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鈴木強君 総理もこういう制度の新設については理解をしておるし、賛成をしておるようですから、それだけにひとつこれは
郵政大臣の言われるような御所信を貫徹していただきませんと、総理
大臣に対する不信にもなると思いますよ。ですから、どうかひとついまの
大臣の御所信を貫徹するようにがんばってもらいたいと思います。
それから、これは突然のことなんでちょっと私も戸惑ったんですが、実は、
自民党の小澤太郎さんが
通信部会長をやられているようですけれども、二十日の同部会に、老人、母子家庭、身体障害者が行なう
郵便貯金の金利を優遇することを目的とした福祉
郵便貯金制度というものを設けたいという私案を
提出されたということを聞きました。それで、これについては
郵政省事務当局にこの案を検討させた上、できれば実施をしたいという
お話のようです。ねらうところは、現在の欠陥の多い福祉政策の穴埋めにしようというようなお考えのようです。
私は、特に老人の方々がふえております
日本の
現状で、それに対して老人福祉の面がなかなかうまくいっていない、これも事実ですし、母子家庭や身体障害者の方々が、母子福祉法や身体障害者福祉法というものがありましても、その恩恵に十分浴せない、これは事実だと思うのですね。ですけれども、その福祉行政の欠陥を補うために、穴埋めをするためにこういう制度をつくるということについては、いささか基本的には
方向を取り違えているのじゃないかという気がするのです。ですから、そういう点が欠けていることはわれわれも認めるわけですから、その面に対する福祉行政というものを拡充強化していただくというのが原則だと思いますね。しかし、それがこういうふうに
政府がやるんだけれども、いま直ちにできないから、その間、こういう措置でやるということであれば、これまた
一つのやり方だと思います。だけれども、そういう老人福祉なりあるいは母子家庭の福祉なり身体障害者の福祉というものの基本政策というものが、一体、今後どうなるのかという
自由民主党としての、田中内閣としての政治姿勢というものがはっきりしなければ、穴埋めをするんだといったって、どこまでその穴埋めをするのかという疑問が残るわけです。
現に、いま、
郵便お年玉はがきの場合でも、極端に言ったら、あの金が確かにいろんな
意味において効果を果たしていることは事実ですけれども、あの
郵便を扱う
郵政省の職員の側から見ると、何かしっくりそぐわないものがある、だからああいう制度をやめてくれというような
意見すら出ている時期でございますから、そういう
意味において私は慎重をとらざるを得ないのです。
まあ、しかし、これは
一つの私案でございますから、いまここで私が論ずることも早いと思いますけれども、若干心配な点があるものですから、私の
意見を申し上げておるのでありまして、もしおやりになるとすれば、基本的なそういう福祉政策というものを明らかにしていただいて、そうしてそれを補完する
意味において、当面、こういう措置をとるのだというような形に整理をしていただきませんと、なかなかわれわれとしては受け入れがたいということをちょっと申し上げておきたいと思います。
それから次に、
郵便遅配の問題ですけれども、どうでございましょうかね、われわれは
郵便料金を値上げするときにも、どうも
郵便というものがなかなか昔のように確実に到着をしない、これに対して非常な
国民の不満があるものですから、その点を何とか改善をしていただきたいということを強くお願いをし、
郵政省のほうでも非常な努力をしていただいて、例の標準送達所要日数というのですか、ああいうものまでつくっていただいたわけでして、それが
国民に示されて、ああよかったわい、まあ大体その線に近く
郵便がくると、こう思っておりましたら、また最近おくれまして、私
たちも山梨県からとっている地方の
新聞というのは大体一日おくれできているのでございますけれども、三日もおくれたり、場合によったら四日ぐらいおくれてきたりしまして、もう
新聞の値打ちがなくなるのですね。
新聞はそれでも
東京の
新聞がありますから、
ふるさとのニュースに接するのが若干おくれてもがまんできるとしても、急病人ができたとか、あるいは就職とかなんとか、いろいろ人間の基本にかかわるような問題がやっぱり
郵便によって生きているわけですから、そういうことを思うにつけましても、われわれがかっておった
郵政省当時のことを思うにつけましても、どうしてこういうふうに最近
郵便事業というものがうまくいかないのだろうか。
聞くところによると、
郵便料金もまた上げなければならないような
状況にきているように私は思います。持ち越し現金を使ってやっとことしは収支ペイをしているような
郵政会計の
現状を見るにつけましても、こういうことも一面にはある。しかし、いま国鉄運賃が
国民の前に批判をされているのはやはりそこにあると思うのですね、一方においてサービスダウンをどんどん平気でやって、駅を無人にしたり、あるいはノンストップにしたり、これが
国民の鉄道かというふうに不満を持っている。おまけに一方ではたいへん物価が上がってまいりますから、どこへ行って聞いたって国鉄運賃を上げてくれなんというのはいませんよ。ぼくらの顔を見ると、どうぞひとつこれをつぶしてくれと、こう言われるのですね。
郵便料金についてはそこまではいっておりません。しかし、そういうこともいままでの
審議の過程からすれば出てくると思います。そういうときに、前回もわれわれが
審議した際に、
郵便の安全、確実、低廉、要するに公共性というものと採算性というものをどういうふうにマッチしてこの事業をやっていくか、これはたいへん苦心の要るところでございます。それだけに
郵政に携わる全職員が姿勢を正し、ほんとうに事業のとうとさを身に受けて、
国民の
郵便を安全、確実に届けてやるという
精神にどうして徹しられないのか、どっかに私は大きな欠陥があるように思うのですね。あるいは
一つには、労働組合との労使
関係の問題にあるのかもしれません、あるいはまた、ほかに大きな欠陥があるのかもしれません。
毎日毎日われわれ、トイレへ行けば賃金カットとか、マル生中止せよとか、そういった
新聞記事を見るにつけましても、何とも恥じ入らざるを得ない、ほんとうに肩身の狭い思いをする。われわれはかつての従業員であり、いまOBとして事業をながめるときに、ほんとうに残念しごくです。これはもう
大臣以下大いに努力をされていることもわかりますし、いろんな歴代
大臣もわれわれが見ておっても気の毒なくらいに苦しみ、悩み、いろんな努力をされてきていることはよく知っております。しかしそれが
大臣がかわればまたもとに戻る。また新しい
大臣が同じ苦労をしてまたあとへ問題を残していく、こういうことがここ十数年続いてきておる。どこかでこれを基本的に改革し、
方向転換しなければ、
郵政事業は
国民から見捨てられてしまうような気がするのであります。
大臣として、私は一生懸命やっておられることはよく知っております。歴代
大臣に負けない努力をしておることも知っておりますけれども、あえて私がきょうここでこういう問題を出すのは、もう忍ぶにたえないということで、私はまたこの問題を取り上げたわけであります。
大臣として、このような
状況が出ております原因が一体どこにあるのか、そうしてその原因を除去するためにどういうような御苦労をされておるのか、われわれもまたお手伝いのできることがあればしたいという気持ちを持っておりますけれども、その辺、最初に御所信を承りたいと思います。