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国務大臣(
愛知揆一君) 手抜かりがあったかどうかということにつきましては、いろいろの御批評もございましょうし、謙虚に
政府としても反省すべきところは反省しなければならないと思いますが、しかし、なかなかよく情報をとり、われわれが判断いたしますのに、最近におきましては
相当よく情報網もできていると私は思っております。具体的に申しますと、御案内のように、
各国の主要国大使館にはその道の専門の者が大使館の機構の中に入っておりまして、そして、それぞれの駐在の大使の指揮監督のもとに、そして通貨
関係あるいは為替
関係の専門的な知識と、そしてそれに対応する
各国の当局との間の連携というものはかなりよくとれておると思いますし、最近のような電信等の発達によりまして、一般的な
状況等について、緊急の場合は、電話でも
相当よく情報を、東京にも
報告をし、あるいは活動をする基準というものもよく連絡がこちらからもできておるつもりでございます。それからなお、そういう点につきましては、先ほど申しましたような、一そう充実する必要性については、私もよく
認識しておるつもりでございまして、今後ますます活動、機動力を発揮するようにいたしたいと思います。
ただ、私の今回も感じましたことを率直に申し上げますと、十六日の
会議は、
会議としては十一時から始まったわけでございますけれども、私自身といたしましても、当日は八時から、
アメリカのシュルツ
長官との会談をはじめとして、直接にいろいろな人とも話し合いましたが、この
会議でどういうふうな国がどういうふうな意図を表明するか、ことにこまかい点等にわたりましては、もうぎりぎりの時間までも、それぞれがはっきりした
意見を言わない場合もございます。問題がきわめて重要であり、また、きわめて多角的な判断を要する問題でありますだけに、なかなか的確な
情勢というものがつかみ切れない場合もございます。同時に、先ほどもお話がございましたが、
日本側は、
日本側に対する批判がないということを、稲村財務官が
蔵相代理会議に何べんも出ておりまして、これは率直に彼が受けた印象であろうと思いますが、私も、まさにそれと同じ印象を強く受けたわけでございまして、とかく、率直に申しまして、
日本人は心配性でございますし、たとえば情報といいますか、新聞のことを特に申すわけではございませんが、何か
日本が
アメリカからも、あるいはヨーロッパ側からも、ひとりで
黒字国になっておって、これに対しての批判や批評が非常に多いんだろうと、こういうふうな感じ方を持ちますけれども、少なくとも今度の
パリ会議におきましては、全体の
会議においてはもとよりのこと、個別的な接触におきましても、
日本のビヘービアが悪いのだというようなことは、私はついに一回も聞きませんでした。
そうではなくて、これだけの大問題の中で、そして
日本という、これもいろいろの見方、御批評がございましょうけれども、とにかく経済的には
世界の大国である。この
世界の大国であるところの
日本が、国際的な通貨安定に対していろんな知恵も出してほしいと、それから具体的の方策等について積極的な案も出し、また、国際的な
協調の面において、行動においても積極さを出してほしいという、そういう
意味での
期待といいますか、ある種の私は信頼性であると思いますが、そういう点から申しまして、こういうときには、ぜひひとつ積極的な姿勢を示してもらいたい、たとえば、
大蔵大臣が出席しないというようなことは、われわれの全体の建設的な場におきましてそういうことがあることは残念であると、こういうことは私も耳にいたしました。したがって、今後におきましても、国会の特別の御理解をいただいて、活動の機会におきましては、与えられる機会におきましては、十分
日本としても
協力の姿勢を示していただくことが、これは望ましいことであると、この機会に、お答えの機会を借りて申し上げてたいへん恐縮なんございますが、そういう
意味での積極的な
日本の姿勢を示してもらいたいということは、
日本に対する批評というか、あるいは要請といいますか、そういう形での
意見というものは耳にいたしたわけでございますが、この点については、先ほど申しましたように、従来からの
日本として持っております情報網からもしばしば上申されてきた
意見でございまして、これは私自身、はだに触れて確認したということに相なるわけでございます。