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国務大臣(櫻内義雄君)
お尋ねは、前段と後段と
二つでございますが、最初のほうの価格政策についての御批判がございました。これにつきましては、現在主たる農産物七割についてのいろいろな角度からの価格政策をとっておるわけでございますが、私はこれは不十分であるということに同感でございます。ただ、この価格政策をとるというゆえんのものは、言うまでもなく、国内農業の保護的な考え方もあり、ある程度の国内での供給というものをはからなければならない。で、現実には、従来の
経緯からいたしますると、消費者側の
立場から考えまするときに、ある程度の輸入による安い食糧の供給ということ、これも全然等閑視するわけにはいかない。でありまするから、私は、いま非常に情勢は変わっておるけれ
ども、なお、就任後に申し上げておることは、その点は、いまの開放経済下における日本農業のあり方というものについて、多少は弾力を持って考えていきたいということを申しておるわけでございまするが、しかし、国内でできるだけ食糧の安定的な供給を得るという必要性から見ますると、価格政策についての不十分さは私も認めるところでございまして、これは、何ぶんにも国の予算の全体の中における農業のほうへの配分を効率的に求めようという場合に、全体を見ておる大蔵省との間で、常にいろいろないきさつのあることは、
先生も御承知のところだと思うのであります。
それから後段のほうの農業基本法の関係でございますが、これもときおり、私、皆さんから御
質問を受けました。しかし私は、この基本法というのはちょうど憲法と同じようなことで、これがそのときどきの情勢に応じて手直しをしていくということではいけない。ほんとうに大局的に、あるいは根本的にもう直さなければならないというところに来ておれば別といたしまして、先ほ
ども触れましたように、こういう基本法をもとにして各種の施策が講ぜられておる、あるいは見通しも立てる、あるいは計画性をもって施策をやるということでございまするので、基本法以外のところで十分見ていくのがいいのではないかと、そういう意味合いから、いろいろな情勢を最も最近に取り入れた昨年の十月の試案というものを重要視しながら、しかもその試案のつくられた当時の状況からすると、去年のような国際食糧の需給逼迫はここには反映していない。その点は少し考えていかなければならないというようなことを申し上げておるわけでございます。
なお、それに伴っての、これからの米に対しての施策について御
見解を述べられました。いまの異常天候というものがどのように長期的に見通されるのか、昨年の場合、またことしになってからの国際的な気象状況というものからすると、相当心配すべき要素があると思います。また、日本の場合におきましても、ことしのような暖冬状況というものが、はたして農作物に影響がいいのか悪いのか、これは当然いままで行なわれてきた農業の上におきましては、これだけの天候の状況の違うということは、秋あるいは来年というふうに、いろいろと影響は私はないとは言い切れないというようなことを考えていきまするときに、この米の問題につきましても、日本におきましては一生懸命やれば増産のできるものである、しかも、一方においてアジア諸地域の米の最も必要な地域で米不足であるというようなことを考えますると、いままでの減反政策がいいか悪いかということについては、私は
検討を要すると思うのであります。ただ、四十六年の二月に閣議の決定をいたしまして、そして四十六、四十七、四十八と減反政策をとってまいったのでありまするが、しかし、ことしで
一つの区切りをしておると思うんです。休耕奨励金はことしで打ち切って、あと四十九、五十というところまでが四十六年の閣議の決定でございまするので、やはりこれは当初考えたときにもなかなか味わいある配慮がしてあるなということで、本年はこの計画に基づいての転作奨励というものを十分いたし、それを定着せしめつつ、同時に私は、しばしば申し上げるように、一方において高能率農業をやろう、適地適作をやろうというのであるから、そのことは米の政策の上においても十分反映しながら、もう
一つこの異常天候などの諸要素は別途考慮をいたしたいといういま考えに立っておるわけでございます。