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1973-02-02 第71回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年二月二日(金曜日)    午後零時二十分開会     —————————————    委員異動  一月二十七日     辞任         補欠選任      前田佳都男君     中西 一郎君      横川 正市君     野々山一三君      松永 忠二君     田中寿美子君      吉田忠三郎君     川村 清一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 正明君     理 事                 嶋崎  均君                 土屋 義彦君                 戸田 菊雄君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 河本嘉久蔵君                 柴田  栄君                 中西 一郎君                 田中寿美子君                 竹田 四郎君                 野々山一三君                 鈴木 一弘君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  愛知 揆一君    政府委員        大蔵政務次官   山本 幸雄君        大蔵政務次官   山本敬三郎君        大蔵大臣官房長  竹内 道雄君        大蔵省関税局長  大蔵 公雄君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査  (財政及び金融等基本施策に関する件)     —————————————
  2. 藤田正明

    委員長藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月二十七日、前田佳都男君、横川正市君、松永忠二君及び吉田忠三郎君が委員を辞任され、その補欠として中西一郎君、野々山一三君、田中寿美子君及び川村清一君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  この際、愛知大蔵大臣から、財政及び金融等基本政策について所信を聴取いたします。愛知大蔵大臣
  4. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 旧臘、私は、大蔵大臣に就任いたしましたが、わが国経済がきびしい試練と転換のときに際会しているおりから、財政金融政策運営に当たる責任の重大さを痛感いたしております。  今後の財政金融政策につきましては、さきの財政演説において、その基本的な考え方を明らかにしたところでありますが、本委員会において関係法律案の御審議お願いするにあたりまして、重ねて所信一端を申し述べ、皆さま方の御理解と御協力お願いする次第でございます。  わが国経済をめぐる内外情勢の大きな変化に顧みますとき、今後の政策運営基本は、長期的展望のもとに、積極的に国民福祉向上につとめ、物価の安定をはかりつつ、国際協調の実をあげ国際収支均衡を回復することにあると考えます。この三つの課題を相互に調和させながら、同時に解決していくことは、まことに容易ならざるものがありますが、私は、国民生産が百兆円をこえると見込まれるまでに至りましたわが国の充実した経済力を活用し、一そうの創意とくふうをこらして、この課題解決のため、最善の努力を払ってまいりたいと存じます。  そのためには、第一には、福祉社会建設を推進することであると思います。  このため、私は、まず国民各層経済成長の成果をひとしく享受できるよう、社会連帯感にささえられた社会保障拡充していくことが肝要であると考えます。  また、住宅をはじめ生活環境施設社会福祉施設体育施設社会教育施設等中心として社会資本を一そう整備するとともに、公害の防除と自然環境保全を積極的に推進して、国土全体の均衡のとれた開発を進める必要があります。  これらの福祉政策を推進するため、財政の果たすべき役割りはますます増大するものと予想されますが、今後の財政運営に当たりましては、その健全性を確保しつつ、資源、所得配分機能をより一そう活用し、国民要請に積極的にこたえてまいらねばなりません。  第二は、物価の安定であります。  成長を維持し、経済構造転換を進めながら、物価の安定をはかることは、きわめて困難な問題でありますが、消費者物価の安定は国民生活の基盤であり、その動向いかん国民福祉に大きな影響を及ぼす重大な問題であります。政府としては、総需要の水準を適正に保つとともに、円滑な供給体制整備し、生産、流通、消費の各面にわたって、きめのこまかい施策を総合的に実施してまいりたいと存じます。  現下の緊急課題である地価問題の解決をはかるため、土地制度整備等を含む総合的施策を講ずることとなりましたが、私としては、税制金融の面から、必要な対策を強力に推進してまいる考えであります。  なお、土地取得関連融資につきましては、今後その増勢を他の一般貸し出し増勢均衡のとれた妥当な水準に落ちつかせるよう強力に指導を行なってまいる所存でありますが、この点については、すでに、各金融機関に対して通達を発したところであります。  第三は、国際協調の実をあげ、国際収支の大幅な黒字をすみやかに調整することであります。  現在、国際通貨基金及びガットの場で国際通貨貿易制度の新しい秩序づくりのための努力が重ねられておりますが、わが国としては、世界経済ブロック化保護主義の台頭を避けるべきであるという基本的態度を堅持しつつ、関係諸国と相協力してこれを成功に導くようつとめてまいりたいと存じます。  また、開発途上国に対する経済協力につきましては、これら諸国経済発展わが国を含めた全世界の平和と繁栄にとって不可欠の条件であることにもかんがみ、今後とも援助の拡充特恵関税制度改善等を通じ、その発展に貢献するよう、国力にふさわしい役割りを果たしてまいらなければなりません。  わが国国際収支は、通貨調整後も大幅な黒字を続けており、これを適正な水準に戻すためには、引き続き格段の努力を払わなければなりませんが、基本的には、経済国際化を進め、輸出優先という従来的思考から脱却して福祉型経済への転換を急速に進めることが肝要であると考えます。この意味においても、輸入については、関税率をさらに引き下げることなどによってこれを促進し、まに、資本自由化については、徹底した努力を傾けたいと存じます。  さらに、最近における国際収支状況にかんがみ、対外経済関係調整に資するため、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れた外貨資金等を、昭和四十八年度に繰り上げて一括償還いたしたいと存じます。  金融市場は、外貨の累増にも関連し、流動性が過剰の状態にあるといえますので、先般、預金準備率引き上げが行なわれたところであります。今後の金融政策運営にあたりましては、内外情勢に一そう留意し、財政政策との関連をとくと考慮しつつ、両者一体となって、経済安定成長を確保してまいる所存であります。  わが国資本市場は、国際化の進展、金融環境変化等に伴い、長期資金調達の場として格段に重要性を増してきました。その整備育成については、今後とも一そうの配意が必要と考えますところ、一方、特に最近の株式市場については、株価の引き続く騰勢に深甚な注意を払わざるを得ません。この際、特に秩序ある市場形成のため、適時適切な措置を講じてまいりたいと存じます。  昭和四十八年度予算は、以上申し述べました財政金融政策基本的方向にのっとり、わが国経済国内均衡対外均衡の調和をはかりつつ、長期的視野のもとに、国民福祉充実向上につとめることを主眼として編成いたしました。  すなわち、まず、予算及び財政投融資計画を通じ、福祉の充実を求める国民の期待と要請に積極的にこたえ得る規模のものとしております。  昭和四十八年度一般会計予算の総額は十四兆二千八百四十億円、前年度当初予算に対し、二四・六%の増となり、また、昭和四十八年度財政投融資計画規模は六兆九千二百四十八億円、前年度当初計画に対し、二八・三%の増となっております。しかしながら、一方、中央、地方を通ずる政府財貨サービス購入の伸びは、国民経済全体の成長率とほぼ同程度となるようにし、経済の安定的な成長を保つことができるよう配意いたしました。  公債につきましては、建設公債市中消化の原則を堅持しつつ、これを適切に活用することとし、一般会計における公債発行規模を二兆三千四百億円といたしておりますが、公債依存度は、税収入状況にもかんがみ前年度当初予算における一七%、補正後一九%を下回る一六・四%といたしました。  次に、国民生産質的向上をはかるため、社会保障関係経費を大幅に増額するほか、社会資本整備にあたっては、国民生活環境整備に特に重点を置き、また公害の防止、環境保全物価安定等についても特段の配慮を加えております。さらに、国民生活に密接に関連する分野を中心政府関係金融機関事業団等貸し出し金利引き下げを行なうことといたしました。  なお、懸案になっておりました財政投融資計画国会審議との関係につきましては、昭和四十八年度から、財政投融資のうち、資金運用部資金簡保資金長期運用予定額国会の議決の対象に加えることとしております。  昭和四十八年度の税制改正におきましては、まず、所得税について、中小所得者負担軽減をはかるため、課税最低限引き上げるとともに、特に給与所得者重点を置いて、給与所得控除の大幅な拡充を行ない、三千百五十億円にのぼる減税を行なうことといたしました。すでに、わが国課税最低限は、欧米諸国に比肩し得る程度に達しておりますが、さらに今回の改正により、夫婦子二人の給与所得者の場合、平年分で一〇・七%上昇し、百十四万九千円に達する水準となったのであります。これに加えて、住民税についても、一千億円をこえる減税を行なうこととしており、国民税負担は大幅に軽減されることになります。  なお、このような一般的な負担軽減措置と並んで、退職所得特別控除の大幅な引き上げを行ないました。この結果、勤続三十五年で現在五百万円まで課税されないことになっているのが、八百万円まで課税されないことになります。  相続税課税最低限引き上げ物品税軽減合理化入場税減税を行なう一方、有価証券取引税税率引き上げることといたしております。  租税特別措置につきましては、最近における社会経済情勢変化に即応し、重要産業用合理化機械等特別償却制度価格変動準備金制度等産業関連の諸制度について、改廃を行なうことといたしました。一方、福祉対策公害対策勤労者財産形成住宅対策等に資する措置を講ずるとともに、事業主報酬制度を創設することといたしております。  さらに、今日の土地問題の重要性にかんがみ、土地に対する投機と地価の騰勢を抑制するため、法人の土地譲渡益に重課することといたしました。なお、その他、国税につきまして所要の税制整備合理化を行なうことといたしております。  関税面におきましては、対外経済政策の一環として昨年末実施された関税の一律大幅引き下げに引き続き、内外経済情勢変化に即応するため、さらに関税率及び関税制度について適切な措置を講ずることとしております。  まず、特恵関税制度について適用品目の拡大、税率引き下げを行なうほか、鉱工業産品についての特恵供与方式を改善し、開発途上国からの輸入増大に資することといたしました。  また、国民生活関連の深い物資を重点関税率引き下げをはかるとともに、関税割当制度改正通関手続簡素化のための税率調整関税制度面整備等、各種の改正を行なうことといたしております。  以上、財政金融政策に関する私の所信一端を申し述べました。  本国会において御審議を願うべく予定しております大蔵省関係法律案は、税制大幅改正をはじめ昭和四十八年度予算関連するもの十四件、その他三件、合計十七件でありまして、うち十五件につきまして、本委員会の御審議お願いすることになると存じます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いする次第であります。
  5. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 大蔵大臣所信に対する質疑は、後日これを行ないます。     —————————————
  6. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 次に、大蔵政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。山本敬三郎大蔵政務次官
  7. 山本敬三郎

    政府委員山本敬三郎君) 昨年末政務次官を拝命いたしました山本であります。知識、経験ともにまことに乏しいものでありますが、委員先生方の特別の御支援をいただきますよう心からお願いを申し上げます。
  8. 藤田正明

  9. 山本幸雄

    政府委員山本幸雄君) 同じく政務次官を拝命しました衆議院の山本幸雄でございます。これからいろいろお世話になることだと存じますが、よろしくお願いを申し上げます。
  10. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記をとめて。   〔速記中止
  11. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記を始めて。  本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後零時三十六分散会      ——————————