○
萩原幽香子君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま
議題となっております
国立学校設置法等の一部を改正する
法律案につき、若干の
質問をいたします。
ただいまから行なおうといたします
質疑は、当然
委員会においてなされるべきものであり、本
会議質問という異常な形をとらざるを得なかったことに対し、遺憾の意を表するものでございます。
七月十七日、
強行採決が行なわれました翌日、たまたま来日されていたアメリカの各
級議員からなる
日米青年政治指導者交流プログラムの
人々が、
議会制民主主義をとる
日本の
国会で
強行採決がなぜ行なわれるのかと不審がられ、わが党の
議員が何べん
説明をいたしましても理解を示さず、
日本には二つの国があるのかと、皮肉まじりに言われて、その
会議に出席されたわが党の
議員は、まことに恥ずかしい
思いをしたということでございました。まことに、過去におきまして、
強行採決や
質疑打ち切りの
動議のため、一言の
発言も許されず、私は、みずからの
発言権を私にゆだねた
国民の心情を
思い、悲憤の涙をのんだことに
思いをいたさざるわけにはまいりません。しかしながら、参院の
正常化のため終始御
努力を続けられた
河野議長の、今日のこのお計らいに対しては、確かに一歩前進であり、心から敬意を表したいと存じます。
そこで、まず、
総理並びに
文部大臣にお
伺いをいたします。
通年国会にもひとしい日時を費やしながら、会期の終末において、この異常な状態を迎えたことに対して、
政府としての
責任をどのようにお
考えになりますか、承りたいと存じます。
これからの数十分の
質疑では、もちろん
十分審議を尽くすことはできませんので、重点的に七、八点にしぼって
お尋ねをしてまいります。再
質問はできるだけ避けたいと存じますので、御
答弁は漏れなく、明確にちょうだいいたしますよう、初めにお
願いを申し上げておきます。
まず、最初にお
伺いをいたしますのは、
筑波法案の
立法上の問題でございます。
わが国の
教育法の体系は、
学校教育の
基本的事項を定めた
学校教育法があり、およそ、
学校を設立して
教育を行なうのには、国公私立を問わず、すべて
学校教育法にのっとって行なうべきものとされております。
大学については、
学部を置き、学長、
教授及び
教授会の
任務等、その
組織運営に関する
規定が設けられております。
国立大学は
国立学校設置法によって設立されますが、その
組織運営は、すべて
学校教育法の定めるところに従って行なわれております。ところが、本
法案において新設しようとする
筑波大学は、
学部制にかえて
学群、
学系制とし、
参与会、
評議会及び
人事委員会を設置するなど、
学校教育法に定められていない
組織及び
運営が
予定されており、このような
制度は、他の
一般の
国立大学とは無
関係のものであり、
筑波大学特有のものでございます。
このような観点から、
筑波大学は全く特別の新しい
制度であり、また、
政府自身、他
大学に波及することは
考えていないと
説明をされているのですから、
国立学校設置法を改正して同法に
規定を設けることは、まことに不適当と言わざるを得ません。つまり、
学校教育法の面から見ましても、また
国立学校設置法のたてまえから
考えましても、いずれも特例的な
内容のものであり、通常の
立法形式では、このような場合、
特例法または
特別法として単独の
法律で定められるのが
常識となっております。にも
かかわりませず、あえて
国立学校設置法の中に
規定を設け、
医大、
医学部等の新設と抱き合わせて
提案をされた真意について納得のいく御
答弁をちょうだいいたしたいと存じます。一この
常識を越えた抱き合わせ
提案のため、いま
医大及び
医学部等に受験しようとしている
若人たちは、どのような心境で毎日を過ごしておりますか、
大臣にはおわかりいただけるでございましょうか。ここで私は、この悲しみと憤りの訴えを二編御紹介をいたしたいと存じます。
まず十八歳の男性の受験生の投書で「筑波大
法案をなぜ切離せぬ」というものでございます。
「
国会はようやく落着きを取戻したようだが、通称「
筑波大学法案」は、いまだに
国会通過のメドが立たず、このため、この
法案の中で
筑波大学と抱合わせになっている旭川、山形、愛媛の国立
医大および医
学部の開校も延び延びになっている。
医大、医
学部新増設については、与野党の意見はすでに一致している。とすれば「
筑波大学法案」を二つに切離せば、明日にでも開校できるのに、同じ
国立大学の問題だからと言訳をして、切離さないという
政府の石頭には全くあきれてしまう。このことが一体どのくらいの不安と動揺を受験生に与えているか、奥野文相はご存じか。
法案が
国会を通過してから授業を始めるまで最低二カ月かかるというのに、あせっているのは受験生だけで、
政府・与党は至ってのんきなようだが、
国民の身近な問題について、もっと真剣に検討して頂きたいものだ。」
次は、十九歳の女性からのもので「「
筑波法案」のとばっちり」と、怒りをぶっつけております。
「青少年に
希望と夢を。これは、国
会議員が好んでいう言葉です。実際は、政党のご都合主義で
希望と夢の芽をむしばんでいるのが、国
会議員のあなた方なのです。私は、四月から開校
予定の医療技術短大の合格者です。「
国立学校設置法令の一部改正」が、
国会で成立しないため、いまだに入学できません。友人は、
大学の新設医
学部に受験できず、途方にくれています。理由を調べると、前記法令に
筑波大学が含まれて、そのとばっちりで、成立の見通しが立っていないことがわかりました。これは選挙権のない弱い
立場のものを、切捨てごめんにする政治です。こうしたいらだちから政治家に大きな不満、反発をつのらせております。ここで
筑波大学について論ずる余裕はありませんが、支障のない開校には、同
法案から分離して成立させてはいかがでしょう。それが政治判断かと
考えます。
希望をかなえてくださるようお
願いします。」
こうした投書や手紙は数限りもございません。私は、これら若い
人々の嘆きと怒りに触れるたびに身の縮む
思いがいたします。もちろんこの悩みは、ひとり学生だけではなく、父兄はもちろん、四月一日に開校を言い渡されて
準備に専念し続けた地元の
人々の、物心両面にわたる損害もまた甚大なものがございます。何のかんばせあってか
国民にまみえん。これでは
国民不在の文部行政と言われても
答弁の道がないではございませんか。
大臣、あなたはいかがお
考えでございましょう。現在のような
状況がくることを
大臣は予測されなかったのでございましょうか。もし予測されなかったとすれば、著しい認識不足であり、予測しながらもあえてこの御
提案をなさったとすれば、よほどこの
法案の成立に自信をお持ちになれなかったと拝察し、それをあえて強行されようとしていることはまことに悲しむべきことで、
大学改革に大きな汚点を残すと言わざるを得ません。とにかく、
大臣は、事志と違った現状に対して率直に直視し、耳を傾けていただきたいと存じます。
学校教育法や
教育公務員
特例法などの
一般法の改正までなさるというのなら、当然、他
大学への波及もお
考えの上のことであり、それなら、広く各
大学や学術
会議、国大協、
大学問題研究会など広く多くの
人々に諮問して、
国民合意の得られる
大学をつくり上げるべきだったのではございませんでしょうか。去る六月二十九日、私は、本議場におきましての
質問の際、多くの異なる意見に耳を傾け、その長所を取り入れられることを強く要望いたしました。そのとき
大臣は、その
趣旨に沿って
努力する旨の御
答弁がございました。しかし現実は、必ずしもそうではないようでございますが、この点について
大臣の明確な御
答弁をちょうだいいたしたいと存じます。
質問の第二点は、
大学紛争を契機に全国の各
大学では、あらためて
大学とは何か、
大学はどうあるべきかといった問題についていろいろ研究、検討がなされ、発表されたと承っております。当然、文部省としては、そうした改革案を収集されて御検討があったはずと存じますが、それらの資料に基づき、各
大学の改革案並びにそれらの問題点についてお
伺いをいたしたいと存じます。あえてこの
質問をいたしますのは、私はさきに申しましたように、
教育問題は国政の基本にかかわることでございますので、その
法案立案にあたっては、広範な意見聴取は不可欠の問題だと
考えるからでございます。
民社党は、
法案発表とともに新構想の
内容についての研究に取り組んでまいりました。単に反対するだけでは、公党として無
責任のそしりを免れません。
議会制民主主義のルールにのっとり、本新構想の重要事項に関する修正案を
提案し、尽くせるだけの
努力を院の内外において払ったわけでございますが、
政府・与党からついに誠意ある
態度をお示しいただけなかったことは、まことに残念でございます。
大臣は、わが党の修正項目につきましてどのように御検討いただいたのでございましょうか、承りたいと存じます。
民社党の修正項目のうち、特に学生の位置づけ及び参加のさせ方についての御
見解を承りたいと存じます。学生は
大学における重要な構成要員でありますが、過去数年間、そして今日もなお激しく続いております
大学紛争と学生問題の根底には、学生の人格的存在が無視され、その意思の反映がない
大学に対しての学生の反抗に端を発していると見るべきだと存じます。
教育はお互いの信頼と愛情の上にこそ成り立つものであり、人間
関係において、信にこたえるということばは、まことに意義深いものと存じます。
筑波大学新構想では、特にその点でどのような配慮がなされましたのか、具体的にお
伺いをいたしたいと存じます。
質問の第三点は、非常に細部にわたって
規定されております管理
運営についてでございます。
前々の
質問者から、
筑波大学につきましての管理
運営の問題点は詳しく指摘がございましたので、私は少し角度を変えて、欧米諸
外国の
大学、特に最近
大学改革で成果をあげつつあります
大学と、
筑波大学で
考えられております管理
運営について比較しながら承ってまいりたいと存じます。もちろん、各国はそれぞれ政治
制度も違い、
教育行政の体系もさまざまとは
考えますが、
文部大臣が
筑波大学を世界の進運に沿うものにしたいとのお
考えを承りましたので、やはり先進諸国との比較もまた当然なされたものと存じ、
お尋ねをするわけでございます。従来、特に戦前の
わが国の
国立大学は、基本的にドイツ流の
考え方に立っていたと思われますので、まず、ドイツの
国立大学の現状と現行
規定についてお聞かせをいただきたいと存じます。私がこの
質問をいたします上で参考資料といたしましたのは、四十八年三月、国立
教育研究所から出されました第八十三集別冊「
大学の管理
運営に関する比較研究」でございますことを申し添えて具体的な
お尋ねに入ります。
ドイツには重要な
国立大学が数多くございますが、その中で、ビーレフェルト
大学について、その
規定をお
伺いいたします。私が特にビ
大学を取り上げました理由は、第一に、当
大学は一九六七年に創設され、一九六九年十一月に一部授業を開始された、きわめて新しい
大学であり、ドイツ
一般の伝統を踏まえながら、しかも、これに拘束されることなく、自由な構想が期待されるからでございます。第二は、この
大学の定款は、その属するノルトライン・ヴエスト・ファーレン邦
政府により承認されたばかりでなく、翌七〇年四月制定されました同邦
大学法のモデルになったもので、つまり、一
大学の特例にとどまるものではないということなのでございます。第三に、この定款は、同
大学設立
委員会が、同邦学長
会議の「
大学自治の
組織について」という報告を基礎として審議を進めた結果であるという点でございます。以上の設置過程につき、
文部大臣はどのようにお
考えになりますか承りたいと存じます。
私がビ
大学に一番敬服をいたしましたのは、同
大学は、全
大学の意思を基礎として設立されたことであり、だからこそ、
政府もこれをモデルとして堂々と
大学法の制定に進み、すでに実施に移していると
考えられるからでございます。つまり、全
国民の祝福を受けての発足であるという点でございます。文部省が、ビ
大学におけるような手続によって事を進めておられたら、
筑波大学は、よりよい
内容で、もっと順調に、
国民的合意のもとに発足できたのではなかろうかと
考えますが、いかがでございましょう。
大臣は、十年越しの問題であるから、この辺で決着をつけてほしいという御
発言でございましたが、それは、きわめて安易なおことばではございませんでしょうか。長
期間かかったということは、それだけ問題が多かったとも言えますし、また、十年越しと言っても、
国民の前に広くこの問題が提起されてからは一、二年、真に問題となったのは半年にすぎないところでございます。しかも、この間の
政府の御
説明は、私どもの提起した問題を解明されないままにいまの状態になっております。わが党では、過ぐる四十四年五月、
大学改革の一助ともなればと
考え、
大学基本
法案を
提案いたしましたが、それにつきましても一顧だにされなかったのはまことに残念でございます。多数決によるきめ方はまことにけっこうでございますけれども、それには少数の者の意見に耳を傾けるという前提がございます。唯我独尊の姿勢で、このあたりで決着をつけよと言われますのは、少々押しつけにすぎないでございましょうか、それとも私の
思い過ごしでございましょうか、
大臣、いかがでございましょう。
次いで、ビ
大学の管理
運営について、次の諸点をお
伺いいたします。
学部制とその内部
組織の自主性について、学長、副学長、事務総長の選出方法とその
任務について、学外者の参加のしかたについて、
大学構成員、
大学所属員の参加のしかたについて、
筑波大学との似て非なる点を承りたいと存じます。一例を申しますと、
評議会で中央集権、執行部の独裁をチェックできるように
規定されているという点では、外見上、
筑波大学と全く同じように感じられます。しかし、ビ
大学では評
議員の中に助手、学生代表十名を含んでおりますが、
筑波大学におきましては、助手、学生は含んでおらず、しかも五十三名のうち十七名は、学長を含めて、学長の選考によるものであり、しかもこれに加えて、学長指名の教員若干名を加えれば、実に学長選考によるものが確実に三分の一をこえることになり、学長、副学長に対する三分の二多数決による罷免は全く空文になることは明らかでございます。いま例示いたしましたように、先ほどの私が
提案しました四項目について具体的にお示しを
願いたいと存じます。
なお私は、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連、スウェーデン等の
大学についてもお
伺いを申し上げたいわけでございますが、時間の
関係もございますので割愛し、他の機会に譲りたいと存じます。しかし、わが党が学生参加の
規定を設けるべきことについて
提案をいたしておりますので、その
関係上、フランスにおける高等
教育基本法の中で学生参加を
規定しております点について、
内容をつまびらかにお
伺い申し上げたいと存じます。あわせて、これに対しての
大臣の御
見解をいただきたいと存じます。
また、副学長の問題では、副学長は学長を補佐すれば足り、特に研究、
教育に関しての専門的分担は、当然の帰結として研究
内容、
教育実務への介入となり、許されるべきではないとの理由で、わが党はこの縦割り構想に反対の
立場をとっておりますが、ビ
大学はこの点どのようになっておりますか、承りたいと存じます。
ここで私は、将来の問題として一つ新たに
提案し、
大臣の御所見を承りたいと存じます。
大臣が言われますように、
筑波大学が世界の進運に沿うものというお
考えなら、当然
外国からの学生も受け入れることが予想されます。といたしますならば、わが党
提案三名の副学長の中に、
外国学生担当副学長をお
考えになってはいかがでございましょう。すでにソ連のモスクワ
大学、キエフ
大学ではその
制度がとられております。
質問の第四点は、
筑波大学の
教育の
内容について具体的にお
伺いをいたしたいと存じます。
筑波法案は、管理
運営の強化についてはまことに細部にわたって
規定されておりますが、最も肝心な
教育に対する配慮が薄いという点で、これは残念でございます。そこで、まず、
教育の基本ともなります
教育課程についてお
伺いをいたします。
いま、私の手元にいただいております
筑波大学の
教育課程は、
政府の御
説明では、他の
大学で実行されておりますカリキュラムとは違い、総合的でユニークなものというおことばでございましたが、どの点が特に他
大学と違い総合的でユニークなのか、具体的に承りたいと存じます。また、いまお示しのものは、カリキュラムとは言えないと存じます。カリキュラムは、いまさら私が申し上げるまでもなく、講義題目の全体メニューと担当教官名を含まねばなりません。担当教官名は、少なくとも初年度分があってしかるべきではございませんか。この点が示されないのはいかがな理由でございましょう。本
法案と抱き合わせされた山形
大学医
学部におきましては、すでに昨年十月末に職員
組織に関する書類が
大学設置審議会に
提出され、十一月には審査を通過したと聞いております。これが通例の手順ではございませんか。その点について、できなかった理由を承りたいと存じます。
筑波大学の場合も、すでにそのような担当教員
予定表が作成されておりますのでございましょうか。作成されているはずでございます。それと見合った全体のカリキュラムが作成されていなければならないと存じます。その御
提出がいただけないようでは、はたして来年から新
大学は発足できるのでございましょうか。どうなさるおつもりか、承りたいと存じます。
また、
内容の点におきまして、
語学教育がきわめて技術的に
考えられているように思われます。従来の
外国語
教育の持っていた幅広い教養
教育が切り捨てられ、専門的技術人の養成を目ざしていると
考えられます。このことは、第一次まとめ改訂案中、
教育研究
組織の編成方針にある「広い視野を養い、豊かな人間形成に資する」といううたい文句に抵触はいたしませんか。いかがでございましょう。また、単位も不十分なように思われますが、これで十分だとお
考えでしょうか、お
伺いをいたしたいと存じます。
次いで疑問に感じましたのは、「社会学の履修例」でございますが、カリキュラムは授業を持つ
予定の人がつくったとの御
答弁でございましたが、私の聞き及びますところでは、
東京教育大学の社会学は、全員
筑波大学反対派と承っております。とすれば、この履修例は一体どなたがおつくりになりましたのか、承りたいと存じます。
次いで
お尋ねいたしたい第六点は、筑波新
大学創設
準備会のまとめについてでございます。
まず第一に、研究科の開設年度の一部繰り上げというのは、具体的にどういうことでございますか。
第二に、教職員定数の増加の内訳と総定員法との
関係、また
予定されております医
学部(九県)が増設された場合、定員はどうなるのでございましょうか。総定員法は撤廃なさるおつもりですか、あるいは実情に即して改善をされる用意がございますのか、承りたいと存じます。
第三は、四十九年度概算
要求についての概要について
伺います。要旨のところで、四十九年度に一部の第一年次学生を受け入れるとありますが、それでは、入試の日時はいつ、入試問題作成委員の委嘱はだれに、いつ、されるおつもりですか、承りたい。また入試の場所はどこになりますか、第一年次生の筑波への受け入れば可能でございますか、などにつきまして承りたいと存じます。
次いで、
東京教育大学各
学部の現状についてお
伺いをいたします。初め
東京教育大学の移転について賛成をしていた人が、
筑波大学の
内容が明らかになるにつれて批判的になり、反対に変わった先生方が多いと聞きますが、賛成、反対の比率は現在どのように変わっておりますか、承りたいと存じます。私が聞き及びましたところでは、反対四、賛成六ということでございますが、これは事実でございましょうか。そのように賛成派が少なくなった理由はどこにございますか、承りたいと存じます。
最後に
お尋ねしたいのは、いままでの
衆参両院の審議で明らかになりましたように、
東京教育大学の内部はたいへん深刻な意見の対立があるわけでございます。このような
状況の中で
東京教育大学を強引に筑波に移転しても、はたして
国民の期待に沿うような望ましい
大学として発足できましょうか。残念ながら、私は、前途まことに不安でございます。そこで、学術
会議の渡辺先生の御意見にもございましたが、この際、本
法案の中から
東京教育大学を廃学にする
規定を削除して、
東京教育大学をこのまま存続させ、
筑波大学は、新構想に賛成の
人々を全国から集めて、真に実験
大学として発足されてはいかがでございましょう。また、文部省のお話では、
昭和六十年には、現在の二八%の
大学の就学率が四〇%に伸び、七十七万人の増加を見るということでございますが、その点を
考えましても、由緒ある
東京教育大学の存続は当然の
措置と
考えます。少なくとも、
学部のほとんどが移転反対を表明されている文
学部については、単科
大学としてでも残すべきではないでしょうか。それこそが素朴な
国民感情にこたえることであり、
国民に開かれた政治の姿勢だと存じます。
総理並びに
文部大臣の御決意はいかがでございましょう。
大蔵省にお聞きをいたしますが、仄聞するところによりますと、七、八年前からすでに
教育大学の廃学を目ざして、敷地、校舎を
筑波大学の財源に充てるよう文部省と話し合われているということですが、それは事実でございましょうか。また、最近では、両省の話し合いで
教育大学の予算がなしくずしに縮減されているともいわれますが、文部、大蔵両
大臣から、その真偽のほどを承りたいと存じます。念のため、
昭和四十四年以降の
教育大学の予算についてお示しを
願いとう存じます。
教育は国政の基本といわれながら、全国の各
大学の
実態は、人と金の不足に悩まされております。研究費一つをとってみましても、先進諸国にははるかに及ばない低さといわれます。これは文部省の
責任はもちろんですが、
総理並びに大蔵省の
教育をいかに
考えるかの問題にかかっていると存じます。未来を創造する若人のために、惜しみなく、お金を出してくださるお気持ちはございませんか。
総理並びに大蔵
大臣の御所信を承りたいと存じます。
先ほどからるる述べてまいりましたように、この
法案には幾多の問題点を含み、それが各
大学や
国民に不安の念を抱かせていることは、
総理も、
文部大臣も、十分御理解をいただけたと信じます。
筑波大学の移転を急ぐあまり、
大学改革に汚点をつくり、悔いを千載に残すことのないよう、重ねて重ねて要望して、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣田中角榮君
登壇、
拍手〕