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1973-03-27 第71回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十七日(火曜日)    午後一時二十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀井 善彰君     理 事                 初村瀧一郎君                 工藤 良平君                 中村 波男君                 沢田  実君     委 員                 梶木 又三君                 河口 陽一君                 田口長治郎君                 高橋雄之助君                 棚辺 四郎君                 鍋島 直紹君                 温水 三郎君                 堀本 宜実君                 杉原 一雄君                 辻  一彦君                 塩出 啓典君    国務大臣        農 林 大 臣  櫻内 義雄君    政府委員        農林政務次官   鈴木 省吾君        農林大臣官房長  三善 信二君        農林省農林経済        局長       内村 良英君        農林省構造改善        局長       小沼  勇君        農林省農蚕園芸        局長       伊藤 俊三君        食糧庁長官    中野 和仁君        水産庁長官    荒勝  巖君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   相川  孝君        農林省構造改善        局次長      杉田 栄司君        農林省農蚕園芸        局審議官     有松  晃君        農林省畜産局審        議官       下浦 静平君        農林水産技術会        議事務局研究総        務官       山本  毅君        気象庁予報部長        期予報管理官   和田 英夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和四十八年度農林省関係施策及び予算に  関する件) ○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の  一部を改正する法律案内閣提出) ○漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画の変更について承認を求めるの件(内閣 提出衆議院送付)     —————————————
  2. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  昭和四十八年度農林省関係施策及び予算に関する件を議題とし、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 梶木又三

    梶木又三君 ことしの大臣所信表明の中で、「農政推進基本」、この基本の中で、「適地に農業者の創意に満ちた高能率農業を育成するとともに、」「生産生活の場である農村地域人間性にあふれた豊かで近代的な高福祉地域社会として建設していくことが重要だ」と、こういうことを、一番冒頭に、非常に大きく出しておられるわけでございます。  そこで、まことに、おっしゃることは同感でございますが、昨年ですか、四十六年に農林省が出された年次報告、これを見ますと、所得の面ではなるほど百五十九万六千円、約百六十万で、ほかの勤労者の方に大体負けないような伸び率を示しております。しかし、この中身は、農業所得が減って、農外がふえておるというようなことで、中身につきましては、若干われわれも問題にしなければならぬ点がございますが、まあいずれにしても、所得はふえておる。あるいはまた、家計を見ましても——農家家庭生活状態を見ましても、全国平均勤労者の方にあんまり負けない。むしろ、人口五万以下の都市勤労者の方よりは家計費なんかも多い。こういう結果が出ております、  しかし、一番大事な生活環境文教あるいは衛生関係、上下水道あるいはまた道路舗装、こういう関係を見ますと、三十五年から三十七年の一例をとりますと、農業県と非農業県を比べてみた場合に、文教施設を例にとると、非農業県を一〇〇とした場合、農業県が七四・九。しかし、四十二年から四十四年、これになると九三・二と、こういうふうに伸びております。逐次、非農業県に比べて農業県がよくなりおるということはわかります。しかし、他の、環境衛生をとると四五だとか、水道の普及率は六二、厚生福祉関係投資額は七〇・四、道路舗装率はもう実に二七・九と、こういう非常に低い率なんですね。まあこういうことで、これからの、ふところぐあいはよくなりつつありますが家庭から外へ一歩出た場合には、なかなかまだ都市に比べて非常に劣っている。  これも、いま申し上げた数字も、農業県といってもね、農業県の中にも、県庁の所在地とか、市がありますね、都市部があるわけなんですよ。そういうものをひっくるめた数字ですね。だからこれは、普通の農村よりは大きく出てくると思います。それから、逆に、非農業県、これは、たとえば東京とか、大阪とかの、やはり大都市を持っておる県でも、農村部もありますから、これは逆に低く出ておる。だから、この対比がね、ここに出ておる数字なんだけれども、実際のほんとう都市部というものと農村部というものと比較したら、これにあらわれた数字以上の格差がこれはもう出てくると思います。だから、もっともっと思い切って——これは農林省だけじゃございません、いろんなほかの施設もありますから、そういう点にうんと力を尽くしていただく。こういうことで、ことし農政基本の一番大事なところにそれをうたっておられるということは非常に心強く感ずるわけなんですが、さてそれじゃどういうことを四十八年度から具体的にやっていくんだと。これについてひとつ政務次官から御答弁願いたいと思うのです。
  4. 鈴木省吾

    政府委員鈴木省吾君) 大臣が去る委員会におきまして、「農政推進基本方針としてお述べになりました中に、ただいま御指摘のような、「農業者生産生活の場である農村地域人間性にあふれた豊かで近代的な高福祉地域社会として建設していくことが重要」であるというふうに述べておるわけでございますけれども、御承知のように、農村国土の過半、大部分を占めます地域であると同時に、また農業者農業生産の場であるだけでなくて、兼業等にだいぶ行ってはおりますものの、その住居の本拠でございまして、また、日本の社会環境あるいは国土保全と申しますか、そういう重要な部面を占めておるわけでございます。  したがって、農業生産を高能率にしていくと同時に、そういった観点から農村社会環境というものを、ただいま御指摘のように社会資本投資等が非常におくれておりますから、それを充実いたしまして、ほんとうに住みよい農村をつくってまいろうと、こういうふうにお述べになっておるわけでございます。さようなことから、本年、御承知のように、農村総合整備モデル事業というものを、皆さんの御協力によりまして予算を計上して発足しておるわけでございまして、その他農業者生産の向上あるいは環境整備等、あるいは工業導入をしたり、あるいはまた農業者年金等を充実したり、そういうことを充実しながら、ただいまの、大臣がお述べになりましたようなことを充実してまいりたいと、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  5. 梶木又三

    梶木又三君 あんまり具体的なお話を願えなかったわけでございますが、いずれにしましても、先ほどもちょっと申し上げたように、農村福祉事業というものは、これはもうとても私は農林省だけではできないと思います。むしろ厚生省とか、文部省とか、こういう関係仕事が非常に多いと思います。しかし、何といいましても、やはり農村のことは農林省が親身になって世話しませんと、うまくいきません。それで、農林省がそういう姿勢になって、一生懸命やるんだと、こういう姿勢を出せば、私必ずこれはもう、ポンプの誘い水みたいなもので、ほかのところがついてくると思うのですよ。だから、こういう意味で、農林省でやれる範囲の、ひとつ福祉的なやつは思い切ってやっていただきたい。かように考えるわけでございます。  そこで、いま政務次官お話の、ことしから新しくやるようになりました農村総合整備モデル事業、これも長年の懸案だったわけでございます。非常な御努力で実を結びまして、やっとことしから実施の段階に入ったということは、非常に私も喜んでおるわけでございますが、中身につきましては、当初の考え方から一歩後退したような面もございます。不満もございます。しかし、いずれにしましても、環境整備を取り込んだひとつ整備事業をやっていこうという姿勢ができましたことに対しまして、敬意も表しまして、ほんとうに喜んでおるようなところでございます。  それで、その総合整備でございますが、これはもう私から言うまでもございませんが、農業生産というものと農家の方々の生活、これが分離できない一体のものなんですね、農村へ行きますと。そこで、従来やっておりました農業基盤だって、農業基盤という名前はついておりますが、一部には生活関係に資するような役割りも果たしておったわけなんですが、こういうふうに生産基盤整備が、生活面でも非常に効用を発揮してきますし、また、生活環境整備をやること自体が、生産面に非常に効果をあげていくと、両々相まって非常によくなるわけでございますから、農村総合整備計画を立てられるとき、両者を、いわゆる生産生活ですね、この二つを一体的に実施することは、私は非常に望ましいと。望ましいというよりは、そうでなくては、ほんとう農村総合整備計画にならないと、かように考えるわけでございますが、農林省でどのように考えられておるか。これ政務次官でなくても、政府委員でもけっこうですから御答弁願いたいと思います。
  6. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 御説明を申し上げます。  生産基盤生活環境と申しますか、総合的、一体的に計画的に実施をしなければならないという御趣旨と伺いましたけれども、まことに御説のとおりだと存じます。  そこで、この農村総合整備モデル事業でございますが、これを仕組むにあたりまして、いろいろ各省とも折衝したわけでございますが、やはり論点は、過去を歴史的に見ますと、まあ村の生活というものは、農業生産とやはり全く密接不離にくっついた形で長い間運営されてきたわけでございます。ところが、近年になりまして、経済が発展しますと同時に、いわゆる非農家農村の中にもふえる、あるいはまた、兼業の機会もだんだんにふえてまいりますに従いまして、いわゆる二種兼業というような、農業生産が従である農家もふえるというようなことで、必ずしも農村生産活動そのものが、生活に全く一致するというようなことにもまいらない面が見えてまいったわけでございます。そういうことを踏まえまして、実は、従来生産基盤整備に重点を置いておりました農林省姿勢を、そこでそういう非農家をも含めて、農村生活基盤をひとつ拡充するということで、新しい仕事を仕組もうということで、おおよそ各省との合意ができまして、もちろん細部につきましては、これから詰めるわけでございますけれども、たとえば生産基盤のもとになります圃場整備事業、これは圃場の整備と同時に、またこれら農村環境整備そのものにも直接関係するわけでございまして、圃場整備やり方も、いわゆる農村環境を十分に従来にも増して考えた形でやっていく、あるいはまた農村のいわゆる部落の排水——このごろ非常にいわゆる汚濁水の問題が社会的に問題になっておりますけれども、そういうことはやはり農村にもあるわけでございまして、そういう排水路整備というようなものも生産基盤として整備すると同時に、生活にも密着した形で計画を進めていくというような、これは一例でございますけれども、そういうことでお説のとおりに生産基盤生活環境等を総合的、一体的に整備していくというようなことで実は鋭意実施要綱等の作成にかかっておるところでございます。
  7. 梶木又三

    梶木又三君 ただいまの説明生産生活環境のやつが総合的、一体的にやっていただけるということがわかったわけですが、さらにこれからの農村開発、これを考えた場合、いまの話は一つの集落とでもいいますか、いわゆる農村の中の一農業地域のいまお話を伺ったわけで、これはこれで非常にけっこうだと思うわけなんですが、さらにもうちょっと広く農村全体というものをとらえますと、農業生産これだけでなくて、四十六年にできました農村工業導入法とか、あるいは昨年の工場再配置公団、これも関係すると思いますが、こういうことで農村地域のこれからの開発というものを考えると、ほかの産業との関係、あるいはまた、場合によっては住宅団地もできましょう、そういうものとの関係、それから最近よくいわれておる環境保全という立場から、緑の地帯として、保全区域として残さなければいかぬ地帯、こういう土地利用計画、こういうようなものとも非常にからみが今後は出てくると思うわけでございます。それからまた一つは、農村考えても、隣の農村、あるいはもうちょっと大きな広がり、こういう隣接区域との開発のあり方、言うなれば国土総合開発といいますか、こういうようなものの一環になるわけなんですね。で、予算説明をちょっと見たんですが、三三ページの農村総合的整備というところに、「市町村が策定する農村総合整備計画に基づき本事業により」云々と、こうなっておるわけなんですよ。それでこの市町村の策定する農村総合整備計画、これに基づいてやるのだと、こういうことになっておるのですが、おそらくモデル事業上位計画になると思うのですよ。だから、市町村が策定するいまの計画というものはどういう性格のものか、これについてひとつ御説明を願いたいと思います。
  8. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 市町村が策定いたします農村総合整備計画、これはまあ従来いわゆる農村計画といわれたものの、いわゆるミニチュア版というようなかっこうのものになるのではないかというふうに考えております。したがいまして、その中身といたしましては、いわゆる地域農業の動向、あるいはまた、いま先生がおっしゃいました土地利用計画、それからまた水の利用計画、あるいは人口の構成と申しますか、将来の動態の状況、そういうような変化する要素も踏まえまして、それでさらに既存のいわゆる地域全体をとらえた計画がいろいろございますから、そういう大きな地域計画とも十分に調和がとれた形で、その当該市町村のいわゆるマスタープランというようなかっこうのものが、この市町村農村総合整備計画内容というようなことになるんではなかろうかと思っております。これにつきましては、おそらく新設されます国土総合開発庁などとも協議をいたしまして内容を詰めていくことになるというふうに考えております。
  9. 梶木又三

    梶木又三君 いまの質問、また、いまの御答弁とからむというか、同じようなことになるかもしりませんが、そうすると、市町村計画を立てるんだと、前の農村計画のようなものだというようなお話なんですが、この国会に出てくる国土総合開発法ですな、これに基づいて今度また新たにいろいろ、全国総合開発とか、あるいはまた都府県の総合開発計画とか、それから、いま御答弁のありましたいわゆる土地利用計画、こういうようなものとやっぱし関係しますし、それから整合性をどうしても確保しておきませんと、ぽつんぽつん先に農村総合整備が先行すると、今後これから、先ほどもちょっと申し上げたように、隣接区域との関係、あるいは自分農村だけの中でも、これからいろいろな面でうまく調和をとって大きく発展をさそうというような考えをもって進んでおる場合に、整合性を保っておきませんと、どうしても手戻りというか、手戻りどころか、手戻りぐらいじゃ済まない、のっぴきならぬような開発に終わってしまうと、こういうおそれもなきにしもあらずだと思うわけでございます。だから、単独でどんどんどんどん——まあそういうことをやられることは毛頭ないと思いますが、どうしても調和がとれる、それからいま現在の姿で調和がとれるんじゃなくって、五年先、十年先と、こういう姿を見通した上での整合性なり調和と、こういうことをどうしても考える必要があると思うわけなんですが、これについて、いま、重複するようですが、もう一度農林省の見解をひとつお願い申し上げたいと思います。
  10. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) たいへん貴重な御指摘だと思いますが、農林省は、御承知のように、さきに農業振興地域整備計画というのを立てております。そういう際にも、いわゆるそれぞれのさらに上位全国的なあるいは都道府県を含めた、そういうさらに大きな地域規模総合開発計画とかあるいは土地利用計画というものを踏まえて調整計画等を進めてまいっておるわけでございますが、そういうものを、さらに内容を深めまして、と同時に、いま御指摘がありましたような、新しい全国総合開発計画、あるいはまた、できると思われます土地利用基本計画というようなものが充実されました場合には、これは、関係機関、それから地方自治体とも十分に協議をいたしまして、その内容整合性なりあるいは調和がとれたものになるように十分留意して措置していきたいというふうに考えております。
  11. 梶木又三

    梶木又三君 国土総合開発法ができまして、先ほども申し上げた「市町村が策定する農村総合整備計画」というのがどこの所管になるか、私はそういうことは知りませんが、知りませんが、やはり農村のこととか、あるいは農業のこと、これはいろいろおしかりも農林省受けておられるので、農政不信とか、いろいろなことばがあるけれども、あるけれどもどの役所をとらえても、農村とか農業のことに一番詳しいのは私はやっぱり農林省だと思います。それからまた農民をこよなく愛しておるのも農林省だと、私はほんとに思う。やり方がまずいから、だいぶおしかりを受ける点もあろうかと思いますが、だから、その一番知っておる農林省——それからまた、私、統計資料も、いろいろな資料だって、農村なり農業のことに関する資料、これはどうしてもやはり農林省が一番正確なるものを、また新しいものを持っておられると思うわけなんです。  そこで、先ほど市町村総合整備計画とか、こういう上位計画につながっていく、こういう中での一環仕事になるんですが、そういう場合、農村総合整備を立てるというようなときには、やはり農林省がいままでの蓄積した知恵を出し、しぼって、これが独善になっちゃ一番困りますが、市町村長さん方の意見を聞きつつ、いろいろな面と協力して積極的に応援をしなければ、これは国土開発庁でやられるのかどうか知りませんが、やはり農林省が積極的に応援して、市町村の側に立って、農村の側に立って、あるいは農業の側に立ってこの計画を進めていきませんと、現実にそぐわないものができるおそれがある、かように私は心配しておるわけなんです。それについて、ひとつ、農林省の確固たるお考えをお願い申し上げたいと思います。これはひとつ政務次官から——。大臣にこれは答えてもらおうと思ったんですが、どうも大臣、小生のとき来られぬようですからひとつ。
  12. 鈴木省吾

    政府委員鈴木省吾君) ただいまの御質問でございますけれども、われわれ農林省といたしましても、やはり農村に関することは一番農林省として的確な材料を持ち、また責任も負っているという考えを持っております。したがいまして、ただいま御説のとおりわれわれも考えております。おそらく大臣もさようであろうと考えておる次第でございます。
  13. 梶木又三

    梶木又三君 ひとつよろしくお願いします。  農振法と、この整備計画じゃなしに、ことしから農林省がやられるモデル事業、これとの関係はどうなるんですか。
  14. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 農村総合整備モデル事業は、やはり農業振興地域に指定された、あるいはまたその整備計画と密接な関係もあるし、農振地域には重点的にやっていくということにもちろんなるわけでございますが、特に農振法の第二十一条で、国及び地方公共団体は、農業振興地域整備計画の達成に資するよう、農村環境整備につとめるべきものとされておりますので、この農村総合整備モデル事業はその趣旨に沿って進めていくというふうな関係になろうと思います。
  15. 梶木又三

    梶木又三君 総合整備モデル事業の一地区あたり平均が八億ですか——八億になっておるわけでございます。しかし、地区によって規模も違いますし、内容も異なると思うわけでございます。だから、あくまでも八億というのは、私も平均事業費だと思うわけなんですが、この規模あるいは内容に応じてだいぶん違うんだが、何か上限を、二十億になったらだめだとか、十五億になったらだめだとか、こういう上限を引かれるのか——上限があれば逆に下限も出てくるということもあるのだけれども、そういうお考えがあるのかどうか。
  16. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 農村総合整備モデル事業、これ予算書にも書いてございますけれども、五カ年計画で一地区平均八億、総事業費三千二百億、四百地区と、こういうふうになっておる関係で、平均八億というふうに予算上はなっておるわけでございますが、実施にあたりまして、この八億でおさまるかどうかという問題が一つございます。これはもちろん、詳細な実施要綱等できると同時に、実施計画をそれぞれ市町村ごとに立てるわけでございますから、その中身を検討しなければ的確な答えにはならないかとも思いますけれども、考え方といたしましては、特に上限下限を設けるというふうな考えはないわけでございます。特に、いわゆるセット事業と申しますか、ある一定の事業がすべて取り込まれておらなければ、その全体の事業として成り立たないという、そういうセット方式を必ずしも考えておりません。したがいまして、計画の中には、その市町村にとって特に緊急な、たとえば排水路の改修、農道の舗装というようなことで事足りるような計画があるいはあろうかと思います。そういう場合には、八億を下回る場合もあると思うんです。しかし、それを圃場整備、たとえば二百町歩をこえるような圃場整備等を含めて土地利用計画を新たに進めていくというようなことが、その内容に入っておる場合には、おそらく十億も十五億もかかるということがあると思います。いずれの場合にいたしましても、今後実際に出てきます実施計画を見まして、弾力性を持って運用してまいるというふうな方針にしておるわけでございます。
  17. 梶木又三

    梶木又三君 上下限を設けないというお話は大体了解できたと思いますが、しかし、これ、おのずから常識的な限度はやっぱりあると思うんですよね。ことし六十地区ですか。——六十地区だよね。六十地区で八億というと——まあ実施は十地区か。いずれにしましても、平均値がきまっておるから、総ワクもきまっておる。大きなところにおのずから上限限度というものは常識的に出てくると思います。  そこで、私、去年の予算委員会分科会だったと思うんですがね。四十七年度からやられておる——四十六年ですか、四十六年からやられたのか、ちょっといつから始まったのか忘れましたが、農業基盤総合パイロット事業、これのときに御質問申し上げて、あれもやはりどうしても限度というものがある。これは、市町村長が策定してくる計画だし、また市町村長意見というもの、これを尊重しませんと、頭ごなしにやってもこれは私絶対成功しないだろうと思います。だから、市町村長意見というものは、一番大事に尊重しなければならぬと思うわけなんですが、市町村長というと、やはり自分の町全体のものだから、自分の町全体の総合整備計画を立てる、そうすると、五十億にも百億にもなっちゃう、こういうこともあり得ると思うんですよ。しかし、いま申し上げたように、おのずから上に限度がある。こういう場合に、市町村長さん方、やはり各全村から出てくると、お前のところは待て、ことしは、ここだけだと言うことは、なかなか理事者として困難な面があると思うのですよ。それで、どうしても中身を薄めて——全町村、全町的というか全村的というか、中身を薄めて、全部をまかなうような仕組みに持ってこられることも、なきにしもあらずだと思うのですよ。そうしますと、私は、どうしても先ほど一番冒頭に、政務次官からも話があったように、高福祉農村建設するのだと、こういうことが中途はんぱになっちゃって、やらないよりましだという程度で、十分な効果が出ないと思うのですよ。だから、その限度で、八億になるのか、十億になるのか、十五億になるか知りませんが、これは農林省はこれからいろいろ実施計画を立てる段階でやられると思うのですが、この町村にはなんぼだと、きめられた場合には、やはり一つの部落といいますか、ここはやっぱり完全にやると——完全といってもこれは限度がありますが、とにかく所期の効果を上げるだけは上げて、薄めずに、そこでやってしまおう。こういう指導は、これはやっぱり農林省市町村長との間でひざつき合わせて相談していただいて、市町村長さん方がひどくやりたいというときでも、そこはひとつ親切な行政指導でやっていただきたい。そうしてまた足らぬところは、二期、三期残しておいていただいていいと思うのですよ。去年のパイロット事業で、そういう心配をだいぶやっておりましたし、事実そういうきざしもなきにしもあらずなんですよ。これを非常に心配しておりますので——具体的な話になりましたけれども、今後実施計画立てて承認を与えていくというときに、どういう態度で農林省は臨まれるか、これについてひとつお答えをいただきたい。
  18. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) いわゆる市町村の中において、公平の見地から、当然そういう問題が出てくることは予想されるわけでございまして、私ども内心、若干心配をいたしておるわけでございますが、モデル事業そのものは、御承知のように、いわゆる市町村の住民の意思を第一義に尊重してやるというような仕事でございまして、従来の生産基盤に重点がある場合とは、多少その点生活環境が入ってまいりますので、相当違ってくるというふうに思います。したがいまして、市町村総合整備計画で、市町村全体を見渡して立てられた計画の骨子なり、中身なりというものを尊重してまいる必要があると思います。ただ、それを実現する手段として、いわゆる基盤整備に属します、生産基盤に属するものは、できるだけ、従来の基盤整備事業の中で抱き込でいくというふうなことをやる必要があろうと思います。なお、いわゆる土地改良法に乗らない生活環境施設につきましては、これはできるだけこのモデル事業に取り込むというくふうも必要かというふうに思います。これは公平に考えた場合、当然そういうことが出てくるわけでございますが、そのほかに、先生おっしゃいましたように、モデル事業でございますから、変に薄くばらまかないで、がっちりしたものを峯集落あるいはちょっと大きな集落を対象に、りっぱなものをつくるというようなやり方もあろうかと思います。その辺もやはり市町村の意思を十分に尊重してまいりたいというふうに思っておりますし、またその計画をつくる際に、お互いに市町村にもいろいろな意見がありましょうし、指導する都道府県なり、国の側にも、多少試行錯誤的な点もまだ今後あろうかと思います。その辺は十分に話し合ってそごのない計画になるように指導してまいりたいと、こういうふうに思います。
  19. 梶木又三

    梶木又三君 理事者の方は、心の中は別として、なかなか表面に出せないが、しかし、いまの課題は、ただいまもう深刻な強い要望がございますので、いまのひとつお答えの線で実施をしていただきたいと思います。  それから、総合整備で、これは最後になりますが——集落整備ですね。これは、私はまだいまの段階では、農民自身の意識も完全にそこまで高まっておるとも思えませんし、また全般的な、まあ国民的というか、そこまでのコンセンサスも得ていない。こういう段階ですから、いま直ちに実行できるとは思いませんが、集落の整備までほんとうは入りませんと、冒頭の、この大事な福祉農村をつくるということが非常に私、困難だと思います。いままで私よりも政務次官のほうが、おくにのほうが多いと思うので、私は都会のほうで、あなたのほうが田園地帯で育っておられますからね、政務次官のほうが詳しいと思うけれども、散居していますわね農村は。ああいう散居のかっこうですと、便利な共同社会が営まれがたい。こういうことですから、どうしても、私、本格的に農村総合整備環境整備、これに入っていくとすれば、集落整備までいかぬとうそだと思うのですよ。しかし、いまの予算の面、それから先ほど申し上げた意識の問題、こういう面から、いま直ちにはむずかしいと思うのですが、そういうPR、あるいはまた事業の仕組み方の検討、こういうことで、これはほんとうに真剣に今後取り組んでいただきたいと思うんですよ。  これについてひとつ政務次官のお考え農林省のひとつ決意とでもいいますか、これをひとつお伺い申し上げたいと思います。
  20. 鈴木省吾

    政府委員鈴木省吾君) ただいまお話しのように、ほんとう環境整備を完全にやってまいるのには、集落再編成とでも申しますか、そこまでやらなければ不完全ではないかというお話、そのとおりだと思います。  しかし、いまも御指摘のように、そうするためには、これはたいへんやっぱり農家皆さんの御理解、あるいはまたそういうことに対する意欲が自発的にかなり燃え上がってまいりませんと、なかなか計画を立てる場合にも、あるいは計画だけ立てても実行が不可能ではないかと思います。  さらにまた、予算の面も、そうなりますとかなり大きな予算が必要であろうと考えます。今回の総合整備モデル事業は、そこまではなかなか手が届きかねると思いますけれども、お話のように、ほんとうに徹底的にやるのには、そこまで考えてやらなければならぬじゃないかということは、お説のとおりだと思います。今回の予算ではそこまでは実はまだ手が届いておりませんけれども、将来ひとつ十分そういう点を念頭に置きながらいろいろな施策考えてまいりたいと考えます。
  21. 梶木又三

    梶木又三君 総合整備はそれくらいにいたしまして、次は休耕補償について若干お伺いしたいと思います。  休耕補償の問題に入る前に、ことしの生産調整なんですが、これはもう私から言うまでもございません。いまの食糧問題は、世界的な視野に立った場合でも、非常に危機だと。それから、最近の投機までずっと誘発しておる大豆とか飼料とか、こういう問題を考えてみましても、あるいはまた、古々米がだいぶ問題になりましたけれども、もう底をついてきたと思います。ことしの五十万トンの緊急放出で、ほとんど私はもう、からになったんじゃないかと思います。  それからまた、最近のこの米の消費量は、二、三年前とだいぶ変わってきておると思います。あんまり減っていないんじゃないかと、一人当たりにしてですよ。一人当たりの米の消費量がもうむしろ横ばいに——ここ四、五年ぐんぐんぐんぐん減ってきておったけれども、もう横ばいになっておるのじゃないかと、そういう問題。  それからこれはあとでまた質問しますが、反収の伸びも、農林省が前に考えられておったほど、もう頭打ちにいっているのじゃないか——反収の伸びもあまり伸びてない。若干伸びておるが、非常に鈍化しておる。そういうことをいろいろ考えあわせて——これは予算委員会でも、本会議でも、いろいろ質問が何回も出ております。衆議院でも出ております。再度本年度の二百五万トンの生産調整、これを、既定方針どおりやられるのかどうか、ひとつそれについてお伺いいたしたいと思います。
  22. 伊藤俊三

    政府委員(伊藤俊三君) お答え申し上げます。  まあ最近、ただいまお話にございましたように、国際的に食糧が不足であるというようなことがございまして、農産物の価格がかなり値上がりをしておる。そういう影響をわが国も受けておるということは事実でございます。しかしながら、わが国の米の需給ということを考えてみますと、やはり潜在的には過剰状態にあるということでございます。したがいまして、私どもといたしましては、需給操作上、十分な政府持ち越し在庫の増勢を行ないながら、単年度の需給をはかるという考え方で、生産調整を行なっていく必要があると考えておるわけでございます。この場合、昭和四十八年の生産調整ということにつきましては、調整水田の約八割程度につきましては、転作ということをするということを目標に、特に転作の促進でありますとか、あるいは定着化に重点を置いて、地域の特性に応じました農業生産が行なわれるように進めたいと考えております。したがいまして、こういった考え方に立ちながら、地域の実情に即して、生産調整を四十八年度行なってまいりたいと考えておりますし、国と都道府県が十分な連絡をとりながら、きめのこまかい指導を行なうようにいたしておる次第でございます。
  23. 梶木又三

    梶木又三君 流通がうまくいっておれば、私は、なるほどいまおっしゃるように、米のまだ過剰の基調というものは変わらないと思います。しかし、人間の心理というのはふしぎなもので、大体とんとんだとなったら、もううんと不足しますよ、数字的にとんとんであればどこかに必ず固まってくる。これは人間の心理ですよ。もう最近、井戸ばたじゃないが、団地の御婦人方の会合で、ことしは米が足らなくなるから、いまからひとつみんなで買いだめしましょう、というような声が、もうちらほら出ておりますよ。これがやはり相当私は、いろんな面で夏以降の操作に影響をするのじゃないかと。これはなんでもないようでもこれは大きいですよ。インフレマインドみたいなものですよ。そういうことを考えて、私は、米を二百五万トン撤廃して、全部つくれなんてそんなことは言いません。いまお話のように、転作重点、これでけっこうですよ。とにかくこういう世界的な状態のときに、休耕田が非常に非難を受けるのじゃないか。これは国内的にはもちろんだけれども、外国からでも、この間のバーマ局長のことばでもわかるように、いろんな面で非難を受けるのじゃないか、こういう気もするわけなんですよ。  そこで、これひとつの提案みたいなものなんだけれども、休耕田をやめて、いまお話の転作、これはひとつ大いにやっていただいてけっこうですがね。これは限度があるものですよ。それは、限度があると私は思うんだけれども。それじゃいま転作重点だとおっしゃったのですが——ことし二百五十万トン、これをひとつ面積に直して約五十万町歩でしょうね、二百五十万トン直せば。これをどういう態様でやられるのか、ひとつそれ、まずお伺いします。
  24. 伊藤俊三

    政府委員(伊藤俊三君) 最初に、需給の関係のことでございますが、梶木先生の御心配のお話もよくわかるわけでございますが、需給関係の面では私は心配はないという考え方をいたしております。ことしの十月末の古米の在庫はお話のように五十万トンということに相なっておるわけでございますけれども、そのときまでに四十八年産米の買い入れがかなり進んでおります。二百五十万トン越す新米の買い入れも進んでおるというようなことが考えられるわけでございますので、需給上は私は問題はないという考え方をいたしております。過日もある会議で、もっとはっきり需給が安全であるということをはっきりしたらどうかというような御指摘もあったわけでございますが、私どもの説明が従来へたであったのかもしれませんが、需給上は特に心配はないと私どもは考えております。  それから転作につきましては、四十八年度の目標は、一応生産調整の目標の面積は四十九万五千町歩、いま御指摘の約五十万町歩であるわけでございますが、このうちの四十万七千町歩というものを目標に転作に誘導をいたしたいというように考えております。ほかに養魚池等のものも若干ございますが、残りの八万二千町歩を休耕と考えておる、想定をいたしておるわけでございます。転作物につきましては、飼料作物が十二万、大豆等豆類でございますが、九万八千、野菜が七万四千ヘクタール等のことを考えておるわけでございます。なお、休耕の面積八万二千ヘクタールということを申し上げましたが、これも大部分が通年施工及び寄託休耕という考え方をいたしておる次第でございます。
  25. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  26. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) それでは速記を起こして。
  27. 梶木又三

    梶木又三君 ただいまも、この穀物の国内需給は恒久対策としてやってくれという切実な御要望ございました。これを踏まえて、先ほど生産調整もひとつほんとうに真剣に、いまの情勢ですから、お考え願いたいと思います。  そこで、先ほど四十八年度の転作の態様、生産調整の態様についてお話伺ったんですが、去年とおととし——四十六、四十七ですな。これは大体二百二、三十万トンの生産調整だから、ことしの二百万トンに大体似た数字ですが、その四十六年と四十七年の生産調整の実績なり転作の態様、これちょっと教えてください。
  28. 伊藤俊三

    政府委員(伊藤俊三君) お答え申し上げます。  四十六年は調整面積五十四万一千町歩、そしてそのうち転作が二十四万五千町歩、休耕が二十九万四千町歩。四十七年が調整面積五十六万三千でございまして、そのうち転作が二十七万二千、休耕が二十八万七千ということに相なっております。
  29. 梶木又三

    梶木又三君 だからね、過去二年間の実績を見ましても、休耕地というのは、やはり大体二十八、九万、生産調整も二十四、五万、去年は二十七万ですか。まあ逐次伸びておりますけれどもね、転作が。それが一挙にことしは、先ほどお話のように、四十万七千ですか。これはよほど価格の問題とか——先ほど御陳情もございましたが、大豆にしても、ほかのものにしても、これは価格問題とか、それから流通関係等いろんなことを、もっと本格的に取り組まぬと——四十万というのは、できますか、ちょっと私非常に不可能な感じがするんですが、これについてどういうようにお考えか。
  30. 伊藤俊三

    政府委員(伊藤俊三君) 率直に申し上げまして、そう簡単なことだとは思っておりませんが、私どもはやはり転作を促進し、それを定着させるということに一そうの努力をいたさなければならないと考えております。で、来年度の予算におきましては、転作を促進いたしますための予算というものの拡充をはかっておりますし、また、特別事業の要件を緩和するというようなことも考えておりまして、そういった線に従って転作を一そう推進いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  31. 梶木又三

    梶木又三君 まあお話聞いても、困難じゃないというお話なんですが、事実、去年でも、おととしでも、休耕しておるところを私も現にだいぶ見ました、ほとんど転作のできない水田なんですよ。まあ排水が不良とかね、区画が小さいとか、結局基盤整備ができてない。こういうところは転作しようともできないわけなんですよ。それでまた、水田としてもやはり地力も悪い、反収もしたがって少ないというようなところが休耕に回っておるんですわ。だから、私は、四十万七千やりたいと言うても、いまの方法で、ただ口だけ四十万七千やれ、四十万七千やれと、こう言って、県なり市町村のしりをたたいても、私はほんとうになかなかできないと思うんですよ。それで、できるだけこの転作にひとつ御努力願うのは、これはもうまことにけっこうだし、そうやっていただかにゃならぬと思うんですが、私の考えは、先ほども申し上げたように、いまの非常な食糧問題の危機とまでいわれておるこのとまなんですからね、できるだけ転作をやるのはもう望ましいんだが、どうしても休耕が出ると思うんです。そこで、この休耕は土地改良の通年施工だけに限ってですよ、で、転作できないところはそのまま稲を植えて、これも転作と見て、ひとつ青刈りでもして、飼料に回すとか、あるいは米をつくってもいいじゃないですか、そこまで政務次官、ひとつ踏み切りませんか、どうですか。
  32. 鈴木省吾

    政府委員鈴木省吾君) なかなかまあこの食糧自給の問題についていろいろ御意見のあることは承知いたしております。しかし、先ほど局長からも申し上げましたように、過剰基調というものは潜在的にあるという認識をいたしておるわけでございます。さらにまた、これからそれに対処するためになるべく転作を定着させようと、こういう努力を実は今日まで続けてまいったわけでございますけれども、本年は先ほどのような計画でおるわけでございます。したがって、その点で努力はいたしてまいりますけれども、いまのような貴重な御意見もございます。しかも、それは転作と認めてどうだというようなことでございますが、まあ飼料として活用できるような、そういうことは考えてもいいんじゃないかと、かように考えておりまして、よくひとつ検討してまいりたいと、かように考えております。
  33. 梶木又三

    梶木又三君 ぜひひとつ、ことしは非常に緊急の年ですから、そういう弾力的な御処置をぜひお願いをいたしたいと思います。  それから、先ほども言いましたように、転作を非常にやっていくということをこれは努力してもらわなきゃなりませんし、そのためにはまあ価格の問題とかあるけれども、実際問題、農地がやはり汎用化することが一番前提になると思うんですよ。水田にもなれば畑にでもなり得ると、飼料畑にもなる。もう水田しかできないというたんぼを幾ら転作しろといってもこれはできません、物理的にできないんだから。どうしてもこの農地の汎用化、いわゆる田畑輪換をやれるような条件をつくり出すと、これが私は一番大前提になる仕事じゃないかと、かように考えます。  そこで、まあ土地改良の、長期計画、十三兆できまったわけなんですが、おそらく今回のこの新しい長期計画、この重点は圃場整備——農道もありましょうが、圃場整備も相当その重要な柱になっておると思うんですが、この十年間に、これは政府委員でけっこうですから、今回の長期計画の中で十年間に実施する圃場整備だけの面積、これについてひとつ。
  34. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 土地改良長期計画は、先般閣議了解ということで了解を得られたわけでございますけれども、このあと農政審議会、それから閣議決定というような事務手続もございまして、内容等につきましてまあほぼ——そういう事務手続はございますけれども、きまっていたものだというふうに思っております。御質問圃場整備の目標の事業量についても、相当量に計上をしておるわけでございまして、現在区画整理を伴う圃場整備といたしましては、昭和四十八年から五十七年までに、田で百十万ヘクタール、灯で十四万ヘクタール、合計百二十四万ヘクタールを予定いたしております。
  35. 梶木又三

    梶木又三君 水田百十万——十カ年ということになると、算術平均だと年十一万と、こういうことですか。——そうすると、その前にそれじゃあ過去二、三年の圃場整備実施面積と、それから、そのうち通年施工でやられたやつ、ちょっと教えてください。
  36. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 最近の圃場整備実施状況を申し上げますと、年間の施工面積、四十五年度が五万六千でございます。そのうち通年施工を実施した面積が三万二千。四十六年度、これが施工面積が六万七千ヘクタール。そのうち通年施工した面積が四万ヘクタール。四十七年度が施工面積が七万四千ヘクタール。そのうち通年施工をした面積が四万七千ヘクタールでございます。合計、四十五年から四十七年までを合計いたしますと、施工の面積で十九万七千ヘクタール。通年施工の実施面積で十一万九千ヘクタール、かようになっております。
  37. 梶木又三

    梶木又三君 そうすると、過去三年のこの実績を見ると、結局冬場の面積は四十五年が二万三千ですか、それから四十六年は二万七千、四十七年も二万七千、こういうことになりますね。——だからこれから考えると、結局圃場整備施工面積は年々ふえております。このふえておるのはほとんどが稲作期間中というか、通年施工でこれはやはりふえているようなかっこうですね。これ考えると、先ほど今後の長期計画で百十万町歩——初年度は幾らやられるかまだ聞いておりませんが、平均考えても先ほどのように十一万町歩と、こういうことになると、これはどうしても私自身は生産調整というようなことは抜きにして通年施工でないと、物理的にこれだけの面積が消化できないような気がするのですよ。それで、物理的に消化できないのと、もう一つは、これは私も昔そういう話も聞き、陳情も受けましてよく知っておるのだけれども、豪雪地帯とか、あるいは積寒地帯、こういうところは昔は、生産調整ないときに冬場だけ仕事をやっていた。そうすると、稲刈りやって次の植えつけまでの間、短い期間に、一番気候条件の悪いときに工事をやると、こういうことで特にコンクリート仕事なんかが非常にまずかったと、ぼろぼろのコンクリートのようなことでね。非常に、かえってあとでまた手戻りとかが起きるとかいうようなこともあって、やはりいい仕事をするのは夏場、だというようなこともあったんですよ。それと考えて、そういう理由だけでなくて、物理的に私はもう消化できない気がするのですよ。農林省ではどういう計算で勘定をされておるかしりませんが、ひとつそのお考え——できるのかどうか、冬場だけでね、年間十二万町歩、これはおそらく平均が十一万町歩だから。初年度、四十八年度はこれは幾らですか。
  38. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 七万九千でございます。
  39. 梶木又三

    梶木又三君 四十八年度は七万九千、約八万でしょう。そうすると、ピークになると十五万とか、十六万とか、こういうかっこうになりますね。これはどうしても通年施工を、今後ともこれを続けぬと、圃場整備が目的どおりできない、こういう気がするんですが、ひとつお考えを。
  40. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 御指摘のように圃場整備、これはいわゆる基本的な仕事でございますので、早急にやらなきゃいかぬということで、新しい土地改良長期計画の中でも、重点的に面積があがっております。したがいまして、これは、ぜひ達成する必要がございます。一方、それじゃそういう大量の面積が、いまの考えで、どういうふうに達成できるか、ことに、いわゆる通年施工をやらないでもできるかどうかというようなことに、あるいは御質問の焦点があるんじゃなかろうかと思いますが、もともと圃場整備の通年施工というのは、四十五年以降の生産調整を契機として実施されてきた経緯がございます。その以前は、いわゆる一札とってから、非常に気象条件の悪い中でもこれをこなす、それだけこなすだけの農村に労働力もあり、力もあった、労働意欲もあったというようなことでございますけれども、近年はもちろん、この生産調整を契機とした通年施工を考慮に入れなければ、今後のこの数量をこなすのは非常に困難だろうというふうに予想しております。したがいまして、特に積雪寒冷地帯等の地域におきましては、この地域の特性を考慮して、合理的なと申しますか、通年施工をも含めたそういう施工計画を立てるというようなことで、長期計画の目標量の達成をはかっていきたいというふうに考えております。
  41. 梶木又三

    梶木又三君 計画では、通年施工で立てておられる。これはもう当然だと思うんですが、もう一ぺん念を押しておきたいのは、生産調整、そんなことは離れて、いまの日本の機械の状態とか一まあ私もあまり詳しいことはわかりませんが、いまの機械の状態とか、機械の台数とか、急にたくさん圃場整備の機械をつくることはできないと思うんですが、そういう面を含めて、生産調整を離れて物理的にできるかどうか、これはどうですか。念のためにもう一ぺん。
  42. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) まあ物理的にということでございますと、機械だけふやせばいいわけでございますが、しかし、これは短期間に機械を大量に調達する、集中させるということになりますと、非常にコストの高いものになるわけでございますが、機械は、非常に——一台数百万円と、高いものは千五百万円もいたしますので、それをたとえば一万台も十月から翌年三月までに集中的に使うというようなことになりますと、そのことだけで相当なコストアップになるというようなことで、非常に困難だというふうに思います。したがいまして、平年的にやることが最もよろしいかと思います。
  43. 梶木又三

    梶木又三君 大体わかりました。だから、これは私が考えておるのと同じようなことで、どうしても私は、通年施工をやらぬと百十万町歩というのは消化できない。そういうことになると、百十万町歩の圃場整備をやることが、これからの日本の農業の近代化の一番の出発点であり、これをやらなければできない。それから先ほど農村環境整備もできないんだ。こういうことでありますと、これはもう農政上の一番大きな柱というてもいいわけなんですね。  ところが、来年で御承知のように、休耕の奨励金がこれはストップになるわけですね。これは奨励金なくて、ただ百十万町歩やるんだから、おまえたちもついてこい。通年施工でやるからどんどんこい。こう言っても、なかなかこれも現実問題として私は、もう不可能だと思います。休耕奨励金の廃止はけっこうだと思うのですよ。ところが、通年施工による休耕というのは、純然たる休耕と本質的に性格が違う。いまの次長の説明のように、まあ言うなれば物理的にできない。機械の台数が多くなって、コスト高になるという、これはほとんど物理的条件と私は同じだと思うのですよ。だから、通年施工が至上命令みたいなものだと思います。で、これは、どうしても生産調整をやるための休耕奨励金ということでなしに、立場を変えて、これは農政上大事な資本のための奨励金だということで、同じ額をどうしても私は、これを四十九年度以降も続けていただきませんと、現実において、先ほどの百十万町歩やるといっても、絵にかいたモチのようになって、長期計画は達成できない。こういう気がするんじゃなくて、私は、ほんとにそうなってくると思います。どうしても私は奨励金を続けていただきたい。それに対しては、ほんとに農林省で真剣に考えてもらいたいの、だが、その決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  44. 鈴木省吾

    政府委員鈴木省吾君) ただいまお話しの、今後農政の一番大きな柱として、土地改良十カ年計画で十三兆円あることは申すまでもございません。それからまた、いまるるお話しのように、これを十カ年以内に完全に実施していくのには、かなりの面積を、平均にしましても、年に十一万ヘクタール、お話しのように、ピーク時になると、十五万になるか十何万になるか、それを一年にこなさなければならない。そうなりますと、これは当然通年施工でいかなければならないということは全くお説のとおりでございます。したがいまして、通年施工でまいりますと、その間、全然収穫がない、収入が得られない農家がかなり出てまいるわけでございますから、そういうようなことをして、計画が達成できないのでは、日本の、これから最も農業近代化をしようという大きな政策が実現できないわけですから、ただいまお話しのように、それに対する対策を十分考えろということは、私も全く同感でございます。ただ、まだこれはいま四十八年度の予算を御審議中でございます。いまのお話は、これは四十九年度からになるわけですね、ですから、予算が終わり、来年度の予算編成の場合に、当然これは農林省としても考えてまいらなければならないことだろうと思います。御意見を十分ひとつ各方面、関係局なりあるいは大臣等にも申し上げまして、御趣旨が実現できるように私もひとつ努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  45. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 梶木君から水田の調整、それから休耕奨励金等のお話がございましたので、私も一言お伺いというよりも大臣に伝えてもらいたいと思う。  先ほども陳情がありましたように、飼料の問題でも、もう古々米を払い下げるあるいは大小麦を払い下げるということが、すでに政調のほうできまっておる。ところが、なかなか——それを、もう四月といっても、ここ余すところ二、三日、それでまだそれがきまらないという、これは私は情けないことだと思います。しかし、それは情けないということで、今後努力をしてもらうようにお願いをしておきますが、それよりも、それだけに日本に飼料が足りないという国柄、私の調べたところでは四つ足で申し上げますと、二本足と片づめぐらいが外国で育っていると思います。飼料のないところで、生きものを飼うてみようなんていう、これは考え方自体がまともではないですよ。それにもかかわらず、選択的拡大といいますか、その中には、その筆頭は畜産になっている。私はどういうことだろうかと思うんだね。えさのないのに生きものを奨励している、こんなばかげたことありませんよ。そこで、耕地がないというのなら、これもまた考えてみなければなりませんが、イギリスにおきましては、御承知のように、八二%が耕地ですよ、国土の。日本は一七%ですよ。あとは原野や山、全く耕地が少ない国なんですよね。それが、米が少し余るということで休ましているんだ。たんぼを休まして、そして国が、休んでもらう奨励金を出している、それを何年も何年も。芸のない話だと私は思うですよね、続けてやることは。そうお思いになりませんか。少し何か知恵を使って前向きに、ものを考え——ものを生産するところなんだからね、あれは。ドジョウを飼うたり、雑草をはやすところではないね。そういう意味で、これを農家がやはりつくれるような形に持ってまいりますることが、農業の奨励であり、農村の安定であると私は思う。それには、一体どうしたらいいか、米をつくったら余るというのなら、私は飼料を、えさをつくるようにしたらどうかと思う。それは湿田が休ましてありましょう。先ほど梶木君から話がございましたが、あまり上等でない土地を休ましておる傾向があるそうでございますから、私は水田で飼料作物をつくりなさいといっても、なかなかむずかしいことだと思うのでありますが、えさをつくっても引き合いにかからぬから、えさをつくらないのですよね。えさをつくっても引き合いにかかるのなら、えさをつくるでしょう。そこを少し知恵を働かして、国が、農業協同組合が買い入れた飼料については、海を渡ってくる飼料でなければならぬということはないんですよ。日本でつくった新鮮な飼料ならば、動物は、喜んで家畜は食うと私は思う。そういう意味において、そこに奨励金を出して、えさをつくるという新機軸を出してみてはどうであろう。芸のない話を、一番知恵のないことを毎年続けてやって、来年どうなりますなんて問わなきゃならぬ、まことにつまらぬ話。私は、大学を出て優秀な人だけが官吏になるということを聞いておるが、もう少し知恵を働かしてみる必要はないだろうか、こう思うんですがね。政務次官きょう答えてもらわぬでもいいんですよ。それは政務次官がどう答えてみましても、それはなかなかそういうふうに踏み切れない、いまの事情、それはよくわかりますから、あなたの説明を聞こうとは思わぬが、そういうことを言う議員がおったということだけはひとつ省議のときにお話を願って、研究をしてもらうようにお願いを申し上げたいと思う。それはやってもらえますか、その点だけ。
  46. 鈴木省吾

    政府委員鈴木省吾君) まあ堀本先輩、その道の権威者の御意見でございますので、まことに同感でございます。ただ答弁しなくてもよろしい、伝えるだけはよく伝えろというお話、これはもちろん、十分大臣にも先生のお話をお伝えいたしまして、検討させてもらいます。答える必要ないと申されましたけれども、私自身も全く同感でございまして、生産調整が始まる三年ぐらい前から、単なる休耕をやらんで、どうだ、えさをつくって——三年なり五年えさをつくって、それでまたたんぼに米をつくるローテーションを研究すべきじゃないかと、西南暖地あたりで牧草をつくれば二十トンぐらいで、米と十分採算合うようなあれができるんじゃないか。米ばかり奨励していたから、草のほうの研究が足りなくて、そういうことになっているんじゃないかと。いろいろの条件を——いまのようにいろんな条件、それは必要だと思います。そういう条件を整えてやることによって、そういうことが可能じゃないのかということを私申し上げたことがありますけれども、そう私も考えておりますので、全く先生の御意見には同感でございますので、よくお伝えすると同時に、今後省議等においてもいろいろ協議をしてまいりたいと、かように考えております。
  47. 梶木又三

    梶木又三君 生産調整あるいは休耕奨励の話はこれでおきますが、先ほど政務次官は、四十九年度の話と、先のように言われておりますけれども、いまからその気組みでやっていただきたい。八月の終わりに要求書を出すんですから、いまからその気組みになっていただかぬと、来年のいまごろの話のようなことでは、もう手おくれになりますので、ひとつきょうからその気組みで、先ほどお話のように、この問題も省議で大いにやっていただきたい。これは私は大臣にどうしてもやるということばまでいただきたかったんですが、おられぬので、政務次官先ほどの御答弁で了解しますが、ぜひこれはお願いいたしたいと思います。  それから、次は環境保全の問題に移りますが、これは大臣の所信の中にもうたわれております。それからまた予算書にも、ことしから新規で二億八千五百万と、なかなか試験研究にすればいまだかつてないような大型の予算が計上されて、農業環境保全、こういうものについて、調査研究をやられるということです。私、もっともっと早くこういうことをやっていただきたかったと思うのですが、それにしましても、ことしから新たに大型プロジェクトをつくってやられるということで、非常にけっこうだと思うのでございますが、この予算書だけではちょっと中身がよくわかりません。ひとつどういうことをやられるのか、内容についてお聞かせ願いたい。
  48. 山本毅

    説明員(山本毅君) 環境の破壊と公害の増加に対処いたしまして、国民経済の発展と福祉の向上に資するために、農林漁業が本来有しております自然環境保全に資する機能を見直しまして、この保全機能を増進し、一方、最近緊急の問題となっております家畜ふん尿による汚染などの環境悪化を防除いたしまして、その技術体系を確立することが緊急に要請されておるわけでございます。このような観点からいたしまして、昭和四十八年度からは、新たに大型研究といたしまして、次のような項目の環境保全的技術に関する総合研究というものを予算要求をいたしておるわけでございます。  一つといたしましては、まず農林漁業の生産活動の対象であります地域生態系の実態を調査分析いたしまして、その生態系が、たとえば森林における伐採、また道路の開設、農用地の造成あるいは悪質肥料、農薬などの農用資材の多用などのために、農林漁業の生産活動によりまして、どのような生態系が影響を受けておるか、また、その結果、環境がどのように維持され、また悪化させられておるかといったようなこと、また、農林漁業以外の産業活動や都市化によってどのように破壊され、また悪化させられつつあるかなどにつきまして、その実態を解析して十分把握してまいります。一方、土砂の崩壊とか、土壌侵食の防止等の国土保全機能、水源涵養、水量調節等の水保全機能、水、大気の浄化機能など、農林漁業の有する環境保全機能を解明いたしまして、これをできるだけ定量的に把握してまいりたいというねらいを含めてございます。  さらに、これらの研究成果を踏まえまして、林漁業生産活動自体の環境破壊や、悪化の事例につきましても、その技術的要因を明らかにし、たとえば、防災、水源涵養機能等を十分加味した林地の管理方式とか、傾斜地の農地保全方式、また無機質肥料、農薬などの農用資材に依存する度合いを軽減した栽培方式など、環境保全調和する技術体系の確立をはかってまいります。  特に、重大な問題となっております畜産公害に対処するためには、家畜ふん尿の処理、これの耕地への還元、悪臭防止など、これら家畜ふん尿の利用の効率的技術の開発もあわせて行なってまいります。さらに、これらの研究成果を踏まえまして、都市化や観光開発が農林漁業及び環境保全と両立するための技術的、立地的手法の確立、緑地環境整備方式及び経済的活動と環境保全との調和を目途とした総合的な地域開発の手法の確立をねらいとして、研究を行なってまいります。  以上の、これらの研究計画のうち、昭和四十八年度といたしましては、まず、地域生態系の実態解析、家畜ふん尿の処理、利用に関する研究に着手してまいる予定でございます。  以上です。
  49. 梶木又三

    梶木又三君 ただいまいろいろ伺いました。私も、専門的でないのでわからぬ面もございますが、とにかく非常に広範にわたっておるような感じがします。もう農林水産業全般に関係しておるような気がするわけでございますが、いまおっしゃったようなことをやられるのは、どこでやられるんですか。
  50. 山本毅

    説明員(山本毅君) 国立の研究機関を主といたしまして、農業技術研究所をはじめ、二十一場所、それに大学、それから公立の試験研究機関、それら十九機関がこれに参加いたします。
  51. 梶木又三

    梶木又三君 いまおっしゃった内容一つ一つ、これは大切だと思います。ところが、失礼な言い方だけれども、学者とか、技術者、こういう方は、一つのことに対してはもう非常に突っ込んで一生懸命やられます。それ自体、私はもう非常にこれは大事なことでもあり、必要なことだと思うんですがね。ややもすると、これはどうも自分の専門のことを深く、ずうっと勉強するという態度で、そこで終わってしまうというか、そこでもう完結してしまう傾向がよくあるんですよね、間間。特に、学者の方なんかには、失礼な言い方だけれども、そういうことが多いと思うんですよ。ところが、環境問題とか、保全の問題というと、いま、おっしゃったように、もういろんな原因なり、要素が、からみ合って出てくる現象ですからね。一つのことをこうこまかく解析していくのも大事だけれども、それをまとめて一本の姿で、総合的視野といいますかな、そこに立って取りまとめをせぬと、これはほんとうに実際に役に立たぬ。個々のことは私は高く評価しますよ、そういう研究されたことは。しかし、それをまとめてこそ初めて今度は農林省という行政の場で役に立つと思うんですよ。だから、いま、十九ですか、二十ですか、何か国立の場、試験所でやられるのでしょうけれども、それを何か取りまとめて、それを行政に移せるような組織は考えておられるわけですか。
  52. 山本毅

    説明員(山本毅君) ただいまの梶木先生のお話し、ごもっともでございまして、この研究にあたりましても、いわゆるパネルディスカッションという、七つの研究部会をつくりまして、ここで常時評価をしながら、その中で問題点を摘出しながら、研究におろしていくという方式を考えております。  その研究部会と申し上げますのは、一つは相互評価部会、農林水産生態系研究部会、環境保全指標研究部会、土地利用技術再評価研究部会、緑地環境研究部会、地域開発手法研究部会、環境保全地域研究部会、以上、七つの研究部会でございます。  その最後の、環境保全地域研究部会といいますのは、北海道、東北、関東、中四国、九州及び淡水区の六ブロックにこの研究部会を設置いたします。  その中で摘出されました問題を、それぞれの研究の責任者のほうにおろしまして、課題化いたしまして研究を進める、こういう方式でございます。
  53. 梶木又三

    梶木又三君 いろいろ、いまおっしゃった研究は、これは農林漁業が、それ自体が本来の役目というか、それ以上に、農林漁業のもう存在にかかわる基本的なことばっかりですよね、いまおっしゃったような。だから、これは当然農林省が責任を持って、そういう研究をし、それに対していろんなことをやっていくのは、これは当然だと思うんですよ。だから、先ほども申し上げたように、この研究が私はおそかったと思う。ほんとうは、こう世論がやかましくなる前に、先取りで研究されてしかるべき課題じゃなかったかと思うわけなんですよ。しかし、昔のことを、過ぎ去ったことを言ってもしようがない。ことしから始められるので非常にこれはけっこうです。たぶんだから農林省が本気になって、自分らの農林水産業を守るんだという立場、それから他に害を与えないのだという立場で、責任を持ってやっていただくとともに、ただ、この公害とか、そういう環境保全とかに関係する課題でございますから、いま言うたように、農林漁業には直接関係するけれども、やはり環境庁とか、科学技術庁とか、厚生省とか、いろんなところで一般論的にそういう問題を研究されているのがあると思うんですよね。だから、同じようなもし課題であれば、それは向こうさんの研究された資料なり何なり、もうすでにもらってきてやって、ない——自分らの本来の姿にないものが、まだたくさん、いまおっしゃったようにあると思うんだね。そこでやっぱりむだのないように、こういうところと連絡していただいて、それからまた、連絡してやるというだけでなくて、それによって初めて国全体としての総合的な立場で、いろんな施策がやれると思うんですよね。だから、二十ですか、二十場所でやられるやつは、あんたが、何か七つのブロックで研究を持って、また、さらに本省なり——本省かどこか知りませんが、総合的にやられるというお話がありましたが、それと同じように、農林省でやられたその成果と、よその成果と突き合わせて、全体の立場でお考えも願いたいと思うんですよ。だから、そういう自分のところだけは大型プロジェクトをつくって、やるんだというんでなくて、自分のところでもやると同時に、もう一つほかの農林省以外のものともやるというくらいの、大らかな気持ちでやっていただきたいと、こう思うんですが、ひとつどういうお考えでやられるか。
  54. 山本毅

    説明員(山本毅君) ただいまのお話のとおりでございまして、農林省といたしましても、環境問題は主としまして環境庁、これはいままでは汚染問題が主でございましたけれども、それらにつきましても、農林省といたしましては、環境庁と連絡をとりながら研究を進めております。また文部省、科学技術庁などとの関連する研究も絶えず連絡をとりながら進めております。で、ただいま申し上げましたこれら環境保全に関する総合技術的研究にいたしましても、予算要求の段階で、環境庁とよく相談をいたしまして、従来の共同研究との重複を避けるという方向をとりまして、十分その重複に対する配慮はやっておるつもりでございます。
  55. 梶木又三

    梶木又三君 それから農林水産業が、環境保全に役立つという本来的な機能を持っておる、その反面、農林水産業から、おのずから、自分から公害の原因になる、あるいはまた環境破壊をするというようなこともありますよね。またそういう技術を取り入れておる、農林水産業にもね、生産をあげるために。そういう面もあると思うんですよ。先ほどの御説明内容にもありましたね。だから、いままで省力化だとか近代化、機械を入れて省力化をやっていくと。こういう技術体系の中に、化学肥料をたくさん使う、農薬を使うと、こういう一連の技術体系があるわけなんですよ。それで、それ自体がいまだいぶ問題になっています。だから、ことしでしたか、四十七年度の稲作の結果でしたか、東北や北陸でだいぶん収量が減ったと、これは化学肥料をたくさん使い過ぎたためによる地力の低下じゃないかというようなことを、私テレビで見たんですよ。私その専門じゃないから、その化学肥料をたくさん使ったためによる反収減なのか、出稼ぎとかで、労働力が出てしまって、手間がないために、非常に粗放化してしまって、反収減になっておるのか知りませんが、とにかくテレビで地力が低下しておるというようなのを見たわけなんですよ。これについて、農林省はどういうお考えをとっておられますか。
  56. 有松晃

    説明員(有松晃君) ただいま先生のおっしゃいました化学肥料の施用が、地力の低下を来たしておるのではないか、という御指摘ではなかろうかと思いますが、化学肥料をよけい使っておるから地力が低下しておると申しますよりも、むしろ堆厩肥等の有機物を施用するということが最近労働力不足等で減少しておる。これは事実でございますが、こういったことのために、化学肥料の効果は十分に発揮されないというところに問題があろうかというふうに考えております。したがいまして、今後土壌条件等に対応いたしまして、有機物の適正な施用をはかり、土壌に対する有機物と無機物のバランスのとれた施用に留意すると、こういうような方向で指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  57. 梶木又三

    梶木又三君 化学肥料による、よらないにかかわらず、いまのお話のように、堆厩肥を入れなければ、化学肥料をやっても効果が出ないというお話ですね。堆厩肥をほとんど最近使っていない。どうもここ十年間くらいの農政のあり方を見ておりますと、生産性ということばのもとに、そういう面が非常に軽視されておったのじゃないか、軽視されておるだけじゃなくて、容認されておったような気がするわけなんですよ。それはそれなりに、当時からいままでの米のずっと増収を見まして、非常に効果があったことはこれはもう否定しません。しかし増収というのは、化学肥料なんかやればすぐ効果は出るけれども、地力の低下というのは、私は、徐々にしか来ないからわからぬと思うのですよ。しかしやっぱり相当すさんできておるのじゃないかという気がします。  政務次官、最近、土を守る運動というのがあるのですが、御存じですか。
  58. 鈴木省吾

    政府委員鈴木省吾君) 昨年でございましたか、そういう議員連盟か何かの御案内も私、受けたことがございますので、承知いたしております。
  59. 梶木又三

    梶木又三君 これはまことに地味な運動なんですが、私は、根本的にこれから農政の本来の姿に返るべき大事な問題だと、こう考えておるのですよ。それで畜産公害だ何だといわれる、そういうときに、ひとつ家畜のふん尿処理あるいはふん尿の利用を今度は研究していただくそうですが——研究していただくのでしょう、あれね。この家畜のふん尿利用と一緒にあわせて、もう一ぺん昔に戻って堆厩肥の使用ということについて、農林省、本格的に取り組む姿勢があるのかどうか、いかがですか、そこら。それは、私昔ながらの農業に戻れというのじゃないのですよ。そのことはひとつ誤解をされないようにちょっと付け加えて説明しますが、個人個人が堆厩肥をずっとつくっていっては、これは手間がかかる。で、いまのように出かせぎに行くとか——これは出かせぎ問題なんかほんとうにからむのですがね、一人一人がつくっておってもだめだから協業でやる。それから機械なんかもひとつそういうやつをつくる、運搬する、撒布するという、そういう機械体系もひとつ考えて、いまのいわゆる機械化体系の中にこれを組み入れて、いまの近代化農業生産性を上げる農業の技術体系の中に入れたところの堆厩肥の利用なんですよ。その点ひとつそういうことで——昔のよっこらしょの農業に戻るというのじゃないのです。そういうことで、いままでの姿勢を変えてこういうようなものを取り入れていくお考えがあるかどうか。
  60. 有松晃

    説明員(有松晃君) まことに先生のおっしゃるとおりでございますが、堆厩肥の生産につきましては、先ほど申しましたように多くの労力を必要といたしますので、その適正な施用量をこういった時代に確保してまいるということはなかなかむずかしい問題もございます。それでこのためになまわらの切断あるいは散布をする、こういったことは、収穫機械化の作業の一環として、これはすでに農家に普及段階になっております。また、先生おっしゃいましたように、畜産との連携によりますふん尿の合理的な還元、これが地力対策上きわめて有効な手段でありますことはおっしゃるとおりでございますが、このための施策につきましては、これまあなかなかむずかしい問題もございますけれども、さらに改善を加えてその促進をはかってまいるということでございます。
  61. 梶木又三

    梶木又三君 むずかしい問題だということはあなたからお教え願わんでも私もわかるんですよ。むずかしいからこそやってくれと、こういうことを出しているわけなんですがね。それで、私も化学肥料や農薬をいまここで全廃してしまえなんて、そんなことは現実的じゃないですから、そんなことを言っているわけじゃないんだけれども、ほとんど使っていない堆厩肥を、やっぱり自然の農業に戻って逐次使っていく姿に転換すべきときに来ているんじゃないかと。それで、労力を要することも先ほど言いましたようにわかっております。その労力が要らないような、新しいほんとうに画期的なことを研究も願ってやっていただけないかと、こういうことなんですよ。   〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕  現に農薬が規制になると、私も、全国を、ときどき農村を歩いてお話聞きますよ。農薬の制限だけによって、トンボがふえた、ホタルがふえてきたと、あるいはドジョーが住んできた、川魚が住んできたという話を聞きますよ。これがほんとうの、本来の環境保全というか、農業の持ついま一番大事なことなんですよ。生産性あげることだけが能じゃないんですよ、これからは。そういう立場でこれは政務次官からひとつ御答弁願います。困難なことは私は重々承知しているんですよ。そういう姿勢があるかどうか、ひとつ。
  62. 鈴木省吾

    政府委員鈴木省吾君) 昔から、作物をりっぱにつくるのには、土をつくらなきゃだめだというようなことを、私どもも聞かされて、そのとおりだというふうに考えております。土をつくるのには、いまの無機質な肥料だけでなくて、有機質肥料を適当に入れなければりっぱな土ができない、農業生産もあがらない、できたものの味もまずいということは承知いたしております。それだけでなくて、ただいま梶木委員からのお話のように、ほんとう農村を住みよい、あるいはりっぱな国土としての農地を保全するためにも、そういうことをやるべきでないかということは全く同感でございます。したがいまして、十分ひとつ関係機関、あるいは農林省の研究者等を動員いたしまして、そういうふうに今後研究もさせ、対策も立ててまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  63. 梶木又三

    梶木又三君 まあ政務次官のいまの御答弁で了解いたしますが、とにかくこれは新しいことですからね。そして先ほども審議官からもお話があったように、労力もかかる、そうすると、手間はかかって金にはならぬ、だからいまのままだったらみな出かせぎに行く、あるいは兼業で、どこかほかに働くほうがはるかに有利なものだから、なかなかしません。現実の姿では絶対やらないですよ。だから、ここで思い切った——いままでの農林省の補助体系というものは、何か生産をあげたときに、あげる仕事に対して、土地改良でも何でも、大体そうですよ。生産をあげるものに補助を出しておるわけですね。だから、頭をすっかり切りかえて、それはそれでやるが、別途に全然違う、農民自身にはふところへは別に入ってこない問題に対して、冒頭に大臣も所信で表明されているように、環境保全を守る仕事なんだと、農業が。そういう国民的な立場に立った補助体系というものを何か確立していただきませんと、なかなか堆厩肥の使用というのは私は現実的に困難だと思うんですよ。だから技術的な問題と——いま政務次官からお話のような技術的な研究と同時に、そういう補助体系の確立といいますかね、そういう点も一つ考えていただきたい。これは御答弁要りません。希望を申し上げておきますので、両々相まったひとつ御検討をお願い申し上げたいと、かように考えます。  それじゃ、今度はちょっと農用地開発につきましてお尋ねをいたします。最近、堀本先生おられるけれども、ミカンの過剰や何やかんやで、農用地開発が非常に問題になっております。しかし、多いのはミカンだけで、先ほどからいろいろお話があったように、飼料、大豆、何とっても、これ足りません。特に草。だから、そういう不足の農産物について、やはり農用地開発も今後進めていかなければならないと思うわけですが、長期計画で今後十カ年、農地一三十万ヘクター、草地四十万ヘクター、これは造成を予定しておると、こういうことになっておりますが、これはそのとおり間違いございませんか。
  64. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 間違いございません。
  65. 梶木又三

    梶木又三君 十カ年にそうすると七十万町歩の造成をやるわけですが、これはひとつ計画的に推進をやっていただかねばならぬと思います。ところが、北淡路やらあるいは岩木山ろくでしたか、こういうところで、いろいろ農用地開発について問題が出ております。当委員会でも、この間、委員会の先生方は北淡路へおいでになったんですが、国会だけでなく、会計検査あるいは行管からも指摘を受けております。これは、私の考えるのに、あの開発のあり方がどうのこうのというよりも、世の中のそういう開発の動きと、いまの制度との間にズレがあるんじゃないか、こういう気がするわけです。開拓当時は計画どおりでよかったかもわからないんですが、いまの土地ブームだとか、いろんな変動の激しさ、こういう激しい世の中の動きになかなかついてこれないと、こういう結果、ああいう指摘が起きてくるんじゃないかと思うわけなんです。そこで、現在北淡路とか、岩木山ろくだとか、いろいろ農用地開発をやっておりますが、指摘を受けておる問題点は私も承知しておりますから、これはけっこうですが、実際制度上どういう問題があるか、これについてちょっと伺いたいと思います。
  66. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) お答え申し上げます。  農用地の開発につきましては、もともと戦後の緊急開拓から、いわゆる国の未墾地買収の方式で行なわれてきた経緯がございます。その後、いわゆる相対売買方式になりまして、いわゆる開拓パイロット方式と呼んでおりますが、そういう方式で現在行なわれておるわけでございます。土地改良法上では全員同意方式と、こう言っておりますが、全員同意の上で事業に参加し、実施するということになっております関係で、途中で多少社会情勢が変化しても、計画自体にはあまり狂いがこないというような、何と申しますか、性善説というような感じの体系になっております。ところが、急激な社会情勢の変化があります関係で、いわゆる土地の値上がり、これがいわゆる土地の売買というような形になり、その際に、もちろんこれは未墾地でございますので、売買は自由なわけでございまして、事業に参加しておりながら、その参加者が他の第三者にそれを、権利を譲渡するというような事態が起きております。これらは、もちろん、事業の仕組み等につきましても周知徹底を怠っておるというような結果でもございますけれども、一つには、そういう社会情勢に現在の事業の体制がなかなか、必ずしもぴったり合ってないというような面もあって、今日の土地の権利の移動というような事態になってきておるというふうに思っております。これが、農用地開発のいま一番頭の痛い問題でございます。
  67. 梶木又三

    梶木又三君 最近地域住民の意識が多様化しております。これはもうどの地方へ行ってもそうですが、それを受けて開発も単一目的の開発というんでなくてね、総合的な目的を持って開発したいというような希望が多いと思うわけなんですよ。北淡路にしても、どうしても、初めはミカン一本でいきたいと、こういうことで進んでおったわけなんですが、欲が出てくると、ミカン園の一部を住宅地にするとか、レジャー用地にするとか、こういうことが起きてくるんですね。ところが、私はこれから開発をやっていく、特に農用地の開発をやるようなところは、おそらく風光明媚のところがわりあいに多いんですよ、わりあいにね。だから、農用地一本で開発しようと思っても、今後は、いまの情勢から見て、私は非常に困難が伴う。逆にそれじゃ、こんな農用地開発は全然やめて、全部ゴルフ場とか、別荘地とか、そういうようにやるかというと、これは絶対ようやらないんですよ。やはり本来の農業をやりつつ、一部にそういうようなものをつくって現金を得たいと、こういうふうなのが私本音じゃないかと思うんですわ。だから、最初の計画を立てるときにそういう多目的、もちろんこれは金は出さないですよ。金は出さないが、計画とすれば地域総合開発というような立場で、複数目的の事業をやれないかどうか、これについてどうですか。
  68. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 基本的には、やはりその地域における的確な土地利用計画というのが、しっかり立っておれば、ある程度、いま先生のお話ございましたような要望に沿えるんじゃないかと思います。しかし、現行制度では、それを仕組むような形にはなかなかなっていないわけでございまして、そこで、農用地開発事業につきましても、逐次改善を加えていきまして、従来単一の農用地開発でございましたものに、既耕地も取り込んでやれるようにするとかあるいはまた、その施設内容も多目的な施設がつくれるようにするとか、ということをやっておりますが、それはすべて農用地として使う範囲内に限っているわけでございますので、レジャー農園とか、あるいは観光施設というようなものに対して、積極的に計画の中に取り込むというようなシステムになっておりません。ただ、現状は、やはり道路がつけば、もちろんその道路を利用したレジャー施設が、隣接のところにできるというのが現状でございまして、結局その開発利益を、あとから入ってきましたレジャー施設に取られるというようなかっこうになっておるわけでございまして、制度上どうもいまのままでは必ずしも現状に合っていない。そこで先生のお話にございましたような御趣旨も含めまして、今後ひとつこのあり方につきまして、検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  69. 梶木又三

    梶木又三君 私はぜひそれは検討をしていただきたいと思うんですよ。そういうことをやっておくと、それほどおしかりを受けないし、それがこれからのへんぴなところの開発ほんとうのあり方のような気がするわけですね。そのかわり、五年なり十年、相当激しい変化も予想して計画を立てる。それで計画を一度立てて、農業関係の受益地が確定をいたしますと——今度の国土総合開発法の案の中に、府県知事が特定地域に指定したら、私権の制限を加えるような、相当きびしい案がいま考えられておりますが、それと同じような考えで、——またたく間に変わるような計画じゃだめですが、計画のときに、この地域の将来計画を予想して変動まで入れて、将来の姿を予想して計画を立てる。それで適当にいろいろなものを配置して農用地はここここでございますと、こういうふうに確定したら、もうその土地はいま言うたように、何か規制して、未墾地であろうと売買は当分の間できないような、そういう規制の方法が考えられないかどうか、これについてひとつ。
  70. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 非常にむずかしい問題も含んでおるというふうに思います。特に新しく土地利用規制法案も検討される段階でございますので、今後そういういろいろの諸般の情勢を児ながら、慎重に検討していきたいと思います。
  71. 梶木又三

    梶木又三君 まあこれはなかなか簡単に答えられないと思います。それで、規制までいかんでも、計画を立てて、どんどんどんどん事業を進めていく、それで最初予想してやったけれども、なおかつ、考える以上に世の中が移り変わっていく、変動する、そういうことで、どうしても計画を変更しなければならぬ。そういうときに、ほかに変わった、目的が変わったものから費用を出させる——補助事業じゃないから、補助金還付とか何とかということは、できませんから、費用を、道路の費用とか、面工事をやった費用とか、こういうものを、費用振り分けのかっこうで取れるかどうか、これについてどうですか。
  72. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) その点につきましては、従来受益地であったところが、他にいわゆる転用される、あるいは計画変更で、現に相当な利益がありながら計画自体からはずされるというような場合に、利益の度合に応じて負担させるということは、法律的には可能であろうというふうに思います。ただ、従来やったことがございませんので、もう少し実際に具体的に検討してみたいと思っております。
  73. 梶木又三

    梶木又三君 それじゃ最後にひとつ、過疎対策についてお伺いします。  これは私は昨年も予算分科会で、山村問題についてお伺いをしたのですが、山村関係仕事が必要だということは私から言うまでもございません。これはどうしても国土保全とか、水源涵養の水の守ですね、水守。こういう面からも山村におられる方が、どんどんどんどん平場に出てしまうということが、国土保全の観点から非常に私問題があると思うんですよ。そこで、やはり山村関係仕事はひとつ大いにやるべきだと、こういうことを年来主張しておったんですよ。それで去年は、大臣から、大いにやると、こういう御答弁をいただいて、喜んでおったところが、ことしの予算見ますと、四十七年度よりも四十八年度が減っておるのですよ。これはどういう関係から減ったのか、ひとつこれについて御説明を願います。
  74. 杉田栄司

    説明員杉田栄司君) 四十八年度の山村振興対策費が御指摘のように、前年度に比しまして、若干減少しております。これは、いわゆるかねてからやってまいりました既定事業が完了に近づきまして、一方、新規事業がまだ発足間もないというような谷間によったものでございまして、この新規施策が本格化することによりまして、明年度以降は増額する、また増額しなければならないというふうに考えております。四十八年度の予算は、予算書にも出ておりますけれども、七百四十一地域と、四十七年度の八百四十三地域に比しまして、百二地域の減少になっております。これに伴いまして、いわゆる事業補助金も三十三億六千万円が二十八億七千万円と四億八千七百万ぐらい減少しておるわけでございます。これはいわゆる一期事業——一期対策と二期対策との境目というような関係で若干落ち込んだわけでございます。
  75. 梶木又三

    梶木又三君 しかし一期事業から二期事業に移るというのはこれはもうわかっておるんですよね。だから四十七年度から二期事業に入ったのが一年おそかったのか、四十六年から入っておくべきであったのか。あるいは四十七年度に入ったら——四十七年度からでもどうしても入らざるを得なかったのであれば、昨年にもっと指定を多くして、四十八年度に事業ができるようにやっておくべきだったと思うのですよ。この大事な仕事が、たとえ谷間といえ、一年間でも、山村振興、山村振興と言うておるときに、三十三億から二十八億七千万に減ったということは非常に私残念に思うわけでございます。しかしもう予算計上されて、これをふやせといってもこれはなかなか増額できませんので、ひとついま御説明のように、二期事業をひとつ四十九年度以降大いに伸ばしていただきたい、これだけを要望いたしておきます。  それからもう一つ最後に、やはり過疎対策の一環で、最近干拓事業というものが、米の過剰から、何か完全に敬遠されまして、この時代に干拓を何ぞやと、いつもこう言われております。そこで私は、まあ米の増産、こういう観点から干拓を取り上げるんじゃなくてね、だからたとえば大きな干拓をやるというんじゃありません。むしろ離島——これは大臣おいでになりましたので、一つぐらい大臣に御質問申し上げぬと申しわけないので、大臣ひとつそれじゃ、いまから一言だけお願いを申し上げます。  過疎対策の一環としまして、干拓事業を、何かこう干拓というと、米の過剰の時代に干拓やって、また水田を多くして米つくるんじゃないかと、こういう声がありますが、大きな干拓じゃなくて、私の申し上げたいのは、離島あるいは大臣のお国の山陰ですね、ああいう山が迫って、海まで迫りまして、土地の全然ないところ、そういうところに、十町とか十五町とかいう小さな干拓ですね、小さな干拓をやりまして、その辺で漁業なりあるいは林業に携わっておるが、しかし土地がない。だからもう林業、漁業だけではとても食っていけないので、そこを放棄して都会に走ろうと、こういう傾向がありますから、その方々に米の生産という観点をはずれて、そういうほんとうに土地のないところに、土地をつくってやろうという意味合いにおいて、いま全然ストップになっております補助干拓事業を四十九年度から、来年度からもう一ぺん考え直していただけないかどうか、これが一つ。  それから先ほど政務次官お話を申し上げまして御答弁いただいたんですが、これだけは大臣からもひとつぜひお考えを願いたい、決意をお示し願いたいと思いますのは、もうくどく申し上げませんが、生産調整で休耕をやめて、あと全部転作なり何かやろうというまあ話が出ておる今日でございます。しかしこの土地改良長期計画で百十万町歩のこれから圃場整備をやっていこう。そうしますと、先ほど政府委員から御説明願いましたとおり、四十八年度には八万町歩で、ピークにはそれの倍くらいになると、十五、六万町歩になる、年間。そうしますと、どうしても通年施工でやりませんと物理的にこなせない、あるいはまたコストが非常に高くなる、こういう御説明だったわけでございます。だから、農政で今後いろいろ近代化やる、環境整備をやる、こういう面で、もう圃場整備が欠かせない一番大事な私は基本になる仕事と思いますので、休耕奨励金は四十八年度で打ち切られるわけなんですが、純然たる休耕と全然これ性質が本質的に異なると思いますので、ひとつ土地改良による通年施工分の奨励金は、ぜひこれ四十九年度以降も続けていただきまして、またこれ続けていただきませんと、先ほど言いましたように、なかなか通年施工が困難になりますので、何としてでもこれ継続願いたいと、かように考えるわけでございますが、この二点につきまして、ひとつ大臣のお考えをお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  76. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 第一問は、これからの補助干拓事業についての御意見でございました。この米の生産調整ということが一方にありますると、それに見合う干拓ということについてはきびしい批判があり、また現に八郎潟なども計画が途中までで、少し足踏みをしている。四十八年から構想を新たにして進むというようなことにいたしたようなわけでございますが、離島あるいは非常に土地の少ないところで土地造成、そしてそれに伴っての農業上特に考えられるようなことがございますれば、これはそれなりに検討してみたいと思います。基本的にはこれだけ土地問題のやかましいときでございまして、干拓による土地造成が米以外の農業生産の上に寄与する、あるいは御指摘のような漁業の上に活用ができるというようなことがございますれば、それはそれなりに十分検討に値すると思いまするので、これは御意見を尊重してまいりたいと思います。  それから土地改良について、休耕が通年施工に非常に役立ったということは、これはあちこちで聞いておるところでもございまするし、また本年で休耕奨励金を打ち切るということについては、土地改良事業について、圃場整備について、ひとつくふうをしてくれんかということは、特に東北地方の方々から御意見が非常にございました。いま御意見は休耕というようなこととも切り離して、圃場整備を効率的にやるというところから、もう一つ考えてみたらどうか、こういうことでございまして、これについては、将来におきましても、検討に値するということでせっかくいろいろと協議をしておるところでございます。
  77. 辻一彦

    ○辻一彦君 私きょう三点伺いたいと思います。一つは飼料の問題、乳価と畜産の問題、もう一つは米をめぐる問題です。最後は、水産の問題について若干お願いしたいと思います。  いまもまあ梶木委員から三時間余にわたっていろんな問題に触れられました。またさっき北海道の酪農民の代表の方からも非常に切実な乳価の問題について、飼料の問題についての陳情、要請があったわけであります。私も、きのう、全国の乳価と豚価を要求する農民大会に出て、非常になまなましいと言いますか、切実な声を体で感じたわけです。その中で、特にえさが非常に言うまでもなく高騰している。そういう状況の中で、このままにしておくと、畜産の上にはたいへんな状況が起きる。特に先ほども北海道酪農民の代表からお話がありましたが、大事な、もとになる牛を、えさがあまり高くて飼い切れなくて、手放さなくてはならない。そういうことが起こりますと二度と酪農は立ち上がれないと、確かにそういう懸念があると思います。そういう点で緊急にやはり飼料の対策を打つということがどうしても大事だと思いますが、その点について、まず大臣基本的認識を伺いたいと思います。
  78. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 飼料不足に対処いたすために、この上半期、すなわち三月以降六月にかけまして、集中的に政府手持ちの麦類あるいは古古米を放出をしようと、こういうことで、このことについてはすでに発表をいたしたところでございます。また飼料の相当量を国外に、主としてアメリカに仰いでおりまするので、ソ連の食糧事情に伴う影響を受けて輸入が順調でございませんので、それらの点については安定的な供給の要請をいたしたところでございます。また全農、全酪の安定基金の放出によりまして、飼料の値上がりを農家にできる限り負担を少なくするような措置をいたしまして、三月の値上がりの際におきましては、実質上の影響を二千円程度にいたしたと思います。そういうようなふうに各種の施策を講じまするとともに、現に多少でも上がる飼料の買い付けが直ちに農家に影響があってはいけないと、こういうことで低利の資金で、これを将来の負担にするようにお願いをしようというようなくふうもいたしたようなわけでございまするし、また全農、全酪だけで価格安定基金制度を持っておりますが、これを一般商系においてもやり得るようにいたしたい。また全農、全酪についても安定基金が枯渇してはいけないんでありまするから、両方あわせまして出資あるいは金利の補助というようなことを考えたようなわけでございます。さらに四月以降の値上げの問題がございまするので、これにつきましては、政府放出の麦類や古々米につきましてこれを安価に供給をすることによって、できれば値上げを中止してもらおうということで、現在その点についての折衝をしておる段階でございまして、私としては四月以降これ以上の値上げがないように、何とか大蔵当局あるいは各党の御協力のもとにとりつけたいと、現在努力をしておるわけでございます。まあそういうようなことをいたしておりますれば、いまのドルの切り下げに伴う輸入価格の引き下げというようなこともだんだん効果が出てくると思うんであります。現在におきましては、昨年あたりの契約分が入ってきておるので、ドルの切り下げはありましたが、まだその効果は十分出てきておりませんが、ここ一、二カ月で効果も出てくる。そのうちにアメリカの本年度の作付緩和などの情勢が入ってきておりまするので、次第に輸入飼料については価格が下がり、これ以上新たなる値上げ要因というものは生じないのではないかと、せっかくいま努力中であるということを申し上げておきます。
  79. 辻一彦

    ○辻一彦君 いまの問題点、対策はいずれも重要であると思います。それは努力していただくとして、その中でどうしても緊急を要するものは、政府手持ちの古々米の放出を早くやっていただく、これが大事だろうと思います。いま大臣答弁によりますと、これについての折衝中であると、こういうことでありますし、また私たちも、与野党間でこの間のいろんな折衝は行なわれているということも承知はいたしておりますが、どういう折衝段階で、どの程度の見通しに立っておるかということ、これについてお伺いいたしたいと思います。
  80. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 詳しい数字は担当のほうから申し上げたいと思いまするが、私の記憶では、一応トン当たり四千二百円の値上げをしたいと、こういうことに始まりまして、これに対してただいま申し上げたようなドル切り下げに伴う輸入飼料の値下がりの織り込みなどを考慮に入れまして、また、その他のいろんな要素を計算をして、結局二千円ほど何とかカバーができないものかというようなところにきておったと思うのであります。それを基礎にいたしまして、古々米あるいは麦類をどういうふうに値下げをするかということで、その辺、実際上二千円を必要とするかどうかということについては、いやそれは千五百円ぐらいのところでいいんではないかというような意見も出、あるいはもっとシビアにという向きもあり、というようなことで、多少行きつ戻りついたしておりまするが、しかし飼料の値上がりがすでに本年になりまして、この四千二百円ということで三度目ということになりますれば、二回の値上がりでも、もとより影響があるのに、三度上がって、そしてそのことが肉、乳、卵と、その他に影響が出てきまするならば、ただ単にこれは飼料の問題ではないと、また畜産農家、酪農農家の問題ではなく、食糧全般に対する問題であるということで、いまそれらのことについての認識は得られて、何とかしなきゃならないと、要するに、古々米や政府麦類の値下げ幅を幾らにするかという段階でございます。
  81. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこがもう少しお伺いしたいんだが、まあ農業団体あるいは畜産の農家の皆さんから、トン二万一千六百円の古々米を半額にして売り渡してほしいと、こういう要求が非常に強いわけですが、こういう農民の声をどういうように受けとめる考えか、この点いかがですか。
  82. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) もうわかりやすく言えば、古々米をいまの価格の半分にせいと、こういうことで、私どもも、飼料価格に古々米が二分の一で出してもらえれば非常にいいんだということで、大まかなところそういうふうに申してまいりました。しかし、やはりこれは一体それだけの必要があるかないかとか、それから先ほど申し上げたような、輸入飼料原料の値下げがどうだとかということになると、もう御承知のように、大蔵当局はそれらの要素をみな入れて、こまかくいよいよ現実に幾ら下げるかということになってきますると、たいへん私もしっかり覚えにくいような、いろんな算式になってくるわけでございまして、それで、まあ何しろ、下げることについての認識は得たことには間違いないんでありまするが、その間のやりとりについてはまだ私のところに、大体ここまできたんでもう少し、もうひとつ政治的な配慮を大蔵大臣にしてもらってくれとか、どうとかいうようなところまで、まだきてないんです。
  83. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ半額に、二万一千六百円に大体近い線かどうか、こまかい計算はいいですけれども、大まかに言って、半額を中心にしてどのあたりのところに話が進みつつあるか、その点どうですか。
  84. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま申し上げましたように、私のところにまだ折衝の模様というものはこまかく報告はきておりません。何か事務当局のほうで参考になることがあれば御説明を申し上げさせます。  ただいま担当者のほうからは、いろいろ大蔵省に説明をしておるが、事務レベルではまだ何らの見通しにも立っておらないと、こういうことでございまするので、先ほど来申し上げましたことで御了承をいただきたいと思います。
  85. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃあ大臣として、いつこれを大体時期的にめどをつける考えですか。
  86. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 実はこの三月末できめます加工原料乳あるいは豚価等には当然飼料価格というものが計算の基礎に入ってくるんでございまするので、私としてはまあ少なくともぎりぎり今月末のこれらの価格がきまるときには、解決をしておかなきゃならないと、こういう見通しで、きょうまできておったのでございまするが、何ぶんにもきょう一日朝から委員会、本会議がございまして、いまの情勢がわかりませんが、先ほどこの折衝に携わっておる同僚からちょっと小耳にはさみますると、基本的な了解のままで少し来月にずれ込むような報告を受けております。しかし私としては、いま申し上げたようなことで、飼料のほうもできれば今月中に解決もしくは正確なめどを得たいとこう思っております。
  87. 中村波男

    ○中村波男君 大臣、問題はまあ指摘するまでもなく一月に二千五百円、三月に四千九百円、七千四百円上がったわけでしょう。そこでこのままでほうっておきますと、四月には三千七百円ないし四千円は値上げをせざるを得ないという必至の情勢があるわけですね。したがって、さらに三回目の三千円、四千円という値上げを行なわなければならぬという状況がきたときには、もう酪農は崩壊せざるを得ないと、こういう危機が目の前にあるわけですね。そういう立場から古々米の払い下げも、できるだけ大量に、しかも四十八年度の上半期に集中的に、しかも価格も三千七百円ないし四千円値上がりをするという上に立って、この値上がりを極力押さえるという作業を期待して、われわれも半額以下で払い下げるべきだということを、先般も大臣に申し入れたわけでありますが、そこでいまのままでいろいろ手は打っておるとおっしゃいますが、四月の飼料の値上がりというのもどれくらいで押さえたいというふうに思っていらっしゃるのか、また押さえようと努力をしても、この程度は値上がりをするんじゃないかという、そういう予測といいますか、予想といいますか、そういうものを農林省が持っておるのかどうか、その点まず伺いましょう。
  88. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは一番大手である全農の動向というものが問題になると思うのでございます。全農の値上げにつきましては、ただいまのところ、先ほど来御説明申し上げておるような、そういう大蔵省との折衝過程にございまするから、四月値上げをしてもらいたくないと、こういうことを申してきておるわけでございます。で、もちろんそれは、言うまでもなく、裏づけがなければそれを了承するわけはないのでありまするから、こちらもその折衝の過程はよく伝達をしております。  それで、先ほど説明申し上げたように、大体この古々米や麦類の値下げ幅ということで、方向は理解をしてもらっておる、こういうことでございまするので、農林省としては、この際は、できればもう値上げがないように努力をいたしたい、こういうことで最後までがんばるつもりでおります。
  89. 中村波男

    ○中村波男君 がんばるつもりだとおっしゃっても、現実に原料が上がっておれば、農業団体にいたしましても、これは限度があると思うのですよ。たとえば、岐阜県の経済連なんかも、七百七、八十で一応、当面としては金を出すということで、飼料安定基金の中に上積みをしてがんばっておりますけれども、これも限度があるわけですよ。したがって、そういう全農に、ただ値上げするなと言うだけでは、これはたえ切れない実情というものは、私が言うまでもなく、大臣御存じだと思うのですが、そのためにどのような、政府として、農林省として手を打つか、その一つとして、少なくとも古々米の払い下げぐらいは政府の手にあるわけでありますから、それから法律を改正すればできることでありますから、まず農林省自身が腹をきめて、強腰で大蔵省と折衝していただくような姿勢をお聞きしたがったんですが、どうもへっぴり腰で、大蔵省に気がねをしていらっしゃるような感じがしてならないんです。その点、いかがですか。
  90. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) それは、ここでじょうずなことを言おうが、へたなことを言おうが、時間的にもうちゃんと結論が出ることだと思うんです。ですから、私、別にここでうまいことを言おうという考えもない。現実の経緯を辻委員からお尋ねでございましたから、それを申し上げておるのでございまして、まあ強いか弱いかということになってくれば、それはあくまでもいまの畜産農家、酪農農家の実情を踏まえて考えてみまするならば、ここで私としては、何か妥協して、足して二で割ればいいというようなことでなしに、あくまでも四月の値上げは避けるためにあらゆる努力をいたしたい。強いか弱いかといったら、自分で言うのもおかしゅうございますが、皆さん方のお力添えで強腰でやりたいと、こう思っております。
  91. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、三月中に決定ができない場合には、そのえさの値段をもとにして計算する乳価、豚価の価格がきめられない場合もあり得るということですか。
  92. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) この豚肉の安定価格も、加工原料乳の保証価格にしても、データのとり方は直近三カ月と、こういうふうになっておると記憶いたします。間違っておったら事務当局から訂正をさせますが、しかしながら、もしそういうことでいくと、一月当時の指数が反映してくる。それでは現状に即さないのでありまするから、価格決定の中に、その他経済事情を勘案してということもございまするので、およその見当をつけて、そしてこれはもう三月中にきめるべきものはきめる、こういうことでまいりたいと思います。
  93. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、えさの値上げが今度は起こらないように努力をしたい、そのためにはどのぐらいにすればえさの値上げが起こらずに済むかというめどがおよそあると思いますが、そのめどをどの辺につけておられるか、それをお伺いしたいと思います。
  94. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) そこのところがむずかしいので、結論が出ていない。一応先ほど申したように、二千円という数字が出たが、しかしいろいろ検討して千五百円ということも出ておると、これはやはり上げるなということを指導すると申しましょうか、そういう方途を選ぶということになれば、そこのところは関係者が納得をする数字でなくてはならないと思うのですね。それでその辺をいま詰めておる、こういうことでございます。
  95. 辻一彦

    ○辻一彦君 もう一つ重ねて聞きますが、千五百円ないし二千円に押えるために、この古々米の放出価格をどのくらいのめどにつけようとされるのか、この点はどうですか。
  96. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) どういう計算方法になるかは別としまして、辻委員の言われた、古々米を半値にせいというその趣旨に沿う数字は大体千五百円と、こういうことだと思います。
  97. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、いまいろいろな折衝中で話を詰めておられる段階のようですが、先ほど中村委員からも発言ありましたように、えさの値上がりをもう酪農民としては待ってはおれない。もし四月にえさが上がるならば、牛を売らなければいかぬ、こういう立場の人が私はおそらくたくさんあると思うのですね。その点を考えてもらったならば、早くこれをきめてもらって、酪農畜産農民が安心できるように、農林大臣としてぜひこれが努力を願いたい、こう思います。  そこで、第二として、備蓄問題について若干お伺いしたいと思います。海外から大体一千百万トンという大きな飼料を輸入しているのでありまして、海外の市場によって非常に大きな影響を受けるということは当然であります。そこで、そういう需給の変動に備えて備蓄の必要がある、こういうことは、これは三月二日の参議院本会議において、農林大臣も、あるいは通産大臣も、備蓄という問題には、食糧とあわせて触れられておりますが、飼料の備蓄というものについて何回か発言がありますが、具体的にどういうように考えておられるのか、これをお伺いしたいと思います。
  98. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 大体、備蓄のことについては食糧の備蓄と、こういうことで申し上げてきておったと思うのであります。  それで、飼料の備蓄につきましても、これもいま全く私の記憶でございますが、現在二カ月には至っておらないと。そうであれば、一・七カ月ぐらいだと思うのですが、それを三カ月ぐらいは持っておるほうがよくないかというような大まかな見当でございまするが、これはたいへん問題があるわけでございますね。というのは、濃厚飼料の配合原料のトウモロコシ、コウリャンの備蓄性がどれだけあるかというようなことを考えましたときに、そう大量には持てないのではないかと。それから国内における備蓄能力ですね、この備蓄能力も、サイロなどを当然必要としてまいりまするから、そうなりますると、サイロをどんどんつくるように助成しなければならないという問題も起こると思います。ただ、最も簡便にやるといたしますれば、民間の協力を得て、そうして金利、倉敷をお世話するというようなことも考えられると思うのでございまするが、明年度の予算編成を前にして、どのような備蓄方法をとるか。どのような場合でも、予算の必要が出てくるのでございまするから、その検討をいたすということを申しておるわけでございます。また、そういう作業の過程で緊急措置をとるべきだということになれば、本年度予算で予備費もある程度お願いをしておるのでございまするから、そういうようなものを使ってでも措置ができるかと存じまするが、いずれにしても、備蓄については十分検討するということを申し上げたわけでございます。
  99. 辻一彦

    ○辻一彦君 いま大臣の御発言の中に、サイロあるいは民間への金利補給によるいろいろな方法があるというお考えですが、国外から飼料を輸入して備蓄しようとすれば、当然、港にサイロを置いて、そこに入れるという必要がありますし、国内で、先ほど論議されたように、飼料をかなり自給をして、それを備蓄に回すとすれば、いま赤字に悩む農業倉庫等を活用するという方法もある。どちらに重点を、あるいはどの程度置いておられるのか、その点どうですか。
  100. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 現在の見通しで考える場合におきましては、国外飼料もある程度考えていいんではないか。それは、国内における供給量をふやすといっても、そう早急にはやり得ないのではないかと。そういうことを考えまするときに、価格面で有利な、また対米関係考えまするならば、長期に供給を受けておる取引先でございまするので、作付面積を拡充するということも三月十五日に米政府は発表もいたしておりまするので、輸入飼料の備蓄をある程度考え、同時に、国内における飼料の増産につきましては、たとえば昭和四十八年でいえば、本年の転作の場合に、でき得る限り飼料のほうへ重点を置いてやってもらおうというようなことで、極力増産につとめまして、結局最終的にいえば、国内も国外も、いずれにしても、供給量が幾ら需要量が幾らということになりまするから、そのときの備蓄のしやすい状況にあるものからするというようなことも考えられるかと思います。この辺は先ほど申し上げたこれからの検討の中で、あれこれくふうをさしていただきたいと思います。
  101. 辻一彦

    ○辻一彦君 三カ月分の備蓄といえば、外国から入れるとすれば、かなりな量になると思いますが、たとえば百万トンのものを早期に買い付けるとしても、かなり穀物の市場に、急げば影響が出る。そうなると、先ほど梶木委員からも御発言がありましたが、いま休耕や休閑で休んでいる土地がかなりある。これを活用して、一つは、休耕転作奨励金という一つ、もとがあるし、それからそこからとれた飼料を換算すれば、かなりな価格になる。足りない点を不足払い等によって払っても、たとえば百万トンなら百万トンを海外から買うとすれば、財政的な支出というのは、ほぼ同じような計算に、大まかにいえばなると思うんですが、その点の国内の休閑地等を生かして、不足払い等によって、財政的には輸入と同じような大体価格でもって、国内でかなりな自給、備蓄を行なうという、こういう考え方は持たれないかどうか、その点どうですか。
  102. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 備蓄に際して気をつけなければならないことは、確かに国際市況でございます。あまり日本側が急いで買いあさる、こういうような事態は好ましくない。ですから、海外から輸入量をふやして備蓄に充てるという場合には、それだけのくふうが要ると思います。そこで、いま国内ものの飼料を増産し、不足払いによってやったらどうか、これは一つ考え方だと思うのでございます。いま休耕奨励金とのかね合いで、おそらくそう金がかからずにいけるんじゃないかという御提案でございました。これも当然これからの備蓄政策を考えまするときに十分検討すべき問題だと、こう思います。  なお、一言つけ加えさしていただきますが、今回の飼料不足の原因の中には、安定的な供給が得られるという前提で、対米依存度が少し多過ぎたというようなことも批判されておるわけでございまするので、相当数の、国から多角的な輸入政策あるいはいわゆる開発輸入方式をも加味していくというようなことを、今回の苦い経験によりまして種々検討していく必要があると、こう思います。
  103. 辻一彦

    ○辻一彦君 いま、開発輸入の方式ですが、確かに特定国に市場先を片寄るということは非常に問題がある。そういう意味で、南米であるとか、東南アジア等に、あるいは豪州等にそういう市場先を分散するということは大事だろうと思います。そこでその場合に、新聞記事等を見ると、昨年から三井、三菱、丸紅、伊藤忠等はインドネシアから豪州あるいはイランにまで進出をして、開発輸入と、こういうことで、現地で合弁会社をつくって取り組もうという動きが報道されております。これは私は大事なことでしょうが、一つ誤ると、いままで大手商社、大手企業が海外に出て、いろいろ間違ったあのやり方を繰り返すことになりかねない。どうしても政府、わが国がこの開発途上国に積極的な協力といいますか、支援をして、そしてその現地のほうにも役に立ち、プラスになり、こちらにもその次にプラスになると、こういう形で開発方式を考えない限り、大手商社のいままで繰り返した二の舞いを踏むことになる。こういうふうに私は思うんですが、こういう開発の方式について、大臣としてどういうように考えられるか。  また、過日FAOのバーマ局長が来て、バンコクに総合農業センター等をつくって、そういう点をひとつ協力をしてほしい、こういう申し出もあったと聞きますが、そこらの関連でこの点についての考えをお伺いしたい。
  104. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 具体的な例でちょっと先に政府委員から……。
  105. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、日本の商社がインドネシア等でメーズ等の開発輸入を進め、また計画を持っているというのが現状でございます。そこで、一番現在進んでおりますのは、三井物産がやっておりますインドネシアのメーズ対策でございますが、この場合私どもといたしましては、いい種をつくって、その種を自分の直営農場で使うだけではなしに、近隣の農家にも配って同時に、技術指導をやってほしいということを言っております。そうなりますと、三井物産といたしましても集荷力がふえる。一方近隣の農家もいい種をもらいまして、それを三井が買ってくれるということになりますと、現地の農民の所得の向上にもなるということで、今後民間の会社が、農産物につきまして東南アジア等で開発輸入を進めるときには、そういった方式で進めてほしいということを、強く要望しておるわけでございます。そうでないと、現在の東南アジアには、戦前のプランテーションの印象がありまして、単に自分の農場でつくったものを全部持ってくるというようなことをやれば、これはもう現地の反発を受けることは必至でございますから、そういうことがないようにやってくれということで、現に三井物産がインドネシアでやっておりますプロジェクトはそういう形でやっております。かなりそういう意味で現地でも評判がいいということを私どもは聞いております。  それからバーマFAO事務局長がアジアの農業発展のためのセンターをつくろうと、それについて日本は大いにやってほしいということの話が、この前バーマFAO事務局長が来たときに話が出たわけでございます。彼の考えているところは、単に自分の意図であって、実際にそれをやるかどうかというようなことは、七四年のFAOのアジア極東会議の際に、自分は議題として出したいんだというようなことを申しておりました。どういうことを彼が考えているかと申しますと、御承知のとおり、フィリピンの稲作研究所でつくりました多収穫品種、IR8、IR5等の新品種が東南アジアに広がりまして、御承知のとおり、緑の革命というものが喧伝されたわけでございますが、何といっても、基盤整備ができていないというところから、去年非常な干ばつに見舞われたわけでございますが、そこで、さらに緑の革命の進行をしているところを見てみますと、まあバーマのことばでは、どうも大農に片寄っているんじゃないか。また、東南アジアにはやはり圧倒的に小農が多い。そして、日本の過去における農業開発も小農の発展によってもたらされたものである。したがって、日本の経験というものは、今後の東南アジアの農業の発達、特に稲作について非常に重要である。したがって今後日本にそういうセンターをつくってもらって、それをFAOと日本の政府の共同経営と申しますか、そこでそういうことをやりたいんだということを強く言ったわけでございます。  これはそういう意図だけでございまして、具体的にどういうふうに仕組むというようなことは全然彼も言っておりませんし、今後FAOのほうからそういったような話がございましたら、ケース・バイ・ケースと申しますか、具体的に相談に乗ろうということは考えておりますが、現在のところ、具体的に幾ら出すとかそういうことは全くきまっておりません。  以上でございます。
  106. 辻一彦

    ○辻一彦君 私も、少し前に東南アジアを二カ月ほど歩いたことがありますが、やはり以前のプランテーションというか、そういうまだアジア各国には受けとめがある。そういう中で、いわゆる開発農業というものは、よほど慎重というか、大事をとってやらないと、やはり善意でやっても、大きなマイナス面が出るんじゃないか。こういう点から、これはもっとひとつ国として、私は、政府として積極的にこれに乗り出す、外貨を見ても、あれだけの外貨を持っているわけですから、そういう有効な使い方を、私は、ぜひ積極的に農林省の中で考えてもらいたい。  そこで、やはり開発輸入等について研究会というか、何かそういうものを持っておられるということを、ちょっと新聞で見ましたが、そういう問題について、本格的な取り組みを省内で検討しているのかどうか、その点いかがですか。
  107. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 開発輸入の問題につきましては、現在のところ、やはり民間のプロジェクトでやっておりますので、政府が直接的にそれに援助するということはなかなかむずかしい面もあるわけでございます。ところが一方、日本の場合は、農業技術者が全部行政関係の中にいるということがございまして、現地で開発輸入をやろうという場合には、技術者もなかなか見つからないというようなこともございまして、いろいろな問題がございます関係から、二、三年前に農業開発財団というものをつくりまして、そこで必要な技術者のプールをするとか、あるいは必要な調査をするとかというようなことを、財団をつくってやっております。そこには調査室等の形で援助をするということで、そういう間接的な形で、開発輸入については援助をしているわけでございます。  それから日本の農業技術協力全体の問題につきましては、これまたいろいろと検討しなければならない問題が多々ございますので、来年度予算を取りまして、農林省の中で研究会を設けて、本格的な検討をしたいということで、四十八年度に予算措置を講じております。
  108. 辻一彦

    ○辻一彦君 次に、私は、乳価、豚価の問題について先ほどから、いろいろな角度から問題が出ておりましたから、簡単に触れたいと思います。きのうも私は申し上げましたが、農民大会に出て、はち巻きを締めた農民の皆さんの、あの真剣な顔を見ますと、何としても、乳価や豚価というものは、やはり採算が合うような姿に引き上げをしてもらわなくてはならない、こういうように強く思うたわけです。  そこで乳価の中身については、こまかく言うことは別として、一番大事な点は、乳価では、飼育する労働力、あるいは飼料作物の中に含まれる労働賃金、こういうものを幾らに見るかというところにポイントがあると思いますが、米の生産費の労賃部分に比べて、乳価の従来の労賃部分は同じであるか、あるいは違っているか、違っているとすれば、どの程度違っているか、その点どうですか。
  109. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました家畜の飼養管理に関する労働費でございますが、これは牛乳の生産費調査、これは毎年七月から六月までの間のものでございますが、これから出てまいります数値を、五人以上の製造業労賃に、その加工原料乳地帯の製造業労賃でございますが、を置きかえました上で、先ほど大臣が申し上げましたが、直近三カ月間の賃金で修正をいたしましたものを使用いたしております。それから飼料作物の関係の労賃でございますけれども、これは農村の日雇い労賃を使用をいたしておる次第でございます。  なぜそういうぐあいに違うかと申しますと、簡単に申し上げますが、家畜の飼養管理の関係の労働でございますが、これは毎日毎日、一年中というような拘束性、周年性、そういうものに加えまして、さらに飼養管理の特別な技術という面がからまっておりますので、そういう措置をとっておりますが、一般の飼料作物の関係につきましては、一般の耕種農業と差異はないという立場でございまして、そういう扱いにいたしております次第でございます。
  110. 辻一彦

    ○辻一彦君 米価の算定の基礎になる数字とは同じですか、労賃部分は。
  111. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) その家畜の飼養管理に関する部分につきましては同様でございますけれども、飼料作物の栽培に関する部分につきましては違っておるということでございます。
  112. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあこまかい論議はきょうは、する時間ありませんが、同じ牛を飼うのに、乳をしぼるのも、あるいはえさをつくるのも、これは場合によれば、分業して専門的な技術を十分使う場合もあるが、必ずしも乳をしぼるほうが高級で、専門的で、牧草をつくるほうが技術が低いと、こういうように言えないと私は思います。また同じ農民が、片方では乳をしぼり、片方では飼料作物をつくる。こういうことで、その労賃部分を分けて考えることに矛盾がある。もういまの段階では、同じ農民として、同じ労働に対して、同じ労賃の算定をすべきじゃないかと、こう思いますが、この点大臣、同じ農民が働く場合に、こっちやったら違う、こっちやったら違うというのでは、おかしいと思うのですが、どうですか。
  113. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま御説明がございましたように、やはり私は、乳牛の場合の労働が、簡単に言えば非常に特殊であると。私から申し上げるまでもなく、飼養牛を、これはまるで家族と同様なふうに丹精して育てる、世話をする。先ほど説明があったとおりの拘束性あるいは特別な技術というようなことを考えてまいりますると、御質問の御趣旨はよくわかるのでございまするが、飼料作物をつくる場合の労働力と、そこに差があっても、私は好ましいと、こう思うんでございますがいかがでしょうか。
  114. 辻一彦

    ○辻一彦君 大規模の北海道の酪農になれば、私もちょっとわかりかねる点がありますが、十五頭、二十頭ぐらい飼ってる——私福井県ですが、そういう酪農の状況を見ても、奥さんが乳をしぼり、御主人のほうは牧草をつくると、こういう分担だってあるんでありますから、それは牛をつくるほうは非常に特殊的な技能であり、牧草をつくるほうは差があってしかるべきだと、こういうことはちょっと私は言えないと思いますが、この点重ねてもう一度お伺いしたいと思います。
  115. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) ただいま大臣の御答弁になりましたとおりでございまして、まあ米のように、相当技術的にも安定をいたしましたようなものと、畜産の飼料栽培等とはまたそこにおのずから差異があろうかと存じますので、私どもといたしましては、そういった違いがありましてもやむを得ないのではないかと存じております。
  116. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあちょっと私は、私が見ている体験から納得ができませんが、それだけにかかっておれませんから次に進みたいと思います。  そこで、いま農民の皆さんの要求、この原料乳価はキロ当たり七十四円十七銭、豚価についてはキロ当たり三百八十七円と、これが農協を中心に農民の皆さんの策定をされたぎりぎりの価格だと。これはこれだけ急速にえさが上がってくる、いろんなものが上がってくる、こういう中で私は当然な要求じゃないかと、こういうように思いますが、これらの価格については審議会で検討されておると思いますが、大臣としては、大体こういう線に近づくように努力をいただいておると思いますが、その点ひとつどうでしょう。
  117. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 審議会に諮問をするまだ前でございまして、農林省内における意見調整は、結論を得なきゃならない段階が迫っておるとは思います。そういう段階でございますので、私の立場で多少お答えしにくいところを御了承をいただきまして、ただ私は過去の経緯を検討いたし、また現在の諸般の経済事情を勘案いたしまするときに、従来のごとき値上げ幅でいいかどうかということについては、著しく疑問を持っておる一人でございまして、したがって、この作業に当たる前提として、私としてはいろんな要素をよく検討してやってもらいたいということを申してまいったわけでございます。たいへん抽象的でまことに恐縮でございまするが、なかなか諮問の前に、まだ作業中に、私がかりにも軽率なことを言うと、いろいろと影響がございまするので、この程度でお許しいただきたいと思います。
  118. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ立場はわかりますが、疑問を持つんではそれだけでは困るんであって、疑問を一つ持たれたら、実行して、そしてこの要求されている乳価、豚価が実現をされるように十分ひとつ反映をしていただきたい、こういうように思います。  そこで時間の点もありますので、私当初に予定しておりました米を中心にする食糧問題に若干入りたいと思います。  すでにいろんなところで述べられておりますが、ごく簡単に大臣から、過日見えたFAOのバーマ事務局長が世界の食糧需給というものをどういうように見ているか、こういうことについて聞かしていただきたいと思います。
  119. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) バーマ事務局長が私に言われました一番のポイントは、国際的な気象異変に伴う食糧の増産についてのお話でございました。しかし、バーマ事務局長のほうからいえば、日本に対してどうこうということよりも、カナダ、アメリカに対してのもう一つ増産というようなことを中心にお話がございました。当時たしか国会のほうの関係がございまして、私としてはそう時間がとれませんでしたので……。いま具体的に何か御参考になるような話が私の記憶にあるかと、こういうことになりますると、特に申し上げてみたいということはございませんが、当日、同席をした内村局長もおりまするので、何か御参考になることがあれば補足をして申し上げていただきます。
  120. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっとその前に。いま局長から伺いますが、三月六日の新聞によると、いろんなことが出ておりますね。一つは、確かに私は主要国の備蓄問題はどういうようにするのかという問題が一つあったと思います。もう一つは日本における米の生産調整についての何らかの考え方も示されたと思う。その二点について局長から伺いたい。
  121. 内村良英

    政府委員(内村良英君) バーマ事務局長と外務省、農林省局長が話し合ったわけでございますが、その場合、最初の議題といたしまして、世界の食糧農業情勢についての意見交換をやったわけでございます。バーマが申しましたのは、一九七〇年代の開発途上国の農業生産の成長目標は、四%くらいを考えていたけれども、実際は一、二%で食糧の増産は人口の増加率よりも下回っている。この食糧生産の不振は、異常な天候によるほか、まあ開発途上国における内戦、あるいは政府の農業への資本投下が十分に行なわれていないこと、あるいはかんがい施設等の基盤整備ができていないというようなことで、開発途上国の生産が非常におくれている。そこで、それについては、自助努力も必要であるが、一方、先進国のほうも、そういった開発途上国の人口増加というようなことも考えて、食糧のストックをする必要があるんじゃないか。ところが、世界の食糧ストックは、去年からことしにかけまして、大幅に減少して、特に小麦のごときは、一九五〇年以来の最低水準にある。これには、ソ連等の大量輸入もあるけれども、一方、開発途上国の生産の不振であるということも原因になっているんだと。そこで自分は、この際、こういった世界情勢にかんがみて、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ECなどの主要食糧の生産輸出国に対して、食糧の生産調整をゆるめて、在庫をふやすように要請している。アメリカ、カナダからは生産調整を緩和しようということを言ってきている。ECからはまだ返事が来ていないと。日本につきましては、別に生産調整を特にゆるめてくれというような要請はございませんでした。ただ、彼は、感想として、ちょっとこうゆるめたらどうかというようなことを、やや感想として述べましたけれども、日本に対しては、生産調整を特にゆるめてくれというような要請はいたしませんでした。同時に、そのストックを国際的な機関でつくろうとしても、これはだめだ、過去において何べんも失敗していると。したがって、世界の食糧需給に責任を持つアメリカ、カナダ等の穀物の大輸出国がストック量をふやす、それに合わせて輸入国のほうもストックをふやしてほしいというようなことは言っておりました。  以上でございます。
  122. 辻一彦

    ○辻一彦君 三月六日の、これは日経ですが、これを見ると、バーマFAO事務局長は内幸町の日本記者クラブで記者会見をし、五日に、「そのなかで世界的な食糧危機を救うため日本政府に対し米の生産調整を再検討するよう勧告したことを明らかにした。」と、こうありますが、これはかなりはっきり言っていますが、あなたのお話では、感想程度だということですね。ちょっとこれはだいぶ食い違いがありますが、この点はどうですか。
  123. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 記者会見、バーマ事務局長の記者会見に私ども立ち会っておりませんので、彼が何と言ったか、記者会見については承知しておりませんけれども、私どもに言いましたのは、   〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕 ア・リトル・リラクゼーション、少しこうゆるめたらどうかということを感想として述べた。したがって、それを英語で言いますと、リコメンドするとか、そういうようなことばは一切使いませんで、そんな感じがするというようなことを言ったわけでございます。それが、記者会見で勧告になったのかどうか、その辺わかりませんけれども、私どもには勧告というようなことばは使いませんでした。
  124. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃあ次に、ごく簡単に、世界における米の需給の見通しですね、こういうものを、時間の点もありますから、簡単でけっこうですから、長官からどうぞ。
  125. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 世界の米の需給の状況でございますが、昨年、東南アジアは干ばつ等によりまして非常に不作でございました。タイなりビルマヘの輸出余力が非常に減りますと同時に、インドネシア、あるいはバングラデシュ、韓国、フィリピン等の輸入需要がふえてきておりまして、そのために、夏以来、国際需給が非常に逼迫しておりまして、値段も上がってきております。この状況は、おそらくことしの夏から秋にかけましての、新穀の状況がはっきりするまでは続くんではないかというふうに見ておるわけでございます。
  126. 辻一彦

    ○辻一彦君 価格は、大体、昨年一年間で、小麦、米も一年間で倍になったというように聞いていますが、それは事実ですか。
  127. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 米の場合は、昨年の七月、これはタイの精米、トン当たりでございますが、九十五ドル五十セントでございますが、ことしの二月が百七十七ドル六十五セントでございますから、倍まではいっておりませんが、それに近い。それから小麦におきましては、昨年の七月、シカゴの相場でございますが、五十五ドル八十五セント、これが一月が百ドルまでいったわけですが、二月になりまして八十六ドル八十九セントというふうに下がっております。
  128. 辻一彦

    ○辻一彦君 米のほうは、去年一月と十二月をとると、約倍になっている数字もありますね。  そこで、主要米産国の、米の主要な国の米輸出能力は、現在どのぐらいあるか。
  129. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 年によってフレがございますが、大体六百万トンないし七百万トンでございます。
  130. 辻一彦

    ○辻一彦君 それはまあ平年の場合ですね。だけれども、今日においても、ここ一、二年を見ても、その程度の輸出能力があるのですか。かりに日本がある程度輸入しようとした場合に、その対象となる国で、どの程度の輸出能力があるか。
  131. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) かつて日本が買っておりましたのは、タイ、それからアメリカ、それから中国本土、台湾の、そういうところが中心でございました。そういうところにつきましては、大体、現在でも、たとえばタイは年々百万トンから多い年で百七十万トン、それから中国が七十万トン台、それから台湾は最近もう減っております。五万トン程度というようなことでございますが、アメリカが百四十七万トン、多い年は二百万トン近くというようなことになっております。
  132. 辻一彦

    ○辻一彦君 東南アジアにおける輸出能力は、ここ当分あんまり大きくないということは明らかであると思います。  そこで、政府の過剰米というものが、大体処理をされてきて、その見通しがついたと思いますが、ごく簡単に、いつ全量が大体なくなる見通しか、その点、ひとつ簡単に知らしてください。
  133. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、過剰米の処理が順調に進みまして、四十八会計年度で過剰米の処理は終わるという見通しを持っております。四十八年度におきましては、百十九万トンで、その内訳が原材料用に二十万トン、えさ、それが六十四万トンございますが、一部これは主食の徳用上米に充当したいと思います。それから輸出用が三十五万トンということで、なお、六十万トンは、四十九年度以降の原材料用に充当をいたしたいと考えております。
  134. 辻一彦

    ○辻一彦君 大体、過剰米が四十八年度でなくなる。それで六十万トンは、いろんな加工原料に残すということですね。  そこで、大体過剰米が、いろんな経過をたどりましたがなくなった。そうすれば、配給のほうに、あるいはそれを食用に回す可能性ということは、大体、これが処理されればもちろんなくなるということになると思います。  そこで、単年度における、昭和四十八年度における需給の見通し、これも簡単に願いたい。
  135. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 単年度で申し上げますと、四十八米穀年度で申し上げますと、この予算の際につくりました計画では、供給といいますか、これが八百十万トン、それから需要のほうは七百九十万トン当時見込みまして、在庫増勢を二十万トンとしまして、前年度の繰り越しが三十万トンございますので、この十月には、四十七年産米を五十万トン繰り越して処置したい、こういうふうに見ておるわけでございます。
  136. 辻一彦

    ○辻一彦君 食糧庁の出している資料で、四十八年二月末における政府米の買い入れ量は、五百四十万一千トン、こうなっていますね。当初、政府買い入れ予定量の五百八十万トンに比べて、この計算だけでいけば、約四十万トン少ないわけですが、これで四十八年の十月末、米穀年度の末に五十万トンの持ち越しができるのかどうか、その点どうですか。
  137. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 予約限度数量五百八十万トンときめたわけでございますが、予約の実績が約三十万トン近くへこんでおります。それから、いま御指摘のように、二月末の買い入れが五百四十万トンでございます。あとまだ若干減るかと思っております。そういうふうに政府米は減っておりますが、逆に自主流通米、余り米のほうがふえてきておりまして、全体としまして若干減るかと思いますけれども、一方消費のほうがかなり落ちてきておりますので、大体われわれの見通しどおり、五十万トンは古米として、次の米穀年度に持ち越せるというふうに見ております。
  138. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ三月から四月で、数字で見てみると、従来四十五年度で三月が〇・一%、四月が〇・三%、まあ〇・四%ぐらいしか入る米がなかった。四十六年を見ても、三月が〇・一、四月が〇・一%、だから合わせて〇・二%、五百八十万トンの〇・四%といえば、二万三千トン程度、だけれども、これから政府米の買い上げが進んだとしても、従来二年ほどの数字からいえば二、三万トンというところになろうと思われるわけだけれども、こういう点でも大体需給の関係から、消費の状況から推して、年度末に五十万トン持ち越し得ると、こういうふうに言えますか。
  139. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 先ほど申し上げましたように、御指摘のような数字になるかと思います。あるいは最近五年ほどを見ますと、もう少しよけいかかった年もございますが、常識的に見ますと、あるいは二、三万トンかもしれません。しかし、一方自主流通米、あるいはいまの制度では、買い入れ限度数量をこえました米が余り米になっておりますが、それが当初予定しませんものが出てまいっておりますということと、それからこの十月から、去年の十月からことしの三月までの売却の実績を見てみましても、大体多い月で八万トン、一番多い月は十一月でございますが、これが自主流通を含めましても去年より九万六千というようなことで、かなり売却数量が減ってきております。その両者を勘案いたしますと、そういうふうに私はなるというふうに見ております。
  140. 辻一彦

    ○辻一彦君 それじゃ、五十万トンが持ち越し得るとして、かりにそうであったとして、その政府買い上げ米の予定は五百八十万トン、その差ですね、大体三十七万トンか八万トンというものが姿を変えてどこに一体流れていると、こういうふうに考えられるか、この点どうですか。
  141. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 主として余り米のほうに行っておると私は見ております。といいますのは、先ほど申し上げました八百十万トン、非常に四十七年産米が豊作でありましたので、当初出回り量七百九十五万トンと押えておりましたが、それが八百十万トンになりまして、政府の買い入れがいまのような事態になっておりますし、自主流通米も大体計画より若干あるいは落ちるかもしれません。逆に余り米が四十五万トンというふうに出るというふうに見ておるわけでございます。
  142. 辻一彦

    ○辻一彦君 三十八万トンというと約六百万俵ということになりますね。おそらく相当な部分がもちろん、余り米あるいは自由米いろいろな形で動いておると思うのですね。それで私は、こういうような食管なしくずしの運用をしておいて、言うなれば自由米やそういう米が大きく流れるパイプをあけておいて、そうして五千トン、六千トンの、食糧庁がこの間からやっている摘発、その労は非常に評価をしますが、その摘発をやってみても、元栓を大きく開いて、先のどこか細いところを押えているような感じがしますが、こういう食管法のしり抜け運用についてどういうように考えるか。これはひとつ長官と、大臣からもお伺いいたしたい。
  143. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 御承知のように、四十四年から自主流通米制度をとっておりまして、政府管理米と合わせて国民食糧の確保をするということで進んできたわけでございますが、御指摘のように、四十七年産米が若干豊作であったかげんもありましょう、そういうことからいわゆる自由米というのがふえてきております。それがモチのほうの自由米があり、あるいは酒米の掛け米としての自由米があり、それから主食の自由米もかなり出てきておるという現状でございます。しかしこれは決して好ましいことではないと思います。こういうことがだんだん大きくなれば御指摘のような食管なしくずしということになるかと思いますが、私はやはり政府管理米を中心にしまして、それに自主流通米を合わせたもので、大部分の日本の流通をいたします米がまかなえる、こういう方向にいきたいというふうに考えております。  ただ御指摘のいまの持ち米の調査でございますが、これは二月に入りまして自由米価格がかなり上昇してまいり、ちょうどそのとき、大豆あるいは生糸その他商品投機の問題が非常に起こってまいりました。米にこういうことがあっては困るということで、食糧庁といたしましてはずいぶん長い間、こういうことはやったことございませんけれども、倉庫調査に踏み切ったわけでございます。その結果は、大部分は実需者の手には、いわゆる自由米でございますが、それが入っておりまして、投機で買い占めておったというふうにはなかなか見られなかったわけでございますが、やはり万一の場合、そういうことがあってはいけないわけで、そこでそれに対する警告になったのではないかというふうに考えております。
  144. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は食糧庁がやられた摘発、そういうものがいろいろな効果をあげておる、それは大事なことだし、十分な評価ができると思います。ただ水道でいえば、一番大きい、もとをうんと開いて、三十七万トン、六百万俵の米が姿を変えて動くというような形にしておいて、はしのほうを押えてみても、何らこう国民としては、どういうことをやっているのかわからないような私は印象を受けると思うのですが、その点で食管法の運用をこれからどうひとつ基本的に考えていかれるか、大臣いかがですか、その点。
  145. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 私は就任したときに、農林食糧事情全般についていろいろと省内から承りまして、そのときに腹をきめましたのは——それと国際食糧事情も同時によく聞きました。これはへたなことをすると、米の流通に問題があるぞという認識を得ましたので、実は食糧管理制度について研究会で検討をしてもらっておる、それからまた行政面でいろいろ考える点もあるとは十分承知をしておりましたが、また足立農林大臣は食管制度の改正にまで持っていこうという、相当意欲もあったことを承知しておりましたけれども、私はそれはそれとして、運営面で考える点があればあるとして、しかしいまこの場合、食管制度の改正点については取り上げる考えはないということをもう就任早々に言い切っておるのであります。それというのも、いい改正でも、その時を得ないときには、かえっていろいろな悪影響があるという私の政治判断があったからでございます。それと同時に、持ち米の不足ということから問題が起きてまいりましたので、現行の制度を十分活用をして、そして乱れがちの米の流通というものを正しておくほうがいいというようなことで、先ほどお話のような食管法に基づく調査などをいたしたわけでございます。  そこで、間違いのないために申し上げたいのは、一つには需給が非常に緩和されておるということに伴っての食管制度の運用ということで、お話しのような余裕のある者が相当ルーズに流通したということは、これは否定のできないことでございますが、しかし、そういうことをこの際は正しておく必要があるというふうに思うのでございます。  片っ方でじゃ口をあけっぱなしておいて、取り締まるほうはわずかのものをと申されまするけれども、私はそこのところの見当はちょっと違うと思うんです。酒米やもち米の自主流通というものが四十四年以来行なわれてきて、しかも、その場合の実需者の代行というものを認めてきておった。私はそれはそれなりの効果があると思いますし、これからでもこの面の活用はしてもいいと思うんです。ただ、たまたまそこに需給の緩和があるために未検査米に手が出たとか、あるいは非常に需要の高い銘柄米に対して手が出たというようなことでございまして、その点は今回の調査などで姿勢が正されていくと、こう思うんであります。  で、今回の調査の一番ねらいは、流通段階でいわゆるやみ的なものがあるかないか、もしあれば、その点は一方において非常に投機がはやっておることでもございまするから、ここのところは厳正にしたい。しかし、未検査米でも自由米でも、それが実需者のものを、もう行く先のはっきりしているものをことさらにそれを摘発して、不足の上になおこういう調査の関係からさらに不足に拍車をかけることはどうかと、こういうことで、かりに実需者の必要以上のものがあれば、これは不足するほうへできるだけ協力をしてもらおうというようなことで、むしろ今回の調査は従来の多少ゆるんでおった流通姿勢というものを正すということでやったことでございまして、これからもそういう方針のもとで臨んでいきたいと、私としては考えておるような次第です。
  146. 工藤良平

    ○工藤良平君 ちょっといまの点について関連してごく二、三点だけ要点をお聞きしたいと思いますが、まず第一番は、予約限度数量を示しますね。政府に対して予約をいたしました数量を政府が買い上げるいわゆる政府買い上げ米と、それから、自主流通米ということで生産者が一定の、政府から指定をされました集荷業者を通じて販売することができると、こういうことになっておりますね。ですから、その場合に、四十六年、四十七年度と政府の買い入れ目標に達していないようでありますけれども、その点についての措置はどういうようなことになるのか、食糧管理法上からいいますと、措置について。  それからもう一つは、今回の買い占めに対する農林省のいろいろの措置がとられたようでありますけれども、これは、新聞によりますと、食糧管理法第九条に基づいてそういう行為をやったということでありますが、私は、実際の取引上からいいますと、まず問題が出てくるのは、未検査品の取引というのが一つ法的にひっかかるのではないかと思います。  それからもう一つは、指定された集荷業者が未検査品を扱ったということと、それから、もし業者の委託を受けてない者が扱ったとするなら、それはまたもちろん食管法違反となると思いますが、それが一つ。  それからもう一つは、もし委託集荷業者が未検査品を扱ったということになりますと、これは当然食管法に触れてくるわけでありますが、それは施行令の第五条の二項を適用して措置をするのかどうか。その点について食糧庁の見解を。  それから警察庁、もし来ていらっしゃいましたら、法的な取り締まりの見解について、いま私が指摘した点について、簡単でけっこうですから、これは今後の論議の一つの私は尺度にしていきたいと思いますかち、御見解をお聞きをいたしたいと思います。
  147. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 第一番目のお尋ねの予約限度を、食糧庁の——食糧庁といいますか、示しまして、それが政府米、自主流通米になってくるわけでございます。実際の予約申し込みが減ってまいっております。去年の例で申し上げれば約二十九万トン。それで実際に——その原因いろいろあるわけでございます。生産調整が計画よりオーバーしたと、いろいろな問題があるかと思いますが、それからまた、秋になりますとその地域地域の豊凶のフレがあります。そこで、先ほど指摘のように、四十万トン近くいまでは穴があいておるということになるわけでございます。これを、食管法上の措置といいましても、これは措置のしようがございません。したがって、別にそれに対してどうという措置はしておりません。が、先ほども申し上げましたように、そういうふうに穴があき過ぎるということは私はいろいろ問題があるかと思います。四十八年度の生産調整におきましての指示をする際、食糧庁といたしましては、できるだけ予約限度一ぱいに予約するように、そういうことで指示をすでにしておるわけでございます。  それから二番目の、今回の調査との関連で法律との関係でございますが、まず厳密に申し上げますれば、未検査米が農家から出てくるわけでございます。これは農産物検査法違反になるかと思います。しかし、これを追及するといいましても、ことしから急に自由米がふえたというよりも、やはり過去に九十万トン、百万トンのいわゆる未検査米が出回っておったわけで、これを一々農家まで追及はできませんし、また、いたすつもりもございません。ただ、これからの進め方としましては、できるだけそういうことが発生しないようにどういう手があるかということを私は考えるべきだと思っております。  それから、集荷業者が未検査米を扱った場合にどうなるかということでございます。これは、食管法によりましてその結果処罰を受けるというようなことがありますれば、これは取り消すというようなことになるわけでございます。しかし、これにつきましても、やはりやみ米を扱った扱う形態とか、そういうようなことでいろいろ緩和しなきゃいかぬことがあると思います。過去にもこういう例がありましたけれども、実際問題として農林大臣からこの集荷業者の取り消しをいたしたことはございません。むしろ反省をしていただきまして、農協であれば役員の総辞職というようなことで済ましておるというようなことでございますが、今回いろんなことがこれから出てくるかと思いますが、その辺の状況は個々の事例に即しまして判断をいたしたいと考えております。  それから御指摘の、自由米業者が未検査米を扱えばこれは当然食管法九条違反になるわけでございまして、これにつきましても、すでに一部そういう業者について告発をいたしております。この業者、告発した者だけではございません。相当な数があるということも承知しておるわけでございます。やはり基本的には未検査米が発生しないようにしなければ、これはなかなか防ぎ得ないというふうに私は考えておるわけでございます。  以上でございます。
  148. 相川孝

    説明員(相川孝君) お答え申し上げます。  警察といたしましては、食管法の違反取り締まりにつきましては、従来から重要悪質な違反につきましては、これを年間を通じましておおむね百五十件くらい検挙をいたしております。今回の告発を受けました事件につきましては、目下関係県で鋭意捜査を進めておるところでございますが、お尋ねのありました未検査米の農家における取り扱い、あるいは集荷業者あるいは流通過程における取り扱いにつきましては、私ども、いずれも形式的には食管法違反なり農産物検査法違反という形になろうかと思います。しかし、たとえば農家の方が庭先でこれを、未検査米を政府以外の者に売り渡したというような事案があった場合に、私ども今度の告発事件の捜査にあたりましては、流通過程における重要悪質な違反、ここに重点を向けてまいりたいと思っておりますので、形式的にはそういう農家の庭先における取引等は違反でございまするけれども、これが取り扱いについては、捜査並びに事件の過程で慎重な配慮を加えてまいる所存でございます。
  149. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃあ、ちょっと急ぎますが、先の論議に戻して、四十八年の十月三十一日に五十万トンが持ち越されるとしても、その前提条件には農地の壊廃あるいは反収の算定ということがあると思うんですね。そこで、農地の大体四万ヘクタール程度つぶれるという見通しですが、今日の列島改造論のこういう形で土地ブームが進められる、その中で四万ヘクタール程度で済むのかどうか、その見通しを。  第二は、反収四百四十五キロと思いますが、間違ったら訂正してください。日本海側の昨年の主要米産県の作柄を見ると非常に頭打ちをしている。そういう状況が恒常的なものであるか、一時的なものであるか、どういうふうに見ておられるか、時間の点もありますから、簡潔に聞かしていただきたいと思います。
  150. 伊藤俊三

    政府委員(伊藤俊三君) お答え申し上げます。  水田の壊廃でございますが、私ども、たとえば先生御指摘のように、四十八年度の生産調整にあたりましては、四万ヘクタールの壊廃を見ておるわけでございます。過去の実績でございますが、最近の水田の壊廃実績でございますが、四十五、六、七、いずれも三万ヘクタール台でございます。四十七年が三方四千という数字が出ております。四十六年が三万六千、四十五年が三万六千、こういうことで、私ども若干余裕を見ておるということでございます。列島改造というようなお話もございましたが、農地はそれほどいためられておらないのではないかというような感じも私どもは持っておるわけでございます。  それからもう一つ、四十七年の平均反収のことで、日本海側の諸県でこの平均に達しないような、平均反収の四百五十六キロに達しないところがあるんじゃないか、これは恒常的なものではないかというような御指摘でございますが、確かに四十七年産の水稲につきましては、秋田、山形、新潟、富山、石川の五県が平年値を下回る収量でございます。四十七年の収量が平年個を下回っております。この原因は、いろいろ試験研究の方々が昨年の十二月に集まりまして大議論をしたわけでございます。そのときの結論でございますが、本田移植後の低温により活着がおくれたというのが一つ。七月中下旬の低温及びフェーン現象により穂数及びもみ数が減少した。それからさらに、登熟期における低温、日照不足により登熟不良になったこと等が考えられます。それからもう一つは、さらに最近における良質米への嗜好、ササニシキとかコシヒカリというような良質米がございますが、そういったものの嗜好がございまして、特定品種に集中した。こういう、先ほど申し上げたような気象条件のもとで被害の分散回避ができにくかったということがあるようでございます。それからもう一つ、こういったものが倒れやすいようなことがございます。最近、収穫が機械化されてきておりますので、倒伏を非常にいやがるというようなことで、施肥量を手控えたというようなことがあったようであります。こういうようなことが北陸の各県での収量が伸びなかったということの大きな原因ではないか。それから、もちろん労力不足の問題。それからさらには有機質肥料の投下というものが最近は少しやらなくなってきたようなこともあると思いますが、そういうようなことが重なっての原因であるというように私どもは考えております。そういうことで、私どもとしましては、四十八年の春夏作の技術指導というようなことにつきまして先ごろ通達を出しまして、遺憾のないようにいたしたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  151. 辻一彦

    ○辻一彦君 時間の点があって詳しくは入れませんが、局長の言うように、やはり社会経済的な要因、減反、低米価、出かせぎ、それに伴う一連の問題がありますし、生産意欲が落ちる。それから技術の面では、これは品種から肥料、水——落水の時期、機械化の問題、いろいろあると思います。そういうものは、これは去年と今年と比べてすぐに変わる条件ではないと私は思う。そうすれば、かなり省力化栽培という方向における構造的な要因、しかも、銘柄米という良質米を目ざすと機械化との間がなかなかうまくいかないというこういう問題は、来年通達で変わるような問題では私はないと思う。ただ、その中で気象条件について、いわゆる銘柄品種の分散ということを考えておるようですね。そうしますと、いろんな点からいって、なかなか気象条件の変化に十分対応できるような体系としてはまだ足りない面もある。それをいま通達で補なっておられると思うのです。結論的にその気象条件が非常に去年の場合には大きかったと、こういうことですが、そこで気象庁から見えておりますが、今年の最近における異常天候、こういうものについてのごく簡単な見通しと、前半暖冬期における予報、この点について要点だけちょっと報告してください。
  152. 和田英夫

    説明員(和田英夫君) お答えします。  まず初めに、この夏の天候の予報ですけれども、先生御承知のように、長期予報というものは非常にむずかしいのでして、世界で一カ月以上の長期予報をしているのは日本だけでございます。この予報によりますと、どうもこの夏の天候は順調とは考えられない。きわめて変動が大きいのではないかという予想です。ポイントは、六月の後半から七月にかけまして、北日本中心にどうも低温がときどき入りそうだ。八月は一応暑くなりますけれども、秋が早い。稲作では早冷といいますけれども、そういう予報になっております。ですから、ちょっと昨年よりは少し悪いというような感じを持っております。  それから二番目の世界の気候でございますが、詳しいことはわかりませんが、大体二十年ぐらい前から世界の気温というものは下降傾向になっております。  特に昭和三十八年ごろから、ソ連を中心にいたしまして気温が非常に下がっております。その傾向が昭和四十五年ごろから変わりまして、寒冷化の傾向が今度はカナダのほうに移っております。そういった高緯度、北のほうでは北極を中心に寒冷化が進んでおりまして、ソ連の気温は約百年ぐらい前——ですから、学問的にいいますと小氷河期というのは一五五〇年から一九〇〇年までですけれども、そのころの気温に戻っております。それから、これに伴いまして、この南の国のほう、緯度の低いほうでは気温はあまり変わらないんです。ところが、雨が少なくなりまして、干ばつが非常に起こりやすくなっております。その傾向が非常に顕著にあらわれたのが去年ということになっております。それから、この冬の世界の天候を見ますというと、カナダでは、この冬三カ月平均しまして、平年に比べて六度低くなっております。しかし、その他の地方では大体平年並みで、去年の冬とちょっと似ておりますけれども、去年の冬よりは比較的よい天候であったというふうに思います。  以上でございます。
  153. 辻一彦

    ○辻一彦君 局長に伺いますが、そういう天候の異常性というものを考慮されて出された通達がきのう出ておりますね。その中を拾い読みすると、いま言われた異常気象の場合にも銘柄品種を分散化すると、こういう中身がありますね。そこで、北陸筋はすでに種もみをまいている段階で、銘柄品種を分散化するといっても、実際的には間に合わない状況にあると思いますが、その点、一体どう考えておられるのか、その点どうですか。
  154. 伊藤俊三

    政府委員(伊藤俊三君) 間に合うと、こういうふうに考えております。
  155. 辻一彦

    ○辻一彦君 私らのほうでは畑苗しろなんかによって非常にかなり早く種もみをまいておりますね。しかも、種もみが、いま言っていますぐ用意ができるものではない。かなり前から準備をしなければならない。そういう点を考えてちょっと簡単に私は間に合わないと思います。その点どうですか。
  156. 伊藤俊三

    政府委員(伊藤俊三君) 御指摘のように、一部のところではあるいは間に合わないようなところもあろうかと思いますが、西のほうで間に合うところもございます。またササニシキなどは若干減っておるようなことでもございますし、全国的な見方をすれば間に合っているというように私どもは考えております。
  157. 辻一彦

    ○辻一彦君 気象庁の長期予報は、北日本のほうに早場米にあぶないというわけですね。その早場米も種もみをまいている。そこのほうに通達をして、西のほうを言ってみてもちょっとこれは私は問題が違うと思います。しかし、その問題は別として、異常気象に対する、まあ、低温に対してこういう手を急いで農林省は打っているその努力はそれで大でしょう。しかし、その気象の変化に対応できる稲作技術体系というものがまだ十分やはりわが国では確立をしていない。そうなると、異常気象というものが予報される場合には、かなり作況、作柄に対して余裕度を見る必要があるだろうと、私はこう思うわけなんですね。そこで大臣にお伺いしたいのですが、世界の食糧扇情がそう一、二年ですぐに好転するようにもなかなか思われない。主要な米産国の輸出能力も、先ほどのとおりに、そう多くはアジアにおいてない。国内では過剰米がほとんどなくなる。そして各国は、主要国はいま備蓄制度を考えてくれと、こういう要請がある。こういう中でわが国が一カ月五十万程度の米を持ってですね、まあ四十八米穀年度、来年の十月になればいわゆる七十五万トンになるんでしょうが、五十万トン、少なくも大臣、参議院の本会議の答弁のように二カ月百万トンから比べますと、かなりの開きがありますが、不安定要素を考えたときに、一日も早く二カ月分百万トンを早急に在庫を目ざすべきではないかと、こういうように思いますが、この点、どうですか。
  158. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 御所見はよくわかります。ただ、四十六年以来の生産調整をずっといたしておるこの段階におきまして、基調はどうかと、こういうことを考えますると、もう生産調整はよろしいというようなことで臨めばまた過去のような失敗を繰り返すおそれがございまするので、ちょうどことしで休耕奨励金は打ち切って、そのために転作奨励を大いにやろう、それも不足する飼料関係に重点を置こうというような施策もとっておる際でございまするので、そこで私は繰り返し申し上げておりますように、生産調整はそういうことでできたと、しかし、当初一律減反政策をとらざるを得なかったのを、ことしあたりの生産調整では、適地適作の考えを入れて生産目標を指導しておると思うのでございまするが、しかし他面、これからの農政のあり方として適地適作の必要を言い、また、能率のいい農業をやろうと、こういうことでありまするから、そのほうも考えながら、ことしの生産調整についてはもう一つ実情に沿うようにしていきたい。そういう実情に沿うようにすれば、一方においてはもう少しふやす地域も出るし、あるいは一方におきましてこれは無理だという地域も出るであろうと、こういうことで弾力的に考えていこう、運用の妙を発揮したいということで、いまここで計画を変えることは考えないが、いま言うようなことでことしの米作に臨みたいということを申し上げておるわけでございます。
  159. 辻一彦

    ○辻一彦君 参議院の本会議、三月二日に農林大臣、通産大臣がともにまあ備蓄問題に触れられた、先ほど申し上げたとおりであります。それから三月の十九日に、私たちの申し入れに対して二階堂官房長官も米の備蓄制度を早急に考えたい、こういうことを発言をされている。こういう状況の中で米についての備蓄というものを五十万程度で備蓄と考えておられるのか、それは一体どういう内容なのか、その点、いかがですか。
  160. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) たいへん失礼しました。備蓄のことを申し落としました。備蓄につきましては、ただいま申し上げたように、ことしの計画は変えずにいこう。そうしますと十月末五十万トン、そして来年の十月末に二十五万トンプラスアルファいたしまするから七十五万トン。したがって、われわれのいまの考えは、七十五万トンまではすでに明白になっておるわけでございます。ただしかし、これもしばしば申し上げましたが、ことしの作柄も悪く、各地の状況がいろいろ問題があればこの次の生産調整について勘案ができるということを申し上げ、また、その生産調整をどうするかということを具体的に検討してない機会に申し上げるのは少し軽率のそしりはございますが、明後年にはもう二十五万トンプラスアルファしての百万トンに持っていきたい、こういうことを申し上げております。で、この場合に、社会党の皆さんとの会見のおりに、もっと備蓄するほうがいい、もみでやったらどうかというようなお話が出ましたので、そのおりに、そういうようなことについてはよく検討してみましょうと、こう申し上げたのでございまするが、いま百万トンと申しておりまするのは、これも予算委員会で申し上げましたが、一方に消費者のことを考えまするときに、新米がもう出ておるのに何カ月も古米を配給することは少しむずかしいんではないか。そういう点からいくと、まず二カ月分の百万トンの古米程度が適当に考えておる、こういうことでございます。
  161. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、備蓄米の量についての論議はまた別の機会にして、国際的に食糧が、主要な生産国では、たとえばまあアメリカ、カナダ、豪州は生産調整をゆるめて食糧をふやしていく方向に乗り出している。アジアにおいて米が場合によるとあまり多くない、買い入れられないことも考えられる。そういう中でわが国だけがぎりぎり——単年度でいえば二十五方トンの余裕を残してぎりぎりの生産をやっている。そういう中で、足りなければ新米を食いつなぐという考えのようでありますが、国際的な権威からのそういう要請というものに対して今後こたえる考えはないのかどうか。その点、どうです。
  162. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 現在国際的な米価の価格差というものは管理費などをどけてもトン十万円ぐらいになると思うんですね。そういうことと、それから、先ほどから、これからのいろいろな事情を勘案して、ことしの生産調整は別として、次の段階でもし考えることがあればということを言っておりますのは、先生も気象状況まで心配していろいろ御検討願っておるわけでございまするが、本来言うと、東南アジアの諸国が、天候が順調でありますれば、御指摘するまでもなく米の主産国だと思うんですね。いま日本が先走ってどんどんどんどん積極的にまた米もつくり海外の要請にもこたえるんだということもなかなか言いにくい点があるわけであります。ただでさえタイは日本に対してきびしい批判があるおりでございまするから、そういうような諸般の情勢を頭に置いて私としては微妙な発言をしながらきておるということを御理解をいただきたいんであります。ことしあたり天候がなお異変である。しかも、さらに専門家が見ればもうここ三、四年はこの状況だというようなことで、幸い日本は気象条件に恵まれておるとか順調であるとかいうようなときにはまたおのずから考えも違うだろうと思いまするが、いまのこの段階で米の生産調整その他について言い得るのは、私も非常に考えながらきておるのでございまして、まあ、大体この辺で御了承いただきたいと思います。
  163. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、よく気持ちはわかりますが、三月六日衆議院の農水、三月十先日の記者会見、また本日の御発言において、米の生産調整については弾力的に、あるいは農家のかなり自主的な判断にまかすとか、非常に微妙な御発言があったわけなんですね。そこで、ちょっともう一歩聞きたいんでありますが、それは都道府県の知事の考えによってまかして、米の産地ではある程度休耕を解いてもいいと、あるいは米をつくってもいいということなのか、どういうことなんですか。
  164. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 私どもの持っておる適地、適作、あるいは能率よく各作目の農業をやろうということについては、農林省の行政指導を受けて一番適切な措置をやり得るものは都道府県知事であると私は思います。したがいまして、農林省としても各県の担当の部課長を招集してことしの生産目標についても支持なり協力をちょうだいするようにやっておるのでございまするから、したがって、私の言っておるようなことから、各県のほうから、それがおっしゃるように、知事さんから、こういうふうに自分のほうはしたいんだというようなときに、それを全国的に勘案していく場合妥当なお答えができると思うんであります。
  165. 辻一彦

    ○辻一彦君 もう一つ伺いますが、そういう場合に、すでに私らの県では割り当てが大体進んでいますね。しかし、こういう大臣答弁のような内容から、もう少し米をお米の産地でつくりたいというようなことで、県等がそういう要請をしたときには、かなり柔軟な、それをかなり認めるような方向での行政指導をされるのかどうか、その点、どうなのか。
  166. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) それはもう先ほどから申し上げておることで尽きておると思うのであります。御意見が出て、農林省のほうで、これは能率よくやるために至当であるということであれば、それはそれなりのお答えを申し上げるということで御了承いただきたいと思います。
  167. 辻一彦

    ○辻一彦君 わかりました。それじゃその場合、今日政府がきめている、示した予約限度数量というものがありますが、それを越えて生産された米についてはどういうように取り扱われる考えか、その点、どうですか。
  168. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 極端な場合と申しましょうか、いまの規則どおりで申し上げますると、余り米が出るとこういうことになると思います。余り米については、自主流通米と同じようにこれをその経路に乗せて販売をするということで、かつて倉石農相と生産者代表との間でお話し合いができておると思います。
  169. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、これで終わります。私もう一つ水産問題についてお尋ねしたいことがあったんですが、時間の点もありましたから、別の機会に譲りたいと思います。
  170. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 さっきおいでになる前に政務次官にお願いをしておいたんですが、いまここへ参りまして話を聞いておりますと、例の古々米の問題、大小麦を飼料に落とす問題等、なかなか手間が要るような印象を受けたのです。もう御承知のように、四月にならなければ、各組合との関係もたいへん困難な状況になって、組合も上げなければならぬというようなことにもなりまするし、どうしても早いこと解決しないと不測の事態が起こらないとも限りませんので、これをやはり法律を出していくほうがいいというような人もありまするし、参議院のほうだけの話でございますが、議員立法なんかでこれを出していくことがこれを早めていく一つの要素になるのではないかという意見もございますが、その点についてどのようにお考えになりますか。
  171. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 堀本委員のおっしゃるとおりに、私としては早急に結論を得たいと、こういうことで努力をしておるわけでございますが、実はきょう朝からずっと本会議、委員会でからだとられておって、ちょっと情勢がわからないんです。ところが、同僚諸君のほうから私に、心配をしてちょっと情報があったもんで、それで私がここで軽率なお答えをしてもいけないと、それも確実なようにとれる情報であったもんで、きょうのお答えが少し鈍っておるわけでございますが、私としては、堀本委員の御指摘のとおりにこれは早急に解決しなけりゃならない、こういうことでせっかく事務当局も、また、それぞれ筋もございまするのでお願いをしておるということで、ただいまの御心配のようなことにならぬように私として全力を尽くしたいと思います。
  172. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 よくわかりました。ともあれ、われわれももう少し十分にその状況をお聞かせを願い、かつ、どうしても前へ進まない、役所と役所との間で話がつかないということでございまするならば、すでにそれぞれの機関は決定をいたしておるので、この決定いたしておりますることが、政府間の協調がとれないということのために実行に移しがたいというのでありますれば、われわれも今後協議をいたしまして善処をいたしてまいりたい、こう思っておる。ただ、このことだけは決意があるということを申し添えておきたいと思います。  もう一つ伺いたいと思いますが、調整の問題が今日の農林水産委員会で与野党ともに発言がございました。これは重大なことでございますが、私は考えますのに、先ほども申したのでございますが、日本の耕地は全土の一七%程度しかございません。したがいまして、その中でたんぼを休ましている。これは耕地といたしましては米のできる土地が一番高級な土地でございます。その高級な土地を金を出して休ますという制度をいつまでも続けていくことは、ばかげたことだと思うのであります。何となれば、生きものを飼うておる飼料、えさは、家畜は一時間、十分といえども食べずにおるわけにはいきません、これは命の綱でございますから。それが、もう外国で育っておるのと同じで、半分以上は外国で育っておるわけで、それを日本のこの狭い一七%の耕地のうちで休ましておるということが私は何としても惜しいことだと思う。もう少し知恵を働かして、そして飼料作物をつくってもらって、その飼料作物を農協が買い入れるようにしたがいいと思う。農協が買い入れる形をとる。そうでないと、私は幾らつくりました、大麦を幾らつくりました、あるいはこういう干草を幾らつくりましたと言いましても、これを実証するいろいろな道具がございません。したがいまして、一応千葉あたりでも飼料作物を、いわゆる飼料の草でございますが、草というよりも飼料でございますが、それを八回ぐらい刈っております、八回ぐらい。そしてそれを干草にいたしておるのであります。  したがいまして、今度大臣がお出しになりました白書の中にも、土地に力を与える、と書いてございます。いわゆる堆肥を持っていくのか、何をするのか、輪作をするのかよくわかりませんが、地力を尽くして食豊かなりと言いますが、地力ができてこそ初めて食が豊かになる。地力がなければ食物を育てるわけにはまいりません。その地力を、略奪農法をやる、化学肥料をやって略奪農法が続いてまいりましたので、たいへん日本の作物に重大な影響を及ぼしておりますることは御承知のとおりであります。これを早刈りなり、何なりして、それを三年輪作をいたしまして、たんぼの中へすき込んでやる、いわゆるたんぼの中へ返してやるというようなことが行なわれまするならば、地力は私はあまり減退しないでいくのではないか、こう思うのであります。したがいまして、余っておる、いわゆる遊ばしておる土地に金を出すということでなくて、若干の問題はありましょうが、家畜を持っておる人たちは休耕をしないで、いわゆる飼料をつくって、そしてそれに補助金をいただいて、休耕以上の金をいただいて飼料をつくるという制度が何か考えられないものであろうか、こう思うんですがね。これはっけ焼き刃の話のように聞こえるかもしれませんが、どうかひとつ飼料がこれだけ困難になっている、そして生きもの、生命を持っておるものを外国に依存をするような——依存しなければならぬと思いますが、それを幾らかでも自給をする形に持っていきますることが私は大切なことである。そしてその飼料をつくった水田を再び土を起こしまするときに牧草の根っこを土壌の中にすき込みますることがいわゆる土地を肥やすことである、そうなることによって食が豊かになるというような考え方で飼料生産に一くふうしていただきまするようお願いを申し上げておきます。これはもう御答弁は要りません。
  173. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) はい。
  174. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  175. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 次に、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件、以上二案を一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。櫻内農林大臣
  176. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法は、北海道における寒冷がはなはだしい特定の畑作地域を寒冷地畑作振興地域として指定し、また、南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法は、南九州における夏期における降雨量がきわめて多く、かつ、特殊な火山噴出物でおおわれている特定の畑作地域を南九州畑作振興地域として指定して、それぞれ、これらの地域内の農業者で営農改善計画を立て、これに基づいてその営農の改善をはかろうとする者に対し、農林漁業金融公庫が必要な資金を貸し付けることにより、当該農業者の経営の安定をはかることを目的とするものであります。北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法につきましては、昭和三十四年に法律が制定されて以来三回にわたる改正を経て、南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法につきましては、昭和四十三年に制定されて、それぞれ今日に至っております。  これら二法に基づき農業者が資金の貸し付けを受けようとするときは、所要の資格認定を受けることとされておりますが、その申請の期限は、現行の規定によれば、両法とも昭和四十八年三月三十一日となっているのであります。  しかしながら、最近における貸し付け資格の認定状況を見ますと、一般的農業情勢の変化のほか、たび重なる災害等により、認定農家戸数は予定の五〇%程度にとどまっております。一方、北海道及び南九州における畑作農業経営の不安定性あるいは低収益性は、いまなお営農の改善を必要としており、今後とも、この資金の借り受けを希望する農家が多数残っているのであります。  したがいまして、これらの制度と並んで実施されてまいりました土地基盤整備事業の一そうの推進等関連諸施策の充実と相まって、これらの制度による営農改善資金の貸し付け資格の認定申請期限をさらに五カ年間延長して昭和五十三年三月三十一日とし、もって、北海道寒冷地畑作地帯及び南九州畑作地帯農業の振興をはかってまいることとした次第であります。  以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び主要な内容について御説明申し上げます。  わが国の水産業が、動物性たん白質食糧の供給部門として国民生活において重要な役割りを果たしていることにかんがみ、その積極的な振興をはかることが必要であります。このためには、まず水産業の基盤である漁港について、漁業の動向に即応して、全国にわたり計画的に整備拡充することが漁業政策上重要な課題となっております。この趣旨から政府は、漁港法に基づきまして、漁港整備計画を定め、国会の承認を受けて漁港施設整備をはかってまいったのであります。  現行の漁港整備計画は、昭和四十四年第六十一回国会において承認を受けたものでありまして、当時の漁業情勢を基礎とし、これに将来の漁業の動向を勘案して定められたものでありますが、最近における漁業情勢その他経済事情の著しい変化に伴い、このたびこの計画を実情に即するよう全面的に変更することとし、国会の承認を求めることとした次第であります。  次に、本件の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  今回の漁港整備計画は、漁業と漁港施設の現状とを基礎とし、将来における漁業生産の確保と漁船勢力の増強、流通機構の改善、漁港の安全性の確保、地域社会の基盤強化の観点に立ち、遠洋漁業の根拠地として重要な漁港、沖合い漁業の根拠地として重要な漁港、沿岸及び増養殖漁業の振興上重要な漁港並びに漁場の開発または漁船の避難上特に必要な漁港について、それぞれその整備をはかることとしております。  整備漁港の選定にあたりましては、指定漁港のうち漁業振興上重要であり、かつ、漁港施設の不足度の高いもの及び経済効果の多いもので緊急整備の必要があるものを採択することとし、昭和四十八年度以降五年間に、四百二十港の漁港についてそれぞれの漁港に適応した外郭施設、係留施設、水域施設、輸送施設及び漁港施設用地等を整備することとしております。  なお、以上申し上げました漁港整備計画につきましては、漁港法に基づき、漁港審議会の意見を徴し、妥当であるとの趣旨の答申を得ております。  以上が、本件を提案する理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
  177. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の補足説明を聴取いたします。荒勝水産庁長官
  178. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  まず、現行の漁港整備計画実施状況から申し上げますと、その総事業費千五百億円のうち実施済みの事業費は約千百六十三億円で、その進捗率は約七八%となっております。  次に、今回承認をお願いいたしております変更漁港整備計画に基づきまして整備をしようとしております漁港四百二十港の種類別内訳を申し上げますと、第一種漁港が百十一港、第二種漁港が百五十三港、第三種漁港が八十二港、特定第三種漁港が十二港、第四種漁港が六十二港となっております。これらの漁港を昭和四十八年度以降五年間に総事業費四千八百億円をもって整備することといたしている次第であります。  また、現行の漁港整備計画に定められております整備漁港と今回の変更漁港整備計画に定められております整備漁港との関連を申し上げますと、現行の漁港整備計画から引き続き変更漁港整備計画に取り入れようとするものは、二百五十五港でありまして、今回の変更漁港整備計画におきまして新規に採択しようとするものは、百六十五港となっております。  なお、現行の漁港整備計画整備漁港のうち今回の変更漁港整備計画整備漁港とされていないものが百十五港ありますが、このうち現在すでに整備が完了している九港を除いた百六港につきましては、別途漁港改修事業または漁港局部改良事業により整備することといたしております。  また、今回の漁港整備計画の変更に際して新たに加えるよう要望のあったもののうち、この漁港整備計画に採択されなかったものについても、必要に応じ、漁港改修事業または漁港局部改良事業により整備することといたしております。  以上をもちまして漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の提案理由の補足説明を終わります。
  179. 亀井善彰

    委員長亀井善彰君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  二案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会      —————・—————