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1973-05-10 第71回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月十日(木曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————    委員の異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      長屋  茂君     安井  謙君  四月二十六日     辞任         補欠選任      安井  謙君     長屋  茂君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高田 浩運君     理 事                 内藤誉三郎君                 山本茂一郎君                 片岡 勝治君     委 員                 源田  実君                 世耕 政隆君                 長屋  茂君                 星野 重次君                 町村 金五君                 柳田桃太郎君                 上田  哲君                 鈴木  力君                 鶴園 哲夫君                 前川  旦君                 宮崎 正義君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        農 林 大 臣  櫻内 義雄君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       小坂善太郎君    政府委員        経済企画政務次        官        橋口  隆君        経済企画庁長官        官房長      高橋 英明君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        農林政務次官   鈴木 省吾君        農林大臣官房長  三善 信二君        水産庁長官    荒勝  巖君        水産庁次長    安福 数夫君        通商産業政務次        官        矢野  登君        通商産業省公害        保安局長     青木 慎三君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        外務大臣官房審        議官       杉原 真一君        水産庁調査研究        部長       松下 友成君        建設省河川局水        政課長      伊藤 晴朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小坂経済企画庁長官
  3. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいま議題となりました経済企画庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  物価問題は、国民の最大の関心事であり、日本経済が当面している最も重要な課題の一つであります。また、今後社会保障の拡充や生活環境整備、豊かな地域社会建設等による福祉指向型の経済社会の実現が強く望まれておりますが、物価の安定は、そのためにも、欠くことのできない前提条件であります。以上にかんがみるとき、物価に関する総合的な施策を一そう強力に推進することが、今日、特に必要であります。  この法律案は、このような観点から、経済企画庁において物価行政を強力に推進するため、物価局を新設するなど所要機構権限整備、強化をはかろうとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一は、物価局を設けることであります。現在、物価対策関係各省庁においてそれぞれの所管行政の一環として進められており、経済企画庁は、それらの関連行政物価政策観点から総合調整するとともに、物価に関する基本的な政策企画立案する機能を国民生活局において果たしておりますが、現下の物価事情に対応して物価政策を的確かつ強力に推進するために新たに物価局を設置し、国民生活局から物価に関する事務を分離、所掌させようとするものであります。  第二は、物価に関する基本的な政策企画立案及び推進に関連しての経済企画庁長官権限等についての改正であります。すなわち、経済企画庁の任務に物価に関する基本的な政策企画立案及び推進を明記するとともに、必要があるときは、経済企画庁長官は、関係行政機関の長に対し資料の提出及び説明を求め、また、物価に関する基本的な政策に関する当該行政機関の重要な政策及び計画の立案について勧告をすることができることといたしております。経済企画庁長官は、この勧告をした場合には、関係行政機関の長に対し当該勧告に基づいてとった措置の報告を求めるとともに、内閣総理大臣に対し、内閣法に基づく必要な措置がとられるよう意見具申をすることができることといたしました。  なお、これらの改正とあわせて審議官定数を二人から一人に減ずるなど、所要改正を行なっております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 以上で説明は終わりました。  本案の審査は後日に譲りたいと思います。     —————————————
  5. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農林省設置法の一部改正が出まして、私は、二つの問題をこの機会にはっきりさせておきたいと思いまして、できればひとつ解決をしていく方向に努力してもらいたいと思っているわけです。  一つは、林野庁定員外職員の問題です。これは三十六年から十二年にわたってたいへん長い間の論議になっておりまして、この設置法が出ましたので、私も八年ぶりぐらいに内閣委員会にまたおりますので、この問題を何としても今回はっきりさせたいと、そう思っておったわけです。それで、まずこれをやりたいと思ったのですけれども、直接の担当者林野庁長官でして、いままでも定員については、ずっと一貫して林野庁長官答弁に立っておるわけです。ところが、長官がいま外国出張中で、十一日に あすになりますね、帰国するということですから、したがって、この問題をあとに回しまして、十五日になりますか、来週の火曜日ですね、この林野庁の問題をぜひともはっきりさせたいと、そういうふうに思っております。  二番目は、いま出ております水産庁機構問題等について伺いたいと思っています。  まず一つは、水産庁は、これは水産庁ですから、当然、海事職の(一)、海事職の(二)という俸給表を適用されている乗り組み員ですね、公務員がいるわけです。この問題について伺いたいわけです。水産庁には二十隻ぐらいの船があると思うんですが、一体何隻ぐらいの船があって、総トン数幾らくらいになるのか、それから、いまあります、いま申し上げました海事職の(一)、(二)の適用される国家公務員が何人いらっしゃるのか、それを、まずお伺いいたします。
  7. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 水産庁には、海洋におきます漁業関係調査関係の船と、取り締まり関係の船、大体大まかに分けましてそういう種類がございまして、現在、隻数といたしましては二十隻ございます。その二十隻の船につきまして、乗り組み員が、定員といたしまして約四百四十名でございます。このうち、士官と言っておりますが、士官が百六十七名でございまして、部員というか、一般の乗り組みの方が二百七十三名、こういうふうに内訳がなっておりまして、先ほど申し上げましたように、用途別に申し上げますと、調査船が十二隻、それから漁業取り締まり船が六隻、それから漁業練習船でございますが、水産大学校がありますので、その関係練習船が二隻、こういうふうになっておる次第でございます。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 四百四十名の定員で、そして船は二十隻。この海事職の(一)、海事職の(二)という俸給表を適用される、要するに船員国家公務員、これは政府全体としては二千二百名くらいの数。ですから、その中の五分の一というのが水産庁にいるわけですね。公務員としての船員がたくさん水産庁にいる。これはまあ当然のことだと思うのですが、そこで、農林省名簿を見ますと——農林省職員名簿ですね、本庁が全員載っている名簿、あの名簿水産庁のところを見ますと、予備船員という名前で十九名載ってますよ。予備船員という、頭のほうに予備船員と書いた人たちが十九名おります。これは本庁だけの名簿ですから、水産庁全体としては、もっと多いんだろうと思うのですけれどもね。水産庁全体として、この予備船員というのは何人いらっしゃるのか、伺います。
  9. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 予備船員の、ただいま定数につきましてはっきりいたしませんので、後刻調査いたしまして直ちに御連絡申し上げたいと思います。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は水産庁職員名簿を見たわけで、本庁全員名簿が出ているわけですね。その名簿を見ますと、いま申し上げましたように、予備船員というふうに頭のところに書いてある。事務官とか技官とか、いろいろ書いてありますわね、頭に。予備船員というふうに書いた、頭に載った人が十九名いる。これは本庁だけですから、水産庁全体といたしましてはもっと多い人たちがいらっしゃるだろうと思うのです。そこで、この予備船員とはどういうものなんですか。
  11. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘予備船員の点でございますが、正式のいわゆる国家公務員法に基づきます呼称ではなくて、たぶん、名簿づくりのときの暫定的な取り扱いという形になっておるんじゃなかろうかと思いますが、どのような資格かと言われましても、これはやはり公務員として取り扱っておるわけでございまして、公務員であることについては間違いないと、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 予備船員というのは、どうもそんなものじゃないんじゃないかしら。船員としては予備船員というのを持っていなきゃならぬのじゃないんですか。私もよくわからないんですよ。ただ、予備船員というのが頭についておるものですから。十九人いると。
  13. 荒勝巖

    政府要員荒勝巖君) この予備船員と申しますのは、公務員ではありますけれども、年間常時すべての乗り組み員が乗っているわけでございませんので、やはり交代要員も含めまして、おかへあがって、陸上で次の航海まで、いわゆる予備的に待機しておる公務員である船員、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは、予備船員というのは私よくわからないんですが、名簿にちゃんと名前の頭に載って出てくるわけですから、これ、置かなきゃならぬのでしょうね。これは船の制度として、そういう予備船員というものを置かなきゃならなくなっているんでしょうね。ですから、名簿の上でちゃんとあるんだろうと思うんですけれども、水産庁全体としまして二十三名いるというふうに聞いているんですよ、本庁は十九名だけれども。全体としては二十三名だというんですね。ところが、実際船員はえらい欠員があるというんですね。ですから、七名病気で休んでいて、あと欠員だ、ちょうど二十三名。たまたま二十三名欠員。だから、実際じゃ、予備船員という形で置いてあるけれども、いないという実情のようですね。これはどういうふうなことになるのですか。全然いないという形になりますと——出ちゃいるけれども、実際は、病欠があり欠員があって、全然いないんだと、それは船員法なんかに違反することになりませんか。
  15. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 先ほど申し上げましたように、隻数が二十隻の直轄の船を水産庁で持っておるわけでありますが、最近におきます公務員充足の中でも、特に船員につきましては、一般民間の景気の動向を反映いたしまして、乗り組み員の募集ということが非常にむずかしい、また、国家公務員である関係もありまして、資格等も多少きびしい点もございまして、われわれとしましては極力充足するように努力しておるわけでありますが、全体としてなかなか確保しにくいという結果、ただいま御指摘のように、欠員というかっこうで出ておるわけでございまして、まあ端的に申し上げれば、船を必要に応じて動かすのが精一ぱいというのが現状でございまして、これらの定員充足化につきましては常に努力して、手づるを求めて確保しているというふうな状況でございます。したがいまして、待機要員というふうになっております予備船員につきましても、その後完全に上陸して陸上で待機させておくというふうな余裕がなかなか出てきていないというのが実情というふうに御理解願いたいと思います。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ、二十二名という予備船員を置いていらっしゃるけれども、しかし、七名の欠員があって十六名の病欠者がいて、実際上二十三名というのはないということになっておると、これは非常に大きな問題ではないかということを私は指摘をしておきたいと思います。  そこで、二十隻の船を持っていらっしゃるわけですけれども、この船には何人いなければならぬのだ、この船には何人いなければならぬのだという、船に乗る人たち基準というものはあるんですか。これはなければならぬと思うんですけれども、基準はあるのか。
  17. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) その船の大型、中型、小型——まあ大型といいましても、せいぜい二千トン前後でございますが、定員といたしましては、それぞれ船に張りつけはいたしておりますが、実際の運航上の問題といたしまして、乗船基準というものは現在のところ定めていないというふうに御理解願いたいと思います。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 基準がなくていいのか。それとも、基準をつくるための努力をしていらっしゃるのか。これは船である以上、定員がきまっているはずだ。この船には何人という定員がきまっているはずだ。それは乗船基準というものがなけりゃいけない。課には課の定員というのがありますし、船には船の定員というのがやっぱりなければいけないと私は思うんです。それには、まあこれは船ですから、課というより、もっとこれは正確なものだと思うんですね。ですから、そうしますと、やはり、この船にはこの基準だ、それより少なくては困るというような基準がなければいけないと思うんですけれども、それは必要ないのかどうなのか。あるいは、必要だというふうにお認めになって検討していらっしゃるのか、そこを伺います。
  19. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま申し上げましたように、明確な基準なしに——船運航必要最小限度の、船長あるいは機関長というふうにきめられております法律上の根拠以外の部分につきましては、それぞれ基準なしに、運航七まあ必要分だけ定員を確保して運航さしておるというのが現状でございます。これにつきましては、ただいま御指摘のように、やはり船の大中小に応じまして基準というものはあってしかるべきではなかろうかというふうに私も考えておりまして、これにつきましては、定員の確保の見通しのつく段階におきまして、またこういった基準整備しなければならないんではなかろうかと、こういうふうに思っておりますが、ただいまの時点では、御指摘がありましたように、欠員補充さえなかなか困難な段階基準を設けても、あるいは基準どおりいかないおそれもあるものですから、基準を設けていないというのが実情でございまして、これは早急に、やはり基準基準として整備しなければならないというふうに私としては思っておる次第でございます。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ、欠員補充という問題もありますが、ともかく船員の問題について、予備船員が二十三名設けてあるけれども、しかし、それは全くいないと同じなんだというのは非常に大きな問題ではないか。それから二十隻の船を持っていらっしゃる、その船について、この船には何人という、かくかくでこういう定員がいるんだ、つまり基準ですね、それもあってしかるべきだと思うんですけれども、どうもそれはまあ必要があると認めているので、これから検討して進めていくというような話ですね。  そこで、次に伺いますけれども、私、海事職の(一)、(二)という海事職俸給表の(一)表適用者海事職の(二)俸給表適用者政府全体としましては、先ほど申し上げたように二千二百名、その中で水産庁が四百四十名ということなんですが、俸給表をゆうべ見てみたのですが、そうすると、これは大きく人事院の問題だと思うんですけれども、ともかく四十五、六万の国家公務員の中の、いま申し上げた二千二百名という非常に小さな職種の人たちになるわけですね。なものですから、どうも配意がたいへん足りないという感じを強く持っているわけですよ。たとえば、行政職俸給表の(二)と海事職表の(二)と比較してみますと、行政職俸給表の(二)のほうは、一等級、二等級、顕著にふえておる。たいへん顕著にふえている。そして五等、四等というところですね、つまり低いところです、これは顕著に減っている。そのことは、これは行政職俸給表の(二)について処遇が悪いというところから、できるだけ上位の等級に上げていこうという努力がたいへん払われてきておるというふうに言っていいんじゃないかと思います。ところが、海事職はこれはほとんど変わらない。そのことは、どうも私は、海事職の(一)にしましても、海事職の(二)にいたしましても、これは行政職の(一)なり行政職の(二)なりに比べますと、昇格問題について配慮がたいへん欠けているのじゃないかと思うんです。これは一般論としてそういうふうに私は俸給表から見るわけです。実際問題といたしまして、水産庁のこの四百四十名の人たちについて、昇格問題はたいへん問題になっておるんじゃないでしょうか。どういうふうに見ていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  21. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 海事職の問題については、ただいま御指摘になりましたように、運輸省あるいは農林省水産庁というふうに、海事職定員方々国家公務員の中では非常に少ないのでございまして、海事職につきましては別途の形で俸給表もつくられておりまして、運輸省のほうの海事職水産庁海事職との間には、何ら差別待遇することなく、同一待遇でわれわれとしましては実施しておる次第でございます。ただ、こういうふうに一般民間の繁栄の中にありまして、民間でもなかなか海運に従事される幹部職員なり、あるいは中堅職員さえも確保できない段階で、水産関係水産庁公務員でもそれが反映しまして、なかなか確保しにくいというのが実情でございますが、こういった海事職を今後ともやはり一般海事関係と同様に何とかして確保するよう、この待遇の改善にはつとめてまいりたいとは思っておりますが、実際の問題としてなかなか改善しにくいというふうに御理解願いたいと思います。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは、私先ほど申し上げたように、行政職(一)、行政職(二)という問題についてはいろんな配意が払われてきているわけですけれども、海事職の(一)と海事職の(二)ということについては、これはもう俸給表を見れば、俸給表の中の各等級在籍人員で見ますと歴然としているわけですね。ですから、この問題について、やはり水産庁水産庁として、たいへんたくさんの海事職がいらっしゃるわけだし、かかえていらっしゃるわけですから、これはやはり積極的にそういう面についての努力を払っていかなければならぬ、払っていってもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、東京港を本拠とします船は何隻いるんですか。それに乗っていらっしゃる方々はどの程度いらっしゃるのか。
  23. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) いま資料で調べましたところ、実績、約半分が東京港を基点として稼働しているということでございます。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その船に乗って百日なりあるいは五十日なり外洋に出て、そうして帰ってくる、これは何回となく帰ってくる人だと思うんですが、帰ってきたときに、これは自宅に帰らなければならぬわけですね。一カ月たったら帰ってくる、あるいは四十日たったら帰ってくるということですが、そういう場合の交通費はどうなんですか。
  25. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 東京港に帰港いたしましてから、自宅へ帰着する前の旅費は支給いたしておりません。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これはうちに帰るわけですが、二十日に一ぺん帰るのか一カ月に一ぺん帰るのか知りませんけれども、あるいは百日に一ぺん帰ってくるんだろうと思うんですけれども、まあ東京都に住宅がある人もいるでしょうし、少なくとも水産庁本庁名簿を見ますと、船員人たちはいろいろなところに住んでいる。人によっては、千葉、新潟、宮城というようなところに住宅がある。帰ってきたら、これは必ず帰らなければならない。言うならば、自宅と船との間が通勤の形といいますか、になっているんじゃないかと思うんですけれども、通勤程度に取り扱ってもらわないと困るんじゃないかと思うんです。一年に何回、何十回うちに帰るかわかりませんが、私も承知しないんですけれども、何かそういう点についての考え方というのが要るんじゃないでしょうか。どういうふうにお考えですか、水産庁長官
  27. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 東京港を基点としながら取り締まりなり調査に従事している、船に乗り組まれておるわけでございますが、やはり海上勤務の期間が長い関係もありまして、やはり東京周辺に転居されるよりも、出身地のほうの自宅に家族を残しておかれたほうが、生活観点からも、あるいはその他の便宜上の都合からも、やはり郷里のほうに自宅があったほうが有利である、特に夫人なり子供さんを置いておく関係もありまして、両親の近所のほうがいいというふうな事情もありまして、その辺の住宅の選別については、やはり本人便宜の上できめられておる関係もありまして、無理に東京周辺に住居をかまえる必要もありませんし、また、私たちもそういう強制もいたしておりません都合もありまして、やはり自然と、いなかのほうに置かれる機会が多いものですから、これにつきましては旅費は支給しなくて、本人東京に住めばそういった旅費を支給する必要もないという前提に立ちまして、支払っていないというふうに御理解願いたいと思います。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 船に乗って、十回か二十回かわかりませんが、陸に上がる、そして自宅に帰る。通勤手当というものが国家公務員には出ておるわけです。毎日通勤することに対して通勤手当というものが出ている。しかし、これは一年に二十回か三十回か知りませんが、船からおりたときに、これはもう自宅へ何としても帰らにゃいかぬわけで、そしてまた自宅から船に乗り込んでくるわけであって、その間のその費用というものを、これは交通費として、通勤費として見ても何ら私は差しつかえないんじゃないかと思うんですけれどもね。また、そういう程度のことは考えてしかるべきじゃないかと思うんですね。先ほどお話しのように、欠員があってどうも埋まらない、民間の賃金との関係もあって、なかなか欠員が埋まらないし、苦労していらっしゃるような話なんですが、そういう問題も考える必要があるんじゃないかと私は思うんですけれども、その答弁をいただきたいことと、もう一つ伺っておきたいんですが、水産庁は千八百名ぐらいの定員があるわけですが、その中で船員が四百四十名、たいへん多い船員を持っていらっしゃるわけです。ところが、この船員を取り扱うと課というものがありませんですね。そして管理班というのがあって——これは職員名簿を見りゃわかるわけですから——管理班というのがあって、六名ですよ。その中の二名というのは東海水研のほうにいる。名簿から見ますと、四名この船の人たちを取り扱う人がいる。で、四百四十名という人たちが船に乗って、これは盛んに外洋を調査し、あるいは取り締まりに活動している。その安否を問い合わせるだけでもこの四名の人は忙殺されておるという。それはそうだろうと思うんです。ですから、私は先ほどからこの四百四十名の船員人たちの問題について聞いたわけです。予備船員というのがあるんだがそれはどうなっているのか、基準はどうなっているのかという話を聞くわけですね。で、私は、この船員についての取り扱いというのが、水産庁にあっては非常に手抜かりになっておるんじゃないか。水産庁ですから、当然船を持って調査取り締まりをやっておるわけなんですね。しかも四百四十名とたくさんの人をかかえている。これは行政職(一)や(二)と違って非常に特殊な労働条件の中で働いておるわけですから、したがって、それにサービスする職員というのは、これははっきり確保しておかないとどうにもならぬのじゃないか。基準はつくりたいけれども基準はない、これからやりたい、人は足りない、予備船員はゼロだということでは、私はこれはいけないんじゃないか。  したがって、私の結論は、いま申し上げたようなことについていろいろ積極的に配意をしてもらって解決をしてもらいたいということが一つ。もう一つは、これはやはり、小さな課であっても、船員課のごときものを設けてそういう問題に対処していく必要があるのではないか。非常に不備だと私は思います。気象庁は六千名の定員を持っております。運輸省の気象庁はほぼ六千名の定員ですが、その中で、やはり船を持って海洋気象の調査をやっております。これは水産庁より定員もうんと少ない。半分ぐらいしかない。しかし、海務課という課をつくって、この船員に対する処遇の改善といいますか。あるいは配意を十分はかっている。十分かどうかわかりませんが、はかっている。水産庁水産庁だけれども、そういうようなことが行なわれていないんじゃないか。だから私は、一つ船員課か海員課か、いずれにしましても、そういう課をつくってこの問題についての対策を至急とっていく必要があると、そう思っております。ですから、この点について、大臣、これは政令でできるわけです。大臣のお考えでできるわけです。法律事項じゃございません。ぜひ、そういうふうなことに取り計らってもらいたい、こう思っております。大臣の御見解も伺っておきたいと思います。
  29. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) たいへん詳細に御調査をちょうだいいたしまして、私も知らない点が多々ございまして、啓蒙されたことをお礼を申し上げます。そして、いま、乗船をする場合の基準の問題、あるいは予備船員はあるが実際上は欠員になっておるではないかと。また、海事職に対する昇格等の配慮あるいは交通費の問題、いろいろと御指摘がございましたし、さらには、水産庁船員課を設けて十分めんどうを見るようにという御意見でございます。要するに、私どもとしての管理体制の不十分な点を御指摘をいただいたものと思いまするので、御意見を尊重いたしまして、その改善のために検討さしていただきたいと思います。
  30. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣ね、これは、検討ということではなくて、ぜひすみやかにそういう課を設けて積極的に海員の問題の解決のために取り組んでもらいたいと思うんですよ。そのために、私はいままで非常にたいへんこまかいことを申し上げておるわけなんです。ですから、検討から進めて、大臣のお考え方できまるわけですから、政令できまるわけですから、ぜひ……。水産庁として当然のことだと思うんですね。気象庁すら設けているんですから。水産庁というこのお役所が、船員の問題を取り扱うのにわずか四人しかいなくて、基準もない、欠員で、予備船員はゼロだと、待遇その他についても配意が足りない、ということでは、これは水産行政上私は大きな問題だと、こう思っておりますので、ぜひひとつ、そういうことでやってもらいたいということを申し上げます。
  31. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 今回、農林省設置法の一部改正水産庁機構改正をお願いしたこの段階でございまして、ただいまの御意見で、また続いていろいろ御趣旨に沿うような設置法の一部改正ということについては、手続上にもなかなか問題があるんではないか。したがいまして、御意見の点につきましては、今回改正後における漁政部の中におきまして、管理改善の上に御意見を尊重して十分考えさしていただきたいと思います。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に伺いたいんですが、今回審議官を新設するというのが非常に大きな眼目の一つになっているわけですが、これは三十九年だったと思うんですけれども、当時、水産庁長官、次長という制度がありました。今日でもありますけれども、その当時も水産庁長官、次長という制度がありましたけれども、ところが、三十九年にその次長を削除した農林省設置法一部改正が出まして、私ちょうどそのとき内閣委員だったものですから、どうしてせっかくある次長制というものを削除するのか、水産の問題についての外国との関係がたいへん——そのころからたいへん、これはしょっちゅうですが、たいへんなところであったわけですから、ですから、次長というのを削除するのはおかしいじゃないかということをだいぶこの席上で、内閣委員会で言ったことがあるのです。しかし、要らぬと言って、それで次長を削除して法律が通ったわけです。そうしましたら、それから七カ月ぐらいたって——八カ月もたたなかったですね、また農林省設置法一部改正が出まして、そして八カ月前に削除した次長制をまた置くと言うのです。理由は何かというと、水産の国際関係のためにぜひとも次長は必要だ、こういう話だったですよ。私はそのとき以来この次長についてはっきり記憶しているわけです。えらい朝令暮改じゃないか。要らぬと言って切っておいて、そして八カ月たったか九カ月たたないうちに農林省設置法一部改正を出しまして、要るんだと。その間の事情は全然説明がなかったですよ。そういうことがありまして、これは重政農林大臣と赤城農林大臣にかかっているのですけれども、重政さんのときに切って赤城農林大臣のときについたわけです。私の記憶では、次長を三十九年に切ったときに、削除したときに、長官官房というのが置かれたように記憶している。これは、官房というのは珍しい名前ですから。長官官房というのが置かれたと思います。  それで、今回また、理由は同じなんですけれども、次長はそのままにしまして、外国関係がたいへん忙しくなったので、そこで今度は審議官を置きたい、こういうことなんですね。どうも私にとりますと、忙しい忙しい、国際関係のことで次から次に、何かまた一つこれが変わったという形になるのですね。一体、次長というのと審議官というのは、これはどういうことになるのでしょう。次長は、国際関係はどうだこうだからと言って、置いた、今度は、国際関係がどうだこうだというので審議官を置いたのですが、次長と審議官というのは、その漁業の国際関係についてはどういうことになるのですか。それをお伺いしたい。
  33. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 今回、設置法改正に伴いまして水産庁機構整備についてお願いしておるわけでございますが、その中で、特に審議官を海洋漁業部に設けまして、外国との漁業交渉に専念してもらうという趣旨で設置方についてお願いしている次第でございますが、この一、二年国際的な交渉が非常に頻発してまいりまして、ほとんど現在のいわゆる管理職の体制では、いわゆる日常の行政を担当しながら、なおさらに海外へ出張するということが非常にむずかしいという段階になっておりまして、こういったことを何らかの形で少しでも解決するために、審議官制度を設けて海外との交渉に専念してもらうということが趣旨でございます。御存じのように、さらに、そういった日常行なわれております国際的な交渉のほかに、海洋法会議というものが切迫しておりますし、大きな国際関係の交渉等もありまして、審議官のみでも、また場合によってはまかなうことができないというふうな事態も私たちとしては想定しておりまして、やはり今後一部の幹部職員は相当国際的なものを担当せざるを得ないのではなかろうかと、こういうふうに私たちとしては考えておりますので、長官、次長、さらに審議官ということで、この国際問題を臨機応変に担当しながら、なるべく普通の、たいへんでない国際漁業交渉は審議官にお願いする、審議官ではなかなか困難と思われるものにつきましては、一応部長なり次長なりが主として担当していく、こういうふうになるのではなかろうかと、こういうふうに私たち考えておる次第でございます。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 国際関係がたいへん重要になってき、また、たいへん多忙になってきておる、したがって次長を設けた、さらにまた一そう多忙になってきているので審議官を設ける、部も新しくそういう対応の部をつくると、そういうお話だろうと思うのです。ですから、過去私どもが水産庁設置法審議した経過では、先ほど申し上げたような経過で来ているものですから伺ったわけなんです。  そこで、次にお尋ねしたいのは、確かに、いまお話しのように、日本の水産業が、外にあってはたいへん外国との関係で警戒をされ、非常に苦しい段階に来ているということは、もうだれしも承知をしているし、私どもも承知いたしております。そのために今回新しいこういう対応の審議官をつくり、そうして機構も編成をして、つくって対応されようとするのだろうと思うのですが、今度の機構を見てみまして、どうも重点がそういう外国関係に置かれ過ぎているではないかということを感ずるわけですね。いままでの農林省の水産政策についてもそういう批判がたいへんあったと思うのです。また、そういうふうに私ども見ております。今回の機構を見ますと、ますますそういうことになってくるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけですね。どうも沿岸漁業についての配意が足らぬのじゃないか。その点について考え方を聞きたいと思うのです。
  35. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 今回の機構改革を設置法でいろいろとお願いいたしているわけでございますが、機構改革——私たち法律が成立いたしましたあとで考えております機構の改革案で申し上げますと、いわゆる海洋漁業部というものが新しく、いまの生産部を多少拡充いたしまして海洋漁業部というふうに名称変更いたしまして、ここで外国交渉専任の審議官を一人新設するということで、あとは、従来の漁政部並びに生産部の仕事の交通整理をいたしまして、だんだん船が大型化してくる形で、従来沿岸に近かったような漁業の主流を沖合漁業ということで、そちらへ沖合漁業課を設けまして、そちらで多少やってもらうということになるわけでございますが、海洋漁業部といたしましては、実質的にふえたのは審議官の新設が一人ということでございます。それに対しまして、漁港部が——先般第五次漁港整備計画の御検討をお願いいたしましたところ、国会の御承認を得ましたので、今回この法律とは端的に関係ございませんが、漁港部に新しく新設の課を設けまして、漁港がやはり整備されるとともに、また災害の頻度も、こわれる機会も多いということもありまして、その災害復旧もたいへんなことになりますし、さらに漁港だけでなくて、漁港の周辺の海岸の保全もはかるということで、防災海岸課を一課新設いたしまして、漁港部は現在二課でございますが、それを三課にいたしまして、いわゆる漁業の基盤であります漁港の整備並びにその復旧につきまして万全の体制をしきたいというのが今回の一つの問題の点でございます。  さらに、調査研究部を研究開発部というふうに名称変更するわけでありますが、これは、従来の水産庁がとっておりました研究体制のほかに、新しく仕事の内容といたしましては、今後栽培漁業を中心にいたしまして、開発的な仕事も大いに進めなけりゃならないということから、研究のほかに行政的な、生産奨励と言ったらおかしいんですが、そういった振興的な仕事もここで今後行なうということで、開発課に多少再編成いたしまして、仕事をやらせるということが一つ。  それから新しく漁場保全課というものを設けまして、今回の設置法でも非常に問題になっておるわけでございますが、水産庁といたしましては、ともすれば立ちおくれぎみであった公害防止対策を、ここで全力をあげまして、漁場保全課で専念してこの公害対策に従事するということでございます。これをなぜ研究開発部に置いたかということにつきましては、まだ公害防止対策が全面的に——いわゆる助成事業に入るには少しまだ早過ぎまして、非常に研究的な仕事がまだ残っている、どうやって赤潮を防除するのかというようなことになりますと、試験研究的な要因が非常に多い。世界的に赤潮の問題等につきましてもやはり十分わかってないというようなこともありまして、研究体制の中から生まれ出た一つの研究的な仕事を直ちにいわゆる助成事業として取り上げるには早過ぎるんでありますが、それをやはり漁場保全課というところで、相当実験的な要因がありますけれども、早急に事業に移してやっていくということもありまして、この公害防止事業につきましては、漁場保全という形で研究開発部でやってもらう、立ちおくれております公害対策事業につきまして、この課で専念してやってもらう、これは、従来主として長官官房の総務課の一部屋で公害防止対策をやっておったんでありますが、これを一挙に課に引き上げてやってもらう、というのが今回の改正の趣旨でございます。
  36. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この十年ぐらいの間の水産漁獲高を見ますというと、遠洋漁業なり沖合い漁業という、資本が経営している漁業は非常に伸びておるわけですね。順調に伸びている。しかしながら、零細な漁民がやっております沿岸漁業、これは十年の間ほとんど停滞をしているという状況ですね。そのことはたいへんいま問題を起こしているんだと思うんですよ。沿岸漁業が伸びない、停滞をしている。これは国内の消費者にとってはたいへんな問題を生じていること、御承知のとおりなんですが、今度この機構改革が出ましてみますと、ますます何か、遠洋漁業なり沖合い漁業という、資本の経営する方面にはなかなか積極的に出てこられたという感じがするんですがね。いま日本の水産業が当面している二つの大きな問題は、これはもう長官がおっしゃいますように、遠洋漁業、沖合い漁業は外国の圧迫をたいへん受けてきているわけです。それにどう対処するかということだと思うのですよ。一方、国内の沿岸漁業というのは、これは、公害や埋め立てや、そういうものによって徹底して荒らされているわけですね。その二つが大きな問題だと思うのですよ。で、外国に対しては体制を整えて積極的に立ち向かおうという姿勢が見えるのですね。ところが、沿岸漁業に対する圧迫ですね。踏みつぶされようとするこの状況の中では、どうも水産庁の姿勢というのははなはだ弱い。無力ではないかという私は感じを持っているわけなんですよ。なぜ無力なのか。一方のほうは、資本が経営している遠洋漁業である、沖合い漁業である。一方は、零細な漁民が経営している沿岸漁業だというところが弱いのか。あるいは日本の工業資本に対して水産庁の力というのが押しまくられどうしになっているということですね。どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
  37. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま申し上げましたように、外からの漁場の確保ということにつきましては、私たちといたしましては全力をあげて漁場の確保並びに海外からの漁撈をあげるということは、やはり大事なことだと思っております。しかしながら、一方、国内的なことの沿岸の漁業振興ということについては、ただいま御指摘がありましたとおり、われわれといたしましても、これにつきましては従来以上にやはり全力をあげてこの問題に立ち向かいたいというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、まず生産基盤であります漁港の整備を急ぎまして、漁船の大型化あるいは安全性の強い漁船ができますように、漁港を整備いたしまして、ここで安心して沿岸の漁業が振興できるように実行してまいりたいというのが今回の第五次漁港整備計画でございました。さらに、研究開発部に漁場保全課を設けまして、公害防止対策に今後全力をあげていくと。いきなり部というわけにも、まだわれわれの実力といいますか、その蓄積が非常にまだ少ないと、いかにして公害を防止できるかという研究的な仕事と相並行しながら、逐次漁場の保全をはかってまいるということで、いずれ、この問題につきましては、あらためてわれわれといたしましても今後さらにたいへんな検討をいたしたいと、こういうふうに思っておりますが、この漁場保全課を当面ここで設けまして、沿岸の漁業振興に全力をあげたい、こういうふうに考えている次第でございます。  なお、ただいま御指摘のように、日本の国民の動物性のたん白といたしまして、やはり水産資源といたしましては、現在で約一千万トンの水産物の国民の需要がある、行く行くは千四、五百万トン近い水産物を確保しなければ国民の動物たん白資源といたしまして確保しにくいという面もありまして、われわれといたしましては、国際的な遠洋漁業と、それから沖合いの漁業と、それから沿岸の漁業と、この三つのバランスをとりながら、漁場を確保しながら水産物の成果をあげてまいりたいと、こう思っている次第でございます。ただ沿岸漁業だけでこの国民のたん自資源を確保するということはやはり限度がございまして、漁場がやはり狭いということで、今後こういった沿岸漁業では、やはり国民の非常に需要の強い、おいしい魚といいますか、高級魚を中心に、漁民の所得の確保と並行しながら、いい魚をここでとっていく。そのためには、栽培漁業というふうな形で今後この研究部門の体制の整備とともに、こういう稚魚の確保並びにその放流という技術が、世界でもまれに見る、そういった漁業の栽培という成果が逐次水産研究所で検討が進んでおりますので、それを直ちに事業のほうへ移しながら、この沿岸におきます高級魚の確保に万全の措置を払ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  38. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 東京湾が汚濁されてどうにもならなくなってきている。あるいは宮城にありますあの仙台湾ですか、これも汚濁になってしまってどうにもならぬ。駿河湾がどうにもならなくなっちゃった。伊勢湾が、これまたどうにもならない。沿岸漁業の四割を占めている瀬戸内海が死の海一歩前だと。有明海がどうにもならない。次から次に沿岸漁業の有力なところがどんだんつぶされておるわけですよ。それ以外に、この四十年代から、海岸の埋め立て、これはたいへんなものですね。それが沿岸漁業に与える影響というのは非常に大きなものだと思うのですよ。そういうものに対して水産庁がどれだけの力を持ってきたのかと私は思うわけなんです。いま陸奥湾でも、沿岸漁民と原子力船の問題で非常な紛争を起こしている。佐伯湾でも紛争が起こっている。あるいは志布志湾でも起こっているのですね。そういう場合に水産庁の顔が一つも出てこないのですね。漁民が必死になってやっておるわけですよ。沿岸漁業を守る、漁民の生活を守ることを必死になってやっておるのだけれども、水産庁の顔は一つも出てこないのですね。何年かかっても出てこない。水産庁というのは、漁民の生活を守る、漁民の生活を向上させる、沿岸漁業を振興させるということだと思うのです。そのためにいわゆる沿岸漁業等振興法という漁業基本法もできて十年たってる。しかし、どうもこの十年というのは、いま申し上げましたように、そうではないのじゃないか。そっちに対するその水産庁の姿勢というのはこれはたいへんに弱いと、私はそう思うのですけれども。ですから、いま長官が栽培漁業ということをおっしゃった。確かに五、六年前には栽培漁業についての非常な曙光があった。瀬戸内海は世界の栽培漁場になるだろうというふうに、またみんな夢見たと思うのです。いまはなかなかそうはいかないです。全然見通しはないと言ってもいいくらいになっちゃった。ですから、先ほどから私が申し上げておるのは、沖合い漁業なり遠洋漁業に対する外国の圧迫に対しては、また積極姿勢をもって臨んでいらっしゃる。しかし、国内の沿岸漁業に対する圧迫については全く無力ではないか。したいほうだい、やられほうだいという形になってきているじゃないかと、こういうことをいつも思ってるわけです。まあそうでなければそうでないということを御説明いただきたいと思うのです。
  39. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) これは、私も率直に申し上げまして、鶴園委員の御指摘の傾向が近年多分にあったと思います。ただ、最近における公害問題がこれだけクローズアップいたしまして、環境庁もできたというようなことで、このきびしい批判を受けとめてこれからの施策を考えていかなきゃならない。よく申し上げまするように、高度成長経済に対する批判、また、それに対する私どもの反省というもの、そういうものがあって、さて、それではこれからの農業や漁業や林業はどうかと、こういうことになってまりますると、情勢はだいぶ変わってきておると思うのであります。そういう情勢の変化の上に、先ほどから長官のほうから御説明を申し上げましたように、沿岸漁業に対する施策も、われわれとしてそれに対応するだけのものを考えていきたいということで、漁業生産基盤の強化のためには新しい漁港整備計画をお願いしよう、また、公害対策を十分しきゃいけないということで漁場保全課というものを設ける、さらに沿岸漁業振興の上に第二次構造改善事業あるいは栽培漁業、そういうようなことも行ない、漁業金融についても配慮してまいりたいということで、確かに御指摘のような点がいままでございまして、この十年間を考えてみましても、沿岸漁業は従来三十六年で三四%占めておったものが、これが二六・一%まで落ち込んでおるということでも明らかでございまするが、われわれとしては、いま申し上げたような考え方に立ちまして、これからの沿岸漁業の振興につとめてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  40. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣、沿岸漁業の振興をなさる、第一次漁業構造改善事業、第二次漁業構造改善事業を進められる、あるいは漁港をおつくりになる、あるいは養殖をおやりになるとか、しかし一方においては、沿岸はどんどんものすごい勢いで埋め立てられていく、海はたいへん汚濁されていく、海底が汚濁してくるというのでは、これは、漁港をつくってみても、漁業構造改善事業をやってみましても、あるいは養殖栽培漁業をおやりになりましても、それはその根っこを押える考えがあるのかどうか。どんどんやられておる、それを押えるお考えがあるのかというのが第一じゃないでしょうか。それをそのままにしておいて、どんどん侵食されてくる。それで、漁港はつくる、何はつくる、どんどん汚濁されてきたらどうにもならないんじゃないか。ですから、ここでそういうようなものを押える、防止するというお考えがあるのかどうか。さらに、いままでそこまで来たものを、これを抑止していくという、そういうお考えがあるのかどうか。私は、八代の水俣病、これはそもそも水産の問題だと思うのですよ。魚を食ったネコが狂い死んだ。一体水産庁はあのときに——この十五、六年の間、あの水俣病の事件のときにどの程度出ているのか。それからいま、あそこの水俣の海のヘドロを取ろうということが出ましたね。これは漁業のためにはどうしても必要です。どこでも起こってくると思うのですよ。駿河湾もそうです。そういうものに対して水産庁はどういうところにお出かけになるのか、お出ましになるか、ということだと思うのですけれどもね。  そこで、それを伺う前にちょっと具体的にお尋ねをしたいのですけれども、四十年代に入って、日本の代表的な潟、海岸というものはほとんど埋め尽くされているんじゃないでしょうか。そういうものによる漁業の被害というもの、どの程度埋め立てておるのか。これは沿岸漁業にとっては非常に重要な問題です。決定的に重要な問題です。それが軒並みに埋め立てられている。これはたいへんなものですよ。そこへもってきて、そういう工場ができるということによって沿岸の海水がたいへん汚染されており、海底が汚濁しておるという状況になっておるわけでしょう。そういう被害は一年間にどの程度あるのですか。水産庁から私のところにもらった資料に百八十億というようなことが書いてあります。これはこんな問題じゃないと思いますよ。ですから、どの程度の潟が埋められて、それが沿岸漁業にどういう影響を与えているかという点についての調査をなさっていらっしゃったら、水産庁、ひとつ御説明をいただきたい。
  41. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 本年度、四十八年度に、センサスで、あらためて過去五年間の埋め立て等によります漁場を失なった面積を、再確認というか、確認いたすことになっておりまして、明確な数字はまだ十分手元には用意されておりませんが、三十八年から四十三年までの、ちょっと古い、前のセンサスのときの数字でございますが、その五年間に埋め立て計画によりまして漁業権が放棄されたという面積は、合計二百五十八平方キロということになっておりまして、この面積は、いわゆる共同漁業権の漁場面積の約〇・二%というふうになっておる次第でございます。こういうことで、その後四十三年から四十八年までのさらに五年間の間にこれ以上の面積が埋め立てによって実施されているんではなかろうかと、こういうふうに思っておりまして、当然、この結果、魚類の産卵場あるいは稚魚の生育場所であります潟が相当喪失して、その結果、漁業にもいろいろな悪影響は十分に起こしておるんではなかろうかと、こういうふうに思っている次第でございます。  ただ、御指摘のように、この沿岸の漁業がこれによって悪影響を受けておるということにつきましては、われわれといたしましても十分認めざるを得ないのでありますが、この沿岸漁業の総漁獲量というものが、実態的にはそれほど——まあむしろ減ってないということで、魚の生息する居住性というものについては、あらためて水産庁の研究部をあげてこの問題の解明につとめておるわけでありますが、一番問題なのは、やはり高級魚と思われるものが非常に減ってきておる、たとえば瀬戸内でも、タイとかクルマエビとかいうふうなものが非常に減ってしまって、最近ではカタクチイワシというふうなもの、あるいはコウナゴというふうな、最近の日本の国民ではあまり食べないような魚が非常に、まあ逆にふえてきているという現状、あるいは最近の太平洋岸におきましても、サバとかあるいはイカとか、あるいはイワシの類は最近千葉方面では非常に多獲されておりまして、価格の問題でも多少逆に問題が出てきているほど多獲性の大衆魚がふえてきておるというようなこともありまして、これがどういう結果こういうふうに沿岸魚の、しかも大衆魚がふえてきたかにつきましては、最近あらためて検討をし直しておるということでありますけれども、問題は、やはり漁民の立場からいたしますと、こういった多獲性ではあるけれども、昔は大衆魚だったのが最近では国民の嗜好にだんだん合わなくなってきている、カタクチイワシというものについてはほとんど食用になかなか供せられないというふうな面等につきましては、これはやはり漁民としては問題が多いと思いますので、われわれといたしましては、こういったものをえさとしながら、さらに今後栽培漁業を大いに推進することによって、まあ高級魚と言ったら失礼ですが、国民の嗜好性の非常に強いタイなりハマチなり、あるいはクルマエビなり、そのほかカレイというふうな、こういった魚種を大いに振興し、また培養してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  42. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 去年全漁連が一年間調査をして、埋め立て等によって喪失した貝類の調査を一年かかって調査をして、去年発表しましたですね。その調査についてどういうふうに水産庁はお考えになっているのか、お伺いしたいんですけれども、その資料によりますというと、漁場として完全に価値のなくなったもの二千平方キロメートルというふうに出てますですね。いま水産庁長官が、これちょっと古いんだがということでお出しになったのは二百五十平方キロ、一つけたが違っているんですね。二千平方キロという、これはまあ完全に漁場としての価値を喪失したという数字、ここに出てますね。それから、価値が減少したといいますか、大きく減少したというところが、まあたいへんな数字ですね、漁場としてすでに四割から五割というのが——約半分ですね、沿岸漁業としては半分の漁場が喪失をしているというふうに言われているでしょう。で、その損失は年間に一千億だと、こういうこと、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。これ、見ますと、十五府県というふうに書いありますけれども、これは全国について調査をやったのか、よくわかりませんけれども、全漁連の調査についてどういうふうに考えていらっしゃいますか、お伺いいたします。
  43. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 全漁連で非常に努力されまして、いろいろな漁業の環境の問題についてお調べになったことにつきましては、私たちもその資料をいただきまして、いろいろ勉強させていただいている次第でございます。ただ、全漁連は全漁連なりに非常にまあ努力はされておりますけれども、水産庁といたしましても、また水産庁なりにいろいろと検討させていただいておるのですが、先ほどちょっと申し上げましたように、たとえば昭和三十八年には沿岸漁業でとれております海面漁業というものが約二百万トン、二百二万七千トンというのが統計的に出ておりまして、それがさらに養殖関係で別途約三十九万トン、約四十万トン前後の養殖関係のものがあるわけでございますが、それが四十六年の統計では、沿岸漁業がほとんど変わりませんで、百九十三万五千トンというふうに、ちょっと減っておるわけでありますが、さらにそれが養殖関係を入れますと、養殖関係が非常に飛躍的にふえまして、約六十一万トン、六十万八千トンというふうに逐次養殖関係がふえてきておりまして、合わせますと、沿岸あるいは養殖で、おおまかに言いますと、三十八年には二百四十万トンだったものが、逆に四十六年には二百五十万トン、さらにこれが四十七、四十八年では、多獲性魚種が若干ふえておる傾向もございますので、三百万は無理と思いますけれども、相当また上回ってきているのじゃなかろうかという意味で、私たちといたしましては、最近の研究部を中心といたします検討会におきましても、沿岸漁業の魚族資源の低下というものは一応底をついたというふうに理解いたしておりまして、今後さらに海の浄化なり、また栽培漁業推進等をはかりますれば、今後沿岸漁業の将来というものは決して暗いものではない、むしろ今後魚種の転換をはかることによって、沿岸の漁民の所得の確保ということと、それから嗜好性の強いいい魚をとるという点につきましては、そういう観点から今後まだ可能性が非常に強いというふうに理解しておりまして、今後そういう沿岸漁業類の漁獲高の向上ということにつきましては、さらに努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  44. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまの問題は、私も冒頭に申し上げたように、水産の漁獲高そのものは非常に成長してきておる、その成長してきておる中身は、これは遠洋漁業と沖合い漁業というものがたいへん成長してきておるわけであって、国内における水産従業者の七割を占めておる零細漁民の沿岸漁業というものは、これは十年の間ほとんど停滞しておるじゃないかと、これは漁法も開発されておりますし、いろいろな金も投じてきている、船もりっぱになってきております。そういう意味で言えば、これはもっと発展してしかるべきものだ。  それは別にいたしまして、私が先ほどお伺いしましたのは、水産庁としては、いままで潟がどの程度、沿岸がどの程度埋め立てられたか、あるいは産業公害によって、あるいは生活の水の汚濁によって、汚水によってどれだけの被害が出たかという点については、遺憾ながら資料がない。三十八年ごろから四十三年ごろまでのはあるけれども、ないというお話であるから、それでは昨年全漁連が一年にわたって調査したものがあるのだから、それについてはどうお考えかと、こう伺っているわけですよ。ですから、これによるというと、二千平方キロという漁場が完全に喪失をしたと。さらに、それの十倍以上のものは価値が大きく低下している。そういうことで言えば、今日沿岸漁業の半分以上というものが喪失されておる、こういう言い方をして、年間に一千億円だということを言っておるわけです。これについてどういうふうにお考えになっているのか。まあ今度センサスがあってどうだこうだというお話ですが、この埋め立てについて、むしろ運輸省の港湾局のほうがもっと正確に調査していますね。非常に正確に調査していますよ。これは私、志布志の埋め立てのときに調べさせてもらったのですけれども、これはもう港湾局はずっと調査しています、どれだけ埋まっているか、どれだけ残っているか。しかし、少なくとも漁業が端的に影響を受けるわけですね、たちまち影響を受ける。その埋め立て、そういったものについての調査が今日ないということは、これは私は、どうも、沿岸漁業に対する姿勢というものが悪いのか、それとも、いまの水産庁の行政機構というものに欠陥があるのか、両方にあるように思うんですけれども、それは別にいたしまして、全漁連の調査についてどういうふうなお考えを持っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  45. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 全漁連の御調査は、ある程度事実関係といたしましては十分に調査されたものと思っております。ただ、私の先ほど申し上げたのは、沿岸漁業が非常に悪化しているというふうに一般的に言われておることも事実でございますが、水産庁といたしましては、沿岸漁業の漁獲高という面から見ますと、それほど魚族が減っていないと、むしろ魚族の転換が行なわれたと、そしてやはり国民が非常に喜ぶ魚族が減ってしまって、最近ではあまり食用に適さないような、飼料価値程度の魚が非常にまあふえてきて、その結果、今後問題を残しておるということを申し上げておるわけでございまして、今後、この魚族をさらにもう一ぺん人工的に再開発いたしまして、いい魚に切りかえていきたいということを申し上げた次第でございまして、これが世界でも非常に珍しい栽培漁業への転換ということで、何とかしていい魚を沿岸でとりまして、沿岸漁民の所得の確保と、それにさらに国民にも喜んでもらうというふうに、われわれとしましては今後逐次努力いたしまして、急速にこの問題は事業化へ移してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  46. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私がお伺いをしているのは、私の最も心配しているのは、全漁連の数字を見ましても、また常識上からしましても、毎日の新聞を見たってわかることでありまして、沿岸というものがたいへんな勢いで埋め立てられる。しかも、魚族にとって大切な潟がどんどん埋められていく、そしてそのことは工場排水というものが海へどんどん流されていく、そこで、東京湾を見てみろ、伊勢湾を見てみろ、駿河湾を見てみろ、瀬戸内海を見てみろと、それは全部わかっていることなんです。そうして、その調査がないとおっしゃるから、それでは、全漁連の調査が昨年発表になった、全漁連は十五県を調査なさったのかどうかわからないけれども、どうも全国の調査ではないようだ。見ますと、十五県という数字が出ているから十五県調査なさったのかなあと思う。いずれにしましても、とにかく日本の漁場の半分というものがたいへんな事態になってきていると、これからますますそういう方向に追い込められるのじゃないかということを私は心配しておるわけなんですね。もちろん、漁船がだんだん大型化してきますし、漁法も改良されますし、もっと沖合いに出てやるということにもなってくるでしょう。ですけれども、最も必要なことは、私は、そういうところがどんどん埋められて、沿岸漁場というものが喪失をしていくということがたいへんじゃないか、それに対して、これを防ぐというふうな姿勢を持っていらっしゃるのかどうか、それから、いままでどんどんやってきているが、これは今度はきれいにしていくと、そういう考え方があるのかどうかということを伺いたいわけなんです。
  47. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘になりましたように、私たちといたしましては、この沿岸におきます漁業資源のもととなります海を、やはりこれ以上よごしてはならないどころか、何とかしてきれいにしていきたいというのが私たちのやはり立場でございまして、これにつきましては、ただいままでの段階では、きれいな海を逆に求めまして、そこで栽培漁業を中心に魚族の再開発をはかってきているというのが実情でございます。しかし、今後の問題といたしまして、日本じゅう、やはり沿岸から魚がとれますようにいたしたいというのが私たちの悲願でございまして、この沿岸漁業の振興のためには、やはり海をきれいにしなければならない。また、魚の生息地はどうしても確保しなければならないという観点から、この対策について苦慮しているというのが実情でございます。そのために、農林省でも初めてこの公害対策専門の課を設けまして、この公害対策についてのプランといいますか、まず、そういったことから、基本的な姿勢をこの際十分打ち出してみたいということで、今回の機構改革をお願いしたような次第でございます。こういった、今後日本の沿岸におきます魚類に対する日本の期待は非常に強いと思いますので、これに即応するように、環境がこれ以上悪化しないようにということで、最近、環境庁を中心といたしまして、埋め立ての問題とか、あるいは水の環境をよくするといった問題につきましては、関係各省と始終会合を設けまして、海が汚染されないという立場で、われわれといたしましては、政府部内としては水産庁の立場を強く打ち出しまして、この問題がいろいろと今後推進されていくんではなかろうかと、こういうふうに思っている次第でございます。
  48. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 伺っていますとね、いままでどんどん漁場が荒らされてきた、それについてどうそれを防止するかという点について、私は、はっきりしないように思うし、それから、いままでどんどん荒らされてきた、たいへんな問題になっているんだが、それをもとへ戻すという考えがあるのかという点についても、はっきりしないと思いますが、これは、大臣お見えになるでしょうから、大臣にぜひこの点を伺っておきたいというふうに思っておりますが、ただ、私は先ほどから言っておるのですけれどもね、これはもうだれが見ましても、日本の漁業というのは最も大きな二つの問題にぶち当たっている。一つは遠洋漁業、それから沖合い漁業が、アメリカなりソ連なり、あるいは豪州なり東南アジア諸国との関係で非常に大きな壁にぶち当たっている。それに対して水産庁は相当積極的な姿勢で対処されようとしている。今回は審議会を設けられたし、はっきりとした部もできた。しかし、もう一つの沿岸漁業に対するたいへんに大きな壁というものについては、従来からたいへん姿勢が弱かった。今日もはっきりした姿勢をお持ちにならないというふうな印象を私は非常に強く受けているわけです。これでは片手落ちじゃないか。いままでの水産庁機構というのは、ちょっと見ましては、水産業をやっているわいという感じの機構だったですよ。今度新しく出ました機構を見ますと、露骨に沖合い漁業と遠洋漁業をまっすぐ出した、資本漁業というのをまっ正面に出した機構という印象を非常に強く受けるのですね。これじゃ私は困ると思う。もっと沿岸漁業について御努力を願いたい。まあしかし、長官によりますというと、第一次漁業改善もやるんだ、第二次もやるんだ、あるいは漁業もこうやるんだ、養殖業もそうやるんだとおっしゃるけれども、次から次に海が汚染されたり埋め立たれていったんじゃ、これはどうにもならぬじゃないかというのが私の見解なんです。あとの二つの問題についての基本的な考え方を、ひとつ大臣にお伺いしたいと思います。  次にお伺いしたいのは、いま研究開発部に漁場保全課というのを設けたというお話でありましたが、漁場保全のためにどういう対策をおとりになるのかよくわからないけれども、まあしかし、研究の部面も非常に多いと思うんですが、こういう沿岸漁業の保全といいますか、そういうものに対して、もっと本格的に試験研究の問題、これは水産研究所の問題に対しましても、それからこういう漁場保全の問題に対しましても、取り組んでもらいたいと思うんですね。非常に弱いように思うんですけれどもね。予算は三億だというんですが、有明海のヘドロ、水俣のヘドロをすくい上げるだけでも、新聞等によると百数十億かかるという。田子ノ浦のあの沿岸を荒らしたのを、あの汚濁を、ヘドロを取り上げるだけでも二十億だ、三十億だという。どうにも水産庁、水産業というのは押されっぱなし、とにかく踏みつぶされれば踏みつぶされどうしという態勢できておるように思うんですね。いまこれを巻き返すときじゃないでしょうかね。これは環境の保全という立場から言っても、漁業ということから言いましても、何とかしてここで巻き返してもらいたいと思うんですね。まあ、これを一つ伺うことにいたします。  それからもう一つ伺いたいのは、今度の水産庁の組織改正は大体本庁に限られていますね。で、私は、問題は本庁にも問題がありますけれども、おっしゃるような組織改定というのは必要であるけれども、しかし、もっと地方の組織の改定というのは要るんじゃないだろうか。沿岸漁業というのが今日のような状態にどんどん押しやられてきた、あるいは下敷きになってきたということには、やはり地方の組織というものに問題があるんじゃないかと私は思っているわけです。で、いま水産庁の地方の機構といいますと、海区調整事務局と海区調整事務所というのがありますですね。これは戦後できました許可漁業みたいなものであって、もちろんこれを充実していかなきゃなりませんけれども、ですが、沿岸漁業は、この十年ぶち当たっている壁の問題について、これでは私は全然対処できないんじゃないかというふうに思うんですね。ですから、本庁機構を改定されると同時に、地方の機構の強化というものも考える必要があるんじゃないかと私は思うんですけれども、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  49. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 今回、設置法改正に伴いまして、できますれば出先機関の再検討も同時にお願いいたしたかったわけでありますが、水産庁をめぐる諸情勢が非常に激しいということと、それから現地に即してさらにこまかい体制を推進するには、まだ都道府県とも関係の調整が十分に間に合わなかったといいますか、十分な思想の統一ができなかったという関係もございまして、今回の機構改革には見送らしていただいたようなかっこうになっておりますが、これにつきましては、沿岸の漁業振興という観点から、当然にこの地方出先機関の調整はいたさなければならないし、また、そのときには相当の権限の強化をはかってまいりたいと、こういうふうに私たちは考えておる次第でございます。で、さらに水産庁の試験研究体制も今回の設置法改正では見送らしていただいておるわけでございますが、当然その際に、試験研究機関のあり方も含めて出先機関、付属機関関係のそういった再検討を全部さしていただきたいと、こう思っております。  ただ、設置法とは関係ございませんで、まことに申しわけございませんが、四十八年度におきます一つの事業といたしまして、設置法改正はいたしませんでしたが、さしあたり、瀬戸内におきます公害が非常に激しいということで、ここに公害の担当課を幾つか新設いたしまして、まあ手さぐり的ではございますが、公害防止対策に全力をあげて勉強するようにいたしたいと、こういうふうに思っております。さらに、そのほかの出先機関につきましても、この係等につきましては多少の増もございますが、瀬戸内だけは課を一課新設さしていただいたというふうに、これにつきましては御了解願いたいと思います。
  50. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは、御承知のように、いまできております地方農政局、当時ありました農地事務局を地方農政局という形に改組強化した形になっておりますが、その際に、水産庁が地方農政局に水産課のごときものをたしか置くような形になっておって、そうして海区調整事務局、海区調整事務所、そういうものを地方農政局の中に入れるという設置法を、三十九年ですか、お出しになったことがある。ところが、遺憾ながら、たいへん急がれたと思うのですが、非常に機械的に海区調整事務局を地方農政局の中に当て込んだ、非常に形式的に当て込んだという点がありまして、これは漁業の海区というものと農業のブロックというものとはたいへん違いますから、それを画一的に農業のブロックに、その海区の海のブロックみたいなものを形式的に押し込んだ形になっている。そこで、この参議院の内閣委員会で削除いたしまして、できなかったわけです。それから七、八年たっているわけですが、私は先ほどから沿岸漁業の問題についていろいろ申し上げてきたのですが、沿岸漁業の問題のためには、これはもっと積極的にそういう問題について考える必要があるんじゃないか。いま沿岸漁業については、もっぱら都道府県を通じてやっているわけですが、ところが、埋め立てにしましても知事が権限を持っている。ですから、どこを埋め立てるにしても、都道府県の水産課というのはどこにも顔を出さない。もちろん水産庁も顔を出してこない。私はそういう印象を非常に強く受けているのですけれども、どこの埋め立てについても、どこの問題についても、都道府県というのは全然出てこない。水産課という、都道府県の漁業を扱うところは全然顔を出さない。言われっぱなし、されっぱなし、知らんぷりですよ。もちろん水産庁も出てこない。少しも顔を出さない。ですから、沿岸漁業の漁民の生活をどうするのだとか、沿岸漁業をどうするのだということについて手も足も出ないというのがいまの水産庁実情じゃないかと私は思っているわけです。それで、先ほど来私が申し上げているように、公害がどういうようになっているのか、漁場がどの程度荒らされているかといった点等の調査すらできない。これはおそらく都道府県を通じても、なかなか私は出にくいと思いますが、ですから、やはりこれは沿岸漁業を振興していくというためには、あるいは先ほど来申し上げている漁場が喪失をしていく、荒らされていくということに対する対処のためにも、これはやはり、どうも地方の組織というものを検討する必要があると私は思っているわけですけれども、あまりにも都道府県に取られっぱなしだ。都道府県は、いま言ったように、全然そういう工場の進出による漁場の荒廃については力なし、漁民がもっぱら一生懸命になっているというような形ですね。どうにもならないですね、これは。先ほど長官は、水産庁の試験研究所の問題にしても、あるいは地方の行政の組織の問題についても検討しているのだと、検討してきたのだと、都道府県との調整とか、何やかんやがあったというお話ですけれども、これはもう、少なくとも三十九年から言っても、昭和四十年から言っても、すでに七、八年の年限がたっているわけですから、すみやかにそういう面についての配慮をしてもらいたい。そうでないと、水産庁は遠洋漁業ばかりやっているじゃないかということになりますよ、それ。私はもっぱらそこに焦点を置いて、いままで長官に対して、あるいは農林大臣に対して伺ってきたわけです。
  51. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま鶴園先生からの御指摘の点について、多少私から釈明させていただきたいと思います。  まず、公有水面の埋め立てにつきまして、やはりただいま先生の御指摘のように、われわれといたしましては、非常に水産庁のタッチする機会がほとんどなかった。事実上、いつの間にか公有水面が埋め立てられておったというのが過去の事実でございまして、その結果、非常に漁場が汚染されて、あとからわれわれとしては聞かされておるというのが、まあ事実、率直に申し上げまして、そういう経過をたどっておる次第でございます。したがいまして、今回、公有水面埋立法の改正に関する法律が、たぶんいま衆議院のほうで御審議願っておるんではなかろうかと思いますが、その改正につきまして、われわれといたしましてもいろいろと強く要望いたしまして、その結果、これにつきましては、今後、環境庁を経由いたしまして、大型の埋め立て工事が行なわれる場合には水産庁の意見を求むる機会が与えられるようになりまして、これにつきましては、われわれといたしましては、直接的に意見を求められる機会を強く要望したんでありますが、内閣の姿勢の問題として環境庁がそういうことを一括してやるんだというふうに方針が定められましたので、われわれとしましては、これについて了解したわけでございますが、そういう結果、かりにあの法律が御審議願いまして、まあ国会をパスしました暁におきましては、水産庁も、当然今後、大型の公有水面の埋め立てにつきましては、水産庁にもあらかじめ知らされ、かつまた水産庁の意見を述べる場所が設けられるんではなかろうかと、こう理解をしている次第でございます。さらに、公有水面埋め立てにつきましては知事が従来どおり権限を持つことは事実でございますが、大型の公有水面の埋め立てに際しまして、関係都道府県、隣の県まで重大な悪影響を及ぼすような公有水面の埋め立てがあるような場合にはさらに隣の県の知事まで意見を聞いて、それを何か告示するような、告示して知らせる、知らして意見を求めるというふうに改正されているはずでございまして、それによりまして、瀬戸内海のようなところで、県境で工事が行なわれる場合、隣の県知事が全然知らなかったというようなこと、隣の漁民がそれも全然知らされてなかったと、当該県の漁民だけが十分補償があって、一県隣の県の漁民は全然補償金もあずかり知らなかったというようなことのないように、われわれといたしましては、そういった改正にあたりまして、いろいろ問題を指摘いたしまして、この改正案について関与したような経緯になっておる次第でございます。  なおまた、今後、水産庁といたしましては、公有水面の埋め立てのみならず、こういったことが非常に魚族に悪影響を及ぼすということは、もうほんとうに身をもってわれわれも困っておりますので、今後この問題についてどの対処するかということにつきましては、さらに明年度以降の問題でございまして、はなはだなまぬるい話でございますが、この沿岸漁業の振興について水産庁としてはどうあるべきか、この問題は、従来のように単なる助成金を出して沿岸漁業の振興をはかるというふうな姿勢ではございませんで、やはり現在の時点、当面している現在の問題としては、公害をどうやって防除するかということが沿岸振興の基礎というふうに私たちも考えておりまして、その公害防止というものを含めて漁業の沿岸振興をどうやってはかっていくかということに、いま検討をいろいろしている次第でございまして、この問題につきましては、またあらためて明年度以降の問題としていろいろ御検討していただく機会があるんではなかろうかというふうに私思っておる次第でございます。
  52. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 最後に、冒頭に申し上げましたように、林野庁定員外の問題について十年余り懸案になっておるものですから、ぜひやりたいと思っておったんですけれども、林野庁長官外国出張中ということですから、次の機会にこの問題についてはやらしてもらいたいと思っておりますが、最後に、水産の問題について大臣にお尋ねをしたいんですけれども、高度経済成長、高度成長といいますか、によって、農業、漁業というのがたいへん下敷きになってきているということはもう御承知のとおりですが、特に漁業が端的に下敷きになってきている。それで沿岸漁場というものはたいへんな勢いで荒らされてきた。漁場は喪失をする、海が汚染する、海底汚濁をするという形で来ているわけですね。それについて、いままでどうも水産庁としてはたいへんルーズだった、非常にルーズであったという感じを持っているわけです。しかし、これ以上の汚染について水産庁としては漁業の立場からどういう考え方を持っていらっしゃるのか。さらに、これを防止するというお考えをはっきり持っていらっしゃるのか。あるいは、いままで汚染されてきているものをもとに返すという努力をどの程度おやりになるのか。このことは、漁業にとってたいへん必要であると同時に、国民生活環境という立場からいってもたいへん必要なことだと思うのです。その点について大臣のお考え方を伺いたいと思います。  これで終わります。
  53. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどの御質問の際にもお答えを申し上げました。私どもとしても、高度成長経済に対する批判があった、また、それに対しての反省を持っておるということを申し上げました。そこで、基本的にはどのように国土の均衡ある開発をしていくのかと、そこが全体を見ての基本だと思うのであります。そして、その均衡ある発展を考えていく場合に、一体沿岸漁業をどう持っていくのか、また、御指摘のような、いままで非常な荒廃を来たしておるような事実についてはどう対処していくのかということでないかと思うのであります。  そこで、現在、公害問題につきましては、それを専管する環境庁が厳然としてあるのでございまするから、農林省としては、環境庁との間で緊密な連絡の上に、水質汚濁防止法、海洋汚染防止法などの公害関係諸法を厳正な運用をしてもらって、これ以上問題を起こさないようにいたしたい。また、現に荒廃した漁場につきましては、これは先ほど来長官からも、また、私からもお答えを申し上げましたように、もっと積極的な栽培漁業や構造改善事業や漁港の整備につとめてまいりたいと思うのであります。ただ、こう申し上げたときに、現実に、一体その櫻内の言うようなふうにいけるかという御疑念が当然起きてまいると思うのであります。しかし、私は、日本のこれからの産業のあり方というものを考えますときに、世界じゅうの資源をあさって、そして重化学工業をやっていくということについては、おのずからこれは限度がある。また、日本国民の自然環境というものを保全していくという点から考えましても問題があると、そういうことになってまいりますると、今回の提案の趣旨説明の中にも「つくる漁業」というようなことを申しましたが、農業や林業や漁業は、これはわれわれの努力次第で、固有の資源でもあり、無限の資源でもあると、新しい見地に立って漁業や農業や林業が見直されなければならないときであると、こういうふうに基本的に考えておるのでございまして、そのような考えの上に立ちまして、きょう、せっかく有益なる御所見を交えていろいろと御指摘をいただいたのでございまして、これらを明年度以降の施策の上に反映をさせるべく、われわれとして十分な検討をさしていただきたいと思います。
  54. 鈴木力

    鈴木力君 関連。  いまの鶴園委員の御質問と、いただいた御答弁に関連しまして、一つだけ伺っておきたい。  これは具体的な問題なんですが、すでに大臣にはいつかお願い——お願いといいますか、水産庁農林省としても御指導いただきたいということでお願いにあがったことのある問題ですが、岩手県の陸前高田市、広田湾問題というのが問題になっている。長官御存じかどうかわかりませんが、要するに、あそこは三陸の国立公園であり、特にいまの沿岸漁業としては非常に重要な漁場になっております。湾内には、同じ地区に漁業組合が五つもあります。この漁業関係者が全部反対をしておる。漁場を失うということで反対をしておる。それから、あそこの湾の入口のところには宮城県の唐桑町という町があります。唐桑町では町議会も反対をしておる。もちろん漁業関係者は全部反対。それなのに、あそこの一部を埋め立てて工場誘致をする、こういうことで、岩手県でたいへん県議会ももめれば、問題をずっと持ち越しておったわけであります。いまのところは、これはまだ決定的にならぬで、持ち越しになっている問題ではあります。いま鶴園委員が質問申し上げまして、方針として大臣から承った方針、要するに、沿岸漁業を守ると、沿岸漁業を育てる方針で今後処置をしていくんだと、こういうことでありますから、そういう御方針は私はきわめてよくわかる、御理解できるし、ぜひそうやっていただきたいのですが、方針はそういうりっぱな方針が立っておって、起こりつつある問題、起こっている問題が具体的にはこの方向と反対の方向に行くんではどうにもならないわけで、したがって、私は、この件についての水産庁の御指導の立場、御意見というものをここで伺っておきたいと、こう思うんです。
  55. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 私たち水産庁の立場からいたしまして、漁民あるいは水産に対して重大な悪影響があるというふうな事業につきましては、われわれといたしましては、姿勢といたしましては賛成がいたしがたいという姿勢でおるわけでございますが、しかしながら、実際問題といたしまして、各方面で水産庁の知らない間に、こういった、先ほど申し上げましたようにいろいろな事業の計画が行なわれ、あるいは買収が行なわれしているわけでありますが、そういった場合におきまして、いろいろと漁民の方、あるいは県の、あるいは市町村の方がお見えになった場合におきまして、やはりわれわれといたしましては、最後まで漁民の納得できる立場、あるいは漁民の了解が得られるような姿勢でいろいろな事業を着手されることを水産庁としては強く希望しておるという姿勢で、従来一般論といたしましてそういった姿勢で指導している次第でございます。最近、特にこういった大型の事業計画が各方面でありまして、われわれといたしましては、多少行政政府機関内におきましても摩擦を起こすことがとかくありがちでございますが、水産庁水産庁なりの姿勢で、最近の北海道の問題あるいは九州の問題にいたしましても、われわれとしては、一方的に強行し、一方的に工事が行なわれることについては賛成いたしがたしという姿勢で指導している次第でございます。ただ、まあ法的な権限といたしましては、先ほど申し上げましたように、従来の埋め立て問題等につきましては何ら水産庁あるいは農林省に合い議のない大型事業が行なわれておりますので、法的にストップということは、従来の法律体系の中からは、われわれに権限は与えられておりませんが、われわれの姿勢としましては、やはり、一方的に工事が行なわれる、漁民に悪影響があるにもかかわらず一方的に行なわれることについては、われわれとしましては納得いたしがたしということで指導している次第でございます。  なお、御指摘のありましたこの件につきましては、われわれのほうで、やはりこれは一方的で、あまりにもひどいではないかと、つまり関係市町村全部反対されているというようなふうにわれわれも理解しておりますので、これにつきまして県とも連絡はとっておりますが、その後県からの御報告では、現在当該計画はさしあたり凍結されておるというふうに聞いておりまして、今後これがどういうふうに新しい展開をするかにつきましては推移を見守ってまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  56. 鈴木力

    鈴木力君 凍結をされていることはそのとおりなんです。ただし、県当局としてはこの計画を捨ててはいない。なお漁民を説得してというような言い方でやろうとしておる。漁民側のほうは、とにかく漁場を失うということがもう決定的な問題ですから、どんなことがあっても承知できない、こういう現状なんでして、こういう現状であればこそ、私は、水産庁の、先ほどから大臣からも承ったような方針で強力な御指導をいただくことによって解決の方向につくことができるじゃないか、そういうふうに思って、まあ前には大臣には直接申し上げたことがあるのですけれども、この場ではっきりと、いま申し上げたような、あるいはさっき御答弁いただいたような方針で強力な指導をすると、はっきりお答えいただきたいと思うのです。
  57. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この計画につきましては、やはりわれわれといたしましては、漁民の納得の得られる方向でというのがわれわれの姿勢でございまして、工事そのものがどういうものであるかについては、多少設計図等で勉強はさしていただきますけれども、具体的にどんな工法でやるかにつきましてもわかりませんので、これはやはり県の知事と十分連絡をとりまして、こういったことにつきましては漁民が納得できる方向で県知事がこの工事の認許可を与えられるように県を指導してまいりたいと、こういうふうに理解しております。
  58. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと話が違うのですよ。工事の許可を与えられるように指導するということであれば、先ほどの大臣や長官の御答弁は、鶴園委員に対する答弁は違ってくる。あそこは埋め立てれば漁場がなくなるということははっきりしておるわけです。埋め立てるのか埋め立てないのかということで凍結をしているのであって、埋め立て方や工事をどうするということで凍結をしているのではない。だから、水産庁とすれば、あそこは漁場を確保すべきであるという指導をするのが正しいのであって、工事についてどういう工事かを、ということであっては御理解が正しくはないと私は思う。これはもう一点だけ大臣に申し上げたわけで、具体的な中身について、あるいは——関連ですから、そうこまかいことは申し上げませんが、そういう立場から御調査の上で、はっきりした態度をとって御指導いただきたい。これはまあ、そう申し上げて終わっておきます。
  59. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      —————・—————    午後一時三十六分開会
  60. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  61. 前川旦

    ○前川旦君 初めに、大臣にお伺いいたしますが、これからの日本の食糧政策の中で、漁業、水産物というものをどういうふうに位置づけされようとしておられるのか。特に、国民にとってたいへんたん白源というのは基本的な食糧でありますが、将来のたん白源のもとをこの漁業にどれくらいのパーセントを置いていくか、将来どういうふうに考えていらっしゃるのか、長期的な展望についてお伺いをしたいと思います。
  62. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 現在、わが国の食糧の中で、お話のようにたん白資源を水産物に依存しておるということは相当な量になっておると思います。昭和四十六年におきまして国民の動物性たん白質消費量の五二・四%、その程度になっておると思います。したがいまして、その供給をになう非常に大事な食糧産業であるというふうに認識をしておるわけでございまするが、一体、将来に向かってどうかと、こういうことを考えまするときに、日本人の嗜好の上から考えましても、水産業に依存する度合いというものは、これが私どもとしては下がっていくと、いまのたん白質消費量の五二・四が、これが将来はその割合が少なくなるんだというようなふうには考えておらないわけでございます。食生活の向上に伴う各種肉類の消費も相当ふえるとは思いまするけれども、肉類がふえたからそれでは水産物の関係は減るかと、そういうふうには見ておらないのでございまして、現在の割合、あるいは多少それを上回る程度のことは長期的に見ても考えていかなければならないと思います。生産額におきましても逐年増大をいたしまして、四十六年、御承知の九百九十一万トンになってきておる。もう一千万トンはすでに四十七年でこえておるだろうと思われるのでございまして、まあ間もなく千二、三百万トンの程度には上昇していくということが考えられるわけでございます。まあそういうことを考えまするときに、良質な動物性たん白質の安定的な供給ということについては、これは私どもとして念頭に置いておかなければならない。そのような面から今後の日本の沿岸、沖合い、遠洋、それぞれの漁業につきまして所要の施策を講じていく必要があると、かように見ておる次第でございます。
  63. 前川旦

    ○前川旦君 水産庁長官にお伺いしますが、たとえば一九八〇年とか八五年とか、年次を将来区切って、そのときにはたん白資源の消費量はどれぐらいになるだろうと、そのうち、いまの五二・四%、これは白書にも出ておりますが、この数字を下回ることはないだろうという判断をいま大臣はされましたが、それなら一体幾ら、その八〇年なら八〇年で、八五年なら八五年で幾らの何というか漁獲量を目標として、その内訳はどうだというような計画はもうこまかく立てなきゃいけないと思いますが、ちゃんとそういうのはできていますか。
  64. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 確定的な数字はまだできておらないわけでございますが、私たちの手元で、関係官庁ともいろいろこの議論をいたしますときの算定の根拠になるような数字は、まあさしあたりの行政上の執務上必要な数字というものはいろいろつくっているわけでございますが、ただいま五十二年の見通しというものを一応用意いたしまして、その需要量といたしまして大体千三百六十六万トンと、五十二年の需要量を一応そういうふうに押えておるわけでございます。これが大臣が先ほど申し上げました五二%ぐらいの動物性たん白摂取量ということから逆算した数字でございますが、その需要量というものがやはりわが水産としては必要になってくる。こういうふうに理解しております。
  65. 前川旦

    ○前川旦君 それではその需要量を満たしていくことにならないと、これはたいへんなことになるわけですが、遠洋漁業でまずお伺いしますが、遠洋漁業の将来というものは、水産庁長官はどういうふうに見通しを立てていらっしゃいますか。
  66. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 先ほど申し上げましたこの千三百万トン前後の需要量に対しまして、それに対応するために水産庁といたしましても供給を確保しなければならないということが一つの非常な大きな命題になっておるわけでございます。その遠洋漁業が、この比率におきまして相当な、半分以上、六百万トン以上のものが遠洋に依存する度合いが出てくるんではないかと、こういうふうに理解しておるわけでございますが、ところが、最近におきます、海洋におきます漁場の確保ということになりますと、国際情勢は非常にまあきびしくなっておりまして、国際漁業条約の場におきましても、あるいは二国間の国際委員会の漁業協定の場所におきましても、御存じのように、日ソのように、見られますように、非常にまあ日本に対する漁場の確保がむずかしくなってきておるというほかに、さらに最近国連の海洋法会議というものの準備会が開かれておるわけでございますが、こういった場所でも距岸二百海里のいわゆる領海説をとる国々も非常にふえてきておりまして、それが領海というひどい話でなくても、漁業専管区域二百海里という説を立てる国が、非常に新興国家を中心にいたしまして、アフリカあるいはラテン、南米諸国を含めまして二百海里説等をとりまして、この問題を解決することが、やはり国民たん白資源の確保という面からも非常にまあわれわれとしては何とかして解決してまいりたいと、こういふうに考えている次第でございます。
  67. 前川旦

    ○前川旦君 いまの御答弁では資源の問題に触れておられませんが、資源の見通しを立てていらっしゃるのかどうか。たとえばマグロを見ますと、一九六二年に四十五万トンであったのがずっと落ちて、一九七〇年には二十九万トンに落ちているようであります。それからこの南マグロについては、たとえば一九六〇年の段階では三千ないし五千万のかぎ——針ですか、フックですか、これは、で五万トンの水揚げ。ところが、最近では一億ほうり込んで五万トンの水揚げというふうに、資源が枯渇してきているということがたいへん問題になっていると思います。特に、親が十分の一に減っているというような話も聞きますが、マグロ資源についての資源対策というのはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  68. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 漁業につきましての資源の問題でございますが、日本といたしましても、こういった資源、こういう海洋といいますか、水産に非常に依存する度合いの強い国といたしまして、この資源状態の見通しについては非常にいろいろと検討さしていただいているわけでございますが、最近の科学者たちのいろいろなFAOあるいは国連等の推定によりますと、現在推定されている総漁獲量といたしましては、現在の見通しからいたしますと、大体七千万トンから一億二千万トンぐらいまではまだ今後とってもいいんではないかということで、われわれといたしましては、まだそこまで可能性はあると。ただ問題なのは、ただいま御指摘にありましたこのマグロ類につきましては、世界各国共通してマグロに対する需要が強いということで、各民族これは共通してマグロに対する依存度は、アメリカもそうでございますが、多いので、非常に一時強く漁獲努力が行なわれまして、世界の漁獲量が大体百六十万トンぐらいということで現在横ばいに入っております。しかし、このマグロ類の中でも問題は小型マグロ類ということで、カツオ等の分についてはまだ相当資源的な可能性がありますので、このカツオ類については今後さらに漁獲努力がされてもいいのではないかと、こういうふうに考えておりまして、いわゆる大型のマグロ類は別といたしまして、カツオ等の小型マグロで今後漁獲努力をあげてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  69. 前川旦

    ○前川旦君 マグロがたいへん乱獲で減っているというのは、一般的にいわれていることでありますが、これは漁獲量を制限するということで、各国間の交渉でですね、そういうことで資源を確保するという方向をおとりになるのですか。いまのままでどんどんやっていくということなんですか。
  70. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) このマグロ類につきましては、先ほど申し上げましたように、世界共通のマグロ漁獲が続けられておりますので、したがいまして、各国それぞれのマグロ漁獲につきまして、各国間で条約もしくは協定が締結されておりまして、そのそれぞれの漁場におきます資源について、日本もこれにはそれぞれほとんど協定に参加しまして、年間のキャッチリミットといいますか、漁獲制限に服しまして、漁獲を行なっている次第でございます。ただ、太平洋におきます、南マグロといいますオーストラリアの南部にありますマグロにつきましては協定等がございませんので、これにつきましては、日本のほうで自主的にこのマグロにつきましては自主規制を行ないまして、一定の制限のもとに資源保存につとめておるわけでございます。このマグロがまあ多少ホンマグロに似て、いわゆる日本でいうさしみに非常に適しているマグロでございますので、この資源につきましては特に保存につとめてまいりたいというふうに考えておる次第でございますが、カツオ類になりますと、いまのところあまり制限がございませんで、しかも日本が、これについては相当日本だけがとっているような状況でございます。
  71. 前川旦

    ○前川旦君 この南マグロの問題は、たいへん資源の枯渇が心配をされております。したがいまして、日本の自主規制ということでありますが、日本人にたいへん好まれる味を持ったマグロでありますが、よっぽど思い切った資源対策をやらないと元も子もなくなってしまうということで、たいへんこわいわけであります。その辺を私は適切な処置をしてもらいたいと思いますが、以西漁業についてはどうですか。たとえば以西漁業につきましては、一九六一年の三十八万トンがピークで、七〇年には二十八万トンに落ちています。それから種類別に言いますと、キダイが一九四七年から減少、マダイが一九五四年から減少、クログチが五七年から減少、キグチが六〇年から、シログチは一九六二年から、ハモは六三年から、タチウオは六七年から、いずれも漁獲量が減少しています。これは明らかに乱獲ですね。初めよく売れるいいものからいいものから次々次々と乱獲していって、漁獲量が減ってきている。私もたいへんな問題になると思いますが、これについての対策は、資源対策はどういうふうに考えておられますか。
  72. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この東海・黄海といいますか、以西の漁獲につきましては、日本のみならず、韓国あるいは中国の共同の資源、共同の漁場ということになっておりまして、この日本の漁獲量は最近では約三割弱というふうに一応推定されている次第でございます。ただ、ここは御存じのように、戦前、戦後を通じまして、日本人の好む底魚を中心といたします漁場でございましたので、非常にまあ資源的にも相当御指摘のように枯渇といいますか、弱ってきておりまして、現在では高級魚というものに属するようなタイあるいはエビあるいはシログチ、ハモといったものが中心でございまして、これについては今後魚族の資源保存には相当な努力が必要ではなかろうかと、こういうふうに理解しておる次第でございます。ただ、現在の時点におきましては、日中との間に民間漁業協定がございまして魚の、隻数等規制が行なわれておりますが、私たちの見るところでは、規制が行なわれておりましても、なかなかそこまで十分な漁獲量をあげるような実情ではなくて、なかなか資源的には低下しておりまして、今後回復には相当な努力があるいは必要ではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  73. 前川旦

    ○前川旦君 以西漁業もこれは乱獲で魚が減ってきている。タコ足どころか、自分のからだまで食っていくような漁業のやり方をすべきじゃないと思いますが、これは中国との関係がありますから、これからの交渉もいろいろデリケートな交渉もあると思います。そこで、資源をとにかく減らさないという姿勢を貫いていただきたいと思いますが、その点いかがですか。
  74. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ともすれば、漁業者の方は、やはりたくましい姿勢で隻数の増加等いろいろと御要求があるわけでありますが、われわれといたしましては、隻数をふやすということは、極力まあこれにつきましては無理してでも資源保存の関係で押えていきたいというふうに考えておりますし、また、今後漁具等網目の問題につきましても、場合によってはさらに規制は強化していかなければならないんではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  75. 前川旦

    ○前川旦君 隻数で制限したって、トンが大きくなれば何ぼでもとれますからね、これは、大型にすれば。ですから、この両方で考えていかなければしかたないんじゃないですか、根本的には。どうなんです、それは。
  76. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 規制の方法といたしましては、ただいま御指摘がありましたように、漁船の数、あるいは漁具の問題、あるいは漁獲量、あるいは産卵期間とか、そういった漁区の問題とか、いろいろなやり方がございますので、それらにつきましては、決して私たちといたしましては緩和するという方向ではなくて、むしろ年々これにつきましては強化の方向で進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  77. 前川旦

    ○前川旦君 先ほどの長官説明の中に、一九七五年に第三次海洋法会議がありますが、領海が十二海里と、それからその外に二百海里ぐらいの漁業専管水域を設ける、こういう国が一般的にふえてくるわけでありますが、日本の遠洋漁業のおそらく漁獲高の八割までがよその国の二百海里以内で、まあ沿岸といいますか、で漁獲しておると思うんです。そういうふうになりますと、次第に締め出しをされてくる。特に各国の漁業技術の水準が高まれば高まるほど、それから低開発国でいいますと、生活水準が上がれば上がるほど需要もふえてまいりますから、たとえば、日本の周辺にソ連の船団が来て操業するとわれわれが騒ぐと同じようなかっこうで、日本の船団が行くとたいへんなことになるというふうになります。おそらくこれはだんだんと締め出されていくんではないかと思いますが、その辺の見通しはいかがですか。
  78. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいままさに御指摘のとおり、低開発国の国々におきましても、みずからの国民所得の向上に伴い、あるいは輸出振興という観点からも、いわゆる自国の地先の漁場を確保して国民にたん白資源を食べさせるか、あるいは輸出するかということで、外国船の漁業を何らかの形で規制を強化していくということが沿岸国の共通の動きになってきております。それが、ただいま御指摘のように、領海十二海里学説という立場なら、われわれといたしましてもこれにつきましてはまだまだ検討の余地はあると思いますが、二百海里というふうな領海の立場、あるいは漁業専管区域としては二百海里というふうな立場が進められてまいりますと、日本の漁業者が確保する場所が年々減っていくどころか、これはもう非常に、かりに二百海里説が世界の共通の考え方ということになりますと、日本の漁業としてはもう魚をとる場所はなくなるというふうにまで考えざるを得ない問題でございます。したがいまして、日本側といたしましては、あらゆる機会、あらゆる場所をとらえまして、それらの国々と話し合いをいたしまして、漁場が確保される道を開くということで交渉を持っているわけでございますが、その交渉の過程で、やはりこういった低開発国といいますか、発展途上国の国々といたしましては、日本との間に漁業協力を進めることによって、この日本に漁業を、とらせることについて了解を与えるというふうな話し合いが相当進んでまいりますので、これらの発展途上国に対しまして、何らかの形で漁業についての援助を行なうとともに、この一定の漁獲量——資源の中で配分といいますか、相手国との間に話し合いで、相手国の食べる魚は相手国に水揚げし、相手国の食べない魚は日本に持ち帰るというふうな形で、漁業協力という形で日本の漁場の確保に努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。  非常に卑近な例でございますが、最近南米の国で距岸百八十海里の地区でマグロ船が拿捕された、二隻連続して拿捕された例がございまして、これは領海侵犯という理由で拿捕されておりまして、約一億円前後の罰金を払うことによって最近釈放された例もございますし、また他方、南アフリカの一部でございますが、これは、ある国は全然タコ、イカは食べないということで、タコを日本へ持って帰ってもいいということを前提にそこの入漁を認めたというふうなことで、いろいろなそれぞれの国の立場立場というものを考えながら漁業交渉を進めて、今後漁場の確保につとめてまいりたい。一般的なマグロ類ということになりますと、これはそれぞれの多数国間条約に従って日本のシェアを確保するということも大事かとも思いますし、また、二国間協定でありますたとえば日ソ漁業条約とか、日米加漁業条約のように、これはそれぞれの一定の共通の資源の上に立ちまして、それのシェアを、一定の部分を確保するというような形で、それぞれの立場でこの漁獲量を確保するということが今後大事になってくるんではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  79. 前川旦

    ○前川旦君 長官、こういうふうにしたい、ああいうふうにしたいと、いろいろおっしゃいますけれども、これは昭和五十二年ですね、先ほどの数字。千三百六十六万トンのうち六百万トンは遠洋漁業に依存する、六百万トンという答弁がありました。資源の面で、漁獲量の制限を一方でやらなければいかぬところに追い込まれてくるだろうと思いますが、同時に、沿岸から締め出されて、向こうで食べるものは向こうへ置いておいて、向こうで食べないものだけ持って帰る、タコだけなんですか、どうなんでしょうか。一体どんな見通しがほんとうにあるんですか、具体的に。どう考えてもこれはたいへんな危機だというふうに思いますが、こういうふうにしたい、ああいうふうにしたいということじゃなくて、具体的に一体どうやってこれだけの水揚げを確保するんですか。その見通しというのはどういうふうに立てていらっしゃるんですか。これはたいへん心配なんですよ。
  80. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) これにつきましては、非常に全体的な立場といたしましては、国連の海洋法会議というところが明年開かれて、どういう結論になりますか、これはまだ先のことでございますが、すでに準備会が二回、三回と開かれまして、この四月にはニューヨークで開かれ、さらに七月にはジュネーブで開かれまして、この海洋法会議というものがやはり大きな一つの各国の世界共通のこれは重大な関心の的になっておりまして、ここでかりに領海二百海里などという非常なとっぴな学説が通るようなことになればたいへんなことでございますが、世界の各国、百十四カ国ぐらいがこれに加盟して議論をいたしておりますが、そういった二百海里学説だけが通る時代でもございませんが、やはりそこで共通のコンセンサスといいますか、共通の考え方を統一する必要があるということがまず大前提ではなかろうかということで、これにつきましては、外務省も含めまして、全力をあげまして、この会議で何らかの日本の立場をそこなわない範囲内で妥結できるよう努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。そのほか、それぞれの国との間には、先ほど申し上げましたように、その国の立場立場と、あるいはその発生のおい立ちということ等もありまして、必ずしも一がいに統一的には申されませんが、従来のように単なる漁業進出という姿勢では、漁場の確保ということはおよそむずかしいではなかろうかというふうにわれわれとしては考えておりまして、何らかの形で相手国の立場も考慮しながら、漁業協力という姿勢を保ちながら、そこの中で一定のシェアを、その当該の資源状態に一定量がありますれば、相手国の年々とれる数量の範囲内で、相手国がそのうちの五割をとるなら、日本がその半分を確保するというような形で、漁業協力という形で、日本の漁場の確保をはかってまいるという形で今後進めてまいっていきたい。これにつきましては、いろいろな魚種につきまして、あるいは漁法につきましても、最近それぞれの相手国からの要望もありまして、その要望に沿いながら、おのずからいまのところ漁場の確保はできていると、こういうふうに御理解願いたいと思う次第でございます。
  81. 前川旦

    ○前川旦君 その何らかの形というのがどうもふに落ちませんが、そこが聞きたいという人も横におりますが、どうなんですか、実際問題として。具体的にはこれ、開発をするというのは、開発援助というか、漁業の援助を後進国にするというのはいろんな方法があるでしょうけれども、漁業の手段というか、方法の進んだ方法を教えてやるということもあるでしょうし、積極的に漁場をつくるといういろんなこともあるでしょうけれども、結局どうなんですか。入漁料を払って立ち入らしてもらうとか、もういよいよになったら、向こうにとってもらってそれを輸入するとか、そんなことに結局追い込まれるのじゃないですか。どうなんでしょう、その辺の見通しは。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
  82. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 最近の時点におきましては、発展途上国との関係におきましては、多少御指摘のように入漁料を支払うというふうな形で漁場の確保をしてきたいきさつもございますが、単なる、それは政府としては領海の問題がございまして、関知するわけにはいきませんので、民間協定という形で民間同士の間で入漁料を支払うことによってそこへ入るというようなやり方、あるいは国籍の、船の旗を変えることによりまして、また日本の国旗ではやはり問題があるので、その当該国との間に合弁事業という形で、向こうの旗のもとに漁獲を続けてくるというような形の場合もありまして、それはその国々のやはり国家の姿勢の問題も反映していると思います。しかし、今回予算でもお願いいたしましたように、そういった入漁料とかコマーシャルベースみたいな形ではやはりなかなか片づかない。相手国も漁船を仕立てて自分みずから漁業を営みたいという姿勢が非常に強くなってきておりまして、そのためには、やはり何らかの形で援助をしてもらわぬと困るというようなことがありまして、今回お願いいたしましているように、援助といたしましては、外務省の計上の中に、海外におきます漁業協力という形で、いわゆる漁港とかあるいは港湾あるいは桟橋というふうな公共的な色彩の強いものについては援助という姿勢で、これは外務省のほうで計上されておりまして、水産庁といたしましては漁業協力という形で、漁船とかあるいはかん詰め工場とかあるいは冷凍設備とかいうふうに、多少利益を生むかもわからないようなものは、援助ではなくして無利子の貸し付けを行なうというふうな形で相手国の漁業の振興にも役立たせながら、そこで漁業協力の形をとって、日本側としてはそこの国で漁場を確保するというふうな方法がやはり今後とも必要になってくる。この方向が非常に急速に最近要求されてきているようにわれわれは判断している次第でございます。
  83. 前川旦

    ○前川旦君 私はたいへんこれは頭の痛い問題であると思いますが、これは大臣にお伺いいたしますが、他の国と交渉するときに、これは自分が相手の身になって考えてみますと、自分の国の沿岸漁業がろくにできてないのに、よそへ出てきて、おれのところへ出てきてとりまくるとは何事だ、まず自分のところからきれいにしてこいと、これはもう感情として、ごく自然の成り行きでこういう発想が出てくると思うのですよ。そういう意味で私は、この水産資源の確保というものの主力を六百万トンという大きな数字で遠洋漁業に求めておられるようですけれども、むしろこれよりも沿岸漁業、これ、横ばいですね、沿岸漁業に重点を移すというようなかっこうの発想の転換がなされなければいけない時期ではないかというふうに思いますが、大臣どうお考えでしょうか。   〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
  84. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 現状で見ますると、沿岸漁業の割合というものが、沖合い、遠洋に比較して次第に低下しておることは事実でございます。しかし、午前中にも申し上げましたように、公害問題から出発をいたしまして、環境の整備もしながら栽培漁業をしていこうというようなふうに、従来の方向よりは沿岸漁業の上には好ましい方向にまいっておると思うのであります。しかも私どもとしては、漁業の生産基盤を強化する、こういうことで新たなる漁港整備計画をお願いする、第二次の構造改善事業をお願いする、栽培漁業をやるというようにいろいろくふうをいたしておるのでございまして、先ほど長官が申し上げましたように、現在の時点で申し上げて、一千万トンの多種多様の水産物を確保する上において、遠洋漁業というものも重要であり、また将来においてもそのウエートはなかなか下がらない。そういうところから半分ぐらいはどうしても遠洋漁業に仰ぐということは申しましたが、しかし、年々たん白資源の需要がふえていくということからいたしますると、まあかりに千三百万トン、こういうことになりますると、遠洋以外で七百万トンというものを確保しなければならない、こういうことでございまして、沿岸漁業を大いにやるということにつきましては、御質問の御趣旨に沿っておると思います。  なお、この際申し上げたいのは、遠洋漁業の場合におきまして、関係各国と漁業条約を結んでまいっておるということはもう御承知のところでございます。いろいろな面でお互いに調整をしなければならない。しかし、その場合におきましては、あくまでも基本的には資源確保、もう非常に綿密な科学的な資源調査を、それを立脚点としての交渉ということでございまして、われわれが、ただ日本だけがどんどん水産資源を確保すればいいということではなく、もとより資源確保については、まあその所要量が多いだけに真剣に考えていかなければならない。この間うちの日ソ漁業交渉の場合におきましても、日本側としては、そういう見地で、日ソにおける共同増殖をやろうということを繰り返し主張したゆえんもそこにあるわけでございます。以上のような諸点をひとつ御了承いただきたいと思います。
  85. 前川旦

    ○前川旦君 私は、今回の機構改革の案を見まして、やはり遠洋漁業が重要ではないということをわれわれは言っておるのじゃないですけれども、重点がやはり外向きに片寄り過ぎているじゃないか、もっと基本姿勢を沿岸漁業を育成するという方向に転換をしなければいけない時期にきているのではないか、このように思いますが、それがこの機構改革の中にあまり出ているように思わないんです。たとえば遠洋漁業課、あるいは沖合漁業課、これはかなりの人員配置をなさるようでありますが、沿岸振興課と比べてみて、やはり人間の配置を見ても外向きな感じがいたします。しかし、これは何といいますか、われわれの意見と皆さんの意見とすれ違いになってうまくかみ合わないと思いますが、遠洋漁業というとやはり大きな資本ですね。どうしても大きな資本のほうに引っぱられていって、零細な漁民を守るという姿勢が昔からやっぱり乏しかったのではないかというふうに、私はそういうふうな思いがいたします。その点について、これは水産庁長官どうですか、これから沿岸の漁場をこれは守るという方向で全力を尽くすんだと、沿岸漁業の振興にこれからうんと力を入れるんだと、こういう強い姿勢をお持ちなのかどうか、この点いかがですか。
  86. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 私が申し上げるまでもなく、特に戦後の国民食糧が非常に不足しております時代から過去二十数年、一貫いたしまして水産庁のとってまいりました姿勢につきまして一つの方向があったわけでございます。これにつきましては、いわゆる沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へ、というスローガンで、いわゆる非常に漁船の大型化を促進しつつ、海外への進出というところで非常に日本の漁獲量は伸びてきたと、それが一方的な進出であったということが今回大きな壁に突き当たった一つの大きな原因ではなかろうか。単なる進出ではなくて、相手国の立場なり相手国の利益も考慮しながら、漁業協力という形で切りかえていかないと、今後日本の国民たん白の魚類の確保ということは不可能ではないかというふうに私たち考えている次第でございます。そのように、御存じのように、常に沿岸から沖合いへというふうに、零細な漁民の方々も小さな船を、初め一トン、二トンの船をおつくりになりますが、やがてその中から経営能力のある方が沖合い漁業への進出をはかり、沖合いである程度漁場に対する熟練度が伸びてくる形でさらに遠洋へという形で伸びていったのが、端的に申し上げれば一つのマグロ船でございまして、マグロ船経営者の中には、まだ無理して非常に大型化されて、マグロで遠洋漁業をやっておられますけれども、根底的にはやはり零細な一ぱい船主という形で非常に苦労されながら努力されている方も非常に多いんではなかろうかと、こういうふうに思っております。  最近の時点におきましても、今回漁港の整備計画も立てましたが、従来一トン、二トンであられた、小さな船外機程度でやっておられた方々が、やはり時代の流れで船を五トン、十トンにしたいという御希望もあって、それが、船着き場が単なる船寄せ場では困ると、漁港をりっぱにしてもらわなければ困るというようなことから、大型の漁港の整備が進んでまいったわけでございますが、そのように今後、われわれといたしましては、無理に大型漁業のみを進めてまいったんではなくて、沿岸漁民と沖合い漁業とそれから遠洋漁業との間にバランスをとりながらやってきているわけでございますが、たくましい漁民の方々の力で、ともすれば外へ外へと出て行くと、で、外に出て行って、そのあとまた小さい方が内輪の中で新しく出てくるというふうな形で漁業というものが伸びてきているんではないかというふうに理解いたしておりまして、私たちも今後こういったことを踏まえながら日本の漁業を振興してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  87. 前川旦

    ○前川旦君 私は、最初も申しましたように、この遠洋漁業にはいまもうすでに壁ができておりますが、この壁はますますきびしくなっていくだろう。そうなりますと、沿岸漁業をどうやって振興していくかということがこれからの大きな課題になろうというふうに思います。ですから、ほんとうに沿岸漁業の振興に力を注ぐという姿勢を私は持っていただきたいと思うんですよ。やはりすぐ遠洋漁業、遠洋漁業というふうにことばがいってしまう。もっと沿岸に力を注いでいくんだという基本的な考え方があってしかるべきだと思いますが、先ほどから一向に沿岸の漁場なり沿岸の漁業を守る、これも大きな柱である、これも力を尽くす、一生懸命やるというような答弁が出てきませんがね、長官どうですか、これは。
  88. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 私といたしましては、沿岸漁業というものは、やはり十分にこれは振興していく必要があるということは、もう申すまでもないことでございまして、これにつきましては、先ほど来大臣からもお話がありましたように、この日本の沿岸を取り巻く環境というものは非常によくない。よくないというのを何とかしてこれを防止しなけりゃならないという前提に立ちまして、今回、設置法改正でも漁場保全課というものをつくり、あるいは漁港の整備に必要な関係機構改正するわけでございますが、このいまの時点におきましては、公害問題を取り巻く環境、並びに若年労働力が非常に不足しているというような傾向等がございまして、沿岸漁業の将来につきましては、そう端的に明るいということは非常に申し上げにくいんでありますが、幸いにして、やはり国民の指向するおいしい魚というものは沿岸に多数存在しておりますので、こういった魚を捕えまして、その中で新しい漁業の見通しを持ちたいというふうに考えておるわけでございまして、まずはしりが、もういままでにも行なわれておりますが、ノリを中心としまする一つ漁業のあり方でありましたが、さらにそれを今後栽培漁業という形で、この瀬戸内方式というものから日本海方式へと切りかえまして、日本海各方面にこういう栽培センターを設けまして高級魚の振興をはかってまいりたいということで、この瀬戸内海で長い間、約十年近い検討を加えましたところ、クルマエビとか、あるいはタイとか、あるいはハマチというものの栽培が、人工的な栽培技術が一応確立した。その確立した技術を日本海に移しまして、あまり高級魚がとれてない日本海におきまして、こういった魚類を沿岸で大いに振興してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございまして、明年度以降これを北海道、東北のほうへ移し、あるいはさらに太平洋地区につきましても、今後栽培漁業のあり方を大いに振興することによって、高級魚といわれる魚類を沿岸で大いにとる機会を与えるように国なり県と共同でこの問題の開発に努力を尽くしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  89. 前川旦

    ○前川旦君 いまの御答弁では、栽培漁業とかいろいろおっしゃいましたが、沿岸の漁業を守る基本的な姿勢は、これは公害と対決するということだと思うんですよ。公害と対決する姿勢がなくして沿岸の漁業は絶対に守れない。そういう公害とあくまで対決をして、水産庁農林省漁業を守るんだ、漁場を守るんだと、こういう腹のすわった姿勢をお持ちなのかどうか。先ほどから鶴園委員もそのことを非常に残念がっておられた。私も実は番の州の埋め立ての問題がありまして、地元の漁民の方といろいろ反対運動をやりましたし、それからヘドロ公害の問題なんか担当してきましたけれども、一向に水産庁が出てきてくれないわけですよ。何か自分は知らぬのだというふうな、自分らの担当でないんだというふうな感じを何回も抱いたことがあります。非常に残念です。ですから私は、その姿勢の問題として、公害とは対決をして、とにかくその漁場と魚を守るんだと、この強いかまえが一番この出発点だろうと思いますがね、そのかまえがおありになるのかどうかということが一番聞きたいんですが、鶴園委員もそのことを非常にもどかしがっていたわけですよ。私もそれを実は感じているわけなんです。ですから、その点の決意を私はお聞きしたいと思います。
  90. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 午前中来申し上げておりますように、ともすれば、水産庁といたしましては、漁業自身の振興という形で従来助成を行なってきまして、それが水産行政の一つであるというように理解してきたことは事実でございます。ただ、しかし、それではやはり日本の漁業は守っていけないという観点に立ちまして、今回漁場保全課というものを設け、今後公害問題にまっ正面から取り組むのだという姿勢をこの際私たちとしては明らかにしたつもりでございます、これは。しかしながら、従来の公害に対する蓄積というものがほとんど水産庁としてはない。研究陣もあげて公害問題に今後取り組むのだという姿勢をとる予定で、調査研究部の中を改正しまして研究開発部というものに切りかえたわけでございますが、この公害の防止についての知見が非常に少ない。一日も早く知見を深めることによってこの公害を何らかの形で除去するというのがわれわれのほんとうの姿勢でございます。昨年秋にありましたような、ああいう赤潮が大発生いたしておりましても、正直なところ、先生方のおしかりを受けながらも、こういう赤潮のほんとうの意味での原因というものは、まだ水産庁としても十分に掌握していない。その後たいへんな、毎回のように研究会なりシンポジウムを開きまして、各都道府県の方々の、研究者の意見も聞き入れまして、少しずつではありますが、赤潮の問題の解明も少しずつ進んできておりますが、これがほんとうの原因であり、また、これを摘発すれば赤潮問題は解決するのだという的確なまだ段階には至っておりませんで、まだ研究的な分野が非常に多く取り残されていることも事実でございまして、これらの研究部門の開発には今後さらに一そうの努力をいたしたいと、こう考えておる次第でございます。  なお、その公害の発生のそもそも一つである石油によるたれ流しの問題、あるいは大規模埋め立てによる干がたの消滅、あるいはさらに都市屎尿水の流入といったことで、あらゆるそれぞれの公害が発生しておるわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、従来大型の埋め立てにつきましては、水産庁としては、なかなか知らされる機会が少なかったわけでありますが、今度の埋め立てについての法律改正機会をとらえまして、今後埋め立てについては積極的に何らかの形で水産庁の姿勢というものを前向きに展開する機会を持ちたいということで、今後これについでは少なくとも漁民に悪影響を及ぼさないような形での方向で埋め立てを行なうということでわれわれは努力してまいりたい。十分にわれわれが納得できないような埋め立てとか、そういったことについては、なかなか今後われわれとしては了承するわけにはいかないという姿勢で前向きに検討してまいりたいと、こういうように考えております。  なお、石油問題につきましても、最近ひん発するタンカーのたれ流し等の問題も起こっておりますので、これはただいま運輸省等も含めまして、これをどう解決するかにつきましては、今後の課題として、一つの研究テーマとして、われわれはいま検討させていただいている次第でございまして、公害について決して、現在の水産庁の置かれている立場として、公害問題解決がやはり沿岸漁業振興の最善の道であるということにつきましては、われわれ姿勢としては十分持っているつもりでございますが、やはりこの問題はなかなか一朝一夕には片づかないということで非常に苦慮している次第でございます。
  91. 前川旦

    ○前川旦君 私は、何も苦慮する必要もないのです。すっぱりとやればいいと思うのですが、公害の問題、たくさんあります。いま埋め立てが出ましたが、埋め立てはちょっとあとに回しましょう。  一つ一つ公害をそれじゃ取り上げていきたいと思いますが、一番簡単なものから、たとえばレジャー公害というのがあります。これでずいぶん漁民が泣いているのですね。モーターボート、ヨット、これ、いろいろありますが、一番泣いているのは、もぐりといいますが、アクアラングというのですか、簡単に酸素ボンベを背中にかついで、もぐってやたらにとり回る。あるいは、今度は釣りで、いそ釣りで沖へ糸を投げますから、調べてみると、岩礁がめちゃくちゃにひっかきだらけの糸だらけと、以上のところもあります。それから、もぐってとるやつは密漁になる場合もあると思いますが、こういったような一種のレジャー公害ですね、このレジャー公害からどうやって漁民と沿岸漁業を守るおつもりなのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  92. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 最近、遊漁といいますか、国民のいわゆるレジャーとして魚を釣る、あるいは沖合いまで乗り出していって魚をとるということが非常に急激にふえてきておりまして、これにつきまして、やはり生業として漁業をやっておられる漁民の方々との間に、漁場の保全も含めまして、やはりいろいろな形で紛争も発生し、また今後問題がふえてくるんではなかろうかと、こう思っておる次第でございます。さらに、国民のやっぱりレジャーの場としての遊漁というものも、全然排除するわけにはいかないんではないかというふうに水産庁も考えておりまして、むしろ場合によりましては、レジャーの遊漁のほうの振興もはからなければならないんじゃないかと、そういうことによりまして、生業する漁民との間の限界といいますか、紛争の調停を進めてまいりたいというようなことも考えている次第でございまして、それらのことにつきまして、昨年の、四十七年の五月九日でございますが、通達を出しまして、県におきまして遊漁についての協議会等を設けて、この辺の調整をはかるように指導しておりますが、われわれといたしましては、やはり今後沿岸漁業の振興と相並行しながら、漁業のレジャーとしての遊漁も相当逆にまた伸びてくると、これを健全な娯楽の場所として、いたずらに水産庁として押えるだけでは能ではないということで、やはりこの辺の調整をはかりながら、あわせて漁民の所得の向上にもなるようにこの問題をはかってまいりたいというふうに考えておりまして、今回の予算でも、全国二カ所だったと思いましたが、レジャー用の遊漁専門の漁場を設置して、そこへ都会の方々が土、日に見えて遊漁される機会をつくることによって、生業する生業者としての漁民との調整をはかっていきたいと、こういうふうに考えておりまして、今後、これらについては、さらに積極的にその遊漁者対策分につきましても大いに振興してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  93. 前川旦

    ○前川旦君 どうも抽象的でよくわかりませんが、どういうことなんですか。レジャー用の釣り場所を指定をして、それ以外のところではレジャー用の釣りは認めないと、どこか何カ所か場所を指定して、それ以外のところでは漁民を守るんだと、こういう方向でこれからいくと、こういうことなんですか。ただ、調整する調整すると言ったって、内容によります。調整ということばは、よくわかります。どういうふうに調整するのかと、どういうふうに具体的にやるのかということです。
  94. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) さしあたりの問題でございますが、私たちのことしの設けました予算では、むしろ遊漁専門の漁場をつくり、そこへいわゆる都市の人に集まってもらって、そこで遊漁をやってもらう。ほかの地点で、いたずらに一般漁民の働く場所に乗り出していって、無許可というとおかしいんですけれども、かってに漁業をやられては困るということで、ある一定の場所に極力入っていくようにいたしたいと、こういうふうに考えている次第でございます。  さらに、一般的な漁業者の問題といたしまして、アクアラングが一つの、非常にまあありますので、これらにつきましては、知事の指定区域のみでアクアラングの使用ができるようにいたしまして、一般漁業と衝突することのないように調整をいたしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  95. 前川旦

    ○前川旦君 具体的なことがちっともよくわかりませんが、普通の勤労者がレジャーとしてよく釣りに行ったりして、それでまた何というか、働く力を再生産していくという、これまで禁止するということはちょっと考えられない。いわゆる労働者の喜びを取り上げるということになりましょうが、一番被害を受けているのはアクアラングなんですよ。アクアラングでもぐって、やたらにとり回るというのは、あまり一般の勤労者はいないんですね。どっちかといったら、遊んでいる人に多いように私は思いますよ。密漁で、これで商売やっているのもいるんですよ。ですから、これが一番私は問題だろうと思いますが、いずれにせよ、まじめに漁業をやろうと思っている人の中へ割り込んできてとり回るというのは、たいへんこれは困ることなんです。ですから、一定の漁業の区域に入ってやるときには、罰則でもつけるか何かということで、絶対これはここではとっていかぬのだという区域をたくさんつくって漁業者を保護しないと、私は問題の解決にならないと思いますが、その辺どうなんでしょうか。
  96. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 私、先般出しました通達をお読み申し上げますと、このアクアラングを使用して行なう遊漁については、「知事の指定する区域で、調整規則の規定に基づいて知事の許可を受けた者のみが潜水器遊漁を行ないうるものとし、それ以外の海域では従来どおり調整規則により、原則として、禁止するものとする。」というふうに、水産庁といたしましては相当はっきり書いたつもりでございますが、問題は、「知事の指定する区域」というところまで水産庁としては指定しておりませんで、知事の権限として調整規則できめてくれと言っておりますが、県によりましては、まだきめてない県もあるかとも思いますが、指導としましては、指定する区域ということで、しかも指定する者のみがアクアラングの漁業を行ない得るというふうにして、この調整規則には当然、適用といたしましては罰則も一応はついておるというふうに御理解願いたいと思います。
  97. 前川旦

    ○前川旦君 それでは次に、農薬の被容は最近あまり聞きませんが、ビニールハウスなんかが海へ流れ込んで、ビニールで漁場が荒れておるという例がかなりあります。これは農業は農林省ですが、水産庁農林省の中の庁であります。したがって、農林省は本省になるわけですね。水産庁から見ると本省になるだろうと思いますが、このビニールハウスなんかによる海底の何というか、ごみ等については、どういうふうに扱われるつもりですか。実際に、瀬戸内海なんかでも中を掃除しますと、ずいぶん出てくるんですね。そして漁民の人に言わせると、本省の農林省のやっていることだから水産庁は何もようせぬだろうと、こういうふうに言っている漁民の人もいるんですよ、私はそうと思いませんけれども。これはどういう対策をとっておられますか。
  98. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 農薬なり、ビニールは、農業と水産との間の問題として、農林省内部で解決すべき問題も相当あると思いますが、農薬につきましては、御存じのように、農薬取締法に基づきまして、水質の汚濁を起こすような農薬の使用の規制につきまして、相当きびしく規制を行ないましたので、もうほとんど農薬公害というものはないのではなかろうかというふうに理解している次第でございます。  また、ビニールにつきましては、特にただいまでは農蚕園芸局でやっておりますが、そこでハウス栽培で急速にビニール栽培が普及いたしまして、その結果、野菜の価格のほうにもいい意味での価格の安定が逐次行なわれているわけでありますが、他面、これは世界的にも世界一のビニール農業王国になりまして、たいへんなビニールが毎年消耗品として廃棄というか、出てくるということでございます。これにつきましては、ビニール公害というものはやはり前々から問題になっておりまして、農林省におきましても、こういったビニールを単に放棄すると、廃棄するというんではおさまらないということで、非常なそのビニールの大団地のあります県並びに地方におきましてはビニールの処理設備を設けさせまして、いたずらに放棄しないように農林省内部では指導しておりまして、補助金まで出しまして、ビニールをまた熱で再処理いたしますとブロックができますので、そういったビニールを再加工いたしましてブロックをつくりまして、これをブロックれんがのかわりに使うとか、場合によっては海中に魚のアパートというふうなものにも活用する道はないかということでやっておりますが、やはり農家の方々がとかくこのビニールを川へ廃棄する機会がありますので、これらにつきましては、今後この廃棄物処理法によりまして、その基準を厳重にしながら、今後これらをどうやって海、川へ放棄することを防止するかということについて、われわれとしましても農林省内部で検討さしていただきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  99. 前川旦

    ○前川旦君 私は、農家もたいへん苦しい生活をしているわけでありますから、どうかこれは両方調和のとれるように指導してもらいたい、こう思います。  それじゃ次に海上交通、大型船の乗り入れ、これは瀬戸内海に対する大型船の乗り入れの問題が近来いろいろいわれております。私はこの前の国会で、当時の丹羽運輸大臣に伺いましたところが、大型船の瀬戸内海への乗り入れば禁止する方向で努力するといち答弁をいただいているんです。これは水産庁としてはどのような態度をおとりになりますか。私は、いや、これは運輸省の管轄でございます、これは環境庁の管轄でございます、これは厚生省でございますというような従来の姿勢であっては困るんです。これは漁民を守るという立場で、はっきりものを言うという姿勢をとってもらいたい。これは海上交通で大型船が瀬戸内海へ乗り入れる、へたなことをするとたいへんな油の公害を起こします。これについての基本的な態度は、農林省としてはどうなんでしょうか。これは大臣にお尋ねするのが適切かと思いますが、管轄は違うかもしれませんが、水産のサイドから見てどのような態度をお持ちですか。
  100. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 先般、海上交通安全法が当国会に提出されました際の審議の過程、あるいは附帯決議で、衆参両院の交通安全特別委員会でこの大型船の、巨大船の交通をストップするという決議が行なわれていることについては、十分にわれわれとしましては知っておる次第でございまして、水産庁といたしましては、当然に漁業者の操業の安全という観点から、これらにつきましては、われわれとしては好ましくないということで関係省庁と十分に連絡をとって、この問題が一日も早く実現できるように取り計らいたいと、こういうふうに努力してまいりたいと、こう思っています。
  101. 前川旦

    ○前川旦君 そうすると、水産庁としては、大型船が瀬戸内海に自由に乗り入れするというのは好ましくないと、したがって、乗り入れ禁止になるように積極的に推進をしていくという態度だというふうにいま伺いましたが、そういう姿勢だというふうに解釈してよろしゅうございますね。
  102. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) その当時の審議の経過等からいたしまして、水産庁といたしましても、大型船が通る過程で小さな漁船がやはり非常に危険性があるということは十分に存じておりますので、極力そういったことのないように、一日も早く実現することをわれわれとしては強く希望しておる次第でございます。
  103. 前川旦

    ○前川旦君 私は、ことばじりをつかまえるのきらいなんですけれどもね、希望するじゃなくて、そういうように積極的に努力するという姿勢があってしかるべきだということが初めからの私どもの考え方なんですよ。希望するというような、人ごとみたいなことでないように私は考えてもらいたいのですが、いかがですか、それは。
  104. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 話のしかたが非常にまずくて申しわけありませんが、われわれといたしましてはほんとうに運輸省にも再三にわたりまして、この問題については行政官庁同士の内輪話をするのもおかしいかとも思いますが、こういう委員会でそういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、運輸省水産庁の間ではこういった海上の公害問題を含めまして非常に最近激しい内部での議論のやりとりがあるということだけは御理解願いたい、こういうふうに思います。
  105. 前川旦

    ○前川旦君 この場でちょっと言えないというのであれば、いまので私了承します。  それからこれは屎尿の問題ですけれどもね、これは瀬戸内海の屎尿の投棄は三月三十一日でとまりました。これは一つの明るいニュースですが、屎尿のことは厚生省だというふうにおっしゃらないで、水産庁の姿勢を聞きたいと思いますが、いまの処理施設、屎尿処理施設では赤潮の原因になる燐と窒素——PとNですか、これは抜くことはできませんね。そうすると、結局屎尿処理場がどんどん普及してきて、なま屎尿を流すことはやめたけれども、屎尿処理場から流れる中にはやはりこの窒素と燐が同じように含まれているわけですから、結果としてこの海水を汚染するということになりますね。これはまあ第三次処理といいますか、屎尿処理場からさらにもう一つ、もう一回処理してPとNを抜くというふうにしなければ海水汚染の原因になるというのはこれ常識でありますが、これは厚生省のことだというのじゃなくて、水産庁としては、これに対してどういう立場をとられますか。
  106. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘のように、屎尿あるいは下水が海中の栄養を過剰にいたしまして赤潮の原因となるというふうにわれわれは理解しておりまして、屎尿処理場あるいは下水処理場の整備を徹底的に急ぐように厚生省なり関係行政機関にこれはお願いいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。で、現在、御指摘のように、現在の処理方法は二次処理までということで、やはり依然として燐と窒素の廃棄が行なわれると、これがやはり赤潮のたいへんな原因になるということは十分に存じておりますので、これらにつきまして第三次処理まで改善するというふうになるように、また厚生省でも検討されておるというふうに聞いておりますので、早急にこういうことが実現するように、われわれとしては今後とも努力してまいりたいと、こういうふうに考えておりますが、なお、この赤潮の発生が行なわれないように、さらにわれわれの水産は水産サイドなりに、この赤潮発生の原因なりその防除対策については今後努力してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  107. 前川旦

    ○前川旦君 だいぶはっきりしてまいりました。  それでは、さっきの問題に返りますが、瀬戸内海とは限りませんが、まあ一番集約的に出ているのは瀬戸内海の問題ですけれども、なぎさを埋め立てる、これは浅いところから埋め立てていくわけですが、浅い海を、なぎさを埋め立てると稚魚が育つところがありませんね。ですから、これはもう非常にこの沿岸漁業にとって致命的なことになります。したがって、私どもとしては、基本的に、原則的にこれ以上埋め立てはすべきではないと。ただ、地方公共団体がやる事業で、どうしてもこれは公共の福祉のためにはやむを得ないという場合も出てくると思いますけれども、それはそれとして、原則として浅海の埋め立てはもうすべきではないというふうに私どもは強く思いますけれども、この点について、水産庁もそういうふうにお考えになりますか、いかがですか。
  108. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘のように、この浅海におきます「がた」といいますか、干がたと申しますか、こういったあたりが魚類の産卵場であり、また稚魚が育つ場所でありますので、こういった場所が埋め立てられますと、また新しいそういった干がたの場所に魚が発生、あるいはそこで寄生するのには相当時間を食うわけでありまして、われわれといたしましては、そういった魚のいわゆる巣くっている場所に、そういった埋め立てが行なわれることについては極力反対してまいりたいと、こういうふうに私たち自身、そう考えておる次第でございます。特に大規模なそういう埋め立て事業が行なわれる地区につきましては、従来、なかなかわれわれのほうに御相談もなければ、また、われわれのほうから文句を言う機会もなかったわけでありますが、今回、先ほどの公有水面埋立法というふうな法律改正が通りますれば、積極的にわれわれといたしましても、そういった「がた」を保存したり、あるいは干がたがつぶれないように努力するという姿勢でこの問題を処理いたしてまいりたい、こう思っておる次第でございます。なお、私たちのほうでも、この干がたを人工的に何らかの形でまたつくることはできないかというふうなことで、現在、水産庁の研究部門におきましても、この干がたの効用については十分わかっておりますので、その人工干がたのつくり方についても研究しているということだけは御理解願いたいと思います。
  109. 前川旦

    ○前川旦君 それでは具体的にお伺いいたしますが、環境庁も見えていらっしゃるようであります。たとえば愛媛県の伊予三島市と川之江市、ここは大きな製紙工場があります。ヘドロをずいぶん出しております。第二の田子ノ浦といわれているわけでありますが、他と違うところは、このヘドロによる海の汚染と、それから赤潮の発生、これが発生源である愛媛県よりもむしろ隣の県に大きな被害を及ぼしている。しかも、県が違いますから、被害県がたいへんやっきになりましても、加害者のいる県のほうは、今度は産業保護という面もありますから、どうも本気にならない、間に入って一番困っているのは漁民であるという例が現実にあります。  そこで、いまこの伊予三島市と川之江市は、製紙のヘドロをもって海岸の埋め立てをしようとしているわけでありますが、この埋め立てによって第二次公害が発生するというおそれが非常に強い。ところが、伊予三島市も川之江市も、第二次公害が発生しないという説明を何ら漁民にしようといたしません。あるいはまた、関係漁民の意見を聞いたり、関係漁民と意見の交換をしたり、説明をしたり、こういう姿勢が全くありません。ただ、これは香川県側ですが、三豊郡の一市六町は、第二次公害の起こる可能性があるということで、この埋め立てに反対をしておりますが、反対の意思表示をはっきりしておりますが、この一市六町には通り一ぺんの説明をしたそうであります。しかし、被害を受ける漁民側には全く説明をする必要もないという態度で、納得のいく説明をしようとしないままに埋め立てを実施をしようとしているわけなんです。で、従来、これはたいへん長い間もめていたんですけれども、これまた水産庁は知らぬ顔だったんですよ、実を言うと、われわれが見たところ。やはりこれは環境庁の問題だ、通産省の問題だということで、私の見たところ、たいへん姿勢が消極的であったと思いますが、こういう紛争を、しかも二県にまたがる紛争ですから、いまの法の体系からいって知事に非常に強い権限がありますから、みすみす被害が出るということがわかっていても持って行き場がないという怒りを被害を受ける漁民は持っているわけです。これを両県にわたって指導できるのは、私はやはり中央官庁だろうと思いますがね。どういうふうに、このいまの埋め立てと二次公害——二次公害が起こるといってたいへん心配しておる漁民、それに対して説明をしようとしない埋め立てをする側、何らかの形で私は水産庁が適切な指導をしていただきたいと思いますが、その点についてはいかがですか。
  110. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘のありました工事の問題について、愛媛県側から、今年の二月の十九日と三月の二十三日に、両市が香川県の関係市町村に計画の説明を行ない、意見の交換が行なわれたというふうに報告を聞いている次第でございますが、香川県側としては、当然に被害者側という立場から、これに対して、さらに市町村のみならず漁業者への説明もしてもらいたいというふうに要求されておるようでございますが、われわれといたしましては、香川県の言い分ももっともであるという考え方を持っておりまして、それで、愛媛県側ともっと十分に漁民の納得を得られるような形で説明が行なわれるよう話し合いをなお続けてもらいたいという姿勢を持っておる次第でございます。
  111. 前川旦

    ○前川旦君 そういうふうに指導されますか、現実に、愛媛県側に。考えておるというのじゃなくて、二次公害のおそれがあるんであれば、そういう埋め立てはやっぱりやらせるべきじゃないと思うんですよ。二次公害がないと科学的にはっきりするんであれば、それを漁民にも十分に説得をして、話をして、科学的にだいじょうぶだと言って、納得すればそれはやってもいいでしょうけれども、二次公害のおそれがやっぱり現実にあるとわれわれは思うんです。そういう場合に、納得のいかないままに強行するというやり方ですね、これをやっぱり手をこまねいているということでは困ると思うんです。ですから具体的に、これからその問題、どういうふうに指導されますか。具体的にはどういうふうに指導なさるおつもりですか。
  112. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 従来からの例でございますが、一般論といたしまして、あまり工事の段階におきまして、当初の段階におきましては、水産庁としては非常に知らなかった場合が多いわけでありますが、非常に問題が多くなってきた段階で、水産庁のほうに地元の方から直接お話がある機会が非常に多いわけでありまして、今度のような問題につきましては、やはり法律立法論的な立場から問題の決定が残っているのではないかということをこの埋め立てについて私たちは考えておりまして、その問題につきまして、今回の埋立法の改正に際しまして、農林省にも何らかの形であらかじめ知らされる機会が必要である、知らされればまたわれわれとしては意見を言う機会が当然にあるということで、法律改正に際しまして、環境庁を中心にこの協議権というものを強く要望した次第でございます。これは通るわけでございますが、今回のように非常にもめて、最後のどたんばにきているような事件につきましても、やはり漁民の立場からいたしまして、やはり漁民が不安を持ち、また、われわれとしましても、二次公害なりその他の公害の発生について十分納得のできないような場合が非常に多いわけでございまして、そういった場合には、やはり両当事者間でなお最後まで話し合いを続けることをわれわれとしては強く期待し、またそういう方向で指導しておりまして、一方的に強行着工ということがないように、われわれとしましては、各県の関係者に十分そういう線でお願いしている次第でございます。
  113. 前川旦

    ○前川旦君 そういうふうに指導をしているということでありますから、どうかそういう指導を強めていただきたいと思います。私も、これはずっと、この問題はただいま御答弁いただきましたので、水産庁に、われわれのほうではへばりつくということばを言いますけれども、いつもおたくのほうへじゃまをさせていただきたいというふうに思います。  環境庁の水質保全局長さんが見えておりますので一問だけ。この公害発生の原因である工場へ、私は昨年現場を見に行きました。そうしますと、なるほど沈でん槽でぐるぐる回して、沈でんした上の上澄みだけを流すような設備はできています。それから私が行ったときには、それがまいよりました。今度、その下へたまったヘドロを、沈でん槽の中にたまったヘドロを焼却炉で焼く設備もこれは見ましたが、そこで工場長が、いまはこういう水しか出ておりませんと言って、試験管にとって振ってくれた水の質と、実際にわれわれが目で見たこの排水口の水の濁り方とだいぶん違うような感じがいたしました。これはだいぶん違うじゃないかと言ったんですけれども、工場長のほうは、いや、これはいまこのとおりのきれいな水が出ておりますと言って、これは水かけ論ですからね、実際分析したわけじゃないんですからね。しかし、目で見て、これはずいぶん濁ったのを出している。ちょっと違うやないかという感じがいたしましたがね。そのときに、私どもが調査しておりますときに、表に立っている人が、見物している近所の人が、あんた方しっかりしとらないけませんぜ、夜になったら、どんと流すのと違いますかと、こう言って近所の人がわれわれをからかうんですがね。ということは、実際そういうことをやっている、やっていないは別にして、ああいう設備をつくることでずいぶんコストが上がります。製紙のコストが上がる。かなりの金額でした。ということは、やはりこれは企業というものの特殊性からいいまして、常時監視体制をとっていかないと完全を期すことはできないんじゃないだろうかという思いがいたしましたが、その常時監視体制というのはどこがやるかというと、それは地元の地方自治体がやるんだということになってしまう。そうすると、この地方自治体は加害者を今度は助けるという方向にどうしてもこれは人情として、自分の地元の産業ですからなってしまう。その辺をやはり中央から何らかの指導といいますか、常時監視体制あるいは抜き打ちというようなことで、絶えず完全に浄化装置は動いているんだというふうにしてもらいたいと思いますが、これは実際に夜中に出すかどうかわかりませんよ。見たわけじゃありません。わかりませんが、万一そういうことがあってはいけませんので、その辺のことをどういうふうに取り組まれますか、お伺いしたいと思います。
  114. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) お話の伊予三島、川之江の製紙工場の問題でございますが、一般的に申しますと、四十六年の一月に、これは旧水質保全法でございますけれども、それによりまして排水基準を設定をいたした結果かと思いますけれども、川之江それから伊予三島の沖合いにおきます水質は、四十五年、四十七年を比べますと、格段のきれいになっているということは言えるわけでございます。ただ、問題は、過去に流しましたヘドロ等が非常に堆積しておりますので、その問題はございますけれども、現在の排水の水質というものは相当よくなっているというふうに私ども考えております。特に、最近におきましては、先生御指摘のとおり、あそこではクラリファイヤーと言っておりますけれども、浄化装置があり、これは他の製紙工場と比べますと、相当高度の排水処理をいたしておりますので、排水水質は相当よくなっているというふうに考えております。  ただ、やはり夜間これらにつきまして違法の排水をするかどうかという問題がまだ残っております。常時監視と申しますのは、やはり理想的にいえば二十四時間監視ということになるわけでございますけれども、現在の水質の監視というものは、人間が行きまして採集をし、分析をするというようなことになっておりますので、なかなか常時夜間まで目が届くということが少ないわけでございまして、将来はやはり機械化によりまして、常に水質を検定できるような方向に持ってまいりたいというふうに実は考えております。ただ機械化に持っていくためには、現在の指標でございますCODとかBODというものはなかなかそのまま機械には乗りがたいような性質のものでございますので、私どもは新しくTOCないしTODという指標の開発につとめておりまして、この開発とともに機械化をし、機械化ができれば各企業にそれの測定装置の設置を義務づけるという方向に持ってまいりたいと、かように考えております。
  115. 前川旦

    ○前川旦君 その機械化ができる見通しというのはどんなですか、時期的な見通しというものは。
  116. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 先ほど申しましたとおり、新しい指標の開発が問題でございますが、私どもはその新しい指標にできれば五十一年度ぐらいには移行いたしたいというふうに考えております。まあそれを目標にいたしまして、機械化のほうもこれはいろいろ各方面からの推進をはかるというふうに考えておるわけでございます。
  117. 前川旦

    ○前川旦君 再び水産庁にお尋ねしますが、ヘドロをこれはのけなきゃいけませんね、ずいぶんだまってますから。ヘドロをのける具体的な対策をことし何を考えていらっしゃいますか。
  118. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この赤潮の発生の要因であります瀬戸内の一つの要因の中に、やはりヘドロが一つの大きな原因ではなかろうかというふうにも考えておりまして、このヘドロを何らかの形で除去する方法がないかということで、技術陣の間で非常に検討をした次第でございますが、その中の一つに、やはりポンプで——へたにヘドロを海中でひっかき回しますと、かえって連鎖反応を起こしましてまずいという前提で、このヘドロをポンプで吸い上げるというふうな方法もないではないということで、実験的にそういったことにつきまして実験事業を行なったらどうかということで、ただいま四八十年度予算で試験事業を実施しようということで予算をお願いしている次第でございます。
  119. 前川旦

    ○前川旦君 それは船ですか。何です。どういうふうにするんですか。具体的にどれぐらいの予算ですか。
  120. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) これにつきましては研究部長から、技術上の問題がございますので、こまかく御説明さしていただきたいと思います。
  121. 松下友成

    説明員(松下友成君) 技術的にいろいろな方法があるわけでございますけれども、現在考えておりますのは、船でヘドロを取りまして、それを陸上に持ってまいりまして、陸上で処理するという方式でございます。
  122. 前川旦

    ○前川旦君 これは、船は新しくことしできるんですか。
  123. 松下友成

    説明員(松下友成君) 船は、チャーターで使用したいというふうに考えております。
  124. 前川旦

    ○前川旦君 これは、ヘドロの除去というのはずいぶん費用がかかりますが、どうなんですか、実験をどれぐらいの間続けて、実際に、具体的にはいつごろから本格的にヘドロ除去に取り組むという一つのプログラムを持っていらっしゃいますか。
  125. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) そのプログラムをつくるための一つの実験事業といたしまして、四十八年度から初めて始めるわけでございますが、これについても、十分に研究成果をあげた上でこういった実験事業に着手するのではなくて、非常にまあ赤潮対策という観点から事を急がれましたので、試験研究も十分確立しないままにもうほとんどこの実験事業に飛び込んだというのが四十八年度の予算でございますので、やはりこの予算で実行いたしまして、その効果といいますか、可能性の是非を少なくともことし、来年、二年間ぐらい検討さしていただかないと、あるいはこの事業化へというスケジュールを組むには少し早過ぎるのではなかろうかというふうに私たち判断している次第でございます。
  126. 前川旦

    ○前川旦君 技術的なことは私もわかりませんが、ですから、へたな取り方をして二次公害を起こしても困りますので、二次公害の起こらないような方法を開発してもらいたいと思いますが、事は急がれておりますので、どうかひとつ急いだ対策といいますかをしていただきたい、このことを強く要望しておきます。  それから実は去年の夏、私は海の一斉掃除というのにある単位漁業協同組合へ参りましてつき合いをいたしましたが、ものすごいよごれです。ちょうど台風のあったあと、私は小豆島での協同組合、四海というところの協同組合で一緒にずっと見ましたが、流れてくるやつが、なぎさというか、砂浜にごみがものすごく打ち上げられている。来るごみは地元のごみよりも対岸の兵庫県のごみです。中には「水泳禁止、姫路警察署」という立て札までが流れついて、ものすごい状態になっている。それから、海の底を網を引いて一日やりましたが、ちょっと一日やっただけでものすごいごみが出ます。そのごみが、一番多いのはやっぱりビニールとかポリエチレンとか、ああいった種類のものですが、現在やっている清掃はいわば一種のデモンストレーションですね、宣伝というか、何かお祭りみたいなかっこうで、一日やって十トンか十五トンか一海域で上げて、それで終わりということなんです。そうではなくてもっと積極的に、ヘドロも大事ですけれども、海の中にたまっているビニールとかポリエチレンとか、何かそういったものが非常に漁業を阻害しているわけですから、もっと積極的にこの掃除を、しかも長期間にわたってやるというかまえがあってしかるべきだと思いますが、その点についてはいかがですか。
  127. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この海底あるいは海中におきますごみの処理につきましても、水産庁といたしましてもこの対策については非常に苦慮しておりまして、それが底引き等の網に非常に多くかかってきて漁業の操業上重大な支障を来たしてきておるわけでございまして、これを今後何らかの形でもっと大々的にこのごみの処理を考えていきたいとは思っておりますが、さしあたり四十八年度予算におきましては、十六水域を対象といたしまして、県、地方自治体を事業主体にいたしまして、補助率二分の一で総額、まことにあれでございますが、十六水域で九千六百万円の補助金を計上いたしまして、こういったことの清掃事業の一部といいますか、端緒をこの際開始いたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  128. 前川旦

    ○前川旦君 実は、私は狭い範囲の香川県のことしか調べませんでしたけれども、一応県下全部の漁業協同組合が一日休んで船を出して掃除に取り組むということでありましたけれども、実際には三つか四つしか実施できなかった。というのは、金がないからみんなただ働きということであります。もう少し積極的にこの予算を獲得して、これはもっと積極的に私はやっていただきたいと思うのです。ことし予算九千六百万円ということですが、あまりにも貧弱過ぎるように思いますよ、実際のところ。もっと力を入れてもらいたいと思うのですけれども、将来の問題として。これはどうですか、見通しとして。
  129. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 公害防止対策につきましては、先ほどから何べんも申し上げておりますように、水産庁としては非常に立ちおくれているというふうに私自身考えておりますので、明年度以降の問題でございますが、水産庁といたしましては、姿勢を改めて、こういった公害対策あるいは漁場の環境をきれいにするという事業につきましては特段に力を入れまして予算上の対策を講じてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  130. 前川旦

    ○前川旦君 姿勢を新たにして特段の努力をするという答弁をいただきました。了解をいたします。  それでは今度は公害の問題を離れまして、積極的に漁場を育成するという問題でありますが、現在、保護水面を指定して漁場の育成というか資源の育成をやっておられます。実はこれは非常に評判がいいのです。現地へ行きますと、この保護水面をふやしてもらいたい。かつての漁民は、そういうのをつくられると魚をとる場所がなくて困るからという声もありましたが、この二、三年急激に漁業者の意識というものは変わっております。積極的にそういうものをつくってもらいたいという強い要望を私は受けました。ことしは一体幾ら指定をされる予定なのか、それから一カ所について一体この予算はどれくらいでできるのか、将来どうするのか、その辺あわせてお尋ねしたいと思います。
  131. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 近年の漁場の悪化に対しまして、水産動植物を積極的に保護培養するという必要性が出てきておるというために、毎年新たに新規に指定をいたしまして保護水面の増加をはかっておる次第でございまして、現在までにすでに五十五カ所の保護水面設備を設置いたした次第でございまして、その内訳といたしましては、貝類が十六カ所、それからサケ・マスが十七カ所、モ場が十四カ所、アユが七カ所、ワカサギが一カ所でございまして、本年度新たに追加して行ないますのは六カ所予定しておりまして、金額といたしましては一カ所当たり百六十五万九千円で、大体このモ場の育成をはかってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  132. 前川旦

    ○前川旦君 一カ所百六十万円で六カ所というと幾らですか、九百六十万ですか、保護水面をきめて、これは一つの湾を全部指定しますからかなり広い面積で、しかもかなり効果があがっておる。一カ所百六十万くらいでも実際に魚がふえているんです、そこでは現実に。ですから、一カ所百六十万なら、ことしは六カ所なんて言わないで、かりに百カ所つくっても一億六千万ですか、百カ所でもそれくらいのものでしょう。ですから地元の漁業団体と相談をした上で、もっと積極的に指定をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  133. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ちょっと訂正させていただきたいと思いますが、モ場の百六十万円というのは継続分でございまして、継続につきましては百六十五万九千円という継続事業では行なわれる。新規につきましては、これも大したことはございませんが、三百八十一万円ということで約倍近い補助事業になっておる。総事業といたしましては、モ場全部の六十一カ所分といたしまして、事業費といたしまして七千十四万八千円ということが予算上の措置となっておる次第でございます。
  134. 前川旦

    ○前川旦君 それにしても、七千万円くらいでずいぶん効果があがっているのですから、将来の見通しとして、地元がもっとふやしてもらいたいと言っているんですから、ことし六カ所なんということを言わないで、来年、再来年、もっと積極的押し進めるお考えがありますかどうか。
  135. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) これはただいま御指摘がありましたように、非常に関係者の間では評判がよくて、要望も強いものですから、われわれといたしましては、こういった事業につきましては来年度以降もひとつ十分に確保できるように努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
  136. 前川旦

    ○前川旦君 何かちょっといまの歯切れが悪いように聞こえましたが、もっと積極的に、地元は喜んでおりますから、地元が、ここはいやだというのは押しつけてはいけませんが、関係漁民と相談の上でもっと個所をふやしてもらいたいと思います、強く要望しておきます。  それから今度は養殖ですが、ノリの養殖では、これは昭和四十三年ですか、白子商社といいましたか、倒産がありまして、十一億ぐらいの不渡り手形を全漁連がかぶってたいへんな苦労をされたというふうに聞いております。そこで、その後自主的に手形取引高の千分の二を積み立てて基金をつくって、その基金が一億七千四百四十二万三千円ほどできておるという話を、四十六年末ですが、そういう基金をつくっておるという話を聞いておりますが、ノリの養殖というのはこれはみんな零細でありますから、しかも商社と手形取引です。手形取引ですからかなり危険性があるわけですが、二度とこういうことがないようにどういう指導をしておられるのか、これが一点。  それからせっかく共販で基金を二億円近く積み立てているですが、自主的にこれをやっているんですけれども、もうちょっとひとつ積極的に国が何か少し補助をするとかいうお考えは将来あってしかるべきだと思いますが、これ、いかがでしょうか。
  137. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 昭和四十三年に非常に大きな事故がありまして、現在までにその対策といたしまして、全関係者の、生産者団体の間で全国乾ノリ共販基金を設立いたしまして、四十八年の四月末現在の時点におきましては約二億三千万円の積み立て金ができておりまして、これでこの共販の手形取引のリスクの対策として今後保証保険制度の要素を導入するという観点から現在検討されておるようでございます。ただ、従来はこういったリスクのあるときには商業手形というふうな形で取引が行なわれておりまして、したがって、代金決済上非常に価格の変動によりまして問題が出たわけでありますが、系統共販に乗せて、こういったいわゆる一種の相場的な取引でない取引関係が今後主流を占めますと、逐次こういった危険のある、あるいはリスクのある商業取引が自然と減ってまいりますので、損害の発生というものは未然に予防できるのではなかろうか、こういうふうに考えております。この生産者団体によります共同の販売体制の確立、並びにその積み立て金を自主的に補てんしていることにつきまして、この制度につきまして改善対策が出ておりますが、水産庁といたしましても、十分全漁連を中心とする関係者とよく相談いたしまして今後指導をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  138. 前川旦

    ○前川旦君 これは生産者団体のほうでいろいろ要望もありますから、どうか生産者団体とよく御相談の上で、できるだけこの要望に沿うように努力を願いたいということを要請しておきます。  それからハマチでありますが、今度はノリじゃなくてハマチでありますが、たいへんえさが値上がりしていま苦しんでおりますが、えさの値上がり防止のためにどういう手があるのか、どういう手を打っておられるのかお尋ねしたいと思います。
  139. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ハマチのえさは非常に値上がりいたしまして、逆にこれはハマチの養殖が非常にふえているというにもかかわらず、なまえさの供給が十分でないということで需給バランスが、多少需給が逼迫しているということのほかに、これは水産庁の責任にもなると思いますが、特に瀬戸内の汚染によりまして、イカナゴとかあるいはイワシ類をえさとして使うことが、どうもPCB汚染というようなこともありまして、なるべく差し控えたほうがいいということで、われわれもあまりこれにつきましては奨励いたしていないということもありまして、北海道のオオナゴ、あるいは千葉地先でとれますカタクチイワシ等に需要が殺到しておりますので、ハマチのえさが非常にますます高くなってきているということは事実でございますが、今後これらの問題につきまして、われわれといたしましては、構造改善事業等によりましてえさの保管のための冷蔵庫等を整備いたしまして、そういうことを整備いたして今後えさの安定確保に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  140. 前川旦

    ○前川旦君 これは非常にむずかしい問題で、私も現地の人といろいろ相談してみたんですけれども、これはというきめ手が、いまのところ私自身もちょっと思いつかないんです。非常にむずかしい問題でありますが、えさが上がるということは、もうこれは漁業者にとってたいへんなことでありますから、どうかひとつこれはいろんな手を、的確な手をできるだけ早く考えて取り組んでいただきたいと思います。私も、それ以上はちょっと具体的に私自身もよく手がわかりませんので、これ以上ちょっと言えませんが、もう一つ種苗の値上がりですね、これも非常に困っているところです。特に、これはハマチの種苗が枯渇していくのではないかというおそれを抱いている人もあります。この種苗の値上がりは、これはどうやったら防げるのか、どういうふうにこれは考えておられますか。
  141. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) このモジャコの価格につきましては、私のほうで調べましたところによりますと、四十五年には一尾十グラム未満のものが一キロ当たり二千二百五十円しておりましたものが、四十八年の現在の時点では五千円。あるいは当時、四十五年には一尾二十ないし三十グラム程度のものにつきましては千百五十円であったものが、四十八年には二千五百円というふうに、この三年ほどの間に倍になっております。これにつきましては、モジャコの漁況というのは自然現象にも左右されるということで、また時期的にも、また地域的にも価格変動が激しいのでありますが、このモジャコの採捕、出荷、管理ということの適正な方法について関係府県を通じて指導をいたしてまいりたい。また、このブリの人口ふ化による種苗生産の技術開発をいま試験研究機関で開発いたしておりますので、それが一日も早く実現化するように努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  142. 前川旦

    ○前川旦君 このモジャコの資源の問題でありますが、資源が枯渇するのではないかというおそれを抱いておる漁業者がたくさんあります。たとえばこのモジャコをとる網の目でありますが、いま糸五寸の間に、このごろ五寸というとしかられるのですけれども、三十節があるというですね、そういう網でとっておる。そうではなくて、この二十八か二十五に網目を広げると、小さいやつはそこから逃げますから、ある程度成長したものがとれる。そうすると殺す率も——発育する率が高くなるのではないか、そうしてちょっと一週間もすればまた小さいやつは、二十五なり二十八に引っかかるようなところまで成長するのだから、そういうかっこうで資源の枯渇を防ぐというような指導をすべきではないか。こういう意見も私実は現地で聞きましたが、この点についてはどういうふうにお考えですか。
  143. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘のとおりというふうに私たちも聞いておりまして、われわれといたしましても、モジャコに関する採捕あるいは運搬、養殖等、各種技術の向上によりまして、なるべく小さいモジャコをとって、有効利用をはかることによりまして、モジャコ種苗の減耗を押えて、より高度の活用をはかってまいりたいというふうに考えておりまして、その線で技術的なわれわれは指導をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  144. 前川旦

    ○前川旦君 それでは共済についてお伺いしますが、ハマチは、小割り式は共済の対象になりますが、築堤式の大型養漁場のハマチは対象になっていないと思いますが、来年ですか、制度を洗い直すという話を伺いましたが、これは今度対象に入れますか、どういう御方針ですか。
  145. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘のように、水産庁といたしまして、この漁業の共済制度について抜本的な再検討の検討会をただいま続けておる次第でございまして、この築堤方式については非常にまあ過去におきましても、四十六年度の全国ベースでございますが、全部で一万五千百三十五の設備があるうち、築堤式は十七カ所、小割り式がもうほとんで九九%占めまして一万五千二十九カ所ということになっておりまして、小割り式がほとんでございますが、この築堤式につきましての実態を把握することと、保険技術上の具体的な問題点の解決の可能性につき、現在まあ調査、検討を続けておりまして、調査の結果を待ってわれわれといたしましては検討いたしたいと、こういうふうに考えております。
  146. 前川旦

    ○前川旦君 調査中ということでありますね。それじゃ、やっぱり漁業者にとりまして保険料が高いということがいつも念頭にあるわけです。そこで、次の検討のときには国の補助率をアップして保険料を引き下げる方向で考えておられるのか、あるいは義務加入ということの制度を取り入れることで保険料を下げることが可能ではないかと、こういう論議が末端ではいろいろされております。この点についてはどういうふうな基本方針で臨まれますか。
  147. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) まず、この義務加入の点でございますが、共済についても仕組みの問題の一つといたしまして、義務加入制の問題がひとついま非常にいろいろの観点から検討されておりますので、たぶんこの協議会の検討結果を待ちまして、この義務加入の導入方法については対処いたしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。  また、ハマチの掛け金の問題といたしまして、国庫負担金をもっと引き上げるべきではないかという御意見でございますが、これにつきましてはこの四十一年度から——失礼いたしました、一年魚につきましては四十一年度から、二年魚につきましては四十六年度から共済を実施しておりますが、四十六年度までの事業収支では、一年魚のハマチは約八千五百万円の黒字、二年魚ハマチは四十六年度のみでは四千八百万円の赤字と、こういうふうになっておりまして、また四十七年度につきましてはまだ十分確定はいたしておりませんが、この瀬戸内海に赤潮の大被害があったということもありまして、一年魚ハマチ、二年魚ハマチを合わせまして約三億八千万円の赤字が見込まれるということで、現在共済掛け金を引き下げるということはきわめて困難ではなかろうかと、もう少し事態の推移を見たいと思いますが、今後事故率が低下してくるならば、こういったハマチの事業収支が改善されれば、その引き下げについては検討できるんではないかと思いますが、どうも最近の毎年の年度ごとの変動率が激しいということで、まだここの段階で断定的に御返事することはむずかしいんではなかろうかと、こういうふうに思います。
  148. 前川旦

    ○前川旦君 そうしたら、この共済でもう一つ、加入の時期を適正にしてもらいたいという希望があります。現行は七月から三月までということが加入時期なんですが、実際にはもう瀬戸内海の場合は各県とも十二月にほとんど売ってしまうのが実態であります。したがって、この共済期間を現状に合わせ、実態に合わしたようなかっこうで運営してもらいたいという希望が出ておりましたが、その点についてはどうですか。
  149. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この瀬戸内海のものは、多くが十二月末までにまあ販売されるということは御指摘のとおりでございますが、どうも統計をよく調べますと、全国的に見ますと、おおむね六、七月ごろから翌年三月あるいは五月ごろまでに養殖されるものが非常に多くて、全国ベースで申し上げますと、七四%がまあそういう四、五月ごろまで養殖されているということでございます。  それから、さらにまた海区別に、われわれといたしましても実績が十分つかめてないんでありますが、今後の問題といたしまして、海区別設計にたえ得る実績が証明といいますか、そういうことが収集されるようになりますれば、瀬戸内海についてはひとつ検討いたしてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  150. 前川旦

    ○前川旦君 この共済の問題については、まだ具体的に煮え詰まった段階じゃないようですから、これはまあ問題提起だけにしておいて、またのちほどもっと時期が熟してからあらためて質問をする機会を持ちたいと思います。  最後に、海がよごれる原因はたくさんありますが、油の問題もあるし、PCBもあるし、赤潮もあります。海がよごれるんじゃない、漁業の被害を受ける原因ですね。いろいろありますが、一番いま困っているのは赤潮とそれから原因不明の油濁であります。この原因不明の油濁の場合は泣き寝入りですね、全く。これは泣き寝入りのままで放置されるのか、こういう場合でも何らかの救済措置を将来とっていくという姿勢がおありなのか。この点いかがでしょうか。
  151. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 一般的に油の原因が非常に最近頻度がふえてきておりまして、水産庁におきます公害対策としては、今後石油の国内におきます需要量が伸びれば伸びるほど、ますますこの油公害というものが激しくなるんではなかろうか。これは単なる瀬戸内のみならず、太平洋岸におきましても相当出ておりまして、特に事故等がありますと大被害を発生しておるわけでございます。で、これにつきまして、従来、油濁対策といたしましては、オイルフェンス等の備蓄を関係県に設置するよう助成いたしまして、こういう事故が起こった場合に被害を未然に防止するというところであります。  また、原因者がはっきりしている場合は、原因者負担の原則ということで、その原因者に経費を補てんさせるようにしておるわけでございますが、原因者不明の被害に関しては、従来、御指摘のように、まあ泣き寝入りといいますか、これは非常に困りまして、都道府県なり関係市町村がこの分については何らかの形で対策を講じ、その結果は、自治省のほうに最後のお願いをわれわれのほうからも連絡いたしまして、特別交付税である程度片づけるという姿勢できたわけでございますが、それではなかなか問題解決しないというふうにわれわれも理解しておりまして、これは現在運輸省と一緒になりまして、何らかの形で、この問題についていつまでもほうっておくわけにいかぬと、この原因者不明の油公害については何とかしょうということで、運輸省と内々いま相談をし始めているというふうに御理解願いたいと思います。
  152. 前川旦

    ○前川旦君 原因者がはっきりしている場合には、この損害賠償は原因者がやるのはこれははっきりしているわけですね。これはもう当然因果関係はっきりしていますから。  たとえば、タンカーが自分の過失で油を流した。これは因果関係はっきりしている場合。これはタンカーのほうが加害者としての損害を弁償しなければいけませんね。これは強制保険でしょうかね、保険が入っていると思うのです。ところが、この間の伊良湖岬のあれは、実際は私よくわかりませんがね、どういうかっこうで事故を起こしたのか。片一方はタンカーで、片一方がカーゴーといいますか貨物船でですね、過失がこの貨物船にあるというような場合ですね。しかも貨物船は保険に入ってない。そういう場合に、被害の原因がわかっていても取るものがないというようなことも起ころうかと思うのですがね。その辺の対策は何か考えていられますか。
  153. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 従来、まあ昨年もあるいはことしに入りましてからも、瀬戸内海でも相当やはり衝突等によります事故がありまして、その結果、油公害を発生しておりますが、こういった衝突等の原因によります場合は、原因者がはっきりしているわけでございますが、で、このほとんどの例から見ますと、従来必ず保険が入っておりまして、保険の種類はちょっと私、ど忘れしましたが、船主保険だったと思いますが、それで保険が支払われておりまして、おおむね漁業者なり関係市町村の要求する部分の見合った分は大体支払われまして妥結したと私たち理解して、そういう報告に接している次第でございますが、したがいまして、そういう衝突等の事故によります場合はおおむね大型船でありますので、ほとんど保険に入っておられますので問題はないわけでございます。ただ問題は、やはり夜陰にまぎれて、だれがたれ流したかわからないというのが、海上保安庁を通じまして非常に再三再四にわたりまして調べを願うのですが、どうも一たん海へ流してしまいますと、海のほかの物質と化合いたしまして、その船がほんとうにもう流したに間違いないという心証は十分あっても、その油が変化いたしまして、積んでおる油と必ずしも適合しないというようなこともありまして、証拠主義の時代でございますので、なかなか原因者がつかめないというのが実情でございまして、怪しい船は必ずおるわけでありますが、夜陰にまぎれた場合に、疑わしきは罰せずで、なかなかつかまらないというのが実情でございます。こういったものにつきまして、海上保安庁とともに——まあ海上保安庁でもいろいろそういった原因者の把握方法等につきましては、何か特殊なカメラ等を利用されまして検討されているようでありますが、実際問題としてはつかみにくいと。こういう原因者不明の被害について、今後われわれとしましては何らかの形で対策を講じたいと、こう思っておるのですが、どうも原因者不明の分について政府なり公共機関がある程度払うのだというふうな姿勢が出ますと、ますますまたその夜陰にまぎれてたれ流すチャンスのほうがふえてくるというふうなこともありまして、もう少しこの原因者追及の方法が確立することもひとつやはり大事なことではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  154. 前川旦

    ○前川旦君 これは油の問題、それから赤潮の問題とも関連がありますが、非常にむずかしいところでして、われわれも考えれば考えるほど割り切れない面が残ります。というのは、加害者がどこかにいるはずなんですね、加害者はどこかにいる。したがって、あくまでも本筋は、加害者を追及していって加害者から取り上げるという姿勢をなくしたら、これは赤潮の発生源であったりそれから汚染の発生源である企業の免責をしてしまうという危険性がありますね。それから、いまあなたのおっしゃったように、これ幸いともうたれ流すというような悪いのも出てくるという可能性もあります。だからといって、その本質論、原則論だけで終始していると、実際問題として漁民は泣き寝入りだという矛盾になる。その泣き寝入りではいけないので、何か救済策をとなると、それを理由に企業は逃げてしまう。で、去年の赤潮対策で非常に私どもも、要求するわれわれも非常にこれは苦しんだところです。ですから、天災融資法を発動して天災融資ということにすれば、赤潮の発生源というのはもう大体わかっていてもこれは天災だということで逃げてしまう、原因者が逃げてしまう、非常にこれはむずかしいところであります。  そこで私は、これは特に大臣にお願いをしたいと思いますが、これはどうでしょうか、大臣。原則は原則、あくまでもこれは加害者が負担をするのだ、それからあくまでも加害者を最後までとことん追及するのだ、途中でやめるのでなくてとことん追及するのだ。そして、あくまでも加害者が被害の弁償をするのだという原則はきちっと立てながら、その加害者が損害を弁償するまでの間、長い期間かかります。そこまで漁民は待てませんから、その間一時立てかえをして救済をするというふうな、そして解決したときには加害者から取り上げる、こういう基金制度のようなものを設けて、原則は原則、しかし一種の緊急手段といいますか、当面困っている人には一時立てかえるというような発想法ででも救うような——これは油濁もそうです、赤潮もそうですが、何らかの方法を考えていただきたいと思いますが、その点いかがですか。
  155. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいま御熱心な御意見を賜わったのですが、私どももしばしばただいま御指摘のような加害者不明、原因者不明、こういうことで非常な御苦労をなさっておる漁家の方々と接触をするわけであります。したがって、あくまでも加害者を追及していく。しかし、その間に何らかの救済措置を考えるために基金のようなものを設けたならばどうかという御意見でございました。実際に油の被害を受けておる方々のことを考えますると、これはもう私どもとしても当然検討すべきことではないかと、ただいまの御意見を承った次第でございます。よく検討させていただきたいと思います。
  156. 前川旦

    ○前川旦君 検討するとおっしゃいましたけれども、これはそういうことが望ましいということで前向きなかっこうで検討していただけるのか。私はいまの大臣の態度からそういうふうには感じましたけれども、ことばとしてはその感じが出ませんので、どうですか、ほんとうにとにかくしまいまで加害者を追及しなければいけないのだけれども、かりに裁判になっても、裁判が確定するまでずいぶん時間がかかりますね。それから、追及して、追及してもどうしても最後までわからないという場合があると思いますね。その場合は全く泣き寝入りです。それから裁判で追及するにしても何年とかかる間、それをささえるだけの経済力というものはありませんわ、実際の話が。そうなると、それまで立てかえるということになって、確定したときにはそこからあらためて基金へ取り返す、こういうことになると思うのですけれども、どうしても私はこれは前向きに考えていただかないと、これからますますこういうケースはふえるわけです。特に、赤潮の場合が私は実は問題になると思いますが、その点いかがですか。前向きに取り組むということなんでしょうか。
  157. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 実はいまの御意見で、私どもも現実に油の被害を受けて困っておられる方に直面する場合に、何かこれはしなければならない。たとえば、もう全般的にタンカーのようなものに必ず何か拠金をさせておいて、そしてそれに基づいてやるという場合、あるいは何か保険制度のようなものが考えられないかというようなことで、被害者は加害者が判明するまでの間、実際お困りだろう。幸い瀬戸内海の場合ですと、半分ぐらいまでは加害者の追及ができて、措置が講ぜられつつあるように見ておるのでございますが、しかし、それでは事が足りないということで、何かの施策の必要があるのではないかということについては私もほんとうに心から思っておるのであります。そこで、いまおっしゃった基金のようなものがいいのか、それとも油に関係のあるものには、もうこれ、あるいは国際的な問題にもなりますね。ですから、そういうものについては拠金をさせるような方法というものがあるんではないかとか、いろいろ被害を受けた方々のことを考えますると、基金以外の施策も考えられまするので、そこで何か救済措置の上に検討さしていただくと、こういうふうにお答えを申し上げたわけでございまするが、さらに加えて、赤潮の場合も念頭にあられるようでございまするが、現実にいろいろと被害を受けている場合の対策というものはもっと十分なものが必要である、こういうことでいろいろ前向きに検討さしていただきたい、このように思います。
  158. 前川旦

    ○前川旦君 ただ、問題になりますのは、保険とか、何らかの救済策ということで、その原資を企業から拠出さした場合には、それで済むと、免責ということで、金を出しているからもうこれでいいじゃないかということで逃げてしまう可能性があるわけです。ですから、非常にデリケートな運営に実はなると思いますね。特に、私は去年の赤潮で、天災融資法もやむを得ずああいうことになりましたけれども、赤潮はあくまでも天災だということで、原因者、加害者が免責だというような大きな顔に結果としてやっぱりなったような気がするんです。ですから、非常にこれはデリケートな問題でありますので、その辺ひとつ考慮されて適切な手を私は打っていただきたい、このように実は思います。  それから長官にお尋ねしますが、赤潮の問題でありますが、ことしの瀬戸内海の赤潮は去年より早いんです。ことしの冬すでに赤潮が発生しています。それから回数は昨年に比べて三割多いんです、発生回数が。それから二十日から一カ月発生が早い。それから海の汚染は去年よりはるかに進んでいる、濁りが進んでいます。これは私の県の調べでもそういう結果が出ています。それからもう一つ、非常に心配なのは、徳島ですでに三月に赤潮の被害が出ました。それからことしの瀬戸内海の漁獲は、シーズンであったイカ、タイ、サワラ、カレイ、全部昨年に比べて漁獲量が落ちています。それから汚染に強いはずのイカナゴ、それからボラまで減っています。ボラは春から四割ぐらい死んだ。ます網で四割死んだ。初めてだということで非常なショックを実は受けています。おそらくいまのままでいくと去年と同じような、あるいはそれ以上の赤潮被害が発生するだろうということは、もういまから予想されるんです。非常にこれは胸を痛めているところなんです。ことし、去年と同じような赤潮が発生した場合、一体どうしますか、どういう対策をいまから立てられますか。赤潮が発生するであろうということがもう予想されるんですよ。どういうふうな対策をいまお持ちですか。どういうふうにして今後被害が起きた場合には対処されますか。どのようにいま考えておられますか。
  159. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ことしに入りましてから、すでに赤潮と思わしき原因によりましていろいろな現象が起こっていることにつきましては、私たちもこの春先から報告を受けておる次第でございます。この赤潮につきましては、つまり何とかしてその原因の究明とその防除対策の検討ということで全力をあげて研究部門に検討させておりますが、いまだこれについて的確な研究は出ていないのでありまして、またその赤潮のほんとうの原因となるべきものは海水の汚濁が原因でありますけれども、それが一時に、一ぺんにこれによって海がきれいになるということも、いまの現時点においては実際問題として解決方法としてはむずかしいのではなかろうかと、こう思っております。こういう中で、赤潮がまた大発生するかもわからないという時点に差し迫っているわけでありますが、われわれといたしましては、先ほど大臣が御説明になりましたように、この油公害、あるいは赤潮公害、そのほかPCB公害、こういうふうな公害対策について何らかの新しい施策が必要であるということについては、われわれといたしましては十分に認識しておりますが、この当委員会におきまして、もう四十八年度予算の通過の直後の現在の時点におきまして、こういう施策を持っているということはまだ申し上げにくいのでありますが、われわれといたしましては、一日も早く対案を用意いたしまして、またいずれ御相談を申し上げる日のために準備をいたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  160. 前川旦

    ○前川旦君 もう赤潮の発生することはいまから完全に予想されますのでね、もう必然ですよ。ですから、これはいま現在ここで言えないのかもしれないけれども、策を持たなければだめですよ、もういまね。策を持って待ちかまえて、こういうときにはこういうふうにやるのだというふうに、いまからちゃんと策を立てていないとたいへんなことになると思います。これはなお私らもこれから水産庁長官、この問題でまたたびたび水産庁におじゃまをいたすことになろうと思いますけれども、どうかひとつそういう策をしっかり全知能をしぼっていまのうちから考えておいていただきたいと、こう思います。  私がきょうずっと通して申し上げましたことは、沿岸漁業というものをもっと重視するように転換してもらいたい。沿岸漁業を守ることの内容は、公害との対決の姿勢である、それから漁場を守ることである、それから栽培漁業をとにかく何とか守っていくということ。そのほかいろいろありますけれども、要するに、零細漁民とそれから沿岸漁業を守るように発想の転換をしてもらいたいということを、これが私の質問のテーマです。強く大臣にも要望申し上げまして、質問を終わります。
  161. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  162. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。
  163. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) たいへん失礼いたしました。  前川委員のきょう終始一貫しての沿岸漁業の振興に関連をしてのそのために必要な公害対策、あるいは栽培漁業のり方についての真摯な御意見は、私も十分拝聴をいたした次第でございまして、われわれの施策の上に反映もいたしたいし、また、不十分なる点につきましては十分反省をいたしまして、特に公害関係の諸対策につきましては、環境庁と十分に密接に連絡をとりまして遺憾なきを期したいと思いまするし、また、従来の対策の中で水産庁関係の発言の場が、非常にことばが悪いのでございますが、低いような感じを受けました。これにつきましては、今回の公有地埋め立ての法改正の場合のように、今後われわれも十分心に置きまして、これからの法改正等の場合には、本日の御意見を踏まえての公害に対してのわれわれ水産庁関係の発言も十分今後でき得るように進めてまいりたいと、このように存ずる次第でございます。
  164. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 たいへんお疲れだろうと思います。私の質問をすることに各省の方々がせっかく集まっておられるので、たいへん申しわけなく思っておるんですが、予定が私の考えた予定とだいぶ狂いまして、これは当然こうあっていいと思うんでありまするが、集まっていただいた御答弁をしていただく方々に対してはたいへん申しわけなく思っております。私も多岐にわたって質問をする関係上非常に時間を要するわけなんでございますが、きょうは本委員会では基本的なことだけ伺って、そして次回の十五日の日にあらためてひとつ委員長私質問させてもらいたいと思う。  それで、きょうの午前、午後と熱心な同輩諸君の質問にこたえてまた熱心な答弁がございましたけれども、その中で、水産庁長官あるいは大臣の答弁をいまさらこうだああだということを申し上げたくないんでありますけれども、大臣もいまお認めのように、今日の沿岸漁業を壊滅さしていった埋め立て事業を、日本列島海域全般にわたって埋め立てをして、今日なおかつ基幹産業等、あるいは港湾関係、建設、運輸、商工の面にわたって、われわれのたん白資源がいいように痛めつけられてきているということ、この現実はきょうの論議の中でも明らかだと私は思うわけであります。そういう点をもう一回自覚をしていただきまして、水産庁設置法一部改正法の改正後における考え方というものをもっと明確に本委員会ではしていかなければならないというふうにも思うわけでありますし、また、水産庁の組織改正についての今後の大きな課題だということから論議をしていかなければならない大事な問題だと思います。  大体、農林省の予算の中で、水産庁の占める予算というものがふえたふえたといいますけれども、大体幾らでございますか。いまの午前中から午後にわたっての公害と対決しなければならない、公害によって今日の水産が痛めつけられている、そしてこの関係でも保全課を設けて対処しなければならないという時点にまで追い込まれてきたということ。そういうふうなことを考えていきましても、じゃ一体水産庁はどれだけの公害対策に対する予算を計上しているか、全漁連の方々が苦労なさって、私はこれは昨年もこの問題を取り上げました。日本海域全体に及ぼしている、まだ一部調査未了であるといいながらも百五十億をこえております。私どもが調査しましたものは二百五十億を超過しております。それは昨年長官も、私が質問をしまして十二分にやりとりをして御存じだと思います。そういう面から考えていきまして、じゃ今回の組織改正について予算をどれだけ公害対策に対して編成をして、それに対処しようかという態度が非常に私としてはいかぬと思うんです。先ほど長官も公害対策については立ちおくれている、姿勢を新たにしてそして進みたいということをおっしゃっていることばのうらはらの裏づけというものを、これがはっきりしていかなければならないんじゃないかと思いますが、実はこの全漁連の方々がこれまた非常に苦労なさってつくったものがございます。これは農林大臣も水産庁長官も御存じだと思いますが、こういうものをごらんになりましたですか。「公害によって悪化した浅海域漁場の復旧対策事業費試算(基本構想案)について」という、これは四十六年の十一月に全漁連の方々が、いまの日本の漁業をどうしていくか、沿岸漁業をどうしていくか、それにはこういうふうなこれだけの金がかかってくるんだという、全海域にわたって明確に将来の方向づけというものがなされているわけです。これについて私は十五日に詳細にわたってまた質問をいたしますけれども、ただいま申し上げました予算面について、どんなふうにお考えになって今日臨んでおられるか、今後に対策をどうされていかれようとしておるのか、この点をきょうは伺っておきたい。これは長官と農林大臣に伺っておきたいと思います。
  165. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘のありました水産庁の予算でございますが、一般会計におきまして、前年度が六百五十三億六千七百六十九万一千円というのが、四十八年度におきましては八百五十二億八千七百十七万八千円ということになっているのでございまして、そのうち、四十八年度のうち公共事業が六百十四億七千二百八十九万九千円で、非公共の一般分が二百三十八億一千四百二十七万九千円、こういうふうになっております。そのほか特別会計の漁船保険あるいは中小漁業融資保証保険、それから水産関係の金融というものが予算になっている次第でございまして、一般会計の全体の合計といたしましては、約一三〇・五%の対前年比の比率になっております。そのうち、問題の公共につきましては、この漁場の環境保全対策の強化ということで、全体として、四十八年度予算といたしましては四億八千四百万円ということに相なっている次第でございます。
  166. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 予算の面につきましては、ただいま長官より御説明を申し上げさした次第でありますが、この予算の面からいたしますると、いかにも現在問題になっている水産業、沿岸漁業に対する公害対策が水産庁の予算面では不十分である感じを与えます。前にも国会において問題になったのでございまするが、この公害関係につきましては、申し上げるまでもなく環境庁が専管の役所でございまして、そこが中心で各種の施策を行なうことはいまさら言うまでもないことでございまするし、また、きょう主としてお話になっているこの沿岸漁業関係から申しますると、何といってもそれぞれの地域のきめこまかな実情に即した施策というものの必要がありまするから、したがって、地方自治体におまかせをしている面が非常に多いということは御了解いただけるものと思うのであります。  したがって、この沿岸漁業の振興あるいは公害との関係、漁場の環境保全というようなことになりました場合に、私どもの行政指導の上のいろんな考え方などがこれが非常に大事な点である。きょうこうやって御論議を願っているところから、中央、地方を通じて認識を新たにしてもらう、また、私どもが心がまえを新たにしていくその指導の方向というものがきわめて大事なのではないか。そして、それらの考えが反映されて、環境庁においてあるいは地方自治体において理解も持ち、認識も深めていただいて目的を果たしていくと、こういうふうに私としては見ておるのであります。もとより水産庁自体におけるわれわれが直接になさなければならない漁場の環境保全の上の予算措置とか施策とかいうものは、もちろん考えていくのでございまして、そのためには、午前中以来沿岸漁業の振興のためには漁港整備等の基盤整備だとか構造改善事業とかいろいろと申し上げてまいったようなわけでございまするが、以上のような一応の私どもの心がまえを御理解をいただきたいと思います。
  167. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その大臣のお話の趣旨は私も理解できないわけではございません。たとえば、またこういうことも言えると思うんでございますが、公有水面の埋め立ては公有水面埋立法というのをいま審議を衆議院のほうでしているから、今度はそれによって、この一部分はくちばしがいれられるようになるから、将来は水産庁としても言い分が今度は環境庁を通してやっていくことができるからというような先ほどのお話等も長官は言っておられました。この公有水面埋立法につきましても、建設省の方もおいででございますけれども、これは行政か立法かということになりますと、これはわれわれも一応考えなけりゃならない大事なことでありますけれども、いまその改定をして、かたかなからひらがなに直そうとしている。そしてその内容も今日の現段階の情勢に合わしていこうとされているような内容を盛られているということも聞いてはおりますけれども、大体この私の手元にある建設六法の四十八年度版でございますが、建設省の方、おいででございますね、いないかな伊藤水政課長さん。——これはひらがなとかたかなとごちゃごちゃになっていますね。どういうわけですか、これ。ひらがなをお書きになるときには、当然かたかなはひらがなとがぶつかっていっているんだから、これはたいへんなことだというふうにまあお気づきになるのがあたりまえだと思いますし、私もこの立法の面からいくと、これは恥ずかしくなるわけですが、これはどこが悪いのか、こういうようなことが政府・自民党のやってきたことが云々されてくるのじゃなかろうかとも思うわけなんですがね。どうなんでしょう、これ。これは私もがっかりしちゃったんですが、農林大臣どんなふうにお考えになりますか。
  168. 伊藤晴朗

    説明員(伊藤晴朗君) お答え申し上げます。  公有水面埋立法は大正十年に制定されました法律でございまして、御指摘のとおりかたかな法でございます。ただいま先生のほうから、かたかなとひらがながごっちゃまぜになっておるんではないかというお話のようでありますが、法律の本文はすべてかたかなでございまして、小六法の上では、たとえば見出しをつけますとか、それからその後改正法の附則等におきましてまとまった分としてひらがなもございますけれども、法律本文はすべてかたかなでございます。
  169. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そういうことを言うからうるさくなってくるんだよ。本文がかたかなだから見出しがひらがなでございますという、そういう論法はぼくは言わないほうがいいんじゃないでしょうか。これはちょっと問題だと思うんですよ。こういうところから私はこの日本の水産行政というものも、さっき長官もおっしゃっておられました、公有水面埋め立てにはもうやられっぱなしでございましたということをおっしゃっておられました。公有水面の埋め立てのことについてはやられっぱなしであったということを、議事録をごらんになればわかると思いますが、そのようにおっしゃられました。そういうふうなこと自体も、じゃ公有水面埋立法というものがどうなっているのかということを、まず水産行政を守る、魚を、沿岸漁業を守っていくための立場としてどうしていかなきゃならないのかというようなことは当然考えていかなきゃならないと私は思うんですがね。どうなんでしょうか、長官
  170. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 戦後こういう公有水面の埋め立てが始まった機会が非常に多いと思うわけでございますが、やはりそのときには、ある部分については埋め立てと申しますか、やはり干拓地の造成、いわゆる国土を少しでもふやしていかなければならないという立場等もございまして、しかもそのときはまだ規模が非常に小さな形でいろいろと埋め立てが行なわれましたので、水産業に携わる水産庁といたしまして、それほど重大な悪影響を及ぼしてくるとはあまり考えずに水産庁としてはおったんではなかろうかと、こう思うのでございます。ところが、この五年ほど来の日本経済大型化の中で、非常に急激に、公有水面が非常に大規模な埋め立てが行なわれると、一県内の影響のみならず、私たちが最近聞かされる話はむしろ他県に影響を及ぼすような、しかも一県のみならず、瀬戸内海のような隣接する県が多いところでは数県にまたがる影響力の出てくるような埋め立てが始まるというようになりまして、ここで急速にこの公有水面埋め立ての問題の影響力が大きく論議されるようになったんではなかろうかと、こういうふうに思いますし、また水産庁としても、これはたいへんだというふうに、そういう反省といいますか、そういう判断になってきたのもほんのつい二、三年来のことではなかったかと思います。  したがいまして、これは各省庁の間で、行政府があまり他省の法律内容に至りまして発言をする機会というものは従来ほとんどなかったのでありまして、これは政府各省間の一つの行政官としての姿勢であったわけでありますが、こういう公有水面の埋め立てのように非常に問題の多い法律、しかも黙っておりますとさらに悪影響が大いに出てくるというふうな問題につきましては、水産庁といたしまして、今回建設省あるいは運輸省のほうでたまたま公有水面埋立法の一部改正をされるというお話があったのを機会に、相当私たちといたしましては無理な御注文を申し上げまして、まあいろいろと法律技術論としまして、法制局でいろいろと議論をしたようないきさつが実はございます。しかし、環境庁という一つの立法府といいますか行政府が、そういったものの窓口といいますか、環境保全についてはやはり環境庁という立場がおありだという立場がありましたので、われわれといたしまして、直接的に運輸省なりまあ建設省案のように異議申し立てをするという法律上の条項というものは御遠慮申し上げることにいたしましたかわりに、環境庁を通じて、大規模な埋め立てが行なわれ、これが水産業に非常に大きな影響力を与えるかもしれないと思われる場合の部分につきましては、当然に環境庁からいろいろ御意見をいただく、あるいは情報をいただくということで、われわれとしましては、今回の法律改正につきましては何らかの形で関与できるという道が開けたことで、この際法律論としては政府の意見統一に従ったと、こういうふうに御理解願いたいので、従来は確かに、この埋め立てにつきましてはほとんど水産庁としては、まあどういう表現をしたらいいのかわかりませんが、知らなかったと、そしてあとになってから、そんなことになっておったのかというふうなのが実際ではなかったかと、こう思いますが、これからはそんな大規模な埋め立てが行なわれる限りにおきまして、やはりわれわれはわれわれなりに漁業の立場から意見を申し上げざるを得ないんではなかろうかと、こういうように思っている次第でございます。
  171. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 あなたの、水産庁長官のおっしゃるとおりだと思うのです。また、そのお話の中に、五年以来ということになりますけれども、そうじゃなくてもっと早い時期です。日本の高度経済成長の出発点がいつかということから考えていかれて、ずっと年代を繰っていってみればわかると思うのです。また、お話の中で、そういう埋め立てがどうも進められていっている中で、そういう話し合っていく機会がないようだったとかというようなふうに私は聞いたわけですが、これは大臣、閣議をなさいますね、そのときには農林省の農林大臣という立場で、そんなふうに埋め立てをやられたらたまらないよということは、もう十年以上になっているはずでございますがね、この埋め立てがどんどん進められてきているという歴史的な面から見ていって、歴代の大臣の中でも、当然閣議でこんなような話がなされて、そのたん白質の資源をどう守ったらいいかということは当然私は話があってしかるべきだと思うのですが、どうなんでしょうか。過去の面から今日の閣議におけるその様相というものをひとつ大臣から私参考に伺っておきたいと思います。
  172. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ちょっと公式的に一言申し述べさしていただきたい。  これは決して私が恣意で言うのでないのでございますが、閣議の発言というものは自由に行なうと。したがって、閣議の発言内容というものはこれは他にしゃべらないという一応のたてまえがあるわけであります。しかし、新聞等においてもいろいろと閣議後に報道されるのでございまするから、そういうしゃくし定木のことはしゃくし定木のこととして、まあ本来いうと、ちょっとそれはお答えしにくいと言うべきでございまするが、そういうわけにもまいりません。ただいま申し上げるような趣旨はどこにあるかと。それは閣僚がそれぞれ自由に国策の上について発言をすると。その一つ一つの発言が、だれがどう言ったというようなことで、そこに問題が起きてはならないと。それは他面、自由に率直に言うということであろうと思うのであります。  そういうことで、過去における閣議でこの水産庁関係の問題があったかなかったかということについては、つまびらかにいたしませんが、しかし、少なくとも公害立法が行なわれてすでにもう三年余になると思うのであります。そうすると、その必要性が強調されてからということになりますれば、さらに一両年はさかのぼって考えられまするから、この一連の公害立法の必要性が起きてきたゆえんのものの背景の中には、当然漁業等に対する甚大な被害があり、あるいは予想されるということから立法が行なわれてきたものと思うのでありますから、したがって閣議の席上においても、きょうお取り上げの問題について相当以前にすでに論議、協議が行なわれ、その結果が各省まちまちということよりも、専管の環境庁をつくるという結論に至ったと思うのであります。したがって私は、きょうも環境庁のことをしばしば口にいたしまするが、いわゆるなわ張り根性的で、行政上でおれのほうの管轄であると、こう言っておることがしばしば行政面において支障を来たそたり、問題を進めなかったということもございまするから、やはり大所高所からそれぞれの省にとらわれないところの環境行政というものが行なわれることが私はこれは好もしいと思うのであります。しかし、その陰に隠れて水産庁の実態というものが十分伝わらずに、水産庁では十分つかみ得るような環境保全の問題が、もし専管する環境庁のほうがつかまないというようなことであってはいけないのでありますから、そういう面で、より以上環境行政を進めていく上においてのわれわれ水産庁の発言というものを大いにいたしたいと、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
  173. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まあ、これはもうこれ以上申し上げてもしようがありませんので、姿勢としては大臣のおっしゃることもわかります。  それから環境庁長官も水俣病の現地視察に行っておられて御苦労しておられるようでありますし、私は長官に出席をしていただいて私の質問をしたいと思ったわけなんでございますが、それなんかはやはり三木長官が外務大臣をやっておられるときに、私が昭和四十一年から四十二年、三年と領海問題を取り上げたときに、私は十二海里説をもう国際海洋法の問題等で当然考えていかなきゃいけないじゃないかというふうに予算委員会で質問をしていた。ところが、当時の外務大臣は三木外務大臣でございまして、この問題についても私はおいでになるものだとばっかり思っておりましたのですが、おいでになりませんので、今日の時点は、先ほど長官がおっしゃっておられるように、沿岸から沖合い、沖合いから遠洋というふうに、この沿岸漁業というものが、わが国は三海里で線を引いて、領海内三海里という線を引いて、そして外に向かっての漁業を行なっていけばいいのだという、それが基本姿勢であるかどうかわかりませんけれども、私はそのように思えるわけです。この基本的な考え方というものが、早くいえばいまから八年前ですか、約八年前ですね。そのときに、国際海洋法会議におけるその会議の内容についても当然打って出ていくべきだったと思う。それを絶対にしないというまで答弁をされておるわけです。そうして今日ではどうかというと、先ほどの長官答弁の中にございました——この話、しますとまた長くなってしまうのですけれども、あれは五月三日だったかな——それは十五日の日にまたやりますけれども、いずれにいたしましても、世界各国が領海の線を幅広く持ってきているようなことを、今度は遠洋から締め出しをされるような形になってきた。これに対して今度は日本側の考え方というものはやはり出さなければならないという時代にきている、そういうふうにもおっしゃられたように思うわけですけれども、こういう基本的な考え方等についても、私はこれらが沿岸漁業に大きな影響力を与えて今日きているのじゃないか、このように思うわけなんですがね、どうなんですか。
  174. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘になりましたように、多少言いわけめくような話でございますが、日本側といたしましては、これは当時の三木外務大臣がおっしゃったことでございますが、常に公海自由の原則というものを踏まえながら、また領海三海里説というような、非常に強い姿勢として日本としてはとっておったことも事実でございまして、また、現在の時点におきます一つの日本政府の領海の学説は三海里ということでこれは固定いたしておりまして、日ソ間の問題の紛争の一つにも領海の三海里か十二海里かということが一つの大きな問題になっている点でございます。しかし、いつまでもまた三海里説だけを固執するということも、時代の流れといいますか、まあ少し水産庁長官としては言い過ぎかもわかりませんが、歴史の流れというものはやはりそう簡単に一国だけで断固固執しておっても問題は片づかない、外交関係一つのコンセンサスの上に立ってやはり話し合いをしなければ時代の流れからはずれてしまうというようなこともありまして、最近の外務省を中心に各省間の話し合いの中で、必ずしも三海里説にこだわるものじゃないと。しかし、世界の大勢というものを十分踏まえながら新しい領海学説、世界じゅうの了解を得られるならば甘木としても十二海里の学説をとらないわけでもないという立場で、現在姿勢を議論している最中でございまして、これらにつきましては、いずれ今後の国際会議の中で日本側の姿勢というものは逐次明確にせざるを得なくなっていくんではないかと、こういうふうに私自身思っている次第でございます。で、これらに伴いまして、当然にこの領海の幅が世界の一部の国が言うように二百海里という学説もまた多くの発展途上国の間ではございまして、この先進国グループと発展途上国との周にこの二百海里の話をどうやってじょうずに今後理論的に整理していくかということもまた国際会議の上ではたいへんな大きな問題として、これは日本側だけでなくて、他国の先進国もこの問題の処理にはたいへん困っておられるんではなかろうかというふうに理解している次第でございます。また、これと反面、国内におきましても、いろいろ外国とのそういった領海の問題と当面する反面、国内的にこの沿岸の漁業水産庁といたしましてやはり今後振興していかなきゃならないと、単なる漁民対策のみならず、やっぱり国民たん白資源の一環として高級な国民の好む魚を大いに培養していかなきゃならぬという立場もありまして、その辺のバランスといいますか、かね合いをとりながら行政の策を進めてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  175. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 午前中もありましたね、三陸沖にまで船を持ってこられて、ソ連の船が来てイワシなんかを吸い上げていくとか、あるいは白糠の沖合いにソ連船が来て吸い上げて持っていくとかいうようなこともいま言外におありになったと思うし、長官説明の中にですね。では、これがもういまの時点ではなくて、私が取り上げましたその時点にはもうこうなること、今日の時代がくるということは、あのときすでにもう四百海里をきめているところがあった、二百海里をきめたというところもあったわけなんです。ですから私は、いまこのまま放任しておったらこの領海問題で苦しむようになるよ、それこそ了解に苦しむようになるよということを私は言っていたわけなんです。今日の時点になって見たら、国際情勢の趨勢によってそうせざるを得なくなるような形になってきたというような御答弁でありますけれども、ことしの三月の五日から国連本部で、先ほどお話がありました国連拡大海底平和利用委員会が開かれて、そして明年の国連海洋法会議でこの問題が討議されてくるということは先ほど御答弁の中にもありましたけれども、ちょうどいま日本は世界からも非常に締め出しを食って、日本が孤立感を深めているということは、これはそうさせなければだめなんだというようにもある面では報じられているわけです。こういうふうなことを考えていきましても、私は、なぜ私どもの予算委員会とか、あるいはこういう本委員会等で発言をしていることが真摯な気持ちで取り上げられていかないのか、取り上げられていかないんじゃないか。ですから、先ほども前川委員鶴園委員ももう真剣になってこうあるべきじゃないかということを訴えておられるのは、いま私がこの領海問題を取り上げたことについても、真剣に対処されなかったということに腹立たしい私は気持ちを持っているから申し上げているわけなんです。  したがいまして、外務省の方がせっかくお見えになっておりますので、杉原審議官さんですか、いま私の申し上げましたことをどんなふうにとらえられて、これからのお考え、そういうものをしておられるか。外務大臣がほんとうはここにおいでくだされば一番いいわけでなんです。責任者がこういうふうにやるんだということの答弁が私は望ましいわけなんです。どうか大臣にかわってひとつ御発言を願いたいと思います。
  176. 杉原真一

    説明員(杉原真一君) いま御指摘になりましたように、現在の世界の大勢と申しますか、沿岸国、特に開発途上国が非常に幅の広い海にわたって権利あるいは管轄権を主張しているということは事実でございます。わが国が海に対して持っております利益、大きく分けても船舶の航行、あるいは漁業あるいは海底の資源等々、わが国は世界の中でも一番大きく海に依存していると申しますか、一番大きな海洋国家の一つであるといえると思うのでございますが、そういう意味から、従来の国際法でございました狭い領海と広い公海、これを最も広くあるいは強く利用してまいった国といえると思います。そのような国の数が、これが先ほど申しました特に後進開発途上国の数に比べてきわめて少ない。後進国といたしましては、従来の伝統の国際法というものは、これは一握りの先進国が海を独占的に利用するためにつくった法であるというふうな基本的な考え方、あるいは、われわれとは全く違った発想の上に立って彼らの新しい海洋法の作成を叫んでおるわけでございます。そうした状況の中で、日本が持っております海運、漁業その他の重大な国益をいかにして守っていくかということは、今後われわれ日本政府関係省庁、すべてが一丸となって長い目でかつ大局的な立場からしかるべき対策を打ち出して、これを外に向かって、また内に向かって説明し、説得して、初めてきわめて数の多い開発途上国の強い主張に対抗できる立場をつくることができるのじゃないかと思っております。決して容易なことでないことは、すでに過去二年間行なってまいりました準備会議の結果から見ても明らかでございます。数においては断然わがほうが少ないことは明らかでございます。これをどういう理由をもって、どういう理屈をつけて、あるいはどういう説明をして後進国も一応納得がいくような新しい海に関する国際法をつくるかという点、きわめてむずかしいのでございますが、今後とも各種のあらゆる方法を通じてその目的達成のために努力していきたいと考えておる次第でございます。
  177. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まことにわかったみたいな、わからないような話なんですが、私はこういうふうに理解しているんですが、私、間違っているかどうかわかりませんけれども、この国際海洋法というものをつくられるときに日本が相当積極的にやったというふうに聞いております。いよいよ批准をしていく段になりますと、日本がそれに加盟していなかったというようなことも聞いているわけなんです。それはどうなんですか。
  178. 杉原真一

    説明員(杉原真一君) 第一回、第二回の海洋法会議、その当時の問題点と申しますのは、やはり領海の幅員の問題であったのでございますが、現在のように十二海里をはるかにこえた非常に幅の広い海面に向かって管轄権を主張するという国はそれほどなかったわけでございます。結局幅員の幅をきめることには成功しなかったのでございますが、その一九六〇年当時の領海幅員の主張を振り返ってみますと、三海里を主張していたものが四十ばかり、それから十二海里を主張していたものが十四、それから二百海里を主張していた、これは南米の一部の国でございますが、六カ国。そして投票の結果、絶局最終的に残った領海の幅員の案と申しますのが、領海六海里プラス漁業専管水域六海里、合わせて十二海里という説なんでございます。これが五十四票対二十八票、三分の二の多数決でございますから、それでは成立しなかったわけでございます。ですから、問題は三海里であるか、あるいは六海里であるか、あるいはそれにプラス漁業専管水域六海里を加えた十二海里という点で争いが行なわれたわけなんでございます。ところが一九六〇年代、この条約、第二回海洋法会議が終わったあとの十年余りの間で、非常にたくさんの国が十二海里以上の領海あるいは漁業専管水域の主張を行なう、そのために、申せば領海の制度が混乱状態におちいったという状況になって、初めてそれでは領海の幅員をきめる会合を開こうじゃないか、時すでに十二海里程度で話は済まない情勢になっておったわけでございます。そういうわけで、現在、数で申し上げてみますと、すでに十二海里またはそれ以下のものを主張しておる国、合わせて八十八カ国、と申しますと、そのうちの四十九カ国はすでに十二海里の領海を定めております。  それから、これは実は現在の世界の国々は、領海一本でいっている国と、そうじゃなくて、領海の外にさらに広範な漁業管轄権を主張しているという国があるわけでございますが、その行き方でまいりますと、領海または一方的に設定された漁業水域を十二海里として定めている国が五十九カ国、それ以上のものを定めている国が二十八カ国、そしてこれらの中には一九六〇年代以後に独立した、特にアフリカを中心とした四十カ国ばかりの国がございまして、この国々にとってみますと、沿岸の外にある漁業、魚族というもの、あるいは海底資源というものは自分たちのものである。しかし、現在自分たちはそれをとる技術も力も持っていない。しかし、ほうっておくと先進国にとられてしまう。そういう意味で、とれないけれども、とにかく広い幅の海域を自分のものであると確保しておきたい、そういう主張を持っておりますので、そういう主張をバックにした、先ほど私が申し上げました二百海里が多数説でございますが、二百海里を主張する多数の国があると申し上げたわけでございます。ですから、一九五八年あるいは六〇年のころ、日本政府が一生懸命になって海洋法をつくろうとした、そのときは確かに三海里、六海里の程度で話を片づけたいと思ったわけなんでございますが、残念ながら不成功だった。そのために現在はとてもその程度では済まないような、非常に広い沿岸国の管轄権を認めざるを得ないような情勢になっていると申し上げて、お答えにかえたいと思います。
  179. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 歴史的なことも私は承知しているんです。いつの時代からどれだけふえているということは知っているわけなんです。アメリカでもソ連でも十二海里の説を、これ、いつの時点でやっているかということを、それらを勘案して、承知の上で私は伺っているわけなんです。ですから、非常に立ちおくれているものの考え方、これは言っていいか悪いかわかりませんけれども、俗には海賊を締め出せというまでいわれているというようなことも私は聞いているわけです。日本の漁業界は海賊みたいだ、表へ出ていってみんなとってくるんだ、そういうところを早く締め出していけみたいなことも、俗なことばで聞かされていることがあるわけなんですね。だから、そんなようなこと等を考え合わしてみて、今度のあれですか、先ほど私申し上げました国連の拡大海底平和利用委員会が開かれた三月の五日ですか、これが日本を含む九十一カ国の構成で行なわれたということであります。これの委員会の焦点というのはコロンビア、メキシコですね、ベネズエラ、中南米三カ国が領海十二海里までとするが、領海に隣接する二百海里の水域を先祖伝来の海と名づけて、その生物及び非生物資源に対して沿岸国が主権を行使するというような条約文を提出して、前からいわれておりました十二海里説ですね、そして二百海里までの水域に沿岸国管轄権を及ぼしていかなければならないと発展途上国が言っているわけです。これは先ほど申し上げましたように、いままでの先進国でもう日本が一番立ちおくれている。韓国との条約も専管水域十二海里を認めている。領海も認めている。日本がなぜ三海里を固持しなければならないのかというようなことも、私は前に相当言ったわけなんです。その当時の問題は、私は予算委員会で取り上げたときには、非常に日本の零細漁船が方々で痛めつけられているわけです。拿捕されたり、また演習やるために立ちのけといって、せっかく二昼夜もかかって漁場についたと思ったとたんに追い返されたというような問題等一ぱいあったわけです。  それで、そのときに領海問題を取り上げまして、その当時のこれは椎名外務大臣、それから三木外務大臣、領海三海里というものをさらに広げるということは、これは漁業のために日本の基本的立場というものを変えるということはいろいろこれは簡単でない問題があるわけですという答弁があり、そうして、さらにずっと答弁がありますけれども、これごらんいただけばよくわかる。四十三年の四月の五日、この前にも四十一年の予算委員会でもやっておりますし、また農水でも私はこの問題を再三にわたって取り上げているわけです。いずれにしましても、今回の来年度行なわれます国際海洋会議に臨みます態度というものを明確にしていかなければいけないんじゃないか。その明確にしていくかいかないかという答弁をしていただけばけっこうなんですが、どうなんですか。
  180. 杉原真一

    説明員(杉原真一君) もちろん何が日本の利益に最も合致する方法であるかという点については、きわめて慎重にわれわれも検討いたしておるわけなんでございます。ただ、日本が海にかけている利益というものは、漁業だけではないということを先ほど申し上げたのでございますが、たとえば海洋汚染という問題一つ取り上げてみましても、日本は被害国であると同時に加害国でもある。それから漁業の問題にいたしましても、遠洋漁業国として狭い領海を希望すると同時に、沿岸漁業も持っております。そういう意味では必ずしも狭い領海が日本の利益にそのまま合致するとも言えないわけでございます。また、海洋法の中にかなり大きなウエートを占めております問題で、海峡問題があるわけなんでございます。海峡問題につきましては、わがほうは海峡を利用する側であると同時に、わが国自身も国際航行に利用される多くの重要な海峡を持っておるわけでございます。それから大陸だなの問題につきましても、石油資源、深海底のマンガンの塊瘤の問題その他、これまた必ずしも従来の領海あるいは公海の区別だけで律することができない複雑な問題をはらんでおります。これらを全部ひっくるめまして、何に、一体日本としてはどういう順番で、プライオリティーと申しますか、重要度をつけていくか、そして全体としてどういう戦術を持って各国と交渉していけばいいかというふうな問題について、現在各省の方々の参加も得て慎重に検討している段階でございます。
  181. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 押し問答するだけですから……。やはり責任ある大臣の方に出席を願って、私はこれは論議をしなきゃならないと思うんで、たいへん申しわけない限りでございますけれども、そんなような気持ちでございます。  それからいまお話がございました海洋汚染の問題、これももう日本はたいへんな立場に置かれております。大陸だなの問題は、これは特に国際海洋法の問題点の中に残されている問題としては、大陸だな問題というのはこれは大きな問題になっております。これらを含めまして、また次の日に質問もし、いろいろお考え方を、日本政府としての考え方というものをただしていかなければいけないんじゃないかというふうにも思っております。  せっかく矢野通産政務次官がお見えくださっていて、たいへん長い時間お待ちくださいまして恐縮でございます。通産大臣に私来ていただきたいということを要請しましたのですが、御都合で政務次官がおいでくださいまして、長い時間お待たせしましてたいへん恐縮ですが、一言だけ。私の通産関係の質問、相当長いわけなんです。ですから、基本のことだけ一つ伺って、きょうの私の質問をやめて次回に延ばしたいと思います。ひとつ委員長、御了承願いたいと思います。
  182. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  183. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。
  184. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、これは運輸省のほうにも関係は非常に深いわけなんですけれども、通産省のほうで鉄鋼業とか、石油産業だとか、あるいは製紙産業だとかいうものをどんどんつくっていかれますけれども、たとえば鉄鋼業でいえば、廃棄物をどう処理していくんだという、その出ていく廃棄物をどう処理していくんだという考えを持って初め生産したかということなんです。今日の時点は、そんなことを考えないで何でもかんでもつくり上げたがゆえに、いろんな公害問題が波及をしているということが、簡単にいえばそういうことなんです。これは数字をあげて次回はゆっくりとやりたいと思っているのですが、これは数字をあげてやる以上は、これはたいへんですよ、答弁のほうでも。  それからさらに運輸省のほうの関係に入ってきます。それで、きょうせっかく海上保安庁の方もお見えになっておられるんで、何の質問もしないんですけれども、これ、まことに恐縮なんですが、非常に御苦労なさっているのは海上保安庁の方なわけです。油を流された、それ飛んで行く、波は荒い、散っちゃった。どんなふうにしてその油を集中さして、つかんで取り上げるか。たいへんな苦労をなさっている。その貴重な報告も私いただきました、資料として。これも詳細に説明をしていただきまして、一つ一つ、これは建設省にも関係ありますし、外務省のほうにもまた海洋汚染の問題もございますし、通産省等、問題をかかえているわけです。したがって、まことに恐縮なんでございますけれども、海上保安庁の方々には質問をきょうは差し許していただいて、いま申し上げました政務次官がおいでくださっておられますので、私の質問いたしましたこと、そのことにお答えを願いたいと思うわけでございます。
  185. 矢野登

    政府委員(矢野登君) お答えを申し上げます。  御質問が鉄鋼業による廃棄物の処理というような問題をどうしているかというようなことでございますが、わが国が、国民の福祉向上というような問題の目標が二十数年にわたって経済成長によって大体ささえられてきたというようなこと、これはいなめない問題だと思うのでございますが、したがいまして、目標は経済成長一本に進んできた。あらゆる場合に指摘されておる問題だと思うのでございます。今後こうした問題を反省して、鉄鋼はもちろん、石油の問題、その他の問題について、生産に伴う事後の処理という問題、こういうことを中心にして考えていかなければいけないのではないか、こういうように考えておるわけでございます。  したがいまして、今後の産業政策を進めるにあたっては、まず国民福祉の充実、ここに最重点を置いて、少なくも公害問題を抜本的に解決するためには、あらゆる規制の措置を加え、さらに産業構造の知識集約化といいますか、公害防止の最高の対策を考えていかなければいけない、こういうふうに考えております。石油の低硫黄化対策というような問題も、鉄鋼の廃棄物とあわせて真剣に取り組まなければならない問題だと思っておりますが、特に窒素酸化物による環境基準が新たに設定されました。硫黄酸化物にかかわる環境基準について、その改定が近日中に行なわれることになっております。こういう点で今後の鉄鋼、石油、こうした問題の基本が、生産に合わせてその事後処理をいかに持っていくかということに重点を置いて進むべきである、こういうように考えております。
  186. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私の質問した要旨は、その処理のことを考えて、そして生産に入ったのかということなんです。処理のことはそっちのけにしておいて、生産だけを考えた、やった結果が今日の公害をもたらしているんじゃないかという端的な質問だったわけです。ですから、そういろインゴットならインゴットを——鉄鋼を生産していろんなものをつくっている。インゴットが出てくる。そのインゴットをどう処分をするんだということを考えた上で鉄鋼生産に入ったのかどうか。その処理の問題を考えないで、結果のことを考えないで、原因をつくったんですから当然結果は出てくるわけです。ですから、その原因をつくったら結果は必ず出てくる。その結果に対するものを、じゃわかっていれば、またその結果に対する原因というものをつくっていきながらやってこなかったということが今日の大きな弊害を来たしているんじゃないかという、私は因果関係のことをはっきり言っているわけなんですよね。
  187. 青木慎三

    政府委員(青木慎三君) ただいま先生御指摘の問題でございますが、そもそも鉄鋼の生産をやりますときに、その結果起こります産業廃棄物について十分考慮しておったかという御質問だと思いますが、私どもとしましては、必ずしも全然考えてなかったわけではないのでございますが、従来から生産がだんだんふえていくに従いまして、廃棄物もだんだん大きくなってまいりまして、もう一つは、従来は単に埋め立てをすることがこれほど大きな被害を及ぼすということは予想をしていなかった点につきましては、われわれ十分反省しなければならぬと思っております。ただ、今後、こういう事態が出てきておりますので、たとえば鉄鋼の生産に伴います鉱滓につきましても、単に埋め立てだけですべてが解決するわけではないんで、これをいかにして有効利用するかという点について、現在いろいろな施策を通じて検討しておるところでございます。有効利用につきましても、近年、従来単に埋めたものよりも有効利用に使っていくほうの数里をだんだん多くしてまいりまして、それも第二次公害を起こさないような形で処理していくというふうに鋭意努力しているところでございます。したがいまして、過去の場合の配慮が十分でなかったという点については十分反省しておりますが、今後につきましては、なるべく有効に使って、第二次公害その他のものを起こさないような方向で十分研究活動も助成してまいりますし、行政指導もしてまいって、極力こういう公害を少なくしていくように努力してまいりたいというふうに考えております。
  188. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 どうも悪いくせで、どろぼうをつかまえてなわをなうことばかりやって、問題が起きて法律を練り直してみたりするようなことが今日ずうっと続けられてきておるわけです。こういうふうなことがあってはならないんだということで、私どもはこういうふうな意見があるんだけれども、こういう意見を用いて、それを勘案しながらやったらどうだということをしばしば委員会で各委員も訴えておりますし、私もそうしているわけなんですが、委員会の発言というものを今後はより重視していくような姿勢でなければ、決して行政も立法も両立して発展をし、また国民を守っていくということにならないと思うのです。  いずれにしましても、きょうの予定の時間がきておりますので、この次の日に私はこまかく数字をあげてゆっくりと質問をさしていただきたいと思いますので、委員長、よろしくお願いします。
  189. 高田浩運

    委員長高田浩運君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  190. 高田浩運

    委員長高田浩運君) 速記を起こして。  本案に対する本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会      —————・—————