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国務大臣(
愛知揆一君)
物価問題はもう
政府としても非常に深い憂慮と懸念を持っておる次第でございまして、先般来一々御承知のところでございますから詳しくは申し上げませんけれ
ども、
大蔵省関係だけで申しましても、累次にわたる金融の引き締め、これは
相当この
段階としては、
政府としても大きな決心をして断行いたしましたし、また
予算についても、先ほ
どもいろいろと御批判もいただきましたけれ
ども、
年度を通じて適正にこれが支出をいたしたいということで、たとえば、セメントとか、木材とかの需要が直接
政府や地方公共団体、あるいは
政府関係機関などの需要に急激にまたこれがあらわれてくることを防ぎますために、都会周辺その他の需要に対しては、これを抑制して、
年度の後半を意識してそちらのほうに支出を予定するというようなことをやっておるわけでございます。
まあ、
投機抑制その他についての問題は、直接には所管も違いますけれ
ども、全力をあげて対処しておりますことは御承知のとおりでございます。
そこで、本日も企画庁から発表されたかと思うのでありますけれ
ども、今月に入りましてから、特に、消費者
物価の面におきだしては、若干の新しい傾向が出てまいりました。たとえば、前月比で下落した品目が四十九品目、それから前年同月比で下落しております品目が六十四品目、これは四十八年の三月の
東京における消費者
物価の中で、前月比あるいは前年同月比で下落しているものをあげてみますとこういうことがございます。その中には、生鮮魚介類、野菜、それからとうふ、油あげというような、直接家庭
生活に欠くべからざる主食、これに関連するようなものもございまして、今後とも、あらゆる施策を講じてこういう傾向が一般的にわたってまいりますように、全力をあげてまいりたい。
なお、これもしばしば申し上げておるわけでございますけれ
ども、四十八
年度予算は、いま始まったばかりでございますが、
物価対策としてはよく迂遠のように言われますけれ
ども、低生産の生鮮食料品の関係、それの合理的な生産の安定と価格の安定、それから、流通の改善、そしてさらに、未端の小売り業者に対する助成というような点については、これから歳出
予算も支出がされてくるわけでございますし、
物価閣僚会議などにおきましても、こうした
予算執行の経過、結果あるいは中間的な報告をとりながら、さらに、こういう措置が適切な効果をあげるようにやっていきたいと、こう考えておるわけでございます。
それから、卸売り
物価の関係について考えてみますと、これは海外の影響といいますか、もう世界をあげてのいま
物価高の
状況でございますから、輸入の価格というものが、必ずしも
日本側の措置だけでは十分な
対策が打てないかもしれませんけれ
ども、最近の
東京為替市場が落ちついているというようなことにも関連して、輸出が漸次弱含みになってくる。これに反して輸入の伸びは非常に大きくなってきておりますから、こういう点が多少の時間の経過はかかりますけれ
ども、かなりな効果をあげてくると期待をいたしておるわけであります。
一方、異常とも思われますような、
投機的な問題については、証券市場をごらんいただきましても、
現状のような
状況で、一時のような非常な暴騰ぶりというものは、ずっと下がって、きのうあたりは最近にない低落ぶりでもございますし、こうした証券市場の先見性というようなことから見ましても、
相当新しい動きが出てきた、これにひとつ、この
状況の上に踏まえて、これからの施策が十分成果をあげるようになれば、これはけっこうなことである、こういうふうに考えて一そうの努力をいたしたいと思っております。