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参考人(松浦隼雄君) 結論的に申しますと、つくります。
五十一年までに、
先生御指摘の
数字で十数万というようなことでございましたけれども、これは地形的にまとまった地区を基礎にしてつくった
数字でございます。これをさらに細分化すると数がふえてきたという状況でございますが、実態といたしまして現在約二十万世帯というふうに想定されますけれども、これは非常に分散された世帯
——現在電波の届いていない地域に五軒六軒というふうに分散されておる世帯に対する施策というものは、五十一年になっても残るであろうというふうに想定されます。
それ以外の地区については、万難を排して解消するように施策を進めてまいる所存でございますけれども、従来ございます置局という手段、中継局という手段並びに共聴という手段、この両方の手段の有効性というものが率直に申しまして漸次低下しております。従来は、一つの置局をすれば五百世帯とか、少なくとも三百世帯とかというものの難視が解消いたしましたけれども、現在その数はきわめて少なくなっております。一つの中継局を設置することによって解消される世帯数というものが漸次減少しつつございます。同時に、共聴についても同じような
事情がございます。一方世帯あたりの単価というものは漸次漸増してまいります。そうすると、
NHKが第七条のあまねく全国に受信できるよう
放送するという基本目的を達成するために、いわゆる採算を度外視して進めるという点については従来どおりでございますが打つ手の効果というものが漸次少なくなってくるという
事情も率直に申し上げてございます。
そういう点から、受信アンテナの
改善ということで、感度のいい、ゴーストを受けつけないようなものの開発とか、あるいはいわゆる無線共聴ということで、より微力な無線局を開発することによって効果をよりあげようという
努力はいたしておりますけれども、たとえば後者におきましてはこれは幾ら微小であっても電波法上は
放送局であるということになりますと、大きな局と同じような一つのいろいろな手続、あるいは民放さんと
NHKとの
関係というような周波数の割り当ての問題が起こってまいりまして、ものの理屈からいえばこれで解消できるところも現実にはなかなか適用できないという
事情も出てまいります。そうすると、おそらく五十一年までは従来の中継局あるいは共聴という手段がやはりメインの解消手段になるんではなかろうかと思っております。
こういう点で、従来ももちろん精神はそうでございましたけれども、ややともすればいま
会長が申し上げましたような形式あるいは
基準にのっとってものをやるということがございましたけれども、今後は、従来にも増して受信者の立場から受信者の要望があるところに対しては万難を排して施策をするということに、本年度、より積極的に切りかえて、五十一年、少なくとも五十一年までに
かなり、先ほど申し上げた二十数万を除いて解消していきたいというふうに考えておりますがこういう
努力をしておりますと同時に、都市並びに都市の周辺の宅地造成等によってまた難視の数がふえてまいります。こういうようなことをいろいろ考えますと、従来四十六年末までに九八%のカバレージを得るために
NHKが投資いたしました総額が四百三十億でございますけれども、これに相当する額を残りの数%に投入いたしてもそれだけの効果があげ得ないという
事情も予測されます。
その点から、これも万能薬ではございませんけれども、一つの難視救済の手段として
放送衛星を早期に実現したいということを提唱申し上げたわけです。で、現在、宇宙開発計画というものは国が行なうという方針になっておりますので、これは直ちに
NHKだけの問題として扱うことができませんし、また技術的にいかに高い周波数を使っても、これは全国
放送には役に立つけれどもローカル・カバーということについてはまた別のむずかしい問題が出てくるとか、いろいろ単純な万能薬ではございませんけれども、難視解消策の将来ということを長期に見たときに、私どもとしてはやはりここに
かなり抜本的な新しい方策というものを考えていかないと、単にケーブルというようなことだけでこれをやっていこうとすれば、たとえば東京都内において四十万のものをケーブルによって解消しようとしても、現在一世帯
最低見積もっても五万円かかるとすればこれで二百億かかるということになります。先ほど申し上げましたように、私どもが二千数百万に及ぶ世帯をカバーするのに投資いたしました額が四日何十億であるということとの対比におきまして、やはり私どもとしてはさらに抜本的な策というものをできるだけ早期に、少なくとも数年のうちに確立しなければならないというふうに考えておる次第でございます。