと国産一点ばりというように聞こえますが、実は趣旨は必ずしもそうではございませんで、開発と生産というものを外国企業に最初からまるまるまかしてしまうのがいいのかどうかという点からいいますと、やはり実情の知れない他国企業に開発から生産まで全部お願いしまして、それを向こうのある言い値で買ってくるということは、必ずしも私
どもとしましては適切ではないと
考えておりまして、開発、生産というものをなるべく自国産業に行なわせたいということは、ある程度やむを得ない方針であろうかと
考えております。
それから最後に、研究開発の振興方針でございますが、これは、いま申し上げました二つの基本方針を受けまして、研究開発をどのように今後持っていくかという基本的な方針でございまして、現在でも、この方針は今後も堅持したいというふうに
考えております。特に、午前中の先生の御質疑の中で私
どもが気がつきました開発成果の国への帰属という点がございます。これは、この当時から私
どもは実は
考えておったのでございますけれ
ども、必ずしも、運用面におきまして十分な
措置がとられなかったために、いままでのところでは国への帰属分がほとんどない状況でございます。したがいまして、私
どもは、今後原則として国への帰属をさせる方向で、今後の訓令ないし運用を改善いたしてまいりたいというふうに
考えております。
この研究開発の基本方針は四つに集約できますが、第一は、長期的な研究開発
計画をつくるという点が第一点でございます。
第二点は、研究開発におきましても競争原理を導入させたいというのが第二点の趣旨でございます。
第三点は、価格評価の適正をばかろうという点でございます。つまり、幾ら金がかかっても研究開発が進めばいいというものではございませんので、研究開発の各段階ごとに価格評価、費用対効果というもののチェックを今後適正にやってまいりたいというのが第三の点でございます。
第四の点は、研究体制の整備充実点でございまして、やはりまだ防衛庁にあります技術研究本部その他におきましての必ずしも研究体制は十分とは言い得ない状況でありまして、今後国が試験研究というものをできるだけ自力でやるような体制を整備してまいりたい。
以上申し上げたような趣旨で、この研究開発振興方針がつくられているというふうに
考えております。