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国務大臣(
愛知揆一君) まず、第一の中期
預金の問題でございますが、中期
預金という問題が世上の話になりましてからもう半年以上たちますが、それくらい実はこの問題が与える
影響が大きいと思いましたので、ずいぶんいろいろの点から慎重に検討を進めてまいりましたし、それから、まあ常識語で言えば、根回しと申しますか、各方面の協力というものも必要と思いまして、だんだん煮詰まってまいりまして、間もなく
一つの線が出し得るかと思いますが、やはりこれは
金融制度調査会にも御了解を得なければなりませんので、なるべくすみやかに結論を出したいと考えておりますし、来月は実行の運びに入りたいと、こういうふうに考えております。
その
考え方といたしましては、やはりいろいろの
意味で、一面におきましては、過剰
資金ということが
指摘される
状況でございますから、国民に貯蓄手段のバラエティーを持ってもらうことがいいのではないか。
それから、御
指摘がございましたように、これは大
金融機関だけに有利になるような
状況であってはいけませんから、その点も十分
配慮をする。それから、一般的に
預金の
金利というものも考えなければならない。これは貯蓄増強ということから申しましても、あるいはまた
金利が
相当高い、これは国際的な
情勢でございますから、貯蓄手段のバラエティーということから申しましても、
金利問題も含めていろいろの方策がなければならない。その一環として中期性の
預金というものを位置づけて考えることが妥当ではなかろうかと考えております。
それから、郵便貯金との関係は、これまたいろいろ問題ございますけれ
ども、郵政省との間もだんだん話が進んでまいりまして、さらに、私としては、郵政
大臣と近く十分相談をいたしまして、権衡をとりながら、双方ともに好ましい結論を出したいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
それから、その次は、
中小零細金融に対する
資金対策でございますが、これは先ほど
竹田委員にも詳しく御
説明いたしまして、ある点においては意見が食い違うわけでございますけれ
ども、やはり
政府としては、現行の制度のもとで一番適切にかつ実効性があるのは、
政府関係三
機関を活用することであると考えますので、今年四月から今月までに至る間におきましての三
機関の
融資ワク、これはほぼ
実績とお考えいただいてもけっこうですと申し上げたのですが、前年同期に比して五割四分以上の
資金を配当し、かつこれが使われている。こういうふうな
状況で、この
方向に重点を置きたいと考えております。そうして同時に、この
資金は、
信用金庫も含めまして、代理貸しを大いにお願いしているわけですから、間接ではございますが、
信用金庫等の活躍の余地がそこに期待できると、こういうふうに考えております。
繰り返して恐縮なんですが、
竹田委員の御
指摘もありました小原全信協会長が当
委員会で証言をされたこともごもっともでございますけれ
ども、これは現在の法制では、直接に財投
資金を投入することはできぬことになっておりますし、また、財投
資金については、先般、財投関係の法律制度を
政府としては改善いたしたい、国会の議決の対象にしたいということで、法律を制定していただいたわけでありますが、それに関連して、これらの積立金等含めまして、いろいろ今後の活用については積極的な建設的な御意見をいただいて、その方面にさらに傾斜する運用が必要だと思いますので、それとあわせて考える場合に、信金関係を法律改正までお願いをして、直接財投
資金を流すということは、今日の
段階においては私は適当でないということを率直にお答えしました。それはおまえの考えは間違いだということで、意見の分かれということに相なったわけでありますが、そういう次第であります。
それから、信用保証協会については、本年度予算におきましても、さらに一そうその活躍を充実するように
配慮いたしておるわけでございますが、やはり信用保証というものは、
中小零細企業に対しては
相当有効なものであると考えますので、さらに一段と充実をいたしたいと考えます。
それから、御承知のように、このすそ野に対してもっと広く担保などの問題をあわせて考えるべきである
——これはごもっともで、
政府といたしましても、今年度においては、御
案内のように、無担保無保証という制度も始めまして、これはまだ試みの
段階でございますが、今年度中のいよいよ七月からこれが実施されるわけでありますけれ
ども、その
状況等を見据えまして、この方式がよろしいか、あるいは別途のやり方がよろしいか、来年度におきましてはこれを伸ばすか、あるいはこの方式をもっと改善をして、もっと
効果があるような
方向にしたらいいか。これは初めての試みで、商工会議所あるいは商工会等の系統の御協力をいただきながら、
国民金融公庫が
窓口的に御協力することになっているわけで、いわゆる従来的な
金融というものの
ワクからははみ出している
考え方だと思いますが、これはほんとうに試みでございますから、本年度の成り行きを見ながら、さらに一段と改善
措置を講じてまいりたいと思います。
それから、
金利の問題でございますが、
公定歩合をどうするか。これも先ほど
竹田さんにお答えしたとおりでございまして、現在は、
政府といたしましても、オーバーキルの心配というものも一部には出てはおりますが、全体的には現在は、やはり民間設備、国民の全般的な消費、いろいろの
先行指標等から見ても、まだまだ過熱を
抑制しなければならない。総
需要抑制の
段階であると考えましたので、五月の末に
公定歩合の
引き上げと、
預金の準備率の
引き上げを同時に併用したわけです。こうして今後の
状況を
相当やはり短期的に見て、機動的な
政策運営をしていかなければならないと思いますが、同時に、
公定歩合というようなものは、前もって予告をしてきめるべきものではございませんから、ただいま何とも申し上げられませんけれ
ども、しかし、常に
経済情勢全般の
動きをより的確に掌握しながら、誤まりない
措置を講ずべきである。これは
公共事業の
繰り延べ等につきましても、さらに一そうきめこまかく
引き締めるべきものは
引き締めて、そして一面においては、国民の生活
環境、福祉
環境の是正というようなものについては引き延ばしをしないでやっていく。要するに、
財政においても、一種の
窓口指導というようなかっこうで、さらに真剣に取り組んでいきたい。こういうふうに考えております。
それから、倒産の問題でございますが、これは現在の私の見方といたしましては、これにも非常な
注意を払っておるわけでございますが、現在までのところは、
金融の
引き締めによって倒産に追い込まれたということはないと言えば言い過ぎかもしれませんが、まずないと申し上げてもいいんじゃないか。これは一件、一件の倒産の実態などを当たってみますと、ほかの
原因が、比重が非常に大きいわけでございますので、
金融引き締めによって現在倒産が起こりつつあるということはない、しかし、これは非常に警戒していかなきゃならぬところで、かりにも
引き締めによって倒産が起こるというようなことは絶対に避けていくべきものである。こう考えるわけでございまして、要するに、総
需要の
抑制はさらにきびしくやらなければならない
段階である。そしてそれは、なるべく短い期間に、同時に、その
ワクの中で、中小零細あるいはたとえば住宅関係というようなものについては、これは守っていかなければならない、こういう
態度でいま現におるわけでございますし、今後もこれを続けてまいりたい、こういうふうに考えております。