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1973-03-06 第71回国会 参議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月六日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 正明君     理 事                 嶋崎  均君                 土屋 義彦君                 野々山一三君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 柴田  栄君                 津島 文治君                 中西 一郎君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 川村 清一君                 竹田 四郎君                 成瀬 幡治君                 山崎  昇君                 鈴木 一弘君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  愛知 揆一君        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君        通商産業大臣   中曽根康弘君    政府委員        大蔵政務次官   山本敬三郎君        大蔵省主計局次        長        吉瀬 維哉君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省関税局長  大蔵 公雄君        大蔵省理財局次        長        後藤 達太君        大蔵省証券局長  坂野 常和君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        大蔵省国際金融        局長       林  大造君        厚生政務次官   山口 敏夫君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        農林政務次官   鈴木 省吾君        通商産業政務次        官        矢野  登君        通商産業省化学        工業局長     齋藤 太一君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君     —————————————   本日の会議に付した案件租税及び金融等に関する調査  (証券取引に関する件)  (通貨問題に関する件)     —————————————
  2. 藤田正明

    委員長藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、租税及び金融等に関する調査を議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 竹田四郎

    竹田四郎君 証券局長にお尋ねしますけれども、最近の協同飼料の例の時価発行に基づくところの株価操作について、東京地検協同飼料の副社長あるいは日興、大和の横浜支店長ですか、こういうものを逮捕したわけですが、私ども時価発行の問題はよくわからないのですが、これは一体どういうことなのか。詳しいことはもちろん地検の手にあるわけですから具体的にはどうこうというわけにはこれはいかないでしょうけれども、おおよそのところどういうことなんですか、ちょっと協同飼料の件について御説明いただきたいと思います。
  4. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) 具体的な事件につきましては、ただいま検察当局で取り調べ中でありますので、詳しい御報告を差し控えたいと思いますが、ただいま御質問のおおむねどういうことかということを申し上げますと、協同飼料という会社は、資本金三十五億円で昭和三十六年から東証一部に上場されておりまして、この会社が昨年の十一月に増資を行ないました。そのときは株主割り当てが千百五十万株、金額で五億七千五百万円、一般公募が千二百五十万株でありまして、プレミアムが十八億七千五百万円という数字であります。そういう増資を行ないますときに、自社株式仮装売買——これは実際の権利の移転を目的としない売買をいたしまして市場でその銘柄が繁盛に取引されているというようなことを仮装するというようなことで、証券取引法百二十五条に仮装売買は禁止されておるところでありますが、その仮装売買等株価操作会社役職員が行なった疑いがあるということで、去る二月の二十三日、東京地検のほうで捜査を開始されたと、こういう事件であります。また、これに若干の証券会社関係しているという疑い捜査がされておるというふうに聞いております。  この株価操作仮装売買というようなことは、時価発行の際というようなことでなく、一般的に流通市場において証券取引法が禁止しているところでありますので、これは、時価発行のときだけが問題になるわけでありませんけれども、たまたま時価発行を行ないます際に、そういう手段を用いて株価を高く持っていった、あるいは株価が低くなるのを押えたといいますか、安定させたのではないかというような疑いであります。  私どもといたしましては、株式市場が非常に昨年活発化してまいりましたし、また増資が盛んに行なわれ、完全時価発行もございますし、一部公募というような形での発行市場も非常に大きくなってまいりましたので、株式市場信用を高める、特に、新規に発行される証券信用をどうやって維持するかということがきわめて重要であるということで、手段方法いろいろ使いましたけれども証券界に対しましても十分注意してまいりましたし、また、発行会社に対しましても昨年十一月と今年二月、二回にわたりまして証券取引所から証券取引法趣旨徹底、すなわち、粉飾決算厳禁、それから自社株操作厳禁インサイダー取引厳禁——インサイダー取引と申しますのは、会社の役員、主要株主自社の株を売買することによって短期間に利得を得ることを禁じておるわけでありますが、そういうことの徹底、これをいたしておりますが、にもかかわらず、今回のような事件を生じましたことはまことに遺憾に存じております。また、私ども監督不行き届きの点につきましてはたいへん責任を感じておるという現状であります。
  5. 竹田四郎

    竹田四郎君 いま、三つか四つおっしゃいました、粉飾決算とか、あるいは仮装売買インサイダー取引の禁止、こういう三つのことをお述べになりましたけれども、それは前々からかなり強く証券業界には警告をなさっていたことなんですかどうなんですか。どのくらいの程度警告をなさっていたのですか。もし、その当時の警告とか通達とか、そういうものがありましたら、いますぐでなくてけっこうですが、どのくらいの程度のものか、それをひとつお示し願いたいと思うのですが、できるでしょうか、どうですか。
  6. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) まず、百二十五条の株価操作等につきましては、これはもずっと以前と申しますか、もう十年以上前から非常にやかましく言っておる。こういうことの疑いのあることについては取引所において注意し、あるいは若干の処分をいたし、あるいは行政的にも行政処分をいたした実例もございます。発行会社のほうにつきましては、これは粉飾決算等につきまして早くからそういう注意をいたしておりましたが、自社株売買あるいはインサイダー取引については、ここ三、四年前から非常にそういうことが行なわれる疑いを生じてまいりましたので、非常に何回も注意をいたしております。また、取引所において具体的案件についてそれを注意いたした結果として役職員の、あるいは大株主の得た利得会社に返還したというような実例も、昨年だけでも二件ほどございます。いまの御趣旨の、いままでにどういうことをやってきたかということについては後刻資料を提出いたします。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっとそれに関連して資料要求通達を出したというのを一々お出しになるのが一つですね。それからもう一つついで資料としてお願いしたいのは、しばしば四大証券なら四大証券人たちが集まって何か申し合わせをしたということ、それからもう一つは、大蔵省であなたたちがそういう人たちと懇談をされたことが何回かあるだろうと思うんですが、そういうものの要旨、こまかい記録はいいですから、要旨をあわせて資料として出していただきたい。
  8. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ、そういういまの資料に続いて東証理事長から警告なり、あるいは処分を受けた件がかなりある、こういうふうに言われておりますが、具体的にはどのくらいあるのかわれわれわかりませんわけですが、どういうことで、どういう処分をどういうふうに受けたという資料も一緒に出していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  9. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) その資料は提出いたしますが、注意をしたもの、あるいは注意以上の処分をしたもの、これはいろいろありますが、外部にその東証注意したとか、あるいは処分したとかいうようなことが出ておりませんので、その点について東証のほうとまあ協議を要すると思いますので、その案件につきましてどういうものが何件あったということは提出できると思いますが、どういうことに処理したかということについては一応東証のほうと相談いたしたいと思います。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも最近は、先ほどの御答弁のお話でもそういう株価操作とか、あるいは自社内部における仮装売買とか、そういうようなことがかなり行なわれているというようなふうに私はお聞きしたわけでありますが、そういう意味で、株価操作をそういうふうな具体的な形でやるというふうなことは、これはやはりかなり大きな問題があると思うんですよ。そういうもので注意警告やあるいは処分を受けたものは私は公表していいと思うんです。そういうことをしないと、内部だけで解決をしているから、いつまでもそういうものが絶えないということになっていると思いますから、これはひとつ証券局長のほうからも東証に強く言って、そうしたものは一々公表して一向に差しつかえないと私どもは思いますけれども、そういうふうに東証とひとつ話し合ってほしいと思いますが、どうですか。
  11. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) 東証のほうと協議してみたいと思います。
  12. 竹田四郎

    竹田四郎君 最近の時価発行状況というのは大体どういう状況になっておりますか。この点、私どもいろいろ調べてみたのですが、あまり資料がないわけでありまして、実際に時価発行をやってかなり大きなプレミアムというものがついているようでありますが、一体そういうプレミアムというものがどういうふうに使われてきているのか。かなりそれが私はいまの企業手元流動性等々を高めているということで、あるいはそれが今度の場合の商品投機等にも、あるいは土地の投機等にもかなり動いている可能性もあると思うのですけれども、これは私実証したわけではありませんから何とも言えないのですが、最近の時価発行と、そのプレミアムをどう処理をしているのか、一応資本準備金の形には入れているでしょうけれどもお金の上ではいろいろな形でこれ使っているはずなんですから、そういうものがどういうふうにお金が動いていっているのか、その辺の御説明をいただきたいし、もし、できましたらその時価発行がどういう企業においてどのくらい行なわれてきているかという、できたらそういう資料も実は出していただきたいと思うわけですけれども、まあ、最近における大まかな時価発行状況というようなものを御説明いただきたいと思うのです。
  13. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) 四十七年度——四十八年の三月末までに予定されております有償増資払い込み金が一兆三千億、端数がございますが、約一兆三千億であります。このうち資本金になる部分が約四千九百億円でありましたか、したがって、プレミアム部分は八千百億円程度と予定されております。このことしの増資につきましては、それぞれの会社設備資金あるいは運転資金等予定されておりました資金使途について一応届け出書段階ではそれぞれその使途が書かれておるわけであります。ただ、具体的な資金繰りにつきましては、どのお金がどういうことになったのかという点は必ずしも明らかでありません。そこで、昨年の十二月から資金繰り資金使途等を少しやかましく言う必要があるということで、いわゆる四社申し合わせということを行なったわけでありますが、さらに、四十八年度、ことしの四月以降は現下の広い意味金融情勢というようなことも考えまして、アンダーライターとしてはやはり資金需要緊急度、それから、その会社資金繰り状況ということを見まして、やはり資金に余裕のあるものあるいは需要緊急度の低いもの、こういうものはあと回しにする、あるいは取りやめるというようなことで新しい基準をつくりまして、すでに、四——六月につきましては、去る二月の十六日に第一回の持ち寄り決定会というのを行ないまして、そこで相当いままでのベースよりも削減した姿をつくっております。  全体がどういう傾向であるかにつきましては、あるいは業種別増資状況というようなものを資料として提出できるかと思います。
  14. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうプレミアム株主にどのように還元されているのか。どうも株主に還元されない面が多いんじゃないかと思うのですが、その株主にどういうふうに還元されているか、そういう点をおわかりになっていたら御説明いただきたいと思います。
  15. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) 時価発行を行ないました会社がとりあえず無償交付等を行なうという例はかなりたくさんありますが、御承知のとおり、この時価発行によるプレミアム部分について株主優遇をどういうふうにしていくかということは、かなり長年月計画によるべきものである。しかも、一部俗にいわれておりますように、これは会社がもうけた金だというような感じを持つとすれば、それはたいへんな間違いでありまして、これはすべて株主勘定でありますので、この低コスト資金を使って会社が従来より以上に利益をあげて、その利益株主に還元していくというきわめて長年月株主優遇対策が必要であり、時価発行を行なう会社は、そういった意識と計画を持って行なうということが大事であると思います。そういう点につきましても、引き受け証券会社として、その株主優遇対策を十分にチェックしていくというような体制をとっておるわけであります。
  16. 竹田四郎

    竹田四郎君 いままでの時価発行会社資料というのは私あまり持ってないからわからぬですが、先ほどの、たとえば、協同飼料の例を見ましても、公募というのが非常に多い。株主時価割り当てをするということになれば、これは将来株主に対してその利益還元ということはあるわけですが、実際にはどうも公募のほうが、ほかの四十六年度あたり資料見ましても、公募株数というのが非常に多いわけですね。そうしますと、実際株主に長期にわたって還元するとはいうものの、どうも株主への割り当てといいますか、そういうものが非常に少なくて、公募が非常に多いということになりますと、どうもそれもやがて株主になるということでしょうけれども、しかし、従来からの株主ですね、その株主協力をいたしまして、そういう株価というものが、会社実績が上がってきて、そして高い株価を維持することができる実績をつくったというのは、いままでの株主協力というようなものがあったからこそだと私は思うんですよ。そういう点で、株主に対する割り当てというものが非常に割合的に少ない。これじゃやっぱり株主優遇しているとかいうことには私はならない、会社だけがよければいい、それによって手元流動性が豊富になればそれでいいんだということであってはどうもならない。これは株主方面から、そういう意味では不満もかなり出ているように思います。こういうものを直していかない限りは、いたずらに時価発行をしてプレミアムをたくさんかせぐというところにだけその問題が走っていってしまう。その金をさらにいろいろな形で有効に利用して金もうけをするという形で、最近の商品投機への金に相当量というものは私は流れているんじゃないだろうか、こういうふうに思わざるを得ない。そういう意味で、そういう比率というようなものについての行政指導なり、チェックというようなものは一切ないわけですか、どうなんですか。もう少し私はそういう意味では、株主に対してやはり優遇をしていくという措置があっていいはずだと思うのですけれども
  17. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) お説のとおり、株主優遇は非常に大事なことでありまして、時価発行を行ないました会社が新しく公募分で払い込んだ株主に対してはもちろんのこと、旧株主に対しても優遇措置をとっていかなければならぬ。それがただいまのところ新旧両方株主にとりあえず無償交付を行なうというのが一つやり方だと思います。  それから、将来におきましては、先ほど申し上げましたように、その低コスト資金でより多い利益をあげて配当を増配していくということが大体の計画になっておるようであります。ただ、旧株主優遇問題につきましては、これはわが国商法の大原則もありまして、御承知のとおり昔は、商法株主割り当て増資はすべて株主割り当てという制度でありましたけれども商法が改正されましてからは、これは無額面株式時価発行という制度が入りますとともに、公募という制度が入りまして、従来の株主とは著しく有利な価格でない限り、関係なく取締役会において公募ができるという商法のたてまえになっておりまして、そこはまあわが国のそういった商法の基本の問題でもありますので、そのこと自体がいけないことだというわけにもまいらないかと思います。ただ、その公募分あるいは旧株主分についてもいわゆる親引けと称しまして、一般市場で販売せずに、銀行あるいは関係会社等に頭から割り当ててしまって、そうして市場に出さないような増資やり方、これはたいへんに影響するところが大きい。一つは、期待する一般応募者に株が届かないということ、二つは、市場浮動株を多くしていくべき方策がそれでとどめられるということ、三つは、そういうことで法人にますます株が集まりまして、全体の持ち株比率法人に片寄っていく、それやこれやありまして、その親引け問題につきましては、これを極力圧縮するようにというような方針をとっております。金融機関につきましては、すでに日本銀行のほうで強い指導をされまして、持ち株シェアアップをとめるような措置をしておられます。事業法人についてはなお若干そういう傾向が残っておりますので、これも新年度からはかなり大幅に圧縮していくというような方針をとっております。
  18. 竹田四郎

    竹田四郎君 証券民主化が叫ばれて久しいわけですけれども、また同時に、国民金融資産銀行預金とか郵便貯金でなくて、金融資産証券によって持つという一般国民財産形成あり方としてもやはり証券を保有する、しかもそれが、安全であり、かつ有利であるということでなくちゃならぬわけですけれども公募の株がどんどん大法人なり銀行なりにいってしまう傾向がある、一般市民がそれをほしくても買えない、銀行預金ではインフレによって常に減価をしていく、株式あたりでありますれば、ある程度増資なり、あるいは配当増というようなことで、そうしたインフレヘッジもある意味ではできる。ところが、せっかくそういう形で増資をして株式が出ても、それが手に入らないということであっては、これは、今日の国民財産形成という方向から考えてみますと、逆な方向でしかないというふうに思うわけです。そういうものが今度は逆に景気調整等においてはいろいろな悪いことをしていくということにもなってくるわけです。なるべく多くの株式が多くの国民に分散されていくということになりますと、そうした景気変動においても金融調節が、そう急激な変化というものが私はおそらく起こらないと思います。そういう意味で、もう一つ資料としていただきたいのですがね。公募株というのは一体どういうところに流れているのか、そういうものの大まかの数量というものは何か出ますか、出たらそういう公募株が最初にいったところは一体どこなのか、その辺の大体の数量というのはわかったらお示しをいただきたいと思います。
  19. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) 個別の親引けの内容が、どういう法人に、どれだけはまったかという資料をとっておりませんので、サンプル調査でもいたしますれば、幾つかの会社について、幾つかの銘柄について、それをとることはできると思いますが、全体としてどうだったかという資料は目下のところございません。
  20. 竹田四郎

    竹田四郎君 ぜひその辺は証券局としてつかんでいただいて、やはり証券民主化方向を考えるとすれば、やはり行き過ぎのあるものはチェックしなければいかぬと思うのです。その辺は全部なかなか調査することはできないでしょうけれども、ある程度サンプル調査なり、なんなりをときどきなさって、一体そういう株式がどこに流れるかというようなことは、国の産業構造転換の点からいっても、私はかなり重要なポイントではないのか、こういうふうに思うわけですけれども、その辺はひとつときどき御調査をなさって、やっぱり大蔵委員会あたりでそういうものを資料としてひとつときどき出していただく、それによってひとつ証券民主化方向が一体どういうふうにいっているのか、産業構造転換がどういくのかということにやはりかなり大きい影響が私はあると思いますから、その辺はぜひそういうふうにやっていただきたいと思います。  ところで、主税局長にお聞きするのですがね。株主にそのプレミアムが直接いくということであるならば、これは私はいままでの大蔵省の考えている考え方でそれでいいと思うんですが、実際には株主にはその金はあんまりいかないで、会社自体が、それをいま御答弁がありましたような設備資金運転資金にいくということになりますと、うんと百年、二百年の長い目で見れば、それは株主に還元していくのかもしれませんけれども、実際にはそういうわけじゃないんですから、このプレミアムをそのままに、非常にばく大な金なわけですね、こういうものをそのまま放置をして課税をしないということは、私はどうも納得できないわけです。そういうものは私はやはり課税対象にすべきだと思うのですけれどもね。
  21. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) プレミアムは、現在の商法のたてまえからいいまして、企業資本準備金として積み立てられるわけでございます。払い込み資本と同様に無利息——金利を払わない金ということで企業にそれが残りますから、したがって、その金を使って設備投資を拡充するなり、あるいは何らかの方法でそれを使いますと、無利息の金で企業としては本来うまく使えばそれが所得になってあらわれてくる。で、所得としてあらわれた段階で、それが法人税として所得課税として課税をされていく、こういう仕組みになっているわけです。本来、まあ法人税あり方の問題としては、資本については課税をしない、これはまあそういう現在の制度上はそうなっているわけでありまして、プレミアムにつきましても、資本準備金として積み立てられますから、それは資本と同様のものであるということで課税対象外にしておるわけでございます。このような企業の一種の流用金のようなものについて課税対象としていないたてまえが幾つかあるという問題はいろいろ御議論のあるところであろうと思いますが、そこはかなり法人税制の基本的な問題として現行制度上は課税対象外になっておるということでございます。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 いままでの理論というものがはたして正しいのかどうなのか、ここへきまして。それに私はいつまでもとらわれている必要はないと思うのです。それがほんとうに日本企業資本充実に役立っているということであるならば、それは私は一歩譲って認めてもいいと思います。しかし、現実にそういうことが資本充実に役立っているという実績、そういうものは私はあんまりないと思うんです。時価発行がどんどんどんどん行なわれている、しかし、それでは、はたしてそれによって資本充実、自己資本率等々がうんとふえているか、ふえていないわけですね。それがほんとうの意味で役立っているというなら、いま主税局長おっしゃるとおりです。実際には役立っていないどころか、いろいろな形で最近では批判の対象にむしろそれがなっている。こういうものをいつまでも理屈がこうだからということで課さないということは、私はちょっとおかしいと思うんです。だから、法人税自体の理論構成も、私は最近の実情からいうとおかしいと思うんです。それだけの利益を得て、それが株主に還元されるということであるならば、これは法人擬制説、なるほどそうだと思うんです。実際には株主に還元されてないわけです。そうなってくると、いつまでも法人擬制説によってそういうものには課税をしない、資本金には課税をしない——私は、明らかに最近のこうした時価発行に負うプレミアムというのは、あとで資料を出していただければわかるのですけれども、大なり小なり会社のほんとうの実績によって時価発行ができているというのは、まあどのくらいありますか。全部じゃないと思います、少なくとも。何らかの形で協同飼料みたいに、まあ論者によれば、表面に出たのは協同飼料だけだと、協同飼料は運が悪いのだと、まあこういう新聞批評も実は出ているわけですね。で、証券局長も何回か、株価の操作についてはもう十何年前から実際上は何回も何回もそういう警告を出し、通達を出している。しかし、それも実際には何回も何回も出さなくちゃならぬということは、実際はある程度そういう疑いがあるということに私はなると思うんですよ、国民の目から見れば。そういうことをやっていてプレミアムをかせいで、そしてそれに対しては、これは資本準備金だから課税しない、国民は私はこれ納得しないと思うんですよ。それももう膨大な額ですね。最近ではおそらくそのプレミアムだけで一社で何百億、こういうものだと思うんですよね。それが全然課税されないで会社の金になる、そうしたものがまたいろいろな悪さをする、むしろこれがいまの、いろいろなほかにも原因はあるわけですけれども、私はいまの過剰流動性一つだと思う。そうなってくると、いつまでもこれをそういう形で、いままでの法体系がそうだからということでいつまでもそれに固執しているということは、どうも国民は納得しないと思う。その辺がひとつ考え直してもらわなければいかぬ点だと思う。どうですか、主税局長
  23. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) おことばではございますけれども、擬制説とか、実在説ということとは実は直接の関係はなくて、プレミアムはとにかく資本に準ずる扱い、扱いというか、資本と同様の性質を持つわけでございます。で、現在の実在説、擬制説とは関係ありませんが、法人については所得課税をしますと、資本には課税をしませんと、こういうたてまえがおかしい、資本であっても何らかの意味においてそれが経済的効用がある以上は、資本について何らか課税あってしかるべきだという御議論であれば、それはいろいろそういう御議論はございます。制度論としてもそういうことは全く頭から考えられないという問題ではないと思います。しかし、そのプレミアムの分でありましても、現在は一応額面をこえる部分資本とせずに、資本準備金のような形で経理はしておりますが、その公募に応じた人から払い込みがあり、出資であることは間違いないわけでありまして、出資に課税をする、元本に課税をしていくということについては、私はやはりかなり問題があるんじゃないか。所得税におきましても、法人税におきましても、現在は所得課税をするというのは、これはかなり基本的な原則でございます。で、所得課税するほかに別途資本課税するかどうか、基本財産に課税していくかどうかということになりますと、まあ一種の、何といいますか、保有財産税のような形になってくるわけでございますが、そういう制度一般的にとるということであればともかくとして、プレミアムでありましても、普通の払い込み資本でありましても、そこは資本としての性格は同様に考えていくべきではないかと思います。
  24. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ、理屈は理屈としてわかるんですがね。これだけこういう時価発行が行なわれて、大きな金が動いていて、それがいろいろ悪さをする、こういう事態の中で、私はどうも、しかも今度の場合には、まあ協同飼料の問題がこういうふうな司直の問題にもなると、私は、国民のこうした時価発行についての疑惑というものはますます深まっていくと思うんですね。それが実際にさらに輸出をふやし、それが国内に物価高という形でくると、どうしても私は国民は納得できないと思うんですよ。これがほんとうに正常に国民利益のために使われているということであるならば、これは私は国民協力すると思うんですよ。実際は、国民はそういう新聞を見るたびに物価が上がるという感じしかないわけです。ああ、株価も上がった、時価発行もして会社はもうけた、おれたちは物価が上がって家も建てられない。まあ最近はガーゼだってないそうですね、作業用ズボンだって綿製のものはないという形ですよ、庶民の生活は。もうほんとに頭が狂いそうだというのが私は実態だと思うんです。そういう状態でありながら、時価発行はどんどんやって、大きな会社がどんどんプレミアム……。これは政務次官、国民納得しますか、こういう政治をどんどん続けていって。それが法的に可能だということで、一体国民納得しますか。これはどうですか政務次官。
  25. 山本敬三郎

    政府委員山本敬三郎君) 国民サイドから見れば非常にわかりにくい、理解のしがたい問題だとは思いますけれども時価発行したプレミアム資本準備金になり、それがたとえば、会社の借り入れ率を減らしていく、自己資本の充実等に使われれば、それは国民にも理解できる問題だったと思うわけです。ところが、実際は借り入れ金の返済ではなしに、ほかに使われていくというところに非常に問題が出てきている。望ましい方向としては、やはり世界的に自己資本が非常に少ない日本会社が、自己資本の充実にこれを使うことになればほんとうに望ましかったんではないかと、こういうふうに考えるわけです。
  26. 竹田四郎

    竹田四郎君 実際に、それは自己資本の拡充によって、そして西欧並みの企業にそれが使われていくというなら私いいですよ。現実にはそうじゃないんですよね。
  27. 山本敬三郎

    政府委員山本敬三郎君) はい。
  28. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうなってくると、私は、どうも国民としてこれは納得できない。もうけるだけもうけて、国民の感情としてはこれはもうけというふうに見てますからね、株主にはあまり還元がない。このままいったら、国民はいまの資本主義経済というものに対してほんとうに疑惑を感ぜざるを得なくなってきますよ。そうすると、自民党の基盤もこれによってゆらいできますよ、いまのまま続けば。これはもう法律論じゃなくて、政務次官に政治論として私は聞きたい。こういうものを政党としてこれからずっとやっていくということになったら、国民はほんとうに恨むですよ。それでいいですか。それなら私は、そういう形で自民党はこういう時価発行してうんと物価をつり上げていくということをあっちこっち宣伝しますよ。——そこをどうも納得できない。
  29. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) 時価発行わが国において最近始まった制度であります。これができるかできないかということについては、長年かなり論争されておりましたし、また、保険業界のようなところではかなり前から、この制度は非常にぐあいが悪い、旧株主を尊重しないからよくない制度だというような御意見もあったわけです。にもかかわらず、こういう制度が行なわれるようになったゆえんというものは、やはりわが国企業の実力と申しますか、ほんとうの力がついてきたということ、それによって株価というものも上昇してきたということ、国民に余裕資金ができて投資というものが本格的に行なわれるようになったという、まあ、いろんな原因が重なっておるわけであります。この発行市場にこういうふうに新しい芽が出てきたということは、国民経済にとってはたいへん好ましいことでありまして、そういう点においては、この制度は今後これが定着するように伸ばしていく必要があるかと思います。御承知のとおり、わが国企業の自己資本比率というものは、もう毎年低下の一途をたどりまして、四十六年度末は全産業で一五・八%と、世界に例を見ない、もう最低のところにまできておるわけです。にもかかわらず、これがもっておるのは、何といってもまあ銀行が強力であって、そして銀行貸し出しという力によって今日まで企業はやってきたということであります。これから世界の企業に溶け込んで、ほんとうの競争力をやってまいりますためには、自己資本充実というのは、何と言っても重要なことだと思います。ただ、お説のとおり、この過渡期においていろいろ不心得な感じの事柄が起きる。たとえば、株主優遇しないのではないかと疑われるようなそういうやり方とか、あるいは株価について疑いを持たれるような発行のやり方とか、そういうことはもうたいへんいけないことでありまして、これは厳に取り締まっていかなければならないと思います。しかし、時価発行制度そのものは、これを定着させるということは国民経済的にはきわめて効率的なことであり、また有意義なことである、そういうふうに考えております。
  30. 竹田四郎

    竹田四郎君 私も、時価発行そのものを云々しているわけじゃないです。それが少しも国民に還元されないということですよ。証券民主化ができてみんなが株を持って、なるほど時価発行した、会社プレミアムがこれだけあった、そのプレミアムの一部が自分のふところに入ってくる、そうすれば、私はそれは国民喜ぶと思う、時価発行して会社実績が高まった。現実にはそうじゃないのですよ。プレミアムが決してその株主のところにくるわけじゃなくて、現実には庶民の株——せっかく持っているわずかな株がどんどんどんどん引き揚げられていくというのがいまの現状でしょう。株式の分散率という形でいくと、むしろ分散率は小さくなっていく。そうして株は大きな企業へ大きな企業へと集中している。一方では、そういう事態をそのままにしておいて、それでプレミアムをやる。だから問題になるのです。そういうような、株主にそうしたプレミアムが還元できるという形、そういうものがぴしっとできていれば、それは私は国民そんなに文句も言わないだろうし、また、そのプレミアムの金が悪い作用をするということも私は少なくなるだろうと思う。そうじゃないのですよ、現実には。大企業のもうけのためにやっているとしか国民は理解していないと思う。だから、そういう点で、その点の具体的な改善策、どう改善して、そのプレミアム国民のふところに再び戻っていくのか、大企業や大法人じゃなくて。そういう措置を何らか講じなければ、それはこの時価発行に対する怒りになっていくわけですよ。時価発行制度というものは、私はそう制度として決して悪いものだとは思いませんけれども、そういういままでの株式制度からさらに一歩進んだものだと思うのですよ。そういう意味では、資本主義経済の資本を集めるという点では、私はいいと思うのですけれども、ただ、それが国民に還元されない、その金が悪いことをしていくということになる、その点が問題なんですよ。そういう点に対する規制というものは全然しないで、そうしてその時価発行がどんどんどんどん行なわれる。で、時価発行が具体的にどうなっているかということも、証券局として先ほどのお話ではあまりぴしっ、ぴしっとつかんでおられない点がある。こういうことになると、どうも国民は裏目に出て、恨みになっちゃうと私は思うのですけれども、その辺はどうですか。政務次官、もう少しこういう面ちゃんと筋目を立てて、利益は、経済がそれだけ成長して実力が出たら、それが国民に還元されていくという、そういうことを考えなくちゃいけないんじゃないですか。
  31. 山本敬三郎

    政府委員山本敬三郎君) 国民への還元とおっしゃいますが、資本——企業そのものが資金調達の道を銀行借り入れから自己金融をしていくという形に変えていくという性質のものですから、それ自体としてはメリットはあると思うわけです。ただたまたま、たとえば、NHKの跡地の問題を時価発行で得た金で買ったとかいうような、そういうことがいろいろいわれているところに問題がある。ですから、問題はむしろいまの過剰流動性そのものにあるわけであって、私は、時価発行制度そのものが、いまの過剰流動性のもとにいろいろ疑惑を招くような傾向があることはそうだと思いますけれども、この制度自体が本来いけないものだとだけは考えない、こういうように思うわけです。
  32. 竹田四郎

    竹田四郎君 私も、時価発行制度そのものが悪いとは言っているわけじゃない。それがまず一つは、証券の民主化をもっと大きくやることですよ。国民がみんな、何らかの形で銀行預金なり郵便貯金をやっているかわりに株を持つと、それによってインフレヘッジも防げるでしょうし、将来の楽しみも夢もあると、そういうふうなことを考えていらっしゃるわけだと思うんですよ。まあ、私どもはそういうのが理想の社会だとは思っていないけれども、少なくとも自民党の方や、いまの資本主義の制度というものは、そういうものが一つの大きな夢だと思うんですよ。それならば、時価発行のそうした利益が、株式が多くの国民に分散されて、そこへ返っていくと、そういう形がなければ意味ないわけですよ。私は、それは明らかにNHKとは違うと思うんですよ。そういうことをどう確立していくのかと、それは私は、政府のやることだと思うんですよ。その辺があまり詰めてなくて、放置をされているというのが、私は、現在の時価発行に対する国民の疑惑というものが出てくるゆえんだと思うんです。その辺をどうしてくれるかということを明確にしてほしいということです。
  33. 坂野常和

    政府委員坂野常和君) まず届け出書段階で、従来よりも資金使途なり、資金繰りについて、詳しいディスクローズをやってもらうということは、すでに私どもいま考えております。それから、株主優遇につきましては、引き受け証券会社においてこれを厳格にチェックしていくという制度をとるよう、これもいま検討しております。やや時間のかかる話でありますが、いわゆる食い逃げ的な時価発行を行なった会社は、もう二度と増資できない、投資家からもそれは非難される、引き受け会社も引き受けはもう応じないというような、そういうチェック体制をとっていくことが大事なんです。そういう体制に持っていこうということで、いまいろいろ検討中でございます。
  34. 竹田四郎

    竹田四郎君 ひとつそういう点を早く——検討をいつまでもされていては困るのですから、これだけ問題が大きくなっているのですから。いつごろまでにそういうものを出して国民に明示をしていくか、その辺の、政府のいう検討、検討というのは、期限なしの検討ですから困るわけですからね。その辺を、いつごろまでのめどをつけてやってもらうか、はっきりめどをつけてもらわないと困ると思うのですがな。
  35. 山本敬三郎

    政府委員山本敬三郎君) もうすでに着手する準備をしておりまして、四十八年度から実施していくことであるようでありますが、しかし、いずれにしても、最近法人株主が非常にふえてきて、個人株主が減ってきて、証券民主化の実は、逆の意味ではあがっていないと、そういう点では、私は、非常に問題があると思います。そういう点を含めて、徐々に本来の時価発行あり方に変えていくというふうにしていかなければならぬと思います。
  36. 竹田四郎

    竹田四郎君 一応、それじゃ、この点はあとの経過を見たいと思いますし、ぜひ先ほどの資料はなるべく早目にひとつ、これは私だけでなくて、できたら、委員長、全員に——そういう資料というのはあまりいままで出ていないようでありますから、ひとつ委員会全員に配付していただいたほうが、今後の証券問題を考える上にも私はよかろうと思う。ひとつ私だけでなくて、委員会においてそういう資料についても御説明いただきたいということをお願いして、証券問題については一応区切りたいと思います。  その次に、国有財産の利用の問題ですね。理財局の次長さんお見えになっていますか。
  37. 後藤達太

    政府委員(後藤達太君) 私、担当でないほうでございますので、それじゃ、至急国有財産担当の次長を……。
  38. 竹田四郎

    竹田四郎君 それではあと回しにします。  国金局長にお尋ねするわけですが、これは大臣との関係もあろうかと思いますが、細見さんがワシントンへ飛びましたね、これはどういう目的ですか。
  39. 林大造

    政府委員(林大造君) 先生御案内のとおり、先週の後半からヨーロッパでドル売りが非常に激発をいたしまして、その関係で金曜日から東京の為替市場、それからヨーロッパの主要国の為替市場、すべて閉鎖されております。そのような状況のもとにおきまして、各国がどのような対応策をとるのか。その種の為替危機と申しますか、通貨危機と申しますか、これは一国限りでは何ともいたしかねるわけでございまして、やはり各国当局間で協力をしながら解決策を求めていくよりほかしかたがない。そこで、御案内のとおり、現在のところはヨーロッパ内部の問題でございますので、去る日曜日にECの蔵相会議がブラッセルで開かれましたわけでございます。その結果を注目いたしておりましたところが、そのブラッセルの会議の結論といたしまして、八日の木曜日に再びその蔵相会議を開く、それから十一日に、日曜日でございますが、やはり蔵相会議を開く、その間、まだ新聞報道でございますけれども、三月の九日の金曜日にEC九カ国の蔵相に加えまして、アメリカと日本とカナダとスウェーデンとスイス、これを加えた十四カ国の蔵相会議を開くという予定であるということが伝わってまいりました。その段階におきまして、日本としてもやはり国際協調ということで、現在のところはヨーロッパの圏外でございますけれども、やはり意見交換を行なわなければいけない。たまたま来週に、いわゆる二十カ国委員会の代理の会議がワシントンで開かれることになっておりましたので、それに出席するために、稲村財務官と細見顧問が出席される御予定になっておりました。そのために、今週の後半に出発される御予定になっていたわけでございますが、若干日程を繰り上げて出発をしようということで、昨日立たれたわけでございます。十四カ国の会議のほうはまだその正式な招請状が届いておりません。現在のところ、おそらくいわゆるGテンの会議の系統になるのではないかと存じておりますが、したがいまして、まあ、そういう正式の情報が届く前に、とりあえず細見顧問が出発された、こういう状況でございます。
  40. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまのお話で、Gテンとかなんとかいうのは、ちょっと私わからないんですが、御説明ください。
  41. 林大造

    政府委員(林大造君) Gテンと申しますのは、十年くらいの歴史を持つ会合でございまして、これはECの通貨が次第に不足いたしまして、マルクとかその他いろいろな国の通貨をIMFに貸し付ける、そして、IMFの不足資金を供給するということで、十カ国の主要国、これは現在日本とアメリカ、カナダ、それからイギリス、それからスウェーデン、それからドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギーと、これだけでございますが、この十カ国の蔵相で会議を持ちましたわけでございます。本来の目的は、IMFにおのおのの国の通貨を貸し付けるという趣旨で集まりましたものでございますが、国際通貨問題について発言権の強い主要国の蔵相の会合であります関係上、一昨年の通貨危機の際にも、主としてこのGテンの蔵相が集まりまして、いわゆるスミソニアン会議もこのGテンの蔵相会議という姿で行なわれたわけでございます。
  42. 竹田四郎

    竹田四郎君 何か新聞によりますと、細見顧問はシュルツ財務長官とか、ボルカー次官に会うというようなことだそうですが、それは何の目的で会うのですか。どうもこの前の状況を見ますと、さんざんボルカーあたりに振り回されていたわけですがな。こちらの準備がなかったから振り回されたのかもしれませんけれども、具体的にはシュルツとか、ボルカーあたりに一体何を交渉に行き、何を連絡し合いに行くのか、私はどうもそういうところへうろうろと先に連絡し合いに行くというのは、何のために行くのかちょっと理解できないんですがね、何のためにシュルツとか、ボルカー次官に会うんですか。
  43. 林大造

    政府委員(林大造君) 今回のは交渉ということではございませんで、また、単にいろいろ状況を聞きに行くということでもございませんで、まあ、お互いにどういうふうにしたら今回の危機は乗り切れるかということについて意見も交換し合うという趣旨でございます。  その場合に、日本として一体どういうことをやるべきかということにつきましては、まだそこまでこちらのほうから対案を出したり、あるいはアメリカの対案を聞いて日米間で交渉をするという趣旨で行っているわけではございません。その二十カ国委員会の代理会議に出席する日程を繰り上げて出発したという次第でございます。ちなみに、もしも十四カ国の蔵相会議が開かれるということになれば、その状況をもとにして、細見顧問がヨーロッパに回られるなり、あるいは東京からしかるべき人が出席するなり、いずれにいたしましてもその間、まずワシントンに飛びまして所要の方とお会いして情報を交換し、意見を交換しておくということは有用なことであるというふうに存じております。
  44. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、細見顧問は何か大蔵省方針を持って、そしてワシントンへ乗り込んでシュルツとか、ボルカー等の向こうの金融関係の高官に会うということじゃなくて、何にもなしで白紙のままで行っているということなんですか。はっきりした方針というものを持ってそういう人たちと会うというのですか。どうなんですか、その辺は。
  45. 林大造

    政府委員(林大造君) 私どもの基本的な方針は、国際通貨不安をできるだけ静めたいということでございまして、この基本方針はあるわけでございますが、それを越えまして、具体的にどういうふうにするかという方針は持ち合わせてはおりません。でまあ、竹田先生のおっしゃる意味では、方針は持ち合わせていないというふうになるかと存じます。
  46. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもその辺、非常に私納得できないわけですがね。私は、当然具体的に今度の第二番目の通貨危機、この危機に会って、日本方針というのは、できてなくちゃいかぬと思うのですよ。そういうものを持っていかない限りは、この前のときでも、これは新聞報道ですからわかりませんけれども、とにかくボルカー次官にどなられたり、おどかされたり、だいぶ振り回されているわけですね。それでヨーロッパへ細見顧問が飛んでいったときにもう向こうではいろいろな話し合いはできちゃっていて、最後に日本はかまされたというような力関係になってしまっているわけなんです。ドル不信というものはもうかなり前から強いわけですからね。そういうものに対して大蔵省としてやっぱりはっきりした態度というものを持っていかなければ、また、私はかき回されるという心配が先に立つわけです。白紙で行っているということになるとまた何かひっかき回されるんじゃないかと、こういう心配をするわけですよ、これは杞憂かもしれませんけれども。そういう点で早く、円というものが一番ねらわれているとするならば、当然私ははっきりした方針というものを立てて、それで交渉しなければいかぬと思うのですが、これはむしろ政務次官にお尋ねする事項だろうと思うのですけれども大蔵大臣すぐ来るでしょうから、ひとつあとでそれは大蔵大臣に答えてもらいましょう。どうも無方針で人を出している、そういう感じがしてならないのです。  国金局長にもう一つ伺いたいのですが、ヨーロッパの為替市場というのは今週一週間は締めてしまうということはすでに決定されておるわけですけれども日本の東京の為替市場がこれに同調していくのか、あるいはその前にいつか東京は東京で独自に開くのか。開くための条件といいますか、環境というのは、どういう形になれば開けるのか、開く、開かないということは、これはおそらく大臣の権限でしょうから、局長がとやかく言うわけにはいくまいと思いますから、どういう条件になれば開ける条件が整うのか、その条件が整わなければ開けないのか、その辺のお話を承りたいのです。いつやるか、やらないかはこれは大臣権限ですから、局長からは答えられないと思います。どういう条件が整ったときには、向こうが一週間閉じても東京市場は開ける、こういう条件がそろわなければ、東京市場は同じように一週間閉じていく、そういう条件ですね。
  47. 林大造

    政府委員(林大造君) 私どもといたしましても、できるだけ市場は開きたいわけでございまして、したがいまして、単純にヨーロッパが締めているから、それに追随するというわけではございません。それはすでに二月の初め、二月十日の土曜日に東京市場を締めましたのは、ヨーロッパに先がけて締めたわけでございますし、また、二月の十四日に東京市場を再開いたしましたのも、ヨーロッパに先がけて開いたわけでございます。これは時差をお考えいただきたいわけでございまして、ヨーロッパとは八時間の時差がありますから、世界で初めて開いたのは、また、閉じたのは東京市場であったわけでございます。また、今回も同様に東京市場が先がけて締めました。はたして開く時期がどうなるかということでございますが、ヨーロッパに単純に追随するというわけではなくて、開いても、大臣がたびたび御説明申し上げておりますように、不測の事態が生じないという確信が持てるに至ればできるだけ早く開きたい。それでは、その不測の事態といったら、どういうのが一体不測の事態がないということになるのかということが問題になるわけでございますが、市場で投機的な動きが起こる可能性がかなり見込まれるような状態——普通の環境でありますれば、そういうことが予想されないのに、海外、あるいは国内の場合もあるかと存じますけれども、異常な思惑を発生させるような条件が存在する場合に、それが為替の当事者の思惑に反映されて、そして市場の秩序が乱れるような事態が予想される、そういう場合には締めますし、また締め続ける。しかし、そういう危険性がかなり減ったと思われますときには、やはり決断の問題だと思います。決断をいたしまして開くということになると存じます。抽象的な御説明で恐縮でございますが、具体的にはいろいろ海外におきます情勢の展開も急でございますので、具体的にどうということはなかなかお答えしにくいわけでございます。
  48. 竹田四郎

    竹田四郎君 何かたいへん国金局長の説明というのは私は詭弁だと思うのです。それでなければ、何も朝、大蔵大臣、眠い目をして、開く、開かないというのでしょぼしょぼしていなくたっていいのですよ。本会議場の姿を見ているとまさに寝不足の姿ですよ。それはヨーロッパの動きを見ているからでしょう。だから、日本が先に開いたって、時間的には先に開いているのだけれども、実際には、ヨーロッパの事情を見て開いたり、締めたりしているわけでしょう。時間的な問題というのはこれは別な問題ですよ。そういう答弁をしちゃいけないですよ。そういうわれわれにもわかるようなごまかしはあまり感心しません。  それで、今度の大きな投機、二回にわたる投機ですね。東京市場には向かわなかったわけですね。向かわなかったのには、向かわなかった理由がたしかあると思うのです。ですから、いまも御答弁があったのですけれども、東京市場は投機的な資金というものが来ても、これはシャットアウトできるという点があるのでしょう。たとえば、リーズなんかの場合にはこれはしようがないでしょうけれども、いまはおそらくリーズなんかも若干はたまっているでしょう。そんな大量にたまっているという、そういう情勢には私はなかろうと思うんですね。そうすると、その投機資金はシャットアウトできるという体制、これは大蔵省が全世界に誇っている為替管理体制の厳格な体制があるわけですわね。今度はドイツのほうに日本と同じように為替管理の体制をやれと、こういう申し入れもしようということを細見顧問なり稲村財務官が持っていくそうですけれども、そういう状態にあれば、何も西欧の為替市場というようなものを、これを常に頭に置きながら——まあ頭に置くのはいいですけれども、向こうにならわなくてもいいんではないか。これ一週間締められますとかなり困る業界というのも私はできてくるんじゃないかと思うんです。そういう点では、たいへんいまの国金局長の話を聞きますと、東京市場も投機資金でヨーロッパと同じように荒らされるというような心配があるような感じを私は持ったわけですが、いままでのところは絶対そういうことはないという説明だったんですが、きょうの説明はだいぶそういう点弱くなってきているわけです。そういう投機資金がいまのような形で為替管理がだいじょうぶだからというならば、若干のリーズとかなんかはあると思うんです。しかし、短期的な投機資金がないとなれば、私は当然早期に東京為替市場開いていいと思うんです。どうですか、その点は。
  49. 林大造

    政府委員(林大造君) 御指摘のとおり、為替市場を締めておりますといろいろ御不便をなさる方は多いわけでございます。為替銀行はいろいろの点でそれなりのくふうをこらしておりまして、いわゆる仮仕切りというのをいたしております。仮仕切りと申しますのは、レートがはっきりきまりませんので、一応仮のレートで輸出手形を買ったり、あるいは輸入の資金を渡したりいたしておりまして、いずれ追ってレートがきまりましたところで清算をするという約束で処理をいたしているわけでございます。  まあ、このようなくふうによりまして、いわゆるなじみのお客さまには、かなりのサービスができるわけでございますけれども、いわゆるふりのお客さまには十分なサービスができない。たとえば、旅行者の方などは最低限度の両がえはいたしておると思いますけれども、たとえば、東京に来てかなり高価なおみやげを買って帰ろうと思っておられた旅行者などは、持ってきた外貨が円にかわらないわけでございます。また、新規契約もなかなかやりにくいような状況にあると思いますので、その意味ではなるべく——そのほかいろいろあると思いますが、市場を早く開きたいと、その意味で、先生御指摘の為替管理にどの程度たよれるかという問題でございます。私ども、比較的整備された為替管理体制を整えているというふうに自分でも思ってはおりますけれども、しかし、完全ではございません。また、絶対にそのいわゆる投機資金の動きを防げるものでもございません。先生御指摘のとおりいわゆるリーズ・アンド・ラッグズというものはもとより、そのほかのルートでもやはりいろいろな道を見つけまして、高いところから低いところへ水が流れるように、やはり外貨資金が流れ込んでくるわけでございます。そういうふうにいたしましても、やはり入ってくるものを市場で買ってささえるという方法もあるわけでございますけれども市場で買いますと、それなりにまたダーティ・フロートとかいう海外の非難も受けますので、なるべくなら市場で介入はしたくないという気持ちが一方にございます。そのようなことで、ある程度の思惑の安定というものが得られましてから、市場を開きましたほうが、日本の国益に合うという判断に立っているわけでございます。
  50. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  51. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記入れて。
  52. 野々山一三

    野々山一三君 時間の制限がありますから大蔵大臣、簡明に御質問いたしますので、お答えをいただきたいと思います。  過般、輸出問題にからみまして石油タンパクの問題であなたに統一見解を求めました。これは、追って通産大臣お見えのようですから、その際公式に伺うことにいたしまして、第一に、これほど国内で問題になっている石油タンパクが、ルーマニアにすでに技術輸出されておりまして、延べ払い八回のうち三回分までは金を受け取っておると、こういう事態を、国内ではとめるということに厚生省の見解で各社その指導のもとに中止をするということになったんですが、あなたの所管として、なお輸出が現にルーマニアに行なわれており、かつその他の国に対しても相当量の引き合いがあるということが明らかになりました。これをあなたは、先般の私の質問に対して、安全性に問題があるものについて輸出を認めることは理解できない、こうお答えになりましたが、現に続いているもの及びこれから引き合いが一ぱい出てきておる、こういうことがいわれておりますものについてお認めになる考え方なのかどうか、この点をまず最初に伺いたい。
  53. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 石油タンパクの問題につきましては、前回御答弁申しましたように、政府として統一した見解をすみやかに明らかにしたいとお答えいたしまして、すみやかに打ち合わせをいたしまして、後刻当委員会に通産大臣が伺いまして、政府の統一見解を申し上げることにいたしておりますからお聞き取りいただきたいと思います。  それから、野々山さんから、それはともかくとして、すでに出ているものについてはどうするのかという趣旨の御質問だと思いますけれども、取り消すということもなかなかむずかしいと思いますが、しかるべく関係庁の統一見解が明らかにされますので、その線に沿うて適当な善処の方法があれば考えてみたいと、こう思っております。
  54. 野々山一三

    野々山一三君 実は私が、先般あなたに質問をいたしたことが理由で、大日本インキから新しい実情を説明する資料が出ております。これによりますと、中国、インドネシア、アメリカ、ブラジル、メキシコ、西独、リビア、イランその他数カ国から計画を持ち、その技術引き合いが出てきている、こういうことが大日本インキという会社からそのまま出てきている。これはやっぱりとめるということをまず第一にはっきり言明をしてもらいたい。  それから第二に、これはこの会社の、人は言いません、私に、三億何千万円も金もらっておる、これをキャンセルするなら、君は補償するか、こういう公式な私の部屋で発言があった。私は私として政治の責任において補償さるべきはしなければなるまい、私は銭がないから——個人で補償してもけっこうだ、国内でこれほど問題になるなら、銭がないから実際どうなるかわからぬが、国家的にこれは補償すべきであるということを言ったんですよ。つまり、悪いことばで言うと脅迫なんですよ。つけ加えましょう。あれをとめてもらうとわが社はつぶれます、わが社の従業員は首を切らなければなりません、わが社はかくかくしかじか投資をしてきたものに対して、あなたはどうして補償するか、こういうことがあったんです。これはあなたに聞いても悪いかもしれません。田中総理に聞いてもいい。かようなことが行なわれておる。私は、いつでも会社の社長に会いましょう。ただし、院内ないしは国会の、私の会館の控え室以外には絶対にお会いしませんということを言明しました。いつでもお会いしましょうということを言いました。その後連絡がありません。非常な大きな政治問題です。あなたにそういうことが起こったら、あなたはどうするでしょうか。その気持ちを含めて、さような事態であるから、もはやこれは国家の責任においてストップさせる、補償するならするということを言うべきではないでしょうか。つけ加えましょう。このごろの円・ドルの問題にからんで、差損をしたところは補償をしてくれという要求が一ぱい出ておる。あなたはどうされるかわかりませんが、私はかようなことが許されるということは、国際的な事情のもとにおいて、そういう団体がそういうことをやるということがいいかどうかについては、決定的な問題だと思いますけれども、差損があったところでは補償せよと言う、差益のあったところはふところに入れる、こういうことになるんじゃないでしょうか、これは余談ですけれども。というような決定的な問題ですから、あなたにもう一回、とめるということを、これはキャンセルするということを言ってください。  それから次に、八回の延べ払いで支払いを契約しておるわけです。三回もらったと言うんです。幾らでしょうか、金額をはっきりしてください。それによって徹底的に、これはあなたでだめならば総理に私は伺わなければなりません。これは国家の問題です。厳格なお答えをいただきたい。
  55. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、取り消すかどうかということについては、これは政府が措置すべきことでございますから、いまもお話しのようなことでは、たいへんこれは野々山さんに御迷惑をおかけしたことと思います。ひとつそういう事案については、政府のほうへ話があるなら持っていけと、国会議員のお立場からいえば。私がその立場ならどうするかというお尋ねでしたから、私があなたの立場だったら、これは政府へ持っていけと、おれはこういう点を問題にしただけであると、やっていただきたいと思います。これは政府のほうにおきまして、先ほど申しましたように善処いたします。善処ということは、補償するとかしないとかということではなくて、まず外国の契約につきまして、外国側が場合によりましたら、これに対して好意を持って、たとえば、技術的な試験の対象にしたいとかなんとかいうこともあったかもしれません。その辺のところも国内だけでは実態が調査できないかもしれませんから、これはひとつその処理については、政府が善処いたしますからおまかせいただきたいと思います。  それから、本来こういうものは、今回のこの事件を大いに災いを転じて福としなければいけない。これは通産省のほうからお答え願うべき筋の問題ですけれども、特定化学物質取締法というものをあらためてつくりまして、そうして、この会期中にぜひ国会で御審議をお願いいたしたい。テクノロジーアセスメントの問題でございますけれども、今度のこの事件を大いに転じて福とするようにいたしたいと考えております。
  56. 矢野登

    政府委員(矢野登君) ただいま御質問のございました鐘淵化学の問題でございますが、イタリアのリッキ社に対する技術輸出の問題は、現在すでに契約が締結されておることでございますし、わが国の試験段階において、すでに厚生省で確認されておるというようなことでもございますので、飼料用の石油タンパクの安全審査の結果は、相手側に十分に輸出済みのものについては連絡をとりまして、進むように指導もいたしておりますし、さらに通産省としても、そうした問題が遺憾のないような方向をとっていきたいというように考えております。  なお、安全性の問題につきましては、わが国ばかりでなく、各国ともにいずれも現在審査中と聞いております。したがいまして、この問題につきましても、イタリアも十分に安全性の問題については、審査に遺憾ない対策を講じておるのではないかというように見ておりますので、通産省といたしましても、そのほうもさらに連絡をとりながら、万遺漏のないような対策を講じていきたい、こういうふうに考えておりますので、この問題は御了承を願いたいと思っております。
  57. 野々山一三

    野々山一三君 先ほど伺いました八回の延べ払いで幾ら銭受け取っているかということについてはいかがですか。
  58. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) ライセンス料といたしまして、八回のうち三回で五億一千八百万円、それから技術情報及びノーハウのフィーといたしまして七千八百万円、合計五億九千六百万円がすでに受領されております。
  59. 野々山一三

    野々山一三君 大蔵大臣、それは政府として責任をもって処置するということですね。
  60. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 通産省側とよく協議をいたしますし、それから先方との関係で、輸出先の国なり業者なりとの関係をもう一ぺん検査する必要もあるのではないかと思っておりますが、そういう点で若干時間がかかりますが、善処いたします。
  61. 野々山一三

    野々山一三君 先ほども触れましたけれども、これはちょっと文句になりますけれども、各省庁で調べたものと称して私のところへ届いたものと、それから、直接——ここにございますけれども、大日本インキから届いたものとが、引き合いにおいて大量の違いがあります。かような資料を国会に出す。何回も何回もつついても、うそのものを出して、そうして会社からきたものがそういうものであるということは、まさに国会法百四条に基づく資料要求、そういうものですということを私は何回も言っているんですが、それにもかかわらず、こうやってごまかされるということになると、たいへんな問題だと思います。  一つは、たくさん引き合いがあります、相手方との間によく連絡をして善処いたしますということばだけでは信用ができません。これは通産政務次官、大蔵大臣ともに伺いたいところです。これもとめるということをはっきり言明をなさったらいいと思います。そうすれば私は了解いたします。  それから第二に、輸入にかかわる問題であります。大蔵大臣にこれは伺いたいんですけれども、いま配られました——私が何回言っても、これは初めてきのう公式に。これは輸入の問題ですが、通産省の出してきた資料が、私のもとへいま配られたようですけれども、協和醗酵、これは歴然とBP社から技術輸入をしたもので、かかわりがございませんという説明です。つまり鐘化、大日本インキとはかかわりのないもので、石油タンパクとはかかわりのないものでござんすとして、かようなかっこうで商品化して売られているわけです。これをとめるということをしなければいけないと思うんです。  もう一言つけ加えましょう。私は、私の金で東京大学の某教授、都立大学の某教授、これに専門的に相当の金をかけて調べてもらいました。ところが、この第二の資料——届いているでしょうね。これによると、アミノヒットは、これは乾燥菌体であって石油タンパクじゃないと書いてある。構成分が違う。片一方のほうは、石油タンパクというものは構成分がかくかくと書いてある。右、左に書いてある。あなたもお忙しいでしょうから、私みたいにひまがないから、専門の大学の教授に調べてもらうなんというひまがないでしょうから、私がこう言ってもいかぬかもしれませんが、私は私費で相当の金を使ってやったところが、全部これは名前が違うだけなんですよ。これを国内的にはストップかける、——前に言われたわけですから、ストップをかけるということの立場で——輸入ですからあなたのほうにかかわりがあることです。これに対して見解を承りたいと思います。
  62. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 協和醗酵工業の石油タン。ハクの企業計画でございますが、昭和四十四年一月二十日にイギリスのブリティッシュ・ペトロリアム社からの石油タン。ハクに関します技術導入が認可になりまして、それからその技術をもとにいたしまして、協和醗酵におきましては、実験室におきましていろいろ実験が進められたわけでございます。ただ現段階では、実験プラントは中止をいたしまして動いておりません。なお、実験室でつくりました試作品につきましては、現在厚生省にそれを提出をいたしまして、厚生省の食品衛生調査会の安全審査を受けておる段階でございますけれども、まだ厚生省のほうの結論が出ておりません。  それから、先生の御指摘のアミノヒットでございますが、これは飼料でございますので、農林省からあるいはお答えいただいたほうがよろしいかもしれませんけれども、これはこの石油タンパク——導入いたしました技術によります石油タンパクとは違うように私ども伺っておりまして、昔からございますパンの酵母を使いまして、これを乾燥した粉末を基剤といたしましてこさえましたタンパクでございまして、原料も糖蜜であるというふうに私どもは聞いておるところでございます。
  63. 野々山一三

    野々山一三君 通産政務次官にも伺います。よく聞いてもらいたいんですよ。このごろ廃液タンパクというのがありますね。御存じですか。
  64. 矢野登

    政府委員(矢野登君) 技術面のことは非常に経験が薄いのでございまして、廃液タンパクということは承知しておりません。
  65. 野々山一三

    野々山一三君 おりません……。  大蔵大臣、廃液のタンパク、石油タンパク、アミノヒットはイーストというパンのかすである、こうおっしゃる。一体それを、私申しわけないが、あなたがほんとうに生産過程を含めて、全部材料を含めてごらんになったでしょうか。これは、厚生大臣にも、農林大臣にも聞きたいですよ。私は、この大日本インキ系及び大日本インキでは生産過程を全部見てください、見せますと言いますからいつでも行きます、すべての仕事をやめにして。そのときに一つけ加えますけれども、それを食べさせた鶏を料理に出しました。魚を料理に出しました。あなたは食べましたかと聞いたのです。私はこわくて食べませんと、こうおっしゃる。ほかのお客さんはいかがですか。ほかのお客さんはおいしいと言いました。何人おいしいと言いましたか、十人のうち二人はおいしいと言いました。あとの人はあんまりうまくないなとおっしゃいました。さようなものを——だから私は、この間、あなたにも伺ったんですよ。脳腫瘍、ガン、脳下垂体腫瘍、発育不全というものがあって死んだものもあるが、けれども、これは石油タンパクの危険性ではないと認められるが、という趣旨の答申しかないのでございます。食べましょうよ、私と一緒に。私と一緒に行きましょうよ、現物を全部……。通産政務次官、私は、あなたにたいへん申しわけないけれども、私はよくわからぬから知りません——こんなものを知らないはずはないですよ。知らぬということばはこういう国会だから言うんですよ。国会というところはそんなかってのいいところじゃないですよ。そうでしょう。政務次官に所見を伺いたい。私の言っていることについてのあなたの御感想を伺いたい、インタビューじゃないけれども
  66. 矢野登

    政府委員(矢野登君) 本日、農林省からもお見えになっておるようでございます。この飼料問題は農林省のほうの所管でございますので、そのほうからお答えを願えれば、野々山先生の御質問に的中したお答えができるんじゃないかと思います。委員長、お取り計らいをお願いします。
  67. 野々山一三

    野々山一三君 この前、私申し上げたが、これで時間がなくなってしまうと困るんですけれども。こっちは飼料だから農林省でござんす、こっちは食品ですから、人間のものですから厚生省でござんす。貿易の問題で伺いましょう。大蔵省としては、貿易の自由というたてまえがございまして、貿管令による四原則がございますから、それに抵触しない限りはかってです、こういうわけです。こんなことで一体人間にかかわりがないでしょうか。御感想をお伺いしたい。知らぬということばならけっこうですよ。委員会、やめます。大蔵大臣。政務次官も……。
  68. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来御答弁申し上げている私の気持ちはおわかりいただいておると思います。これはしかし、専門的な知識経験といいますか、技術も要る問題でございますから、それらに自信のない私がとやこう申すべきものではなくて、たとえばこれも、その専門的な立場からいって、石油タンパクであるかどうかということが、いま技術的に検討されている段階であると、私は常識としてさように了解いたしておりますから、そのほうの結論を待って処理する以外に方法がないと思います。  それから、大蔵省、おまえのところに関係があるぞと大いにおしかりを受けるわけですが、今度は大蔵省という立場から申しますと、御案内のように、関税定率法等によりまして、権限のある仕事以外はできませんから、毒物であるか、ないかという判定のつかないものに対して、よるべき税関としての行政的な権限がございませんから、そういう意味では私のほうは無関係でございます、何ともいたし方はございませんと、大蔵省の立場からいえばそうなんでありますが、そうするとおまえは国務大臣としてどうか、これが第二段のお尋ねですから、その面からいえば、まず、先ほど申しましたように、テクノロジーアセスメントといいますか、事前において十二分の科学的のチェックをするということが、国内的にはもちろん、そこで結論が出たものについては、輸出も阻止すべきであるし、輸入も阻止すべきものであることは当然であると、私はこういうふうに思います。
  69. 野々山一三

    野々山一三君 あなたも私も何とか何とか変てこな名前のものはわかりません、実際は。問題は、私は政治家としてのあなたにお尋ねしたい。政治論として^あなたと私の見解を話し合っているわけですね。そうでしょう。  その意味で、もう一回伺いますけれども、この協和発酵というところは、BP社というところから技術導入をしてつくったものですと、こう言うのです。このBP社と、大日本インキあるいは鐘淵が技術提携をして合弁会社をつくってルーマニアやイタリアに売るというのでございますね。そのものが石油タンパクでないか、あるかについては、私は私なりにない知恵だけれども、ない知恵だけに自分の金を使って学者に専門的に化学分析すればわかることですからね、これはやっておるのでございます。その意味で、政治論としてのあなたの見解を聞きたいということを私は言いたいわけですよ。これをお答えいただきたい。  それから第二に、貿管令なり、非常に四原則があってそれ以外はどんな商売やってもしようがないんだというたてまえだとおっしゃるわけですね。けれども、そこで一体どうするかについて伺いたい。事務当局との話によれば、本来この種のものをキャッチしてチェックすることができる法律をつくらなければ、これは処理ができません。けれども、行政通達としてでもそれを明らかにしてとめるようにいたしましょう、チェックするようにいたしましょう、こうおっしゃるわけです。そこで二つ問題があります。かような問題のあるものを輸出することけっこうだという立場をおとりになるでしょうか、これが一つです。  行政通達をするというならば、これはそれなりに私信用いたしますから、その通達全部ください。私もチェックさせてもらいます。同時に、そういうことができるなら、この貿管令の四原則の立場というものを改正する気持ちはありませんか。これが第二の問題です。  第三の問題として、あなたは、私が提示したテクノロジーアセスメント法的なものを考えるということで、法案要綱が出てきました。これは、私はあとでまた議論があるので、もう時間がなくなりましたからあれですけれども、これはぜひとも法律をつくらなければいかぬ。その際、これはうちの役所だ、これはうちの役所だ、これはうちの役所だというような考え方は、これはやっぱり間違いだということでございますが、あらためてあなたいまお答えがありましたけれども、立法措置をするということでありますから、それを念を押してお答えをいただきたい。  その際、この法案要綱を見せてもらいました。夕べもらったのです。これでは、言うところのテクノロジーアセスメント法あるいはマスキー法というような法律とはだいぶ違いますよ。この点では、この委員会に属するか、他の委員会に属するかは別といたしまして、私はここまであなたにものを言った立場として、十分な意見を採用してもらいたい。本来なら、議員立法で各党の皆さんにもこれは同意してもらって、議員立法でやらなければいけないものだというふうにさえ思うのです。その三つについて御見解を承りたい。
  70. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 第一の問題は、さっき私が申しましたように、お互いに政治家の立場として、要するに、疑わしいようなものについても、もっと誠意を持って処理しろと、それが国民の要望だと、こういう点については私も同感の意を表明して、ごもっともだと思っているわけです。ですから、行政的にも何かうまい方法があれば、また、相当疑わしき程度が高いものと想定されるものならば、何らかの善処策を講じたらばよかろう。関係官庁とも御相談をして善処いたします。これは、しかし、私の所管外の問題ですから、あなたと同じ立場というか、あるいは私は国務大臣の立場として常識的にお答えしています。  それから、二番目の行政通達を変える必要があるのではないか、貿管令について。これも所管から申しますと通産省の所管でございますから、本来なら商工委員会で御議論いただきたいところでございますが、第一の点と関連いたしまして、そういうことができるかどうか、ひとつ通産省あるいは農林、厚生省等の十分な御意見も伺って、私はさっきから善処ということを申し上げておりますが、善処の中の一つとして私なりの努力はいたしたいと思います。  それから三番目はテクノロジーアセスメント、これは昨晩お届けした要綱というのは、おそらく非常な大ざっぱなものではないかと思います。これはいずれ、まだ閣議決定もしておりませんから、十分法案として練りまして、早急に国会に提出をしたいわけでございますが、国会で十分御審議をいただいて、建設的なりっぱなものにしていただきたい、こういうふうに考えております。
  71. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 現在の輸出貿易管理令によりますと、先生御指摘のように、四つの輸出を政府がチェックをいたします項目がございまして、その四番目に輸出禁制物資というのがございます。これは麻薬でございますとか、重要文化財法によって指定されております重要文化財でございますとか、あるいは特殊の彫類とか、こういったものが輸出禁制物資として現在規制をいたしておるところでございます。  ただ、これらはいずれもそれに関します国内法がございまして、国内法でもともと輸出を禁止するようになっておりまして、それを受けまして貿易面で輸出を押えておるところでございます。現在石油タンパクは輸出貿易管理令におきます輸出禁制物資にはなっておりません。ただ、この商品としての石油タンパクの輸出は、現実に企業化を計画いたしておりました鐘淵化学工業と大日本インキが企業化を中止をいたしましたので、実験室での若干の生産は別といたしまして、商品としての生産は今後あり得ないわけでございますので、そういう意味での石油タンパクの輸出はなかろうかと存じます。問題はサンプルの輸出の点でございます。これは実験室で若干実験的につくっておりまして、技術輸出の場合の審査用ということで、サンプル輸出が過去にもあったわけでございますけれども、これの輸出をとめるかどうかということにつきましては、必要があれば行政指導の形で、会社が二社しかございませんので、通達か何か出しまして、そのサンプルの輸出を十分政府がチェックするというふうにいたしたいというふうに考えておるところでございます。  それから、もう一つのテクノロジーアセスメントの件でございますけれども、通産省としましては、昨年来のいわゆるPCBという化学物質が非常に環境を汚染いたしまして、現在その回収をはかっておるところでございますけれども、過去に何年かにわたりまして環境に出ましたものを回収をするのはなかなかむずかしい面がございます。したがいまして、今後はこういった危険な物質が環境に出る前に、製造の前に政府が事前に安全性のチェックをいたしまして、政府が安全と認めたものしか販売、製造をさせない、こういった立法を現在検討中でございまして、なるべく早く今国会に提案をいたしたいということで現在鋭意準備中でございます。
  72. 野々山一三

    野々山一三君 最後に、総括して三つぐらいになりますか、日本国内の事情を相手国たる——まあとりあえずはイタリア、ルーマニアですか、これに正確に現状を通達して、そして向こう側の検討ということになるんでしょうけれども、その通達内容を資料として出してもらう、これが一つ。  それから第二は、いま局長がおっしゃった鐘化と大日本インキだけなんだからというお話ですけれども、歴然と大日本インキから、その他の国からも引き合いがきておると、こういうわけですから、これらのその他の企業というものも一ぱいあるわけなんで、それに対して行政通達をするならば、その通達内容を全部示してください。つまりやめなさいということになるんでしょうけれども、そういうこと。その通達をきちんと出してください。  それから、第三に言えることは、このことは私の意見なんでこれでおしまいなんですが、とりあえずはおしまいなんですけれども、正直申し上げて企業が先行している。おわかりでしょう。企業がどんどんどんどんやっちゃって、そいつをあとで問題にするというような、立法化するというような姿勢というものは、私は政治論としては許されないことだろう、今日の事情からいって。先般も大蔵大臣に伺いましたけれども。そういう意味で順次もっと先行的に、法律が先取りをしていくと言っちゃことばは悪いけれども、先行的にこういう実態というものに対してチェックをする手段というものをおとりいただかなければいけない。これが一つ。  もう一つは、いろいろな合同調査会というようなものをおやりになって検討するとおっしゃるんですけれども、これが言うならば隠れみのになっているということは、私は厳格に言えると思います。一例を言いましょう。鉄道運輸審議会、まさにこれは隠れみのです。私の部下であった、あるいは議員であった者も委員にいます。せめて意見が違うなら少数意見でも出す、そしてそれを公開するというような民主的な構成ができるようにならなければ、この種の委員会でチェックするとおっしゃるけれども、あるいは合同調査会などでチェックするとおっしゃるけれども、これは当を得ないものである、これがこういうことになるんじゃないでしょうか。たとえば、外国で一ぱい問題がありましたですね。たとえば、超音速ジェット機の問題ですね。あるいはサリドマイドの問題、石油タンパクの問題、これはアメリカなんかでは公開してやっているものですから、だめだと言えばだめだということに先行しているわけですね。それは法律が担保してそれを先行させている。この点についてはひとつ意見ですけれども、大臣としてよくこの気持ちを受けとめてもらって、おっしゃるような特定化学物質取締法というようなものをお考えになる際に特に重視してもらいたい。これはあなたの一言の御見解をもう一回伺って、以上三点です、それで終わります。
  73. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ごもっともな御意見でございますから、概括的になるべくそういう御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。たとえば、審議会の問題などにいたしましても、隠れみのにするつもりは毛頭ございませんけれども、世上そういう批判も相当ございますことはよく承知しておりますから、審議会の構成等についても、十分各方面の意見が公正にあらわれるような仕組みにいたしたい、こういうふうに考えております。
  74. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 技術輸出と、それからサンプル輸出に関しましてのチェックでございますけれども、政府の統一方針に即しまして、その内容を厳重に大日本インキと、それから鐘淵化学に通達として出したいと思います。その資料は後刻提出いたします。また、それ以外の会社は現在実験を中止しておるところが多うございまして、先発二社が企業化をやめましたのでおそらくもう企業化は断念したと私どもは思っておりますけれども、念のためにこれらの会社が所属をいたしております業界団体の会長宛てに同じ通達を出したいと思っております。
  75. 多田省吾

    ○多田省吾君 大臣に二、三お尋ねをいたしますが、時間もございませんので簡明にお答えいただきたいと思います。  第一点は、国際通貨危機で、市場再開のめどは大体いつごろになる見通しなのか。EC諸国は一週間程度、今週一ぱいは閉鎖になるということでございますが、わが国はEC諸国に追随するのか、あるいは独自の立場で状況を見計らって再開するおつもりなのか。  それから市場再開のときは当然変動相場になると思いますけれども、前回の衆参の本会議の時点と比べれば、この変動相場制はどの大臣のいろいろな御答弁を聞きましても、少し長引くのではないか、こういうような見通しもありますけれども、大臣はどう考えておられるか。  それから、中小企業を中心にして、産業界が市場閉鎖に耐えられる期間というのは、やはりわが国の事情から見てどのくらいであるか、また銀行間の取引もできないという現状から見て、今週一ぱいくらいが限界ではないかと見られておりますけれども、これはどうお考えになっておるのか、これをまずお伺いいたします。
  76. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先週末東京為替市場を閉鎖いたしましたのは、当時政府として意見を公表しておりますように、ヨーロッパの為替市場が非常な不安定な状況にありまして、これで不測な事態が東京市場にも及ぶことが万一あってはならないという考え方で閉鎖したわけでございます。したがって、単純にヨーロッパが締めたから締めるとかいうような考え方よりも、日本として不測の事態というものの危険性がなくなった、あるいはきわめて少ないということになれば、できるだけすみやかに再開することを考えるのは当然であると思います。基本的な考え方を申し上げればそういうわけでございます。  それから、不測の事態とは何ぞやということになりますと、いろいろヨーロッパあるいは欧米といいますか、あるいは世界的に不安定な状況でございますから、周囲のこうした状況から見て、市場関係者の思惑が高まったり、市場の秩序が乱れるようなことがあってはいけないという考え方でございます。  それから、取引所を再開いたします時期は、いま申しましたように、そういったような考え方について、開いてだいじょうぶだという情勢がなるべく早くくることを期待しておるわけであって、いつから開くということはまだ明言できる状況ではただいまの瞬間はございません。  それから、市場再開後の変動為替相場はいつまで続けるのか、これは適当な期間続けることが妥当である、これは現在の世界的なこういう状況からごらんになれば、専門的な方だけではなく、私は常識的にもこれがジャスティファイされるのではなかろうか、こう考えます。だんだん世界的にも落ちついて、かつ固定相場制に戻るということが適切であるという判断ができるようになりましたらば、そのときにそれに適応するような態度をきめるべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。
  77. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほど質問しました中小企業を中心とした産業界がほんとうに市場再開が今週一ぱい続けば輸出等にお手あげがあるんじゃないか、こういう心配があるわけですが、大臣はどうお考えになりますか。
  78. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は、その点が答弁漏れで恐縮でございましたが、二つの面がございますが、一つは、輸出関連の中小企業対策については、前回の委員会で申し上げましたように、一々こまかく繰り返しませんが、もう万全の措置を用意いたしております。財政的には、年度末でございますから、予備費の使用見込み残高もほとんど確定いたしておりますが、百二十億余りは何どきでもこれに投入できますし、それから、財投関係で言えば、たとえば、この前、一昨年は千億程度ということがよくいわれておりましたが、まあ額をしいて言えと言われるならば、少なくとも千五百億でも、それ以上でも十分用意はいたしております。これは一般会計の予算などと違いまして、地方により、地域により、業種によって、あるいは各企業の立場によって違いますから、できるだけそれらの方々の御要望を取り上げて、そしてケース・バイ・ケースに処理していくわけですから、結果においてこれが二千億になったとか、三千億になったとかいうことはあり得ると思います。  それから、もう一つの面は、為替の問題でございますが、ある程度閉鎖を続けましても、その間において為替対策上もできるだけ中小企業の輸出関連の方に御心配をかけないように、十分の手当てをするつもりでございます。
  79. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前に続きまして法人税の問題でお尋ねしたいんですが、私は、やはり福祉経済に移行するという、転換するという限りにおいては、やはり法人税は高くして、それで所得税等は軽減すべきであると、このように思います。また前回は、昭和四十八年度においては、どうしても大臣は、課税対象を拡大したんだからいいんだと、こういう御答弁です。しかし、課税対象の拡大といっても、一部の大企業優先のいわゆる特別措置を少し改善したり、あるいは固定資産税を少しふやしたという程度で、これは当然のことであって、まだこれでも足りないと思います。ですから、率の問題も昭和四十八年度から私はやるべきだと思いますけれども、さしあたり、まあ一・七五%という付加措置は特別措置でございますから、昭和四十九年度からは当然、本委員会の答弁にも前にありましたように、法人税法を根本に、よって改めなければならない時代だと思います。もうすでに大臣も御存じのように、東京都におきましても、大企業に対する法人関係二税、都民税と事業税の税率を引き上げる、こういう考えでいるようでございます。私は、当然昭和四十九年度からの法人税の引き上げは、昭和三十年と同じように四〇%以上にすべきであると思いますけれども、私は、まさか三六・七五%以下ということはあり得ないと思いますが、大臣は、四十九年度以降の法人税の引き上げはどのようにお考えですか。
  80. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私はもう率直に申し上げているのでありますけれども法人に重課して、そして特に勤労階級の所得税をできるだけ減税したいというのは念願なんであります。そこで、四十八年度の税制改正におきまして、結論として政府としては法人税については課税対象を広げる。それから、固定資産税を相当上げる。それから四十九年度から失効になりますが、土地税制を新しく制定をする、これが四十八年度の課題である。そうしてこれが最も適切であると、政府はこういう確信を持っております。同時に、四十九年度以降においては税率にも手をかける時期が来つつある。そういうことを念頭に置いて、御案内のように、こういった税制を総合的に改正するということは、いま意見を出したからといって、二、三日でできるものではございません。税制調査会というものが、内閣直属でできているのも、そういった趣旨からであろうと私は思いますが、十分時間をかけて、そうして租税制度の上で直間相互間の案分をどうすればいいか、直接税の中ではどういうところにどういうふうにしていったらばいいか、あるいは地方税との関連をどう考えたらいいか、これはほんとうに、何と申しますか、国民生活にも、あるいは産業活動にも万般に非常に影響の大きい問題でございますから、十分時間をかけて、しかし、一つの基本的な考え方を基準にしてとっくりやるべき問題である。したがって、将来の方向づけとしては、いま申しましたような考え方でございますが、当年度においては、御提案申し上げておりますものが、政府としては一番よい選択であると、こういう確信を持って御提案申し上げておりますから、せっかくの御提案ですが、四十八年度で法人の税率を四〇何%に引き上げるということは政府としては考えておりません。
  81. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、四十九年度においてはどう考えるか。
  82. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたとおりですね、四十九年度は一年先なんでございますから、その間におきましていろいろの資料を検討し、バランスをとって考えますが、一口に言えば、法人税は重課の方向で、そうして勤労所得税は軽減の方向で考えるべきものであると思っております。
  83. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後にもう一点お尋ねしますが、午前中も竹田委員から証券局長に対して、いわゆる協同飼料時価発行に伴う株価操作の問題で緊急質問がありました。私は、一点だけ大臣の決意を聞きたいのですが、いままでも大蔵省はいろいろ証券界あるいは会社に対して注意をしたとは言っていますけれども、全然その注意がさいていないわけです。アメリカなんかも株価操作は一九三四年ごろまでは非常にひどかったそうですが、最近は証券取引委員会——大統領任命で、しかも、それがいろいろ告発もできるという体制をとっておりますので、そういうことはだんだんなくなっていると聞いておりますが、日本においては非常にひどいわけです。それで最近は、これは具体的な追及が非常にむずかしいものですから、推理小説なんかにもばんばんそういう株価操作の問題が出ている現状です。この件で先ほど証券局長は、届け出書段階でディスクローズを考えているとか、株主優遇のための引き受け証券会社に対する注意とか、あるいは食い逃げした会社には二度と増資できないようにするとか、そういうような対策を考えているということでございますが、これ以上のものが大蔵省としてできないものかどうか。またいつごろそれを大臣はやるつもりなのか、この前の衆議院でも、大企業のみならず、証券会社からもだいぶ自民党は政治献金受けているじゃないかと、こういう証券界と政界の癒着ということもいわれておりますけれども、やはりこれは大蔵省しかはっきりこういう問題はいま現状においては注意するところはないわけです。大臣として、こういう問題が今後起こらないためにどう考えておられるか、はっきりひとつ御答弁願いたい。
  84. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 証券行政については私もかねがね考えるところがあり、したがって、就任と同時に、証券行政については特に私としては意を用いてきたつもりでございます。一口に言えば、取引所法の、要するに、現行法制内においてなし得る限りのことは、証券局長から御説明をいたしましたように、適時適切な手を打ってまいっておりますし、今後もますます打たなければならないと思っております。証券行政直接の面だけからではなく、大蔵省としては金融政策の面からも相当のきびしい手を具体的に打っておることは御承知のとおりと思います。その中には、たとえば、証券会社に対する立ち入り検査というか、調査ということも現に行なっていることも御承知のとおりと思います。  それから、時価発行の問題に特に御言及になりましたが、これは御案内のように、資金調達の方法が多様化している今日においては、特に時価発行ということは、本来なら企業の自己資本充実の点からいいましても、私はけっこうなやり方であると思います。そうして時価発行について、いわゆるプレミアムについては、申すまでもなく商法上の厳重な規定もあるくらいでございますから、こうした基本的な体制が十分守られている範囲内の時価発行というものは、それなりに私は大きな意味があると思います。ところが、違法的な、あるいは違法すれすれのような、たとえば、株価操作その他のことが行なわれつつあるという風評をよく聞きますが、こういう点については、証券行政として最も厳粛に指導監督をしなければならないところでございますから、この点については、特に重点を置いておるつもりであります。まことに、こうやっておるさなかに、司直の手が入るような事件が起きましたことは、これは監督行政の立場からいって、まことに遺憾に思っておりますが、しかし、こうしたようなことでありますが、反省をすると同時に、ますます御期待にこたえるように、証券行政の充実ということに十分意を用いなければならない、こういうふうに考えております。
  85. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大臣に三つばかり伺いたいのですが、最初に、いま再開されて変動相場制に移行した場合、適当な期間というお話があって、それがだんだん落ちついて、固定相場制に移行するのがよいという時期という話でございます。この前のときまでのニュアンスといいますか、今回の市場閉鎖になる前までの感覚では、予算が通過したそのあとの時点というふうな感覚をわれわれ持っておったわけでございますが、それ以上になっていくのかどうかという点、それをひとつまず伺いたいと思います。
  86. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 政府としては、予算云云ということは何も申したことはございません。当初から——私は、少し軽率で早とちりであるかもしれませんけれども、私自身は、変動相場制というものは、最近においては日本人には耳なれないことばであり——おととし一回四カ月ありましたが、何かこれは変動という名前があるから、あまりよくないことであるかというような考え方もあるかもしれませんが、私は妙味のある制度であると思います。あえて戦前を思い出すわけではございませんけれども、変動相場制というものは、一つのりっぱな制度だと思います。そういう点から申しましても、国際的に不安な状況であり、そうして一昨年も日本としては相当な苦労な経験もした、こういうことを考えてみましても、適当な期間、変動相場制をとるということは、この際とるべき選択としてはよい選択である、私は、こういう確信で変動相場制に踏み切ったわけでございます。したがいまして、適当な時期というものが、どういう時期を選びますか。御案内のように、今日ではどなたも、それならそれ以外にどういう方法があるかということについては、率直に申しまして、聞くべき御意見もないように思います。ひとつとっくり国民的な英知をお借りをしながら対処していきたい、文字どおり適当な期間継続すべきものであると思います。
  87. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  88. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記を始めて。
  89. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 一つは、田中総理が、昨年の補正のときに、GNPに対して補正予算で一兆円程度の寄与になり、四十七年度の黒字幅が国際収支において三億ドルから五億ドルは縮小するであろう、これは一次産品の自由化と同じ効果になるというお話があったわけでありますけれども、それだけ相当なメリットがある、四十八年度と合わせれば、黒字幅の減少が十億ドルから十五億ドルになる、こういう話があったわけであります。はたして、もうすでに三月も半ばに来ようとしておりますが、いまのところの見通しで、四十七年度、はっきりとこの補正の効果として、この総理の言われたようなドルの、いわゆる国際収支の減少がどの程度見込まれるのか、この点を一つ伺いたいと思います。  それからもう一つ。時間がないようでありますから、委員長からの注意もありましたので、もう一つ聞いておきますが、それは、けさ私は知ったわけでありますが、ファミリー・フーズという資本金二千万、従業員三十四人の会社が倒産をいたしました。食品を扱っているという会社でありながら、倒産の原因は、株式投資によって五億六千万円の損害をしたということがあるわけです。これは一時は非常によかったけれども、今回の株の相場が下がったということによって大きな損害をして倒産をしている、関連企業にかなり響くだろう、こういうことが述べられている。これは通産なのか、農林なのか、どこなのかということは非常な問題なんです、この会社自身がいろいろなふうになっておりますので。ですが、ひとつ内閣としても考えてもらいたいし、大臣としても、株の問題もからんでいることでありますが、企業がそういうような本来の業務を離れて、そうして株式投資によって倒産をしなければならないというような、こういう姿勢というものがいいのかどうか、これはかなり強硬に政府としても姿勢を正させる方向をとらなければいけないだろう、こういうことを考えられるわけですが、大蔵大臣としてのそれについての考え方、これをひとつ伺いたいと思います。
  90. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 第一の御質問は、時間の関係もございますから、きわめて簡単にお答えをいたしますと、あの臨時国会で田中総理が答弁申し上げたのは、速記録をいま持っておりませんからさだかでございませんが、たしかある学者などの調査によれば三億ドルないし四億ドルと申し上げたのではなかろうかと。あのとき私は委員席から聞いておりましたが……。
  91. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 違いますよ。
  92. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) たとえば、四十八年度予算を執行すれば、ある学者グループの計量研究者の一つの試算によりますと、三十億ドルぐらい国際収支の改善、つまり日本の輸出が減り、輸入がふえる、その締めが三十億ドル以上の効果があると算定しておられる学者グループの方がおられます。で、おそらく私の見ましたその計量の、補正予算のときの研究の数字をそこにあげたんだろうと思います。これは確かにそういう研究者のグループの数字としては出ておる数字でございます。  それから第二の、ファミリー・フーズというのは、新聞で私も見ただけでございますけれども、この会社は、有価証券報告書の提出の義務を持っている会社でないものですから、いま大蔵省にある資料でもってその財務内容等を御説明申し上げられません。しかし、一般論として言えば、株式投資というものについては、投資をされるほうの方もある程度のリスクがあるんだということはわきまえていただかなければならないし、同時に、証券行政としては、大衆の投資家保護ということを旨といたしておりますことは申すまでもないところでございます。
  93. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 全く時間がなくなりましたので、いろいろお伺いしたいんですけれども、これから日をかえてお伺いする、いわば前段というような形で一点だけお伺いします。  それは、国際通貨の動きを大筋としてどうとらえていくんだろうかということなんですけれども、イエスかノーかのお答えでけっこうです。前回お尋ねしたときに、ドルの一〇%切り下げというのは、基軸通貨国がみずから価値を動かしたという意味で、信認低下のおそれはないかとお伺いしましたら、いろいろ問題があるとしても、信認回復につながる第一歩だと思う。その御判断はいまでも変わっておりませんでしょうか。
  94. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私も長い目で見れば一歩そちらに向いているだろうと思います。いまでも変わっておりません。しかし、何といっても根本は、ごく最近のヨーロッパの動きを見ましても、ドルの信認が低下している、これが原因であるということはおおうべくもないことではないかと思いますから、これはアメリカとしても、よほどこれは建設的に、またみずからの責任をわきまえた建設的な対策を講じてもらわなければならない、こういうふうに思います。
  95. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまのお答えの中に入っているような気もするんですが、あえて重ねてお伺いいたします。去年の秋以降大蔵省から出される感触というのは、ドルは回復基調に大体乗ったようだ。したがって、円の再切り上げを迫る声は聞かれなくなった、どちらかというと楽観的な見方が流されておりました。これもドルの信認に対する大筋としての評価の問題だと思いますが、当時の大蔵省御判断はいまでも変わっておりませんでしょうか。
  96. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはあの当時、昨年の秋あたりの、いろいろの国際協議の場などにおいて出された意見などの中から取り上げた意見の中では、通貨のレートの改定だけが問題解決の要素ではないんだという趣旨の意見が出ておったことは御案内のとおりでございます。そういうところに触れて大蔵省も、あるいは情勢を分析の一助にしたということはあったかと思いますけれども、国際的な情勢はきわめて流動的であるし、またよく世間で話題になりますように、ベトナム戦争が停戦になったのに、そしてドルは信認が回復するであろうにという期待があったのにかかわらず、現実は一〇%の切り下げをしても、なおかつそれによって信認が低下したというような状況になっている。この状況下においては、おのずからこの事態の上に立った認識と対策と日本としての要請というものがなければならない。私はこういうふうに考えています。
  97. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間ですからやめます。これはお答えの必要ございません。  お話し伺っておりまして感じますのは、 ヨーロッパの今回の通貨不安というものは、局地的な、どちらかというと国際通貨問題という本筋から離れた、例外的な感じの御説明が片方であるかと思いますと、片方では、変動相場制はそれ自体りっぱな制度だというお話しがございます。ただいまのドルの信認に対する見方とあわせて、たいへん理解しづらいのです。したがいまして、機会をあらためてでけっこうですけれども、この点について明確な大蔵省としての展望を、ぜひお聞かせいただきたいとお願いして質問終わります。
  98. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 通産大臣に申し上げます。  去る九月二十二日の本委員会における野々山委員の質疑に対し、石油タンパクに関する輸出の取り扱いについての政府の統一見解が保留されておりましたが、この際、中曾根通商産業大臣の発言を求めます。
  99. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 石油タンパクに関する政府の統一見解を申し上げます。  飼料用石油タンパクの安全性については、現在までのところ、厚生省食品衛生調査会において実験段階における安全性は確認されましたが、企業段階における安全性は、今後の確認にゆだねられていたところ、関係企業企業計画を中止したため、その確認ができないままになっております。このような経緯にかんがみ、飼料用石油タンパクの製造技術及び商品サンプルの輸出に対し、十分な指導を行なわないことは適切でないと考えられるので、下記の方針により慎重に対処する必要があります。  第一、技術輸出。今後本邦企業から石油タンパク製造技術を外国企業等へ技術輸出したい旨の申請があった場合は、相手方に対し、わが国の飼料用石油タンパクの安全性に関する最近の経緯を十分連絡させ、それでもなお相手方が当該技術の導入を欲する場合においても、相手国政府の了承が得られた場合以外はこれを認めないことといたします。  なお、鐘淵化学工業がリッキ社に対して行なった技術輸出についても同様、同社に対し、上述のような方針に従い指導を行なうとともに、目下、イタリア政府が審査中でありますので、その推移を慎重に見守ることといたします。  二、商品サンプル輸出。本邦において企業化を計画していた二社がその計画を中止しましたので、商品自体としての輸出及び宣伝用のサンプル輸出はあり得ません。  ただし、試験研究用としてサンプルの輸出があることが考えられますが、この場合は、当該サンプルが試験研究用に使用されることが確認され、かかる旨に基づく相手国政府の了承がない限りは、これを行なわないよう行政指導を行ないます。  以上でございます。
  100. 野々山一三

    野々山一三君 これは厚生大臣にも同時に伺いたいんですけれども、大日本インキ及び鐘淵化学の両社が、国内で工業的なプラントをつくる、生産をやめるということを、見解を述べたわけですね。これはどういう根拠でそうなさったのでしょうか。その正当な理由をひとつ伺いたいのです。これは通産大臣のいまの統一見解にもからみますが、両者から伺いたい。
  101. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 石油タンパクの問題につきましては、私どものほうの食品衛生調査会において、実験段階における安全性の問題について審査をいたしてまいりました。その結果、実験段階におきましてはその安全性を確保しましょう、こういう結論が出たわけでございますが、安全性を実験段階で確認したからといって、直ちに製造販売までしていいというものではない。すなわち、工業的試作品の段階において、もう一回厳重な国家機関の検査を行なった上で、イエスとなった段階において飼料として製造をしていただくようにということで、農林省にその旨を申し入れて、農林省も、試作品の段階において、安全性が確保された段階において製造をさせるようにいたしましょう、こういうことに相なっておったのでございますが、その間、企業側において自主的に製造をやめましょう、こういうふうになったと承知いたしておる次第でございます。
  102. 野々山一三

    野々山一三君 通産大臣、輸出及び工業的プラントを準備をする、その許可を与えておるわけでございますね、すでに。それがいまのことばは非常にインチキなんで、行政指導をした結果ということを山口政務次官は新聞などでじゃんじゃん言っておられる。自主的になんということばをあなたが使うのはおかしい。やめさせるということを言った。先ほど大蔵大臣は、通産局の事務当局の皆さんを含めて行政通達でやめさせます、その資料を出します、こう言ったんで、あなたと見解は違うじゃありませんか、これが一つ。さようなことを言っていると、あなたの時間が来ちまうな。いつまででもやりますよ、これが一つ。  それから、通産大臣、実はですね、すでにあなたのほうが許可を与えているわけですね。そして、契約を結んでいる。これはイタリアですね。これはもうすでに先ほども大蔵大臣との話の中で明らかになりましたが、五億なにがしという金を受け取っておる。率直に申し上げます、もう一回。私がこの問題を問題にしたために、国家として補償問題が起こる、外交上の問題がある、わが社はつぶれる、野々山、君は補償するかというところまで来たんです。これは外国の問題ですね、輸出の問題。これはやっぱりはっきりとやめる、一たんキャンセルするということを、国内でやめさせるんですから、やめさせるというのは、行政通達でやめさせたんですから、幾ら厚生大臣がそんなことをおっしゃってもだめなんです。事実やめさせたんですから、外国へそんなものを輸出したら——あんた判こを押したんだ。やめさせるということをしなければいけない。ことばではやわらかいけれども、やめさせるということをするお考えはございませんか。両者にもう一回あらためて伺います。
  103. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) おっしゃることは筋が通っておるようにも思いますけれども、現段階におきまする情勢判断といたしましては、実験段階において安全性が一応確認されておりますという状況でございますから、そういう状況をつまびらかに相手国政府あるいは相手国企業に対してよく説明して、にもかかわらず、それでも技術提携なり、あるいは技術を借りたいというものがありましたならば、これはそれを押しとどめるというところまではいかがかと思うわけでございます。もし、日本国内における実験や、あるいはその他において不都合なところがありましたら、これは即座に禁止すべきものであると思いますけれども、一応実験段階において害がないということが確認されております現状からいたしますと、その程度の処置はやむを得ないと、そう思います。
  104. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 私は実は自主的にと申しましたのは、命令をしたのではないといったふうな意味において、やわらかく申し上げたつもりでございましたが、まさしく行政指導によるものでございます。
  105. 野々山一三

    野々山一三君 通産大臣、国内で、厚生省にかかわるわけなんですけれども、食品衛生調査会で安全性について一応オーケーという答申が出たのでということが前提で、私の言うことは筋が通るけれども、とめるわけにはいかぬと、こうおっしゃる。あなた、世界保健機構御存じでしょうか。ここでは、国際的にかようなものはやめるべきであるということを告知する義務があるということがきめられております。日本はWHOに入っていないんですか。かかわりがないんですか。そこを、もし、かかわりがないとあなたがおっしゃるならば、日本という国は、エコノミックアニマルだといわれるわけですね。それが一体国益に合致するんでございましょうか。あなたの見解をまず聞きたい。  それから、アメリカでは、こういうものをやっちゃいけないということになっているから、アメリカではやってませんね、私の知る限りで言うと。ソビエトあるいはイギリス、イタリア、ルーマニアなどではやってますけれども、アメリカではやってないわけですよ。あなた方の好きなアメリカでさえもやってないんです。さえもと私言いましょう。そうすると、あなたは、私の意見は筋が通っているように思うけれどもと言うことばの裏に何があるか。意見です。結局企業との癒着じゃありませんか。これが一つ。  第二には、企業が先行しているじゃありませんか。そのためにあなたのほうでは手が打てない。だから、いまあなたがお読みになったものとは違う文書がここにおたくの役所から来てます。「四十七年一月イタリアのリッキ社に対して行なった技術輸出については、この技術による製品の安全性について目下イタリア政府が審査中であるので、その結論に委ねることとする。」これはどうも四月ごろには生産になるわけですね。もう金ももらっているんですからね。金をもらっている。八回の延べで三回分、五億何千万というのをもらっているんですからね。そこへいくと、世界的な機構——世界的なというのはWHOそのものでも問題になる、アメリカでもだめだという。それが通産省、おたくのほうで一体しようがないではないかというようなお扱いは私には同意できない。あらためてもう一回伺います。
  106. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) イタリア政府の場合は、イタリアの国においてまだ着工はしておりませんで、イタリアの厚生省において審査中なそうでございます。  なお、先ほどお話のございましたWHOの取り扱いは、石油タンパクの検査基準を示したんだそうでございます。ところが、日本の厚生省の基準は、より厳格な基準をつくって、その実験を一応通過したと、こういうことのようにいま聞きました。
  107. 野々山一三

    野々山一三君 あなたも時間がないから、ことばのやりとりではあれですけれどもね。逆輸入が起こるということの想定を私いたします。つまり、日本では中止をしたと、イタリアではものをつくる、それで使います、これが日本へ戻ってくる、品物で。これをごらんでしょうか。アミノヒットというものはBP社、つまり大日本インキと技術提携をしている会社がつくっているものなんです。これは現に日本へ来てるんです。先ほど四十四年というお話がありましたが、四十四年じゃないんです。私の調べた限りでは四十一年からです。つまり、逆輸入されたら一体厚生大臣、あなたはどうお考えなんですか。通産大臣、どうお考えなんでしょうか。
  108. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまお話しになっているイギリス、フランス等においてはすでに独自に生産を行なっておる由でありますが、これからの輸入もあわせてもちろん考える必要はありますが、いずれもしかしこれらは、生産能力から見て輸出余力が乏しいと考えられ、かつ従来も製品輸入の実績はないそうでございます。なお、要すれば、輸入業者等に対して石油タンパクが国民的合意を得られなかった現状にかんがみ、その輸入は行なわないように指導する所存でございます。
  109. 野々山一三

    野々山一三君 そんな指導という抽象論じゃなしに、輸入しません、こういうふうに言えませんか。これが一つです。  それから、時間がありませんから、次に、さらにこの問題で言いますが、鐘化及び大日本インキ以外の数社にもやはりこれの引き合いが来ているということがはっきりしておるわけです。そういう引き合いが来ておるというやつをとめるというお気持ちはありますか。これが第二の問題です。
  110. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まだ実験段階でございますので、いまの二社以外には引き合いが来ているのは、通産省の調査ではない由でございます。
  111. 野々山一三

    野々山一三君 そういうふうにおっしゃると、この時間ではとても足りません。大日本インキからはっきり出ていますよ。これは会社資料です。あなたちょっともう少し連絡してもらわないと……。これは質問保留いたしますよ。これは質問を保留いたします、厚生大臣、次の機会に。  それから厚生大臣、あなたのほうが食衛法四条審議のときに、これは食衛法だからということでおっしゃっておる。ところが実際は、これは石油タンパクを土台にしておることが立証されているんですね、記録なんかにも。これはやっぱり非常に法律をつくるときの説明がインチキだと私は思うので、こういうことはやめてください。責任持ってこういうことはさせぬように、これがひとつ。  それからその次に、食品衛生調査会そのものの構成がきわめておかしい、私は一言に言います。ある婦人団体の何とかという人、私は直接会いました。私は申しわけないけれども何にも知らぬのですけれども、先生方おっしゃるものだからいいと思いました。とおっしゃるんです。そういうものをもってして、そういうものがなした調査会というものが安全と答申をしたらそれでよろしいという考え方は間違いである。立法措置を講じてでももっと公正なものにしなければいけない。これがあなたのほうに対する私の注文です。見解を承りたい。  あと最後、通産大臣、実は、特定化学物質取締法案というものの要綱らしき概要というものを夕べもらいました。これは私が前から言っているテクノロジーアセスメント法などを例にして、日本でやはりこの種の技術開発というものが、この種と言っちゃおかしいが、人間の知恵を集積さして、技術開発というものを進めていくということは頭から悪いとは思いません。しかし、そういう意味でテクノロジーアセスメント法というような構想を提案をしたわけです。その結果がこういうものに出てきたんです。これは私は善意だと認めます。ただし、この中身は、外国の例などなどを見てみまして、いまあなたのほうでおっしゃったかもしれませんけれども、公開するとか、十分に審査するという手段あるいは構成、そういうふうなものについてももっともっと私は意見を、新しい意見を入れなければいけない段階にきておるというふうに思うんで、これは技術的に私はこれこそまさに各党共同提案でもいいと思う。しかし、そんなことを何も言わぬでも、あなたのほうでこの趣旨をせっかくこういうものをお出しになる、この国会で出すと言うんですから、その際十分にぼくが指摘しているようなものを採用する立場で、法律を成立させるということ、この国会で成立さしたい、こういうことを大蔵大臣は言われたんですけれども、あなたにもこれについて最後に確認の意味で伺いたい、以上です。
  112. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 特定化学物質のテクノロジーアセスメントは、PCB等の経験にもかんがみまして、ぜひ必要であると思いますので、今国会に成立さしたいと期しております。その法案を作成するに際しましては、できるだけ広い世論をお聞きする必要があるとも思いまして、この審議会の中には主婦連の代表とか、消費生活協同組合の代表とか、あるいは新聞、放送あるいは学識関係の方々、そういうことの人も委員に入れまして、幅広く御意見を徴せるようにいたしていきたいと思っております。
  113. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) お尋ねの食品衛生法の審議の際に、非常に不明確な説明をいたしました点はまことに申しわけなかったと、かように考えております。以後十分注意させるようにいたしたいと思います。  なお、食品衛生調査会のお尋ねでございますが、あくまでも公平な調査が行なわれますように、いやしくも世間から誤解を受けないようにしなくちゃならぬという点につきましては同感でございまして、今後ともそういう方向で努力いたしたいと思います。
  114. 野々山一三

    野々山一三君 ぜひそれを遺憾なく、おっしゃるようなことがなるほどなと思えるような結果を形成してもらいたいと思います。その意味で、あなたのほうは新聞などを通して記者会見などで、新しく厚生省は再検討する、あらためて検査をする、こういう立場をおとりになったわけですね。そこで、これはひとつあなたに注文なんですけれども、農林省に言わせるとこれは飼料、通産大臣お帰りになっちゃったけれども、初めて飼料と言う、飼料石油タンパクとこうおっしゃる。私どもに出てきたのは、飼料なんとかいうことは一ぺんもおっしゃらない。これはやっぱり非常にまずいことでして、やはり結果として人間が食べるのです。そのことを考えるならば、法律のいまの足りないところを補うということの立法措置をあなたはとるということをたしか衆議院のほうで言われたようですけれども、この構想を前もって示してもらいたい、これをお願いをいたします。  それから第二に、これは大蔵省及び通産省、農林省、いずれにも関係いたしますが、これは一元的な立場でものをながめなければいかぬのでして、正直に申し上げて、厚生省へ行くと、そんなものは——われわれ人間の食うものだ、農林省へ行くと魚や動物の食うものだ、通産省へ行くとこれはわしどもはそういうことについては云々と、こう言われる。大蔵省へ行くとこれは貿易の自由ですからということ。それでは、まさにてんでんばらばらになることはおわかり願えるでしょう。一元化というものについて、あなた厚生大臣という立場のみならず、国務大臣としてその責任をとってもらって、そういう処置をしてもらいたい。これについてのあなたの見解を伺いたいと思うのです。
  115. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 御意見にありましたように、こうした問題はやっぱり政府部内においても一元的な統一的な態度で臨んでいくべきものである、こういうふうに考えておりまして、今後もそういう方向で努力をいたしたいと思います。  それから、なお、法制上のギャップの問題があるわけでございます。この問題については厚生省がとか、農林省とかいう、なわ張りとか、そんなもの離れまして、やっぱりどこかしら法益的に穴があるような感じがいたしておりますので、いま事務当局にも何かそういう穴があるんじゃないかと、ひとつ研究してくれということで、いま研究を指示しておる次第でございまして、まだ成案は得ておりませんから、いずれ成案でも得ましたら、いろいろ、皆さん方の御意見もお聞かせいただくようにお願いしたいと考えております。
  116. 野々山一三

    野々山一三君 最後に。  これは大日本インキですかね、契約書の別紙の中にこういうことが書いてあるのですよ。延べ払いの条件の中に、「当社製造技術の日本厚生省認定后三週間以内」に二億七百六十万円を支払う。銭受け取っちゃったんです。あなたのほうはなんで認可したんです。キャンセルするということにしなさい。取り消しなさい。いかがですか。何の根拠であなたのほうは認可をしたか。認可をしちゃった、銭もらった、それが問題だというのが通産大臣のお答えなんです。あなたのほうはキャンセルするということでなければいかぬ。  それから、もう一ぺんうけ加えるがね、大日本インキのある人と言いましょう、私のところへ参りまして、わしのほうは何億何千万もらいました、あなたがああいう質問したためにわが社はつぶれます、わが社は相手方との間にたいへんな信用を失います、そのために損害賠償請求を受けます、その銭はあなた払いますかと私に言ったんですよ。払いましょうと言った。ぼくは銭はない、けれども払いましょうと言った。その動機は何ですか。あなたのほうにも責任がある。ここに書いてある。原文も見せましょう。これはひとつ、化学工業局長でない、厚生大臣にずばり聞きます。
  117. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 私はわからないな。
  118. 野々山一三

    野々山一三君 私はわからないと言ったって……。
  119. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 私のほうでは認定をいたしておりませんので、承知いたしておりませんが……。
  120. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 鐘淵化学工業のイタリアのリッキ社との契約別紙によりますと、第二回目の支払いは、この製造技術につきまして日本の厚生省が安全を認定したあと三週間以内に支払うと、こういう別紙になっておりますけれども、先方側が厚生省の認定がなくても払いますと、先方から申し出て二回目を払ったように聞いております。
  121. 野々山一三

    野々山一三君 あなたね、あなたに恥かかせるわけじゃない。これはあなたの役所から出てきた文書ですよ。それにはね、私が読んだとおりの文書なんですよ。厚生省が安全を認定したらなんて、そんなこと一つも書いてない。当社製造技術の日本厚生省認可後三週間以内に(二億七百六十万円)払うと書いてある。安全が認定されたらなんて一言も書いてない。なぜ、そういううそを言う。なぜ、そういううそを言う。なぜ、そういううそを言う。なぜ、そういううそを言う。帰って一ぺん調べていらっしゃい。  ちょっと委員長、これは悪いけれども、この問題が明らかになるまでちょっと委員会を休ましてください。
  122. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  123. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記を入れて。  暫時休憩をいたします。    午後一時三十二分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————