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政府委員(
荒勝巖君)
日本が現在
発展途上国等からまず入れております魚類といいますか、魚の総量は約五十万トン前後でございまして、大体主としてこれは
金額的にいいますと、クルマエビ等が非常に大量のもので、次はマグロ類、韓国等からのマグロ類の輸入でございます。それに対しまして、反面、輸出のほうが、これは
金額でございますが、四十六年度で千四百六十六億円の輸出をいたしておりまして、その大宗をなすものが
アメリカの四百一億円、その次が英国、それからオランダが六十九億円、それから西独も六十九億円、フィリピンが六十五億円、こういうふうになっておりまして、その他が七百三億円というふうになっておるわけでございます。この輸出の
中心をなします
アメリカにつきましては、これはマグロのかん詰め類を
中心といたしましたものでございます。それから、イギリス、西独等は、これはサケかん、あるいはカニかんを
中心といたしまして、高級品でございます。それから、多少そのほか真珠等もありまして、それからフィリピンと申しましたか、南方系は、これは非常に大衆魚の
中心でありますサバのかん詰めを、
日本ではほとんどあまり売れないものですから、サバはとり過ぎてもなかなか売れないものでございますので、かん詰めにいたしまして東南アジアを
中心といたしまして輸出しておるわけでございます。
この結果、そういう形で、貿易バランス上はそういうことでございますが、むしろ私たちの見る限りにおきましては、フィッシュミールを
中心といたしまして、今後世界一の魚の輸入国にだんだん逐次なっていくんではなかろうか。いま五十万トンぐらいと申し上げましたけれ
ども、五十万トンも魚を輸入している国はございませんで、今後やはり一千万トンの大台は確保しながらも、なおかつ
国民の需要が数年後には千四百万トン前後というふうに見ておりますので、これは、まだ正確な需要
調査はいたしておりませんが、そういったことにからみまして需要の増大する消費をまかなうために、世界
各国から輸入の確保をしなければならないということにもなってくるものと見ておるわけでございます。
これに対しまして、国として何をしてきたかということでございますが、従来の
水産庁の行政の
中心は、
沿岸漁業を
中心といたしまして行政施策をもっぱら講じてまいりまして、沖合いなり
遠洋漁業のほうは多少
——沖合いのほうにつきましては、漁船の建造に伴う資金につきまして資金の手当てはいたしてまいりましたが、ほとんどそれだけでございまして、まして
遠洋漁業につきましては資金の手当てもおよそ行なえないままに、四十七年度
予算におきまして五億円の開銀資金が初めて計上された。母船式といいますか、大型の母船につきまして、そういう五億円の資金手当てがあったというふうに御理解願いたいと思います。この
遠洋の問題につきましては、
予算的な裏づけというものはほとんどございませんで、従来、国際
会議の場を通じまして、
漁獲ワクの確保につとめるとともに、そういった国際
協定とか、国際
会議の席で
日本政府としてがんばってきた、
あとは操業は
漁業会社の自由な操業におまかせしておった、こういうふうに御理解願いたいと思います。
ところが、先ほど
大臣がお話になりましたように、それだけでは、やはり
日本の単なる海外の
漁業進出という形だけでは国際的なコンセンサスが得られない。むしろ
沿岸国の
領海におきます
漁業管轄権の
発言権の増大というものが非常に最近急速に出てまいりまして、極端な例は
沿岸二百海里、これを
領海という宣言をいたしまして、先般ブラジルなり、ウルグアイでございましたか、百九十海里の沖合いで
日本のマグロ船が二隻連続して拿捕されるという例もございまして、そのほかインドネシアあるいはフィリピン方面でも、むしろ当然
領海というふうに、国際的なコンセンサスがあるにもかかわりませず、フィリピン群島なり、インドネシア群島の中は、内水ということで、
領海以上に内水扱いでございまして、
日本の漁船というものはおよそ普通では一隻も入れないというようなことで、それぞれインドネシアとはただいま
協定を進めておりますが、
協定を進めることによりまして、
日本の漁船の立ち入りを
認めてもらう。そのためには、相当な多額の
協定に伴う援助の費用を要求されるというふうな形になってきておるわけでございます。
それらに対しまして、従来
政府としまして、公式に
予算というものを計上していませんでしたので、四十八年度におきまして初めて国際海外
漁業協力のための財団というものを設置いたしまして、初年度十億円でございますが、海外との
漁業協力を推進するに際しまして、
日本の漁船が
向こうの沖合い地先で
漁業を営まれる機会のチャンスをつくるために、これらにつきまして十億円の
予算を計上いたしまして、相手国との間の協力によりまして
漁業を推進していくということによりまして、
国民たん白資源の確保ということをねらいといたしまして、こういった
事業を初めて開始いたしまして、そのほかさらに、別途外務省に、海外の
漁業援助経費といたしまして十億円ほど計上いたしまして、今後これらの
予算を、てこ入れしながら、海外の
漁場の確保に資してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。