○羽生三七君 そういう場合には、再切り上げを招来しないようにあらゆる
施策を講じて
全力をあげて
努力する、でいいんです。ですから私は、いま円切り上げの問題だけで言っておるのじゃないのですよ、必ずしも。こういう席上で、相当な
政治責任が生ずるというような発言をされて、あと顧みて他を言うような弁解がましいことではなく、これは率直に陳謝されるのが私は筋だと思う。だから、そういう
意味で私は申し上げているのです。
それから、この機会に、続いてもう二、三点お尋ねしたいと思いますが、今度蔵相が行かれるかどうかわかりませんが、十四カ国なり二十カ国蔵相
会議に出られた場合に、何を、これだけは絶対に達成したいという、その主目的はそもそも何であるのか。ECあるいは
アメリカ等と国際協調をとることは必要であります。だが、
日本としてはこれだけは主張したいという、それは何か。先ほど
日銀総裁は
投機の問題に
重点をしばっておられますが、もちろんそれもあるでしょう。しかし、
投機の問題は結局のところ
ドルのたれ流しにあるのですから、それにはどうするのか、あるいは先ほど
足鹿委員も
指摘されたように、
ドルの
交換性回復はどうするのか、あるいはスミソニアン体制そのものはどうなるのか、新たなる通貨体制とはそもそもどのようなものなのか等々問題になるが、これだけはこの国際
会議に出て
日本は絶対主張したい、あるいは提案したい、貫き通したいという提案はそもそも何か、これをお示ししていただきたい、これが第一点。
それから次は、やはりいま聞いておりまして、
足鹿委員の御質問の中に、二百億
ドルの金の
対策についてお尋ねがありました。これは率直に申し上げて、
日本が赤字を生ずるまでは、この二百億
ドルは直接に
日本の
内政の財源には使えないものじゃないですか。ところが、一部には、その蓄積外貨を
社会保障、
社会福祉等の財源に転用すべきであるという議論が、これは相当ありますよ。これは非常に誤解が生ずる。その誤解の生ずるもとは、やはり
政府がこの外貨について、二百億
ドルがそもそもどういう性質のものかを明確にしておらない、これが一つあると思います。たとえば、GNP万能、
輸出第一主義の
日本経済の軌道修正をして福祉
経済に転換をしなければならぬということは、これは今日では
国民のコンセンサスを得られておる問題であります。したがって、そうではあるが、外貨の蓄積いかんにかかわらず、これは
内政上の問題としてやらなければならぬことであります。そういう
意味で、この
内政上の問題としては、賃金アップとか、あるいは生活条件の改善とか、あるいは
国際収支の改善、これは国際的な問題にもなりますが、
国際収支の改善とか、いろいろあります。ありますけれども、そういう条件を創造することは大事であるが、早急にやらなければならないが、しかし、この二百億
ドルを
内政の財源にすぐ使えるわけではない。ストレートに使えるわけではない。間接的にはいろいろな方法があります。ところが、これは使えるがごとく多くの人は錯覚を持っておる、また、
政府の答弁も、先ほど聞いておると錯覚を起こさせるような答弁になる。二百億
ドルは簡単に
内政上の財源に使えないということを明らかにする必要があると思う。これが第二点。これはメモしておいてください。
もう一点だけ。次に、保有外貨の
ドル財源をどう使うかであります。私は、一つの問題提起というか、提案をしてみたい。というのは、これは全くの私見でありますけれども、
日本平和基金というような——これは仮称であります。試みのこれは称号でありますが、
日本平和基金というようなものを創設してはどうか。これは、いまインドシナ地域に対する援助問題等もしばしば議論されておりますけれども、これも重要であります。だがしかし、財界ペースの援助ではなしに、あくまでも
日本の平和意思を明白にして、
経済侵略とかエコノミックアニマルというような批判を受けることのない、そういう条件を
日本みずからが創造し、積極的な意思を明らかにし、あるいは具体的な建設的な計画なり構想を持ちながら、この
日本平和基金というものを創設されてはどうか。しかも、それは十億
ドルとか二十億
ドルというような額でなしに、相当額を積み立てて、これで世界に貢献をしてはどうか。これは単にインドシナ地域だけではない、発展途上国全体に適用する問題として、ぜひこういう問題も考えていただきたい。そうでないと、この二百億
ドルは赤字ができるまでは直接的には手のつかない金であります。間接的にはいろいろなやり方があるでしょう。しかし、この二百億
ドルを持ってきて、早く
社会保障に回したらいいじゃないかというような議論でなしに一これはできないのですから、現実には。いま申し上げたような提案を積極的に御検討願う意思はないかどうか。
以上三点、逐次ひとつお答えをいただきたいと思います。