○
国務大臣(
櫻内義雄君)
農業近代化資金助成法及び
農業信用保証保険法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御
説明申し上げます。
農業近代化資金制度は、
昭和三十六年に制定された
農業近代化資金助成法に基づき、
農業者等に対する長期低利資金の融通を円滑にするため、主として
農業協同組合系資金の活用をはかりつつ、運用されてきておりますが、現在その融資残高はおおよそ四千七百億円にのぼっており、
農業者等の資本装備の高度化及び
経営の近代化の
推進に大きく寄与しているところであります。
また、
農業信用保証保険制度は、
農業者等の信用力を補完し、
農業近代化資金等の融通の円滑化をはかるために創設されたのでありますが、現在
農業信用基金協会の債務保証残高はおおよそ三千六百億円、
農業信用保険協会の保険引き受け残高はおおよそ二千四百億円にのぼっており、この制度創設以来今日まで、
農業の
生産性の向上と
農業経営の改善に大きな役割りを果たしてきたところであります。
これら両制度につきましては、制度創設以来、逐年制度の内容及び運用につき改善をはかってきたところでありますが、最近における
農業者等の資金
需要の大口化、多様化の動向等に即応して、
農業近代化資金その他
農業者等の必要とする資金の融通の円滑化をはかり、あわせて最近における組合系統金融をめぐる諸情勢のもとにおいて組合系統資金の一そうの活用に資するため、
農業近代化資金制度及び
農業信用保証保険制度について、所要の改善措置を講じて制度運営に遺憾なきを期することとし、本
法律案を
提出した次第であります。
次に主要な改正点について御
説明いたします。
まず、
農業近代化資金制度の改善でありますが、これは
農業者等の資本装備の高度化及び
経営の近代化を
推進するために行なうものであります。
改正の第一点は、貸し付け対象者の範囲の拡大であります。すなわち、
農業者等または地方公共団体が主たる出資者、構成員または基本財産の主たる拠出者となっている法人で政令で定めるものを貸し付け対象者に加えることといたしております。
改正の第二点は、貸し付けの最高限度額を現行の五倍に引き上げることであります。現在、貸し付け限度額については、個人
農業者は二百万円、農事組合法人等は一千万円、
農業協同組合等は五千万円とされておりますが、これらについて、個人
農業者は一千万円、農事組合法人等は五千万円、
農業協同組合等は二億五千万円にすることといたしております。
次に、
農業信用保証保険制度の改善でありますが、これは
農業近代化資金等の融通の円滑化をはかるために行なうものであります。
改正の第一点は、
農業信用基金協会の会員資格の拡大であります。今回
農業近代化資金助成法の改正により新たに
農業近代化資金の貸し付け対象者とされる者に、同基金協会の会員資格を付与し、同基金協会の債務保証を受けることができることといたしております。
改正の第二点は、保証保険制度の改善でありますが、その一は、
農業信用保険協会の保険に付することのできる資金の範囲の拡大であります。現在、同保険協会の保険に付することのできる資金は、
農業近代化資金及び総合資金制度にかかる運転資金に限定されておりますが、今回、この資金の範囲を拡大して、
農業者等の
事業または生活に必要な資金であって
農業経営の改善に資するものもその対象とすることといたしております。
その二は、保証保険にかかる保険価額の範囲の拡大であります。すなわち、現在保証保険にかかる保険価額は借り入れ金元本に限られていますが、これを改め、借り入れ期間が政令で定める期間以上である借り入れ金については、借り入れ金元本のほか遅延利息以外の利息を含めた額とすることといたしております。
改正の第三点は、融資保険制度の改善であります。
その一は、保険の対象となる資金の範囲の拡大であり、融資保険の対象となる資金を保証保険の場合と同じく拡大することといたしております。
その二は、保険の対象者の範囲の拡大であります。現在、融資保険の対象者は農林中央金庫のみとなっておりますが、新たに、信用
農業協同組合連合会も融資保険の対象者とすることといたしております。
その三は、保険方式の改善であります。融資保険の対象となる資金の範囲を拡大すること等に伴い、現行の包括保険及び選択保険の区分を廃止し、選択保険方式に統一することといたしております。
改正の第四点は、融資資金制度の改善であります。今回、
農業近代化資金以外の資金で
農業経営の改善に資するものを保険の対象に加えることに伴い、
農業信用保険協会は
農業信用基金協会に対して同基金協会のこれら資金にかかる保証業務に必要な資金の貸し付けを行なうことができることといたしております。
以上がこの
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
農水産業協同組合貯金保険法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御
説明申し上げます。
御
承知のとおり、すでに銀行、信用金庫等の金融機関につきましては、預金者保護の観点から預金保険法が制定され、
昭和四十六年四月一日からその施行をみたのでありますが、信用
事業を行なう農協、漁業等につきましては、信用
事業以外の
事業も兼営することができる等
事業内容において他の金融機関と異なる面があることから、この法律の対象とされなかったのであります。
しかしながら、今日、
農業、漁協等の貯金量は全国の預貯金量の約一割に及んでおり、しかも、個人の雰細貯金がその大部分を占める実情を考慮すれば、農協、漁協等についても、万一の場合に備えて貯金者の保護に遺憾なきを期し得るよう制度の
整備をはかることが当然必要であると考えられますので、今般、預金保険法に準じてこの
法律案を
提出することといたした次第であります。
次に、この
法律案の主要な内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、貯金保険制度を運営する主体としての農水産業協同組合貯金保険機構の設立等について定めております。
すなわち、機構の設立については、
農業または水産業及び金融に関して専門的な知識と経験を有する者七人以上が発起人となり、主務
大臣の認可を受けて、機構を設立することができることといたしました。
この機構に対しては、
政府及び農林中央金庫その他の
政府以外の者が、それぞれ出資を行なうことを予定しておりますが、このうち
政府出資につきましては、四十八年度予算に七千五百万円を計上しております。
また、機構の組織につきましては、役員を最小限にとどめる等できるだけ簡素にするとともに、機構の運営に関する重要事項の議決機関として運営委員会を設けることとしております。
第二に、貯金保険の保険関係について定めております。
まず、この制度の対象となるのは、信用
事業を行なう農協、漁協及び水産加工業協同組合としております。
次に、貯金保険の保険関係は、貯金者のために、機構とこれらの組合との間に当然に成立するものとし、この保険関係に基づき、これらの組合が貯金等の払い戻しを停止し、
解散し、あるいは破産の宣告を受けた場合に、機構が、貯金者等に対し、その請求に基づいて、一定の金額を限度として保険金を支払うこととしております。
また、保険料の額は、毎年三月末日における農協、漁協等の貯金等の額を基礎とし、これに機構が運営委員会の議決を経、主務
大臣の認可を受けて定める保政料率を乗じた額とすることとしております。
以上がこの
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに、御可決いただきますようお願い申し上げます。
農林中央金庫法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御
説明申し上げます。
農林中央金庫は、大正十二年に産業組合中央金庫として設立されまして以来、幾多の変遷を経つつ、今日まで五十年にわたり、農林水産業者の組織する協同組合等の中央金融機関として重要な役割りを果たしてきたのであります。
農林中央金庫の業務の運営は、当初は
政府の出資及び債券の
政府引き受け等の助成のもとに、組合系統内部へ資金を
導入することが
中心となっておりましたが、所属団体の
事業活動の充実に伴い、次第に所属団体から預金が集中するようになり、その運用のため、所属団体への貸し付けのほか、まず有価証券の取得が認められ、次いで
昭和十年代に時代の要請により、所属団体の発達をはかるための施設法人や農林水産業に関連する
事業法人に貸し付けを行なうことができることとなりました。これらの資金運用の方途は、特に
昭和三十年代に入り、所属団体の預金の量が増大するにつれて、金庫業務の重要な内容をなすに至ったのであります。
また、出資につきましては、当初資本金の半分を
政府が出資しておりましたが、
昭和三十五年度以後は、民間資金のみを資本金とする金融機関となり、役員の任命につきましても、
昭和三十六年の法改正により従来の
政府任命制を改め、
理事長及び監事につきましては出資者総会における
選任に、副
理事長及び
理事につきましては
理事長の任命によることといたしたのであります。
その後、農協系統を
中心とする信用
事業の伸長に伴い、年々農林中央金庫に集積される資金は増大し、
昭和四十七年九月末には、農林中央金庫の預金残高は約二兆六千七百億円に達するに至りました。他方近年における一般金融情勢は著しく変化しており、系統金融としてもこれに対応するための体質の改善強化をはかる必要に迫られており、
また、農林漁業及びこれを取り巻く環境の変化にも対応いたしまして、系統資金の活用につきまして従来のあり方を強化し、かかる変化に対応することが要請されているのであります。
農林中央金庫は、その存立期間を設立許可の日から五十年と法定されており、その期日が本年十月に到来することとなっているのでありますが、現下の系統金融をめぐるきびしい情勢に対応し、系統金融の円滑化をはかるためには、系統金融の全国中央機関であります農林中央金庫が果たすべき役割はますます重要度を増しつつありますので、その存立期間に関する制限をはずすこととするとともに、その業務権能の拡充強化をはかる見地から、本
法律案を
提出したした次第であります。
次に、この
法律案の主要な内容につきまして御
説明申し上げます。
改正点の第一は、その存立期間の制限に関する規定を削除して、農林中央金庫の存続をはかることであります。
第二は、今後の系統金融全体のあり方及び農林中央金庫の業務権能の拡充強化とも関連して、農林中央金庫とその所属団体との一層緊密な連携を確保するため、
理事長が補助機関たる副
理事長及び
理事を任命するにあたり、出資者総会の同意を得ることとすることであります。
第三は、農林中央金庫の業務権能の拡充強化をはかることであります。
その一は、所属団体の経常活動の多様化と農林中央金庫の取引範囲の拡大に対処して、内国為替業務を一般的に行なえるようにするとともに、新たに外国為替業務を行なうことができるようにすることであります。
その二は、農林中央金庫がその資金を貸し付けることのできる範囲を拡大することであります。まず、新たに、農林水産業を営む者に対して貸し付けが行なえるようにすることであります。これは、系統金融の実情から見て、
規模が大きく
生産性の高い
経営を育成するためには、系統組織全体としてこれらの
経営が必要とする資金を円滑に供給する必要があるので農林中央金庫においても単位組合または県段階の連合会の機能を補完して貸し付けが行なえる道を開くものであります。次に主務
大臣の認可を受けて、農山漁村において産業
基盤または生活環境の
整備の
事業を行なう地方公共団体、その他の法人に対し貸し付けができるようにすることであります。これは、系統資金を公共的性格の強い
地域開発のための資金に活用できるようにすべしとの要請にこたえようとするものであります。さらに、農林中央金庫に集積した資金の有効な活用をはかるため、主務
大臣の認可を受けて経済社会の
発展をはかる見地から農林中央金庫が貸し付けを行なうことが適切と認められる法人に対しても貸し付けが行なえるようにすることといたしております。
その三は、農林中央金庫の業務の円滑な遂行をはかるため、業務実施にあたり必要とされる預金の受け入れ業務、保護預り業務、その他の付随業務につきまして、所要の
整備を行なうことといたしております。
以上がこの
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
農業協同組合法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御
説明申し上げます。
農業協同組合は、
農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上をはかることを目的とする農民の協同組織として、
昭和二十二年に発足して以来、わが国経済及び
農業の推移、
発展とともにその活発な活動を展開してきたところであります。
申すまでもなく、最近のわが国の
農業をめぐる情勢はきびしいものがありますが、このような局面の打開をはかり、
農業の
発展と農民の地位の一そうの向上を期する上で、
農業協同組合の役割りに待つところきわめて大なるものがあり、
農業協同組合がその期待に十全にこたえ得る体制を整えることが重要な課題となっております。
このような情勢のもとで、
政府としては、
昭和三十六年に
農業協同組合合併助成法を制定し、以来、これに基づいて
農業協同組合の合併を
推進し、その
経営基盤の充実、強化につとめる一方、
昭和四十五年には、
農業協同組合法の一部改正を行ない、
集団的生産組織に関連する制度面の改善、組合の
事業範囲の拡大、総代会制度の
整備等の措置を講じたのでありますが、さらに、その後の一般金融情勢の変化をはじめ、農協系統金融をめぐる内外の情勢変化に即応し、また農協系統金融のあり方についての農政審議会をはじめとする各方面の御意見の趣旨をもくんで、他の
農業金融制度の改善とも相まって、
農業協同組合の信用
事業に関する制度的改善措置を講ずることが緊要の課題となっており、これとあわせてその他にも、当面、早急に措置を要する点がありますので、今般、
農業協同組合法の一部改正を提案することとした次第であります。
以下、この
法律案の主要な内容につきまして御
説明申し上げます。
改正の第一点は、組合の金融機能の拡充をはかることであります。
これは、最近における組合員の経済活動の多様化と組合の
事業規模の拡大等に対応しまして、信用
事業を行なう
農業協同組合に対し、手形の割引、組合員の債務の保証、内国為替取引、有価証券の払い込み金の受け入れ等の取り扱い及び金融機関の業務代理等の
事業能力を、また信用
事業を行なう
農業協同組合連合会に対し、有価証券の払い込み金の受け入れ等の取り扱いの
事業能力を、それぞれ賦与しようとするものであります。
改正の第二点は、資金の貸し付け範囲の拡大をはかることであります。
これは、増大する系統資金を
地域開発関係資金として活用することとし、そのため、一つには、地方公共団体を主たる構成員等とする非営利法人に対する資金の貸し付け、二つには、農村
地域における産業
基盤または生活環境の
整備のために必要な資金の貸し付けを、組合が、それぞれ員外利用の制限のワク外で行なうことができるようにするものであります。
改正の第三点は、組合の行なう宅地等供給
事業の
事業範囲の拡大をはかることであります。
農地の転用を
計画化し、
土地利用の調整をはかるとともに組合員の生活の安定をはかるため、組合は、従来から農地等処分
事業を行なっているところでありますが、組合員の多様な要請にこたえるため、この際この
事業の
事業範囲を拡大して、新たに、結合員から委託を受け、組合員から借り入れ、または組合員から買い入れてする
土地の貸し付けを行なうことができるようにするとともに、この
事業の円滑な実施と
土地利用の効率化をはかるため、住宅その他の施設の建設もあわせ行なうことができるようにするものであります。
改正の第四点は、共済規程の変更手続の簡素化をはかることであります。
すなわち、系統の各段階を通じ、全国的に統一的な仕組みのもとに実施している共済
事業につきまして、その
事業の仕組みの特殊性を考慮して合理的と認められる範囲内において、共済規程の変更は、定款で、総会付議を要しないものとすることができるようにするものであります。
最後に、
農業協同組合連合会の権利義務の包括承継の道を開くことであります。
これは、最近における郡市単位の広域合併等の進展に伴い、
農業協同組合連合会が、会員数が減少したことにより法定
解散する場合におきまして、その会員たる組合が当該
農業協同組合連合会の機能を円滑に承継することができるよう、合併に準ずる手続により、その権利義務を包括承継することができるようにするものであります。
以上がこの
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。