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政府委員(飯塚史郎君) 不足物資につきましては、いま先生御
指摘のように、塩ビ製品並びに鋼材が現在特に窮迫をいたしておる
状態でございます。
塩ビにつきましては、各種の用途があるわけでございますが、約三〇%が塩ビ管でございまして、そのほかいろいろ用途がございますが、いま最も問題になっております電線につきましては、約七%ぐらいかと
考えます。塩ビは、ことしの四月−六月の間までは比較的順調に生産も行なわれましたし、需給の
関係もどうにか持ちこたえておったわけでございますけれ
ども、七月になりましてから突如として生産の減少を来たしまして、同時に需要のほうは、建築
関係の需要増に伴いまして引き続きかなり高
水準に伸びておりまして、そこで需給の非常に大きなアンバランスを生じたわけでございます。
七月に至りまして生産が特に落ちましたのは、御
承知のように、出光の徳山におきます事故でございますが、出光の徳山におきましては、
全国の塩ビ生産の約一五%を占めておるわけでございますが、これが七月の七日に事故を起こしまして、五十日間ばかし全く操業を停止しておったような
状態でございます。同時に、徳山の事故のほかに夏場でございますので、光化学スモッグ等の問題もございまして電力制限等も受けましたし、同時に、水不足によります操業の一部縮小並びに公害問題にからみまして、塩素並びにソーダ工場と漁民との間の若干のトラブルもございました。こういったようなことが重なりまして七月の生産は、当初私
どもが予定しておりました十二万トンに対しまして、九万六千トンというような落ち込みを来たしたわけでございます。
こういう塩ビの需給のギャップをもとにいたしまして、特に塩ビ管と塩ビ電線に不足の傾向が著しくあらわれてきたわけでございますので、これに対処いたしまして
通産省といたしましては、七月からその緊急出荷の
方策につきまして
関係業界といろいろ折衝を重ねてきたわけでございますが、ようやく
関係業界のほうも
通産省の強い要請を受けるに至りまして、塩ビの電線につきましては、これは塩ビ電線の中でも平型ケーブルといいまして屋内の配線用でございまして、これをつくっておりますのは中小の電線メーカーでございますが、これらとの話し合いによりまして、とりあえず五百五十万メートルの緊急出荷をするということになったわけでございます。
先ほど先生御
指摘のあっせん要項等は、この五百五十万メーターにつきましての出荷並びにあっせんの手順を明記したものを各都道府県並びに通産局並びに
関係の電気工
事業者等に配付いたしたものでございます。で、若干事務的な手続のために時間をとりましたけれ
ども、今週の半ばぐらいには、この
関係のあっせん業務が開始されるんではないかと
考えております。
ただ、
全国で五万五千軒の電気工
事業者がおるわけでございますので、五百五十万メーターの放出といってもこれはきわめてわずかでございますので、これだけで当面の平型ケーブルの需給緩和に役立つとも私
どもは
考えておりませんが、引き続き第二段の
措置といたしまして、九月の半ばぐらいにさらに今回の量を上回るような平型ケーブルの緊急出荷につきまして、
関係メーカーといま打ち合わせをしているところでございます。
それから、塩ビ管につきましては、不足状況は電線ほどではありませんけれ
ども、これは本年の三月ぐらいからそういう傾向は出てまいりまして、私
どものほうでもいろいろ
検討いたしておりましたが、とりあえず千五百トンの緊急出荷をやることにいたしまして、塩ビ管の工
事業者に直接メーカーから行くようなことを
措置いたしたわけでございます。これも電線の場合と同様に、都道府県の商工課等を窓口にいたしましてこのあっせんの業務をやるということにいたしております。
なお、鋼材
関係につきましては、丸棒につきましては、ことしの八月の八日にとりあえず三万トンの緊急出荷を
措置いたしたわけでございますが、このほうはやはり都道府県商工課を窓口にいたしまして、小棒の共販会社というものが
全国に七カ所ございますので、ここを通じまして直接中小の建設業者に入るように
措置をいたし、すでに今月の二十一日にこの分の締め切りをしたわけでございますが、三万トンを上回るような要望が出ておりますけれ
ども、これは、
中小企業者ということで資本金五千万円未満の建設業者の要望を受け付けるということでございますが、若干要望の中に五千万円を上回るような業者も入ったようでございますので、これを切りますと、大体今回の分は三万トンの中におさまるというように
考えております。で、引き続きまして九月の半ばぐらいから、さらに六万トンの緊急出荷を同じような方法によりまして
実施することにいたして、現在
関係業界と具体的な話し合いをやっておるところでございます。なお、小棒以外の一般の鋼材につきましては、これもやはり品不足のために中小の建設業者は入手難におちいっているわけでございますが、かたがた、価格のほうも非常な高騰をいたしておりますので、
通産省としては、中小建設業者救済並びに物価
対策の観点から、今般、大手のユーザーの需要分を一割カットすることにいたしまして、この八月から十一月までの間に四十六万トンの普通鋼鋼材の緊急出荷をきめたわけでございます。これは、鋼材あっせん所が
全国に七カ所ございますけれ
ども、ここを通じまして中小の建設業者の手元に直接入るように、しかも値段につきましても現在の市中の異常な価格ではなくて、もっとメーカーの出し値に運賃その他の諸掛かりを加えた適正な価格で中小の建設業者に直接行き渡るような
措置をやっておるところでございます。
以上が現在まで
通産省が
実施いたしました作業の概要でございます。