○大矢正君 具体的な話ですがね、境界線の外側にたとえば
かなりの空間があると、あるいは保てるような
条件で工場が立地するなら、これは問題はないと思いますね。たとえば川があるとか、それから、まあ、川じゃなくても国有地があるとか、あるいは都道府県の土地があるとかというようなことで、現実にそこに住宅なり、そういう人が住むようなものが建設される可能性がないという場合は、それはまあそれなりでけっこうですがね。しかし、現実問題としてたとえば工場の境界線がありましたら、
法律上からいけば、その境界線から五十センチ離れりゃ住宅を建てる権利はあるわけです、そうでしょう。何も土地を持っている人間が家を建てる場合に、横に工場があるからといって自分のほうから家を建てないというばかなことはないんであって、へいから五十センチ離れてさえいれば、家を建てることはもう当然の権利としてこれは認められているわけですから、それは
法律上も何も言えないわけですね。ですから、結局のところ人の住んでおる家とか、あるいは公共施設等々と工場の設備との距離を離そうとすれば、これは勢い理屈のいかんを問わず、この製造施設と境界線の距離を大幅にとるという以外に
方法はないわけですね。いま私が申し上げたとおりに。結果としてはそうなってしまうわけです。特別な場合を除いては。川があるとか特殊の空間がある以外はですね、当然そうなるわけです。
で、しかもまた、たとえば会社だって、ある地域を購入して、その内側にへいを回して、へいの外に何十メートルも、あるいは百メートルも百五十メートルも自分の土地がありながらそれを空閑地にして、へいはずっと前のほうにしておきますなんて、そんなばかな会社はないはずですから。自分の用地である限りは、自分の用地の限界にへいを回すなり、それに類似する一つの手段を講ずると思われますね。といたしますると、やっぱり
企業自身がいかに境界線とそれから製造施設との間に距離を保つかということが、根本的に大きな問題だと私は思うんですね。
まあ、時間もそうありませんので、こまかいことは申しませんが、
大臣、そこでいかがですか、私は先般、徳山事故がありました直後に、現在
審議中の
工場立地法については、単にその
環境保全、緑地をふやすことによって
環境上土地を広げるのだ、スペースをよけいにとるのだというような
趣旨だけではなしに、防災上からやはり
工場立地法というものも考えるべきではないかという質問をしたんですが、たいへん残念ながら
大臣は、いや、いまの
法律はそこまで考えていないからそれはそれとして、別個な問題として考えざるを得ないのだという御答弁がありました。ところがこの間、公明党の峯山君が質問いたしましたら、私に対する答弁とだいぶ違いまして、やはり
工場立地法の中でできる限り最大限、防災上の
趣旨も盛り込まなきゃいかぬというような御答弁でですね、だいぶニュアンスが違ってきておるわけでね。貫禄の違いで私が質問するとだめだと、しかし、峯山君ならこれは貫禄があるから十分な答弁をされたのかどうかわからぬけれども、実際にどう考えておられるかですね。私は、せっかく
工場立地法を
審議いたしておるのでありますからして、もちろん、その
工場立地法の中で実行できる
部分、できない
部分があるとは思いますが、またいまこの段階にきて
工場立地法を
修正せよ、あるいは防災に必要な事項をつけ加えよと言いましても、
政府としてもなかなかむずかしかろうと思う。あらためて次期国会等においてそういうことをされるならできるでしょうけれども、国会もここまで迫ってまいりますればなかなか困難でしょう。しかし、
運用上、
工場立地法の中で防災措置に関してできることがあれば、最大限それを活用してやはりやるべきではないかという私の考え方がありますが、
大臣、いかがでしょうか。