○
参考人(
前田義徳君) もし先生に、そのような御印象を与えたとすれば、まことに遺憾だと思いますが、実際上は、私
どもの方針は、御
指摘のとおりでありまして、このためには、私は二つの原則を立てております。
それは組織制度としてもこの問題を考えなければならない。それから第二は、実際番組の制作、先ほどから御
指摘のありました番組制作費をふやしていくということ、そしてそれとの関連でローカル独特の番組をつくってもらうということだと思うのです。この点につきましては、
当年度の
予算を御
審議いただく際にも、また明
年度予算の、ただいま御
審議中の
予算の方針の中にも、この点ははっきりさせているつもりでございます。
まず組織制度から申しますと、地方に権限を与えるという考え方でございます。これは、実は
昭和三十六年から権限の再分配と申しますか、根本的な原則の改定をいたしまして、従来ですと、官庁的に、下にいくに従って権限が委譲されるという形でございますが、私
どものほうは十二年前から固有の権限ということを中心にして中央と地方の
関係をはっきりさせております。ことに四十七
年度中には、御承知のように、いわゆる中央局というものと、その他県庁所在地、いわゆる地方の中心となる局との
関係というものを新しい形にいたしております。従来ですと、何となく官庁的に中央局が下の局を監督するというような空気が長い歴史の中で固定化している
感じを持ちましたので、そうでなくて、むしろ支援すべき立場にあるというような
意味で、御承知のように、中央局という名称はすでに廃止しております。
それから人事の
関係におきましても、聴視者あるいは地域社会と直接の責任を持つ者は地方
局長でございますから、地方
局長の処遇と、それからこれは一応組織ですから、いろいろな階級もあるわけですが、これを最高に引き上げていく、こういう方向を実施中でございます。したがいまして、地方
局長であっても、従来の考え方からいえば、中央
局長あるいは本部
局長と同じ、いわゆる特別職というものがどんどんふえてきているわけであります。
このようにして、聴視者という
関係から考えますと、東京が聴視者を全部相手にしている、あるいは
関係があるというのではなくして、地方の
局長が私と同じ立場に立って、その地域社会と密着し、いかなる判断をも即時に下し得る権限を与える、これが個有の権限であるという考え方であります。これは四十八
年度の
予算を御
承認いただきますと、私
どもとしては、明
年度はいわゆる中央機能を、中心機能を放送センターに集めるという
意味で、この点については、特に留意しなければならないという考え方で、さらに東京においてもいま申し上げたような考え方を実行してまいりたい。東京の各部局においても、これを実行するという考え方を持っております。これがただいま先生の御
質問の点と関連して、第一に私
どもが考えておる番組の問題との関連で、基本的に必要な問題であるというように考えておるわけでございます。
それから今
年度も同じ柱を立てておりますが、いわゆる波の性格による番組の質の向上ということをいっております。先ほど来、教育番組の問題について御
質問いただいて、私も傾聴しておりましたが、要するに従来、
テレビジョンで申しますと、総合
テレビジョンと教育
テレビジョンの間に相重複するような性格を持った番組がか
なりございました。これは本
年度の
予算を御
承認の際に申し上げたように、そういう重複はすべて一掃するという
意味で、か
なりの番組が教育
テレビジョンから総合
テレビジョンに移っております。これによって番組の制作費の使い方も同時にそういう
意味での合理化をしておるわけでございまして、教育番組について単価が安いという考え方は私
どもは持っておりません。と同様に、明
年度におきましても、これは番組のスケジュール等をごらんいただきますとはっきりすると思うのでございますが、すでに今
年度からただいま申し上げた原則に従って
テレビジョン等におきましても各地方局の制作を奨励いたしております。これが地域社会でか
なりの共感を呼んでいただきまして、その優秀なものを逆に全中に乗せるという方向できております。明
年度はさらにこれを推進させるという考え方でございます。たとえば沖繩等におきましても、沖繩の郷土芸能あるいは芸術その他を維持していくために、ないしはこれを発展させるために沖繩の郷土芸能の特別の時間を毎週か
なり長時間にわたってとっております。したがいましてその時間はいわゆる東京から出す
全国放送のワクから出ていくという処置までとっておりまして、御
指摘の点については十分配慮してまいりたい。さらに先生の御印象のような事実がありとすれば、私
どもとしてはその点についても特別の配慮と申しますか、施策をしてまいりたいというように考えております。