○国務
大臣(江崎真澄君) ただいま議題となりました
地方公務員災害補償法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由とその概要を御説明申し上げます。
最近における通勤による災害の発生状況及び通勤と公務との密接な関連性等にかんがみ、
職員が受けた通勤による災害に対し、公務上の災害の場合に準じた補償及び福祉
施設を行なうとともに、その他の所要の改正を行なおうとするものであります。
このことに関しては、政府は、すでに、通勤による災害をこうむった労働者及びその遺族に対し業務災害の場合に準じた保険給付等を行なうため、労働者災害補償保険法の一部を改正する
法律案を今国会に提出し、また、国家
公務員の通勤による災害につきましても、
人事院から、通勤による災害に対し公務上の災害におけると同程度の保護を行なうよう意見の申し出があり、これを受けて、国家
公務員災害補償法の一部を改正する
法律案を提出し、御審議を願うこととしておりまするが、
地方公務員の通勤による災害につきましても、これらと同様の措置を講ずる必要があります。これが、この
法律案を提出した理由であります。
次に、この
法律案の概略を御説明申し上げます。
第一は、従来の公務上の災害に加えて、通勤による災害につきましても補償及び福祉
施設を行なうことができるように目的を改正することであります。
第二は、補償等の対象とする通勤の範囲でありまするが、通勤とは、
職員が、勤務のため、その者の住居と勤務場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいうものとしておりまするが、
職員がその往復の経路を逸脱したり、往復を中断した場合には、その逸脱または中断の間及びその後の往復は、この
法律案にいう通勤とはしないものとしております。ただし、その逸脱または中断が、日用品の購入など、日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により行なうための最小限度のものである場合には、その逸脱または中断の間を除き、その後の往復は、通勤として認めることとしております。
第三は、通勤による災害にかかわる補償及び福祉
施設についてでありまするが、これらの種類、支給事由及び内容については、公務上の災害にかかわるものに準ずるものとすることとしております。
第四は、費用の負担についてでありますが、通勤による災害にかかわる療養補償の支給を受ける
職員は、初回の療養に際し、二百円の範囲内で
自治省令で定める金額を基金に払い込むものとすることとしております。
第五は、他の法令による給付との調整についてでありますが、通勤による災害に対し、療養補償、休業補償または葬祭補償が行なわれる場合には、
地方公務員等共済組合法、健康保険法等によるこれらに相当する給付は行なわないものとし、年金たる補償が行なわれる場合において
地方公務員等共済組合法による年金たる給付が行なわれるときは、当該給付との調整を行なうものとする等、他の公的給付との間における必要な調整を行なうものとすることとしております。
第六は、非常勤の
地方公務員の取り扱いについてでありますが、非常勤の
地方公務員のうち、
法律により通勤による災害に対する補償の制度が定められていない者についても、条例で通勤による災害に対する補償の制度を定めなければならないものとすることとしております。
第七は、葬祭補償について、その額を
現実に葬祭に要する費用を考慮して政令で定めるものとするほか、所要の規定の整備を行なうこととしております。
なお、施行期日につきましては、通勤による災害に関する規定は、労働者災害補償保険法の一部を改正する
法律の施行の日から施行し、同日以後に発生した
事故に起因するものについて適用するものとし、その他の規定は、この
法律の公布の日から施行するものとすることとしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決賜わりまするようお願い申し上げます。
次に、ただいま同じく議題となりました
昭和四十二年度以後における
地方公務員等共済組合法の年金の額の
改定等に関する
法律等の一部を改正する
法律案について、その提案理由とその概要を御説明申し上げます。
政府は、恩給年額の増額をはかるため、恩給法等の一部を改正する
法律案を今国会に提出し、御審議を願ったのでありまするが、これに伴い、
地方公務員の退職年金制度についても、恩給法等の改正内容に準じて所要の措置を講ずるとともに、
地方団体関係団体職員共済組合が支給する年金の額を、
地方公務員共済組合が支給する年金の額の改定措置に準じて改定する必要があります。このほか、退職年金等の最低保障額の引き上げ、在職死亡にかかわる遺族年金の受給資格年限の短縮等の措置を講ずる必要があります。これがこの
法律案を提出した理由であります。
次にこの
法律案の概要を御説明申し上げます。
第一は、恩給制度の改正に伴う
地方公務員共済組合制度の改正に関する事項であります。
その一は、恩給年額の増額の措置に準じ、
地方公務員共済組合が支給する退職年金等の額について増額することとしております。すなわち、
昭和四十五年度以前の退職にかかわるものについては二三・四%、
昭和四十六年度の退職にかかわるものについては一〇・五%それぞれ増額し、
昭和四十八年十月分から支給することとしております。
その二は、長期実在職した七十歳以上の者が受ける退職年金、減額退職年金及び廃疾年金並びに七十歳以上の者及び七十歳未満の妻、子または孫が受ける遺族年金の額の算定の基礎となった給料について、四号給を限度として加算することとし、その年金額を増額することとしたほか、公務による廃疾年金及び遺族年金について、増加恩給の額の増額措置との均衡を考慮して、その最低保障額を引き上げることとしております。
その三は、これらの措置のほか、外国特殊機関
職員の通算要件の緩和、教育
公務員の勤続加給及び準文官期間の完全通算等の措置を講ずることとしております。
第二は、厚生年金保険制度の改正等に関連する
地方公務員共済組合制度の改正に関する事項であります。
その一は、在職中死亡した者にかかわる遺族年金の受給資格年限について、他の社会保険の取り扱いとの均衡を考慮して、十年から一年に短縮することとしております。
その二は、厚生年金保険の給付の取り扱いを考慮し、退職年金の最低保障額を三十万二千四百円に、遺族年金の最低保障額を二十三万五千二百円に、それぞれ引き上げることとしたほか、掛金及び給付の算定の基礎となる給料の最高限度額を二十二万円に引き上げることとしております。
その三は、公庫等に転出した者にかかわる公庫等
職員としての在職期間を組合員期間に通算する場合における通算の条件について緩和することとしております。
第三は、その他の制度の改正に関する事項であります。
その一は、
地方団体関係団体職員共済組合が支給する年金について、
地方公務員共済組合が支給する年金額の改定措置に準じて、その年金額を増額することとしております。
その二は、旧沖繩県町村吏員恩給組合及び旧樺太市町村吏員恩給組合の恩給条例の規定による退穏料等については、現在まで給付できなかったのでありまするが、他の旧町村吏員恩給組合の退穏料等の取り扱いに準じ、この退隠料等に相当する給付を
関係市町村
職員共済組合が支給することとし、そのための必要な措置を講ずることとしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決賜わりまするようお願い申し上げます。