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政府委員(
安嶋彌君) 裏口入学という話でございますが、これは入学時に
学生から納められまする多額の寄付金についてのお尋ね、御意見だと思いますが、御指摘のとおり、四十六年度の
文部省の
調査によりましても、
医学部だけで約八十三億円という多額の寄付金が入学時に徴収されておるわけでございます。こうしたことは、いろんな点から問題が多いわけでございますので、私ども、行政上の
指導助言といたしまして、入学を
条件とする寄付金はとってはいけない、あるいは入学時に任意といえども、不当に高額の寄付金をとることはよろしくないということを強く申してまいったわけでございますけれども、実際は遺憾ながらそうした
指導も実効をあげていないという
実情にございます。そこで当
委員会等でも、しばしば御指摘になった点でございますが、そうした問題を何とかして解決をしたいということで、いろいろ
考えたわけでございますが、やはりこれは法的な措置を講ずる以外にこれを
規制をし、あるいは抑制をする方法がないのではないかというような一応の結論に達したわけでございます。ただ、しかし法的
規制措置を講ずるといたしましても、その内容等につきましては、いろいろ困難な問題がございますので、そうした内容につきましては、私どものほうで、さらに具体的に詳細に検討をいたしたい。ただ方向としては、ただいま申し上げましたように、寄付金の
規制、抑制については法的措置以外にはないのではないか、こういう
考え方に立ったわけでございます。同時に、法的措置だけで寄付金が抑制されるかということでございますが、実は現在の
私立大学の経費の
状況を見ますと、経常費で
医学部の場合は、一人当たり約二百万円という経費がかかるわけでございます。これに対しまして、私学振興財団から約八十万円程度の補助が
定員一人当たりにつきましてまいるわけでございますが、それを差し引きますと、約百二十万という経費が必要になる。現在授業料等として徴収いたしております額が四十万ないし五十万でございますが、かりに五十万といたしますと、必要経費百二十万のうち、不足が約七十万出るわけでございます。こうした必要経費の不足額を補てんするために、寄付金が取られておるという面もあるわけでございます。
現在、多額の寄付金が徴収されておりまする、それを大きく分けますと、そうした必要経費が寄付という形で徴収されている面と、それ以外の面と申しますか、部分とがあるわけでございます。そこで、私どもは、寄付金の中でも、当然
教育の必要経費として必要なものについては、やみとか裏とかという、そういう批判を受けないように、ぜひこれは正規の
学校納付金として徴収すべきものではないか、必要な経費であれば、そういう扱いをすることがほんとうではないかというふうに
考えるわけでございます。そういたしますと、まあ、授業料の額が増加をするということに結果としてなるわけでございます。そういたしますと、さらにそうした授業料の負担に耐えないという一部の
学生が出るわけでございますから、そうした
学生に対して
学校法人が授業料等の減免をいたしました場合、これに対して国がその減免額を補てんするということを
考えてみてはどうかという点、これが第一点でございます。
それから第二点は、入学時に多額の寄付金が徴収されるという背景には、私立の
医学部、
歯学部で多額の負債をかかえておりまして、これを償還するという、そういう理由があろうかと思います。ところが、この多額の負債を短期間に償還をするということになりますと、単位当たりの金額というものが大きな金額になりますので、これを長期にわたって償還をするということにいたしますならば、その単位当たりの寄付金額と申しますか、つまり必要経費額というものも、これは比較的従来よりは少額で済むのではないか。そういたしますと、その間の利子の負担が増高するということになるわけでございますので、その利子負担につきまして、一部利子補給という
考え方を導入し、これを軽減することを
考えてはどうか、こういう二つの点が実は
事務当局の腹案でございます。
しかしながら、これは最終結論ではないわけでございまして、法的
規制の内容と一体的に、この特別な助成の内容についても検討してまいりたいというのが現
段階の
考え方でございまして、こうしたことによりまして、従来問題になっておりまする私立の医科・
歯科大学の入学時における寄付金の問題の解決に当たっていきたい、そうした観点から現在検討をいたしておる、こういうことでございます。