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政府委員(莊清君) 担保をなぜ取るかという点でございまするが、
現状をまず申し上げたいと存じます。
信用保険制度では、普通保険、無担保保険等五種類ございまするが、一番金額的に大きな比重を占めておる普通保険は、金額で約六五%を占めて
おりますが、普通保険におきましても、半分強というものは実は担保は取って
おりません。保証人だけでやって
おります。取引
関係が継続して
おりまして、信用が十分あるというふうな
中小企業が多数ございますので、そういうところは、実は半分強は物的担保は取らずやっておるということでございます。それから、保険残高が残りの三五%程度がいわゆる無担保保険でございます。これは名称のと
おり、保証協会は物的担保を取らずに保証人だけでやって
おります。あと保証人も取らない特別小口保険というのがございまするが、金額的には大きな
ウエートを占めて
おりません。全体を通じて見ますと、六十数%というものはこの保険制度では物的担保なしということでございまして、残りの三四・五%というのは、普通保険の中で、組合等が相当大きな金額のものを借りる場合とか、比較相大きい
中小企業が二千万とかそういう大きなものを借りる場合が中心であるというふうに御了承いただきたいと存じます。
結局、そういう場合でもはずしていいではないかという御意見もあろうかと存じますけれども、片一方、やはり返済不可能ということになりましたときに、それが直ちに保証協会のほうの負担に全部なってくるということでは、保証協会の経営基盤も悪
影響を受けまするし、それのカバーをとるために、あらかじめ保証料を高くしておくというふうなことがありましては、これまたゆゆしい問題でございます。そういうところで心要やむを得ない場合には、物的担保を取るということはやむを得ないことだと
考えておる次第でございます。
ただ、ただいま
先生から御質問ございましたように、そういう担保を取る場合でも、評価のしかたというものは十分
配慮しなければなりません。銀行と違いまして公的機関でございまするから、担保の掛け目も時価を基準にやるという主義で強く指導したして
おります。特に今回の
ドル・
ショックに際しましては、すでに差し入れ済みの担保についても進んで再評価をして、担保の余地を広げるようにということを強く指示しておるところでございます。また担保の順位につきましても、普通
政府機関は第一順位の担保を取るというのが常識でございまするけれども、保証協会は
政府機関じゃございませんけれども、公的機関である、しかし、
中小企業融資の円滑化という趣旨にかんがみまして、二番、三番の抵当でもどんどん取るようにということで、いま強力に指導して
おります。これはすでに
実施をしておる点でございます。
それからもう
一つつけ加えさせていただきたいのでございますが、先ほど私理屈を述べたわけでございまするが、担保を取らざるを得ない場合があるといたしまして、取られた
中小企業が不幸にして支払い不能におちいった場合に、保証協会が直ちにその担保権を実行するのかどうかという点、これがきわめて大きな点でございます。この点につきましては、やはり保証協会というの
中小企業を育てるのだ、それが趣旨であるといの点にかんがみまして、銀行のように直ちに担保権を実行することなく、二年、三年の長期の返済計画というのを
中小企業と保証協会とであるいは県とで、相談の上つくりまして、長期にわたって徐々に返済をしてもらう、その間担保は実行しない、やむを得ず債務者のほうに悪意がございまして、担保物件が隠匿されるとか、そういう特別の事態がある場合はやむを得ませんが、そうでない限り原則として実行しないということで現にやらておる次第でございます。今後も私ども評価の点あるいは担保権の実行の面につきましては、いろいろ現地で若干のトラブルがあるということも耳にせぬわけでございませんので、個々のケースに即しましてそういうことがもう今後絶対ないように、十分に
注意をして指導を強めてまいる所存でございます。