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1973-02-23 第71回国会 参議院 農林水産委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十八年二月二十三日(金曜日) 午前十時十一分開会
—————————————
委員
の異動 二月二十二日
辞任
補欠選任
辻
一彦
君
杉山善太郎
君 二月二十三日
辞任
補欠選任
杉山善太郎
君 辻
一彦
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
亀井
善彰
君 理 事 園田
清充
君 初
村瀧一郎
君 工藤 良平君 中村
波男
君 委 員 河口 陽一君 小林 国司君 佐藤 隆君
田口長治郎
君
高橋雄
之助君 棚辺 四郎君 鍋島 直紹君 温水
三郎
君 平泉 渉君 堀本 宜実君 杉原 一雄君 辻
一彦
君 村田 秀三君
吉田忠三郎
君 塩出
啓典
君 向井 長年君 塚田 大願君
国務大臣
農 林 大 臣
櫻内
義雄
君
政府委員
農林政務次官
鈴木
省吾
君
農林大臣官房長
三善 信二君
農林大臣官房技
術審議官
遠藤 寛二君
農林大臣官房予
算課長
渡邊 文雄君
農林省農林経済
局長
内村 良英君
農林省農蚕園芸
局長
伊藤 俊三君
農林省畜産局長
大河原太一郎
君
農林省食品流通
局長
池田 正範君
農林水産技術会
議事務局長
中澤
三郎
君
食糧庁長官
中野
和仁
君
林野庁長官
福田 省一君
水産庁長官
荒勝
巖君
海上保安庁次長
紅村 武君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
説明員
運輸大臣官房安
全
公害課長
勝目久二郎
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
農林水産政策
に関する
調査
(
昭和
四十八年度
農林省関係
の
施策
及び
予算
に 関する件) (
大豆対策等
当面の
農林水産行政
に関する件)
—————————————
亀井善彰
1
○
委員長
(
亀井善彰
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
昭和
四十八年度
農林省関係
の
施策
及び
予算
に関する件を議題といたします。 まず、
農林大臣
の
所信
を聴取いたします。
櫻内農林大臣
。
櫻内義雄
2
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 私は、昨年十二月に
農林大臣
に就任いたしましたが、
農林水産業
及びこれをめぐる
内外
の諸
情勢
がまことにきびしい時期でもあり、その職責のきわめて重大であることを痛感している次第であります。全力をあげてこの重責を果たしてまいる
所存
でございますので、
委員各位
の御理解と御
協力
を切にお願い申し上げます。 最近の
わが国経済社会
は、これを取り巻く
国際経済動向
の
変化
や、
公害
、
過密過疎
、異常な
地価
の
高騰等
、解決をはからなければならない多くの困難な問題をかかえております。 また、
わが国農業
は、国内的には、米の
生産調整
、
農業所得
の伸び悩み、
農業就業者
の
中高年齢化
、無秩序な
開発
による
国土資源利用
の競合の
激化等
の問題、対外的には、
経済
の
国際化
に伴う
農産物輸入
の
拡大
の
要請
の高まりや昨年年央からの国際的な
穀物需給
の逼迫など、
内外とも
にきわめてきびしい
情勢
のもとにあります。
農政
がこのような
情勢
に対処して、
農業
と
農村
の健全な
発展
をはかっていくためには、
農政
の総合的、計画的な
展開
をはかっていくことが基本的に重要であると
考え
ております。
農業
は、一億
国民
の必要とする
食料
を安定的に
供給
するという重要な
使命
と
役割り
を果たしており、また、
農業
が営まれている
農村
は、
国土
の大部分を占め、
国民
の約半数が住んでいる
地域
であって、そこでは緑と
国土
を
保全
しつつ農民を
中心
として健全な
地域社会
を
形成
しております。
わが国農政
を
推進
するに当たっては、まずもってこのような
農業
と
農村
が持っている重要な
使命
と
役割り
を前提に置きつつ、
わが国
土の多様な
自然条件
に恵まれている特徴を十分生かし、
適地
に
農業者
の創意に満ちた高
能率
の
農業
を
育成
するとともに、
農業者
の
生産
と
生活
の場である
農村地域
を
人間性
にあふれた豊かで近代的な高
福祉
の
地域社会
として
建設
していくことが重要であります。 このような
農政
の
推進
こそ、現内閣に課せられている「豊かな
人間社会
の
形成
」と「
国土
の総合的な
開発
」という
課題
を達成する上で重要な
役割り
を果たすものと確信しております。 まず、高
能率農業
の
育成
について申し上げます。 高
能率農業
を
展開
するためには、まず、
農業生産基盤
の
整備
が基本的に重要であります。このため、「
農産物需給
の展望と
生産目標
」に即して新たに今後十カ年にわたる
土地改良長期計画
を策定し、
圃場整備
、
農道網整備
、
畑地かんがい
、
草地造成等農業基盤整備
を計画的、効率的に
推進
してまいる
所存
であります。 また、高
能率
の
生産体制
を
整備
するため、
農業団地
の
形成
、
農業構造改善事業
をはじめとする一連の
生産
、
構造改革
のための
施策
を一そう
拡充強化
してまいる
所存
であります。特に、近代的な
機械
、
施設
の
導入
と
各種
の
生産
の
組織化等
を進める
農業団地育成対策
の
強化
、
農作業
の
受委託等
による
集団的生産組織
の
育成
をはかるほか、
農地保有合理化事業
の
拡充強化等
により
農地流動化
の
促進
を強力に
推進
してまいりたいと存じます。 なお、最近における
地価
の異常な
高騰等
により
農地等
の
権利移動
を通ずる
農業経営規模
の
拡大
が進んでいない
状況
にかんがみ、
農地制度
につきましては、
経営規模
の
拡大
に資するよう
農地
の
流動化
及び
集団的生産組織
の
育成
に必要な
改善
につき、引き続き
検討
を進める
考え
であります。 次に、
農業生産
の再
編成
について申し上げます。
農業生産
の再
編成
を進めるに当たりましては、
米作
の
過剰基調
に変わりはないと
考え
られますので、引き続き米の
生産調整
を計画的に進めるとともに、
需要
の増大する
畜産
、
野菜
、
果樹等
の
作目
への
転換
に主眼を置きつつ、
稲作転換対策
を総合的に
推進
していく必要があると
考え
ております。その際、
稲作
につきましては、
需要
の
動向
を勘案しつつ、
適地
における良質の米の
生産
を
中心
として、その
生産性
を
向上
させ、
稲作経営
の
合理化
にも資してまいりたいと存じます。 なお、
食糧管理制度
につきましては、現在の
制度
が
生産者
の
所得
の
確保
と
国民消費生活
の
安定等
に大きな
役割り
を果していることにかんがみ、これを維持するという
基本方針
のもとに、その
制度
・
運営
の
改善
について、引き続き
検討
を進めてまいる
考え
であります。 また、
畜産
、
野菜
、
果樹
、養蚕、
畑作物等需要
の増大する
農産物
につきましては、
生産
、
流通
、
加工等
の
各般
にわたる
施策
を一段と
拡充強化
する
考え
であります。特に、
畑作物
につきましては、北海道その他の
重要畑作地帯
において、
輪作体系
の確立、
畑地基盤
の
総合整備事業
の
拡充等
によってその
生産
の
振興
をはかるとともに、主要な
畑作物等
について
共済制度
の
試験的実施
の
準備
を進めたいと存じます。
畜産
につきましては、その
生産対策
を一そう
強化
し、
近代的経営
の
育成
、
飼料基盤
の
整備
を行なうとともに、近年問題になっている
畜産経営
をめぐる環境問題に対処し、その
総合的整備
をはかるほか、
畜産基地
の
建設等
、主
産地形成
のための
施策
を
推進
してまいる
考え
であります。 次に、高
福祉農村
の
建設
について申し上げます。 御承知のように、
産業
と
人口
の
地方分散
を進め、
わが国
土の均衡ある
発展
をはかることをねらいとする
国土総合開発
の
構想
が明らかにされつつあります。この場合、
産業
と
人口
の
分散
の
対象地域
は、主として
農村地域
であり、そこで営まれている
農業
と
農村住民
の
生活
に大きな
影響
を及ぼすことになるのであります。また、従来から
農村地域
の
生活環境
は、
都市
に比べて立ちおくれておりますが、今後の
地域開発
に当たっては、
都市
と均衡がとれるように
農村
が
開発
され、
整備
されることが基本的に重要であると
考え
ます。 このような
観点
から、
農村地域
の
生活環境
の
整備
を強力に
推進
することとし、従来の
施策
の
拡充強化
をはかるとともに、四十八年度から新たに
農業生産基盤
と
農村環境
の
整備
を総合的かつ計画的に
推進
する
農村総合整備モデル事業
を
実施
してまいりたいと
考え
ております。 さらにこれにあわせて、
農家所得
の
確保
と
農業構造
の
改善
を進めるため、
農村地域
への
工業
の
導入
を計画的に
推進
するほか、
農業者年金制度
を通じて
農業者
の老後の
生活
の安定と
福祉
の
向上
をはかるようつとめる
所存
であります。 さらに、
農産物
の
価格流通対策
につきましては、これが、
消費者
の
生活
安定と
生産者
の
所得確保
にとって大きな
影響
を与えることにかんがみ、
需要
の
動向
に即した
生産性
の高い
農業
の
展開
と相まって、
価格対策
、
流通
・
加工対策
、
消費者対策
の一そうの
拡充強化
をはかることが、肝要であると
考え
ております。 このため特に、
野菜
、
加工原料用果実等
について、その
価格安定対策
を
拡充強化
するとともに、
中央
、
地方
を通ずる
卸売り市場
の
計画的整備
、
総合食料品小売センター
の
増設等
によりまして
生鮮食料品
の
流通
の
合理化
、
近代化
を
推進
いたします。また、
流通経路
の
多様化
をはかるため、
生鮮食料品集配センター
の
設置
、
野菜
の大
規模
新
流通方式
の
開発等
を
推進
する
考え
であります。さらに、これにあわせて
消費者保護対策
、
食品産業
の
振興
の充実にも力を注いでまいる
所存
であります。
農林金融
につきましては、その
整備拡充
を一そうはかることとしております。 まず、
系統金融
につきましては、
農協系統資金
を積極的に活用することとし、
農業近代化資金
の
融資内容
を
改善
するとともに、
農業信用保証保険制度
を
拡充強化
するほか、
農水産業協同組合
の
貯金者
の
保護
をはかるため、
貯金保険制度
を創設することとしております。 また、
農林漁業金融公庫資金
につきましては、金利の引き下げ、
融資率
の
引き上げ等
その
融資条件
を
改善
することといたしております。 さらに、本年十月に
存立期間
の満了する農林
中央
金庫につきましては、
農林漁業協同組合系統
の
中央金融機関
として、その
役割り
が今後も一そう重要であると
考え
られますので、その
機能
を継続させるとともに、
業務範囲
の
拡充等
をはかる
所存
であります。 次に、
林業
について申し上げます。
わが国
の
森林
・
林業
をめぐる最近の
情勢
は、
国土
の
保全
、
水資源
の涵養、
自然環境
の
保全等森林
の
公益的機能
に対する
国民的要請
が一そう高まっている一方、昨年末における
木材価格
の上昇が著しかったこともあり、
木材
の持続的安定的な
供給
をはかることが大きな
課題
となってきております。 このような
情勢
に対処して、
森林
・
林業政策
は、
森林
の
公益的機能
と
木材供給等
の
経済的機能
を総合的かつ最高度に発揮させるようその積極的な
展開
をはかってまいる
所存
であります。 まず、
森林資源
に関する
基本計画
及び
全国森林計画
の改訂を行なうとともに、
林地利用
に関する
規制
、
森林計画制度
の
改善等
を
内容
とする
森林法
の改正をはかるほか、
治山事業
の
拡充
、造林、
林道等生産基盤
の
整備
、
林業構造
の
改善等各般
の
施策
を
拡充強化
して、
森林資源
の
維持増強
と
林業生産力
の一そうの
向上
につとめる
考え
であります。 また、最近の
木材
の
需給事情
にかんがみ、
国内林業生産基盤
の
整備等
の
拡充
とあいまって、
外材等
を含め、
木材需給
の安定、林産物の
流通加工
の
合理化等
につとめてまいる
所存
であります。 さらに、
国有林野事業
の
改善
につきましては、昨年十二月の
林政審議会
の答申を十分に尊重し、
公益的機能
をより重視する
事業運営
を指向することとし、
治山事業等
を
拡充強化
するとともに、
公益性
を重視した
森林施業
の
拡充
をはかるほか、
木材
の計画的、
持続的供給
をはかることを目途として、
事業運営
及び
組織
・
機構
の
合理化
の
推進等
その
事業全般
にわたる抜本的な
改善
を行なうこととしております。 次に、
水産業
について申し上げます。
水産物
に対する
需要
が引き続き増大している一方、
わが国水産業
をめぐる
情勢
は、
国際規制
の
強化
、
開発途上国
を
中心
とする領海または、
漁業大域拡大
の動き、
沿岸漁業
における
工業化
、
都市化
に伴う
公害
の
増加等
著しくきびしいものとなっております。これらの
情勢
に対処して、
国際協力
のための
体制整備
によって
海外漁場
の
確保
につとめるとともに、
深海漁場等
の新
漁場
の
開発
により
海洋水産瞥源
の積極的な
利用
をはかるとともに、
沿岸
の
栽濟漁業
につきましては、従来の瀬戸内海のほかに新たに日本海においてもその
実施
に着手することとしております。 また、近年の漁船の
大型化
や水揚げの
大量集中化等
の
漁業情勢
の著しい
変化
に対処して
漁業
の仕産
基盤
としての
漁港
の
計画的整備
を強力に
推進
することとし、新たに第五次
漁港整備計画
の策定を行なうこととしております。
水産物価格
の安定につきましては、
生産対策
の
推進
とあいまって
基幹産地
における
流通加工センター
の
形成
、
冷凍水産物
の
流通
の
促進
など
水産物
の
流通加工
の
合理化
をはかることとしております。 なお、近年における
漁場環境
の悪化に対しましては、
漁場汚染
の防止と
漁場機能
の回復につとめる
所存
であります。
農林水産業
の
環境保全機能
につきまして一言申し上げます。 最近における
工業化
とこれに伴う
公害
の
増加等
の
状況
から、
国民
の間に緑の自然と良好な
生活環境
を希求する声は次第に高まってきております。
農林水産業
の健全な営みは、
自然環境
の
保全
と倖養に資するものであり、その
機能
は、
人間
の生
漁環境
の
改善
を進める立場からも新たな評価が行なわれつつあります。
農林漁業
に関する諸
施策
の
展開
にあたりましても、この点に十分配慮するとともに、さらに
農林水産業
が有する
環境保全機能
について
組織
的、総合的な
試験研究
を
実施
することを予定しております。 今日
わが国経済
の飛躍的な
発展
に伴い、
開発途上国
の
農林業
の
発展
に対する
協力
は、
わが国
が
輸入
に依存する
農林産物
の
安定的供給
の
確保
をはかる
観点
からも次第に
重要性
を増してきておりますので、今後は、その効果的な
推進
の方策について
検討
を進めてまいりたいと
考え
ております。 また今後における
日中間
の農林
水産物
貿易問題、
漁業協定
につきましては、
政府間交渉
を開始する
準備
を進めているところでありますが、特に農林
水産物
貿易問題につきましては、貿易取りきめの
締結交渉等
を通じまして、適正な
輸入
が行なわれるよう対処してまいりたいと存じます。 これまで申し述べました
農林水産業
に対する
施策
の
推進
をはかるため、
昭和
四十八年度
予算
の
編成
にあたりましては、所要の財源の
確保
につとめ、主要な
施策
を
推進
するために必要な経費につきましては、
重点
的にこれを計上したところであります。また、必要な法制の
整備
につきましても、鋭意
法律案
の作成を取り進めているところでありますが、本
委員会
においてこれら法案についてよろしく御
審議
のほどをお願いいたします。 また、今後の
農政
の方向に対応いたしまして昨年十二月に
農林省
の
組織
を
再編整備
して、
構造改善局
、
農蚕園芸局
及び
食品流通局
を新設するなどその
体制
を一新したところでありますが、本年は
水産庁
につきまして、
国際漁業対策
、
漁場保全対策等
に
重点
を置いた
組織
の
再編整備
を行なうこととしており、決意を新たにこれらの
機構改革
の実をあげるようつとめてまいる
所存
であります。 以上、
所信
の一端を申し述べましたが、
農林水産行政推進
のために、本
委員会
及び
委員各位
の御支援、御
協力
を切にお願い申し上げる次第であります。
亀井善彰
3
○
委員長
(
亀井善彰
君) 次に、
昭和
四十八年度
農林省関係予算
について
説明
を聴取いたします。
鈴木農林政務次官
。
鈴木省吾
4
○
政府委員
(
鈴木省吾
君)
昭和
四十八年度
農林関係予算
についてその概要を御説明申し上げます。 まず、
昭和
四十八年度の
一般会計
における
農林関係予算
の総体につきましては、
農林省所管合計
は、一兆四千七十三億円で、これに総理府、外務省、厚生省及び建設省の
他省所管
の
農林関係予算
を加えた
農林関係予算
の総額は、一兆五千三百四十六億円となり、これを
昭和
四十七年度の当初
予算
と比較しますと、二千三百四十九億円の増加となります。 以下、この
農林関係予算
の
重点事項
について御説明いたします。 第一に、高
能率農業
の展開に関する
予算
について申し上げます。
わが国経済
の発展とその急速な
国際化
の進展に対応して、
国民経済
の一部門としての
農業
の均衡ある発展をはかるためには、その
体質改善
を急速に推し進め、
生産性
の高い近代的な
農業
として確立することが基本的に重要であります。このため、今後十カ年にわたる
土地改良長期計画
を策定し、これを踏まえて
農業生産基盤
の重点的な
整備開発
を進めるとともに、
農業団地
の
育成
、
農業構造
の
改善等
の諸
施策
を強力に
推進
することとしております。 まず、
農業生産基盤
の
整備
について申し上げます。
農業
の
構造改善
と
生産性
の向上をはかるとともに、
農村環境
の
整備
に資するため、
昭和
四十八年度から十カ年にわたる
土地改良長期計画
を策定し、総
事業費
十三兆円をもちまして、高
能率
の
機械化営農
が広く可能となるよう
農業生産
の
基盤
となる土地及び水の条件の
整備開発
を積極的に進めることとしております。
昭和
四十八年度につきましては、その初年度として、
圃場整備
、
農道整備
、
畑地帯
の
総合整備
、
農用地開発等
の
各種事業
を積極的に
推進
することとしております。
圃場整備
につきましては、七百十二億二千四百万円を計上して、
末端圃場条件
の
整備
をはかることとし、また、農道の
整備
につきましては、六百五億一千二百万円を計上して、
事業
の大幅な
拡充
をはかることとしております。
畑地帯
の
総合整備
につきましては、一百三十二億三千二百万円を計上することとし、また、
農地開発事業
につきましては、四百三十九億一千八百万円を計上して、
事業
の
拡充
をはかるとともに、新たに、広域未
開発地域
において大規模な
畜産基地
の建設を進めるため、
開発構想
の具体化した一部の
地域
について特別の
国営総合農地開発事業
に着手することとしております。
畜産基盤
の
整備
につきましては、一百四十九億八千二百万円を計上するとともに、新たに、
共同利用模範牧場設置事業
の一環として
畜産基地建設事業
を実施するほか、
畜産経営
をめぐる環境問題に対処するため、
畜産経営環境整備事業
を実施することとしております。 また、
基幹農業用用排水施設
の
体系的整備
につきまして、八百三十四億八千四百万円を計上しております。 以上のほか、
農地防災事業
、
調査計画費等
を合わせて、
農業基盤整備農業費
として、総額三千四百四十五億九千四百万円を計上しております。 次に、
農業団地
の
育成
について申し上げます。
生産性
の高い
近代的農業
として
わが国農業
の
体質改善
を進めるとともに
需要
の動向に即応した
農業生産
を
推進
するため、四十七年度から実施している
農業団地育成対策
について、その一そうの
拡充強化
をはかることとしております。近代的な機械、装置の導入を中心に団地として
農業生産
の
組織化
を進める高
能率生産団地育成事業
につきましては、一百二億七千九百万円を計上して
事業
の
拡充
をはかるとともに、新たに、米、
落葉果樹
、花卉、養豚を
対象作目
に加えることとしております。 また、
農業団地育成対策
の一環として、
広域営農団地整備事業
について四十二億六千八百万円、
モデル農業団地形成事業
について二十五億三千七百万円をそれぞれ計上して、
事業
の
拡充実施
をはかることとしております。 次に、
農業構造
の
改善
について申し上げます。
農地流動化
の促進につきましては、四十七億七百万円を計上して、
農地保有合理化法人
の行なう
事業
の
拡充
、その
運営基盤
の
強化等
を進めることとし、第二次
農業構造改善事業
につきましては、その
計画的推進
をはかるため、新たに二百三十地区について
事業
に着手することとして、三百二十八億七千九百万円を計上しております。 高
能率
な
農業生産
を実現するためには、
経営規模
の拡大と並んで集団的な
生産組織
の
育成
が重要でありますので、新たに、高
能率集団的生産組織育成対策事業
を実施し、専業的な
中核農家群
を中心とする
農作業受委託組織
を広く
育成
することとし、六億二千七百万円を計上しております。 また、
農業者年金制度
の運営につきまして、九十七億五百万円を計上するほか、
農業就業近代化対策
、出かせぎ
農業者営農改善対策等
につきましても、
施策
の
拡充
をはかることとしております。 第二に、
農業生産
の再編成の
推進
に関する
予算
について申し上げます。 米作の
過剰基調
に対処し、
需要
に対応した
農業生産
の展開をはかるため、引き続き、米の
生産調整
と
稲作転換
の
推進
をはかるとともに、
需要
の伸長が期待される
畜産
、
野菜
、
果樹等
について
生産
、
価格
及び
流通加工
にわたる各般の
施策
を
拡充強化
することとしております。 まず、
昭和
四十八
年産米
の
生産調整
につきましては、米の
需給事情
に即し、
目標数量
を二百五万トンとし、転作及び休耕の態様に応じて
米生産調整奨励補助金
を交付することとし、総額一千七百五十八億四百万円を計上するとともに、別に、
米生産調整協力特別交付金
二百億円を計上しております。 また、水稲から今後
需要
の増大が見込まれる農作物への
作付転換
を一そう
推進
するため、
稲作転換促進特別事業等各種助成事業
の
拡充強化
をはかることとしております。 次に、
畑作農業
の
振興
について申し上げます。
野菜対策
につきましては、
生産
及び
価格
の安定が強く要請されていることにかんがみ、前年度に引き続き
施策
の大幅な
拡充実施
をはかることとし、まず、
生産対策
につきましては、
野菜指定産地
の
生産出荷近代化事業
、
露地野菜生産団地
の
育成等
を引き続き
推進
するとともに、新たに、
野菜指定産地
のうち特に規模の大きい産地に
基幹的産地
としての
役割り
をになわせるための
基幹野菜指定産地近代化推進事業
を実施することとしております。
野菜
の
価格対策
につきましては、特に
春夏期等
の
野菜
の
価格補てん事業
の
拡充
をはかることとし、
対象品目
の拡大、
国庫負担率
の
引き上げ等
を行なうほか、
野菜
の
売買保管
、
緊急輸送
、
消費地
における大
規模低温貯蔵庫
の
設置等
の
設置等
につき引き続き助成を行なうこととしております。
野菜
の
流通加工対策
につきましては、引き続き、
野菜
集送
センター
の設置、
野菜冷凍工場
の
実験的設置等
につき助成を行なうほか、新たに、
低温流通方式等開発実験事業
を実施することとしております。 以上のほか、
野菜試験研究
の
強化
、
卸売り市場
の
野菜関係施設
の
整備等
を
推進
することとし、これらを含めました
野菜対策
の総額は、一百五十四億八千三百万円となっております。
果樹農業
の
振興対策
につきましては、
果樹広域主産地形成事業等
の
拡充実施
をはかるほか、新たに、
温州ミカン
の品質の保持をはかるための
共同予措事業
、
落葉果樹
の
生産振興
のため
果樹園
の
総合整備等
を行なう
落葉果樹生産振興特別事業等
を実施することとしております。 また、
加工原料用果実価格安定対策事業
について、新たに、
かん詰め用温州ミカン
を対象に加える等その
拡充
をはかるほか、引き続き、
温州ミカン等
の近代的な
果汁工場
の
整備
を進めるとともに、新たに、大
消費地
に
冷蔵果汁
の
製造集配施設
を設置することとしております。 これら果実の
生産
、
価格
、
流通加工対策
に要する経費として、総額四十六億五千七百万円を計上しております。 養蚕対策につきましては、引き続き、主産地等における集団営農の
推進等
をはかるほか、新たに種繭
生産
モデル
地域
育成
施設設置
事業
を実施することとしております。 また、特産農作物及び甘味資源作物の
生産対策
につきましては、特産物
生産
団地の
育成
、てん菜大規模集団産地の
育成等
を引き続き
推進
するとともに、新たに、食用バレイショ等の品質の保持をはかるための放射線照射利用実験
事業
及びてん菜の共同育苗施設の設置
事業
を行なうこととしております。 これら、養蚕、特産農作物等の
生産対策
として総額三十七億一千万円を計上しております。 さらに、砂糖及び甘味資源作物の
価格
の安定対策として六十二億九千三百万円、大豆なたね交付金等として十八億三百万円を計上しております。 なお、北海道その他
重要畑作地帯
における畑作の
振興
をはかるため、新たに、高
能率
集団畑作経営確立対策及び耕土
改善
対策を実施することとし、これらに要する経費として、七億八千八百万円を計上しております。 花卉対策につきましては、国民生活の向上に伴い、増大する花卉
需要
に対応して、新たに、花卉集団産地
育成
事業
、フラワー
センター
設置
事業
を実施する等
施策
の
拡充
をはかることとし、これらに要する経費として、四億六千六百万円を計上しております。 次に、
畜産
の
振興対策
について申し上げます。 まず、
畜産
の
基盤
となります自給飼料の確保につきましては、公共
事業
による草地
開発
の
拡充
をはかるほか、既耕地における飼料作物の
生産
利用の促進及び水稲の飼料作物への転換を強力に進めることとしております。 また、酪農及び肉用牛につきましては、市乳供給モデル団地の
育成
、肉用牛
生産
団地の
育成
、乳用雄子牛の利用促進、家畜の導入等の
事業
を
拡充実施
して、引き続き、その
生産振興
を
推進
することとしております。 さらに、養豚につきましては、豚肉の
需給事情
、
生産
環境問題等に対処して総合的な
振興対策
を
推進
することとし、新たに、繁殖経営の安定的拡大をはかるための養豚団地の
育成
、原種豚育種集団の
強化
推進等
の
事業
を実施するほか、養鶏対策につきましても、国産種鶏の増殖、優良種鶏の集団
育成等
の
事業
を実施することとしております。 また、
畜産経営
をめぐる環境問題に積極的に対処するため、新たに、高
能率
養豚施設の設置、悪臭防止対策の
推進
、公共
事業
による
畜産経営
環境の
総合的整備
等を行なうこととしております。 このほか、家畜衛生対策等につき、所要の経費を計上することとしており、これらを含めまして、
畜産
生産対策
の総額は、三百七億一千七百万円となっております。
畜産
物の
価格対策
につきましては、引き続き、加工原料乳に対する不足払い、肉用牛の
価格
安定、乳用雄肥育素牛の供給及び
価格
の
安定等
の
事業
を実施することとし、また、
流通加工対策
につきましては、引き続き、基幹食肉
流通
施設の
整備
、成鶏肉処理加工の
合理化等
を
推進
するほか、新たに、濃縮乳
生産
専門モデルプラントの設置、食肉取引安定特別対策、食肉処理技術者養成施設の
設置等
の
事業
を実施することとしております。 さらに、学校給食用牛乳の供給について、新たに、僻地校に対する牛乳供給を促進するための
事業
を実施することとし、これらを含めまして、
畜産
物の
価格
、
流通加工対策
の総額は、三百十六億八百万円となっております。 次に、米麦の
生産
改善
対策について申し上げます。 まず、稲作につきましては、
生産性
の向上と良質米の供給を促進するため、新たに、高
能率
の機械化一貫作業体系の導入をはかる高
能率
米麦作団地
育成
対策
事業
を実施するほか、広域米
生産
流通
総合
改善
事業
、直まき稲作
推進
事業
等を引き続き
推進
することとし、また、麦作につきましては、高
能率
稲麦作団地
育成
対策
事業
等の実施により
生産性
の向上をはかることとし、これらに要する経費として、二十九億二千二百万円を計上しております。 第三に、高
福祉農村
の建設に関する
予算
について申し上げます。 豊かで近代的な
農村
を建設し、
農業
の健全な発展と
農村
居住者の福祉の向上をはかるためには、都市に比べて立ちおくれている
農村環境
の
総合的整備
開発
を進めることが大切であります。このため、
昭和
四十八年度から五カ年の計画で
農村総合整備モデル事業
を実施し、
農業生産基盤
とあわせて、集落道路、生活排水施設、
農産物
廃棄物処理施設等を総合的かつ計画的に
整備
することとし、従来からの
農村
基盤
総合整備
パイロット
事業
とあわせて二十六億五千万円を計上しております。 また、
農村地域
への工業導入を促進するため、新たに、二百五十市町村について工業導入実施計画を策定するほか、市町村による工場用地の造成等に対する資金融通及び工業導入関連諸施設の
整備
を新たに
推進
することとし、六億九千一百万円を計上しております。 さらに、
農業
ないしは
農村
の持つ
環境保全機能
、レクリエーション機能を積極的に評価し、その増進をはかるため、新たに、国の大型プロジェクト研究の一環として、
農林漁業
における環境保全的技術に関する総合研究を実施するとともに、自然休養村の
計画的整備
、花卉対策の充実等をはかることとしております。 また、生活
改善
普及
事業
、農山漁村同和対策等を
拡充
するとともに、第二期山村対策
事業
として、四十七年度に計画を樹立した九十
地域
につき、
農林漁業
特別対策
事業
を実施することとしております。 第四に、食品
流通加工
の
近代化
と
消費者対策
の充実について申し上げます。
生鮮食料品
等の
流通
を
近代化
し、
消費者
物価の安定をはかることは広く国民的な要請となっておりますので、
野菜
、
畜産
物等の
流通加工
の
改善
をはかり、消費生活の安定に資するための
事業
を積極的に
推進
することとしております。このため、さきに御説明しましたように、
野菜
、果実及び
畜産
物についての対策を
拡充
するほか、中央卸売市場及び地方卸売市場の施設
整備
の促進、
総合食料品小売センター
の増設、
生鮮食料品集配センター
の
設置等
について助成を行なうこととし、これら
生鮮食料品
等の
流通加工対策
に関する経費として、一百五十三億六千一百万円を計上しております。 また、
消費者保護対策
につきましては、農林物資規格表示の設定普及、テレビによる啓発、情報提供等を引き続き行なうほか、JASに準ずる
地域
食品認証制度、
消費者
テレフォンサービス等の新規
事業
を実施することとし、また、
食品産業
等農林関連企業対策につきましては、新たに、産業及び人口の
地方分散
に即応した食品企業の適正合理的な立地目標の策定と食品工業団地の適正な
形成
を促進することとし、これらに必要な経費として、四億九千四百万円を計上しております。 第五に、
農林漁業
金融の
拡充
について申し上げます。 まず、
農林漁業金融公庫資金
につきましては、新規貨し付け計画額を三千三百七十億円に拡大するとともに、土地改良資金、
畜産経営
環境保全資金、造林資金、卸売市場
近代化
資金等各種資金について、貸し付け金利の引き下げ、
融資率
の
引き上げ等
融資内容
を幅広く
改善
することとしております。なお、この原資として、財政投融資二千四百八十八億円を予定するとともに、同公庫に対し補給金二百七十億三百万円を交付することとしております。 次に、
農業近代化資金
制度につきましては、貸し付けワクを三千億円とするとともに、貸付金利の引き下げ及び貸し付け限度額の
引き上げ等
をはかるほか、所要の利子補給補助等を行なうこととし、また、
農業信用保証保険制度
について、保険の対象となる資金の範囲を拡大する等その充実をはかることとし、合わせて九十四億九千一百万円を計上しております。 また、
農業
改良資金制度につきましては、貸し付けワクを一百九十億円とするとともに、新たに、技術導入資金を活用して、
農業者
の自主的な技術
開発
及び
集団的生産組織
の
育成
、運営に必要な資金の融通をはかることとし、これに要する経費として四十億五千三百万円を計上しております。 さらに、漁業
近代化
資金制度につきましては、貸し付けワクを五百五十億円に拡大することとし、これに要する経費として十二億三千三百万円を計上しております。 このほか、
農水産業協同組合
貯金保険機構に対する出資、開拓融資保証制度を円滑に
農業信用保証保険制度
へ移行させるための、
農業
信用保険協会の融資資金造成等を行なうこととしております。 第六に、
森林
・林業
施策
に関する
予算
について申し上げます。
治山事業
につきましては、六百二億八千三百万円を計上して、これを積極的に
推進
することとし、このうち一百億円を国有林野内
治山事業
に充てることとするほか、新たに、
治山事業
施行林地につき、保育に対する助成を行なうこととしております。 さらに、
森林
開発
公団が行なう水源林造成
事業
につきましては、
一般会計
からの出資金七十億円を計上しております。 次に、林業
生産
基盤
の
整備
を促進するため、林道
事業
につきましては、二百七十億四百万円を計上して、
事業
の
拡充実施
をはかるとともに、補助体系の改定及び大規模林業圏
開発
林道
事業
の新規実施を行なうこととし、造林
事業
につきましては、一百七十五億二百万円を計上して、
事業
の
推進
をはかるとともに、補助体系の改訂及び保安林等における育林作業の新規実施を行なうこととしております。 また、
国土
緑化の
推進
につきましては、都市部を含めた
国土
の緑化を一そう
推進
することとし、新たに、総合的緑化技術のコンサルティング活動、緑化用苗木の需給情報の提供等を行なうために設立される法人に対し、基金造成等の助成を行なうこととしております。 このほか、第二次林業
構造改善
事業
につきましては、四十七年度に
事業
計画を樹立した一百
地域
において
事業
に着手することとし、第一次林業
構造改善
対策
事業
と合わせて六十七億七千七百万円を計上するとともに、
森林計画制度
の運営、
森林
病害虫等の防除、林産物の
生産
流通
の
改善
、
森林
組合の
育成
強化
、林業労働力対策、林業普及指導等について
拡充実施
をはかることとしております。 第七に、
水産業
の
振興
に関する
予算
について申し上げます。 漁業
生産
基盤
の
整備
につきましては、
昭和
四十八年度から五カ年にわたる第五次
漁港整備計画
を策定し、総
事業費
七千五百億円をもちまして漁港の
計画的整備
をはかることとし、四十八年度につきましては、その初年度として五百三億二千七百万円を計上するほか、大型魚礁設置
事業
、浅海漁場
開発
事業
及び漁港関連道の
整備
を引き続き
推進
することとし、合わせて五百三十六億八百万円を計上しております。 次に、海洋水産資源の
開発
につきましては、沿岸海域における栽培漁業の
振興
をはかるため、瀬戸内海における従来の
事業
を引き続き
推進
するほか、新たに、日本海における栽培漁業
センター
の設置について助成するとともに、遠洋及び沖合い海域における海洋新漁場
開発
事業
を
拡充
し、新たに未利用の深海漁場の
開発
体制を
整備
することとし、合わせて三十八億一千八百万円を計上しております。 また、発展途上国を中心に領海等を拡大する動きが強まっていることに対処し、海外漁業協力
事業
に必要な資金の融通等を行ない
わが国
海外漁場
の確保と海外漁業協力とを一体的に
推進
することとし、これに必要な経費として外務省計上の経済
開発等
援助費のうちの十億円を含めて二十二億一千一百万円を計上しております。
水産物
の
価格安定対策
につきましては、
冷凍水産物
等の
流通
改善
、
水産物
産地
流通加工センター
の
形成
等の
事業
を
拡充
するとともに、新たに、
水産物
入出荷
合理化
促進
事業
、
水産物
市場情報収集
事業
等を実施することとし、合わせて二十二億二千三百万円を計上しております。 さらに、
漁場環境
保全対策につきましては、四億八千四百万円を計上して、新たに、P・C・B汚染漁場の定期点検及び赤潮被害防止対策を実施することとしております。 以上のほか、
農林漁業
施策
の
推進
のために重要な
予算
について申し上げます。 まず、
農林水産業
の
試験研究
につきましては、新たに、
農林漁業
における環境保全的技術に関する総合研究等を実施するとともに、
試験研究
費の増額、施設の
計画的整備
等により
試験研究
の
強化
をはかることとし、これらに要する経費として二百四十二億三千三百万円を計上しております。 なお、研究学園都市建設促進のため、特定国有財産
整備
特別会計に必要経費を計上して、新たに、果樹試験場、蚕糸試験場等の施設の
建設等
に着手することとしております。 次に、
農林水産業
の改良普及
事業
につきましては、
農業
改良普及
事業
について、新たに、
農業団地
特別指導
事業
等を行なうことを含めて一百二十一億八百万円、生活
改善
普及
事業
について二十五億五千五百万円をそれぞれ計上しておりますほか、
畜産経営
技術の普及指導として四億五千三百万円、蚕業技術の普及指導として十七億七千三百万円、林業普及指導
事業
として二十三億四千万円、
水産業
改良普及
事業
として三億九千四百万円をそれぞれ計上しております。 このほか、
農業
団体の
整備
強化
に八十二億六千一百万円、
農業
炭害補償制度の実施に五百四十一億八千四百万円をそれぞれ計上するとともに、農林統計情報の充実
整備
、公害・環境保全対策、災害対策公共
事業
等につきましても所要の経費を計上しております。 次に、
昭和
四十八年度の農林関係特別会計
予算
について御説明いたします。 第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧につき
食糧管理制度
の適切な運営をはかるため、米の
生産調整
対策及び自主
流通
米との関係に配慮するとともに、過剰米の計画的な処分を引き続き実施することとし、所要の
予算
を計上しておりますが、
一般会計
からは、調整勘定へ二千六百八十億円、過剰米の処理にかかる損失の計画的補てんに充てるため、国内米管理勘定へ七百五十億円を繰り入れることとしております。 また、国内産イモでん粉及び輸入飼料の買い入れ等の実施のため、
一般会計
から、
農産物
等安定勘定へ七億円、輸入飼料勘定へ九十四億円をそれぞれ繰り入れることとしております。 第二、
農業
共済再保険特別会計につきましては、果樹保険の本格的実施等を含め、
農業
災害補償制度の運営のため必要な
予算
を計上しており、
一般会計
から総額三百二十億二千万円を繰り入れることとしております。 第三に、
国有林野事業
特別会計につきましては、
国有林野事業
の財務状況に対処し、
森林
の持つ
公益的機能
の維持増進、木材の持続的かつ計画的供給という国有林に課せられた使命を果たしつつ、可能な限り経営の
合理化
を進めることとしておりますが、国有林
事業
勘定の歳入予定額は一千八百八十一億三千二百万円、歳出予定額は一千九百五十一億三千二百万円でありまして、差し引き歳出超過額七十億円は、前年度からの持ち越し現金をもって充当することとしております。 また、特別会計の財政事情を考慮し、治山勘定において実施する国有林野内
治山事業
につきましては、
一般会計
から一百億円を繰り入れその大幅な
拡充
をはかるとともに、
国有林野事業
勘定において実施する造林
事業
につきましては、新たに、資金運用部から二百億円の借り入れを予定することとしております。 第四に、漁船再保険及び漁業共済保険特別会計につきましては、漁船再保険
事業
及び漁業共済保険
事業
の実施のため必要な
予算
を計上しており、
一般会計
から総額三十五億二百万円を繰り入れることとしております。 以上のほか、自作農創設特別措置、特定土地改良工事、
森林
保険及び中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要の
予算
を計上しております。 最後に、
昭和
四十八年度の農林関係財政投融資計画について御説明いたします。 財政投融資の計画額としましては、
農林漁業
金融公庫、農地
開発
機械公団、
森林
開発
公団、八郎潟新
農村
建設
事業
団及び特定土地改良工事特別会計に対するもののほか、新たに、
国有林野事業
特別会計に対するものを含め、総額二千九百五十一億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。 これをもちまして、
昭和
四十八年度
農林関係予算
及び財政投融資計画の概要の御説明を終わります。
—————————————
亀井善彰
5
○
委員長
(
亀井善彰
君) 本件に対する質疑は後日行なうこととし、当面緊急を要する問題として、
大豆対策等
、当面の
農林水産行政
に関する件を議題として、質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
杉原一雄
6
○杉原一雄君 ただいまの大臣の
所信
表明のところにも大きくひっかかってくるわけですが、先ほどの
所信
表明の五ページに「
農業生産
の再
編成
」ということばが述べられたわけですけれども、この中で、六ページにわたって「
需要
の増大する
畜産
、
野菜
、
果樹等
の
作目
への
転換
に主眼を置く」と、こう書いてあるわけですが、いま、
委員長
から提起された大豆の問題等につきましては、いわゆる大臣が言う
農業生産
の再
編成
という
観点
から、この中に大豆とかアズキとか、そうした雑穀類については具体的な表現を欠いているわけです。まあおよそ「等」というところに含むだろうと思いますが、「等」というところに位置づけるところに今日の大豆問題、とうふ値上げの問題が起こると思いますので、はたしてここの「等」のところに入っているのかいないのか、これはひとつ大臣からはっきりお伺いしたいと思います。 と申し上げますのは、去る一月、
農林省
から出されました「今後の
農業生産
の
推進
の方向」という指針があります。これはそちらでお持ちだと思いますが、そのところで、私がいただいているパンフでは三ページでありますが、「
農業生産
の再
編成
」という別項が起こされております。この中では、こういうところがあります。「また
需要
は強いが
生産
が減退している麦類、だいず等についてもその
振興
に努めるものとする。米の
生産調整
に当たってもこれらの
作目
への
転換
を基本とし、
わが国農業
生産
の再
編成
を進めることとする。」と、ここにはっきりうたっておるわけです。だから大臣が取り上げたから以下省略と、こういうふうに取り上げていいのかどうか、この辺を実ははっきり聞きたいわけであります。まあとりわけいまの——ちょうど自民党の皆さんから問題が提起されると思いますが、全中が大豆対策として、政府に対して、二十日の日に、あるいは国内自給率を大幅に引き上げることなど、また大豆の基準
価格
についての値上げの問題、そうした問題等を提起しているわけです。こうしたこととあわせ
考え
た場合に、最終的に大豆の緊急対策をお伺いしたいと思っておりますけれども——いま、大臣の
所信
表明をお伺いしますと、どうもこう粗末な扱い方をされているような感じがするわけですが、その辺のところ正直にこの文章の面からどう理解すればいいのか。先ほど申しました、一月
農林省
が発表しました「今後の
農業生産
の
推進
の方向」というところで述べられていることとの関係、この辺のところを大臣から明確に答え、かつ全中の政府に対する要求等について、具体的な対策等がまだ発表できる段階ではないと思いますけれども、私、実は最終的にお伺いしようと思いましだが、いまの時点で
農林省
としてはっきりした態度が表明できるものは表明させていただきたい、こう思います。
櫻内義雄
7
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) ただいま申し上げました
所信
表明は、私がいま申し上げるまでもなく、四十八年度の
予算
をお願いする、あるいは今国会の法律改正をお願いするにかんがみまして述べておるところでございます。そういうことで、御指摘のような不十分な点があろうかと思いますが、その辺は御了承願いたいと思うのであります。 で、
農林省
としては、昨年の十月に、これからの
農産物
の需給の展望と
生産目標
の試案をお示しをしておるわけでございます。かいつまんで申し上げますなら、大豆のようなものは、食品用にあてがうものは国内でやろうと、こういうことで五十七年の目標を明示いたしておるわけでございますが、これを食用油まで全部国内で自給をするということにつきましては、これはきわめて困難性があると思うのです。それは、一つにはやはり日本の
農業
の実態が、海外に比較いたしまして、大豆をつくるにしても相当な
価格
になると、
国民
生活
の上から
考え
まするならば、海外へ仰ぐが適切だと判断のできる場合がございます。それからまた、大豆をつくってもらうにいたしましても、なかなか——たとえば、反当たりの家族労働報酬をとって見ますると、奨励をいたしましても、なかなかつくってもらえない実情もあろうかと思うのであります。そこで、そういうところを勘案しながら、しかし、食品用の、今度も問題になりました、とうふ、みそ、しょうゆ、こういうようなものは、できるだけ国内でつくるがよかろうと、それには大豆、なたねの特別交付金などを活用いたしまして、その範囲は奨励していこうという一応の目標を立てておるわけでございます。 それから、全中の
要請
というのにつきましては、たぶんお尋ねは、北海道
農業
協同組合
中央
会の
要請
のことではないかと思うのであります。この
要請
の中で、当面問題となりまするのは、大豆
生産
について特別
生産
奨励金を出したらばどうか、あるいは大豆の基準
価格
を大幅に引き上げるようにということであろうと思うのであります。これらの点につきましては、現在
検討
中でございまするが、大体この基準
価格
については、収穫直前にきめるように法律がなっておると思います。この
拡大
解釈すれば、もっと早くとも言えそうな点もございまするけれども、しかし、従来収穫時に、パリティ計算を
中心
に基準
価格
を出しておるようでございますので、現在これをさっそくに基準
価格
をきめようという
考え
は持っておらない。従来の行き方でいかがかと思うのであります。そういう基準
価格
を出す場合に、需給を勘案して、
生産
奨励の
考え
もそこに加味しておると思うのでございまして、いま特別に別途
生産
奨励金をやるがいいかということにつきましては、基準
価格
のほうで十分
考え
られるのではないかというような気持ちを持っておるのでございますが、これはもう少し
検討
さしていただきたいと思うのであります。 以上、一応申し上げまして、足らざるところはまた補足いたします。
杉原一雄
8
○杉原一雄君 いまの答弁できわめて不満な点がたくさんございますが、最終的に食品用大豆緊急対策という時点で詰めていきたいと思います。だから、その前の段階として大豆の
生産
についてでありますが、国内で今日まで最高の大豆の
生産
をあげたのは
昭和
何年ごろで、幾らであるか。これは大臣でなくてもいいですが、その後大豆が現在のような
状況
で三・六%の自給率ということでがた落ちしたというこの傾斜の関係ですね。それはどう政府で理解しておられたか。今日までそれに対してどのような指導行政と申しますか、政府が手を打ってきたか。——かなり波があると思うのです。私が得た資料では、最高は五十二万トンも実は取れたことがあるわけですけれども、その後少なくとも五万トン段階でがたがた下がっていったわけですからね。その五方トン段階でカーブが下がっていく。その時点は
経済
的にも、あるいは自然
状況
その他から判断してどういう要因が働いていたか。そして、政府はそれに対してどの種の手を打ってきたか。傍観をしてきたのかどうか。失礼なことですが、そういうようなことはないと思いますけれども、その辺のところに一応考察のメスを加えないと……。いま大豆対策について、全中でない、北海道だとおっしゃったが、日農、日本
農業
新聞では、全中と北海道と連名して言っているはずですから、文書をもう一回確かめていただきたいが、そのことはあえて問題にしません。しませんが、そうした大豆
生産
について、なかんずく国内の
生産
についての屈折
状況
、それに対する
農林省
の行政指導ないし考察というものを、あらましでいいですから、時間がかかりますから簡単にひとつ。
伊藤俊三
9
○
政府委員
(伊藤俊三君) お答え申し上げます。 大豆の作付面積は、
昭和
二十九年が最高で、四十三万町歩でございます。最高の
生産
は、二十七年の五十二万一千トンでございます。その後、
昭和
四十四年までにほぼ二万町歩、毎年ずっと減り続けてきております。そういうことでありましたが、四十五年には、前年に比べまして七千町歩の減少にとどまりました。さらに、四十六年には、
稲作転換
の
推進等
もありまして、十七年ぶりに約五千町歩ほど
増加
を見ておるわけでございます。
生産
量は、先ほど申し上げました二十七年の五十二万トンを最高に、好不況による変動はありますが、作付面積の減少に伴いまして、大体二、三年間隔で五万トン減ってきておる。四十七年が十二万七千トンということになっております。こういうような作付面積の減少は
野菜
でありますとか、桑、飼料作物並びに水稲等への
転換
がはかられたわけです。それから、自家消費用が減退しておる。兼業機会の増大等によることであると思います。 それから北海道につきましては、以上のほかてん菜への
転換
が進んだというようなことも大きな要件であろうかと思います。 私どもといたしましては、こういうようなことに対応しまして、大豆につきましては、 〔
委員長
退席、理事初
村瀧一郎
君着席〕 従来から大豆、なたねの
価格
の支持の法律がございますが、この法律に基づきまして、パリティ指数、
生産
事情その他の
経済
事情を参酌いたしまして、一定の基準
価格
で支持をするというようなことに努力をしてまいりました。特に最近におきましては、そういう大豆の支持
価格
をできるだけ引き上げるようにも努力をいたしてきておるわけでございますが、さらに、
適地
適産というようなことを
考え
まして、従来から
生産性
の高い
団地
を
育成
する等によりまして、その
生産
の
合理化
とか、
流通
の
近代化
をはかってきておるわけでございます。特に、
稲作
から大豆への転作の
促進
というようなことにつきましては、
転換
水田における
土地
条件
の
整備
でありますとか、省力
機械
の
導入
、種子対策等によりまして、大豆への転作の
促進
をいたしましたり、あるいは国産大豆の販路
確保
、集荷、販売
体制
の
整備等
も
推進
するようにいたしておるわけでございます。
杉原一雄
10
○杉原一雄君 大豆の自由化ですね、それは
昭和
何年でしたか。
伊藤俊三
11
○
政府委員
(伊藤俊三君)
昭和
三十六年でございます。
杉原一雄
12
○杉原一雄君 そのときもうすでに作付は終わっているわけですから、三十七年度の作付面積とそれから
生産
量。
伊藤俊三
13
○
政府委員
(伊藤俊三君)
昭和
三十六年の作付面積は二十八万六千七百町歩でございます。
昭和
三十五年は三芳李九百町歩——ヘクタールでございます。
生産
は、三十五年が四十一万七千六百トン、三十六年が三十八万六千九百トン、そういうことになっております。
杉原一雄
14
○杉原一雄君 その次の年。
伊藤俊三
15
○
政府委員
(伊藤俊三君) 三十七年を申し上げますと、
生産
面積が二十六万五千五百町歩、それから
生産
量は三十三万五千八百トンでございます。
杉原一雄
16
○杉原一雄君 そうしますと、明らかに、三十六年七月一日、
農産物
自由化が大豆を第一号として行なわれたわけですが、まあ私らに言わせると安保条約第二条ですけれども、その
影響
がそうした形で出たと私は思いますけれども、それはそういうふうに理解していいのか。あるいは自然
状況
とか、政府の指導とか、
稲作
との
転換
との関係があるとか、いろいろあるわけですが、やはり自由化の直撃を受けたと見ていいですね、三十七年度の現象は。
伊藤俊三
17
○
政府委員
(伊藤俊三君) 全く
影響
がないということではないかとも思いますが、先ほども申し上げましたように、他
作目
への
転換
とか、自家消費用の減退等の理由がございます。三十六年だけ減ったわけではございませんので、それ以前からもずっと傾向としては減ってきておったということでありますから、それだけが原因であるとは申しかねるのではないかと存じます。
杉原一雄
18
○杉原一雄君 私の質問、よく聞いてください。そんなこと言ってない。だから、三十六年の七月一日に、三十五年に安保を改定したわけです、そういうこととの関連があって、自由化の第一号として押しつけられた。そのことが大きな
影響
で、特に北海道のようなところが大きな後退をし始めた。これは、農民だって自己防衛上やむを得ずそういう手段をとるでしょう。でありますから、今後の緊急対策を
考え
る場合に、そうしたことが大きな
農政
上の教訓になるということを想起しないと、何かしら一生懸命うしろがまえの論理の
準備
をされては困る。 それでは、四十七年度の国内
生産
について、作付面積なりそれから
生産
高なり、それに対する
経済
条件
、
自然条件
等の考察を簡単に言ってください。
伊藤俊三
19
○
政府委員
(伊藤俊三君) 四十七年は、作付面積が八万九千ヘクタールでございます。
生産
量は十二万七千トンということに相なっております。これは先ほどお話し申し上げたかと思いますが、こういうことでございまして、特に最近の様子では、北海道を除く各都府県ではまだ減少の傾向が見られるわけでありますが、最近、北海道の豆というものがかなり国内でも評価をされておりまして、北海道では若干ふえてきておるというような傾向が見えております。
杉原一雄
20
○杉原一雄君 政府の今日まで発表してきた大豆対策のことを信頼するならば、これは最低の底だと思うんですね、大豆
生産
の。ここから上がらざるを得ないわけです。大臣の
所信
表明にしろ、
農林省
が発表している
生産
の今後の方向づけ等を見ても、これがまあぎりぎりだと思うんですね。そこで、このぎりぎりの底にいまたどりついたわけです、四十七年は。それは幾つかの要因があると思うんです。その要因をひとつはっきり——あるいは雨が降ってどうだとか、アメリカのように雪が降ったとか、いろいろあるわけですね、アメリカなんか、何百万トンも減収していますから。そういうような
自然条件
なり政治
条件
なり、
経済
の
条件
等があるわけです。その底になったその辺のところを明確にしていただくことが、底からはい上がっていく一つの農民へのビジョンなり政策が出てくるわけですから、そこのところを明らかにしてください。
伊藤俊三
21
○
政府委員
(伊藤俊三君) いろいろ理由があったかと思います。先ほど大臣からもお答えがありましたが、他作物との比較におきまして労働報酬が低いというようなことがありますが、そのもとといたしましては、反収の低さとかいうようなことも、一つ大きな理由であろうかと思います。 それからまた、大豆の
生産
というものが大きな
団地
で行なわれておらない。ばらばらに小さな、何といいますか、圃場ごとに行なわれているというようなことで、大豆の
生産
の
合理化
というものが、非常にしにくいというような点もあろうかと思います。また、集荷、販売というようなことにつきましても、農家が非常にばらばらでございますと、それをうまくまとめて、農協が集荷し有利に販売するというようなことがなかなかしにくいような点もございまして、そういったような事情がいろいろ重なり合って大豆の面積が減ってきたというように私どもは
考え
おるわけでございます。
杉原一雄
22
○杉原一雄君 それでは、消費の
動向
なり需給の
状況
等について一応、さかのぼるとたいへんめんどくさいですから、少なくとも四十七年度の
状況
はどうですか。国内の消費、それから需給の
状況
、簡単に言ってください。
池田正範
23
○
政府委員
(池田正範君) 御指摘の四十七年の
状況
、一部見込みが入りますが、申し上げますと、
需要
は三百五十一万二千トン、そのうち油をしぼります製油用が二百五十万トン、食品用が七十二万トン、あと期末のストックが二十七万トン程度になります。
供給
のほうは同じく三百五十一万トンでございますが、国産が、ただいま園芸
局長
が申し上げました約十二万トンの中で、出回るものが五万六千トン程度でございます。 したがって、
輸入
のほうは三百四十万トン以上ということになりまして、四十二年ごろに比べますと、この約五年間で、むしろ国産が五八%程度に落ちましたが、
輸入
が一四二%程度に伸びまして、需給全体といたしましては三八%の
増加
というのが現状でございます。
杉原一雄
24
○杉原一雄君 そうしますと、三百四十万トンというばく大な
輸入
をしているわけですが、それは
輸入
先、たとえばアメリカ、中国等あるわけですが、大体大づかみにしてどれくらいで、しかも、その国の、さかのぼりませんから、四十七年度の作付
状況
はどうなっておるのか、これをひとつお聞きします。
池田正範
25
○
政府委員
(池田正範君) いまの約三百四十万トンの中で、おもなる輸出国はアメリカと中国でございます。そのほかに若干のものがございますけれども、ほとんどこれはネグレクトでございます。 アメリカから入りますものが、大ざっぱに申し上げまして三百万トン余でございます。それから中国から入ってまいりますものが、通常でございますと大体三十万トン程度でございます。しかし、御案内のように、昨年は中国の食品用大豆の
生産
が、作柄が非常に悪うございまして、そのためにこれはおそらく二十六、七万トンに落ちるのではないか。したがって、この部分はアメリカからの
輸入
がふえるという形で、全体としてのつじつまが合わされるということになろうかと
考え
ております。 それから、昨年の世界の
生産
状態でございますが、一部の推定を含むことをお許しいただきまして、アメリカの大豆の作付面積は、一九七二年で四千五百八十万エーカーでございます。
生産
量は三千四百七十万トン、世界の
供給
力の大部分はアメリカの
供給
力にたよるという形になっております。中国のほうは、これは作付面積はつかむことができません。また、この
生産
量につきましても、一九七一年におきましては六百七十万トン程度の
生産
があったように推測をいたしておりますが、七二年におきましては不明でございますが、一般的な常識から
考え
ましてかなりの不作を伝えられておりますので、それよりはかなり下回った
生産
量ではないかというふうに
考え
ております。 それから第三の問題として、ただいまのところは
供給
力の中に入っておりませんけれども、ブラジルが最近とみに
生産
力を増してまいっておりまして、一九七二年におきますところの作付面積の見込みは、約五百六十万エーカー程度であったのではないか。したがいまして、この
供給
力は、これも推定でございますが、三百万トンをこえる量を持つのではないかというふうに
考え
られます。
杉原一雄
26
○杉原一雄君 中国の足らぬところはアメリカから買うと、こういうことなんですが、アメリカにしても、昨年は雨が降ったり雪が降ったりして大豆の予定数量、
生産目標
をはるかに下回ったというふうに承っているわけですね。その辺は確認できますか。
池田正範
27
○
政府委員
(池田正範君) 昨年度の不作は、ほとんど油糧作物を含めまして全世界的な様相であることは御承知のとおりでございますが、その中では、比較いたしますと、アメリカが一番軽微でございまして、三千五百万トンの
生産
量というのは、そうきわめて著しく全体として減ったというものではないと思います。ただ問題は、その全体の
生産
力の中で、特に日本がほしがっておるところの固有の用途である食品用大豆、これがオハイオとかミシガンとか、いわゆる五大湖の周辺の数州に限られた形で栽培をされておりますが、その
地域
における気候
条件
というのが、ただいま御指摘のようにあまり芳しくなかった。そのことが非常に日本の需給に対して強い
影響
力を与えた。しかも、それが中国の、中国豆と要するに言っておりますが、食品用大豆が非常に悪くて、その船積みがおくれたこととダブルパンチになって、日本の市場に非常に強い不安感を与えた。それは量と品質の悪さということと重なってその不安感が非常に歩増しされたというふうに私どもは解釈しております。
杉原一雄
28
○杉原一雄君 私のここに持っておる資料では、七二年の
生産目標
は三千六百七十二万トン、先ほど言ったような
条件
で、減収したのは二百七十二万トンと、こうあるわけですね。そうした
輸入
先のやはり
農産物
のことですから取れたり取れなかったりという非常に自然的な
条件
が左右するものが多分にあるということを確認をすることが非常に大事だと思うし、いまはからずも
局長
のほうからブラジルの話が出たんですけれども、これは国内との取引関係はどうなっておりますか。
池田正範
29
○
政府委員
(池田正範君) ブラジルのほうは、実は
産地
といたしましてはきわめて
供給
源としては新しいほうでございまして、ほとんど現在まではヨーロッパに向けての
供給
でございまして、日本との間ではきわめてわずかの見本に近い取引以外は大きな
供給
力にはまだかたまっておりません。
杉原一雄
30
○杉原一雄君 それでは、とにかく日本は自給率が非常に少ないわけだし、大臣の期待するものは、油以外の少なくとも食品関係の大豆は自給したいんだと、こういう政策的な意図を持っておいでになるようでありますが、いずれにしろ、大豆が足らぬからとうふが上がったという大衆に直接的な大きな打撃を与えた大豆不足の問題ですね。これについて
農林省
は、二月三日に何か、特に「食品用大豆緊急対策」というのを出されたように承っておりますし、ここにも簡単な個条書きのものを持っているわけですが、このポイントはどこにありますか。どういうところに一番力点を置かれているのか。ちょっとさっと読んだだけでは私わかりにくいのですが、この政策目標のポイントはどこにありますか。二月三日緊急対策を出したわけでしょう。それは否定することないでしょう。出しましたね。そのポイントはどこにありますか。
池田正範
31
○
政府委員
(池田正範君) 当時の大豆
価格
の値上がりが一月の十日前後からきわめて急速に異常な値上がりになりましたので、したがってとりあえずは、
価格
の問題もさることながら、一部には市場の中に食品用大豆が姿を消すのではないかという非常な不安感が醸成をされました。したがって、緊急対策といたしましては、まず民情の不安感を取り除くことがまず第一
条件
であるというふうに
考え
たわけでございます。そこで、やり方といたしましては、市場の中に大豆を送り込むオーソドックスな対策を立てることが第一。第二は、
価格
形成
の中にあって不安感、不信感を払拭することが第二。第三といたしましては、さらに、今後のあり方についての指針をある程度打ち出すことが第三というふうに三つのおもな論点を
考え
たわけでございます。 まず第一のマーケットの中に大豆をふやすという形で価値の異常な値上がりをとめるということにつきましては、いま申し上げましたように
供給
先であるアメリカ、中国というものが、これはこの際、緊急対策といたしましては、唯一の
輸入
ソースでございますから、そこでアメリカへの緊急
要請
、それから中国に対する繰り上げ
輸入
の
要請
といったものを外交ルートを通じまして早急に手を打ちまして、一月、なるべくすみやかにアメリカのオハイオ州から約八万トンの食品用大豆の
緊急輸送
を商社を通じて
要請
をいたしました。また同時に、こちらから直接外交ルートを通じても
要請
をいたしました。これは大体見込みが立ったわけでございます。それからもう一つは中国のほうでございますが、これは昨年の九月積み以降がほとんど配船がとまっておりまして、全体としてかなりの滞りが出てまいっておりましたので、これは早々に中国政府に対して
要請
をいたしました結果、十二月積みのスリップ分を含めまして一月、二月と各月ごとに二万トンずつ計六万トンの配船を
確保
する旨の確約を受けまして、その後一月の二十日前後に第一船が入りましたのを皮切りに、現在滞りがちでありましたのがやや回復しつつある
状況
でございます。そのようにして、まずマーケットの中に豆を送り込むことが第一でございます。 それから第二の問題といたしましては、国内に豆があるのにどうも偏在しているのではないかという不信感がありました。これがありますと、非常にまた不必要なスペキュレーションを注ぎ出すことになります。そこでそれに対応する対策といたしまして、とりあえず現実に大豆をこれは持っておるところからどうしてもないところへ必要やむを得ないだけは緊急融通をさせるということが一つ。もう一つは、御承知のような自由取引でございますから、したがって
価格
が異常に変動することに対する一つの指針といたしましては、商品取引所の
価格
形成
機能
が異常に動きますというと、これが社会にかなり悪い心理
影響
を与えることになります。したがって、この二つについて早急に手を打つということから、五万トンの油糧用としてストックをいたしておりましたものを、とりあえず、とうふ、納豆といったような当面の対策のために、仲介の業者を通ぜずに直接実需者に売り渡すという形を緊急対策としてとりました。それから商品取引所につきましては、かなり急ピッチな上げもございましたけれども、これが後半になりますというと、いわゆる上げ幅制限がなくなりますので、とりあえずは、個人としての取引数量に制限を加えると同時に上げ幅の
規制
をする。それから、新規に取り組みをすることについての
規制
をする。さらに三段がまえとしては、当時一月でございましたので、七月から新甫に入りますが、この新甫以降の取引について自発的にそれをやめさせるといったようなことで、大豆の商品取引
機能
というものを当面、まあいわば眠らせるという形をとったわけでございます。 最後に、今後の対策でございますが、この中で述べられておりますのは、やはり何と申しましても、海外依存というものを急速に脱却することはむずかしいわけでございます。しかも、食品用大豆というものは、全体の大豆のワクがあっても依然として窮屈感を持つ場合がことしのようにあるわけでございます。そこで当面、この一月から七月までの上半期についてこれはない、できの悪かった食品用大豆は追いかけてもございませんから。とりあえずは、大豆としての不足感をなくすという意味で、上半期全部で約二十万トン程度、前年よりも分量をふやして
輸入
するという方向で
輸入
商社の指導を行ない、これはほぼ契約済みでもう見当が立っております。ただ、そういたしましてもなお食品用大豆の問題は残りますので、そこで、これはできれば今後の問題でございますけれども、実需者の買い付け先をもう少し長期の
供給
契約に結びつける、あるいは今後ブラジル等の
開発
輸入
等を含めてやはり今後食品用大豆の
供給
ソースを多角化していくといったような方向を含めて今後
考え
ていく必要があるだろうというふうなことも実は緊急対策の中に盛り込んだようなわけでございます。 以上が大体の概要でございます。
杉原一雄
32
○杉原一雄君 海外等についての手の打ち方、早いかおそいか、適切かどうか知りませんけれども、とりあえずの問題解決の一つの糸口になったかと思います。そこで、
価格
形成
の問題について不信感を払拭するための努力ということなどで、大豆商品現物の過熱防止ということでいま
局長
からいろいろ答弁があったわけですが、きのうですか、総理を
中心
として物統令の適用の問題をめぐって商品投機の問題について何らかの立法処置をとろうじゃないかという話が政府与党の間で意見がほぼ一致したということがきょう伝えられておるわけですが、まあ大豆のあとはまさにこの問題で大きな問題になっているし、時間があれば、モチ米の問題もお聞きしたいと思っておりますが、モチ米、大豆を含めてですね、これに対して
農林大臣
が相談にあずかられたかどうか知りませんが、少なくとも閣員の一人として情報は御承知だろうし、大臣の
考え
方も確立していると思いますが、物統令は適用しない、だが新法によって対処するというのが大体のきょうの報道ですけれども、これは大臣としても確認できますか、どうでしょう。
櫻内義雄
33
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) けさ新聞でいろいろ報道をされておりまするが、大体、間違いのない情報をニュースにしておると思います。現在
農林省
のほうにつきましては、物統令はなかなかこの際活用することはむずかしいであろう、したがって、暴利取り締まりのようなことについて
農林省
側の
考え
はどうであるかというように、いまわれわれのほうの何か適当な
考え
がないかということを求められておる段階でございます。きょうの閣議でもその話が出まして、直ちにこの
委員会
に入っておりまするので、きょうこの
委員会
が済みますれば、省内の関係者に指示を与えたいと、こういうふうに
考え
ておる段階でございますが、ただ、
農林省
の関係といたしましては、いまモチ米の話もちょっと触れられましたけれども、米の問題について、御承知のように、食管法がございまして、いままででも食糧事務所を通じての一応の
調査
といいますか、見当もつけておる、あるいは買い占めのような事態につきましては、大手商社にそういうことのないようにという警告も出しておる、こういうことでございまして、現行法の中でやれることについては現にやっておるわけでございまするが、しかし大豆につきましては、御指摘のとおり、これは何か新しい措置を講じなければ取り締まる方法に欠けるのではないかと、こう思います。したがいまして、いま党やまた政府の一部の動きに応じまして
農林省
としても対応してまいりたい、こういう次第でございます。
杉原一雄
34
○杉原一雄君 いろいろのやりとりから集約しますと、今日のとうふの値上げ、大豆の不足という問題等を通じて、まあ、ある雑誌が書いているように、安上がり
農政
は最終的にこういう結果になったんだという結論めいたことを言っているようですが、そのことの是非はとにかくとして、いま
農林大臣
の
所信
表明等を通じても、少なくとも、食用大豆については将来自給
体制
をとりたいという政策意図が明確になったわけですけれども、具体的な手だての問題、手段の問題ですね、それは先ほどばらばらに実は出ているわけですが、国内自給する、食用大豆を。そういう一つの仮説に立った場合に、とりあえず全中なり北海道農協が提起したような問題は、問題をおそらく集中的にしぼっていると思います。その点について、大臣から先ほど若干の答弁が実はあったわけですが、もう一度、高い視野に立って、大豆をこれからつくらせる上において五千八百円では足らないんだと、これは言うまでもないことですし、高
能率
化しようとする日本
農業
としては問題にならないという現状もよくわかるわけですが、そうしたものを踏まえて、主
産地形成
なり技術指導なりあるいは
価格
政策なり等いろいろあると思いますが、それを簡単に要約して、これからの大豆
生産
に備えて
農林省
はどのような行政努力をするか、努力目標等を明確にしていただきたいと思います。
櫻内義雄
35
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 第一は、やはり
価格
面からの刺激の必要があろうかと思います。それについては、この要望書の中にも触れられておるわけでございまするが、これは
農林省
としても、できるだけ農家の
生産
意欲の起きるようにしむけるような基準
価格
を
考え
たい、不足払いをいたしたい、こういうことが第一でございます。 それからことしの
稲作
の転作対策の中で、できれば大豆
生産
のほうへ力を入れてもらいたい、こういうようなことを
考え
ておりますが、そのためには
土地
条件
の
整備
、省力
機械
施設
の
導入
、種子対策など大豆への転作の
促進
をはかりたい、かように
考え
ておるような次第でございます。 そこで、先ほどちょっとお答え申し上げましたが、この基準
価格
やあるいは
生産
奨励金の問題につきましては、多少専門的になりまするのが、必要がありますれば、
局長
のほうから詳しくお答えをさせます。
杉原一雄
36
○杉原一雄君 一応わかりました。まだ不十分な点がございますが、後ほどまた時間をいただきます。 モチ米の問題、あと五分でございますから簡単に申しますけれども、とりあえず政府当局があるいはタイからの
輸入
その他で応急措置を実はおとりになったと思います。ただ問題は、なぜモチ米が高騰したか。私も百姓して大正モチをつくった大昔のことを思い出すわけですが、モチ米というのはウルチからみれば
生産
量が非常に少ないですから、モチ米を国内
需要
に合わせるようにするためには、やはり今後食糧庁等の対策が必要になってくるわけですが、とりあえずなぜモチ米が高くなったかということ、これに対しては先ほどの大豆でないけれども、商品相場といいますか、これには商品ということは当たらないかもしれませんが、非常に過熱
状況
を呈していた、そこで警察庁が手を入れたということがいろいろ伝えられているわけですが、警察庁からその実態把握にについてどのような努力をして、長官のところに、かくかくのところでモチ米が眠っておったといったような、摘発的なことを含めて勧告があったかどうか。そこで、今後モチ米の問題に対してやはり食糧
生産
の大きな
観点
からどのような政策努力をしようとするのか。先ほど私も百姓であるからと言ったわけですけれども、モチ米は、やはりどんなに努力をしても技術的にウルチより少なくなるというのは一般的です、よほどの篤農家は別として。そういう
状況
の中でモチ米がウルチと対応していく場合には、かなりの
価格
の問題なり技術指導の問題なりやはり農林当局にはやらねばならないことが一ぱいあると思います。だから、とりあえずいまモチ米はばか値を出す、高騰しておるということ、それに対する政府のとった処置、タイ米の
輸入
等、それから、その原因の中で先ほど申したような警察庁の手までわずらわしたという事実等についての具体的な
状況
、それに対応する長官の
考え
方、こうしたものをお伺いしたいと思います。
櫻内義雄
37
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 私からまず一応お答えを申し上げたいと思うのでありますが、国家公安
委員長
から米の買い占めの事実があるように思うが、
農林省
と
協力
をして取り締まりたいという、そういう趣旨の発言が閣議でございまして、それを直ちに受けて
農林省
から国家公安
委員会
の担当官のほうへ連絡をとりました。先ほど申し上げましたように、具体的には警察が直接に手入れをしたとかいうような事実は私の知っている限りではございません。それは、食管法に基づいて
農林省
のほうで
調査
等のできるものでございまするから、そのほうを
考え
たわけでございます。この問題が起きましたのが十四日でございますが、十六日に関係業者を
農林省
としては呼びまして厳重な警告をいたした。また、主要な
産地
及び
消費地
の在庫
状況
を
調査
するということをいたしたようなわけでございます。 それからモチ米の暴騰の原因は、言うまでもなく、需給の関係で、四十七年五十七万トンの
生産
に対して
需要
が六十三万トン、六万トンほどの不足ということが主たる原因であったと思うのでございます。そこで、この不足につきましては、昨年の十一月に政府手持ちの一万七千トンを売却するとともに、本年になりましても、逐次、放出をする、あるいはタイからの買い付けを急ぐというような措置を講じておるのでございますが、これからの方針といたしましては、
生産者
団体等を指導して契約栽培による計画
生産
を行なわせて、確実に自主
流通
米として
流通
させたいと、かように
考え
ております。 あとこまかい点は、長官あるいは
局長
のほうから
説明
いたさせます。
中野和仁
38
○
政府委員
(中野
和仁
君) 概略いま大臣がお話しになりましたとおりでございまして、私からあまりつけ加えることがないわけでございますが、なぜこう高くなったかという原因につきまして——元来モチ米は昔から一年おきに豊凶がございまして、ちょうどそれがことし非常に強く当たっていたというふうにも思われるわけでございます。そのために、現在、自由米相場等も二割何分か自主
流通
米に比べまして上がっておるような
状況
でございます。 そこで、具体的な緊急対策といたしましては、先ほど大臣からお話しありましたように、すでに大手の商社、それから関係の米屋の業界全部に警告をして、もし手持ちがあるならすぐ放出しろというところまで話はいたしております。それからあわせまして、
消費地
、主要な
生産
地についてのただいま
調査
を始めておるところでございますが、こういうことをやりますれば、まだ騰貴というような値段まではいっておりませんけれども、これで若干鎮静するのではないかと思います。と同時に、やはり基本的には絶対量が不足する場合には値段が上がるわけでございます。
輸入
をいたさなければなりません。その場合に、タイその他東南アジアはかなりことしは米が不作でございます。なかなか玉が集めにくいといううわさが一時出たために、若干急に二月に入りまして上がったのではないかと思います。昨日発表いたしましたように、とりあえずタイと一万五千トンの話がつきまして、三月から四月に入ってまいりますので、これで相当程度は鎮静するのではないかというふうに思っております。 恒久対策につきましては、大臣が申し上げましたとおりでございますが、そういうふうにして、自主
流通
米を
中心
にして計画的に契約栽培をやりますと、どうもモチの場合は、ことし少ないと来年よけいつくるというようなことがあるものですから、その場合には自主
流通
でやりますけれども、もし過剰になった場合には自主
流通
のUターンといっておりますが、食糧庁が買い入れるということをいたしております。また、不足の場合には、当然これは
輸入
に待つということもいたさなければなりませんが、その場合にはあらかじめいろいろ手を打って、いろいろな
情勢
を察知しておきませんとなかなかできませんので、そういう点の情報の収集にも十分努力をしたいというふうに
考え
ております。
工藤良平
39
○工藤良平君 いまの問題とも関連をしますけれども、この前、ミカンの問題で私保留しておきましたので大臣に、わずか十分間でありますけれども、お聞きをしたいと思います。 先日伊藤
局長
のほうから、ことしのミカンの
生産
高の問題について私とずいぶんやりとりいたしましたけれども、私はどうしても納得できません。いまの
食糧庁長官
と同じように、でき過ぎたときには豊作といって足りなかったときには裏年というのです。そんなばかばかしい話がありますか。私は、この前、統計的に四十年以降の数字をあげまして、裏年と表年の統計をとって、三百三十万トンというものは当然統計上からも出てくるのだ、にもかかわらず、なお表年と豊作が重なったから、来年度は二五%も下がりますというようなとぼけたことを言っているのです。大臣にその点について、この前、計数的に指摘をいたしましたその私の主張と、伊藤
局長
が
説明
いたしましたのとどちらが正しいのか、あなたの判断を的確にしていただきまして、ミカン対策を立てなければならぬと思いますから、まずその点を私お聞きをいたしたい。
櫻内義雄
40
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) お尋ねは、四十七年度の
生産
の
状況
が隔年結果の表年になった。そうして、天候にも非常に恵まれて三割方の増産をしたのだと、その点について工藤
委員
のお
考え
からすれば、そういう天候の関係だけでなく、植栽面積その他いろいろ
考え
られて、そのほうに原因があるのだというふうに御指摘であるのではないかと思うのでありますが、私はそのいずれも原因になっておる、豊作であるとか、天候であるとかそれも要素である。あるいは予定よりも植栽面積が上回っておった結果から出てきておる、これも要素として言えると思うのでございまして、したがいまして、これからの対策の上におきましては、それらのことを頭に置いての対策をやる。たとえば、今後も引き続き植栽面積がどんどん進むようではいけませんから、その辺はやはり押えるべきである。それから昨年と同じような
生産
が、ことしはそういうことはないだろうと推定はしておりまするけれども、そういう場合に備えて、ジュース、かん詰めへの加工面に、より一そう持っていけるように、
施策
をやらなければならないというように一応
考え
ておるわけでございます。
工藤良平
41
○工藤良平君 私は、もう一つ計数的に申し上げますけれども、たとえば、
昭和
四十年のミカンの植栽面積が全体で十一万ヘクタール、そのうち成木園が約六万ヘクタール、その際の収獲高が百七十五万トンであります。四十七年度は、総面積において約十七万ヘクタール、そのうち成木園が十二万ヘクタールあるわけです。したがって、それは当然三百三十万トンから三百五十万トンというものが、平均反収約二千七百キロととってみても、そういう数字はおのずから出てくるわけです。したがって、さらにそれが豊作と表年が重なれば、本来計数的に見ると、四百万トンぐらい私はことしはできているのではないかという気がするのです。そういうような計数からいたしますと、
農林省
の伊藤
局長
がこの前答弁したようなかっこうで、また来年は二百数十万トン程度で終わるなんというとぼけたことを言っておりますと、たいへんなことが起こるということを私は指摘しているわけです。その点、大臣、大豆の問題だってそうです、モチ米の問題だってそうなんです。減反で一兆二千億も金を使って対策を講じておるときに、モチ米が足らないその理由を裏年だからなんということで、
農林大臣
、逃げられますか。農民に対して、
消費者
に対して、そういうことを為政者として言えますか。私はそういうことが残念でしようがないわけですよ。大豆だって、いま杉原
委員
から指摘されましたけれども、そういうことを繰り返していっているからこそたいへんな事態が起こるわけでしょう。そういうことを
考え
て私は、
農林省
としてこれからは長期予測を的確に行なう。これは
農林省
の最大の任務だと思っているのです。これをやらなければ
農業
なんてつぶれますよ。
消費者
も困るのです。それがまず第一番。 それからもう一つは、この前、堀本
委員
も御指摘をいたしましたけれども、
農林省
は、ミカンがたいへん余っているときに、アメリカのジュースを
輸入
して、それをブレンドして売ればおいしいからいいなんということを指導しているという話も、この前私はお聞きをしましたけれども、もしもそんなことを
農林省
が
考え
ているとすれば、どこを向いて一体
農政
をやっているのですか。私は腹立たしくてしかたがないのですよ。だから第一番目のいま言う的確な予測を立てる、その予測に基づいて的確なやはり植栽計画なり栽培の計画を行なうということがまず前提
条件
。 それからもう一つは、やはり自由化の問題について、麦や飼料や大豆を自由化してきた。その自由化をした結果というものが、こういう事態が起こってきたわけなんです。これは今後なお一そう予想されることなんです。少なくともやはり、食糧の長期見通しに立つならば、やはり、できる限り国内で需給をしていくということが前提
条件
でなければならない。でなければ、こういう事態が起こるわけでありますから、そういう点を踏まえて自由化の問題についてもきびしく、アメリカを
中心
としたそういうことではなくて、日本の
農業
ということを
中心
にして、あるいは日本の国内の需給
体制
ということをまず前提において
考え
る、自由化についてもきびしい態度で臨むということが、やはり
農林大臣
としての私は任務ではないかと思いますけれども、その二つの点について、時間がありませんから的確に答えていただきたい。これがまたもし不明確であれば、私は何べんでも追及をしてまいりたいと思いますから、その点をお答えいただきたいと思います。
櫻内義雄
42
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) あらゆるデータの上に立って、そして見通しを立てる。これは、当然のことだと思います。 昨年の
機構改革
の際におきましても、それがために統計情報事務所に改組をさしていただいておるわけです。昨年のミカン増産の結果を顧みてみまするに、そういうしっかりしたデータのもとに迅速な情報提供が行なわれて、そして、
農業
団体がそれを信頼できるような前提があれば、もっと
改善
されたんではないか、こう思います。そこで、統計情報の関係につきましては、これは、専門語で基準筆の大幅な
増加
をはかり、予測精度の
向上
につとめたいと、こういうふうに
考え
ておるわけでございます。 なお、
農産物
の自由化に関連しての、濃縮ジュースを入れてブレンドをさせるというお話に触れられたわけでありますが、少なくとも、私が就任後に、そのような指示をいたしたことはございませんし、私として、いまオレンジとかあるいは果汁の自由化は一つも
考え
ておりません。
高橋雄之助
43
○
高橋雄
之助君 私、現在きわめて深刻になっておりまする家畜の濃厚飼料の問題、さらに、先ほどから杉原
委員
から質問のありました大立の問題について、質問とさらに意見を申し述べたいと思いますが、幸い
農林大臣
御臨席でございますので、この機会に
農林大臣
のいわゆる決意のほどをお伺いいたしたい、こういうふうに
考え
るわけでございます。 と申しますのは、一昨年来、いわゆる
農産物
の自由化のことについていろいろ取りざたされまして、
農林省
もそれぞれこれに対応してやってこられたことは御承知のとおりでございます。さらにまた、昨年の暮れに至りまして、田中総理が閣議で、いわゆる
農産物
の二十四品目、さらにまた、
工業
製品の九品目、これについて可能な限りの自由化を進めたいから、それぞれの関係省は、これについてのいわゆる作業を始めてもらいたいという話があったということで、私どもその報道を聞きまして、まことに危機感を感じたわけでございます。したがいまして、大臣をはじめそれぞれ関係の方々に、この自由化に対しての真相をただし、さらにこれに対する反対を申し上げたことも御承知のとおりであろうと存じます。ところが、ここ二、三日前に、また総理大臣が、今日の為替変動制その他いろいろな関係に基づいて、
農産物
の自由化の問題を再度発言されておられるわけでございます。このことについて、農民はまことにいま一喜一憂の感でございまして、一体どうなるのかというような不安の念に日々かられておることは御承知のとおりでございます。この問題について、
農林大臣
は、総理からこのようなことを申されましたことについて、どのように受けとめておられますか。この二十四品目の問題等についての事柄について、大臣は省内においてどのように詰めておられますか、そのことについてお伺いいたしたいと思います。まず、その点お願いします。
櫻内義雄
44
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 当面のお話を申し上げるのについて、ちょっとこの経過を御承知願うほうがいいと思うのです。 昨年暮れに、
農産物
の自由化を含めての
検討
の話が出ました。これは大蔵大臣が閣議で第三次円対策というものがあると、こういうことを言われることによって、その中に自由化問題も含まれたということでございまするが、私は、これに対しましては、その後、自由化問題の一番当面の相手になるのがアメリカである。そこで、米国と日本との関係で、ほんとうに自由化の必要があるのか、ないのかというとこで、一つ一つの問題について詰めていきまして、たとえばジュース、これを自由化しても、アメリカははたしてブラジルのジュースと競合できるのか、あるいは雑豆などについて自由化して、これからの日中の貿易が進んで、アメリカのためになるのか。肉は一体、子牛を五千頭入れても、これはアメリカの強い要望でやったが、アメリカのものは入っておらぬじゃないかというように、一つ一つ詰めていきまして、ちょうどまたミカン問題も起こりまして、ミカンのこういう問題が起きておるときに、アメリカが、オレンジや果汁の自由化を求めてくるということが、それがほんとうに日本を理解するものかどうかというようなことで、これはもう対米関係としては、自由化問題はないと、私はその必要はないと、こういうことでずっとまいりまして、そのことは大かた関係方面で理解されておったと思うのであります。今回のドル切り下げ、変動相場制への移行に伴って実質的な円の切り上げをしておる。また、円の切り上げを控えておるというこの段階で、重ねて自由化問題についての
検討
をしてみるというような問題が起きたわけでございます。 私は、これは別に
農産物
の自由化を強要されたものとは思っておらないんです。円の切り上げ、あるいは対策よろしきを得ずに再々切り上げにいくような問題を起こしてはいけない。そのためには、現在自由化されてないもので、国内対策が十分できるかどうかの
検討
をそれぞれすると、こういうことで、これを、
検討
はできませんというわけにはいきませんから、まあ、こういう話が出たということで一応の
検討
はいたすように省内でも話しておるわけでございます。しかし、それはあくまでも、正直に申し上げて、私としては、国内的に対策があるかどうかということを見きわめたいのでございまして、それじゃ、いまの
農村
の、また、
農業
の実情からして、自由化をすることが、大局的に見ていいものかどうかということになってまいりますれば、私は絶対に、そういうことについては基本姿勢として反対である。
農村
のいまの政府に対するいろんな不信感というもの、これを払拭して、そして
農政
を進めることが私に課せられた一番の責任であると、それは、前段で申し上げました問題のときから鋭意つとめておるところでございまして、今度の問題が起きましても、私の基本的な
考え
としては、それはごうも変わっておらないんであります。ただ、一応の
検討
をせよというのを、それは
検討
はできませんと言うことがいかがかと思うので、いずれいろいろと
検討
した結果を、それはおそらく、こうこうこういう事情で、一つ一つのものについてむずかしいという結論が私は出るものと思うんです。それを申し上げればいい、
検討
が即自由化をするため、というふうには
考え
ておらないんであります。一つ一つの問題を詰める、私は、一つ一つが全部大きな壁にぶつかるものと思っております。それを率直に言えばよいと、こういうふうに思っております。
高橋雄之助
45
○
高橋雄
之助君 大臣の非常に強いお
考え
の御意見があったわけでございますが、しかし、一国の総理が何回も、いわゆる自由化の問題に対して発言されておることを
考え
ますると、われわれは、やはり一国の総理がそういう発言をしておるんですから、これはあるいは自由化に踏み切るということを非常に心配しますし、そうではないかということを非常に強く
考え
るわけでございます。何といっても、総理が強くそれを踏み切った場合において、いまお話があったとおり、大臣はこれに対して、やはりいろいろな意見は申し述べられましょうけれども、最後まで、これが反対して通せるかどうかということを非常に心配するわけでございます。そういうことで端的にこれを申し上げて、まことに失礼でございますが、もし総理があくまでもこれを自由化するということに踏み切った場合においては、大臣はどのような処置をされるか、いわゆる責任をとられるか、この点をひとつ率直にお伺いいたしたいと思います。
櫻内義雄
46
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) これは別に私は、あまりこまかく神経質にはなっておらないんです。三十三品目のうちで、なるほど
農産物
が非常に多いわけでございまするが、それぞれ
検討
をするのでございまするから、その
検討
の結果の結果で——その多少のことを申し上げては行き過ぎかと思いますが、いろいろと結論が出るものと思うんですね。そうしたその結論にのっとっての総理の判断が下されるものと、こう思うのでございまして、私は先ほど申し上げましたように、
農産物
に関する限りは、私の見通しとしては、いろいろ
検討
をしてみて、非常に大きな問題が総合的に必ず出てくるものといまそういう見通しに立っておるのでございまして、それをも押し切っての何か措置ということはいまここでは
考え
られません。
堀本宜実
47
○堀本宜実君 関連。 ただいま大臣のお話を承って、安心をしていいのかと思っておるんですが、この機会に、いまのような御決意であるならば聞いておきたいと思いますが、ただいま、アメリカのカリフォルニアにありまする大きいミカン会社、サンキストの副社長が、この四、五日前から日本に来ております。そうして全農なりあるいはいまアメリカにおります宮脇
中央
会会長なりに、サンキストと日本の
農業
協同組合がジュースの販売業、いわゆる企業として合同合弁の企業をやろう、出資はサンキストから一〇〇%出そうということのようでございます。これはどんなに器用なことを言いましても総理が下知をした、いわゆる指示をした、そのことができる、できないということよりも、現実に相手が来て相談をしておるわけで、これは足立
農林大臣
のときに突如として起こってきた問題でございます。順次、お話を申し上げたほうがいいのかもしれませんが、時間がございませんから、それは省略をいたします。足立
構想
の一番初めは、アメリカ全土の果汁をつくる会社と、日本の果汁をつくっておるいわゆる
農業
協同組合とが、合弁で企業をするということについては、日本政府は許可をしてもいいというようなことを言ったと思うのです。ところが、いまアメリカはサンキストだけが代表で来ておるので、合弁だとは思われません。これは一つの単位会社でございます。それでまた、日本におきましても、
農業
協同組合といいながらも、これは総合農協もございますし、専門農協もございます。こういうところがすでに十何件ジュースをつくっておるのでありますが、そういう単一でない、複数でなければ許可をしないという
考え
方に立っておったものが、総合農協なら総合農協だけの全農と契約をして企業化すということでございますれば、それはほとんど単独に総合農協だけにとどまるわけでございます。この問題についてどのようなお
考え
を持っておられるのかどうか。 これはどこかでブレンドしたジュースを飲んでみたら、たいへんうまかった。ジュースというものは品の違ったものをまぜると、かおりが出てきて、味が出てくるというような言い方をしておるのですが、アメリカのジュースをつくる製法、いわゆるジュースをつくりまする方法と、日本がジュースをつくりまする方法とは、方法が違うのですよ。御承知のように、アメリカでは熱処理はしないのです。日本では清涼飲料水をつくる方法でジュースをつくっておるわけです。これが九十三度にぬくめるわけです。あるいは八十度で三十分間熱するわけでございます。私はジュースをかんして飲むなんということを聞いたこともないのです。ジューかんというやつですが、そういうことをする国で、いわゆる技術はきわめておくれておって、それを振り返って改正しようとはしない。どこかで飲んでみたらたいへんうまかったということで、ブレンドしたらうまいのだという
考え
方でいきますることは困ると思いまするが、どうかこの点についてお答えいただきたい。
櫻内義雄
48
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) たいへんそっけないお答えになるので恐縮なんですが、確かにサンキストの副社長であるのか、だれかが来て動いておられることは耳にいたしました。しかし、当面この問題については、宮脇全中会長がアメリカに行かれてお話に触れられておるということも聞いておりますから、できたら、やはり宮脇会長が帰られてから、直接私はいろいろと聞いてみたいと思うことが一つです。 〔理事初
村瀧一郎
君退席、
委員長
着席〕 それから、具体的にサンキスト一〇〇%出資のジュース工場をつくるということについては、すでに堀本
委員
よく御承知だと思うんですが、このジュースの関係は、五〇%以上は、これは外資
導入
は承認を得なければならないんですから、ですから、そういう段階があると思うのですね。したがいまして、かってにいまつくれるというわけのものでないと、こう思います。 それからもう一つ、足達
農林大臣
の当時に、ブレンドする問題について、いろいろ前大臣の御意向もあったようでございまするが、その後の日本のミカンのいまの
状況
、特に政府は相当な緊急対策を講じておる段階におきまして、ジュース工場をここでつくる問題、あるいはオレンジの自由化という問題というものは、おのずから客観
情勢
は違っておると、こう思うんでございます。
高橋雄之助
49
○
高橋雄
之助君 先ほどの大臣の非常に強い御発言を私は了承いたします。 私は、まれに見る大臣として、後世にその名を残すようにひとつお願いをしたい、このことをお願いしておきます。 飼料の問題でございますが、本日は、全国の酪農民が集まりまして大会を開催しておるような
状況
でございます。この飼料の
価格
問題でございまして、なぜ、このように非常に変動が激しいかという問題は、いまさら申し上げるまでもございません。 四十四年以来ながめてみますと、四十四年には八百三十七円値下げした、こういう経過がございますが、さらに四十五年に至りまして千四百円、これは四月でございますが、さらにまた同年の十月に二千二百七十円という値上げをいたしまして、合計三千六百七十円の値上げがあったわけでございます。そういうような経過をたどりまして、四十六年に至りまして、この秋でございますが、トン千八百五十円の値下げ、さらに四十七年の一月に二千三百円の値下げ、また四月には千三百円、このように三回にわたって値下げが行なわれました。これは、アメリカの作況その他まれに見る
状況
その他のいろいろないい
条件
が重なったことと思いますが、合計して五千四百五十円の値下げがあったわけでございまして、このときにあたりましては、
畜産
農家は一応愁眉を開いて
畜産
に精を出そうという気がまえを持ったことも事実でございます。ところが、そういうような愁眉を開いた間もない時期に、四十七年、昨年の秋でございますが、海外の作況並びに諸般の悪
条件
によりまして、飼料の原料
価格
が急騰してまいったわけでございます。 したがって、今年の一月一日から全農連の配合飼料がトン三千二百円、さらにまた高騰を続けておりまする今日、三月一日から四千八百円、これを値上げするということに決定になっておるわけでございますが、それにとどまらず、さらに六月以降この秋までに何回かの値上げをしなければならない、いまの
状況
では。したがって、その見通しは合計しまして一万円に近い値上げをしなければならぬという
状況
でございます。 こういうような
状況
でございますから、酪農民は非常なこれは困惑をしておるような状態でございます。 特にまた、鶏卵にしましても、ブロイラーにしましても、豚肉にしましても、牛乳にいたしましても、牛肉にいたしましても、こういうような値上がりによりまして、当然、これは
消費者
価格
を上げなければならないという
状況
下にありますが、かりにトン千円の値上げをするということになりますれば、鶏卵にいたしましても、一キログラムが三円、あるいはブロイラーも同じ、豚肉も牛肉も同じでございます。牛乳にいたしましても二十五銭の値上げ、これが一万円ということになりますれば、この十倍になるということでございます。こういうような
状況
でありますれば、これは全く
畜産
酪農民は、もう破滅の状態に追い込まれるというようなことでございます。これに対しましては、政府といたしましても、いろいろ緊急的な対策を講じられつつあると思います。先ほどもちょっと質問がありましたが、その緊急対策としての事柄もある程度お聞きしておりますが、具体的にどのように進められておるか、その事情をお伺いいたしたいと思います。
櫻内義雄
50
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 飼料の値上がりについては、非常に
影響
が大きいので、憂慮いたしておるわけでございますが、まずお尋ねの対策につきましては、三月から六月の本来からいうと、上期に集中というわけでございますが、もう二カ月たっておりますから、三月、六月に集中的に、政府操作飼料の麦類約二十五万トンの売却を行なおうと、それから古々米につきまして、約五十万トンを集中的に売却すると、そのことによっての効果を期待をしておるわけであります。 それから御承知の全農、全酪で、安定基金がございまして、それによって値上げをカバーしておるということでございまするので、この安定基金が十分活用されるように、政府としても支援いたしたい。その中身といたしましては、出資がいいのか、融資がいいのか、まだ煮詰まっておりませんが、何らかの積極的な安定基金への援助は、これはいたしたいと、こういうふうに
考え
ております。 なお、
畜産
農家のいろいろこうむる
影響
につきまして、低利の融資によって一応つないでもらおうというようなことも
考え
ておりまするが、これらのこまかい点につきましては、現在大蔵省と折衝中でありますので、担当
局長
のほうからその模様を申し上げることをお許しいただきたいと思いますついずれにいたしましても、政府としてのとり得る措置はここで緊急にいたしまして、値上がりを幾らかでも、その幅を押えるようにつとめてまいりたいと、こういう
所存
でございます。
高橋雄之助
51
○
高橋雄
之助君 いま大臣から御答弁がありましたが、とりあえず緊急に——えさのいわゆる放出の問題、さらにまた値上がりに対するところの金融の措置、あるいは基金に対するところのいわゆる政府のてこ入れ、こういうお話でございましたが、これは緊急にひとつその点を酪農民、あるいは
畜産
農家が安心のできるような形の中で実現してもらいますことを強くお願いしておきます。特にいま
わが国
の
畜産
振興
については、国も非常に力を入れておる状態でございますけれども、それがなかなかそういうように進んでいない。かりに、全国の酪農の関係において
考え
てみますると、三十八年には四十一万七千六百戸といういわゆる酪農農家があったわけでございますが、それが四十七年においては二十四万三千戸、このように減ってしまっております。さらに四十八年度を
考え
ますると、まだ一割程度減るだろう、こういうことでございます。ことに北海道は
稲作転換
で、酪農に変われ、
畜産
に変われ、こういうことを盛んに強く言われておる中においても、三十五年には六万三千——約六万四千戸あった酪農家が、今日二万九千戸、このように激減しておる
状況
でございます。頭数は、かなり多頭化の方向に行っていますから、頭数はかなりありますけれども、酪農民そのものが減ってしまっている、こういうことでございます。その他の
畜産
農家も同じようなことがいわれるわけでございまして、政府の
施策
と実態とがこのような食い違いをしておるということに大きな問題があるわけでございます。えさの問題ばかりではなく、いわゆる経営
拡大
による大きな資金に対するところの借金、あるいはその他のいろいろな経費、——さらにはえさの問題、いま申しましたような事柄が積み重なって、このようなことになっておるわけでございまして、いかに政府が
畜産
振興
を唱えても、現実はそれと全く反対の方向に進んでおるというのが現実でございますので、この点を十分ひとつお
考え
の上、さらに今後の対策を練り直してもらいたい、このように
考え
るわけでございます。 時間がもうすでになくなっておりますが、まだまだたくさんあるんでございますけれども、以上申し上げまして、緊急対策と今後の対策について、えさの問題も——
稲作転換
に伴うえさのいわゆる増産奨励、これなどもいろいろと
施策
を講ずれば、これはできることでございます。デントコーンあたりでも、どんどん水田にやらしておる。北海道あたりは特にこのデントコーンの生育がよろしいわけでございますが、これに対して
機械
その他のいろいろな対策、その他の具体的な対策を進めますると、いわゆる自給率が非常に高まるわけでございます。こういう点もひとつ思い切ってやってもらいたいと思うのでございますが、たとえば食糧全体の問題、えさの問題、これは関連することでございますけれども、いま世界的にこういうような
状況
でございます。 米の問題も韓国をはじめとして、各国が日本の米をほしいということで、非常な強い
要請
があることも大臣御承知のとおりでございます。そうしてまた、いまモチ米を入れなければならない。さらにはまた今後十年、十五年たちますると、
人口
の
増加
というものは非常に激しいわけでございます。二十五年たつと、いまの三十六億の
人口
が七十二億になる、あるいは七十四億になるといっています。そういう状態の中で、世界的な食糧の問題がこの際非常に大きく台頭してきておるわけでございますから、私はそういうものに対応して、場当たりでなく、やはり今後に対応して、思い切った措置をしなければ、日本の食糧あるいは飼料の対策は全く窮地におちいる、こういうことを私は端的に申し上げたいわけでございます。そういうことでございますので、ぜひともその点よろしくお願い申し上げたいと思います。 大豆の問題、先ほどいろいろ質問がありましたが、
昭和
三十六年にこれはいわゆる自由化、全く自由化されたわけでございます。そういうようなことを
考え
ますると、自由化にあたりましては、ずいぶん強い反対があった一わけでございます。大豆を自由化されることが、非常に農民が受ける
影響
というのはきわめて大きい、こういうことがあったわけでございますが、そのときにはやはり政府もその点については十分
生産対策
、
保護
対策、いわゆる不足払い、こういうものに全力をあげる、だからこれを自由化することを了解してもらいたいという国会の答弁もありましたし、団体に対する言い分でもあったわけでございます。ところが、なるほど三十六年についてはいわゆる交付金あるいは不足払い、その他についての
予算
として三十億取ったわけです。こういうような金を政府は取ってくれました。三十億という金はかなり大きい金ですから、政府もほんとうにこの点については力を入れてくれているなあ、こういう
考え
を持ったのでございますが、しかし結果としては、八億二千万しか使ってない、これは大豆、なたねを含めてですよ。大豆、なたね含めて三十億の
予算
を取りながら、八億二千万しか使わない。単なるパリティー方式による計算その他によってはじいた大豆の
価格
に対するいわゆる交付金に過ぎない。
生産対策
その他の問題には何ら触れていない。そうして二十億七千万という金は余している。その後ずっと見ましても——時間がありませんから省略いたしますが、その次の年は十七億、十四億、こういうふうに余しておるのです。私は、大豆を——やはり国内で、
国民
の
生活
の中で、あるいは家畜の
生活
の中で、その日に米を食べなくてもパンを食べておる。いわゆる大豆を原料としたみそ、しょうゆ、あるいはとうふ、納豆あるいはもやし、これは必ず食べておる。むしろ米よりも重大な主食でございます、数は米ほどではありませんけれども。それほど重要な
国民
の必需品であるものを軽視して今日に至っておる。その責任は私は政府にあると思います。こういうようなことを言い切って、やっておるにかかわらず、まさに今日はまことに微々たるものに過ぎない。こういうような
状況
が今日の大豆、なたねの現状でございます。なたねは全くその影をひそめておる。大豆は
需要
の四%しか
生産
していない、そういうようなことでございます。そういうようなことを
考え
ますると、やはりこれは国内で自給率を高めて、そしてやはりいざいろいろな問題のあったときに、国内である程度調整ができる、こういう見通しの中でやらないと、単なる、えさにしても外国の耕作——いわゆる日常の食糧にしても、外国に依存すればよろしいと、いままで学者あるいは
経済
界でいろいろ言っておることを
農林省
はそのまま行なっておる、そこに問題があるわけでございます。この際、ひとつ思い切って、やはり国の将来、いま申し上げましたとおり、
人口
の
増加
に伴う食糧不足が目の前にあるわけですから、そういうことを真剣にお
考え
になってやってもらいたい。 昨年の基準
価格
をきめるときにおいても、私どもは団体からの強い
要請
がありました。やはり
価格
に対して七千何ぼ、そして二千円の奨励金をつけてくれと。これも長くは要らない。いわゆる大豆が相当作付できる、定着するまでの間、一俵二千円の奨励金をつけてもらいたい。われわれもそれを引き受けていろいろとやりましたけれども、いろいろ問題がありまして、なかなかその実現ができなかった。しかも大豆は五千八百円に基準
価格
がきまった。そういうような中で、今日、北海道の
産地
でもって、すでに六十キロ一万二千円。東京へ来て一万五千円、一万七千円、あるいはそれ以上にいわゆる相場が立っておるという
状況
でございます。五万トンのもので冷やすといいましても、その五万トンはいずれまた消化されましょう。いろいろアメリカ、中国の問題も言っておりますが、そういうような他力本願的なものの
考え
方は、いずれ大きな問題があらわれてくる。こういうことをお
考え
になりまして、やはり本年の春、これはもう九月、十月に収穫になりますが、九月のあるいは十月の収穫の時期にあたって、交付金の関係から基準
価格
をきめるということは、今年作付する意欲がわかないのです。したがって、三月中に、いままでの
制度
がありますけれども、その
制度
は変えればいいんであります。ですから、この作付前に、本年の大豆はこれこれの
価格
にきめよう、それで、国は、いま申し上げたようなことでございますから、
国民
全体のために使う金です、
国民
全体のために使う金で、
生産者
ばかりではありません。したがって奨励金を二千円なりそれ以上のものをつける、こういうことで大豆の一大増産運動を
展開
する、こういうことにひとつお
考え
を願いたい。このことを特にお願いするわけでございますが、幸い、大臣おられますが、私が申し上げたようなことについて大臣はどうお
考え
になりますか、お伺いいたします。
櫻内義雄
52
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 大豆についての御意見は十分理解ができます。また同時に、私としては昨年の国際的な不作というものを受けての、日本のこれからの
農産物
に対してどう
考え
ていくか、非常にいい転機がきておるように思うのであります。また同時に、ただいまるる申し述べられましたように、
農林省
の一番大きい目標が食糧の安定
供給
と、その安定
供給
に支障のあるような事情というものがここにいろいろあると、こういうことは当然われわれの責任でございます。これを安定
供給
のできる方向へ変えていくということがわれわれの
使命
だと、こう思うのであります。そういう基本的な
考え
の上に立ちまして、大豆の
生産
については現在四%のほんのわずかな自給率である。これを少なくとも食品用のものについては、すみやかに自給できるように持っていくのが、お話のような、とうふとか、みそとか、しょうゆとか、
生活
必需品に最も関係があるのでございまするから、当然やらなきやならないというふうに思います。昨年十月の試案からいうと、五十七年で一二%の自給率で、食品原料用が七九%と、こういうことでございます。これは相当権威ある方々によってつくられたものでございますので、私は十分尊重はしてまいりたいと思いまするが、しかし、昨今の諸
情勢
を勘案いたしまするときに、もう少し自給率を高めるべきではないか。また、食品原料用は、できれば、一〇〇%近いところへ持っていくようにするのが、この際、私としては
考え
たいところでございます。 そこで、四十八年度の
予算
の上におきましては、特にことしは、米の
生産調整
では転作に力を入れよう、こういうことで、その転作も主として飼料の関係に使おう、こういうことでございます。この辺は、ひとつ高橋
委員
にも御理解をちょうだいしたいと思うのでございまして、御指摘のありました、大豆増産のための
各種
の
施策
に、もっと積極的に手を打っていくということにつきましては、私も全く同感であるということを申し上げておきます。
河口陽一
53
○河口陽一君 時間がないようですから、はしょって個条的に申し上げます。 私は、前段に申し上げたいことは、日本農民は、今日ほど
農政
に対する不安と不満を持った時期はないと
考え
ておるものでございますが、そこへさらに自由化というような問題がおおいかぶさってまいっております。大豆の値上げ、アズキの値上げ、さらに承れば、モチ米も値が上がった。この値上がりが農民のふところに入っておれば、私はある程度満足するんですが、これはことごとく農民の手に、ふところに入っていないという、こういうところに
農政
の貧困さを訴えられると
考え
ておるのでございます。
昭和
三十六年でしたか、
農業
基本法をつくったときは、今後、日本の
農産物
を自由化に対応するために、あの
農業
基本法が基本的につくられたと私どもは理解をいたしておりますが、結果的には、御案内のように、日本の高度
経済
の成長にそれが全部吸い取られ、農民は現状維持に、もうきゅうきゅうとしておるという現状でございます。
農業
基本法を非難する意思は私はございませんが、自由化までに到達する役目を果たさなかったというところに、非常な不安と不満を持つような事態を生んでおると
考え
ます。いろいろ
農政
に対する意見も申し上げたいんですが、そういう経過の中にあって、今回ビートに対しては非常に
農林省
も積極的にこれと取り組んでいただき、
昭和
三十八年に砂糖と大豆の自由化が行なわれる。今日になってみて、大豆は四%の
生産
、ビート糖に至っては、当時十四、五万トンであったものが三十五万トンに余る
生産
が達成される、こういう経過を見ますと、この自由化に対応する対策も、十分ひとつ両者を比較して御
検討
いただかなければならぬと存じます。 いろいろ申し上げる時間がないから、そういう問題点を指摘して核心に触れたいと存じまするが、昨年は異常天候でビートの一大増産が達成され、北海道の反収ビート量は世界の第二位とか言われるもう欧州を凌駕するだけの品種改良、栽培技術というものが
向上
いたしました。これはビート
価格
というものが安定しておるところに、農民が意欲を持って取り組んだ成果と言わなければならぬと存じます。まあ、そういう成果をあげたんですが、ことしは暖冬異変で、いまだかってない、農家から出荷されたビートが、パイルされておる段階で腐敗をいたしておるのでございます。これが畑で腐敗したのであれば、これは災害対策で取り上げて十分対応する対策が
検討
されると思うのですが、残念なことに農家からすでに出荷され、代金は受け取ってしまった段階で、
流通
段階というか、加工段階で腐敗をした。その損害額が四十二億円と言われておるわけでございますが、きびしいこのビート行政の中で、加工賃にいたしましても、
生産
費にいたしましても、しさいな試算の上に立ってこれが
運営
されておるために、工場等においても、企業等においても余力が全くない。そういう段階でこういう事態が起きた。 先般来いろいろ陳情申し上げて、過去において市価参酌の問題が非常に大きく取り上げられ、従来市価の七〇%しか計算をされておらぬものを、
生産者
並びに企業は、一〇〇%参酌をしていただきたいという
要請
を重ねてまいりましたが、今回、
農林省
の御努力によりまして、急遽九〇%まで参酌が行なわれるということに対しては、私はこの席から厚くお礼を申し上げ、ビート対策に対する
農林省
当局の御熱意に敬意を表する次第でございますが、この市価参酌によって、ことしのビート糖の恵まれる金額は十九億円といっております。しかし、一方、ビートの腐敗のほうは、四十二億円の損失という計算を業界から出されておるわけでございまして、このきびしいビート製造業にあって、これの損失を補てんする力は全くないと私どもは
考え
ておるので、これらに対する
農林省
は積極的なひとつ御研究をいただき、対策を立てていただきたいという意見を申し上げる次第で、先般も私は、北連の中斜里工場、日甜の帯広工場等を視察をいたしてまいりましたが、畑で腐った分は人手で選別をいたしたものを、工場に運んでこれを水洗いをすると、さらに腐ったものがある。それを手よりで選別をしている。中斜里工場では、一日三千七、八百トンの処理をいたしておりますが、一日三十トンぐらいずつの腐ったビートをより出さなければならぬ。手間はかかる、製品は非常に歩どまりが低下する、まあ全く同情すべき状態であり、日甜の工場は二千トンまで切っておらぬようでしたが、ここでも、一日十トン余の手よりをして選別をいたしておる。過去三十六年に、こういう水ビートのような状態がございましたが、そのとき私は当事者でございましたので記憶いたしておりますが、あのビートを砕断してタワーに入れると、それが溶けてしまって、のりのようになって、砂糖の回収に非常に苦労をしたときがございましたが、そういう水ビートでも、天候の関係で腐らずに済んだんですが、ことしは年前に雨が降ったり、あるいはあたたかいために、寒くならぬために、これらの水がビートの中に浸透して腐敗したと聞いております。非常に天災的な要素が多いので、これらに対する
農林省
の今日まで研究された対策、今後の対策等、大臣を含めて
局長
の御意見がありましたら承りたいと存じます。
池田正範
54
○
政府委員
(池田正範君) ただいまの河口先生からお話ございました現地の実情、私どもも非常に心配になりまして、この三日から七日までの間に日甜の芽室、美幌の両工場、あるいは北通の中斜里、北糖の北見、本別といったところを、ずっと歴訪いたしまして現場を見てまいっております。確かに御指摘のように、いわゆる俗に言うろうそく病といいますか、ろうそくビートが非常に多く出ておりまして、そのために
機械
の目詰まりを起こすといったような形で、全体としてかなり収量に、製品の歩どまりに悪い
影響
が出てきていることは、そのとおりであろうかと思います。特にてん菜の
生産
量自体が、当初見込みました二百四十五万トンに比べまして二百七十六万トン、大根のでき自体はまことに大豊作でございまして、大根の目方買いをいたしておりますから、農家自体としてはそれでいいのでありますけれども、中の砂糖分が薄いということで、これを買いました工場自身がロスが非常に大きくなった、あるいは歩どまりが低下するというふうなことから非常に困っておるわけでございます。 そこで、実は最近のいろいろな実情の中で、一つは糖価安定の
制度
の中で、これも
輸入
糖との関連で、一定の安定帯をきめて政策を実行しておるわけでございますが、その市価が必ずしも他の
農産物
に比べて高くないというふうなことから、ただいま御指摘いただきましたように、とりあえずの対策といたしましては、市価参酌率を九〇%に引き上げることによって、当面の対応策を
考え
たわけでございますけれども、しかしながら、歩どまりの悪化の面につきましては、最近の暖冬
状況
から、かなり材料の分量がふえて、こなすのに時間がかかるというふうなことで、いまの状態でいきますというと、おそらく三月の十日過ぎくらいまで、平生からいいますというと、おそらく一週間ないし十日くらいよけい先になりませんというと、全体の製糖の結果が出てこないという状態にございます。したがって、私どもとしては、それらの結果を待ちまして、十分
地域
別の問題点も洗い出しまして、全体の対策を
検討
しなければいけないというふうに
考え
ております。 ただ、一つだけ申し上げておきたいことは、これはいわゆる農家が売り渡す大根の
価格
は、安い、高いの問題ではなくて、たまたま買った大根の歩どまりが非常に悪いために、製糖会社自体の採算が非常に悪化する。これに対して、何らかの形をとらなければ、これに売り込んでおるところの農民が非常に安定した
生産
ができないのだというところに問題があるわけでございます。したがって、毎年毎年私どもとしては、これは事前にビートの
価格
をきめます際に、一応の歩どまりなり、ロスなりを見込んで、それに平均的な製造経費を見込んで対策を立てておるわけでございますから、そこで、大根のできが、時によってはいい、時によっては悪い、これは農作物でございますから、当然変動が出てまいるわけでございます。会社側はそれを買うことによってある場合には、当初見込みました歩どまりよりもよい場合もございます。そういう場合には、当然ある意味での余裕が出てくるわけでございます。ところが、ことしのようなことになりますと、逆に悪くなる。そこにある程度の幅が、企業採算上、のみ込める幅と、農作物の天候に支配される部分の不安定性との相関で、のみ込めるか、のみ込めないかということがきまってくるんだろうと思います。 そういうふうな企業の独自性の問題もございますので、そういったことを含めて、十分ひとつ
検討
した上で、これは買う先の砂糖会社が全部つぶれてしまうということになりますと、北海道のビート農家が非常に困るわけでございますので、そこいらは十分頭の中に入れながら、対応策を
考え
てまいりたい、そういうふうに
考え
ております。
塩出啓典
55
○塩出
啓典
君 それでは、時間もだいぶたちましたので、質問も要点をやりますので、答弁のほうもひとつ要点だけお願いしたいと思います。 最初に、これも非常に緊急な問題でございますが、二月十二日に、何者かによって日本海に大量の油が不法投棄されまして、これが島根県の東部海岸に二月十二日の朝漂着をし、漁民の通報によって初めて海上保安庁も知ったと、そういうような事件があったわけでございます。油の量は、県の発表では三百トンとも一千トンとも言われ、
漁業
被害は数億円出ておる、このように聞いておるわけでございますが、海上保安庁は、犯人の捜査に全力をあげているようでございますが、犯人がわかったのかどうかその点。簡単でいいです。
紅村武
56
○
政府委員
(紅村武君) お答えいたします。 実は、まだ本件につきましては、捜査中の段階でございまして、詳細な
内容
を御
説明
申し上げますことは、ちょっと控えさしていただきたいのでございますけれども、現在私どもが
考え
ておりますのは、当時沖合いを通行いたしました内航のタンカーというものがまず可能性が大きいのじゃないかというふうに
考え
ております。それからさらに内航タンカー以外に、たとえば陸上のタンクを洗った油を流したというような可能性もまだあるのではないかということも
考え
られます。それからさらに、これは未確認情報でございますけれども、実は十二日より相当程度前にもある程度の浮遊油を日本海の沖合いで見たという未確認情報もございまして、そういう未確認情報も
考え
ますと、実は非常に捜査の範囲が広くなってまいります。そういうことで、私ども現在鋭意捜査をいたしておりますけれども、まだ実は具体的な目星はついていないという段階でございます。今後も鋭意捜査を進めたいと思っております。
塩出啓典
57
○塩出
啓典
君 それで、いまも話がありましたように、二月の十二日の朝、海岸に着いてわかったわけでございますが、実際は前日の昼ごろ油が流れておったというのを確認している船もあるし、あるいはずっと前に流れているというそういう情報もある。ところが、そういうのが海岸に着かなければわからない、こういうことでは、まことに非常に困ると思うのですね。私も先般、境の海上保安部へ参りましたところが、あそこは巡視艇が二隻ございますが、四百五十トンの「へくら」というのは
昭和
二十六年の建造、もうすでに二十年以上たっているわけですね、スピードは十二ノット、二百七十トンの「ながら」というのも、
昭和
二十六年建造で十二ノットである。それから巡視艇は十五メートルと十二メートルがあるわけですが、十五メートルのほうは
昭和
四十五年にできて十六ノットでございますが、十二メートルのほうは戦前のやつを
昭和
四十三年に改造して、現在スピードが十三ノット。この巡視艇は風速十メートル以上が出ると湾外に出れない、そういう状態ですね。そして飛行機も全然第八管区、日本海側にはないわけですね。こういうことでは、もちろん非常に限られた
予算
の中だと思うのですけれども、われわれは自衛隊の装備に比べて、あまりにもこういう点が手薄じゃないか、これではまことに海の上は無法状態と言わざるを得ない、そのように思うのでございますが、この点については、海上保安庁としては今後どうしますか。
紅村武
58
○
政府委員
(紅村武君) 申し上げるまでもないことでございますが、この海上
公害
の問題につきましては、現在、海上保安庁といたしましても、最も
重点
を置いておるものの一つでございまして、こういたしました
観点
から、私ども
昭和
四十三年度から五カ年計画でタンカーの交通量の多い地区からこういった、具体的に申し上げますと、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海といったところから、
重点
的に
整備
を始めてまいったわけでございます。そういうようなことで、実は日本海側は、先生御指摘のように、若干手薄な面があったということは否定できないところでございますけれども、こういった
重点
的な地区が一応
整備
の目鼻がつきましたので、私どもといたしましては
昭和
四十八年度以降からは、ただいま申し上げました地区以外におきましても、日本海をもちろん含めてでございますが、タンカーの出入の比較的多い港を
中心
といたしました地区につきまして、流出油防除
体制
を
強化
いたしますために、三十の海上保安部署にオイルフェンス、それから油処理剤といったようなものを四カ年計画で
整備
してまいりたいというふうに
考え
ております。それで、この三十の海上保安部署の中に、日本海側は八カ所が含まれております。 それから現在、日本海側に配備されております巡視船艇でございますが、これはただいま先生御指摘ございましたように、実は非常に老朽船艇が多いわけでございますが、現有勢力といたしましては、巡視船が十四隻それから巡視艇が二十六隻日本海側に配属いたしてございます。しかし、このうちの実は約半分ぐらいが、これは海上保安庁が発足当時、当時非常に資材も悪うございまして、それからまた、占領下でもございまして、性能上の制約というものがありまして、そういう
条件
のもとに建造されたものでございます。御指摘のとおりに速力もおそく、装備も非常に悪いという低性能船舶でございます。これにつきましても、現在私どもとしましては、鋭意こういった老朽船舶を、できるだけ早く代替建造を行ないまして、いい船にかえてまいりたいというように
考え
ておりまして、四十八年度におきましても、相当の
予算
が認められておるわけでございます。この
予算
の中から、日本海側には、四十八年度では三隻ぐらい巡視艇が代替できるものというふうに現在私どもは
考え
ております。 それから、なお航空機の関係でございますが、これも御指摘のように、現在、日本海側には新潟に航空基地があるだけでございます。しかしながら、広島に航空基地がございまして、ここには固定翼航空機もおりますし、それからまた羽田にはYSが二機おります。こういった航空機を効率的に運用することによりまして、できる限りの効率をあげてまいりたい、こういうふうに
考え
ておる次第でございます。
塩出啓典
59
○塩出
啓典
君
水産庁長官
にお伺いしますが、日本海は最近イカ釣り漁船も非常にふえているわけですね。大和堆という、これは日本海のどまん中のあたりでございますが、ここに多いときには八百隻ものイカ釣り漁船が操業しておるわけですね。それで現在、たとえば境の港から十二ノットの船で参りますと、二十四時間かかるそうでございまして、こういうことでは、漁民の生命を守る上からも、あるいは急病人が出た、けが人が出た、その場合でも、海上保安庁としても非常に弱いわけですね。私は、そういった漁民の——遠く日本を離れた海上で操業している漁民の生命を守るためにも、やはりこういう海上保安庁の
体制
は
強化
すべきではないか。これは
水産庁長官
としても強力に
推進
していかなければいけないんじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
荒勝巖
60
○
政府委員
(
荒勝
巖君) ふだんから海上保安庁のほうに漁船の安全につきましては、特にお願いいたしまして、北は遠くオホーツクから南のほうまでお願いしておるわけでありますが、このほか
水産庁
といたしましても、ふだんから多少取り締まり船等を持っておりまして、共同いたしまして、こういう取り締まりを
中心
としながら、なお漁船の安全につきましては、その一助にしておりますけれども、私たちといたしましても、なお
水産庁
も船の
強化
をいたしまして、こういった事故のないように今後極力努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
塩出啓典
61
○塩出
啓典
君
農林大臣
に要望いたしますが、これは
農林大臣
の出身県の島根県のことでもあるし、また、これは海上保安庁の
体制
を
強化
していくということは、やはり国全体の姿勢の中で
考え
ていかなければならない問題でもありますし、そういう点で
農林大臣
は、水産方面についてもこれは権限があるわけですから、そういう立場から、これは海上保安庁の監視
体制
の
強化
とともに、そういう漁民の海難救助の面からも、これはさらに強力に
推進
をしていかなければいけない問題ではないかと思いますし、そういった点、今後ともひとつ大いに力を入れてやってもらいたい。そのことを要望したいわけです。
櫻内義雄
62
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 塩出
委員
のお話は、私の出身県の関係のことでございまして、きょうの御質問を実はたいへんありがたく承っておったわけでございます。
国務大臣
の一人として、海上保安庁の日本海側の現状、境港を
中心
としての現在の巡視艇の非常に能力の落ちておる点などの御指摘は、私もそのとおりに感じまするし、今後の日本海における航行船舶も相当ふえることと思いますので、日本海側に対する海上保安庁の配艦と申しますか、配船と申しますか、あるいは飛行機等を十分配備していただくように私もつとめてまいりたいと思います。 また、漁民の海難に対しての御注意をいただいたわけでございまするが、日本海側の
状況
あるいはまた山陰沖には隠岐の島を控えております
状況
から、漁民がもっと安心して操業に従事できるように、
水産庁
としても、できるだけの措置を講じていくことは当然だとかように存じます。
塩出啓典
63
○塩出
啓典
君 まあ先般も一月十日に水島、あるいは一月十六日に瀬戸内海の玉野等においても、タンカーの事故がありまして、大量の油が海に流され、そのために、非常にノリ等に対して何億の被害が出たわけでございますが、現在、海へ油が投棄された場合の対策というのは全くお手上げの状態であります。この日本海
沿岸
の境海上保安部にもオイルフェンスが五百メートルしかない。処理剤もいいのがない。結局は、むしろで吸わしたり、手じゃくで汲み取ったり、そういうようなことで、この科学の時代に、まことに原始的なやり方で、はなはだこれはよろしくないと思うのですね。そういう点で、これについては、いまも海上保安庁のほうから、オイルフェンスあるいは処理剤の問題についても、四カ年計画で
整備
をしていくというお話でございますが、やはり油を処理する近代的なそういうものも現在の科学ですれば、本気になってやれば、当然できる問題ではないかと思うのですけれども、そんな油を処理する方法、サンドポンプみたいに、
機械
でぱっぱっと吸い上げるとか、そういうような方法もやはり含めて、今後そういう問題については研究をしていただきたい。このことを要望しておきます。 それから先般、海上保安庁の昨年十二月二十六日の発表によりますと、年々油の廃棄の件数が増大をして、
昭和
四十七年では、四十六年の一・七倍も汚染の件数がふえている。しかもその八六%は油である。また、二月十二日から五日間一斉
調査
をやったそうでございますが、多くの違反が摘発をされまして、瀬戸内海の第六管区では六隻に一隻が違反をしておる。そういう状態で、私は、船のモラルというのは全く地に落ちているんじゃないかと思う。こういうことでは、
国民
にとっても、非常によろしくないことですしね、また
漁業
にも大きな被害を及ぼすとすれば、これも非常に大きな問題じゃないかと思うんですけれどもね。そういう点で運輸省等はどういう指導をしているのかですね。非常に私はなまぬるいと思うんですが、その点どうですか。
勝目久二郎
64
○
説明員
(
勝目久二郎
君) お答えいたします。 先生の御指摘まことにごもっともな点がございます。先般の島根沖の油の漂着事故におきましても、先生先ほどおっしゃいましたように、漂着以前に他の船舶がそういう油が漂流しておるということを認めているわけでございます。で、海洋汚染防止法におきましては、大量の油のそういう漂流がありた場合には、直ちに関係部署に通報しろということになっているわけでございますが、そういう改正がありながら、実はそういうことが守られていないという実情があるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、関係
事業
者、船舶等に対します指導等を従前にも増して
強化
してやらなきやならぬというように
考え
ておるわけでございます。海上保安庁と連携をいたしまして、たとえば、海の週間あるいは海の月間というような記念行事の際に、あわせてやるとか、あるいはこの間のような、立ち入り検査を一斉に行なうとかいうような、海洋汚染防止に関する趣旨の周知徹底をはかるということを、さらに一そう行なわなければならぬというように
考え
ておるわけでございます。予定といたしましては、油濁防止管理者の養成とか、PR関係の
事業
をさらに充実をするというようなことを通じて、その海洋汚染防止の趣旨を徹底させるよう努力していきたいというように
考え
ております。
塩出啓典
65
○塩出
啓典
君 私は、非常に罰金が安過ぎると思うんですね、罰金がね。大体二十万円以下の罰金、六カ月以下の懲役と。いままで海上保安庁からもらった資料では、二月十二日の松山海上保安部のS号油排出事件では三万円の罰金ですね。それからJ号油排出事件では五万円の罰金。やはりタンカーが、たとえばバラスト水に入っておる油を、現在海洋汚染防止法ではちゃんと排油処理場で処理しなきゃいけない。ところが、そうなると、時間もかかるし、それには金がかかるわけですね。そういうことよりは、少々ばれても罰金払ったほうが安いわけですからね。そういうわけで——これは、罰金はもっと、罰金払えば非常に損するんだと、やっぱり法律を守ったほうがいいんだと、そういうようでなければ、正直者がばかをみるんじゃないかと思うんですね。この点で、海上保安庁としても海洋汚染防止法の罰則をもっと
強化
をしてやってもらいたい。どうですか。
紅村武
66
○
政府委員
(紅村武君) ただいま罰金が、あるいは罰金以外の罰則がちょっと軽過ぎるのではないかという御指摘がございますが、実はそういう御批判もあるわけでございますけれども、実はこういった罰則につきましては、法務省のほうとも御相談をいたしまして、ほかの案件との比較考量というような問題もございますので、実は海上保安庁だけではこの点はいかんともしがたいというのが実情でございます。ただいま先生おっしゃいましたように、罰則をかけるのは何でございますけれども、それ以上にやはりモラルの問題であるというふうに思います。ただいま安全
公害課長
が申し上げましたが、私どもといたしましても、これは運輸省におきましても当然やるわけでございますけれども、海上保安庁といたしましても、できるだけそういう機会をつくりまして、そういうモラルを
向上
させるというふうに広報活動を
強化
してまいりたいというふうに
考え
ておるわけでございます。
塩出啓典
67
○塩出
啓典
君 これは
農林大臣
に
農林省
水産庁
に聞きたいのですが、結局今回の場合は原因がわからないわけですね——それは、調べているからわかるかもしれませんけれども、いままでわからない場合というのが非常に多いわけですよ。わからない場合は、結局漁民の人が、いままで瀬戸内海等においても、ノリ等に大きな被害を受けても泣き寝入りをしなければいかぬ、こういう状態ですね。これはやはり私は非常によくないと思うのですね。いま、私もこの新聞で見たのですが、昨年の十二月二十八日に、ロンドンにおきまして油濁損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約、こういうのに日本が署名をした。こういう新聞記事をきのう読みましたけれども、そういう油による
漁業
被害あるいはその他の被害の補償というのは、やっぱり世界的にも大きな問題になってきていると思うのですね。現在の保険
制度
では、犯人がわかれば、それは保険加入しておれば出る。犯人がわからない場合どうするか。やはり私は、たとえばそういう場合には、全タンカーの共同責任として、タンカーがそれぞれ基金を積み立てておいて、そうしてそこから払うと、そういうことになれば、やっぱり一つのタンカーが、隣のタンカーがたれ流しておると、いま海上保安庁はそういう通報
制度
もとっておるようですけれども、なかなかよそのことなんか、自分に関係なければ通報なんかしないと思うのですよ。けれども、やっぱりタンカーの共同の責任ということになれば、そういうことからもやはり海のモラルというものは
向上
していくんじゃないか、また泣き寝入りの漁民も救うことができると思うのですね。そういうわけで、この国際条約においては、これは船主じゃなしに、石油会社など、油の受け取り者が基金を拠出すると、何かそういうふうになっておるそうでございますが、石油会社は、現在のドルの切り下げによりましても、非常にそういう点でばく大な利益、そして油の値上げをしてもうけているわけですから、そういうところからこういう基金を出せるということは、現在十分可能な問題じゃないかと思うのです。そういうような、やはり原因不明の場合の被害の補償
体制
というものを
検討
すべきだ。これを何でもかんでも、もう国から出すとするのは、やっぱり国から出すのは国の税金ですから、
国民
感情としてもよろしくない点があると思うのですね。こういう
公害
は原因者が負担すると、そういうPPPの原則からいっても、私はそういった新たな
制度
をつくるべきであると思うのでございます。その点
検討
する決意があるのかどうかですね。
荒勝巖
68
○
政府委員
(
荒勝
巖君) 最近とみに、ただいま御指摘のように、油によります
漁場
の被害が非常に頻発というか、ふえてきておりまして、私たちこれが対策に非常に苦慮している次第でございます。特に原因者がはっきりしています場合は、それぞれ原因者負担の原則に基づきまして、それぞれの被害漁民のほうから請求書が出され、また大方のタンカーあるいは船は、それぞれ船主保険というような形で保険にも加入されておりまして、それで大体何千万円とか何億円とか、支払いがわりあいに行なわれまして、保険のほうから結局それが補てんされているという形になっておりまして、これはわりあいにうまくいっているのでありますが、問題は、原因者がわからない、夜陰に流されたとか、あるいは多くの船が、どの船が流したかさっぱりわからぬというようなときの処理に非常に従来困っておりまして、それがさらに最近頻発してきておるということで、極力そういった犯人の追跡には保安庁のほうにもお願いいたし、また、県当局等もいろいろ調べているようでございますが、結局わからないときはわからないということになっているわけでございます。その結果、被害が非常に大きな場合には、二十億円くらいをこえるような場合には、国といたしまして天災融資法に準じた発動ということで、一昨年でございますか、新潟のような事故の場合は、国として処理いたしておりますが、非常に小さい事故、明らかに油の被害による事故であっても小さな金額の場合は、その当該県のほうで、いろいろ天災融資法に準じた措置等を講ぜられ、被害対策を講ぜられ、あるいは当該市町村で、その油の防除に要した経費等を持たれるというような形で、まあ現在推移しているわけでございますが、私たちといたしましては、やはりこういうふうに頻発してきておりますので、何らかの形でただいま御指摘がありましたように、油の
公害
のみならず、そのほかの水産につきましての
公害
等につきまして、何らかの形で別途いろいろ対策を講ずべきではなかろうかということで、先般来、内部でもいろいろ
検討
はいたしておりますが、そういうものにつきまして、いま直ちにここで
検討
結果といいますか、結論を申し上げる段階ではございませんが、やはりその泣き寝入りといいますか、被害を受けた漁民に対する対策ということにつきましては、国としても別途姿勢を正して
検討
せざるを得ないんではなかろうかと、こういうふうに
考え
ている次第でございます。
塩出啓典
69
○塩出
啓典
君 今回の島根沖の場合、被害の金額、これはどうなりますか。
荒勝巖
70
○
政府委員
(
荒勝
巖君) 先般の島根県の被害に際しまして、直ちに私のほうから担当の参事官を現地へ派遣いたしまして、県並びに地元あるいは海上保安庁等といろいろ
調査
したわけでございます。いまのところ、まあ概算でございますが、おおむね被害金額といたしましては三億六、七千万円前後というふうに被害額が一応報告されておりますが、そのうち岩ノリにつきましては、まあ大体ああいうコールタール状の油が付着いたしてしまいまして、これはまあおおむね全滅といいますか、もうどうにも対策は講ぜられないと、ただ養殖ワカメ等につきましては、しばらくの間、とらずに海の下へ沈めておきまして、やがて油のにおい等がなくなる時期を待ちまして、とれたら、あるいは
利用
できるんじゃなかろうかということで、採取の中止、そのほかアワビ、サザエ等の、こういった貝類につきましても、ただいま採取を停止いたしまして、その
状況
を見守っている次第でございまして、これらが、そのうちに食用にたえ得るようになれば、あるいは被害額ではなくて、多少の販売期間が延長になるという形で、まあ救出といいますか、助けられるんじゃなかろうかというふうに
考え
ている次第でございます。 と申しますのは、新潟で非常にああいう大災害があったときの先例で、これはたいへんなことになったという
考え
方があったんでございますが、その直後にはその当該魚とか、こういった魚介類等も水揚げしますと、くさくて食用にたえない。これはあまり死滅が少なかった例もありまして、その直後には、油の質等の関係もございますが、わりあいに早い機会に食用にたえ得るようになったという経験、まああまりよくない経験でございますが、そういう経験値もございますので、担当官が現地に参上いたしまして、特に島根県の場合は、こういった事故は初めてだったということで、現地の漁民も、県も、非常に、まあショックといいますか、があったようでございますが、そういったことにつきまして、
水産庁
より話をいたしまして、しばらく採取を差し控えると、岩ノリだけはどうもしようがないけれども、あとの魚介類、あるいは養殖ワカメ等につきましては、しばらく様子を見た上でやるように、
試験研究
機関も動員いたしまして、そういった指導をいたしている次第でございます。
塩出啓典
71
○塩出
啓典
君 これは補償については結局いまのところ方法ないわけですね。簡単にひとつ……。
荒勝巖
72
○
政府委員
(
荒勝
巖君) 補償につきましては、ただいま県がさしあたり一億円を漁民に低利融資をするということで、信連に預託をするという方針で進んでいる次第でございます。 さらに
漁場
の復旧対策等につきましては、岩ノリ、サザエ、アワビ等の
漁場
の掃除費ということをやっておりますが、これは市町村が
事業
主体でございますが、県といたしまして約六百万円ほどの清掃費、それから岩礁、ああいう、べとべとした油が付着いたしますと、来年岩ノリができなくなるということで、そこの岩礁の表面を爆破してやるという費用が約二千万円ぐらいでございますが、こういったものにつきまして県が相当な費用を持つということのほか、さらにくさい魚が売れなくなるという心配等もございますので、だいじょうぶになったときには、広報活動する、あるいは試食会をやって食べられるということを大いに宣伝する、あるいは被害の
調査
等を調べておる、そういう
調査
費を県が担当する。 さらに問題は、この油を、先ほど御指摘になりましたが、岩間に集まった油を手ですくいまして、市町村が主体になりまして集めたのはいいけれども、それをどうするかということが非常に問題になっておりまして、あの辺の中国ブロックのあたりには、その油を焼却する設備がないということで、それをはるばる陸路運んだ上、さらに海上から運んで愛媛県へ輸送して——愛媛県にそういう焼却設備があるようでございますので、その油を愛媛県へ輸送し、かつ焼却する。そういう費用については、これは私のほうといたしましても、たいへんな話でございますので、関係の、特に自治省でございますが、自治省とも相談申し上げたい。その費用がいまのところ、まだちょっと見当がついてない。トラックで運んだ上さらに海上輸送というようなこともございますので、その辺の費用の計算が十分でないので、まだ具体的にはなっておりませんが、そういう方針でいま進めている次第でございます。
塩出啓典
73
○塩出
啓典
君 この問題につきましては、今回の問題を含め、また今後のやはり根本的な対策について
検討
していただくよう
農林大臣
にも要望しておきます。 それから、時間がだいぶなくなりましたので、二、三大事な問題につきましてお聞きしますが、今回こういうことが起きまして、やはり食糧の自給率を高めなければいかぬと、そういう意見でございますが、
農林大臣
は
農産物需給
の展望と
生産目標
というものを昨年発表したわけでございますが、これを
検討
しなきゃならないというようないまお話もあったんでございますが、
検討
するのか、あるいはしないのか、あるいはこの目標は目標だけれども、実際の政策の上において自給率を高めるようにしていくのか、その点だけ簡単にひとつ。
櫻内義雄
74
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 私はせっかく相当権威ある方々によってできた指標でございますので、目標は目標として尊重いたしたいと思いますが、今回のようないろいろな諸事情を勘案いたしまして、政策の面では、あるいは急ぐようにいたしたいという
考え
を持っておるものもございます。
塩出啓典
75
○塩出
啓典
君 それでこれはまあ十年後を目標にいたしまして、今回問題になりました大豆の場合は現在四%の自給率を一二%に掲げる、あるいはそれ以上にもふやしていきたいとそういうようなお話でございます。しかし、実際に現実の問題といたしましては、まあ反当たりの収量も大体三俵とか、そしてまた政府の保証
価格
も四十七年度は五千八百円、そういうことで、
農林省
の目標が一二%といっても、はたしてそこまでいくのかどうか、やっぱりそこにいくためには、農民の人たちが張り切って大豆をつくっていこうという、そういう意欲のあるところに、増産もあるし、技術も
向上
していくんじゃないかと思うんですね。そういう点で先ほど、高橋さんが言いましたように、たとえば基準
価格
というものを十月にきめるんではなしに、もっと金額を上げて、いまもその交付金が非常に余っているわけですから、もっとやはり基準を高くすることも可能だと思うのですね。そしてその値段も、作付の始まる前に、今年は最低線これだけで買いますよと、そういう線を示さなければいけないと思うんですけどね。その点については、先ほどの質問に対する答弁が明確になかったように思うのでございますが、その最低保証
価格
を大幅に上げるのかどうか、そしてその値段を決定するのには、法律が何とかかとかいう話ですが、そんな法律は変えればいいのですから、もっと早くきめるべきではないか、この点どうですか。
櫻内義雄
76
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 先ほどから同じような御意見が出ておるわけで、政治的な判断としては一応
考え
られるのでありまするが、しかしまた収穫直近にパリティ計算などで計算をし、そこに需給
状況
等も勘案してやっていくという、現在のやり方についても、それなりのやはり考慮が払われておると思うんです。そこで、この大豆の場合におきましては、
価格対策
ももちろん重要でございまするけれども、
生産
構造対策、
流通
対策、いろいろとこう総合的な大豆に対する
生産
意欲を燃やしてもらう方法も別途当然あると思うんですね。だから、それらのことを
考え
ながら、基準
価格
をどうするかということも判断をいたしたいと思います。
塩出啓典
77
○塩出
啓典
君 確かに、そういう
価格
政策だけではなくて、やっぱり構造政策ですね。しかし、そういった面もある程度
価格
において明るい見通しがないと、その
構造改善
をやっていくにしても、農民の皆さんの意欲が燃え上がってこないと思うのですね。そういう点でやはりこの面もあわせてひとつ、少なくとも
昭和
五十六年ですか、一二%の目標を越えるようにやってもらいたいと思うのです。 それで、
生産
量にいたしましても、東北
地方
の
農業
試験場のある研究では、十アール当たり六百キロから七百キロぐらい、十俵以上とれているような、そういう報告も私は聞いておるわけでありますが、非常にもうこの大豆というのは品種がたくさんありまして、そういった、ところどころによって非常によくできたり、できなかったり、その点、非常に敏感だそうでございますが、この点から
考え
れば、かなりこういう研究を
推進
をしていけば、特に北海道の大豆等は上質でございますから、米にかわる一つの基幹
作目
として非常に私は有望な点もあるんじゃないか。そういう点で特に
構造改善
、それから
価格
保障、基準
価格
の引き上げとともに、こういういわゆる技術といいますか、品種改良あるいは栽培技術の問題、そういった点にもやはり
農林省
としてはもっともっと本格的に取り組んでいただきたい、こういうことを要望しておきます。大体時間も参りましたので、以上の要望で終わりたいと思います。 それについて研究とか、技術面とか、そういう面にも力を入れていくのかどうか。それだけ回答をいただきたい。
櫻内義雄
78
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 塩出
委員
のおっしゃいました品種改良などの技術面の問題、これも当然、
農林省
として
考え
る必要のある面であると存じますので、そのような方向で
考え
ていきたいと思います。
塚田大願
79
○塚田大願君 私は大豆問題について大臣に御質問したいと思います。 私のいだだきました時間は、二十分ということでございますが、大臣のあとの御都合もあるようでありますから、なるべく集中的に大臣に御質問申し上げて、
能率
をあげていきたいと思っております。 私の質問は三つございます。大体三点にわたって御質問申し上げたいのであります。 第一は、この大豆の異常な値上がりの問題は、もう論じ尽くされたといってもいいと思うのでございますが、結局その異常な値上がりが、いわば大手商社の買い占めあるいは投機、こういうことで今日の状態が生まれてきたということは、もう繰り返して申し上げるまでもないと思うのであります。これは、大臣自身も言っておられますし、あるいは田中総理も閣議でこの点を指摘されておるし、また、二階堂官房長官も記者会見でそういう趣旨のことを言っておられる。ですから、これはもういまさら論ずる必要はないと思うのでありますが、しからばそういう買い占めあるいは投機がある。その結果、こういう異常な値上がりがしているということに対する政府の
施策
というもの、あるいは対策というものは、今日新聞その他でもいろいろ論じられておりますけれども、報道されておりますけれども、これというきめ手がない。先ほども出ました、物統令の話も出たけれども、きのう出て、きょうまたそれが取り消される。まあこういうことで、実態
調査
というものが必ずしも進んでおらないと思うのですが、この実態
調査
をまず投機——買い占めあるいは投機の実態というものを押さえなければそれは当然この対策というものは出てこないと思うのです。そこで
農林省
として、大臣としては、この実態をどのように把握されようとしているのか、これに基づいてどういう対策をたてようとされておるのか、この問題でございます。この問題について、まず大臣のお
考え
をお聞きしたいと思います。
櫻内義雄
80
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 大豆の大半は製油用で、製油工場にいく、これは御了承をいただけると思うのであります。 そこで食品加工用は、先ほどから担当
局長
のほうから御
説明
申し上げたように、米国の事情、中国の事情等によって入荷が少ない、おくれたというような諸事情も、これもおわかりいただけておると思うのであります。海外から入ってくるものでございまするから、その経路というものは、そう把握するのに困難ではないと思うのですね。また、国内のものについては、大豆、なたねの交付金の
制度
がございまするから、その交付金の
対象
になるものも
流通経路
はおよそつかめると思うのでございます。ですから、大豆の問題から
考え
ていきまするならば、特に強権的なことを
考え
なくても、今回の緊急措置でもおわかりのように、行政指導の面で相当効果をあげていけると、こういうふうに見ておる次第でございます。
塚田大願
81
○塚田大願君 この原因の問題につきまして、大臣はいろいろ外国の事情であるとか、
輸入
の事情を言っておられますが、
輸入
は一応順調にいっていることは、これはもう
農林省
のこの統計によっても明らかでございまして、
食品流通局
から出されました大豆に関する資料に、これは明らかに出ておる。特に、昨年の十一月−十二月は相当の量が入っておりまして、決して不足していたわけではないのです。これはもう数字ではっきり出ております。ところが、
輸入
は順調に入っているけれども、買い占めが行なわれた、これがやはりそもそもの一番大きな問題でありまして、私どもの
調査
によりますと、たとえば昨年の
輸入
実績で、アメリカ大豆を扱った日本の商社は大手で五社ございます。三菱、伊藤忠、三井、丸紅、日商岩井でありますが、この五社で全体の六六%を扱っておるわけであります。それから消費、使うほうではどうなっているかといいますと、日清製油、豊年製油、こういう大手の製油会社、六大製油会社が、国内
需要
の七六%を押えておる。これはもう数字ではっきり出ておるのであります。でありますから、やはり問題はこういう大手商社、大手製油メーカー、こういうところに相当の在庫量がある。これはまあ今度
農林省
が五万トン緊急放出されたと、この事実によっても裏書きされるわけでございまして、これも今日いわば常識でございます。そこで、零細な納豆、とうふ業者などがこの間も陳情に来ましたけれども、とにかく大手商社の在庫をひとつ調べてもらいたい、こういうことなんですね。私も、
農林省
の
食品流通局
の方に来ていただいていろいろ聞きました。まあ、いろいろ
農林省
としても
調査
をしている、しかし、
調査
をしているけれども、いわば事情聴取でありますから、権力で
調査
をするわけじゃないから、実態が必ずしもつかめるわけではない、まあ、こういうお話でございます。これでは、問題は解決しないのではないか。やはりもっと徹底的に実態を明らかにして、それに対する
施策
を行なう、これ以外に私はないと思う。その点では政府でもいろいろ
輸入
物資の追跡
調査
ということを盛んに言っておられるんですが、追跡
調査
というふうな、ただ、ことばだけではなくて、実際にそういう実態をまず政府がつかむということが、私はまず第一の問題だろうと思うのでございます。 そこで、私はいろいろ大臣にお聞きしたいんだけれども、時間がございませんから、もう端的に私どもの
考え
ておる方策について提案をいたしますけれども、私どもは、こういう大手のこの商社の、こういう買い占め、独占的なやり方については、やはり国会に権限を持った
調査
機関が設けられて、そしてこの手によって
調査
をすると、あるいはその
価格
についての対策を
考え
ると、こういうことが私は、やはり抜本的に必要なところへ来ているのではないかというふうに
考え
るわけでございますが、この点について大臣はどういうふうにお
考え
でございましょうか。
櫻内義雄
82
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) お話しのように、もっと積極的な
調査
、そして買い占め、投機を防ぐと、こういうことを頭において
考え
まするときに、何らかの立法措置の必要は私も否定するものではございません。そこで現在政府のほうにおきましても、また、
農林省
の内部におきましても、意見をいま取りまとめつつあるわけでございます。ただ、国会における
調査
権限と、こういう問題については、これは
農林大臣
の私としていまここで特に意見を申し上げることは穏当を欠くのではないかと、で、これは差し控えさしていただきます。
塚田大願
83
○塚田大願君 盛んに、この重要な問題を五分か十分で片づけろ、と言うのですけれども、無理な注文ですが、できるだけ
協力
をいたします。 まあ、いま、そういう
調査
の問題については、一応前向きな御答弁がございました。もちろん、国会に対する
調査
権というふうな問題は、ここでの問題ではございませんが、とにかく私どもの
考え
ておりますのは、強力なそういう
調査
権を、政府あるいは国会が持たなければならないということでございます。 そこで、第二の問題に移りまするが、先ほど大臣は、
農林省
は
国民
の食糧を
確保
することが非常に重要な責務であると、こう仰せられました。特にこの大豆の問題というのは、先ほども出ましたけれども、いわば主食に準ずるような重要な品目でございまするので、これら需給、あるいは
価格
の調整、あるいはこの配給、こういうものは非常に
農林省
としても私は重要な
課題
だろうと思うんです。そこで、私はここでもひとつ提案を申し上げるわけですけれども、こういう
国民
の食糧を
確保
する、あるいは
国民経済
の安定をはかるために食管法というものがあるわけでございます。だとすれば、いまこの大豆の問題が非常に重要な問題だとして論ぜられておるこの段階におきまして、この大豆を食管法を適用してもしかるべきではないかというふうに私は
考え
るのです。で、食管扱いになれば、たとえば非常に品物が不足した場合には、政府自身の責任で緊急
輸入
をするということも可能でございますし、あるいは
調査
、報告徴取、臨検検査というふうなことがこの第十三条にも規定されておりまして、いま申しましたような特別な立法をしなくとも、緊急な場合にこういう
調査
を行なうこともできるわけでございますので、私はこの食管法を適用することはまず手っとり早い方法ではないか。特に、この食管法の第二条では、この適用は政令をもって定めることができると書いてございますから、政令であったならば、これは大臣の権限で決してできないことではないと、おまけに
昭和
二十二年以後、一定の期間この大豆について食管管理を行なった実績もございますし、そういう意味で、私はそうむずかしい問題じゃないと思うんでございますが、この食管法を適用してはどうかという私の
考え
について、大臣はどういうふうにお
考え
でございましょうか。
櫻内義雄
84
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) ただいまこの場所で御意見を承ったので、にわかにお答えをしかねるのでございまするが、食管
制度
も、現状におきましては、主食の管理という
考え
方で、具体的には米麦類及び米麦粉等のその一次加工品を
規制
の
対象
としておるわけでございます。そこで、現在そういう実情にあるところへ、お話しのような大豆を加えて国がこれを
流通
管理し、売買をするということが至当であるかどうか、これはただいま御意見を承ったところでございまするので、まあそういうお
考え
も、なるほどと思える節もございまするけれども、にわかにちょっと即答しかねる面がございます。
塚田大願
85
○塚田大願君 わかりました。確かにその点ではひとつ
農林省
で
検討
していただきまして……。私は無理なことを提案していると思いません。
亀井善彰
86
○
委員長
(
亀井善彰
君) 塚田君、大臣ちょっとよろしゅうございますか。
塚田大願
87
○塚田大願君 それで、最後に、二、三分で終わります。 先ほどから出ました
価格
の問題です。需給別の問題です。この需給別の問題は、やっぱり私は非常に重要な問題だと思いますが、いままでの政府の
施策
というのは、要するに、
稲作転換
の品目として大豆の増産をやると、こういう程度でございましたから、これはまんまと失敗していることは、この数字でも出ておるわけであります。この大豆の作付面積は、とにかく四十六年にちょっと、五千ヘクタールぐらいふえましたけど、四十七年になると一万ヘクタール減ってしまう。まるでこれでは逆でございまして、これでは私は長期需給の展望というあの目標というものは、これはとうてい達することはできない。やはり私は問題は
価格
だと思うんですが、この
価格
につきましては先ほど大臣、何回も基準
価格
の問題で解決していきたいと言っておられますが、この基準
価格
も実にもう矛盾だらけで、政府の発表した統計によりましても——
農林省
の統計によりましても、四十五年、四十六年では
生産
費より下回っておるんですね、基準
価格
が。これでは農民がつくろうという気にならないと私は思うんです。どうしても私は、政府はこの
価格対策
をやはり根本的に
考え
直していただく必要があるだろう。この問題が解決しない限り自給を一二%にふやすと言っても、これは絵にかいたもちでございまして、単なる数字をいじくっているだけでございます。私はやはり根本的な解決にはならないと思うのでございます。この問題につきましても、最後にひとつ大臣の御答弁をお聞きいたしまして、私の大臣に対する質問を終わりたいと思います。
櫻内義雄
88
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) これは先ほどから不足払いは適切に
考え
たいということを申し上げておるわけでございます。で、昨年の場合を
考え
ましても、当時その試算をしたときには、国際
価格
が三千円ぐらいのところを五千八百円にきめたと思うのであります。そこでまた、この
価格
だけではなく、
生産
、構造、
流通
、
各般
の
施策
を構じ、大豆
生産
農家の意欲が高まるようにつとめたいということも申し上げておるわけでございまして、ただいまの御意見はまた御意見として参考にいたしたいと思います。
塚田大願
89
○塚田大願君 じゃ、引き続いて、大臣はおられませんけれども、関係当局にお聞きしたいと思うんですが、大豆の五万トン放出の問題でございます。 これはまあ一応五万トンとにかく大手メーカーから——大手メーカー十社でございますか、放出されましたが、この売り渡し
価格
ですね、これについて私は
食品流通局
長にお聞きしたいんですが、これは一体どういうふうになっておりましょうか。
池田正範
90
○
政府委員
(池田正範君) 五万トンの大豆の放出をいたしました
価格
でございますが、これは実は当事者同士の本来話し合いによってきめるべき筋合いでございますので、直接政府がきめてそれに従うというふうな形のものではございませんけれども、たまたま時が時でございますし、やったことは物価の急速な騰貴を押えるという目的でもございましたので、通常の方策とは異なってかなり強い行政指導をいたしました。その結果、落ちつきました
価格
は、当時の平均の大豆のいわゆる市況気配と申しますか、仲間取引
価格
というのがございます。これはいわゆる商品取引所の
価格
とは違って、現物を現実に取引されておる
価格
でございますが、その
価格
よりも少なくともかなり安いところにきめなければ意味がないということで、一俵——六十キロ当たり六千円ということできめまして、その六千円の中にさらに一割の費用——実はこれは油糧用の、いわゆる搾油用の大豆でございますので、その搾油用の大豆ということから、かなりいろいろのものを選別して出さなきゃいけません。したがって、その選別費用を、約一割ぐらいかかりますので、現実には、その選別費用をさらにそれから差し引くということで、六百円を差し引きまして、一俵当たり五千四百円ということで、一応行政指導を行なった次第であります。
塚田大願
91
○塚田大願君 で、大体いま一俵当たり五千四百円というお話でございます。これはトン当たりに直すと大体十万円でございますか、ということになるわけですね。
池田正範
92
○
政府委員
(池田正範君) トン当たりに直しますと九万円くらいになります。
塚田大願
93
○塚田大願君 九万円ですか、未選別で。
池田正範
94
○
政府委員
(池田正範君) はい。
塚田大願
95
○塚田大願君 つまり未選別で九万円、選別すれば大体いろいろ費用がかかりましていわゆる十万円ぐらいになるということのようでございますが、私はこの選別して十万円になるという、で、実際に業者が使うのは、そういう選別したものでなければ使えないわけでございますから、大体十万円あるいはそれより切れるかもしれませんが、そういう程度の
価格
がはたして
農林省
が言っておられる「適正
価格
で販売させるよう指導する」ということに該当するのかどうか。私はちょっとこれに疑問を持つわけであります。これは
農林省
で出されました食品用大豆緊急対策の第三番目に書いてある問題でございまして、適正
価格
で販売させると、この五万トンを。こういうふうに言っておられるわけですが、どうもこの点ではたして適正なのかどうか。これは
農林省
はどういう根拠をもって適正
価格
と言われておるのか、これをちょっとお聞きしたいわけであります。
池田正範
96
○
政府委員
(池田正範君) 適正
価格
と申しましても、別に公定
価格
があるわけでもございませんので、現実に幾らが適正かというのは、なかなか問題があろうと思いますし、また、非常に市況の変動が激しい際に、どこをつかまえれば適正かということについても御批判の余地があろうと思います。しかし、あの問題を決定いたしました緊急事態のもとにおいて、市況はいまのトン当たりで中国産を含む食品用大豆は十五万あるいは十八万、中には二十万円をこえるといったような状態のもとでのことでございまして、私どもとしては、まず大豆が幾らであるかということではなくて、とうふが、とにかく七十円、八十円、百円というとうふが出てくるではないか、したがって、末端の
消費者
が、そういう高く上がっていくとうふというものの
価格
を、どこまで食いとめれば一応安定したという感じを持ち得るかということにむしろ論点を置いたわけであります。 で、当時の食品用大豆の年間の消費を見ますと、先ほど申し上げましたが、約七十万トン程度年間の消費がございます。その中で約七割というものばこれはとうふ用でございまして、みそにいたしましても、しょうゆにいたしましても、あるいは納豆にいたしましても、その他のものは、それぞれこのとうふからいたしますと、比較的少ない消費量でございます。そこで、当面とうふの値上がりというものを防ぐということからいたしますというと——話はこまかくなって恐縮でございますが、私どもの
調査
によりますと、大体一俵の大豆、しかもそれが食品用の選別済みの大豆、この一俵から——木綿ごしあるいは絹ごしによりまして多少品質を異にいたしますけれども、大体七百丁から八百丁くらいのとうふがとれるということでございます。で、そういたしますというと、かりにいまの私どもの計算からいたしますと、四千円前後——四千円前後と申しますのは、いわゆる大騒ぎをいたします前の、平均的にとうふ屋さんなどが原料手当てをいたしておりました一俵当たりの大豆の値段でございますが、その四千円前後の時代における一丁のとうふの中に占める大豆の原料代というものは大体五円前後である。で、多少高いものを使ったところで七、八円。そこで、これがかりに八千円の、一俵当たり倍の値段の大豆を使ったところで、原料そのものによって、じかに上がるところの値上がり分というものは五円から七、八円であるというふうに
考え
られるわけでございます。したがって、いま六千円の未選別大豆ということになりますというと、これはいわゆる搾油用の大豆でございますので、通常より歩どまりが二割から二割五歩程度落ちるというのが技術的な結果でございます。そういたしますと、その分を上積みをいたしましたとして、かりに六千円の大豆が歩どまり換算で八千円程度に上がったといたしましても、大体原料代で五円から七円程度上がるということである。そういたしますと、東京を
中心
にいたします当時のとうふの一丁の値段、これは実は三百グラムぐらいから四百五十グラムぐらいまで非常に差がございますので、一丁が幾らということで、単純にはとても比較はできませんけれども、通常巷間言われておったところの一丁の値段の平均が大体三百五十グラム見当が、四十円見当で売られていたのが一番多いということからいたしますと、それが六十円、七十円の形に急激にはね返るということは、これは少なくとも少し値上がりが激し過ぎるということで、まあいわばおとうふ屋さんのほうに対して、行政指導を直接いたしますと同時に、いまの原価計算からいたしまして、放出大豆による値上がり率を少なくとも六十円、七十円のとうふはもう一ぺんもとに戻す、そういう意味で、少なくとも五十円以下のとうふに押え込む。こういうことを一つの行政目標にいたしまして、放出のほうの交渉をし、同時に、実需者側に対する行政指導をしたわけでございます。
塚田大願
97
○塚田大願君 いま
価格
を、市場の値段を勘案をしてきめられたと、こう言われましたが、しかし、なるほど市場
価格
は暴騰しておるわけでございますから、これはもう論外だと思うのであります。ただ、私がお聞きしたいのは、まあ製油メーカーが、実際に当時仕入れた
価格
というものは、大体四千円から四千五百円、一俵当たり。こういうふうに聞いております。したがって、これはまあ、トン当たりで言えば六万五千円から七万五千円ぐらいでございましょうか、大体。で、これをかりに管理費が相当かかったといたしましても、このトン当たり一方円ずつ不当に利益をあげたとしても、五万トンでございますと五億円になるわけです。これはまあ膨大なことですね。やはり、こうやって見てみますと、五億円という金が、黙っていて、寝ている間に、ころげ込んできた。こういうことになるわけで、私はそういう意味で、これはあまり適正ではなかったんではないかと思っておるわけです。しかも、とうふ屋さんに対する行政指導としては、大体、
農林省
は一割ぐらい下げろ、まあこういうことで、この値段をきめられたそうですけれども、一割でございましたら、いま六十円のとうふだったら、まあ五十五円にしかならない。やっぱり依然として、かつて四十円だったとうふが五十五円、こういうことになりますと、
消費者
の側から見ましても、これが正当な、妥当なものだとは思えない。ですから、結局放出の
価格
というものがトン十万円前後というのでは、少し高過ぎるんではないかと私は
考え
るわけです。せめて、これが八万円ぐらいになれば、これはまあ適正だとも
考え
られますけれども、九万円から十万円というのでは、私は、少しこの
価格
は適正でないというふうに判断して御質問しておるわけでございますが、その点についてもう一回ひとつ答弁を願いたいと思います。
池田正範
98
○
政府委員
(池田正範君) 放出いたしました五万トンの大豆が、どの時点で幾らで買ったかということを、かりに特定できるといたしまして計算をいたしますと、ある部分では、あるいは塚田先生のおっしゃることが当たっているということを否定はいたしません。しかし、御承知のように年間約三百万トンに及ぶ大量のものを商社が扱っておりまして、しかも、そのうちの二百五十万トンは搾油用の大豆でございます。しかも、搾油用の大豆を大体現在の商社の先物取引で計算いたしますというと、ほぼ一割程度のものを残す大部分のものは、すでにアメリカで買い付ける段階で売り先をきめておる。そして残りのものも、ほとんど大部分は、船で運んでおる途中で大体売り先がきまる。したがいまして、商社が搾油用の大豆として、ランニングストックとして持っておりますのは、平均いたしますというと一割、すなわち年間二百五十万トンといたしますというと、一カ月分二十万トン、これだけのものは大体ランストとしてどうしても持っていなくてはいけない、こういうことになるわけでございます。したがって、入ってまいりましたものが、値段が少々いいからといって、それじゃこれは途中からUターンしてどっかもうかりそうなところへ急に売るといっても、その売る先はすでに実はきまっておりまして、それを油でしぼりますというと、大体八割が、かす、二割が油でございますが、その八割のかすは全農をはじめとする
農業
協同組合に三月ぐらい先の分まですでに売り渡す約束ができております。したがって、急に
生産
を落としてみたりという操作が、なかなか小回りがきかないのが、実はこの大豆の貿易の一つの特徴ということになっておるわけでございます。 そこで、いま私どもが放出を頼みましてやってもらった五万トンというのは、実はその油をしぼるため買い置いた分の中から五万トンの手当てを
要請
したわけでございます。したがいまして、もしその五万トンというものが当然その使われるべきところが落ちるといたしますと、当然それは補足しなければなりません。その補てんをいたします部分はもっと先の部分で手当てをする、つまりシカゴの大豆相場が三ドル何がしで買えた時代ではなくて、すでに五ドルをこえた時代の相場をベースにいたしまして、搾油用の大豆を手当てしなきゃならない。つまり身代わりは非常に高いところで買わなければならないという理屈にもなるわけでございます。むろん五万トン程度のものですから、はたして五万トンが先生御指摘のような形で完全に高いものと置き代わるかどうかというのは、ロングタイムで見た場合には、きちっとは算術は合わないかもしれません。しかし、全体として
考え
ますというと、そういう長い品物の流れの中のショートカットでございますから、したがって、そのもの自体の値段がどうだということだけでは、なかなか必ずしも批判しにくいのではないかという感じがいたすわけでございます。
塚田大願
99
○塚田大願君 もっと聞きたいのですが、盛んに時間を督促されますので、最後に一つだけ、じゃあお聞きいたしましよう。これは
価格
の問題でございます。 これは先ほどから繰り返し各
委員
から質問がございましたが、この北海道からの、農協
中央
会から出されましたこの要求、一俵一万円以上という、まあ正確にいいますと一俵八千三百円ですか、これに
生産
奨励金をつけて一俵一万円ぐらいというふうなことが出ておりますが、やはりこの
価格
問題というのは、これはまあ
生産者
にすれば一番重要な問題でございまして、この問題がやはりはっきりいたしませんと、やれ
構造改善
だ、
流通
対策だといったところで、それは第二、第三の問題でございまして、まず、何といっても、
生産者
が意欲を燃やすような政策が私は必要だと思うんです。で、もう時間がございませんからいろいろデータを申し上げる必要はないと思いますが、とにかく先ほど大臣も言われました大豆、なたね交付金暫定措置法、これが実際にはほとんど役に立ってない。だから、せっかくの
予算
も余っておる、これが実態でございますが、しかし私はどうしても、この問題が、もっと基準
価格
なりを思い切ってやっぱり上げていくということが、何といっても最大の問題点ではないかと思うので、この点につきまして、私は政務次官がおられますから、政務次官から最後に、一言この問題につきましても御意見を承って私の質問を終わりたいと思います。
鈴木省吾
100
○
政府委員
(
鈴木省吾
君) 突然の御指名で、適切なお答えになるかどうかわかりませんけれども、まあ
価格
問題も重要な問題であることは論をまたないわけでございますが、
価格
だけで解決するというわけでもございません。
生産
条件
なり、あるいは諸
条件
を
整備
しなければ、適切な
生産
をあげるということはできないと思います。十分
価格
問題も含めて総合的に
検討
いたしたい、かように
考え
ます。
亀井善彰
101
○
委員長
(
亀井善彰
君) 本件に対する質疑はこの程度にいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時十
分散
会 —————・—————