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鶴園哲夫君 私は、
先ほど申し上げましたように、これはたいへんたくさんの者が防衛大学に入って、途中でやめる。四年で卒業をして任官するときに任官を拒否する。さらに任官してからまた一〇%ぐらいの人がやめる。したがって、そういうことからいいますと、四〇%ぐらいの者が抜ける。だが、説得と、これはまあたいへんなものがあるようですね。これはまあ担当の
訓練官の成績にも
関係するんでしょうから、猛烈な説得があるらしいようですね。見ますとですね、
自衛隊から出ておる雑誌を見ますと、たいへんなもののようですね。
先ほど言いましたように、裏切り者だというふうにさげすまれたり、あるいは食い逃げだといってさげすまれて、そういう中で相当の者が、倍近い者が抜けるという、そういうことじゃないかと思うんですよね。しかし、まあ説得でやっとこういう形になっているという状況だと思うんですね。
で、まあそういうやめる一番大きな原因、これはこの間も
説明がありましたように、六〇%が
自衛隊の社会的な地位、
つまり自衛隊というものが憲法との
関係で不安定である、そこから、六〇%という者が
理由としてあげているのは、
自衛隊の不安定というわけで、それ以外の民間会社に入るとか、家庭の事情であるとか、身体の都合であるとかというような
理由をあげておりますけれども、根底としてはここにあると私は思いますですね。それは家庭の事情のこと、からだのこと、民間会社に就職すること、それだって四年間
訓練を受けた
あとやめる。自衛官になることを拒否するわけですから、これはやはり根底に
自衛隊というものに対するやはり
考え方が、不安が非常に強いんだと、憲法との
関係で非常に強いんだと。まして、今度こういう違憲という、憲法に違反していると、われわれがいま審議しているこの
防衛庁設置法についても、
自衛隊法についても、
二つとも憲法に違反しているという判断が下っている。しかもこのことは決して私は簡単な問題ではないというふうに思います。憲法学者の九割は、すでにもう論争を終わって、
自衛隊が憲法に違反しているということはこれはもう定説になっている。この間、高柳という東大の社会科学研究所長が朝日新聞の座談会の中で、公法学者の中の一二%が合憲論者である、九割近い者が違憲であると、憲法に違反していると、こう言っておりますね。そういう学説がきまって、その最終的なものとして、あの長沼判決が出ているというふうに見なきゃならぬわけです。その意味では、これは与える影響というのは非常に大きいと、こう言わなきゃならぬと思うんですね。特にこの防衛大学を出て
幹部になるというような者にとっては、非常な大きな、私は重大な影響を持つというふうに言わなきゃならぬと思うんです。
そこで、どうも防衛大学校という、まあ校という字がついておるんですけれども、防衛大学校というのが日本の大学、日本の国でつくっている大学の中では、特殊な金をかけて、まあたいへんなもんですね。これは月給もくれるでしょう。食事はただだし、入学金は要らぬし、授業料は要らぬし、衣服はもらうし、住居はあるし、完全に全くの国費でもってつくっていく。こういう学校というのは、これは日本じゅうないわけですよ。国立の大学だって授業料取りますしね、入学金も要りますしね、めしは自分で食わにゃいけませんしね、衣服は自分で着なきゃいかぬし、住居は自分でやらなければいかぬし、ここだけは異常な国の経費をもってやっている。こういう学校が
一つある。これは私は軍事優先の最たるものだと思う。国が建てている学校の中で、軍事優先の最たるものだと思うんです。しかもそこに入っている者が四〇%も抜ける。あるいは私はもっと多いと思うんですよ、抜けたいという者は。これは私は根本的に考えなきゃならぬところに来ていると思うんですけれどもね。
そこで、伺いたいのは、あの有名なアンケート事件というのがありましたですね。で、これは若干
衆議院で取り上げられた経緯もあるんですが、まあアンケート事件というのがあって、これは防衛大学校の助教授が四年生の、四百何人おる四年生の百人を選んで、一年生を百人選んで、それぞれ代表的な者という
ことばを使ってありますが、代表的な者をそれぞれ百名ずつ選んで、そしてアンケートをとった。とってみたところが、どうも不まじめなものが相当あったので、それぞれそういうものは削った。そして四年生では八十一名ですか、それから一年生では七十五名ですね。これはまあいいだろうということで、その内容を「軍事研究」という本に発表した。ところが、その中に
二つだけ
——総理大臣に対する希望という欄かあった。総理大臣に対する希望という欄の中に、すぐやめてもらいたいというのが
二つあった。それが「軍事研究」に載ったということで問題になりまして、そしてたいへん問題になって、結局この「軍事研究」というのはPXでも販売中止、防衛大学の図書館でも閲覧禁止、そしてこの助教授は十日間の停職という処分になったということですね。で、私はこの中で、これはその大学校というところで、そんな自由もないのかと、しかもそういうことを発表したという、二名あったというだけで、まあ不まじめなものは除いてもういいだろうと思って載せてみたところが、たまたまその中に
二つだけそういうものがあったということで、その雑誌そのものも売らない、あるいは図書館においても閲覧禁止だと、やった助教授ですね、これは創設以来の助教授ですね。その助教授は十日間の停職になったという、これは防衛大学っていうものは妙なところだという
印象を非常に強く受けるんですね。しかもその中で私は興味がありましたのは
——興味ありましたというのはぐあい悪いですが、将来の希望として自衛官に、将来の希望として四年生では五割ですね、自衛官になるというのは五割ですよ。まあこれはまじめなやつだけ出したんでしょうから、代表的な者を百名選んで、その中で妙なものはみな除いちゃって、その中の結論ですから八十一人発表している。だから十九人は発表しなかった。その中で四十一人が自衛官になりたい、幕僚長になりたいというのも書いてありますし、海上
自衛隊幹部になりたいというのはちょうど五割、一年生は七十五人発表してありまして、その中で三十一人が自衛官になりたい、
あとはみんな違ったことを書いている。これ、ちょうど五割近く。これを見ますと、これは私はさっき言った、非常に多いんじゃないかと、あんな数字じゃないと、もっと大きいものがあるという
感じを持ちます。そういう点についてのひとつお考えを伺いたいと思います。