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国務大臣(二階堂進君) そのように取り計らいたいと思います。
そして「
総理から直接
答弁があってもいいと思いますけれども、」と官房長官は付言しているほどです。
総理は、こうしたやりとりが行なわれた事実をまず知っておりますか。知っているとするならば、なぜ私に対し
総理みずからの文書による回答を今日までよこさないのか。それはあまりに参議院予算委員会の一般
質問審議を無視したことになりませんか。このことについて明確な
答弁をいただきたい。その上で、「自治省をどうするか、自治うんぬんとやかましいことをいわず、旧内務省的な地方開発庁とでもいうものにしたらどうか」という
総理の
さきの
発言の真意について、明確な
答弁をいただきたいと思います。
次に今回の
地方自治法の改正案でありますが、二つの柱からなっております。その一つの柱は、区長公選制の復活であり、もう一つの柱は、従来からの一部事務組合が同種の事務についてのみ許容されていたものを、異種の事務についても地方公共団体が組合を結成することができるようにする、すなわち前回の法律でいわれた市町村連合に道を開こうとするものであります。
政府は、何か
国民のためになる
法律案を出すと、必ずと言ってもよいほど何か別のものを抱き合わせにする。これは
政府の常套手段ですので別に驚きませんが、第一の柱はあまりに巨大化した首都東京を分割しようとする案であり、もう一つの柱が市町村を広域団体にしていこうという案であります。こうした全く相反する性格のものを一つの法律に盛り込むというのは、それにしてもあまりにも不謹慎な話ではありませんか。
総理、御存じのとおり、この法律の市町村連合の
部分は、われわれの反対によって六十五国会から六十八国会における論議を通じて廃案になったものであります。これに、都民あげての要望である区長公選制復活を抱き合わせにしたということは、
政府にはもともと区長公選制を復活させる気など全くなかったと言われてもしかたがありません。やる気のないものを別のものと一緒に法案に盛り込み、いかにもやる気があるように見せかけるのはトリックであります。区長公選制復活にこのようなトリックを用いたこと、これほど都民をばかにした話はありません。あなたがたの東京ふるさと
計画も、従ってそういうものではないのですか。なぜ、私たちの主張のように、区長公選制と市町村連合とを分離し、真の都民の要望にこたえようとしないのか。
総理の明確な
答弁を要求いたします。
自治
大臣に
お尋ねをいたします。
自治
大臣御存じのように、今回の法改正には
地方自治法第三編第三章「地方公共団体の組合」、この章の重大な変更を伴っております。この「地方公共団体の組合」の章は、旧市制町村制の「町村組合」からほとんどそのままその条項を引き継いでおります。旧市制町村制において、「町村組合」は、どのようにその位置づけを与えられていたか。
明治二十一年制定の町村制第百十六條には次のようにあります。「法律上ノ義務ヲ負擔スルニ堪フ可キ資力ヲ有セサル町村ニシテ他ノ町村ト合併スルノ協議整ハス又ハ其
事情ニ依リ合併ヲ不便ト為ストキハ郡参事會ノ議決ヲ以テ数町村ノ組合ヲ設ケシムルコトヲ得」。
ここに簡潔に、町村組合、ひいては一部事務組合、全部事務組合、役場事務組合設置の根拠が明らかにされております。すなわち法律上の義務の負担にたえるだけの資力を有しない町村であって、しかも諸般の
事情によって合併することのできない町村が、それら町村間に共同の事務を処理するために、合併の代替として町村組合の
制度は設けられたのであります。
現行
地方自治法第三編第三章は、この旧市制町村制以来の条項をほとんどそのまま引き継いでおります。それは、自治省が戦後一部事務組合というものをどのように運用してきたかは別に、まぎれもない事実であります。こうした古い条項の上に、あなたがたは、連合という広域市町村圏推進のための
制度をのせようとする。そこに私は第二次大市町村合併の到来を見るのであります。道州制への布石を見るのであります。
田中
総理は、去る四月十七日の衆議院本
会議で、本
地方自治法改正案が第二次市町村合併と府県を越える自治体づくりを示唆しているのではないかというわが党の議員の
質問に答えて、「あくまでも、府県
制度が他のものに置きかえられ、よしんばそれが道州制であり、また国の出先機関との統合等がはからわれるにしても、地方自治の
基本精神は守る」と答えております。すなわち、
総理は、今回の改正案が第二次市町村合併や道州制につながるということを必ずしも否定していないのであります。これは一国の
総理としてきわめて率直な
発言であります。この
発言は、自治省がいままで言ってきたことと明らかに違います。自治省はいままで、市町村連合は地方
制度の改変に決してつながるものではなく、広域市町村圏というすぐれて自治
政策上の
課題にこたえるための便宜的な
制度にすぎないと繰り返し述べてきたのであります。
総理並びに自治
大臣は、この点の相違をいかに今日解明されますか、明確に御
答弁をいただきたいと思います。
市町村連合などをつくる前に、
政府にはもっとやるべきことがあるのではないでしょうか。
地方自治法は全体的にもっともっと考究をされなければなりません。たとえば
地方自治法附則第八条の改正、すなわち地方事務官制の廃止がそれであります。自治
大臣は、先日来の参議院地方行政委員会で、
昭和四十九年度中の廃止を約束されました。また、直ちに福田行政管理庁長官に相談して、
関係閣僚協議会をつくるとも約束されました。福田行政管理庁長官も、自治
大臣の言われたこの四十九年度中廃止、そのため
関係閣僚協議会をつくること、この二つを確約をされますか。
田中
総理、この地方事務官制の廃止に関する限り、歴代の
総理と私たちとの間に見解の相違はありませんでした。にもかかわらず、なぜにこのように解決が遷延されているのか。言うまでもなく、厚生省なり労働省なりのセクショナリズム、官僚の抵抗があったからであります。これはお互い政党政治家としては情けない話ではありませんか。あなたはその著「
日本列島改造論」で、中枢管理機能を純化するという
観点に立って、「行政機関についても地方自治体に許認可権を大幅に移譲することによって機能を簡素化するのが好ましい。」と述べられております。これがあなたの真意であるならば、せめて地方事務官制の廃止ぐらいは、あなたの
勇気と決断ある手で推進したらどうですか。あなたらしい率直な
答弁を期待して降壇いたします。(
拍手)
〔
国務大臣田中角榮君
登壇、
拍手〕