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川村清一君 ただいま
大蔵大臣からいろいろ御
答弁がございまして、
政府の考えていらっしゃることもわかったわけでございますが、この協定の第三条の3の規定によって新たに
参加することができるわけでございますから、ソ連とか中国とか、いわゆる
世界の大国であり、社会主義国を代表する国でございますから、こういう国が入らなければ、
ほんとうに
アフリカの社会的、経済的な開発を
目的とした基金の意義というものが薄れてくるわけでありますから、この点ひとつ
努力してもらいたいということを強く要望したいわけであります。
時間がございませんので、最後に私が意見を申し上げてお考えを聞きたいわけでございますが、先般の列国議会同盟の
会議でいろいろ議論されたわけでありますが、その中で、
世界の平和と
繁栄は何によってはかるか、これは、何といいましても、まず、
後進国の国民を第一に飢餓から解放すること、第二に疫病から解放すること、第三に文盲から解放すること、この三点を
解決することが、
世界の平和と
繁栄の最大の要件であるということに大体各国の意見は一致しておるわけでございます。
そこで、私が強く主張したいことは、いままでも二
国間協定でもってずいぶんお金が出されておるわけです。しかしながら、その金がどういうふうに使われておるかということなんであります。これはある
新聞に書かれておったことでございますが、
アフリカの今日の
干ばつ、餓死者を数百万も出すという、こういうおそるべき事実が生まれてきた、その背景には何があるか。これは
フランスをはじめとする
西欧諸国の新
植民地主義と、
アフリカの現地
政府の便乗した
政策によって進められた人為的なものである。こういうふうに論評をしておるわけであります。その内容は、開発優先主義であり、
日本のいわゆる高度経済成長、
GNP第一主義の小型版、これを
政策の柱としてやってきた、それを背景としてあらわれた事実である。こういっておるのであります。このような開発の結果、
地域格差が生まれ、都市は農村を犠牲にし、一部の特権階級がふえ、外国の会社及び現地の
協力者がただ肥えていっている。そのゆがんだ
繁栄の陰で、農民大衆は貧困になり、土地はやせ、農業生産が低下している、この
事態ができたんだと、こういっておるわけであります。
これを読んで私もつくづく思ったのでありますが、たとえば、アビジャンであるとか、ナイロビなどの都市に参りますと、よくまあ
アフリカにこんなりっぱな町ができたものだと感心するわけであります。そのようなりっぱな都市ができておるのです。しかし、その町の周辺に行って
現地人の
生活を見たり、その町から一歩農村地帯に足を踏み入れていくというと、
民衆の
生活はまさに貧困そのものであります。
象牙海岸国のアビジャンにある大統領の官邸は実に堂々たる豪壮なものであります。しかしながら、それから一歩農村地帯へ入っていきますと、
民衆の
生活、その
民衆はどういううちに住んでいらっしゃるか。もう
日本で言うと、鶏小屋か犬小屋みたいなところに住んでいる。これが
人間の
生活かと思われるような
生活をしておられる。これが
アフリカの
実態なんです。したがって、こういう面に金がかけられて、融資した金がただ単にこういうものに使われておる、いわゆる
プロジェクトに向けて流されていくわけでありますが、それによって会社がもうかるとか、現地には
日本の商社がたくさん行っていますが、大商社がそれで腹を肥やすとかいうようなことに使われるならば、これは何にもならない。いま、
最初に申し上げましたように、まず
民衆を飢餓から救うこと、ですから、農業開発が要る。もし水の問題が
解決するならば、
アフリカはあれだけの広い土地を持つ。農業は非常にこれは発展しまして、
食糧危機から解放されると思うわけであります。疫病から解放する。この点は
外務大臣のお耳に入れておきたいんですが、私は、外交官というものは実にはなやかなものだと思っておったんです。ところが、
アフリカへ行って、
日本大使館へ行って
日本大使館につとめておられる職員を見たときに、考えてごらんなさい、毎日あれを飲んでるんですよ、マラリアの予防薬を毎日飲んでおる。朝口をすすぐときに、忘れないように薬をそこに置いて飲む。私たちも
日本を出てからあそこを去るまで毎日薬を飲んでおった。一年以上も飲んでおったら頭がぼけてくるというじゃないですか。ああいうところで勤務しておる在外公館の職員に対して十分考えてやってほしいことと、そういうような
地域の住民をどう疫病から解放するか、そういう面にお金が十分使われてしかるべきだと思いますし、
モロッコは千四百万の人口のうち千二百万が文盲だというんです。私も昔、教育の仕事をやったものですから、一緒に行った劔木
先生は元の文部大臣でございますから、同じ車に乗って、どこに学校があるんだ、どこに学校があるんだと行って見ましたが、行く先々どこへ行ったって学校なんか
一つもない。これが
実態である。
その基金はけっこう。そうして、その基金の金がそういう方面に十分使われまして、
ほんとうに
アフリカの
民衆が幸せになれるように、もっともっと
日本政府は力を入れてほしいということを強く申し上げて、
政府の御見解を承って、私の
質問は終わりたいと思います。