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1973-07-17 第71回国会 参議院 文教委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十七日(火曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————   委員異動  七月十六日     辞任         補欠選任      二木 謙吾君     岩動 道行君  七月十七日     辞任         補欠選任      宮崎 正雄君     棚辺 四郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         永野 鎮雄君     理 事                 久保田藤麿君                 楠  正俊君                 宮之原貞光君                 安永 英雄君     委 員                 岩動 道行君                 金井 元彦君                 志村 愛子君                 世耕 政隆君                 高橋雄之助君                 棚辺 四郎君                 中村 登美君                 濱田 幸雄君                 小林  武君                 鈴木美枝子君                 松永 忠二君                 内田 善利君                 矢追 秀彦君                 萩原幽香子君                 加藤  進君    国務大臣        文 部 大 臣  奥野 誠亮君    政府委員        文部政務次官   河野 洋平君        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部省大学学術        局長       木田  宏君        文部省管理局長  安嶋  彌君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        文部省大学学術        局審議官     安養寺重夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国立学校設置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○国立学校設置法の一部を改正する法律案安永  英雄君外四名発議) ○教育、文化及び学術に関する調査(女子教育職  員育児休暇制度に関する件)     —————————————
  2. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨七月十六日、二木謙吾君が委員辞任され、その補欠として岩動道行君が選任されました。  また、本日、宮崎正雄君が委員辞任され、その補欠として棚辺四郎君が選任されました。     —————————————
  3. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) 国立学校設置法等の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)及び国立学校設置法の一部を改正する法律案(参第一九号)の両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は御発言を願います。
  4. 松永忠二

    松永忠二君 最初に、旭川医大山形愛媛医学部設置、それから埼玉大学滋賀大学の工学部経済学部修士課程大学院設置東北大学医療技術短期大学部の新設、東京医科歯科大学における難治疾患研究所名古屋大学水圏科学研究所千葉大学腐敗研究所生物活性研究所に改組する、並びに国立久里浜養護学校設置といういわゆる筑波大学関係のないこれらの問題が地元の要望あるいは時間的な経過、準備体制の上でどういうふうに強く要望されていたのかということを、簡潔にひとつお答えいただきたい。
  5. 木田宏

    政府委員木田宏君) 旭川山形愛媛医学部設置につきましては、医科大学のない府県に医科大学を設けまして地域の医師不足の解消に資するという趣旨のものでございまして、関係者が非常に強く御要請になっておることでございます。  また、御指摘がございましたように、大学院につきましては、それぞれ内容充実してまいりました埼玉大学、これは工学関係でございますが、ぜひ大学院を持ちたい、工学につきましては逐次大学院整備をはかってまいりました。埼玉もその今日までの学部充実状況にかんがみまして大学院を、修士課程でございますが、設けたいという次第でございます。滋賀は経済大学院を設けるわけでございまして、これまた逐年学部充実に見合って大学院整備を進めてきた次第でございます。滋賀大学経済大学院を置きたいということでございます。  東北大学医療技術短期大学部は、医科大学整備等との関連で、教年来医療技術短期大学という形で従来各種学校運営しておりましたものを短大に格上げをし、充実した教育が行なえるようにしたいという趣意のものでございまして、これまた計画的に設置を急ぎたいと考えておるものでございます。東京医科歯科大学難治疾患研究所は、このことばからもおわかりいただけますように、最近いろいろ治療法のむずかしい難病が各種出てまいりました。こういうものにいろんな基礎的な学問領域から取り組んでまいります総合的な研究所を設けたいという次第のものでございますし、また、名古屋大学水圏科学研究所は、大気圏内におきます天空から地下までの水の循環等を通じまして人類の生存に欠くことのできない水の動態、またその状況を十分に把握したいという趣意のものでございまして、公害問題のやかましい今日、この充実をはかりますことは非常に意味のあることだというふうに考えておるのでございます。同様に、千葉大学腐敗研究所生物活性研究所に改めるということも、従来腐敗という現象中心考えてまいりましたけれども、異物に対して人間、生物がどういうふうに反応をするかという角度から、新たな問題になっております薬品の公害でありますとか、いろいろな現象生物学的な観点から取り組んでいこうという研究所でございまして、当面の重要な課題に対応できるものというふうに考えております。国立久里浜養護学校は、昨年設置を認めていただきました国立特殊教育総合研究所関連をいたしまして、その研究に資する意味もあり、また、一番むずかしい重度の心身障害児を受け入れます養護学校として総合研究所と一体的な運営をいたしたいという考えから設けようとするものでございまして、敷地も隣接地に用意をいたしておる次第でございます。  最後に、国立大学共同利用機関として極地研究所を設けていきたいと思いますことは、長年の南極観測体制、いよいよ恒常的な観測体制整備したいということでございまして、しかもこれらは各大学日本の特定の大学ということでなくて、全研究者極地研究中心になるべきものということから、独立した共同利用研究所という形をとりたい、筑波の地につくっていただいております高エネルギー物理学研究所と同じような意味合いにおきまして、共同利用研究所として独立の国立極地研究所設置したいという趣意でございまして、今日の社会の要請、われわれのかかえておる課題にいずれも対応して設置が急がれておるものと、こう考えておる次第でございます。
  6. 松永忠二

    松永忠二君 文部大臣にお聞きしますが、いま局長が言われたように、これらのものは、関係法律を通して一刻も早く実現に着手したいという、そういう強い御要望があると思うのですが、この点いかがですか。
  7. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) そのとおりでございます。
  8. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、その次の質問でありますけれども、この国立学校設置法の一部を改正する中で、第二章の二に、筑波大学組織提案するということは少し無理があるのではないかというふうに私は思うのです。御説明を聞くと、国立大学だから筑波大学国立学校設置法にきめるというのは当然だというお話でありました。筑波大学という名前国立大学設置法に明確にするということは、設置をする以上は当然なことでありますけれども、今度提案されたような筑波大学組織については、別に定めるのが自然ではないかというふうな感じを私は実は持っているわけです。   〔委員長退席理事楠正俊着席〕 そのまず一つを申し上げたいわけでありますけれども、政府は、国立大学管理法というのを昭和二十六年の三月七日に提案をして、大学管理運営について提案をいたしました。この中には、評議会というものがあって、いまの筑波参与会とほとんど同じような性格のもの。評議会教授会、学長、学部長その他の管理機関というようなものがあるわけでありまして、全くここできめている筑波大学組織のようなものをつくるという、そういうものをつまり一つ国立大学全体の管理として提案をしているわけであります。事実その国立学校設置法の第十三条には、「この法律又は他の法律に別段の定めのあるものを除くほか、国立学校組織及び運営細目については、文部省令定める。」というようになって、別の大学組織運営規定をすることということが出ているわけです。ですから、「この法律又は他の法律」ということを言っておるのでありまして、との「他の法律」というのは、要するに、きめたときに、大学管理運営という「他の法律」として国立大学管理法というのが特に提案をされたわけであります。したがって、実は国立大学管理法提案されているような大学管理に当たるようなものが結局の筑波大学組織についてこの中に別につくって出ているわけなんです。だから別の法律定めるということは、十三条でも予想している事柄なんです。だから筑波大学法律というのを別の法律にしていくということが非常に自然ではないかというふうに私は思うんです。もう一つ、あわせて一緒に説明いたしますが、この法律では大学の自主的な改革をやりやすくするために、他の大学基本的な組織についての新しい構想を実現しようとすればそのつど法律改正するということを言っているわけです。そうなってくると、実は第二章の三、第二章の四、第二章の五、第二章の六というふうに、これから全部、大学のものを設置法の中に一々そういうふうにきめていくわけです。そんなことを国立学校設置法の中でやるということは法体系の上からいっても非常におかしいのであって、やっぱりこういうようなものは別の法律定めるという、こういう性格のものだというふうに思うんでありまして、こういう形で大学設置法の中に入れ込んでいくというのがもともと無理なものなんですということを私はまず第一として考えているんでありますが、これはどうお考えでしょう。
  9. 木田宏

    政府委員木田宏君) 国立学校設置法は十分御理解いただいているところかと思いますが、個々大学組織をいろいろと規定してあるわけでございます。一橋大学に法学部、社会学部経済学部、商学部を置くというふうなこと、また、一橋大学研究所があります場合には、経済研究所を置くというようなこと、その内容を書いてございます。そのように、また後のほうへまいりますと高エネルギー物理学研究所という大学とは別の独立した共同利用研究所を書かしていただいておりますが、その物理学研究所大学院教育に協力するといったような運営上の問題のことも書かしていただいております。国立学校設置法はその意味では一つ一つ大学組織をできるだけ全部網羅して、取り入れた法組織になっているわけでございますから、今回筑波大学国立大学としてつくります場合にも筑波大学はどういう組織大学としてできるかということを国立学校設置法の中に書かしていただく、これが従来の国立学校設置法基本的なかまえに沿うことになるというふうに考えておる次第でございます。先ほど、国立学校設置法の十三条をおあげになりまして御意見ございましたが、私どもは、この十三条の規定が「この法律又は他の法律に別段の定めのあるものを除くほか、国立学校組織及び運営細目については、文部省令定める。」と、こう書いてございますから、この法律でも国立学校組織運営基本になりますことは書いてある。また、この法律以外に、他の法律につきましても組織運営関係規定がありますならば、それがあることは当然だという意味合いでございまして、文部省令組織運営細目がゆだねられてあるということはこの国立学校設置法国立学校の、それも個々国立学校につきましてでございますが、この組織運営について定めていく基本法体系のものである、こう理解している次第でございます。
  10. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いたのは、そういう一般的なことじゃなくて、たとえば、これから大学にそれぞれ自主的な改革をするために法律改正するということは十分やっていくというなら、第二章は、国立大学名称及び位置というのは全部出ているわけですね。それも、今度のように第二章の二に筑波をきめる。その次は東京大学をきめる、その次は京都をきめる、百幾つというのをみんな第二章三、四とこういうふうにいくんですか。そうやるんですか。それはどうですか。
  11. 木田宏

    政府委員木田宏君) 今回の第二章は、第三条の表でごらんいただきますように、個々大学の中身をそれぞれにみな区分けして書いてあるわけでございます。これらと違う大学が出てまいりました場合に、それをまた一つ一つ書き並べていくことに相なろうかと考えます。
  12. 松永忠二

    松永忠二君 それは、全くあれですね、法律として国立学校設置法というのは、相当これは筑波ここにある大学がそれぞれ特別なものが出てきてこれを適当なものと考えていけばどんどんつくっていくわけでしょう。それでは、筑波大学というものをいまあらためて三条の名称及び位置の中に入れ込んでおいて、そのもののいわゆる管理とか、組織とかというものを別個法律にするならして、特にいま筑波の問題は最初のものであって非常に重要であるというならそれを別個につくっていく、あるいは名前を入れて、今度はそれをどこでやっていくのかというと、国立学校設置法の第十三条、「この法律又は他の法律で別段の定めのあるものを除くほか、国立学校組織及び運営細目については、文部省令定める。」と書いてあるわけですから、当該のいわゆる大学でよく相談をした上で、これを使って細則できめていったらどうですか。現にここにある国立学校設置法の中に提案をされている国文学研究資料館組織運営規則、高エネルギー物理学研究所組織運営規則国立養護教諭養成所設置法施行規則というのがみんなそういうことをきめてある。ここに出ているように一々、たとえば、高エネルギー物理学研究所組織運営規則というのは、職員の種類、それから研究系及び、研究部門研究主幹管理部及び管理部長評議員運営協議員客員教授等と書いてある。これは全部いわゆるあなたが法律できめようと考えている現に出ている筑波のものはみんなこういうふうに規則できちっと出ている。国立学校設置法のこの法律を第二章から、極端なことをいうと、第二章の百幾つまでずっとつくっていくなんて、そんなばかなことは法体系上ちょっと無理でしょう。むしろ、従来のように名前をきちっと入れるだけで、あと十三条を働かしていわゆる細則規定にするなり、規則にして、十分に大学側と話し合ってその規則をきめていく。かってにきめるわけにはいきませんから、よく協議をしてきめていくという形をとる、そのほうがむしろ自然です。実は大学運営組織というようなものを規則できめるというのはあまりふさわしいことじゃありませんから、私は、むしろ別個法律をつくっていくほうがいいと思うのですが、これはいま言うとおり非常に最初のものだという点から言うならばむしろこれを別個法律にまとめておく、順次いろいろ考え方が出て、大体統一された大学管理運営というものが考えられたならば、この大学管理法のような総括した大学管理をきめていけば、もう一つ名前を入れておけばそれで済むということでしょう。こんな、ごらんなさい、筑波法律の中の第二章の幾つという、第二章の筑波大学組織学群学系及び学類参与会評議会人事委員会、こういうやつを大学ごとに第二章の三、第二章の四、第二章の百十幾つまでつくろうと、それは、大学は特に自主性があってそれぞれ別個考え方でやるわけですから、そういうものでいいと考えればそれでつくらなきゃいけない。それでも、法律体系では何にも間違いないし、あたりまえだと考えるというのですか、それとも、やはりそういう点を少しくふうをしなければいけないのじゃないかと、つまり筑波大学なり大学名前を入れておいて、ちょうど設置法の中にいわゆる高エネルギーという研究所名前がちゃんと入っている、入れておいてそれを別個に十三条の中で高エネルギー物理学研究所組織運営規則というものでやっていったらば、そのほうがすっきりした形になっていくのじゃないか、これをかってにするのじゃなくて。いかにも、この法律提案のしかたというのは、私はいま形だけのことを言うのですが、非常に無理があるのじゃないか。別個法律をつくるか、そして設置法のほうには名前だけ入れておいて、別個法律をつくっていく。それとも、いわゆる設置法へちゃんと名前を入れておいて、それを十三条を働かせて、国立大学の、いわゆる学校組織及び運営細則という意味細則規定をしていく。そのほうが、これからあなた方が大いにひとつ大学改革してもらおうじゃないか、改革ができれば法律にしますよ、門戸は開いてありますよ、どんどんおやりくださいという、それが本心なら、私はこういうような筑波大学のように、この中に法律規定して、評議会参与会なんかを法律規定に一々一つ大学をしていくということ自体が、法律的な体系で無理があるのじゃないかということを申し上げているのですが、そのことについてあなたの御意見を聞かしてください。大臣、これはもうよくおわかりだと思いますが、まず大臣からひとつ。
  13. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 国立学校設置法の中に筑波大学につきまして組織規定している。このことは、別に何ら特別な意図を持っているものではございません。同時にまた、いま御指摘になりました大学管理法というような一般的な大学管理運営に関しまする立法をする考え方も持っていないわけでございます。同時に、現在の国立学校設置法をごらんいただきましたらわかりますように、明治以来、大学組織としては学部組織以外は認めていないのでございます。私は、これだけ情勢がいろいろ複雑になっているときに、もう少し大学組織のあり方についていろいろな型があってしかるべきだ、こう考えるわけでございますけれども、法律的に許していなかったわけでございます。そのような過程におきまして、東京教育大学学部組織をとりたくない、教育研究組織としては学群学系組織をとりたい、こういうような新しい構想を出してこられたわけでございます。したがいまして、学部組織によらない別な組織をとる大学として筑波大学を書きます場合には、学部組織以外の行き方として若干のものを、やはりこの法律に合わせて書かざるを得ないのじゃないか、こう考えるわけでございます。こまかいことを省令に譲ってもいいじゃないかという御指摘がございました。それはそのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、学部組織基本にして運営が行なわれている、立法事項もある。そうしますと、それとの関連におきますものは、人事委員会等規定はやはり書かざるを得ないのじゃないか、こう考えるわけでございます。できる限り各大学の自主的な改革、それを取り上げてあげる、それが大学の自治を守る基本的な姿勢だと私は考えているわけでございますし同時にまた、同じ方式をとりたいという場合にはこういう方式をその大学に準用すれぱよろしいわけでございまして、また新しい方式をとりたいという場合には、今後立法をもちまして国会の御審議をわずらわすということになるのじゃないかとかように考えるわけでございます。学部組織とあわせまして、今度筑波大学組織が出てきたわけでございますので、やはり国立学校設置法の中へ基本的な事項だけは書いておくということは、私は法律をつくる場合の姿勢としてそれが普通の姿じゃないだろうかと、こう考えるわけでございます。
  14. 松永忠二

    松永忠二君 いまおっしゃったように、つまり学部以外のものに門戸を開いていきたいという考え方だからというなら、学校教育法の五十三条ですね、いわゆる「学部以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる。」というふうに改めて、そうしておいて今度は国立学校のほうの設置法名前を入れておいて、そして省令運営規則をきめていけばいいんですよ、これはね。門戸を開くというならそうなんです。それをわざと、こういうふうに設置法の中に入れ込んでしまう、一つ大学組織運営を。そして、しかもこれから大学をやりましょうというときには、それへ二、三四、五、六、七、八、九、十と、ずっとここへ入れ込んでいこうという、こんなばかなことは常識としてちょっと考えられませんよ。これは要するに、筑波大学というものを何か意図的に考えるなら別ですけれどもね。私は、そういうことを申し上げたので、何も大臣の言うことはそれでできるんですよ。もっと一もう一つ進んで、筑波大学の問題は、いま非常に論議を呼んでいるし、これは十分議論を尽くさなきゃできない問題だと思うのですね。そこでまあ、筑波大学組織に関する法律として単独に議論をしてもらう。そして同時に、この法律の中にどうしても大学改革の道を開きたいというならば、いわゆる学校教育法改正なり、教育公務員特例法の一部改正をその中に入れ込んで、そして筑波に関する法律として提案をされてくれば、これは要するにあなたのおっしゃったような目的も達成できるわけなんですよ。しかも筑波大学というのは議論もあるところだからもう少しじっくり議論をしてもらおうじゃないか、これについて意見もひとつ聞かしてもらおうじゃないか、しかし、どうしてももう長年の懸案であり、すでにもう受験生も待っているような学校もありもう一日千秋の思いでいる学校もあることだからこれは別個に離して、早くひとつ法律として、いわゆる設置法として通してもらう。この筑波の問題については、その議論をひとつ集中してもらって、そしてあなた方のおっしゃるように道を開きたいというならば、その中に、たとえば学校教育法の一部改正なり   〔理事楠正俊退席委員長着席教育公務員特例法の一部改正を織り込んで、必ずしも私たちはそれに賛成ではありませんけれどもそういう考え方もあるけれども、考えとしてはとにかく、これを慎重に取り扱って審議をしてもらおうと、よくあなた方は悪口だとお考えになっているのかもしれませんけれども、こういう緊急を要するものと、慎重審議をすべきものを取りまぜて一気に出すというのはおかしいじゃないかという議論をも、批判をも避けていくためには、やはりこういう配意も必要だったわけなんですよ。そういう意味で、実は野党の四党は、とにかく必要なものは先にやろうじゃないか、それからあと議論をしていこうじゃないかというふうな意味でこういうことをやったんでしょう。日本学術会議でも、こういうことを言っているじゃないですか。筑波大学構想については、それが先例として他大学に与える影響はきわめて大きい。筑波大学管理制度は賛成できない内容のものがある。単に一つ大学実験的改革の試みのために、関係する一般法を直ちに改正する必要はないではないか。だから特別法として特別立法とするようにということは、あなた方の出した資料の中にも、いわゆる筑波大学に対する学術会議の総会で、そういう意見を言っているわけなんです。何も全部、別にあなた方の議論を反駁をするのじゃないんですよ。現に私の申しましたように、法律専門家に言ってごらんなさい。筑波のような、こういう一つ大学のものをこれだけ長い条文の設置法の中へ入れ込んでいって、これから東京大学、京都大学、広島、大阪、すでにもういろんな着手しようとしているところがある。それをまた第二章の三、第二章の四、第二章の五、六、七、八、九と。極端なことを言えば、あなた方が、率直に、すなおに言えば百幾つできるわけでしょう。これを一々この中へ入れ込んでいっていこうなんて、そんなことは法律体系で無理がある。そんなことはやらぬように、門戸を開くなら門戸を開くところだけ開いておいてあとは、十三条でよく打ち合わせをして、その組織云々についての規則をきちっときめていくという形でもやれる。いかにもこれは早く何が何でも通してくれ、何が何でもこの中にきめ込みたいという、何というのですか、考え方が露骨に見えるのじゃないか。そこで日本学術会議あたりでもそういう心配している。私たちも十分に議論をしたい。筑波だけとして一つのものとして認めていけるだろうか、これを波及しない方法はあるだろうか、波及してもこの程度のことならいいのだろうか。あなた方がいま筑波について考えていることは、どうしても学校教育法の一部を改正しなければできぬことは事実です。学部以外の道を開くことは必要です。ただ、あと人事委員会だとか、参与会だとか、副学長というのは、何も法律規定をしたほうがいいかどうかということにはいろいろ議論があると思うんですよ。また、それについて意見が出てきているわけですよ、いろいろ批判も。だからむしろそういうことは、何も法律事項にしないでも規則でもいい。事実、法律にした評議会と、法律にしない評議会というのは後ほどいろいろ議論をいたしますけれども、えらい違いなんですよ。そこにやっぱり学術会議なり、その他のものの非常な心配が出てきている一つの理由なんですよ。だから私はいま申し上げているのは、こういった体系から言ってもこれは無理だ、もうちょっとやり方があるんじゃないか、もっと検討すべきじゃないか。それはまた一般も望んでいる。必要なものは早く通したらいいじゃないか、あとのものは十分に議論をしなさい。そうして、それはどういうふうな形が一番いいのかと切り離して考えていくべきである。その際に、一体開く道があるかないかについて議論を詰めていくというのが、一番筋合いだと私は申し上げている。大臣からひとつちょっと聞かしてください。
  15. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 東京教育大学昭和四十二年に評議会で移転をすることを決定したわけでございまして、決定したわけでございましたけれども、その直後に文学部から出ている三人の評議員が首を切られまして、自来文学部に関します限りは、移転問題に関する評議会に一切代表を送っていない、こういう不幸な事態にあったことは、まことに遺憾に思うわけでございます。しかし、東京教育大学が移転にあたって、ビジョンの実現を期する、そのために新構想大学をつくるということで新しい構想を打ち立てられた。私はこの熱情は高く買いたいし、またそれに沿うようにしますことが、大学の自治を尊重する本来の姿勢だと、こう考えておりまするので、この筑波大学について、これほどの強い反対が出てくるということはほんとうに予想もしなかったことでございました。また、法案をつくるにつきまして、松永さんいろいろ御意見をお持ちのようでございまして、また、それはいろいろな意見あってしかるべき問題だろう、こう考えているわけでございます。それにしましても、いま学術会議意見をお読み上げになりましたが、学校教育法改正、一般的な改正まで必要でないじゃないかという点がございました。そのことが、いまの学校教育法では明治以来、大学につきましては学部組織以外は認めていない。しかし、別な組織もつくるんですよと、改正をさしていただいております。もしこのことの必要はないとおっしゃるなら、私はいささか抵抗を感ずるわけでございます。もう少し大学組織のあり方、それぞれの大学にくふうさしてしかるべきじゃないか。同時にまた四十三年、四十四年の大学のあれだけの紛争、国民多くが非常に大きな不安を持ってきておるわけでございます。あの直後それぞれの大学が非常な熱意で大学改革に取り組んでくれたわけでございます。取り組んでくれました中で、一番大きな問題点はやはり学部組織一本やりでいくのは適当でない。研究教育組織を分けるほうが適正でないか、これが一番大きな課題であったわけでございます。でありましたけれども、大学として改革案をまとめてくれたところは、東京教育大学以外にはないわけでございます。私は、もう少し大学当局の責任感を強く求めたい、こういう気持ちを持っておるわけであります。そのさなかに東京教育大学があえて新構想をまとめてくれたわけでございますから、これはもうぜひ大学の自治を守る立場からも、この国会で成立さしていただきたい。早期に成立を期すとおっしゃいますけれども、多年にわたる問題でございますし、激しい大学紛争を経過してきておりますし、また、国民も大学改革を非常に熱望してきておるわけでございますだけに、私は、二月に提案をいたしまして今日御決定をお願いを申し上げたいと言っていることは、私は早期の実現ではないというふうな感じを強く抱いておるものでございますので、この点は政府の立場を御理解いただきますようにお願いを申し上げておきます。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 私は大臣学部以外の教育研究規則なり組織を置くことを否定しているんじゃないですよ、これは。それはおっしゃるとおりですね、学部でいいというばかりの議論じゃないんで、やはりこれは門戸を開いていくということは、これはやっぱり考えていかなければいけないことだと思うんですね。しかし、そうだからといって、いま言うこういうふうな提案のしかたをしなきゃできない筋合いではないということを言っているんですよ。だから間違ってもらっては、これからあと議論があるわけです。  そこでさっきから、長い間東京教育大学がかかってやったんだという話ですが、実は国立大学管理法というのが、昭和二十六年の三月七日、国会に提案されて、これはついに未成立に終わった法律ですが、これはたいへんなことを一生懸命やってきたんですよ。昭和二十四年の三月に日本学術会議大学管理法の立案のための民主的機関を設けてほしいということを要望したんです。そこで、大学管理法案起草協議会というのができたんです。その大学管理法案起草協議会というのには教育刷新審議会、日本学術会議大学設置審議会、国立大学会議大学基準協会、全国大学教授連合、日本私学団体総連合、日本教職員組合、こういうものから一人ないし二名を推選をしてもらって、それから経済界と言論界や地方の公共団体の関係者、各界の学識経験者も入れて、合計二十人で委員をつくったんです。それでこの協議会が三十回の会議をして、最終的に大臣に答申するまでに、その間に協議会は諸団体の代表の意見を聴取をして、それからそれを参考にして中間の試案をつくって公表している。一般の批判を求めて、さらに案を改めて、公聴会に付して、そうして協議会の久しい審議の結果に基づいて作成されたものなんですよ。そうであるのに、ついにこれは結局成立しなかったけれども、これだけの念を入れたやり方をやったんですよ。  ところが、一体この法案の提出にあたって、どれだけのそういう準備をしたんでしょうか。いや、この法案は筑波の問題なんであって、他の大学にはたいしてそう影響ないといっているならこれは別ですね。これは提案理由にちゃんと書いておるんですから、「筑波大学の新しい構想の実現と」「各大学における自主的な改革の推進に資するため大学制度の弾力化」をはかると書いてある。つまり、筑波大学だけじゃないんですよ。その構想を実現すると一緒に、各大学による自主的改革の推進に資するため大学制度の弾力化をはかると書いてある。また、そのほかには大学制度の弾力化を踏まえた新しい構想に基づく国立大学として筑波大学を新設する、筑波大学というのは、単に東京教育大学構想をどうこうしたというよりは、大学制度の弾力化をはかることを踏まえた上で、新しい構想に基づく国立大学として筑波大学を新設する。大学管理運営方法の改善を通じて、真の総合大学にふさわしい大学自治の確立を目ざすと、こう言っているんです。だからこれは各大学に自主的な改革を推進することに影響力を与えるという、そういう考え方の上に立って大学制度に弾力化をはかると一緒に、その大学制度の弾力化を踏まえていわゆる筑波大学構想を立てていると、こう言っているわけです。筑波大学大学制度の弾力化を踏まえた新しい構想国立大学大学における自主的な改革の推進に資したいというのがいまの提案の理由になっているわけです。明らかに一つの先例として他大学への影響を期待をしている、大学制度というものの改革考えて、こういうことをやっているわけです。そこで、たとえばここにも出ているように日本学術会議は、大学全体に甚大な、重要な影響を与えるものは本会議をはじめ全国の大学に対しあらかじめ基本的な合意を求める必要があるんじゃないかと。この前もそういうことをやったんですよ、学術会議は。つまり大学全体に影響するようなことを考え提案されているんですよ、提案理由の中できちっと。そういう影響を与えるものは少なくも日本学術会議をはじめ全国の大学に対しあらかじめ基本的な合意を求める必要があるのじゃないか。今回四十五の大学、七十八の学部教授会や教授団が、あるいはまた七千名の全国の教官たちがこの問題に、この法律に反対をしている。それらの人たちの言っている理由の中には、これと同趣旨のことを言っているわけなんです。だからあなた方自身は、これは大学の新しい制度を踏まえて筑波大学というものをやっているし、これを各大学で自主的な改革の推進に資するため大学制度の弾力化をはかるというなら、なぜ、一体国立大学管理法のときにやったような慎重なやり方をやらないのか。十分ここまでやらぬとしても、なぜ日本学術会議なり各大学の、他の大学に影響を及ぼそうかと考えてやっていることなんだから、これらの意見を十分に聴取をする。そういうためにも、この際、特別立法として出直してきたらどうだろうか。その間に十分関係の団体の意見を聞いていったらどうだろうというこの考え方は、成立の経過から考えてみても私たちは慎重にはかっていくということが非常に重要なことで、筑波大学をつくっていきたいという熱意とあれとについては私たちは別にそれをどうこうというようなことを——熱意は認めるけれども、しかし、それにはとるべき方法がある。それどころか、あなた方自身がこういう提案をしている。他の大学に影響を及ぼすようにやりたいといっているんだから、それならほかの一般の大学の、少なくも日本学術会議なり国大協なりそれぞれの大学の人に——この前は日教組を含めてこれだけの人を集めてやっているんですよ。試案も公表しているんです。公聴会も開いているんです。そうして、出しても国会ではなかなかこの問題はうまくいかなかった。とうとう廃案になっちゃった。だからこの程度のことをやったんじゃ、これは通らないのがあたりまえなんだ。そういう点については、大臣はこれでもあたりまえなんだ——いや、あたりまえなんだじゃなくて通さないほうが悪いんだ、勉強が足らないから悪いんだ、そんなことを反対する議員の人があるならおかしいじゃないかと、こうお考えですがね、いや、そんなことを局長が答える必要ありません。こういうふうないわゆる考え方、これだけの慎重さを踏んでいることに対して、今度の筑波法律はそれに比べてはるかに低い程度のものである。これについて疑念と心配を抱いているたくさんの人がある。事実あなた方は、これを一つのモデルとしながら拡大していこう、各大学にも自主的な改革の推進に役立てていきたいといっているんだから、これはやっぱり出直してくるほうがいいのじゃないか。問題になる特別立法だからこれだけを集中的に議論をしてもらう、その中で道を開くなら開く道を考えて、その際、議論をしてもらって、そして、必要な緊急の待っているものについては早くひとつ合意を得て持っていくということが、私は、これだけ考えてみても当然だと思うんですけれども、これでも私の言っていることは少しどこかに誤解があって、どこかに間違いがあるんでしょうか。大学局長から聞く必要ありませんよ。こんな問題あんたから聞く必要ありません。大臣から聞きたい。
  17. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 二十六年の大学管理法案とこの法案と比較してお話がございました。大学管理法案はすべての大学に共通する管理方式を制定しようとしたわけでございますけれども、今回は東京教育大学のビジョンの実現をはかってあげようとすることでございまして、根本的に違う。たびたび申し上げまするけれども、大学の自治を尊重する、その姿勢から考えたら私はもう当然のことじゃないだろうか。東京教育大学の打ち立てられた新構想を実現させるためには法律改正を求めざるを得ない、だから法律改正について御審議をお願いする。大学管理法はすべての大学について特定の方式を押しつける、ですからすべての大学について意見を求めていくというようなことで筑波大学とは違った形をとらなければならない、これはわかるわけでございます。でありますのでおっしゃいます大学管理法案と今度の筑波大学法案とは全然異質のものであることをぜひ御理解をいただいておきたいと思います。同時に、国立大学協会は、東京教育大学の立てた構想でありますことをよく理解しておられますだけに新しい構想を見守っていきたいという意思の表明もしておられるわけでございます。反対だとは言っておられません。国立大学協会としては、一つの試みだと見守っていきたいと、こう言っておられるわけでございまして、また、政府としても東京教育大学構想、やはりこれを実現さしてあげたい、こう考えているわけでございます。同時に、自主的な改革にしていきたいという点をお取り上げになりました。そのとおりでございます。そのとおりでございますが、そのことは筑波大学方式をすべての大学に押しつけていこうなんという考え方は毛頭持っておりません。先ほども申し上げましたように、明治以来、大学については学部組織以外は認めないというようないまの法律体系、私はかたくなに過ぎていると、こう思うのでございます。しかも四十三年、四十四年、あれだけの紛争を繰り返したじゃないかと、国民の多くは大学改革を熱望しているじゃないかと。にもかかわらず、いまだどの大学も新構想を打ち立ててくれなかった、法律改正も行なえなかった、筑波大学が東京教育大学構想としていま御審議をいただける段階になった。これを実現さしてあげることによって他の大学も私は勇気を持ってくると思うのでございまして、そして新しい構想を打ち立ててくれると思うのでございます。それは学部組織の中でおやりになろうとよろしいし、また、筑波大学以外の新しい方式をお考えになってもよろしいし、したがって、またものによっては、法律案として国会に御審議をお願いしなきゃならなくなるかもしれません。決して自主的な改革に資するということは筑波大学方式が他の大学に普及することを期待しているわけのものじゃ全然ございません。くどいようでございますけれども、明治以来、大学について学部組織以外は一切認めない、このような法律体系について今回は弾力化をする、積極的に教育研究基本となる組織をお考えくださいよということでございます。その場合でありましても、国立大学に関しまする限りは法律で、国立学校設置法でそれぞれ学部を明記しているわけでございますので、学部以外の組織をとります場合には、法律改正一つ一つについてお願いをしなきゃならないわけでございます。私立の大学につきましては、認可申請の手順を経ることによって可能になるわけでございます。しかし、国立大学に関しまする限りは、それぞれ各大学について学部以外の組織をとります場合には国会で御審議をいただかなきゃならない仕組みになっておりますことを御理解いただきますと、政府が押しつける考えなど持っていないことは私はおわかりいただけるんじゃないだろうかと、こう考えるわけでございます。私は、やはり多くの国民はそれぞれの大学が積極的に改革をしてくれることを大きく期待している、それを法律学部以外の組織は認めませんよというようなやり方をしているところにも責任をやはり感じてしかるべきじゃないだろうかと、こうも考えておるわけでございまして、ぜひその辺の事情も御理解いただきまして、お取り上げになりました二十六年の大学管理法といまの筑波大学とは全然異質の性格のものであるということ、同時にまた、自主的な改革に資するということは筑波大学方式を押し広げようと考えているわけのものじゃない、もっと積極的な各大学改革意欲に私たちは期待しているんですということもおわかりいただきますようお願いを申し上げておきたいと思います。
  18. 松永忠二

    松永忠二君 それだから、あんたがおっしゃるように、筑波だけの問題でございますと、それは自主的におやりになりました、私たちはほかのほうへ拡大することは全然考えていませんというなら、学校教育法の一部を改正して、学部以外の組織をつくることにして、あと筑波大学細則としてきめればいいじゃないですか、そういうふうになっているのですよ、法律に。そうやれば、みんなあああれは筑波大学だけのことだから、おれたちのほうへはこないのだということになるでしょう。しかし道を開きなさい、そんなこと私否定しているんじゃないでしょう、学部だけに固執しているんじゃないから、それじゃ学部以外の教育研究基本となる組織を置くことができるというふうにすれば、基本改正をしておいて、あと筑波大学のでございます、ほかには波及をしませんというなら、そういうかっこうでつくったらどうですかと言っているのです。そういうことを私は——どっちのほうが一体皆さん一般のほうに話したときに通用するのですか、まずそこから——局長には聞いちゃいませんよ、こんな根本的な問題なんですからね。あなたの御意見聞かぬだって大臣で十分わかる。そうしたらいいじゃないですか。あなた、それは誤解でございます、そんなものは絶対押しつけません、押しつけませんというなら、そういうやり方したらどうですか。そういう道があるじゃないですか。これはどうなんです。
  19. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 法律のつくり方については、いろいろな考え方があってしかるべきだということを申し上げているわけでございます。同時にまた、学部以外の組織として学群学系組織をとるわけでございます。したがいまして、人事の問題を例にとりますと、学部教授会できめてこられたわけでございますけれども、学部がなくなりましたので、じゃ、どうきめるかという問題を規定せざるを得ませんので、そこで研究組織教育組織、それぞれから委員を出していただいて人事委員会をつくります、そこできめることにしますということを、この法律に書かしていただいているわけでございます。内容によりましては省令に落としてもいいじゃないかどいうものもあること、それはそのとおりでございます。筑波大学がせっかく新構想をお出しいただいているわけでございますから、できる限りその意気込みを買ってあげたい、また法律体系上明確にしたほうがよろしいだろうというようなこともあって、このような法体系をとらしていただいたわけでございます。
  20. 松永忠二

    松永忠二君 一応やや認めたわけですが、たとえば人事委員会をつくりたければ、参与会つくりたければ、規則にちゃんと、細則の中にきめればいいんでしょう。細則に、そういう高エネルギー組織運営というのについて評議員というようなものをつくったり、運営協議員こしらえたり、客員教授等つくったり、これは規則なんですから、これはもう文部省で話し合って認めたことなんです。できるんです。そんならほかの大学の衆は、これは筑波のことだというふうに言うんでしょうね。まあそれが一つ。あなたは関係がないと言っているけど、提案の理由をそれじゃ変えたらどうですか。「筑波大学の新しい構想の実現と」「各大学における自主的な改革の推進に資するため、大学制度の弾力化」をはかると書いてある。これは、学校教育法の第五十三条だけのことを言ってるのですか。幾らも書いてあるのですよ、「大学制度の弾力化を踏まえた新しい構想に基づく」国立大学というのは筑波大学なんだ、そういうふうに言ってるのですよ。だからこういうものが国会の場で議論されるということになるなら、少なくも私たちのところへもいわゆるあらかじめ意見の聴取もあってもいいじゃないのか、あなたは全然関係ないと言ったけれども、確かにそれは私は国立大学管理法というのは大学全体に対するものですから、これとは分野が違うことは事実ですよ。分野が違うけれども、これは全体の「各大学における自主的な改革の推進に資するため」と、はっきり書いてある。筑波大学をつくるためだけとは書いちゃないですよ。「筑波大学の新しい構想実現と」「各大学における自主的な改革の推進に資するため」という提案をしているのです。だから単に筑波にとらしている考え方じゃないのです。各大学でもできるなら、そういうふうなことという考え方があるわけです。そうでしょう。そうだから、全部の大学管理運営が共通するものじゃないことは事実だけれども、各大学に影響あることを考えてやっていることなんです。そんならいま話に出たように、この前、日教組も入れてまでずいぶんたくさんな団体でやった、ずいぶん慎重をきわめた、案も出して公聴会もやる、こういうような処置もとったのに、せめて少しぐらいみんなの意見を聞いてみたっていい。まず最初、いま言ったことはあなたも少し形としては筑波大学にとどめると言うなら、そういうやり方もあるのだ。今度はこの法律は、実はそうでない考え方を含んで提案理由とされているのだから、それは各大学のことを全然考えないで、筑波だけですという、単独のものだという提案をしてないのだから、こういうものについては、共通の管理の、運営の法案とは違うけれども、もっとやはり時期をおいてやっていくほうがいいじゃないか、そのためには、まあひとつこれを特別に切り離しちまって、それで十分議論もしてもらうということも必要だということを言ってるのです。全然関係のないものなんですか、これは。そうじゃないでしょう。なぜ、こういうやり方をやらなかったのか。なぜ、こういうかっこうだけで提案をしてきたのか、そういうことをひとつわかるように説明してください。私、あんまり無理なことを聞いているのじゃないですよ。
  21. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いま提案理由が手元に参りましたので——大学制度の弾力化をうたっておるわけであります。「各大学における自主的な改革の推進に資するため、大学制度の弾力化等の措置について」、この点をおさしになっておったのだろうと思うのであります。多少私、誤解しておったようでございますが、それは今度の学校教育法改正の中で、医学または歯学の学部につきまして従来は二年の進学課程と四年の専門課程に分ける方式しか認めていなかったわけでございますけれども、その六年一貫の教育を認めるというようなことにさせていただいた、必要であれば六年一貫の教育をやれる、また、これは医学、歯学の関係者からは強く要望されてきたことでございましてそういうことを基礎にいたしまして、このような提案理由の説明をさせていただいているわけでございます。多少ちょっと誤解して申し上げましてたいへん失礼いたしました。
  22. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いたのは、そういうものがあるから、なぜほかのいわゆる学術会議やほかのところにいかなかったのか。前にあれだけ慎重な態度を踏んでも廃案になっちゃったので、今回なんでそんなにことを聞かずに急いで出したのか、そこの点は大臣から聞きたい。
  23. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いまの医学部、歯学部に関しまする六年一貫教育、これはすべて関係者から要請されてきたことでございますので、あえて聞くまでもないことじゃないかと、こう考えるわけでございます。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 あえて聞くまでもない……。
  25. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) そういう性格のものでございます。これは関係者にお聞きいただけばおわかりいただけると思います。問題は、先ほど私が触れました教育研究基本となる組織学部以外に求めることができる、こういうことでございまして、この点につきましては、いままで学部しか認めてこなかったその壁を破るだけのことでございまして、特別の方式をとるように求めているわけじゃございませんで、これは特段に、そのために学術会議意見を求めなければならないというほどのものではない、こう考えてまいったわけでございます。筑波大学につきましてはたびたび申し上げますように、東京教育大学構想、それを実現させてあげるだけのことだ、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  26. 松永忠二

    松永忠二君 私は、いまの大臣のはとても納得はできません。私は、やはり一般の大学にも関係することであり、少なくもそういうものを聞かなければできぬ、また今後聞くという点についても謙虚にやはりやらにゃいかぬ、そういうことを強く考えているわけです。それから私は、一体筑波大学をめぐって東京教育大学がいろいろ、現状が紛糾して、主体的な受け入れる条件が整っておるのかどうか。一体東京教育大学は、今度は逆に受け入れる立場のものからいったら東京教育大学のほうは受け入れる主体的な条件が整っておるのだろうかどうだろうかという問題だとえば、筑波大学の移転に賛成する人が、あの参考人として木村さんという方が、衆議院でいわゆる参考人でこられて述べられた。これを私は読ましていただいたのですが、これは学生、職員、助手の意向が十分反映をされていない。執行部と下部との間の不信感がつのってしまって、二月の二十三日の評議会では五学部研究所十六人の評議員中十二人が全員一致で宮島学長の不信任案を出す。それから現在においても、一回学長代理でもって評議会を開かれたけれども、評議会はいまなお開かれていないというのが実情だ。三輪元学長の創設準備室長というのが室長だけきまって、定員は昨年九月以来今日までなおきめられていない。四十八年法律が成立をして四十九年発足するということになっても、なかなか発足もむずかしいのじゃないか。特に一般語学、一般教養という担当の必要な人員ははたして確保できるだろうかどうだろうか、主体的な大学改革案を政府案に反映する方法というものは、いま評議会はそんな状況だから、学長の、もしくは執行部の若干の人々が個人的に折衝して話をするということだけだ、移転賛成、反対よりも教育大学の断絶、要するに一体教育大学が断絶するのか連続するのか、教育大学が廃学となってしまうというこの時点において、大学全体がこれに対して十分主体的に討議をしたり考えたりして、この一致をする意見をしていなきゃ非常に憂慮されると、こういうことを言っているわけですね。まあ事実私たちのところへ——卒業生も量がある、とにかく東京教育大学の廃学に反対する卒業生の人たちが、古い昔の高師の卒業生から昨年の卒業生にまで及ぶ人たち千八百名が署名して文部省にも申し入れをしてきているけれども、私たちのところへもその申し入れが出ている。それから文学部長、いまの文学部長ですね、文学部評議員、それから理学部の前の部長、それから理学部教育学部の教授の人たち、そういう人たちがわれわれ文教委員に対する要望書としてこういうものが出ていますね。「学内において、かかる意思不統一が現在に至るもなお続いている状況においては、たとえ法案が議決されたとしても、それはますます内部混乱と不信感をつのらせるばかりである。このままの状況では、新大学の中核母体である教育大学内部において新大学創設のための精神的基盤は全く失われてしまっていると言わざるを得ない。」賛成の人でもそういう心配を述べられ、現に文学部長であり評議員である人たち、もとの理学部の部長でありあるいは理学部教育学部のいわゆる教授の人が名を連ねてこういうことを言っているわけです。いわゆる筑波大学をつくる教育大学の主体的条件はまだ完備をしていない。ここらもやっぱりもう少し意思統一をするなりして、受け入れの態勢を整えてもらわなければできない。はっきり私はそうだと思うんですが、これについては、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  27. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 東京教育大学が適当な候補地を求めて移転地の調査をしたいと正式に決定をいたしましたのが十一年前でございます。同時に、先ほども触れましたように、四十二年に評議会において正式に移転を決定したわけでございます。ところが、その後は五学部ありますうちの文学部は、そういう関係の会合に代表者を送らないわけでございます。したがってそのことから当然私は、大学の中に相当多数の反対者もいらっしゃる、これはもう十分予想できることでございます。文学部の方々は大塚地区に残りたいという希望を持っておられるのじゃないかと、こう思うわけでございますけれども、しかし、正式に評議会で移転がきまったにもかかわらず、その後の会合に一切代表者を参加させないというあり方というものは、私は民主的な社会において許されるのだろうかという疑問を非常に持っているわけでございます。その中で、四十四年には、さらにビジョンの実現を期するんだと、新構想大学をつくるんだという正式決定も行なわれているわけでございます。でございますので、大学の自治を尊重するということは、個々大学の人たちの意見を尊重するのか、大学全体の正式機関の決定を尊重するのかという、私は一つの分岐点になるんじゃないだろうかなあと、こんな感じを持つのでございます大学の自治を尊重する以上は、大学の正式の機関を尊重してあげなければ、いつまでたっても私は大学によってはごたごたが続くんじゃないかと予想されるわけでございます。やはり正式機関が決定した場合に、その決定に従うんだという姿勢、これは私は民主社会を守る一つのルールではなかろうかと、こういう考え方を持っているわけでございます。同時に、木村さんのお話、いろいろお述べになりました。木村さんから見たらそのとおりお考えになっているのでございましょう。野党の方から御推薦いただいたわけでございましたけれども、そのことを一々私はとやかく申し上げる気持ちはございません。ございませんが、不幸な中で今日の事態を招いているわけでございますけれども、そういう経過を考えますと、むしろ正式の決定としてずっと努力をしてきておられたこと、これを実現さしてあげることが、民主的なルールを守る一つの大きな重要なポイントでもあるんじゃなかろうかと、こういう考え方を持っているわけでございます。学長不信任のお話もございました。その後また評議会を開かれまして、いまの学長が議長として主宰しているようでございます、いろいろな変化もあるようでございますけれどもできる限り東京教育大学が円満に運営していきますように、文部省といたしましても協力できるところは積極的に協力したい、かように考えているわけでございます。しかし、中にはいろいろの賛否のあること、これは御指摘のとおりだと、かように考えております。
  28. 松永忠二

    松永忠二君 私は、経過についてはまたあとで、——あなたの言ったことだけがそのとおりじゃないですが、私は、その現状のことを言っているんですよ、現状。やはり現状は、まあ大体皆さんが見て、これはどうも受け入れ態勢が十分じゃないじゃないか、主体的条件が完備してないじゃないか、まだごたごたしているじゃないかということは、もうむしろ私の言っているほうが一般の人がわかると思いますね。われわれはこうやってやってきたんだ、やってきたんだと、そこだけを主張していて、現状はこうだという点について考えないのです。評議会の現状について聞きますがね、両方とも違ったことを言っているんですよ。反対の人たちは、この問題は依然として未解決のまま、学内において約五カ月間異常な事態が続いておることが確認された。片一方の賛成するほうの衆は、現在評議会は現議長のもとに平常に開催されている、あなた方の経過報告によるといや、それからあとだって四学部長文部大臣要望した、学部長要望したって、評議会じゃないですよね、一体正しい意味評議会の現状はどうなのか、一体不信任が続いてから評議会が何回開かれて、いついつ開かれているのか。それからもう一つは、移転室員というのは、一体はっきりきめているのか。この二つの点についてだけ、これは局長のほうから聞かしてください。何月何日に開かれたのか、あれから。
  29. 木田宏

    政府委員木田宏君) 評議会は、四月一三日、六月三十日、七月十三日の三回開かれております。
  30. 松永忠二

    松永忠二君 何がきまっているんですか、そこで何をきめたのか。
  31. 木田宏

    政府委員木田宏君) 四月十三日では、東京教育大学の定年制規程の一部改正、それから学生部長候補者についてが第二番目、三番目に附属学校長候補者の選考について、三件の議題で評議会が開かれました。当日議長である学長はやむを得ない事由で欠席いたしましたので、最年長の農学部長が議長の職務を代行をいたしております。それから、六月三十日と七月十三日は学長が議長で普通の評議会を開催しておるわけでございます。
  32. 松永忠二

    松永忠二君 議事の内容
  33. 木田宏

    政府委員木田宏君) 議事の内容は、筑波以外の概算要求と附属学校の教官の人事でございます。  それから、七月十三日は、筑波関係の予算について評議会で取りまとめております。
  34. 松永忠二

    松永忠二君 移転室員は。
  35. 木田宏

    政府委員木田宏君) 移転室員につきましては、室長には先生がきまっておりまして、室員二名はまだ選考中でございます。
  36. 松永忠二

    松永忠二君 そこでも明らかになったように、三回開かれたという、最初のは、これは代行がやったんですからね。あと開かれているのは、問題の学則の問題なんというのはまだ懸案たな上げしているんでしょう。  それから、また室員は、言うとおり、この人がおっしゃるように、九月以来今日まで、移転室というのは、創設準備の室長で一番大事なところでしょう。そこの要員もまだきまっちゃいない、五月以来、一人室長がきまったばかり、まあ、いろいろ言ってみたところが、結局は、これはまだ実情はなかなか軌道に乗っていないということでしよう。  もう一つ、話を進めて、廃学という問題についてですね。なお、その東京教育大学、東京高師、東京文理大の卒業生が、いま言うように、筑波の新大学構想に重大な問題を含まれているのみでなく、その立法関連して母校の東京教育大学が廃学に立ち至るとすれば、卒業生は決してそれを黙視することはできないというような一人ずつの署名をされておりますね。「大学問題研究会」というのは、これはまた先生たちですけれども、この人たちは別な意味で「移転や統合に名を借りた既存大学の取りつぶしと政府主導下の新構想大学への吸収とを同時に進めるこの方式は、今後の一つのモデルを示すものとして、看過できない重大な問題を含んでいる。」という別の意味の角度の取り上げ方をしておりますね。また事実、さっきからお話のあった、文書によって筑波土地確保の意向を表明した。昭和四十四年七月東京教育大学は「総合大学として発展することを期し、条件つきで筑波に土地を希望する。」、ここから発足したわけですね。この中には六条件があって、その二に大塚地区を研究教育上の合理的、全学的利用のために保有すること、移転の最終決定は、上記の条件を満たされることを確かめた後、本学の自主性において行なうというこういうことがついている。昭和四十四年七月の二十四日、例の問題の筑波移転に伴ういわゆる新大学基本構想、ビジョンがきまったときに、各学部でいろいろやったわけです。教育学部は、当分大塚地区にとどまる、これは最終の決定ではないという、そういうことを評議会に報告をして、これを認めているんですね。だから、この廃学ということは実は考えてなかったわけなんですね。移転という問題についてですね、廃学と。木村さんが、いわゆる教育大学が廃学となってしまう時点において大学全体がこれに対して十分主体的に討議したり、考えたりして一致した意見をという、この考え方というのは、やはり相当尊重されるべき性格のものではないか。この紛争をどう処理して新しい発展を期すかという問題について考えていく場合に、この問題は慎重に考えていくべき筋合いの問題なんだろう、事実また、学長不信任が出たのは、学則でいわゆる一廃学になった場合に、あとの生徒はどうするんだといったら、それは筑波で勉強すれぱいいじゃないか、こう言ったのが問題で、それじゃ、学則をきめなければいかぬじゃないか、学則をきめる評議会を開け、そう言ったところが、それに応じないんでしょう。そういう廃学問題というものがあるわけです。それから学長不信任案が出たのは、単にこれだけじゃないのでしょう。農学部とか、教育学部、体育学部は移転の問題で評議会で検討する必要があるということを宮島学長にそれを要求していたのです。そういうこともちっともやらない、学則のほうは全然——自分で掲示をして電話でそうすると言ってやったのです。当然おこっちゃった。要するに、十年に及ぶ学長専制体制に対する一つの問題点が出てきているわけですね。これは単に学則問題という性格とはやや幅の広い、だから初めからまさか廃学になるという気持ちは、実は大学の移転をきめた中には考えていなかった、条件もちゃんとつけてあるし、それがいまここで廃学になり、募集をした生徒が六年在学するという中で学則に基づいて試験を受けたのに、この子供がしまいまでいれないということになったんじゃ、これはたいへんなことじゃないかという問題が、いまこの問題がひとつ中心になったんです。だから、廃学という問題については、このことの経過から考えてみても、よほどこの際、慎重を期していかにゃできないのだというこの考え方というのは私は当然なことだと思うのですが、この点について、これまた事実という問題がありますし、考え方の問題も一つありますから、大臣からこういう問題についてどうでしょうか。
  37. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 東京教育大学にごたごたが続いているということは、私もそのとおりだと思っております。しかし、いろんな意味でのごたごたであって、筑波に発展的に移っていくという問題についてのことではない、かように理解をしているわけでございます。また、現実にそういうごたごたを押えている方は私のところへ来て、そういう意味での申し出さえ受けているわけでございます。なお、廃学という問題は学校にとりまして非常に大きな問題でございます。たまたま東京から茨城県に移っていくわけでございまして、同時に、学部組織学群組織に変えていくことでもございますので、法律的には東京教育大学をやめて筑波大学をつくるという形式をとらしていただきました。しかし、実質的には、東京教育大学の先輩は自分の母校は筑波大学考えるわけでございましょうし、また、そういう意味の関心を持ち続けてくれるものだと思っておるわけでございます。同時に、参与会をつくりましても、参与には同窓会の代表、それから東京教育大学の卒業生の代表、こういうものをいまも考えておるわけでございます。実質的には続いていく、形式的にはなくなるということではなかろうか、発展的に解消していく、かように存じているわけでございます。
  38. 松永忠二

    松永忠二君 私はいままで質問してきて、法律体系的にも少しおかしいじゃないかということを申し上げた。それから法律体系として正しくとった場合には、非常に大きな問題だから全学的な、みんなからもっと意見も聞かにゃできないし、そういう慎重を期すべき問題である。また特別立法というような形でやっていくべき問題である。今度は逆にこれを受ける立場の教育大学の主体的条件がまだ整っちゃいない。これはやっぱりもう少し時間をかしてこの問題についてのやはり意思統一もし、廃学の心がまえというものについても同様なのか、こういうことが必要だということを言っている。一体世論もそうじゃないですか。私たちの言っているようなことじゃないですか。衆議院で法案が強行されて後、またやった中で、いよいよ参議院に法案がくるときに、各社がいろいろ論説を書いた。「参院の筑波大法案審議に望む」という新聞が、こういうことを書いているのですよ。「十年前から筑波移転をめぐって学内が紛糾している。反対派の文学部教授会評議会との断絶状態が続き、さらに今年二月には理学部を除く四学部から学長不信任案が出され、採択されながら学長がこれをにぎりつぶすという事態まで起こった。  これらの事例は、教育大が大学としての統一した意思をもち、民主的なルールのもとに運営されていることを疑わせる。筑波大学法案に対する批判も、その一つは、このような現在の教育大がもつ非民主的な性格によるのであり、それが筑波構想の中の管理運営体制と相まって、大学人に多くの不安を与えているといえよう。教育大の正常化を何よりも先に急ぐべきであり、もし早急な打開が不可能ならば、筑波大を教育大とはきっぱりと切り離すくらいの勇断が必要なのではあるまいか。」ある新聞はこういうふうに出ているんですよ。「筑波大学法案に無理がある」「筑波大学の問題点は経過的に見るといかにも混乱している。文学部教授定員五十八人中二十六人が欠員である。二月二十三日、評議会の学長不信任動議が保留となって、混乱と対立の例であり、このまま筑波に移っても明るい学園となることを期待しにくい。これは新構想内容以前の問題である。参議院では、野党の提案について与党がもう一度考えて、与野党が協力し、合意できるものから順次問題を解決することが望ましい。」というようなことを書いているわけですね。大臣は、この見解についてどういうようなお考えを持っているでしょうか。  もう一つは、正常な形で、この法案の通過が困難な状態になっている中で大臣の心境は一体どうなのか。大臣は一体何を考えているのか。この二つの点について大臣にひとつ御答弁いただきたい。
  39. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 国会でこれだけきびしい対決が続いているわけでございますので、世論の中にもいろんな意見があって別にふしぎではないと、こういうふうに存じております。同時に、そういう不幸なことの原因はやはり東京教育大学の内部事情だと。内部事情でございますが、同時に四十二年に移転がきまって以後、文学部が一切その会合に代表者を出さないという、かたくなな態度につきましても、私は民主的な社会のあり方として相当な批判を受けるべき性格のものではなかろうかと、こう思っておるわけでございます。同時に、移転の問題を先生の立場で考えるのか、学生の立場で考えるのか、国民の立場で考えるのかという大きな問題もあろうと思うのでございます。文学部としてはどうも大塚地区、いまのところへ残っておりたいというお考えのようでございますけれども、それにしましても、やっぱり評議会の決定は守ってもらって、その論議の中でなお主張を続けるという姿が本来のあり方じゃないだろうか、こういう疑問を持っております。同時にいまの大学の先生たち、反対者もいらっしゃるでしょうけれども、多数はやはり筑波大学移転、これを実現させるべきだと、こう考えていられると思うのでございます。なおまた国民の多数は、私はやはりいまの大学につきまして改革を熱望している、かように判断をいたしているわけでございます。また、多年にわたる筑波大学構想がようやく実ったところでもございますし、それなりの準備も進めてきているわけでございますので、ぜひこの国会で成立さしていただきたい、そして国民の期待をしている、また各大学がそれぞれ教育改革に取り組んでいる、その姿勢をくずさないように持っていきたいなというのが、私の強い希望でございます。
  40. 松永忠二

    松永忠二君 私は、いま質問をしたような理由、またこういう世論からして、いま読み上げたものに全く賛成です。そういう点について、与党の皆さんやあるいは政府側のほうでもなおひとつよく考えていくべきではないか。そういう時期の来ていることを望んでおります。  そこで、もう少し話を進めたいと思いますが、この法律案というのは、大学改革というのは必要なんだという、いま盛んに強調されておりますように、大学改革の必要を前提として提案されております。大学改革が必要になった原因について、これは私は大学にも責任があるし、あるいはまた文教行政にも責任があろうし、社会、企業、政治にも責任がある。学生にも私は責任がないとは言えない。それぞれその責任はあると思うけれども、まず一体文教行政の責任はどこにあるというふうにお考えになってますか。大学改革をしなければできなくなったことについて、文教行政の責任は一体どこにあったと大臣考えておられるのでしょうか。
  41. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いろんな点に問題があろうと思いますし、いま御指摘になりましたようなところにも問題があろうと思いますけれども、同時に、この社会の変化に対応する大学の仕組みのあり方、やはり学部以外の組織は認めないというようなことにつきましても私は一半の責任を持つべきだと、法律体系を明治以来そのままにしている、これにも私は一半の責任を帰してしかるべきだと、こう考えるわけでございます。文教行政ということになりますと、文部省の責任が一番大きい、これは私は否定をするわけじゃございませんけれども、いまの法律制度にも問題のある点は、御理解いただくようにお願いを申し上げたいのでございます。
  42. 松永忠二

    松永忠二君 私は、制度そのものだって文部省の責任だと思うんですが、それだけですか。大学改革をやらなければできなくなっているにあたって、文教行政に携わっている者の反省というものは何も、学部にこだわっちゃって、ちっともそこを制度的に打開ができなかったからまずかったんだという反省だけですか。まさかそうではないでしょう。もう一度お答えをいただきます。
  43. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いろんな問題がございますが、むしろ、松永さんが何を御指摘になっているのか御教示いただいたほうが、お答えをしやすいと思います。
  44. 松永忠二

    松永忠二君 とんでもない話ですよ。私から聞くといったって、それは大学改革必要だ必要だとあなたがおっしゃるんだから、文教行政がどこに大学改革の責任があるのかと。よく言うとおり、企業にも責任があるし、それは大学にも責任がある。こういうような面について自主的にほんとうにやっていくという決断と勇気と、そういう面について、大学側に責任がないということはありませんよ。それは責任はある。その点についてはあなた方もちゃんと指摘をしているでしょう。あるいは企業というものがいわゆる企業の青田刈りをやってみたり、あるいは学歴中心の仕事をやってみたりするという、そういう要するに企業側の責任もそれは大きいですわね。あるいはまた政治の責任としては、いわゆるこの大学紛争の一つの問題点として安保紛争から発展をしてきたわけでありますから、こういうような問題が政治の場できちっと取り上げられて解決をわれわれの力でできないというような点なんか、そういうことが逆に学生に大きな影響を及ぼしてきたというような点なんか、政治家として、われわれ政治に携わっている者の反省はやはりありますよ、大学改革について。もっと早くやらなければできないことであったと思うんです。文教の行政にあずかっている者が、制度がぐあいが悪かった、いつまでもそれに固執した、それが時代の要請に応じないという、そういうだけの一体大学改革についての反省しかないんですかね。私から聞かなければ、あなたはその反省を述べられないんでしょうか。私は、別に山をかけて言っているんじゃないんですよ。あなたはお考えになって、大学改革を前提としてすべて法律ができているんだから、大学改革にあたって、われわれの反省点としてはこういうのがあると、あんたは制度的な問題があるというから、ここで制度を変えるように提案をしてきたんでしょう。これはまあそのとおりでしょうね。科学技術の急速な発展に対応できるような研究施設、新しいシステム、そういう意味では財政的な条件、あるいは単にその制度、いま言った制度の問題、財政的な条件だって、それはあたら科学技術の急速な発展に対応するための財政的な条件ができてなかったことも事実でしょう。あるいは制度的にあなたのおっしゃるようなところもそうだし、これから話をしていくと、行政上の一つのワクがあって、大学が自発的にやりたいと思ってやろうたって、なかなかできやしない。たとえば、教官、職員、学生というものは大学の三つの構成員であると考えて、その構成員による自治をやりたいと思ったって、これは文部省の方針や中教審の答申や、まあ制度的な規制のワクがあって、これ、やれないでしょう、なかなか。気がついてやろうと思ったって、なかなかできない。そういうような面、特に財政的な条件というものはないもんだから、なかなか科学技術の急速な発展に対応できなかった、そういう面について。だから、そういう面で制度的なものを取っ払うじゃないか、行政上のワクもできるだけはずそうじゃないか。金もしっかりして研究をできるようにしようじゃないかということはあたりまえのことでしょう、そういう反省は。ほかに反省はありませんかと聞いているんですよ。私はそんなこと、私が言わぬだって、いや、それはもうこれだというくらいなお話があってしかるべきでしょう。私は人の責任を追及することは急であっても、まず自分が文部行政の中で何を一体反省をするのかという、ここから出発をしてこなけりゃ、大学改革なんというのは変な方向へ行ってしまうんじゃないですか。その点について何かお気づきの点はありませんか。ないというなら私は申しますけれども、そんなことは大臣のほうからきちっと言っていただけると思うから、もう一回。ただ、私の質問を誤解されていたんじゃないですかね。
  45. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 何をお考えになって反省を求めておられるか知りませんし、また、文教行政の問題については文部省が基本的に責任を負わなければならない問題、いろいろな問題が起きている点につきましては、文部省が一番矢面に立たなければならない性格のものであることを、これを私忘れているものではございません。同時に、情勢の変化に対応できる大学であるようにする。どちらかと言いますと、エリート教育、それから社会の中核になる人を養成すると。大学基本的な性格が私はもう根本的に変わってきていると思うんでございますが、その変わってきた性格に対応できるような大学のあり方に、大学自身も積極的に取り組んでいかなきゃなりませんし、また、文部省としても取り組めるように、それのお世話をしていかなければならないと考えるわけでございます。そういう点が十分でないままに大学紛争を繰り返して今日にきているというふうに理解をしているものでございます。
  46. 松永忠二

    松永忠二君 この大学改革の問題については、局長あたりもいろんなものを書いておりますけれども、だれもが気がついていることは、大学が大衆化に対応するだけの教育がなかったということじゃないですかね。いわゆる安価なマスプロ教育をやったと、まず、その独立企業体として私立大学にいわゆる財政的援助を怠ったというような点があるんじゃないですか。そういう面から、また私立大学の中には大学自治とか、学問的自立を脅かされるものがある。とにかく大学の大衆化に対応するに、これだけの進学が高まったことに対応して、どういうふうに大学を受けとめていかなければいけないかということについて、七割も私立でやってくれ、そっちのほうはたいした金を出さぬという、ここにもいわゆる大学改革を必要とする一つの理由がある。  それから、また一つは、やはり財政的な貧困によるところもあるけれども、いわゆる研究教育に格差ができちゃった。特に講座制とか、学科制の大学においては、国立大学に格差ができてしまった。だから、いい大学に行こうとする。しかも、社会的には学歴を得なければいいところに行けないということで、ここにまあ受験体制、入試問題これらの緊急解決しなければいけない問題が出てくる。マスプロ教育の中で学生に対応するほんとうの意味教育というものはなかなかできないという。つまり、これだけ大学が大衆化されてきたのにかかわらず、これを受けとめるにあたって、いわゆる安価なマスプロ教育をやっていた。もっと、やっぱり、そういう点について私立に責任を負わせるならば、私立にもっとしっかりした財政的援助をやっていかなければできぬ。それから、また、よく言うように、各大学内容というのは、非常な多くの生徒をかかえて、いわゆる大きな事業をやっていくという状況にも実際大学はなってきている。しかも、国立大学そのものにさえ、財政的貧困によるとは言いながら、大学格差ができてしまっている。そこに、入学試験の問題あるいは幼稚園から小学校から高等学校までに至る受験勉強、それによる日本教育の破壊というものが出てきた。私たちは十分その大学が、よくおっしゃるように水準が高くなったとおっしゃるが、それに応ずるだけの体制が十分できなかった。そこにやっぱり大きな反省がなきゃできないと思いますが、文教行政をやっている者は。  もちろん、同時に、科学技術の急速な発展に伴う財政的状況はできない。その上にいわゆる制度行政のワクを取っ払うということをやらずに、それを守ることにきゅうきゅうとして、自発的な大学改革もなかなか踏み込んでいけないというところに、私は問題があったと思うのですよ。まあ、これについては御意見もあるでありましょうけれども、大体木田さんの書いたのも、そういう点を中心にして書かれていますわね。だれだって大体そういうことを考えていますからね。だから、私も大臣にお尋ねをしたわけです。私の質問する趣旨は、人の責任を追及するときには、やはり自分の責任をまず最初考えなきゃならぬ。今度のいわゆる福岡歯科医科大学という問題が起こったときには、おれたちのやっていることに何か手抜かりはなかったかというこの反省の上に立って、相手を追及してかからなければできぬと思うのですよ。だから、大学改革を、人のいろいろここにここに欠陥があったということは、指摘をされてもけっこうですけれども、まず、あなた方御自身が一体何を責任として感ずるかということについて御意見を聞いてみたわけなんです。  で、次の質問に移りますが、この冊子を見ると、至るところに、新しい大学自治の確立を目ざします、真の総合大学にふさわしい大学自治確立を目ざそうとしているものでありますということが書かれておりますけれども、大学の自治と大学改革というものはどういう関係があるんでしょうか。大学改革大学自治とはどういう関係にあると大臣はお考えになるでしょうか。大学改革というものと大学の自治というものはどういう関係にあるか。この法律提案にも新しい大学自治の確立を目ざす、あるいは真の総合大学にふさわしい大学自治の確立を目ざそうとするものでありますと、こういうことを言っておりますから、大学改革大学自治の関係について、大臣は、どういうふうにお考えですか、ちょっとお聞きしたい。
  47. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 大学研究教育のあり方、これをそれぞれの大学にまかせていく、大学の自治をできる限り尊重しているわけでありますけれども、その従来からのあり方によりまして、必ずしも教育研究が十分に成果をあげているというわけにはいかない。そこで、どう改正をするか。いままでのあり方についての改革、それはまあ大学自治のあり方の改革につながると考えるわけでございます。そして、本来の成果をあげていこうということではないか。成果をあげるためには、従来の大学自治として取り上げてきた従来のあり方について問題がある。その反省に立って新しい仕組みを考えるということではなかろうかとこう思います。大学のあり方を実態的に見て改革をすべきだ。教育研究の成果が必ずしも十分にあがっていない。その進め方に問題があったということで、新しい自治の方式を生み出そうと、こう考えておるわけです。だから相互に深い関連を持っているものだと思います。
  48. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、大学自治がどういうふうに生かされるか、大学自治がどういうふうに確立をされ、拡充をされるかという方向で大学改革というものは行なわれなければならない、そのことは同意見だと思うんですが、どうでしょうか。
  49. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) そのとおりでございます。
  50. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、一体大学自治がなぜ尊重されなければできないかという点について大臣はどうお考えになりますか。大学自治がどういうわけで尊重されなければならないか。大学改革というのは、大学自治を確立し、拡充するという、そういう観点で大学改革というのは行なわなければいけない。それがつまり新しい大学自治の確立を期したいとか、あるいは総合大学としての自治の確立を目ざしているんだ、だから大学改革大学自治を拡充し、確立するという方向で大学改革は行なわれなければならない。そうすると、大学の自治というのはなぜ尊重されなければならないか、どういうわけで尊重されなければいけないとお考えでしょうか。
  51. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 学問の自由を保障することを通じまして、よき未来の実現をはかっていきたいというのが憲法の基本的な考え方だと思います。そういうことから大学における学問、それをささえる研究教育、これについてはそれぞれの大学にできる限りゆだねていこうと、大学の自治を尊重していこうと、そこからよき未来が築き上げられていくんじゃないだろうかということを期待している。したがいまして、それぞれの大学研究教育についてのあり方はそれぞれの大学の自治にゆだねる。これをできる限り尊重していくというのがいまのたてまえであろうと、かように理解しているわけでございます。
  52. 松永忠二

    松永忠二君 大学自治をすることによっていい社会をつくっていってもらうということをおっしゃいましたね。私もやはりそうだと思うんです。大学というものが、最高度のいわゆる学術研究機関であり教育の機関だということはそれは認めているところだと思いますね。そういうものをなぜ社会が大学でやってもらうかといえば、社会の発展の原動力の一つとして重要な役割りを果たすことができるからだと。そこで大学を最高の学術研究の機関として、教育の機関としてそういうものをつくって働いてもらう。社会発展をするのには、人間の社会の未来を目ざす大学研究教育内容というのは、既存のいわゆる諸体制から独立をする、あるいは批判をする、つまり新しいよりよい国家や社会をつくっていくという意味で、既存の諸体制から独立をし、批判的なものもなければいわゆる社会、国家の発展はあり得ない。だから大学は当然現在の体制に批判をし、あるいはまた既存の体制から独立をしたいろんな考え方がそこで研究をされ、教育をされていくということは当然なことだ。そういう現在の体制を批判をしたり、独立をしていくから当然そういう学問の研究や思想の自由というものをその中で尊重していかなければいけない。その学問、思想の自由を保障するために、大学の自治がある。だから大学の自治を認めているというのは、大学が最高の研究教育の機関の役割りを十分果たして、社会、国家の発展に資してもらいたいということのために、大学の自治があるわけなんです。だから大学の自治が停滞したときには、これは国家、社会の発展の停滞したときだと考えざるを得ない。だから私たちは大学の問題というのは、単に大学という学校の問題というよりは、むしろ国家、社会の発展を期していくために現体制を批判し、独立し、また現体制を検討し、十分これを吟味していくという、このために学問と思想の自由が大学に守られて、大学の自治が確立されていくべきだと私は思っているわけです。そういう役割りを大学の自治というものは果たすものなんだ。そういう大学の自治を確立する方向で、大学改革というものはなされていかなければならない筋合いだ。それじゃ、大学自治の内容は何だというと、いま大臣がおっしゃったようなことですよね。事実これにもこういうことが書いてあります。大学の自治というものは大学教育研究に関することはすべてその専門的なにない手である大学の先生方におまかせするということですといって、これに書いてある。大臣はいまおっしゃったように、その他のところで、大学としての意思決定を自主的にやってもらう、それをできる限り尊重する。大学の意思決定は、大学の意思決定をもっておさめていくという、こういうことだと、こういうふうに説明していますね、いまもおっしゃったとおり。そのことばをもう少しわれわれのことばで的確にしていくと、大学の自治の内容というのは教育の人事及び研究教育内容、方法の、あるいは対象の自主決定であり、大学管理運営基本的には研究教育に携わる人の総意によってなされる。つまり大学管理運営基本的には研究教育に携わる人の総意によってなされる。だからまあ大学の自治というのは教育研究のことはすべて専門の先生におまかせするというか、そういうふうに自主的に決定してもらう、こういうことだと思うのですが、大学自治の内容についてことばを改めて私は申し上げたのですが、大体私の言っていることと同じ御意見でしょうか。その点をお伺いします。
  53. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 同じように理解をしております。
  54. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃ、大臣にお聞きしますが、大学の自治に関係する法制的な規定、つまり大学自治を保障しているものは憲法とか、あるいはいろんな法律のどこに規定をしておりますか。いわゆる大学自治に関する法制的な保障の規定というのは何であるかということを大臣にお聞きをしたい。
  55. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 一つは、まず憲法に学問の自由を保障する規定がございます。同時に大学に対しましては学長の人事は大学がきめる、大学側からの申し出に基づきまして文部大臣が任命をするわけでございます。自余の人事につきましても、大学側にまかしているわけでございまして、そういう人事を保障することによりまして、研究のしかたの問題、教育のしかたの問題につきまして、大学が自主的に運営できるということになっている。制度と慣行、この両方の積み重ねを通じまして、今日の大学の自治が築き上げられてきている、こう理解をしているわけでございます。
  56. 松永忠二

    松永忠二君 まあ、私のほうで申しますが、法律的な規定の根拠というのは、憲法の第二十三条に「学問の自由は、これを保障する。」という規定があり、学校教育法の中には第五十九条で「大学には、重要な事項審議するため、教授会を置かなければならない。」それから教育公務員特例法の中で第一節「大学の学長、教員及び部局長」の規定があり、第四条——第七条、第八条、九条、十条、十一条、十二条というようなところにあり、第二十五条に「大学管理機関」というものがきめてある。つまり教育公務員特例法と、それから学校教育法第五十九条と憲法第二十三条というのがいわゆる大学の自治を保障するような規定である。まあ大臣はそれに加えて、いま大学で行なわれている慣行というものが、大学自治の、法律規定しているというわけじゃないが、慣行というものが、大学一つの保障をしているものである、こういうことですが、これについて私と大体同じ考えだと思うんですが、どうでしょう。
  57. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 違いはないように思います。
  58. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃこれからあとはこの次に……。
  59. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後三時一分開会
  60. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  教育、文化及び学術に関する調査のうち、女子教育職員育児休暇制度に関する件を議題といたします。  昨年七月十二日の本委員会の申し合わせに基づき、理事及び委員の方々には種々御努力をいただきましたが、その経過等について理事会で協議いたしました結果、次のような結論に達しましたので御報告いたします。  女子教育職員の育児休暇制度の確立は緊急重要なことであり、第七十一回国会において慎重審議を重ねたが、ついに成案を得るに至らず、現時点においてははなはだ残念ながら断念せざるを得なかった。  さらに、今後当委員会において検討を加え、早急に成立を期するようにつとめる。  そのため、文教委員会内に専門的討議機関を設けて促進をはかる。  なお、審議にあたっては、学校事務職員の出産に際しての補助教職員の確保についてもあわせて検討審議する。  以上が理事会の結論でございます。  これを、本委員会の申し合わせにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  62. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) 次に、国立学校設置法等の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)及び国立学校設置法の一部を改正する法律案(参第一九号)の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は御発言を願います。
  63. 松永忠二

    松永忠二君 引き続いて少し質問いたします。教授会についての学校教育法上の解釈について少し疑義をただしたい。  国士館大学の問題のときに、国士館大学の学則の第三十三条に「本大学教授会は、学長の教育研究に関する諮問機関とし、学長がこれを招集し、その議長となる。」、そういう条項がある。これについて学術局の安養寺審議官はこういうことを言っている。——これについて加藤委員が、学校教育法第五十九条で、「大学には、重要な事項審議するため、教授会を置かなければならない。」と、こういう規定をして、これは国公私立に適用するんだから、「教育研究に関する諮問機関」というのは五十九条違反ではないだろうかと。私も関連をして、これはやはり法律の違反になるのではないかという質疑をいたした。そのときに、安養寺学術局審議官は、こういうことを言っているのですね。「「重要な事項審議するため、教授会を置かなければならない。」という規定はきわめて一般的な規定で直ちにこれに違反するとは申しかねる。」と、こう言われている。  それからまた文部大臣は、「「重要な事項審議する」、「審議する」ということであって、それ以上に明確な規定を置いていないわけでございますので、それだけでもってどうこうというようなものはいかがなもんだろうかと思う」。「重要な事項審議」をどの範囲にするかということについては、一応私学の場合、私学にまかせておる。「建学の趣旨からいって、例外的な場合もあるんじゃないかこう思うわけでございます。」、こう答えている。これについて、あらためて補説をしたり訂正をしたりする御意思がありますか、お二人から。
  64. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) そのとおりに考えております。
  65. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) この間の説明のとおりだと思っております。
  66. 松永忠二

    松永忠二君 それでは、一体これとどういう関係があるでしょう。学校教育法には、大学の内部管理に関する規定は第五十九条以外に何があるのかというと、学校教育法施行規則の第六十七条に「学生の入学、退学、転学、留学、休学、進学の課程の修了及び卒業は、教授会の議を経て、学長がこれを定める。」、「教授会の議を経て、学長が、これを定める。」というんですね。「議を経て」ということになれば諮問機関ではないでしょう。この内容については学校教育法施行規則で、いわゆる教授会の議を経なければ学長が簡単にきめられない。諮問機関じゃないんですよ。  なお、国士館大学の学則には、その次に続いて第三十四条に、「本大学教授会は、必要ある場合左の事項審議する。」といって、こういうものもあげている。これは、学校教育法の施行規則に「学生の入学、退学、転学、留学、休学、進学の課程の修了及び卒業は、教授会の議を経て、学長が、これを定める。」というんだから、諮問機関であってはならない、これに関する限り。これは明らかにいわゆる違反した諮問機関であるということはこの関係においてこれは間違いでしょうか。これをどういうふうに説明するんですか。どちらからでもけっこうですから説明してください。
  67. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 前回御説明いたしましたのは、具体的な国士館大学の学則の関連について申し上げたわけでございまして、ただいままたそれについての御説明でございますが、一応、三十四条にございます「必要ある場合左の事項審議する。」ということで、学生の入学、退学等々、御指摘学校教育施行規則の六十七条該当事項審議することになっています。多少これひいき目に見ましても書き方が決してじょうずに書いてあるとは思いませんけれども、先ほど申しましたような審議する事項の中に特定すべき事項としてここには入っておるわけでございます。また、現にそういうことを教授会としても毎年入退学のときには決定をいたしておるわけでございますから、実効上これで差しつかえもないことでもございますし、一般的な法の解釈としましては先般来申し上げたようなことでございますので、たいへん上できだというわけじゃございません、前回もいささか変わっておる教授会であるとは申し上げたわけでございますが、そういう規定で、この法理的な適用についての問題はこれで必ず違法であるというものでもあるまい、かように考えております
  68. 松永忠二

    松永忠二君 これは、そんな答弁では許しませんよ。「必要ある場合」と書いてあるじゃないですか。これは学長が必要がある場合というのだから必要ないと思えば、これは教授会にかけなくてもいいんです。教授会にかけにゃいかぬということがきめてあるんじゃないですか。「学生の入学、退学、転学、休学、進学の課程の修了及び卒業は、教授会の議を経て、学長が、これを定める。」というんです。必ず教授会にこれをはかって、「教授会の議を経て」学長がきめなければできない。必要に応じてきめるんじゃないんです。自分らがこういう施行規則をきめているじゃないですか。これを、いま私は教授会というのは国公私立に全部適用して、教授会大学自治の一つ法律的保障としてきめられたという午前中の質問に関連して、そのものを審議機関だと断定をして、「本大学教授会は、学長の教育研究に関する諮問機関とし、」と書いてあるのは、明らかにこれはつまりいま言った「議を経て」ということを否定をしている。片方の、その次の第三十四条は、必要に応じ、と書いてあるじゃないですか。こういうようなことについてだけははっきり間違っているものは間違っていると言わなきゃ、そうすると、これ全体的にそれじゃ国立でも教授会は諮問機関でいいんだということになるじゃないですか、大臣。そういう話になってくれば、国立でも諮問機関でいいんだという話になれば、教授会を諮問機関だと断定をするようなことでは、大学自治という面について教授会としてふさわしくないでしょう。こういう間違ったものは間違ったと言わなければいけないんだ。何か文部大臣は、これに対して別個の答弁があるなら聞かしてください。
  69. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 「議を経て」ということは、議決に基づいてということじゃございませんので、そこで議論をされればいい。だから場合によってはそこに諮問をするんだということであってもいいと、こう考えるわけでございます。同時に国立大学につきましては、午前中にも申し上げましたように、制度及び慣行に基づいて今日の大学自治が打ち立てられているんだと、こう申し上げているわけでございます。法律的には、大学教授会については「重要な事項」を審議しなければならない、こう書いてあるわけであります。この「重要な事項」を審議しなければならないということにつきまして、大学それぞれが慣行の積み重ねによって人事はすべて教授会の決定事項にするというようなことで、今日の大学自治が積み上げられてきていると、かように考え、また、そういう意味で御答弁申し上げたわけであります。
  70. 松永忠二

    松永忠二君 慣行で、それが一つ自治として尊重されるとしても、ちゃんと施行規則に書いてあるんじゃないですか。「教授会の議を経て、学長がこれを定める。」、慣行だからといって、この規則に違反する慣行をつくってそれを認めるわけにいかぬでしょう。  それから人事の問題について、これは教育公務員特例法のほうに教授会の議を経て学長がこれをきめるといっているのは、教授会のきめたものをそれを学長がきめるということで、「議を経て」ということばが人事についてのいわゆる教授会の保障になっているわけなんです。あなたのおっしゃるようなそんな簡単なものじゃないんです。間違っているものはあっさり、いわゆる国士館のこれがいかぬならいかぬということを言うべきでしょう。その点、答弁をしていただきます。  それから、いわゆる重要事項教授会審議するということにきめるに至った事情、法律のつくられた事情、あんたのおっしゃるように審議するというんだから、いわゆるそんなことを審議さえすればいいんだ、どうでも一体大学はそれは諮問機関としてきめるならそれでいいんだということじゃないんですよ。第五十九条ただ一カ条で、新制大学教授会自治の法律的保障として重要な意義を持っているものだ。どのような案件が重要事項に腰当するか、つまり教授会の権限いかんという問題は、各大学の自主的判断にゆだねられることになった。実は、文部省は原案として審議事項の範囲及び構成員の資格について、より制限的に規定した条項を準備されていたけれども、CIE当局によって現行法文のように修正するように指導された。文部省の大学課長の春山順之助氏がそういうことを言っているわけです。重要事項教授会審議するというその一条を入れてあるということは、これがつまり大学のいわゆる自治の一つの保障であり、どういうことをその内容とするかということについては、これは教授会において自主的にきめていくということになっているわけです。だから、これはいわれからいっても、旧帝国大学の当時のこと、その他いろいろなことがあって、それで国立、私立を問わず、大学について教授会設置とその一般的権限を規定し、これによって大学自治の強化保障をはかった。だからどういう内容をきめるかということについては、確かに教授会できめていくわけだけれども、あるいはそれは慣行である場合があるけれども、この少なくも学生の入学と退学、転学と休学と進学の過程の修了及び卒業だけは、教授会の議を経ない限り学長がかってにきめられないということを規定するわけです。諮問機関じゃないんですよ。ただ意見を聞いて、そのことを使わなくてもいいということじゃないんですよ。こんな重要な問題を教授会は一番審議するんだから、ただかければいい、相談すればいいんだという、そういう文部大臣のそんな回答で、大学自治における教授会の保障なんていうのは説明できないですよ。できた経過からいってもそうであって、もと旧帝国大学令の第八条以下及び旧官立大学官制第七条以下の規定で、旧帝国大学、官立大学のみに教授会設置をされている。それが旧学位授与という面から学部教授会設置というのをほかでは規定していたけれども、いままでは特別、帝国大学だけだった。それを全部とにかく国公私立にこれを適用していった。それがつまり大学自治の強化保障という面でそういうことをやったわけなんだ。これを諮問機関でよいと、これが慣行なんならいいんだなんていうようなことを言われたんじゃ、これはもうはっきり施行規則規定してある。そんな言いのがれを——大臣ならまあ私はこまかいことだからあれだけれども、審議官が二度にわたっていまだにそういうことを言っているにおいては、これは許しませんよ。これは、私はそのままで許すわけにはいきません。この前も言ったとおり、この問題は後刻やると、こう言ったけれども、きょうは大学の一番重要な教授会の問題、それを大臣が諮問機関だときめてあっても、これは学校教育法規定に違反をしない、別に触れるところはないなんていうようなことを言ってたんじゃ、これから大学の自治なんて質問していったって何もできないじゃないですか。いろいろ権限を自分たちできめる慣行はあっても、これだけは教授会にかけにゃだめですよということをきちっと、議を経てきめるときちっと書いてあるわけなんです。そんなばかなことは認めませんよ。だから、重要な事項内容大学で自主的にきめる。その場合、その大学の慣行は尊重されなくちゃならない。しかし、大学の重要事項教授会審議が必要であって、教授会は単なる諮問機関ではないとの統一見解は、もう当然できなければいかぬと思うが、これも統一の見解はできないですか。もう一度読みますよ。重要な事項内容大学が自主的にきめる。その場合、その大学の慣行は尊重されなければならない。大学の重要事項教授会審議が必要であって、教授会は単なる諮問機関ではない、この見解は間違いなのか、間違いでないのか。これは全く同意見なのか、大臣からお答えください。
  71. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 学校教育法には重要な事項審議しなければならない、こう規定しているわけでございます。したがいまして、学校教育法に忠実に教授会はどういう機関かと、こうお尋ねいただきますと、審議機関です、こうお答えをせざるを得ないんじゃないか、こう考えるわけでございます。しかし、教育公務員特例法で公務員であります教員についての人事の取り扱いなども書いているわけでございまして、そこでは教授会の議に基づき教授の人事は学長が行なうというような表現をしているわけでございますので、その部分に関しまする限りは、教授会が議決機関になるわけでございます。しかし、これは私学に適用のあるものじゃございません。したがいまして、何機関と、こう一方的に言いますと、いろいろ誤解を生んでくるんじゃないだろうか、かように考えるわけでございます。たまたま国士館大学の中で諮問機関という表現を使い、そしてまた別なところで先ほど御指摘になりました学則の制定などの問題につきましては、教授会は左の事項審議する、こう書いているわけでございます。同時に国士館大学といえども、法令の適用を受けるわけでございますので、「必要ある」と規定しておりましても法令で義務づけられているものは当然その「必要ある」中へ入ってこざるを得ない、こういうことでございまして、そういう意味で、事務当局のほうではできのいい学則だとは思わないけれども、まあ、これでおおらかに見りゃ違法だと言い切らぬでもいいと思うんですと、こういうお答えのしかたをしているわけでございます。したがいまして、先ほどおあげになりましたお話、私そのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、教授会性格を何と考えるかということになりますと、審議機関です、議決機関にはなっていませんと、こう申し上げざるを得ないんじゃないだろうか、かように考えているわけでございます。その場合の審議機関としてどういう内容になるかということになってまいりますと、特別な法律のありますものは別でございますけれども、そうでないものは、各大学において慣行の積み重ねで定まってきているんじゃございませんでしょうか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  72. 松永忠二

    松永忠二君 局長、「重要な事項」の内容大学が自主的にきめる、その場合、その大学の慣行は尊重されなければならない、大学の重要事項教授会審議が必要であって、教授会は単なる諮問機関ではない、このことは間違いですか、間違いでないですか。局長、このことですよ。
  73. 木田宏

    政府委員木田宏君) 先ほど大臣もお答えになりましたように、単なる諮問機関という表現でだけ考えていいかどうかということが問題でございます。と申しますのは、大臣も答弁されましたように、この一定の事をきめます場合には、教授会の議を経て決めるということは手続のことを書いてあるわけでございまして、教授会で事をきめてしまったのでは学長がきめることにならぬわけでございます。ですから教授会の議を経て学長がきめると施行規則には書いてございますので、その意味では諮問機関でない、議決機関であるという意味でのお尋ねでございますれば、議決機関ではございません。
  74. 松永忠二

    松永忠二君 そんなこと聞いているんじゃないでしょう。議決機関だか審議機関だかということを聞いているのじゃないでしょう。教授会は諮問機関ですかと聞いているんです。そのことずばりを答えなさい。審議機関とか、議決機関だとか、そういうことを言っているんじゃない。
  75. 木田宏

    政府委員木田宏君) 教授会は学長、学部長等の諮問がありました場合に、それにこたえるということもございましょうし、自分で意見を述べるということもございまするし、法律できめられた所定の中身のことを論議する、また、教授会自身がきめるべきものとされていることについてはきめる、いろんな要素を持った組織機関である、こう考える次第でございます。
  76. 松永忠二

    松永忠二君 こんなことを長くやらなければできないというのは私はおかしいと思う。私は教授会審議機関ですか、決定機関ですかということを聞いているのじゃないでしょう。教授会審議機関だと書いてあるのですから、何も私はそんなことを、決定機関だと言っているわけじゃないしかし、学長がその事をきめる際には、必ずいわゆる施行規則でこのことについては教授会の議を経てきめなさいというふうに規定してあるのだから、これは単に聞いてみたが、その答えを聞いてそれじゃわしはそう考えるというようなことはできない。議を経てきめるというふうなことになっているから、必ずこれは教授会にいわゆるはかってきめなければできない。しかも、さっき言うとおり、必要があればはかることができると書いてあるのだから、だれが判断する、学長が必要ないと思えばはからなくてもいいのでしょう。ところがこっちのほうは、このことについては教授会の議を経て学長がきめるのだから、必ずはかるということをきめてあるわけです。だから必要があるからはかるのではなくて、必ずはからなければいかぬという意味でも、その次の条文も必要があればなんというような、これは学則や何かについても、退学、転学については当然これは間違いだ、必要があればじゃないのだ。あるいはこのいま人事の問題について、教員についてはいわゆるこの前、採用、昇任の選考機関として教育公務員特例法には、教授会の議に基づき学長がきめることになっている、これが人事の保障になっているでしょう。だから教授会の議に基づきということばは、これは教育公務員特例法の問題で、こっちは全然関係ありませんということばじゃないでしょうそういう同じことばを使って教授会の議を経てきめる、自分らがきめているのですよ。こういうことによって私立大学といえども、学長がかってにこの教育内容一学生の入学とか退学とか転学とかというやつは、必要があれば聞くけれども、必要がなければ聞かないという程度ではなくて、必ず教授会にはからなければきめられないようになっているのだから、これは単なる諮問機関ではないのでしょう。こんなことまで合意に達しないようじゃ、これから審議したって何にも意味ないじゃないですか。私は何もあなたに聞いちゃいないよ、まだ質問続行中じゃないですか。だから私が言うのは、やはりこれはもう文部省が教育公務員……学校教育法施行規則にきめた趣旨というのが、つまり私立でも教育については教授会が重要なことを審議するのだ、そういう保障を与えるために教育研究のいわゆる自主性教授会に持たせるという意味で少なくともこれだけはあなたが御自分だけじゃきめられぬですよということで、「学生の入学、退学、転学、休学、進学の課程の修了及び卒業は、教授会の議を経て、学長が、これを定める。」と書いてある。それをああでもないこうでもない、ああでもないこうでもないと言うに及んじゃ、私は率直に言って幾ら何でも、こういうのじゃ、こんな考え方を持っている、教授会を、権限を持っている——文部省の人というのは、大学の自治なんというものはこの人には守られませんよ、こんなことを言っている人は。特に、これは人事については、私立の場合には学長なり理事会があるから、これははずしておいて、事教育研究については、私立といえども教授会に自主的な権限がある、これは重要事項は必ず審議する、しかも、その中で具体的にこれだけはだめですよと言ってあるのに、これ諮問機関であると断定をし、必要があればと言っているのは学則の誤りですよ。これくらいな局長審議官を相手に議論しているなら、これはいつまでたっても際限がないかもしれぬけれども、文部大臣と話をしていて、文部大臣、これも似たようなことを言っているのじゃ、少し私は直すものは直したらいいと思うのですよ。いろいろなことにこだわるけれども、そんなことにこだわるようじゃとても信頼できませんな。それからあなたが、そういう程度に教授会考えているというならば、教授会というものが「重要な事項審議する」ということばにとどまった法律的な意味もあらためて考えてもらわなきゃいけぬし、聞いてみなければいかん。このことばだけれども、内容というものは、いわゆる教授会の権限いかんということは各大学の自主判断にまかした。それをきめようとしたけれどもそれはだめだと、こう言ってきめたので、内容をきめないところにむしろ非常な教授会のいわゆる自治権を認めているというのがこの法律の趣旨なんでしょうが。それを説明したのに理解しようともしないでいて、この大学の諮問機関だと断定……
  77. 世耕政隆

    世耕政隆君 委員長……   〔「賛成」「賛成」「反対」「反対」「委員長」「委員   長」と呼ぶ者あり、議場騒然、聴取不能〕   〔委員長退席〕    午後三時三十二分      —————・—————