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国務大臣(
田中角榮君) 土地や株が値上がりをした
——株の値上がりをしたのは
日本列島改造論のせいではないと思いますが、いずれにしても、土地という名前が出るときには株という問題が出るわけです。そのぐらい土地と株というのは
関連があったわけであります。これはなぜか。これは企業の手持ち流動性が非常に高かった。土地と株においては
——株においては非常によくわかるわけです。六〇%、四〇%の個人及び法人の持ち株比率が一年間で逆転したわけでございますから、土地も必ずそうなっていると思います、つまびらかにはしておりませんが。その土地と株というもの、土地だけじゃなく、株に同じ現象があったわけですから、株は
日本列島改造論には
関係なかったわけですから、そうすると、土地と株というものが、同じくそういう投資の対象になった原因は他にあるはずであります。それは一年間に百億ドルもふえたというドルの裏づけの円があります。企業の手持ち流動性が非常に多くなった。それは普通なら借金の返済に当てられるべきでありますが、その当時は第一次円平価の調整を行ない、輸出を内需に転換をしなければならない、しかも四十六年の不況から急速に景気浮揚
政策をとらざるを得なかったという二つの情勢があったわけでありまして、この対策を誤ると、中小企業や零細企業は将棋倒しになると、こういうような状態に対応して、金融の超緩慢な状態がはかられたわけであります。いま主要工業国で一番低い四・二五%という公定歩合まで引き下げられたわけでありますし、しかも予算を組まざるを得なかった、こういうような状態で、結果としては、一年間の結果としては、そういうふうな状態において、当然返済に当てられるべきものが、返済に当てられなかったということで、企業の流動性が非常にふえて株や土地に回ったと、こういう事実は否定できません。これは事実に近いものであります。私は、そういう
意味で、中小企業や零細企業対策ということで、企業の手持ち流動性の引き上げその他に対して、すみやかな
政策が行ない得なかったという面に対する責任は感じております。いまだそれが、土地や株だけでなく、投機資金にさえも回っておるわけでありますから
——とうふが一丁百円というところまでいったわけですから、そういう
意味では私は、やはり
政府が機敏な、その
意味の対策をとれなかったということは私自身も自覚しております。これは
一つには、金融の自主的な金融ということで、財政金融の調整をはかってまいりますと言いながら、金融は自主的なものにまかしておるという金融の民主化、自主化というような過程において、やはり財政金融というものは、もっと緊密化を必要とするということの教えも受けたわけでありますが、そういう状態であったことは事実だと私は思うのです。ですから、何べんも言うわけじゃありませんが、これ以上申し上げませんが、とうふが上がったやつまで
日本列島改造の
関係だということを御指摘になっているわけじゃないと思うのですよ。これはみんな一連のものである。私はそれはやはり過剰流動性の問題というものがあったのと、いままでそういうものがあれば、すぐ設備投資に結びついた過去のパターンは、全然今度は行なわれなかったと、こういうところに問題があったと思います。だから、最終的にあなたが申されたとおりの実効をあげなければなりませんから、今度の諸法律をお願いをしているわけです。税制だけではできません。その
意味で、今度の法律というものは私は相当きびしいものだと思います。知事が計画をつくる、土地の利用計画をつくる、特定地域を指定する、特定地域を指定したら一定期間動かせなくなる、こういうところまでやっているのですから、私はこの法律を早く成立をさしていただいて、的確な金融
政策と相まっていけば、宅地の供給も地価の安定もはかれる、こう思います。その
一つの例を端的に申し上げれば、東京や、大阪や、名古屋の周辺にある宅地並みの課税の問題をいま御審議をいただいておりますが、あそこを全部特定地域に指定していれば、新法によって指定すれば、移動は全部禁止できるのであります。全部禁止できます。何%の税金をとるなどという問題じゃありません。あの法律はそういうことを規定しているわけですから、そうすれば、あの宅地並み課税の問題でいま問題になっておる過密都市の周辺における市街化区域だけでも、宅地に転化できれば、当面する宅地問題は解決するといって、市街地再開発法を通していただいたんじゃありませんか。それが吐き出されないというところに、今日の宅地事情があるわけでありますから、私はあの法律が通過をして、ほんとうに知事がやる気になれば、大都市の周辺の宅地問題は相当解決できます。それだけでも平面都市じゃいかぬから、都心部の再開発を行なって、ある
意味の高層化、そう無制限な高層化を言っているわけじゃありません。少なくともワシントンのような建蔽率の低い、理想的な、緑のある、災害があっても必ず生命財産を保護できるという状態をつくらなければならない。こういうことを申し上げておるのでございまして、そういう問題も検討いたしておりますというのでありますから、あの法律や今度の税制がすべて適用される、しかも農地に対してはレンタル制度を農協に認めますと、こういう画期的な法律を出しておるのでありますから、私は住宅問題や宅地問題が解決できないようなことを
考えておりません。あの法律がほんとうにできて、知事がおやりにならないと言うなら、次の
国会には国がやれるような改正案でも今度出してもらえばいいんですから
——改正案を通していただけばいいんです。いずれにしましても、
日本にまだ
——現時点において供給できる宅地が存在しない、そんなことはありません。そういう
意味では、相当な決意をもって御審議をお願いしていると、こういうことでございます。