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片岡勝治君 時間がなくなりそうでありますので、ひとつまとめて申し上げますのでお答えを願いたいと思います。
いま、内奏問題についていろいろ論議をしているわけでありますけれども、
増原さんの内奏は次のようなことを言っているわけであります。警察予備隊発足以来の自衛隊の
歴史、四次防の問題、
わが国をめぐる国際情勢、そのほか現在の
防衛庁の問題として基地問題、自衛隊隊員募集の問題、こういうものを
説明をされたと。これは
天皇の御
発言じゃないんですから、これは事実だ。自衛隊の
歴史などはまさしくこれは
日本の政争の
象徴的な問題であります。あるいは四次防、これはいま現に大きな問題としてですね、
防衛二法が問題になっておる。明らかに
政治的な問題なんです。こういう問題をいわゆる所管事項の
説明として行なわれるということについては、これはたいへん問題があるだろうと。そういう所管事項の
説明については再検討すべきである、こう思うわけであります。
それから
衆議院の
内閣委員会で、最後に
総理はこういうことを言っております。
天皇は
国民統合の
象徴であります。その
意味で、
国民の皆さんが御理解申し上げ、大事にしなければならない
皇室でございます。云々。こういう
ことばで結ばれております。たいへん重要な
ことばであろうと思うわけであります。あたかもこの問題を契機にして、
国民のほうの理解が足らないんだというような印象をちらっと受けるわけであります。つまり、
象徴天皇を大切にするということは一体何だ、裏返せば、これは
日本国憲法を大事にする、それを徹底する、こういうことが即
天皇を大切にするということになると。私に言わしめれば、
総理はそうおっしゃったけれども、
天皇を大事にしなければいけないとおっしゃったけれども、大事にしなかったのはだれですか。これは
国民じゃないんです。あなた方ではなかったんですか。かりに一時的にせよ
天皇の名前を出し、
天皇を俎上にのぼせて、ああいった
増原発言をしたということは、これは明らかに逆に
天皇を大事にしなかったのはあなた方ではないか。私はそう言いたいところなんです。つまり、
天皇を大切にするということは、
日本国憲法、主権在民、平和と民主主義、そういうものを徹底することが即
天皇を大切にすると、そういうことになると思うのです。これについて
総理の
見解を承りたい。
また、
総理は、参議院の本
会議において、
総理退陣したらどうか、こういう質問に対して、退陣する意思はありません。
国民のためになさなければならない
責任はまだ山積をしております。こうおっしゃいました。この理由はですね、いつでも通ずる理由なんです。
政治は永遠です。
国民のためになさなければならないそういう
責任は、いつ、いかなるときにもあるわけですから、これは退任を迫られたときの
答弁としては理由にならないわけであります。
政治家というのは出処進退を明らかにする。このことこそ民主
政治の基本であろう課題が一ぱいあるからやめられない、そんなことを言ったら、
田中さん、永遠にやめる機会はありませんよ。だから、こういうことはですね、これはわれわれに対するお答えにはならないのではないか、こう思うのです。
さらに、この問題は
日本国内だけではなくして、特に東南アジア諸国に大きな影響を及ぼしたということが
新聞に報道されたわけであります。つまりシンガポールの中国語の
新聞でありましょう、「南洋商報」、五月三十一日の社説で取り上げられておる。「ニクソン、
田中が相次いで中国を訪問し、アメリカは徐々にインドシナ、アジアから軍隊を撤退することになり、国際間の和平機運が一日一日濃くなっている矢先、
日本が軍備を拡大する必要はないはずである。それなのに
増原氏が
天皇の名を利用して軍備拡張を企図した目的は何なのか。われわれは戸惑うばかりである」。いまや東南アジア諸国にさえ大きな影響をもたらした。これはたいへん重大な問題であろうと思われます。そういうことについて、一体
総理はどのような
責任をお感じになっておるのか。
さらに、
中曽根発言であります。これについてもいろいろ弁明をされました。まあ参議院本
会議における中曽根さんの態度は、これは率直に、その慎重を欠いた遺憾の意を表明されておるわけでありますけれども、まあ私の受けた感じでは、
総理は何か開き直った御
答弁をされた、そういう印象を非常に強くした。これは私だけではありません。皆さんそうおっしゃっておる。少なくとも中曽根さんがああいう謙虚な態度で、ほんとうに心から反省をしておる、そういう遺憾の意を表明されておるんですから、
田中さんもその中曽根さんの意思をそんたくして、やはりもっと謙虚な態度を示すべきであっただろうと思うわけです。そして、この王制問題にいたしましても、
外国にわかりやすい一つの例示として、
日本を紹介する
意味でああいう例題を出したというんですから、私はこの辺もやはり
憲法感覚が非常に麻痺しているんではないか。
日本を紹介するに何もわざわざ王制を持ってこなければいけない、まず第一にそういう発想が出てくる、私はナンセンスだろうと思う。あるいはまた外交辞令で、向こうが皇帝である、だからこっちも王制を持っていく。ちょっと何か一世紀昔の外交の話し合いなのではないか。私はこの
日本だって、たとえばいま問題になっている
日本国憲法、こういうりっぱな
憲法がある。まあ中曽根さんにはなかなか言いにくいかもしれませんけれども、われわれにしてみれば
世界に冠たる
憲法がある。そういうことを大いに
外国へ知らせて、友好親善を深めるということに大いにもっと自信を持ってやっていただきたいと、こう思うわけであります。
以上、一括してお答えを願いたいと思います。