○
政府委員(高橋俊英君) ただいま御質問の点は、
小売り業における不当廉売を特殊指定という
方法で
規制しようという案でございます。これはいずれ公聴会なぞをやりませんと告示ができませんので、私はあえてこれを案と申し上げます。また、公聴会の模様などによりましては多少の変更があり得るということも含んでおかなきゃなりません。私
どもは、原案そのものを固執しなければならぬというふうには
考えておりませんが、御指摘のとおり、その一般的な基準としましては、いままでの目玉
商品といわれるものが
仕入れ価格さえも割っておるというのがしばしば見られます。そのことにつきましては、かねてから公取に苦情が——主として
小売り業でございます、競合する
小売り業から、これは何とか
規制して取り締まってもらえないのかと。ところが公取としては、実は一般的な基準、一般的な指定としましては、不当な
価格であるとかあるいはその不当な
利益、非常に高い
価格とか不当に低い
価格というふうな表現でございますから、一般指定の中にあるのでございますが、判断の基準が明確でございませんでした。そこでこのたび、再販問題等も実はからんでおるのでございますが、そういうブランド
商品、目玉
商品になりやすいようなもの、つまり手ごろなものを非常な安い値段をつけて売るということはいろんな点で弊害のほうが多いのじゃないか。それで外国の例も
参考にしまして、この際、これを特殊指定、一般指定ではなくて基準をもっと明確にすべきではないか、こういう
観点から基準をつくろうとしているわけでございます。
ごく簡単にその目安を申し上げますと、
スーパーあるいは一般
小売り店がどのくらいの一般管理経費、つまり
販売するために必要な経費を要しておるかということを調査いたしました。特別に極端なものを除きます。これは中には
理解できないようなものもございますから、それらのものは除きまして平均をとりますと、
スーパーの場合においては、
仕入れ価格に対して二二%の経費がかかっております。それから、一般
小売り店の場合にはそれが二九%でございます。ですから、これは
仕入れ価格に対してでありますから、
小売り価格に対する、
販売価格に対する割合はこれより低くなりますけれ
ども、私
どもの
規制の標準としては、実質的な
仕入れ価格から、たとえばリベートとかあるいは現品添付でもって実質的な値引きが卸から行なわれている場合、これはその分を考慮した実質的な
仕入れ価格を基準にいたしまして、それに六%を加えた額までは目玉
商品として
販売することも差しつかえないと、これは言わざるを得ないわけです。
いままでの基準は、
仕入れ価格そのものじゃないかというふうな
考えもとってまいったのですが、実際にはこれはどこにも書いてない。しょうゆ、みそ業界に対する回答の中で、大体一ぺんそういうことを
昭和四十年に出したことがございますが、それ以外にはないのでございまして、そこでいろいろな
事情を勘案いたしまして、これらのいまあげました
スーパーの場合でも、平均すれば二二%の
販売関係の経費がかかっている。そのうち直接費と間接費に分けます。——間接費ということばは適当でないのでございますが、一般管理費と申しますが、直接
販売費は、
スーパーの場合に一二%、
小売り業の場合に一五%が平均でございます。むろん最高、最低をとらえますと、これよりもかなり誤差がございます。
そこで、いろいろな
観点から、まず六%を加えた額であればほとんど全部の場合に、
商品別原価をかりに原価計算いたしましても赤字になることは確実であろう、相当の赤字になる。ですから、かなりの程度までの赤字
販売はこの際認めるといたしまして、それを割って非常な安売り、赤字
販売をすることは、おとりを使って客を呼び寄せる
方法であり、それらの
方法はほとんど全部の場合、
スーパー等の大型
小売り店において可能であり、一般の
小売り店ではそういうことを継続して繰り返し行なうことはほとんどできないのでありますからして、公正な
競争、なるべく自由な
競争を行なわせるという趣旨、これは景品類や懸賞、不当景品類を相当厳格に
規制しておる
考え方と同じでございます。
不当な景品によって客を誘引するのも、おとりを使って、おとり
商品によって客を他から自分のほうに奪い取ろうとするのも公正な
競争とは言いがたい、このような見地で、もちろん、これは事実問題として妥協点でございますが、六%に厳格なる根拠があるとは申しません、しかし、その程度が外国の例な
ども調べた上でまずまずの線ではなかろうか。相当な赤字
販売までは認めるが、あまり極端な、
仕入れ価格をも相当割るような実例がございますので、そのようなことは
消費者のためにならない。実質的にはおとり
販売をすることによって実はそれ以外の
商品を買わせるように仕向け、そして相当の
利益を得ておる、こういった商法、商いの
あり方について、やはりこれを放置すべきでないという
観点で、今回の案を立てたわけでございます。