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足鹿覺君 ぜひ御検討になって、簡素化と早期化をやっていただきたいと思います。
それから、これは、近代化
資金に
関連をいたしまして、どの
制度金融か近代化
資金か、あるいは家畜導入
資金かは別として、この
資金融資問題以前の問題として私は、日本の農家で成長
産業といわれておる、いわゆる
酪農や果樹
産業が、負債で動きのならない状態になっておる憂うべき現象を心配しております。そこで、これらの点について、去年九州に行って、果樹の
現状を調べました。また、
酪農は、私の県に盛大でありますから調べてみました。いま
酪農の例をとって申しますと、農家負債の実態
調査と負債整理の対策が今日急を要するのではないか、この点について
農林大臣なり
局長に伺いたい。
そこで、日本の
農業は
規模拡大、機械化、省力化の名のもとに
資金の導入を励行し、その結果負債が増加して、
——過剰投資の傾向にあることは私はいなめないと思うのです。つまり協同化がうまくいかないから、個々別々に農協から流れてくる機械化に金を出し過ぎる、こういうことになっておる。その典型とも言えるものが
酪農だと思うのです。多頭飼育に踏み切った戦後の
状況としては、
相当の成果をあげておりますが、それに伴う負債の累積は多くて、
酪農民は大きな挫折感に現在さいなまれております。そういう
現状を憂えまして、私は
調査をしてみました。元来、
酪農の採算の価格は、一頭当たり三十万円ないし五十万円が投資限界といわれておるわけであります。しかし、実際の必要投資額が百万円、それに土地資本を加えると、ときには百五十万円と、投資限界の二倍近い過剰投資となっておるわけであります。先日、私は、
内村さんに、この問題を抽象的に言ったら、いや、北海道にはそういう事例はあるが、
農林経済統計
調査によると、貯金は百五十万円、負債額は五十万円足らずだから、心配はないということを言われました。これは、全部一括した平均で見れば、あるいはそういうことになっておるかもしれません。
これは、私の鳥取県における
酪農農家の六戸の、四十六会計年度における借り入れ金の
状況の事例について結果を調べたわけでありますが、一戸当たりの平均が、施設を見ますと、豪族数が四・三人、家族労働力が三・二、その他が一・一、飼養
規模は乳成牛は経産牛が一四・五頭、乳仔牛が未経産牛が十頭、地目別
経営耕地面積は、田が〇・〇三三ヘクタール、畑が(借入地を含む)三・九三三ヘクタール、採草放牧地が〇・四九七ヘクタール、山林が三・六一七ヘクタールでありまして、
農業用施設は、畜舎が七十七坪、機械の保有
状況が、サイロが二・二基、ミルカーが一・八台、トラクターが一・〇八台、耕うん機が一・〇八台と、
相当なものですね。これが六戸の平均でありますが、一戸当たりの借り入れ金残高を調べてみますと一千百万円をこえているのです。しかも農家経済を見ると、
農家所得が
——総所得ですね。これが百六十五万円、このうち
農業所得が百三十六万円、
農業所得率は八二・二%にすぎません。これに対して、元金、
利子を含む借り入れ金返済が驚くなかれ百四十五万円と、
農家所得の八八・一%、
農業所得に対しては実に一〇七・二%です。ですから、
農家所得の八八・一%に比べますと、純
農業所得に対しては一〇七・二%で、七・二%借り入れ金の返済額が
農業所得をオーバーしておるという実情ですよ、
大臣。これはじゅうたんの上を踏んでおりますとわからないんです。現在の、いかに苦しんでいるかという実態が。これは最近の、じゅうたん農政の私は典型だと思うのです。もっと地についた
調査をし、あたたかい日本
農業の再建のために努力をしてほしいからこういう事態を申し上げるわけでありますが、
酪農を営むだけでは借り入れ金の返済も無理な状態であります。また、当然のことであるが、農家経済余剰は五十七万円の赤字であります。他経費に出しておる金は五十六万円です。たった。そして、借り入れ金の返済は、多いのになりますと百四十五万三千五百円というものもありますが、さっき言ったのが平均です。もっと多いのもあります。約二千万円近いのもあります。
こういうことでありますから、
酪農を続けるには、借り入れ金返済のために
酪農以外に労働力を提供し、農外所得を得なければならない。そして、その結果また労働力の不足を招き、その解消のためにさらに機械導入をはからねばならぬということで、ますます借り入れ金の増大を招くという悪循環を繰り返しておるというのが実情です。涙なくしては見れない
現状です。これが一番兼業の少ない、
農業だけで生きていこうという農民であるだけに私は悲しむべき現象だと思う。これに目をつむって、私はいや
酪農は成長
産業だ、果樹も成長
産業だなんということはきれいごと過ぎると思うのですよ。総合農政の成果が上がったなどとはどこを押せば私達費えるかと思う。
農業収入の八八・二%の借金を背負っておる
酪農家が成長
産業と言えますか。そういう点から考えられて、もともと
酪農の多頭化、近代化は西欧近代化
酪農の成立においても明らかなように、土地改革、価格革命、農法革新の三大革命を前提として初めて順調に進んできた経過があることは御
承知のとおりであります。農民所有地、入り会い地の国有化、農産物価格の低位固定農民から土地と価格を奪うようないまの総合農政の進め方、日本列島改造の進め方では私は兼業を増大こそすれ、このようなまじめな日本
農業を守ろうという農民の意欲を失わせる結果になりはしないかと憂えます。
したがって、このような観点から超低利、長期
金融を行なうことはもとより、農家の債務
状況をこまかく
調査を行ない、その実情に応じた
金融政策をとっていくことが必要であると思うのであります。また、地方自治体で行なっている金利補給は個々まちまちで、先般いただいた資料を検討してみますと、総合性がないですね。その地区のピックアップした大きな問題だけになる。これでは、いわゆる地域によって非常に高い金利を払っておるところと、低い金利で済むところというアンバランスが出ておる。地方自治体は基準財政需要額の中に入っておると思いますが、この
利子補給は。それだとするならば、頭から国でなぜ地方自治体分も考えないんですか。そういうところに私は、非常に問題があると思うのです。現在の
農林金融については。もっと総合的見地に立って、各都道府県の長所と短所、
営農の実態に即応するような改善をするためには、まず実態
調査をあなた方はなさらなければならぬ。農基法が実施されて十有余年を過ぎた今日、一向に日本の
農業に日がささないということは、このような実態に目を伏せてただ、
融資ワクを拡大すればいい、金利を少しちょっとかげんをすればいいというようなことでは解決がつきません。いかがですか。実態
調査をやられ、農家の債務対策に対して真剣に取り組む御意思がありますか、
農林大臣ひとつ承りたい。