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国務大臣(
小坂善太郎君) 十一月十日におきまする公明党のインフレ・物価抑制のための緊急対策につきましては、十分拝承いたしております。その中で多くの有効な建言が行なわれておりますことに対して深く敬意を表したいと存じます。
まず、その第一項にございまするインフレに対する基本
姿勢、すなわちインフレということを認めて対策を講じろという点でございますが、仰せのように、今日まで卸売り物価、消費者物価ともに続騰いたしておりまして、かかる現象はまさにインフレの状況であると思います。ただ、インフレということばについて、われわれは戦後の非常に苦い経験を持っておるものでございますから、何か非常に悪性インフレだと。特にいま買っておかないと物がなくなるんだというようなそういう購買心理をあおることを非常に心配をいたしまして、私
どもは特にそのことばを避けて、異常なる物価の高騰ということばを使っているわけでございますが、それに対する対処策については同様の
考えを持っておる次第でございます。
次に、補正予算の問題でございますが、これも仰せのような点が非常に肯綮に当たる点が多うございまして、公共事業費の削減であるとか、あるいは社会保障や
中小企業対策費の増額であるとか、法人税の引き上げであるとか、国債の減額、所得税の減税、これはいずれも、程度の差はございますけれ
ども私
どもとして実行したいと
考えておる点でございます。ことに、列島改造問題がいろいろ議題に供されるわけでございますが、私は、
日本列島の改造そのものはどうしてもやっていかなければならぬことだと思いますが、問題はそのテンポであると思います。非常に急速に、もうあすにもあらゆることに手をつけるというようなその
考え方が問題であるのでございまして、どうぞ、
政府はさような一気かせいに何でもやってしまうというような
考え方ではなくて、状況に応じて逐次問題を取り上げ解決していくという
姿勢であることを申し上げて御理解を願いたいと思う次第でございます。
次に、四十九年度予算についてのお
考えでございますが、これについてはまあいろいろな重要な点がございまして、全体的に
考えますと、たとえば消費者米価・麦価の問題にいたしましても、できるだけ値上げ幅を抑制したいというふうに私
どもも
考えておりますが、どうも諸種の
情勢がございまして、ことに、食管を守るという
考え方から申しますと、若干の消費者米価の値上げもやむを得ない。ことに、生産者米価が一六・一%も上がり、また、麦価が海外において三倍にもなっておるという状況にかんがみまして、食管の膨大なる七千二百億円という赤字を放置し得ないという
考えでおりますことを申し上げたいと存じます。しかし、据え置けという御意見がこの際非常に有力に存在することもよく
承知をいたしておる次第でございます。
次に、公共料金の問題でございますが、これは極力抑制的に扱いたいと思っておりますが、国鉄の運賃値上げについては先ごろの国会におきまして可決をいただきましたわけでございますが、この撤回ということについては私
どもは
考えておりませんわけでございます。
次に、公共事業を押えて
国民福祉のために思い切った財源の配分をしろと。これもさようだと思って、福祉社会建設のための努力を続けたいと
考えております。
第四項の、財政
金融税制政策を福祉型に転換すべきであると。これはさように思って、経済社会基本計画においてもそのような
考え方をとっております。また、法人税についても、
中小企業は据え置きながらその他の法人についての法人税を引き上げるという措置を決定したことは御
承知のとおりでございます。
また、広告税の問題を御提案になりましたが、これは非常に購買力を刺激するという
意味でむだな消費を刺激するような広告については慎んでもらいたいと私
どもは思いますし、この税の構想は私
どもについても十分研究をさせていただきたい。こう思います。また、自民党の内部においてもその構想が相当有力に出ていることを申し添えておきたいと思います。
それから地価の抑制政策でございますが、先ほど列島改造の点については申し上げましたような次第でございまして、決して、何でもかんでも二十五万都市がもう近々にでき上がるというような
考え方を持たれるといたしましたら、それは誤解でございまして、そういう
方向で
考えませんと、たとえば東京あるいは大阪、名古屋というような巨大都市は、水の問題、電力の問題、あるいは廃棄物の処理の問題、住宅の問題、あるいは通勤通学というような交通の問題、そのいずれにいたしましてももう行き詰まっておるのでございまして、これは何とか解決せねばならぬと、こう
考えておる次第でございます。それにつけましても、国土総合開発法、これは国会に提案されておるわけでございますが、ぜひこれが御可決を願いたいと、こう思っておることを申し添えさしていただきます。
それから地価の凍結の問題でございますが、これにつきましては、私
ども、この一月に地価対策閣僚協議会を開きまして、法人の土地の譲渡税というものは一般の利益のほかに二〇%課税することにいたし、さらに特別土地保有税というものも新設いたしまして、その面でかなり土地の価格騰貴はとまってきているわけでございますが、さらに御提案の内容については十分
考えたいと存じます。
さらに、管理価格の問題でございますが、これは、仰せのとおり、独禁法を強化いたしまして管理価格が乱に流れませんように、先ほど
公取委員長も言っておりましたような自由な競争原理を尊重するという方針を貫いてまいりたいと存ずるわけでございます。
公取委員会の
調査体制の権限強化、これもまことに必要だと存じております。
それから灯油の問題は、これは御
承知のようにその元売り価格は凍結しておるわけでございますが、末端におきましていろいろな値上げが行なわれ、また、最近の情報ですと、四百十円というような十八リッター価格が出ているということも聞いておりまして、御
承知のように、買占め・売惜しみ防止法の適用対象にいたしまして、通産省とよく連絡をとりましてこれが値上がりを禁止したいと
考えておる次第でございます。
それから大企業の買い占め・売り惜しみを規制し独占的輸入品の価格を規制せよという第七項の
申し入れでございまするが、これも御趣旨はさようであると思いまして、私
どもとしては、先ほど申し上げたような物価抑制の見地に立ちまして、できるだけその輸入品が十分に出回りますように
考えたいと
考えておる次第でございます。
次の第八項目の生鮮食料品の安定供給の問題でございますが、これは私
ども物価問題を扱っておりますると特に季節商品の値上がりというものが物価に非常に大きく響いておりまして、何といたしましても野菜とか魚介類とかそういうものの価格が低位に安定することを望んでおるわけでございます。しかし、これを裁培する農民の各位がその労力にふさわしい報酬を得られるということはこれはもとより望ましいことでございまして、その中間のマージンを不当に高くされないように、生産者も消費者も喜ぶような
体制を何とかしてつくっていかなければならぬ、こう
考えておりまして、この御提案については十分敬意を表し検討をさしていただきたいと
考えております。
以上、簡単でございますが……。