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1973-07-09 第71回国会 参議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月九日(月曜日)    午後五時七分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十九号   昭和四十八年七月九日    午後一時開議  第一 アメリカ中国核実験に抗議し、フラ   ンスをはじめあらゆる国の核実験に反対する   決議案安田隆明君外三名発議)(委員会審   査省略要求事件)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      —————・—————
  2. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより会議を開きます。  日程第一 アメリカ中国核実験に抗議し、フランスをはじめあらゆる国の核実験に反対する決議案安田隆明君外三名発議)(委員会審査省略要求事件)  本案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  3. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案議題といたします。  まず、発議者趣旨説明を求めます。安田隆明君。    〔安田隆明登壇拍手
  4. 安田隆明

    安田隆明君 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党、民社党共同提案アメリカ中国核実験に抗議し、フランスをはじめあらゆる国の核実験に反対する決議案について、提案者を代表してその趣旨を説明いたします。  はじめに案文を朗読いたします。   本院は、わが国唯一被爆国であることにかんがみ、あらゆる国の核実験に反対する。広島長崎ビキニと三たび原水爆の被害をうけた日本国民は、残虐な大量殺りく兵器である核兵器全面禁止をつよく内外に訴えてきた。しかるに、核兵器禁止はいまだおこなわれず、その開発はつづけられ核実験もくりかえされている。   今回のアメリカ地下核実験、および中国大気圏核実験、ならびに予定されているフランス大気圏核実験は、死の灰をもたらし、大気および海洋を汚染し、地球自然環境を著しく破壊するものとして厳重に抗議し反対する。   政府は、本院の主旨をたいし、すべての国の核兵器製造実験貯蔵使用に反対し、全面的な禁止協定が締結されるよう努めるともに、アメリカ中国およびフランス政府に対し、直ちに適切な措置を講ずべきである。   右決議する。  以上であります。  続いて提案趣旨を説明いたします。  本院は、わが国世界唯一核被爆国であり、核実験禁止は、世界の恒久平和を願うわが国民の強い悲願であり要望であることにかんがみ、今日に至るまですでに数回にわたり、あらゆる国の核実験停止を要請する決意を宣明してまいりました。  広島長崎ビキニと原爆の悲惨さを身をもって体験したわが国は、核兵器の地上からの絶滅と世界恒久平和の実現を心から願い、またみずからは、つくらず、持たず、持ち込まずの非核三原則を国民とともに堅持して今日に至ったのであります。  幸い、先般行なわれました米ソ首脳会談では、互いに核戦争を避けるための核戦争防止協定が締結され、核兵器の全廃を願う世界世論はいよいよ高まっておりますが、このようなときに、中国は突如として大気圏核実験を強行いたしました。これは、核兵器に反対する世界世論を無視するものであり、断じて容認できないところであります。さらにまたフランスは、近く、南太平洋上において大気圏核実験を行なおうとしておりますが、これまた国際世論を無視し、核実験廃止を求めるわが国民の願望を踏みにじるものであって、われわれは全国民とともに強く反対し、国民もまた、本院に対し深い関心と注目を寄せているところでございます。  今回の中国大気圏核実験によって、すでにジェット気流に乗った死の灰日本上空に到達し、新潟及び金沢では、去る二日朝降りました雨水から、平素の二千倍に当たる放射能の異常数値が検出されるに至っております。もし、このような大気圏での核実実が繰り返されるならば、それによる大気海洋の汚染は地球自然環境を破壊し、ひいては人類生存そのものを脅かすものであって、日本国民のみならず、政治社会体制いかんを問わず世界のあらゆる国民の幸福を根底からゆり動かすものといわなければなりません。(拍手)  なお、大気圏実験のほかに、依然として地下核実験が行なわれている事実は遺憾であり、われわれは、地下核実験も含め、いかなる国の行なう実験に対しましても断固として反対するものであります。そして、人類を破滅に追い込むこれら核兵器の恐怖からのがれる道は、その製造実験貯蔵及び使用禁止する国際協定が結ばれることであり、それのみが真の恒久平和への道であると確信し、われわれは、政府大気圏核実験に関する中国及びフランス並び地下核実験に関する米国諸国政府に対し、直ちに適切な外交的措置を講ずることを要請するものであります。  最後に、今回の決議案の上程にあたっては、われわれは、核禁止に対する世界人類願望と、わが全国民悲願とするこの決議案が、わが参議院の良識の中で全党一致共同提案決議たらんことをこいねがい、数次にわたり各党間の折衝を続けたのでありますが、共産党のみ主張を変え、これがため、ついに全党一致共同提案の本決議案を提出するに至らなかったことはまことに遺憾のきわみであり、さらにまた、本決議案の取り扱いをめぐり、議院の正常な運営に支障を来たすがごとき問題にまで波及するに至りましたことについても、深く遺憾の意を表するものであります。  以上決議案趣旨を説明いたしました。  本決議案に対し、本院が全会一致をもって御賛同あらんことを心からお願いする次第でございます。(拍手
  5. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより本案の採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  6. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案全会一致をもって可決せられました。  ただいまの決議に対し、外務大臣から発言を求められました。大平外務大臣。    〔国務大臣大平正芳登壇拍手
  7. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。  政府は、これまで国のいかんを問わず、また、その理由のいかんを問わず、核実験停止さるべきである旨強く主張するとともに、当該国政府に対し厳重抗議してまいりました。  政府といたしましては、ただいま採択されました御決議趣旨を体し、あらゆる国の核実験停止、さらには核兵器廃止実現に向かって関係国の理解と実行を促すべく、今後とも一そう積極的な努力を払う所存であります。(拍手
  8. 河野謙三

    議長河野謙三君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会