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国務大臣(
愛知揆一君) 結論的に申しますと、
土地に対しての総合
計画というものと、それが実施できるような法制の
整備、これが
前提でなければならない。むしろざっくばらんに申せば、
税制というものは補完する作用である、私はそう考えます。それから、
税制のみならず、これは
大蔵省の仕事から申しますと、金融政策というものも相当有効な手法であると思います。そういったものが総合的に効果を発揮しなければならないのであって、ことに国土総合開発法に基づいて総合的な
土地対策が決定されて、そうして利用規制というものががっちり行なわれるということを
前提にして
税制が活用されておるということであろうかと思います。
それから
税制につきましては、かねがね当
委員会でもすでにいろいろと御論議があったところでありますが、一口に言えば、
法人の
譲渡益については、われわれとしては相当思い切った、
土地に対する
譲渡益については二〇%の
税率、それからこれは欠損
法人に対してもかかる。したがって、通常の
法人である場合には、七〇%に及ぶような高率の
課税である。それから、
土地保有税についても、いろいろの
考え方がありまして、
税制調査会でいろいろの議論がありましたことは、議論の経過も公表されておるところでございますから御承知のとおりでありますが、たとえば、
法人の
譲渡益についての
課税については、私よく申しますけれども一番ひとつ徹底した
考え方というのは、たとえば、もう完全に
土地というものが分離して、そうしてそれに対して七〇%ぐらいの
税率を掛けたらどうかというのが、一番徹底したお考えであろうと思います。それから二〇%でも高い、欠損
法人に大体税をかけるということはおかしい、これがまた極端な
考え方と思いますが、ちょうどその間をとったようなかっこうになって二〇%、そうして
譲渡益についてはその
税率を掛ける、欠損
法人にもかかるというのがまず妥当なところではないかと思います。
それから、保有税のほうは、よく御
指摘を受けるのは
税率が安いということでありますけれども、一面、未利用税というようなものもだいぶこれは常識的に主張される向きもあったわけで、ずいぶん論議もいたしましたけれども、たとえば、未利用税ということになると、何が未利用であるのか、あるいは未利用でおいておくことのほうがむしろ
土地政策として適切だという場合もあって、それに逆行するようなことになる。結局、できるだけ大幅に網をかけて、四十四年一月以来の取得については網をかけて、そうして、持って管理するについては金利も要るだろう、管理費用も要るだろう、そういう点からいって、持っていてもばかばかしいというような結果をもたらすことが適当である。そうして
法人の
譲渡益に対する
課税と相互補完し合って、そうして一面では、好ましい
土地造成の面について追い出しができる、手離させるという効果をねらって、一面ではざる法だという御批評もあったようでありますけれども、これはまた好ましい
宅地を造成する。そちらに道が開けるようにいうことも考えて、
税制としてはいまだかつてないような、税理論から言えば相当逸脱した政策手段としての税の利用であると私は割り切っておりますけれども、そういう点で考えあぐねた末のこれは
政府案でございます。したがいまして、いろいろの御意見はございましょうけれども、これでひとつやらせていただきたい、そうして相当の効果はあがるに違いないということを実は期待しておる次第でございます。