○塚田大願君 じゃ最後にもう
一つだけお聞きします。
まあ詳しくいまの問題も、いろいろ意見の交換をやりたいところでございますけれども、これはひとつ次の機会に譲ることにいたしまして、最後の質問でございますが、今回の
農林中央金庫法の問題であります。
今度の改正の根拠となっておりました余裕金の問題でございますけれども、まあ先ほどから論議がされまして、この余裕金の運用というふうに、まあ
政府はいろいろ説明されているわけですけれども、こういう余裕金を今回の改正案で、いわゆる関連産業に回す、貸し付けると、こういうことになりますと、私は、この
農林中金の業務としてこれを明確にやるというふうに規定するということは、これはやはり単に余裕金の運用という範囲を越えた中金の性格そのものにかかわるんではないかというふうに考えるわけです。しかも、私があえてこんなことを申し上げるのは、これは
一つには、財界の要請が非常にこの点で強いということなんです。これは、私、裏打ちとしてこの問題を
提出するわけですけれども、たとえば御承知のように、日本経済調査協議会というものの提言がここにございます。これは植村午郎経団連会長、中山伊知郎、永野重雄、岩佐凱実らのいわゆる財界代表のメンバーからなっている組織でございますけれども、この日本経済調査協議会の提言、つまり「農業金融再編の方向」というこの提言でございます。これを見ますと、財界としてはこの「現在の
農林中央金庫は他に選択すべき途もあろうが、この民間長期金融機関に脱皮することが考えられよう。」「この長期金融機関」、つまり中金のことですけれども、「が
融資する場合に肝要なことは自主性をもって選別機能を発揮することである。」「もっぱら協同組合精神による総花的な
系統融資体制をとるべきでないことはいうまでもあるまい。」、つまりもうこの「自主性をもって」というのは、つまり所属団体である農業団体から独立しろという
意味だろうと私は考えるんですが、いわゆる農協精神による総花的な
系統融資体制はもうやめるべきだ、こういう提言をここでされておるわけです。それと今度の法改正の方向はまさに私は一致するように思うわけなんで、そういう
意味でこの
系統融資体制というものを否定する第一歩がここにあるのではないか。そういう点でこれが一点であります。
それからもう一点は、今度中金の貸し付けワク拡大に関しまして農林省は通達を出されましたね、信連に対して。農林事務次官の名前であります。四十八年五月十二日であります。信連の会長あての、信用農業協同組合連合会の貸し出しに関する取り扱いについて、ということで、大蔵省銀行局特別金融課長並びに
農林省農林経済農業協同組合課長の名による通達が、ここにございますが、これによりますと、貸し出し金増加額を抑制しなさい。商社、不動産に対する新規拡大を抑制しなさい。こういう指示をこの信連に対して出されておる。中金に対しては出されておらないんですが、これは中金は直接
政府の
指導によってできるということで必要がないだろうと、つまり認可事項になっておりますから、中金の場合には。そこで信連に対してこういう通達をお出しになったのですが、この通達、この趣旨ですな。金融引き締めのもとで貸し出しを抑制せよというこの通達は、今回の農協
系統金融の改正の背景となっておりました金融緩和、お金が、だぶついているから、まあその余裕金をひとついろんな関連産業に
融資しましょう、ということと、全く矛盾するんですね。今度は金融引き締めだと、こういうことなんですな。だとしますと、私は、ここでこれは別に農林省の責任だと言ってるんじゃないんです。とにかく客観的に金融情勢というものはこれほど激しく変化をするんですな。きのうまで金融緩和だと言っていたが、今度は金融引き締めだと、そこで引き締めろと、こう言う。だとすれば、私は、だから今度の改正法でいろんな関連産業に
融資しなさいとかなんとか言っても、金融情勢というものは、国際的な関連の中で非常に激しく働くんですから、こういうことを考えてみましても、こういった今度の改正というのは非常に危険を伴うものであるというふうに感ずるわけです。
そこで、私は、やはりこの農協
系統金融の安定した発展ということを考えるならば、やはり振興ということを前提にした事業、これを充実させるということ以外にないんじゃないかと思うわけです。それで、先ほどの静岡県の問題などを私は出したわけです。もっとこういうのを国として助成をして、そういうところにお金を使う、その他価格保障制度であるとか、いろいろ問題はこれは山のようにあるわけで、これは農林省のほうが、むしろいろいろ夢や理想を持っていらゃしゅるはずだから、金は幾らでも使い道はあるんじゃないか。そういう形で
系統資金を活用することによって、ほんとうに日本の農業を発展させ、また
系統金融のほんとうに正しい発展をはかることができるんではないか。まあ言いかえるならば、農政というもののあり方と非常に深い
関係があると思いますけれども、この点についてひとつ最後に
大臣の御所見を伺って、私の質問を終わります。