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国務大臣(
齋藤邦吉君) 昨日、
真性天然痘患者が発生いたしましたので、
真性痘瘡決定までの経過並びに
防疫措置等につきまして申し上げたいと思います。
真性療瘡決定になりました
患者は、塚原さんと申しまして、
郵政省の
電波監理局の
課長補佐の方でございます。こうした
患者につきましては、一切の
行動の
追跡をすることが
対策を講じます上の前提でございますので、
患者決定に至るまでの
本人の
行動並びに
患者決定のいきさつを申し上げたいと思います。
本人は、三月十八日、
バングラデシュから
東京の
国際空港に到着いたしました。十八日に帰国いたしまして、二十日
郵政省の
公舎に入りまして、二十日に
奥さんと十カ月の
子供さんが帰ってまいりまして、二十日は
公舎で
生活をいたしました。二十一日、休日でございますので、
公舎で
生活をいたしております。二十二日は
役所に出まして
執務をいたしております。二十三日発病をいたしたのでございますが、
役所において
執務をし、同日
青島議員の質問があるということで、午後五時過ぎ
局長の車に乗りまして、随行として当
予算委員会に参りました。
予算委員会に入りましたのは、入り口から入りまして、そちらのところで、
政府委員席のところで立っておるわけでございます。なお、
本人は
郵政省の
政府委員室には入っておりません。
郵政省の
政府委員室には入らないで、
局長のお供をして
国会に入り、エレベーターで上がってまいりまして、当
委員会に入ったわけでございます。
なお、そのときの症状につきまして医師を通して
追跡いたしますると
——御承知のように、
天然痘は空気伝染ではございませんで、
接触感染でございます。
本人は、そこに立っておりまするときには一切のせきもなかった、人との話し合いもしなかったということを、医者の
検診によって
追跡をいたしてございます。しかし、その当日は三十八度の熱があったわけでございます。で、二十四日、二十五日、
自宅において
発熱——三十九度程度の熱でございましたが、
自宅におり、二十六日
逓信病院に入院いたしたのでございますが、当日は発しんをいたしまして、熱は四十度でございます。二十七日、二十八日、三十一日と、こう追ったわけでございますが、二十七日はやはり同じように三十九度、二十八日、二十九日は解熱して熱が下がりまして、かゆみを
覚えるという
状況になりましたが、三十一日に至りまして、
痘瘡の疑いがあるということで、
本人を直ちに
都立荏原病院に隔離いたしました。
なお、三十一日、わが国の
天然痘の
専門家である
上田先生、
平石先生、
今川先生、三人の方に
検診をお願いをいたしましたところ、
臨床診断においては間違いなく
真性であろうという判断をいたされたのでありますが、
病源体について
電子顕微鏡の
決定を待ってから
真性決定をしようということになりまして、検体について
国立予防衛生研究所へ送付いたしました結果、
臨床診断並びに検査の結果、ともに相まって
真性の
天然痘と
決定をいたしたような次第でございます。
奥さんも、子
どもさんも、
本人も全部隔離をいたしておるわけでございます。
そこで、三月三十一日の午後からこういう事態に変わり、昨日は
真性天然痘と
決定いたしましたので、国といたしましては、
東京都の衛生局と連絡をとりながら、
痘瘡防疫対策委員会を設置いたしますると同時に、この三月十八日に
バングラデシュから帰ってまいりましたときの
航空機同乗者、これの全国的な
防疫体制をしくことにいたしまして、この
同乗者は十五都道府県にまたがり、
乗客は百三十四人、
乗務員十三人ということでございますので、三十一日の晩、全国的な
防疫体制をしくことにいたしまして、
検病調査並びに
家族に対する
臨時予防接種の実施をいたしておりますが、ただいまの時点においては、
乗客並びに
乗務員については異状はございません。
なお、こういうふうに全国的な
防疫体制をしきますと同時に、都内におきましては、先ほど申し上げましたように、
家族を隔離いたしますと同時に、
接触者の
調査をいたしまして、
宿舎等につきましては
予防接種の勧奨をいたしまして、
接触者に対しまして
宿舎を
中心に
予防接種をいたしますると同時に、
国会等におきましても必要に応じ
予防接種をする準備をととのえまして、
東京都に
痘苗九千人分を配付いたしまして、
郵政省に
痘苗二千人分、参議院に五百人分を配付いたしておるような次第でございます。念のために申しますと、
種痘ワクチンの保有は、三百万人分を現在において用意をいたしておるような次第でございます。
そこで、問題は、
本人を隔離いたしましたが、今後この
患者を
中心としての二次
感染患者が出るか出ないかということを非常に憂えておるものでございます。すなわち、二十六日、七日、八日
——三十一日
荏原病院に隔離するまでの数日間、
逓信病院に入っておるわけでございます。そこで、その治療に
当たりました
先生方、
看護婦さん、あるいは
一般病棟でございますから、よその
患者さん、そういう方に二次
感染を来たさないようにしようということが
一つの問題でございます。こういうことで、二次
感染を防止するために目下努力をいたしておりまして、この点が一番
心配の点でございます。それから
家族につきましても、生まれて十カ月未満という
子供さんはまだ
種痘をいたしておりませんために、これがどういうふうなことになるか、この点についても
心配をいたしておるわけでございますが、二次
患者が出ろといたしますれば、大体四月の三日から十四日間が一番危険な
期間になるわけでございまして、私
どもとしては、四月の三日から十四日、この
期間に二次
感染患者が出なければ一応これで全部終了するということになると思いますが、この点が一番要注意の
期間として厳重なる監視を続けてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
以上御報告申し上げます。
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