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国務大臣(
愛知揆一君) 一番私は基本的に
考えますのは、ことしの三月から変動為替相場制に移行したと、これは本来は——そうしてその後の
状況はごらんのとおりでございまして、一昨年から昨年の
上半期まで起こったような、外国為替特別会計を通じて異常な資金のフローが国内に起こった、その額は六兆円余りと言われておりますが、こういうことはもうなくなりました。そしてむしろ、外為会計は引き揚げ超過になってきている。そして国庫と
民間の収支
関係で見ましても、八月までぐらいには、三兆円をオーバーするような資金不足の
状況が想定されておるわけです。そこへもってきて、公定歩合の
引き上げ等、
預金準備率の第三次
引き上げまでやったわけでございますから、これはもうほとんど現時点における
金融政策としては、私はぎりぎりのところまでいっている。この効果は、日本経済全体の
規模が非常に大きくなっておることと、それから、今日の特徴としては、
民間設備投資がまだ依然としてきわめて強調であると、そうして消費もうんと
伸びていると、こういうことでございますのと、加えて若干のタイムラグは従来よりかかるなと思いますけれ
ども、この
金融政策の効果というものは
相当に出てくる。むしろ、率直に申せば、住宅ローンの
お話も強く出ておるわけでありますけれ
ども、下期以降がどういうふうな
状況になるかということは、常にやはり
政府としても先見性を持って
配慮していかなければならないと思います。したがいまして、現在の
状況からして、
金融政策だけにあまり大きなロードをかけるということは、これもいかがかと思うような
感じもいたします。
それから、たとえば
竹田さんが——おいでにならなくなりましたが、
公共事業費の問題にしても、感覚的に
繰り延べろ、
繰り延べろという
お話もあるけれ
ども、実はこれは大企業だけでなくって、関連する下請等の数量、その扱う
事業量というものは膨大なものでございますから、私は、先ほどるる御説明したように、全体の
固定資本の
形成の
比率から、ウェートから申しましても、現下の
財政の引き締めは、これまた
相当のところまで行っている。しかし、やはり世論や
国会の御議論にこたえまして、さらに一そうきめこまかくこれも引き締めをいたします。そうして、情勢を見つつ、やはり緩急よろしきを得るような、常に
政策当局としては
考えていかなければなるまい、こういうふうに思っているわけでございます。
そこで、私の
立場から申せば、ほかの省に期待するところも多いわけですが、総合的なやはり
物価対策というものがもっともっと前進し、効果をあげていただきたい。
たとえば、
生鮮食料品について、先ほど端的に申し上げましたが、これは
予算の使い方をうまくやっていただいて、少なくとも東京や大阪の
生鮮食料品だけでも、目に見えた効果があがるようにしていただきたいと思います。
それから、輸入
関係で申しますと、不幸にして海外の
物価高が、これまたものすごいもんでございますから、本来変動相場制移行に伴って起こるべき輸入
価格の下落というものが相殺された点が
相当ございますから、思ったほどの効果はありませんけれ
ども、そして
物価の指数などにはあらわれるまでにはいっておりませんけれ
ども、たとえば、万年筆でありますとか、若干の機械類等については値下がりが見え始めてまいりました、具体的に。そういったような点も、今後とも輸入
価格が、それでも若干下がっているのでありますから、これが
消費者に還元するような努力をさらに続けていく。あるいはまた、地価対策もようやく緒についてきているわけでございまして、まだ指標には見当たりませんけれ
ども、若干のよい傾向も出てきつつあるやに想像されるわけです。
それから、もう
一つは、今年初頭あるいは昨年十二月以来、証券市場が非常な暴騰といいますか、活況を呈しておりまして、これも心配の点でございましたけれ
ども、これは御承知のように最近では証券市場のダウでごらんになりましても、ある
程度正常の形になってきつつある。こういったような
状況をいましばらく
政府としても忍耐強く冷静に、現在までとってきましたいろいろの方策の効果のあがるところを十分見きわめてまいりたい。こういうふうに
考えておる次第でございます。