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1973-06-13 第71回国会 参議院 本会議 第19号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十八年六月十三日(水曜日) 午前十時八分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第二十一号
昭和
四十八年六月十三日 午前十時
開議
第一
緊急質問
の件
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、故元
議員
一
松定吉
君に対し
弔詞贈呈
の件 以下
議事日程
のとおり
—————
・
—————
河野謙三
1
○
議長
(
河野謙三
君) これより
会議
を開きます。
さき
に
院議
をもって永年
在職議員
として表彰されました元
議員
一
松定吉
君は、去る八日逝去せられました。まことに
痛惜哀悼
の至りにたえません。 つきましては、この際、同君に対し、
院議
をもって
弔詞
を贈呈することとし、その
弔詞
は
議長
に一任せられたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河野謙三
2
○
議長
(
河野謙三
君) 御
異議
ないと認めます。
議長
において起草いたしました
弔詞
を朗読いたします。 〔
総員起立
〕 参議院は
わが国民主政治発展
のため力を尽くし特に
院議
をもって永年の功労を表彰せられました元
議員
正三位勲等一
松定吉
君の長逝に対しましてつつしんで
哀悼
の意を表しうやうやしく
弔詞
をささげます ———
—————
—————
弔詞
の
贈呈方
は、
議長
において取り計らいます。
—————
・
—————
河野謙三
3
○
議長
(
河野謙三
君)
日程
第一
緊急質問
の件
鈴木強
君、
宮崎正義
君、
中村利次
君から、それぞれ
中曾根通商産業大臣
の
発言
に関する
緊急質問
が、
岩間正男
君から、
中曾根通商産業大臣
の
発言等
に関する
緊急質問
が提出されております。 これらの
緊急質問
を行なうことに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河野謙三
4
○
議長
(
河野謙三
君) 御
異議
ないと認めます。順次
発言
を許します。
鈴木強
君。 〔
鈴木強
君
登壇
、
拍手
〕
鈴木強
5
○
鈴木強
君 私は、
日本社会党
を代表して、
中曾根通産大臣
の
日本
と
イラン
は同じ
王制
の国という
発言
と、このことに関連する
日本国憲法
の
基本
について、
田中総理大臣
並びに
中曾根通産大臣
に
緊急質問
をいたします。
中曾根通産大臣
は、六月五日の本
院内閣委員会
において、過般、
イラン国
を訪問し、
ホベイダ首相
と会談した際、「
日本
は
アジア
の東にあって
王制
の国です、あなた方は
アジア
の西にあって同じく
王制
の国で、ともに古い
伝統
を持っておる
国家
です、この
二つ
の国が東と西で手をつないで
経済協力
をし、
お互い
に繁栄して、
アジア
の安定、
世界
の平和のために貢献するということは非常に
欣快
なことであると思います、そういう返事をしたら、
ホベイダ
さんは、これまた私らが考えると、思いがけないぐらいほっとした喜びの表情をしました」と述べたのであります。 この
発言
の中で、
日本
は
王制
の国です、あなた方は同じ
王制
の国です、という
部分
については、
わが国
の
憲法
にまっこうから違反し、
わが国
の
憲法
を冒涜する重大な
発言
であり、絶対に見のがすことのできないものであります。 また、この
部分
の
発言
全体からにじみ出る感じは、率直に言って、同じ
王制
の国という
ことば
を巧みに、しかも意識的に利用して、相手方の関心を引こうとしたことがありありとうかがわれるのであります。 もし、
中曾根通商産業大臣
が、
イラン国
の
憲法
と
わが国
の
憲法
との
相違
を十分理解していたとすれば、いかなる
理由
があったにせよ、このような
発言
をすることはないはずだと思うのであります。 御
承知
のとおり、
イラン帝国
は、
憲法
上
立憲君主国
の
国家体制
をとり、
日本
とは根本的に異なった
体制
をとっている王国であります。すなわち、
イラン帝国
の
行政権
は
皇帝
に属し、立法上においても、
皇帝
は大きな
権限
を持っているのであります。これと比較して、
わが国
においては、
天皇
は
憲法
第一条にいう
象徴
だけの
地位
であり、その
地位
も、
主権者
たる
国民
の
総意
に基づくものと
規定
し、また、その
権能
については、
憲法
第四条に、「
国政
に関する
権能
を有しない。」と明定されており、
天皇
は、
政治
については、全く何らの
権能
を持たないばかりでなく、
天皇
の
国事行為
は、
純然
たる事務的、手続的、儀礼的なものに限られているのであります。また、この
国事行為
のすべてが、
内閣
の助言と承認を必要とし、その
責任
は
内閣
が負うことになっています。
わが国
における
天皇
は、
日本国並び
に
日本国民統合
の
象徴
であり、その
地位
は、
主権
の存する
日本国民
の
総意
に基づくと
憲法
第一条にうたわれており、
象徴天皇
、
国民主権
の
国家
であり、その
意味
において
天皇
は、
日本国民
の敬愛の的となっているのであります。 このように、
皇帝
が
国政
のすべての
権能
を有する
イラン国
と
主権在民
の
民主憲法
を持つ
わが国
とは、その
国家体制
において、
さき
にも述べましたように、根本的に大きな
相違
のあることは自明の理であります。しかるに、いやしくも
日本
の
国務大臣
たるものが、
外国
を訪れ、
外国
の
首相
と会談の席上、このような間違った
国家観
を、
日本
の国情を十分に理解していない
相手国
に植えつけるがごときは、もってのほかであります。不見識きわまる軽率な
言動
と言わなければなりません。
中曾根通産大臣
は、
記者会見
で、
日本
と
イラン
が
皇室
をいただいている点に着目して、
外国人
に対してわかりやすく
説明
するために
王制
という
表現
をしたと述べていますが、そんなことで、
憲法
を冒涜した
国務大臣
としての重大な
責任
をのがれることはできません。しかも、このことに対して、何ら反省することなく、本
院内閣委員会
において、得々として
質問
に答えてしゃべりまくるというに至りましては、まさにあきれてものが言えないのであります。
中曾根通産大臣
、あなたはいまでも
イラン
と
日本
は同じ
王制
の国と思い込んでいるのでしょうか。間違った
発言
だとすれば、そのあやまちを改めるべきであります。事は
外交
上の
国際信義
にかかわる重大問題でありますから、あなたがこの本
会議場
で陳謝し、あるいは
発言
を取り消したとこうで、
イラン
まで行って、
憲法違反
の
イラン発言
をした事実は消滅することにはなりません。逆に
国際信義
と威信を傷つける結果となりましょう。
イラン
の
首相
に対しては、何らかの方法で釈明し、
誤解
を解く必要があると思いますが、この点をどうなさるのか、明らかにしていただきたいのであります。
中曾根通産大臣
の
王制発言
は、
国会
を
混乱
させ、多くの
国民
に
憲法
上大きな
疑惑
を与え、国際的にも悪影響をもたらしたことは、疑いのない事実であります。もしあなたが、一片の良識と、正しい
憲法認識
を持たれるならば、いさぎよく
国会
で謝罪し、その
責任
を感じて、みずから進んで、すみやかに辞任すべきであります。
中曾根通産大臣
の御
所見
を承りたいのであります。 また、このことについて、
大臣
の
任命権者
である
田中総理
に伺っておきたいことがございます。
総理
は、
中曾根
さんを
通産大臣
に任命し、今回の事件についても、
中曾根支持
の
態度
をとっておられるようでございます。
中曾根通産大臣
は、六月七日の
記者会見
で、「十分に意を尽くさなかった、必要ならば
国会
で釈明し、遺憾の意を表したい」と、のんきなことを言っておられますが、失礼ですが、
中曾根通産大臣
の
憲法
を軽視する日ごろの
言動
は、つとに定評のあるところであります。古くは
自民党
の
憲法調査会
における
発言
をはじめ、最近におきましては、六月十日の
毎日新聞
の
社説
にも取り上げられておりますが、「
日本
は
天皇
の大きな求心力でもっている。
天皇
があることが、どれほど
日本
を統合させ、内乱を防いでいるかを知らなければならない」、これは
毎日新聞
の
社説
の中に載っております。——と報ぜられている
大阪発言
、
国会
の
混乱
で審議がストップしているさなかに六月十一日の
東商ホール
で開かれた
東京商工会議所会員懇談会
における
発言等
々、取り上げれば枚挙にいとまがありません。 もう
一つ
、
国会
内で問題となった過去の例をあげてみますならば、
昭和
四十五年五月八日、この本
会議場
で
日中国交回復
に関する
緊急質問
が行なわれた際、わが
党羽生
三七
議員
の
質問答弁
中、
航空自衛隊
、
海上自衛隊
を空軍、海軍と
発言
して問題となり、この処理が
議院運営委員会
に移されて論議されましたそのときに、当時
防衛庁長官
であった
中曾根
さんは、私の不注意で迷惑をかけた、以後
憲法
を守り、慎重に
言動
すると
国民
に誓ったことはあまりにも有名であります。(「もらやめたらどうだ」と呼ぶ者あり)失礼なことを言うな。 今回の
王制
の
発言
についても、われわれは単に
ことば
じりをとらえて問題にしているのではありません。私は、これら一連の
発言
は、
政治家中曾根
さんの体質から出てくるものではないかとおそれるのであります。今回の
中曾根発言
は明らかに
憲法違反
のものでありますが、
総理
は
責任
を感じておられるのでございましょうか。当然のこととして
通産大臣
の辞任の勧告ないし罷免の措置をとるべきだと思いますが、その御決意がありますかどうか、
お答え
を願いたいのであります。 次に、
田中総理
に対して、
現行憲法
に対する
基本的態度
についてお伺いしたいのであります。
わが国
の
憲法
は、
明治憲法
の
封建的残滓
などの
後進性要素
も若干混在しているように思いますが、その
基本
として、
国民主権
の
原理
、絶対
平和主義
、最大限の
人権尊重
の原則は、他の
資本主義国家
の
憲法
と比較してきわめてすぐれた特質と
内容
を持っているものであります。 われわれ
社会党
は、戦後一貫して、
日本国憲法
の
基本理念
を厳密に
解釈
し、
憲法
のすぐれた諸
原理
を現実の
政治
と
国民生活
の上に実現すべく積極的に努力してまいりました。こうした私どもの努力によって、ようやく
国民各層
の中に広く、深く、正しい
憲法意識
が定着しつつあると自負しているのでございます。 ところが
歴代自民党内閣
の
態度
は、
憲法
第九条を無視した再軍備の増強をはじめとして、
労働基本権
の侵害、
社会保障
など
生存権
に対する
消極姿勢
に見られるように、
憲法
のすぐれた
部分
の
空洞化
をはかり、
政治
の
反動化
をねらっているように思われるのであります。そして鳩山、岸両
内閣時代
には
内閣
に
憲法調査会
を設置して、積極的に
改憲
の
行動
がとられたことは御
承知
のとおりであります。特に
田中内閣成立
以来、
閣僚
の中から
憲法
の
精神
を踏みにじる
発言
が続発しておりまして、
国民
は、
田中内閣
が
憲法
の
基本理念
を正しく理解していないのではないかとの一そうの疑問を深めているのであります。 われわれは、今回の
中曾根発言
を単なる偶然の失言として扱うわけにはまいりません。少なくとも
日本国憲法
に照らして大きな
疑惑
を持たれるような
閣僚
の
発言
がたびたび行なわれることは、
田中内閣
の護憲の
姿勢
に問題があることの何よりの証拠であります。特に
天皇
の
地位
、
日本国
の
政治体制
の
基本
である
主権在民
、
内閣
の
責任制
についてもこの際明確にすべきだと思います。 私は、
田中総理
に対し、今日までの
閣僚
の不謹慎な
発言
は、
憲法軽視
、
憲法無視
の
行為
であり、特に増原問題は、増原氏が
防衛庁長官
を辞任しただけで片づけられる問題でないことを指摘しておきたいのであります。
天皇
の
国事
に関するすべての
行為
は
内閣
がその
責任
を負うことになっておりますから、増原問題は、当然
田中内閣
全体の問題であり、
田中総理自身
の
責任
に帰すべきものだと思います。しかし、
田中総理
は、
憲法
第三条に定められたこの
内閣
の
責任
をとられようとしないのでありまして、まことに遺憾に思います。この点、
総理
の御
見解
を承っておきたいのであります。
田中総理
は、一体、
日本国憲法
の
基本精神
をいかに理解し、尊重し、
擁護
して、
憲法
上の
義務
を全うしようとしているのか、また、
現行憲法改正
の
意図
を持っているかどうか、明確にお示しいただきたいのであります。 次に、
天皇
へのいわゆる
内奏
と
公的行為
についてお伺いします。
政府
は、
内奏
と
公的行為
についてきわめてあいまいな
態度
を示しておりますが、
天皇
の
行為
は
憲法
の
基本精神
に沿って厳格に限定し、本来、
憲法
に
規定
する
国事行為
と
純然
たる私人としての
行為
だけに限るべきだと思います。
政府
は、
天皇
の
行為
を、
国事行為
、
象徴
としての
公的行為
、
純然
たる
私的行為
の三つに分けておられますが、このうち
公的行為
の範囲はどこまでなのか、その基準をはっきりさせていただきたいのであります。 また、
憲法
上、
内奏
という
規定
はありませんが、
内奏
とはどのような
内容
のものであるのか、明らかにしていただきたいのであります。 私は、
天皇
の
公的行為
や
内奏
について否定する
考え方
はありません。ただ、これらのことは
内閣
の考えによって行なわれるものでありますから、一たびその
解釈
と運用を誤りますならば、
天皇
を
政治
的に利用されるおそれなしとしないのであります。したがいまして、
内閣
は、
内奏
と
公的行為
については明確な
規定
を設け、かりそめにも、
天皇
が
政治
的に利用をされることのないよう特段の配慮をすべきだと思います。
総理
の御
所見
を承りたいのであります。 なお、この機会に、
憲法上皇室
はどういうものが正しいのか、その
あり方
についてお示しをいただきたいのであります。
最後
に、
天皇
は
元首
であるかどうかの点についてお伺いします。
田中総理
は、六月七日の
衆議院内閣委員会
において、
元首
は学問的にはいろいろあるが、
統治権
を持った
元首
という
意味
では
天皇
は
元首
ではないと言いながらも、しかし、
国民統合
の
象徴
として
天皇
をいただいており、
外国
から見ると、
日本
の
元首
は
首相
でなく、
天皇
ということになるようだ、また、
憲法
上も
元首
ではないとの
規定
はないとの
発言
をしております。この
答弁
には、巧妙に
天皇
を事実上、
元首
化しようとする意向が隠されていると言わなければなりません。
田中総理
が、もし
憲法
上
天皇
が
元首
でないという
規定
がないから
天皇
が
元首
だとの
解釈
をとっているとすれば、これは
中曾根発言
以上に重大でございます。
元首
とは、国の首長であり、対外的に
国家
を代表する資格を有する
国家機関
をさし、
外国
との
条約締結
の
権能
、
全権委任状
や
信任状
を発する
権能
を有することが通説でありますが、
日本
の
天皇
は、前にも述べたとおり、これらの
権能
は有しないのであります。したがって、
日本
の
天皇
は、
憲法
上、
元首
でないことは明確であります。
明治憲法
は、第四条に「
天皇ハ國
ノ
元首
」と
規定
しておりましたし、諸
外国
においても、
元首
の
地位
は
憲法
に明記しているのが通例であります。
田中総理
の言う、
憲法
上も
天皇
が
元首
ではないとの
規定
はないという
考え方
は、こじつけ
元首論
でありまして、容認することはできません。
総理
の明快な御
見解
を承りたいのであります。 私はこの
質問
を終わるにあたり、
田中総理
に訴えたいのであります。
憲法
は国の
基本法
であり
最高法規
であります。
日本国憲法
は、
昭和
二十一年十一月三日公布され、翌二十二年五月三日施行されたものでありますが、この
憲法
は、旧
帝国憲法
を全面的に
改正
したものでありまして、
国家再建
の基礎を
人類普遍
の
原理
に求め、自由に表明された
国民
の
総意
によって確定されたものであり、
主権
が
国民
に存することが宣言され、明定されているのであります。しかし、この崇高な
憲法
の
基本理念
を正しく理解しようとしない風潮が一部に見えますことは、非常に重大問題だと思います。
憲法
を守り、
憲法
に従うことは、全
国民
の
最高
の
義務
であります。
政府
は、
憲法
九十九条によって、
憲法順守
と
擁護
の
義務
を特別に強く負わされているのであります。
国民
は、いま異常な物価高や公害によって苦しみ抜いています。
田中内閣
に対する
国民
の批判は頂点に達しているように私は思うのであります。
総理
が、
日本国憲法
を忠実に履行をされるならば、
憲法
第二十五条の、
国民
に対する健康にして文化的な
最低生活
の
保障
はできるはずであります。 私は、
総理
と
閣僚
は、あらためていま一度
日本国憲法全文
を読み直して、
日本国憲法擁護
の
精神
に徹していただくよう、大いに勉強していただきたいことを忠告して
質問
を終わります。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣田中角榮
君
登壇
、
拍手
〕
田中角榮
6
○
国務大臣
(
田中角榮
君)
鈴木強
君に
お答え
をいたします。 第一番目は、
中曽根発言
で、
日本
は
王制
であると述べた点について、
所見
と
認識
について
見解
を求められたわけでございますから、まずこの問題から
お答え
をいたしたいと存じます。
王制
ないし
君主制
という
ことば
の
意味
は、
君主自体
の概念が歴史的に変化していることに伴いまして、今日では、学問上も必ずしも一義的にとらえがたくなっておることは御
承知
のとおりでございます。そして今日の
近代的国家
における
君主
については、実質的な
統治権
は、これを持たないかあるいは制限されたものとなっているのが普通でありますが、なお、
国民
の
尊貴
の対象としての
地位
にあって、かつそれが
世襲制
である場合に、その
存在
を今日的な
意味
の
君主
としてとらえ、そのような
君主
が
存在
する
国家
をもって
君主制
とすることも可能であるとする
見解
も多くあるところでございます。したがって、要は
定義
の
しかたいかん
によるわけでありますが、
中曾根発言
も、このような
見解
のもとになされたものであって、誤りであるとは考えておりません。 第二は、
中曾根発言
をどう
認識
し、
任命権者
としてどう思うか、こういう
発言
でございますが、
中曾根大臣
は、社交的な会話の場において、
日本
、
イランとも
に
皇室
または
王室
をいただき、古い
伝統
を誇っておる
共通性
に着目して
発言
をしたのにとどまっておるのであります。同
大臣
が、
主権在民
、
象徴天皇
について定める
日本国憲法
について、正確な
認識
を持っておることは申すまでもないことであります。 次は、
イラン
における
中曾根発言
を
訂正
する必要があるかないかという
趣旨
の御
発言
でございますが、
中曾根大臣
は、
日本
、
イランとも
に
皇室
または
王室
をいただき、古い
伝統
を持つ
共通性
を強調したものであり、また、
外国人
に対してわかりやすいように
表現
したものであり、これを
訂正
する必要はないものと考えております。 次は、
憲法
に対する
基本姿勢
と
改憲
の問題について申し上げます。
憲法
第九十九条の
規定
に従いまして、
政府
は
憲法
を順守することを常に
国政運営
の
基本
としてまいっております。今後とも、この
基本姿勢
にはいささかの変わりもありません。
憲法改正
の問題は
国民
の
総意
のおもむくところに従うべきでありまして、
政府
としては現在
憲法
の
改正
は考えておりません。 次は、
天皇
の
公的行為
の
性格
、いわゆる
内奏
など
天皇
を
政治
的に利用するものはやめるべきではないかという
趣旨
の御
発言
と理解をいたしますが、いわゆる
天皇
の
公的行為
というのは、
憲法
に定める
国事行為
以外の
行為
で、
天皇陛下
が
象徴
としての
地位
に基づいて、公的な立場で行なわれるものをいうのであります。これは、
象徴
たる
地位
にあられる
天皇
の御
行為
としては当然のことだと考えております。
天皇
の御
行動
、御
発言
には、
国政
に影響を及ぼすようなことは一切ありません。なお、
天皇
に対する
所管事項
の御
説明
は、
象徴
である
天皇
が一般的な知識、教養を高めるために行なわれるものでございまして、いささかも
政治
的な
意味
を持つものでありませんので、
政府
としては、これを取りやめることは全く考えておりません。(
拍手
) なお、
内奏
についての問題に対して御
発言
がございましたが、御
承知
のとおり、
親任式
及び
認証式
を行なう前に、立ち会う
国務大臣
その他が事前に御
説明
を申し上げることを
内奏
と称しておるのでございます。
最後
に、
天皇
は
元首
かどうかという問題について申し上げますが、現在の
憲法
のもとで
天皇
が
元首
であるかどうかについては、要するに
元首
という
ことば
の
意味
、
内容
をどうとるかということにかかっておると思うのであります。昔のように、
元首
とは
内事
、
外交
のすべてを通じて国を代表し、
行政権
を掌握しておる
存在
であるという
定義
によるならば、現在の
憲法
のもとで、
天皇陛下
は
元首
でないとの議論も起こるのでございます。しかし、現在の
憲法
のもとでも、
天皇
は国の
象徴
であるという面、さらには、ごく一部ではございますが、
外交関係
において国を代表する面を持っておられるのでありますから、そういう面をとらえて
元首
という
定義
によるならば、
天皇
は
元首
であるということにもなるわけであります。 以上。(
拍手
) 〔
国務大臣中曽根康弘
君
登壇
、
拍手
〕
中曽根康弘
7
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 私の不用意な
発言
によりまして、
国会
に
混乱
を起こし、御迷惑をおかけいたしましたことに深く遺憾の意を表します。
イラン
におきまして、私は
要人
との
対談
中、
王制云々
という
ことば
を用いましたが、これは
日本
、
イランとも
に
皇室
または
王室
をいただき、古い
伝統
を誇っている
共通性
を強調して、
親善友好
の
雰囲気
を盛り上げるために用いたものであります。特に
外国人
に対して簡単にわかりやすいように
表現
したものでありますが、
ことば
が足らず、不正確の
発言
につき、遺憾の意を表するものでございます。
日本
の
象徴天皇
と
イラン
の
王制
との間には、著しい
相違
がございます。ともに
皇室
または
王室
をいただいてはおりますが、
天皇
と
皇帝
の間には、その
権限
並びに
国家体制等
においてかなりの
相違
があると
認識
しております。
憲法
を冒涜したその
責任
はきわめて重大であるとの御指摘がございますが、
友好親善
の
雰囲気
を盛り上げることに熱心なあまり、不正確な
表現
をして
誤解
を与えるおそれがあったことにつきましては、遺憾の意を表している次第でございます。 また、
発言訂正云々
の点でございますが、
さき
に申し述べましたように、
イラン
において、私は
要人
との
対談
中に
王制云々
という
ことば
を用いましたが、これは
日本
、
イランとも
に
皇室
または
王室
をいただき、古い
伝統
を誇っている
共通性
を強調して
親善友好
の
雰囲気
を盛り上げるために用いたものでございまして、理解していただけると思うのでございます。 以上のような
意味
と
意図
で用いたものでございますから、
発言
の
訂正
をいたさなくても、
相手側
も十分その
趣旨
を理解してくれるものと考えております。 なお、
主権在民
であるとともに、
象徴天皇
をいただく独特の
体制
である
わが国
家の
性格
をよく
認識
し、一貫して
日本国憲法
を順守するものであります。(
拍手
)
河野謙三
8
○
議長
(
河野謙三
君)
内閣総理大臣
から
答弁
の補足があります。
田中内閣総理大臣
。 〔
国務大臣田中角榮
君
登壇
、
拍手
〕
田中角榮
9
○
国務大臣
(
田中角榮
君) 御
質問
が
一つ
落ちておったようでございますから、あらためて申し上げます。
皇室
の
あり方
、
皇室
の
あり方
についての
政府
の
所見
、また
政府
と
皇室
との
関係いかん
という御
質問
でございましたから、申し上げます。
皇室
の
あり方
については、
憲法
が第一条に「
天皇
は、
日本國
の
象徴
であり
日本國民統合
の
象徴
であつて、この
地位
は、
主権
の存する
日本國民
の
總意
に基く。」と定め、第四条に「
天皇
は、この
憲法
の定める
國事
に關する
行鳥
のみを行ひ、
國政
に閲する
権能
を有しない。」と定めるところに尽きておると思います。
政府
としては、
皇室
を
政治
的に利用するなどということは毛頭考えず、
象徴天皇制
の定める
憲法
の
規定
を
国民
とともに順守してまいる所存であります。以上。(
拍手
) ———
—————
—————
河野謙三
10
○
議長
(
河野謙三
君)
宮崎正義
君。 〔
宮崎正義
君
登壇
、
拍手
〕
宮崎正義
11
○
宮崎正義
君 私は、公明党を代表して、
中曾根通産大臣
の
王制発言
の
重要性
にかんがみ、
総理
並びに
通産大臣
に対し、その
責任
を明確にし、厳重に究明するものであります。 去る六月五日、
内閣委員会
で私は
通産大臣
に対し、サウジアラビア、
イラン
、クエート、アブダビの四
産油国
を歴訪された詳細の報告を求め、なお、
通産大臣
の
帰国談
の中で
日本
は
消費国同盟
に参加しないと言われたその
理由
を明確にされたいことを質疑したのであります。
中曾根通産大臣
はそれに答えて、
消費国同盟
に入らない経緯の
説明
があり、もう
一つ
は、
大西洋同盟
に
日本
が入るかということを
イラン
の
ホベイダ
という
首相
に聞かれたそのときに、「
日本
は
アジア
の東にあって
王制
の国です、あなた方は
アジア
の西にあって同じく
王制
の国で、ともに古い
伝統
を持っておる
国家
です、この
二つ
の国が東と西で手をつないで
経済協力
をし、
お互い
に繁栄して、
アジア
の安定、
世界
の平和のために貢献するということは非常に
欣快
なことであると思う」との
答弁
がありました。この
答弁
は、
わが国
の
主権在民
の
平和憲法
、
民主憲法
の否定につながるきわめて重大な
発言
であります。 そこで、問題となる第一は、
中曾根通産大臣
の
発言
が、まさしく
わが国
の
主権在民
の
平和憲法
に違反するということでございます。すなわち、
通産大臣
は、
王制
の語源を明確にせず、帝政
イラン国
と
わが国
の
政治体制
を同一視した点であります。申し上げるまでもなく、
イラン国
は正式には
イラン帝国
であり、
君主
国であって、
皇帝
の
権能
は、立法権、
行政権
を有し、
大臣
の任命及び罷免、下院及び上院の解散、法律の裁可及び勅命の発布、三軍の総帥、宣戦布告及び講和のほか、大赦、栄典授与を行なう等、
イラン
の現
憲法
は
わが国
の旧
帝国憲法
に類似した
性格
を持つものであります。 一方、
わが国
は、
憲法
第一条に、「
天皇
は、
日本國
の
象徴
であり」「この
地位
は、
主権
の存する
日本國民
の
総意
に基く。」とあり、
イラン帝国
のような
君主
国ではないことはきわめて明確であります。 また、
天皇
の
権能
については、第七条に「
内閣
の助言と承認により」と制約されており、
国家
意思の形態に関しては、実質的に参加されないのであって、国権行使の態様にあっては、
イラン
と
わが国
では全く相異なっているのをどう考えているのか、
中曾根通産大臣
の
所見
を伺いたいのであります。 また、
中曾根通産大臣
の
発言
は、
イラン国
首相
に、「
日本国
は
アジア
の東にあって
王制
の国です。あなた方は
アジア
の西にあって同じく
王制
の国」と言って迎合し、
わが国
の制度を事実に反して話したことは、
日本
政府
の現
閣僚
としてはなはだ軽率であり、
国会
における食言とは異なり、
外交
上の問題であります。そのことは、考えようによって、
イラン国
首相
に誤った
日本
の
認識
を与えたことになるのではないでしょうか。
通産大臣
は、この重大な
発言
の誤りを
イラン
首相
に何と
訂正
しようとするか、この点、明確なる
答弁
をしていただきたい。 第二は、
中曾根通産大臣
の潜在意識が問題でございます。 かつて
中曾根通産大臣
は、
昭和
四十五年、第六十三
国会
の本
会議
——先ほどもお話がございましたが、その中の
答弁
で、
わが国
の自衛隊を空軍、海軍と
発言
したことが問題となったこと、
さき
に報道された
大阪発言
等に見られるその本心の奥底にあるものは、一貫して常に旧
帝国憲法
精神
が宿っているのではないでしょうか。今回の
発言
も、
イラン
君主
国を訪問し、かつての
わが国
の軍国主義時代を思い、現
憲法
を無視した
発言
であると言わざるを得ない。この点の
中曾根通産大臣
の本心が那辺にあるか、お伺いをいたしたいのでございます。 次に、紛糾を起こした
王制発言
に対して、
通産大臣
の報道による弁解で、「国際的にわかりやすい
表現
を用いたため、意を尽くさないこともあると思う」と言われている。その意を尽くさないことをなぜ
発言
したのか。さらに、「
日本
と
イラン
はともに古い
伝統
をもち、
皇室
をいただいているという点に着目して」と言うが、「ともに古い
伝統
をもち」と言われたその
表現
の中には、旧
帝国憲法
時代の様相を
通産大臣
は思い浮かべながら、
わが国
の政体の誤った
認識
を永久に
イラン
首相
に与え、
イラン国
の制度と同様に受けとめさせたことになる。この点はどうお考えか。また、「
外国人
に対してわかりやすく
説明
するため、
王制
という
表現
をした」と言うが、これではかえって
イラン
首相
に
誤解
を与え、
イラン
と
わが国
の
外交関係
にも重大な影響を与えないとも限らない。
中曾根通産大臣
の率直な
答弁
をお願いをいたしたい。 次に、
田中総理
にお伺いをいたします。 この機会に、まず
わが国
の現
憲法
の
あり方
、
政治体制
について明確にし、国際的にも発表すべきであると思うが、どうでしょうか。 次に六月七日、
衆議院内閣委員会
で、
王制
に関する
質問
に対しての
答弁
で、
総理
は、「
皇室
中心というような考えで、平たい
意味
での
王制
、こう述べたのだと思います」 平たい
意味
での
王制
とはいかなる
意味
か、理解しがたいのであります。 また
総理
は、「
国会
の
質問
に対して述べたのではなく」云々と言われております。それでは
外国
で何を話してもよいというのでありましょうか。 さらに
総理
は、「相手との
雰囲気
の問題もありますし、いろいろな立場があると思いますので」と
答弁
をされたが、
わが国
の現
憲法
の
あり方
等を
雰囲気
等でゆがめながら話し合えることができるものなのでしょうか。その点について
総理
のお考えをお伺いをいたしたいと思います。 また
総理
は、「
王制
というその
部分
だけ抽出しながら、
日本
憲法
上の
解釈
を誤っておるということを論ずるに当たらない」という
答弁
に至っては、言語道断でございます。その
部分
だけ抽出しながらと言われますが、その
部分
が重要であるからこそ、私は取り上げたのでございます。その
部分
、つまり
日本
の
王制
と
イラン
の
王制
とが同じだという
ことば
の
表現
が違法をしておることにもなると思われるが、この点はどうなのでしょうか。 また
総理
は、
中曾根通産大臣
の
発言
は、
外交
上の辞令の中で軽く話した程度であるというようにお考えになっておられるのではないでしょうか。もし
外交
辞令でやったとすれば、ますます重大なことになると私は思います。
総理
のお考えをお尋ねをいたしたいと思います。 以上申し上げましたように、
中曾根通産大臣
の感覚は、たとえあとからの釈明がどうあっても、旧
帝国憲法
を思わせるような不用意な
発言
としか受け取れないのであり、こうした
考え方
が
田中内閣
閣僚
の中にあって、
憲法
改悪の動きとさえなっているのではないでしょうか。それらについて
総理
の
所見
をお伺いいたします。
最後
に、
総理
にお伺いいたしますが、今回の
中曾根通産大臣
の
発言
のみならず、江崎自治
大臣
が小選挙区の問題について、
国会
を延長しての想定のもとに云々のごとき、行
政府
の一
閣僚
の身でありながら、立法府の
権限
に立ち入った
発言
、中村前衆議院
議長
の、強行採決は絶対にしないと言っているわけでなく、慎重に対処すると野党をごまかしたという放言、増原前
防衛庁長官
の
天皇
を
政治
的に利用した
発言
といい、連鎖反応的な現職
大臣
の失脚は、まさしく
田中内閣
の指導力を失った末期的症状をさらけ出したものと言わざるを得ないのでございます。昨年七月発足以来わずかに十カ月、この現状をどうとらえられておられるのか伺いたいのであります。 また、行政面においては、
田中総理
が御自慢の
日本
列島改造論が、思わぬ土地価格の大暴騰を招き、
国民
はマイホームの夢を失い、大企業のPCBや水銀公害により、
日本
列島は公害列島と化し、われわれの命のかてとなる米や魚まで汚染され、全く食品総汚染の状態で、
国民
は何を食べてよいのか、不安の極に達しているではありませんか。 また、大企業、商社等の買い占めと、
政府
の無能なインフレ政策により、卸売り物価の上昇も消費者物価の上昇もとどまるところを知らず、まさに史上最悪の悪性インフレの様相を呈し、生活を窮迫にさせている無策ぶりは、すべて
総理
の
責任
であると私は断ずるものでございます。(
拍手
) やはり
田中内閣
は庶民宰相ではなかったとの声が、ちまたに充満しているのであります。
田中総理
、あなたはその声が聞こえるでありましょうか。 いま、一日も早く解決をしなければならない多数の生活法案をかかえ、かかる
閣僚
の失言、放言により、またまた
国会
を空白化させたこの
責任
は、まさしく
田中内閣
全体の
責任
であると断じ、
総理
並びに
通産大臣
はすみやかに退陣し、
国民
にその不明を陳謝すべきであるが、どうか。
総理
の明快なる御
答弁
を伺い、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣田中角榮
君
登壇
、
拍手
〕
田中角榮
12
○
国務大臣
(
田中角榮
君)
宮崎正義
君に
お答え
をいたします。
イラン
は
立憲君主国
であり、国権の様態も
わが国
と異なっておるということは、そのとおりでございますが、これを無視した
通産大臣
の
発言
に対してどう考えるかということでございますが、
王制
という問題に対しては、先ほど
鈴木強
君に
お答え
をしたとおりでございます。
中曾根通産大臣
の
発言
の真意は、両国間の
憲法
上の
相違
は十分
認識
しつつ、両国が同じように世襲的に継承される
尊貴
な
地位
にある方を持つという共通点に着目をして、「ともに
王制
の国」と言ったものでありまして、その
意味
するところは、
主権在民
であるとともに
象徴天皇制
であるというわが
憲法
の原則を無視したものではありませんから、違憲であるというような御批判は当たらないと、こう思うのでございます。
外国人
にわかりやすく
説明
する便宜主義、便利主義は許せないという
趣旨
の御
発言
でございます。また、
国会
の場での「
日本
は
王制
である」との
発言
には問題があると、こういうことでございますが、
外国人
にものごとをわかりやすく
説明
をしようとする努力をもって便利主義ときめつけることは、妥当でないのではないかと考えられるのであります。
イラン
における
発言
を
国会
でまた述べたことにつきましては、言わずもがなのものであったと考えますが、問題はないと考えております。 それから物価騰貴、公害問題、土地問題等についてでございますが、物価騰貴等に対しましては、
政府
は諸般の政策を実行しておることは、御
承知
のとおりであります。全力をあげてこれと取り組んでおる次第でございます。それにつけても、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案はじめ国土総合開発関係諸法等、物価に重大な関係のある法律の早期成立を期待いたしておるのであります。 また、
内閣
が
発言
に慎重でなければならない、
国会
に対しても十分注意をした
発言
をすべしということにつきましては、御注意を感謝いたします。以後、
発言
には注意をいたします。 ただ、注意が、——あまり注意をして何もしゃべらない、
お答え
をしないようになっては民主
政治
の根本を破壊することにもなりますので、そういうことに対しては、可能な限り最大、誠意をもって
お答え
をしておるということを御理解を賜わりたい、こう思うのでございます。失言はしないように、十分注意をいたします。
田中内閣
は
閣僚
とともに退陣すべしということでございますが、退陣する意思はありません。
国民
のためになさなければならない
責任
はまだ山積をしておるのでありますから、正面から取り組んでおりますので、野党の皆さんにも十分な御協力を切に願います。(
拍手
) 〔
国務大臣中曽根康弘
君
登壇
、
拍手
〕
中曽根康弘
13
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 私の不用意な
発言
によりまして、
混乱
を起こし、御迷惑をおかけいたしましたことについて、重ねて遺憾の意を表する次第でございますが、
イラン
におきまして私が
発言
いたしました真意は、両国の
親善友好
の
雰囲気
を盛り上げるために用いたものでございまして、特に
外国人
に対して、短い時間に簡単にわかりやすいような
意味
で
表現
したものでありますので、相手方には真意は理解していただけるものと考えております。 さらに、私の
発言
は以上のような
意味
と
意図
をもって用いたものでございまして、
表現
において必ずしも正確な
ことば
でなかったことにつきまして、遺憾の意を表するものであります。 私は、
日本国
は
主権在民
であるとともに、
象徴天皇制
をいただく独特の
体制
であることを強く
認識
し、一貫して
日本国憲法
を順守するものであり、この見地に立って
国政
に精進したいと存じます。 また、
日本
の
象徴天皇制
と
イラン
の
王制
との間には著しい
相違
があります。ともに
皇室
または
王室
をいただいてはおりますが、
天皇
と
皇帝
との間には、その
権限
並びに
国家体制等
においてかなりの
相違
があると
認識
しております。
イラン
において、
要人
との
対談
中、
友好親善
の
雰囲気
を盛り上げることに熱心なあまり不正確な
表現
をして、
誤解
を与えるおそれがあったことを遺憾に存じます。(
拍手
) ———
—————
—————
河野謙三
14
○
議長
(
河野謙三
君)
中村利次
君。 〔
中村利次
君
登壇
、
拍手
〕
中村利次
15
○
中村利次
君 私は、民社党を代表して、去る五日、当
院内閣委員会
でなされた
中曾根通産大臣
の
発言
について、その真意をただし、
責任
を追及するとともに、
田中内閣
の
政治
姿勢
について
質問
します。 最近、
憲法
に関連する
国務大臣
の重大
発言
が相次ぎ、
国会
の問題となっていることはまことに遺憾というべきであり、痛憤のきわみであります。
わが国
の
憲法
は、その第一章において、
天皇
の
地位
、
国事
に関する
行為
、
権能
、その他を明確に定めています。すなわち、「
天皇
は、
日本國
の
象徴
であり、
日本國民統合
の
象徴
であって、」
国事
に関する
行為
を
内閣
の助言と承認によって行なわれ、
国政
に関する
権能
をお持ちにならないことになっています。 民社党は、
天皇
が
政治
権能
に御関係なく、永遠に民族統合の
象徴
として
国民
にひとしく尊崇されることこそが真にわれわれの求めるものと考えますが、
田中総理
の御
見解
はいかがでしょうか。 しかるに、
さき
に増原
防衛庁長官
は、
記者会見
において
国務大臣
にあるまじき
発言
をし、その
発言
が
国会
において問題となるや、
発言
そのものの事実がなかったとして不実
発言
の責めを負って辞職されたのであります。いやしくも、一国の
国務大臣
がみずから行なった会話を正しく第三者に伝える能力を欠いた結果、
天皇
に御迷惑を及ぼし、
国会
審議に重大な支障を来たし、あわせて
国民
に不信感を与えた
責任
は、ただ単に当該
大臣
の辞職のみで果たされるものかどうか、
内閣
の
責任
、なかんずく、
閣僚
の任免権を持つ
総理
の
政治
責任
に関係はないのか、
政治
姿勢
の問題として
総理
にお尋ねをいたします。 このたびの
通産大臣
の
発言
は、
象徴天皇
をいただく
日本
と、行政、
国政
に
権能
をお持ちの国王をいただく
イラン
とを同じ
王制
の国として、
イラン
においてのみでなく、当院の
内閣委員会
において繰り返し
発言
をし、これを当然とする
姿勢
に重大な問題があるのであります。
総理
は、先ほどから、
中曾根通産大臣
のこの
王制発言
は問題なしという御
答弁
をされておりますけれども、これはきわめて重大な問題でありまして、まさに一貫性がないわけであります。
象徴天皇
として、
国政
の
権能
のない
現行憲法
を守るとおっしゃりながら、片方で、
中曾根通産大臣
もお認めになっておりますように、
日本
の
天皇
と
イラン
の国王が全く違った
権能
をお持ちになっておるのを、同じ
王制
の国ととらえたことを間違いがないという御
答弁
は、どこから出てくるのか。まさに一貫性を欠くものと断定せざるを得ません。 私は、前
防衛庁長官
、
通産大臣
ともに、
憲法
を尊重し、
擁護
する
義務
を負う
国務大臣
にあるまじき
言動
であると思います。
憲法順守
の
最高
責任
を有する
政府
の中に、これを尊重し、
擁護
する
義務
感がないと思われる
発言
が相次ぐという異常な事態を、一体どのように受け取ればよいのか。明治維新を王政復古といいますが、これら一連の
発言
の
性格
からすれば、そのような王政復古を含む
憲法改正
の
意図
が
自民党
と
政府
にあるものと受け取れますが、
総理
のこの点についての明確な御
答弁
をぜひともお伺いいたします。 また、
わが国
の
憲法
解釈
は、学者間においても、
国民
論議の上でも必ずしも統一されたものとはいえない点もあります。
憲法
の
解釈
が分かれた場合、
政府
ははたしてどのような立場をとられるのか。この点についても
総理
のはっきりした
お答え
をいただきたいと存じます。 次に、
中曾根通産大臣
にお尋ねいたします。 あなたの
内閣委員会
での御
発言
によれば、過般の中東四カ国訪問の際、
イラン
の
ホベイダ首相
との会談にあたって、「
日本
は
アジア
の東にあって
王制
の国です、あなた方は
アジア
の西にあって同じく
王制
の国で、ともに古い
伝統
を持っておる
国家
です、」という
発言
をされています。その後の新聞報道によれば、
イラン
との親密性を強調し、わかりやすい
外交
用語として、
外国人
に対してもわかりやすい
王制
という
表現
をしたという
意味
の釈明をされているようであります。私は、
通産大臣
が資源
外交
の上で
イラン
との親密性を強調し、わかりやすい
外交
用語をお使いになることは一向に差しつかえないと思いますが、しかし、それはあくまでも
憲法
にはずれないという大前提が必要であり、いかなる
理由
、いかなる場合でも
憲法
に反する
言動
は断じて許されるものではありません。
日本
の
天皇
と
イラン
の国王の関連で両国の親密性を強調する
表現
に
通産大臣
がお困りのはずは断じてありません。それをあえて
憲法
に反し、
憲法
を侵す
表現
を用いられたのはなぜか、
大臣
の真意を承りたい。 マックスウエーバーは
政治
家の要件の
一つ
として雄弁をあげていることは有名ですが、雄弁とは正しい
ことば
、正しいレトリックを
意味
します。
通産大臣
はかつて
防衛庁長官
として当院本
会議
で、空海の自衛隊を「空軍」「海軍」と呼び、陳謝をされたことがありますが、雄弁をもって聞こえ、頭脳明晰な
通産大臣
が、不用意にこれらの失言をされるはずはありません。
大臣
のこれらの
発言
こそは、あなたが本質的に
憲法改正
の意思をお持ちのところから発するものと思いますが、いかがでしょう。率直な御意見を
国民
の前にお示し願いたいと存じます。 あなたは
自民党
の単なる一
国会
議員
ではありません。行
政府
の
責任
者、
国務大臣
です。その
国務大臣
の無自覚な
発言
の結果、
国会
において
天皇
に関する論議が行なわれなければならないことを、私はきわめて遺憾に思います。これは不用意、無自覚で済まされる問題ではありません。あなたたちは
最高
の引責をなさっても、辞職すればそれでよろしいでしょう。しかし、長く
国民
の中に残るであろう影響をお考えになったことがありましょうか。私は、
通産大臣
の
日本国民
としての良心に訴えて伺いたい。この
責任
をどのように考え、どのような責めを負われるのか。明確な
お答え
をいただきたい。
中曾根通産大臣
は
田中内閣
の重要
閣僚
の一人であり、将来の
総理
の呼び声すら聞かれる人であります。そのあなたが、ここでどのような釈明をなさろうとも、現実に当院の審議は数日間空転をし、生活法案を含む重要法案を
国民
の立場に立って審議せよという声にこたえ得ない結果を招来したことをどのように
認識
をされるのか。みずからの
責任
を痛感されるなら、その
責任
をどのような形でおとりになるのか、きびしくお伺いをして私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣田中角榮
君
登壇
、
拍手
〕
田中角榮
16
○
国務大臣
(
田中角榮
君)
中村利次
君に
お答え
をいたします。 第一は、
天皇
は
日本国
の
象徴
であり
日本国民統合
の
象徴
であって、
国民
からひとしく尊崇さるべきものであると思うがどうかという
基本
的な問題に対しての御
発言
でございますが、
憲法
第一条が、「
天皇
は、
日本國
の
象徴
であり
日本國民統合
の
象徴
」であると定めておるのは、
天皇
の
存在
を通じて一そこに
日本国
と
日本国民統合
の姿を見ることができるという
日本国民
の
総意
をあらわしたものだと考えます。
象徴
としての
地位
にあられる
天皇
が
国民
からひとしく尊崇さるべきことは、もとより言うまでもないのでありまして、私は、
内閣
の首班として、今後とも、
国政運営
のすべてにおいて、
象徴天皇制
のよって立つ
国民
の
総意
がいささかもそこなわれることのないよう努力をしてまいります。(
拍手
) 次は、増原前長官が
責任
をとって辞任したが、
内閣
にも
責任
があるのではないかという
趣旨
の御
発言
でございますが、増原前長官は、新聞記者に対する
説明
が意を尽くさず
誤解
を与えたことの
責任
を負って辞職をしたものであります。かかる事態に立ち至ったことはまことに遺憾であります。
内閣
は、
憲法
を守っており、
天皇
を
政治
のために利用するという考えは毛頭ありません。したがって、
内閣
としての
責任
をとるべき筋合いのものとは考えません。 次は、
象徴天皇制
と
行政権
を持つ国
王制
を同列にした
外交
辞令を、
国会
で再確認をしたのが問題であるという
趣旨
の御
発言
でございますが、
中曾根大臣
は、
日本
、
イランとも
に、世襲の
皇室
または
王室
をいただいておるという共通点に着目をし、
外国人
に対して簡単にわかりやすいように
表現
したものであって、
憲法
論を展開したものとは考えておりません。しかし、これを
国会
でまた
発言
をしたことは、言わずもがなのものであったように思われるのでございます。 なお、
王制
の学問的問題については、先ほど申し上げたとおりでございます。
自民党
政府
には、
憲法改正
の
意図
があるかどうかという問題でございますが、
憲法
九十九条の定めに従い、現
憲法
を順守してまいることは申すまでもないことであります。なお、
憲法改正
の問題は、
国民
の
総意
のおもむくところに従うべきものであり、
政府
としては、現在、
憲法改正
を取り上げる考えはありません。 以上。(
拍手
) 〔
国務大臣中曽根康弘
君
登壇
、
拍手
〕
中曽根康弘
17
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) まず、
王制
という
ことば
の不用意さを御指摘なさいましたが、まことにそのとおりでございまして、遺憾の意を表する次第でございます。 私の真意は、
親善友好
の
雰囲気
を盛り上げるために用いたものでありまして、御指摘のように、もっと正確な
表現
を用いたほうが望ましかったわけでありますが、短時間の間に、熱心なあまりに不正確な
表現
を用いたものでありまして、遺憾の意を表するものであります。 また私は、
日本国
は
主権在民
であるとともに
象徴天皇
をいただく独特の
体制
であることを強く
認識
し、一貫して
日本国憲法
を順守するものでありますし、
国政
に精進したいと思っております。御
質問
のような
改憲
を頭に置いていることは全くございません。 私の今回の
発言
の
趣旨
は冒頭に述べましたとおりでございまして、
天皇
を
政治
的に利用しようというような
意図
は全くございませんので、この点については御理解をいただきたいと思います。
最後
に、生活関連法案等の審議の点につきまして、私の
発言
のために今
国会
の審議に御迷惑をおかけいたしましたことにつきましても、遺憾の意を表します。(
拍手
) ———
—————
—————
河野謙三
18
○
議長
(
河野謙三
君)
岩間正男
君。 〔
岩間正男
君
登壇
、
拍手
〕
岩間正男
19
○
岩間正男
君 私は、
日本
共産党を代表して、若干の
質問
をいたします。
天皇
と
政治
に関する
憲法
論議は、
憲法
に明記した
国民主権
の根幹にかかわる重大問題であります。 〔
議長
退席、副
議長
着席〕 わが党が、いま特にこの問題を重視するのは、
天皇
制の是非という次元の論議でなく、現
憲法
の
基本
原則である
主権在民
の立場に立って、平和的、民主的条項が厳格に実施されているかいなかを徹底的に究明するためであります。したがって、
総理
は、
さき
の衆議院での
答弁
のように、事態を糊塗隠蔽し、虚構の論議で
国民
の目をごまかすことなく、
国会
の場を通じて、
天皇
と
政治
の正しい
あり方
について
責任
ある
答弁
をすることであります。このことこそ、いま、
政府
と
国会
に負わされた重大な責務であり、私はまずこのことを指摘して、以下
質問
に入ります。 最初に伺いたいことは、
中曾根通産大臣
のいわゆる
王制発言
についてであります。
中曾根通産大臣
は、
イラン
を訪問した際、同国の
首相
に対し、
主権在民
を明記した
憲法
を持つ
わが国
と、国王が強大な
権限
を持っている
イラン
とを同一視する
発言
をしました。いやしくも一国の
閣僚
が公式の場でこのような
発言
をしたことはきわめて重大であります。あなたは
日本
を
イラン
と同じような
王制
の国と考えているのか、明確な
答弁
を求めるものであります。 また、
中曾根通産大臣
は、六月二日大阪での発し言で、「
日本
という国が二千数百年も続き、まとまってきたのは
天皇
があったからだ」「
田中内閣
が何だかんだと言われても、
内閣
が倒れ、めちゃめちゃになるでしょうが、
天皇
の大きな求心力で
日本
はもっている」とまで述べております。ここに示されている
中曾根通産大臣
の思想は、国の存立の基礎を
国民
に置くのではなく
天皇
に置くということであります。これは
憲法
の
主権在民
の
精神
を根本から否定するもので、まさに
閣僚
の資格に欠けるものと言わなければなりません。
中曾根通産大臣
はこの点についてどのように考えているのか、明確な
答弁
を求めるものであります。
田中総理
は、六月七日の
衆議院内閣委員会
で、
天皇
が
国政
に関与するようなことはなく、これは旧
憲法
時代から一貫していたという
趣旨
の
答弁
をしましたが、この
発言
はきわめて重大であります。 第一に、旧
憲法
時代には、
天皇
は、その第四条で、
統治権
の総攪者として立法、司法、行政のすべてを掌握し、さらに陸海軍の統帥権をも掌握していました。そして、第二次
世界
大戦で三百万人もの
日本国民
の生命を奪い、
アジア
諸
国民
に多大の被害を与えた悲惨な侵略戦争が、
天皇
の直接召集する御前
会議
で計画、決定され、
天皇
の名にお・いて始められたのであります。
総理
は、これらの明白な歴史的事実を否定するのでありますか。それでもなお、
天皇
が旧
憲法
時代に
政治
について意見を述べなかったと言われるのですか。第二に、
総理
のこの
発言
は、旧
憲法
時代と現在と
天皇
の
地位
が変化していないという前提に立つものであります。これは
主権在民
を
規定
した現
憲法
の
精神
を根本から否定することになると考えますが、
総理
の明確な
答弁
を求めるものであります。第三に、
総理
は、
現行憲法
のもとでも
天皇
の
国政
関与の
発言
はないと言うが、これは全く事実と反するものであります。わが党が
天皇
の開会式におけるいわゆる「お
ことば
」問題で指摘したように、たとえばサンフランシスコ条約を賛美したり、また
田中内閣
の成立時に、民生の安定向上にその成果をあげつつあると述べるなど、
自民党
政府
の政策を事実上たたえる
発言
をしているではありませんか。
総理
は、これを
国政
関与の
行為
とは考えないのかどうか。明確な
答弁
を求めるものであります。 次に、増原問題について、
総理
は、
天皇
の
国政
関与の
発言
がなかったと言われるが、それは
天皇
の
発言
それ自身が
存在
しなかったということ、すなわち増原氏が虚構のことを述べたと言うのか、それとも
天皇
の
発言
自身はあったのだが、それは
国政
に関与するものではないと言われる
意味
なのか、そのいずれであるかをここで明確に答えていただきたい。 もし、
天皇
発言
それ自身が
存在
しなかったというのであれば、そのような
総理
の
説明
は、
国民
のたれをも納得させることはできないでありましょう。私は、この際あらためて、増原氏が
責任
をもって事の真相を
国民
の前に明らかにするよう強く要求するものであります。 もし、伝えられたような
天皇
発言
が事実とすれば、これは明らかに、
憲法
第九十九条に
規定
する
天皇
の
憲法順守
義務
に違反するものと考えますが、この点についての
総理
の
責任
ある
答弁
を求めるものであります。 言うまでもなん、
天皇
の
国政
関与の禁止は、
現行憲法
の定める大原則であります。この前提に立つならば、
閣僚
が
内奏
と称して
天皇
に
所管事項
を
説明
することそれ自身が不必要なことであるばかりでなく、このようなことを続けることは、結局は、
天皇
に
政治
関与の機会を与えることであって、許されないことであります。そして、今回の増原
発言
はそれを端的に示したものにほかなりません。
憲法
上の何ら根拠のないいわゆる
内奏
は、当然廃止されなければならないと思いますが、いかなる根拠に基づいてこれを続けるというのか、
総理
の明確な
答弁
を求めるものであります。 次に、
天皇
の
国事行為
に関連して、
田中総理
が
衆議院内閣委員会
で述べた
天皇
の
国事行為
以外の
公的行為
についてお尋ねをいたします。
総理
の言う
天皇
の
公的行為
なるものは、
憲法
のどこを根拠としているのか、まず明確にされたいと思います。もしも、
憲法
上根拠のない
天皇
の
公的行為
に問題が起こった場合、一体、だれがその
責任
を負うのか。
公的行為
の中に違憲
行為
がある場合、それは
天皇
の
責任
になるのかならないのか。また、その場合、
政府
は
責任
をどう負うのか。
総理
の明確な
答弁
を求めるものであります。
最後
に私は、
天皇
に関するこれら一連の
憲法無視
の
発言
は、民主主義の
精神
とかけ離れた
歴代自民党内閣
の体質からにじみ出たものであり、いま
政府
・
自民党
がねらっている小選挙区制の強行、
憲法
改悪の策動と軌を一にしているものであることを指摘して、
質問
を終わるものであります。(
拍手
) 〔
国務大臣田中角榮
君
登壇
、
拍手
〕
田中角榮
20
○
国務大臣
(
田中角榮
君)
岩間正男
君に
お答え
をいたします。 第一は、
憲法
否定の
発言
をする
閣僚
を閣内にとどめておくのはおかしいという
意味
の御
質問
でございますが、
憲法
第九十九条により、
国務大臣
、
国会
議員
は
憲法順守
の
義務
を負っており、
憲法
を否定するような
閣僚
は閣内には一人もおりません。
総理
は、
天皇
が
国政
に関して
発言
をしたことは、過去、現在、将来もないと
答弁
をしたが、第二次大戦は
天皇
の御前
会議
で決定されたのではないかという御
発言
でございますが、これはおかしな御
発言
だと思います。私は、そんな
意味
で
答弁
をしておりません。問題が、旧
憲法
時代のことを含めて議論をされておったのじゃありません。
憲法
下における
天皇
制と
政府
との問題が議題になっておるのでありまして、もちろん、答えは新
憲法
下における
天皇
に対して
答弁
をしたのであって、旧
憲法
は対象になるはずはありません。新
憲法
下、
天皇
が
国政
に関して
発言
されたことはないという、私の確信には変わりはありません。御前
会議
を持ち出してくるなどというのは、それこそ問題をすり違え、すりかえるということであります。 それから、
天皇
の開会式におけるお
ことば
等対して、これは
国政
関与の
行為
ではないかという
趣旨
の御
発言
でございますが、
天皇
の開会式におけるお
ことば
は、
国会
の要請に基づき、
天皇
が
日本国
の
象徴
たる
地位
に基づくいわゆる
公的行為
として御臨席をされ、いわば儀礼的な
意味
でごあいさつをされるものであります。
天皇
の
行為
は、いやしくも
国政
に影響を与えるようなものではなく、お
ことば
についても、何ら
政治
的な
意味
を含まれておらないことは、申すまでもないことであります。 次は、
天皇
の
国政
に関する
発言
はなかったと断定をしているが、増原氏に対して
内奏
の
内容
等をただしたのか云々の御
発言
でございますが、増原氏は、辞任にあたって、
天皇陛下
から
国政
に関係するような御
発言
があったという事実は全くありません、ただ、私の新聞記者に対する
説明
が意を尽くさなかったため、
誤解
を与えたことはまことに申しわけなく、この際、その
責任
を負って辞職いたしますと言っておるのであります。増原氏は、
国務大臣
の職をかけて真実を述べたものであり、私の立場として、増原氏の
ことば
を信ずるのは当然であります。(
拍手
) 次は、
閣僚
の
所管事項
の
内奏
は
憲法違反
であり、廃止をすべき旨の御
発言
でございますが、
天皇陛下
に対する
所管事項
の御
説明
は、各省
大臣
が認証官任命式等に出席をする際に、たまたま行なわれるものであり、いわゆる
内奏
とは関係のないものでございます。それは
象徴
である
天皇
が、一般的な知識、教養を高められるために行なわれるものであり、
天皇
が、その際、
国政
に影響を与えるような御意見を述べられるようなことはありません。
政府
としては、
所管事項
の御
説明
を取りやめることは全く考えておりません。(
拍手
)
最後
は、
天皇
の
公的行為
の
憲法
上の根拠及び
天皇
の
公的行為
についての
責任
の所在というものに対しての御
質問
でございますが、いわゆる
天皇
の
公的行為
というのは、
憲法
に定める
国事行為
以外の
行為
でございまして、
天皇
が
象徴
としての
地位
に基づいて、公的な立場で行なわれるものをいうのであります。
天皇
の
公的行為
につきましては、
憲法
上明文の根拠はありませんが、
象徴
たる
地位
にあられる
天皇
が、
公的行為
を行なわれることは当然のことであります。
天皇
の
国事行為
につきましては、
内閣
の助言と承認に関する
憲法
の
規定
がございますので、その責めは、当然
内閣
にあることは申すまでもないことでございます。によりまして、
天皇
の
国事行為
につきましても、その
責任
はすべて
内閣
にあるものと考えておるのであります。 以上。(
拍手
) 〔
国務大臣中曽根康弘
君
登壇
、
拍手
〕
中曽根康弘
21
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 私の
イラン
における
発言
の真意は、先ほど申し上げたとおりでございます。
親善友好
の
雰囲気
を盛り上げるために用いたものでございまして、両国の
国家体制
の
相違
や、
天皇
または
皇帝
の
権限
の
相違
については、よく
認識
しております。 また、
親善友好
の
雰囲気
を盛り上げるために、
外国人
に対して、簡単にわかりやすいような
表現
を用いたものでございまして、この点につきましては先ほど遺憾の意を表明したとおりであります。 次に、御
質問
の六月二日の大阪での私の
発言
の件でございますが、あれは、
憲法
制定議会において金森国務相が
説明
した
象徴天皇
論を解説したものであります。それは
日本
の歴史的事実を
説明
し、
主権在民
、
象徴天皇
の意義と
地位
を解説したものであります。
わが国
は
主権在民
であるとともに、
象徴天皇
をいただく独特の
体制
であることを強く
認識
し、
日本国憲法
を順守するということは、私の一貫した信念でございます。(
拍手
)
森八三一
22
○副
議長
(森八三一君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十人分散会
—————
・
—————