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国務大臣(
田中角榮君)
沖繩は長いこと異
民族統治のもとにありましたので、本土との間には経済的格差があるわけでございまして、十年間で本土と
沖繩との格差をなくしようということを、まず目標にいたしておるわけでございます。しかし、これを具体的にどうするかということになりますと、特殊な亜熱帯地域でございますし、それから二次産業技術を上げるとしても、海洋の汚染というような問題に対しては本土以上に考えなければならないところでもございます。しかも、一次産業技術が非常に高いのが
沖繩の特徴でございますが、しかし、これをすぐ二次、三次に移動させるというような
考え方で
沖繩の
開発計画がつくれないわけでございます。とにかく、東南アジア地域等の連絡基地としての役目も十分考えられるわけでございますし、また観光地帯としての
沖繩も考えられるわけでありますが、思いつきとか常識的な考えだけではなく、
沖繩というものの自然を守りながら、特殊性を守りながら、理想の達成に向かわなければならないというために、北海道のように積み重ねが非常にたくさんありまして、この計画を直ちに政府計画に移せるような状態に
沖繩がないということだけは事実でございます。そういう
意味で、こまかい数字を書かなかったことは、それだけに
沖繩県民の盛り上がり、
沖繩の特殊性ということを尊重しながら、合理的、理想的なものをつくらなければならないという配慮のもとにつくられた基本計画であるという点も見のがせない事実であって、これもひとつ
理解いただきたいと思います。具体的には、やはり基地の問題でありますが、基地をなくするといっても、十年間で、なくできるわけありませんから、整理、縮小、合理化ということになるわけでございます。
それからもう一つ土地の問題は、今度御審議をいただいております法律ができれば、観光地として
開発をしようとして買ったものでも、知事が特定地域に指定すれば乱
開発は押えられるわけでありますし、これらの問題に対して緑地や自然は保全せられるわけでございます。そういう
意味で、できるだけすみやかに具体的な数字、あなたがお示しになった北海道
開発計画とひとしいもの、それ以上のものがつくられなければならないということで、政府も
努力を続けてまいりたいと、こう考えます。ただ、基地の問題は、全廃ということを前提にして組まれた
沖繩県の案なるもの、これは理想的であっても、実際基地が全廃できないということになれば、それは画餅に帰するわけでございます。
現実と理想をいかにマッチせしめるかということが真の
開発計画であろうと思います。その
意味で、基地の整理縮小に対しても、積極的に政府もいま日米間でいろいろな
努力を続けておるわけでございますし、可能な限り最大限の
沖繩開発計画、理想的な計画を推進してまいりたいと、こう考えます。