○二宮文造君 公明党を代表して、引き続いて、主として
決算検査
報告を
中心に
質問をいたします。
会計検査院の
昭和四十六
年度決算検査
報告では、要検査個所四万七百一カ所に対し、実施検査個所は二千八百九十一カ所、その比率はわずかに七・一%であります。さらに、
指摘事項としてここに掲記されておりますのは、百九十九件、十五億四千七百二十四万円にものぼっておりまして、これを実地検査比率七・一%で単純計算しますと、
指摘事項の
金額は優に二百億円をこすという推測が出てくるのであります。このような推測を生みだす検査
報告では、憲法に
規定された
決算添付書類にふさわしいと言えますかどうか、また、七・一%という少ない実地検査率で、はたして適正な
財政執行を審査することができるかどうか、はなはだ疑問であります。
総理の
見解並びにその
改善策についてお伺いをしたいのであります。
次に、
不当事項百九十九件のうち、百八十三件は、
補助金の
不当支出であって、その極端な一例として、北淡路開拓事業が
指摘を受けております。これは、北淡路の一定地域の農家が持っている山林を事業費等十三億五千万円を投じて開墾し、ミカンを栽培しようとするものでありました。ところが、造成済みの九十五ヘクタールのうち、ミカンの植わったのはわずか十五ヘクタール、しかも、構成員の半数近くは非農家であり、農地開発事業の
目的は全く達成されていないと
指摘されているのであります。おそらくその大部分の
土地が、別荘地など、
土地会社のものに帰することは想像にかたくありません。本件並びにややともすれば乱脈になろうとする農業
関係補助金について、まず
総理の
見解を伺いたい。
また、今日の大手
企業等の
土地買い占めに関連して、
補助金によって造成された農地が他用途に転用される場合、特別徴収金を賦課すること等も検討すべきではないか、このように思いますが、答弁をお願いしたいのであります。
次に、日米相互防衛援助協定に基づく軍事有償援助は、その国産化が進められるにつれて次第に減少しておりますが、それでも、
昭和四十六
年度の
中央調達にかかる軍事有償援助の契約額は百二億六千三百万円になっております。しかも、
昭和四十七年末現在で、これまでの契約分のうち、米国側の事情のため八十件、五十一億六千百万円が未納入になっており、その
内訳は、四十三
年度契約分四件、一億一千万円、四十四
年度分四件、二億二千万円、四十五
年度分十六件、四億五千万円、残りが四十六
年度分となっております。また、未納入の品目は、バッジ関連器材、ファントム戦闘機の計器、ナイキ、ターターといった誘導武器となっております。このように、代金を前払いしたのにいつ納入されるかわからない、また、その代用品も購入しないというのでは、自衛隊の業務計画は、アメリカの御都合まかせとなり、年間計画さえ組めないのではないかと考えられますが、どうですか。これら未納入のものに対してどう対処するのか、具体的な説明をいただきたい。
さらに、
昭和四十二
年度までは、検査
報告において各
年度ごとにこれらのことが未確認額として記載されていたのでありますが、四十三
年度以降は検査
報告に何らの説明も加えられておりません。
予算執行上の重要な説明要素であり、しかも各
年度にまたがる説明を省略することは適切でないと考えるものでありまして、
会計検査院に
改善方をこの場所をかりて要請しておきます。
次に、東京都千代田区内幸町一の二の二に所在する国有財産の売り払いについてお伺いをしたい。
政府は、昨年十二月二十七日、これらの
土地、建物を第一勧業銀行に売却決定をしております。場所は、例のNHKあと地からわずか百メートルの地点であります。そこで、端的にお伺いしたい。
まず、第一点は、売却の経緯を明らかにしていただきたい。
第二点は、この売却がNHKあと地の価格について激しく論議されているさなかに決定されたものであり、NHKの場合は三・三平方メートル当たり一千百万円、本件の場合は三・三平方メートル当たり四百九万円で、三分の一程度となっているのをどう考えられるか。
第三点、国有財産売却の場合、付近の売買実例というのが評価鑑定の重要な条件となっているはずでありますが、このNHKあと地は売買実例として勘案されたかどうか。
第四点、評価鑑定の根拠は何か。
政府の説明によれば、時価の三割増しという有利随意契約の特例によったとしておりますが、建設省が発表した本年一月一日の公示価格によりますと、参考にすべき港区新橋一丁目二十八の一は、平方メートル当たり百五十一万円、同じく芝虎の門二十四の二は、平方メートル当たり百三十七万円、坪当たりに換算してそれぞれ四百九十八万円、四百五十二万円となっております。もしその三割増しとすれば、これまた六百四十七万円、五百八十七万円となる計算で、大蔵省の四百九万円という価格は不当に低いと言わなければなりません。
大蔵大臣は、この公示価格との開きをどう考えるか。
さらに、建設省が地価
対策としてその権威づけに懸命となっております公示価格を無視した大蔵省の
行政の姿勢、並びに明らかに国損を生ずるような国有財産の売り払いについて、
行政管理庁長官の
見解をお伺いしたいのであります。
第五点、買い主が公共性と信用を高く要請される銀行でありますこと、さらに売買形式が随意契約である以上、
政府としては、いかにして国損を防ぎ、かつ、黒い霧云々の疑惑を発生させないという配慮が必要だと思いますが、以上、国有財産に造詣の深い
総理並びに
関係大臣の答弁を伺いたいのであります。
最後に、
会計検査院法第一条には、「
会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」とあります。
行政各省庁に対する厳正なお目付役たる検査院として、けだし当然のことであります。また、同法第四条には、その
最高機関である検査官は国会の同意を経て内閣が任命するとあります。私は、かねてから、
会計検査院の本質なりあり方なりからして、内閣と独立して職務を行なうという点をかなり強調していかなければならないと思うものであります。もし検査院が
政府の任命権に押えられて
政府の鼻息をうかがいつつ仕事を行なうということがあってはたいへんであります。今日、検査官は、いずれも
行政庁側ないしはそれに準ずるお役所から選ばれているわけでありますが、この際、法の趣旨に沿って
改善されるべきではないか。すなわち、
国民的立場に立ち、
納税者側に立って、庶民なり消費者なりの感覚を生かしつつ国費の
支出を
監督する、あるいは経費の有効
使用ということに体験を持ち実績を有する人物なども検査官選任の対象に入れるべきではないかということであります。
政府が真に検査院の職務の独立性を尊重する
決意があるかどうか、あわせてこの検査官選考のあり方についてどうお考えになるか、
総理の
見解を伺って、
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣田中角榮君
登壇、
拍手〕